日時:平成21年11月17日(火) 10:00~12:00
場所:中央合同庁舎4号館1211会議室
- 出席者
- 主査
- 鹿嶋敬 実践女子大学教授
- 委員
- 加藤さゆり 前全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
- 同
- 辻村みよ子 東北大学大学院教授
- 議事次第
- (1)前回の意見交換の概要
- (2)論点例について
(配布資料)
- 資料1
- 基本問題・計画専門調査会 女性活躍推進法ワーキング・グループ(第1回)意見交換の概要 [PDF形式:107KB]
- 資料2
- 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方について [PDF形式:56KB]
- 資料3
- 女性活躍推進法WGにおける論点例 [PDF形式:98KB]
- 議事の概要
前回の意見交換の概要について事務局より説明を行った後、資料3の論点例について前回に引き続き、意見交換を行った。
○質疑・意見交換の概要
【政策・方針決定過程への女性の参画の促進】
- 「2020年30%」の目標達成に向けた取組について
○全般
- ポジティブ・アクションと言うと強制型のクォータ制のようなものをイメージしてしまい、非常に厳しすぎるというアレルギーがあるのでそれを払拭したい。両立支援など緩やかなものもポジティブ・アクションであることを強調し、アレルギーをなくすことにより導入していきたい。
- 「2020年30%」の目標達成に向けて、2015年でどのような数値目標を示すかについては、「2015年には20%は超えたい」などと大まかな目標を示し、それにとても至らないようなものについては、個別にどの程度アップするのかや、フローで表すなど具体的に対応するというのもあるのではないか。
○政治分野
- 政党による自発的クォータが望ましいが、例えば立候補者の女性割合を30%にするという目標であれば、結果の平等まで求めるということにもならないのではないか。
○企業
- ポジティブ・アクションを行っている企業についてのインセンティブを高めるために、女性がパワーを発揮すれば多様な意見が入っていいという一般論でなく、税金の控除や公契約のポジティブ・アクション、企業表彰など企業にとって具体的に得になることがあれば効果が出てくると考える。
- ポジティブ・アクションは大企業では一巡感、一服感が出てしまっている。実施率も5年ほど前から10ポイントほど落ちている。やっていない中小企業へのインセンティブの付与と大企業への再度の働きかけが必要。
- 大企業については管理職率のアップについてインセンティブを与えてもよいかもしれない。EUなどは管理職率を問題にし始めていて、ノルウェーの会社法は取締役会に40%のクォータ制を入れている。日本でも取締役会の比率が高い企業名を公開したり、リストを作成したりするなどの取組を行うだけでもかなり違うのではないか。
【女性のライフコースに沿ったエンパワーメント】
- 多様な生き方・働き方を可能とする環境づくり
○均衡処遇の確保
- 非正規雇用と正規雇用の人事体系の一元化が必要。非正規でも優秀な人はどんどん正規に登用するなど、別立てになっている人事体系を前向きで発展性のあるものにしていく必要がある。
- 企業にとっては非正規は安全弁となっているケースもあるので、正規への転換を企業に働きかける際に何かインセンティブが必要。
○女性管理職の増加
- 男女の賃金格差の最大の要因は女性管理職が少ないこと。初任給の比較では男女間格差は基本的にないが、管理職候補が出産・育児で辞めてしまうため、30代後半から40代に格差が大きく出てくる。
- 女性管理職が少ないのはいわゆる適齢期の女性がいないという問題があるからであるが、管理職を採用している企業は、男性とは別に女性の管理職要件をつくって底上げするという一種のポジティブ・アクションを行っている。女性を管理職に引き上げることはポジティブ・アクションの最大のテーマ。
- 化粧品やデパート業界など女性の意見を聞くことが重要な職種以外の職種で、どういうインセンティブを働かせれば女性の管理職比率を上げたり、管理職要件を変えてもらえるのか考えるべき。
○M字カーブの解消
