計画実行・監視専門調査会(第8回)議事録

  • 日時:令和3年12月3日(金)10:00~12:00
  • 場所:オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
  1. 開会
  2. 議題
    (1)司法・行政分野における女性の参画拡大について
    (2)ジェンダー統計の観点からの性別欄の取扱いについて
  3. 閉会

【配布資料】

資料1
司法・行政分野における女性の参画拡大について(内閣府説明資料) [PDF形式:3,566KB]別ウインドウで開きます
資料2
司法分野における女性の参画拡大に係る取組状況(法務省説明資料) [PDF形式:647KB]別ウインドウで開きます
資料3
女性国家公務員の活躍推進のための取組について(内閣人事局説明資料) [PDF形式:1,065KB]別ウインドウで開きます
資料4
人事院における女性の参画拡大に向けた取組(人事院説明資料) [PDF形式:275KB]別ウインドウで開きます
資料5
地方公共団体における女性活躍推進に向けた取組状況等について(総務省説明資料) [PDF形式:896KB]別ウインドウで開きます
資料6
ジェンダー統計の観点からの性別欄の取扱いについて(内閣府説明資料) [PDF形式:1,465KB]別ウインドウで開きます

【出席者】

会長  
佐藤 博樹  
中央大学大学院戦略経営研究科教授
委員  
石黒 不二代 
ネットイヤーグループ株式会社代表取締役社長兼CEO
同   
井上 久美枝 
日本労働組合総連合会総合政策推進局長
同   
大崎 麻子  
関西学院大学客員教授
同   
佐々木 成江 
名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻准教授、お茶の水女子大学ヒューマンライフイノベーション研究所准教授
同   
治部 れんげ 
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授
同   
白波瀬 佐和子
東京大学大学院人文社会系研究科教授
同   
徳倉 康之  
NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、株式会社ファミーリエ代表取締役社長
同   
内藤 佐和子 
徳島市長
同   
山田 秀雄  
山田・尾﨑法律事務所代表弁護士
内閣府 
林 伴子   
男女共同参画局長
同   
吉住 啓作  
大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
同   
杉田 和暁  
男女共同参画局総務課長
同   
花咲 恵乃  
男女共同参画局推進課長
同   
矢野 正枝  
男女共同参画局総務課調査室長
内閣官房
佐野 裕子  
内閣人事局内閣審議官
人事院 
幸 清聡   
人材局審議官
総務省 
山越 伸子  
自治行政局公務員部長
同  
藤井 将邦  
自治行政局公務員部 女性活躍・人材活用推進室長
消防庁 
高荒 奈花  
消防・救急課課長補佐
法務省 
柴田 紀子  
大臣官房審議官
同   
栗原 一紘  
大臣官房人事課 課付
同   
二宮 正一郎 
大臣官房司法法制部 部付
参考資料1
計画実行・監視専門調査会委員名簿 [PDF形式:109KB]別ウインドウで開きます
参考資料2
女性活躍・男女共同参画の重点方針2021(令和3年6月16日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定) [PDF形式:1,377KB]別ウインドウで開きます

