計画実行・監視専門調査会(第9回)議事録

  • 日時:令和3年12月22日(水)16:00~18:00
  • 場所:オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
  1. 開会
  2. 議題
    (1)「女性活躍・男女共同参画の重点方針2022」(女性版骨太の方針)の策定に向けて
    (2)コロナ下の女性への影響に関するフォローアップ
  3. 閉会

【配布資料】

資料1
令和3年11月29日男女共同参画会議における岸田文雄内閣総理大臣発言 [PDF形式:474KB]別ウインドウで開きます
資料2
「女性活躍・男女共同参画の重点方針2022」(女性版骨太の方針)の策定に向けて(令和3年11月29日男女共同参画会議 資料) [PDF形式:1,538KB]別ウインドウで開きます
資料3
令和3年12月6日第207回国会における岸田文雄内閣総理大臣所信表明演説(抜粋) [PDF形式:470KB]別ウインドウで開きます
資料4
「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太の方針)抜粋 [PDF形式:417KB]別ウインドウで開きます
資料5
コロナ下の女性への影響に関するフォローアップ [PDF形式:1,628KB]別ウインドウで開きます
参考資料1
計画実行・監視専門調査会委員名簿 [PDF形式:109KB]別ウインドウで開きます
参考資料2
女性活躍・男女共同参画の重点方針2021(令和3年6月16日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定) [PDF形式:1,377KB]別ウインドウで開きます
参考資料3
コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会報告書(令和3年4月28 日コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会) [PDF形式:1,219KB]別ウインドウで開きます

【出席者】

会長 
佐藤 博樹  
中央大学大学院戦略経営研究科教授
委員 
石黒 不二代 
ネットイヤーグループ株式会社代表取締役社長兼CEO
同  
井上 久美枝 
日本労働組合総連合会総合政策推進局長
同  
大崎 麻子  
関西学院大学客員教授
同  
窪田 充見  
神戸大学大学院法学研究科教授
同  
佐々木 成江 
名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻准教授、お茶の水女子大学ヒューマンライフイノベーション研究所准教授
同  
治部 れんげ 
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授
同  
白波瀬 佐和子
東京大学大学院人文社会系研究科教授
同  
徳倉 康之  
NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、株式会社ファミーリエ代表取締役社長
同  
内藤 佐和子 
徳島市長
同  
山田 秀雄  
山田・尾﨑法律事務所代表弁護士
内閣府
林 伴子   
男女共同参画局長
同  
吉住 啓作  
大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
同  
杉田 和暁  
男女共同参画局総務課長
同  
花咲 恵乃  
男女共同参画局推進課長
同  
矢野 正枝  
男女共同参画局総務課調査室長

議事録

○佐藤会長 定刻になりましたので、ただいまから第9回「計画実行・監視専門調査会」を始めさせていただきます。
 最初に、11月29日に男女共同参画会議が開催されました。会議では、本調査会におけるこれまでの皆さんの御意見を踏まえ、事前に事務局から岸田内閣総理大臣や野田男女共同参画担当大臣と相談した上で「女性活躍・男女共同参画の重点方針2022」、いわゆる女性版骨太の方針の策定に向けて4つの柱立てが示されました。これについては後で議題(1)の中で事務局から御説明させていただきます。
 本日は、今、御説明した議題(1)の「女性活躍・男女共同参画の重点方針2022」の策定に向けての御報告と、2番目は、(2)はコロナ下の女性への影響に関するフォローアップについて、それぞれまとめて事務局から御説明いただいて有識者委員の皆さんから意見を伺えればと思います。
 いつものとおり、1時間めどに5分ぐらい休憩させていただければと思います。
 それでは、まず議事に入らせていただきます。
 議題の(1)と(2)について、内閣府の林男女共同参画局長から御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○林男女共同参画局長 ありがとうございます。
 それでは、画面を共有させていただきます。
 こちらの計画実行・監視専門調査会でのこれまでの御議論を踏まえて、6月に策定する女性版骨太の方針の柱立てについて、岸田総理大臣、野田男女共同参画担当大臣、松野官房長官などに相談をいたしました。その上で、11月29日に総理官邸で全府省の閣僚等と有識者から構成される男女共同参画会議にお諮りをいたしました。その結果、4本の柱が決定をされました。
 まず第1に「女性の経済的な自立」ということであります。こちらの専門調査会でも御議論いただいたとおり、男女間の賃金格差の解消に向けた構造的な対応を進めることといたしました。
 また、第2に「女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現」という柱を立て、もう一つの専門調査会、女性に対する暴力に関する専門調査会で御議論いただいているDV対策の抜本的な強化等に加え、女性の健康上の課題などを取り上げます。
 第3に、男性の活躍の場を家庭や地域社会にも広げていくということで、この柱も立てました。
 また、第4に、昨年末に閣議決定をいたしました男女共同参画基本計画に掲げた目標の達成に向けた取組ということであります。
 この4つの柱立てで来年6月をめどに女性版骨太の方針を策定するため、引き続き議論を深めていただきたいということ、また、総理から各府省に対し実効性のある具体策を検討するようにとの指示が下りたところであります。
 また、その際、野田大臣から、総理、全府省の閣僚等も含めメンバーに対し背景となる問題意識を説明しております。こちらの資料です。
 まず世論調査で、日本の社会全体として男女の地位は平等かという問いに対して平等と答えた人の割合は21%にすぎません。最終的には多くの国民がこの社会は平等だと感じられるよう社会の変革を進めていかなければならないという認識を示されました。 この点は人口減少、少子化対策や地方創生とも深く関連していると考えております。近年、若い女性が地方から大都市へと出ていく傾向が強まっております。若い女性がいなければ子供は生まれず、少子化、人口減少は一層進み、地方の活力が失われます。そして、若い女性が地方に残りたくないと感じる背景には、地域に根強い固定的な性別役割分担意識、いわゆる男尊女卑的な雰囲気があると分析がされています。地方創生、少子化対策のためには、全国津々浦々に男女共同参画の裾野を広げ、若い女性が地元で伸び伸びと力を発揮し、若い男性と共に活躍できるようにすることが不可欠だと考えております。
 現在のジェンダー不平等、地域の人口減少、少子化、地方の衰退という悪循環を断ち切り、好循環へと転換する必要があると考えております。このような基本認識を踏まえて女性版骨太の方針を検討してまいりたいと考えております。
 まず、第1の柱「女性の経済的な自立」につきましては、特に人生100年時代を迎え、重要性がますます高まっていると考えております。左上、現在、離婚が昭和の時代よりも増え、女性の人生や家族の姿は実態として多様化しています。昭和の時代、例えば1970年は、婚姻は毎年100万件、離婚は10万件にもならなかったのですが、現在は毎年の結婚件数60万件に対し離婚件数は20万件と結婚件数の3分の1に上り、昭和の時代から様変わりしています。また、婚姻60万件のうち26%は再婚です。
 右上、母子世帯の半数が、母親が30代のときに離婚しています。2歳以下の子供を連れている母親が45%、全体の7割近くが就学前の小さな子供を連れて離婚をしています。
 左下、また、ひとり親の所得は低く、貧困線以下が約半数という厳しい状況です。
 右下、一方、女性の52%は90歳まで生き、3割弱は95歳まで生きます。平均寿命が87歳なので老後の準備もその辺りまでと考えている人も多いですし、ファイナンシャルプランナーのそうしたアドバイスもよく新聞、雑誌などで見かけるところですが、実際、女性が亡くなる年齢で最も多い年齢、最頻値は92歳であります。また、ここには記載していませんが、現在、100歳以上の女性は日本で全国で6万9000人いらっしゃいます。さらに105歳以上が5,800人、110歳以上の女性が140人いらっしゃいます。
 他方、こちらの専門調査会で先日御議論いただいたとおり、賃金を見ると正規、非正規の差に加え、同じ正社員同士でも男女間の格差があります。右上、有業の既婚女性の6割は年間所得200万円未満で様々なリスクに対して脆弱な状況です。女性が大変長い人生を通じて経済的困窮に陥らないよう、女性が経済的に自立する力をつけることは女性の本人の人生にとっても、また、国の経済、財政にとっても非常に重要であり、最重要課題として取り組む必要があると認識しています。
 具体的には同一労働同一賃金の徹底による非正規雇用者の賃金引上げ、ひとり親の支援の強化、女性の視点も踏まえた税制や社会保障制度の検討等、様々な角度から取り組んでいく必要があると考えています。
 第2に「女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現」についてであります。今般のコロナ下でDVの相談件数は1.6倍、女性の自殺者数も増加しています。また、性暴力の被害も深刻であり、女性に対する暴力の根絶は急務だと考えております。具体的にはDV法の改正も含めたDV対策の抜本的な強化を進めるとともに、性交同意年齢の引上げなど性犯罪に関する刑法の改正を早急に行う必要があります。さらに、フェムテックの推進や緊急避妊薬へのアクセス改善により、望まぬ妊娠を防止していくことも重要と考えております。
 第3に男性の家庭・地域における活躍についてであります。民間企業の男性の育児休業取得率は13%といまだ低い水準です。地域には男性が積極的に育児に参画しにくい雰囲気や慣行がある場合もあります。例えば父子家庭のお父さんが子供の少年野球やサッカーチームの応援に行ってもお母さんたちばかりで、交代で監督にお茶を出したりコーチに手作り弁当を競い合って差し入れているなど独特の雰囲気があって困惑するというような話も聞きます。
 また、左下、50歳男性の4人に1人が独身であり、会社退職後の居場所について不安を持つ人もいます。両親などの介護の当事者となる男性も増えております。男性が家庭や地域社会において望まぬ孤立に陥らないよう、活躍の場を広げ、社会的なつながりを持てるようにすることも重要と考えております。
 第4に「女性の登用目標達成」についてであります。第5次男女共同参画基本計画に掲げられた58の登用目標を着実に達成し、計画を絵に描いた餅にしないよう、目標の進捗状況を確認し、PDCAを回しながら各府省において必要な施策を展開していく必要があります。例えばこちらの専門調査会でも御議論いただいた科学技術分野では、我が国では女性のノーベル賞受賞者はまだ出ていませんが、日本の女性の科学、数学の学力はOECD諸国でトップクラスであります。理工系の教員、研究者を目標に向けて着実に増やし、多様性によるイノベーションの創出につなげていくことが重要と考えております。また、先日御議論いただいた行政における女性の登用、また、今後御議論いただく教育分野でも女性の登用が重要と考えております。
 さらに、今月の臨時国会で岸田内閣総理大臣からは、所信表明演説で多様性が尊重される社会を目指すこと、賃上げに取り組むこと、男女が希望どおり働ける社会づくり、また、女性の就労の制約となっている制度の見直しなどを表明しているところであります。
 次に、コロナ下の女性への影響に関するフォローアップでございます。昨年9月に男女共同参画局の研究会としてコロナ下の女性への影響に関する研究会を開催し、今年の4月に報告書をまとめ、経済対策や補正予算などに反映させたところであります。その後の動きをフォローアップしたいと存じます。
 まず改めて振り返りますと、昨年1月に日本で最初の感染者が確認され、ほぼ2年が経とうとしております。2月にはダイヤモンド・プリンセス号での感染の拡大、学校の休校措置、3月には全世界的な感染者の急増、そして、4月には日本も緊急事態宣言を行いました。5月には緊急事態宣言は終了したものの、その後も感染者の増加が増減を繰り返しながら続き、今年の1月初めには再び緊急事態宣言が発出され、夏には大幅な増加が見られました。その後、感染者数は急減し、9月末には緊急事態措置は終了しております。ただ、足元では全世界的にオミクロン株の感染者数がまた急増しており、予断を許さない状況と認識をしています。
 こうした中で女性の就業者数を見ますと、昨年4月に急減した後、徐々に戻してはおりますが、今年の9月、10月にはまた減少しているという状況でございます。
 雇用形態別に見ますと、女性は右側、正社員は増加していますが、非正規雇用者は前々年同月差、つまり、コロナ前と比べると大幅な減少が続いていることが分かります。
 また、産業別に見ますと、医療、福祉分野、情報通信分野では増えており、こうした分野では相対的に正社員が多いです。他方、非正規が多い宿泊、飲食業、生活関連サービス、娯楽業では厳しい状況が続いております。なお、非労働力人口を見ますと、足元の2か月では女性の非労働力人口が増えているという状況がございます。
 また、全国の配偶者暴力相談支援センターで受け付けたDVの相談件数を見ますと、依然として毎月1万5,000件程度と高い水準で推移をしております。センターの相談員の話を聞きますと、身体的なDV、殴る蹴るに加え、精神的なDV、例えば暴言を浴びせたり執拗にいじめるなどが繰り返され、PTSDやパニック障害になるといった事例もあるという報告を受けております。
 DV被害者の年齢を見ますと、30代、40代が大宗となっており、9割以上が女性であります。
 また、DV被害者に私どものほうでアンケートを取ってみましたところ、別れたという女性は大変少なく、大半は別れたかったけれども、経済的な不安や子供のことを考えて別れなかったという回答をしています。
 また、全国の都道府県に性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターが置かれております。これは被害に遭った人に対し、産婦人科医と連携して緊急避妊薬の処方や証拠の採取を行ったり、専門的な心理カウンセリングや警察への同行支援などをワンストップで行う施設であります。この全国のワンストップ支援センターで受け付けた相談も今、前年を上回る水準で推移している状況であります。被害者は大半が10代、20代であります。
 さらに、自殺者数を見ますと女性の自殺は昨年後半から大幅に増え、この青い線です。今年に入ってからも赤い線が高水準で推移をしてきました。最近数か月は平年並みの水準に落ち着きつつありますが、この背景にはいのちの電話やNPOの方々の御尽力もあったのではないかと思います。引き続きこの女性の自殺の状況、平年並みの水準に落ち着きつつありますが、気をつけて見ていく必要があると考えております。
 なお、女性の自殺者数について分析をしてみますと、女性の自殺者は無職の人が圧倒的に多く、コロナ前までは全体として無職者が減っておりましたので無職者の自殺も減っておりましたが、昨年、コロナ下で特に無職の主婦、いわゆる専業主婦で自殺が増えております。DVも背景にある可能性もあると考えております。
 また、働く人の自殺も昨年増えました。この点は労働市場、就業環境との関係も考えられると思っております。
 私からは以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、2つ御説明いただいたのですけれども、最初に、2番目のほうのコロナ下の女性への影響のフォローアップについて御意見なり御質問があればそこから先に伺って、あとの時間、女性活躍・男女共同参画の重点方針のほうの御意見を伺えればと思いますが、2のほうで質問でも結構ですので、いかがですか。
 では、治部さんかな。お願いします。

