- 日時: 平成21年10月16日(金) 15:00~17:30
- 場所: 永田町合同庁舎第1共用会議室
(開催要旨)
- 出席者
- 会長
- 羽入 佐和子 お茶の水女子大学学長
- 会長代理
- 鹿嶋 敬 実践女子大学教授
- 委員
- 家本 賢太郎 株式会社クララオンライン代表取締役社長
- 同
- 石川 哲也 神戸大学大学院教授
- 同
- 伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
- 同
- 大熊 由紀子 国際医療福祉大学大学院教授
- 同
- 岡本 直美 日本労働組合総連合会会長代行
- 同
- 帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
- 同
- 加藤 さゆり 前全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
- 同
- 清原 桂子 兵庫県理事
- 同
- 坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
- 同
- 桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会理事
- 同
- 佐藤 博樹 東京大学教授
- 同
- 松井 忠三 株式会社良品計画代表取締役会長(兼)執行役員
- 同
- 山田 昌弘 中央大学教授
(議事次第)
- 男女共同参画基本計画(第2次)フォローアップ 関係府省ヒアリング
- 第5分野 男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援
- 第8分野 生涯を通じた女性の健康支援
(配布資料)
- 資料1 様式1
-
「5.男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援」 [PDF形式:320KB]
- 資料2 様式2
-
「男女共同参画基本計画に関する施策の評価等について」
- 2-(1)
-
内閣府作成資料 [PDF形式:172KB]
- 2-(2)
-
文部科学省作成資料 [PDF形式:192KB]
- 2-(3)
-
厚生労働省作成資料 [PD形式F:236KB]
- 2-(4)
-
国土交通省作成資料 [PDF形式:134KB]
- 2-(5)
-
法務省作成資料 [PDF形式:94KB]
- 資料3 様式1
-
「8.生涯を通じた女性の健康支援」 [PDF形式:299KB]
- 資料4 様式2
-
「男女共同参画基本計画に関する施策の評価等について」
- 4-(1)
-
文部科学省作成資料 [PDF形式:165KB]
- 4-(2)
-
厚生労働省作成資料 [PDF形式:259KB]
- 羽入会長
-
皆様、お忙しいところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
それでは、ただいまから第49回基本問題・計画専門調査会の会合を開催させていただきます。
本日もお手元の資料にございますが、おおよそのタイムスケジュールが書かれております。それに従って進めてまいりたいと思いますが、途中御用の方もいらっしゃると思いますので、なるべく手際よく進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
今日は、フォローアップの第5分野、それから第8分野のヒアリングをお願いしております。配布資料として、お手元に「男女共同参画基本計画に関する施策の評価等について」というものがございますが、それに基づいて説明をいただきまして、それから委員の皆様から事前にいただいております質問も合わせて御回答いただくということにいたしたいと思います。
それでは、まず基本分野の第5分野の両立支援の分野について、各府省から御説明をいただきまして、それから委員の皆様からまとめて御質問をいただきたいと思います。
まず内閣府から、仕事と生活の調和について御説明をお願いいたします。 - 内閣府(本多)
-
内閣府仕事と生活の調和推進室の本多と申します。よろしくお願いいたします。
私の方からは、資料2-1に沿いまして御説明をさせていただきます。
まず、ワーク・ライフ・バランスの推進につきまして、施策の取組状況及び評価ということでございます。仕事と生活の調和につきましては、平成19年12年に「仕事と生活の調和憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」というものが策定されました。策定に当たっては経済界、労働界、地方公共団体、有識者、関係閣僚が加わりまして、トップ会議というところで策定をされております。
この憲章に基づきまして、ワーク・ライフ・バランスの施策を進めているところでございますけれども、この策定の翌年、平成20年をいわば「仕事と生活の調和元年」ということで取組を進めております。
まず、その施策を推進するための組織として、私どもの「仕事と生活の調和推進室」を設置いたしました。また、そのトップ会議の下に連携推進評価部会という事務レベルの会議を設けまして、そこを頻繁に開催して施策のPDCAサイクルを回しているところでございます。
主にやってきましたこととしましては、個々の取組に対する支援とそのネットワークの構築と、合わせてワーク・ライフ・バランスのポータルサイトを内閣府のホームページの中に開設しました。また、連続シンポジウムの開催をしました。そういった一連の活動を行って、ワーク・ライフ・バランスを国民運動として進めていこうということで展開をしております。
国民運動を進めていく上で、それを効果的に行うために何かその特徴づけをしようと思いまして、「カエル!ジャパン」というキーワードをつくりまして、今日お手元にパンフレット、レポートをお配りしておりますけれども、カエルのマークをシンボルといたしました。このカエルの意味するところは、働き方を変えよう、チェンジという意味を込めたカエルでございます。それで、「カエル!ジャパン」キャンペーンということで関係団体への働きかけや鉄道駅にポスターを掲示する等々、いろいろなキャンペーンを実施しております。
また、団体やそういったこちらからの啓発活動だけではなくて、国民運動ということでこれに賛同する企業や個人が自発的に参加できるような仕組みを設けようということで、内閣府のホームページにこのキャンペーンに賛同する方はそこに登録をしていただいて、登録をすればこのシンボルマークが使えるような仕組みをつくっておりまして、これまでに1,000件以上の個人や企業が御登録いただいているところでございます。
こういった取組は内閣府がそのキャンペーンを中心にやっておりますけれども、関係の省庁それぞれに取組をしております。その結果、毎年これから取組状況をまとめていこうということで、今年の8月に初めてワーク・ライフ・バランスレポートを作成しました。本体はこういうちょっと厚目のものになるのですが、今日はその概要版の方をお配りしております。
このレポートは、この概要版の表紙の下の方に取りまとめの主体が書いてあるのですが、普通は白書ですと内閣府なり何々省がまとめたということになるんですけれども、ワーク・ライフ・バランスについては官民が一体となってやっているということで、その官民が加わっている連携推進評価部会と、関係省庁の推進会議の連名でこのレポートを作成して、国民運動であるということを示しているということでございます。このレポートは、これから毎年ワーク・ライフ・バランスの実現の状況を定点観測していくということで作成をしております。今回は第1回ということで、これまでの展開も含めて御紹介をしております。
[4]のところに、男女共同参画会議のワーク・ライフ・バランスに関する専門調査会についても記載をしております。こういった仕事と生活の調和推進室の取組と並行して、男女共同参画会議の方でも専門調査会を開催し、本年は「多様な人々の能力発揮を実現する仕事と生活の調和推進のあり方」ということで、7月に報告書を公表しております。報告書では、企業・組織におけるワーク・ライフ・バランスの取組、または雇用者以外の就業者についてもワーク・ライフ・バランスの状況について検討をしております。
今後の方向性と検討課題ということでございますけれども、資料の2ページ目をごらんください。ワーク・ライフ・バランスの憲章では、仕事と生活の調和が実現した社会として3つの柱を掲げております。この[1]から[3]に挙げているものでございます。これに沿って、このレポートの中では現在の進捗状況と今後に向けた課題を取りまとめております。
今後、特に重点的に取り組むべき事項といたしましては、仕事の進め方の効率化の促進、仕事と生活の調和を進める上でのノウハウ・好事例の提供、男性の仕事と子育ての両立に関する意識改革等を挙げております。今後につきましては、「憲章」、「行動指針」に基づいて、メリハリのある働き方の実現による生産性の向上と従業員の私生活の充実につながった事例を調査していくなど、引き続き取組を進めていきたいと思っております。
この「憲章」と「行動指針」で、「行動指針」の方では仕事と生活の調和の実現に向けた数値目標を定めております。その数値目標が、行動指針の策定時点から最新のものでどれぐらい改善をしたかをこちらの表にまとめてございます。これをごらんいただきますと、色分けをしておりますが、ピンク色の部分は指標が若干でも改善をしているものでございます。黄色の部分はデータの関係でリバイスができていないもので、水色は悪化をしたものでございます。これを見ますと、指標が14あるうちの10項目については、改善の幅はいろいろでございますけれども、一応はその改善を見ているということで、部会での評価は全体としては一応トレンドは改善の方向ではないか。
ただ、足下で経済危機等もございまして、今後の状況については注意をしていく必要があるということと、また改善をしていると言っても緩やかな改善しか見られていない分野もございますので、引き続き取組を進めていこうということになっております。
いただいている御質問なんですけれども、質問一覧の6番ですね。伊藤委員からの御質問で、男性の育児休業取得率の目標達成の見通しと取得率の減少についてということです。先ほどの数値目標をごらんいただきますと、男性の育児休業取得率については5年後に5%、10年後に10%という目標を掲げております。
13番の指標で、3ページ目になります。これは、指標の策定時には0.50%でございました。それが、今回発表された最新の数値ですと1.23%ということになっております。これについては非常に低い水準ということで、引き続き取組を関係省庁とも連携しながら進めたいと考えております。
ただ、前回、男性の育児休業取得率が1.56%だったんですが、それが今回1.23%に減少はしているんですけれども、これについてはこの減少がトレンドとしての低下を示すものであるかどうかはまだ判断が難しいのかなと思っております。ただ、依然として低いということには変わりありませんので、目標達成に向けた努力が必要と考えております。以上です。 - 羽入会長
-
ありがとうございます。
それでは、続きまして文部科学省から「多様なライフタイルに対応した子育て支援策の充実」等についての御説明をお願いいたします。 - 文部科学省(髙口)
-
文部科学省男女共同参画学習課長の髙口と申します。文部科学省の関係でございますが、資料2-(2)をご覧ください。
まず「多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実」でございますが、大きく分けまして2つございます。1つは幼稚園、幼児教育の関係で、もう1つは、地域の子育て体制の整備、家庭教育支援の関係でございます。
まず1つ目の「幼稚園における子育て支援の充実」でございますが、幼稚園の子育て支援活動の推進で、これは平成7年度から実施をしているものでございます。これにつきましては、幼稚園の教育機能又は施設を広く地域に開放することを推進する私立の幼稚園に特別な助成措置を講じる都道府県に対して補助を行い、平成20年度には39都道府県、2,974園へ補助を行っております。
2つ目ですが、預かり保育推進事業でございます。これは、「預かり保育」を継続的に実施する私立の幼稚園に特別な助成措置を講じる都道府県に対して補助をするものでございます。平成20年度には47都道府県、5,595園に補助を行っております。
3つ目でございますが、文部科学省に「子育て支援に関する研修プログラム作成協力者会議」を設置して、幼稚園における子育て支援活動を充実するための効果的な研修、方策についての検討をして、平成20年3月に「幼稚園における子育て支援に関する研修について」を作成して、各都道府県に配布をすると同時に、域内の市町村に周知もお願いをしているところです。この協議会は、18年度から20年度にかけて実施をしております。
4点目でございますけれども、平成19年6月に学校教育法を改正いたしまして、幼稚園における「預かり保育」をきちんと位置付けるとともに、幼稚園に対して保護者や地域の要請に応じて、幼児期の教育の支援に努めることを努力義務規定として新設をしたところです。
