- 日時: 平成19年7月26日(木) 15:00~17:00
- 場所: 永田町合同庁舎第1会議室
(開催要旨)
- 出席者
- 会長
- 袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
- 会長代理
- 鹿嶋 敬 実践女子大学教授
- 委員
- 阿部 正浩 獨協大学教授
- 同
- 伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
- 同
- 帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
- 同
- 加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
- 同
- 神津 カンナ 作家
- 同
- 河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役社長
- 同
- 坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
- 同
- 桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会事業本部長
- 同
- 住田 裕子 弁護士
- 同
- 平野 治生 財団法人日本広報センター理事長
- 同
- 室伏 きみ子 お茶の水女子大学教授
- 同
- 山田 昌弘 東京学芸大学教授
- 同
- 渡辺 幸子 多摩市長
- 説明者
- 坂本 富明 熊本県総務部男女共同参画・パートナーシップ推進課課長補佐
- 同
- 井手 富雄 熊本県男女共同参画センター課長補佐
- 同
- 中野 則子 兵庫県立男女共同参画センター所長
- 同
- 上野 るみ 上越市企画・地域振興部男女共同参画推進課課長
(議事次第)
- 男女共同参画の今後の地域レベルの推進方策について(普及・啓発事業等)
- (1)地方公共団体及び男女共同参画センター等からのヒアリング
(熊本県、兵庫県、上越市) - (2)質疑応答・意見交換
- (1)地方公共団体及び男女共同参画センター等からのヒアリング
(配布資料)
- 資料1
-
男女共同参画の普及・啓発のための施策・事業例 [PDF形式11KB]
- 資料2
-
男女共同参画に関する意識調査(平成16年世論調査より) [PDF形式28KB]
- 資料3
-
熊本県資料 [PDF形式28KB]
- 資料4
-
兵庫県資料 [PDF形式200KB]
- 資料5
-
上越市資料 [PDF形式213KB]
- 袖井会長
-
ただいまから基本問題専門調査会の第31回会合を開催させていただきます。
今回は地方公共団体からのヒアリングということで、熊本県、兵庫県、上越市の方をお招きしております。特に上越市の方につきましては、先般、中越沖地震は大変大きな地震でしたが、大変ご多忙のところお越しいただきありがとうございます。一日も早い復興をお祈り申し上げます。
それから、熊本県でも大変大きな豪雨災害がありました。こちらにつきましても1日も早い復興をお祈り申し上げます。
まず、事務局に人事異動がありましたので、竹林審議官から一言ごあいさつをお願いいたします。 - 竹林審議官
- 先般の7月6日付の異動で男女共同参画局担当の審議官を命ぜられました竹林でございます。男女局の関係の仕事は初めてでございます。今一生懸命勉強しておりますので、どうぞご指導のほどよろしくお願いいたします。
- 袖井会長
-
ありがとうございました。
それでは、お手元の議事次第に従いまして本日の審議を進めさせていただきます。議事次第の2の(1)ですが、本日より各回テーマを定めて地方公共団体や男女共同参画センターの方からのヒアリングを行います。本日は主として普及・啓発事業についてのお話を伺う予定です。その前に事務局から簡単に説明をお願いいたします。 - 安田企画官
-
私からは、男女共同参画局でつくりました資料1と資料2、それから「取扱注意」と書いた資料について簡単に説明させていただきます。
資料1でございますけれども、今回のテーマ、男女共同参画の普及・啓発のための施策・事業としてどういう手法があるのか、カテゴリー別に並べたものでございます。前回配らせていただいたものに、一般的なものでありながら普及・啓発の効果のあるものを加えております。主にこういった類型があるだろうということでございます。
次に「取扱注意」と書きました資料番号を振っていない資料でございます。これは前回もご紹介させていただきました地方公共団体に対するアンケートの結果をまとめたものでございます。かなり長い記述部分を抜き書きしております。公表を前提とせずにアンケートをとりましたので、信頼関係上、「取扱注意」とさせていただいております。これは先ほどの資料1でも若干触れましたけれども、普及・啓発あるいは意識啓発に役に立つものを中心に施策・事業を挙げていただきまして、それについて効果的であった点、今後さらに改善すべき点を書いていただいたものでございます。地方公共団体に力を入れている施策・事業を挙げていただいておりますので、基本的には各地方公共団体のお勧めのものが掲げられていることになります。
最後に資料2でございます。これは半年に1回程度内閣府で実施しております世論調査の結果の抜粋でございます。
意識啓発でよく話題になります項目について年代別、都市規模別の調査がありましたので、それを再編集してございます。最初のページは「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」だという性別役割分担意識。次のページは「男性は優遇されている」かという、男性の優遇観の問題。次のページが「女性が職業を持つことについての意識」。データはデータをもって語らせるということがありますので、私から特にコメントはいたしませんけれども、年代別ですとカーブの曲がり方が何となく似ています。都市規模別とは、大都市は政令指定都市と東京都23区、中都市は10万人以上の市、小都市は10万人未満の市、町村は町と村でございます。都市部と農山村地域で区分してデータをとれるとよかったのですが、こういったものしかありませんでしたので、この2つの要素でグラフ化してございます。
私からの資料の説明は以上でございます。 - 袖井会長
-
どうもありがとうございました。
それでは、早速地方自治体からのヒアリングに入りたいと思います。初めに熊本県からの説明をお願いいたします。 - 熊本県・坂本補佐
- 皆様こんにちは。熊本県庁の男女共同参画・パートナーシップ推進課で課長補佐をしております坂本と申します。よろしくお願いいたします。
- 熊本県・井手補佐
- こんにちは、同じく熊本県男女共同参画センターの課長補佐をさせていただいております井手と申します。よろしくお願いいたします。
- 熊本県・坂本補佐
-
お手元の資料3に基づいて説明をします。「男女共同参画社会づくりの概要」としまして、熊本県の組織体制、普及・啓発事業の概要及び課題を簡潔に整理しております。
まず1枚目でございますが、1 男女共同参画に係る熊本県の動きでございます。基本法ができました翌年、平成12年6月に独立した男女共同参画課を設置しております。その年から男女共同参画計画の策定に着手しまして、翌年3月に策定をしております。次の14年4月には条例の施行、男女共同参画センターの設置、男女共同参画審議会の設置をしております。計画は策定後5年を経過しましたので、17年に見直しをしておりまして、昨年の3月に改定作業を終えております。
それから、組織体制ですが、2に簡単な図を書いております。
熊本県の知事部局は全部で8つの部から成りますけれども、その中の総務部、総務部には10課ございますが、総務部の中の男女共同参画・パートナーシップ推進課が男女共同参画を担当しております。職員は課長以下13名でございます。
出先機関として3つございまして、1つは、くまもと県民交流館。これはそこに書いておりますマル1からマル4までの4つのセンターの機能を併せ持った複合施設です。館長、副館長がおりまして、その下に男女共同参画センターの職員が4名、相談業務、情報ライブラリーの嘱託職員がそれぞれ2名常駐しております。
それから2つ目が女性相談センター、これは婦人相談所、配偶者暴力相談支援センターを兼ねております。こちらも福祉部門の複合施設になっておりまして、所長、次長は兼務でございますが、女性相談センターの専任の職員が5名、嘱託の相談員2名が常駐でございます。それから、一時保護所も併設をしております。
3つ目は、地域振興局を置いております。これは福祉、税務、土木、農林、いろんな分野の総合の出先機関ですが、こちらの総務部の総務振興課に男女共同参画担当を置いております。
庁内推進体制としては、男女共同参画社会推進会議を置いております。これは知事がトップとなり副知事、各部長、知事部局以外では教育長と県警本部長がメンバーとなっておりまして、男女共同参画の取組方針の決定などをしております。その下に関係の48課長から成ります幹事会を置いております。
2ページからは、男女共同参画の普及・啓発のための事業の概要及び課題を書いております。ここに書いておりますのは、私ども男女共同参画・パートナーシップ推進課が担当している事業のみを書いております。ですからこれ以外にも農林・漁業分野の男女共同参画ですとか、雇用分野の男女共同参画などそれぞれの担当課が実施しているものもあります。
事業は対象ごとに整理をしております。2ページの一番上の(1)で県民向けの普及・啓発、3ページの上のほうが(2)市町村の取組を促進するもの、3ページの下のほうが(3)事業者の取組を促進するもの、4ページが(4)学校における教育の促進、最後の(5)DVに関する普及・啓発としております。
では2ページから順に説明をいたします。
(1)のマル1 男女共同参画推進協働事業というものをやっております。これは先ほど言いました出先機関、地域振興局ごとに市町村、男女共同参画を目指す各種団体等を構成員とする推進組織を設置し、その振興局ごとに自主企画事業を実施しております。主なものはフォーラムの開催、全世帯に配布する広報紙の発行などでございます。
課題としましては、事務局を担います地域振興局中心の運営が主になっているところが多いことでございます。振興局以外のメンバーの方の意識づけということも目的の1つではあるのですが、なかなか県の出先機関以外のところの具体的な行動に結びついていかないということを課題として抱えております。それから、事業の定型化。フォーラムと広報紙が定型化をしてしまっているというのも1つでございます。もう1つ、これはほかの事業についてもいえますが、男性や若者の参加がどうしても少ないことが課題でございます。