議事録

○佐藤会長 ただ今より、第8回計画実行・監視専門調査会を開催いたします。
 本調査会では、これまでに引き続き、来年春に策定する重点方針2022、いわゆる女性版骨太の方針に向けた議論を行っていきます。
 本日の進め方について、最初に御説明させていただきます。
 まず、議題(1)司法・行政分野における女性の参画拡大について、関係府省から御説明いただいた上で、皆様から質疑応答を行いたいと思います。(1)の議論が終わり次第、各省庁の方には御退出いただきます。
 次に、議題(2)ジェンダー統計の観点からの性別欄の取扱い、性別の情報を集める点について、内閣府から御説明いただいた上で、質疑応答・意見交換を行いたいと思います。
 いつものように1時間程度過ぎたところで5分程度の休憩を入れたいと思います。
 それでは、議事に入らせていただきます。まず、議題(1)について、内閣府の林男女共同参画局長から資料1について説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○林男女共同参画局長 おはようございます。内閣府男女共同参画局長の林でございます。
 それでは、早速資料を共有させていただきます。
 司法・行政分野における女性の参画拡大について、現状をお話し申し上げたいと思います。
 まず、司法につきましては、検事、裁判官、弁護士に占める女性の割合は上昇しておりまして、司法試験合格者に占める女性の割合は、このところおおむね2割台で推移をしております。
 検事の女性割合は、現在26%となっております。他方、検事長につきましては、今年7月、初めて女性の検事長が広島高等検察庁で誕生したという状況です。
 裁判官の女性割合につきましては、現在23%となっております。他方、最高裁の判事は15人中お二人、高等裁判所の長官もお二人となっております。
 弁護士の女性割合は、現在19.4%となっております。日弁連の役員は女性副会長のクオータ制の導入もありまして、現在24%となっております。
 諸外国の最高裁の女性割合を見ますと、5割を超えるドイツ、4割を超えるフランスといった国もございます。選択的夫婦別姓をはじめ家族法制に関わる重要な判断を行う場でもある最高裁の判事にもっと女性が増えるべきという意見もあります。
 次に、行政について見たいと思います。国家公務員の採用における女性割合は上昇傾向にあり、全体では37%、総合職では34.1%となっております。また、第5次男女共同参画基本計画では、全体として理系の女性を増やしていくという観点から、技術系区分の女性割合を現在の25.2%から30%に引き上げるという目標も設けております。
 女性の採用は増えているものの、登用については目標達成にはまだ相当の距離がございます。本省の局長、審議官等の指定職につきましては、昨年に比べむしろ女性割合が低下しております。
 本省の課室長につきましては、10%の目標がありますが、その達成度合いは各府省によってかなりばらつきがございます。また、係長が多くても課室長は少ないという省もあります。
 右側のグラフは、各府省の課室長の数で、オレンジの部分が女性です。10%の目標は、全府省の課室長が分子、分母になりますので、特に課室長のポストが多い省で女性が増えていかないと、なかなか全体として数値が上がらないという状況にあります。
 本省の局長、審議官など、指定職相当の女性は45人で、全体の4.2%です。一般に本省の局長、審議官は国会で政府参考人として答弁をしたり、官邸で総理などに直接相談をしたりする職責の者であります。今年7月現在で、組織の責任者として長のつく者としては消費者庁長官、厚生労働省の子ども家庭局長、そして私、内閣府男女共同参画局長などです。また、地方の出先の長や局の下の部長なども含まれております。
 こうした局長、審議官級の女性割合は、諸外国では3~4割程度、本省課長級は3~5割程度となっており、日本の少なさが際立っております。実際、私も国際会議などに出席して見渡しますと、各国の政府代表は男女半々くらいなのに、日本の代表はほとんど男性で、景色がまるで違うと感じることも大変よくあります。
 国家公務員の育児休業取得率につきましては、女性はほぼ100%、男性につきましても一昨年の年末に内閣官房副長官兼内閣人事局長の指示もあり、大幅に伸び、今、51.4%になりました。
 独立行政法人の女性役員割合は14.7%となっており、女性役員がいない独法も8法人あります。管理職の女性割合も16%と、5次計画の目標達成にはもう一段の努力が必要だと思います。
 また、独法のうち、理化学研究所や産業技術総合研究所などの研究開発法人につきまして、今回初めて分析してみたところ、研究職員の管理職に占める女性割合は6%程度で横ばいになっておりまして、独法全体では管理職の女性割合が上昇傾向にあるのとは対照的になっております。
 国の審議会の委員に占める女性割合につきましては、42%まで上昇しており、全体としては5次計画の目標を達成しておりますが、40%に達していない審議会が22あります。こちらが国の審議会のそれぞれの状況です。
 次に、地方公共団体の審議会につきましては、都道府県が33.4%、市区町村が27.6%となっており、40%という目標にはまだ達しておりません。
 こうした中で、昨年年末に閣議決定をいたしました第5次男女共同参画基本計画は、今年度から2025年度までを計画期間としております。こちらが、その計画の中で目標として、政府として決定しているものでございます。詳細はそれぞれ御覧いただければと存じます。
 この目標を達成するため、各府省が行う具体的な政策も第5次男女共同参画基本計画で、閣議で決定しております。例えば司法分野では、女性検察官の積極的な登用などについて取組を決めております。この取組の進捗につきましては、後ほど法務省から御説明いただきます。
 行政分野では、女性職員の登用拡大に向けて、例えば将来のキャリアアップに必要とされる重要な職務経験を積ませ、登用につなげるなどの柔軟な人事管理を進めることや、男性の育休などにつきまして、具体的な取組を決めております。これらの取組の進捗につきましては、内閣人事局、人事院から説明をしていただきます。
 地方公務員に関する取組につきましても決定しております。後ほど総務省から御説明いただきます。
 私からは以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは続けて、法務省の柴田大臣官房審議官から、資料2について御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○柴田大臣官房審議官 皆様、おはようございます。法務省大臣官房審議官の柴田でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 資料2を御覧ください。
 早速、中に入らせてもらいますが、当省からは司法分野における女性の参画拡大の取組といたしまして、女性検察官の登用に向けた取組状況と、裁判官・弁護士に対する要請状況の2点を御説明させていただきたいと思います。
 まず1点目でございますが、女性検察官の登用に向けた取組について御説明します。資料の1枚目の左側のグラフを御覧ください。
 まず、第5次男女共同参画基本計画における成果目標は先ほども言及がございましたが、2025年度末までに検察官に占める女性の割合を30パーセントにすることであり、御覧のとおり、直近の2020年度末時点の全体に占める割合は26パーセント、2010年度と比べますと割合は約6パーセント、また人数は150名ほど増加しているところです。残りの期間で4パーセント引き上げる必要があるという状況になります。
 次に、右側のグラフを御覧ください。採用に関しましては、検事の任命資格との関係から、司法試験に合格しまして、その後、約1年間の司法修習を終えた者の中から採用することになりますが、下の棒グラフにあります司法修習終了者の女性割合は、直近の5年平均で約22.8パーセントであるのに対しまして、検事任官者の女性割合が5年平均で約36.5パーセントと、母数となっております司法修習終了者の女性割合よりも1割以上上回る比率で採用しているところでございます。
 他方、女性検事につきましては、任官後に退職される方が少なからずおりまして、退職理由につきましては様々ではございますが、その中には検事の人事異動は全国転勤を基本としていることから、ワーク・ライフ・バランスの観点、あるいは結婚、出産、育児などのライフプランとの関係から就業を継続することが難しいと考える方もいるところであります。
 そのため、当省としましては、引き続き積極的に女性を採用していくことに加えまして、そのような退職者を減らしていくことが課題であると認識しており、継続就業のための取組を行うということで、可能な限り退職者を減らして、成果目標を達成していくことを考えております。
 次に、資料の2枚目を御覧ください。上段は先ほどもお示しされておりましたが、第5次男女共同参画基本計画の司法分野における取組を記載しております。
 まず、左側の中段を御覧ください。検察官に係る取組は、大きく分けて2つございます。1つ目は女性の検事志望者を増やすための取組、2つ目は継続就業のための取組でございます。
 まず1つ目の女性の検事志望者を増やすための取組としましては、広く女性検事の活躍を知っていただくため、法務省のホームページや検察庁のパンフレットに積極的に掲載するようにしております。右側の写真は少し小さいですが、ホームページの抜粋であり、ロールモデルとなるような女性の検事正や、育休を経て、育児をしながら仕事をしている女性検事を紹介しております。
 2つ目の点につきましては、当省においては毎年、法曹を目指す方向けに各種説明会を行っているところですが、参加者の関心も高いことから、子育てをしながら仕事をしている女性検事に参加してもらい、その体験談を話してもらうようにしているところでございます。
 その下、3つ目なのですが、法科大学院や司法研修所は、法曹となる直前の段階となりますので、多くの女性に検事を志してもらうため、複数の女性検事をそこに派遣するようにしております。
 次に、継続就業のための取組を御覧ください。先ほども御説明しましたが、検事は全国転勤が基本となっております。まだ小さいお子さんを養育している検事については、4月期の保育所等への入所ができるように、12月上旬に内示等を行うほか、異動希望につきましても、可能な限り添うように配慮しているところでございます。
 次の2つ目のところですが、異動する職員向けとして、全国の勤務先周辺の保育所等に関する情報を一覧形式で閲覧できるようにしておりまして、各検察庁ごとに随時更新することとしております。
 また、面白い試みといたしましては、実際に特定の保育所に通わせている職員などの口コミの情報も入力できるようになっておりまして、これから保育所を探す職員には大変利便性の高いものとなっております。
 次に、その下の3つ目のところですが、研修の適齢期に、育休などを理由に参加できない検事もおりますので、そういった者には復帰後に研修の機会を付与することによって、計画的な育成に努めているところでございます。
 4つ目ですが、育休中の職員につきましては、職務に関連する情報が行き届きづらいということがございます。特に検事は法改正の情報などが必要になりますので、随時情報提供をして、復帰後の職務に支障が生じないようサポートするような取組も行っております。
 次に、資料の下段の破線のところを御覧ください。検察庁におけるワーク・ライフ・バランス推進のための取組といたしまして、検察官の年次休暇の平均取得日数を記載しております。検察官の令和2年の平均取得日数は13.0日でありまして、これは国家公務員全体の14.8日よりは少ないですが、本府省、いわゆる中央省庁の11.7日よりも多くなっておりますので、「検察官だから休めない」といった状況ではないことがお分かりいただけるのではないかと思います。
 また、検察庁では他律的業務が多く、始業時間が早かったり、終業時間が遅かったりという場合もありますので、弾力的に対応するため、早出遅出勤務やフレックスなどを積極的に活用しているところです。
 こういった複数の取組によりまして、成果目標を達成するよう、今後も努めてまいります。
 女性検察官の登用に向けた取組状況等につきましては以上ですが、続きまして、裁判官・弁護士の要請状況について御説明いたします。
 資料の右側の下段を御覧ください。裁判官につきましては、本年3月、内閣府から最高裁判所に対し、第5次男女共同参画基本計画に基づきまして、具体的な取組を進めるよう要請されているものと承知しております。裁判所におきましては、裁判官全体に占める女性割合は着実に増加しているほか、従前から裁判官としての成長と子育て等の家庭生活の両立ができるよう、様々な場面で取組を進めており、要請後も、引き続き、こうした取組の推進がされているものと承知しております。
 弁護士につきましては、本年4月、法務省から日本弁護士連合会に対しまして、同基本計画に基づき、具体的な取組を進めるよう要請しております。日本弁護士連合会では、従前から独自の基本計画を策定しており、現在、第3次基本計画に基づく取組を進めております。例えば副会長及び理事についてクオータ制を導入し、理事の女性割合は現在26.7パーセントに達していると伺っております。また、日本弁護士連合会では、要請の内容を踏まえまして、第4次基本計画を策定するため準備を進めていると承知しております。
 駆け足になりましたが、当省からの御報告は以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして内閣人事局の佐野内閣審議官から、資料3について御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○佐野内閣審議官 おはようございます。内閣人事局審議官の佐野でございます。
 1枚おめくりいただきまして、内閣人事局の取組について御説明させていただきます。
 まず、内閣人事局では、第5次男女共同参画基本計画を踏まえまして、あらゆる職員が活躍できる職場づくりに向けた取組指針を策定しているところでございます。これは政府として、次官級会合である「女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会」において決定したものでございます。
 現在、政府全体として取組指針にのっとりまして働き方改革及び女性活躍促進のための2つの改革を推進中でございます。ただ、2つとは言いますけれども、女性活躍のためには公務員全体の働き方改革は不可欠なものでありまして、密接に関連しているものでございます。
 取組は、図のとおり多岐にわたるものでございますが、中でも本日は女性の採用・登用に向けた取組及び男性の育児参画促進に係る取組について御報告させていただきます。
 2ページを御覧ください。女性国家公務員の採用状況につきましては、先ほどの林局長の御説明の中にありましたので、具体的な数字については割愛させていただきます。
 採用の拡大に向けましては、オンラインを含めた各種イベントの開催や情報発信について、工夫して実施しているところでございます。
 ただ、採用された女性職員が定着し、働き続けたくなる職場とするためには、職場環境の整備やキャリア形成支援が不可欠なものでありまして、現在、各省庁において様々な取組が進められているところでございます。
 続いて、登用の状況について御説明させていただきます。次のページに行っていただければと思います。登用の状況については、目標値に照らしては先ほどの林局長の御説明にもありましたとおり、いまだ道半ばではございますが、地道な取組が積み重ねられているところでございます。例えば職域の拡大については、防衛省において女性自衛官を初めて潜水艦乗組員に配置するなど、本人の意向を尊重した上での画期的な配置が進みつつあります。
 また、これまでは、育児休業明けには楽な業務のほうがよいだろうという先回りの気遣いによって、本人の意向を確認することなく、比較的軽作業のポストへの配置が行われていたところ、本人の意向や適正に応じた重要業務、例えば法改正が予定されている部署や海外出張の機会が多い部署などへの配置がなされるようになってきていると報告を受けているところでございます。
 管理職の意識改革に向けては、各種研修も不断の見直しを加えながら実施しているところでございます。
 次のページに移っていただきたいと思います。男性の育児参画促進についてでございますが、これは女性の活躍のサポートというだけではなく、男性自身の育児当事者意識や充実感の向上、家庭内での役割や居場所の確保といった本人のワーク・ライフ・バランス、さらには少子化対策のためにも極めて意義のある取組と承知しております。
 男性の育児休業取得状況につきましては、令和7年の目標値30%に対しまして、令和2年度実績は29%であり、前年度の16.4%から大幅に増加したところでございます。
 また、男性の育児参画促進に向けては、現在、政府において策定した方針に基づきまして、令和2年4月以降、子が生まれた全ての男性職員が1か月以上をめどに育児に伴う休暇・休業を取得できることを目指し、取組を継続中でございます。
 上司の働きかけと業務分担の見直しといった取得しやすい環境づくり、マネジメントを求めるという点に特徴がございます。
 その結果、令和2年4~6月に子が生まれた男性職員の育児に係る休暇・休業の取得率は99.0%、さらにその平均取得日数は50日、さらにその約9割が1か月以上という結果に結びついております。これは各省庁のトップを初めとする各省による地道な環境整備を始め、各省庁の取組によるものと評価できると考えております。
 今後も第5次計画の目標を念頭に置きつつ、関係府省との連携の下、女性の参画拡大に向けて全力で取り組んでいく所存でございます。
 以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 続いて、人事院の幸人材局審議官から、資料4について御説明をお願いいたします。

○幸人材局審議官 人事院人材局審議官の幸と申します。よろしくお願いいたします。
 私のほうからは、人事院におけます女性の参画拡大に向けた取組について御説明させていただきます。
 こちらは、今年8月10日の人事院勧告に合わせまして、国会及び内閣に対して報告をした内容の抜粋となります。「1.人材の確保及び育成」の(4)で女性の採用及び登用の促進について取り上げております。こちらでは、現状の分析とともに人事院としての取組方針をまとめているところでございます。
 内容としましては、こちらにありますとおり、今ほど御説明がありました政府の取組と連携しつつ、1点目として、女性の国家公務員志望者の拡大に向けた広報活動の充実、女性職員の能力を伸長させ、活躍を支援するための研修の充実。2点目として、妊娠・出産・育児等と仕事の両立支援制度の拡充。3点目として、良好な勤務環境の整備を挙げております。これらを通じまして、各府省におけます目標達成に向けた取組を支援していくという姿勢でございます。
 具体的な内容について御説明させていただきます。
 1点目の人材の確保及び育成の関係でございます。
 広報活動の関係でございますが、1点目として、女性の国家公務員志望者の拡大に向けた広報活動の展開としまして、「女性のための公務研究セミナー」「女子学生のための国家公務員試験制度ガイダンス」などを開催しているところでございます。
 また、働きやすい職場環境に関する情報提供としまして、セミナーやSNS等を通じて、働き方改革の取組やワーク・ライフ・バランスの実践例、職業生活への多様な支援策等について具体的で分かりやすい情報提供に努めているところでございます。
 女性の登用に関する研修の関係でございます。
 3点ほど挙げておりますが、1つ目の研修につきましては、係長級の女性職員を対象とした女性職員キャリアアップ研修を全国各地で実施しております。
 女性職員登用推進セミナーにつきましては、各職場における人事管理・人材育成の責任を有します管理職員、いわゆる人事担当課長等を対象として、意識啓発を図る観点から行っている研修でございます。こちらも全国で実施しております。
 課長補佐級の女性職員、その中でも女性管理職員のロールモデルとなることが期待される職員を対象として行政研修女性管理職養成コースといった研修などを充実させながら、実施しているところでございます。
 2点目が、妊娠・出産・育児等と仕事の両立支援関係での最近の取組を御紹介させていただきます。
 男性職員の育児休業取得の促進に関しまして、本年8月、育児休業の取得回数制限を緩和する国家公務員育児休業法改正について、国会及び内閣に対して意見の申出を行っております。内容としましては、現行、原則1回までと、子の出生後8週間以内に1回まで、合わせて2回までの取得制限があったところを、それぞれ1回ずつ増やして4回まで取得できるような施策を行っております。
 また、不妊治療のための休暇を新設することとしております。来年1月の施行予定でございます。こちらにつきましては、不妊治療に係る通院等のための出生サポート休暇を有給で新設するということでございます。内容につきましては、原則1年に5日間、体外受精及び顕微授精に係る通院等である場合はさらに5日間加算して、10日間休暇を取れるというものでございます。
 非常勤職員を対象としました休暇の新設・有給化、育児休業等につきましても改善を行っております。配偶者出産休暇・育児参加のための休暇、これまで常勤職員を対象としていた休暇でございますが、こちらについても非常勤を対象として有給で新設しております。また、産前・産後休暇は、これまで無給であったものについて有給にすることとしております。育児休業・介護休暇等の対象職員の取得要件を見直すことにより範囲を拡大するという施策も行っております。こういった取組をしております。
 3点目が良好な勤務環境の整備の関係でございます。こちらも取組として3点挙げております。
 1点目が長時間労働の是正ということで、令和元年度に人事院規則を改正しまして、超過勤務を命ずることができる上限を設定しておりますので、これに従って長時間労働の是正に取り組むよう各府省への指導を徹底しているところでございます。また、8月の勧告時の報告におきましては、業務量に応じた要員確保の必要性を指摘するとともに、国会対応業務の改善へ国会等の理解・協力をお願いしたところでございます。
 2点目としてテレワーク等の柔軟な働き方への対応に関しまして、勤務時間制度等の在り方や勤務間インターバルの確保の方策などについて、有識者による研究会を設けて検討することとしております。
 最後、ハラスメント防止対策でございますが、「セクシュアル・ハラスメント」「妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント」及び「パワー・ハラスメント」の防止等のための規則を設けておりますので、こちらを周知し、ハラスメント防止を徹底したいと考えているところでございます。併せまして、各府省におけます防止対策の実施状況を把握し、指導を進めているところでございます。
 説明は以上でございます。