○治部委員 ありがとうございます。
 ちょっと確認というか御質問なのですけれども、ちょうど岸田首相が女性との車座対話をなさるということで報道もされていると思います。これはかなりメディアからも関心を持たれているところで、私はとても重要なことだと思っております。この件に関して男女局のほうで何か関与されているのか。特にコロナで影響を受けている女性が多いということと絡めて何かあればぜひ補足で御説明いただけたらと思います。

○佐藤会長 いかがでしょう。

○林男女共同参画局長 岸田総理の女性との車座対話については、詳細はまだこれからなのであまりこの場ではお話し申し上げられませんけれども、総理は様々なところで様々な問題も、また難しさも抱えている方々のお話をきちんと聞くことが大事というお考えでございますので、そのお考えに沿ってぜひ充実した車座対話になるよう、私どもも努力をしてまいりたいと思います。

○佐藤会長 ほかにはいかがですか。
 白波瀬委員はもともとこのフォローアップ、初めの研究会報告のほうをやられていたので、何かあれば。

○白波瀬委員 ありがとうございます。
 本報告書をいろいろな方々に活用していただきまして、これも参加者の先生方、しっかりデータを持って議論していただいたお陰です。ただ、とても気になっているのが、その後、反映された補正予算の効果についてです。予算がついたもののその後どうなっているのか、効果についてはなかなか中長期的だと思うのですが、分かる範囲でお知らせいただけると幸いです。本報告をもって、コロナ対応に動きがあったと肌で感じていただいているのですけれども、本当に実のところどうなったのか、という声もやはり聞こえてくるのです。この点、どうかよろしくお願いしたいと思います。

○佐藤会長 いいですか。それはお願いしますということでね。大崎委員。

○大崎委員 ありがとうございます。
 しっかりとフォローアップしていただいてありがとうございます。私も2点、御質問というかコメントなのかな。先ほどの車座対話というところともつながってくるかと思うのですが、コロナ研究会ではたくさんのデータを本当に出していただいて、データ、統計、そして、しっかりとその傾向というものを可視化することができたと思います。それと同時に、この研究会で非常に重要だったなと思うのは、データだけでは見えない部分、つまり、実態として何が起こっているかというところで、例えば若年女性の支援団体であるとか、「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」であるとか、そういったいわゆる支援団体も来ていただいて報告を研究会でいただいておりました。
 そこから見えてくることというのがすごくやはりたくさんあったというように思っております。若年の女の子たちが家庭内で性暴力であったりとか虐待であったりとか、そういうことがあるので居場所がなくてと。それが若年の望まない妊娠につながっていたりとか、もしかしたら自殺にもつながっている可能性があるとか、そういったようなことがデータだけでは分からない部分というのがやはりそういう民間の団体からの報告でかなり私たちも理解を深めることができたと思いますので、引き続きこういう対話の場であったりとかフォローアップを行っていく際にぜひそういう民間団体の声をしっかりと拾っていっていただきたいなということ。
 あと、そのコロナの研究会で来ていただいた団体のイシューは、やはりリプロだったりとか若年女性とか、そういった領域が多かったのですが、私が今、本当に気になっているのは非正規雇用で働いている単身の女性たちですね。特に50代、60代の女性たちが一体どういう状況にあるのかということをデータも重要なのですが、実際何が起こって何が問題なのか。やはり50代、60代は先ほどの自殺のデータを見ているとちょっと増えたりとかしているところが気になるところですので、その非正規雇用で働いてこられた方々、もしかしたらもう新卒で採用の段階から非正規である可能性もありますし、婚姻中に一旦仕事を辞めて非正規雇用で離婚してからという方もいらっしゃると思います。ですので、そういった実態、しっかりと見ていっていただきたいというように思っています。
 あと、もう一つは、内閣府の地方の女性活躍推進交付金でしたかで、寄り添い型のリーチアウトしていくというところで自治体と、あと民間団体がペアになって地域の女性たちにリーチアウトしていくというような、そういう交付金をつくっていただいて、たくさんのNPOが今、日本各地で活動していらっしゃいます。そこからしっかりと仕組みとして、そういったことで活動されているNPOの方々がやはり何が起こっているかというのを把握できると思いますので、そういった声をしっかりと集約して次の政策に生かしていくという、そういう仕組みをぜひつくっていただきたいと思います。ありがとうございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 では、それは伺っておくということで、佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員 ちょっと視点は違うのですけれども、科学技術分野のほうで、コロナで何が起こったかというお話をさせていただきたいのですが、まず海外から論文の投稿数が男性は減ってなかったのに女性の研究者の投稿数が減ったという報告が出ました。すぐに男女共同参画学協会連絡会でアンケートを取りました。かなりたくさんの数の回答をしていただけたのですけれども、やはり男女差が出るところは育児の増加とか家事負担の増加というのが女性のほうが多く、あと男女とも出張の制限による支障が深刻にあるという回答が多くみられました。また、特に若くなると育児の増加という問題は男女ともに多くみられています。
 では、誰が不安を持っているかというのですけれども、大学院生とか、あと任期契約期間付の職でその次のステップがあまりはっきりしていない人たちがやはり不安を持っているということで、同じような傾向が出ているのかなというように思います。
 論文投稿の数が少ないというのは、その後々のキャリアにつながっていくので、そういうときに育休時のように業績の割増しみたいな、そういうことをしっかり考えないと、後々、女性のキャリアアップに影響してくるのではないかというように考えています。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 理系は分からないのですけれども、大体、国際学会、みんなほとんどオンラインになってしまったよね。それは女性にプラスの面もあったということはあるか。

○佐々木委員 オンラインで、子供がいたので学会に行ったほうが学会の保育所があって預けて集中できるという、それもやってみて実際はオンラインで子供がいなければ多分非常に、いないというか保育園に預けられていればいいのですが、そうではない場合は学会に連れていって学会の保育所に預けたほうが集中できるという意見があります。

○佐藤会長 分かりました。どうも。
 ほかには2番目のコロナ下のフォローアップ調査についてもしあれば。よろしいですか。
 そうしたら、どちらも本題というのも変な話ですけれども、今日、(1)のほうの「女性活躍・男女共同参画の重点方針2022」で一応4つの柱が出されたということで、基本的にはこれまで皆さんが議論してきたことを踏まえながら、あと総理や野田大臣なんかの意見を聞きながら4本の柱になったのですが、それについて、これまでのことと重なっても結構ですので、御意見いろいろ伺えればと思いますので。
 それで今日、大崎委員と徳倉委員が先に出られるということですので、お二人、先にということにしていただいて、徳倉委員から、それで大崎委員として、その後は手を挙げてというようにしたいと思いますので、徳倉委員、お願いします。