マル2は、男女共同参画チャレンジセミナー。これは昨年から始めております上への、横への及び再チャレンジの3つのテーマで県民のチャレンジを支援するセミナーの開催で、昨年度は8講座を開催しております。昨年度は初年度ということもあり、男女共同参画の入門講座なども盛り込んでいたせいもありまして、チャレンジの実践に直結するような講座が不足したという反省を持っております。
受講者の追跡調査では、受講後生活に何らかの変化があったと答えられた方が95%で、チャレンジ支援に直結はしていなくても大きな効果があったと考えております。
それから、6月のマル3 男女共同参画週間には講演会、ワークショップを開催しております。これも同じように、男性や若年者の参加が少ないのが課題でございます。
マル4 11月の女性に対する暴力をなくす運動。これは熊本県では平成17年度から女性に対する暴力だけではなく、児童虐待や高齢者への虐待の防止も含めまして、統一キャンペーンとして展開をいたしております。講演会の開催、ワークショップ、街頭キャンペーンなどを行っております。この課題としましては、県が中心に展開しておりまして、いろんな関係団体を巻き込んで本当の県民運動にしたいと思っているのですが、今のところ県と一部の団体の方たちでやっている形でなかなか運動が広がっていかないことでございます。
マル5 男女共同参画推進員の設置。これは平成16年度から実施しております。地域の身近なところで普及・啓発に当たっていただく県民を推進員として、知事が委嘱します。平成18年度は26名、今年度は40名の方を委嘱しております。活動の内容は自分の身の回りでできることをするというのが基本でございます。地域の会合や自分が所属する団体で男女共同参画の話をしますとか、あるいは学校に働きかけて生徒向けの授業を1コマ取ってもらう、あるいは地元の首長を訪問してもっと頑張ってくださいという働きかけをするなどの活動を行っております。
課題としては推進員の活動のバラツキでございます。こちらもこういうことをしてくださいという決めつけはあまりしたくないので、推進員の積極性に任せるところがございますので、結果として活動内容にバラツキが出ているというのが課題でございます。
マル6 広報紙の発行。これは年4回12,000部、A4サイズで12ページのものを発行いたしております。課題としては、これまでまとまったアンケート調査等を実施しておりませんので、読者のニーズというか、満足度がどのようなものか、よく把握できていないということがございます。今年度、その反省も含めて配布先へのアンケートを実施することにしております。
マル7、男女共同参画センターの中にございますライブラリー、ホームページの運営を行っております。
遅れましたけれども、今説明しました(1)の部分が、主に男女共同参画センターが実施しておりまして、(2)以下が、私どもの男女共同参画・パートナーシップ推進課が担当いたしております。
それでは、3ページの(2)市町村の取組促進です。
熊本県は市町村の取組が全体的に活発ではない状況です。市町村の男女共同参画計画の策定率も昨年3月末の段階で14.4%、これは47都道府県のうちの最下位でございました。私どもも住民に身近な市町村に積極的な取組をしていただきたいということで、この市町村の取組促進を重点事項の1つに挙げております。
1つには、マル1の市町村トップセミナー、これは毎年開催しているわけではございませんが、これまで平成14、16、18年度に開催をしてきております。市町村長、議会の議長、教育長を対象としまして講演、対談を行うという形です。そのようなセミナーを開催しますと、出席者の皆さん方には、総論としては、男女共同参画の必要性を理解していただくのですが、限られた人員、予算の中ではなかなか施策の優先度が高くならないのが実情でございます。特に市町村合併をしていない小規模の町村にその傾向が強いと感じております。
マル2は、私どもの方から、ここと目星をつけた市町村を訪問しまして、市町村長と相対して話をすることにしております。計画の策定、男女共同参画の所管課がちょっと違うのではないでしょうかとか、そういった話をいたしております。
マル3は、今年度初めて実施しますが、市町村行政におきましても男女共同参画があらゆる分野にかかわるものですから、分野にかかわらず課長以上、係長以上の幹部職員の研修を県内10地域に分けて10回開催する予定にしております。
マル4は市町村女性中堅職員研修の開催です。これは15年度から4年間、年齢や経験年数を問わず市町村の女性職員のキャリアアップを目的とした研修を開催してきました。今年度から少し衣替えをしまして、管理職候補の中堅職員を対象に、研修を終えた後に、近いうちに管理職になっていただいて市町村行政の政策や方針決定の場にも女性が参画していただきたい、それを手助けしたいというような趣旨で始めております。
(3)事業者の取組促進。マル1 企業トップセミナー。これは17、18年度に続き今年度も実施する予定です。昨年度3か所で開催しております企業の経営者、人事担当責任等を対象としたセミナーでございます。ただ、商工団体とか経済団体を通じて開催を呼びかけても、私どもが出席していただきたい方たちになかなか出席していただけないのが実情です。出席していただいても、先ほどの市町村の話と一緒なのですが、総論としては理解できるけれども、我が社にとって男女共同参画を進めることが即効的な効果があるのか、業績アップにどのようにつながるかというところがうまく伝わらなくて、具体的な取組にはなかなかつながらないとジレンマを感じております。
マル2の男女共同参画アドバイザー派遣。企業、団体等が男女共同参画に関する研修を実施されるときに、県から講師を派遣するものでございます。
マル3の男女共同参画事業者表彰は、女性の登用、仕事と家庭の両立支援などに取り組んでいる事業者を知事が表彰しております。平成14年度から始めておりますが、これまで累計で14社が受賞しております。
4ページに行きまして、(4)学校における教育の促進です。
マル1は中学生向け学習教材の作成・配布。これは今年度初めて配布する予定にしております。性別にとらわれない家庭での役割、進路選択等について学ぶ教材で、県内の中学1年生全員に配布する予定でございます。併せて教師が授業をする際の手引書も配布する予定です。
マル2 高校生向け学習資料の作成・配布。これは平成10年度から続けておりますが、こちらも県内の高校1年生全員に配布しております。ただ、毎年学校に対してアンケートをしておりますが、活用率が約60%程度で、40%ぐらいの学校では活用されていないという実情です。どちらも教育委員会、あるいは学校の先生たちの協力を得て現場で使いやすいものをと心がけておりますけれども、逐一見直してより使いやすい教材を作っていきたいと思っております
マル3 女子の理工系分野へのチャレンジ支援事業。これは今年度初めて実施するものでございます。中学、高校の進路指導担当者を対象としたセミナーです。理工系の適性に男女差はないことを理解していただいて、学校での進路指導に役立てていただきたいという趣旨でございます。
(5)DVに関する普及・啓発。これはDVの未然防止教育を平成17年度から県内の高等学校を対象に実施しております。高等学校の要請に応じて外部講師を派遣しまして、1時間程度の講話をするという内容でございます。生徒がDVの被害者にも加害者にもならないという視点の講義でございます。18年度は24校に派遣しまして約5,600人が受講しております。今年度から専修学校・各種学校も派遣対象に加えております。課題としましては、今は外部講師を派遣しておりますけれども、今年度は学校の先生方が授業ができるようなプログラムを開発したいと思っております。
それから、配布資料には書いておりませんが、私ども職員の出前講座として、いろんなところから話をしてほしいという要請があれば、出向いていろんな話をするようにしております。昨年度1年間で25か所に出向いております。農業協同組合ですとか、漁業関係者の会合、市町村ですとか、あるいは高等学校の校内研修、小・中学校の校長の研修などに出向いております。
以上のような事業をやっておりまして、それぞれ右側に書いているようなことが課題ととらえております。男女共同参画は人の意識を変えたり、長年の慣習を見直したりすることが必要で、1年や2年で大きく進展させることは難しいと考えておりますけれども、熊本では着実に変わってきているなという実感を持っております。今後も普及・啓発の対象や方法、効果などを絶えず検証しながら、地道に普及・啓発に取り組んでいきたいと考えております。
説明は以上でございます。 - 袖井会長
- どうもありがとうございました。自由討議の時間は後ほど設けておりますが、この場で簡単な質問や確認事項がありましたら挙手をお願いします。
- 渡辺委員
- 先ほど「市町村の取組促進」の中で、計画がまだつくられていない市町村長に働きかけをなさったときに、「所管課が違うのではないか」というご助言をなさっているそうですが、具体的にはどういうところで担当されているのか、実例をお教えいただけたらと思います。
- 熊本県・坂本補佐
- 男女共同参画はあらゆる分野にまたがる事柄ですので、市町村においても、総務や企画部門、全体を見渡せるところが担当すべきではないかと思っております。私どもも17年度までは環境生活部という県民生活の分野にあったのですが、昨年の4月からは総務部に課が移っております。熊本県の市町村ではまだ住民課や福祉課などが所管しているところもたくさんございます。それはそれで市町村長さんの判断ですので、どうこう言えない部分もあるのですが、「県はこう考えておりますので、ご検討いただけないでしょうか」という話をしております。
- 袖井会長
- ほかにどうぞ。
- 神津委員
- ちょっと確認をしたいのですけれども、男女共同参画推進員の男女比はどんなふうになっているのでしょうか。18年が26名、19年は40名と書いてございますが。
- 熊本県・坂本補佐
- 詳しい資料が今手元にございませんので、大体でよろしいでしょうか。
- 神津委員
- はい。
- 熊本県・坂本補佐
- 昨年度は男性が5名ぐらいだったと思います。
- 袖井会長
- 熊本県の方には会議終了までいていただきますので、またご質問がありましたら、後ほどお聞きいただきたいと思います。どうもありがとうございました。続きまして、兵庫県からご説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
- 兵庫県・中野所長
-
兵庫県立男女共同参画センター所長の中野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
