- 日時: 平成21年8月27日(木) 10:00~12:30
- 場所: 永田町合同庁舎第1会議室
(開催要旨)
- 出席者
- 会長
- 羽入 佐和子 お茶の水女子大学学長
- 会長代理
- 鹿嶋 敬 実践女子大学教授
- 同
- 石川 哲也 神戸大学大学院教授
- 同
- 伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
- 同
- 岩井 宜子 専修大学大学院教授・副院長
- 同
- 岡本 直美 日本労働組合総連合会副会長
- 同
- 帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
- 同
- 加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
- 同
- 河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
- 同
- 五條 満義 東京農業大学准教授
- 同
- 坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
- 同
- 佐藤 博樹 東京大学教授
- 同
- 辻村 みよ子 東北大学大学院教授
- 同
- 林 陽子 弁護士
- 同
- 山田 昌弘 中央大学教授
(議事次第)
- 男女共同参画基本計画(第2次)フォローアップ 関係府省ヒアリング
- 第2分野 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し・意識の改革
- 第4分野 活力ある農山漁村の実現に向けた男女共同参画の確立
- (第3部 計画の推進)
- 第2分野 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し・意識の改革
(配布資料)
- 資料1 様式1
-
「2.男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革」[PDF形式:209KB]
- 資料2 様式2
- 「男女共同参画基本計画に関する施策の評価等について」
- 資料3 様式1
-
「4. 活力ある農山漁村の実現に向けた男女共同参画の確立」 [PDF形式:174KB]
- 資料4 様式2
-
「男女共同参画基本計画に関する施策の評価等について」 農林水産省作成資料、参考資料 [PDF形式:204KB]
- 資料7 様式1
-
第3次基本計画の重点事項の考え方について(案) [PDF形式:195KB]
- 資料8 様式1
-
基本問題・計画専門調査会ワーキング・グループ (WG) 等の運営について(案) [PDF形式:167KB]
- 資料9
- 第45回基本問題・計画専門調査会(6/29)の議事録
- 羽入会長
-
おはようございます。お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。
前回時間が非常に足りず、質疑の時間を十分持てなくて大変申し訳ございませんでした。今回30分延長いたしましたが、恐らくそれでも十分だとは思いませんけれども、手際よく進めたいと思いますので、御協力くださいますようにお願いいたします。
本日は、基本計画の第2分野、第4分野、更に第3部の計画の推進について関係府省からヒアリングを行ってまいります。
お手元に配付いたしております47回基本問題・計画専門調査関係府省ヒアリングの流れで進めたいと思います。1枚物の時間割が同じように配付されておりますので、その時間に従って進めていきたいと思います。
それから、1つお断りしたいことがございまして、質問番号の7番と8番、鹿嶋先生と辻村先生からの御質問だったと思いますけれども、これに関しましては法務省、総務省からの回答をペーパーでいただいております。全体の質疑のときにそれをまた御参考にしていただいて御質問いただくとして進めたいと思います。
それでは、まず基本計画の「第2分野 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し・意識の改革」について御説明いただきます。内閣府、法務省、財務省、厚生労働省、文部科学省、それぞれのところから関連する事柄について御説明いただいて、そして質疑をまとめてさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、まず内閣府から政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響についての調査の実施等について御説明をお願いいたします。資料は、前回と同じようにお答えいただいていますものを参考にしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 - 大西企画官
-
それでは、資料2-(1)に沿って御説明させていただきます。まずはじめの御質問にも関連することで、女子差別撤廃委員会の件で御報告でございます。
去る8月18日に女子差別撤廃委員会が我が国の条約実施状況の第6回報告に対する最終見解を公表し、その中では、例えば意思決定過程や政治的・公的分野等への女性の参画や、根強い固定的性別役割分担意識、女性に対する暴力、雇用分野等についてさまざまな指摘がございました。
本件について、今後、男女共同参画会議の場などにおいてしっかりと議論していく必要があると認識しておりまして、現在、女子差別撤廃委員会の所見に関しましては、関係省庁等と調整しながら和訳等の作業を行っておりまして、次回9月28日の本専門調査会において、改めてその内容を御報告させていただきたいと考えております。
それでは早速、資料2-(1)の御説明に入らせてだきます。第2分野について内閣府で取り組んでまいりました主な状況でございます。
1の(1)ですが、平成19年3月に「多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習施策に関する監視・影響調査報告書」をとりまとめました。
20年6月に「高齢者の自立した生活に対する支援施策に関する監視・影響調査報告書」をとりまめました。
21年3月には「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」とりまとめに向けた論点整理を公表しております。
評価といたしましては、2つの報告書について、現在フォローアップ作業を進めております。
今後の方向性でございますが、あらゆる分野において男女共同参画の視点に立って関連施策を立案・実施し、男女共同参画社会の実現を目指すため、引き続き調査を実施するとともに、意見決定等に基づく各施策を体系的・実質的に評価していきたいと考えております。
参考データとして、5ページ以降にそれぞれの調査研究報告書の概略をまとめた表を添付しております。
この取組に関連して、No.6、加藤委員から御質問をいただいております。平成19年3月にとりまとめた「多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習」の報告に関して、その中で指摘されている3点について省庁はどのように対応しているか、フォローアップする必要があるのではないかという御質問でございます。
19年3月にとりまとめました監視・影響調査報告と20年6月にとりまとめました高齢者に関する調査報告については、現在フォローアップを進めておりまして、政府の施策や社会における制度又は慣行について機動的に監視・影響調査をすることは重要と受けとめており、今後の推進体制の議論の中でも監視・影響調査機能の強化を課題にしておりまして、今後の調査会やワーキングにおいて、この点について御議論いただきたいと考えております。
御質問の返答は以上でございます。
また、資料2-(1)の2ページでございます。第2分野の施策名といたしましては、広報・啓発活動の展開に関する取組状況でございます。
1つ目は、平成13年度から男女共同参画週間を実施しております。その関連行事として、内閣総理大臣表彰や女性のチャレンジ賞の表彰を行っております。
2点目でございますが、大臣表彰等と同日に、男女共同参画社会づくりに向けての全国会議を実施しております。21年には、標語やシンボルマークの表彰も行われたほか、講演やてい談、パネル展示などが行われて、さまざまな媒体で広報しております。
3点目でございますが、総合情報誌として「共同参画」という冊子を毎月20日に発行しております。この中では、連載、特集や関連するトピックス、インタビュー等々を掲載して関連情報を発信しております。
4点目でございます。DV法や再チャレンジ、ワーク・ライフ・バランスなどをテーマとして、啓発のビデオ、DVDを制作し、全国の男女共同参画センターやビデオライブラリーに貸し出しをしたり上映を行っております。
5点目は、男女共同参画推進連携会議を平成8年から開催し、この中で政府の施策や国際的な動きの情報交換を行っております。そして、この企画委員会のもとに4つの小委員会、「202030」「啓発活動」「国と地方の連携推進」「広報」の小委員会が自主的に活動を行っております。
3ページ目に移ります。それに関連して、さらに10周年ということで、21年には広報小委員会の協力でシンボルマークを作成しております。
6点目ですが、平成12年度から男女共同参画フォーラムを自治体との共催で実施しております。
7点目は、平成6年から宣言都市奨励事業というものを実施して、今後とも各地で実施する予定でございます。
8点目は、平成8年度から宣言都市サミット事業を実施してきております。
以上のような広報・啓発活動について主に取組んでまいりました。
今後の方向性といたしましては、若年層や男性の参画が不十分であることから、もっと戦略的・実践的に取組を行っていくことや、メディアとの効果的な協働、ホームページ等々の従来の手法以外の効果的な広報の手法、表彰制度の受賞者選定での自治体との連携などについて今後の課題と考えております。
事前にいただいていた御質問の中から、意識・啓発に関する御質問で、質問No.10、山田委員の若年女性において固定的な性的役割分担を望む者が増大している、この理由についての御質問でございます。
この点につきましては、非正規労働者割合の増加、それから仕事と子育てとの両立が難しいと感じられていることなど、現在の就業構造が若い世代の女性の意識に影響を与えていることも要因の一つではないかと推測しております。今後、要因など詳細については、調査会やワーキングの中で御議論いただきたいと考えております。
続きまして、質問No.5、伊藤委員の女子差別撤廃委員会での審査の概要の報告につきましては、冒頭に状況を報告しましたが、現在和訳作業中でして、次回の調査会で報告させていただきたいと思っております。
最後の御質問の回答ですが、質問8、辻村委員からの御質問でございます。質問の内容は、男女共同参画社会の形成に資するための統計資料として、マイノリティー女性やシングルマザー等に関するものが不足しており、女子差別撤廃委員会の勧告ではこれらの資料を、次期のレポートまでに整備することを要請していますが、調査可能かどうかということでございます。
我が国ではマイノリティーに関しまして、人権擁護、教育、雇用、保健、暴力防止等、一般的な施策の枠組みの中で個々の状況に応じて対応しております。現在、男女共同参画会議におきましても、女性に対する暴力の問題、ひとり親家庭など、新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女の問題について幅広く検討しています。可能な限りきめ細やかな情報を収集し、多様な背景を持つ女性の状況の把握と施策の課題の検討に努めてまいりたいと思っております。以上でございます。 - 羽入会長
-
ありがとうございました。ただいまのコメントについて付け加えますと、辻村委員からの8番の総務省への御質問に対するものは、先ほど申し上げましたように紙でお答えがございます。
それでは、まとめて各省から御報告いただきます。法務省から家族に関する法制の整備などについての御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。 - 法務省
-
法務省民事局で参事官をしております飛澤と申します。どうぞよろしくお願いします。
それでは、法務省の方からは家族に関する法制の整備に関して御報告、御説明さし上げたいと思います。資料は2-(3)でございます。
この家族に関する法制の整備といたしましては、具体的には選択的夫婦別氏制度の導入、再婚禁止期間の短縮を含む婚姻及び離婚制度の改正が挙げられておりますが、既に委員の先生方、御承知のとおり、法務省といたしましては、平成3年から法制審議会におきましてこの問題について審議をいたしました。
そして、平成8年2月に選択的夫婦別氏制度を導入すること、女性の再婚禁止期間を100日間に短縮すること、女性の婚姻適齢を18歳に引き上げることなどを内容とする民法の一部を改正する法律案要綱が答申されたところでございます。
法務省におきましては、この答申の内容を踏まえまして選択的夫婦別氏制度の導入等を含む法案を国会に提出すべく、関係方面と折衝いたしました。しかしながら、この問題につきましては国民各層、そしてそれを反映しまして国会議員の間でもさまざまな議論があるところでございます。そうしたことから、国民の意識に配慮しつつ、更に慎重な検討を行う必要があると考えまして、法制審議会の答申に基づく法案の提出を見送ることとしている状況でございます。