次に、「総合施設の設置」について、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が平成18年度に成立・施行されまして、幼稚園・保育所等のうち、[1]就学前の子どもに幼児教育・保育を提供する機能、[2]地域における子育て支援を行う機能を備え、認定基準を満たす施設は、都道府県知事から「認定こども園」の認定を受けることが出来る仕組みを創設したところでございます。この認定こども園につきましては平成20年5月に当省と厚生労働省が合同で「認定こども園制度の普及促進等に関する検討会」を設置し、「認定こども園の普及促進について」を取りまとめたところでございます。
また、昨年10月に内閣府の少子化担当大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、3大臣の合意により「認定こども園の在り方に関する検討会」を立ち上げ、そこで[1]財政支援の充実、[2]二重行政の解消、[3]教育と保育の総合的な提供の推進、[4]家庭や地域の子育て支援機能の強化、[5]質の維持・向上への対応などの認定こども園における課題等について議論を進めて、21年3月に報告書を取りまとめたところでございます。
同じくこの3月に、認定手続等における問題点や改善例、認定手続等に関するQ&A、または各都道府県における手続などをまとめました「認定こども園認定申請手続等に関する事務マニュアル」を作成して、都道府県に配布をしているところです。
さらに、認定こども園の周知も図っており、保護者向けのパンフレットも作成、配布しています。
また、昨年度から今年度にかけて認定こども園に対する新たな財政支援策として、「安心こども基金」を創設し、財政的な支援策も講じているところでございます。
次に、「幼稚園就園奨励事業の促進」ですが、これは、保護者の所得状況に応じて経済的負担を軽減するとともに、公・私立幼稚園間における保護者負担の格差の是正を図るために幼稚園就園奨励補助事業の充実を図っているところでございます。今年度の補助金につきましては、幼稚園に在園している園児の保護者で生活保護世帯など、年収680万以下の世帯を対象として補助をしております。この措置の内容でございますが、兄弟姉妹の同時就園の場合、第1子の保護者負担割合を1.0とした場合、第2子になりますと保護者の負担割合は半額(0.5)で、第3子は無償(0.0)にするための補助を行うということでございます。あとは、小学校1~3年生に兄・姉がいる園児につきましては、第1子の保護者負担割合を1.0とした場合、第2子は0.9、第3子はゼロ、無償ということで補助を行っておりまして、この幼稚園就園奨励補助金交付先につきましては平成20年度1,351件となっております。
次に、「地域の子育て・介護支援体制の整備」についてでございます。これは、放課後や週末等に小学校の余裕教室等を活用して子どもたちの安全・安心な活動拠点を設けて、地域の方々の参画を得て、学習活動やさまざまな体験・交流活動等を推進する取組を平成16年度から行っております。これを3年間18年度まで行い、それを発展させて現在、「放課後子ども教室推進事業(放課後子どもプラン)」を行っており、放課後や週末における子どもの安全な活動場所を確保して学習やスポーツ・文化活動の取組を実施しているところが、本年度(平成21年度)8,700か所ございます。
次に、「家庭教育支援」の関係でございます。まず平成16年度から19年度につきましては「家庭教育支援総合推進事業」で、子育ての悩みを抱える保護者に対する情報提供、または学習機会の提供などを行っています。
平成20年度には「地域における家庭教育支援基盤形成事業」を行い、「家庭教育支援チーム」を地域で設置し、チーム員が孤立した親や、学習機会になかなか出てこない親に対して情報提供や学習機会の提供、相談対応を行うという事業を行っております。
次のページで、今年度から「訪問型家庭教育相談体制充実事業」を行っております。これは、先ほど申しました「家庭教育支援チーム」が子育てに悩んでいる家庭や企業などを訪問することにより、保護者に対して家庭教育に関する学習機会の提供、相談対応などを行う先進的な手法の開発を行っています。それとともに今までやってきた学習機会の提供や地域人材の養成などは補助事業としてこの「家庭教育支援基盤形成事業」に移行したところでございます。
あとは、平成18年度から20年度までは「子どもの生活リズム向上プロジェクト」を、20年度からは「子どもの生活習慣づくり支援事業」を行っております。これは「早寝早起き朝ごはん」国民運動として、18年度から実施しているもので、子どもの基本的な生活習慣の定着に向けた支援、または普及啓発などを行ってきております。
また、独立行政法人国立女性教育会館では、全国の家庭教育・次世代育成担当の行政担当者、子育て支援に携わる団体のリーダー等を対象に研修等を実施してきているところでございます。
今後の方向性、検討課題等でございますが、まず幼稚園における子育て支援の充実を図っていくということ、また認定こども園につきましては「認定こども園の在り方に関する検討会」の報告書に盛り込まれました「工程表」に基づいて運用改善に取り組み、平成23年に認定件数が2,000件以上になることを目指します。
今後さらに「放課後子ども教室推進事業」を推進し、地域の教育力の向上を図るように努めていきます。
また、「家庭教育支援」につきましても、より効果的な支援手法の開発や、より困難な課題を持っている家庭に対してどう支援をしていくか、そういった在り方の検討などが課題となっています。
最後に、参考データ等でございますが、「幼稚園における子育て支援」の実情については、年々実施率が増えてきており、平成19年度では、実施率81.8%となっています。
預かり保育の実施率につきましても年々増えており、20年度の実績は72.5%でございます。
「認定こども園関係」につきましては、認定件数が平成21年4月1日現在で358件、域内に認定こども園がある都道府県数は43都道府県でございます。
さらに、「幼稚園就園奨励費補助」につきまして、第2子以降の保護者負担割合の軽減に努めてきているところで、来年度の概算要求におきましては、兄姉が小1~小3の場合、第2子の負担率を0.6にまで軽減をするという概算要求もさせていただいているところです。
続きまして、(3)の「家庭生活、地域社会への男女の共同参画の促進」でございます。ここにつきましては、家庭生活、地域社会への男女共同参画を推進するための基本計画の具体的な施策の要請に対して、先ほど申しました家庭教育支援に対する事業を取り組んでおり、家庭生活における男女共同参画の促進をしておりますが、特に(1)の2つ目の丸のところで、「父親の家庭教育参加の支援・促進」で、先ほど御説明いたしました「家庭教育支援総合推進事業」、「地域における家庭教育基盤形成事業」、「訪問型家庭教育相談体制充実事業」で、父親への家庭教育の参加を促進するため、父親の家庭教育を考える集いやふれあい交流、シンポジウムといった取組を行っております。
また、独立行政法人国立女性教育会館において、男性の次世代育成支援活動への参画促進について調査を行い事例集を作成したところでございます。
次に「地域社会への男女の共同参画の促進」で、ボランティア活動等の参加促進のための環境整備として「地域ボランティア活動推進事業」を行い、高校生を対象に老人ホームなどの清掃活動、介助支援活動等のボランティア活動、市町村で、市民全般を対象に町内の防犯パトロール活動、公園などの清掃等のボランティア活動を行う。また、地域のタイアップ企業との連携促進を図り、ボランティア活動支援センターの機能を充実する取組を平成17年度、18年度に実施しており、更に20年度からは地域ボランティア活動支援センターの在り方に関する特別調査研究事業等も行っているところでございます。
さらに、「消費者教育の推進・支援」として、学校教育では平成20年3月に小・中学校の学習要領、平成21年3月に高等学校の学習指導要領を改訂し、特に、消費者教育では社会科や家庭科を中心に、発達段階に応じた指導を行っており、消費者教育に関する内容の充実を図るとともに、教育委員会と消費生活センターなど外部機関との連携強化に努めているところでございます。
今後の方向性として、「家庭教育支援」では、家庭教育の学習講座になかなか出てこない、相談できないといった孤立した傾向にある親に対してどう支援、アプローチをしていくかが課題であり、その効果的な支援手法の開発に努めているところでございます。
「消費者教育」については、今般消費者庁も設置され、これから消費者教育について更なる充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。
説明は以上でございますが、2つ質問をいただいております。
1つは、質問の4で伊藤委員から「女性研究者の研究と個人生活のバランス確保について、具体的な好事例があれば提示してほしい」ということで、これはワーク・ライフ・バランスに関わる御質問でございます。
女性研究者の支援について文部科学省では、「女性研究者支援モデル育成」、「特別研究員事業」、これは日本学術振興会で行っている事業で、さらに、「戦略的創造研究推進事業」を行っており、女性研究者のワーク・ライフ・バランスの実現に向けたさまざまな支援を行っています。
その中でワーク・ライフ・バランスの支援を行う好事例として、3つほど御紹介させていただきます。
名古屋大学では、平成20年4月から育児短時間勤務制度が実施され、短時間勤務職員の余剰となる給与の範囲内で、非常勤講師やパート職員を採用することが可能となり、この代替職員の確保により職場における仕事の延滞が軽減されることで、短時間勤務を取得しやすい環境になることも期待されています。
東京学芸大学では、夜間の大学院授業の6、7限目を担当する教員が、小学校就学の始期に達するまでの子どもの子育てに従事するために負担軽減を求めた場合、非常勤講師の措置を行えるという支援を行っています。
東京工業大学では、妊娠中や育児・介護期間中などで、学内での研究活動において、時間や場所の制約があるような場合でも、ウェブ会議システムを利用して、自宅などの学外から研究活動に参加できるようにしています。
もう一つ鹿嶋委員からの質問の15「認定こども園の認定件数は遅々として進まない印象があるけれども、何に原因があるのか」でございます。先ほども申し上げましたように、今年の4月1日現在で認定こども園の認定件数は358件でございますが、これまでは会計処理手続や補助金申請手続などにおける二重行政の課題や、財政支援の充実などの課題が指摘されておりますので、その二重行政の解消については、会計処理の簡素化などを行っているということ。また、財政支援の充実については、平成20年度、21年度の補正予算におきまして、「安心こども基金」等による財政支援措置に取り組んでいるところでございます。
平成20年4月1日では229件の認定件数であったものが、21年4月1日現在では358件となり、今は年間100件程度のペースで増加をしておりますので、更に進めてまいりたいと考えております。
文部科学省の説明は以上でございます。 - 羽入会長
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ありがとうございました。
それでは、次に厚生労働省から「仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し」に関してお願いいたします。 - 厚生労働省(定塚)
-
厚生労働省職業家庭両立課長の定塚でございます。先生方には、大変お世話になっております。
資料2-(3)をまずごらんいただきたいと思います。御質問の方も多くいただいておりますので、簡潔に御説明をさせていただきます。
まず「仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し」ということで、意識啓発の推進という点に関してでございます。意識啓発の推進で私どもが現在最も力を入れているのが、男性労働者を対象とした父親のワーク・ライフ・バランスや、父親の育児休業取得促進でございます。この点につきましては、「父親のワーク・ライフ・バランス」ハンドブック、これは佐藤委員であるとか、家本委員にも御協力をいただきまして作成をして配布しております。あるいは各地でシンポジウムを今年度、これから6回開催をするといった予定にしております。
2点目が、両立のための制度の定着促進・充実等の制度改正とその普及の点でございます。この点につきましては、先の国会で7月1日公布になりましたが、先の国会で育児・介護休業法の改正を行いました。
主な改正点として、第1の点としては、3歳までの子を養育する労働者について、短時間勤務制度と、それから所定外労働、残業の免除、この2つを必ず義務として実施をしていただくという点でございます。