○徳倉委員 ありがとうございます。
 林局長からお話しいただきましたけれども、例えば首相の第3の項目で男性の活躍というところで、地域と家庭ということで、これは地域の部分と家庭の部分と2軸あると思うのですが、私は地域というか地方におりますので両方ちょっとお話をしたいなと思っております。
 まず地方の部分では、やはり構造的に若い女性が首都圏や関西圏など、例えば九州だと福岡とか、四国ですと香川に集まるのではなくて大阪にみたいな形で人が大きく流れている。特に若い女性が流れている現状があって、そこでやはり男性の生涯未婚率も非常に高くなっている。女性も上がっているのですが男性の生涯未婚率が非常に上がっていて、そこでやはり少子化というところと結びつけていいのか分かりませんけれども、独居の男性も増えてきている現状があるのですね。少し構造的に地方はやはり婚姻関係を結びづらい環境にどんどん日本の社会が移行している。
 しかし、では、都市部で婚姻関係を結んでうまくいっているのかというといろいろな背景があって離婚件数も増えている。そして、やはり子育ての関係や子供にかかるお金の部分が大き過ぎるということで、子供を持ちたいと思っていても数がある程度制限されていくというダブルの構造の要因があるわけですね。
 男女というところで一つ飛躍しますが、少子化もどんどん進んできているという現状があって、これはもう皆さん共通の部分だと思うのですけれども、やはり地方で女性が自立をして生活できる基盤を国がどういうように進めていくのかというところ、かなり大なたを振るって構造をつくっていかないと、賃金の部分とジェンダーの部分で若い女性が都市部に出ているというところであります。賃金は国の施策の中でいきなり民間企業が上げることは難しくて、やはりジェンダーの規範の部分を大きく変えていくのだという今よりももう少し強いトーンで進めていかなければ、恐らくこの女性の移動というものは多分今後加速度を増して増えていくのではないかなと思います。
 その中で男性が家庭や地域で活躍するとなった場合に、やはり構造的に女性が自立できるものとパッケージにしていかなければ恐らく絵に描いた餅になるのです。そういう中にあって、今後の方針の中でこれまでも打ち出されていますけれども、やはり夫婦別姓の問題。仕事があってそのまま維持できる環境をどうつくっていくのか。これは、地方は非常に難しい問題がありますけれども、やはり制度として夫婦別姓ができていくとそのキャリアを地方で維持していこうという動きはもちろん出てくると思います。
 もう一つ、賃金格差の部分です。同一労働同一賃金という話の中で、やはり男性と女性の中でも賃金格差が出ているものをどういうように国が同じにしていくのか。同じにしなければ不利益を被るような構造で私はいいと思います。そういうような形をつくっていかないと女性の賃金も上がっていかない。
 子育ての費用は各自治体が取り組んでいてちょっと置いておきますが、私が一番問題だなと思っているのは、離婚をした後の養育費の不払いの問題です。これは、非常に日本は低いのですね。今、マイナンバーをいろいろ普及していこうという動き、もちろんあるのですけれども、その中にいろいろなものをひもづけていきながら、やはり生まれてきた子供の権利ですので、私はヒアリングをしていくと妻側がもう関わりを持ちたくないのでそのお金は結構ですというケース、たくさんあるそうです。しかし、やはりこれは子の権利ですので、遡及をして後からでも給付できるようにやはりいろいろな形で法律を改正して、子供が健やかに育ちながら女性が働いて維持をできていく、自分の自立もできていくということのパッケージがないと男性も地域で、家庭でというのが少し絵に描いた餅になるのかなと思います。ちょっとその辺のことを網羅して推し進めていく力強い推進が必要かなと思っております。
 長くなりました。以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 では、大崎委員、お願いいたします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 今、徳倉委員から地方のお話、それから、冒頭で局長からもございましたけれども、地方の人口減少の背景にあるのはもう間違いなく若年女性が流出して、なおかつ戻ってこないというところにあるかと思います。男性のUターン率に比して女性のUターン率、非常に低いということで、なので、若い女性をやはり戻ってきてもらうにはどうすればいいかというような、それもすごく大事なのですけれども、でも、人口減少をリバースするまでにはもう無理ですよね。
 実際に先ほど冒頭で局長からもお話がありましたけれども、とにかく高齢化が進んでいく、超少子高齢化。この流れをリバースさせることはもう不可能ですので、そうすると、このジェンダーの視点から地方創生で考えなければならないのは、人口減少の文脈もそうなのですが、減ってしまった人口、なおかつ変化した人口動態、人口構成でどういうように地域社会を維持していくか、地域経済を維持していくか。
 そうすると、当たり前なのですけれども、性別役割分業というところで、家庭で稼ぐのは夫、家のことやるのが妻、地域社会に関してはこう、職場でもこうと性別役割分業というのを前提にしていては、もう地域社会そのものを維持できないという、そういう前提ですよね。なので、やはりジェンダーギャップの解消、ジェンダー平等の推進が今ある地域を維持していく上でも重要なのであるという、そういう切り口というのがすごく重要なのだと思うのです。
 なので、農業でもそうですし、産業もそうですし、防災に関しても、それから、財政、行政サービスの提供に関しても、これからものすごく生産年齢人口が少なくなっていく中でやはり男性と女性が一緒に意思決定にもちゃんと参画できる、家庭内でもケアワークもちゃんと分担してできる、そういう環境整備をしないと、もう地域社会がサステーナブル、サステーナビリティーというのは不可能なのだというところで議論していくべき論点ではないかと思っています。もう今さら人口を増やすのは無理ですよね。なので、そこははっきりちゃんとさせるということがまず重要なのだと思います。
 それから、ちょっと話がまた飛ぶのですが、5次計で掲げた登用目標にしっかりと成果を出していくというのは本当に今回重要なのだと思うのですけれども、先ほどの岸田総理が写ってらっしゃる紙の中に公共調達を通じてというのがございましたが、えるぼしとかくるみんとか、そこの文言に書いてあったのが「女性に優しい企業」と書いてあったのですが、女性に優しいアプローチというのは絶対ワークしないということがもうはっきり分かっているのではないかと思うのですね。
 女性活躍とか女性に優しい、女性が両立できるようにする、そのアプローチで日本はやってきたわけですけれども、でも、それが結果を出してないということは、この今回の現状における女性比率を見ても、それから、国際比較で見たときに、スコアは少しずつ上がっているが順位が転落しているというのはやはり相対的にほかの国はどんどんパーセンテージを上げているのに日本の歩みがものすごく遅いから順位が転落していくということですので、それを考えると、言っては悪いのだが、女性活躍とか女性に優しいアプローチというのは基本的にワークしないということをもうそろそろしっかりと認識して保つ必要があるのではないかと思います。
 では、ほかの国がどうやって取組を進めているかというと、やはりジェンダーギャップの解消ですね。ジェンダー平等をとにかく徹底して推進していく。例えば職場であれば採用とか、それから、日々の評価であるとか、昇進、登用のところでアンコンシャスバイアスが働いているのだということをもう分かっているわけですから、では、そのアンコンシャスバイアス、誰でも持っていて解消、なくすということはできないというアンコンシャスバイアスが作用しないような仕組みをどういうように構築していくのかとか、もうそちらのジェンダー平等の推進、性差別の解消、そういうことにほかの国は取り組んでいるわけなので、なので、日本的な女性活躍のアプローチで行けば、多分未来永劫、目標を達成できないのかなというように思いますので、公共調達でもえるぼしとかくるみん、えるぼしは女性活躍推進法を使っていますが、あれはやはり日本独自ですよね。情報開示項目、少な過ぎますし、非常に緩いので。だけれども、うちはこういうことをやっているし、認証を受けているのだという、そういう企業が実際に、では、本当に数値を伸ばしているのか。そこをしっかりと検証すべきだと思います。
 そうでないのであれば、やはりもう国際社会で採用されているような枠組みですよね。WEPsのような国連の女性のエンパワーメント原則のような、もう網羅的にちゃんとジェンダー平等の推進というものを進めるための網羅的な国際的なフレームワークというのをちゃんと導入して、それをベースに公共調達の加点項目であるとか政府の取組というのを見ていかないと、多分このままだとまた目標を達成できないのではないかという気がしております。まずは公共調達の加点項目というのをもっとグローバルな枠組みを踏まえてちゃんと整備していく、まずそこからできるのではないかなと思いますので、ぜひやっていただきたいと思います。

○佐藤会長 先ほど局長から御説明いただいた資料の中で、女性の経済的自立の中に90歳時の生存割合が女性5割、男性で3割という、高齢化の話ですね。そのこともあるのだけれども、他方で、これは健康寿命が延びているだけではなくて、やはり実は要介護、要支援の期間が延びているのです。子育てに関わっていなかった男性も親の介護ではかなり関わっているので、男性の家庭・地域の活躍のところでは介護の話が出てくるのだけれども、多分もう一つ、他方で単身者が増えているという話だから、親からすると独身の未婚の息子、娘がいるのです。
 そうすると、1人の例えば息子が親2人の介護みたいなのが、つまり、2025年、団塊の世代は75歳以上になるので、この辺からよく言われるように今度は介護の課題。今回、これは少し中には入っているのだけれども、実はつながっているので、つまり、寿命が延びて、要介護、要支援の期間が延びて、他方で、未婚化みたいな話なので、そういう意味では独身の息子が親2人とかそういうようなことも起きてきて、あるとき、企業からも退職後になってくると、いわゆる会社の育児介護休業法の対象外になってしまう。そうすると、そういう企業のサポート、もちろん、介護保険制度はあるのだけれども、そういうのがない中で親の介護みたいなことが出てくるので、ちょっと介護の問題をどうするかなというのは少し考えてもいいかなというように伺っていて思いました。
 というようなことで、内藤委員、何かあればよろしくお願いします。5時に出られなければいけないということなので、よろしくお願いします。

