- 日時: 平成19年11月29日(木) 17:00~19:00
- 場所: 永田町合同庁舎第1会議室
(開催要旨)
- 出席者
- 会長
- 袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
- 会長代理
- 鹿嶋 敬 実践女子大学教授
- 委員
- 伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
- 同
- 帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
- 同
- 加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
- 同
- 桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会統括本部長
- 同
- 住田 裕子 弁護士
- 同
- 辻村みよ子 東北大学大学院教授
- 同
- 平野 治生 財団法人日本広報センター理事長
- 同
- 室伏きみ子 お茶の水女子大学教授
- 同
- 渡辺 幸子 多摩市長
- 説明者
- 藤村 幸子 はちのへ女性まちづくり塾生の会代表
- 同
- 菅原由美子 菅原由美子観光計画研究所主宰
(議事次第)
- 運営規則の一部改正について
- 男女共同参画の今後の地域レベルの推進方策について(男女共同参画と地域おこし・まちづくり)
- (1)関係団体及び有識者からのヒアリング
はちのへ女性まちづくり塾生の会代表
菅原由美子 - (2)意見交換
- (1)関係団体及び有識者からのヒアリング
(配布資料)
- 資料1
-
基本問題専門調査会運営規則の一部改正について(案) [PDF形式12KB]
- 資料2
-
地域おこし・まちづくりに関する施策・事業例 [PDF形式15KB]
- 資料3
-
はちのへ女性まちづくり塾生の会資料 [PDF形式98KB]
- 資料4
-
菅原由美子資料 [PDF形式13KB]
- 資料5
-
基本問題専門調査会 委員ヒアリング記録(案) [PDF形式81KB]
- 袖井会長
-
今日はこんなに遅い時間、そして寒い中、御出席いただきありがとうございます。ただいまから基本問題専門調査会の第33回会合を開催させていただきます。
今回は、「男女共同参画と地域おこし・まちづくり」をテーマにヒアリングと意見交換を行いたいと考えております。
今日は遅れていらっしゃる方がおられまして、今のところ、その方を入れないと定足数に達しない状況でございますので、運営規則の改正については後回しにさせていただきまして、ヒアリングの方を先にしたいと思います。よろしくお願いいたします。
今回は、「はちのへ女性まちづくり塾生の会」の代表の藤村幸子さんと、観光・地域プランナーの菅原由美子さんをお招きしております。ヒアリングの前に事務局から配付資料の説明をお願いいたします。 - 安田企画官
-
資料1は後回しにする運営規則の改正でございます。
資料2ですが、毎回配っております自治体に対するアンケートの結果、観光、地域づくり、まちづくりの部分をお配りしております。資料3、4は今回の藤村様、菅原様の資料。資料5は、定足数を割ったので正式な議事録とはしておりませんけれども、9月19日の委員ヒアリング記録の案でございます。
その他に、委員の方からの資料がございます。
それから、参考資料といたしまして、毎回同じものですけれども、地方公共団体等の体制図などを配っております。
それから、本日の論点案。最後に時間があれば御紹介したいと思っておりますが、まだほとんど整理されていないものですけれども、基本問題専門調査会の論点(素案)の未定稿という1枚ものを配っております。
以上です。 - 袖井会長
-
それでは、ヒアリングに入りたいと思います。
最初に「はちのへ女性まちづくり塾生の会」代表の藤村さんからお話を伺います。
「はちのへ女性まちづくり塾生の会」は、今年度、内閣府の地域活性化事例研究事業で、八戸市における観光商業の活性化に取り組んでおられ、その活動をまとめたDVDを作成される予定です。では藤村さん、よろしくお願いいたします。 - 「はちのへ女性まちづくり塾生の会」代表 藤村幸子
-
皆様、初めてお目にかかります。私、「はちのへ女性まちづくり塾生の会」の代表をさせていただいております藤村と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。
皆様には、資料4枚をお配りしておりますので、これに伴って御説明したいと思います。
まず、私たちの会が立ち上がった経緯は、平成13年度に八戸市で男女共同参画の条例をつくりました。そのときに、人材を育成するという目的で、八戸市の行政の方で「はちのへ女性まちづくり塾」というものを企画してくださいました。
その1期生として、我々会のメンバーが最初に入ったわけです。そして1年間の勉強が終わりまして解散するとなったときに、みんなで「このまま終わるのはもったいないね、これからいろんなことで、おしゃべりができる会ができればいいね」ということになったのが、最初のいきさつでした。このような形で、今どんどん進めていけているのは、私たちも正直言いまして、ここまで行けるとは思っておりませんでしたので、皆様に御報告したいと思います。
一応、私たちの会は、「はちのへ女性まちづくり塾」を修了した者だけが入れるという約束ごとがございます。
男女共同参画に向けての学習活動、それからまちづくりに向けての活動、それから会員それぞれがエンパワーメントしようという活動、更に私たちの一番の特徴としまして、会員それぞれがいろんな活動をしております。その活動の中身をみんなでフォローし合うのも、私たちの一番の活動の場となっております。
「はちのへ女性まちづくり塾」、それから「はちのへ女性まちづくり塾生の会」という同じような言葉が2つ並んでおりますが、私たちは聴講生としました。常に「まちづくり塾」という勉強の場に参加させてほしいとお願いしてきまして、2年目を過ぎましたときに、八戸市の方からちょっとお手伝いしてみないかというお声がかかりました。そのときに喜んでそれに乗ったのが一番のきっかけで、次の16年度から、塾の企画、運営を私たちの会でさせていただいております。
皆様にお配りした資料の中に、見本として18年度と19年度の塾の講座の一覧表を入れております。こういうふうにみんなが関心を持つこと、自分が勉強してみたいなということを、会員がまずレクチャーしまして、それからいろんなところに交渉しまして、自分たちで講師の選定から、講師のお願いから全てを実行しております。
私たちが今、「まちづくり塾生の会」として一番力をつけていっていると思うのは、45名の会員のうち3分の2が八戸市、青森県のいろんなところの委員会、審議会に、それぞれが公募として参加させていただいていることです。あて職として参加させていただくこともたまにはありますけれども、公募で申し込むのを私たちの目的としておりますので、ほとんど皆さん、自分で原稿を書きまして、それで認められて、結構どんな委員会でも、「はちのへ女性まちづくり塾生の会」幹事であるとか委員であるとか、そういう形で参加させていただいております。
その委員会、審議会に出たときの報告会と称して、月に1回、私たちは勉強会をしております。自分が審議会に出たときにこういう話が出たとか、自分はこう思ったんだけれどもみたいな井戸端会議的な会合を常に開催しております。
私たちが「はちのへ女性まちづくり塾」を企画・運営して、実は今日、今年度の最終の修了式なんです。今回は副代表、それから役員の皆様が企画して、今日は頑張ってくれていますけれども、その修了式の場所で、塾が終わった後に必ず市長にお声をかけまして、これまで市長と意見交換会をしてきたのも、私たちの塾生の会として成り立たせている一番の理由です。
そして、私たちは常に、陳情にならずあくまでも提言をしようということを会員の皆様にアピールしまして、いろんなことをしております。今、まちづくりとして、市民として提言するための活動は、皆様にお配りしました資料の中から読み取っていただければと思います。
あと、スクラップ写真を何枚か付けましたけれども、上の方は、私たちが活動している状況です。次は、私たちが自らエンパワーメントするための活動。名勝種差海岸を市長と歩いたときに、どうせ歩くんだったら、ごみ拾いをしながら歩いて、それから意見交換会をしようという形で歩きました。次に19年度の「まちづくり塾」の様子をスクラップにしたものです。今年は産業観光をメインテーマに、私たちは「まちづくり塾」を運営させていただきました。
観光、まちづくりに女性の視点を取り入れるメリットは何かについてですけれども、私たち「まちづくり塾生の会」は、あくまでも観光客、外から迎える人をターゲットにという活動はしておりません。正直に言いまして、まちなかに集まるため、生活者として、それから市民として、自分たちが楽しくなければいくら観光客を呼んでも意味がないのではないかというのが、私たちの会の共通認識でございます。
その関係で、自分たちが楽しくなるための会合を開こう、それからイベントをやろうということで、イベントのときに、私たちが自らケーキを作ったりコーヒーを沸かしたりして、まちの歩行者天国の所に出ていきます。そこで販売をして、収益を上げながら、市民の皆様の意見を聞く、ヒアリングをするという形で、その意見結果をまとめたものを、八戸市であるとか商工会議所、商工団体、そういう方たちのところに、「私たちがこういうヒアリングをしました。お話を聞いてください」という形でお願いに伺いまして、そこで当事者の皆様たちと意見交換をさせていただいております。
それから公共交通も、これからのまちづくりに対して、八戸市も他の市と変わらず大変懸念されている部分がございます。それに対しても、私たちは自らお金を払ってバスに乗りまして、八戸市からこういうことをヒアリングしてほしいという話は来るんですけれども、その他の部分で、おじいさんやおばあさんたちが乗られたときの苦情であるとか、こう思うという影の部分の意見を私たちは聞き取りまして、それを記録に残して交通部に提出いたしました。それが今、公共交通、それからバスロケーションシステムなどの委員会で活用されていることを、とても嬉しく思っております。
女性がいろんな価値観であるとか視点であるとか、それから女性としての能力を最大限に生かすために、まちづくりに活用できたらなということで、自らが楽しめるまちづくりをしようというのが、私たちの活動です。