そのほか、もう一点の柱としては、「父親も子育てできる働き方の実現」ということで、特に父親の育児休業取得促進策を3つ掲げております。
1点目が、父母ともに育児休業を取る場合には、2か月間取得可能期間が延長できるということで、欧米等のパパクォータ制度を見習ったもので、「パパ・ママ育休プラス」という名前としております。
また、父親が出産後8週間以内に育児休業を取得した場合には、育児休業は原則1回限りとなっておりますが、別カウントで再度育児休業を取得可能とする、いわば出産後8週間は父親の産休代わりの期間ということで別カウントとするという制度。また、これまで配偶者が専業主婦であれば育児休業の取得が8週目以降はできないということを労使協定で決めることができるという制度がございましたが、これを廃止いたしまして、配偶者の状況いかんを問わずいつでも育児休業が取れるということにした次第でございます。そのほか、介護等についても制度の拡充を図っております。
また、下の2つの丸ですけれども、「両立支援レベルアップ助成金」ということで、各種の企業向けの助成金の支給、または中小企業、特に労働者100人以下の小さい規模の中小企業については、子育て支援助成金ということで大変使いやすい助成金をメニューとして用意をしております。初めて育児休業や短時間勤務制度取得者が出た場合には100万円を助成するという非常にわかりやすい助成制度で、利用もかなり進んできているという状況でございます。
次のページにまいりまして、上から2つ目の丸でございますが、雇用保険法の改正も先の国会で行われております。この改正によりまして育児休業給付、従来原則としては育児休業中の給付は所得の40%、ただし暫定措置として50%となっておりましたものを、この50%を当分の間、期限を付けずに延長したということ。また、休業期間中の給付は、従来は休業期間中に支給する基本給付金と、復帰6か月後に支給する復帰給付金というものがございましたけれども、やはり休業中の一番経済的に大変な時期に合わせて支給するということで、今後は50%を休業期間中に支給することといたしております。
次に、働き方の見直し全般についてでございますけれども、労働時間等の設定改善等の取組で長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進等を図っております。
1つ目の丸ですが、「労働時間等の設定改善に向けた取組」ということで、労働時間設定改善を行う企業への援助事業の実施、それから2つ目のポツですけれども、助成金の支給等を行っております。
次の大きな丸ですけれども、ワーク・ライフ・バランスの社会的気運の醸成、内閣府でも行っていただいておりますが、当省におきましても「仕事と生活の調和推進プラン」ということで、我が国を代表するような先進的企業10社の協力を得ながら、10社の取組を広く国民全体にPRするといった取組を行っております。
また、2つ下になりますが、ワーク・ライフ・バランスを推進する「専門家」の養成支援事業ということで、各企業にワーク・ライフ・バランスをアドバイスできるような専門家を育成していこうという事業を行っております。また、地域ごとに「仕事と生活の調和推進会議」の開催をしております。
それから、「企業における仕事と子育て・介護両立支援の取組」ということでは、先ほど申し上げました助成金のほかに「企業における次世代育成支援の取組の推進」ということで、次世代育成支援対策推進法に基づいて各企業が事業主行動計画を策定、届出をしていただくことになっております。こちらの法律につきましても昨年改正をいたしまして、計画については策定した場合の公表義務を新たに課す等の改正を行っております。
「今後の方向性、検討課題等」ということでは、育児・介護休業法の改正法の施行を行うとともに、次世代育成支援のための新しい制度設計、こちらは保育サービスや仕事と生活の調和、そのほかを含めてどのような枠組みが必要かという検討を現在、当省の審議会で行っております。こうした抜本的な検討を進めていくこととしております。
また、先ほど内閣府から御紹介がありました「仕事と生活の調和推進のための行動指針」に盛り込まれた各種の数値目標がございます。まだまだ達成に向けて幅があるという数値も多いものですから、こうした数値目標に向けて一層取組の促進を図る必要があると考えております。
1枚おめくりいただきまして、5ページ以降をごらんいただきたいと思います。「多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実」ということで、新待機児童ゼロ作戦の展開でございます。こちらは、当初待機児童ゼロ作戦と言っていたものを、昨年、新待機児童ゼロ作戦ということで新たに展開をしているところでございます。保育サービスの提供割合については、ワーク・ライフ・バランスの指針の中では、平成19年度で3歳未満児20.3%であったものを、29年度には38%にしようという目標値を置きまして、これに向けて国及び都道府県市町村に呼び掛けて保育所の整備を進めているところでございます。また、財源といたしましては「安心こども基金」という形で新たな財源を準備し、都道府県において基金を造成して保育所の整備等に使っていただいているところでございます。
また、「地域子育て支援拠点事業」ということで、つどいの広場事業等の展開をする。ひとり親家庭支援ということで、就業支援等の施策を進めているところでございます。
今後の方向性ということでは、引き続き「新待機児童ゼロ作戦」、本当の意味でのゼロにするということに向けて努力をしていく必要があるということと、ひとり親家庭に対する支援をどのように講じていくかということを検討していく必要があると考えております。
もう1枚おめくりいただきまして、最後が「家庭生活、地域社会への男女の共同参画の促進」ということでございます。「地域社会への男女の共同参画の促進」では2番目の丸でございますけれども「ボランティア振興事業」ということで、ボランティア活動に参加意欲のある方への機会を提供するための事業ということで、リーダーやコーディネーター等の養成研修あるいは情報誌の発行事業等を行っているところでございます。
また、次の丸でございますが、ボランティア休暇、その他の特別な休暇を普及促進しまして、その休暇を利用して地域活動、ボランティア活動を行う等の体験プログラムを行うなど、普及啓発活動を行っているところでございます。
以上が資料の御説明でございますが、次に質問いただいておりますので、これに御回答申し上げたいと思います。
まず、1番の鹿嶋委員の質問でございます。「男性の育児休業取得率は依然低水準だが、原因はどこにあると考えているのか」、「男性の育休取得の機運はなぜ盛り上がらないのか」、「ワーク・ライフ・バランスの社会の形成と連動できていないのではないか」という御質問でございます。私どもも大変苦慮しているところでございますが、男性の育休取得率はまだ残念ながら1.234%ということで、数値目標としては10%、目標値でも低いと言われておりますけれども、その10%の目標値にもほど遠いというところでございます。
この原因については、各種のアンケート調査等を取りますと、やはり職場の雰囲気と周囲への気兼ね、配慮ということがトップにくることが一番多くなっております。
次に出ますのが、収入が減るという点でございます。2番目の収入が減るという点については、十分かどうかという議論はあるかもしれませんけれども、育児休業給付の拡充を図ってきているところでございます。
1番目の周囲の意識、環境の整備につきましては一朝一夕にはまいりませんで、根気強い育休取得の気運の盛り上げというものを図っていかなくてはならないと思っております。私どもとしては、先ほど御紹介したようなこのようなハンドブック、佐藤委員、家本委員に御協力をいただいているものですが、これをかなりの部数をつくって配布をしている。特に母子健康手帳と一緒にお父さんに配布をしていただきたいということを市町村に呼び掛ける。また、こちら冊子は男性社員が育児参加しやすい職場づくりガイドブックということで、職場の管理職の方に読んでいただくといったようなことを展開し、またシンポジウム等で盛り上げを図っていきたいと思っております。
また、内閣府の方でも「パパの育児休業体験記」というようなものをつくっていただいて、連動しながら今後とも取組を進めたいと思っております。なぜ盛り上がらないのかということですが、是非何かまたいいお知恵がありましたら拝借をしたいと思っております。
2番で、山田委員の御質問でございます。非正規、フリーランス、自営業の育休、長時間労働への対応は、という点でございます。私ども特に育児・介護休業法の世界では、従来は期間雇用者、非正規雇用者は育児休業については全く対象となっていなかったという制度でございましたが、平成17年から法改正によりまして一定の要件を満たす期間雇用者について育児休業の取得を可能としたところでございます。 この取得要件は、第1には同じ事業主に引き続き雇用された期間が1年以上あること、それから子どもが1歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれること、また子どもが1歳に達する日から1年を経過する日までの間に労働契約期間が満了し、かつ労働契約の更新がないことが明らかであるものを除くという要件としております。つまり、育児休業はある程度の期間を持っている休業であることから、過去1年、それから1歳以上引き続き雇用され2歳まで終わらない方という要件を付けておりまして、こうした要件を満たす期間雇用者については、育児・介護休業法で休業が保障されているという制度となっております。
しかしながら、こうした要件を満たしていてもなかなか取りにくい、あるいは取れることを御存じないという方もいらっしゃるようでございます。継続の要件はわかりにくいといった点もありますので、まずは期間雇用者も一定の方は取れるということをわかりやすく示して周知を徹底していくということ。また、同時に派遣労働者等についてはそれぞれ業種ごとにどのような状況になっているのか。実際に取れない壁はどこにあるのか。または、取れない場合にどんな問題が生じているのかといったことについてモデル的に検証しながらいい事例を育てていこうという事業を行うこととしておりまして、今年度、期間雇用者の育児休業取得促進に係るモデル事業というものを開始しているところでございます。
なお、育児休業、介護休業以外の制度、例えば所定労働時間の免除等の各種制度については、期間雇用者も先ほどのような厳しい要件ではなく、広く認められるという適用関係になっておりますので、この点についてもきちんと周知をしてまいりたいと思っております。
また、労働者の長時間労働の対応は特段、正規、非正規ということで区分を設けずに、企業の取組の推進を図っているところでございますし、そもそもの非正規をどうすべきかという対応につきましては、来年度の予算の中でも従来から行っているフリーター対策等のメニューを始めといたしまして、そのほかの非正規対策も新たに盛り込んでいるところでございます。そうした取組で総合的に対応していきたいと思っております。
3番目の鹿嶋委員の御質問、育児休業取得後の職場復帰率でございます。これは18年度のデータですけれども、育児休業給付を受給した者が復帰した後、復帰給付金を受けている受給状況というデータで見ますと83.4%となっております。
5番の伊藤委員の質問でございます。大学における次世代法に基づく認定のデータはあるかということです。現在、次世代法に基づいてくるみんマークというマークが使える認定企業は717社まできております。このうち、大学については2大学となっております。2つのうちの1つは東京大学でございます。もう一つの大学は、認定されているということを公表しないでいただきたいということで非公表という取扱いになっております。合計で2つでございます。
それから、7番の岡本委員の御質問でございます。介護休業中の社会保険料の免除についてということです。8番の佐藤委員の御質問も同じでございます。介護休業中には社会保険料は免除となっておりません。一方で、育児休業中の社会保険料については、健康保険や厚生年金保険においては保険制度の中で次代の保険者を育てるという少子化対策、次世代育成支援の観点から、育児休業期間中の保険料については免除をするという特例措置を設けているところでございます。
一方、介護期間中の保険料の免除については、介護ということは育児休業と異なってそうした次世代育成という意味合いがないということから、育児休業期間中の保険料の免除と同様の取扱いとはできないという議論がされておりまして、または各制度の財政に与える影響が少なくないということで、現行制度においては介護休業中の社会保険の免除はされておりません。
ただ、今回お2方の委員から御意見があったことについては貴重な御意見として受け止めまして、今後制度の在り方について国民的な議論を行っていく中で検討してまいりたいと考えております。