○内藤委員 すみません。では、介護の問題もあるのですけれども、私からは1点申し上げたいと思います。
 今、10万円の子育ての給付金の件で話があると思うのですけれども、徳島市は昨日、明石市に次いで離婚家庭に給付するという旨を発表させていただきました。やはり10月とか11月に離婚された方にお金が行かないというのは、私は非常に問題だと思っていまして、プッシュ型の給付はもちろん理解できますし、迅速に給付するという意味ではそういう給付の仕方というのは必要だったと思うのですが、離婚した後にお話ができないような家庭はたくさんありますので、やはりそういった方にお金が届くように、そういう方こそ今回の給付が必要な方だと私は思いますし、特に非正規だったりとかいろいろな苦しんでいる方たちがそういうところにいるということを考えると、市独自とか市町村独自とかというよりかは国で議論していただきたいなというように思っています。
 先ほどの介護の話は結構自治体としても問題になっていまして、やはり介護によって辞めるというような方も増えてきています。特に女性で課長補佐とか、次に課長に上げようかなと思っているようなタイミングでちょっと介護が必要になってきたので辞めますみたいな話になってきているので、やはりそこをきちんと議論していかないと女性を先ほどの登用目標のお話ではないですけれども、引き上げようと思ってもそういう50代とかの人が辞めていくというような現象も特に公務員とかは結構給与水準も地方で言うとある程度高くて退職金も高い。その後の社会保障も結構手厚いので、そういう意味で辞めるという選択肢もあるということを考えやすいのかなというのが非常に自治体の長としても問題だと思っているので、そこをどういうように考えていくかというのは議論していきたいなと思っています。
 以上です。

○佐藤会長 女性の場合、男性も、女性だけというわけではないので、仕事と子育ての両立の問題だけではなくて親の介護の話ですね。介護の社会化と言ってきたのだけれども、まだまだ介護というと女性というのが結構強いのも事実なので、ここはそうならないようにしていかなければいけないので、やはり介護の社会化という原則にしながらどうするか。
 石黒委員、お願いいたします。

○石黒委員 皆さん議論なさっている論点は割と似ているのではないかというように思っていて、つまり、今回の調査で非常によく分かってきたことは、社会の仕組みというのが50年ぐらい前と大きく変わってきている。それに伴って女性に関する問題、論点も非常に変わってきているのだというように思います。寿命の話、それに伴う女性の経済力をつけなくてはいけないとか、今の介護の話。離婚が増加しています。シングルマザー、家族とか結婚の概念というものも変化してきているというように思います。ということの問題点を今、いろいろな調査を挙げていただいたわけなのですけれども、やはり人生の考え方でこれらの女性問題を語れないし、新たなフレームワークの中で新しい論点が出てきているのかなというのは共通認識だと思います。
 その中で、何をしていけばいいかということを個別には違うのですけれども、私はやはり子供を社会で育てるという概念が必要ではないかというように思います。社会で育てるというのはこれからどんどん本当は論議していって、どうやったらそれが達成できるのかということも話さなければいけないのですけれども、また、ある意味、社会というものの家族をサポートするシステムというのを持つということが大事だというように思います。
 その中では、例えば先進国との比較で、既に離婚率だったりとか資本主義と社会主義の中で大きく対応の仕方が違ってくるのですけれども、そういうものも例に取りながら今後、話を進めていくのが大事ではないかと思います。
 例えば少子化で女性に非常に労働負担がかかっていますよね。それは会社でもそうですし、育児でも男性が手伝ってくれてもそうです。そうしたら、では、ほかに何かサポートができる、もちろん保育所とか、それから、マミーの確保だとか。マミーの確保と言っていると少子化がありますから、マミーのなり手もないわけですから移民問題ですとか移民の人にそこを手伝ってもらうとか、アメリカなんかはそういう形で割と回っているわけですね。
 保育所の在り方というのも私、よく論議するのですけれども、シリコンバレーにおりまして私は保育所が外資系に勤めていて6時以降、保育所が空いていないということでほぼ自分の就業が不可能だというように思ってアメリカに行ってしまったのですが、実はシリコンバレー、6時以降にやる保育所はないのですね。なぜかというと、これはもう男性も女性も6時まで迎えに行く。6時に迎えに行って、そして、家で家族一緒に食事をしてという時間を持つというのは当たり前になって、これはある意味、社会が子供を育てているというようなことだというように思います。社会全体が子供を見ている。
 それから、本当に子供の教育にお金がかかるのですけれども、アメリカ、少なくともシリコンバレーで塾に通わせているところはほとんどないのです。宿題が比較的多くて。そうすると、大学受験の在り方というのも今の記憶式というものを継続していいのかとか。
 すごく細かい話なのですけれども、私、日本に帰ってきてアメリカンスクールの一つのところに行ったら、お弁当を作ってきてくれと言われて、とてもそれは無理ですと答えたことがあります。カフェテリアを造れないのか。学校で何か買えばいいのではないかとか。昔は専業主婦の方だったらいいとは言わないのですけれども、お弁当を作っている時代と違うと思うのですね。様々なことを変えていかなくてはいけないのでということで、私も全部羅列するわけにいかないのですけれども、やはり話合いの仕方を変えていかなくてはいけないという論点もあると思います。
 さらに、もう一つ、男性の活躍の場を家庭・地域社会に広げるということがあったのですけれども、私どもの会社でも民間の会社でも女性の従業員の人たちや取締役とか経営陣の方が比較的年配の方が多いので、そうすると、ほぼ専業主婦なのですね。そういう人たちに私たちの気持ちが分かりますかというようなことをよく言われます。そういう意味では、大臣とかに、また官僚の方々、こちらもやはりもう家族構成が比較的上の方が多いので今の専業主婦の方も働いてくださいとは言わないのですけれども、それぞれのやはり国のトップの方々がリーダーシップを取って、この男性の活躍の場を家庭や地域社会に広げるということの見本を示していただきたいなというように思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 では、佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員 まず1番目の女性の経済的な自立に関してですが、離婚率が増えて結婚が下がっているというデータがあったのですけれども、婚姻の形が今、どんどん変わってきていて、夫婦別姓が認められなくて事実婚というケースは研究者では非常に多かったりします。また、同性の方同士の結婚とかそういうのが多分統計に入っていないので、そういうものをきっちり取っていくようなシステムというのを考えていかないと全体のことを把握できないのではないかなというように思います。
 あと賃金格差なのですけれども、スライド、共有させていただきます。骨太のほうに女性人材育成のデジタル育成があったのですが、デジタル分野は賃金が高く、女性が入っていかないとどんどん男女の賃金格差が広がるということが言われています。これは11月25日のこの会議で経産省の方がお話ししてくださった資料なのですが、この中にジェンダーの視点が何も入っていないというところが問題だと思います。やはり骨太に入れただけではなく、実施しているところにしっかりジェンダー視点を入れもらう必要があります。
 今、私、経産省のデジタル関連部活支援の在り方に関する検討会というのに入っているのですけれども、ここはかなりしっかりジェンダーのことを考えていて、これは昨日の会議資料なのですが、ジェンダーという言葉がたくさんいろいろなところに散りばめられているので、ここで出てきた案とか支援とかを経産省で行っているデジタル関連のいろいろな支援の中に反映していただければというように思っています。
 あと女性のいろいろな尊厳、誇りを持って生きられる社会の実現なのですけれども、やはり女性特有のものとしてこれは変えられないものとして生理、妊娠、出産、更年期というものがあります。それをちゃんと理解して支援して制度をつくっていく、これが重要で、今回、生理の貧困とかフェムテックというのはこういうものに当たっていくと思います。でも、生理と妊娠とか男女差が見えやすいのですけれども、性差や女性ホルモンによってまだまだ可視化できていない問題があります。性差を考慮した研究、技術開発というのが第5次男女共同参画基本計画の中に目標が入っており、これを実際にどう進めるかというのも入れていっていただきたいと思います。
 あと先ほどお話にありましたけれども、育児、誰がするべきかという話なのですが、男性にも育児をしてもらうという流れだけだと、夫婦だけで解決しなさいというような問題になってしまうような感じがあって、それだけでは多分難しい。幾ら夫が育児に参加してくれたとしても育児は本当に大変なので、やはり社会のサポートが非常に必要です。これはそれぞれの国で就学前の子供の育児を主に誰がすべきかというものなのですけれども、日本はやはり家族というような答えが非常に多いですね。今度、子ども家庭庁と、家庭という名前がついてしまったというのは多分家庭で見なさいという意識が非常に強く働いているのかなというように思います。
 やはり海外になるとどんどん家族ではなくて公共とか民間ベビーシッターさんが増え、スウェーデンだと公共が最も多い。介護に関しては、日本でも育児よりは少し家族というものの割合が低くなっていて、ほかの国とそんなに測色がない感じがある。また、その費用は主に誰が支払うべきかというところでも日本は家族というのがが多い。介護の費用に関しては割と家族より政府が払うという回答が多いです。だから、介護と育児でちょっと意識が違うのかなという感じがします。
 あと、これは科学技術の話題ですけれども、ノーベル賞がいないという話があったのですが、アメリカのハワード・ヒューズ医学研究所では、正研究員という本当にトップ・オブ・トップの研究者300名が集められて非常に潤沢な研究費が支給されます。300名ぐらいいるうちの30名ぐらいがノーベル賞を受賞され、日本はまだ5名しか選ばれていません。現在、日本人の正研究員は4名しかいないのですけれども、ノーベル賞を取られた利根川進以外は全員女性になっています。エルゼビアのレポートでも日本は女性研究者の海外流出が多い珍しい国というように報告されていまして、正研究員の女性たちは皆さま、日本では女性は活躍できないといって海外に出たとコメントしており、やはり日本でもノーベル賞を目指せる人材を育てられるようにこの状況を早く変えなければいけません。人材はたくさんいると思います。
 ここで御提案なのですが、公共調達、女性に優しい企業を優遇するということが書かれていたのですけれども、これは法人化した大学や学会でも対象とできないかということを検討していただけないでしょうか。カナダでは男女公正のために行う連邦契約事業プログラムを企業だけではなくて連邦政府から20万ドル以上の研究資金を交付されている大学に当てはめるということをやっています。なので、日本でも企業だけではなくて大学とか学会全体に対象にしてもらうと変わると思います。
 あともう一つ、いつも気になっているのがジェンダーギャップ指数で、教育と健康のところ、高いというのですけれども、日本、教育で92位とかなのですよね。そこまで高くないと思って、どこが駄目かというと、中等と高等教育のところでギャップが生まれています。そのほかは1位なので高いのですが、92位はさすがに高いとは言えない。
 健康のところは、これは逆に男性のほうが早く亡くなってしまう。ここで下がっていっている。これはだから男性のほうがちょっと不利なので、そこをもう少し長寿に生きるようにしなくてはいけないという課題なのかなというように思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 あと徳倉委員、大崎委員、途中出られるので、もし言い残すことがあれば。また2回目の時間を取れないので、徳倉委員と大崎委員はもしあればで。
 では、あと井上さんに伺って休憩にしようかな。では、井上委員、お願いいたします。