もう少し具体的に申し上げますと、まず国会、それから国会議員の間での議論の状況でございますけれども、家族に関する法制の整備、とりわけ選択的夫婦別氏制度の導入につきましては、これを強く求める意見がある一方で、自由民主党内部にも賛否両論がある状況でございました。かつては、自由民主党内部でも平成13年11月から平成14年6月にかけまして選択的夫婦別氏制度の導入に関して議論がされたこともございました。また、自由民主党内の選択的夫婦別氏制度の導入に賛成する議員により議員立法の動きもあったようでございます。しかしながら、結局はいずれも自由民主党内部での議論がまとまらないまま、今日に至っている状況でございます。
それから、平成8年の、先ほど申し上げました法制審議会の答申があった後、さきに閉会になりました国会までの間に民主党、社会民主党等の議員提案によりまして、選択的夫婦別氏制度の導入を含む民法改正法案が衆議院及び参議院に合計20件提出されておりますが、今日に至るまではほとんど審議されないまま廃案となっているところでございます。
次に、世論の状況の関係について若干御説明しますと、平成8年、平成13年、平成18年に内閣府におきまして家族の構成に関する世論調査が実施されたところでございます。特に平成8年、平成18年の関係では、調査の項目としましては多岐にわたっているところでございますが、ここでは例といたしまして選択的夫婦別氏制度の導入に関する世論調査の結果を御報告させていただきます。
この各年の調査結果を見ますと、まず夫婦同氏制度を採用している現在の法律ですが、これを改める必要がないと答えた者の割合と、それから現在の法律を改めても構わないという、要するに改正を不要とする者と改正を可とする者の割合ですけれども、平成8年の世論調査では、前者の方が39.8%に対して後者が32.5%。それから、平成13年では、前者が29.9%に対して後者が42.1%。それが最新の平成18年になりますと、前者が35.0%に対して後者が36.6%になっております。最新の平成18年の世論調査では、まさに選択的夫婦別氏制度の導入について、積極・消極の割合がほぼ同じ状況になっています。このように選択的夫婦別氏制度の導入の問題1つ取り上げましても、国民各層の意見が大きく分かれているところが示されていると考えております。
以上、御説明させていただきましたとおり、選択的夫婦別氏制度の導入を始めとして、家族の法制の整備に関する問題は国民各層、それからそれを反映しました国会議員の間で議論が大きく分かれている状況にございます。この問題は、やはり婚姻制度、それから家族の在り方に関連する重要な問題でございます。ですので、法務省といたしましては、国民各層、関係方面における議論の推移を踏まえて、大方の国民の御理解を得ることができるような状況で法改正を行うことが相当であると考えております。
したがいまして、法務省といたしましては、今後も世論調査の概要を国民一般に広く周知いたしますとともに、関係各方面に調査結果を報告することによりまして、民法改正についての国民の議論が深まるよう引き続き努めてまいりたいと存じておるところでございます。
家族の法制の整備に関する説明は以上でございますが、続きまして、委員の先生方からいただいております御質問について回答させていただきたいと思います。
まず、辻村委員から、法務省内での家族法に関する改正作業の進捗状況についての御質問をいただいているところでございます。
既に御説明いたしましたとおり、平成8年に法制審議会から答申がされておりますが、この問題につきましては国民各層、それから国会議員の間でさまざまな議論があることから、国民の意識に配慮しつつ、更に慎重な検討を行う必要があると考えまして、法制審議会の答申に基づく法案の提出を見送ることとしておりまして、現在のところは具体的な改正作業は行っていない状況でございます。
それから、先日の女子差別撤廃委員会の最終見解を踏まえまして、辻村委員、伊藤委員から、民法改正の必要性について、また民法改正と世論調査との関係について御質問いただいているところでございます。これにつきましても、既に御説明申し上げましたとおり、婚姻適齢のほか、再婚禁止期間、選択的夫婦別氏制、嫡出でない子の相続分に関する民法改正につきましては、平成8年の法制審議会での答申内容に含まれておるところでございます。
もっとも、これも先ほどから申し上げておるところでございますけれども、民法改正に関する問題は婚姻制度とか家族の在り方に関する重要な問題でありますから、民主主義国家である我が国といたしましては、世論調査の結果も踏まえまして国民各層における議論が深められ、大方の国民の御理解を得ることができるような状況で見直しが行われることが相当であると考えているところでございます。
続きまして、鹿嶋会長代理、林委員から、選択的夫婦別氏制度についての国民の議論が深まるような施策について御質問いただいているところでございます。これにつきましては、世論調査を実施する以外に、法務省といたしましては、既に御説明いたしました平成8年の法制審議会の答申内容、とりわけ選択的夫婦別氏制度の概要を折あるごとに対外的に繰り返し説明してございますし、また先ほど言った答申の内容とか夫婦別氏制度の概要についてはホームページで公表するなどしておるところでございます。 - 鹿嶋会長代理
- 私の質問は、夫婦別氏議論は活発化しているのではなく、していない側に立つものです。
- 法務省
-
わかりました。鹿嶋会長代理の御質問については、最後にまた御回答申し上げます。
続きまして、林委員から、晩婚化、少子化と夫婦別氏制度の関係についての御質問をいただいているところでございます。晩婚化、少子化と夫婦同氏との関連性につきましては、御指摘のような御意見があることは承知しておるところでございますが、そのような観点も含めまして、各界各層における議論が深められ、大方の国民の御理解を得ることができるような状況で見直しが行われることが相当であると考えるところでございます。
また、林委員からは、資料2-(3)1ページで書かれている「国民の意識の動向を見守りつつ、引き続き検討を進める」として、従前の資料1の記載と比べて「努める」という語句が消えているではないかという御指摘をいただいているところですが、特に意図があるわけではございませんで、単に資料1の方では、施策について記述しなさいと書かれているのに対して、資料2では、取組状況を記述しなさいと書かれていますので、表現が若干異なっているものでございます。
最後に、鹿嶋会長代理から、別氏制度の議論が活発化していないのは、第2次基本計画が第1次基本計画と比べてトーンダウンしていることによるものかという御質問をいただいておるところでございますけれども、当方といたしましては、特に第2次基本計画を第1次基本計画からトーンダウンさせたという意図はございませんで、実際にそのようなトーンダウンしているわけではないという認識でおるところでございます。
法務省から以上でございます。 - 羽入会長
-
どうもありがとうございました。
それでは、引き続き、税制に関して財務省からお願いいたします。 - 財務省
-
財務省の主税局調査課で税制調査室長をしております有利と申します。よろしくお願いいたします。資料2-(4)になります。
男女共同参画基本計画の中で、税制について男女の社会における活動の選択に中立的な仕組みとしていくことが重要。それから、個人所得課税について片稼ぎ夫婦子2人世帯を標準世帯と考えて検討される側面が強かったが、今後は個人を中心とした考え方を重視する必要がある。それから、配偶者控除について引き続き検討を深めるといった御指摘がありました。それにつきまして、主な施策の取組状況、今後の方向性、検討課題について御説明させていただきます。
男女の社会における活動の選択に中立的な社会制度の検討ということで、これまでの取組でございますが、所得税におきましては、平成15年度の税制改正におきまして、共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回るようになっているということ、それから女性の就業に関する選択等が中立的でないといった指摘もあることも踏まえまして、いわゆる配偶者特別控除の上乗せ部分という配偶者控除に上乗せしている部分がございましたが、その上乗せ部分について廃止するということで、これが平成16年度から適用になってございます。
それから、今後の方向性、検討課題につきましては、平成19年11月に政府税制調査会の答申、抜本的な税制改革に向けた基本的考え方ということで、税制抜本改革についての考え方を答申としてお示しいただいたものでございますが、そこで関連の部分の記載がございます。人的控除のうち、配偶者控除、それから配偶者特別控除については、次に申し上げるような観点から見直しを図るべきとする意見が多く見られたということです。
1つ目として、男女共同参画が進んでおり、また、配偶者の家事労働には納税者本人にとっての経済的価値がある。
それから、現行制度は配偶者の就労の中立性を阻害している。
それから、納税者本人は配偶者控除等の適用を受け、配偶者が基礎控除の適用を受けることで、二重に控除を享受する場合がある。
それから、配偶者控除等を見直して、その財源を子育て支援に充ててはどうか。こういった意見が多く見られたということが書かれております。
一方で、その中の議論でも、夫婦は生活の基本的単位であって、現行制度を維持すべきといった意見もあったという答申をいただいております。
それから、今年3月に所得税法等の一部を改正する法律、これは21年度税制改正法と言われているものですが、附則第104条に税制の抜本的な改革において、どのような方向性で検討を進めるかということが書かれてございます。その中で個人所得課税につきまして、格差の是正、所得再分配機能の回復の観点から、各種控除、税率構造を見直し、それから給付付き税額控除の検討を含む歳出面も併せた総合的な取組の中で、子育て等に配慮して中低所得者層の負担の軽減を検討するといったことになってございます。
いずれにいたしましても、個人所得課税を含む税制の抜本的見直しということについては、更に検討を深めてまいりたいと考えております。以上でございます。 - 羽入会長
-
ありがとうございます。
それでは、引き続き社会保障制度に関して厚生労働省から説明をお願いいたします。 - 厚生労働省
-
厚生労働省の年金局で企画官をしております内山と申します。よろしくお願いいたします。資料2-(5)をごらんいただければと思います。
まず、パート労働者への厚生年金適用拡大ということで、平成19年、2007年の通常国会に被用者年金一元化法を提出しております。この法案には、1枚めくっていただいたところに概要を付けてございますけれども、正社員に近いパート労働者に対しまして厚生年金を適用拡大するという内容が盛り込まれておりました。これは、賃金によりまして生計を営む勤労者につきましては、できるだけ被用者年金を適用することが望ましいと考えておりまして、こうしたことから、まずは働き方が正社員に近いパート労働者の方に対して厚生年金の適用を拡大しようというものでございました。
この法案は、平成19年の通常国会に提出しましてから、本年の通常国会までずっと継続審議と扱われてきたところでございますけれども、先般、衆議院が解散されましたことに伴いまして廃案になっております。
これに加えまして、この法案によります適用拡大を超えて、すべての被用者に対して厚生年金の適用をすべきという議論もございます。こうした議論につきましては、現在、年金制度につきましては基礎年金の最低保障機能の強化等が議論になっておりますし、これからも制度を検討していかなければならないと思っておりますので、こうした制度環境が大きく変化する際にあわせて検討していくべきものだと思ってございます。
続きまして、委員の先生方からいただいております御質問について簡単にお答えさせていただきたいと思っております。
山田委員から2点、1つは、第3号被保険者の在り方につきまして、2点目としまして遺族年金について御質問いただいてございます。
第3号被保険者制度につきましては、委員から、男性が非正規あるいはフリーランスの場合には、女性が専業主婦であっても保険料の納付義務が生じる。これは、強者に優しく、弱者にむち打つ制度ではないかという御質問でございました。
第3号被保険者につきましては、昭和60年に年金制度を大改正いたしまして、その際に基礎年金というのができてございます。基礎年金制度を導入する際に、片働き世帯の老齢年金は従来の給付水準を維持しつつ、夫と妻それぞれの基礎年金、被用者の報酬比例年金といたしまして、それから、通常は所得のない第3号被保険者に係る費用負担については、独自の負担を求めずに被用者年金の被用者全体の保険料拠出によって賄うことにしたものであります。
これは、その配偶者であります被保険者が負担した保険料につきましては、夫婦で共同して負担したという考え方に立ちまして、第3号被保険者自身には独自の負担を求めないこととしたものであります。
一方、第1号被保険者につきましては、所得の把握が困難でありますことから、定額保険料を基本としつつ、収入がなかったり低所得の場合には保険料を減免する仕組みを設けております。
現状制度はこういうふうになってございますけれども、先ほど御説明したように、賃金によって生計を営む勤労者につきましては、できるだけ被用者年金を適用することが望ましいと考えておりまして、先ほど御説明いたしました被用者年金一元化法案を国会に提出してきたところであります。いずれにしましても、第3号被保険者制度につきましてはさまざまな議論があるところでございまして、今後、更に議論を続けていく必要があると考えてございます。
2つ目の質問、遺族年金制度につきましては、男女に差別的な取り扱いがあるのではないかという御質問でございました。
遺族年金制度自体は、一家の生計の中心となっている人が死亡した場合に所得補償をするという制度でございます。支給対象は、残された遺族の方がどれだけ稼げるか、どれだけ稼得能力があるかに着目して設定しておりますので、一般に稼得能力を有すると考えられる人については支給対象にしていないところでございます。
