- 日時: 平成19年7月2日(月) 15:00~17:00
- 場所: 永田町合同庁舎第1会議室
(開催要旨)
- 出席者
- 会長
- 袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
- 会長代理
- 鹿嶋 敬 実践女子大学教授
- 委員
- 阿部 正浩 獨協大学教授
- 同
- 伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
- 同
- 帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
- 同
- 加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
- 同
- 神津 カンナ 作家
- 同
- 河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役社長
- 同
- 坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
- 同
- 桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会事業本部長
- 同
- 住田 裕子 弁護士
- 同
- 辻村 みよ子 東北大学大学院教授
- 同
- 平野 治生 財団法人日本広報センター理事長
- 同
- 室伏 きみ子 お茶の水女子大学教授
- 同
- 渡辺 幸子 多摩市長
(議事次第)
- 運営規則について
- 検討課題「男女共同参画の今後の地域レベルの推進方策について」及び検討スケジュールについて
- 自由討議
(配布資料)
- 資料1
-
基本問題専門調査会委員名簿 [PDF形式:13KB]
- 資料2-1
-
男女共同参画社会基本法(抄) [PDF形式:13KB]
- 資料2-2
-
女共同参画会議令 [PDF形式:12KB]
- 資料2-3
-
基本問題専門調査会運営規則 [PDF形式:11KB]
- 資料3
-
男女共同参画の今後の地域レベルの推進方策について [PDF形式:20KB]
- 資料4
-
地方公共団体における推進体制及び男女共同参画センター等について [PDF形式:42KB]
- 資料5
- 地方公共団体(都道府県・市町村・男女共同参画センター)の施策・事業の実施状況について
- 資料6
-
地方公共団体との連携について [PDF形式:21KB]
- 委員配布資料
-
鹿嶋委員 [PDF形式:16KB]
桜井委員 [PDF形式:13KB]
- 板東局長
-
それでは、時間がまいりましたので始めさせていただきたいと存じます。
今日は、本当に大変お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。 今回は半年くらい、前回の基本問題専門調査会を開きましてから間が空いてしまいまして、その後、委員の改選その他がございましたので、新しい体制でスタートさせていただく第1回目ということでございます。今回、新たに専門委員をお引き受けいただいた先生方もおいでになりますし、また参画会議の議員からこちらの専門調査会を御担当いただいている先生もいらっしゃいますので、後で紹介をさせていただきたいと思っておりますけれども、新しい方々も含めましてこれからよろしくお願い申し上げたいと存じます。
それでは、基本問題専門調査会の会長には、新体制におきまして官房長官より袖井委員が指名をされておりますので、以後の議事の進行につきましては袖井会長にお願い申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。 - 袖井会長
-
基本問題専門調査会会長に指名されました袖井でございます。よろしくお願いいたします。
今回は委員が改選されまして初めての会合でもありますので、まず私の方からごあいさつ申し上げまして、それ以後は委員の皆様から一言ずつごく簡単にごあいさついただけたらと思います。資料1として、本専門調査会の委員名簿を配布してございますので御参照ください。
私は、お茶の水女子大学を定年になりまして、今は名誉教授を務めております。男女共同参画会議の議員も務めさせていただいております。今後ともよろしくお願いいたします。 - 鹿嶋委員
- 実践女子大学の鹿嶋と言います。2005年までは日本経済新聞に勤務しておりまして、2005年4月1日から実践女子大の方に行っております。どうぞよろしくお願いします。
- 阿部委員
- 獨協大学の阿部と申します。どうぞよろしくお願いします。
- 伊藤委員
- 京都大学の伊藤と申します。よろしくお願いいたします。
- 帯野委員
- 大阪から参りましたインターアクトの帯野と申します。よろしくお願いいたします。
- 加藤委員
- 全国地域婦人団体連絡協議会の加藤と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
- 神津委員
- 神津カンナでございます。本職は物を書いたりしておりますけれども、今度男女共同参画会議の議員にさせていただきまして、その関係でこの専門調査会にも入れていただきました。よろしくお願いいたします。
- 河野委員
- キャリアネットワークの河野真理子と申します。小さな会社なんですが、メーカーの子会社としてスタートしまして、人材育成を中心に仕事をしております。よろしくお願いいたします。
- 坂本委員
- 埼玉県でNPO新座子育てネットワークの代表をしております坂本でございます。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
- 桜井委員
- 横浜で男女共同参画センター3館を管理運営しております男女共同参画推進協会で働いております桜井です。よろしくお願いします。
- 住田委員
- 弁護士の住田裕子です。獨協大学特任教授を今年の3月に退任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
- 辻村委員
- 東北大学の辻村みよ子と申します。引き続きよろしくお願い申し上げます。
- 平野委員
- 日本広報センター理事長の平野でございます。私は、ちょうど基本法ができましたときの行政の担当者でございました。そういうことで、この専門委員をさせていただいております。よろしくお願い申し上げます。
- 室伏委員
- お茶の水女子大学の室伏でございます。前回から引き続きやらせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
- 渡辺委員
- 多摩市長の渡辺でございます。市長になって6年目ですけれども、その前は1986年から10年近く、市の係長、課長で女性問題を担当しておりました。大変興味深く委員を引き受けさせていただきました。よろしくお願いいたします。
- 板東局長
-
それでは、事務局の方も同じように自己紹介をさせていただきます。
私、男女共同参画局長をしております板東と申します。よろしくお願い申し上げます。 - 飛田審議官
- 男女局担当の審議官をしております飛田と申します。よろしくお願いいたします。
- 長谷川総務課長
- 総務課長の長谷川でございます。よろしくお願いいたします。
- 池永調査課長
- 調査課長の池永でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
- 定塚推進課長
- 推進課長の定塚でございます。本会議の事務局をしております。よろしくお願いいたします。
- 安田企画官
- 同じく、本会議の事務局で推進課の企画官をしております安田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
- 日下部推進官
- 総務課の推進官をしております日下部と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
- 袖井会長
-
どうもありがとうございました。
それでは、お手元の議事次第に従いまして本日の審議を進めさせていただきます。委員の皆様方からごあいさつをいただきましたので、次は議事次第の3の運営規則についてです。本調査会の運営規則につきまして、事務局より説明をお願いいたします。 - 定塚推進課長
-
それでは、名簿の次でございますが、資料2-1、2-2、2-3を御説明申し上げます。
本専門調査会でございますが、御承知のとおり男女共同参画会議の下に設置をされておりまして、資料2-1にありますとおり基本法に参画会議の根拠規定を掲載しておるところでございます。この裏のページの第28条で政令への委任規定がございまして、この委任規定を受けまして制定されておりますのが次の資料2-2の男女共同参画会議令でございます。この会議令におきましては、専門委員を置くことができること並びに専門調査会を置くことができることなどを定めております。
次に、資料2-3でございます。本調査会の運営規則ということで、こちらは最初に基本問題専門調査会が発足いたしました平成13年5月14日に定められた規則でございます。内容を簡単に御紹介申し上げますと、第1条としては調査会の運営の根拠、第2条は調査会の招集は会長が行うこと、第3条として調査会については代理人の出席が認められないということ、議決権行使の委任はできないということ、また欠席の際には書面により意見を提出することができることを規定しております。
第4条は議事でございますが、調査会は会長及び調査会委員の過半数が出席しなければ開くことができないこと、また議事は過半数をもって決し、可否同数の場合には会長の決するところによること。
それから、第5条に議事要旨、第6条に議事録の規定がございます。議事要旨につきましては、調査会終了後、速やかにということで、こちらは事務局の方で作成をし、会長の了解を得て速やかにホームページで公表しております。この議事要旨については各委員の御了解をいただいておりませんが、委員の氏名は記載いたしません。
また、第6条の議事録の方でございますが、こちらは各委員に内容を照会いたしましてチェックをしていただいた上で、再度調査会に諮り、その後公表する。具体的にはホームページに掲載することとしております。事務局の方で議事録案を作成した上で各委員の方にお送りしまして見ていただくこととしておりますので、その際には御協力をいただきたいと思います。
そのほか、必要な事項を定めてございます。以上です。 - 袖井会長
-
ただいま説明されました運営規則の第7条において「会長に事故があるときは、あらかじめ会長の指名する委員が、その職務を代理する」ということになっておりますので、会長代理を指名させていただきます。会長代理として、鹿嶋敬委員を指名することにしたいと思います。よろしくお願いいたします。
続きまして、議事次第の4の基本問題専門調査会の当面の検討事項及び今後の進め方でございます。事務局の方で資料を幾つか用意していただきましたので、これを御説明いただきます。
なお、説明に関しての質問は最後にまとめて自由討議の際にお願いしたいと思います。 では、定塚課長よろしくお願いします。 - 定塚推進課長
-
それでは、引き続きまして資料3をごらんいただきたいと存じます。
資料3は、5月24日に開催いたしました男女共同参画会議の場で、袖井会長からこの資料を提出して御説明をいただいたものでございます。参画会議において了承されまして、今後基本問題専門調査会でこの議題について討議をしていくこととされております。「男女共同参画の今後の地域レベルの推進方策について」ということ、「問題意識」としては男女共同参画社会の実現のためには、言うまでもないことでございますが、国だけではなくて地方公共団体、更には身近な地域における取組をいかに進めるかが大変重要な鍵であるということ。
特に幅広い世代・立場の男性及び女性が、男女共同参画社会を身近なものとして理解して、それぞれの世代・立場の男女が抱える課題を解決できる効果的な施策、こうしたものを進めていく必要があるだろうという問題意識に立っております。特に男女共同参画社会基本法が制定されまして既に8年が経過しようとしているわけでございますけれども、この間に国のみならず地方公共団体の男女共同参画施策で進んできた部分、またはいろいろな事業展開の中で抱えている課題などがあろうと思います。こうした現状をもう一度見直して御議論いただきたいと考えております。
(2)は「調査内容」でございます。この調査内容については次ページにもう少しだけ詳しく書いてございますので、次ページの「別紙」をごらんいただきたいと思います。
調査検討といたしましては、地方公共団体、都道府県、市町村、それから都道府県や市町村が運営する男女共同参画センター及び女性団体やNGO、NPOといったような団体の男女共同参画の取組を今後一層効果的に推進するために、現状と課題を分析して今後の施策の方向性について検討・提言をいただきたいと考えております。
