- 日時: 平成13年10月11日(木) 17:00~19:38
- 場所: 内閣府3階特別会議室
(開催要旨)
- 出席者
- 会長
- 岩男 壽美子 武蔵工業大学教授
- 会長代理
- 八代 尚宏 (社)日本経済研究センター理事長
- 委員
- 猪口 邦子 上智大学教授
- 同
- 住田 裕子 弁護士
- 同
- 高橋 和之 東京大学教授
- 同
- 竹信 三恵子 朝日新聞企画報道室記者
- 同
- 寺尾 美子 東京大学教授
- 同
- 樋口 恵子 東京家政大学教授
- 同
- 古橋 源六郎 (財)ソルトサイエンス研究財団理事長
- 同
- 松田 保彦 帝京大学教授
- 同
- 山口 みつ子 (財)市川房枝記念会常務理事
(議事次第)
- 開会
- 択的夫婦別氏制度について(内閣府)
- その他
- 閉会
(配布資料)
- 資料1
- 「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の円滑な施行について(平成13年10月3日男女共同参画会議決定)
- 資料2
-
男女共同参画会議における監視の実施方針(平成13年10月3日男女共同参画会議決定) [PDF形式:210KB]
- 資料3
-
男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視に関する平成13年度の活動方針について(平成13年10月3日男女共同参画会議決定) [PDF形式:2KB]
- 資料4
-
第3回男女共同参画会議基本問題専門調査会議事録 [PDF形式:78KB]
(議事)
「選択的夫婦別氏制度に関する審議の中間まとめ(案)」について討議が行われ、同「中間まとめ」を取りまとめた。
<「これまでの経緯等」について>
- 猪口委員
- これは議論があるのかと思うが、「もとより民法は法務省の所管であるが」という表現は、事実ではあるが、われ われとして使うかどうか。そもそも行革の精神は、国家的最重要課題を省庁の縄張りを超えた高いところから議論しようという趣 旨だったと思う。
- 樋口委員
- 「夫婦同氏が強制される制度によってとりわけ女性は様々な場面で不便・不利益を被っており」については「社会 生活上の支障等について」とした方がいいのか。
- 岩男会長
- 「不便・不利益」というよりも社会生活上の支障という性質のものであるから、この表現の方がもう少し広い社会的 な問題であると受けとめられるのではないか。「不便」や「不利益」では個人が自分のわがままで言っていることではないかと、 そういう誤解がある。
- 猪口委員
- 「不便」はともかくとして、「不利益」というのは根本的概念。不利益を被っているということは、法概念の下では本 質的な問題ではないか。
- 寺尾委員
- 「不便」を取って「不利益」だけにした方がいいのではないか。
<「2 世論の変化について」>
- 樋口委員
- 世論調査で一番鮮明だったのは、男女の差以上に年代の差が大きいこと。何よりも本人たちが本格的少子化時 代の子どもであるという意味で当事者になってきている。そのような意味を込めて、「当事者である若い世代にとって、『選択的 夫婦別氏制度』への希望が普遍化していることを物語っている」といった表現を入れてもいいのではないか。
- 八代会長代理
- 単なる世代間の価値観の違いというのはほかにも数多くあるが、一方が利害当事者であって、他方は利害 に関係ない人たちであるということを強調する意味がある。価値観の違いだと簡単に済まされてしまう。
- 竹信委員
- 若い世代はこの制度のいわばユーザーであるという趣旨が鮮明になるような形がいい。
- 山口委員
- 選択的夫婦別氏制度は強制でないということが一般に広がったということが、10ポイント上げた要因なのではない か、という趣旨を入れた方がいいのではないか。
- 住田委員
- 世代別の世論調査というのは人口統計と同じで、若年世代が増加しているので、今後この延長線上で趨勢が拡 大することは必至であるというような記述を入れてはどうか。
- 松田委員
- 選択的夫婦別氏制度は、同氏を名乗るにせよ、別氏を名乗るにせよ、強制されるのでないということをどこかで強 調しておく方がいい。
<「3 選択的夫婦別氏制度が導入されていないことによる不利益について」>
- 山口委員
- 不利益のところは見出しを付けるなどはっきり分かるようにしたらいいのではないか。
- 松田委員
- 体験や事例が寄せられているということを紹介する際、新聞の見出しのようなものを付けるのもいかがなものか。
- 住田委員
- 選択的夫婦別氏制度が導入されていないことによる不利益を避けるために事実婚を選択する者が少なくないこと が、法律婚制度の形骸化を一部招いているということを入れてみてはどうか。
- 山口委員
- 地方へ行くと、特に農家では、自分の名前ではなく「うちの嫁」などと呼ばれる、という慣習が根強い。そのような ことを考えると「改姓を契機に夫の家から「家の嫁」として、従属的立場を強いられたとするものや」という表現は入れておいた方 がいい。
- 猪口委員
- (「夫婦同氏制度であることによって生じている問題の根本的解決のためには、法律において所要の措置が採ら れることが望ましい」という表現について)民法改正ということが基本的な目的なので、それについて解釈の余地のない表現を きちんと使うことが重要。
- 高橋委員
- 根本的解決ということが非常に重要ではないかと思う。根本的解決にならないという書き方より、根本的解決のた めにはこうすべきだという書き方の方がいい。
- 古橋委員
- 戸籍法の改正で対処すべきとの主張もあり、根本的解決を目的とするならば、「法律に」というところを「民法に」と すべき。
<「4 憲法上の問題点について」>
- 住田委員
- 男女平等の問題、24条の問題等もあるということが書かれているので、人権意識とか氏や呼称に関する意識が かなり変わってきたということを入れた方が、改正の機運になり得るのではないか。
- 高橋委員
- 「実質的には男女に不平等な効果を及ぼして」とあるが、もう少し明確に「差別」だという趣旨を出した方がいい。
<「5 家族の関係について」>
- 住田委員
- まず反対意見を出して、それに対して理由を述べて、「だから、そうではないのですよ」ということをまろやかに言い たい。
- 古橋委員
- 冒頭に世論調査のことを出すとわかりにくい。
- 樋口委員
- 現行制度の下においても離婚の増加などはあるのだから、そのような記述を入れた方がいい。
- 寺尾委員
- 若い世代を中心に一体感が弱まるということはないという人の割合が多くなっている。家族の一体感は若い世代 も大事だと考えていることに注目した書き方をするとよいのではないか。
- 山口委員
- もっと素直に世論調査の結果を読んで、「影響がないと答えた者の割合は、男性の20歳代等において高くなって いる」として、「この結果は、注目するところである」という趣旨を書き添えればいいのではないか。
<「6 子どもへの影響について」>
- 岩男会長
- 子どもへの影響についても十分考慮していることを記述したほうが良い。
- 住田委員
- 「別個の問題である」と突き放した表現が最初の理由付けになっているので、反発を呼んでしまうのではないか。
- 樋口委員
- 「多様性を認めるような教育の場」が必要という趣旨を入れた方がいい。
<「まとめ」について>
- 八代会長代理
- 少子化への対応について言及するときに、まさに女性の活用という面もあるのだという説明が必要。
- 住田委員
- 今までもずっと選択的夫婦別氏制度が必要ということが言われてきたが、少子高齢化の中で女性が職業を持つと いう必要性があるということは、この制度の導入の後押しになる理由になるのではないか。
(以上)