次に、若い、幅広い世代の女性が活動に参加し、活動を継続していくための条件は何かということなんですけれども、八戸でもいろんなところで、「まちづくりの活動でも、常に同じメンバーが出てくるね」ということを言われます。正直申し上げまして、私たちが「まちづくり塾生の会」であるとか男女共同参画の視点の別の会であるとか、いろんな会をそれぞれがやっている関係上、常に同じメンバーが集まる。それはとても外から見たら違和感のある光景に見えるらしくて、それが私たち八戸の悩みの種なんです。青森県は今、生活的に働く環境がとても厳しい世の中になっております。その関係で、若い人はどうしても働かざるを得ない。市民活動はどうしても日中でないとできない。そういう苦労はありますけれども、私たちは、いろんな活動の中に、内閣府にいただきました事業の中でもそうなんですけれども、託児を常に入れることにいたしました。その結果、少しずつではありますけれども、子ども連れのお母さんたちが、「まちづくり塾」であるとか、今、内閣府でやっているマップづくりの作業であるとか、そういうところに出てきてくれているのは、少しは私たちもいい方向に行けるという気持ちを高めたかなと思っております。
私たちの八戸でのまちづくりというのは、あくまでも人を育てることではないかと思っています。八戸でいろいろなことができる、いろいろなことを提言できる、人を育てるのがまちづくりなのではないかという感覚で、私たちはおります。
女性たちというのは、感情からの提言であるとか意見であるとか、そういう部分が八戸でも多うございます。そのために、「まちづくり塾」のメンバーだけは、「疑問を持ったら、まず学習をしましょう。インターネットでも、どこかに行って質問してでもいいから、疑問を思ったら必ず学習しましょう。その学習の結果、自分がどうしても納得がいかないときは提言をいたしましょう」ということを会員のみんなと話し合って足並みを揃えております。そこで、「どうしてもおかしいな」と思ったときは、会員に召集をかけまして、「私はこう思うんだけれども、これを市の観光課の方に提言したいんだけれども、皆さんはどう思いますか」という形でみんなの意見をまとめて、会の言葉として提出するように努力しております。常に、個人の意見ではなく、みんなでまとめて意見を持ち寄って、みんなの意見として出すことによって、今、八戸市であるとか商工会議所でも、聞く耳を持ってくれたなというのが、少し形になって表われてきております。
八戸市は、青森県ばかりか東北地方でもいち早く男女共同参画の条例づくりに手がけました。その関係で、私たち八戸市は、女性にとっていろんな行動をする面で、とても協働の部分はよくできているのかなと、私たちは自負しております。青森や弘前の方たちとの交流もあるんですけれども、必ず皆さんから「八戸はいいわね、役所と仲よくて」という言葉がいただけるんです。仲がいいというのは、何もべったりなのではなくて、私たちは八戸でよく使う言葉、皆さんもよく御存じでしょうけれども、「ホウレンソウ」という言葉を常に頭に置いているんです。何かしたいときは必ず役所に報告に行く。そして相談をする。それから必ず連絡を密にするということで、今回この場に来るにも、八戸市の方のアドバイスを大分いただいて、いろんなことを聞いてきたんですけれども、「藤村さん、素直に自分の気持ちをお話ししていいよ」ということで、場違いなところに出てきたなという感じはしますけれども、とりとめのないお話をさせていただいております。
最後に、私たちが行政、地方公共団体と一緒に行動するときに、今一番悩んでいることが1点ございます。それは、八戸市でもそうなんですけれども、「意見を言ってください」、「市長へのお手紙をください」、「何かありましたら、市長に意見提言してください」という形で、行政は行政の仕事として動いてくれます。それを私たちが正直に受け止めまして、意見を申し上げると、役所の方では苦情と取ってしまうんです。私たちは苦情ではないつもりでも、苦情のように扱われるのがとても残念なことです。県でもそうなんですけれども、担当課の方から「その事実関係を聞かせてほしい」というような問い合わせが逆に来るんです。そうすると、やはりこういうことを言ったら、こういうことになって返ってくるという、精神的に、気分的に、感情的によくない気持ちになる市民が多いのが現状です。ですので、やはり意見、提言というものは、あくまでも市民の素直な意見だと行政の皆さんに受け止めていただけるように、私たちももっともっと「ホウレンソウ」という活動をしなければいけないのかなと、今、すごく感じております。
何か取りとめがなくなりましたけれども、私たちが自分が興味があること、それから関心があること、自分一人で動かずに仲間を見つけて、それで何人でもいいから自分らしく動くということを、私たち「女性まちづくり塾生の会」ではモットーとして動いております。
このたびの内閣府の地域活性化事例研究事業で、マップづくりと、八戸のおみやげ、八戸の特産物、それから地元ならではの食生活を取り上げまして、来月、キッチン会議と称しまして、市民の皆さんに試食していただいて、意見交換をさせていただくという事業を予定しております。とてもいい機会をいただけたこと、男女共同参画の女性としての視点、台所に立つ女性としての視点を私たちは大いに言える場を、これから持っていきたいと思っております。ありがとうございました。 - 袖井会長
- ありがとうございました。後ほど自由討議の時間をたっぷり設けておりますが、事実確認や簡単な質問がおありでしたら、どうぞ。
- 伊藤委員
- 資料の中の「まちづくり塾講座」の一番最後にある住民自治懇談会というのは、「女性まちづくり塾」と併せてやっているわけですね。市の別の企画ですね。
- 藤村
- 政策推進課の方でやっていることです。実は、こういうものを設けるのは単位数が必要だからなんですね。15単位のうち11単位まで取らないと卒業できないという約束ごとにしているものですから、不可能な方には、こういう懇談会に参加していただいて単位を取っていただく形を取らせていただいております。
- 伊藤委員
- 18年度は1回だけですけれども、今年は12回のうちどれかに出ればよろしいということなんですか。それとも去年も12回やっていたのでしょうか。
- 藤村
- 例えば18年度の講座の例ですと、10番目だけが単位補充のための講座でして、あとは全部私たちの企画・運営のものです。
- 伊藤委員
- 13番目が12回中の1回、つまり住民自治懇談会は、市が12回やっておられるということですね。
- 藤村
- そうです。
- 伊藤委員
- そのうちの1回に出れば単位になるということですね。
- 藤村
- そうです。
- 伊藤委員
- 住民自治懇談会というのは、どんなことをやっておられるんですか。恐らく12回というのは毎月やっておられるということですね。
- 藤村
- 市長が必ず出ることがこの会の趣旨でして、八戸で協働のまちづくり基本条例をつくったんですけれども、住民に協働のまちづくりの関連で、23ある公民館のうち12会場でやっていることになります。
- 袖井会長
-
それでは、少し時間も押してきましたので、また後でいろいろ御質問や御議論をいただきたいと思いますので、次にまいりたいと思います。
観光・地域プランナーの菅原由美子さんからお話をお伺いします。菅原さんは観光計画研究所を主宰しておられまして、立教大学や東京工芸大学でも講師を務めておられます。では菅原さん、よろしくお願いします。 - 菅原
-
由美子 菅原でございます。本日は、観光地づくりはまちづくりの総仕上げということを基本的な考えとして、約30年間観光まちづくりに関わってきた経験を踏まえてお話をさせていただきたいと思います。事務局から5つのテーマをいただきましたので、そのテーマに沿ってお話をさせていただきます。
まず、女性が地域活動に目覚めるきっかけ、活動に至るプロセスでございますけれども、私は日ごろ女性の方たちと関わって感じたまま、ですからこれだけではないと思いますが、感じたままで申し上げますと、まず一番大きなきっかけになっているのは、危機感ではないかと思っております。
普通、まちづくりとか目標がわからないものに関しては、なかなか参加という形になりにくいのですが、例えば命に関わるような問題に関しては、やはりこうしてはいられないということで積極的に関わるケースが多いのではないかと思っております。
配付資料に事例として挙げましたが、「女性が語る道づくり・地域づくりフォーラム」という全国で女性だけで北海道から九州に至るまでの高速道路整備を推進する全国会議がございます。そちらに呼ばれて講演をした際に感じたのは、やはり高速道路が整備されていないと、特に子どもが病気になったときに病院に行くのが遅れてしまうという危機感でした。ある県の方は、「高速道路は命の道であり、だから必要だ」ということを訴えていらっしゃいました。そこで、私が皆さんに最後にコメントさせていただいたのは、「本当に高速道路が必要なのか、それとも走りやすい道が必要なのかという辺りはちょっと考えが違うのではないか」ということで、「道が皆さんの話だと目的になってしまっている。道はあくまでも手段であるということを、もう少し考える必要がある。皆さんの意見は、高速道路さえできれば全てがかなうという考えになりつつあるのではないか」ということを言わせていただきました。
そのときに、もう少し勉強してほしいということ、なぜ道路が必要なのか、この道路規格が必要なのかを、もっと情報を集めて勉強してほしい、それから、命の道であると訴えるのであれば、病院に到達するまで、あるいは病院の実態をもっと把握してほしいと言いました。今、病院も建物はありますけれども、お医者さん不足という状況ですね。ですから、病院まで高速道路で運んでいっても、お医者さんがいなければ、命の道としての成果を挙げられない。その辺まで地域の状況を全て把握した上で、いろいろな運動をすべきではないかということを申し上げましたところ、かなりショックを受けたということでした。そういう意味で、藤村さんのお話にもありましたけれども、こうと決めたらそれにまっしぐらという形で、周りが見えなくなるところも少しあるのかなという感じがしています。
ただ、いずれにしてもそういうきっかけは非常に大切で、その危機感あるいは別のきっかけであっても、いろいろな形で情報入手あるいは視点を周りに向けることが大切です。そういう面ではよそ者というのも非常に重要な位置を占めているのではないかと思います。そのよそ者は、単にそこを訪れた人だけではなく、特によそからその地域に嫁いできたお嫁さん、そういう方々がその地域に来たときに、いろいろな疑問を感じる。その疑問をいろいろなところにぶつけ、あるいはどういうふうにしたらその疑問が解決できるかということで、その人たちが地域と関わることによって活動に結び付いていく。そういうきっかけを持っているのではないかと思います。
それから、自分自身がよそへ研修に出かけていく、それによって活動に結び付いていく場合もあると思います。そのときに併せてプラスになるのが、よそから自分の町を見る、それとよその人たちと話をすることによって、自分自身の町が見えてくるという、そういう意味でのよそ者との関わりが大きなきっかけづくりになっているのではないかと思います。
きっかけがあった場合、次に活動に至るまでに何が必要かというと、仲間づくりです。その地域で一緒に活動してくれる賛同者、仲間を見つけ一緒にやるという、その仲間がなかなか見つからないのが、現在抱えている課題ではないかと思っています。