検討の切り口といたしましては、まず第1に世代別・性別という切り口で見まして、男女共同参画の観点からそれぞれの世代や性別の方が抱えている課題が何なのか、また、その課題に対応した施策、事業が提供できているのかということについて現状と課題を整理し、今後の方向についてご検討いただきたいと考えております。
例えば「青年期」としておりますけれども、若い時代、特に女性の場合、妊娠・出産も視野に入れて、生涯を見通しての仕事と生活の調和等のためのライフプランが本当にできているのかといったことなど。
また、「壮年期」と非常に長い時期を大くくりにしてございますけれども、働いている時期、あるいは家庭で専業主婦をしている時期に、仕事と生活の調和の問題、または女性のチャレンジ支援策ということで政府及び地方公共団体が進めている施策についてどのような現状になっているか。
それから、「退職後」におきまして、女性のみならず男性も地域活動に参加していく、あるいは、従来は家庭を余り顧みなかった男性であっても家庭に再び帰ってくる場合の円滑な移行の問題などがあるかと思います。
2番目以降では、1番目に申し上げた世代別・性別では切り分けられないような共通の課題かつ重要な課題ということで、幾つか例示的に取り上げております。
2番目としては「男女共同参画に関する普及・啓発事業の現状と課題」ということで、各地方公共団体やセンターで「男女共同参画とは」といった意識啓発等が行われておりますが、それに対してどのような課題があるか、また今後どう進めていくべきかということ。 3番目は「地域おこし、まちづくり等の地域の活動についての女性の活躍に関する現状と課題」としております。実は、男女共同参画基本計画第2次計画では、新しい課題ということで「地域おこし、まちづくり、観光等」という項目を付け加えております。こうした分野での女性の活動は従来から大変盛んだと言われておりますけれども、それでもまだまだ足りない部分もある。こうした活躍を一層進めていくにはどうしたらいいかという論点でございます。
最後の4番目でございますが、今まで申し上げたような施策や事業を支える「地域の男女共同参画の推進体制等の現状と課題」、都道府県や市町村における男女共同参画担当課やセンターの運営母体などの課題があるかと思います。
以上が課題でございますが、もう1枚おめくりいただきまして検討スケジュールを御紹介したいと思います。スケジュールとしては7月2日、本日は委員の皆様から当面の検討の進め方、検討課題、そのほか自由に御意見をいただきたいと思っています。
次回は7月26日でございますが、次回以降は毎回テーマを定めて、そのテーマごとにヒアリング及び議論をしていただきたいと思っております。次回は、まずは普及・啓発事業等ということで、前半は地方公共団体やセンターからのヒアリングで3団体くらいを予定しております。後半は、このテーマに沿っての討議をお願いしたいと思います。また、9月以降の回についても、例えば仕事と生活の調和であるとか、女性のチャレンジ施策であるとか、男性に対する課題であるとか、そうした課題別に設定をいたしまして、ヒアリングと討議という形で進めていっていただければと考えております。
そうしたことで、できましたら3月には報告書を取りまとめるということをお願いしたいと存じます。
また、各回で委員の皆様には御自由に御発言いただきたいと思っておりますけれども、もしあらかじめ資料メモ等を出したいという場合には御遠慮なく事務局の方に言っていただければと存じます。
資料4以降は、企画官の安田から説明させていただきます。 - 安田企画官
-
続きまして、資料4から6でございます。
資料4は、地方公共団体において男女共同参画がどのような体制で行われているのかということを簡単に1枚にまとめたものでございます。都道府県・政令指定都市と、それ以外の市町村とを分けましたけれども、基本的には都道府県・政令指定都市は担当課がございまして、(1)と(2)で分けてございます。(1)は「男女共同参画」あるいは「女性」という言葉をかぶせた組織がある県と政令指定都市で、政令指定都市の場合は17政令指定都市のすべて、都道府県は2つを除いてそういう組織があります。「その他」というのは、担当課はあるけれども、例えば人権擁護課のように、「男女」あるいは「女性」という言葉が入っていない課において行われているものでございます。
市区町村の担当課を合わせて見ていただきたいわけでございますけれども、都道府県・政令指定都市の方がほぼ専任の課があるのに対しまして、市区町村の場合は「男女共同」あるいは「女性」といった名称をかぶせているものが15.2%と2割弱です。「その他」としましては、教育系課室と書かせていただきましたけれども、市区町村の場合、教育委員会の一部局で男女共同参画の担当を行っている場合もやはり相当数あるという状況が御理解いただけるのではないかと思っております。
それから、都道府県・政令指定都市、市区町村の枠内の下の方でございますけれども、条例と男女共同参画計画の制定状況について書いております。これもおおむね都道府県・政令指定都市ですと9割以上、それが市町村になりますとかなり減ってしまうという状況が見受けられるかと思います。
それから、その下の男女共同参画・女性センターと書いてある枠ですが、「男女共同」あるいは「女性」という言葉をかぶせた施設等機関の設置状況でございます。これもおおむね都道府県・政令指定都市においては9割以上設置されているのに対して、市区町村におきましてはやはり13.6%と、かなり下がっている状況が読み取れるかと思います。
下半分は、先ほど触れました男女共同参画センターあるいは女性センターと言われるもので、(1)で「目的」と書きましたけれども、要するに名称はいろいろありますが、男女共同参画あるいは女性に関する事業を行うための総合的な施設ととらえております。
(2)は、管理・運営体制について書いてございます。平成15年の地方自治法の改正によりまして、公の施設に民間活力を導入しようということになりまして、指定管理者制度を導入している場合がございます。指定管理者制度の概要につきましては、資料4の【参考2】に少し書かせていただいておりますが、今までは公の施設は地方公共団体が自ら運営しなくてはならなかったのですが、議会の議決を経た上で民間の会社あるいはNPO、主体は問わないんですけれども、そういったところが施設管理を行えるようになっております。
元のページに戻っていただいて、指定管理者を入れているところは大きく分けて箱物だけを管理している場合と、事業をソフトの部分も含めて管理を行っている場合とがございます。その導入状況でございます。特に施設管理につきまして多く入っているわけでございますけれども、概ね施設管理だけで言いますと半数以上に指定管理者が入っている。それから、ソフトにつきましては箱物だけの管理よりは少ないんですけれども、一定程度入っているという状況を読み取っていただけるかと思います。
1枚めくっていただきまして【参考1】です。これは、先ほど触れました男女共同参画センターあるいは女性センターが男女共同参画基本計画の中でどのように位置付けられているかをお示ししたものでございます。上の方は、公私立の女性センター等は男女共同参画社会の実現に向けた活動拠点施設という位置付けでございます。下半分は、女性のチャレンジ支援という枠組みではありますけれども、その中で男女共同参画センターがそのネットワークの拠点になることが期待されているという書きぶりになってございます。以上が、資料4でございます。
資料4と資料5の間に、「参考資料 取扱注意」と書いた資料を配らせていただいております。毎年私どもの局で地方公共団体の推進体制を調査しているのですけれども、今はまだ集計途上でございまして、本日はその一部の抜き刷りを出させていただきました。公表前の資料ですので取り扱いには注意していただければと思います。
先ほど触れさせていただきました女性センターあるいは男女共同参画センターについて、具体的に施設名と指定管理者制度の状況を示したのが1枚目でございます。市町村についてはこのデータを取っていないため政令指定都市までになります。施設形態は単独施設か複合施設かで分けて書いてございます。多くの施設におきましては、ほかの生涯学習センターであるとか、公民館であるとか、あるいは市役所の住民票を出す部局などと一緒になっている場合がございます。都道府県・政令指定都市の両方を見ましても、複合施設の方が圧倒的に多くなっております。
管理・運営主体ですが、先ほど資料4で触れさせていただきましたので説明は省略したいと思いますけれども、施設管理だけを行う場合はその過半数が指定管理の対象になっており、ソフト面を含めましても相当数が指定管理の対象になっている状況でございます。
次の2ページでございますけれども、これも市町村のデータは取れていないので政令指定都市までのものですが、男女共同参画もしくは女性関係事業を推進するためにつくられた基金や財団がここに書いてございます。
3ページでございますけれども、19年度実施予定事業ということで、幾つかのカテゴリーに分けまして、その中で実施していただくものに○を付けたものでございます。委員会・懇話会等、フォーラム・シンポジウム、人材育成・啓発、市区町村・民間団体への働きかけ・連携、企業への連携・働きかけ、広報活動、国際交流、それから苦情処理といった分類でございます。それぞれの計を見ていただければおわかりになろうかと思いますけれども、おおむねかなりのものが実施されているという状況です。
次の4ページでございますが、「自治体と民間団体との連携」ということで、これもやはり先ほどの調査同様、一定のカテゴリーに分けまして都道府県・政令指定都市と民間の女性団体等がどのような連携をどのようなツールでしているのかというものでございます。これも民間団体の組織化、意見交換会、それから情報提供、助成金の交付、事業委託、共催、チャレンジ支援ネットワーク等といった分類で書いていただいております。
5ページは「民間団体のネットワーク」です。先ほどの4が自治体と民間団体の支援体制でしたが、今回はどのような民間団体のネットワークをつくっているかということでございまして、加盟団体数と活動状況のあらましについて記入していただいています。
最後の6ページでございます。都道府県と市町村との関係で、都道府県が市町村とどのような連携を行い、あるいはアドバイスを行っているかを、これも○付けで書いていただいたものでございます。担当者会議を開催、市町村の職員に対して研修会を開催、市町村アドバイザーに関して講座などを開催する。それから情報提供、審議会などに女性比率を多くしてもらうための働きかけ、補助金の交付ということでございます。これが今集計している調査から、本調査会に関わると思われるものを抜き出したものでございます。
続きまして、資料5でございます。資料5-1から5-4までございます。これは、本調査会の開催に当たりまして地方公共団体にアンケートをしました結果でございます。どのようなアンケートかといいますと、すべての都道府県に先進的な取組をしている市町村を2つピックアップしていただきまして、都道府県・政令指定都市とそのピックアップされた各県当たり2市町村にアンケートを取ったものでございます。
資料5-1は、どのような世代が女性センターなり、あるいは男女共同参画の事業に参加されているのかというデータでございます。本来、悉皆でデータを取らないと意味がないのかもしれませんが、基本的にデータを取っているところはごく限られておりまして、その中で性別と世代別の両方のデータを取っているものをすべて並べてございます。ですから、挙がっている県も事業もまちまちになっておりますけれども、逆に言うとこれ以外は性別・世代別のデータがなかったということでございます。
概要は読んでいただければわかるのでございますけれども、おおむねチャレンジ事業を除くと50歳、60歳代の女性が極めて多くなっている。チャレンジ事業におきましては30歳、40歳代の女性が多くなっているという状況が総じて見ていただけるかと思います。
資料5-2でございますけれども、これも先ほどのアンケートの一環で、先ほどの推進状況調査とは事業のカテゴリーを変えまして、都道府県・政令指定都市と県当たり2市町村に課題ごとに実施している施策・事業に○を付けてもらい、それを集計したものでございます。
合計の欄を見ていただければ、ピックアップした中での数値なので全体を表しているわけではありませんが、退職を控えた世代を対象にしたものとしては34%、それから「働く世代の仕事と生活の調和に関する施策・事業」が51%、「働く世代の心の問題に関する施策・事業」が32%、「専業主婦を対象とする施策・事業」が25%、女性の就職・再就職・起業、いわゆる再チャレンジを中心にしたものが59%、農山村地域における施策が17%、配偶者間の暴力の被害者あるいは母子家庭の母など困難な立場の者を対象とした事業が70%、まちづくり・防災・観光といった地域活動の参画に関するものが32%、「フォーラム・シンポジウム、啓発のための施策・事業」が84%、ここはやや高くなっております。それから、男女共同参画推進員に関するものが43%、民間団体との連携が67%ということでございます。