お手元の資料4と今日机の上に配りました「Even News」、その中にもう1つ「男女共同参画ニュース」を入れさせていただいておりますので、これでご説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
兵庫県におきます男女共同参画の推進体制でございますが、平成13年4月に「ひょうご男女共同参画プラン21」を策定いたしまして、8月に知事を本部長とする推進本部を設置しております。14年の4月に条例を施行いたしまして、15年5月には県としての「率先行動計画」を策定いたしました。18年4月にはそれぞれ「プラン21」、「率先行動計画」の見直しを行い、新たに計画を策定いたしております。
男女共同参画推進本部は、知事を本部長として、構成員としてそれぞれの部の部長、それから10の県民局、地域がございますので、その県民局長等を入れております。また、男女共同参画審議会と59団体で構成されるひょうご男女共同参画推進協議会を設置し、このような推進体制の下、県庁では男女家庭課が事務局として施策の総合調整、推進をいたしております。
センターといたしましては、全県の活動拠点施設ということで、41市町と連携をとっております。41市町中19市に男女共同参画センター等がございます。
次をお開きいただきたいと思います。県内の41市町中、条例を設置いたしておりますのが5市、それから計画を策定しておりますのが27市町で、約66%でございます。
次のページをめくっていただきまして、当センターの概要でございますが、当センターは、平成4年10月1日に県立女性センターとしてスタートいたしました。そして条例施行後、14年4月に男女共同参画センターと名称変更いたしております。
所掌事務としては、そこのア~キに書いております男女共同参画社会に向けての活動の支援、情報収集・提供、研修会、講演会、相談、就業に関する指導・技術講習等をいたしております。
次のページをお開きいただきたいと思います。施設の概要は、(2)に書いておりますが、1,056m2の1フロアーで実施いたしております。
また、センターの組織としては、調整課、企画啓発課、就業援助課の3課の下に県職員9名と、非常勤嘱託といたしまして専門の女性問題カウンセラー3名、情報アドバイザー2名等、合わせて15名で運営をいたしております。
次のページをお願いいたします。施策の体系でございます。当センターの19年度の施策といたしまして、啓発、情報、相談、チャレンジ支援、就業支援、活動・交流支援、調査・研究等、こういう柱の下に事業を実施いたしております。今回事業の中身をご説明いたしますのは、啓発の中の理念の普及のうち男女共同参画推進員の設置事業、学習機会の提供、人材育成、それとチャレンジ支援。この4つに絞って報告をさせていただきます。
次のページをお願いいたします。男女共同参画推進員制度。これは条例に基づき知事が委嘱をしております。県内10の地域がございますので、県内10の地域と企業、労組にそれぞれ推進員を設置して、地域のネットワークづくりや職場における意識啓発を進めております。
活動の内容といたしましては、男女共同参画に関する情報収集・提供、それから、県の「プラン21」の普及啓発、行政施策の推進に協力をしていただくということでございます。何よりも今大きいのは、その他のところに書いております男女共同参画社会づくりに向けて地域ごとにグループ活動をしていただいていることです。
事業の企画運営はすべて推進員に実施していただいております。推進員は1期2年として、7月1日現在、第3期の2年目を迎えております。委嘱は246名、そのうち女性が79.3%でございます。
それから、企業・労組につきましても、206名、女性が41.7%でございます。
センターの推進員に対する支援策といたしましては、まずは情報提供をそれぞれにさせていただくことです。お手元に配っております「男女共同参画ニュース」を月1回当センターで発行いたしまして、それぞれ推進員やいろいろな機関に配っております。この「男女共同参画ニュース」の構成は、表の一番上に、国の動きということで、この号は白書のことを入れさせていただいております。その次にトピックス。これは県内の医師会の中に「女性医師の会」が生まれたこと。そのフォーラムに猪口前担当大臣に基調講演に来ていただいたことも書いてございます。中を開いていただきますと、推進員の地域別ブロック事業の報告とその隣に事業所の紹介。これは条例で男女共同参画をよく進めていただいている企業と県とが協定を締結しておりまして、今年7月11日現在で141の事業所と協定締結をしております。地域・事業所の両方の活動を入れさせていただいております。それから、最後のページは、当センターの事業だけではなくて、その下にもありますように、神戸大学で今度男女共同参画のシンポジウムをするといった県内の事業等も併せて、これを月1回発行いたしております。
それから10ブロック別に年34万円の事業委託をしております。その34万円でそれぞれ1年間の事業の計画、実施をしていただいております。
最後に書いております活動費の支給に関しましては、2期までそれぞれ1人当たり月1,000円の活動費を渡しておりましたが、3期からこれを廃止しまして、ブロック全体で事業を進めていただくという方針にしております。兵庫県は都市部、山間部、臨海部いろいろな地域特性がありますので、推進員が創意工夫をして、魅力的な事業の展開が図られている状況でございます。また、企業におきましても、企業協定を結ぶことで職場・企業の中での取組が非常に盛んになってきたということで、成果は上がっております。
課題といたしましては、来年度の4期に向けまして、できるだけ推進員を多く増やしていきたいと考えておりますし、やはりワーク・ライフ・バランス社会といったものを考えますと、地域と企業の推進員の連携も今後課題となっております。
次のページとその次のページは、18年度にそれぞれのブロックの推進員が実施した事業を載せております。昨年度は10ブロックで39の事業を実施していただいております。神戸の欄のちょうど真ん中ですけれども、小学校6年生に対するアンケート調査。これは学校の校長会等と連絡をとりまして、予備調査をして今年6月に実施いたしまして、今、まとめの段階に入っております。こういうことも推進員たちが、自分たちで地域の中でやってくれています。
それから、その下の阪神南につきましては、神戸女学院大学と共催で昨年度にシンポジウム「女性と理科~高校生と考える男女共同参画」をいたしております。こういうこともすべてそれぞれのブロックの中の推進員が、月1回例会を持ちながら事業の企画調整をしてくれています。
次に人材育成でございます。県として非常に人材育成に力を入れております。まず推進員さんになっていただく。この人材育成といたしまして、特に県が力を入れておりますのは、男女共同参画アドバイザー養成塾。これは今年度11期を迎えております。昨年度までに529人に受講していただいて、8割出席していただいた方383名に修了証書を渡しております。アドバイザー養成塾で男女共同参画に関して体系的に学んでいただいた方たちに、推進員として地域で活動していただくことを考えております。今年も6ヶ月にわたりまして20回の講座とワークショプを計画しております。昨年度は43名受講していただいて、34名に修了証書を渡しております。18年度にこのアドバイザー養成塾を受けていただいております方たちの平均年齢は50.5歳でございます。50代が一番多く、あとは多い順に40代、30代、60代となってございます。
こういう形でアドバイザー養成塾も今年度で11期を迎えましたけれども、但馬地域などですとなかなか当センターへ足を運べないということで、今年度要望がございまして、入門コースをセンターから遠い地域に出前で実施する予定にしております。
次にファシリテーター養成講座。このアドバイザー養成塾を修了された方にさらにスキルを磨いていただくということで、ファシリテーター養成講座を実施しております。これを修了した方々が次のアドバイザー養成塾のファシリテーターになっていただくということで、現在2期目、ファシリテーター養成は17年度から始めております。
それからイーブン市民講師養成講座。これもアドバイザー養成塾を修了された方が、さらに地域の中で、身近な公民館などの学習会で講師として活躍できるように、人材育成をしているものでございます。これも17年度から始めまして、17年度は修了生59名、18年度は修了生15名、その中で今年度イーブン市民講師として登録していただいている方が49名でございます。2人ペアでそれぞれ地域の中に講師として行っていただくことにしております。
成果としては、アドバイザー養成塾で体系的に男女共同参画を学んでいただいた方が次々レベルアップをしていただいて、地域の中で草の根的な普及・啓発をしていただいて、それが非常に活発化しているということで喜んでおります。
次のページ、課題でございます。アドバイザー養成塾も11期となってまいりまして、受講生の確保、これからは市町とも連携をしながら受講生のすそ野を広げていく、そういう取組をしていかなければならないということと、ファシリテーターや市民講師の活用を図っていくことを課題としております。
次のページをお願いいたします。学習機会の提供ということで、男女共同参画セミナーをいたしております。これは長期30時間のコースを3コース、短期15時間コースを3コース実施いたしております。
また、それ以外に(3)のイーブン心理講座。これは当センターの女性問題相談員がいろいろな相談を受けておりまして、個別ではなく、もう少し女性にエンパワーをしていただきたいという講座を相談員が企画をして昨年度から実施しております。これは非常に人気がございますので、今年度もこれに力を入れていこうと考えております。
それから、もう一つは、男女共同参画センターに登録グループが200団体ほどございますので、今年度はそういう登録グループのNPOや団体と共催事業を実施していこうと計画しているところでございます。
それと次のページをめくっていただきまして、もう一つは、企業に対する出前講座ということで、ワーク・ライフ・バランス、セクシャルハラスメントの防止などに関する研修会に講師依頼がございましたら、年20回講師を派遣させていただくといった事業を実施しております。
成果といたしましては、地域のリーダーの人材育成、企業等の人材育成に非常に効果があると考えております。ただ、きっちりとこういう講座で男女共同参画を学んでいただきたいと思いまして、長期の講座30時間をしますと、非常に応募者が少ない状況ですので、今後は長期講座を減らして短期で何とか魅力ある講座にしていきたいと考えております。