次に9番の岡本委員の「有期契約労働者等の育児休業取得状況はどのようになっているのか。現行法の有期労働者への適用要件は厳しく、要件緩和が必要ではないか」という御質問でございます。先ほど申し上げましたとおり、有期契約労働者への育児休業の取得の要件というものが3点ほどありまして、一定の者に限っているというものでございます。この理由については、育児・介護休業法は育児や介護による雇用関係の終了を防いで雇用の継続を図るためのものであって、雇用の継続の可能性が高いものについて対象とするという考え方で整理をされているものでございます。
取得状況ということで、期間雇用者の育児休業給付の受給者数を見ますと、17年度、制度初年度でございますが、2,242人、18年度が4,770人、19年度は6,050人、20年度は4,823人ということで、19年度まで増えてまいりましたけれども、20年度になってやや減少しているという状況にございます。こうしたことにつきましては、先ほど申し上げましたようなモデル事業等を行うなど、そのほかの方向で実態把握を進めた上で、必要に応じて今後適用の在り方について検討を行っていく必要があろうかと考えているところでございます。
次の岡本委員の御質問の男性の育児休業取得促進の具体策、それから数値目標達成に向けた取得促進施策の強化、これは先ほど御説明させていただいたとおりかと思います。
それから、11番の岡本委員の御質問でございます。「家族の介護・看護のために離・転職する労働者が多い実態に対し、就業継続に向けてどのような対策が講じられているか」ということでございます。これは、岡本委員はよく御承知のことかと思いますけれども、育児・介護休業法の改正の中で、1つは短期の介護休暇というものを新設いたしまして年間5日間、家族の介護が必要な方が2人以上いた場合には10日間の介護休暇というものを設けております。また、この制度の定着を見た上で、介護についてどのような問題があるかということを私どもも引き続き研究しまして、必要な対策を講じていきたいと考えているところでございます。
それから、次の12番、育児・介護休業中の所得保障の充実に向けた検討ということでございます。男性の育休の取得促進としても有効な施策であり、給付の仕組みも含め、現行制度の見直しが必要ではないかという御質問でございます。この点につきましては、1つは現行法の雇用保険制度におきましては、失業給付とのバランスということがございまして、現在50%でございますが、これ以上の率に給付を引き上げるということは制度の整理からは難しいという状況にございます。
しかしながら、育児休業中の所得保障は更に研究する必要があると考えておりまして、現在社会保障審議会の少子化対策特別部会において、次世代育成支援対策のための新たな制度体系の検討を進めています。こうした場において、保育と育児休業をどのように連絡、連携してつないでいくか。スムーズにつないでいくかといった検討も始めているところでございまして、この場で経済的支援の充実について更に検討をしてまいりたいと考えています。
次が13番の佐藤委員先生の産前産後休業中の社会保険料免除がなぜできないのかという点でございます。とりわけ使用者側の社会保険料免除がない理由を説明してほしいという御質問でございます。この点につきましても、健康保険や厚生年金保険については育児休業期間中の保険料については少子化対策の推進等の観点から免除をしております。
しかしながら、産休中の社会保険料免除については、産休中は健康保険から休業前賃金の3分の2相当の出産手当金を支給しているということで、健康保険制度の中から産休中のかなりの経費負担をしているという理由から、現行制度についてはこのような取扱いとはしていないとのことでございます。今回、意見が出たということを貴重なものとして受け止めまして、制度の在り方について今後、国民的な議論を行ってまいりたいと考えております。
次に、14番でございます。保育所待機児童の増加は供給が需要を喚起する側面があるが、根本的な解決策はないのかという点でございます。御指摘のとおり、保育サービスの整備により潜在的な保育需要が顕在化して保育需要が喚起されるという状況で、保育の定員数は都市部で特にどんどん増やしている。しかし、一方で使いたいという人が更にそれを上回っているということで、今年については更に待機児童数が増えてしまったという状況でございます。
この点については、1つの改正としては、昨年の次世代法の改正の中で、来年度に向けて、新たに作成される各地方公共団体の市町村行動計画というものがございます。ちょうど現行の市町村行動計画が5年で切れまして、来年度に向けて新たな計画を策定する。この計画を策定するときには、潜在的なニーズを各市町村でアンケート調査等、住民の調査をした上で、その潜在ニーズを満たすように保育所の需要見込みというものを立てていただきたいということをお示ししております。したがいまして、そうした形できちんとデータを取って潜在ニーズを把握し、それを埋めるような保育所というものをつくっていただければ、これはきちんと満たすはずではないかと考えております。
また、もう一点、先ほど申し上げました社会保障審議会の特別部会の中で新しい仕組みということで、根本的に現在の保育所制度をどのようにしたら保育所がもっとつくりやすくなるのか、利用しやすくなるのかという観点から議論をしておりますので、そうしたことも含めてなるべく早急に対応を講じたいと思っております。以上でございます。 - 羽入会長
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ありがとうございます。それでは、御質問、御意見をどうぞ。
山田委員、清原委員、それから伊藤委員のお3方、まずお願いいたします。では、山田委員からでよろしいですか。 - 山田委員
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いろいろありがとうございます。定塚さんへの質問なんですが、私のところで簡略化されたところがありまして、非正規雇用は範囲を拡大という形はわかったんですが、結局フリーランスや自営業に関する育休とか長時間労働対策というのは何かとられているのでしょうか。私は新聞の人生相談員をやっております中で、夫が事業を始めた途端につぶれないためには朝から晩まで働くしかなくて、育児を手伝ってくれなくなったというようなものもあります。
2番目は、育休の給付水準が5割になったのは先ほどの雇用保険とのバランスというふうに言われたのですが、どういう形で5割という中途半端な額に決まったのか。佐藤先生の方が詳しいのかもしれませんが、私から言わせると中途半端で、なぜヨーロッパ並みの8割とか10割にならないのか。妻が専業主婦やパートの場合は、夫の収入が半分に減ってしまったら通常生活できないと考えるのが普通だと思うので、そういう場合に生活できない額しか支給しないのに、男性の取得率を上げろと言う方が逆に矛盾しているような気がするんですが、その点については議論はないのでしょうか。 - 羽入会長
- 続けて、清原委員、御質問お願いします。
- 清原委員
-
先ほど認定こども園のお話がありました。確かに当面2年間、安心子ども基金が用意されたのですが、事務処理の一元化問題のほかにも、幼稚園型認定こども園補助金の定員制限の問題とか、あるいは給食の外部搬入と言っても、むしろ市町村が一番やりたがっているのは給食センターからの搬入ですね。こうしたことも規制されていてできないし、私学助成や保育所運営費より低く設定された補助単価の問題、それから地域子育て支援の部分は認定子ども園の大きな特色なのに、この部分について人件費、活動費の補助がないといったような要件の課題というのも少なくないんですね。
やはり私立の園の園長さんたち、あるいは公立を持っている市町村に、認定こども園についての改善のスピードが見えるものでなければならないのではないかと思います。兵庫県でも、この4月1日の待機児童は905人に増えましたが、一方で20年度は定員減も570人起こっています。東京から見ると待機児童が大きく目に入ると思いますが、実際には地方では待機児童と少子化による定員減が同時に起こっています。
その意味で、待機児童対策のためには、今ある幼稚園が保育所機能を担うのが、対応策として早いですし、郡部で言うと、少なくなった子どもをわざわざ数人ずつ幼稚園と保育所に分けなければならないような問題の解決のためにも、認定こども園が広がるように改善のスピードをアップしていただきたいと思います。また、何がネックになっているのかということをクリアしていくためには具体的なところでの、特に地方との意見交換を是非活発化していただきたいと思います。そのことが1点です。
2点目は、子どもたちを「保育に欠ける」「欠けない」で分けない、地域の子は地域で育てる、このことについて認定こども園は大変大きな一歩を踏み出したと思うんですが、それと同じ意味で「放課後子どもプラン」です。放課後の子どもたちを「保育に欠ける」「欠けない」で分けない、放課後子ども教室と放課後児童クラブを一体的に回していこう、これは大きく打ち上げられて、私たちは画期的なことだと思いました。私たちの子育ての頃は、放課後児童クラブの子とそうでない子は、仲よしの子どもでも一緒に放課後遊ぶことができないといった問題がありましたので、大きな前進であると思ったのですが、しかしながら、認定こども園は課題はあっても取組みが見えますのに、放課後子どもプランの方はその後の進展が見えないんですね。
放課後子ども教室と放課後児童クラブがそれぞれ数を増やしましたというだけではなくて、その共通事業の部分をどう拡大していくかということをやはり急ぐ必要があると思いますが、放課後子どもプランがちょっとかすんでいるものですから、最初の打ち上げは大きかったのですが、その後どうなっているのかなということについて、これは質問です。 - 羽入会長
- ありがとうございます。それでは、伊藤委員からお願いします。
- 伊藤委員
-
男性の育児休業取得の数を上げるというのは、すごく大切なことじゃないかと思うんです。おっしゃるように、取らない理由の一番は周囲の視線だったり職場の雰囲気なので、数が上がるということは、それが男性の働き方にとってある種の常態である、当たり前の形であるということの認識につながっていくことになるだろうと思うんです。そういう意味では、かなり努力して数をアップさせる必要があると思います。
そのときに先ほどの議論で出てきた、給付の問題が大きいのかなとは思うんです。従来は共働き対象だったわけで、ある面、それも男性が取らない理由の1つだったわけですね。やはり男性の方が給料が高いので、男性が休むよりは女性が休んだ方が50%の場合は所帯単位はプラスになるという計算も多分あったと思います。
もう一つは、やはり賞与等々のレベルで、給付金は雇用保険から出ていますのが賞与には響いてしまう。下手をすると生涯賃金やら、これはいろいろな形で保障されているんだと思いますけれども、退職金にまで響いてしまう可能性もゼロではない。全体で見ると金銭面でマイナスが出てきかねない部分はあると思うんですね。
例えば未消化の有給休暇をうまく活用するとか、つまり有給休暇でありながら、それを育児休業として認定するような、これは命名の仕方だと思うんですけれども、とにかくいろいろな工夫で育児休業取得の男性の数をとにかく増やすような作業が必要なんじゃないかと思います。それを増やさないと、全体が底上げしていかず悪循環になる。昨年減ったのは不況の問題が大きいと思いますけれども、このままだとなかなか上昇しない可能性が高いんじゃないかと思います。
もう一つは、くるみんマークです。いわゆる独立行政法人国立大学はほとんど取れるはずなんです。大体、公務労働に準じていますから取れるはずなので、旧独立行政法人国立大学云々は90校近くあるわけですけれども、それは全部取れるし、むしろ髙口さんの方で指導も含めて、つまりこれもすごく数が大切で、次世代育成の対応を企業がしているということを見せていくことはすごく大切だし、隠すというのは私は信じられないと思うんです。何で取ったんだろうと思うんですが、この辺もやれるところから増やしていくというのはすごく大切じゃないかと思います。 - 羽入会長
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今の伊藤委員の御発言にありましたけれども、私たちの大学でもくるみんマークを取ろうと思っております。
それでは恐縮ですが、まとめてのお答えでよろしいですか。お願いいたします。 - 厚生労働省(定塚)
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山田委員のフリーランス・自営についてという御質問でございます。フリーランス・自営業については、これは育休という御質問ですが、恐らく休業が取れるかどうかというのはフリーランス・自営業の方ですので、それは御自分で判断をして休業を取ればいいということになると思いますが、問題はその休業中の所得保障、休業給付をどうするかということだと思います。