一つの事業は光の当て方によっていろいろなとらえ方ができるのですが、自治体がどの課題に対する事業であるのかを判断して○を付けたものを単純集計してございますので、精査すれば数字が変わり得るかもしれませんけれども、おおむねこのような結果になってございます。
資料5-3は課題別の施策・事業例でございます。先ほどの資料5-2は単なる数字だけでしたけれども、こちらの資料では内容を書かせていただいております。アンケートで挙がってきた施策の他に別の資料で補ったものもございますけれども、全部で8ページまでございます。
課題別になっておりまして、1ページが「普及・啓発」となっておりますけれども、2ページ以降が人生のライフステージごとの課題ということで、最初が青少年・若者向け、それから壮年期向け、6ページが高齢者向け、6ページの中ほどが配偶者間の暴力や母子家庭の母といった困難な立場に対するもの、7ページ、8ページが「地域づくり、まちおこし」と、それらに分類されない一般的なものでございます。適宜この資料を横目でにらみながら審議を進めていただければと思います。
1ページの普及・啓発事業に戻りますけれども、一般的にセミナーは多くの自治体でやられていますが、最近は出前講座であるとか講師派遣といったものもかなり多くなっている。それから、男女共同参画推進員等を活用して地域に普及・啓発している事例もかなりございます。
2ページでございますが、青少年向けとして大きく「ライフプランの確立、教育・進路選択」と書かせていただいた中で大きいものが女性の理工系分野への進学支援でございます。それから、学校への出前講座もありますし、ロールモデルを高校生に提示して自分の進路を考えていただくという事業などもされているということでございます。最近はデートDVについて高校生や大学生、あるいは教職員向けの講座もございます。
それから、女性のチャレンジということでございます。私ども、「上へのチャレンジ」、「横へのチャレンジ」、「再チャレンジ」と3つのチャレンジを言っておりますけれども、資料の最初の「チャレンジ支援」がチャレンジ一般ということで、女性の異業種交流であるとか、女性経営者による就業講座等々といったもの。「上へのチャレンジ」は、どこまでを上へのチャレンジの事業としてとらえるかという問題はありますけれども、ここでは、民間企業などで働いている方のビジネスリーダー養成講座であるとか、女性が働く中で職場内やリーダーとしてさらに活躍していける環境をサポートするための講座を書かせていただいております。
それから「起業支援」ということで、女性のための起業セミナーであるとか、女性の起業家の事例をロールモデルとするといったものがございます。
「再チャレンジ支援」では、在宅就業支援モデルあるいは再就職奨励金、再チャレンジサポーター、再チャレンジのための企業見学会等々を書かせていただいております。
「スキルアップ資格取得のための講座」は具体例を書いておりませんけれども、パソコン講座のようなものでございます。
それから、「託児」です。託児自体がチャレンジに結び付くものではありませんけれども、チャレンジを支える一つの環境整備として求職中の託児サービス等々といった事業を書かせていただいております。
4ページに入りますけれども、チャレンジの中で特に分類できない情報提供や事例集作成、チャレンジのためのネットワーク、表彰といったものを書いてございます。
それから、壮年期向けということで、課題の取り方はいろいろあろうかと思いますけれども、ここでは「仕事と生活の調和」でくくってございます。一般的に言いますと、仕事と生活の調和のためのセミナーであるとか、あるいは企業向けに仕事と生活の調和のメリットを説く、あるいは企業向けに施策を打つといったものが上の方に書いてございます。
それから、都道府県レベルではかなりやっているものかもしれませんが、企業を登録する制度がございまして、ここでは5件ほど書いてございますけれども、仕事と生活の調和あるいは女性の活用に関して前向きな企業を都道府県が登録し、例えば入札時に加点をしたり、表彰したり、県の広報誌等に掲載するといった事業でございます。
5ページ目でございます。「仕事と生活の調和」の中で、主に男性向けと男女向けと分けてみました。男性向けの場合は、男性の生き方であるとか男性の子育て、男性の料理教室等々といった事業、それから男女を問わず参加できるイベントを書いてございます。
その次の欄は、「子育ての困難さ」です。よく専業主婦の方がむしろ子育てが困難であるという声があることに対応しまして、例えば「ママが元気になる講座」などをやっている自治体もあるということでございます。
それから、最近増えているストレスであるとかメンタルヘルスの問題。
6ページでは高齢者向けということで、これも男性向けと男女を問わないものに分けて書いておりますけれども、男性向けの方が、定年退職後の生き方を考える幾つかの講座、男女向けとしまして、祖父母向けの孫育て講座等々といったものを挙げております。
配偶者暴力の関係では、これはかなり多いんですけれども、一般的な相談、情報提供や被害者の緊急一時保護、支援サポーター養成、それから実際に自立が困難な方への経済的な支援等の事業を書いてございます。
それから、「母子家庭」に関しましても施策を書かせていただいております。
7ページ目でございますけれども、「地域おこし、まちづくり」です。地域おこし、まちづくりというのは非常に概念は広いんですけれども、結果として拾えているのは、例えば地域のリーダーをどうやって養成するのか。地域のリーダーを養成していけば、それが地域おこし、まちづくりにつながるといった観点かと思いますけれども、そういったものをやっているところがあるということでございます。
それから、分類はできないがツールとして重要なものを「その他」として書いております。女性に限らないんですけれども、相談事業であるとか資料の提供、苦情処理、女性団体の活動の場の提供、民間団体との連携、8ページ目に移りまして国際交流、男女共同参画に関する作品募集、例えば男女共同参画川柳とか、男女共同参画作文とか、そういったものかと思います。それから、男女共同参画の功労者に対して表彰をする、あるいは広報をする。それから、「女性の健康に関する事業」、「文化関係事業」、「調査研究」という欄をつくらせていただいております。以上が資料5-3でございます。
資料5-4でございます。これは同じく先ほど来、何度も繰り返していますけれども、都道府県・政令指定都市と県当たり2つの市町村の担当者に施策事業の推進に関して必要なこと、それから障害は何かということを記述式で書いていただいたんですけれども、中身をよく読みますと、実は一定のカテゴライズができるということで、左側に内容が書いてございます。したがいまして、あらかじめ選択肢を提示して○を付けていただいたものではございません。
合計のところを見ていただければわかると思いますけれども、かなり似たような傾向がつかめるのではないかと思っています。例えば、合計が20以上あるものを読み上げますと、「幅広い住民の理解・参加を得る必要がある」、「男性の理解・参加が不十分」、次のページにいきまして「わかりやすい内容、身近な問題による啓発が必要」、「「男女共同参画」への誤解がある、この用語を使うと事業は敬遠される」。次の3ページになりますけれども、「男女についての伝統的・固定的な価値観が強い」、「関係機関・団体との連携」がもっと必要である、そういったことが掲げられているわけでございます。
参考までに、この表の右側は自治体と男女センターを分けてございます。一括回答というのは自治体と男女センターを合わせて回答していただいたもので、市町村(大)、市町村(小)というのは都道府県の中で市町村を2つ選んでいただくに当たりまして、基本的には都市部と農村部からそれぞれ1つずつ先端的な取組をしている市町村をとお願いしました。したがいまして、大と書いてあるのは規模が大きいか、もしくは都市部にある市町村で、小と書いているのは規模が小さいか、あるいは農山村部にあるものということで、定量的な切り分けではないのでございますけれども、そのような区分になっているということでございます。
資料6でございます。最後に、男女共同参画局では地方公共団体との連携に関してどのような施策を打っているのかというものでございます。「男女共同参画フォーラム」ということで、国民各層の男女共同参画社会づくりに向けたフォーラムを平成12年度から毎年やっているということが最初に書いてございます。
2つ目は「男女共同参画宣言都市」ということで、幾つかの自治体にそういった宣言都市になっていただいているんですけれども、それを側面から支援するということで奨励事業を行ってございます。次のページに、今まで奨励事業が行われた自治体を書いてございます。それから、そういった宣言都市の中で「宣言都市サミット」として、内閣府と自治体の共催で毎年行っている事業がございます。
それから、3ページの後ろの方でございますけれども、「男女共同参画担当行政ブロック会議」ということで、全国を幾つかのブロックに分けまして、その担当者を集めて会議をしております。
最後でございますが、「再チャレンジ支援地域モデル事業」ということで、都道府県・政令指定都市からモデル地域を選んで平成18年度から実施している事業でございます。
それから、これに限らず男女共同参画局では地方自治体と連携して各種会議・研修等を行っております。以上でございます。 - 袖井会長
- どうもありがとうございました。大変たくさんあって、皆様も目をお通しになるのは大変かと思いますが、ただいまの説明に対する皆様方の質疑とか御意見をお伺いする前に、鹿嶋委員と桜井委員からあらかじめ御準備いただいておりますので、まずお2人から御意見をお伺いして、その後で自由な討論に移りたいと思います。それでは、まず鹿嶋委員よろしくお願いします。
- 鹿嶋委員
-
メモに沿って話を進めます。地方に行きますと、最近はかつてのように男女共同参画を大らかに語れないといった声をよく聞きます。そうだとすれば、どこに原因があるのだろうかといったようなことを議論する必要がある。そういう意味でもこの基本問題専門調査会で地域と男女共同参画について議論を重ねる意義はあると思うんですが、ただ、大変幅広いテーマで内容も拡散しかねません。
以上、レジュメでは5つほど私見として、男女共同参画の現状について私なりに日頃疑問に感じていること等々を書きました。
まずレジュメの1ですけれども、市民の理解をどう深めればいいのかということです。身近な問題として、男女共同参画の理念が地域に浸透しているのかどうかということです。男女共同参画を語る人やセンターに出入りする人は「特殊な人だ」というふうな表現もあります。男女共同参画に関する話題は、エリートの関心事だといったような批判も、基本計画の策定時に地方の広聴会などに行くとよく聞いたものでした。さらには「自治体が騒いでいるだけ」だといったような趣旨の批判、しょせん官製フェミニズムだといったような批判。そういうような批判がまだ、根強く残っている感じもします。
それから今、非正規雇用の問題が大きくクローズアップされております。こういう問題も本当はもう少し男女共同参画と結び付けた議論になれば、男女共同参画も理解しやすくなるし、現実味も帯びると思いますが、そうしたアプローチも不在です。高度経済成長期に形成された固定的な性別役割分担は合理性を喪失していると思うんですが、いまだにその幻想にこだわっているといったような風潮もあるわけです。そういう中だからこそ、男女共同参画に携わる人たちは、戦略的に、だからこそ男女共同参画社会の形成が必要なのだと、議論を喚起していく必要があるのではないかと思っています。
3番目は、女性センターは男女共同参画という看板を出さない方が集客力があるんだという声も聞きます。そうだとすれば、なぜ男女共同参画が敬遠されるのかということも考えておく必要がある。その理由としては、誤解とか、理解不足とか、敬遠とか、いろいろあると思います。誤解は、本当に誤解している人と、あえて戦略的に曲解して嫌みや反論を言ってくるケースとがあると思うんですけれども、そういう問題もきちんと整理しておく必要がある。
