日時:平成21年11月18日(水) 15:00~17:00
場所:内閣府本府5階特別会議室
- 出席者
- 主査
- 石川 哲也 神戸大学大学院教授
- 委員
- 桜井 洋子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会理事
- オブザーバー
- 岩井 宜子 専修大学大学院教授・副院長
- 議事次第
- (1)ワーキング・グループの運営方針等について
- (2)有識者ヒアリング
(財)野中東皓会 静風荘病院 特別顧問 天野 恵子 氏 - (3)論点例について
(配布資料)
- 資料1
-
基本問題・計画専門調査会ワーキング・グループ(WG)等の運営について(第47回基本問題・計画専門調査会資料) [PDF形式:76KB]
- 資料2
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第3次基本計画策定のスケジュールについて(案) [PDF形式:435KB]
- 資料3
-
健康WGにおける論点例 [PDF形式:86KB]
- 資料4
-
男女共同参画に関する取組と現状 [PDF形式:1167KB]
- 資料5
-
有識者ヒアリング資料
「生涯を通じた健康支援~性差医療の現状と課題~」
- 議事の概要
初めに第1回目の健康WG開催に当たって、石川委員を主査に選出した後、事務局よりWGの進め方について説明が行われた。
その後、静風荘病院の天野恵子特別顧問より、ご講義を頂き、意見交換を行った。
○ヒアリングのの概要
- 性差医療とは
性差を考慮した医療とは、男女比が圧倒的に一方の性に傾いている病態や、発症率が同じでも男女間で臨床的に差があるもの、いまだ生理的、生物学的解明が男性又は女性で遅れている病態など男女の地位と健康の関連などに関する研究を進め、その結果を疾病の診断、治療法、予防措置へ反映することを目的とした医療改革のことである。
【性差に伴う病態等】
- 女性の死亡率の高い疾患は、慢性リウマチ性心疾患、筋骨格系の総合組織疾患(骨折、老化、老衰、認知症)で、70~90歳代で罹患している。一方、男性は、交通事故や自殺、肝硬変による肝がん、悪性新生物などでの死亡率が高い。
- 通院者率では、平均寿命の関係で、女性の患者が多くなっている。
- 男性の慢性疾患としては、痛風、前立腺肥大症など。女性は、肥満症、白内障、関節症、肩こり症、骨粗しょう症など。
- 3大死因であるがん、心臓疾患、脳卒中については、男性は60~70歳、女性は75~80歳で罹患率が高くなっている。女性ホルモンの影響で、女性は男性よりも罹患時期が遅くなっており、結果として女性の健康寿命や平均寿命が延びているといえる。
- 虚血性心疾患の危険因子は、女性は、糖尿病、喫煙、年齢で、男性は、女性の危険因子に高血圧、脂質異常症が加わる。同疾病でも、性別によって危険因子が異なるため、治療方針が異なってくる。
- 現状
- 患者が置かれている精神的、身体的なストレスに対し、性差に応じた医療環境が整っていない。
- 男性に比べて、女性の医療サポート体制は遅れている。
- 性差医療の推進のためには
- 日本では、日本循環器学会がはじめて循環器分野における性差医療ガイドラインを作成しつつある。今後、様々な医療分野で広がっていくことにより、ガイドラインに基づいた治療や医師の育成が可能となる。
- 同じ疾病でも、性差によって治療の仕方や処方箋が異なってくるため、男女の特性をデータ等で収集、研究し、その結果に基づき治療を行っていくことが重要。
- 女性の場合は、死に直結した疾病予防というよりは、更年期以降発生してくる身体の障害に対し、いかに予防していくかという視点が重要。一方、男性は、生活習慣を改善することで平均寿命を伸ばすという視点が重要。(性差医療は、男性の平均寿命を延ばすための取組ともいえる)
- これからの女性に向けた医療で重要なのは、メンタル面のケア。次に、月経や更年期とも関連の深い自律神経失調症。心身とも総合的にケアできる医師の育成が必要で、女性外来は、女性の総合窓口であるべき。
- 人材育成に当たっては、医学部の教育の中に、ジェンダーの視点を取り入れて行くことが必要。