○佐藤会長 ありがとうございました。
 それでは最後になりますが、総務省の山越自治行政局公務員部長から、資料5について御説明いただければと思います。

○山越自治行政局公務員部長 それでは、私のほうから地方公共団体における取組について御紹介したいと思います。
 まず1ページ目でございます。女性職員の採用者に占める割合でございますが、市区町村と都道府県を分けて記載しております。市区町村につきましては5次計画上の成果目標はございません。5割を超えることを維持している状況でございます。一方で、都道府県は4割を切っている状況ですので、まだ目標設定している状況でございます。
 ただ、受験者数で言いますと、市区町村でも全体の4割、都道府県でも3割ということで、受験者数のほうが割合は少ないです。優秀だということもあるのだと思うのですが、採用者は女性の割合が少し増えるという傾向にもあるということでございます。
 続きまして、各役職段階に占める女性の割合でございます。これも都道府県と市区町村を分けて提示していますが、これも市区町村のほうが比較的高い数値となっているということでございます。いずれも年々増加傾向にはございますが、まだ成果目標の達成には至らず、引き続き引き上げるという方向での努力が必要だという状況でございます。
 地方公共団体は採用段階というよりはむしろ登用段階の課題が大きいのだと思いますが、それを進めるためにも、人事管理上の工夫と男性職員を含めた働き方改革の2本柱で取組をしなければいけないのではないかと思っています。
 総務省として、これまで何をやってきているかということでございますが、様々な地方公共団体の状況がありますので、その取組事例を収集いたしまして、それをよく周知し、横展開するという取組をしています。それが具体的な取組内容もあれば、ロールモデルとなる職員の紹介なども毎年度させていただいております。加えまして、ここに協議会という名前で書いてありますが、毎年必ず地方公共団体の担当者と総務省の担当者が女性活躍、働き方改革について具体的かつ実践的な取組の手法を持ち寄って議論する場を設定しておりまして、そういう中で推進していきたいということでございます。
 3つ目に書いてありますとおり、女性地方公務員の人材育成のため、自治大学校で幹部登用研修を数年前から始めておりまして、これによる人材育成と、ここには書いてございませんが、男性も含めて幹部職員の研修の中で、必ず女性活躍や働き方改革に関する講義も入れることによって、意識改革を促すという取組を行っております。
 具体的に地方公共団体の取組事例として、人事管理上の工夫として様々なことをやられている例については、他の地方公共団体に横展開している事例でございますが、育成期に子育てや出産などを踏まえた支援をするということで、短期のジョブローテーションをするといった人事管理上の工夫をしていたり、女性職員向けのメンター制度をつくっていたり、様々に各地域の実態に応じて取り組まれている状況でございまして、これをほかの団体にも参考にしていただいて、取り組んでいただきたいということでございます。
 続きまして、もう一つの柱であります働き方改革でございます。先ほど国家公務員についての御紹介もありましたが、地方公務員について同様のラインナップで働き方改革をしていただいているところでございます。テーマとして、特に男性職員の育児休業の取得促進について、ここで御紹介をしたいと思います。
 この数字を見ていただきますと一目瞭然でございまして、国家公務員との間で水をあけられている状況でございます。16.4%という国家公務員全体の数字に対しまして、2019年度、地方公務員全体で8.0%でございます。地方公共団体の中でもいろいろな部局がありますので、いわゆる首長部局、知事部局とか市町村長の部局については8.0%ではなくて14.7%という数字になります。一方で警察が1.0%、消防が2.7%といったように、職場によって大分差があるといった実態もございます。
 これらの取組については、地方公共団体全体での取組と、警察、消防、教育分野といったそれぞれの分野の取組を同時にやっていく必要があると思っているところでございます。
 実は昨年度も男性職員の育児休業の取得促進に関しては課題意識を持って、助言通知を明示的にさせていただいております。数値目標をちゃんとつくってくださいということと、特に短期間で取得率が大幅に向上した国家公務員の取組をきちんと参照していただいて、同程度の取組をしてくださいということを助言させていただくとともに、地方公共団体の中でも取得率が非常に大きく向上した事例がありますので、それも御紹介しながら要請しているところでございます。
 下に書いてありますとおり、鳥取県、千葉市においてかなり積極的な取組が見られているところでございます。
 最後に臨時・非常勤の関係でございます。これは女性固定のことではないのですが、ここにあります臨時・非常勤、今は会計年度任用職員という制度に移らせていただいておりますが、4分の3が女性であるという御紹介をしたいと思います。もともと厳しい地方財政の中で、行政需要の多様化に対応するために、臨時・非常勤が大幅に増加していて、その際に任用上の課題と処遇上の課題のいずれもあったという実態も踏まえまして、令和2年4月1日に制度を導入していますが、会計年度任用職員制度という制度を新たにつくっております。
 その結果、任用と処遇の適正化をしていただくというストーリーになっておりまして、この適正な処遇のほうに書いてありますとおり、従来は期末手当の支給がされていなかったのですが、それをするという仕組みに変えています。
 ちょっと飛ばしますが、この結果、全体として任用の適正化、あるいは処遇の適正化がかなり進んでいるという状況です。
 ただ、まだ完璧に適正化されている実態でもないので、引き続き状況をフォローアップしながら対応していきたいという状況でございます。
 私からは以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、これまで司法・行政分野における女性の参画拡大について、それぞれ現状の取組について御説明いただきましたので、皆様から御質問なり御意見を出していただければと思います。どなたに対する質問や御意見かが分かるように言っていただければありがたいと思います。
 あと、関連する質問があると思いますので、御報告いただいた各府省の方には、まとめて後でお答えいただくようにしたいと思いますので、自分のところだなということについてはメモしておいていただいて、後でまとめて御回答いただければと思います。
 それと、今日はもう一つ議題があるので、いつもよりは若干短めぐらいにやっていただかないと時間が足りなくなってしまう可能性がありますので、その点、御了解いただければと思います。
 では、いつものように挙げた人の順にお願いします。
 それでは、治部委員、お願いします。

○治部委員 ありがとうございました。
 すごくデータをいっぱい出していただいて、議論しやすくなっていると思います。まずはそれをお礼申し上げます。
 質問なのですけれども、人材がだんだん上に行くほど女性が少なくなるというのはどの分野でもあることでして、パイプラインが漏れている問題なので、ここのところを伺いたいと思います。
 まず法務省の方に伺いたいのですが、日弁連が出している統計を見ますと、法科大学院の在籍者に占める女性の割合が大体3割なのです。ですが、受験者、合格者に占める割合がどんどん減っていくというところで、このあたりの要因等について伺えたらと思います。
 それから、行政分野については内閣府かなと思うのですが、管理職の女性比率が省庁によってかなり異なっております。民間部門でも産業によって結構違いがあるのですけれども、原因をどう分析されているでしょうか。
 例えば国土交通省等々は、理工系を採用している場合にはそもそも大学の専攻等で少なくて、省庁だけの問題ではないのかなということがあります。
 人事院の方に関しては、最近、総裁が民間出身の海外経験も豊富な女性に代わりまして、何かそこで新しいポリシーが出ていたらぜひ伺いたいと思います。
 それから、要望が2点です。これは内閣人事局または人事院に対してなのですけれども、特に国家公務員のキャリア職に関しては、家族形成との絡みで全国転勤が障害になっていることが多いと思います。これは民間企業も同様なのですけれども、男女ともにキャリアをということを考えていくときに、望まない転勤を減らすということと、配偶者のキャリアの事情を加味することが必要になってきます。
 海外の例で参考になるかもしれないのがアメリカなのですけれども、アメリカの国務省、日本で言う外務省が配偶者雇用の仕組みというものをつくっていまして、例えば少し前に在日米国大使館の上級職にアサインされた女性の外交官、この方の配偶者はアメリカでもともと企業を経営していたのですけれども、一緒に日本に来ています。それに当たって、配偶者の側にも国務省のほうで日本でできる仕事をオファーすることで、家族で来られるようになったといった例があるので、こういったことを今後考えていただけたらなと思います。
 それから、総務省の方にぜひ検討していただきたいのは、男性の育休を進めていくに当たって、日本は取りにくいわけですけれども、職場だけではなくてもしかしたら住民の問題とかがあったりするのかなと懸念しています。そう申しますのは、公立学校の先生向けに働き方の研修をすると、しばしば住民のクレームとかで先生が休みにくいという話を聞いたりすることがあります。公務員の方には労働者性というものがあるので、そこを考えるに当たって、言いづらいかもしれないので外部の私から言わせていただいた次第です。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 いろいろ質問がありましたけれども、出た方はメモをしておいていただいて、石黒委員、お願いいたします。