ただ、男女共同参画が難しい議論だという声は随所で聞くわけで、その中の一つがジェンダーについてです。そうなってくると、男女共同参画に関して新たな定義づけをする必要があるのかどうかということも考えてもいいのかもしれない。もう少しわかりやすい議論、わかりやすさの確保、さらに親しみやすい略称があったほうがいいと思うんですが、これを男女雇用機会均等法と比較しますと、均等法は「雇均法」とか「均等法」とか3文字以内で大体収まるんですが、男女共同参画は「男共参」とか「共参法」となって、意味の通じる親しみやすい略称にならないんですね。こういう点も、親しみやすさを持ちにくい一因なのかどうか。
そういうようなことで、男女共同参画を語る人イコール「特殊な人」という議論が何となくついて回っているような感じがしまして、特に地方に行けば行くほどこういう声もあるような気もしますので、ここをどう克服していくか。
次にレジュメの2ですけれども、今度は女性センターの問題ですが、女性センターが男女共同参画推進の拠点としての役目を本当に果たしているのかどうかということです。地域の独自性を出しているのかどうかということですが、これは地域によって高齢化の激しいところ、3世代同居の地域、フリーター比率が高いところ、被災地、それから高学歴・高収入の夫の多い地域、これは横浜などを私はイメージしているんですけれども、そのように地域の特性があるわけで、だとすれば男女共同参画も地域の独自色をもっと出していっていいのではないか。
もう一つ、男女共同参画にはそういう地域性とは別に普遍性という側面もあるわけで、普遍的課題と地域独自の課題というものをうまく使い分ける戦略も今後必要ではないか。それが本当に行われているかどうか。
マル2は、イベントの中身です。今の内閣府の説明によるといろいろイベントが行われているわけですけれども、最近幾つか見る中では囲碁サロンとか料理教室とかパソコン教室とかいろいろあるわけですが、本当にそれが男女共同参画推進にふさわしいのかどうか。それから「エンパワーメントを図る施設」、いわゆるエンパワーメントの拠点施設ということですが、そういう言葉も最近聞かなくなりましたが、本当にそれでいいのかということです。
3番目は、広い意味で女性センターは私立と公立と2つあると思うんですが、私立のセンターというのは広義の女性センターという形で位置付けられて、これはいわゆる女性団体等々でもありますが、そちらは施設の老朽化が進んでいる。役員の高齢化も進んでいる。それから、さっきの調査ですと、女性センターに出入りする人は50代、60代が中心ですから、それは私立だけではなくて全体に言えるんでしょうけれども、このあたりの世代交代がきちんとセンターはできているのかどうか。いわゆる集客の世代交代ですね。若い人が入ってきているのかどうか。
4番目の公立女性センターについては、「男女共同参画センター」になってからのソフトが未開拓のような気がします。「男性も」という位置付けの中で、どういうふうな運営をしたらいいのか。「男性も」という中で出した知恵が囲碁サロンというのでは、おかしいのではないかというのが私の認識です。
それからもう一つ、いわゆる指定管理者制度が入っている。ここでの問題をどういうふうに考えればいいかということです。
また、例えばワーク・ライフ・バランスのようなテーマが今、広がってきますと、女性センターも企業にコミットするようなことが必要になってきますが、その道筋がついていないのではないか。これも幾つかの女性センターに聞いたら、セクハラだけは出前講座も含めて女性センターがイニシアチブをとってやれるテーマですということですけれども、それ以外に、何かアプローチできるテーマはないのか。ワーク・ライフ・バランスなどは、その一つではないのか。そのときの問題点としては、企業の敷居が高過ぎますというふうなことを言う人がいる。
そのほかに、似たようなことをやっている団体として、21世紀職業財団などがあるんですけれども、こういうところとの連携はどういうふうにすればいいのかといったようなことも考える必要があるのではないか。
3番目は、「指定管理者制度はどんな問題を抱え込むことになったのか」です。
マル1として「男女共同参画の理念をぶれずに具現化できるのか」ということです。指定管理者制度は民活と経費削減が目的ですが、同制度の導入によって理念・専門性が希薄化していないかということ。それから、そこで働いている人は非正規の人たちが多いわけで、そうした中では長期ビジョンが描けないのではないかということ。指定管理者ですからいつソフトあるいは箱物管理などが他団体に取って代わられるかわからないとなってきますと、長期ビジョンが描けないのではないか。それから、情熱不足といったような問題があるのではないか。
マル2として指定管理者と自治体の関係ですが、指定管理者が外部から来た場合に両者の関係が良好なのかどうか。これも幾つかのセンターの中で、自治体との理解が得られないという声が、ごく一部ですけれども、挙がっています。それから、職員の志気が本当に上がっているのかどうか。繰り返しになりますが、非正規職員の増加ですね。また、そういう中では、非正規雇用はテーマにしにくいのではないか。
それから、受託事業者の人材が育っているのかどうか。NPOが引き受けたケースではほとんど育っていない。従来、自治体がやってきたことをそのまま受け継いでいるだけだという話がありました。そうなってくると、自治体の経費削減に加担しているだけであって、それも業績と言えばそういう評価もできるのかもしれませんが、しかし、それではいかがなものかということ。
4番目は、「行政の取り組みに問題はないか」ということです。2000年以前、1990年代後半あたりに比べ、行政の男女共同参画担当者の意識が少し希薄化していないか。レジュメに「面白い部署に行くね」とか、「興味がない」とか、「なじみがない」と書きましたのは、ある自治体の男女共同参画の担当部で、異動の際、同僚からどういうことを言われたのかと聞いたときに、そういう答えが返ってきたわけです。「面白い部署に行くね」とか、「私は興味がないから適当にやってね」とか、慰めともつかないような言葉をかけられたと、言っていました。
3年の人事ローテーションで大体動くから、専門の継続性に黄信号がともっています。女性センターは専門性に関しては継続性を持って今までやってきたんですけれども、指定管理者制度の導入によってそれが薄れている。そうなってくると、地方の男女共同参画については、専門を維持しながら継続的にできるのかどうかという疑問を持たざるを得ません。男女共同参画予算も削減されていますので、啓発事業を含めて本当にきちんとした事業が展開できているのかという心配があります。
特に問題なのは地方議会の男女共同参画への無関心、偏見がまだあるのではないかという感じがいたします。「箱物は税金の無駄遣い」だ、「男女共同参画は市民・県民の要望が低い」ということでバサッと切ったという自治体もあります。それから、「箱の中で何をしているのか、よくわからない」といったようなことも言われます。こういう疑問というのは、背景にバックラッシュの問題があると思うんですけれども、そういう偏見にどう反証していくのかということも大変大きなテーマだと思います。
5番目ですけれども、女性団体の問題があります。「女性団体の男女共同参画への取り組みに問題はないか」ということですね。
新旧の女性団体の抱える問題点として、新団体には、新グループとでも言った方がいいかもしれませんが、既成団体は何をしているのか理解できないといった批判がかなり多いです。既成団体はヒエラルキー型だとか男性型だというふうな批判です。既成団体の方には新団体に対して若い人は無関心だとか、理念を理解していないなどの批判を持っている。既成団体は、世代の交代に失敗して高齢化しているケースが多いような気もします。
そういう中で、新たな女性運動を模索する必要はないのかということ。新たな女性運動というのは、従来型にはない視点の女性運動、例えばワーク・ライフ・バランス企業を育てるといった消費者運動の展開ですね。ワーク・ライフ・バランス型企業の商品を積極的に購入する。それから、CSR関連で女性団体がイニシアチブをとれるようなことはないのか。今はISOの認証シリーズではなくて26000のガイドラインを策定中ですが、そういうようなものを消費者団体自身がつくって男女共同参画とかワーク・ライフ・バランスを育てるような芽がないのかどうか。
マル3は、「女性運動に対する関心が停滞している原因究明」をもう少しやっておいてもいいのではないか。ひとつには、若い女性の被差別体験が減少していることが影響しているのかどうか。一方でミーイズムみたいなものが出ていて、女性全体の底上げを図っていくというふうな意識自体が希薄になっているのかどうか。
運動の担い手は今までは、地方公務員だった。ある国際的な女性団体で日本支部があるんですが、その団体は全盛期の女性会員が850人だったのが今は500人です。その350人の差は何ですかと聞きましたら、従来は地方公務員がイニシアチブをとっていたんだけれども、だんだん地方公務員も人が減ってきて忙し過ぎてとてもそういう問題には関心が回らない。では、民間はどうかというと、民間は皆、女性は非正社員なので、生活防衛に必死でやはりそういうような問題にまで手が回りませんということでした。女性運動自体が停滞している背景には保守化傾向といったような問題以外のファクターがかなりあるのではないかという感じがいたします。
この辺りが複合的に絡んでくると、男女共同参画自体も停滞せざるを得ないかなというのが私の認識ですが、あくまでもこれは私の独断と偏見ですので、御参考までに。 - 袖井会長
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どうもありがとうございました。大変多岐にわたるいろいろな問題を御指摘いただいて、ため息が出てしまうというような感じです。
続きまして、桜井委員は実際に今センターの運営などに関わっていらっしゃいますので、そういう御体験の中からいろいろな問題提起をしていただけるのではないかと思います。桜井委員、よろしくお願いいたします。 - 桜井委員
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それでは、私も10分ほどお話をさせていただきます。
今、鹿嶋さんのお話を聞くと問題山積で、どこから手をつけたらいいんでしょうというふうにも感じられますが、私は現場を見ていましてそこからの問題点などを少しお話をしてみたいと思います。ですから、私は男女共同参画センターにフォーカスしての話になるかと思います。
まず1点目ですけれども、「現状と課題」というところで、「現状」は国立女性教育会館のデータベースで全国に356 の施設が挙がってございます。それで、今の内閣府の資料にもありましたようにその名称は本当にいろいろでございまして、いまだに婦人会館という名前を使っているところもあります。
施設の管理者は、神奈川県の女性センターなどのように自治体の直営でやっていたり、横浜のように外郭団体がやっていたり、それから最近増えてきましたがNPOが指定管理者になったりと、尼崎ですとか、一部の名古屋ですが。それから、婦選会館ですとか主婦会館のように女性団体がそのままやっていたり、企業が指定管理者に名乗りを上げて東京電力の子会社ですとかがとっているところもございます。ですから、管理者が非常に多様になってきたという現実があります。
それから設置者の所管というのも先ほど御説明にありましたが、首長部局が所管しているところもありますし、教育委員会、それから福祉、これまでは婦人保護のところでやっていたところが所管をしている。それから労働部局、勤労婦人センターをそのまま女性センターに衣替えしたというようなところもございます。それから、消費生活と男女共同参画を一緒にして消費生活・男女共同参画センターというふうに尼崎などは名称を変えたりして、そこと一緒になってやっているようなところもございます。ですから、非常に多様化しております。
これは一体どういうことかといいますと、男女共同参画とはどういうことなのか、そして、その推進の拠点施設と言われているセンターでは何をやるものなのか、何のために存在するのかという共通理解が得られていないということがこの多様性に結びついているのではないかと思います。配偶者暴力相談支援センターですとか女性相談所のように、DV防止法ですとか売防法などで目的や業務がある程度規定されているところと違うわけです。そういう全国ネット的なというか、統一的なガイドラインがほとんどないという状況の中でどういう理解をしているかというと、男女共同参画センターとか女性相談センターというのは「女性のために何かやっているところ」とか、「あそこは女性たちが自分たちの活動で使う場所」といったような受けとられ方です。
地域の住民だけではなくて、施設の側も一体何をやるところかというのを本当に詰めてやっているかどうかというところの疑問もございますし、何よりも設置者、自治体の方にも、このセンターは何をやるところなのかというはっきりしたガイドラインというか、ミッションというものが希薄ではないか。それは設置の所管が大変多岐にわたっていますので、そういったところからの影響もあろうかと思います。