現行の支給要件等につきましては、平成16年の改正をしたときに厚生労働省に置かれております社会保障審議会年金部会の意見書におきましても、男女で雇用機会、雇用条件等に格差がある現状では、現行制度の支給要件における男女差はやむを得ないものと考えられるが、将来の雇用の動向を踏まえつつ、その在り方を検討していくべきとされてございます。こうした点からも、男女の雇用機会、雇用条件等の状況を踏まえつつ、その在り方について引き続き議論を行う必要があると考えてございます。厚生労働省からは以上でございます。 - 羽入会長
- ありがとうございました。それでは、文部科学省からお願いいたします。
- 文部科学省
-
文部科学省男女共同参画学習課の土井と申します。よろしくお願いします。
男女共同参画に係る情報の収集、整理、提供について、質問番号9番になりますが、伊藤委員より、全国学力・学習状況調査及び大学入試センター入試における科目別の平均の男女データは把握されているか。PISA等、その他、把握できる学力調査における国内の男女比較のデータはあるかとの御質問をいただきました。この質問についてお答えいたします。
全国学力学習状況調査においては、科目別の平均の男女データは集計しておらず、把握しておりません。大学入試センター試験についても、科目別平均の男女別データを収集しておりません。
PISA、OECD生徒の学習到達度調査については、科学的リテラシー、読解力、数学的リテラシーの3分野について調査を実施しておりますが、それぞれの分野で得点の男女間のデータを集計しております。このPISAについては、義務教育段階の15歳児、日本では高校1年生を対象にしておりますが、2006年に実施されたPISA2006年調査結果によれば、科学的リテラシーについては男女差は統計的な有意差はございません。読解力については、男子より女子が31点高く、統計的な有意差があります。数学的リテラシーについては、男子が女子より20点高く、統計的な有意差があるとの結果が出ております。
これ以外の調査として、TIMSS、IEA国際数学・理科教育動向調査というものがございまして、小学4年生と中学2年生を対象に算数・数学と理科について調査を実施しております。こちらについても男女差について集計し、公表しております。小学4年生、中学2年生、算数・数学、理科、いずれも男女の統計的な有意差はないとの結果が出ております。以上です。 - 羽入会長
- ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について質疑に移りたいと思います。どうぞ御自由に。
- 伊藤委員
-
申し訳ないですけれども、国際的な学力調査に関してはかなりジェンダーに敏感な調査結果が出されているのに、なぜ日本の文部科学省においてはそれが出されていないのか。たしか何年か前の一斉学力テストに関しては、男女差のデータが新聞報道された記憶があるのですけれども、その後、全然出されていないのでちょっと気になっていました。大学入試センターはなかなか難しいかもしれませんけれども、学力テストはきちんと把握しておく必要があるのではないかと思います。
もう一つ、PISAの調査で、低学力層に男児が多いというのは、OECD諸国の中で大体平均した現象としてあらわれているという記載があるのですけれども、日本の場合はどうなっているかというのをお調べになったことがあるかどうかお聞きしたい。 - 文部科学省
-
全国学力学習状況については、解答用紙において個人を特定できる情報を取得しない形で実施しています。実際、解答用紙には男女の記載欄がありますが、これは個人票を正しく児童生徒に提供するという目的でとっているもので、男女別の集計・公表はしておりません。
以前、一番新しいのが平成15年なのですが、小・中学校教育課程実施状況調査がございまして、こちらは学習指導要領の目標・内容に照らした児童生徒の学習状況の実態調査として実施するものですが、こちらについては男女別でデータをとってございました。
今、伊藤委員がおっしゃられたPISAの状況については、持ち帰り確認させていただきます。 - 羽入会長
- どうぞ。
- 岡本委員
-
数点質問があります。
まず、内閣府に質問ですが、男女共同参画宣言都市の奨励をしていると書いてあります。具体的に現在どのくらいの都市が宣言都市となっているのか、もし割合的にわかれば教えていただきたいということ。
それから、地方自治体の男女共同参画条例についてなのですが、2008年4月1日の数字はたしか21.9%ぐらいが条例制定をしていると出ていますが、直近のデータがあるかどうかということと、この数字が努力義務だとしても、若干低いのではないかと感じております。これについて内閣府としてどういう評価というか分析をしていらっしゃるのかということを伺いたいと思います。
もう一つ、総務省、今日は資料が出ていてもヒアリングがないということですね。ということは、これはまた別途やるということになるのでしょうか。実は、男女共同参画担当委員についてお伺いしたかったのですが。 - 羽入会長
- 最初に申し上げましたけれども、総務省に関してはペーパーでお答えいただいていますけれども、質問についてはお出しいただいて、そして内閣府を通して改めて御回答いただくことにしたいと思います。
- 岡本委員
-
では、それはまた別途ということでよろしいですか。わかりました。
最後に法務省に伺いたいのです。先ほど御説明がありませんでしたが、人権ホットラインの関係です。これについて、相談担当者にできる限り女性、または人権擁護委員を配置するよう努力していると書いてありますが、この相談員に対する具体的な研修。特に、人権擁護委員の方はいろいろなことを既に御存じだとは思いますけれども、具体的な研修というものをどのようにされているのかを伺いたいと思います。特に2次被害などに関して、裁判所はジェンダーバイアスがかかるということもありますので、しっかりと研修していただきたいと思っています。その辺のことについてお伺いしたいと思います。
それから、人権相談についてですが、相談内容によっては緊急的に対応しなければいけないこともかなり多いかと思います。そこで、DVの議論がまた別にありますので、その場になるのかもしれないのですが、保護命令申し立てについてを見ますと、かなり複雑な対応というのでしょうか、複雑な形で申立書を書かなければいけません。
例えば配偶者暴力相談支援センターか警察に相談したことを記載しなくてはならない。それに相談していなければ、公証役場で宣言をしなくてはいけない。そうなると、公証役場で大体1万円以上、お金もかかりますし、それから添付する資料なども、こういう方たちにとってはもしかしたらかなりの額がかかっているのではないかと思うのですけれども、そうしたことについてもう少し簡便化できないかと感じているわけですが、これについての御議論がされているか。これは後で結構ですけれども、お伺いできればと思います。 - 羽入会長
- ありがとうございます。それでは、内閣府と法務省からお答えいただける範囲でお願いします。
- 大西企画官
-
それでは、御質問についてお答えできる範囲でお答えいたします。
1件目の宣言都市奨励事業の全体の割合は、全体で宣言都市の数は122都市ありまして、6.7%となっております。
続きまして、条例の制定率、平成20年で市区町村合わせて21.9%、これが最新の数値でございますが、市区と町村に分けたデータ、21.9%の内訳といたしましては、市区が40%、町村が7.5%、平均して21.9%となっておりまして、条例の制定自体は地方自治体のお考えということになりますが、市区の方では40%まで進んでおりまして、引き続きいろいろな形で取組が進むよう努力してまいりたいと思っております。
最後のDVの件につきましては、後日お答えさせていただければと思います。 - 羽入会長
- ありがとうございました。それでは、法務省。
- 法務省
-
法務省でございますけれども、第1点、人権ホットラインあるいは人権相談の関係で御質問いただいたのですが、大変申し訳ございません。人権擁護局の担当者が来ておりませんので、後日、別ルートで質問いただければ対応させていただきたいと思います。
それから、保護命令の申立て方法が複雑なのではないかという点につきましては、申し訳ございません、これも担当がおりませんので、これも御質問いただければ、また別途対応させていただきたいと思います。大変申し訳ございません。 - 羽入会長
- 岡本委員は、法務省関係のことを、御質問いただいておいて、内閣府で承るということにしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
- 岡本委員
- わかりました。それで結構です。
- 羽入会長
- それでは、辻村委員、山田委員の順番で。
- 辻村委員
-
辻村でございます。いろいろ御丁寧に御回答いただきましてありがとうございました。
幾つかございますが、まず8番の総務省の回答について少し言及させていただきます。私は女性差別撤廃委員会の勧告の52、54のパラグラフの中で、次の報告までに調査するようにと記載されているところを読みますと、アイヌ、部落、在日コリアン、沖縄ウーマンの女性についてどういう差別があるか。それから、53、54の方では、シングルマザーだけではなくて、地域の女性とか障害を持った女性についてとかなり細かく書いてあります。それで、日本ではこれまでここに書かれているような状況について、具体的な調査をしたことがないのではないか。そうすると、次の報告までに実際にそういう体制が整っていなければできないのではないかと考えまして、総務省に対して、実際どういう調査が存在するのか、本当に可能ですか、ということを聞きたかったのです。私は「可能かどうかを御教示願いたい」と書いたのですが、一番最後の紙に回答が出ておりますが、、回答では「可能な限り、結果提供の充実に努めてまいりたい」と書いてありまして、全然回答になっていないと思います。どういう可能性があるかということを伺いたかったので、申し訳ないのですが、ここについては少しお考えいただいて御回答いただきたい。
先ほど内閣府の方からは、マイノリティーに対する施策とかがあるので、ひとり親家庭についても調査があるということでしたけれども、撤廃委員会の方はもう少し細かいことを要求しているようなので、果たしてこれに答えられるような調査結果があるのか、本当に心配になりましたので、よろしくお願いいたします。
次は、法制審議会の民法改正手続きのことでございます。法務省から御回答いただきましてありがとうございました。御回答いただいた中では、まさに法制審議会レベルで法案提出を見送って以後、与党と野党でいろいろ議論があって、国民の方も意見が分かれているので、それきりで何も検討していないという筋でお答えいただいたと思いますが、私の質問のNo.2の方では条約履行義務が強調されていて、女性差別撤廃委員会では、「世論調査に依拠して、国民が何もわかっていないから何もしないでいいのです、ということでは言い訳になりませんよ。日本は条約を結んでいるのだから履行義務がありますよ」という形で求めてきているわけです。すなわち「まだ議論がありますとか、反対も強いから」ということでは言い訳にならないのではないかと考えられますので、No.2のマル3のことについてはお答えがなかったと思いますから、もし補足できればよろしくお願いいたしたいと思います。
さらに、進捗状況をお伺いした1番の方ですが、これは法制審議会レベルでは行っていないということは存じておりますけれども、研究会レベルでは「ジュリスト」にも掲載されておりますし、今年10月の私法学会でもこれについて具体的に検討されることになっているはずでございまして、法務省がこれに全く関わっていないという認識でいらっしゃるのかどうか、そこのところを少し教えていただきたいと思いました。
ここは御承知のとおり、18パラグラフの民法改正について2年以内に回答を出さなければいけないのです。ですから、どのように対応されるおつもりなのか、条約履行義務のことと進捗状況について補足をお願いできれば幸いでございます。 - 法務省
-
まず、条約履行義務の関係の御質問でございますけれども、確かに先般、そのような御指摘があったことは承知しておるところでございます。ただ、これも繰り返しになりますけれども、何分家族関係とか婚姻関係については、かなり皆様の御意見がそれぞれ分かれるところございまして、法務省としてはなるべく大方の賛同を得た形で法案を進めたいと思っております。
ですので、先ほどちょっとお答えしましたとおり、法制審の内容とか選択的夫婦別氏制度の内容について、いろいろな会合等で求められれば、こういった感じですと御説明しておりますし、それからホームページでもこういったものについて公表しております。
それから、先般、7月29日に民法成年年齢部会、民法の成年年齢の引下げに関するものを御審議いただいた法制審議会で部会のとりまとめが行われた段階で、総会にまだ諮られていない段階のものでございますけれども、その部会でとりまとめられました民法成年年齢の引き下げについての報告書におきましても、民法の成年年齢を引き下げる場合には、婚姻適齢については男女とも18歳とすべきであるという意見が書かれまして、これはホームページで公表されておるところでございます。これが法制審総会で了承されることがあれば、また公表されることになろうと思います。
もう一点、改正作業の進捗状況。先ほど「ジュリスト」に出た家族法研究会の関係で法務省が関与しているのかという御質問でございますけれども、今般「ジュリスト」で報告された学者の先生方の研究会には、法務省は一切タッチしておりませんので、ちょっとその点については何ともお答えのしようがございません。 - 羽入会長
- 辻村先生、今のお答えでよろしいですか。
- 辻村委員