現在の休業給付は雇用保険制度で出ているものですから、雇用者の労使折半の保険料を財源として、それを取って一たん休業して、雇用継続につながるから出すんだという理屈で整理をして出しているものですから、この対象者はどうしても雇用労働者ということで、保険料を納めている方で、かつ同じ雇用保険制度の中で失業手当も出しておりますので、失業者より多くの額を出すのかということでバランス論が出てまいりまして、50%という雇用保険制度の中にあるための制約というものがございます。
したがいまして、これをこれ以上発展させるためには、先ほど来申し上げているように別の制度として少子化対策として位置づけて出すということを検討しなければいけないと思っております。
ただ、当然のことながら、そうしますと今まで出ていない自営業等の方に出すに当たっては財源をどこに求めるのか。また、収入の判定をしなくてはいけませんけれども、収入が実際に自営の方はどのぐらいあるのかということを把握する等の問題があろうかと思います。いずれにしても、そういうことも念頭に置きながら検討してまいりたいと思っております。
それから、伊藤委員の自営業の長時間労働の件です。コントラクトワーカーのような方について、私どもの方でも一般的・総合的なワーク・ライフ・バランスを取るべきだという啓発等は行っておりますが、それ以上、制度的に枠をはめようということにはまだ至っていないという現状でございます。
伊藤委員の御質問で、男性の育児休業の話でございます。やはり今、山田委員からもあったようなことはあろうかと思っておりまして、給付の問題は引き続き検討をしていきたいと思っております。
ただ、男性で現状でも取っている方は、それほど長い期間は取っていないので、実際に取っておられる方のお話を聞くと収入低下が問題ということよりも、むしろ取るためには周囲の理解を得ることが必要だったということも言っておられますので、給付の問題もありますけれども、同時にやはり取りやすい環境づくりが重要かと思っている次第でございます。 - 内閣府(本多)
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先ほどの山田先生のフリーランス・自営業の関係なんですけれども、まだ取組という段階ではないんですが、実は「仕事と生活の調和推進憲章」の中には、消費者の一人としてサービスを提供する労働者の働き方に配慮をするですとか、あるいは社会全体の仕事と生活の調和に資するため、取引先への計画的な発注納期設定に努めるといったものがございます。
これは必ずしも雇用労働者だけではなく、自営業・フリーランスにも当てはまる話でございまして、例えばまだ調査の段階なんですけれども、コンビニやスーパーの長時間営業についてどう思うかというような意識調査を行っているところでございまして、そういったものをベースにこれからワーク・ライフ・バランスの方の部会では少し議論していければと思っております。 - 文部科学省(髙口)
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文部科学省でございます。清原委員から2点、御指摘と御質問がありました。まず認定こども園の件数は、鹿嶋委員の事前の御質問にもあったように、やはりなかなかスピードが遅いというのは御指摘のとおりだと考えております。
文部科学省と厚生労働省は今人事交流もしており、ちょうど文部科学省の幼児教育課長は今、厚生労働省から来ていただいておりますし、逆に厚生労働省の保育課長は文部科学省から出向しており、一緒になって認定こども園も進めているところで、先ほどの清原委員の御指摘の点なども踏まえ、更に促進策の方を検討していきたいと考えております。
2点目は、放課後子どもプランでございます。文部科学省では放課後子ども教室推進事業を実施しており、一方、厚生労働省では放課後児童健全育成事業を行っております。
厚生労働省は、留守家庭児童の生活の場ということで、共働き家庭など留守家庭のおおむね10歳未満の児童を対象としており、一方、文部科学省は、子どもたちの放課後の安全・安心な居場所活動拠点、地域の教育の向上、学力向上、という観点で実施しており、小学生、中学生を含めたすべての子どもを対象にしております。それぞれの趣旨・目的は違いますが、委員のご指摘のように両方一緒にやっていける部分はあります。
今、私どもと厚生労働省は連携をして、例えば、地方公共団体に対して合同説明会を開催したり、補助金の申請窓口の手続きを「放課後子どもプラン連携推進室」を設けて一本化したり、補助金の交付要項の国レベルでの一本化を図ったり、さらに両省合同で広報活動を行うなど、取り組んでおります。
また、事業の中でも、放課後対策事業の「運営委員会」の設置ということで、行政、これは教育委員会と福祉部局と、さらに学校、放課後児童クラブ、または児童福祉関係者の地域住民がそのプランを作成したり、活動内容やボランティアの確保など両事業の運営方法を共同で実施検討できるように運営委員会を設置できるようなことも補助の対象に含めています。
さらに、コーディネーターの配置で、学校関係機関との連絡調整、ボランティアと業者の確保、登録、配置、プログラム策定をコーディネートするようなコーディネーターを全小学校に配置できるような形での予算補助もさせていただき、更に連携を図り、それが目に見える形で実施していけるように、厚生労働省とも協議をしてまいりたいと考えています。 - 清原委員
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おっしゃったコーディネーターについても、1小学校区にそれぞれ置くというふうに私たちは当初思っておりました。
ところが、今はなかなかそこまでいかないという状況が、予算の関係でありますので、その辺も是非また頑張っていただきたいと思います。 - 羽入会長
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ありがとうございます。まだ御質問がおありかと思いますけれども、ひとまずこの第5分野につきましてはこれで閉じさせていただきまして、続いて第8分野の女性の健康分野のフォローアップについて御説明をお願いしたいと思います。
まず文部科学省から、生涯を通じた女性の健康の維持・増進についての御説明をお願いしたいと思います。お願いいたします。 - 文部科学省(髙口)
-
それでは、資料4(1)「生涯を通じた女性の健康の保持促進」をご覧ください。
まず1つ目「生涯を通じた健康の管理・保持促進のための健康教育・相談支援等の充実」の「健康教育の推進」でございますが、これは平成16年から19年度にかけて、「学校・地域保健連携推進事業」を実施しており、地域保健と連携した健康相談活動等が円滑に運営できるよう、健康相談活動の体制整備に係る指導・助言を行うとともに、医療機関等と連携して学校へ専門医を派遣し、児童生徒の様々な心身の健康問題に対応できるような、地域と学校が連携を促進する事業を行ってきました。
平成20年度からは「子どもの健康を守る地域専門家総合連携事業」で、各診療科の専門医を学校に派遣する体制を整備し、専門医による児童生徒等の健康相談を行うとともに、専門医や各市町村の保健部局が連携しながら、子どもの健康管理の充実や保護者への啓発活動をモデル的に行う実践事業を、全国46地域で実施をしております。
2つ目の「成年期、更年期の健康づくり支援」では、特に生涯にわたるスポーツ活動の推進として、「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」を平成16年度から実施し、地域住民の誰もが男女問わず、生涯にわたりスポーツを楽しむことができる場となる総合型地域スポーツクラブの育成を推進しており、20年7月1日現在、全国で2,768クラブが設置されています。
また、更に「スポーツ指導者の養成・活用に関する実践的調査研究」及び「地域スポーツ指導者育成推進事業」を実施し、女性のニーズに応じた指導を行うことができる人材の育成を図るため、スポーツ指導者の資質を高める研修プログラムの開発等を実施しています。
今後の方向性、検討課題等につきましては、専門医を学校に派遣する専門医による児童生徒等の健康相談等を引き続き行うとともに、各市町村の保健部局と連携しながら、子どもの健康管理の充実や保護者への啓発活動等、引き続き充実を図ってまいりたいと思いいます。
さらに、女性の生涯にわたるスポーツ活動の推進につきましても、総合型地域スポーツクラブが未設置である市町村におけるクラブの育成支援に重点的に資源を投入していく必要があると考えています。
参考データとして、成人の週1回以上の運動スポーツの実施率は、平成18年度は16年度より増えて44.4%ですが、男性、女性を比べると、男性が43.4%、女性が45.3%であり、週1回以上運動・スポーツをする率は男性より女性の方が高いというデータが出ています。
次のページの(2)「妊娠・出産等に関する健康支援」の「適切な性教育の推進」で、学校では学習指導要領に則り保健体育の授業などで性に関する教育を行っており、特に適切な性教育を推進するための幾つか事業を実施しております。
まず、「性教育の実践調査研究事業」は、平成16年から18年度にかけて、エイズ教育等をはじめとした効果的な指導方法について、小・中・高等学校を含む地域において実践的な研究を行ってきました。
平成19年度からは「性教育の指導に関する実践推進事業」を実施し、各地域における性教育の指導者への研修会の開催及び効果的な指導方法の実践研究を実施しており、20年度には23地域プラス1団体で実施をしております。
さらに、学校において教職員等を対象とした指導講習会を平成17年度から実施をし、20年度には2地域で実施をしています。
また、学校以外にも親や家庭等に対して、性に関する健康の重要性についても学習できる機会を提供しています。
今後の方向性、検討課題等として、「適切な性教育の推進」では、性に関する教育を行う上での基本的な考え方がまだ各学校に十分浸透していないという現状を踏まえ、効果的な指導方法について実践研究や指導講習会を引き続き実施し、地域におけるモデル的な取組に対して支援をしてまいりたいと考えています。
さらに、家庭教育支援として、性に関する健康の重要性についても学ぶことができる学習機会の提供に努めています。
続きまして、(3)「健康をおびやかす問題についての対策の推進」の「HIV/エイズ、性感染症対策」でございます。今御説明しました性教育の推進と重なるところがございますが、「学校におけるHIV/エイズ、性感染症に関する教育の推進」で、「教科・保健体育」等において、エイズ、性感染症について取り扱うことが規定されており、それに基づき各学校において指導しています。「性教育に関する」普及推進事業として、HIV/エイズ、性感染症対策に関する事業も実施しています。
更に、「世界エイズデーシンポジウムの開催」や、平成17年度からは児童生徒の心と体を守るための啓発教材として、児童生徒が自己の健康を適切に管理できるよう、HIV/エイズ、性感染症などの問題をはじめとする様々な健康問題を総合的に解説した教材を作成・配布し、平成20年度には全国の小学校5年生、中学校1年生、高校1年生、全員に配布をしています。
次の「(2)薬物乱用対策の推進」ですが、これも学校教育において学習指導要領に基づき「教科・保健体育」等で、薬物乱用行為による心身への影響等について指導が行われています。
また、非行防止教室等で使用する「児童生徒の規範意識を育むための教師用指導資料」を作成し、全国の小・中・高等学校、教育委員会等に配布しているところです。
薬物防止に関しては、薬物乱用防止教室を平成20年度に41地域で実施し、シンポジウムは20年度に2地域で開催、また、競技場等の大型カラーディスプレイシステムを活用した広報啓発活動を20年度は1団体に対して実施をしています。それから、薬物乱用防止に関する学校・地域連携推進事業という事業も平成19年度に実施をしておりまして、これは19年度に4地域で実施しております。あとは、先ほど申しました児童生徒の心と体を守るための啓発教材の中にも、薬物乱用に関する記述を載せているところでございます。
次に3番目の「喫煙、飲酒対策の推進」、これも今、学習指導要領に基づきまして保健体育等で喫煙、飲酒による心身への影響に対する取扱いをしておりまして、先ほど申しました啓発教材にも飲酒、喫煙の体への影響ということを記載しまして、それを各学校に配り指導いただいているところでございます。
今後の方向性、検討課題等ということでございますが、先ほど性教育のところでも申し上げましたけれども、性に関する教育を行う上での基本的な考えが十分浸透していないという状況を踏まえて、効果的な指導方法についての指導講習会を実施するとともに、地域におけるモデル的な取組について支援していくということでございます。
さらに、「薬物乱用教育の充実、喫煙、飲酒対策の推進」につきましても、この啓発対策資料を作成・配布して各学校で取組をお願いしていきたいと考えております。
薬物乱用問題につきましては、「第三次薬物乱用防止5か年戦略」を踏まえて、学校における薬物乱用防止教育の推進に努めていくことといたしております。