最後でございますが、当センターといたしましては、女性のチャレンジ支援を県下で進めていきたいということで、昨年の6月に「ひょうご女性チャレンジひろば」を開設いたしました。これは出産・育児などのために一旦退職し、再び就職や地域活動にチャレンジしたい女性に対してワンストップで情報提供、相談にのる窓口でございます。出口といたしましては、就職、起業、在宅ワーク、地域活動、そこへ一貫してフォローしていくものでございます。
「ひろば」で実施します事業としては、まず入口として情報提供、相談事業をやっております。また、チャレンジ支援のポータルサイトによる情報提供も行っております。
2番目として、次のステップにつなぐ機能ということで、専門相談の中にはチャレンジプランの作成の支援を実施いたしております。また、出口へ向かっての各種のセミナーを実施いたしております。
また、グループづくりをしたい人たちへの支援も行っております。
また、出口が非常に広いですので、官民の関係機関のネットワーク「ひょうご女性チャレンジねっと」を構成いたしまして、その担当者マニュアルをつくってお互いに相談者の方々を紹介して目的を達成していただく、出口へ向けての支援ネットを強化いたしているところでございます。
この「ひょうご女性チャレンジねっと」を通しまして、この1年間で当センター以外に10市に「女性チャレンジひろば」が開設されております。それを支えておりますのが、次のページの構成団体です。経営者協会、それからいろいろな関係団体、今33団体がこのネットに入っていただいております。今年は3にあります「チャレンジねっと」主催の「ひょうご女性チャレンジまつり」を7月11日に実施いたしました。これは就職、起業、地域活動、チャレンジについての総合的な相談コーナーを設けたり、それぞれの構成団体のパネル展示をしたり、チャレンジに成功した女性たちのリレートークなどの交流会を実施いたしました。トータルで約450名集まっていただいて機運を高めていただいたところでございます。今後はこの「女性チャレンジひろば」を41の全市町へ設置していくように支援をしていきたいと思っております。
この「女性チャレンジひろば」の状況につきましては、この「Even News」に載せておりますので、これを参考にしていただけたらと思います。「チャレンジまつり」に関しましても、11ページにこんな中身をやりますということを載せておりますので、ごらんいただけたらと思います。
以上でございます。 - 袖井会長
-
どうもありがとうございました。それでは、先ほどの熊本県と同じように、簡単な質問や確認事項がありましたら挙手をお願いいたします。
ないようでしたら。兵庫県の方、どうもありがとうございました。それでは、次に上越市からご説明をお願いいたします。 - 上越市・上野課長
-
上越市の上野と申します。先ほどは心温まるお見舞いのお言葉をいただきまして大変ありがとうございました。上越市は柏崎市ほどの被害ではありませんでしたが、一部全壊の家屋もありました。また、幹線道路や電気・水道などのライフラインの被害もあり、行政としての対応に職員が日夜努力している状態です。
(資料6(パワーポイント)の4ページ)
一番の問題はこれから風評被害がかなり影響してくるのではないかということです。今、テレビで「風林火山」を放映しておりますが、上杉謙信公役のガクトさんという俳優さんをイベントに招いたり、東洋一のはすまつりなど観光に力を入れておりますのでぜひ皆様もお越しいただく形で災害に対しご支援いただければと思います。
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組織体制について説明いたします。現在当市では企画・地域振興部に属しております。これに関しては、自治体によって市民環境部のようなところであったり、企画部門であったり様々のようですが、企画部門にあることによって、全課に向けて取組の強化を図りやすいのではないかと思っております。
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次に、センターについてですが、平成13年に上越市男女共同参画推進センターを設立しました。右下の写真の地球のマークのある市民プラザ、これはPFI方式を導入した市の施設で、子ども支援センターや地球環境情報センター、総合ボランティアセンター、国際交流センターなど市民活動拠点などを設け、そこの一角に男女共同参画推進センターがあります。
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年間の事業計画は他の自治体と同様なことを実施しておりますが、運営体制の特徴的なこととしまして、去年までは20名の企画運営委員が企画をして、それを市とセンターの職員が協力をしながら進めてきたわけですが、去年のサミット開催の際に登録団体代表の実行委員やボランティアの市民の方々が協力をしてサミットを行ったことが契機になり市民の更なる自主的な活動意識が芽生え、センターを自分たちで運営していこうという機運が高まったという経緯がありました。
その結果今年は、企画委員会と事業運営委員会という組織をつくり、登録団体の代表等で組織され事業の企画を行う企画委員会と、協働で行うことのできる多くの市民を呼び込もうと事業運営委員会を設置し、地域推進員をも巻き込んで事業を運営していく体制を整えました。体制もまだ不十分なところがたくさんあるのですが、今それに向かって準備期間ということで、企画委員と事業運営委員の皆さんと委託運営の方法などどのようにしていったらいいのか模索の状況でおります。
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18年度に行ったセンター講座についてですが、ここに書いてありますように、基本計画に沿ったテーマで講師を招いて講座を実施しました。このほかにも、県の女性財団のほうからもスキルアップセミナーというような共催で行ったものもございました。
そのほかに、今年19年度の特徴的なこととしまして、桜井さんからサミットの講演にお越しいただいた際にご紹介いただいたマイクロソフト株式会社と全国女性会館協議会の助成を受け、経済的に困難な方のためにパソコン講座を行いました。経済的に困難な状況にある女性の自立を支援するためにパソコン講座を開講して就職につながる技能を習得できるようにしていこうというもので、今年6月の末から7月の初めにかけまして行いました。最後に就労応援イベントとして面接のテクニックとか、単なる自分に似合う色だけでなく、会議や客の応対など、様々な状況により自分を主張したいときの色の選び方などを学ぶ「すてきに変身パーソナルカラー講座」なども行いました。
経済的に困難な状況にある方というのは生活保護とか児童扶養手当を受けられている方、それから、一時保護施設や母子生活支援施設への入居者等、ひとり親などが対象で、そういう方々が自立していくための支援のひとつとしてパソコン講座を行いました。これについては大変好評でして、参加された皆さんから、もっとその上の段階をやってほしいという希望がたくさんございましたので、今後検討していこうと思っております。
それから、地域フォーラムについてです。先ほど熊本県でもお話がありましたが、地域によって男女共同参画の意識にかなり格差があります。その意味で隅々にまで男女共同参画の理念を一様に広げていくということで、地域フォーラムを行いまして、笑福亭松枝さんのような落語家の方を招いたり、ジャーナリストの竹信三恵子さんを招いたり、宝井琴桜さん、この方は講談師の方でした。こういったような様々な工夫をしながら、少しでも多くの地域の方々が集まっていただけるよう工夫してフォーラムを開催しました。
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次に、男女共同参画フェスタについてです。これは平成12年頃から行っています。いわゆる「フェスタ」というとお祭りですが、最初は女性映画祭として、女性監督がつくった映画を市民に見せることで、男女共同参画の視点を皆さんにわかってもらうという趣旨で始まりました。今は「男女共同参画フェスタ」という名前で実施しておりますが、18年度は岩波ホールの総支配人高野悦子さんを講師にお招きしまして、女性が映画をつくることの難しさといったことを中心にお話いただきました。ここにおられる住田さんにも、その前年においでいただいたと思います。それぞれ工夫をこらしまして行ってきております。
今年は、地元の大学のストリートダンス部のパフォーマンスとアカペラサークルの皆さんからオープニングを飾っていただき、少しでも若い方々に来ていただこうという工夫をいたしました。このほかやはり大学生に実行委員になっていただいたところ、新鮮な意見が毎回出まして、一緒に考えていく上で他の実行委員にとっても非常に貴重な体験ができたのではないかと思っております。若い世代に男女共同参画の理念を広げていく必要があることから、これからも若い世代を意識して活動の輪に参加してもらえるよう努めたいと考えております。
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それから、地域推進員についてです。当市の場合は、平成15年度から配置しております地域推進員ですが、現在は小学校区に男女1名ずつ配置しております。この方々には出前講座を主体的に実施していただいたり、市やセンターで行う講座に参加していただいたり、それから近所の方々にそういった講座等の情報を提供していただいたり、地域で活躍している女性で市の審議会等の委員になっていただけるような方々を情報として集めていただく、そういったような趣旨で配置いたしました。
しかしながら、108名の方々、必ずしも自ら手を挙げて率先してなられた方ばかりではございません。やはり町内会から割り当てられて出て来られた方もいらっしゃいますので、その方々自身にも男女共同参画に対する理念をどのように理解していただくようにするのかが今後の課題です。今年はセンターの活動に参加していただきながら一緒に考えていこうと地域推進員にも呼びかけています。