- 成年についての部会報告は承知しておりますけれども、これは施行時期については明示されておりませんで、一応答申が出たという段階です。しかも婚姻適齢だけですので、婚姻適齢の問題についてこういうのが出ましたということだけでは、余り回答になっていないので、もう少しトータルに進める必要があると思います。まさに先ほどの「努める」ということですけれども、積極化していくためにはどうしたらいいのかということを御検討いただければありがたいと思いました。
- 羽入会長
- もう一つ、総務省についての再質問は、内閣府の方で再度、辻村委員のお考えをお伝えくださいますようにお願いいたします。それでは、山田委員、林委員、どうぞ。
- 林委員
-
今回、最終見解で出ている民法改正は、御存じのとおり今回初めて出たわけではなくて、2003年の6年前の勧告にも含まれていた、ほぼ同じ内容が繰り返されています。それに対して、「様子を見ています、世論の動向を待っています」ということだけでは済まないというのが今回の勧告の内容だと思います。今回、和訳が出るということですので、それを見た後で皆さんと議論するべきかもしれませんけれども、民法改正については、Take immediate action to the civil code、直ちに改正するためのアクションを取ってくださいということが要請されています。
法務省としては、「まさか女子差別撤廃委員会から、夫婦別姓が実現しないことや婚外差別があることが条約違反だということを言われると思わないで批准してしまった。ところが、こんな勧告が出てしまった」ということなのか、そうではなくて、「条約に反しているということは認めるけれども、国内的に障害があってできないのだ」ということなのでしょうか。
今回、女子差別撤廃委員会では個人通報でフランスの夫婦別姓についての案件がフランス国民から上がってきたのですが、フランスは2005年までは嫡出子は母の夫の氏を名乗るという慣習法によって、子どもは父の氏しか名乗れなかった。2005年に法律を改正したのだけれども、遡及効がないことに加えて、父親に拒否権があって、夫婦で話し合いがつかないときは父の氏を名乗らされる。フランス政府の答弁は、「夫婦の間で子どもの氏をどっちにするか論争が起きると、子どもに名字がつかないではないか。そのような事態は、世界人権宣言と子どもの権利条約に違反する。子どもは、出生と同時に氏を確定する権利があるのだ」ということを言っていました。
日本政府も何かそういう反論があるのであれば、委員会へ出てきて反論すればよいと思うのです。それなしに、「時間がかかっています、今、世論調査をやっています」ということだけだと、委員会としては、日本人は一体何を考えているのだろう、何をやっているかわからないということになってしまうのです。このような指摘を委員会から受けたことについて、法務省はどうお考えなのでしょうか。 - 法務省
-
ただいま林委員から御指摘があったような指摘が女子差別撤廃委員会からあるということは承知しているところでございます。ただ、日本の民法の規定、そもそも何の合理的な根拠もなくつくられたものではなく、やはり一定の趣旨に基づいて作成されたものでございまして、その趣旨について現在に至って、全部その合理性を失ったのかというと、まだなお一定の合理性を有していると思っている次第でございます。
そういった中で、国民世論、それから、それを反映してだと思いますけれども、国会議員の間でも意見が峻烈に分かれている状況がございますので、法務省としては、法制審としてこうした方がいいのではないかという意見が出て、そういった状況については国民の皆様に提供しつつ、なお議論の推移を見ていく必要があるのではないかと考えている次第でございます。 - 羽入会長
- 今のような御質問があったことをお聞き及びいただくようにしたいと思います。
- 辻村委員
- 一言よろしいですか。例えば、再婚禁止期間規定でもいろいろ議論があったのですけれども、フランスでも2004年の改正で全部削除しました。韓国もこのたび、短縮ではなくて全部削除しました。これについては、ほかの国でも当然、多くの議論があるのです。国民の世論を二分するような議論があるのですけれども、政府、その他の関係機関の非常に強い意思によって、そういう法改正ができていますので、その方向性は女性差別撤廃条約その他に照らして正しいという認識のもとに政府が法改正を行っているのだと思います。外国でもそのような状況ですし、日本でも私などは憲法違反だということを自分の憲法の教科書にも書いていますけれども、当然そういった議論もあるわけです。国民の意識が、何もしないあいだに突然改正賛成が80%になるなどということは殆どないので、そうなってから改正するということでは、なかなか追いついていかないと思いますし、これに対して差別撤廃委員会の方で業を煮やして何回も同じように勧告を出しているのに、何も進展がないのではないか、という対応だと思いますので、その辺りは重々御承知のことだと思いますけれども、今後も御検討をよろしくお願いしたいと思います。
- 羽入会長
- 今の御趣旨は、国際的にどういう立場にあるかということが日本の政府にとって、あるいは日本の国にとって重要であるという意図があると思いますので、今の発言をお聞き置きいただきたいと思います。それでは、山田委員、帯野委員。
- 山田委員
- 先ほどの追加質問です。先ほども申し上げたとおり、通常収入がない第3号被保険者は、納付しなくても納付したものとみなすという制度なのに、それは、実は専業主婦とイコールではなくて、非正規雇用やフリーランスの妻には納付義務が生じてしまう。実際、具体的な経験から私は言っていまして、夫が正社員からフリーランスになった途端に、専業主婦なのに納付通知が来た。これは何でなのですかと聞かれたときに、厚生労働省でしたらどうやってその人に回答するかというのを聞きたいのですが、回答できるでしょうか。
- 厚生労働省
- 非常に難しいですけれども、第2号被保険者の扶養されている方であれば第3号になるということなのですけれども、そこは当然、第2号被保険者の適用はどこまでするかという議論と、まさにある意味裏表の関係にあると思います。現状の制度では、第2号被保険者の適用がない方については、先生がおっしゃられたものは、その世帯としては1号同士になるとしかお答えできないと思います。
- 山田委員
- つまり、収入のない専業主婦であっても、夫が第1号であったら納付義務があるのは当然であるということですか。
- 厚生労働省
- 夫が第1号であれば、当然妻も第1号。基本的には、皆さんある意味、第1号というか、国民年金の部分は払う仕組みになっているわけですから。
- 山田委員
- 第3号被保険者の趣旨から外れる人がいるということはお認めになるわけですね。
- 厚生労働省
- 趣旨といいますか、第2号の。
- 山田委員
- 法律的には、勿論私もわかっております。つまり、収入がないから、払わなくても払ったことにするということから外れる人が出ているということは、もうお認めになるわけですね。
- 厚生労働省
- それは、先ほども御説明したとおり、もしも第1号被保険者で収入がない方であれば、保険料を払わずに免除する仕組みがあります。
- 山田委員
- 保険料が減額になりますから、3号は減額されませんね。
- 厚生労働省
- 要するに3号から外れる人は、勿論おります。
- 山田委員
- 認識なさっているということでよろしいですね。
- 厚生労働省
- はい。ただ、おっしゃられるようなケースは、専業主婦だった方に収入がないとすれば、免除の対象者になるのではないかと思います。
- 山田委員
- 払ったとはみなされずに、免除して減額されるということですね。それは認めるということですね。
- 羽入会長
- それでは、帯野委員。
- 帯野委員
-
女性のキャリア形成支援について文科省にお伺いしたいのですが、文科省ではキャリア教育に重点的に取組まれていることは承知しているのですが、中等・高等教育の中で女子学生に特化したキャリア教育というものをお持ちなのか。もし推進されていらっしゃるとすれば、どのような状況なのかを伺いたいと思います。
質問の趣旨ですが、今、大学では入学者獲得のために出口保障に躍起になっておりますけれど、産業界から見ていまして、女子学生たちをいまだ重厚長大、いわば男性社会の中にほうり込むことが本当に幸せなのかというのを常に疑問に思うわけです。男子学生は、とにかくどこかの会社に入る以外のことは余り考えていないように思うのですが、女子学生は、その中で本当に自己実現ができるのかどうかを考えています。自己実現したいという意識は、男子学生よりはかなり高いように思いますので、そういう女子学生のために、もうちょっと多様な働き方というものを若いうちからいろいろ教育することが大切なのではないか、そういう視点でお伺いするのですが、いかがでしょうか。 - 文部科学省
-
キャリア教育についての御質問です。
中学校、高校で、例えば共学校で女子だけを集めて何かやるとか、男子だけ集めてという意味での女性に特化したキャリア教育というのは行っておりません。ただ、個人個人、それぞれがどのようにこれから生きていくか、働いていくかということの、個人に着目したキャリア教育という形で進路指導等がなされています。
それ以外に、女性のライフプランニング支援ということで、こちらは生涯学習政策局男女共同参画学習課の方で、女性がキャリアデザイン、キャリアプランニングと言ったときに、それぞれのライフステージに応じたライフイベント、女性の場合、妊娠、出産、子育てと、自分の生き方、働き方を選択する場面が多くなってきますので、そういったライフイベントを視野に入れ、多様な選択肢の中で、主体的な選択ができるような支援について、今年度から新規事業として取り組んでおります。女性のライフプランニング支援は、特に若年層に特化したものではないですが、各ライフステージのニーズを踏まえ支援していたきいと考えております。 - 羽入会長
-
ありがとうございます。まだ恐らく御質問、御意見、おありだと思いますけれども、大変恐縮ですが、ここで質疑をおしまいにさせていただきたいと思います。法務省、財務省、厚生労働省、文部科学省、お忙しいところおいでいただきましてありがとうございました。
それでは、続きまして、第4分野、活力ある農山漁村の実現に向けた男女共同参画の確立について、農林水産省から御説明をいただきます。よろしくお願いいたします。 - 農林水産省
-
農林水産省女性・高齢者活動推進室長の二階堂でございます。よろしくお願いいたします。お手元の資料No.4の農林水産省作成資料に基づきまして御説明申し上げたいと思います。
そもそもやる気と能力のある自立的な農林漁業の経営及び我が国の農林水産業、農山漁村を再生するに当たり、女性が農業就業人口の過半を占めている中で、食の安全と消費者の信頼の確保という視点も含め、女性の参画が必要不可欠であるということは、今回の男女共同参画基本計画の目標にも明記されているとおりでございます。
そして、その理念にのっとり、食料・農業・農村基本法に基づく食料・農業・農村基本計画の中におきましても、女性の役割を重要視しており、また特に農業農村をめぐる今の厳しい状況の中にありまして、例えば、女性が中心となった農産物の産地直売等の成功事例も含め、農村地域の活性化に大きく貢献している女性たちの最近の活動をいかに広げていくのかという観点から、女性の参画を位置づけさせていただき、それとあわせて女性の参画を促進しているわけでございます。
資料に書かせていただいておりますように、そういった省全体の政策とあわせまして、私ども農林水産省では農林水産副大臣を筆頭といたします農林水産省男女共同参画推進本部を設置している中で、毎年度、推進活動計画を明確にいたしまして、計画的に女性の参画促進に取組んでいるところでございます。
具体的には、昨年、男女共同参画推進本部で決定されました「女性の参画加速プログラム」に基き、例えば農林漁業団体等における女性の参画促進に向けた指導啓発の強化ということで、農業委員や農協、森林組合、漁協等農業関係団体も含めまして取組を強化させていただいているところでございます。
また、資料3にも書かせていただきましたとおり、表彰事業等による普及啓発の推進ということで、地域における男女共同参画の啓発を進めている組織に対して「いきいきフォトコンクール」を実施したり、地域で活躍を始めた若手の女性をターゲットにした「明日の農山漁村を担う女性」表彰などを、農林水産省男女共同参画推進本部独自事業ということで実施しています。
また、先ほどの「女性の参画加速プログラム」に基づき、特に農林水産関係団体の男女共同参画意欲というものをしっかり底上げしようということで、昨年は「JA男女共同参画優良表彰」ということで、非常に優秀な取組をされているJA組織に対し農林水産大臣賞を授与するという新しい取組を実施したところでございます。
このような取組を基本といたしまして、今から申し上げるような取組を推進してございます。
まず「個」としての主体性の確保や固定的な役割分担意識の是正という意味におきまして、国及び地域段階におきまして、リーダー的な女性農業者を対象にいたしましたさまざまな啓発資料の作成、シンポジウム、表彰など、今、申し上げましたフォトコンクール等も含めまして、さまざまな啓発活動を行っています。
特に3月10日を「農山漁村女性の日」と定め、全国段階において優良な活動に対する表彰やシンポジウムなどを内容とする一大行事を行わせていただいています。
また、各地域段階、私ども農林水産省には地方農政局というものがございますが、その地方農政局段階におきましても、地域の農業に従事する女性の声を聞かせていただくということでシンポジウムなどを行い、御意見をちょうだいしているところでございます。
また、都道府県や市町村の男女共同参画を促進させていただく観点で、既に平成11年に「男女共同参画推進指針」を示してきたところでございますが、18年度には新たに女性の参画促進ということを推進するために、クロスコンプライアンスも導入させていただいたところでございます。