しかし、何も役に立っていないかというとそんなことはなくて、ここに書きましたように「男女共同参画施策の明示化」ということで、男女共同参画という政策が地域で必要である。それは一体こういうことなんですということを、基本法から始まりまして計画、そしてそれを地方で条例とか、それから計画に落とし込んでいく中で見えるようにしていくという効果は確かにあると思います。
それから、例えばドメスティック・バイオレンスの顕在化などには、やはり国が動く以前に女性センターの相談で上がってきたところから顕在化してきたということもあって、これまでの福祉の対象者としての女性ではなく、性差に基づく生きにくさの課題解決というところの問題の顕在化ということでは大いに貢献したのではないかと思っています。
もう一つ、専業主婦という生き方に対してのしんどさの再定義というか、再就職、再チャレンジも含めて、そういったところにも男女共同参画センター、女性センターが貢献してきたのではないかと思います。ですから、これまで女性というと福祉の対象者あるいは教育を施す対象者でしたけれども、そうではなくて性差に基づく生きにくさの課題解決ということでの問題の顕在化というところに女性センターが貢献してきたのではないかと思います。
それから、そこに「当面の検討課題」と書きました。事業がまだ開発されていないですとか、ニーズにこたえていないという御批判がいろいろございますが、ではどういう形で事業展開をしていくかといいますと、そこに書きましたように「事業参加者の固定化」、「高齢化」、それからどんどん減っていくというところへの対応なんですけれども、これは何をやるかということだけではもう解決できなくて、例えば男性を対象にするといっても、男性を対象に何をやるか。料理教室か何かよくわかりませんけれども。それから、若者を対象にどうするか、何をやるかという、何をというwhatだけを考えればいいわけではなくて、それをどういう方法で組み立てていくのか。howの問題も考えなければならない。
これまでは女性センターの職員が一生懸命ない知恵を絞って企画してきたんですけれども、今やそういう時代ではなくて、どこと組んでどういう視点を取り入れてやるのかというhowです。例えば若いニートの子たちと一緒に何かをやっていくとか、そういう支援をしているNPOと組んで事業化をしていくとか、そういうhowのところの展開が大変重要になってきていると思っています。
それからもう一つは、事業評価方法が確立していないというところがあるかと思いますので、やはりこれについても事業の一つずつについて自己評価をして、それが外部の評価につながっていくような構造的な評価システムというものをそろそろつくらなければいけないのではないか。
それから2番目ですが、「地域の社会資源との連携・協働」で「地域ニーズの多様化、複雑化への対応」です。セミナーのように50人、100人を集めて、このテーマで講師に話をしてもらうというところで済むような話ではなくて、50人、100人が同じ課題を抱えているわけではなくて、10人、20人のサイズでその人に本当に必要なものを届けていかなくてはならない時代になってきているわけです。
それから、ただ男女共同参画センターの事業に来館者として、参加者としてお客様が来てくださるのを待っているというのは拠点施設でも何でもなくて、地域の社会資源と連携して地域社会全体を男女共同参画型に変えていくというか、それの推進役を担うからこそ拠点施設と言われるわけです。ですから、地域のさまざまな社会資源、それは学校かもしれませんし、病院かもしれませんし、企業かもしれませんし、NPOかもしれません。そういうところから、男女共同参画の問題ではあそこと一緒にやれば何か新しい展開があるとか、あそこへ行けば何かいい情報がある、相談に乗ってもらえるという地域の社会資源からあてにされる存在になっていかなければならない。ですから、その地域の社会資源を自らセンターの側が開発したり、連携を持っていく。これまでは来てくれるお客様を対象にして、参加者が少なくなったとか言っていたんですけれども、今度は外に出て行くというか、そちらの側の仕事もかなり大きくなっているのではないかと思います。
3つ目が、鹿嶋さんのお話にもありましたように「指定管理者制度への対応」ということで、事業の継続性、公益性をどう保つかがなかなか難しい時代になりました。指定管理者制度の導入はニューパブリックマネジメントの流れできていますから、経費の節減というのが最大の目的だろうと思っています。そうしますと、スタッフも有期で不安定雇用に拍車を掛けるということになりまして、事業の継続性とか収益ばかりを上げるように言われて、公益性の軽視というものがそろそろ始まっているのかなと思います。
ですから、マル1の「設置者の設計理念の確立」という、これは自治体が指定管理者制度の下でセンターの管理運営の仕様を決めていくわけです。この施設を幾らでどういう形で何をするための施設として位置付けるのかというのは自治体の設計の問題なわけですね。そこのところを、やはり男女共同参画センターは何であるべきか。その意義も含めての設計が重要である。鍵を握っている。そこのところへの働きかけが今まで何もできていなかったというふうに思います。
それから、センターの側は「経営視点の確立」ということで、もはや所管がこう言っているからこうしなければというような時代ではなくて、自分たちがそのセンターをどう動かしていくのかということで経営をしていかなければなりません。その意味では、直営よりもNPOが指定管理者をとっているところの方がフレキシビリティが出てきて、いい方向での事業ができつつあるのではないかと思っています。
それから「人材育成の視点の確立」なんですけれども、これまでスタッフ研修といいますと、例えば相談員の研修などは職員個人にフォーカスしての研修ですから、スキルをどう上げていったらいいのかとか、そういう研修だったんですけれども、もはやそれではすまないと思います。キャパシティビルディングではないですが、組織基盤が充実しなければそこで働く職員は育成のしようがない。個人を育てようと思っても限界があるでしょうというところで、やはりキャパシティビルディングという視点での人材育成が必要であろうと思います。つまり鹿嶋さんからも御指摘がございましたが、非常勤の大変安い働き方を強いられている中で人材育成は可能なんだろうか。そこのところは非常勤、非正規の雇用の在り方にまず取り組まなければいけないのではないかと思います。
雑駁でしたが、以上です。 - 袖井会長
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ありがとうございました。問題点だけではなくて、具体的な改善策まで示唆していただけたかと思います。
それでは、皆様お待たせいたしました。先ほどの事務局からのたくさんの説明、それから鹿嶋委員、桜井委員のお2人の御意見、どれでも構いません。自由にどなたからでも御発言いただけたらと思います。何か御意見のある方は挙手をお願いいたします。 - 辻村委員
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大変に広範な視座から、全国的にどういう傾向があるかということをお話いただいたと思いますが、私の質問は2つございます。
1つは、全国的傾向としてお話をいただいたんですけれども、地方によってかなり温度差とか格差があるのかどうかという問題です。すなわち、全体として傾向はあるにせよ、例えば大都市と農村でありますとか、自治体の規模でありますとか、あるいは政治風土とか、首長の政治的立場とか、いろいろな要因が入っていると思うのですが、全体として例えば政令指定都市と都道府県では100%条例ができているけれども、市町村に行くと15%くらいですね。しかも、統計を見ますと、8年たってもまだ市町村レベルで条例が一つもないところがまだ和歌山県と徳島県のようにありまして、かなり差があるのですが、この差はどのように位置付けられるのか。どこからくるのか。これも研究対象になるのではないかと考えます。
もう一つは、地域ではなくて時系列的な問題なのですけれども、私は平成11年に基本法ができまして数年ずっと条例などを全国的にフォローして調査していて、かなり盛り上がってできてきたと思うんですが、その後、頭打ちになっているようです。そこで、時系列的に見て、ある段階から下降したとか、例えば年間幾つずつできているかとか、そういうことを統計的にグラフ化した場合に、明らかに動きが鈍ったということがやはりあるのか。そういう時系列の中で今後の展望があるのか。その辺りも検討対象ではなかろうか。何かその調査結果があれば教えていただきたいと思うのです。
すなわち、小さいところはもう県に条例があるから要らないではないかとか、あるいは県でやってしまっていればもう終わったのではないかという形で動いているのかどうか。その地域と時間の問題という、差し当たり2点でございます。 - 袖井会長
- どうもありがとうございました。何か事務局の方でお答えはできますか。
- 定塚推進課長
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机の上に『地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況』という冊子があるかと思います。こちらの冊子は、先ほど取扱注意ということで御紹介いたしました資料の前の年の版でございますが、2ページをごらんいただきたいと思います。
今お尋ねいただきました、1つは時系列でどうかという点についてですけれども、まず計画の方を見ますと2ページの方で「市(区)町村における男女共同参画計画の策定率の推移」というものがございます。都道府県、政令指定都市はすべて制定してございますけれども、市区町村の策定率は、これを見る限りは順調に増えてきているかなという状況でございます。実は、18年度は市町村合併もありまして、合併のあおりで減るのではないかと懸念していたのですが、そういうことにはならずに着実に増えている。
その右側を見ていただきますと、条例でございます。条例につきましては、棒グラフのところで都道府県と市区町村についてそれぞれどのぐらい条例が制定されているかという数がございます。また、折れ線グラフの方が制定率の累計ということで、市町村の方を見ていただきますと17年度が15.8%ということで、その後18年度の状況は今集計しているところですが、こちらの方も数としては順調に増えてきている状況かと思っております。
それから、各県別の状況の差異ということなのですが、同じ資料の10ページをごらんいただきたいと思います。10ページの方に、市区町村レベルの計画の策定状況を県別にとらえた率が載ってございます。左から3番目に策定数、4番目に策定率というものがありまして、それぞれの都道府県の中で計画がどのぐらい策定されているか。もちろん計画の策定率だけで物を言うことはできないのですが、これを一つの指標として見た場合にどういう状況なのかということで、市町村の規模が大きく関わっているかと思いますけれども、大変高いのはやはり都市部ですね。例えば大阪府では95.3、神奈川県では91.4、埼玉県でも85.9というふうな状況になっております。
それから、都市部が高いとは言いましてもほかに頑張っているところも幾つかございまして、例えば秋田県は68.0でございます。それから、鳥取県も63.2でございます。この辺りは都道府県から市町村への働きかけ、特に都道府県知事が熱心であって市町村に強く働きかけているといったようなことがかなり影響しているというふうに分析をしております。
ちなみに、条例の方は12ページにございます。こちらの方も県別に条例の制定率を掲げているところでございます。とりあえず私の方からは以上でございます。 - 袖井会長
- ありがとうございました。辻村さん、よろしいですか。
- 辻村委員
- はい。
- 袖井会長
- では、どうぞ。
- 伊藤委員
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私もあちこち講演に行ったりするんですけれども、地域によってタイムラグがやはりある。都市部は一気に進んだのに、今は逆に停滞している。今おっしゃったように都道府県の知事が動きのいいところに関しては、その動きで活性化し始めたところも出始めている。このずれというのは私はある程度あるだろうと思うんです。
ただ、1つの問題は先ほど鹿嶋委員からのお話にあったように、やはり担当者が3年で変わっていくというのはすごく大きい。モラルの問題もありますね。男女共同参画の施策というのはいろいろなことが動いていたので、やっている方も面白かったし、団体も積極的だったんですけれども、桜井さんのお話のようにhowの部分で動きが止まってしまっているようなところがある。マニュアル化をしてしまっているところもある。その辺のところがすごく大きいと思います。世代の問題も多分絡んできていて、若い世代には今のやり方だとぴんとこないということもあるのかなと思います。