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事業者への取組みですけれども、これは先ほど県の方々のお話にもありましたが、商工会議所とタイアップして行っていますが、事業者の方々に声をかけてもなかなか集まらないという実態があります。やはりその裏には、「経営状況をどう乗り切っていくかが一番重要な課題で男女共同参画どころではない、自分たちのところではその理念を取り入れていくことはちょっと難しい」という中小企業の方々の切実なる声が多いのが実情だと感じました。そういったなか、ある小学校区の地域推進員出前講座で、たまたま町内の一員として来られたある企業の総務部の人事担当の方から、「是非うちの会社でもそういう講座をやってほしい」というお声がけをいただきまして、企業での講演をやらせていただきました。社長以下60名の方々に出席いただいたのですが、皆さん「初めて聞くような内容だが大変よく理解できた」と喜ばれました。これはどこの事業所でも、どこの町内の講演でもそうですが、必ず声に出てくるのは、「男女共同参画というのはよく聞く言葉だけれども、何なのか全然わからない」ということ。それが実態だと思います。そういう状態なのですが、こういう方たちに一度聞いていただくだけで、本当に目からうろこというか、難しいことではないのだということをわかってもらうことが多く、講座の対象者などにより講師選びに工夫をしたり、呼びかけに工夫をしたりすることが今後の課題ではないかと思っております。
建設工事の入札参加者の総合評点加点制度というのを行っています。これについては、入札業者がISOの認証取得者であったり、障害者雇用促進等に関する法律の規定以上に障害者を雇用しているような場合と同様に、育児休業制度や介護休業制度を実施するなど男女共同参画の促進に資する措置を講じている場合、総合評点に加点されるものです。
それから育児休業取得推進事業所助成金制度についてですが、厚生労働省の委託を受け(財)21世紀職業財団が行う遺児・介護雇用安定等助成金の代替要員確保コースの受給決定事業者に対し、市からも同額か、何人目の出産かによって同額以上の助成を上乗せして行うものです。
その下の子育て・介護のための休暇取得運動。これは企業で働く方々、特に男性が短期間でもなかなか育児休暇をとれない。それを解消する方法はないかということで、昨年の6月に上越市長が猪口前大臣にお会いする機会があり、育児・介護休業の短時間勤務の導入を直接要望するとともに、人事院へも出向き提案を行ってまいりました。現在、国家公務員の育児休業制度の法案が改正されましたが、当市におきましても条例の改正に向け検討をしているところでございます。法律化するまでの間、育児・介護のために有給休暇を使い、月に一度は家族のために休める環境を作ろうと「ケアリング休暇取得運動」を男女共同参画推進課と人事課とで進めております。ケアリングというのは「思いやる」という意味もあり、女性ばかりでなく男性も子どもや介護の面で、1時間でも2時間でもいい、例えば病院へお年寄りを連れて行ったり、いつも子どもと向き合っている妻のために休暇を取ったり、職員に積極的にとってもらえるような運動を進めております。
また、このほか3人目の子どもがいる家庭に、協賛に同意した企業からの特典を受けるカードを配布する子育てジョイカード事業など、さまざまな取組を行っておりますが、知恵を絞り行政として支援できる体制を整備するよう努めております。
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それから行政推進会議、これは市長を議長としておりますが、ほかの自治体では、市長を入れていないところもあるようです。当市の場合は、市長が男女共同参画に力を入れ、率先して行っていることに大変大きな意味があるのではないかと思っております。審議会等への女性の登用率ですが、登用率を上げるためにはどこの自治体でも頭を抱えているところです。上越市は約40%という数字の上では大変高いほうだと思うのですが、ここからが大変なところだと思っております。と申しますのは、主に合併する前の地区の議会の議員で構成されている地域協議会や、漁業や農業関連の委員会等の場合、女性が委員になる可能性が非常に狭められており、これから45%を1年で達成することはなかなか困難ではないかと考えています。
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次に、女性相談事業についてです。これは男女共同参画推進センターで行っておりますが、今、上越市ではノーマライゼーションのまちづくりの核とするため福祉総合拠点になるような建物を整備し、総合的な相談ができるよう計画しております。こども相談や他の相談と関連性があることから女性相談もそこで行うことも考えております。自治体によって相談業務の実態はさまざまですが、売春防止法に基づくDV相談の関係になると、福祉課に所属する女性相談員が対処するところが多く、当市の場合は、男女共同参画推進センターで行い、庁内の各課との連携を行い、それから、警察や県の関係機関と連携をとっておりますが、やはり自治体の多くはDVの深刻なケースの場合は慎重に取り扱わなければならないため、民間委託よりは市直轄の婦人相談員が行っているところが多いようです。当市の相談員は嘱託で行っておりますが、民間委託等を含めて十分検討しながら考えていこうと考えております。
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引き続き今後の課題ですが、意識調査で判明したことですが、条例のこと、計画のこと、センターのことを知らない方がかなりいらっしゃいます。そのことについてどのように取り組んでいくかを、センターの団体の方々や一般市民と協働体制を図りながら解決していこうと考えております。
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大体今まで申し上げましたことがこの課題(2)に続いております。幅広い世代への普及、固定化された参加者以外の方々を巻き込んでいくということ、男女共同参画という言葉だけでアレルギーを持つ人々に対していかに進めていくかということが、去年のサミットの自治体の方々との事務担当者会議でもかなり話題になりました。「男女共同参画」という言葉を隠して楽しそうなイベントのようにしているところもあるとお聞きしております。例えばリラクゼーションのイベントのようなことをやっているところもあるとお聞きします。「男女共同参画」という言葉自体が悪いわけではないのですが、議会で質問も出ましたが、6文字の感じがかなり難しい、堅苦しいという印象を与えるとの指摘がありました。今後も引き続きより多くの市民に理念をわかりやすく説いていくよう検討したいと考えております。 - 袖井会長
- どうもありがとうございました。それでは、上越市の方に何か確認したいこと、お聞きしたいことがありましたらどうぞ。
- 伊藤委員
- センターのロケーションですけれども、私は熊本と神戸はよく知っています。熊本はたしか複合施設の一部ですよね。デパートとくっついている、すごく行きやすい。神戸は神戸駅前。上越市は、場所は駅の近くですか。
- 上越市・上野課長
- 新潟県の中でも長岡と新潟はおっしゃるように駅の近くにありますけれども、上越市の場合は駅からは離れていて、車で10分ほどです。
- 袖井会長
- そうすると、地域の方は皆さん車で来られるんですか。
- 上越市・上野課長
- そうですね。バスもありますが、都会と違い本数も多くないことから、バスに乗って来る方は少ないです。子どもセンターや民間のフィットネスのようなスポーツ施設と一緒になっておりますので、そういった目的で来られる方は大体が車で来られることが多いですね。
- 袖井会長
- ほかに何か上越市の方に。よろしいですか。それでは、今までの熊本県、兵庫県も併せて質問していただきたいと思います。では、加藤委員どうぞ。
- 加藤委員
-
3団体の皆様にはおかれましては、今日はご遠方の中、貴重なご報告を本当にありがとうございました。私からは、3団体の皆様に対して簡単に2、3点質問させていただきたいと思います。
まず、熊本県につきまして。地域推進員は男女共同参画の分野に限らず防災や防犯など様々な分野で設けていらっしゃるかと思うんですけれども、地域推進員の選任単位は、町内会や町内会が一緒になった複合の地区、学校区、旧町村、こういった活動区域があるのだろうと思うのですが、熊本県の場合には地域推進員はどういった区域で活動していらっしゃるのでしょうか。
それからもう一つは、兵庫県さんのご報告の中で、地域推進員に対する支援策のご紹介がございましたけれども、熊本県では推進員に対する支援策がありますでしょうか。
最後でございますが、中学、高校における学習資料のご紹介がございましたけれども、今後この改訂並びに活用を生徒自身が参加して行っていくという予定がもしありましたらお教えいただきたいと思います。
以上が熊本県さんで、つづいて兵庫県さん、同じように推進員の活動区域、選任単位について改めて確認させていただきたいと思います。兵庫県さんにはもう1点、イーブン心理講座でございますけれども、地域活動を進めるに当たって推進員の方がいろいろな悩みを抱えていらっしゃる。そういうところでこの講座があるのだろうと思うんですけれども、講座の中で紹介された事例2、3を教えていただきたいと思います。
最後、上越市に対しましては、今後登録団体を拡大していく上で何か方策を具体的にお考えでいらしたら教えていただきたいと思います。それからセンターの講座についてですが、企画委員会、事業運営委員会で講座を企画・立案等していらっしゃるのだろうと思うんですけれども、事業・企画両委員会を構成する個人・団体はかなり重なっていらっしゃるのでしょうか。つまり、ご報告の中で事業運営委員会の方は実動部隊として位置づけられているというお話があったかと思うのですけれども、どのくらい人が重なっているのか、重なっていないのか教えていただきたいと思います。それともう一つは、上越市におかれましても、推進員に対する支援策があるかないかを教えていただきたいと思います。
私からは以上でございます。 - 袖井会長
- 熊本県からよろしくお願いします。
- 熊本県・井手補佐
-
まず推進員に関しますお尋ねにつきましては、今年度からセンター事業ということで、私どものほうでやっておりますのでお答えさせていただきます。まず選任の単位ですけれども。この事業は平成16年度に始まりまして、その際は、先ほど坂本からの説明で10の振興局があると申し上げておりましたけれども、大体ご本人からの自発的な応募によりまして、基本的には振興局に2名から3名程度の方々ということで、県内10の地域にそれぞれ分かれておられました。これまで2年間の任期でやっていただきまして、16年度は2年間、18年度は1年間というちょっと変則的な形になりまして、19年度は改めて推進員さんを募集しております。今年度はこれまで16年度、18年度に推進員をされた方々及び18年度に地域リーダー育成研修を終了した方のうち市町村職員を除く20人の中から新たに選ぶということで、その方々にやっていただけますかと打診をして、今年度もやりたいとおっしゃっている方々40人を選任しています。選任単位ということでは、多い地区では5、6名、少ない地区では1名と非常にアンバランスになってきていますので、来年度以降、またいろんな考え方をしていこうかなと考えております。