また、調査研究、研修、統計等における取組の充実という意味におきましては、さまざまな調査研究をさせていただいているところであり、具体的には、例えば資料に載せさせていただきました「農家における男女共同参画に関する意向調査」として、女性が今どのような意識の中で農業経営に参画しているのか、また弊害となっているものは何なのかということについて、調査し、これに基づき施策を充実するという取組をさせていただいております。
また、資料4の5ページに、意向調査結果を載せさせていただいておりますが、世代別の意識、30代、40代、50代、それぞれの世代ごとに農業経営への関わり方に関する女性の意向に関しましては、さまざまな段階がございますが、こうした意向を踏まえたきめ細やかな研修を実施するということも含め、こういった調査に基づ施策を充実させることとしております。また、6ページをあけていただきますと、こちらでは所有に関します意識形成ということで、男性・女性ともにどのような意向を持っているのか、こういうことも踏まえ、もしそれを阻害する要因があれば何なのか、ということも検討を含めながら支援するという姿勢で臨んでいるわけでございます。
また、1ページに戻っていただきまして、情報提供という意味では、平成15年から既に直接電子メールで「農山漁村男女共同参画ミニminiニュース」を配信させていただくとともに、私どもから情報を発信するだけでなく、さまざまな御意見と御質問を承る仕組みづくりも充実させてきているところでございます。
また、資料の7ページに入れさせていただいておりますが「女性農業者の皆さんへ」と題し、支援策活用ガイドということで、非常に関心の高い項目をわかりやすい形でお手元に届くような資料の作成・配布を行い、これは農林水産業すべての女性をターゲットにした形で、私どもの施策・制度等に関する情報の周知徹底を図っているところでございます。
今後の方向性、検討課題に書かせていただいておりますが、特に意識と行動の変革のためには、各主体が各層に対して啓発活動を展開していくという観点で、特に「女性の参画加速プログラム」で示されております各界トップ層への働きかけを戦略的かつ計画的に行うという意味で、後ほど御説明させていただきますが、例えば農業委員であれば、統一選挙のたびにそれぞれの選挙が行われます地域に私どもが赴きまして、個別に働きかけを実施したり、また市町村別の農業委員の選任状況をとりまとめ公表するということで、地域の意識改革を図るということを計画的に行い、着実に地域の意識を変えていくことに努めていきたいと考えています。
また、先ほど申し上げました直売場や農家レストラン、農家民宿といった農山漁村の地域資源を生かした女性起業の活発化により、女性の役割の重要性が地域に広く認識され、男女共同参画意識の向上につながっていると私どもでは評価しているものの、具体的な社会参画という数値情報で見ますと、そこはまだ非常に低い状況でございます。
これはお手元の資料の2ページに入れさせていただいておりますが、例えば農業委員でございますと、女性の割合は現在まだ4.6%でございます。しかしながら、選任委員のうち学識経験者の割合を見ていただきたいのですが、これは28%となっております。、農業委員というのは公職選挙法に基づいて行います選挙の部分と、選任委員という学識経験を中心にいたしまして有識者を登用するという部分がございますが、まずはこの選任委員の中で、女性を登用していこうという運動論を行ってきたわけでございます。ある意味着実に成果を上げている部分もございますけれども、こういった取組を強力に進めるとともに、また女性自身の意識の変革というものを促していくために、引き続き調査・研究の充実、施策に関する情報提供の強化を行っていきたいと考えているわけでございます。
それでは、(2)政策・方針決定過程への女性の参画の拡大に移らせていただきます。
先ほど申し上げましたように「参画加速プログラム」に基づき、地域の意識を変えていきたいと考えているところでございますが、今、申し上げましたように、農業委員に関しましては、特に昨年、農業委員全国統一選挙がございました。このときには、各地域に私どもが出向いただけではなく、各地方農政局単位でも、また女性組織と連携を図って全国統一選挙にあわせました運動論を展開させていただいたところです。
そして、それが終了した後でございますが、統一選挙結果の公表とあわせて、更なる意識の改革に向けて、経営局長通知という形で「統一選挙結果を踏まえた女性の社会参画の一層の促進について」という通知文を出させていただきました。具体的には、資料14ページにあります通知文を本年21年7月13日に発出し、選挙後の取組の結果を通知するとともに、まだ女性農業委員の登用割合の非常に低い地域の女性の登用が進んでいない状況を明らかにいたしまして、その部分について引き続き取組を進めていただくとともに、資料16ページ「農業委員統一選挙後の農業委員の女性の参画状況」、19ページ、各県、市町村レベルの女性の登用状況をつまびらかにいたしますことで、その地域の女性参画に対する意識向上を図っていただく取組を行わせていただいたわけでございます。
このような都道府県及び市町村におけます取組を、意識を変えていくという意味におきましては、引き続きそれぞれの地方レベルにおけます女性の参画目標の策定、及びその達成に向けた普及啓発ということが非常に重要だと考えております。そのような意味では、農林水産業におけます男女共同参画目標をしっかりつくっていただこうと運動論を展開させていただいておりまして、農林水産分やにおける参画目標については全都道府県において作成されておりますが、市町村レベルになりますと現在582市町村ということで、資料27ページにありますように、市町村におきまして、農山漁村の男女共同参画の目標が設定されているのか、またその設定内容はどういうところに着目されているのかという実態をつまびらかにさせていただいております。
こういう実態を踏まえまして、策定割合の低い都道府県並びに市町村に直接的に働きかけていくということはもとより、内閣府主催の担当者会議での周知等を通じまして、地域レベルの意識改革を進めていきたいと考えてございます。
また、農業関係団体という意味では、冒頭申し上げましたように、例えば昨年からJAの男女共同参画優良表彰を設立いたしまして取り組んでいるわけでございますが、平成20年度の優良表彰についてお手元の資料28ページに、また、29ページには、それぞれの組織がどのようにして女性の参画を進められたかということにつきまして紹介させていただいております。このうち1つ事例を紹介させていただければ、農林水産大臣賞を受賞した紀の里農業協同組合についてでございますが、この事例は、女性理事の登用につきまして、まず地域の代表という形で女性を育てていこうという明確な方針を持ちまして、女性の枠としての役員登用ではなく、各地区における地域代表としての女性理事の選出に組織的に取り組み、17年度には女性理事5名を選出するという、非常に計画的、かつ組織的に取組を行っております。
そのほか、受賞されたそれぞれの組織におきましては、非常に計画的、かつ登用につきまして意識を持って取り組んだということで、私どもが表彰させていただいたところですが、こういった取組を組織の中にもっと浸透させるべく、今後も進めていきたいと思っております。
もとの資料に戻らせていただきまして、こういった政策方針決定過程に女性が参画していくためには、勿論こういった組織的な環境づくりだけではなく、女性自身の能力開発というのが重要でございます。したがいまして、私ども農水省といたしまして、全国レベルでの研修会や事例等の情報提供を行うとともに、またモデル事業ということで支援させていただこうと考えています。
今後の方向性、検討課題の中には、先ほどから申しておりますように、今までは全国・都道府県段階を中心に取組んできたところでございますが、今後は市町村とか地域の農業関係団体にターゲットを設定いたしまして、積極的かつ効率的・効果的に取組を行うように進めていきたいと考えています。
特に、女性参画が遅れがちな地域をターゲットにして、トップ層へ精力的に働きかけ、目標達成の具体的道筋を明確にしていくという意味では、先ほど申し上げました、例えばJAの女性参画に関しては、地域の中でどう女性を登用していくのかということで地域の代表として女性を推薦していく、地域の中の意識を改革してそれを組織として方針を決定して取組む、といった取組を広く知らしめるということで、これらの表彰等を通、引き続き計画的に取組んでいきたいと思っているわけでございます。
次に、施策名(3)女性の経済的地位の向上と就業条件・環境の整備でございます。
女性の経済的地位の向上に向けてですが、まず農業に関しましては、家族を中心とする経営が大半でございます。そういう中で、配偶者並びに後継者は家族労働者として位置づけられ、経営者ではないということで経営の中で埋没しがちな状況になってしまいます。したがいまして、そういったことを解消し、また意欲を持って経営に参画していただくという意味におきまして、家族経営協定というのは非常に有効なツールであると私ども認識しております。
特に女性の農業経営において果たしている役割の重要性という観点から、例えば家族経営協定の締結を条件に、共同経営者である女性農業者もパートナーとして経営の中でしっかり位置づけようと考えており、私ども認定農業者制度という制度を持ってございますが、経営の中において地位があいまいになりがちな女性の地位を明確にし、しっかり経営に参画していただくということで、制度の充実、運用改善を図っているところでございます。
なお、現在、家族経営協定の締結農家数は4万663戸でございまして、資料31ページ、32ページにその状況について報告させていただいております。また、認定農業者の推移につきましても掌握させていただいているところでございます。
委員から家族経営協定、並びに幾つか質問がございますけれども、一とおり説明が終わりました後にあわせて御説明させていただきます。
施策名(3)に戻らせていただきます。女性の経済的自立という意味におきまして、さまざまな制度を準備させていただいております。
起業活動という意味におきましては、資料の中に入れさせていただいておりますが、今現在、女性を中心にした活動は9,533事例が報告されるに至ってございます。まだ大半が売り上げも低く、また一人ひとりの女性の収益という形では非常に小さいものも多いのですが、一方で5,000万円以上売り上げている起業体も着実に増えているということで、女性の経済的地位の向上という意味では、こういった起業活動への支援が一層重要であると認識してございます。
また、女性の資産形成という意味では、冒頭「農家における男女共同参画に関する意向調査」の中でも御紹介させていただきましたように、女性の意識の中で個人名義で所有したいと考える資産が何なのかも調査させていただきながら、そういったものを得やすい環境づくりをいかに行うのかという観点で策を充実するという方針でございます。
また、技術・経営管理能力の向上に向けましてはさまざまな支援をさせていただいておりますが、特に近年、若い世代の経営参画を促すという意味では、農業におきまして農業法人等への雇用を促進しようという動きがございます。特に昨年末からでございますが「「農」の雇用事業」を創設させていただき、就労促進を図っております。これは、勿論女性、男性の区別なく、雇用という形態を通じて農業へいざなっていくという施策でございます。
また、女性や高齢者が快適に働くための条件整備という意味で、農作業の安全や労力軽減にも配慮した機械の開発にも取組んでございます。
今後の方向性、検討課題に入れさせていただいておりますが、家族経営協定の締結農家数というのは順調に増加しているものの、ワーク・ライフ・バランス、農家生活における労働、介護、育児労働との兼ね合い、これらを踏まえたバランスある経営を実現する観点からは、十分ではないと認識してございます。引き続き効果的な啓発活動を行っていかなければいけないと認識してございます。
次に、施策(4)に移ります。女性が住みやすく活動しやすい環境づくりです。
農山漁村の女性、農林水産業に従事する場合、農家生活における家事、育児、介護と経営参画をいかに両立させていくのかが重要でございます。そのような観点から、各種ヘルパーの利用や子育て支援に関する環境整備を行っているわけでございます。
今後の方向性、検討課題に書かせていただいたように、女性が経営参画する上で、家庭において家事、育児、介護等の負担が大きいという状況は余り変わってございません。この問題を解決する一つの手段として、先ほど申し上げた家族経営協定について、これは家族経営の近代化を図るだけではなく家族員の労働配分や在り方というものについてもしっかり取組んでいこうという内容でございますので、そういった意味も含めて普及啓発していきたいと考えています。
施策(5)でございます。女性が農林水産業に従事する者の過半を占めていると冒頭申し上げましたが、一方で非常に高齢化も進行しております。従事する方の約6割が65歳以上、高齢者という状況におきまして、私ども産業所管省庁といたしましては、いかに高齢者の方々が生き生きと暮らしていけるか、または従事できるかという観点からの環境整備が重要であると認識しております。
その観点から、高齢者グループへの活動支援という形で、健康や生活面でバランスのとれた高齢者の活動のモデルづくりとともに、農作業に従事するための認知・判断能力、身体能力も含め、安心して安全に農作業に従事できる環境づくりを総合的な支援に取組んでいるところです。
特に近年の調査によりますと、農村の高齢者に関しましては、地域におけるグループ活動に対する期待が高く、さまざまな種類のグループ活動に携わることを希望したり、農村だけではなく、都市の高齢者の方々との交流を通じて関わっていきたいという御要望もあると聞いております。そういった活動をどう支えていくのかというのも、私どもの次の検討課題の一つだと認識してございます。