○井上委員 ありがとうございます。
 もう既に各委員の皆様から発言が出ているものに関しては大きく賛同するという前提で発言をさせていただきます。
 まず今回、岸田総理から4つの柱立てが示されているわけですが、そこに入っていなかったのは徳倉委員からもありました選択的夫婦別姓の課題だというように思っています。連合も会長が女性になりました。それから、地方連合会も会長や事務局長が女性になって、関連団体の役員になっているケースがとても多くあります。一般社団法人の役員になって、議事録を作成するときに新旧の併記か、新姓しか書けないというか、それしか使えない。要は通称だけでは駄目だということが分かりまして、これはもう一般社団法人の定款がそういうようになっているので、通称だけでは認められないというのがつい先日分かったというのがあったのですね。
 これは今まで男性がずっと役員をやっていたので分からなかったことなのですけれども、やはり女性がそういう役員に就くことで、そういうことが改めて分かってきたというのもありましたので、その意味では、本当に通称使用だけでは不十分なことというのが私たちの身の回りであるということが分かりました。
 通称使用の限界は先日、参議院の予算委員会で林局長も答弁されていましたけれども、まさにこの課題は女性の経済的な自立、お金ではなくて、ある意味、人権、それから、議事録に自分の名前が載らないということ自体がやはりおかしいというのはあると思いますので、そこの是正というのはやはり必要だというように思います。
 それから、経済的な自立に男女間の賃金格差の解消が入ったことに関しては、私はとてもよかったと思うのですけれども、その構造的な対応を具体的にどうするのだというところがあるかというように思います。これは大崎委員からもありましたけれども、女性活躍推進法で状況把握項目の選択項目に男女の賃金の差異がありますが、あくまでも選択項目なので、やはり企業はやらないわけですよね。
 実は先日、大学の授業で女性活躍推進データベースについて、自分の行きたい企業のデータベースを見て、それで女性の活躍や賃金格差のことだとか調べてみてくださいとやったのですけれども、やはり賃金格差を公表しているところというのはほとんどないのですよね。なので、その意味でもデータベースで公表はされているけれども、全ての項目に記載されていないという不備なども学生が指摘していますから、最低限ここだけはとか、あるいはきちんと全部やるとか、そのぐらいにやらないとこれは進まないのではないかというように思います。
 それから、2番目の女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現で、女性の健康上の課題ということで、この間の会議で生理の貧困の話もしましたが、佐々木委員からもありましたけれども、更年期障害の件もこれから大事なテーマになってくるのではないかと思います。特に定年が延長になっているということもありますから、そうすると、40代、50代、特に更年期を抱えていて、しかも、その年代は管理職になっていたりする。組合でも組合員のいろいろな不満や相談は聞くのですけれども、管理職はどちらかというと除かれてしまうケースなんかもあるのですよね。
 そうすると、更年期で悩んでいるのだけれども、なかなか人に言えないとか、そういうこともありますし、それから、イギリスでは企業が女性の環境整備のために更年期休暇の導入をしているということも聞いたことがあります。メノポーズレボリューションということで、更年期障害に対して新しい取組をしているというのも聞きますので、その意味では、まさに女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現に新しく加えるべきテーマではないかというように思っています。
 とりあえず以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 そうしたら、治部さん、挙げられているけれども、ちょっと休憩の後にさせていただいて、一応5分休憩で5時5分ということでいつものとおり、背伸びなどしていただいて5分休憩します。

(休憩)

○佐藤会長 それでは、治部委員、お願いいたします。

○治部委員 ありがとうございます。
 私、この会議で皆さんがおっしゃること、全部賛成だと思っています。これは、でも、すごく思うのですけれども、同じことを繰り返し繰り返し議論しているわけです。林局長におかれましては、本当に何度も同じことをデータを出してお話しいただき、誠にお疲れさまですなのですけれども、もっとざっくり言ってしまうと日本はこのままでは持続可能ではないと。もう少子高齢化で人口減少で社会保障支出が増大している中で、子供は家庭でお母さんが育ててほしいということは個人がそういうように思うのは勝手ですけれども、そういうものを維持することはできないと。
 あと大崎委員のおっしゃったように女性が働きやすいだけではもう駄目で、男女で公的領域と私的領域をどうやってシェアしていくかということを男女平等の観点からやらなければいけない。
 それから、林局長の最初のお話であったように、やはり寿命が延びていてライフスタイルが大きく変わっているという、そういうマクロな変化に対応できるかどうか。それが要するに日本がこのままサバイバルできるかどうかというかなり深刻な状況に直面していると思うのです。多分ここの委員にいる皆さんはそのことを共有していると思うのですけれども、やはり私がずっと気になることは、何をしなければいけないかということが明らかであるにもかかわらず、なかなか現実を動かすのが難しいということです。
 なので、議事録にも残していただきたいのであえて言うと、多分皆さん聞いたことがあると思うのですけれども、変えるべきものを変える勇気と変えられないものを受け入れる冷静さと両者を識別する知恵を与えたまえという、これはアメリカの神学者のニーバーという人が言ったことらしくて、いろいろなところで言われるのですけれども、例えば変えるべきものを変える勇気。もう伝統的な家族というものは維持できないので子供は社会でも育てていけるようにしましょう、男女ともに仕事も家庭も参加できるようにしましょうとか、変えられないものというのは、これはまさに人口減少ですよね。何をどう逆立ちしても、私、団塊ジュニアですけれども、私47歳なのですが、なので、人口はもう増えないと。
 あるところまでは下がるという、これは変えられないものを受け入れた上で、では、徳倉委員がおっしゃったように地方における女性の経済的なエンパワーメントをどうしていくかという冷静さと、そして、両者を識別する知恵がいる。この知恵を持っている人たちが恐らく今日、会議に参加し、傍聴もなさっていただいていると思うのですけれども、残念ながらその多分識別できない人たちがいて、その考えにまだ引っ張られて変えるべきことを変えられてないということがずっと私は気になっています。
 それに対して、やはり政治というのはある程度引っ張られてしまうのですけれども、そんなことをしていると我々の子供にとってすごく不幸な社会になってしまうということを懸念します。私、小学生の娘がいるのですけれども、4年生なのですが、少し前に先生が結婚したと。女性の先生だったので、これからこの先生はこういう名字に変わりますというようにアナウンスをされたそうです。そうしたら、小学生は、えっ、何でという反応であったと。女の人が変えるらしいよということなのですけれども、今の小学生は少なくともそういうような、えっ、何でという感覚を持っているのが10歳ぐらいの人たちです。
 私、今、理工系の大学の文系教養でジェンダーとかも教えているのですけれども、ついこの間、二十歳ぐらいの大学生に、恋愛にまつわるジェンダーバイアスみたいな話をしました。そうしたら、もう男子たちも家庭科を習っている世代なので、私も家事はやりますとか、あと女子もそれなりに勉強できるので、男性におごられると何か自分は支払い能力がないみたいに思われてばかにされた気がしますとかということを結構言ってくれます。そういう意見を聞くと男子、そうなのだと、私はお金を払う役割ではなくてやはり一緒に生きていく。だから、家事もやろうと思いますという意見が出てくる。これが10歳とか20歳の人たちの考えですし、我々が考えなければいけないのはこの人たちにとってよき社会をつくるということだと思うのですよね。
 だから、やはりいいかげんに変えなくてはいけないものにある種の郷愁を抱いている人たちの価値観にお付き合いするのはやめないとこのままでは日本が滅びてしまうということを改めて皆さんの話を聞いていて思いました。
 林局長が何度もおっしゃっているとおり、諸外国の女の子が持っているけれども、日本の女の子は持っていないものを何とか導入したい。これはまさにやはり次世代のためによい社会にしたいということで私も本当に100%同意するものなので、どうしたらできるか、どうしたら変えていけるのかというところの議論であるとか、例えば経済的な格差の問題にしてもどのような制度が入れば実態あるものになるかという議論がぜひ今後できたらなというように思います。
 以上です。

○佐藤会長 後で林局長、この専門調査会をどう進めていくかもあるのだけれども、いろいろ御意見を出していただいて、ある程度、今回のに盛り込めるかどうかは別として少しまとめていただいてもいいかなという気はしますので、それはちょっと後で。
 白波瀬委員、お願いいたします。

○白波瀬委員 お願いします。
 本当にこの会議に出ると先生方からの意見やコメントを伺ってとても勇気づけられるとともに、焦りを感じていることも正直なところです。具体的に変えるにはどうするのかという点について向き合う必要があると思います。毎回同じようなことを申し上げているのですが、具体的に変えていくことで結果が出ないことには立ち行かないと思いますし、もう真剣に考えたほうがいいかなというように思います。
 様々な制度の前提を変えるということはかなり大変です。しかしながら、前提を変えていかないと動かないということになると、いかに圧力を変えるべきかついて議論しなければなりません。そのようなことができるリーダーがまさに求められております。子ども庁の名前に関連したやり取りについても、詳しい中身はわかりませんが、少し後戻り感は否めません。前に向かって変わることを第一義とした議論展開が重要と思います。
 子供のことに関連すると、対策の優先順位が高い一つだと思います。離婚に伴って養育費の不払いの問題があって、実際の離婚についてはDV等でなかなか対面にならないという現実もあるのですけれども、半分程度は支払われているもののあとの半分はなかなか状況が難しい現実があります。一方、不払いの問題解決をずっと待っているわけにいかないですし、子供は日進月歩で大きくなっていきます。そこで、立替払いの基金を政府のほうで設立していただくのがよいのではないかと思います。子供を育てるにあたっての親としての養育義務は果たしていただく。ただ、速やかな対応を第一義にするためにも、養育費を基金から支払っていただく。このような仕組みによって、離婚成立後、速やかに養育費支払いを開始してもらう、といった仕組みをかなり早い段階でつくっていただきたい。  誰が子供を育てるのかということですけれども、皆さんおっしゃっているように、親だけでなく社会が育てる、という考え方を制度に反映していく。子の育成にあたり家庭が中心的な役割を担う状況に大きな変化はありません。ただ、いろいろな家庭の形があって、特定の前提をもとに想定された家族のかたちだけでは不十分です。
 具体的に変えるときの優先というのがどういうようにこういうときに盛り込めるのかという点に着目すると、変わっている、変わっていると言っても、その中身や意味についてはなかなか難しいことが少なくありません。いま8割は今までどおりの形を踏襲していて親が二人いる。だけれども、あとの2割のところが、22%から23%、24%、25%になっていくという状況なのですが、親二人の家庭以外の少数派のところの変わっているというところを、制度として配慮していくことになります。そこでは、結構やはりデザインをするときに英断が必要だと思うのですよね。
 子供の貧困についても、ずっと言っていたことなのですけれども、貧困率が16%だったら84%の子供についてはどうするかという議論も同時進行でしながら、16%貧困率、子供の貧困をどうしていくかという議論が求められます。つまり、子供の貧困だけに集中するのか、ここでもデザインの仕方だと思うので、この辺りはちょっと真剣に設計したほうがいいのではないかなというように思います。
 最後、1点。人口のこともあったので、人口高齢化、まさに女性化であります。これは人口ピラミッドを見ていただけるとよく分かると思いますけれども、60歳以上、特に75歳以上のところが女性のほうに偏っていますよね。今回、女性の管理職という話も出てきたのですけれども、かつて親の介護が必要になったとしても男性管理職の方にはお連れ合いが対応されていた。でも、今度は夫も妻もともに管理職の場合、親の介護に取り組む場合、緊急の現実問題として対応が急がれるところだと思います。
 以上です。