よそでの研修会ということで資料の事例に挙げていますけれども、「島づくり人材養成大学」という、離島の女性たち約20名を東京に集めて、4日間ぐらいみんなで話し合いをしながら我が島を見直すという講座を、4年間ぐらいお手伝いさせていただきました。そのときに、最後に皆さんに研修に出た感想を言っていただいた中で、2つほど非常に印象的だったことがあります。
1つは、講座の最後に東京都内の見学を実施しているのですが、一人の受講生が、東京都庁の見学というコースを選んで都庁の展望台に登ったときに、ちょうど夕暮れどきで夕日が沈むときだった。そのときに、展望台にいた人たちが夕日の沈む様を見て、「奇麗」という歓声を上げていた。それを見たときに、「自分たちはそれ以上にすばらしい夕日を毎日島で見ていた。東京の人がこの程度の夕日でこんなに感動するのだとしたら、自分の島に来たときにもっと感動するだろうということを初めて知った。もう一度島に帰って、そういう目で見直したら、もっとすばらしいものが見えるのではないかということに、今日初めて気がつきました」ということをおっしゃったのです。
もう1つは、「自分の息子が中学生で、高校に行きたいけれども島に高校がないので、高校に行くためには本土にやらなければいけない。でも自分としては、漁業を継がせたいので高校にはやらないと言って大反対をしている。ところが、自分が東京に出てきて4日間、こういった全国の島の人たちといろいろな活動をしたときに、ものすごく自分が栄養を得て、こんなにすばらしいネットワークができるとは思わなかった」と。そして「こういう経験を息子にもさせてやりたいので、私は息子を高校にやることに決めました」とおっしゃった女性の話。このお二人の言葉が非常に印象的でした。
そういうことで、やはり外へ出ていろいろな人たちと交流することが大きなきっかけづくりになっているのではないかと思います。ただ、なかなかそういうチャンスがないので、行政の方がそういうチャンスをもう少しつくっていただければ、いろいろな形でそのチャンスに巡り合うことがあるのではないかと思っています。
2番目の観光、まちづくりに女性の視点を取り入れるメリットですが、女性の利点で、特にまちづくりに関してプラスに効いているのは、フットワークのよさではないかと思っています。どちらかというと、男性に比べて失敗を恐れないんです。とりあえずやってみる。ここにも書きましたが、石橋をたたいて渡らないのが男性で、橋がなくてもとりあえず飛んでしまうのが女性ではないか。どちらがよくて、どちらが悪いではなくて、これは車の両輪であって、互いにそれが持ち味になっている。それが男女共同参画ということにつながっていくのではないかと思いますが、車で言うと男性がブレーキ役、女性がアクセル役という感じで、とりあえず面白そうだから何かやってみようと動き出している。それがまちづくりで成功している例に、私も多々出会っております。
それを長く続けるにはどういうことが必要かということですが、一番大きな力になっているのが子や孫にどう引き継いでいくかということ。子や孫が関わると、非常に女性のパワーが発揮されてくると思います。
この例として、先ほどの高速道路の推進で、最後にすごくショックを受けたと言って声をかけてくれた方の活動が挙げられます。このとき、「是非福島の方にも来てほしい。いろいろ企画をしているけれども、どういう企画にした方がいいかというところまでアドバイスをしてほしい」ということで関わったのが、この福島の場合で、「子どもと一緒に未来の町を考えるフォーラム」というものを昨年実施いたしました。どういうフォーラムかといいますと、パネラーが中学生と高校生、聴衆も中学生と高校生。その親はオブザーバーという形で聞きにきてもいいけれども、あくまでも主体は中学生と高校生です。そこに、当時の道路局長をお呼びして、まちづくりと道という形で考えるということをやりました。私は、それのコーディネーターをさせていただいたのですが、非常にユニークでした。そのときに、「是非に」ということで調べていただいて、資料として皆さんに配ったのは、福島と東京の生活費の比較でした。子どもたちは「東京に働きに行きたい」あるいは「東京の大学に行きたい」と、みんな東京志向だということで、「高速道路をつくっても子どもたちは残らないということが少し心配だ」ということが出ましたので、若い世代が東京に出てきて就職したときに、アパートを借りてどういう暮らしができるかということを、家賃等を全部調べて、福島県内に残った場合と東京に出てきた場合とで比較提示をしました。そうしましたら、まず時間がない。通勤が往復で大体2時間ぐらいかかってしまうので、自分たちの時間が減るということ。あと、東京には遊ぶ所がたくさんあるから東京にあこがれるけれども、家賃や生活費を全部引くと遊ぶお金が残らない。遊ぶ場所はたくさんあるけれども遊ぶお金が残らないという実態を、どちらがいいかではなくて、実態を比較の表としてつくってもらって配りました。一番ショックを受けたのは親御さんたちでした。そういうことで子どもたちに提示したら、「ふるさとがいい」、「できれば福島に就職をしたい」という発言をした子どもたちが聴衆の中からも出てきたのです。こうしたことを繰り返していくことが地域づくりに繋がっていくと思います。男性が考えたら、こういうフォーラムはできなかったのではないかと思います。やはり母親のように子どもに常に接している女性の目だからこそ、子どもを対象にした、あるいは子どもが主役のフォーラムが開催できたのではないかと思っています。嬉しいことに、2年目にまた企画をするときに、子どもたちから「自分たちに企画をさせてほしい」という声が出てきたということです。そういう面で、次の世代のためにという形でいくと、母親の視点は、非常に大きなパワーを発揮するということが言えるのではないかと思います。
3番目の、幅広い世代の女性が活動に参加し、活動を継続していくための条件については、ある行政の女性職員の方がおっしゃっていましたが、まず、男性の理解と支援が不可欠だと。その男性の支援と理解といいますか、特に夫婦の場合、夫である男性ということですが、この理解と、特に支援部分をどうしたら引き出せるかというと、まず褒めることだと。「よく奥さんはこういう形で活動されて、それを応援してくださっていますね。ありがとうございます」というようなことも含めて、常に男性を褒めることが大切だということを言っていました。それで「おかみさん会」などの活動が非常にうまくいっているということで、そういう面で周囲の応援が非常に大切だということです。
それから、先ほども言いましたけれども、よそ者の関わりという面からいくと、足の引っ張り合いの打破、これも大きな問題です。特に、うまくいくとやはり妬みとか嫉妬心が出てきて、必ず悪く言う人が出てきます。先ほどの「島づくり人材養成大学」では、最初の日に全員から愚痴や不満を、思いの丈を言っていただくのですけれども、そのときにやはり足を引っ張られる、出る杭は打たれるということは、必ずどの女性からも出てきます。そのときに逆に私が質問をした点が、「皆さんが足を引っ張られることはよくわかりましたけれども、他に頑張っている人がいたときに足を引っ張らないと自信を持って言えますか」と。「足を引っ張らないまでも、応援をする形になっているかということを、まずそれぞれが胸に問うてほしい。」そう言うことでお互いの足の引っ張り合いを、引っ張られたと思ったら、逆に言うと、引っ張られている人がいるかいないかをチェックしてもらえれば、おのずといろいろなことが見えてくるのではないかと思います。いずれにしても、こういった足の引っ張り合いの打破というのは、特に地域が狭くなればなるほど難しい問題になっているのではないかと思っています。
それから、事例がありますが、時間がちょっと押してきたので、後ほど時間をいただければ御紹介いたします。
4番目に、活動を地域に定着させ、成果を上げていくための工夫という点ですが、ある程度活動をしてきたときに、檜舞台というものが非常に重要ではないかと思います。これは女性に限らないかもしれません。若者もそうですし男性もそうですが、何か認められたということで、それを示すための檜舞台が必要だと思っています。それが力になり、また次のステップを踏んでいくという、そういった意味での檜舞台ということです。
資料にも挙げましたけれども、三重県の鳥羽市の「海島遊民」、これは海月という一旅館の若女将がやっているのですけれども、自分のところに来る団体、特に小学校の就学旅行を受け入れるときに、単に泊まるだけではなくて、鳥羽にある無人島に子どもたちを連れていって、生き物の大切さ、海の素晴らしさを教えています。これまでは、それを旅館の若女将が片手間にやっていたのですけれども、非常に好評だということで、同じ町内のグループに呼びかけをして、NPOで「海島遊民」というのを立ち上げて無人島ツアーなどを企画・実施するようになりました。その若女将は非常にガイドがうまいということで、会いたいガイド100人に選ばれたり、エコツアーの関係で表彰を受けたり、今、ものすごく頑張って地域に認められ、いろんな会合に呼ばれ、そういうことがバネになって更に頑張っています。彼女にとっては、それが檜舞台だったのではないかと思っています。
最後の、地域における男女共同参画の観点から地方公共団体などに期待することですが、まず甘えさせないことだと思います。補助金や助成金が非常に多いのですが、このお金が切れると活動そのものも終わってしまうケースがあまりにも多いのではないかと思います。そういう面での「甘え」というか「甘えの構造」というものを、軌道修正をしていくことが必要ではないかということです。そういう面で、行政は黒衣に徹するというような、その黒衣がどういうものかはそれぞれ違うと思いますけれども、そういう部分が必要ではないかと思います。
あと、いろいろな所に伺っていますけれども、まだまだ女性の、特に専門職における女性の登用は非常に少ないことが問題だと思っています。特に観光部門に関しては、その地域のこと、あるいはその地域に住んでいる人のことをよく知らないと、観光的な魅力は把握できません。そのためには、2、3年で異動するということでは無理があります。
ここに挙げたのは、現在の千葉県の香取市、旧佐原市ですけれども、ここのある女性職員の方は、これまでものすごく頑張って佐原を盛り上げてきた黒衣的存在の方で、この方が町の振興の鍵を握っているといっても過言ではありません。彼女は観光の班長になっていますが、今年で4年目だそうです。町中を歩くと、誰からも声をかけられるような存在になっています。そういう面での女性の登用は、もう少しあってもいいのではないかと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。 - 袖井会長
-