それから支援策ですけれども、昨年度までは報酬等も差し上げていたのですが、今年度からは全くのボランティアになっております。年1回の研修会と、それからこちらのほうで出します、先ほど話に出ました広報紙ですとか、いろんな男女共同参画関係の催し物の情報を優先的に送るようにしたいと考えております。それから先ほど振興局との協働事業の説明もいたしましたが、その中にも推進員さんに入ってもらって一緒に活動していただく形で進めております。
以上です。 - 熊本県・坂本補佐
-
3点目の児童生徒向けの教材ですけれども、これはこれまで教育委員会の指導主事、学校現場の教師を含めて大人だけで作成してきました。ただ、中には高校生が描いた漫画等も教材に一部載せております。今後の見直しについても、これまで生徒の参加ということは全然頭になかったのですけれども、加藤委員からのご質問を受けて、そういう方法もあるなと今気づいたところですので、そのような方法も検討したいと思います。
以上です。 - 袖井会長
- ありがとうございました。加藤委員よろしいですか。
- 加藤委員
- はい。
- 袖井会長
- では、次、兵庫県にお願いします。
- 兵庫県・中野所長
-
兵庫県の推進員の活動区域ですけれども、先ほども申しましたように、兵庫県の行政区域が10の県民局になっていますので、その県民局単位で活動していただいております。ですから人口が神戸市のように150万人の地域から、20万人ぐらいの地域がありますけれども、20万人であっても、非常に区域は広いです。それぞれ活動は、資料の中にも入れさせていただいたように、地域の中で市町ごとに事業のイベントを組むなど、それぞれ推進員によって活動のやり方が違っております。
それから、心理講座でございますけれども、これは推進員ではなくて、女性の悩みの相談です。それを相談員が聞いておりまして、相談員たちが個別の対応ではなく、働く女性がいろいろ悩みを個別に持っていらっしゃるとか、子育てで悩みを持っていらっしゃる、それから女性のコミュニケーション不足とか、そういった共通の問題をテーマに決めまして、ワーク的な講座を計画しております。主に今は働く女性に対するもの、子育ての女性に対するもの、それからコミュニケーション講座といった3つに分けて実施しております。 - 上越市・上野課長
- 地域推進員に対する支援策が最初のご質問だったと思いますが、地域推進員には年間5,000円の交通費程度の謝礼で行っていただいております。年に2回研修会を行って、そのほかのいろんな講座に参加していただくことで意識を高めていただくのがねらいです。
- 袖井会長
- よろしいでしょうか。
- 加藤委員
- あと2点は登録団体の拡大の見通しと、企画委員会と事業運営委員会の個人団体がどう重なっているか。
- 上越市・上野課長
- 事業運営委員会のほうは、登録団体によっても違うのですけれども、5名ぐらいずつ出てきていただいております。今のところは、ちょうど掛け算にならないのですけれども、30名ぐらいだったと思います。これでは足りないので今後増やしていく必要があるのですが。その団体の中から代表として出られた方が企画委員になっておりますので、必ず1人は重なる形になっております。
- 袖井会長
- 各団体から5名ずつで30名くらいというと、あまりたくさんの団体ではないということですか。その辺どうなっているんですか。
- 上越市・上野課長
-
そうですね。今掛け算にならないと言ったのはそのことなんですけれども、中には2名ぐらいのところもあります。全部の団体が参加しているわけではなく、もう少し様子を見ている団体もありますので、今後より多くの方々を巻き込んでいくよう呼びかけていく予定でおります。
登録団体の拡大の方策についてのご質問がありましたが、上越市の場合、男女共同参画だけを目的とした団体は決して多くはありませんので、それ以外の団体にも男女共同参画の趣旨に賛同いただければ登録していただけるよう、登録した場合のメリットを情報提供して呼びかけていこうと考えております。
そのほか、必ずしも企画・運営を登録団体で構成する委員ばかりでなく、フェスタなどについてはこれまでどおり、新たな実行委員を公募していくことや、パフォーマンスや地場産や手づくりの食べ物の販売など興味をそそるようなイベントを盛りこみ、難しいことばかりやっているのではなく、楽しいんだと思わせる雰囲気づくりの仕掛けが必要ではないかと考えます。 - 袖井会長
- 他にどなたか。
- 坂本委員
-
兵庫県のお話、大変興味深く伺いました。幾つか質問させていただきたいのですけれども。推進員さんが地域と企業、労働組合でいらっしゃるということで、その3期の方の男女別の比率を見せていただくと、地域のほうでは女性が多いけれども、企業、労組のほうは男性が58.3%。どうしても女性の活用がどこのセンターを見ても偏っているのですけれども、意識的に男性を増やされているのか、それとも今までの取組の中でこういう結果になってきたのかということを伺いたい。それが1点。
それから、神戸などは外資系の企業も非常に多くて、ダイバーシティなどに積極的に取り組んでいらっしゃる企業さんもいらっしゃるかと思います。そういったところからの推進員へのご参加とか、外国籍の方たちのご参加はどんな状況か伺わせてください。 - 兵庫県・中野所長
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推進員の男女比が決まっているわけではございません。地域の推進員は自分で応募していただきます。企業労組の推進員は、それぞれから推薦や応募という形をとっております。
それから、外資系の会社も男女共同参画の協定を結んでおります。ここには挙げておりませんが、そういう進んだ企業の方たちとの調査・研究ということで、企業の研修担当者の方の研修マニュアル、ダイバーシティ・マネジメントを使った企業での研修プログラムづくりにご協力をいただくなど、かなりリードしていただいている状況です。推進員の国籍まで確認しておりませんが、外国籍の方はいらっしゃらないと思います。 - 鹿嶋委員
-
熊本県にまずお聞きしたいのですけれども、男女共同参画推進員にバラツキがあるとおっしゃっていましたが、私も似たような認識を持っているのですが、そのバラツキの意味がどういうものなのかということと、そのバラツキというのは、私の認識は基本的に共同参画の理念を理解していない人も入って、少し問題があるのかなというふうな考えを持っていますので、そのあたりを少しお聞かせいただきたい。
もう1点は、市町村での共同参画の施策のプライオリティが高くならないと。これはもともと高くなかったのか、それとも最近になって低くなってきているのか。だとすれば、理由としてどういう背景があるのか、2点お聞かせください。
それから、もう1点は上越市さんにお聞きしたいのですけれども。入札加点制度には以前から大変注目していたのですが、既にどういう実績があるのか。それから、この加点制度に対して反対という声がないのかどうかということが第1点。
第2点は、パソコン講座が果たして本当に女性センターにふさわしい講座なのかどうか。エンパワーメントということで解釈すればそれもいいのかどうか。それから男女共同参画という言葉を使わずにリラクゼーションというふうにして本当にいいのかどうか。そのほうがお客が集まるのかどうか。これはこれからのかなり大きな課題だと思いますので、ぜひお聞かせいただきたい。それだけです。 - 袖井会長
- 熊本県からよろしくお願いします。
- 熊本県・井手補佐
- まず推進員のバラツキについてですが。個々の推進員の方々は、先ほども申しましたように、自分から応募して来られた方々で非常に理解されておりまして意欲もあるのですけれども、どうしても地域的な差、郡部のほうで男女共同参画について理解の低いところはございます。そういったところの推進員さんがこれまでは3名ほどおられたのですけれども、ほかの2人が単に推進員をやりたくないというのではなくて、また別の活動の領域を見つけたということで、そちらのほうに進んでしまわれたり、また、男女共同参画の面からは申し上げにくいのですが、推進員さんですらも家庭内の介護の問題、親御さんがちょうど悪くなって、どうしても女性のほうが見なければならなくなったといったような事情で減ってしまった地域がございます。ということで、個人的な資質の問題ではないのですけれども、地域差が生じているというようなことです。
- 熊本県・坂本補佐
- 市町村における施策の優先度につきましては、もともと高くなかったと見ております。これはこれまでやっていなかったことを新しく始めなければいけないということと、ちょっと語弊があるかもしれませんけれども、特に取り組まなくても生活に困る人がすぐ出てくるとか、例えば死亡事故がある交差点が改良されないといったこととは違うのではないかと理解している市町村のトップや担当者がいると思います。そういう理解のもとで、今までやってなかったのだから、しばらく先延ばしにしても支障はないというような判断が根底にはあると思います。
- 上越市・上野課長
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加点制度の実態については、平成17年度の入札参加登録業者数1,073社のうち148社14%、平成18年度は1,144社のうち165社14%が10点加算対象業者になります。なお、加点制度に対する反対については特に聞こえてきません。
それから、パソコン講座ですけれども。これは一般的なパソコン講座というよりも、いわゆるDV被害者や、とても経済的に困っているひとり親の方などが対象ですので、当市のプランにある「女性の人権が確保される社会づくり」と「労働環境づくり」は当然センターの目的でもあり、ここでやる意味があるのではないかと思っております。今後もしそういった方以外の方、女性で希望があった場合は、公民館でも同様の講座をやっておりますので、そういったところで行っていただければと思っているのですが。
ただ、こういった各課で男女共同参画の取組を実施しており、健康づくりの女性のための体操教室などいろいろありますが、公民館の講座もそうだと思うのですけれども、単に女性向けのパソコン講座をやるということだけでは男女共同参画の取組をやったことにはならないわけですね。もうちょっと踏み込んで、例えばそのうちの少しの時間、5分間でもさいて、「男女共同参画とは」といったエッセンスを盛り込めば、やっている意義が皆さんにもよくわかっていいのではないかと。各課にもそういったことをお願いしていこうと思っております。