○佐藤会長 これまでの考えと少し理解してもらうのに意外に介護の問題のほうが自分のことと考えやすい面は確かにある。そういう意味では、戦略的にも介護を打ち出すというのは悪くはないと思いますね。大事なのですね。介護は理解してもらいやすい面もある。
 では、手を挙げられている窪田委員、お願いいたします。

○窪田委員 一つは、もう単なる情報提供ということになるのですが、複数の方から養育費の不払いについてのお話が出ておりましたので少し情報を提供させていただきたいと思います。
 法務省のほうでは、今年の1月から法制審議会の家族法制部会というのが立ち上がって現在も検討が続いております。その主たる検討内容の一つとして離婚後の子の養育の在り方というのが対象になっていて、まさしく養育費をめぐる問題があると思います。比較的メディアで出てくるときは養育費の不払いというキーワードで言われるのですけれども、実は多分もっと問題なのは、養育費の合意がそもそもないとか、だから、養育費の約束があるのに不払いがという話ではなくて、そもそも約束なんかしてないとか、その根拠は何なのとか、あるいは約束はしていても非常に少ない金額であるとか、そうした点も含めて検討が進んでおります。ただ、かなりたくさんの内容を扱っているのですぐに答えが出るものではないのだろうと思いますが、一応情報提供です。
 ただ、それは法務省の管轄だからこちらを扱ってはいけないという、そういう趣旨では全くなくて、こちらのほうではこういう問題を意識した上でこういう方向を出すべきだということを積極的に訴えていくというのは望ましいと思いますし、それは縦割りの管轄の話ではないのですが、ただ、法務省のほうでそういう作業が進んでいるということはお伝えしておいたほうがいいかなと思いました。
 それから、今回の検討課題のほうなのですが、皆さんから個別具体的なお話が出ていて、いずれもなるほどと思って伺っていたのですが、実は私自身は、この資料を最初に拝見したときに一番違和感を抱いたのは、4つの柱の見出しだったのです。「女性の経済的な自立」が柱だというのですけれども、女性の経済的な自立を支える社会基盤をつくることが多分重要なのであって、おまえ、自立しろよとかそういう話では多分ないのだろうと思います。もちろん、そういう趣旨ではないのだろうと思うのです。
 それから、「女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現」、これは多分4つの柱ではなくてその上に来る柱なのではないかと思うのですが、何を言っているかよく分からないなと。中を見ると女性のやはり体であるとか健康であるとかを守るという話があって、まさしく暴力に対するものだとかということになるのですが、やはりそのニュアンスがはっきり出てないのではないかなというのが正直な感想として思いました。
 それから、3番目の「男性の家庭・地域社会における活躍」というのも、これは何か恐らく活躍というよりは責務のニュアンスを含んでいるものなのではないのかなという、まさしく女性の経済的な自立を支える社会的基盤の一つに男性の側でも社会的な責任とかそういったものをお互いに分かち合って負担していくのだという、そのニュアンスがあるのだとすると、実はⅠ、Ⅱ、Ⅲというのはもちろんトップレベルでの話で出てきたことなのかもしれませんが、ここでの柱として出すときにはもう少し明確でもいいのかなという感じがいたしました。
 それは今、そういうことを申し上げたのは2つ理由があるのですが、一つは私自身がこれをぱっと見てニュアンスがよく分からなかったというのが一つで、そうしたニュアンスの違いは避けたほうがいいだろうということと、もう一つは、やはり4つの柱なのだということ。4つ目はもう触れませんでしたが、4つの柱なのだということを最初にうたうときに明確に相手にメッセージが伝わるようなものである必要があるのではないかなという感じがいたしました。
 その点では、できるだけ抽象的で当たり障りのない言葉のほうがいいのかもしれませんが、恐らく柱というのはややコンフリクトを起こしても相手にこういうことを伝えたいのだというメッセージが明確になるもののほうがいいのかなというように思いました。
 ちょっとだけ付け加えますと、私、最初にこのⅠ、Ⅱ、Ⅲの柱、特にⅠ、Ⅱを見たときに選択的夫婦別姓の話はどこに入るのだろうなと思いまして、選択的夫婦別姓に係る経済の話だったら確かにⅠに入るのですが、人格的な側面というのもあって、そして、Ⅱというのが非常に漠然として書いていますので、そうするとⅡなのかなと。でも、中身を見るとどちらにも書いてなかったということで、そうした意味でも中身に入らなくて申し訳ないのですが、もしそういうようにこちらのほうでもまるっきり変えることはできないかもしれませんが、そうした文言について検討できる余地があるのであれば、ぜひ御検討いただけたらありがたいなと思いました。
 以上です。

○佐藤会長 どうも。あと大崎委員、25分に出なければいけないということで、すみません、山田委員の前によろしくお願いします。

○大崎委員 すみません、最後に一言だけ言わせていただいて退室いたします。
 先ほど公共調達のこと、ちょっと具体的なお願い、今後、この委員会で専門調査会として議論を進めていく上での一つの材料として公共調達の加点、優遇のベースになっているえるぼしという認証制度。これは国がお墨つきを与えているわけですよね。女性活躍を推進している企業ですと。実際に本当にそうなのかというのをちゃんと検証していただきたいと思うのです。
 つまり、5次計で掲げている民間企業の登用目標というものに対してどれだけ国が認証を与えた企業がそこに近づいているのか、成果を出しているのかというのを数年間のスパンでちゃんと見ていただいて、実際に効果を出しているのかどうか。これは民間企業が自分たちでやる枠組みは別にいいのですけれども、やはり公共調達の優遇措置ということなので、しかも、えるぼしという認証というのは国がお墨つきを与えるということですので、その企業が本当にちゃんと取り組んで結果を出しているのかどうかということを検証していただかないと加点項目の見直しとかできないと思うのです。
 そこで出てきた様々ないろいろな問題というのが多分女性活躍推進法というものをさらにアップグレードしていくにはどうすればいいかということの議論のベースにもなると思いますので、ぜひそれをやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 では、退室します。皆様、よいお年を。

○佐藤会長 では、山田委員、お願いします。

○山田委員 山田でございます。
 遅れて来て途中まで議論をお伺いしてなかったのでピント外れなことをお話しするかもしれませんが、このデータ等をいただいて、私、実務家なので様々な場面で感じることはたくさんありました。総論的な印象としては先ほど治部さんがおっしゃっていた本当にここに来ておられる方のおっしゃっていることは全部なるほどで、この情報共有はすばらしいのだけれども、それが現実とあまりにもかけ離れているので、いつこれが履行されるのかということについて絶望的な気分、つまり、持続可能はどうやったらいいのか、できてしまうのではないか、できないのではないかという恐怖感というのはとても強くあります。
 それから、この4つの構造については先ほど窪田委員がおっしゃっていたようにやはりⅡが根底にあって、それに乗っかって女性の経済的な自立やそのインフラを整備するというのが来るだろう。そして、Ⅲ、Ⅳというように来るのだろうというのが私も最初に受けた印象です。
 まず、やはり90歳まで生きる方がもう半数以上という中で、このコロナ禍も相まって弱いところに様々な問題が発生しているというのは実務家としては強く感じるのですね。例えば結婚ということの仕組みが昭和と今度令和で大きく変わっている。10分の1しか離婚しなかったのが3分の1、離婚するような時代になって、しかも、結婚件数のうちのかなりの割合は再婚であるということになると、そもそも婚姻法というか結婚の在り方というのを根本的にフランスなども参考にしながら考え直していかないと、実務のレベルというと全く追いつかないです。
 そして、DVの問題とか先ほど出ている養育費の問題とか、それから、自殺者に女性が多く出ているとか、全部これは負の連鎖反応でつながっているのですね。例えば30代の離婚の女性がかなり割合的には多いということになると、その後、かなり長い期間、子育てをしなければいけないという母子家庭、シングルマザーの貧困の問題というのはかなり深刻なのですが、それが原因としてDVの問題あるいは一番悲劇的な形では自殺というようなところにつながっていくというのを私、現実にも見ておりますし、それを支える社会構造は、実はあるようでとても乏しいのですね。
 例えばDVについて我々も応援しますけれども、まだまだ現実のDVを受けている人は自分で抱え込んでしまって法律事務所に来るのもちゅうちょしたり、自分が悪いから直さなければいけないのだという一種のメンタルダウンしてしまっている状況のまま耐えているという方もかなりいるのです。しかも、そこにコロナが加わって、最後、自殺というような手段を取ってしまうという非常に悲しい事例というのがいまだにかなりあります。ですから、弱いところにやはりコロナがきっかけで今まで潜在化した問題が顕在化したというところがあります。
 例えば先ほど出ていた養育費の問題もお話のとおり現実にはかなりの割合の人が途中で養育費を払いません。それを我々、追いかけていくことはできるのです。差押えするとか裁判をするとかできるのですが、実はそういう差押えをする対象の財産とかきちっと仕事を持ってないという方がかなり相手の男性に多いという場合があって、これはやはり社会的な公助のレベルで助けていかないと絶対に救われないので、国が考えていくべきことだろうと思います。
 なかなかスピード感を持ってやれないことに対して非常にじくじたる思いを持っているのですが、今日の日経で赤松さんが均等法成立に向けてなかなか進まないのだけれども、最後、中曽根さんが物事はぴょんぴょんカンガルーみたいに跳ねて決まっていくことはないのだと、牛のようにのろのろ進んでいくのだよということを言って、しようがないなと思いながら一生懸命やられたという記述がありましたが、恐らくこの問題も同じで、やはり最後に決めるのは政治なのですね。
 我々は政治家の悪口を言いますけれども、最後に決めるのは政治で、その政治のレベルが高いレベルに達しないと必ずこういった問題というのは、典型的に言えば選択的夫婦別姓の問題、私、昨日もある役員会で女性の役員の方から何で自民党はこれを選択的夫婦別姓について積極的に認めようとしないのか、何かすごく裏があるのかという質問をされたのですが、どこから見てもマイナスがないのに何でこれを認めないのか誰も理解できないですね。何かもっと利権が絡んでいるのですかとかという質問を受けたのですが、利権なんか何もないのですよ。多分絆とかこだわりとか長くある日本の伝統的な価値観、それを説得できますか、今。それを私、リベラルとか保守とかという問題ではないと思うのですね。
 ここが変わっていくような社会構造というか政治家の意識の改革がないと、こういった我々がせっかくいいことを発出してもなかなか変えていく勇気が政治家にないと変わっていきません。そこはもう林局長にぜひ強く強く劇薬でもいいから強いメッセージを出していただくということが、やはり大きく何か物事を変えるときは徐々にやっていくことは大事なのですけれども、我々がクオータ制をやりましょう、今度、パリテとやろうとするのですが、とんでもないと言われるようなことをやって、ちょっと進むぐらいのが多分現実だろうと思うのです。
 やはり意識の高い人はいらいらするこういう現実があるけれども、せっかく流れとしては少しずつ少しずつよくなっているというところもあるので、ぜひそこは政治家の人に強いアピールをしていただきたいなというように思っています。
 まだほかにも申し上げたいことはありますけれども、また思い出したらお話しします。