どうもありがとうございました。それでは、簡単な御質問がありましたら、どなたからでも。よろしいでしょうか。では、また後で御質問や御意見があればお伺いしたいと思います。本日は、帯野委員と渡辺委員にあらかじめ御発言をお願いしておりますので、自由討議に入る前に、お二人に御発言をお願いしたいと思います。
では、帯野委員から先にお願いいたします。 - 帯野委員
-
八戸の藤村さんのお話を伺いましたが、私は地方都市でいろいろまちづくりなどに参加するといいますか、お話しすることがあるんですが、今、藤村さんのような女性が非常に多いです。意識の高い女性たち、地方でまちづくりをしている、中心になっている女性たちが非常に多いということを是非お伝えしておきたいと思います。
さて、地域づくりに女性を参加させるために、市町村、行政はいろいろな事業を行っていますけれども、女性をどう参加させるかということではなくて、女性が中心でなければ、もうまちづくり、地域づくりはできないのではないかと思います。
とういうのは、日本の都市は女性化しています。今、日本の平均年齢が43歳。世界の平均で26歳ですから、43歳というと既に大変な成熟期に達しているわけで、成熟した社会というのは重厚長大でもなければ、それを支えている組織中心の社会でもないと思うんです。どちらかというと個の世界。既に若者から老人まで4割の世帯が単身世帯になっています。教育もアウトソーシングであれば、家事もアウトソーシング。これがいいか悪いかは別にして、現実は引き戻せないと思います。
その中で人が求めているのは「安らぎ」や「和らぎ」。これは感性であって、これは女性の非常に得意な分野だと思いますので、この得意分野を活かせないまちづくりはもうないと、私は思っています。
そこで、ちょっと視点を変えて、地域の商業活動と女性参加というところでお話をしたいんですが、京都のことを例にとって、ざっとお話だけさせてもらいます。
京都は常に観光の中心地であるように思われてきましたが、この1枚目のグラフで見ていただけますように、実は1975年から2000年辺りまで、ずっと京都の観光は低迷していたんです。94年から京都市が観光統計を取っていまして、実は観光の統計というのは非常に少ないので、これはとても貴重な資料だと思います。それで、2000年ぐらいから観光客が戻っていまして、2005年、平成17年では4,939万人になっていますので、14年までしかありませんが、このグラフはぐっと上がっています。
その間にどういう変化があったかが、次のページの年齢別構成比です。どんな人が京都を訪れたか。赤が20代で茶色が50代です。70年代に50代と20代が1対3であったのが、95年には逆に3対1に変化しています。ですから、京都に来るのは50代以上の人で、現在では50代で50%近くを占めております。
男女どちらが多いのかがその次のページなんですが。これも70年ごろには男性、女性同じぐらいの比率であったのが、なぜか男女雇用機会均等法が施行されたこの辺りからどんどん女性が伸びて、どんどん男性が減って、現在では、男性対女性が1対2になっています。つまり、京都に来るのは50代の女性で、その50代の女性たちがどこに行くのかというのが、次のグラフです。
よく御存じの京都の名勝、旧跡が書いてございますが、それまでずっと同じような動きをしていたのが、やはり平成10年頃から一人勝ちをしているのが清水寺と銀閣寺です。この清水寺と銀閣寺周辺に何があるかというと、古い町並み、そこにあるちょっとしゃれた店舗、町家再生店舗です。次に町家再生店舗の写真を少し張っていますけれども、これが非常なブームになっています。平成元年ごろに何軒かで自然発生的に始まったものが、大学と行政とのコラボで広がりまして、それが平成5、6年頃から一斉に広まっていますので、まさに平成7年ごろから京都の観光を再生させたのは町家再生店舗であると言っても間違いではないと思います。
この町家再生店舗のオーナーは、女性が非常に多い。それから店長もマネージャーも、女性が非常に多うございます。それはそのはずで、町家というのはもともと昭和初期の小さな木造住宅で、いわば私の世代が育った何でもない普通の家屋。京都もどんどんマンション化される中で、自分との生活にこだわって家を守ってきたのは、やはり女性たちです。その女性たちのもたらす「和み」とか「安らぎ」とか、これが付加価値になって人気を呼んだのがこの町家再生店舗で、現在1,000店に広がっています。その70%が美容院、それから美容、エステ、リラクゼーションということで、やはり京都の町も非常に女性化したからこそ観光客がまた戻ってきたといいますか、再生できたということではないかと思います。
町が女性化しているのは決して京都だけではなくて、最近ちょっと町並みがおしゃれになってきたな、町が賑わってきたなというところには、必ず美容室が非常に多い。それもなぜか2階に多くて、ガラス張りの美容室ができますと、何か急に町がきれいになってきたりしますね。それでちょっと調べてみたんですが、やはり美容室の数が非常に増えています。美容室が増えて理容業が非常に減っております。25年間で美容師の数が1.7倍、39万人、美容室の数が1.5倍、日本の人口が1.2倍の伸びですから、やはり美容師、美容室の伸びはすごく大きなものだと思うんです。
逆に減っているのがマージャンやカラオケ、パチンコです。マージャン屋はこの15年間で毎年1,000軒ずつ減っています。カラオケは96年から2005年までの10年間に17%減っています。パチンコ屋は現在15,000軒ですか、これがどんどん郊外に移っています。ということは、もう既に町にはおじさんの行く場所がない。駅前にマージャン屋やカラオケボックスのある町は、地方で見てもほとんど衰退していっています。
ということで、やはり女性の商業活動で町は再生されていっている。また、女性の力を活用できていない地方都市は寂れる一方で、私は男女共同参画局の委員として一番関心を持っていますのは、全てのセクターの女性たちを2020年に30%ということですが、一番気になるのは女性の商業活動といいますか、民間企業の中の女性たちです。私は現在、関西経済同友会の常任幹事をしていますが、白書にも出ておりますように、まず女性で経済活動をしている人は非常に少ない。私も草分け的と言われましたが、いつまで経っても草分け的で、後輩はほとんど生まれておりません。そこは私たちも一生懸命やっていかないといけないし、参画局としてもいろんなことをやっていかないといけないと思うんですが、考えてみましたら、重厚長大の組織の中で、競争社会、組織社会、縦社会の中で女性を育てることが本当にできるのか、できないのか、また、女性たちもそれを望んでいるかどうかも微妙だと思うんです。
ですから、先ほどお2人のおっしゃった自分たちの楽しめるまちづくり、女性は橋がなくてもとりあえず飛んでみる、こういう自由な女性たちに、産業に女性を合わせるのではなくて、逆に、女性に産業を合わせるという意味で、やはりこれからの国づくりの中で、こういう女性を中心としたサービス業に力を入れていくことは、すごく大切だと思っております。
私は、翻訳・通訳という仕事ですが、開業して25年、やはり女性が創業するのはかなり大変でした。今は随分システムができていますが、一番女性が大変だと言うのは、まず資金、それから情報。私は国民金融公庫で借り替えして、何とか今まで来ましたけれども、やはり情報は非常に集めにくかった。たまたまご近所に女性の社長さんがいらして、いろんなことを教えていただきましたが、今はそういうシステムが整備されていても、女性がそこへ行き着くことがなかなか難しいと思うんです。そういうところももっと整備をして力を入れていくことも大切だと思います。
それから地方に向かって、あるいは女性に向かってそういうことをするのも大切ですけれども、むしろ、男性の意識を変えていく、特に霞が関の男性の意識を変えることが是非必要ではないかと思います。やはりまだ重厚長大なところに焦点を当てた行財政計画になっていると思います。そういうところを変えていくとか。あるいは教育、大学で女性たちにキャリア教育で話をするときに思うんですが、上2割の女性たちは十分によくできるキャリア志向の女性たちですので、この人たちは放っておいても今の社会の中でやっていけます。それから、別の1割、2割ですか、もう社会に参加したくない女性たち、これも女性としても一つの立派な選択だと思います。ただ、その間の固まりの女性たち、勉強は全然したくないんだけれども、良妻賢母にもなりたくない。この固まっている女性たちの中にも、やはりすごく創造性のある、個性のある女性たちが多いと思います。こういう女性たちをフリーターにせず、くじけさせず、導くような、そういう教育につくり直すことであるとか。施策をつくる男性たちに、既に地方では地殻変動が起こっていて、女性中心、女性参加で、女性が中心になってこそまちづくりが成功している、女性が中心になっていないところは成功していないということを、もう少し理解していただきたい。
その中で例えば組織の中でも農協であるとか、男性の既得権が残っていると、やはりすごく弊害になると思うんです。それから商工業組合や商店組合です。ですから、商店組合は、女性の経営者でなくても店員でもいいから、女性の比率を高めていくところが、女性が自由に楽しみながらまちづくりができる、ひいてはそういう国づくりができていくということかなと思いますので、何とかそういう地域の女性の商業活動に、創業に、少し支援できるようなことに男女共同参画局として取り組んでいただければとお願いしたいと思います。 - 袖井会長
- どうもありがとうございました。それでは引き続きまして、渡辺委員、よろしくお願いします。
- 渡辺委員
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私の資料は「女と男がともに生きる行動計画 進捗状況 評価報告書」で、平成18年度版をお配りしました。
女性がどうやって地域で輝いて活動するかというテーマを与えていただいたわけですけれども、私たちのまちは御案内のようにニュータウン、日中男性は都心に働きに行く。今でこそ団塊の世代が地域に戻りつつありますけれども、まちづくりの担い手は女性。むしろ女性市民がまちをつくってきたという背景がございます。
今、私たちのまちでは、女性が中心となって育んできた地域の力を、男性にも広げていくことが課題となっております。
昨年4月に市民活動情報センターをオープンさせました。女性センターと同じフロアーに、駅の目の前の建物に整備したわけです。私たちのまちも、これから一挙に高齢化が進んでいくというときに、行政だけで市民のサービスを充実させることはできませんので、市民が支え合いの仕組みをどうつくっていくのかということが喫緊の課題となっています。
そんな経緯ですので、多摩市で女性が中心になってまちづくりを進めてきている事例は綺羅星のごとくございますが、与えられた時間が5分ないし10分ですので、その具体的事例はまた後日といたします。今日配られている事務局の「基本問題専門調査会の論点(素案)」の中に「各主体の取組の方向」とありますが、各推進主体、市町村はどんなふうに男女共同参画を進めていくのかということの参考になればということも併せまして、あるいは、先ほど菅原由美子さんから行政、地方公共団体に期待する視点もいただきましたので、それらを踏まえたお話をさせていただきたいと思います。