○石黒委員 ありがとうございます。
 まず、治部委員と同じように、私はこの委員会をいろいろ経験して、圧倒的な統計資料を見せていただけるので非常に議論がしやすいと思っていて、お礼を申し上げます。このせいで皆さんの残業時間が増えているのではないかと懸念しております。
 まず、意見としては、女性議員の数が圧倒的に少ない。これは国際性といういわゆる見えるところですので、議員の数を何とか増やしたいなと。そして、国際会議に出られる女性議員の数を増やしたいというのが1つの意見です。
 国家公務員のほうは、民間と比べると若干進んでいるのかなという全体的な印象なのですけれども、ある意味、行政機関というのは民間議員の規範になるものなので、ここの景色を変えていくことが非常に必要だと思いますので、ここはもっと促進していただきたいというのが意見です。
 1つ私の懸念材料というのは、働き方のところなのです。ここが統計資料にはあまりなくて、私が長い間、委員をしていると、これは感覚的なものなのですけれども、省庁の方々の働き方が物すごく残業時間が多いのではないかという想像が容易にできます。民間は法定労働時間が決まっていて、労基に従ってかなり厳しく時間のチェックをされている。それに比べて行政機関のほうはそういうものがあまりないのではないか。例えば36協定などが当てはまっていないのではないかと思いますので、そこが働き方のネックにはなっているのではないかと思います。どちらか分かりませんが人事院の方ですかね、各省庁をチェックする機関としてどのような制度を持っていらっしゃるかということをお尋ねしたいと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 この調査会の資料も夜とか朝早くに来ますね。残業をしていなければいいなと思います。
 徳倉委員、お願いします。

○徳倉委員 今日もよろしくお願いいたします。各府省、ありがとうございます。
 治部委員、石黒委員から中央省庁系のお話がありましたので、地方公共団体で総務省さんに向けて御質問です。
 私は地方公共団体のかなり内部に入り込んで、いろいろ調査をさせていただいたり、アドバイザーをさせていただいているのですけれども、現在、地方においては、採用において男女の比率はどんどん女性が多くなってきていて、もちろん地方公共団体にもよりますけれども、近年では地方部は女性の割合がどんどん増えている。しかしながら、管理職に登用される人は非常に少なくなってきている。この原因を調べていくと、この辺は佐藤先生のほうが御専門だと思いますけれども、先ほど石黒委員のほうからもお話がありましたように、簡単に言うと働き方が非常にブラックである。そういう中であって管理職や準管理職になりたがらない。災害や非常時には仕方がないけれども、平時もそのような働き方になってしまう中では、キャリア優先というよりは家庭が優先という形になってきている。
 生々しい話をすると、能力のある人が登用されていくのではなくて、制約条件がない人で体力があって、24時間闘えるような人だけが上司や管理職になっていく。このままでは、各地方公共団体のマネジメントや意思決定に関して非常にマイナスを生む要因になっていくということを鑑みると、国の中央省庁はトップが声をかけると、ある程度右に倣えをしていくのですけれども、これが都道府県や基礎自治体になっていくと、首長やその意識によってかなり差が出てくる。そうなってくることを考えると、地方交付税に手をつけるかどうかという議論はもちろんあると思いますけれども、ある程度のところをクリアしていかないと、支給するものもマイナスになるようなものも制度として考えていかないと、地方の中での働き方だけではなくて、人材不足であったり、トータルの国としてのマネジメントがなかなかいかないのではないかという気を強く持っておりますので、その辺の感覚はどうお持ちかというところを一言いただければと思います。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 女性の管理職への登用を進めるときに、管理職の働き方がすごく大事で、民間企業も管理職は時間管理が大事なので、ああいう管理職の働き方はできませんという女性は結構多いので、管理職の働き方改革がすごく大事だと思います。
 井上さん、お願いいたします。

○井上委員 ありがとうございます。
 私自身が国家公務員や独立行政法人を組織するところの出身の組合で、私自身も独法の職員でしたので、女性組合員の意見ということで少しお話をさせていただきたいと思います。
 特に女性の国家公務員の意見からすると、女性職員の登用拡大を求めているということ。それから、ワーク・ライフ・バランスが図られる職場環境の確立の2点が大変多い要望です。先ほどから全国転勤の話が出ていますけれども、国家公務員の場合、同期で入って、例えば育児休業を取っている女性と、同期で転勤していろいろなところを回ってきている男性と、昇進・昇格は明らかに違うのです。男女平等の原則とうたっていながら、結果的に間接差別的なことが行われているというのが実態ではないかと思います。
 その意味でも、女性職員の登用拡大で、とりわけ中堅層、この間、女性の国家公務員の採用は増えているのですけれども、ちょうど増えている世代は今の20代であって、30代から40代半ばぐらいのところはそういう概念がない職場の中で仕事をしてきていて、いきなり「明日から管理職になってください」と言われても「できません」ということで、実際に退職をしていっている仲間もたくさん見ています。そういう意味では、中堅層の研修なども必要ではないかと思っています。
 そこで、人事院に質問ですが、例えば女性活躍推進法の状況把握や、職場の配置でジェンダーバランスがちゃんと取れているのか、人事院が各府省にきちんと行わせて、把握をしているのかどうか。その辺を職員の皆さんから話を聞いても、女性活躍推進法はあまり知りませんとか、そういう声が多く聞こえてきます。ですので、人事院が各府省に支援を行うだけではなくて、それをきちんと集約して、評価し、またさらに計画を立てていくという、行動計画を活かせるような仕組みが必要ではないかと思います。
 それから、地方公務員の臨時・非常勤の課題なのですが、会計年度任用職員制度が導入されて、少し条件はよくなったとは言っても、例えば防災や保健所、いわゆるエッセンシャルワーカーに非常勤がとても多くて、何か災害があったときに権限が与えられていないので仕事ができないという人たちがいるということもニュースで見ています。そういう意味でも、同一労働同一賃金が民間でも適用されていますので、しっかりと臨時・非常勤の皆さんの待遇改善も御検討いただければと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、山田委員、お願いいたします。

○山田委員 おはようございます。
 大変豊富なデータで、数字は雄弁なので、非常に役に立つ資料をありがとうございました。
 今、皆さん方が質問されたり意見されたこととかぶる部分はあると思うのですが、私は司法、弁護士出身なので、このデータのさらに手前の1985年に男女雇用機会均等法がつくられてから約40年近くたって、全体数としては非常にパーセンテージは上がってきました。とはいえ、最近の我々の弁護士会の中で話題になることは、法曹の志望者が全体としてすごく減ってきているのです。司法試験の受験者の数が物すごく減ってきていまして、当然それに対応して女性の志望者も減っているということになると、ボトムが減るわけですから、これから幾らクオータと言っても、その全体数が減っていくということについて、もしデータ的なもので受験生あるいはもっと言うと法学部での女性の比率といったこととの対比を教えていただく、あるいはデータ化していただくと、ようやくここまで上がってきた中で、これからの展望を考えたときに、必ずしも楽観ばかりできないということを懸念しております。
 そういう意味では、法教育が高校、大学ぐらいのレベルでもすごく重要になっているということを指摘したいと思いますし、もっと言うと、法というところで言うと最高裁の判事が15名で女性は2名です。前の内閣は女性を積極的に登用ということで3名いたのです。
 最近は夫婦別姓の訴訟だとか、様々な形で人権に絡む訴訟、しかも男女の問題に関わるような訴訟も増えていますので、どうしても5人、3分の1以上は女性の裁判官が最高裁の中にいないと困るなと思っていますので、その辺についての今後の方向性についてのご意見がもしあれば聞きたいと思っています。
 あと、40年前と比べて大きな流れの中は少しはよくなったとはいえ、12ページにあるように女性の国家公務員の中で上級管理職と中級管理職がカナダ、イギリス、アメリカなどと比べると4%台というのはどうにもならないなという絶望的な気分になっています。またこれから30年、40年かかってこれを何倍かにするためには、どのような努力が必要なのかということを考えると、いつも同じような話で恐縮なのですが、やはりある程度強制的なクオータ的な仕組みみたいなものを考えていかないと、数字は上がらないのではないかということを申し上げておきたいと思います。
 簡単ですが、また後ほどお話しできることがあれば、させていただきたいと思います。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、佐々木委員、お願いいたします。

○佐々木委員 よろしくお願いいたします。
 先ほどから転勤のお話が出ていましたけれども、これは女性のキャリアを上げていくと非常に大きな問題になってくると思います。女性研究者でも同じようなことが起きています。
 画面を共有させてもらいます。これは男女共同参画学協会連絡会で調べたデータですが、男性の場合は配偶者が専業主婦という方が半数以上いて、全国への転勤のときにはついていきやすいのですけれども、女性の場合は専業主夫がほとんどおらず、研究職と結婚しているケースが多いです。先ほど検事のケースでも、全国転勤しなければいけないというお話でしたが、同職業で両方ともが全国転勤をしなければいけない状況に陥っているのではないかと思います。違う分野でもそういうデータがありましたら、教えていただきたいと思います。
 また、育児休暇に関してなのですけれども、男性が長期休暇を取るということが非常に重要で、というのは、長期休暇を取ることでどのように業務分担をするかという体制が進むと思います。なので、女性の場合は、産休では8週間は必ず取らなければいけないので、少なくとも8週間以上の長い休暇を目指す、1か月以上ではなく8週間を目指すことが重要かと思います。そのときに業務分担をどのようにすれば、その時間をきっちり業務でできるという体制をつくるためには、長期取るということを重要視していただけるといいと思います。
 あと、質問なのですけれども、人事院の方なのですが、男性職員の育児休業の取得促進というところで、育休の回数の制限を緩和と書いてあるのですが、これは男性だけの話なのか、女性もなのか、がよく分からなくて、これも名古屋大学の例なのですけれども、育休の取得回数が決まっていて、そうなると博士論文の指導とかをしているときに育休中だと指導教員になれないので、その時期だけ復帰してしまうと、もう次に取れないということで回数制限をなくしたことがあります。今は、2回までにしかなっていないということですが、なぜ回数をもっと増やせないのか。2回までとしなければいけない理由とかももしあるのならば、教えていただきたいと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 研究者のカップル同士の職員の男性、女性で違うと。産後休業は8週間で、強制休業は6週間です。
 白波瀬委員、お願いいたします。