桜井委員のお話の中で、性別によるいろいろな苦悩、それを原因とする生きづらさみたいなことが指摘されました。男性の問題もかなりあるわけです。例えば今自殺対策をやっていますね。自殺対策の話でなぜジェンダーの話が出てこないのかと私はずっと疑問を持ってきました。自殺対策の問題で男性の働き方や生き方みたいなものとリンクさせていくようなメッセージを出していくようなことも、結構大きい課題なのかなと思います。
それから、元気がないということと関連するんですけれども、情報の交流がやはり少ない。この間、私は京都府で府下の職員研修を2日かけてやったんですけれども、そのときに、私が話した後で情報交換会をやってくれと言ったんです。やってもらったらやはりいろいろな意見が出ます。同じ都道府県内でも横の連携が全然ない。地域的にやはり同じような課題を抱えていて、名刺交換をしたりしながら、その地域同士のやり取りの中で次のエネルギーが出てくるみたいなところもある。
そういう意味で、今回の調査の中でちょっと欠けているなと思うのは、都道府県レベルで地域間の横の連携とか横の情報交換とか、そういうものがどこまでできているのかというのは調べていただいてもいいんじゃないか。いろいろ申し上げましたけれども、以上です。 - 袖井会長
- 情報の交流というのは、そういう担当者同士ということですか。
- 伊藤委員
- 担当者同士です。担当者同士と同時に、今回職員研修に地域のそういう懇話会とか女性団体も交えてやったんです。そうすると、地方自治体の担当者とそういう女性団体の間のやり取りも出てきたりした。京都府の場合に面白かったのは、7市町村で最近ネットワークをつくったんだそうです。そのネットワークで、例えば共同の催しをやったらどうかなどという話を私が提案して、そういう形で動き始めたりもしているんです。市町村同士でお互いに話し合いながら実行委員会をつくって何かテーマを決めてやるような形で、その地域の交流を図るような動きですね。それはやろうとする人たちにとっても面白い試みだし、刺激になってくる。何か元気が出て刺激が与えられるような仕方も含めて、もう一度男女共同参画の話というのは地方レベルで再生していくということが必要なんじゃないかと思います。
- 袖井会長
- 定塚さん、その辺は御存じですか。女性センター同士の連携についてですが。
- 伊藤委員
- センターも含めてですけれども、男女共同参画の担当者ですね。
- 定塚推進課長
- 先ほど御紹介した参考資料の中で、県で市町村の担当者連絡会議を開催しているかどうか、それから、研修会を開催しているかどうかということは聞いていて、多くの県で行っているという回答は出ていますが、どう行っているのか。単に会議だけ開いてそれで終わりというようなことでは、なかなか効果がないかなと思います。
- 伊藤委員
- 私は職員研修とか、都道府県の担当者会議みたいなものに結構講演を頼まれてやっているんですけれども、話し終わったら皆、解散なんですね。そこに、終わった後、30分でも1時間でもいいから残れる人は残っていただいて、大体女性が多いので、男性がやると多分お酒を飲んだりするんでしょうけれども、お金がかかることですし、それこそ100円、200円で皆でお金を出し合って、ちょっとお茶を飲みながら、クッキーなんかを食べながら1時間くらい話をするだけでかなり雰囲気が変わってくる。京都の場合は、少なくとも職員研修の後でのそういう交流会は今回初めてだと言っていました。
- 阿部委員
-
今のことに関連してですけれども、1つ目は職員の方の異動が3年間だから男女共同参画に関する専門知識がたまっていかないというのは確かにそうかもしれないのですが、ではほかの部局はどうかというと、やはりほかの部局でも3年程度で回っていくわけで、ほかの部局もそうしたノウハウが残っていないかというと、それはそれなりに何らかあるわけですね。そう考えていくと、この問題というのは男女共同参画の問題だけではなくて、県あるいは市町村の職員の方たちの人事の問題ということになるんですね。
それで、私は統計についてちょっと知っているのでそのお話をしたいと思います。総務省の統計局には別組織で統計研修所という組織がありまして、そこでは国、地方自治体の職員の人たちの統計に関する研修を一体的にやっています。365日研修施設を開放して教育をしているんだろうと思います。それに代わるようなものがこの男女共同参画に関してあるのかどうかということをひとつお伺いしたい。つまり、県の職員や市町村と系統立てて知識を授けるような研修の仕組みがどの程度あるのかということをお知らせいただければと思います。
それから第2点目ですが、本日いただいた資料で5-4を自治体と男女センター等に分けて見ていくと少し面白い特徴があるのでお話をしたいと思います。それは、自治体の障害が多いということを言っているのと、男女センターの方が多いというふうに言っているところがあるんですが、男女センター等が多い障害というのは例えば2枚目の一番上にあります「ニーズに合った取組が必要」と答えている男女センターは12ですけれども、自治体はそうは認識していなくて1自治体しかいない。あるいは、「PR方法の工夫」というのが2ページ目の真ん中辺りにありますが、これも男女センター等は12ですが、自治体は4しかいない。それから、3ページの真ん中辺りの「関係機関・団体との連携」で、男女センターは16ですけれども、自治体は8ということで、このように逆転しています。
それ以外にも、自治体の方が強く障害だと思っている。一方、同じ項目について男女センターは認識していないというようなこともあります。これは、先ほど桜井委員がお話になっていた問題と多分関連するのかなと思うんですが、この辺りをどういうふうに考えるべきなのかということを、今すぐでなくてもいいんですが、もう少し付加的な情報があればお知らせいただければと思います。以上です。 - 袖井会長
- 研修というのは私もずっとやっています。市町村アカデミーというところで自治体職員に対して毎年やっているんです。その中で男女共同参画をテーマにした研修も2泊3日でやっているんですが、やはり自治体の姿勢によるんです。だから、大変熱心なところは毎年だれかを派遣してくるけれども、お金がないからというので派遣しないところもあって、やっていないことはないんですけれども。
- 阿部委員
- ちなみに、統計研修所の一番長いのは2か月です。
- 袖井会長
- 2か月はちょっと無理でしょうかね。
- 定塚推進課長
-
男女共同参画局で行っている研修について御紹介しますと、県・政令指定都市に今年から希望した市町村も対象に加えまして、毎年1回、2日間、新任者向けの基礎研修を本省で行っております。
また、課長研修ということで、これも都道府県・政令指定都市レベルの課長の方を対象として年に1回、2日間行っております。
それから、今年度はセンター職員向けの研修も用意しております。
そのほかにヌエック(国立女性教育会館)で、センターについては管理者クラス向けを主とした研修を年に1回か2回行っていると思います。
課題別では、例えばDVについての研修などは当方及びヌエックの共催で年に4回ほど全国で研修会を開催しております。大体そのような状況でございます。 - 桜井委員
-
そういうふうに中央に集めての研修もいいと思うのですが、やはりその地域での研修というのも大変重要だろうと思いまして、全国女性会館協議会という女性センターの集まりなんですけれども、そこで今年度から地域6ブロックの女性関連施設、女性センター及びそこと連携しそうな社会資源の人たちも一緒に研修をやり始めました。
北陸、東海が終わって、来月は四国、中国というように6ブロックでそういうものをやって、そこに出てわかったのは、やはり地方のセンターの職員というのは本当に孤独でやっている小さいところが多いわけですから、固有の職員が1人、2人なんです。それで、本当に何をガイドラインにしてやっていいのかがわからないようなところもありまして、その地域で支え合うというか、連携し合うものをつくっていくような研修というものが本当に必要だなと思いました。 - 袖井会長
- これは何日間とか、トータル何時間ですか。
- 桜井委員
- 2日間です。1日目がその地域にあるセンターの職員の研修で、2日目がその地域にある社会資源とどう連携・協働したらいいかということにフォーカスした研修です。
- 袖井会長
- ありがとうございました。
- 坂本委員
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お伺いしたいんですけれども、そういう研修の費用負担というのは、多分公務員の方は職務で来られていると思うんですが、NPO等の場合はどういうふうにされているのか。以前、国立女性教育会館で、昔は交通費が出たので来やすかったんですとおっしゃったんです。近いところだったら自腹でも負担はないと思うんですけれども、やはり沖縄から来られるとか、そういったときの費用負担が、特に指定管理者でNPOなどがやられているところは非常に難しい。
それから、先ほどお話にもありましたが、1人、2人の職員でやられているときはその研修に出ている間、センターの業務をどうするのかというのは非常に切実な問題で、閉めるんだったら行くなというようなことが言われたり、そういった研修の機会をたくさん設置しても実際に行けるような状況、環境設定が行われているのかということを非常に疑問に思いますが、その辺りはどんな状況かお聞かせいただければと思います。 - 定塚推進課長
-
今、御指摘いただいたような問題は確かにございます。内閣府で行っている研修は、基本的には旅費等はそれぞれの地方公共団体の負担ということですので、研修の会場とか参加費は一切かからないわけですけれども、旅費等は御自分で用意していただかなくてはならないということになります。
それから、国立女性教育会館の講座の中には一部、今お話があったように旅費等を出しているものもありますけれども、それもだんだんと減ってきておりまして、御指摘のようになかなか地方のセンターで人数が少ないところは派遣をしにくい。それから、研修費用など、非常勤の場合には予算を組んでいない場合もありますので、その場合も旅費等をどこから工面するかが問題になっているというお話は伺っております。 - 袖井会長
- 人材育成について、大分お話が出ましたけれども、ほかの問題についてももし何か御意見がありましたらお伺いしたいと思います。鹿嶋委員が御指摘になった男女共同参画はなぜ敬遠されるのかとか、この辺はとても大きな問題かと思いますし、それから利用者の高齢化の問題とか、ほかの問題についてどうぞ。
- 室伏委員
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今後の地域レベルの推進方策ということで、私は申し上げたいことがあります。
いろいろ調査を行って、世代別、性別ごとの現状と課題を把握し、分析して今後に生かすということですけれども、この調査を行う中で男女共同参画というのが女性の問題ということではなくて男性の問題でもあるのだということをはっきり明確化していくことが必要かと思っています。先ほど自殺の問題をどなたかおっしゃいましたけれども、やはり女性にとって働きにくい状況というのが男性にとっても極めて働きにくい社会状況を生んでいるわけですから、男女共同参画を進めることで男性もまた非常に働きやすくて幸せに暮らせるようになるのだということを、こういう調査の中で明確化していくことが大事かと大変強く思います。
それから、企業と地域のセンターとの連携が非常に難しい、敷居が高いというお話があったんですけれども、実は私は幾つかの企業の方と男女共同参画、ダイバーシティについてのお話し合いを持つことがあるんですが、企業の方たちもどういうふうにしていいか、結構悩んでいらっしゃることがあるんです。ですから、地域の企業の方々と女性センターの方々との間の連携をつくるというのは決して敷居が高いとか、お互いに難しいということではないのではないかという気もしておりまして、是非そういうところで連携しながらやっていっていただきたいと思うんです。
何よりも若い人たちをこういう活動に引き込んでいくことがとても重要ではないかと思うんです。50代、60代ばかりが熱心でもだめなのではないかと思うので、20代、30代、40代という人たちが、男性も女性も働きやすい社会をつくるために私たちも何かやりたいという思いを持たせるような何らかの施策が必要なんじゃないかという気がしています。具体的にはいろいろ皆様との議論の中で考えていきたいと思います。以上です。 - 袖井会長
- どうもありがとうございました。では、住田さんどうぞ。
- 住田委員