私たちは男女共同参画条例はつくっておりません。報告書を開いていただきまして「はじめに」にございますように、行動計画は既に1986年、昭和61年に制定いたしました。このとき、私は担当の係長としてこの計画を策定いたしました。計画をつくったら、それをどう実践していくのかということが、まさに自治体の力量であろうと思っております。
現在は、大きくは第3バージョンになっていますが、それの後期に中間見直しをいたしまして、例えば13ページ、市の委員会・市議会における女性比率の目標値を定めました。平成22年の目標値が45%、平成18年度実績が41%という状況にあるほどに女性の力が輝いている。市議会議員26人中10名が女性議員でございます。
後ろの方に参考で90、91ページに各種委員会等における女性の割合が書いてありますように、防災会議のようにあて職のところは、なかなか女性の割合が少のうございます。これは目標値は4割ですけれども、基本的には3ないし4割を女性委員にというガイドラインをつくっておりますけれども、防災会議は今、7.1%。この女性は以前はゼロだったわけですけれども、市民の自主防災などで頑張っている女性の方に入っていただいて、それと私が首長でそこにいるので、女性委員3ということになるわけです。なかなかあて職のところは難しゅうございますけれども、ここはもっと広げていかなければならないと思っております。
このように目標値を定めてPDCAサイクルを回していくというのは、市政全般で取り組んでおります。総合計画を推進していくときも、予算審議から決算審議へ連動する。決算特別委員会でも行政がつくった400を超える事業カルテ、サブカルテを入れると600、700という事業に対して、市議会も評価をするPDCAサイクルを回して市政運営をいたしております。都市経営、自治体経営という観点からでございます。
女と男がともに生きる行動計画についても、担当課が220の事業を評価し、副市長が座長の庁内の委員会で評価したものを、外部の市民の皆さんの委員会で評価をいただきました。そして、外部の市民の皆さんから評価をいただきましたものと、市の職員の評価をしたものの大きな違いがございました。それは、介護のところでございますけれども、19ページと、関連で59ページになります。19ページをご覧いただきますと推進状況、このバックデーターが59ページにございます。59ページのちょうど網かけの上の方の「男女で行う介護への支援」、介護の事業のことについて、参加がこれだけありましたということで、担当課は10点という評価をしています。それに対して、19ページの「推進協議会による評価」の3つ目の○をご覧いただきますと、「家族介護教室や介護リフレッシュ事業について、参加者の大部分は女性であるとの説明があった。回数の実績を数値指標に『目標を達成した』との内部評価であるが、『男女で行う介護への支援』という取組みの主旨を踏まえた評価が必要である。」ということで、アウトカム、男女共同参画という視点からみると、やはり目標設定の仕方は今後見直しが必要だろうと思っております。
まず、できるところから評価をしてみよう。行政は数値目標を示しながら、今後の施策の方向性についても提示をしているわけですけれども、市民の皆さんには、今回が初めての外部評価でしたので、評価をコメントでいただくということを試みた状況にございます。
もう一つ。22ページ、26ページですけれども、末端の自治体では難しいのが女性の自立に向けた就労環境の整備。これはワーク・ライフ・バランスの場合も含めてですけれども、自治体としての限界のようなものを感じており、我々の内部評価でも低く、そして市民の皆さんには、こういうことを取り組んでほしいという評価をいただいている状況にあるものでございます。以上、雑駁ですけれども、報告とさせていただきます。 - 袖井会長
- どうもありがとうございました。それでは、自由討議に入りたいと思います。御自由にどなたからでも発言いただければと思います。先ほどの報告に対する御質問でも構いません。
- 鹿嶋委員
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菅原さんのを聞いていて、いわゆる町おこしを進める手法としてちょっと気になった点があったので確認したいんですけれども。菅原さんのレジュメの3に、「幅広い世代の女性が活動に参加し、活動を継続していくための条件」として、「男性を褒める」というのがあります。
実は、先々月あるところに行って、このような趣旨のシンポジウムがあって、私はコーディネーターを頼まれたんです。シンポジストが70代の女性、相当古い因習の中で苦労してきて、いわゆる女性のエンパワーメントというものを進めてきた。彼女の発言が「男性を立てる」、褒めると立てるは大分違いますけれども、「立てる」ということだったんです。やはり男性は立てることによってうまくいくんですよということ、女性を一歩下に置くような立場です。そうしたら、やはりシンポジストとして参加した大きな旅館のおかみさんが、「おかみさん会」みたいなものをつくったんですが、「そうですね」と壇上で2人で相づちを打っているわけです。それを聞いていて、「男性を立てるというのは、男女共同参画の視点から言うと、違和感があるのではないか」と言っておいたんですが。ただ、彼女らの言っている趣旨はよくわかるんです。70代の女性がいわゆる男女共同参画の考え方がまだなかった時代に進めるということは、多分「立てる」とか、そういうことがなければうまくいかなかったんだろうと思うんです。趣旨はよくわかるんです。ただ、若い世代になってきますと、まちづくりの手法として、女性を一歩下げておいて、「褒める」、「立てる」という手法が果たしてきちんと受け止められているのかどうか。若い人たちとの間でギャップがありはしないか。「褒める」というのは、男女共同参画の趣旨からいうと、リスクもあるんじゃないかということです。それをちょっと感じていたので、説明していただきたい。それと、「おかみさん会」とか旅館の「女将の会」というのは各地に結構あるんですが、あの人たちの手法自体を、いわゆる男女共同参画にガチガチに当てはめる必要はないんですが、私は前から多少引っかかっているところがあるんです。その辺りのことを是非教えていただきたいというのが趣旨です。 - 菅原
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まず「褒める」ということですが、考えようによっては一歩引くということになるのかもしれません。しかし、先ほど申し上げなかった事例で、資料に挙げています長野県阿南町の主婦のレストランというのがあるのですけれども、建設業のおかみさんたちが集まって、レストランを開いたものです。やはり建設業が非常に厳しくなってきたので、家計を助ける意味で何かをやろうと考えたときに、たまたま町の町営の物産店が駄目になりまして、空き家になっていました。そこを借りて5人のグループでレストランをやっているのですが、建設業をやっている御主人たちの協力体制がものすごくしっかりできているのです。でも掃除などが中心ですから、表にはあまり出ていなくて、主役はお母さんたちです。自分の仕事が終わってから、レストランの閉店後に、掃除などいろいろな雑用を旦那衆がやってくれるのです。それに対して「褒める」と言ってはなんですが、お母さんたちが、「旦那たちがいなければこの店はできなかった」と、感謝の気持ちをきちんと人に話をしているのです。そういう意味での関係は非常に大切ではないかということです。答えになっているかどうかわかりませんけれども、一歩引いてとかそういうことではなくて、常にお互いがしていることを認めて、それに対する感謝の気持ちを表すということが大切であり、そうした関係があって初めてものごとがうまくいくのではないかという感じがしています。
そういう面でいくと、70代の方が男性を立てるということとは少し違って、皆さん40代ぐらいの若い方たちですから、やはり子育てとか、土日は旦那衆が子どもたちの面倒を見たりという形での協力体制、それが当然というのではなくて、「旦那がいるからこの仕事がうまくいっているんですよ」と、常に感謝の気持ちを部外者と言い合える、そういうことが大切ではないかと思っています。
それから、もう一つの「おかみさん会」もいろんな形であるんですけれども、「おかみさん会」というのが非常に重要だと思ったのが商店街なんです。商店街の振興という形で呼ばれていくと、ほとんど出てこられるのは旦那衆だけです。「実態はどうですか」とお聞きすると、店頭に立つのは女性なので、男性からはお客さんの状況のお話はほとんど伺えません。これではまずいと思ったので、「次は女性だけをお呼びしてください」、「男性がいない中で女性の愚痴もあるでしょうから、まず男性なしで女性だけお呼びしてください」ということで、そういう会を持っていただきました。驚いたことに、「隣のおかみさんの顔を見たのは初めてだった」とか、隣といっても全部つながっているわけではないので、同じ商店街にいても「お嫁さんの顔を見たのは初めてだ」と、そういう状況でした。これで商店街の振興を、商店街が一致団結してできるのかということです。それで、「もう少しお互いを知ることも含めて、『おかみさんの会』をやってください」と提案したのですが、その後の会合はずっと男性抜きで、おかみさんだけで4、5回やったんです。そうしましたら、「そのときちょうど流行っていたサルサというのを是非やってみたい」と、「何でもいいからやってみたい、自分たちが楽しむ踊りでお祭りを盛り上げたい」という話が出まして、「おかみさんの会」が主体的にサルサを中心にしたお祭りをやり始めたのです。
大体そういう形で女性の参画は踏み出していくのではないかと思います。ですから、最初から「おかみさん会」をつくりますとか、「おかみさん会」という形で行政の方から言うよりも、こういう形ではいけないのではないかという疑問点から自ら発生する形の「おかみさん会」は、非常にうまくいくのではないかと思っています。 - 鹿嶋委員
- ありがとうございました。よくわかりました。後の方はなぜそういう質問をしたかというと、東北の「おかみさん会」の代表の方にかなり詳しく話を聞いたことがあるんです。彼女は男女共同参画に非常に熱心なのですが、雑談を始めたら、「やはり女は男とは違うんだから、それなりの社会的役割、女の役割にきちんと徹して参画を進めなければ」と、だんだん話が私の考えとちょっと違う方向にいったので。ただ、男女共同参画というのは、そういう人たちの力を借りないと地方にはなかなか進展しないし、かつまた「おかみさん会」に入っているような人たちはマスコミのスポットライトを浴びがちなんです。その意味では非常に力強い味方なんですが、やはり本来の趣旨からちょっとよれているようなところで理解している人もいるのではないかと思って、質問したんです。ありがとうございました。