農業者年金につきましては、農業従事者の社会保障という観点で、国民健康保険の上に立つ制度として設けさせていただいており、農業者であればだれでも加入できる制度でございます。また、家族経営協定を締結することにより、女性も保険料の国庫補助の対象になることができ、農村で長い高齢期を迎える女性にとっての安定的な保障になるという観点から、その加入について推進しているところでございます。これは任意の加入制度でございますので、引き続き加入促進に向けまして働きかけを行っていきたいと考えるところでございます。
以上が私どもの用意した資料でございまして、次からは委員の皆様方から御質問があった件につきまして御説明申し上げたいと思います。
まず、石川委員より、農山漁村を対象とした健康政策はどのようなものがあるかということでございます。
農山村におきまして、医療・福祉等に係る根幹政策は、勿論厚生労働省の所管でございます。しかしながら、産業振興の観点から、それに従事する方々が安心して産業に取組めるような環境づくりという中で、医療・福祉に資する取組をさせていただいております。
特に私どもの施策では、今年からシニア能力活用総合対策事業ということで、例えば医療関係者が農山村地域に出向いて健康管理活動を支援しようであるとか、高齢化が急速に進行する農山村地域における生活支援の助け合い活動を充実させるための人材養成活動を、我が省として支援させていただいているわけでございます。
次に、質問No.12の鹿嶋委員からの家族経営協定の締結農家数は10年前と比べれば大幅に増加したが、大きな流れとならない理由は何か。締結農家数の停滞をどうするか、また戦略として認定農業者を増やした方が効果的なのかどうかにつきましてご質問について、あわせて御説明申し上げます。
まず、協定の締結が大きな流れになっていない理由として私どもが考えているのは、家族の中で決まりごとをつくるのは水くさいという意識とともに、協定の締結に当たって基本的に第三者の立ち会いのもとに締結するということが多くございますが、経営内容を他人に見られるのは嫌だといった意識があるのではないかということでございます。それだけではなく、農山漁村の女性自身が、協定の趣旨は十分理解しているが、例えば法人化も進んでいることもございまして、自分の家の経営が開かれており不満はない、締結する必要性を改めて感じてはいないという御意見もあると伺っています。これにらつきましては、若い世代も含めて、例えば法人化すれば協定は必要ないという意見に代表されるように、私どもとしては協定に対する大きな誤解があると思っております。
先ほどから申し上げておりますが、私どもは、家庭生活と農業経営の両立という意味におきましては、家族の中での労働配分の問題だけ、たとえば収益だけ、農業経営における働き方の問題だけではなくて、家族の中における働き方の問題も含めまして、また経営の高度化を図っていくためにも、家族経営協定というのは非常に重要なツールと認識しておりますが、農業者自身が誤解しているということも十分にあり得ます。ですから、締結農家数の停滞と関連があるとすれば、この誤解されている部分を明らかにいたしまして、女性や若者も含めて、農業者自らがその意義を理解し、あくまでも家族の話し合いをベースとする中で、締結を契機に、構成員が満足できる経営における位置づけや就業条件、育児・介護なども含めた家庭内での働き方の改善について、私どもがしっかりと伝えていくことが基本であろうと思っています。その上で、認定農業者の共同申請とか農業者年金の加入におきまして、家族経営協定の締結によって優遇措置があるということを広く普及していこうと考えているわけでございます。
次に、五條委員より、行政担当職員の確保・配置につきましての御質問がございました。特に、普及員の確保・配置は、どのような状況にあるかということでございますが、現在、全国で対前年比マイナス3%の状況で、約8,000人の普及職員が設置されております。
次に、14番、家族経営協定にも関わる話かと思いますが、認定農業者の夫婦共同申請の仕組みの普及に向けての問題ということで、それぞれの要因分析を行ったデータや検証したデータはあるのかというご質問がございました。
女性の経営における位置づけを明確にするという意味では、認定農業者制度は非常に有効な制度であると私ども認識してございます。その中での夫婦共同申請についてでございますが、お手元の資料32ページ、共同申請は、平成16年以降着実に伸びてございます。一方で単独申請もございます。都道府県ごとに女性の地位向上という観点から、私どもで分析させていただいておりますが、共同申請だけではなくて、女性が1人の経営者として単独で申請される方も確実に増えてございます。
共同申請が進んでいる県は確かにございますが、1件もない地域もございます。一方で、共同申請は一件もないけれども、単独申請が非常に多いところもございます。現在、私どもはこの認定農業者の認定後の女性の意識の変化をしっかり調査して、女性の優良な経営参画モデルとして、また認定農業者を選択された経緯も含めて、広くその活動を分析し、幅広く情報発信をしていこうと考えておりますが、幾つか聞いた事例といたしまして、女性が経営主として認定農業者に認定されたことによって、働く意欲が増すとか経営者としての自覚が増すという女性自身の意識面での変化が起きているということは承知しているところでございます。都道府県別の認定状況につきまして、現在このように把握しているところでございますが、今後もう少し踏み込んで調査してまいりたいと考えているところでございます。
引き続いて、五條委員からありました質問No.15の女性のエコファーマー認定の状況でございます。そもそもエコファーマーというのは、持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律に基づき都道府県知事の認定を受けた農業者ということで、現在、認定件数が18万5,807件ございますが、残念ながら性別調査は特にしてございません。
というのは、今、申し上げました考え方に合致するものであれば、経営者全体の代表者に限定するものではなく、配偶者であっても、後継者であっても、単独または複数のものが参入し、エコファーマーになることが可能であるということから、その男女別の数値については特に掌握しておりません。
次に、伊藤委員からございました家族経営協定締結農家における女性の農業年金加入割合でございますが、今、家族経営協定を締結している農家において、農業者年金に加入している割合は7.9%ございます。
それから、女性の定期的所得を経営所得として、家族経営協定の項目に含めている締結農家数の割合は、72.7%ございます。
また、農業年金の支給金額試算の男女差の是正についてのご質問でございますが、これは是正というよりは、この年金制度設計上の整理の仕方であると考えております。この農業者年金は各人が積み立てた保険料、及び当該保険料の運用収益を基に各人の年金総受取額が決定されております。そして、支給される年金が終身年金であり、かつ男性と女性の平均余命に違いがあることから支給金額に差が生じているというのが理由でありまして、簡単にいいますと、男性は太く短く、女性は細く長く年金が支払われるということでございまして、これは是正ということではないと考えております。
次に、17番、五條委員からございました女性の農地等の固定資産形成をめぐる現状についてのご質問でございます。
まず、農地所有でございますけれども、女性名義の農地の割合については把握してございません。
また、質問マル2の各種資産のうち、農地をはじめ固定資産の所有名義を女性が確保したいと考えている比率は必ずしも高いとは言えないが、その要因をどのように考えているのか。また、実際に効果を発揮しつつある現状の施策は何なのかということでございますが、先ほどの資料6ページの中で、女性の意識ということで御紹介させていただきましたが、女性農業者の経済的自立につながるために女性の個人名義で所有したいと女性自身が挙げているものは、預貯金が1番でございますが、次に生命保険、年金、その次が農地という状況でございます。
また、農地等の固定資産は、家族の経営を安定的に継承していくという傾向の中で、父から息子に継承されるのが基本的な慣習となっている中で、女性が農地を所有しづらいということは勿論あるのですが、一方で今の調査の中にありますように、女性自身が農地の所有というものに対して、それほど強く意識していないということも示されています。
私どもは、その要因について引き続き確認してまいりたいと思っておりますけれども、近年の経済状況も踏まえ、所有意識というものを女性自身が非常に慎重に考えられているのかなと思っております。といいますのは、実はこの調査は、平成20年に実施いたしましたが、平成16年にも実施しております。その際、個人名義で所有したい資産という中で、農地については20年度は14.6%でございましたが、前回の調査では24.4%でございました。農地を所有するよりも使用するということへの意識変化もありますし、また預貯金等の別の資産という意識もあろうかと認識しております。
一方、制度として、女性の農地所有を促進するという意味におきましては、現在、農地あっせん名簿というものがございます。この農地あっせん名簿に共同経営主たる女性を登録するということによって、女性が農地の取得をしやすい環境づくりを推進するということで制度の充実を図ったところでございます。
また、家族経営協定の締結によりまして、この農地あっせん名簿に共同経営主として登録できるとともに、男女に関わらず、各種資金制度の貸付というのも受けられることになってございます。近年、女性の起業活動が活発化しておりますが、この起業活動によりまして女性の直接的な収入の確保につながり、それが契機となりまして農地や家屋を購入するといった事例も見られていることから、これらの制度の充実、また起業活動への支援というものを通じて、女性の経済的自立というのを応援できると考えてございます。
最後の質問でございます。五條委員から、農業に新規参入する女性への支援につきまして御質問がございました。
まず、自営就農及び就職就農のいずれの場合に関わらず、男女間で相談窓口対応や就農への支援活動で差別が生じたようなケースの報告を受けたことがあるかということでございましたが、これに関しましては、そういう報告を受けたことはございませんでした。しかしながら、農山漁村におきましては旧来の家父長制的な考え方、固定的役割分担意識というものが非常に根強く残っていることから、例えば女性が就農する際には、地域の人間関係の中で農地を貸してもらえない等の困難な状況があるかもしれません。そういった意味で、冒頭に申し上げておりますように、地域全体の意識改革、あらゆる場における意識と行動の変革ということで、地域全体の女性の参画促進に関しまして意識をしっかりと変えていくという活動が重要と思っています。
また、農地や資金の話に関しましても、制度の適用に当たっては、男女の性別による差はなく、基本的には制度的な問題はないと考えているところでございます。
以上、足早でございましたが、私どもが用意した資料並びに御質問に対しての回答をさせていただきました。 - 羽入会長
- ありがとうございました。それでは、ただいまの御回答に対して、御意見、御質問、お願いいたします。五條委員、山田委員から。
- 五條委員
-
それでは、最初に各論的なところからですけれども、ほかの先生方から出ている課題も含めて、第1点目、家族経営協定についてですが、鹿嶋先生からの質問に対して、農林水産省の方からは、協定の普及をめぐって誤解の解消ということを中心にお話いただいたわけですけれども、現実問題として、この誤解の解消ということは協定普及を始めたころからずっと進めてきて、以前に比べてその理解というものがかなり深まってきている。
それをもっと進めていかなければいけないということは確かなのですけれども、現行計画がつくられてから、現在のこの状況の中で何が大きく協定普及に影響しているかというと、やはり現場での普及推進の体制なのです。普及推進の体制をめぐっては、協定普及を継続していくための取組、つまり調印式などを定期的に行うという継続するための取組と、協定内容を作成もしくは見直す時に指導・サポートしたりする取組がうまく一体化していかないと、なかなか推進し得ない。
そういう中で、私の質問の中で、そういう取組を進めていく上で普及指導員さんの存在が非常に大事だということを強調したのです。これは、実は家族経営協定に限らず、農山漁村の男女共同参画全体の問題の現場の事務局機能を果たしている、農山漁村の男女共同参画の問題を担当する普及指導員の配置がどうなっているかということが非常に大事なことなのですが、先ほどの回答の中では普及指導員一般の数だけを御説明いただいたにとどまっています。ところが、共同参画の問題に直接携わる普及指導員の数が現実的に脆弱化していて、ここを何とかしないといけないというのが現場の実感なのです。その問題について、どういう状況になっているか、もうちょっと踏み込んで御議論いただきたいということが1点目であります。
2つ目ですけれども、現行の基本計画がつくられて以降のここ数年、新たにクローズアップされてきた課題として、1つは、新規参入という形で就農したいとする女性に対して、どういうサポートができるかということを、男女共同参画の議論ですから、その問題をよく検証していく必要があるということです。例えば、女性であるからということで、相談窓口で差別を受けたという報告は今までないということなのですけれども、果たしてそう断言できるでしょうか。
具体的にいえば、女性が農地を確保して農業をやりたい、新規就農したいといった場合に、往々にして、その相談に対して真っ正面から対応しないで、農村にいる結婚相手をだれか探す可能性がないわけではないのです。そういうことが露骨に出れば、それはジェンダー問題になってきますけれども、必ずしもそういうことに限らず、女性だから差別したということではなくて、違う理由を付けることも十分できるのです。そうなってくると、この問題を考えていく必要があるのではないか。
