日時:平成21年10月16日(金) 12:30~14:30
場所:内閣府本府3階特別会議室
- 出席者
- 主査
- 鹿嶋敬 実践女子大学教授
- 委員
- 大熊由紀子 国際医療福祉大学大学院教授
- 同
- 岡本直美 日本労働組合総連合会会長代行
- 同
- 加藤さゆり 前全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
- 同
- 五條満義 東京農業大学准教授
- 同
- 佐藤博樹 東京大学教授
- 同
- 松井忠三 株式会社良品計画代表取締役会長(兼)執行役員
- 議事次第
- (1)本ワーキング・グループの進め方について
- (2)論点例について
(配布資料)
- 資料1
- 基本問題・計画専門調査会ワーキング・グループ(WG)等の運営について(第47回基本問題・計画専門調査会資料) [PDF形式:187KB]
- 資料2
- 女性活躍推進法WGにおける論点例 [PDF形式:97KB]
- 資料3
- 男女共同参画に関する取組と現状 [PDF形式:1328KB]
- 議事の概要
初めに第1回目の女性の活躍促進ワーキング・グループの開催に当たって、鹿嶋委員を主査に選出した。その後事務局よりWGの進め方について説明が行われた。
資料2に基づき、女性の活躍促進WGにおける論点例として、「政策・方針決定過程への女性の参画の促進」及び「女性のライフコースに沿ったエンパワーメント」について意見交換を行った。
○質疑・意見交換の概要
【政策・方針決定過程への女性の参画の促進】
- 「2020年30%」の目標達成に向けた取組について
○目標達成に向けた手段
- 例えば2015年や更に短い期間での目標を設定した方がよいのではないか。
- 目標の設定lisに当たっては、全分野共通とする方法や現状から何ポイントアップといった設定方法がある。
- ストックで30%という目標達成は難しい分野もあるので、フローの目標設定というやり方もあるのではないか。
- 目標設定と併せてフォローアップを行い、うまく進まない場合には原因について検証が必要。
- 組織でなく個人で活躍できる領域や、専門職の女性の人数を増やしていき、次につなげるという方策の方が当面は良いのではないか。
○政治分野
- 政治分野における男女共同参画は難しいが重要。国会議員を始め県会議員、市議会議員の中に女性が入る必要がある。
- 地方議員や農業委員などの候補者については、自治会組織などが輪番制で推薦するというような社会構造により、男性が選ばれてくるという状況がある。したがって、実質的に社会構造を変えていく必要がある。
○企業
- 女性の管理職が増えない理由として、育児休業の制度を充実させても取得前に辞めてしまっているという現状がある。男女の別なく将来のキャリアが開けるような、能力を高められる仕事を与えられることが重要。制度的な改善はやってきたが、実質どうしていくのかがこれからの課題。
- 女性の人材育成、能力開発・発揮の在り方について
○キャリア形成モデルなどの制度
- 現在のキャリア形成は、転勤を含め男性モデルになっている。途中で休業したり短時間勤務になったりする想定もあるキャリア形成モデルを新たにつくるべき。
- 今までの女性の昇進プログラムの問題点や今後の方針などについて、経営者にいろいろな形でヒアリングしていく方が良いのではないか。
- メンターの活用などで目標を見える形にしていかないと難しい。ほどほどの人が女性の課長で出てくるようなモデルが増やせないと変わっていかない。
- 登用された女性間のネットワークをつくっていくこと、女性リーダーのネットワークでどういう活動をしていくかということが非常に大事。さらにそのネットワークに対し、社会がどう支援し、どのようにその役割を認識していくのか考えていく必要がある。
- 民間でも様々な加速プログラム的な仕組みを持っているので、そうした民間の力を活用していく。
○意識
- 現場の管理職男性の意識が変わらないと女性管理職は増えていかない。そのためにも新しいキャリア形成モデルの提供や、男性のワーク・ライフ・バランスの促進が必要。社会の在り方、企業の人材育成の仕方を変えないと女性管理職を増やすのは困難。
- 適切なロールモデルがおらず、女性管理職の働き方を見て将来への不安感が強まってしまう。その結果、女性自らが管理職志向でなく専門職志向になっていくのではないか。管理職になりたくないという理由をきちんと見ていくべき。
- 地域における女性の活躍促進
- 地域の中にもワーク・ライフ・バランスの視点が入ってもよいのではないか。「地域」と言うと何となく女性、高齢者というイメージを持ってしまうが、地域を守るのは男たちだとある意味で力強くうたった方が新鮮味が出るのではないか。
- 今でも男性が地域の担い手として活動している。ただその活動の仕方や意識について、男女共同参画の視点から変えてもらうためにどういう視点が必要なのかを計画の中に盛り込んでいくことが重要。
- 各種審議会を含め公募による女性の登用の一層の促進が重要な課題。応募要領に積極的に男女共同参画を意識させたり、固定的な役割分担意識にとらわれない応募を促進するような説明文を盛り込むといったモデル例の提示や実例の蓄積などが大切。
- 「多様な社会的活動をキャリアとして積極的に評価」するとあるが、今までにない視点で重要だと思う。地域で活動をしている人のモチベーションを高める上でもとても大切な要素。
【女性のライフコースに沿ったエンパワーメント】
○意識
- 若い女性のいわゆる保守化についてはまず事実かどうかの検証が必要だと思う。もし事実とすれば対策の前にその原因を調べるべきではないか。
- 若年層の保守化は何となく実感としてある。若干未成熟なまま社会に出てくるような傾向があるが、それは男女共に言えることかと思うので、女性だけが保守化しているとするのがいいのかどうか慎重に議論する方がよいのではないか。
○キャリア教育・市民教育
- 大学におけるキャリア教育が重要。キャリア教育において、男女共同参画の視点がどう位置づけられているのか、男女共同参画を意識したキャリア形成をどれだけ動機づけられるのかを考える必要がある。
- 女性の人材育成について、成人女性だけでなく子どもたちへのキャリア教育を行う仕組みづくりが大切。労働教育、消費者教育、男女共同参画や暴力の問題なども含め「市民教育」という柱を立てて進めていく必要があるのではないか。
- 厳しい経済情勢を含め、女性の経済的な自立の必要性を高校や大学を通じて学生に教えていく必要があるのではないか。
○再チャレンジ支援
- 現在の新卒採用主義をもう少し柔軟な形にして、前歴評価もできるようになっていかないといけないのではないか。特に女性はいったん辞めると非正規でしか職が得られないということを含めて考えていかなくてはいけない。
- 国際的に見て少ないのは30歳くらいの転職で、そこに女性の再就業の問題があるので30歳代での再就職市場は整備しなければいけない。
○ピンク・カラー・ジョブ
- 看護師、保育士や介護職など女性が多く携わっている仕事全体が社会の中で低く見られているという問題を取り上げてほしい。男女の職業的差について議論したい。