- 袖井会長
- どうぞ。辻村さん。
- 辻村委員
-
ただいまの鹿嶋委員の問題意識と多分同じことだろうと思うんですけれども、今日のお話では、まちづくりの担い手として女性が非常に活躍しつつあるということで、これはエンパワーメント、あるいは人材育成にとっては非常に重要なことなんですけれども、女だけでなければいけないかという観点があると思うのです。
例えば、八戸の「女性まちづくり塾」の場合は、男性が入ってはいけないのでしょうか。あるいは菅原さんがお調べになった中で、女性だけのグループの方が何か効果があって、男女が混じってまさにその会の中で男女共同参画になっているような会というのは、比率的にあまりないのかと、若干心配になりました。
というのは、例えば市民活動の担い手は女性だと言われますけれども、市民大学などに講師で行ってみますと、定年後の男性がかなりの比率を占めていて、主婦の方と定年後の男性の方なんです。ですから地域の活動の担い手には、やはり男性も入る。多摩市は恐らくそういう観点から男性に広げていくということがあったと思いますが、そのあたりをどのようにお考えになっているか。昔、女人禁制というのがありましたけれども、男子禁制の組織としてしか成り立たないのか、あるいは中にいらっしゃる方々が、だんだん広げていって本来は男性も一緒にやりたいんだけれども、過渡的に女性だけでやっているという意識なのか、そのあたりを教えていただければ。藤村さん、どうでしょうか。 - 藤村
-
私たちの会は、何しろ「女性まちづくり塾」ということで、最初に立ち上げた理由が、八戸市の男女共同参画の条例づくりからきました人育ての部分での、女性のエンパワーメントをするという目的の塾だったものですから、おのずと女性だけということになっております。
私たちは、今、委員のおっしゃったことまでは考えたことはないです。ただ、私も今、八戸のまちづくり協議会の委員の幹事として入っておりますけれども、まちづくり協議会であるとか審議会とか、それからワーキンググループですとか、そういうところに会のメンバーの1人として参加させていただいて、よその男性の方たちとの交流も十分しております。そこで女性の視点という部分でお話できるということから、私たちはあえて女性の「まちづくり塾生の会」として、ここしばらくは続けたいなと思っております。 - 辻村委員
- わかりました。
- 袖井会長
- 菅原さんもいかがでございますか。
- 菅原
-
先ほどの「島づくり人材養成大学」は何回か続けましたが、ほとんどが男性しか参加がなかった。やはり家庭があるといろいろな面で出にくいということと、そういうふうに男性も女性もという形でいくと、「私が出たりすると帰ってから何を言われるかわからない」という感じで、非常に出にくい面があったので、あえて女性に限定という形で4回ほど実施をしました。
女性ということで推薦なり役場の方から強制的に出なさいと言われて出たとか、そういうことがなかったら来られなかったのが実態だと思います。ですから、女性だけということがいいとは言えませんけれども、現時点ではそういう限定をしないと、なかなか参加がないことが多いのではないかと思います。 - 袖井会長
- 伊藤委員、どうぞ。
- 伊藤委員
-
私も賛成です。私もあちこちの地方自治体で男女共同参画関連の事業に参加していますが、やはり、ジェンダー別で集まることはすごく大切だと思っています。同時に、男女で一緒に進めるということも視野に入れることも大切です。女性同士での同性の経験を踏まえた討論をもとに男女で議論するとか、逆に男性同士の話し合いの中で出てきたものを男女で議論するという形です。その中でまた新しい発見が出てくる。その辺の仕掛けはかなり意識的にやっていく必要があるのではないかと思います。いつでも男女一緒でなければ駄目だというのもおかしいけれど、女性だけじゃなければ駄目だというのもおかしい。ただ、常に意識的・戦略的にジェンダーの視点は取り入れていくべきではないかと思います。
京都でも、最近は女性のグループと男性のグループが町おこしみたいな形で一緒に動き始めています。いくつか事例を聞いたんですけれども、大半はうまくいっている。というよりも、男性を巻き込むことで女性の方もパワーアップしたというケースを聞いたこともあります。
これは、帯野さんの話とも絡むんですけれども、私も京都府の審議会で、今回の基本計画の第2次に沿う形で提案したことがあります。京都は観光の町ですから、先ほどの報告のように、確かに今、すごく観光客が入っています。特に今は紅葉がすごいので、多分今年は史上最高の観光客数になるのではないでしょうか。
帯野さんの話ですが、かつて20代でアンノン族で京都に来た人たちが、50代になってリピーターで帰ってきているというのが、大体の流れではないかと私は思っています。それはともかくとして、京都府でも女性の視点での観光についてはやはり動きがあるのですが、そのことで議論になったのは、観光協会の役員にどれくらい女性が入っているかということでした。やはりほとんどいないんです。菅原さんと帯野さんがおっしゃいましたけれども、観光を女性の視点に立って進めているところは、やはり成功しているのは明らかです。でも観光協会に女性がほとんどいない。
同じように、商工会議所もそうなんです。奈良県で男女共同参画の議論をしたときに、商工会議所の役員の方たちは、女性が入ってくることにすごく抵抗されるんです。これはちょっと調べていただきたいんですけれども、商工会議所の役員や観光協会の役員の女性割合はどれぐらいなのか。農協は割とわかると思うんです。農協は意識的にかなり女性の役員を増やし始めていますので、ある程度数字が出ていると思うんですけれども、商工会議所と観光協会ではどれぐらいの役員が女性なのか、わかりますでしょうか。いただいたものを見た限りでは出ていないんですが。これはかなり数字を出しながらやっていくことなのかなと思っています。 - 袖井会長
- わかりますか。
- 安田企画官
- わからないものもありますが、わかるものがいくつかあります。商工会議所は2006年が1.2%です。観光協会はないんですけれども。農協は比較的組織的にやっておりますが、2005年のデータで1.9%です。
- 伊藤委員
- 観光協会は農協よりも低いと思います。おっしゃるように、女性のパワーが観光を成功させているのは事実だと思います。前から言っておりますように、この観光という側面は、女性のある種のポテンシャルを可視化するときのすごく大きな側面になると思います。その意味で、観光については、女性のパワーの問題と結び付けながら議論することが大切なことではないかと思います。
- 住田委員
-
今の「おかみさん会」のようなものの存在意義は、今の時代、おそらく女子高、女子大の存在意義と共通する問題があると思いますが、私自身は、まだ必要であるという考え方なんです。なぜかといいますと、やはり女性と男性がいたときに、やはり大抵は「女のくせに」、「女だてらに」などと言われることを避けるために、謙虚であること、謙譲の美徳ということが出てきやすい。女性が意見を発表しにくい土壌は、日本の風土ではまだまだ強いと思っていますので、女性だけを切り出して、その中で自由闊達な意見を出せる場をつくるという意味が、今でも大きいと思います。
そして、今の研修なども図らずもそうで、女性は特に家を出ての宿泊を伴う研修は、普通の会社でもできにくかったわけですから、先ほどの離島などではよけいそうだったと思います。女性限定のそういう違ったチャンス、機会を差し上げるということは、やはりポジティブアクションとして、今の世の中には絶対に必要だろうと思っています。
現在活躍している女性の会は、地域に根ざした中で、高齢者の方々を相手に上手に世渡りをしながらやってきた。その処世術から「男を立てる」という言葉が図らずも出てくるのでして、その時代はそれでよかったんだと思います。ですから、そういう方々が御自分の成功体験を得々とお話されるのに、何も冷や水をかける必要はないと思っていまして、ただ、若い方がそれについて行かないとしたら、若い方は若い方で、また別の機会としてそのような会を立ち上げる必要性を、行政として意識的にやっていただきたいと思っています。
私は、「高齢者も自分の意見を言いたい」と、「定年制で審議会に入れないのはけしからぬ」という意見をついこの間聞いたばかりでして、それはそうだなと思ったんです。高齢者は高齢者で御自分の立場からの意見があるだろうし、若い女性は若い女性で今までの経験に根差した意見があるので、ある意味では年齢別の代表制というのも、いろんな審議会のようなところで意識していただいた方がいいと思います。特に行政の方はですね。放っておくと、女性も今までの何とかの主のような立派な方々が、これまで活躍された方々が、綺羅星のように行政のそういうところに出てこられて、若い女性が意外と気後れして出てこられないということが、今後の問題になりそうなところがあるので、あえて偉い方を置いておいて、「今、30代、40代の女性代表も出す必要があるんです」ということを言う必要があるだろうと思っています。
そして、地域において女性が活躍する可能性を秘めた分野は何かというと、現在の女性のこれまでの活躍分野を考えると、はっきり言って家事、育児、介護などの無償労働の有償化の部分と、それから食べ物や、そういう女性産業におけるBtoC企業の部分、これはやむを得ないと思います。やはり経験のないことをやれと言っても無理だと思います。とりあえずは、そういうところに女性の働く場が出てくるのは当然だろうと思うんです。雇用機会均等法以降の女性には、BtoB企業で随分いろんな形で経験を積んできた方がいらっしゃいますので、そういう方が地域に戻ったときには、単に消費者相手の仕事ではなく、企業に売れる地域の資材をいろんな形で世界に発信できるような視点をお持ちになってくるだろうと思います。そうすると、今までの「おかみさんの会」とは全く違った分野が広がってくると思っております。そういう意味で、今のところは、これはこれで当然だろうと思いますけれども、若い世代の女性は、そういう新しい視点を持って、いろんなアイデアやBtoBに売り込めるようなものを開拓していってほしいと思っています。 - 袖井会長
- 桜井さん、どうぞ。
- 桜井委員
-
今の住田委員に触発されてなんですけれども。女性たちが既に活躍している分野として、例えばコミュニティービジネスとか、ITを使った分野があります。そういうところで活躍する若い世代は、男性も女性もなく、しっかり稼ぐところは稼いでいるわけですね。そこは大変希望が持てるなと思うんですが。しかし、そういう方たちと話すと、女性・男性は全然関係がない、社会構造やジェンダーバイアスも全く関係ない、そんなことを気にする方がおかしいとなるわけですね。男女共同参画はこういうふうに必要だということが、全然届いていないところがあります。それで、バリバリ成功した女性たちにも、こういうことをどうしたら届けられるのかということも一方で考えていく必要がありますね。社会で活躍している方たちへの届け方も一方で必要かなと思っています。