特に今、若い人の間で農業ブームというのが実際に起きています。だけれども、これは農作業に対して興味を持つブームなのか、本当に農業経営をやりたいとか農業問題に関心を持っているブームなのか、そこが判別できないのです。だけれども、明らかに若い人の中で女性を含め農業を志向する動きが出てきているのです。であるからこそ、女性で就農を果たした人の経験交流を中心に、まずそこを一つの起点にしながら、新規就農したいとする女性に差別的な扱いが起きないような環境づくりというものを、この共同参画の視点からもっと考えていくことが大事ではないかということです。
それから、今日説明の中で出なかったのですが、特に最近クローズアップされていることとして、集落営農における女性の意思決定過程への参画ということが大きな課題になっています。この数年間、集落営農の組織化が農政課題としても重要になっているのですが、農地の権利名義を持たない人が集落営農で意思決定に参加しづらいという問題が出てきています。ですから、農地の権利名義がなくても、その意思決定の場に参加できるような方向づけ、プロセスをどう構築していくか、これが最近の状況として非常に大事な課題になっていると考えます。
それで、済みません、もうちょっと発言させてください、恐縮です。 - 羽入会長
- 簡潔にお願いします。
- 五條委員
-
今、各論的なお話しをしましたけれども、全体を通じての総論的なことで少しお話したいと思うのですが、第1点目は、この基本計画を通じて国が何をすべきかということをもっと明らかにしていくことが大事ではないか。男女共同参画の取組は、少子化対策とリンクするということについては、かなり国民一般に認識されていることでありますけれども、逆にそれに特化されるような傾向をつくってはいけないと思います。男女共同参画を通じて、もっといろいろなこととリンクできる。
今、国が何をすべきかということの中に、例えば環境問題への対策があると思います。この環境対策ということをめぐって、各分野でその問題との接点というものを出していって、それを共通項としてくくっていくということをすれば、もっとこの基本計画が生きていくと思うのです。そういう趣旨において、私は第4分野である農山漁村分野においては、このエコファーマーの認定制度をめぐり夫婦共同申請の推進という課題を一つの象徴的な切り口にして、ぜひその点を次期基本計画に、盛り込むべきと考えます。
2点目、男女共同参画の取組としてのカラーを前面に出した部分をもっと引き立たせていく必要がある。この基本計画全体に言えることなのですが、例えば第4分野でいえば、5つ目に高齢者対策のことが書いてありますが、高齢者一般の対策が余りにも列挙され過ぎているのです。今、農村の男女共同参画の視点で高齢者の問題を取り上げるとすれば、例えば平均寿命が非常に長い女性にとって、独居の女性の問題をどうするか、あるいは老老介護における女性の位置づけを、女性の負担をどうするか、こういうことを鮮明にしてこそ共同参画の視点になっていくわけです。ですから、高齢者問題のところも含めて、どういうことを共同参画視点として取り上げていくかということをもっとはっきりさせていかなければいけないと考えます。
最後に総論的なことで3点目、この第4分野を通じてですけれども、農政課題として取組む固有の課題というのは、例えば認定農業者の夫婦共同申請の問題など幾つもあるわけですけれども、一方でかなり多くの項目は、農村の現場に行けば、それは地域全体の問題として取組んでいかなければいけない課題で、省庁間を超えた課題が数多くあるのです。例えば農業委員の問題1つとってみても、女性の農業委員の登用の問題は農政課題だけかといったら、そうではなくて、現実的に集落ごとの自治会が幾つか合わさって農業委員の立候補者を、事実上絞り込むメカニズムができています。これは、この基本計画の第1分野全体にも密接に関わる問題で、例えば市町村議会の議員を出すときに、選出母体の幾つかの集落や自治会が合わさって事実上の立候補者の絞り込みをやっていることと同種の課題と言えます。そういう社会構造の岩盤をうち崩さなければ変わっていかないのです。
第4分野の推進課題のほとんどが農林水産省一本の担当になっていますけれども、農林水産省と他の省庁との連携で、地域の実際の現場ではどういうことができるかを考えていくような組み立て方をしていく必要があるのではないか。そんなことを強く実感しております。以上です。 - 羽入会長
- ありがとうございます。それでは、時間の関係もございますので、質問いただく方、皆さんに御質問いただきたいと思います。山田委員、伊藤委員、鹿嶋委員。
- 山田委員
-
五條委員に少子化と関連付けるなと言われたのですが、私の専門なので、結婚問題と多少関連付けたいと思います。
家族社会学の間では、いわゆる女性の地位が低いことが農山村の結婚難をもたらしているというのは20~30年前から言われてきたことです。例えば自分の娘はサラリーマンと結婚させたくて、自分の息子には嫁をもらいたいたいという傾向が常に見られるというものがありますが、そういう意識がなかなか変わらないのだろうか、農山村の親たちが認識していないのだろうかという問題意識を持っています。
そして、私は農山村地域に結婚調査に入ったことがあるのですけれども、相手を紹介する際に家族協定を結ぶことを原則としている地域もあるわけです。そういう意味で、例えば家族協定を結んでいる人が多いところでは跡継ぎは結婚難が少なくて、結んでいない地域は跡継ぎの結婚難が進んでいるというデータは、勿論すぐに出せないと思いますが、データはあるのだろうかというのが1点。
あと、その結果、高齢者とその跡継ぎの中高年の息子が残されている地域が大量に存在してきているはずで、その人たちが高齢化したときの対策というものは考えていらっしゃるのかどうかということです。 - 羽入会長
- ありがとうございました。それでは、伊藤委員。
- 伊藤委員
-
私は、農水省に関して、男女共同参画の問題では、省庁の中で一番前向きに動いておられると認識を持っています。先ほどの五條委員の御意見、いろいろ問題があるのはわかるのですけれども、ほかの省庁との連携ということでも農水省がある種モデルとして、もっと動いていただきたいと思っているところがあります。
今の家族経営協定の問題ですけれども、これは商工自営業者における家族従業者の問題とすごく関係している。経産省はなかなか動きにくいところなのですけれども、家族経営協定がちゃんと動いて、どういう仕組みになっているのかわかれば、商工自営業者のいわゆる商工婦人、商工女性の問題とリンクしていく動きができると思うのです。
あと、お聞きしたいのはクロスコンプライアンスの問題なのですけれども、入札の問題と男女共同参画の推進状況をめぐる議論というのは我々もやってきたわけですけれども、この事例は先駆的なものであるわけです。そういう意味で言うと、これは五條委員の、つくるためにいろいろな省庁の枠を超えてということもあるのですけれども、むしろ農水省がつくり出してきた男女共同参画のモデルみたいなものの可能性と限界みたいなものを整理して、全体化する必要が私はあるのではないかと思っているくらいです。
クロスコンプライアンスについては、すごくいいと思うのですけれども、どれぐらい動いているのかというのをお聞きしたいと思います。 - 羽入会長
- ありがとうございました。
- 鹿嶋会長代理
- さっきの説明ですと、家族経営協定に対して女性自身は不満はないけれども云々ということが言われたのですけれども、私は家族経営協定を結ぼうという会話が夫婦で成り立つような農業家庭がむしろ大事なのであって、締結していない家庭の多くはそこまでの会話が成り立っていないのではないかと思っています。家族経営協定を夫婦で結びたいという家庭は、妻がいろいろなことを言う非常に自由な空気の家庭だと思います。そういう関係を見ますと、まだまだ少ないということは、農業自体が男性社会なのかという感じがいたします。
- 羽入会長
- ありがとうございます。では、加藤委員。
- 加藤委員
-
2点お尋ねしたいと思います。
1つ目は、女性や高齢者が快適に働くための条件整備の御説明をいただきましたけれども、農機具を操作中の事故情報について、男女別に分けたデータを農水省はおとりになったことがあるか。それから、農機具の操作性を女性の視点から見直していくということにお取組になっていらっしゃるようですけれども、例えば工業製品の規格づくりのところで経済産業省と連携をおとりになっていらっしゃるのか、おわかりの範囲内で教えていただけるとありがたい。
もう一つは、御説明の中で、資料19ページに農業委員会別の農業委員に占める女性の割合を市町村別にお示しいただいておりましたけれども、現在、高い割合にランクされているような市町村を見渡したときに、私、思いましたのは、これは第1次産業に従事しておられる女性というだけではなくて、それ以外の地域の多様な主体との連携が豊かな地域が割と上位にランクされているとちょっと思いましたが、農水として農業委員に占める女性割合の高い市町村の背景、多様な主体との連携、協働みたいなことを切り口にした背景調査みたいなことをおやりになったことがあるかないか、以上2点お願いいたします。 - 羽入会長
- いろいろ質問がございますけれども、できるだけ要領よくお答えいただきますようお願いいたします。
- 農林水産省
-
それでは、順番に御説明させていただきます。
最初に、五條委員より、家族経営協定を進めていくためには現場の体制づくりが重要とのご意見を頂戴いたしましたが、そのとおりだと思ってございます。私どもといたしましては、従来、都道府県の普及職員を通じまして家族経営協定を推進してきたところですが、農業委員や農業者自身にしっかりと理解していただこうということで、今後は、これらの方に対する推進・普及のための支援をさせていただこうと思っております。もちろん、ご指摘のとおり、現場の体制づくりが重要であると認識しておりますので、引き続き取組んでいきたいと思っております。
認定農業者につきまして鹿嶋委員からも御質問がありましたけれども、認定農業者制度の中で家族経営協定を更にしっかり位置づけたいと考えてございます。経営を改善していく重要なツールという意味では、お手元の資料にも入れさせていただきましたが、家族経営協定を締結し認定農家になられた方で、短期の経営改善の分析に活用し、経営改善に非常に有効であったというお話も承っております。それらも含めまして、認定農業者制度を推進する部局においても家族経営協定をしっかりと認識していただくという取組を通じて、普及員のみならず、あらゆる農業者の支援をする組織に関して家族経営協定を浸透し組織的な取組となるよう促していきたいと考えております。
また、新規参入につきましては、若い世代を農林水産業にいざなっていくということは非常に重要だということで、先ほどの推進事業のことをご説明申し上げました。勿論女性に関しましては、まだまだ地域の女性に対する信頼感が醸成されていない部分があると聞いております。そういった問題が報告されていないというのは、行政的に報告されていないということだけでなく、インターネット上ではございますが、いろいろな問題があれば私どもに直接声が届くような仕組みも設けさせていただいておりますが、その中に上がってきていないということでございます。しかしながら、五條委員が申されましたように、地域におきましては女性に対する思い込みがあろうかと思いますので、私どもとしては、若い女性ですばらしい農業経営に従事されている方々を対象にした表彰事業なども行っています。そういう方々や、また認定農業者で若い方々をターゲットにして、どういう過程でしっかり経営に関わっていったのかということを事例として分析し、広く普及に努めることで、女性が農業経営に参画しやすい環境づくりを、引き続き整えていきたいと思っています。
さらに、集落営農についてでございますが、先ほどはしょってしまいましたが、(2)政策・方針決定過程の中の「主な施策の取組状況及び評価」の一番最後に、女性の能力の開発を図るための項において記載しておりますとおり、「集落営農における女性の参画を促すための集落営農リーダーの意識調査、集落営農と女性起業の融合化に向けたモデル事業」を行っております。集落営農リーダーに対する意識調査の中では、水路をつくるだけではなくて、農産物加工も含めた集落営農経営の中で、農産物加工など女性が得意とする分野をどう取り入れて経営を安定させるのかということで、女性に期待するという集落営農リーダーの意見も幾つか拝見しております。ただ、集落営農リーダーの中では、まだまだそれが大宗を占める意見ではございませんので、女性の活躍事例などを広く周知することによって、そうした意識を広げ、集落営農と女性活動というものをリンクさせていきたいと思っております。
それから、山田委員からの結婚意識問題についてのご質問がございましたが、以前、3K、汚い、きつい云々ということで農業自身がイメージが悪い時代もございましたが、最近は若い人を含めて、農山漁村での暮らしについて意識が随分変化しているところでございます。結婚意識という問題に関しては地域の方からよく言われるのが、経営が安定さえしていれば結婚問題はない、むしろ経営の問題であり、産業自身の問題ではないとおっしゃる方も増えています。青年農業者たちの全国組織がございまして、彼らともお話いたしますが、経営に自信を持たれている方々では、そういった結婚問題を口にされることは少のうございます。ですから、従来に比べて、結婚意識というのは、かなり若い世代については変わってきていると思うものの、申し訳ございませんが、そういった意識データというのはご用意しておりません。