○佐藤会長 石黒委員、先ほど挙げていたけれども、いいですか。先ほど挙げていたみたいだった。もしあればお願いします。

○石黒委員 今までの議論の中に全く出ていなくて、補助的な目線ではあるのですけれども、やはり一言入れていただきたいなと思うのは、女性のいわゆる助けるという意味でもデジタル化とかITの必要性なのですね。なぜかこういうことを申し上げるか。先ほどのいろいろな少子化があるからでも何は確保しなくてはいけない、移民をもっと入れなくてはいけないみたいな議論に発展していくと、必ずしも女性を助けるのが男性だとか、もちろん、ロボット化して家事が簡単になりますし、うちの女性陣に聞いてもデジタル庁もできるのですから、わざわざ保育所に行って、紙で戸籍届を出して養育費何とか出してやりくり、もう5、6時間かかりました、もういいかげんしてくださいと、ファイル一つでできるわけですよね。
 なぜこういうことを申し上げるかというと、林局長と以前、選択する未来というところで御一緒して非常にいい委員会だったのですけれども、私、今さらながらちょっと後悔しているのは、あそこで全くデジタルの話を私はしなかったのですね。あれは少子化がまず悪いという前提で委員会は発足していると思います。少子化がなぜ悪いかという根本的な理由というのは、今までの国の経済学というのは人口動態に非常に左右されている。要するに人口が多くなるところは基本的には発展しているのだという統計学的な根拠があったからなのですけれども、実はあれはやはり大量生産大量消費の時代には人口動態は非常に経済に影響したのですが、大量の人が働かなくても生産性が高まればいいわけですね。というところの実は議論が全く自分の中で欠落していたなというように思っていて、そこの男女という議論の中にも生産性の問題とかITとかデジタル化というような、やはりこれからの社会を助けますという文脈を一言入れていただきたいなというように思っています。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 佐々木委員、何か挙げているかな。

○佐々木委員 提案なのですけれども、やはりここの会議に出ていると本当にそういう話題が多く、何か進むのかなという感じもしなくもない。しかし、本当に研究ど真ん中とかというところの会議だと全くすとんと抜ける感じがあるのですね。研究だけではないと思うのですけれども。だから、全ての委員会に女性を入れるということはしていると思うのですが、やはりそういうちゃんと意見とか知識を持ったジェンダーの専門家の方が常にいろいろな委員会に入り、そういう方が発言していって、かつその人に少し権限を与えるというか、必ずそういうものを全ての委員会、立ち上がっている委員会の中ではその中の視点を必ず入れなければいけないという何か縛りをつけないと変わらないのではないかと思います。ジェンダーの観点は全ての会議の内容に関わっていると思うのですね。だから、全部を変えるためには全部の委員会にそういう意見を入れていかないと変わっていかないのかなと思います。
 以上です。

○佐藤会長 治部さんとほかの方も言われたのだけれども、ここでは少し先を見て、先というかかなりそれを見てそちらもどうするという議論をしているのだが、ただ、やや専門調査会、今の専門調査会の出口で言うと、先ほど資料2で言うと3枚目のスライドにあると思うのですが、一応この専門調査会としては4月の末に議論をまとめたものを出して、これは最終的には一番最初のお話があったと思いますが、来年6月頃、重点方針を政府が決定するので、これはどういうことかというと、来年度の概算要求に反映する。そういう意味では、そこはすごく先を見ながら、ただ、概算要求に反映するようなものということになるのね。
 そういう意味では、もちろん当面先を見ながら重点的にやっていくものを概算要求に持ってもらうということなので、そういう意味ではそこに全部盛り込められるわけではないので。その辺、だから、基本的には来年度の概算要求に、盛り込むものにまとめていくということ。ただ、もちろん、その前にこういうことは大事ですよというのは書き得るのだけれども、一応取り上げてもらうのは、反映してほしいところは概算要求に盛り込むものを入れる。
 もう一つは、全体、大きな枠組みとしては5次計画があるわけね。5次計画を回していく中で来年度の概算要求にどういうもの。ただ、もちろん、状況は変わっていくので、コロナなんかもそうですけれども、5次計画にないものでも状況が変われば入れたほうがいいのではないですかということはあり得る。大きな5次計画もあり、それで来年度、それに載せるというようなことがあるということなので、そういう意味では、議論はまとめていきたいと思いますけれども、最終的にはそういうようになっていくので、その辺、御了解いただければと思います。ただ、だから、そういう意味では、ちょっと議論をまとめていただいて、どこかで少し整理していただいて、大事な論点を次につなげていくような形にできればいいかなと思います。
 ほかには言い残したこととか、これはまだ続きますけれども、今年は最後になるので。ただ、他方で、議論はなくても次回やらなければいけないということではなくて、言いたい議論を出していただいて、早く終われば早くということですが、いかがでしょうか。
 山田委員、何かありますか。言いたそうな感じ。どうぞ。

○山田委員 先ほど言い忘れたことの一つで、男性がやはり活躍しない世の中、いくら女性が頑張ろうと思っても、今まで男性が下駄を履かされてこの社会をつくってきたというある意味ゆがんだ構造がある中で、男性はちょっと元気がないのですね。50歳の男性が23%結婚してない。別に結婚する、しないは自由ですけれども、私が見ている感じだと、やはりこういう問題に対して向き合うのではなくて、どちらかというとシュリンクしたり逃げたりかわそうとする男性がものすごく増えている。
 時々そういうアグレッシブな猛獣みたいな人が新聞に出てしまったりするようなケースというのは、あれはもう昭和の残債みたいなもので、多くの平成、令和の若い人たち、40代以下ぐらいの男性で、自然体で女性といろいろなことをシェアする人は増えているのですけれども、まさに結婚問題なんかもそうなのですが、女性が怖いとか女性と一緒に相対して何かすることが非常に昔、草食系なんて言葉がありましたが、そういう言葉ではなくて、本当にセクシャリティーとかということ関係なく背を向け合ってしまおうとするような流れというのもちょっとかいま見るのですね。
 でも、こういう人たちも頑張って世の中が支えていかないと、女性だけ頑張れ頑張れみたいなことを言っても絶対世の中は健全に普通の状態になっていかないと思う。私はやはり女性が活躍するということは特別なことをしているのではなくて普通の形にしたいと思うからやっているので、そのためには男性がもう少し頑張ってくれないと困るぞという領域が間違いなくある。そこのサポートをするのはこの会の趣旨ではないと思うのですけれども、それもやはりちょっと付言しておかなくてはいけないなというように思っています。すみません。

○佐藤会長 基本的には男性の場合は結婚していれば、広い意味で家族なり地域への参画をもっと増やしていくということね。女性は仕事へだよね。恐らくそれをやれればバランスを取れるので、両方しておかないとですね。
 白波瀬委員、どうぞ。

○白波瀬委員 今の話なのですけれども、まさしくこれはジェンダーだと思うのですよね。逆の意味の多数派の中でそのモデルに沿わなかった場合のバッシングが結構二重三重に来ているのだと思うのですよ。
 よく授業でも話すのですが、ジェンダー問題は、お母さんが男の子に向かって、男の子でしょう、何してはいけないわよと、といった言動にもよく表れています。これは残酷だなと思ったのですよ。これはアメリカなんかでもこの議論はあって、女性の格差優遇ということで女性、女性と言うのだけれども、逆差別の側面がある。両面がいつもカップリングされているわけで、今でもあるのですよ。そういう意味では、果てしなき闘いの道だと思うのですけれども、そのジェンダーが女性だけを特別扱いして、いい目を見るのは女ねという構造にはしないようなメッセージのやり方というのはありますが、でも、やはり平均値的にこれだけアンバランスなのはまずいぞということです。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 ほかに何か。林局長、お願いします。