○白波瀬委員 よろしくお願いします。
 あまり時間がないので、2点だけお願いします。ざっくりした質問なのですけれども、いろいろ資料をありがとうございます。山田委員からも最初にありましたように、もう待てないから、かなり強硬な策を打たないと状況は変わりません。これは確実だと思います。ただ、その中で入り口と入ってからという、大きく2つのステージがあると思います。そういう意味で、キャリアを積み上げるということなのですけれども、例えば法学部を卒業して、その次に何かといったときに、昔は法曹家しかなかった。けれども、それがいま選択肢が増えているということがありますので、個々人のキャリアの過程をデータでしっかり見ていく必要があると思うのです。今はまだ、女性の管理職云々について女性が極めて少ないのでキャリアの過程からみても偏りがすごくあると思います。また、女性の積極的登用の背景に人権の枠組みを前面に出すことの是非という話がありました。その議論にはいま立ち入る余裕がありませんが、いろいろな背景を持つ者がハイレベルの事案の審査、審議に参画しないと、その結果に問題がでてくるのではないかという理由から、これまで少数派であった女性の管理職の登用が期待されます。
 井上委員からご指摘があった30代、40代のキャリアステージのお話しですが、ここは非常に重要だと思うのです。ピンポイントでない緩やかな支援策を少しずつ積み上げることで、周りはあなたに期待していますよ、というメッセージを発することは準備期間としてとても必要だと思うのです。今日本はジェンダー不平等への対応についてはまだ過渡期にあって、そういう助走期間なしに結果だけに集中するという場合があるのですが、これはしんどい。そこで、そういう助走的な具体的な取組をなさっているさまざまな機関や企業はどれほどあるのでしょう。また、入り口の話になって大きい話にもなりますけれども、日本ではある企業に入ってキャリアを積み上げていく単線的なモデルがまだ前提になっています。国によっては、高いランキングのポストであればあるほど、いろいろな機関で業績を積み成果を上げることが求められていて、そのような人にヘッドハンティングしていくケースが珍しくありません。ですから、グローバルな労働市場を考えると、日本の高いハードルを越えた国家公務員として階段を上がっていくこともありますけれど、組織間の横の異動を支援し、かつ強化してもらうことが重要となります。このあたり何かお考えはお持ちでしょうか。以上2点をよろしくお願いいたします。

○佐藤会長 1時間たちますが、もう少しなので続けさせていただいて、あとお二方が終わったところで休憩します。その間、質問も考えていただきたいと思います。
 では、大崎委員、お願いします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 大前提として、2020年までに指導的地位に占める女性割合を3割にというのは2003年に掲げられた目標だったということを改めてしっかり認識する必要があって、第5次基本計画でこの部分についてしっかり結果を出すということを物すごく期待されているということを改めて認識する必要があると思います。
 冒頭の林局長からのお話の中で、国際比較のデータを出していただきましたが、G7諸国と韓国のデータでしたけれども、重要なのは、欧米諸国の中で日本が遅れているということではなくて、例えばAPEC、アジア太平洋諸国のああいう枠組みで、2017年に私も調査に参加したのですが、官民セクターでどれだけ指導的ポジションに女性が就いているかということで、2017年のデータで21か国の国と地域、この中にはニュージーランドとかアメリカも入っていますけれども、多くがアジア諸国です。その中でも司法セクターと行政セクターの管理職、上級管理職に占める女性割合の日本の立ち位置というのは、もう21の国と地域の中で下から3番目ぐらいだったのです。今、それぐらいのスタンディングなのだという認識が非常に重要ではないかと思います。
 そう言いますのも、特に公共セクターで非常に重要なAPECとかASEAN、G20という多国間プロセスに日本は入っていますけれども、そこでもジェンダーバランスの問題は非常に重要で、これから2国間でも今、経済協力とか安全保障の様々な枠組みの中で特出しのトピックとしてジェンダーの問題が扱われていると思います。そういうことを含めて、相手国がどんどん司法とか行政とか立法に物すごく女性が増えていくというのは、ジェンダー平等推進に係る枠組みやそういうプラクティスが官民セクターを超えて物すごく進展していくということを意味していますので、その中で日本がこれから様々なやり取りを多国間、2国間で、ビジネスも安全保障も含めて、そのときに日本がこれだけ遅れているというのはどういう意味を持つかということを私たちは考えないといけないと思います。
 あと、特に女性の比率が増えていくことが重要視されているのは、例えばこれも国際的な議論で非常に重要なポイントとされているのですけれども、司法分野で裁判官とかに女性が物すごく少ないということになりますと、特に性暴力とかセクシュアル・ハラスメントとかDVなどの様々な司法判断のところであらゆるアンコンシャスバイアス、性差別的な規範、プラクティスといったものが物すごく反映された司法判断が物すごく出るということと、司法への女性によるアクセスをとても困難にするということはもう既に実証されているので、司法に女性を増やさなければいけないのだということで、各国は取組をしているわけです。
 それから、公共セクターでどういう政策ができるかにジェンダーバランスというのは物すごく影響が出るわけです。例えば直近ですと今日、地震がありましたけれども、災害への備えに、例えば地震が起きて避難所へ行ったときにどのような状況なのか、どういう備蓄品があって、どういう避難所運営がされるのか。こういったところにも物すごくダイレクトな影響が出るわけなので、民間とは異なる次元、行政セクター、司法分野の中での女性割合を増やしていくことは物すごく重大な意味を持つということを皆さんにぜひ理解していただきたいと思っています。
 最後に行政機関に関してですけれども、民主的なセクターの中で行政機関に求められることとして透明性とアカウンタビリティーの問題があります。透明性という点に関しては、こういう計画を立てて、今、こういう状況ですということを今日もデータをつまびらかに示していただいているということだと思いますが、もう一つ重要なのはアカウンタビリティーです。誰が責任を持ってそれをやるのか。成果責任は誰が問われ、責任の所在をちゃんと説明する。ここがどこなのかということをしっかりと明らかにしていただくことが重要かと思います。
 最後に、その文脈で言いますと、私も国連機関にいましたけれども、こういうことをやってすごく効果が出るのは人事評価にひもづけるというのが一番効果が高くなるので、どういった仕組みがあるのかどうかをぜひ教えていただきたいので、お願いします。

○佐藤会長 それでは、最後になります。内藤委員、お願いいたします。

○内藤委員 よろしくお願いします。
 地方自治体の首長として御意見を言わせていただきます。
 徳島市の場合は、課長補佐とか係長ぐらいの女性はすごく増えているのですけれども、部長が9人中1名、副部長も1名、課長が4名ということで、ロールモデルをなかなか提示できていないような状況です。
 あと、今、課長補佐とかになられている方も、男性と比べて昇給が遅いです。なので、課長の補佐になっても、そこから課長、副部長というようになかなか行けない。男性と比べて平均年齢が高めなので、なかなか上に行けていないということと、そもそも論として採用のときからあまり上に行くと自分自身が思っていなかったというような状況に入っていますので、登用しようとすると逆に、課長補佐の人でもう辞めようかなというような相談が出てくるような状況に実際はなっております。
 実際、何でそこで辞めるとかという話が出てくるかという話を実際に聞いてみると、市役所の仕事は今、すごく多岐にわたっていて、国から策定を求められている計画づくりがすごく多いとか、住民対応や議員の対応がうちの場合であれば課長がメインでやっていきますので、そこが大変だったりとか、住民がどんどん多様化することによって、多様な住民の声やクレームとかがすごく大変になってきているとか、行財政改革で職員の減少によってミスが増えたりするので、そこで謝らなければいけない回数が増えるとか、そういったところがあると聞いています。
 議員も住民もそうなのですけれども、感覚的に女性に対してのほうがきつく当たっているような状況が発生していると思っていますので、内部だけで検証するのではなくて、特に基礎自治体の場合は住民がすごく近いですし、議員もすごくいろいろな要望を上げてきますので、そこら辺のアンコンシャスというか、コンシャスバイアスの部分をきちんと改善していかないと、働き方だけではなくて、言われ方とか、すごく強く、本当に強く言われたりするので、そこで萎縮してしまって、メンタルの部分を崩すというところも出てきますので、そういった問題もあるのかなと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 せっかくなので私から2つだけ。
 1つは法務省と内閣人事局に、人事院にもつながると思いますけれども、全国転勤の話なのですが、民間企業も問題になっていて、転勤問題はどう扱うかというと、現状、何で転勤が必要なのかを分析するのです。若い頃は育成があります。あるいは組織活性化とか、不正防止とか、業務上の必要がある。なので、何で転勤が起きているのか、転勤理由。そして、それぞれの理由ごとに減らせないのか。例えば不正防止であれば、転勤させない別のやり方がないか。海外で言うと、銀行なのでは急に休ませるというやり方があるのです。組織活性化で言うと、異動させられても組織は活性化しないのです。大学教員は40~50人で20~30年同じところにいるわけです。だから、転勤ということに安易に組織活性化が依存しているのではないか。そういう意味では、転勤の現状、何のために行われていて、減らせないか。
 次に運用です。例えば2年ごとに転勤があるとすると、3年に延ばすことができないのか。なぜ2年で動かしているのか。あるいは、民間企業だとよくあるのは、仙台に行って、また札幌に行くみたいなことがあるのです。そうではなくて、仙台に行ったら、東京であれば東京に戻る。必ず一度戻るということだけでもかなり違うのです。そういう意味では、運用の仕方をどう見直すかということも結構あるので、全国転勤の理由とか運用を見直せるかどうかということをぜひ伺いたいのです。厚生労働省が民間企業向けに今のようなマニュアルを出しているので、見ていただければということが1つです。
 一部には社内公募を入れるというのがあります。転勤のうち、一部は社内公募でやれば、つまりそれだけ言われる異動が減るので、そのようなことも御検討いただければと思います。
 あと、内閣人事局で役職別の管理職比率を出していただいたのです。それはすごく大事なのですけれども、役職ごとの管理職の女性比率は結果です。結果が動いていくというのは大事ですが、プロセスも結構大事で、例えば課長補佐から課長に上がる人、各3年間、女性の課長補佐から3年間で課長に上がった人と、男性の課長補佐から課長に上がった人、この比率の比較は結構大事なのです。このプロセスを評価するということもやられているのかどうか、ぜひ伺えればと思います。
 それでは、5分休憩します。役所の方は休みがなくて考えろということかと言われてしまうかも分かりませんが、今、13分なので18分まで我々はお休みということで、役所の方もぜひ休んでいただければと思います。背伸びしてお茶でも飲んでください。18分に再開です。

(休憩)