それから、リラクゼーションの話ですが、これはうちのことではなく他の自治体の例だったのですけれども、男女共同参画をまったく隠してというわけではなく、ポスター等メインの表示が男女共同参画より大きくしているのではないかと思います。当市は男女共同参画をメインに表示して行っていますが、できれば今後ちょっと楽しいものも一緒に取り入れて、タイアップするような形でやっていきたいとは思っております。 - 住田委員
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私は4つの点についてお尋ねします。それぞれに対して各自治体のご意見、コメントをいただければと思います。
1つはアンケートによる意識調査を定期的にやっておられるかどうか。性別役割分担とか、男女平等であると思うか、そういうことについての調査の有無です。私はこういうものはそれぞれの意識づけに大いにやっていただく意味があると思っているからです。
2つ目が、講座、イベント等には保育施設を用意しておられるかどうか。そして、それを商業ベースにのせるのも結構ですが、できればボランティアとしてネットワークされていたらもっといいと思うのでお尋ねします。
3つ目は、審議会等の女性登用策です。上越市の場合はクォーター制をとっておられて、これも画期的なことだと思うのですけれども、いろんなことを工夫されないとなかなか適任の方々をお招きすることはできないだろうと。そのためにどのような工夫をしておられるか。また、ほかの自治体におかれても、審議会の女性委員の登用は積極的に推進しようとしておられると思うんですが、その人材発掘についてのお知恵などを出していただければと思います。
4つ目が、若い方への呼びかけです。いろんな策が今日もかなり出てきたと思うんですけれども、これは効果的だったというものを1つ、2つご紹介いただければ。正直なところ旧来の女性団体がうまく世代交代ができていないということをお聞きしておりますので、そのようなことも含めてどんなふうにしていけばよいかということです。それぞれ全部でなくても、どれでも結構ですからコメントをいただければありがたいと思います。 - 熊本県・坂本補佐
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1点目のアンケート調査については定期的に実施しております。私どもの課が主体となりまして、男女共同参画に関するまとまった調査を4~5年に1回やっております。その中に「性別による固定的役割分担意識についてどう思うか」という項目も入れております。それとは別に、県で今はいろんな事業の評価をするときに、年に1回いろんな分野の調査を別の部署が担当してやることになっていまして、その中に毎年固定的な役割分担についての意識を問うものも1つ入れております。
それから、3点目の審議会等への女性の登用ですけれども、熊本県では最初に男女共同参画計画を立てたときに、17年度末までに女性の登用率を30%にするという目標にしておりました。これがどうにか30.8%ということでクリアできまして、計画を改定して、今は平成22年度末までに40%にするという目標に取り組んでおります。登用率向上の方法としましては、各部各課が所管しております審議会等のひとつひとつについて、22年度までに改選時毎に何人増やしていくという登用計画を出してもらっております。改選時に40%に達しない場合には、どうして達成できないのかという協議書を私どもの課に出していただきまして、私どものほうから将来の見込みも聞いた上で意見を返すというやり方をしております。
人材の発掘につきましては、これも珍しいことではないと思いますが、女性人材バンクを随分前から持っておりまして、毎年新規登録と抜けて行く方がいらっしゃるのですが、今三百数十名の人材を登録しております。いろんな課から照会があれば、この分野にこういう方がいらっしゃるという紹介をいたしております。 - 熊本県・井手補佐
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2番目の講座、イベント等の時期の保育ということでございますが、私どもの施設の中に託児室を設けております。私どもが主催する事業のときに託児が必要な場合は、私どもで「ひよこくらぶ」というボランティアグループができており、12名ほど今参加しているかと思いますけれども、その中から託児の数に応じて対応していただきます。それから、私どもは貸会議室もやっておりまして、貸会議室を利用される事業者の中でもし託児が必要な場合は、こちらのほうの託児のメンバーを提供することはないのですけれども、主催事業がないときはせっかくの部屋が空いていますので、託児室を自由に利用していただけるようには取り計らっております。
それから、4点目の若い方への呼び込みということですけれども、今のところなかなかいい知恵はないのですけれども、毎年行っております地域リーダーの育成事業で、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、市町村職員の方10名、一般県民の方20名の中に、今年は20代の男性の方、20代の女性の方がそれぞれ1人ずつ参加されています。この地域リーダーには毎年若い方が、多数ではなくほんの1人か2人ですけれども、入って来られまして、地域リーダーを卒業された方が女性団体等に勧誘されて活動していかれるということで、少しずつ若い方の参加もできていると思っております。
以上です。 - 袖井会長
- ありがとうございました。それでは兵庫県お願いします。
- 兵庫県・中野所長
-
意識調査に関するアンケートは、県の方では、プラン策定時の11年度と16年度に実施しております。ただ、先ほども言いましたように、推進員がそれぞれ地域の中の県立高校の高校生を対象に3,200人のアンケート調査をしたり、今年度は小学校でやるなど、そういう地域の中で出てきたものを県の方で集めたり、それから今度は大学の方でも調査をされる。そういった調査を一堂に集めながら連携していこうといった形でやっております。県の方としましても、県民のいろいろな意識調査を毎年しておりますので、必要ならばその中に項目として盛り込んでいくといったことも考えていきたいと思っております。
保育室につきましては、センターに保育室を設けておりますので、セミナー等の実施のときには、一応保育が必要かどうか聞きまして、必要な場合は、センターで登録していただいている保育士さんに、最低賃金で来ていただいております。ただ、絵本の読み聞かせ講座などでいろいろなグループができてきておりますので、そういうグループに「いつでも保育には協力するよ」と言っていただいておりますので、ボランティアでも対応できるように考えていきたいと思っております。
審議会につきましては、今31%で20年度末の目標が32%でございます。部によりまして、非常に高いところもあれば低いところもございます。この辺は県庁の担当課が、それぞれ各部局の審議会を担当しているところにできるだけ女性の登用を呼びかけているところでございます。
それから、若い方のセンターへの呼び込みということで、今力を入れておりますのは子育て中のお母さんです。セミナーにはお母さんのための再就職準備セミナーを設けておりますし、今年の6月からですけれども、センターも図書室を設けておりますので、保育付きライブラリーデーを設けて若いお母さん方を集めるということで、今展開をいたしております。 - 上越市・上野課長
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1番目の意識調査ですけれども、定期的に行っているのは基本計画を策定するときと、改定をするとき。それに今回19年度も3,000人を対象に新規調査を行う予定です。それから講座やイベントの際には必ず、役割分担意識などの調査も行っております。大体共通したものをなるべく盛り込むようにして、比較ができるようにしております。
それから、託児室など常時施設としてあるわけではないのですが、必ず保育ルームを設けることをチラシ等に書いて呼びかけています。子育てサークルのような団体に依頼し、時給は大変安いのですがほとんどの事業で行っております。
それから、クォーター制についてですが。住田さんから説明していただいたのですけれども、上越市においてはクォーター制の実施を条例にうたっております。先ほども少し申し上げましたように、市長が大変力を入れております行政推進会議におきましては、各部長をはじめ様々な部門の部長に「どうしてそれを達成できないのか」という市長からの真剣な問いかけもありますし、先ほど熊本県さんの説明にもありましたように、それぞれの委員会等で、どうして達成できないのか、その理由、それから、どうしたら達成できるのか、その理由等を報告することを定期的に行っています。
それから、世代交代ということですけれども。おっしゃるように、うちの上越市で一番自慢ができるのは、そういった団体の方たちの力があって上越市が男女共同参画に関していろんな意味で高い目標が掲げられていることで、大変ありがたく思っております。しかしながら、確かに30代ぐらいの方たちが続いてきていない。40代もそんなに多くはないと思っております。そういった実態があるのも事実かと思っております。それに関しては、ほかの子育てグループのような若い世代の方たちも新たに出てきておりまして、昨年も内閣府の地域活性化事例研究事業で採択されたのですけれども、そういったNPOの方々も出てきております。形をかえて純粋な男女共同参画推進に関わる団体の後続は困難かもしれませんが、そういった方たちも出てきているので、今後はそういう方たちから男女共同参画推進をより意識付けていただき、大いに前に出てきていただければと思っております。
以上です。 - 桜井委員
- 今回、来ていただいた3団体は、たまたま行政の直営で事業を運営されている女性センターばかりだったと思います。それぞれにお聞きしたいのですが、指定管理者制度への取組をどうお考えになっていらっしゃるか。男女共同参画センターの運営主体としてどこがいいのかというか、どういう方向を目指そうとしていらっしゃるのかということをそれぞれお聞きしたいと思います。
- 熊本県・井手補佐
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熊本県です。まず先ほどの補足ですけれども、ボランティアが託児をやっていると申し上げました。低額ですけれども、有償ボランティアとなっております。