- 育休までいかずに辞めてしまう女性を減らすために、女性研究者支援プログラムにおける産休サポートメンバーのように、産休を取得するための補助や辞めさせないためのインセンティブを与えることが必要。
- 女性が辞めないためには1つはワーク・ライフ・バランスだと思うが、もう一つは女性が辞めたくないと思うような仕事に就いているということ。女性自身の意識の問題だけでなく、企業が女性に男性と違う仕事を与えていないか、仕事の質の向上が大切。
○保育所の設置等の両立支援
- 企業内保育所はそこに連れて行くのが母親になるという固定的性別役割分担の問題と、景気の変動によって安定的に保育所という器を供給できないという問題がある。
- アメリカの学界ではどの大学でいくつの保育所をつくったといったことなどが公表されている。そうしたことから考えて国際的な企業のスタンダードを求める企業も出てくる可能性があり、女性の参画と保育所問題を一緒に考えていくこともあり得るのではないか。
- 器が少ないことへの対応として、幼保一元化や認証の問題だけでなく、認定子ども園や病児保育も含めた保育制度の多様化について論点に記述する必要がある。
- 幼保一元化の推進は重要だが、そこまで一足飛びにはいけないのではないかと思う。国全体とすれば保育園も学童保育もどちらも大切。どちらにおいても子どもの事故が絶えないが、子どもの視点に立って数を増やすことと質の確保の両方への配慮が必要。
- 学童保育は地域の実情や民間での動きに応じてもっとフレキシブルに運営できるようにすべき。
○人生の各段階を通じて女性が希望に応じた就業をかなえられる仕組みづくり
- 再就職支援の相談体制のワンストップ化を各自治体が進める必要がある。その際、希望の仕事とのミスマッチの解消を図ることが重要であり、そのために働く女性のニーズを的確に把握するべき。
- 高齢女性を対象とする施策
- 地域活動の担い手として活躍している高齢女性がたくさんいるので、多様な社会的活動、キャリアを積極的に評価するための手法などを研究し、評価するとともにそのような事例を発信することはとても重要。
- 起業と言うとこれから若い女性がどう業を起こすかということにばかりスポットが当たるが、既に起業してきた女性のモデルを掘り起こす作業が地道な基盤をつくっていく上で重要。
- 高齢女性は仕事のキャリアを積んでいないので、単純な役割や補助労働的な能力発揮に留まるか、若いときのキャリアの延長になってしまうという問題がある。しかし能力がある人がその能力を眠らせている場合があるので、そうした能力を無駄にしない斡旋事業や情報の多様化、ボランティア活動の活性化、NPOやワーカーズ・コレクティブなどについても言っておく必要があるかもしれない。
- 高齢女性の能力発揮の例示が限定的だが、もっと幅広に書けるような工夫が必要。高齢女性を救済の対象として考えるのではなく、高齢女性の持っているキャリアや能力をいかに活かして次世代に伝えていくかといポジティブな観点から書くとよいのではないか。
- 老後のコレクティブ・ハウスのような家族形態、新しい住み方、生き方のバックアップも必要ではないか。
- その他
- 看護師、保育士や介護職など女性が多く携わっている仕事には、男性にもっと参画してもらい、いろいろなところで男女を混ぜるという考え方が重要ではないか。
【各WG共通論点】
- 風土の改革・機運の醸成、広報・意識啓発
- 具体的に現場の人に語ってもらったり、ロールモデルを提供してもらうことにより、若い世代に男女共同参画教育を行ったり、社会人を対象にしたプログラムをつくることも含め、重点的に生涯学習施策を手厚くしていくべきというコンセンサスを政府全体で持つことが重要。
- 若年層への効果的なアプローチの方法を模索することも必要では。男女共同参画劇や国際女性デーのイベントなど多様な企画が考えられる。
- 政策形成過程をもっとオープンにしたり、イベントのショーアップなどにより、関心が広がったり、メディアとも効果的な連携ができるのではないか。
- 国と地方の推進体制の整備充実、多様な主体との連携強化
- PRも含めて国際機関との連携が必要。また、CEDAW最終見解との関係でポジティブ・アクションについては2年以内に報告なので、国際WGとも一緒に検討していく必要があるのではないか。