参考データのところでございますが、児童生徒の薬物に関する意識調査を平成18年2月に実施をいたしまして、小学校6年生、中学校3年生、高等学校の3年生ということでやってきておりますけれども、「薬物は絶対に使うべきでない」と言っている児童生徒の割合というのは19年と比べますと、18年でかなり増えているといったデータも出ているところでございます。
資料に関する説明は以上でございますが、幾つか御質問をいただいておりますので、それに対して御回答いたします。
まず質問の17の石川委員からの「健康教育推進のためには、教科「体育・保健体育」の授業時数の充実、指導者の資質の向上が重要と考える。特に現在の授業時数は、現在の健康課題に対応し切れていないと考えるが、対策はあるか。」という御質問でございます。
学習指導要領の改訂で、小学校では平成23年度から、中学校は24年度から、高等学校は25年度から本格実施ということで、一部前倒しで実施している部分はありますが、その標準授業時数は、小学校の体育科で、旧指導要領では6学年間で540時間あったものが597時間に増加し、そのうち保健領域の授業時間数がこれまで24時間程度実施されています。
中学校では、旧指導要領は3学年で270時間であったものが315時間に増加し、その中で保健分野は48時間程度がこれまでも実施されています。
高等学校の保健体育科では、指導要領の改訂で時間数は変わっておりませんが、3学年間で350時間、そのうち保健の授業時数が70時間程度実施されておりますが、小・中学校では体育、または保健体育の授業時数も増えておりますので、保健分野の新しい健康課題に対する指導の充実も図っていけるような形になると考えています。
それから、先ほど申しましたように、健康に関する啓発教材を作成し、小5、中1、高1の各段階のすべての児童生徒に行き渡るように配布しております。これを各学校で更に活用していただきたいと考えております。
次に、質問の18の石川委員と質問22で林委員から「特に学校での性教育に関して、性教育の理念を尊重した性教育を前面的に打ち出すべきではないか」、さらに、「女性の生涯を通じた健康には適切な性教育が不可欠であるけれども、現状の学校での性教育の改善の余地はないか。」という御質問がございました。趣旨が同じところもございますので、合わせて御回答申し上げたいと思います。
今、学校における性教育は、体育科、保健体育、または特別活動、道徳という学校教育活動全体で指導をしているところで、特に新しい指導要領では、小学校の体育科におきましては体の発育、発達、心の発達、不安、悩みの対処、病気の予防。中学校の保健体育科では、生殖に関わる機能の成熟、エイズ及び性感染症の予防、高等学校の保健体育科では心理と健康、そのようなことについての指導を図ることにしております。そういうことで、この学習指導要領に基づきバランスよく指導するよう、各講習会などでも周知をしているところでございます。
特に、今の学校での性教育については、指導に当たり、発達の段階を踏まえて行う必要があること、学校全体で共通理解を図って推進する必要があること、さらに、性教育の方法、内容等については、保護者の理解を得ながら実施をしていく、というところが課題ではないかと考えて、そういうところを特に今後重点的に改善を図るように各種会議、または研修会などで周知を図っていきたいと考えています。
最後に、質問の23の石川委員の方から「母子の健康を考える場合に女性の喫煙傾向を減少させることは重要であるが、女性喫煙者に対する予防、禁煙対策に関する施策はあるか」という御質問です。
女性の喫煙者に限定した施策は実施しておりませんが、喫煙防止教育については、特に学校教育で実施しているところで、学習指導要領では、平成14年度から小学高学年に喫煙健康への影響について盛り込み、喫煙防止に関する指導内容を充実させたとか、これは大分前になりますが、15年に健康増進法の制定等を踏まえて、学校における児童喫煙防止対策、喫煙防止教育の一層の推進について各教育委員会などに通知を発出しております。
また、児童生徒の心と体を守るための啓発教材を作成配布して、喫煙が心身に及ぼす影響や、それを指導するための教材を配布しているところで、引き続きこういった施策を実施していきたいと考えております。以上でございます。 - 羽入会長
- ありがとうございます。それでは、引き続きまして厚生労働省からお願いいたします。
- 厚生労働省(宮嵜)
-
厚生労働省の母子保健課長でございます。よろしくお願い申し上げます。お手元の資料4-(2)が厚生労働省の資料でございます。内容的には厚生労働省内でも複数部局にわたりますし、また御質問もかなりいただいておりますので、この資料については簡単にだけ触れさせていただきます。
1枚目は、施策としては「生涯を通じた女性の健康の保持増進」ということで、各部局が執り行なっている施策、心の健康とか、生涯を通じた女性の健康支援というものについて取りまとめさせていただいておりますので御高覧いただければと思います。
それから、お手元の資料の3ページ目になりますが、(2)「妊娠・出産等に関する健康支援」の、1つ目が「妊娠・出産期における女性の健康支援」ということで、御案内のとおりでございますが、母子保健法に基づいて妊娠の届出から出産の後まで一貫したサービスを提供しているということでございます。それから、2点目は不妊治療の関係でございます。それから、3点目として周産期医療の関係、4点目として女性の主体的な避妊のための知識の普及ということで記述をさせていただいております。
それから、5ページ目になりますが、3点目の「女性の健康をおびやかす問題についての対策の推進」ということで、大きな1つとしてはHIV/エイズ、それから性感染症対策について取りまとめております。それから「薬物乱用対策の推進」、その後が「喫煙・飲酒対策の推進」についてでございます。
母子保健の関係では、不妊治療とたばこの関係について御質問をいただいておりますので、引き続きそちらについて御回答させていただければと思います。
まず1点目が、林委員から御質問をいただいている質問のNo. 21です。不妊治療の関係について、3点ほどいただいております。
1つ目が、不妊治療を行っている医療機関の数とか治療の成功例、実際に体外受精してから出産に至っている割合とか、そういうものをどのように把握しているのかという御質問をいただいております。我々の方としては、体外受精とか不妊治療について一定の医療費の補助をしておりますけれども、その補助の実施主体は各地方自治体で、都道府県とか中核市とか指定都市が実施しているわけですが、そこに対して調査して今年の5月に公表させていただいた結果では、全国で564施設が不妊治療、体外受精などに取り組んでいるということがわかっております。
学会の方の数字は600近くの医療機関があるようですけれども、ほとんどニアリーイコールだと思っていただいても問題はないかと思います。このそれぞれの医療機関などで行われている臨床の成績についてですけれども、これは日本産婦人科学会の方で毎年医療機関から体外受精、それから顕微授精というものを実施している施設を登録していまして、すべてに対して調査をして、その成績は学会の方で取りまとめているということで、体外受精とか顕微授精とか、そういう成績についてはオールジャパンのものですけれども、学会の方で公表しているという状況でございます。
2点目の御質問で、医療機関から提供される情報について信頼性をチェックするような仕組みがあるのか。あるいは、実際に治療を受けられる女性の方がこのようなデータにアクセスできるのかというような御質問をいただいております。
制度として挙がってくるデータの信頼性をチェックする仕組みはないというふうに申し上げた方が正確だと思いますけれども、そうは言いましても産婦人科学会の方で基本的に登録施設の方にはきちんと届け出るように、あるいは報告するようにというようなルールをつくっていまして、違反した場合には登録を抹消するというような手続きを踏んでおられることや、あるいは我々の公費で助成しております事業の医療機関の指定要件にも、不妊治療にかかる記録とか情報の管理についてしっかり整備してください、あるいは、管理者、責任者を配置してくださいということも定めておりまして、もちろん違反すればそういうような医療機関は排除されるというようなことから、間接的になろうかと思いますけれども、ある一定程度の信頼性は確保されているのかなと考えております。
それから、実際にこれらの不妊治療を行っている医療機関名につきましては、各地方自治体のホームページで公表されているということで、厚生労働省のホームページからもリンクできるようにはなっております。
3点目の御質問で、成功率が低い医療機関であっても、そこで治療を受け続ける患者さんがいる限りは、患者さんに対する経済的な支援を続けるのかという御質問をいただいております。多分そういう低い医療機関は排除した方がいいんじゃないかというような御趣旨なのかもしれませんが、我々の方としては体外受精とか顕微授精の1回の治療費が大変高額になるということから、経済的な負担を軽減するということで患者さんに助成させていただいているということが1点ございます。
それから、医療機関ごとの治療成績につきましては、もちろん技術とかという問題もあるんでしょうけれども、それ以外にも患者さんの例えば年齢とか不妊症の原因、元の病体、疾患とか、さまざまな要因があることから、成功率という数字だけで評価するのはなかなか難しいので、成功率によって経済的な支援を続けるか、続けないかというようなことは、今のところ我々としては考えていないということでございます。これが、不妊治療に対する3点の御質問でございます。
それから、次に質問の23の関係でございます。石川委員から、母子の健康を考える場合、女性の喫煙傾向を減少させることが重要と考えるが、女性の喫煙者に対する予防及び禁煙対策に関する施策はあるかという御質問をいただいております。
これは女性に限らずというか、そもそも母子に限らずということでたばこの問題は健康に悪影響を与えるということが明らかになっておりまして、がんとか循環器病とか生活習慣病を予防する上でもたばこ対策は重要ということで厚生労働省は取り組んでおります。
特に平成12年からは「健康日本21」という中で、喫煙が及ぼす健康影響についての十分な知識の普及、あるいは未成年者の喫煙の防止、それから公共の場や職場での分煙の徹底とか、あるいは禁煙を希望する者に対する支援プログラムの普及という今、申し上げました4つを柱にたばこ対策を進めているというところでございます。
特に女性につきましては、喫煙が不眠とか生理不順の原因にもなるということから、パンフレット等を通じて注意喚起をしているところでございます。更に妊娠中の喫煙とか児童喫煙は胎児の発育に悪い影響を与える、遅延させる。あるいは、呼吸中枢などにも悪い影響を及ぼす。また、妊婦さんとか乳幼児のそばでの喫煙というのは乳幼児の突然死症候群、SIDSの発症を高めるというような研究報告もあることから、例えば母子健康手帳においても妊婦さん自身はもちろん、周囲の者にも禁煙について理解を求める、出産後、喫煙を再開されるような妊婦さんもあるということは承知しておりますけれども、出産後においての喫煙も控えるようにというようなことも記載させていただいて普及啓発しているところでございます。
それから、質問の24の関係でございます。これも石川委員からの御質問でございまして、「性行動が活発になる中、結果として不利益をこうむるのは、女性であるのが現状である。性感染症や中絶など不利益を被った場合の救済制度にはどのようなものがあるか。またそうしたことを防止するための啓発はどのように行われているのか」という御質問をいただいております。
人工妊娠中絶につきましては、年々減ってきております。平成19年度はそれでも約26万件という状況でございます。この人工妊娠中絶を受けられた方への支援は大変重要だということは我々も思っておりまして、都道府県等に設置されております女性の健康支援センターにおきまして、中絶手術を受けられた後の長期的、あるいは継続的な相談対応を通じて支援を行っているというような状況でございます。
また、今、申し上げました女性の健康支援センターにおきましては、保健師等の専門職によりまして出産等に関する悩みとかも含めた女性の健康に関する一般的な事項についても相談指導を実施している。あるいは、妊娠について悩んでいる者が人工妊娠中絶の問題点とか、女性の心身に及ぼす影響等について、正確な情報を得て出産の選択ができるような支援も合わせて行っているというようなところでございます。 - 厚生労働省
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24番の石川委員の質問の中で、性感染症の普及啓発についてはどのように行われているかという点がありますが、これについてお答えさせていただきます。