指定管理者の件でございますが。私どもの施設が、男女共同参画センターのほかに生涯学習推進センター、しごと相談・支援センター、NPO・ボランティア協働センターと4つのかなり異なるタイプのセンターを抱えておりますことから、この4つの機能をすべて受け入れて引き受けてくれる団体がなかなか見つからないのではないかということで、今のところ指定管理に向けての具体的な検討はいたしておりません。ただ、今後の流れとして、どのような形で指定管理が可能なのかという検討を進めていく必要があると思っております。
以上です。 - 兵庫県・中野所長
- 兵庫県の場合も、今はまだ指定管理者制度の話は出ておりません。ただ、センターは今、市にも19ございまして、連絡会議等があります。19市のうち5市は指定管理者制度を入れております。そんな中で、「県のセンターには人材育成で頑張ってほしい」ということを聞いておりますので、県全体の拠点施設として県直営で頑張っていきたいと思っております。
- 上越市・上野課長
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上越市の場合は、先ほども少し述べたと思うんですけれども、早ければ来年度には、決まった組織ではなく今の例えば企画委員会や事業委員の方たちに何らかの組織をつくっていただき、そこへ委託するような、補助金を出すような方向でできないかと考えております。ただいま準備期間ということで、実際に1年でできるかどうかわからないのですが、そうすることによってより市民に近い目線で活動ができるのではないかと考えております。
なお、センターの入っている複合施設の建物はPFI方式で整備され現在も引き続いておりますが、以前貸し館等の管理的な部分を市で行っていた部分を、指定管理者制度に変更いたしました。建物や貸し館等の業務は直接男女共同参画推進センターは関わっておりませんので、事業の運営の委託のみを検討しております。
県内には他に新潟市と長岡市の2市にセンターがあるのですけれども、そちらのほうは当分の間、法的に公営でいくと聞いております。 - 室伏委員
- 先ほどの住田委員の質問と関連したことですが、若者たちをこういった活動に引き込むことは非常に重要だと思っておりますので、それぞれの自治体の方から現状を伺えたらと思います。それから、今後は若者をこういった活動に引き込んで、若者たちが男女共同参画を担っていくような立場に是非なってほしいと思うんですけれども、どういう方策をとったらいいとお考えになりますか。ちょっと難しい質問かもしれませんが、もし何かお考えがあったらお聞かせいただければと思います。
- 袖井会長
- 熊本県の方から、よろしくお願いします。
- 熊本県・坂本補佐
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これはといった考えを持ち合わせていないのですが。1つ、今DV未然防止教育をやっております。高校生でも既に男女交際の中でデートDVのようなことが起こっておりまして、最近携帯電話で常時相手の行動を監視したり、束縛するということが実際起こっておりますので、高校生が自分たちの身近な問題ととらえて、授業も熱心に聞きますし、アンケートでもかなり好意的な結果を得ております。
そういったことで、男女共同参画全般につきましても、自分に身近な問題であれば、関心を持って入ってくるのではないかと思っております。いろんなことをする場合の切り口といいますか、テーマの設定などを工夫していかなければならないと思っております。 - 兵庫県・中野所長
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先ほども言いましたけれども、兵庫県では、17年度に推進員たちが頑張って、県立高校生3,200人ほどのアンケートをまとめて、今日持ってきた冊子にしているんです。そして、そのまとめた結果をそれぞれの高校に返しに行っているわけです。そのことを聞いて今度は神戸の推進員が、自分たちは小学校でやろうということで、神戸市の校区毎に1校ずつ小学校を校長会から選んでいただいて、6年生1,000人ほどにアンケートを実施いたしました。
そういう結果をまとめていただいて、それぞれ学校に返していただく。センターとしては、このまとめに関するところを支援していこうとしています。今の小学校のアンケートに関しましても、大学の先生にお願いして集計表のソフトをつくっていただき、センターもお手伝いをしながら、地域で集計していただいたり、地域の小学校や高校でやっていただいたものを全県下に広げていくという形でやっていきたいと思っております。
それから女子大等に働きかけてセンター等と合同のセミナーを開いたり、図書も15,000冊ほど置いてありますのでそういうところを活用する、ということも今働きかけているところでございます。 - 上越市・上野課長
- 上越市の場合は大学が2校しかございません。1つは主に教員を養成する上越教育大学です。もう1つが看護大学になっております。今回、上越教育大学の先生に審議会の委員になっていただいているものですから、直接頼んで学生を派遣していただいたのですが、大いに成功しました。その方たちの意見の中に、こういった映画を見たいという若者らしい意見もありましたので、今後はそういう方たち中心にそれをイベントとしてやっていただく企画をしようかと思っております。看護大学には、やはり大学によって大分違うのでしょうか、何回も声をかけたのですけれども出ていただくことができなかったので、今後は個人的なつながりで少しずつ入っていただけるような工夫をしたいと思っております。
- 伊藤委員
- 1つだけ、熊本県のお話では、市町村への直接的な働きかけをされていますよね。これはすごくおもしろいと思うんですけれども、都道府県と市町村の男女共同参画をめぐる棲み分けですが、いわゆる地方自治の原則を守りながらどうやってつなげていくのか。振興局や県民局を介在させながら動いていくのが1つの方法なのかもしれませんけれども。地方自治原則と都道府県と市町村の関係の持ち方、多分3自治体とも関連することだと思うのですが、それをどんなふうにお考えなのか、お聞かせいただければと思います。
- 熊本県・坂本補佐
- 今の点につきましては、私どもでもまだ十分に整理ができてないというのが現状でございます。先ほど説明しましたような普及・啓発の事業も、県内の進んだ市の幾つかがやっているのが実情でございます。ですから、各市町村が例えば計画をつくって予算づけもして、いろんな啓発事業等にも取り組んでいけば、私どもが今やっているような事業は、県として取り組む必要はほとんどなくなってくると思います。そのときの県の役割がどうなるかについては、市町村の活動を支援する、これは財政的な支援も入るかもしれませんけれども、情報提供であったりいろんなアドバイスであったり、そういうものがメインになるのかなと、漠然とですけれども、そのような区分になるのだろうと思っております。
- 兵庫県・中野所長
- 兵庫県も広いですので、やはり郡部のほうに行くとセミナーを持ちたくてもなかなか先生に来てもらえない。そういうところで、やはり県が積極的に人材育成をして、育成した人たちを市町で活用していただくということを考えております。
- 上越市・上野課長
- 私どもも先ほど説明された県と同じようなことをやっているわけです。棲み分けはどうなのか。例えば同じ市の中に市の推進員がいたり、県の推進員がいたりするわけです。新潟県の場合はたまたま地域推進員制度がないのでそういったことはないのですけれども、その辺はどうしていらっしゃるのか、私も質問したいと思いましたが。新潟県に関していえば、講師の派遣について情報をいただいたり、アドバイスをいただいたり、あるいは共催でスキルアップセミナーのようなものを行ったり、市町村における男女共同参画の取組の格差を補填するような形でやっているのが実態です。
- 袖井会長
- ありがとうございました。そろそろ時間ですけど、この際、是非質問したい方はどうぞ。
- 帯野委員
-
兵庫県さんにお伺いしたいと思います。成果を挙げていらっしゃるので、それについてお伺いしたいのですが。男女共同参画の事業というのは、啓蒙というか、情報提供や相談事業に重きが置かれていますので、なかなか結果が見えにくい。結果が見えることはすごく大切だと思うんですね。それによって本当に的確にニーズに応えているのかどうかというマーケティング的な発想も含めてお伺いしたいのですが。例えば共同参画推進員制度でも、成果として出産しても育児休業をして働き続ける女性が増えたというふうに感じられますけれども、具体的に始める前と始めた後でどれぐらい増えたというようなデータがあるのかどうか。具体的なものでなくても大雑把なものでも結構です。
それからもう1点。特に子育て再就職奨励金制度ですが、どれぐらいの金額をお出しになって、その結果、再就職できた方がどれぐらいいらっしゃるのか。大雑把な数字で結構ですが、もしわかれば教えていただきたいと思います。 - 兵庫県・中野所長
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企業で育児休業をとって働き続ける女性が増えたということは聞いていますが、人数は聞いておりません。年に1回推進員にアンケート調査をしているんですが、「推進員を置いて活動してどのような効果があったか」というところに書かれたものでございますので、データは集めておりません。
子育て再就職奨励金制度は、再就職の方を正規で雇っていただいて、事業主に最大30万円出すというものです。これが非常に進まず、昨年度は3件だけです。本当になぜだろうと言いながらやっているのですけど。今年度になって2件ほど増えたと聞いておりますが、なかなか事業主からの申請は出ておりません。 - 袖井会長
- 予算はどのくらい取っていらっしゃるんですか、何件分ぐらいとか。
- 兵庫県・中野所長
- 100件分です。
- 袖井会長
-
そうですか。他にどなたかありますでしょうか、是非ともという方。
よろしいでしょうか。それでは、予定時間も過ぎましたが、活発なご意見どうもありがとうございました。熊本県、兵庫県、上越市の方々、遠方からわざわざ来ていただきましてどうもありがとうございました。
それでは、次回の開催日程などを、事務局のほうから。 - 定塚推進課長
- 次回の日程につきましては、9月19日 水曜日の午後1時半から3時半。それから次々回でございますが、10月15日 月曜日の午後3時から5時を予定しております。場所等はまた正式にご連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
- 袖井会長
- それでは、基本問題専門調査会の第31回会合を終わらせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
(以上)