藤村さんに。後継者といいますか、この塾は毎年ちゃんと応募がありますか。やはり地域でやっていると、おもだった人たちは、何年かするとみんな塾を卒業してしまったというようなことはないんでしょうか。次々に応募者があって育っていく感じなんですか。 - 藤村
-
そうですね。最初の1~2年は、人集めに大変苦労した部分もありましたけれども、私たちが、「まちづくり塾生の会」の修了生の仲間が、いろんなところで活動している。今、マップづくりをしているとか、お土産のリサーチをしているとか、そういう活動を通して、うちの会をわかってくださる市民が多くなった関係で、「まちづくり塾」は、今、応募者は年々増えております。
ただ、私たちは結構レベルを高くもって会をつくっているものですから、仕事の関係などでどうしても11単位を成就できずに、卒業できなくて、うちの会に入ることができないので、2年目、3年目と受けている受講生もおります。
ですので、八戸の場合は、今、修了生の活動を見て塾を受けている人が多くなってきているという、いい方向には行っているかなと思っております。 - 袖井会長
- メンバーは専業主婦の方が多いんですか。
- 藤村
-
修了できるメンバーは専業主婦が多いですけれども、ただ、修了できなくても2年かかっても3年かかってもいいからという形で、お勤めしている方や介護をしているような方なども受講しています。今年度はそのメンバーがすごく多くて、20名受講生がいたんですけれども、今日の修了式で9名しか修了できないという現実はあります。
50代、60代が半分以上。30代が今年修了生に1名出ました。私たちは事務所も持っていませんし活動母体もありません。事務局は事務局の人が電話を持っているという感じで、活動場所を全然持たないで活動しているものですから、そういう点で、これから問題は起きてくるなという懸念はしております。 - 袖井会長
- どうぞ。
- 加藤委員
-
藤村さんに2つほどお伺いしたいんですけれども。「塾生の会」を運営するに当たって、八戸市から企画ですとか事業の受託をされていらっしゃるという話だったんですけれども、「塾生の会」を運営なさるとき何か資金は必要ないのでしょうか。今、事務所もないとか、電話は事務局の人が握っているというお話がございましたけれども、お金の話をちょっと教えていただきたいのが1つ。
もう一つ、藤村さんの御説明をいただいている中で、何かしたいときに、役所へはきちんと報告に行くのだというお話があったんですけれども、そのことと自分たちが主体的に活動するということとは、どういうふうにバランスを取っていらっしゃるのかなと思うのですが。以上2点、お願いします。 - 藤村
-
活動資金の面は、「塾生の会」そのものは、一応、会費制をとっております。その会費の中で、みんなの交通費であるとか事務費であるとか、そういうやりくりはしております。ただ、交通部のいろんな事業であるとか、男女共同参画の事業で、20万円の委託金をいただいています。
その中で、街の中の安い会場を借りたりして工夫をしております。そういう形で、お金の部分は何とかクリアーできています。ただ、自分が力を付けるために多少出費するのは仕方ないかなというのが、うちの会の現状です。
あと、役所への報告というのは、私たちはまだ、自分たち独自にNPOをつくるとか企業組合をつくるとか、そういうところまで至っていないのが現実で、常に行政の受託をいただいたりとか、会議所の補助金をいただいたりとか、そういう形での活動を続けているものですから、どうしても報告を密にしないと協働できないので、報告は常に努力しております。 - 袖井会長
- どうぞ。
- 加藤委員
-
今回、第33回の論点案で4つほど柱があるわけですけれども、1つ、私は十分理解できていないのが、○の1つ目です。「地域において、女性が活躍する可能性を秘めた分野(場面)は何か」という立て方なんですけれども、これはどういう理由でこういう立て方をなさったのでしょうか。
私は誤解しているのかもしれませんけれども、地域において女性が活躍する可能性というのは、いろんなところに秘められているはずなので、その可能性が秘められている場面はどこかというように、こういう立て方をしてしまうと、ある種、狭めてしまうのではないかという懸念を1つ持っています。
もう一つ、地域づくりにおいて、女性たちがどうしてエンパワーをしながら活躍しなければいけないのかと考えていくときに、私は大切にしたいなと思っていましたのは、先ほど渡辺委員から多摩市の行動計画の御紹介をちょうだいいたしましたけれども、1ページ目の計画の基本理念の真ん中辺りに「しかしながら」というところがございまして、ここで高度情報化だとか、グローバル化だとか、こういったことが市民の意識や生活に更に大きな影響を与えていると書かれております。これはとても大事で、これは例えば二国間、多国間でもいいんですけれども、経済連携協定は、政府間だけの話ではなくて、やはり日本全国津々浦々、地方の中山間、離島を含めたところにまで、暮らしの現場のところに大きな影響を及ぼしていくわけです。
女性が参画をして地域づくりをしていくときには、菅原さんから、地域活動に目覚めるきっかけの1つとして危機感があるという御紹介をいただきましたけれども、やはり生活を脅かす何者かに対して、女性がエンパワーをしながら、政策提言を行っていくところに、やはり女性が地域づくりに参画していかなければいけない、重要なポイントがそこにあるんだろうと、私は思うんです。
ですので、○の1つ目、可能性を秘めた分野、こういう立て方でいいのかなと思ったんです。 - 袖井会長
-
これは、今日お話しいただいく枠組みをつくるというだけのことで、このとおりにということではありません。皆様方から、いろいろ御意見を出していただければよいと思っております。
どうぞ。 - 住田委員
-
先ほど家事、育児、介護という無償労働だったものを有償化する方向でということを申し上げたんですが、もう1つ、政治の場面、行政、政治というところに女性の活躍可能性が秘められている。特に地方の行政の中で、生活に根差したところから女性が出て行くのは、非常によいことだと思っています。
そのきっかけが危機感と出ていたんですが、命に関わる危機感というのは、得てして何らかの反対運動で盛り上がることが非常に多いんです。それは善意な気持ちから始まっておられると思うんですけれども、私としては、実際に1つのものをつくり上げるときには、建設的な方向で出していただく方がずっと女性が本当の意味の力を発揮できると思っています。そういう意味では、「まちづくり塾」も最終的に行政と連携しておられて、その中から、審議会の中でいろんなお勉強をされて、それを最終的には政治の世界に持っていっていただくのは、すばらしいことだと思っているんです。
北欧諸国とか、女性の議員・大臣が多いところでは、実はこれは意外に女性に向いた仕事だというような認識がどうもあるようです。実は実業界は女性に向いていなくて、男の世界なんだけれども、「政治の世界は女性がいい」という言い方をしているということを聞いたことがございます。国政レベルではなく地方自治体レベルでいくと、いっそう女性に向いている世界であるので、反対運動に向けるパワーをもっと建設的に新しいものをつくり上げる方向に是非持っていっていただきたいとと思います。 - 袖井会長
- どうぞ。
- 伊藤委員
- この点で、渡辺さんのところは、女性議員の割合がかなり高い。日本で多分トップクラスだと思うんですけれども。首長が女性ということで変わった部分は、例えばどんなところがあるんでしょう。かなり変わっている部分があると思うんです。
- 渡辺委員
-
以前より、既に女性の議員さんが割と多かったという経緯があります。生活者ネットの方であるとか、共産党の方だとか、あるいは元ネットの方だとか、あるいは公明党の方だとか。保守系の方は割と少ないんですけれども、ゼロではございません。
先ほど菅原さんが言われた、男性は「石橋をたたいて渡らない」、女性は「橋がなくても飛んでしまう」という傾向は、やはり机上の論理だけではなくて、生活に根差したところからしっかりと政策提言していく方が多うございます。
地方自治の場面では、政党等にとらわれるよりも、むしろ生活者の視点から物事の問題提起をしてくるという傾向は、男性議員の皆さんにも比較的その傾向にあるのではないかと思っております。 - 袖井会長
- そろそろ時間も終わりに近づきましたけれども、何かほかに、是非聞きたいということはございますか。どうぞ。
- 板東局長
- 先ほど、世代ごとにいろんな問題意識が違うというお話も出ましたし、それから藤村さんの話で、若い世代にも参加してもらうために、託児の工夫もしておられるという話で厚みをつくっておられるんですけれども、菅原さんにもいろんな事例をお聞きしたいと思いまして。世代ごとにいろんな活動をしておられるところがあると思うんですけれども。例えば若い人は、子育てなどを中心に同じような問題意識で集まっているグループがあったり、それから比較的年配の方が多いグループがあったりということがあるんですが、イベントなどのときには一緒に集まって連携してやりましょうということがあったりするんですが、なかなか具体的な活動のところでは、お互いの強みとかいろいろなところを結び付けて、連携をして、具体的な活動の応援をしながらというのは、まだまだ少ないような感じがするんです。こういったいろんな世代をつないでいって成功している事例とか、そういった工夫とか、そういうところで何か教えていただけることがあればありがたいのですが。
- 菅原
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世代ごとに固まりがちですけれども、そうすると後継者が出ないんです。自分たちがどんどん年をとってくるので若い人に入ってほしいけれども、逆に入りにくい、入ってきても自分たちと違う形でやるので足並みが揃わないということで、せっかく入ってきた人も抜けてしまうのが実情ではないかと思います。世代ごとに固まってしまう。
それで、先ほど紹介しました現在の佐原のまちづくりは、いろいろなグループを無理やり統括しない。自然体でできてきたグループは、それぞれがグループ本来の形で活動する。ただ、協力をし合うときに呼びかけてやる。ですから、男性も女性も世代も全然関係がない。それを無理に統括してやろうとすると、いろいろな形で摩擦が出てしまう。こうした無理をしない形が、うまくいっている理由の1つではないかと思っています。NPOなり、先ほどの「おかみさん会」なりいろいろな形でやっているのですけれども、性別に関係なく、楽しみながら、連携できるところは積極的に連携をしてという形で活動している。そういう締め付けのないところが成功している一番のポイントではないかと思います。