性感染症対策の普及啓発等に関しては、性感染症対策自体について法に基づく指針を策定しておりまして、その中にやはり普及啓発というのは一つの柱として加えさせてもらっております。その中で、当方としましては保健所や性の健康財団等に委託しまして、パンフレットやメッセージカード等の普及啓発活動や、または受動的なものとして性の健康相談として電話での性感染症に関する悩みの相談を受けたり、メールでの相談を受けたりさせてもらっております。
そのほかにも、医療従事者に対する性感染症の最前線のリサーチについての講演を行ったり等、医療従事者の、また国民に向けて普及啓発に努めているところでございます。以上です。 - 厚生労働省(高岡)
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がん対策推進室でございます。
19番の林委員からの御質問で3点あるのですが、「女性特有のガンの検診の受診率を高めるための工夫はどのようになされているのか」ということについてです。がん検診につきましては、平成19年6月の閣議決定でがん対策推進基本計画が策定されまして、検診の受診率を5年以内に50%にするということを個別目標として掲げているところでございます。
子宮がんですとか乳がんといった女性特有のがんの検診の受診率を高めるために、一定の年齢に達しました女性に対して検診の無料クーポンを配布いたしまして、検診手帳も交付するということで、5月29日に補正予算成立を受け、6月12日に発出した実施要綱に基づいて各市区町村の広報紙、もしくはホームページなどで住民に周知が図られております。既に予算額の全額を内示しておりまして、ほぼすべての市区町村において実施または実施の手続きが進められているところでございます。各市区町村において既に事業を開始している状況であることから、引き続き各市区町村と連携しながらこの事業を円滑に進めてまいりたいと考えております。
2点目の「予防検診を無償化・低廉化することで予防にかかるコストと、有償のまま受診率を上げないで病気を発症した場合の治療コストの積算・比較はなされているのか」という御質問についてです。そもそも健康増進法に基づいて市町村が実施するがん検診というのはいわゆる対策型検診として位置付けられておりまして、検診による医療費の減少効果といったような費用対効果を主眼とするものではありません。ですので、その対象集団となる住民全体の死亡率を減少させることによって、その検診の効果の評価を行ってきたところでございます。
検診の社会に対する費用便益効果については医療費のみならず、治療ですとか死亡による労働損失も考慮する必要があります。また、検診を受けた後の治療ですとかケアの多様性についてや、検診受診率が上がることによってがん患者さんの罹患数、患者数は変化する。その数が変化することの医療費総額への影響に関して、これらも考慮する必要がございます。
ですので、現時点においては厚生労働科学研究費補助金のがん臨床研究事業というところで「がん対策の医療経済的評価に関する研究」という研究班がございまして、そちらで信頼性、妥当性などの高い医療経済的評価モデルというものを構築し、国や都道府県のがん関連の政策決定に活用できるように研究を行っていただいているところでございます。
3点目の「乳ガン、子宮ガンと比べて卵巣ガンの早期発見はむずかしいとされているが、どのような対策がとられているのか」という御質問に対しましては、卵巣がんの早期発見の方法などにつきまして、これも厚生労働科学研究費補助金の「第3次対がん総合戦略研究事業」というところで、卵巣がん等の発症予防法に関する研究を行っているところです。また、卵巣がんに関しての症状ですとか、診断方法などにつきましては国立がんセンターのホームページでわかりやすく情報提供させていただいておりますし、またその小冊子も作成して病院等に配布しているところでございます。以上です。 - 羽入会長
- ありがとうございます。それでは、あと1点、リプロダクティブ・ヘルス/ライツについて、法務省の御説明をお願いいたします。
- 法務省(片山)
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法務省刑事局でございます。
法務省に対しては、林委員の方から質問をいただいております。20番です。質問ですが、「刑法の自己堕胎罪は女性のリプロダクティブ・ヘルス/ライツと矛盾するのではないか。本年のCEDAW勧告50パラグラフも法改正の可能性を示唆しているが、基本計画との関係ではどのように考えているのか」という質問をいただいております。
これについてですが、まず我が国刑法においては胎児の生命、身体の安全を主たる保護法益としつつ、合わせて妊娠中の女子の生命、身体をも保護法益として堕胎は犯罪行為とされているものであります。
一方、いわゆるリプロダクティブ・ヘルス/ライツについては、人間の生殖システム、その機能と活動過程のすべての側面において、単に疾病、障害がないというばかりでなく、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態にあることを確保しようとする考え方であると理解されていますが、そのことから胎児の生命、身体の安全を侵害する行為を犯罪とすることが禁じられるものではなくて、刑法の自己堕胎罪はこの考え方と矛盾するものではないと考えております。したがって、現時点ではこの点に関する法改正の必要はないものと考えております。
なお、母体保護法においては母性の生命、健康を保護するとの観点から、一定の要件の下での人工妊娠中絶が認められているということを付言しておきます。以上でございます。 - 羽入会長
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ありがとうございます。ただいま3省から御説明いただきましたが、御質問をどうぞ。
では、伊藤委員、鹿嶋委員、石川委員。 - 伊藤委員
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厚労省にお聞きしたいのですけれども、データはいただいているんですが、質問の趣旨についてちょっと御説明をして皆さんとも共有させていただけたらと思います。
私の質問は、16番で、これはデータで答えていただいているわけですが、男女別の疾病の特徴のデータ、これはまだ今、調査中だというふうに回答いただいております。なぜそんな質問をしたかというと、第2次の基本計画で性差医療の問題がずっと出ていまして、その性差医療の動きがどうなっているのか。それに対する対応がどうなっているのかというのを考えるための基礎データとしてお願いしたんです。でも、まだ出されていない、準備中だということでございます。
今回の第3次においては男性の問題が新しいというか、今まで以上にクローズアップされるわけですが、男性の医療の問題も含めて、性差医療の観点というのが健康の中では必要なのではないかと思っています。もちろん女性の医療の問題も視野に入れながらということですけれども、質問させていただきました。 同じように初診段階での男女別、平均在院日数についても、生物学的性差に基づく医療の問題、あるいはメンタルな問題も含めてですけれども、考えていたわけです。アメリカの研究などは大体初診段階は女性の方が男性より高い割合で来られる。ただ、入院期間は男性の方が長くなるというデータがあるんです。日本の場合も、初診段階では女性の方が多いわけですけれども、在院日数はむしろ男性の方が長くなっているという結果です。
これは年齢をクロスしないとわからないところでもあるわけで、もちろん高齢者が多いので女性が初診段階では増えるということもあるのかもしれませんが、男女の健康ということに対する対策を考えるときに、やはりそういう性別に基づいたジェンダーの観点での初診やら入院やらというものを、年齢をクロスさせながら考えていくことが政策の上で必要ではないかと思ってお願いしたところです。これは、進めていただけるということですね。
もう一つは、これもデータでもらっているわけですが、自殺の問題です。従来の基本計画では、身体的な健康の話に重きを置かれていて、精神的な部分がやはりちょっと欠けていたのではないかと思っております。
これはかなり大きな問題で、現在政府も自殺総合対策大綱等々で動き始めています。一つの大きなテーマだと思います。従来、男性の自殺が増えているということで話題になっているわけですが、御存じのように日本は女性の自殺大国でもあるわけです。自殺死亡率はたしか世界で3位だと思います。大体、1万人前後の女性がずっと自殺しているわけですね。
日本はもともとどちらかと言うと男性の自殺死亡率が低い国で、男女比というのは国際的にみて女性を1とすると1対2か、1対4ぐらいのところで動いているわけですが、日本は1対1.7か、1.8ぐらいのところできていたわけです。でも、今は1対3から4ぐらいで普通の国並みになっているわけです。
そういう男性の増加の中で自殺対策が動き始めているわけで、これはこれで男性をテーマにした男女共同参画の1つの大きな課題になるだろう。その場合、自殺とジェンダーという問題に関して、かなり意識的に取り組む必要があるんじゃないかと思っております。
と同時に、女性の自殺の割合が実はずっと高い状態で続いてきたということも、実は男女共同参画の観点ですごく重要な課題なのではないかと思っています。そういう意味で、メンタルな面での男女の健康についての課題というのは、ジェンダーの観点を踏まえながらこれから取り組んでいく必要があるのではないかと思っております。
もし厚労省の方で何かアイデアがあれば聞かせていただけたらと思いますけれども、いただいた資料で尽きているのかもしれません。以上です。 - 羽入会長
- 御質問は6名ぐらいいらっしゃったと思いますが、石川委員どうぞ。
- 石川委員
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最初の5分野と関連するんですけれども、認定こども園において、例えば、普通の幼稚園だと学校保健安全法で学校医、学校歯科医、学校薬剤師がいて、健康管理とか、あるいは環境管理をやっているんですけれども、認定こども園というのはこういう制度があるのかどうか、仕組みがあるのかどうかということと、もしないのならば健康は非常に重要なので、親が安心して預けるためにそういう制度を考えていただきたいと思います。
2つ目は、先ほど保健体育の授業数が増えたという話でした。確かに増えていますけれども、健康教育を中心にやっている保健は全く増えていなくて、そこのところが問題点だろうと考えています。したがって、そのことについて少し増えるような対策をお願いしたいというのが要望です。
それから、もう一点は適切な性教育の推進です。適切な性教育の推進というのは私も大賛成なんですが、例えばこの資料を見ましても言葉が随分混乱しています。「性教育」という言葉があったり、「性に関する指導」という言葉があったり、「性に関する教育」という言葉があったり、こういった言葉がさまざまな使い方をされていることが性教育の理念を混乱させているんじゃないかと私は思っていまして、一般的にとおりがいいのは「性教育」という言葉ですので、是非こういった概念をきちんと決めて一本化していくことによって、性教育がもう少しすっきりしてくるんじゃないかと私は思っています。したがって、これも要望なんですけれども、言葉についても少し統一をしてほしいと思っています。
それから、薬物乱用です。これは余り対策がないという話で、質問を出したんですけれども、質問項目には載っていないんですが、厚労省と警察庁になると思うんですけれども、学校に行っていない子どもに対して薬物乱用防止教育をどうやってやるかということについても少し考えていただきたい。
というのも、少年院に入っている女性の2割近くが薬物、覚せい剤で入っていまして、薬物全体でいくとシンナー等も入れますと3割ぐらいいるんですか。そういったような状況で、女性の薬物乱用は非常に多い。しかも、学校に行っていない子どもたち、青少年が多いということなので、是非この対策についても考えていただきたいと思っております。以上です。 - 羽入会長
- では、鹿嶋委員どうぞ。
- 鹿嶋会長代理
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単純な質問なんですけれども、文科省の性教育のことで聞きたいんですが、性教育の大きなねらいというのは望まない妊娠をしないということだと思うんです。その望まない妊娠をしないということで、文科省のスタンスがいまひとつ不鮮明だと思います。
望まない妊娠をしないためには、単純に言えば1つはセックスはしないということです。もう一つは、いわゆる避妊ですね。避妊をどうするかということを教えるということなんですが、文科省はどちらのスタンスに立って教えているのか。
自治体によっては、避妊具を子どもたちが買えないところがあるわけです。そうなってくると、やはり望まない妊娠というのはかなりあるわけです。