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私が講演のときにどんな話をするかですが、その地域の実情がどうかを最初にお聞きしております。片働き家庭が多いか、共働き家庭が多いか、3世代同居が多いか、保育園がどうか、それから大企業中心で下請できちんと皆、働ける場所であるか、それとも農山漁村か。それによって私としてはお話の仕方を変えております。
また、女性もPTA会長さんとか、学校の先生でも校長先生がいるようなところなど女性が指導的地位に上がるということに対して全く違和感のない地域と、そうではなくて市町村の職員でも女性の数が少ないところか、身近なところで女性がトップにいくなどということはあり得ないというところか、など。ソフトの問題として、その地域の実情に即したそういう意味での必要な講座とか学習内容だとかを分類する必要があるのではないかと思っています。
ひとくくりに地域の実情に応じて、特性に応じてと言っても、届きようが違うんだろうと思っております。地域によっては若い男性と女性が一緒になって男女共同参画の事業を推進していらっしゃるところもありますし、高齢化で地方の名士の奥様が昔からおられてなかなか世代交代しないというところもありますし、本当にさまざまです。
ですから、研修のときには一般的な知識をまず知った上で、例えば「男女共同参画社会の実現を目指して」の36ページで社会環境として雇用機会の均等度とか、若者の自立可能性ということを指標によっていろいろと点数化していますが、地域もこの点数化をして、自分の地域には何が足りないのかというような認識をしていただいた上で、それに応じた多様なメニューを用意する。そちらにはこういうものがよろしいのではないでしょうか。こういう講師がいいんじゃないでしょうか。こういう講座内容がよろしいんですけれどもと、そういうソフトを開発していく必要があるのではないかと思っています。
それから、一般的に男女共同参画というのは「特殊な人」という言い方を鹿嶋さんはされたんですけれども、男性から見ると怖いとか、女性が強くなると離婚されちゃうんじゃないかとか、女性から見ると逆にダサいなどの変な女性像をイメージしてしまう、というのが以前からもあった問題だろうと思うんです。
ですから、今の新しい男女共同参画のイメージを浸透させるためには、旧来のものとまた違った打ち出し方ですね。そういう意味では、いろいろなところでそれぞれ工夫しておられますから、そういうよい事例を集めて、こういうことをやったら皆さんに浸透しやすいというようなこともなさったらいいと思います。
そういう意味で、農山漁村などは男女共同参画では必ず物産展をやっているんです。それが、逆に言うと自分のお金を持って起業したり、女性が農協の理事のようないろいろな役員になるというようなステップにもなっておりますので、地域の実情に即して、これはいけない、これがいいとかというのではなくて、個々それぞれの実情を考えていかなければいけないと思います。以上です。 - 袖井会長
- ありがとうございました。それでは、河野さんどうぞ。
- 河野委員
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まず男女共同参画と地域についてテーマにしていただいたことと、そこに加わらせていただいたことを大変タイムリーでうれしく思っています。
私の場合、行政に関わっているわけでも、数値を持っているわけでもないのですが、経験からお話をさせていただくと、例えば今日メンバーにも入っていらっしゃる東京電力さんなどもそうだったんですけれども、女性のリーダー格の方が全国から集まって研修会をしたりするときに、例えば工場があったり、営業所があったり、全国から集まってくるんですが、活躍する背景にある働き方の裏でのワーク・ライフ・バランスの問題とか、そこでの顧客との関係における男女の関係とか、働いている人たちが幹部になられ、一生懸命やればやろうとするほど地域格差が大変大きくて、そこが何とかならないとさらなるキャリアアップは難しいなということを本当にたくさん感じました。直接私がそこで何ができるわけではないんですけれども、先ほどから出ている地域差ですとか、そこの辺りを踏まえてこれから展開するタイムリーな時期ではないかと思います。
そういうことも踏まえて、鹿嶋委員の資料を読ませていただいて、納得、納得という感じだったんですけれども、まず私も大賛成なのが、否定するとかそういうことではなくて、改めて男女共同参画をブレないようなメッセージで、しかもわかりやすく、誤解のないように地域に発信する何かを考えなければいけないと思います。行政としては、局もあるので、男女共同参画そのものが目的なんだと思うんです。ですけれども、企業とか地域とか個人になると、それが目的なのではなくて、何かの目的を達成するために男女が共同参画しているという環境があるといいよねということになって手段になるんですね。ですので、その辺が目的なのか、手段として整っていればいいのかというとらえ方は相当違ってくるので、表向き男女共同参画を出すか出さないかというのもその辺をちょっと踏まえて考えてみるといいと思いました。
あとは、鹿嶋先生の各論のイベントのところも大賛成なのですが、先ほど住田先生が地域によって全然違うとおっしゃっていたのは本当にそのとおりだと思います。課題があって、その課題に合わせた企画をするのが通常の仕事ですから、やはり何となくあるからやるのではなくて、課題を検証した上でそれに一番合ったコストのかけ方というか、そういうことで効果を見る方がよろしいのではないか。そういう意味ではソフトだと思うんですけれども、重要だと思いました。
それから、桜井委員の資料も拝見させていただいて2つ大賛成だったんですが、howの部分ですね。もうこれは戦略を持たなければだめだと思いまして、中にこもって女性だけでやっているというのではなくて、他団体、経済界でもいいですし、NPOでもいいですし、私は軽度障害者の方々に対していろいろサービスをされているところとか、ニート、フリーターでサービスをされているNPOとか、どんどんそういうところと共存共栄してコラボレーションで組織対組織の環境をつくっていかないと相乗効果はないのではないかと思いました。
それからもう一点、桜井委員のもので私もそうだなと思ったのは、もう啓発の段階は終わって個別のアドバイスに入っていると思います。それで、まだお話はしていないんですけれども、たまたま私が担当させていただいている大手のメーカーの人事の課長の専業主婦の奥様が桜井さんのところにいらしたらしいんですが、当事者意識を持たれて今すごく一生懸命いろいろなことをされているらしいんです。それを私は仕事上、聞きまして、やはり中に入ったときに聞き手ではなくて当事者になって、そこからまたどんどん習ったことを次に伝えていく。そんなふうな地道な一人ひとりのアドバイスから次につながっていくんだなと改めて思いましたので、ここがポイントなのではないかと思いました。以上です。 - 袖井会長
- 河野さんは御自分でビジネスなどをやっていらっしゃいますが、鹿嶋委員の提案の企業にコミットする道筋をどのようにつけるか。この辺りは、何かお考えはありますか。
- 河野委員
- コミットの分野というのは、ワーク・ライフ・バランスの分野が一番接点がありそうですね。
- 鹿嶋委員
- 例としてワーク・ライフ・バランスを挙げたんですが、あれはやりやすいかもしれませんね。今、大体セクハラなんですね。何人かに聞いたら、セクハラ講座というのは企業が出前講座で受け入れやすいというんです。
- 河野委員
- セクハラだと、ちょっと言い方が難しいんですけれども、企業にとっては怖いものというようなこともありますが、ワーク・ライフ・バランスだといつも鹿嶋先生もおっしゃるような一つの戦略であるという意識も、少しずつですけれども、意識があるので、その分野で入っていったりすると、男女が対象でいいですね。だから、キーワードとしてはよいかと私は考えますが、コミットする方法論までは今日はまだいっておりませんので、申し訳ありません。
- 住田委員
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その関係でよろしいでしょうか。まず次世代育成の関係で、労働局関係が企業向けの研修をやっていますが、これは男女共同参画の話につながっているので、連携が持てるんだろうということです。
それから、出産退職した方々が再チャレンジしたいという気持ちを持たれたときに、すぐ次の就職の機会を得るための職業訓練及び情報提供についても、企業にそういう部門につながるような形で女性センターも当然連携をすべきでしょう。
あと、商工会議所で今、女性の会というのが地域によって非常に活発なところがあります。男女共同参画のところともつながっていることも多いので、地域の資源として使えるところがあると思います。全くこれも実情はさまざまですが。 - 神津委員
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私はいろいろなテーマで講演会に行くことがあるんですけれども、今までに3つのパターンで講演する前に、「お客さんが不快なことを言うかもしれませんが、気をつけてください」と言われて講演をしたことがあります。
ある時期の原子力発電立地あるいは原子力に関連する施設の立地点でのエネルギー関係の主催で行われる講演会のとき。それから、ある時期の荒れた中学、高校の学校での講演会、これは私も生徒に紙か何か投げられたこともありますけれども、「生徒が寝たり、あるいは騒いだり、聞かなかったりするかもしれませんが、何々先生は5分で壇上を降りてしまったんですけれども、先生は頑張って30分はしゃべってください」とか言われたことがあります。
3つ目が男女共同参画で、今までいろいろなところに行きました。言われないときもあるんですけれども、たとえばあるところでは、「ちょっとうるさい方がいて、その人の質問が出るかもしれませんが、その場合は私どもが全部答えますので、神津先生は何も答えないで結構です」というようなことを言ってくださる。その3つなんです。
これには共通点がちょっとありまして、まずある一時期非常にそういうものが強いということです。今はエネルギー関係で行きましても、環境問題とのリンクもあって余りピリピリしたものは感じません。学校も、私もたまには行きますけれども、今の生徒は割合静かに聞いてくれています。
ですから、この男女共同参画という言葉を使った催し物、事業は敬遠されるというのが資料にあるんですけれども、これは数としては一番多いですね。確かにそうだとは思うんですけれども、そういうのがピークになっている時期というのは必ずあって、一つの時代の流れであると私自身は感じています。だから、殊更に考え過ぎる必要はないけれども、でもやはりここできちんと向き合わなければいけない部分の問題でもあると思います。
なぜかと言いますと、もう一つの共通項は担当者が及び腰ということです。それを担当している人なんだから胸を張ってやれよと言いたくなるんですけれども、大体学校の先生もそういうときはびくびく、エネルギー関係の方もびくびく、男女共同参画関係の人もびくびくというのがあって、担当者がびくびくされると行った人はどうするんだという感じになりますので、この担当者の問題というのが1つあると思います。
もう一つは、看板の男女共同参画というものが明確化されていないがゆえに、先ほど鹿嶋委員がおっしゃった誤解とか意図的曲解とか、あるいは思想的な意見というようなものの中の面白おかしいものが先に出るんですね。新聞とかニュースは全部そうで、センセーショナルな数字だったり、言葉だったりが必ず先に取り上げられるわけです。それを後から撤回したり、後から訂正するというのはものすごく大変なことで、やはり私は今、一番大切なことは、この男女共同参画ということ自体が新しいフェーズに入っているのだから、もう一度これが何なのかということを明確に定義をするというのはちょっと変な言い方ですけれども、きちんとさせる必要があるんじゃないでしょうか。ジェンダー論も含めて、いろいろな誤解曲解も一緒くたになってこんなに大きくなってしまったがために、男女共同参画という看板が挙げられないというのであれば、これなんですよとふるい落としたちゃんとしたものを出すべきだろうと思います。
それから、住田委員がおっしゃったように、私はエネルギー、環境の問題での講演も多いんですけれども、知識であるとか関心度というものが行った先々だけではなくて集まる人たちによってかなり差があります。その差というのは悪い意味だけではなくて、その差によってきちんと話をするテーマを変えていかないと、全く無意味な講演になってしまうことも非常に多いものですから、私はある意味での正しいレベル分けの情報発信というものを考えた方がいいかと思います。