○林男女共同参画局長 先生方、たくさん御意見いただきまして、ありがとうございます。
 いくつか私どももふだん業務をやる中で感じていることをちょっと申したいと思います。
 まず、大崎さんから非正規の単身の方の問題の御提起がありました。私どもも非正規で未婚でいらっしゃる人はそもそもどれくらいいるのかというのを調べてみたら、25歳から64歳で171万人いらっしゃいまして、女性の雇用者数全体の8.1%です。かなりのボリューム感です。
 かつては、昭和の枠組みの世界では、「非正規雇用の女性は基本的に夫の家計の補助なので、もし何か大きなショック、コロナのようなショックが起きても基本は賃金が低くても大丈夫なのである」といった、そういう昭和の思い込みの下にできていたいろいろな労働市場の構造などがあったと思うのですけれども、もう今や未婚で非正規という人が女性の雇用者数の8.1%もいる。それで今回コロナでこの方々、生活的に困窮に陥られた方が数多くいるということ、これはやはり私は看過できないと思っております。ぜひしっかり取り上げて勉強していきたいと思っています。
 それから、先生方から介護のお話がありました。私もお話を伺って本当に大事だと思います。特に女性のほうが要介護になる割合が高いので、その点からも言ってみればおばあちゃんばかりになる社会に日本はなりつつあるので、介護の問題というのは非常に大きいお話だと思って伺っておりました。ありがとうございます。
 それから、賃金の男女の格差の問題、さらに今、分析を私どもは進めておりますので、ぜひさらに御議論いただいて構造的対応、どうしたらいいのか、お知恵をいろいろ授けていただければというように思います。
 また、政府をはじめいろいろな委員会など、あるいは審議会などでジェンダー、女性がもっと入ってジェンダーの視点から議論すべきというお話、ありました。政府に関しては現在、政府の審議会は全て女性割合を40%以上60%以下にするというルールになっていまして、ほぼ全ての審議会がこれを達成しつつあります。ただ、専門性が非常に高いところで完璧になっていないので、ここは課題と思います。
 また、シンポジウムなど様々な行事の登壇者について、政府が主催したり後援したりする場合は男性ばかりとか女性ばかりというのは認めないというルールを各府省の局長に働きかけて、これは徹底しました。この10月で全ての省庁でそういうルールになりました。私は、これはすごく大事なことと思っています。やはり専門性の高いシンポジウムとか何かだと、「いやいや、的確な女性の登壇者はいないのです」みたいな話、よくあるのですけれども、「いやいや、それは探してみてくださいよ」と思います。探したら多分お若いかもしれないが、あるいは今、ポジション的にはちょっと低くてらっしゃるかもしれないが実はいるのではないかということで、探す努力をしないのは許さないということで、全てのシンポジウム、政府が後援したり主催するときには必ず女性は入っているということにしたところです。  これを今度、私は地方に広げたいと思っていまして、地方自治体も様々な行事をやっていますけれども、こういったところでもやってもらえるように今、地方に働きかけようと思っているところであります。
 あと石黒先生からお話があったデジタル、IT、本当そうだと思いまして、生産性のお話は私もエコノミストなので強く賛同いたします。デジタルについては、またどこかの機会で私どもの取組、さらにしっかり強化していきたいと思うので、お話ができればというように思っているところです。ありがとうございました。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 いかがでしょうか。言い残したことがあればですが、今の局長のことについても。

○林男女共同参画局長 では、もう一つ言い残したのですけれども、いいですか。

○佐藤会長 どうぞ。

○林男女共同参画局長 すみません。あと実はいろいろ企業の方や国会議員など様々な方とお話ししていて感じますのは、多様性がイノベーションにつながって、それが生産性の向上につながる、経済成長につながるのだという、このルートについて必ずしも腹落ちしてないという感じは受けています。
 もちろん、様々な分析をするとそういうことが言えて、例えば世界的に見ると収益率の高い企業は比較的ダイバーシティーが進んでいるとか、そういった因果関係も含めてそういった分析はあるのですけれども、ただ、どういうメカニズムなのかというのが必ずしも腹落ちしてないように思いまして、私自身が思いますのは、やはり女性の数が単に増えても、その女性がみんなわきまえている女性だったり、忖度する発言ばかりしている女性では何も起こらないと思います。やはりちゃんとそもそも多様な人がボードなり何なり意思決定の場にいて、そもそも何でこういうことをやるのかとか、そもそも何でこうなのかというそもそも論をきちっと議論したり質問したりして、それで違う物質同士が組み合わさって化学反応が起きて新しい物質ができる、それがイノベーションなのだと思います。
 国際会議に行くと、やはりそもそもこうではないかという議論をすると、今の発言は議論にすごくコントリビューションした新しいインサイトをもたらすいい発言だったねというように評価してもらえて、そこでまた新しい議論が生まれ、イノベーションが生じるということを国際会議ではよく見るのですけれども、日本の多くの組織で忖度している女性あるいは女性だから入れてやったみたいな感じで単に黙っている、わきまえているということではいくら女性の数が増えても何のイノベーションも起きないと思っています。そういう意味では、いろいろな企業や政府もそうかもしれません。いろいろな組織のカルチャーを変えていくということも大事なのかなと思ったりしておりますが、ぜひ有識者の先生方のお考えをお聞きできればと思います。

○佐藤会長 女性も含めて多様な人材が活躍、ダイバーシティーマネジメントをやると経営にプラスかというのは、実はマイナスという研究もあるのだよね。実はマネジメントをどうするかが局長の言われたようにすごく大事で、だから、結構ここは難しいのだけれども、ただ、間違いないのは、損するということなのだよね。そうしないと損するのは間違いないです。マイナスになるということは間違いない。ただ、プラスになるかどうかはマネジメント次第というのが結構多くて、多様な人材を受け入れてプラスになるかどうかは先ほど局長言ったようにマネジメントがすごく効くので。ただ、そういうようにやらないとマイナスになってしまうというのは間違いない。だから、ここをどう説明するかなのだ。いいや、あまり言うとあれなので。白波瀬委員。

○白波瀬委員 すみません、マイナスになる、でも、それはコストを払わないと人づくりでございますので。

○佐藤会長 いや、マイナスになるというのは、そうしないとマイナスになる。

○白波瀬委員 そういうことだと思う。
 1点だけ、いつも局長の話の話を聞くと元気が出てすごいありがたいのですけれども、ちょっとコロナのせっかくのフォローアップのところで確認なのですけれども、やはり今日出していただいてすごく女性のほうの就業者が8月以降、かなり減っています。特に正規のところも今までは医療のところでぐっと上がっていたので、平均値でそこにぐっと上がっていたのですけれども、コロナ禍がどんどんもう長期化しているという段階でなかなか対応しきれない状況があります。
 もともと体力がないところ、女性が中心ということですが、弱ってきてしまって、そこでかなりがたがたと悪い状況になってきている感じが8月以降見えてきています。非正規のところはそれこそ介護のところは、もうこれ以上長期化になったら非正規のほうに行きますという人たちもいるので、そこの辺りはミクロデータというか個票データで細かく見ていかないと実態が分かりません。ただ、このコロナの長期化については、まさしくより悪化している状況が弱いところにどんどん出ていくということがあるので、このような状況についていろいろなところで強調したほうがいいなということです。
 以上です。

○佐藤会長 しばらくになるか分からないけれども、まだ続きそうな嫌な雰囲気だからね。本当、今のはすごく大事な点。
 治部委員、お願いします。

○治部委員 ありがとうございます。
 私、基本的にこの問題の本質は先ほど窪田委員がおっしゃっていたやはり尊厳の問題なので、人権の問題をベースにして議論しなくてはいけないということを当然の前提にした上で、局長のお話、まだ多様性がある組織は生産性が高いということが腹落ちしてないという方が結構いらっしゃるということについてちょっと補足したいと思います。
 私、長年、経済記者をやっておりまして、佐藤先生がおっしゃったように多様性が高まると一時的にはパフォーマンスは落ちます。それは当然で、いろいろな人がいるとマネジメントが大変になるので、マネジャーがいつものように例えば職場に女性が増えたにもかかわらず男性しかいなかったときと同じマネジメントをしたら当然パフォーマンスは落ちるということで、やはりマネジメントの質を上げるということとセットになってパフォーマンスが上がるということなのですが、ちょっと率直に言って、まだそこのレベルの議論をしている組織というのは、私は結構持続可能性の観点から危ないと思います。
 最近取材をしたある巨大組織、ここにいらっしゃる皆さん、全員知っている組織のトップの人が相当ラジカルな女性の登用をしようとしていたので、それはバックラッシュもあると思いますし、どういうつもりですかという話をしたところ、男性ですけれども、彼が言っていたのは、もう特にヨーロッパ系の機関投資家を中心として、御存じのとおりESG投資がかなり普及してきているので、カーボンニュートラルに関しては相当強制力が強まっている。Eのところが強くなっている。次来るのはSであると。
 Sというのは何かというと、基本的にはジェンダーとか人権、デューデリジェンスの話は大崎委員もおっしゃっていたとおりなのですが、日本の組織というのは、これは企業も非営利団体も含めて、このジェンダーのダイバーシティーにおいてかなり国際的に見て劣後している状況にあるということを考えたときに、10年後にグローバルな投資を本気で呼び込もうと思ったときに今の状況ではとてもではないが投資は得られないという、ある種もう非常に冷静な長期で見た経済合理性の判断の下に結構ラジカルなことをやろうとしている人がいます。
 山田委員がおっしゃったように、こういったことはアファーマティブアクションとかラジカルなことを仕組みとして入れてようやく少し進むというそういう状況で、本気で組織の存続を考えるとそういうことを考える状態にあるということを繰り返し私も含めて言っていく必要があるかなということを改めて感じました。
 以上です。

○佐藤会長 すごく大事な点ね。
 ほかにはいかがでしょうか。いいですか。
 それでは、今日、関係府省からもお話を伺うというのはなくて皆さんに御意見を伺うということで、これまでとも重なる部分もありますが、非常に大事な点を出していただいたので、少し先を見てどうするか。それともう一つは、そろそろ来年度の概算要求に重点的にどのように。ただ、その先を見てということを踏まえてやっていただくのはすごく大事だと思いますので、少しまとめる方向に移っていくかなと思います。
 局長、何かその辺、ありますか。まだ来年の分は予定調整していません。

○林男女共同参画局長 来年もこの月2回ペースで、ぜひ御議論いただければと思います。まだ残っている案件、それから、呼ばなければいけない役所、まだまだありますので、ぜひ大変お忙しい中、恐縮ですが、お付き合い賜われればありがたく存じます。まだまだ論点、最初にこういう議題をやりましょうということで御相談した論点もまだ残っておりますので、これを一つ一つやる必要があると思っています。その上で、まとめに入っていくということと思っております。
 佐藤先生おっしゃったように、私どもはやはり少し長い目で見た、長い目で見てこういうことになりそうだから足元でこういうことをしなければいけないという、そういうことが大事だと思いますので、ぜひ中長期的な視点からもいろいろな御議論をいただいて、それを私ども、政策の考え方にちゃんと反映をしていかないといけないと思っています。ですので、ぜひそういった御議論を引き続きいただければと思っています。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、長時間、いつものように活発に御意見いただいて議論してどうもありがとうございました。
 それでは、来年もということですけれども、取りあえずオミクロン株のまた市中感染が出てきたという話もありますので、気をつけながらよいお年をお迎えください。どうもありがとうございました。