○佐藤会長 それでは、これから全部答えてくださいということではなくて、可能な範囲で結構です。今はデータがないとか、担当ではないとか、これは検討しますということで結構ですので、今お答えいただける範囲内でお願いしたいと思います。法務省、内閣人事局の順でいきたいと思います。
 それでは、法務省の柴田大臣官房審議官からお願いいたします。

○柴田大臣官房審議官 法務省でございます。
 先生方、いろいろと御質問、御意見をありがとうございます。
 法務省に対しては、治部先生、山田先生、佐々木先生、佐藤先生から御質問いただいていると承知しておりますが、時間も限られておりますので、事務方から分けてお答えさせていただきたいと思います。

○法務省 それでは、法務省大臣官房司法法制部の二宮から、治部先生の御質問についてお答えさせていただきたいと思います。
 司法試験の受験者数、合格者数に占める女性割合が少ないのではないか、その要因という御指摘と御質問についてでございますが、司法試験の合格者につきましては、司法試験委員会におきまして法曹に必要な能力の有無を判定する観点から公正に決定されているところでございます。
 続きまして、山田先生から、法曹志望者が減少しているという点、最高裁判事の女性が2名しかいないという点を御指摘いただいたところでございます。
 まず、法曹志望者の減少につきましては、法科大学院の志願者数で言いますと、制度の開始当時から比較して減少しているところでございますけれども、法務省では多くの有為な人材に法曹を目指していただけるよう、必要な取組を進めているところでございます。
 もう一点、最高裁判事の関係ですけれども、恐れながら、憲法上、内閣が任命することとされておりますので、法務省としてお答えするのは難しいところでございます。

○法務省 続きまして、法務省大臣官房人事課の栗原と申します。
 私のほうからは、佐々木先生と佐藤先生からそれぞれ御質問いただいた点についてお答えさせていただきたいと思います。
 まず、佐々木先生からの御質問でございます。夫婦で検事で全国転勤しなければならない例もあるのではないかということで、御意見、御質問いただいたところです。
 夫婦で検事をしている者も一定数いるところでございます。このような場合には、人事異動の際には可能な限り同居できるように配慮しているところでございます。なお、夫婦に限らず育児や介護の事情を抱える検事などもおりますので、そうした方についても継続就業できるように配慮して、配置を行っているところでございます。
 続きまして、佐藤先生からいただいた、まず全国転勤の理由やその見直しをすることはないのかという点なのですけれども、検事につきましては独任制官庁として、それぞれ個々に責任を持って刑事事件の捜査と公判をしていくといった職責の特殊性があります。全国津々浦々、地域によって犯罪の内容と性質、それから規模がかなり異なるところがございます。検事としてキャリアパスを重ねていく限りにおいては、いろいろなところでいろいろな事件を経験していくのが重要だと我々は考えておりまして、そうした意味で、一定程度の全国転勤を伴うことは職責上、やむを得ないことかなと考えております。
 その上で見直しという点なのですけれども、先ほどの佐々木先生の御指摘で御説明させていただいたように、可能な限り個別職員の事情を酌んだ上で配置しておりまして、夫婦の例であれば同居できるように、可能な範囲でそれぞれ配置するといった工夫をして運用しているところでございます。
 ありがとうございました。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、続いて内閣人事局からお願いいたします。

○佐野内閣審議官 内閣人事局の佐野でございます。
 まず、全国転勤につきまして、多く御質問、御指摘いただきました。
 全国転勤については、これまでそういった職歴を積まないとキャリアステップは非常に難しいというような思い込みのようなものがあったのではないか。しかし最近では、多くの省庁において、男女問わず、それぞれの職員のライフステージや意向をしっかりと尊重した上で、可能な時期に可能な場所に行かせるという配慮がなされるようになってきているところでございます。
 実際に、配偶者の方との調整についても相当な配慮が進むようになってきておりまして、同じ省庁に妻も夫も在籍しているという場合には、同じ場所に転勤ができるようにという配慮をするような形も含めて、また、テレワークで勤務できるようにするということも含めて、相当いろいろな配慮が進んできているところでございます。まだ道半ばではございますが、本人の意向に反して無理やり転勤させるという状況はなくなりつつあると承知しております。
 次に超勤の関係です。私たちにも課せられた課題ということでございますけれども、今、縮減の努力を各省庁において鋭意進めているところでございます。業務自体の見直し、本当に必要な業務なのかどうかというところです。また、効率化ということで、デジタル化、ペーパーレス化をしっかりと考えていきたいということで、様々な予算的な措置も含めて、各省庁において超勤の縮減、そのためには上司・部下のコミュニケーション、マネジメントが何よりも不可欠なのではないかという考えの下に、そういった多角的なアプローチで超勤縮減について取り組んでいるところでございます。まだまだ他律的な要因もございますし、国会関係の業務など非常に難しいところもございますけれども、各省庁を内閣人事局が支援しながら、超勤縮減においては引き続き取り組んでいきたいと考えております。
 また、男性の育児休業について、より長期の取得を促していくべきではないかという御指摘もございました。それについても、我々はそのように問題意識を持っておりまして、先ほど触れましたように、1か月以上取る、それぞれの事情がありますので、無理やりというのは非常に難しいところがございますけれども、できるだけ長くしっかり取れるように、また、取らなければいけないという形になった途端に取りやすくなるということもございますので、環境整備をしながら、できるだけ長期を取れるようにという取組を今後進めていきたいと考えております。
 白波瀬先生からいただいた御指摘、女性の配置について、これまでは女性がなじむところということで、偏っていたのではないかという御指摘がございました。その問題意識も、各省庁は非常に強く持っているところでございまして、これまで実績のなかった管理職ポストへの女性の配置についても各省庁で相当検討が進められていると承知しております。思い込み、決めつけといったもののない形で、女性、男性ではなく個人の差なのだという考えで配置を進めていくことをこれからも我々の方でも支援していきたいと考えております。
 最後に、佐藤先生のほうからいただきましたプロセスも大事で、それについても私たちは問題意識を強く持っておりまして、その問題意識の下に、今回、新任係長に女性がどれだけ占めているかという数字を初めて調べてみたところでございます。今後もそういった問題意識をしっかりと持ちながら検討を進めていきたいと考えておりますので、また御指導、御指摘いただければ幸いに思います。
 以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、続いて人事院からお願いいたします。

○幸人材局審議官 人事院でございます。
 内閣人事局と重ならない範囲で御説明させていただきます。
 治部委員からの御質問で、人事院総裁が代わってどのような新しい状況になったかという御質問がございました。人事院総裁は、前総裁、現総裁と女性の総裁が就任しているところでございますが、私の言葉ではあれですので、現総裁が就任時の記者会見で述べられたことを述べさせていただきますと、「質の高い行政サービスを届けるための柔軟性と積極性が必要である。行動原理の定着が世界に後れている女性活躍も改善できる。」との認識の下、質の高い行政サービスを届けられるよう、働き方改革などの勤務環境の改善を通じた職域拡大に努めるなど、就任時から高い問題意識を持たれております。
 また、働き方としましても、総裁自らテレワークを行われるなど、政策も含めて、率先して取り組まれているという認識でございます。
 石黒委員から、民間は36協定等もあるのですが、国家公務員の働き方に関してどのような仕組みになっているのかという御質問があったかと思います。
 御承知のとおり、国家公務員は労働基準法が適用されておりません。その代わりに国家公務員法等で労働基準法と同様の制度を人事院規則で規則を設けているところでございます。そういった形で、先ほど御説明しました上限規制につきましても、民間に準拠して同じような上限で働くように人事院規則をつくりまして、指導を行っております。
 ただ、留意点としましては、国家公務員でございますので、災害対応などどうしても上限を超えなければいけないような業務がございますので、そういったところは民間とは異なって上限を超えることもありますが、超えないように指導しているところでございます。
 井上委員から、職場の状況の把握などをしたほうがいいのではないかということでございました。これは政府と連携させていただく話かと思いますが、現行のワーク・ライフ・バランス促進のための取組計画におきまして、各省において状況把握、課題分析をするということが既に決まっておりますので、そういったことにより取り組んでいるところでございます。
 佐々木委員からの御質問としまして、育児休業の取得回数制限の緩和について、原則1回までと子の出生後8週間以内の1回までとをそれぞれ拡大したのですが、それぞれどういった職員が対象ですかという御質問があったかと思います。
 それにつきましては、いずれも男性、女性にかかわらずということになっております。ただ、子の出生後8週間以内のほうにつきましては産後休暇がございますので、産後休暇を取られる方については産後休暇ということになりますが、制度的に男性、女性を分けているものではないということでございます。
 以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 それでは、総務省から御説明いただければと思います。

○総務省 公務員部の女性活躍・人材活用推進室長の藤井でございます。部長の山越に代わりまして、質問について回答させていただきます。
 最初に治部委員のほうから、男性育休の関係で、住民との関連というところの御指摘をいただきました。
 非常に貴重な新しい視点の御指摘だと思いますので、今後の男性育休の推進に参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 続いて、徳倉委員と内藤委員から、女性管理職が少ないというところについて御質問いただきました。
 団体によっては、御指摘のとおり、なかなかロールモデルの職員がいなかったりとか、あとは管理職に向かうようなポストに凡例的に男性が就くような傾向があるというのは事実でございまして、今日の説明でも申し上げたとおり、先進的な自治体によってはロールモデルを示したり、あるいは積極的に女性が就いていないポストに就けているという例も増えておりますので、引き続きそういう点の周知を進めてまいりたいと思います。
 あわせて、徳倉委員から、能力に差があるというようなお話がありました。これは全職員に関わるのですが、地方公務員にも人事評価の制度が浸透してきておりますので、その点で能力実績主義を図っていくことが重要かと思ってございます。
 簡単でございますが、以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 林局長、何かありますか。