つまり、ジェンダー論を聞きたくて来る人もいるけれども、そんなことよりもまず男女共同参画というのは何ですかというような人に話すことを、変な差別化ではないんですけれども、きちんとやはり考えて整理をしていくことが必要なのではないかと思います。そうでないと、さっきおっしゃったような囲碁教室とか、そういうもので結局お茶を濁すということになってしまうので、そうではない分け方というものが私は必要なのではないかと思っております。 - 袖井会長
- ありがとうございました。ただいま担当者の姿勢というようなお話も出ましたが、直接関わりがあるような多摩市長さんから是非御意見をお願いします。
- 渡辺委員
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私自身、自己紹介で申し上げましたように、20年前に男女平等の担当をいたしました。係長でした。その後は課長職として担当しました。多摩市では20年前から男女平等の行動計画を策定して今日に至っています。条例はまだつくっておりません。その間に、着実に政策形成過程への女性の参画は進んでおります。ですから、男女平等論について悲観することなく、前へ明るい希望を持って進んでいきたいというのがまず1点目です。
そして、もう一つ大きく変わったのが男性が地域に戻って地域活動をするようになりました。多摩ニュータウンの場合はベッドタウンとして開発されましたから男性が都心部で働いていました。当時私はボランティアセンターをその直前に担当していたんですが、男性ボランティアはゼロから、ようやく1人誕生しました。今は100人になりました。
それほどに男性も地域の問題に今、回帰してきている。だから、2007年に高齢化で地域に男性が戻ってくるんだから、これはピンチをチャンスにしましょうという流れにあります。今回のテーマで女性問題をどうとらえていくかというときに、私も鹿嶋先生のワーク・ライフ・バランスのところに注目をいたしました。ここに一つのこれから解決していく課題があるのではないかと思っています。
それは、20年の中で意識がどのように変わったかという端的な例は育児休業を20代、30代の男性で取りたいという人が過半数いる。意識は確実に変わってきているわけです。でも、実態は取れないでいる。そこをどうやったら取れるようにしていくか。その変わっている意識に対して実態として取れるように状況を変えていくことが必要だろう。私のところはまだ10%ですので、ここは変えていこうと思っています。
ワーク・ライフ・バランスの企業を育てるときに今、神津さんのお話もあったように、今の時代、もっとわりやすく男女平等をとらえる時にあり、私たちの市では女も男も人間らしくそれぞれに豊かに暮らすということを考えましょうよと皆さんに問い掛けをしております。
最後の3点目はちょっと視点は変わりますけれども、桜井先生のレポートの最後のところに指定管理者の話がありました。鹿嶋先生からもありましたが、これは金を削るコスト論だけに貢献してしまっているのではないかという見方もありました。国全体としては地方自治体で600兆円、国と合わせて800兆円の財政赤字をどのように解消していくかという現実があります。これから市民の皆さんの高齢化が進み、あるいは少子化で子育てにもっと税を充てようとするときには、自治体は行政改革をやらなければならない。
そして税を生かすという視点でみたときに、自治体の職員が全部の仕事を直接サービスをする仕組みから、コーディネーターの役割とか基礎的なサービスを担うことになると考えます。先ほど桜井先生がNPOの好ましいケースもありますよとおっしゃっていただいたように、公共的な仕事をふさわしい方たちと分け合っていく時代にあろうかと思っております。新しい公共の視点で、公務員が優位で仕事を全部やるんだということではない仕組み。しかもNPOの皆さんにも安く働くのではなくて一定の収入がある、先ほどの正規職員以外の非正規の方たちの就労環境をどうしていくかということも含めて、社会的な仕組みをつくっていくことが男女平等の豊かな社会になっていくのではないかと思います。 - 袖井会長
- ありがとうございました。では、どうぞ。
- 加藤委員
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私は、今日の資料の3並びに4の関連で意見を述べさせていただきたいと思います。
まず初めに、私は活動拠点の施設というものは従前にも増してこれからも重要であることには変わりない、さまざまな課題を抱えているわけですけれども、重要だというふうに認識しています。同時に、私は人は人につくというふうに日ごろから考えているわけでございます。役所は住民に対して指導をするというスタンスからは、理解や共感、広がりのあるものは生まれないというふうに日ごろから考えている一人でもございます。それから、同じ時代を生きていても一人ひとり異なる文化を背負っているということを理解した上で男女共同参画を戦略的に推進していくことが、今後ますます大切だというふうに考えている一人でございます。
さて、その上で次の3点を述べさせていただきたいと思います。
1つ目は、NPO、NGOとの連携についてでございます。地方公共団体、女性センター、男女共同参画センターといった公的機関の役割・連携だけではなく、女性団体などのNPO、NGOについて、法人格を持っているか、持っていないかは別にして、どのような役割を果たせるのかということ、それからどのような連携ができるのかを検討していただきたいと思います。これは、先ほど鹿嶋先生もCSRやISOのお話をなさいましたけれども、経済産業省の標準化のところでまさに私ども女性団体は消費者運動も行っているわけでございますので、ここの議論には参画をしているわけでございます。
関連して申し上げれば、企業の敷居が高いというお話も前半であったかと思いますけれども、消費者運動をしておりますと必然的に企業とのおつき合いも日常的に行っておりますので、NPOとかNGOとの連携ということも今後考えていかなければいけないことの一つだと考えております。
2つ目でございますが、さまざまな政策との連携です。これはどういう意味かと申しますと、男女共同参画というテーマだけでは参加者も集まりにくいし、内容も広がりにくい。雇用政策だとか高齢者政策、まちづくり、防災など、さまざまな政策の広報普及活動において男女共同参画の視点を取り入れるよう、国レベル、地方公共団体レベルで関係部局が、大変難しいかと思いますけれども、連携協力できるような体制をつくっていただきたいと考えております。
最後に3つ目でございますが、地方公共団体職員が活用しやすい政策資料についてでございます。地方公共団体も先ほどからお話が出ていますように、都道府県や大都市から小さな町村まで、さまざまな規模、レベルがあります。そこで男女共同参画を担当する職員の中には勤続の長い人もいれば、全く別の部署から異動されてきたばかりという人もいるわけでございまして、こうした地方公共団体の多様な職員を想定した、わかりやすい、使いやすい政策資料を是非つくっていただきたいと考えております。以上でございます。 - 袖井会長
- どうもありがとうございました。そろそろ時間もきていますが、どうぞ。
- 帯野委員
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手短に申し上げます。冒頭、鹿嶋委員からお話のありました、どう企業と関わっていくかというのは非常に重要な問題ではないかと思っております。共同参画社会実現のためには、地方公共団体であるとか、身近な地域との取組というのも大切ですが、やはり民、特に企業との取組がなければなかなか具現化できない。民が踊らなかったことがこの問題の行き詰まり感をもたらしているのかと考えます。
そうは言いつつ、なかなか官から民への呼び掛けというのは難しいと思います。私も地元大阪府の参画局から参加企業を紹介してくれと頼まれるのですが、どうしても企業からはおっしゃるように特別なもの、できれば触りたくないということで敬遠されまして問題にぶち当たったのです・・・。とは言いつつやはりこれから参画社会実現に向けて参画局としてパートナーシップを組むのは女性も大事、女性団体も大事ですが、むしろ男性、企業とのパートナーシップが大きな課題になってくると思うんです。
そこで御提案なのですが、男性、企業に自ら積極的に参加してもらうために、例えばどこかの経済団体にこういう問題を取り扱う委員会を組織してもらうというようなことを働きかけるというか、根回しをするというか、そういうことができればどうかと思うのです。
ちなみに、私が常任監事を務めております関西経済同友会でも、実は女性の問題は、たしか2度ほど取り扱ってまいりました。ただ、その視点が労働力不足の中でどうとらえるかとか、少子化対応をどうするかという視点であって、むしろ女性をどういうふうに経営に取り込むかとか、どういうふうに女性起業家を育てるか、そのために経済界として何をすべきかといったものではありませんでした。例えば、新しい切り口でこの問題をどこかの委員会で取り扱ってもらえれば、少なくともそれを提言した会員企業は実行しなければならないわけですし、もう一つはなかなか新しいイメージというか、本当の意味での理解というものが、なかなか官で考えていても見つからないことが、意外に企業などに取り組ませると新しい理解というか、イメージをつくるようなことができるかもしれないと思いますので、一番自由に発言できるのが同友会ですが、できればちょっと経済界の方に働きかけていただければと思います。 - 袖井会長
- どうぞ。
- 辻村委員
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皆様がお話になったことはすべてもっともで、大賛成ですが、1つ出てこなかった視点で私が気になっていますのは、どうしても市町村の条例制定率が低いというのは、市町村における女性議員の比率などにも関係しているのではないかという点です。
実際に民主主義の形態を考えたときに、本当は生活に身近なところから変えていくということであれば、女性議員比率を考えたときに市町村が一番多くなって、国会が一番比率が低くなるというような三角形を当初は考えていたのですが、今は全然そうではないですね。2006年の統計では町村が6.9%で、市が10%くらいですね。そういう日本の地域の現状というものがあって、この状況だと2020年までに30%などというのはとてもできないと思います。
そういうこととの相関関係で、先ほど計画策定率とかグラフとかを御教示いただいたのですけれども、意思決定過程の参画率のような要素が大事なのではないかということですね。先ほど私は政治風土という言葉で言ったのですが、それはちょっと乱暴な言い方なのですが、先ほどから出ていました地域のきめ細かな状況というものにやはりそういう問題も絡めた総合的な統計結果のようなものを出して検討してみるということは重要ではないかと考えました。蛇足で恐縮です。 - 袖井会長
-
ありがとうございました。この際、是非もう一言という方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
大変いろいろな問題が出されました。地域差の問題であるとか、人材育成の問題、それから企業、NPO、NGOとの連携とか、男性をどう取り込むかとか、あるいはセンターの担当者同士の意見交流の問題とか、ただいま辻村さんからあったような政治の問題ですね。非常に多くの問題が出されたと思います。それから、最も大きいのはやはり男女共同参画ということをどう考えるか。これをもう少しわかりやすくかみ砕けないか。これも大変重要な御提案だったと思います。
これからヒアリングが始まりますけれども、その際にやはりそういう視点も入れていただきたいと思いますし、なるべく地域差がクローズアップされるようにとか、それから今日皆様方からいろいろ御提言がありましたが、具体的に例えば企業との連携をどうしているかとか、あるいは指定管理者制度の問題とか、その辺りもヒアリングの際に対象となった自治体の方に是非お話いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 それでは、ちょっと時間がオーバーいたしましたが、本当に今日はありがとうございました。次回は今月の26日に開催ということになっております。その後は、おおむね1、2か月に1回のペースで開催したいと思いますのでよろしくお願いいたします。
最後に、事務局から御連絡がございますのでよろしくお願いします。 - 定塚推進課長
- 次回でございますが、今月の26日の15時から17時、同じ時間で会場もこちらでございます。よろしくお願いいたします。
- 袖井会長
-
今日と同じ時間で同じ場所でございますので、よろしくお願いします。
それでは、これで基本問題専門調査会第30回の会合を終わります。本日はどうもありがとうございました。
(以上)