もう一つ、先ほどの説明の中で、保護者の理解を得ながら教育を進めると。この辺りが、実は性教育の非常に難しいところだと私は思っていますが、保護者の理解もさることながら、やはり子どもたち自身が望まない妊娠をしない。とにかく妊娠は不幸なことにつながりかねないということで、それが単に理念教育だけでは難しくて、特に性衝動が激しい時代ですので、そうなってくるとやはり具体的に避妊具の問題が出ると思うんです。その辺りはどういうふうなスタンスか、是非教えていただきたいと思います。 - 羽入会長
-
ありがとうございます。
それでは、坂本委員、桜井委員、山田委員の順番でお願いします。 - 坂本委員
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まず文部科学省の方に伺いたいんですけれども、先ほど追加の御質問でもありましたが、学校に行っていない子どもへの性教育とか薬物教育というところにも通じるかと思いますけれども、いただいた御説明の中では中学生、高校生までで止まっていて、このところ大学生によるいろいろな性的な事件ですとか薬物の問題というのはたくさん出ています。大学や専門学校においてのそういう教育というのはどのようになされているのか、今後なされていくのかという辺りを伺いたいのが1点です。
それから、厚生労働省の方に伺いたいんですけれども、地域で子育て支援をやっておりますと、不妊治療がだんだんと認識が高まって、受けていらっしゃる方がとても多いです。その結果として、やはり多胎のお子さんの出生が増えていると思います。単胎児の出生数は下がっておりますけれども、多胎児の出生はずっと右肩上がりが続いているかと思います。不妊治療は、出生年齢が高くなっていますのでこれからどんどん増えていくと思われますけれども、一方で多胎の子育てに対するサポート体制は非常に脆弱で、結果的に地域で虐待に通じるハイリスクのゾーンに含まれて、今むしろ虐待予防という側面から多胎児の支援というのが少し、動き始めているように思いますけれども、もう少しその流れを太くしていかないと、せっかく頑張って高齢でいろいろなコストもかけてお産みになった御家庭が、しっかり子育てをしていけないような状況がだんだん広がっています。その辺りは、どのようなお考えがあるのか伺いたいと思います。 - 桜井委員
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私も2点です。
1点は文科省に伺いたいのですが、スポーツ振興は大変いいと思っておりますが、スポーツを振興する団体においては草の根的なものから競技団体まで、セクシュアル・ハラスメントが大変多いということを聞いております。まさにジェンダーの問題です。特にコーチや指導者が男性、そして競技者が女性という構図でそういったことが起こりやすいということがありますが、そういった問題に対して研修などで取り組む予定があるか。それから、各競技団体にセクシュアル・ハラスメントの実態調査などをそういうデータを取るとか、そういったことをこれまでにおやりになったかどうかということをひとつ伺いたいと思います。この問題は、水面に隠れてしまってなかなか出てこないんですが、ひとたび開けると大変なことになっているんだと思います。
それから、もう一つ厚生労働省に伺いたいのですが、うつなどメンタルな問題での疾病にはジェンダーというか、男性と女性の社会的な役割期待とのギャップの中で出てくることが多いと思います。うつなどは男性の2倍、女性が発症しているというデータがあると聞いております。そこに対して、何か新しい対策を考えておられるかどうか。
そのときに、企業では定期的な健康診断が受けられたり、また、産業医が相談に乗ってくれたりということがありますが、そうでないところに働いている方、それから専業主婦など家庭にいらっしゃる方はメンタル的な状況が悪くなって健康度が低くなっても医者にかかりにくいというところがあろうかと思います。その辺りについて政策として考えられることがあるかどうかということを伺いたいと思います。 - 羽入会長
- では、続きまして山田委員。
- 山田委員
-
特に質問票には書かなかったんですが、まず1つは桜井委員とも共通する点があるんですけれども、文部科学省さんに質問なんですが、いわゆるセクハラ防止とかセクハラに関する教育というのは、これは性教育に入るのか、人権なのか、わからないんですが、そういうものを系統的に全生徒、学生等にするプログラムというのはあるのかどうか。それについてどこでどういう形で扱うかということに関して検討はなされているのか、もしあれば教えていただきたい。
もちろんスポーツ関係もそうですけれども、実際に恥ずかしい事件はいろいろ起こっていますので、それに関してお教えいただきたい。特に被害者にならないため、被害者になった場合はどうするかといったようなことはきちんと教えられているのかというのがひとつ教えていただきたい1点でございます。
厚生労働省に関しては伊藤委員と関連する質問でもあるんですけれども、女性の健康とかという形で取り上げられることは多いんですが、男性特有の健康問題というのも多分あるはずで、例えば不妊に関するED問題であるとか、がんでしたら前立腺の問題とか、更には高齢になって髪の毛がどんどんなくなってしまうような問題も含めまして、そういう男性の健康問題というような形で厚生労働省内で一つのまとまった固有の施策があるのかとか、それについて検討がなされているのか。もしあれば教えていただきたいと思います。 - 羽入会長
-
ありがとうございます。
それでは、文部科学省からよろしいでしょうか。 - 文部科学省(髙口)
-
幾つか御質問をいただきましたので、全部お答えできるかどうかはわかりませんが、順次回答させていただきます。
まず、石川委員から「認定こども園に学校医や学校薬剤師を置くなどの仕組みがあるのか」という点につきましては、申し訳ありませんが、今、資料がありませんので、そこは確認をさせていただきたいと思います。
次に、保健の授業時数に関しては御指摘のとおりで、保健体育では、新しい学習指導要領において、特に体育は増加をしていますが、その増えた部分の中で、どう体育の部分に振り分けていくのか、保健の部分に振り分けていくのか。これは学校の裁量もありますが、保健の時間を増やしていくというのは可能になっています。
さらに、鹿嶋委員から、「性教育に関して、妊娠をしないというスタンスなのか、避妊をするというスタンスなのか」というなかなか難しい御質問ですが、中学校の学習指導要領の解説のところに、エイズ・性感染症の予防に関する部分で、「エイズ・性感染症の予防方法を身につける必要があることを理解できるようにする」ということで、例えば「エイズの病原体はヒト免疫不全ウイルスである、その主な感染経路は性的接触であることから、感染を予防するには性的接触をしないこと。また、コンドームを使うなどが有効であることにも触れること」と記述されています。これが、言ってみれば文部科学省のスタンスということですので、性行為についてよいか悪いかというところには触れておらず、予防の方法については両方あるということでございます。 - 鹿嶋会長代理
- ちょっと性感染の予防に偏り過ぎているところがあって、どうも性教育自体が内向きになっていないかというのが私の率直な意見なんですが、そういう意味も込めて質問しました。
- 文部科学省(髙口)
-
御指摘のように、性教育につきましては微妙な部分もあり、なかなか現場でも苦労をしているという話を聞いております。ただ今モデル的な事業をしたり、事例集の作成などもしておりますので、適切な性教育が何なのかというところをまとめて、それを今後も広めてまいりたい、普及させていきたいと考えています。
坂本委員から「薬物乱用につきまして大学生に対する予防、啓発はどうしているのか」という御質問ですが、昨年、大学でいろいろ薬物乱用の事件なども出て少し社会問題になりましたが、大学では学生指導の一環で、例えば入学生に対するオリエンテーションの場で薬物の乱用をしないという指導や、各大学の判断で啓発用の資料とかパンフレットなども作成して取り組んでいるということを聞いています。大学ですから、小・中・高等学校のように学習指導要領で規定して一律に実施するのは難しいところですが、特に薬物乱用については重要な問題であるので、文科省からも各大学に通知等でお願いしているところでございます。
桜井委員から「スポーツの競技団体におけるセクハラの問題」についてですが、申し訳ありませんが、今手元に資料がありませんので、ここは確認の上御報告申し上げたいと考えております。
それから、山田委員から「セクハラに関する教育はどうなされているか」という質問でございますが、小・中・高等学校では、これは男女平等教育とか、男女共同参画に関する教育ということで、例えば社会科、公民科、家庭科、道徳というところで、特にセクハラということでまとめて教えているかどうかはわかりませんが、男女平等や男女の相互理解に関する重要性というのは教科等で教えられておりますので、その中でセクハラに関する部分も教えられていると考えております。ただ、委員がおっしゃったように、被害者にならないための教育というのが現状どこまでやられているかについても確認しまして、また後日御報告申し上げたいと思います。以上でございます。 - 羽入会長
- それでは、厚生労働省からお願いします。
- 厚生労働省(宮嵜)
-
それでは、お答え申し上げます。
まず、多胎のお話を坂本委員からいただきました。実際、御指摘のとおり、不妊治療の関係で多胎が増えているというデータがあるんですが、低体重児の問題とか、母体の問題とか、いろいろな問題があるのでそんなに増えない方がいいだろうと思われます。
大きく考えると2つあるんですが、1つは排卵誘発の関係でいっぱい卵が出るということ。それからもう一つは、体外受精の成功率を上げるために受精卵を3つも4つもかえすというようなこと。排卵誘発の方は、なかなか個人の問題もあって臨床の現場では難しいんですけれども、なるべく量を減らしていくような感じで使うということでしか取り組めないんですが、もう一つの体外受精の方などでは、昨年の4月から学会ともいろいろ話して、学会の方で基本的に35歳未満の人には1胚、1つしかかえさないということで取り組んでおります。データとしてはまだこれからなんですけれども、もしかしたら減ってきているんじゃないかというようなことがございます。
そういうような取組もしながら、そうは言っても多胎がなくなるわけではありませんし、そうじゃなくてもお子さんを2人も3人も一緒に抱えると大変ということだと思います。
国のレベルで支援策が特にあるわけではないんですけれども、実際には母子保健事業を市町村で創意工夫で取り組んでおられる中では、市町村によっては特に多胎の方のお母さんとお子さんを集めた教室とか、保健指導をしたりというような例も聞いておりますので、そういうような取組を我々としてもほかの自治体に紹介するなどして、この問題を考えていきたいと思っております。
それから、あとの厚労省へということでいただいた質問は、今日担当の部局が来ていないので御指摘があったということも含めて担当部局の方にお話しして、後日、事務局を通じて担当の方からお答えさせていただければと思います。 - 伊藤委員
- そのデータは共有させていただけますか。
- 厚生労働省(宮嵜)
- どういうふうに取り組んでいるかということですか。いずれ担当部局の方にお話させていただいて、事務局の方に届けさせていただくような形にさせていただければと思っております。以上です。
- 羽入会長
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ありがとうございました。多くの御質問がございまして、それぞれの委員あるいはこの会としての問題意識でもございますので、担当の省の皆様が今後検討の参考にしていただきますようにお願いいたします。本日はどうもお忙しいところおいでいただきましてありがとうございました。
それでは、今回の議論のテーマについてはこれで終了にいたしまして、引き続き事務局から御連絡をお願いいたします。 - 大西企画官
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では、次回でございますが、11月2日月曜日、3時から5時30分、同じ会場、こちらで開催となります。
次回のテーマは、第9分野の「メディアにおける男女共同参画の推進」、それから11分野の「地球社会の「平和・開発・平等」への貢献」、12分野の「新たな取組を必要とする分野」の科学技術を除くを予定しております。
メディアのところにつきましては、暴力表現やインターネットなどの部分については女性に対する暴力に関する専門調査会の方でフォローアップを行いまして、10月26日10時から4号館、108で開催されます。傍聴など希望される方につきましては事務局まで御連絡ください。以上です。 - 羽入会長
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ありがとうございます。
それでは長くなりましたけれども、本日、第49回の会合をこれでおしまいにさせていただきます。
皆様、どうもありがとうございました。
(以上)