○林男女共同参画局長 活発な御議論、ありがとうございます。
 管理職に女性が少ない点について、特に私どもからお示しした資料の中に、本省の課長級が大変少ないことについて何か分析しているかというお尋ねがありました。
 私どもも、これについてはなかなか分析まで至ってはおりません。内閣人事局から先ほどお話がありましたように、いろいろな施策はやっていますけれども、まだ4.9%という状況であります。
 これは私自身もなぜ本省課長の後輩が少ないのか悩んでいるところなのですが、私自身、40歳のときに本省の課長になり、51歳まで勤めた後、その後、指定職に上がりました。12年間ずっと本省の課長をやっていた人間は、霞が関では男性も含めてそんなに多くはありません。その経験から申し上げると、2つあると思います。
 1つはワーク・ライフ・バランスだと思います。ワーク・ライフ・バランスは、育児休業等も大事ですけれども、そもそも業務のやり方の見直しが必要なものも大変多いと思います。いろいろなところから無駄な作業の発注が来て、それをやらなければいけないとか、そういった問題があります。
 それから、人の配置の柔軟性がないということもあります。人手不足の部署と、人が余ってはないのですけれども比較的余裕がある部署との間で、かなり差はあります。比較的余裕のあるところは、割合ワーク・ライフ・バランスで、えてしてマミートラックになっていく。そして、忙しいところは恒常的に深夜残業という状況であります。
 実際、管理職になる前もそうですし、なった後も、ワーク・ライフ・バランスは本省課長級で忙しいところだと厳しいです。例えば国会提出の法案を抱えていると、もう夜中の2時、3時まで働いて、朝の7時から大臣に答弁の内容について相談をする、そういうことは全くよくあることで、家に帰って寝るのは本当に1時間か2時間みたいなことがよくありました。そういう働き方の問題が一つあると思います。
 もう一つは、職務経験ということがあると思います。管理職である以上、その課のマネジメントをやらなければいけないのと同時に、その課にそれぞれ府省設置法で与えられた業務、職務があります。国としてやらなければいけない職務をちゃんと国会の動向や様々な世論の動向、状況を踏まえて、きちんと職務を果たすための知識や経験が課長には必要だと思います。そうした能力を身につけるためには、幅広い職務経験が重要で、やはり課長になる前に、例えば局の総括補佐をやるとか、そういったことはとても大事ですし、そういった能力がなければ、課長に上げるわけにはいかないということはあります。
 私自身、局長になって思いますけれども、能力のない課長が下にいたのでは仕事はできないので、能力は重要だと思います。その能力をつける上では、職務経験を幅広く積んでいるということが重要で、その課長に求められる経験は様々ありますが、それが積まれているかということは一つの判断として大事なことだと思います。
 残念ながら、一部の役所では、女性職員がいわゆる女物の職務ばかりやっていたりするようなことがあります。女物ばかりやっていると、その女物の世界でトップになっても、ほかの課長はやらせられないです。なので、幅広い経験を積ませることが絶対に必要で、そういう意味では、思い込みでこういうポジションには女性は就けられないといった思い込みがあるとしたら、それは排除すべきだと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 それでは、今日御説明いただいた府省の方、長い間、どうもありがとうございました。ここで退席いただくということで、予定よりも長くなりましたけれども、どうもありがとうございました。

(各府省退席)

○佐藤会長 それでは続いて、最初にお話ししましたようにもう一つ議事がありますので、議題(2)としてジェンダー統計の観点からの性別欄の取扱いについて、内閣府から御説明いただいて、皆さんから御意見を伺えればと思います。よろしくお願いいたします。

○林男女共同参画局長 先生、ありがとうございます。
 2つ目の議題ということで、ジェンダー統計の観点からの性別欄の取扱いについて、私どものほうから資料を御説明したいと思います。
 まず、ジェンダー統計は改めて申し上げるまでもなく、男女の置かれている状況を客観的に把握するための男女別に集計された統計です。例えば、昨年9月から今年春まで、私ども男女共同参画局で開催した「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」では、労働力調査をはじめ様々な統計の男女別の集計を用いて、今回のコロナにより女性の就業や生活面に強く影響が現れたということを明らかにし、この分析をベースにした施策を経済対策や補正予算に盛り込みました。こうした分析を行うための男女別に集計された統計、ジェンダー統計の大前提になるのが統計などの調査における性別欄であります。
 一方、最近、トランスジェンダーの方々など性的少数者への配慮から、様々な場面で性別欄を廃止する動きが広がっております。例えば先月に総選挙がありましたが、立候補届出の告示からは性別が除外されています。ただし、立候補者に関するデータ上の性別情報は維持されておりますので、引き続き男女別の立候補者などの統計情報は公表されております。
 今年、厚生労働省が事業主の参考に作成した履歴書の様式例については、男、女の選択ではなく、任意の記載となっています。
 また、公立高校の入学願書の性別欄については、46道府県が廃止しまして、現在、男女別の入学定員が公立高校にある東京都のみが性別欄があります。
 そのほか、地方自治体で性別欄の見直しが進んでいます。
 一方、海外を見ますと、例えば英国の国勢調査では、出生時の性別のほか、性的指向や性自認を質問しています。
 カナダの国勢調査でも、出生時の性別を男性、女性から選ばせ、その後、性自認を男性、女性、または自分で記載するという形になっています。
 さらに、パスポートにつきましては、パスポートの技術的な規格を定める国際規格では、女性F、男性M、不特定(unspecified)はXとなっています。これに基づき、各国ではXの表記のあるパスポートが増えています。10月、アメリカでもXの表記が追加されました。
 このような動きの背景には、性自認について身体の性と心の性が一致せず、性別欄が男女の二者択一では困るといった不利益を感じられる方がいらっしゃるということがあります。9ページの資料は法務省が作成したトランスジェンダーに関する啓発資料です。
 こうしたトランスジェンダーの方々がどれくらいいるかということについては、例えば大阪市のアンケートでは0.7%となっています。また、埼玉県の調査では0.5%となっています。私どもも男女共同参画局として9月に御紹介をしたアンコンシャス・バイアスに関する調査を行った際に、性別に関する問いで「その他」という欄を設けたところ、0.9%の方がこれを選択されました。
 LGBTの方々の団体、LGBT法連合会からは、昨年9月、性別欄とジェンダー統計に関する声明が発表されております。これによると、「性別欄削除の動きについては、ジェンダー平等に向けて性別統計を整備していく観点から、憂慮する声も当会に届いている。こうした声を踏まえ、当会は、目的や合理性を無視した性別情報の一律の不取得や非開示に対しては敢えて懸念を表明する」ということであります。また、「ジェンダー統計の必要性については、かねてから政府の男女共同参画基本計画において言及されており、昨今では一部自治体などにおいて、情報の取得の際に、性自認による回答を奨励する動きも見られる。このような性自認の多様性を踏まえたジェンダー統計のあり方については、情報の取得時、分析段階など、各段階における工夫が必要であり、合理性があり必要な場合、不要である場合など、丁寧な精査が求められる。こうした工夫や精査の基準づくりにあたっては、学術界をはじめとする、有識者による一層の開かれた議論を期待する」と声明をいただいています。
 また、第5次男女共同参画基本計画においても、政府として「ジェンダー統計における多様な性への配慮について、現状を把握し、課題を検討する」とされております。また、この点も含め、ジェンダー統計は全府省で取り組むことと位置づけております。
 なお、政府における統計の司令塔は、総務省に設置されている統計委員会です。しかしながら、この問題については統計委員会において今のところ議論はされておりません。
 こうした中で私どもは、ジェンダー統計がきちんと維持、整備されることが非常に重要であり、最近の性別欄削除の動きが、例えば、様々な統計調査や業務を通じて集計される業務統計で男女別の集計ができなくなるようなことにつながらないか、懸念を抱いております。 ジェンダー統計の重要性の理由の第一は、言うまでもなくこれが男女共同参画社会の実現全般にとって大切ということであります。
 理由の第二は、先ほど御紹介したコロナ研究会のように、男女別の統計による分析が様々な危機における政府の的確な対応を行う上で大変有用であるということです。実はコロナ研究会でも私どもが分析を進める際、男女別の調査がないため、分析を断念したデータもありました。限られた財政資源をより的確に、本当に必要な人への支援に使い、分配するためには、ジェンダー統計による分析が欠かせないと思っております。
 理由の第三は、EBPM、証拠に基づく政策立案を進める観点からも、ジェンダー統計による分析、そしてその分析に基づく政策評価が重要だと考えています。
 このため、本日はぜひ先生方からお考えをお聞かせいただければと思います。まず全体的な方向性としては、ジェンダー統計の観点から性別欄を原則として維持するべきではないか。別の手段によって性別情報を取得することができ、それを用いることによりジェンダー統計の作成が可能な場合には、性別欄の廃止も考えられるのではないか。性別欄を一律に廃止するのではなく、性別欄を設ける目的や合理性などに応じて、整理する必要があるのではないか。性別欄から得られる情報がジェンダー統計として用いられるものか否か、また、当該性別欄を廃止しても、ジェンダー統計として用いるための情報を得る代替手段があるものか否か、こうした視点が重要ではないかと考えております。
 また、配慮の方法としては、どのようなものが考えられるかということがございます。「男性」「女性」以外の選択肢を追加する。あるいは、性別欄に選択肢を設けず、性別を自ら記載するといったことが例えば考えられます。
 そして、性別・性自認については、性別欄で記載を求める性別等としては、どのようなものが考えられるか。出生時性別、戸籍上性別、身体的性別、あるいは性自認を使用する。トランスジェンダー等の場合は、明示的に指定されていなければ、既に性自認を使用して回答しているのではないかという御指摘もあります。
 また、選択肢について、どのようなものが考えられるかというのがあります。性別欄に「男性」「女性」以外の選択肢を追加するのであれば、どのようなものが考えられるか。「その他」「どちらでもある」「どちらでもない」「回答したくない」など、いろいろあり得るかと思います。また、これ以外にも様々な検討事項があり得ると思います。ぜひこうした論点につきまして、先生方のお考えを伺えればと存じます。
 ありがとうございました。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 これまで男女共同参画基本計画でもジェンダー統計の整理が載ってきたのです。なぜかというと、特に業務統計などは性別の記載がないものが結構多かったのです。なので、そういう意味では男女というのは分析できないので、ジェンダー統計という観点は整備してくださいとずっと言い続けていた。
 他方、今回のようにLGBTQの人たちの人権ということでどうするかという議論が出てきたわけです。
 1つは、政府の統計とか業務統計なのです。
 もう一つ問題になるのは、企業などの採用のときに、うちは性別は聞きませんと。それはそれで合理性があるわけだし、もしかしたらそのほうが多様な人たちに配慮しているかも分からないです。他方で、そういう企業に調査に行ったときに、管理職に占める女性比率はうちはデータがありませんということが起きるわけです。そういう意味では、うちの企業としてはある面では合理的ですし社員に配慮してやっているのですけれども、うちはデータは取っていませんということも出てくるのです。これはまた別の話なのですけれども、そういうことも含めていろいろ検討しなければいけない状況にあるかなということで、今日特に結論を出すというわけではなくていいのですね。御意見を伺うということで、最初に順として、白波瀬先生から、次に内藤さんから自治体でもあれば。あとはその後という形で、まず白波瀬委員からお願いします。