とかくいろいろな活動をすると、一緒にすべきだとかと、無理やり型にはめようとする。そういうところでいろいろ不平不満が出てくる。やはり、できるところから、できる人だけという形で緩やかにやっていくのが長続きのポイントではないかと思っております。 - 袖井会長
- ちょっと私もお聞きしたいんですけれども。菅原さんは、いろいろ全国的に見ていらっしゃるんですが、成功事例は割に地方や過疎のような地域という感じで、特に大都市や都会の場合に、何かそういう決め手というか案がありますか。やはり都会は人間関係が希薄になってものすごく難しいですね。その辺は何か御意見はございますか。
- 菅原
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残念ながら、あまり都市部からお声がかからないものですから、事例はあまりないのですが。橋がなくても飛んでしまうという例でいきますと、「浅草おかみさん会」の話が挙げられます。当時「おかみさん会」の会長をされていた富永さんのお話を聞きますと、最初2階建てのバスを走らせたことがきっかけで、この「おかみさん会」が盛り上がったということでした。どういうことかといいますと、何か目新しいことをしないと浅草がどんどん駄目になる。そのときに、イギリスに行った人がたまたま2階建てのバスを見たので、2階建てのバスを走らせてみたいということで、2,000万円でバスを買って船に乗せたのだそうです。その後、国土交通省が「日本ではまだ2階建てのバスは走らせられない」ということで、許可できないという。でも、そのときにおかみさんたちが6、7人着物を着て国土交通省に出かけていって、「もうバスが船に乗ってしまっているから何とかしてほしい」とかけ合ったのだそうです。それで、いろいろな条件を付けてようやくイベント的にバスを走らせることができた。本当に橋がなくても渡ってしまったといういい例だと思います。
それで、おかみさんたちがそれをやったことによって、何かことを始めればできるのだということで、今度は旦那衆が中心になってサンバをブラジルから呼んでくるということになったのだと、ちょっと苦笑交じりに言っていましたけれども、そういう形でまちづくりは動いていくのではないでしょうか。ですから、都市も地方もあまり関係がないのではないかと感じています。 - 袖井会長
- どうもありがとうございました。どうぞ。
- 辻村委員
- これまでも配付されている資料の中の参考資料4で、男女共同参画にとっての障害ということで、最近は男女共同参画という言葉についての誤解などがあって、男女共同参画という言葉を使うと事業が敬遠されるというところがあります。かなり引っかかっていたのですけれども、まちづくりなどいろんなイベントをすることで、究極的には男女共同参画を目指していても、「まちづくり」というような言葉を使った方が、例えば人が集まりやすいとか、対立がないとか、そういう経験をされましたでしょうか。あるいはそういう実感をお持ちでしょうか。これはまちづくりと男女共同参画の関係に関わることですけれども、まちづくりが男女共同参画の手段になるという面もあると思うんですが、その場合に「男女共同参画の会」だったら人が集まらないとか、そういうことはあるんでしょうか。
- 藤村
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委員のおっしゃるとおりで、私たちもそういう苦い思いは何度も経験いたしました。
実は、フォーラムのようなイベントをやろうとしたときに、呼ぶ講師によって、人の集まり具合が全然違う。やはりまちづくり絡みですけれども、私たちはそのフォーラムで市から受託をいただいている以上、男女共同参画関連の講師を呼ばなければいけない。だけれども、そうなると人は集まらない。男女共同参画の話をしてもらいながら、地元の歌手の方を呼んだりボーカルの人を呼んだりすると、人は見事に集まってくる。そういういろんな両極端の事例を私たちは体験いたしました。
でも、私たちは男女共同参画という視点の下に活動はしていますけれども、女性を特権にしてまちづくりをしてもいいのではないか、女性の視点を大袈裟にアピールしてもいいのではないかと、自分たちらしく私たちは動いています。 - 袖井会長
- 活発な御意見をどうもありがとうございました。大分時間も押してまいりましたが、最後にまだ残っていることがございます。本調査会の報告書のとりまとめにつきまして、事務局から説明をいただきます。
- 安田企画官
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お手元に1枚紙で「基本問題専門調査会の論点(素案)」の未定稿という資料をお配りしております。
本調査会は7月から議論を始めまして、主として今までヒアリングをやってきたわけですが、地域における男女共同参画というテーマは、人によってかなりイメージの違うものではないかという思いもありまして、皆さんの共通認識を深める意味でも、次回辺りに骨子のような議論を1回してはどうかと思っております。
今回、配らせていただいたのは、まだ骨子にもなっていないのですけれども、今、事務方としてどんな構成で考えているのかということをお示ししたわけでございます。これがベストだとうことではありません。地域における男女共同参画にはいくつか要素があります。1つは、今日御議論いただいたような、地域において女性をどのようにエンパワーメントし、その活動を活性化していくのかという、女性に限らないのですけれども、住民を主体としてのもの。それから、地域においてどのように男女共同参画を進めていくのかという、逆に住民を客体に見立てた進め方。それからそれを支える推進体制。いくつかの要素がございます。それをどのように組み合わせて報告書にまとめるかということがあります。
今配らせていただいているものに、必ずしもまとまってすんなりと議論が全部盛り込まれているかというと、やや疑問な部分もありますけれども、現段階でこのようなものを考えているという程度のものでございます。
枠組み自体もいろいろ御議論いただきたいわけでございますけれども、とりあえず事務局として、今考えていることを配らせていただいております。今日の議論も踏まえて、次回は細かく書いたものを用意したいと思います。以上です。 - 袖井会長
- どうもありがとうございます。本日はもう御意見をお伺いする時間がないかと思いますので、できれば次回に議論したいと思います。皆様で、これをよく読んで、先ほどの論点整理なども勘案しながら、構成自体も変えた方がいいという点もあるかもしれませんので、次回までに検討していただきたいと思います。あと1つ重要なことが残っていますので、もう少しお時間をいただきたいと思います。遅れておられた方が来られまして、出席委員の数が定足数を超えておりますので、後回しになっておりました運営規則の改正についてです。前回、提案させていただきました改定案につきまして、皆様からいろいろ御異議や御意見がございましたので、どのように改正すればいいかを事務局でいろいろ検討していただきました。改正案につきまして、事務局から説明していただきます。資料1ですね。
- 塚崎推進課長
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資料1をご覧いただきたいのですが。1枚目が規則、2枚目が新旧対照表になっております。前回提案させていただきましたのは、直前になって急に委員がいらしていただけなくなった場合に、出席委員が過半数を割ってしまった場合でも調査会を開けるようにということで、運営規則の第4条第1項に、会長が必要と認めるときは調査会を開くことができる旨のただし書を加えてはどうかという改正案でございました。それにつきまして、出席委員が少なくても会長の判断で開催した場合には重要な議決はできないことを明記すべきだという御意見をいただいたところでございます。
そのことについて検討いたしまして、この場合には「重要な議決はできない」あるいは「軽微な議決のみができる」という文言を加えることを検討したのですが、そうしますと、今度は「重要な」あるいは「軽微な」というところで、どこまでが軽微なのかという話になってしまうのではないかということで、結論としましては、ご覧いただいておりますように、その場合はもう議決をしないということにしまして、例えば議事録の承認のような議決につきましては、次の回に一緒に議決をしていただく形にさせていただくのがいいのかなということになりました。
第4条第2項に、この場合には議決はできないというただし書を加えるという案にしております。
以上でございます。 - 袖井会長
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どうもありがとうございました。そういうわけで、議決はできないけれども、会議は開くということでございます。
どうぞ。 - 住田委員
- この改正自体は構わないんですが、この調査会では書面決議はできるのでしょうか。いろんな審議会では、書面決議で人事案件であるとか、日程とか、それから議事録の承認等をやっています。書面決議で全員が賛成するのであれば議事録はOKということにしておかないと、ホームページへの掲載が1箇月、2箇月、3箇月と遅れるのは、やはり私としてはよろしくないと思うんです。それで、「軽微なもの」という言い方をさせていただいたんですが、今は書面決議がいろんなところで多用されていますので、皆さんが賛成されたら、書面決議でその程度のことはできるという新たな1項を設けられることを、私は御提案申し上げます。
- 袖井会長
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では、その辺を検討いたします。
資料5がまさにそのことに当たるんですが、9月19日の委員ヒアリングの記録をまとめていただきました。この日は出席委員が少なくて、正式な専門調査会は成立しませんでしたが、貴重な御意見も含まれておりますので、公表しようということになっております。
これにつきましては、皆様には既に目を通していただいておりますので、このとおり決定したいと思いますが、いかがでございますか。よろしいですか。では、このとおりに決定し、内閣府のホームページ等で公開することとさせていただきます。なかなか全員が揃うことが難しいので、運営規則につきましては、もう少しいろんなことを考えなければいけないかなと思います。
それでは、事務局から何かありますでしょうか。 - 塚崎推進課長
- 次回でございますけれども、12月26日の13時から、内閣府の3階特別会議室を予定させていただいております。先ほどありましたように、今日ご覧いただきました素案に、もう少し盛り込んだものをあらかじめお送りさせていただいて、御議論いただきたいと思っております。
- 袖井会長
- それでは、基本問題専門調査会の第33回会合を終わらせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
(以上)