次に、伊藤委員から、クロスコンプライアンスについての質問がございました。どのぐらい有効に働いているのかということでございます。補助事業には基本的にクロスコンプライアンスをかけて、チェックさせていただいております。そういう意味では、最近の農林水産省施策の特徴でございますが、従来、クロスコンプライアンスをかけて一番期待していたのが、都道府県、市町村が意識を持って女性参画について環境づくりを行うことでございましたが、農業者集団や農業者に直接的に実施するような補助事業が今、増えてまいりました。そういった意味では、引き続きクロスコンプライアンスはかかっているものの、むしろ私どもが当初期待していた市町村がクロスコンプライアンスを基に女性参画を意欲的に進めているかという意味では、市町村の女性参画の目標設定が余り進んでいないということから、そこそこクロスコンプライアンスは機能しているけれども、私どもの評価としてはまだまだ足りないと思っております。
それから、鹿嶋委員からの家族経営協定についてのご質問でございますが、おっしゃるとおり、開かれた家庭、家族関係、会話がそもそも成り立っていないのではないかという部分も考えられはします。一方で、非常に経営参画意欲の高い女性農業経営者たちとも話し合いもさせていただいておりますが、彼女らの中には、意識的にむしろそういった文章化をする必要はない、という選択をしている方もいらっしゃいます。ですから、先ほど認定農業者制度の話もさせていただきましたが、まず制度的にそれに関わる人間の中に家族経営協定を理解する者を増やしていくということは勿論のこと、引き続き女性自身が自分の経営参画というものを考えたときに、家族経営協定がどういう役割を演じているのかをしっかり理解していただくための活動というのは引き続きやりたいと思っています。
最後に、加藤委員からありました農業機械の方の話でございますが、農業機械のユニバーサルデザインということで、女性や高齢者に優しい農業機械の在り方、また乗用型トラクターにおける操作具の配置範囲ということで、機械メーカーに対しましてシンポジウムを開催し、こういう配慮を行った方がいいというお話はさせていただいていることは掌握しているのですが、済みません、経済産業省とどのように連携しているかについては、後ほど資料で御紹介したいと思います。また、農作業事故の男女別割合でございますが、基本的に高齢者が大半を占めているものの、女性の割合についての調査はしておりません。私の印象では、大抵はトラクターによる転倒事故なので、男性になろうかと思います。ここも正確には、確認して後ほど御報告したいと思います。以上です。 - 羽入会長
-
御質問、御返答ありがとうございました。それでは、農林水産省とのディスカッションはこれでおしまいにしたいと思います。長い時間、どうもありがとうございました。
次に、基本計画第3部の計画の推進について議論する予定でございましたけれども、時間が少し押しております。委員の先生方の御予定もおありかと思いますので、これは次回にさせていただいてもよろしゅうございますでしょうか。
(「はい」と声あり)
- 羽入会長
-
ありがとうございます。
次に、ワーキング・グループについて皆様の御意見を少し伺いながら、今後の進め方を確認してまいりたいと思います。
ワーキング・グループにつきましては、前々回に皆様から多くの御質問もいただきました。それから、その前、この会合の第2回ぐらいのときに問題の整理をしたと思いますけれども、それを基にして事務局の方でワーキング・グループの検討課題、方針をまとめていただきました。事務局からも御説明いただきますけれども、資料7をごらんいただけますでしょうか。そこに以前、議論したことを少しまとめてございまして、ワーキング・グループの中で話し合うべき、検討すべき項目。それから、共通に検討すべき項目を図にまとめていただきました。これについて、事務局の方から御説明をいただきます。 - 大西企画官
-
それでは、資料7をごらんください。今まで6月5日、29日に開催された専門調査会で何を重点事項としていくかについて話し合われた資料を1つにまとめて作成しております。
本日、机上に配付しております黄緑色のファイルに付箋が付いておりますが、過去2回ほど、重点事項について議論した資料がございます。一番上に付いている付箋の方は、それぞれに関する現状と課題が左側にあります。それから、2つ目の付箋は、ワーキングについての資料があります。これらを一つにわかりやすくまとめた資料として、本日、資料7を提示しています。
資料7にお戻りいただきまして、重点事項が13項目ありまして、現時点で整理したものですが、今後の議論に変化し得るものとなってございます。そして、この重点事項に対応し、今後、右側のワーキングで御議論いただくということと、会長からもお話がありましたが、各ワーキングで共通に御議論いただくことは、更に縦書きで2つほど記載しております。そして、左側にある現状が各重点事項に関係しており、一番上であれば、GEMの話、女性割合が低いとか育児時間の話など、現状と重点事項の関係を1枚にまとめたということと、黄色からオレンジになっている部分は、内容は変わっていませんが、重点事項の並びかえをし、女性の参画やエンパワーメントなどに関連するものが上の方にあります。その次に、男性の理解の深化に関連するものです。次は、人間としての根本に関わる課題に関連するもので、健康や生活困難、暴力の関係です。その次に、意識改革やワーク・ライフ・バランスに関連し、風土の改革やワーク・ライフ・バランスなどです。その次が社会システムに関連した監視・影響です。最後に、国際協調や推進体制という順番に並びかえております。
そのほか、字句の修正を多少加えたり、支援団体の文言を含めたり、一番下の重点は、推進体制と連携強化を一つにまとめておりまして、内容は変わっておりませんが、並び替えをして整理し、下の方にある重点事項が比較的基盤整備的な順番となるように並んでおります。以上が資料7でございます。
続きまして、具体的なワーキングの運営について、資料8でございます。
1は、ワーキングの趣旨で、重点事項に関する課題の調査・審議でございます。
2、各ワーキングの検討事項は、表のとおりで、点線より右側が共通の検討事項です。
3、ワーキングの構成では、資料の後ろに別紙でワーキングごとの委員の案として、お名前を掲載させていただき、それぞれ構成員としております。事前に御連絡いただいた内容でまとめております。今後、必要に応じて、この調査委員会以外の知見を有する方も追加することができるようになっておりまして、例えば一番後ろのページにあります健康や国際は、人数が若干少なめの構成となっております。
資料8の3の(2)に戻りまして、本調査会の委員は、個別の専門調査会で基本計画の重点事項の議論を行う際には、オブザーバーとして参加できるとしています。
それから、(3)で、必要があれば適宜見直すとしています。
開催時期は、9月から来年2月をめどにしてございます。
5番目は、議事要旨等は後日公表の取り扱いで、運営(案)ということで資料を作成しております。以上でございます。 - 羽入会長
-
ありがとうございます。資料7につきまして少し補足させていただきますと、重点事項の真ん中に緑の字で書かれている「風土の改革」、一番下にあります「国と地方の推進体制」というものがございますが、これを縦に移動してもらいました。それは、共通にそれぞれのワーキング・グループで議論すべきこと。いわば、この紙は、現状をどう把握するか、問題点は何かということをオレンジ、黄色の部分でこれまで議論してきたこと。それから、ワーキング・グループをつくるに当たって、何が重要な項目であるかを重点事項として並べまして、その中で共通にそれぞれのワーキング・グループで考えるべきことを右縦に移動しました。
それから、黄色、オレンジの部分をごらんいただきますと、次第に色が濃くなってございますけれども、下に行くに従って全体的な、あるいは基盤的な事柄を扱うということになっております。前回、これについてお話ししましたときにも、それぞれのワーキング・グループでクロスする部分が多くあるのではないかということもございましたので、ワーキング・グループを進めながら、更に情報を共有していくということが今後考えている方向性でございます。 - 羽入会長
-
御質問、御意見はございますか。
五條委員、加藤委員。 - 五條委員
- ワーキング・グループの検討の進め方についてイメージをもうちょっと持ちたいと思っているのです。現行計画をつくるときは、この分け方ではなくて分野ごとのワーキング・グループだったのですが、重点課題ごとでくくるということですので、重点課題ごとにワーキング・グループが何回か会合を開いて、それでとりまとめに入っていくのだろうと思うのですが、そうするとワーキング・グループでは、この資料7で書いてある要素を順に議論していくというイメージで、何回かそれぞれ組み立てて進めていくということなのでしょうか。進め方について、もう少しイメージが湧くように教えていただきたいと思います。
- 大西企画官
- 前々回に、ワーキングで御議論いただきたいイメージという資料を配付させていただいておるのですが、例えば一番上にある女性活躍推進法ワーキングであれば、非常に幅広い内容が論点例に挙げられており、従来の重点分野が複数入ることを念頭に、女性活躍推進法ワーキングという中で御議論いただく。そして、総論的なところを充実させるということで中身を御議論いただく中で、今後、重点分野の扱いについても検討していただき、ワーキングの中で新しい重点分野が必要かどうかも含めて関連するところを御議論いただきたいと思っております。
- 羽入会長
-
到達目標がどこにあるかということを申し上げなければいけないかもしれないと思うのですけれども、この資料7で申し上げますと、黄色い部分に書かれている事柄に対する具体的な提案をしていくということに大きな方向性としてはあると思っています。
今、五條委員が最初におっしゃった重点事項について、それぞれのワーキングで御検討いただき、そして最終的に第3次計画をつくっていこうと考えております。
まだ御質問あるかもしれません。
加藤委員、先に。 - 加藤委員
- 確認ですけれども、13項目の中でも、とりわけ今、担当、ワーキングが付いていない風土の改革並びに連携強化というところは、第3次計画を立てていくときにとりわけ重要な項目だろうと思っております。これだけたくさんのワーキングがあるので、みんな一緒に13項目のワーキングを担当して進んでいくことはなかなか難しいので、この2項目については、また先に行ってから議論を進めたいというのが前々回の議論だと承知しておりますけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。
- 羽入会長
- 最終的にとりまとめのときにという意味でしたら、先に行ってということになりますが、ワーキング・グループを進めながら、全員か、あるいは担当者が随時集まって、これらの点についても同時並行して議論していくと考えております。
- 辻村委員
- ワーキング・グループの名前の検討も含みますでしょうか。といいますのは、例えば「女性活躍推進法」とまとめるのがいいかどうかという議論もあると思います。「女性活躍推進法」というと、何か女性だけの問題で、女性が頑張ればいい、という印象がありますが、そうではなくて慣習とか体制の問題も重要だと思いますので、「活躍促進」でいいかどうかという議論も含むと考えてよろしいですか。
- 羽入会長
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そのようにお願いいたします。できるだけアトラクティブなワーキング・グループの名前が付くといいと思っております。
それでは、委員の先生方には大変な御協力をいただき、また御無理をお願いしているところもございますけれども、できるだけ新しい形での第3次基本計画ができますように、具体的な、かつ実行可能な議論をワーキングで進めていただければと考えております。この形で進めますので、どうぞよろしくお願いいたします。ワーキング・グループに関しましては、これでよろしゅうございますでしょうか。では、局長から。 - 岡島局長
- 1つだけ補足をさせていただきたいのですけれども、こちらの専門調査会の委員の先生方は、資料8の3の(2)という一番下から次のページにかけてございますように、御希望があればオブザーバーとして参加することは御自由ですので、ワーク・ライフ・バランスだけとか、そういうことではございませんので、そこはよろしくお願いいたします。
- 羽入会長
-
それぞれが関連しているので、時間がありましたらほかのワーキング・グループも御参加くださいということですね。ありがとうございました。
それでは、ワーキング・グループについては以上で御確認いただいたことにいたしたいと思います。
それで、最後になりましたけれども、第45回議事録について、これでよろしいかどうか御確認いただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「はい」と声あり)
- 羽入会長
- それでは、本日用意しておりましたのは以上でございますが、事務局から最後お願いいたします。
- 大西企画官
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次回は9月28日月曜日、16時30分から19時まで同じ会場になります。よろしくお願いします。次回は雇用の分野と、本日の積み残し分のフォローアップになります。
なお、同じ日の14時から内閣府5階特別会議室で暴力に関する専門調査会のフォローアップも行います。以上でございます。 - 羽入会長
- ありがとうございます。大変長時間になりまして、かつ積み残しいたしまして、不手際をおわび申し上げます。それは、次回お願いいたします。本日の会議はこれで終了いたします。皆様の御協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。
(以上)