○白波瀬委員 ありがとうございます。
 統計委員会の委員もさせていただきましたが、佐藤先生がおっしゃるように、ジェンダー統計の充実は長きにわたって訴えられてきたという経緯があると思います。
 カテゴリー分けについて、まず、統計で女性か男性かということをやめろということなのですが、これは慎重に検討したほうがよいと思います。先ほどの統計にもあったと思うのですけれども、あなたは男性ですか、女性ですか、それ以外のという3つのカテゴリーを準備するとか、出生時の性別、調査時点の性別といったように段階的に質問していく場合もアメリカやヨーロッパで前例はありますが、日本の政府統計はスペースの制限が強く、性別の質問だけで3つも4つも聞くことはできません。
 性別にかかる質問項目をなくすことで解決せよというのは、解決につながることにはなりません。現実問題として、ジェンダー間でのアンバランスが日本の中で存在しており、深刻さも増しているという事実もあります。調査結果からみて、男でも女でもない、もう一つの選択肢を選んだのは1割弱だったということです。それは少数派だから問題がないとはいえません。ただ、9割が回答する項目に対して、安易に削除してしまうことは、直面する問題を明らかにするには大きな障害になるということです。
 統計的事実のデータとしては、性別関連の質問項目が必要です。この表章の仕方を、女性、男性、それ以外にするのか、もちろん無回答という欄をあえて行政の中で入れるのか、は議論すべきことです。このあたりのガイドラインを府省横断的に調査実施部局のところで議論して示していただけると、日本の中での混乱は少なくなると思います。婚姻関係についての質問の仕方も事実婚の場合を含め、ある意味共通した問題を抱えています。数の問題を超えて合理的配慮というのがベースにあるけれども、実態を把握することは課題解決には必須のことです。今の時代にジェンダーを聞くのか、おかしいかという風潮がないわけではありませんが、統計的な意味から、さらにはEBPMの観点からも、この質問項目を外さないでいただきたいと考えています。
 そういう意味で、佐藤先生からも、局長からもありましたが、どのようにキャリアを積み上げているのかという軌跡の違いがデータが出るのです。つまり、人事データの整備です。ですから、企業ごとにばらばらに収集される人事データの整備を評価が可能なように、要するにEBPMの考え方に従って、分析可能に整備し、提供していけるような環境も整備していただけるとよいと思います。
 あと、統計委員会の頃から議論があったのですけれど、男女別に表章すること自体を躊躇う調査もありました。しかしながら、現状を御理解いただいて、基本的な属性のクロスについては、ぜひとも出していただきたい。
 以上です。

○佐藤会長 各役所がいろいろと統計する機会で悩んでいると思うので、本当は統計委員会ができればいいのだけれども、どうするかは最終的にはまだ先ですけれども、こちらでも何かを出したほうがいいなと思うので、今日いろいろと御意見を伺えればということで、内藤委員、自治体のほうで何かありますか。

○内藤委員 徳島市のほうでは、一応、人権の配慮と、あまり必要のないようなものに関しては今、聞いていない状態です。基礎自治体は国のそういう統計以外のものもいろいろ取っていましたので、そういったところはうちは廃止しました。
 ただ、先生方がおっしゃるように、統計に必要なものだったりとか、国の法律で定められているものに関してはそのまま置いているような状況ですが、私も男、女、その他であったりとか、自分で書くという方法もあるかもしれないですけれども、何らかの配慮は必要だと思いますし、国にきちんとしたガイドラインを出していただけることによって、基礎自治体や企業もそれに追随するようになると思いますので、それをやっていただけると非常にありがたいなと思います。

○佐藤会長 石黒委員、お願いします。

○石黒委員 ありがとうございます。
 私自身、ネットイヤーグループでもLGBTQのサポートをしているということで、このコミュニティーに比較的近い存在であると思っています。
 この委員会でこの議題が議論されることを前提に、このコミュニティーの方々とあらかじめ話し合ってきました。まず、ジェンダーの記載について、1つはまず答える側が迷わないという意味では、男性、女性、それから戸籍上の性という形の記載にしていただきたいというのが代表の方々の意見です。反対に、答える側の意思という意味では、無回答、答えたくないという欄を設けていただきたいというような要望を受けました。記載に関しては、それです。
 あと、こういった性的マイノリティーの方々から、そもそも男女を分けて統計を取る必要があるのかという意見も出ました。それに関しては、私、この委員会で様々に議論されている中で、まだ女性がマイノリティーであり、その差別を解消するために男女の統計を取ることは必要であるということをお話しして、納得を得られています。ですから、ジェンダー別の統計というものは必要なときはあり、それに対しては性的マイノリティーの方々に配慮して、なぜ必要かということをきちんと説明することができればいいかなと思っております。
 また、先生がおっしゃるように、私どもの会社でも履歴書に男女の別を書く必要はない、プラス年齢も書く必要がないとしているのです。とはいえ、バックで男女別の昇進とかのデータが必要であると思いますので、記載の必要はないけれども、データは取る必要があると思っております。データは基本的には取れると思いますので、その必要はあると考えております。
 以上です。

○佐藤会長 佐々木さん、お願いします。

○佐々木委員 この問題は、まず、本当に配慮しなければいけないのは、自分の性をちゃんとオープンにできて、かつ、それがオープンにされても差別されないところを目指すべきだと思うのです。ただ性別を分からないようにするというところを目指しては、まだまだなような気がいたします。
 私はこの問題に興味というか問題意識を持ったのは、Apple Cardの限度額のお話を知ってからです。御存じか分からないのですけれども、2019年にある実業家が、自分と妻では妻のほうが与信スコアが高いけれども、Apple Cardでは自分に20倍以上の限度額が設定されているということで問題になりました。
 ニューヨーク州の金融勧告局が調査を始めたのですけれども、これを開発しているゴールドマン・サックスは、申請書にそもそも性別の記入欄がない。アルゴリズムにもそういう性別を入れていないという回答だったのですが、専門家からは、性別欄がなかったとしても、性に相関するようなデータを取り込んでいる限り、女性に対するバイアスが引き起こされてしまう、という意見が出されました。結局、利用者への聞き取りやニューヨークの40万人のデータ解析から、そういうバイアスが今回はなかったということになったのですけれども、結局そのときもちゃんと性差情報を取っていればすぐに分かったわけで、アルゴリズムのバイアスがないということを確認するためには、逆に性別情報をしっかりと集めて、積極的にアルゴリズムを検証しないと、つまり入り口だけではなくて、出口でどうなっているかということを見ないといけないということをすごく思いました。
 あと、国勢調査のところなのですけれども、アメリカはまだ性別欄は男女のみになっているらしいです。ただ、アメリカでは世帯主との関係というところで、同性の夫、妻、配偶者、同性の未婚カップル、そこが分かれていて、それで同居の方の年収とか失業率がちゃんとほかの人と変わりないかという調査とかができるわけなのですけれども、日本の場合は、先ほど性別欄の話はあったのですが、世帯主の関係を書く欄については議論できていない気がします。日本では異性同士だと配偶者と記入すればそのまま集計されるらしいのですが、同性のカップルでは配偶者と記載するとほかの親族になってしまって、変えられてしまうらしいのです。
 どのように選択肢を設けるかも非常に重要で、それを早く議論する必要があると思います。Yahooは、その他、回答したくない、となっていますが、その他というのも私は排除感がすごくあるような気がしています。メルカリは女性、男性、無回答、フェイスブックはカスタムでいろいろと記入でき、アメリカでは50種類以上選べるらしいです。ツイッターはびっくりしたのですが、選べるのですけれども、性別をもし指定していなかったら、勝手にアカウントの中の内容で予測して、男女を登録してしまうらしいです。なので、SNS上でも先ほどのApple Cardで起きたような問題があって、結局言っていなくても勝手にAIによって回答されてしまうということがあるということを皆さん知っていただく必要があると思います。本当にマイノリティーの方は数が少ないので、きっちり統計を取っていって、どこかで差別があるというのを見つけていかないと改善できないので、性別記入に関しては本当になくしてはまずいという段階だと思います。
 以上です。

○佐藤会長 12時になってしまったので、予定がある方は出ていただいて構いません。
 では、井上さん、お願いします。

○井上委員 ありがとうございます。
 連合としては、例えばアンケートを取るときの性別情報の確認・取得に当たっては、原則として性自認を尊重するということにしています。選択肢としては、女性、男性、どちらでもない、無回答を基本としています。無回答を入れたのは、カミングアウトを強制しないということ、それからアウティングの防止も含めて、こういう4つの選択肢にしているということです。
 ただ、連合も労働組合における女性の参画や男女間賃金格差の調査をしていますので、そういう理由があるものについてはきちんとその理由を明記して、回答してもらう。そういうことをこの間、進めてきていますが、地方によってはどちらでもないとか、無回答を入れることについて、それは忍びないのではないかという意見もいただくのですが、私たちも当事者団体としっかりと意見交換させていただいて、こういう形にしています。
 今回、性別欄の取扱いということなのですけれども、それも大事なのですが、そもそもジェンダー統計の整備、佐藤先生もおっしゃっていましたが、それを進める必要があるのではないかと思っています。
 連合もコロナ禍におけるジェンダー平等課題に関する意見交換会をやってきていまして、その有識者の皆様から提言として、コロナ禍で女性が置かれている実態を偏りなく可視化することが重要であるということ。それから、モニター調査ではない大規模調査は民間では困難なので、地方支分部局を持つ国や地方自治体が全国を網羅する限りないデータを収集すべきであること。その上で国は調査の分析担当者に属性の偏りがないよう配慮するとともに、多様な視点での分析が進むよう、元データを広く一般の研究者にも公開すべきということで提言をいただいています。
 これについては、私たちも政府、政党に要請をするときに、コロナで女性の失われた雇用が統計に出てこないなどということもありましたので、そういう要望もさせていただいています。御参考までに、発言させていただきました。
 以上です。

○佐藤会長 今、政府統計は一応オーダーメイド集計とかを連合として要求すれば集計もできるので、そういうものを使っていただくといいかもしれないです。
 治部委員、お願いします。

○治部委員 ありがとうございます。
 私の前提としまして、白波瀬先生や林局長がおっしゃったとおり、ジェンダー統計は必要だと思っています。
 ここで重要なのは、性的マイノリティーへの配慮と、いわゆるジェンダーへの配慮をトレードオフにするような議論セッティングがそもそも間違えているということであろうと思います。ここは私もすごく危惧しているところです。
 取材で、女性の同性愛でカップルとして暮らしていて、お子さんも育てているという方の話を聞いたことがあります。そうすると、彼女は私と同い年なのですけれども、性的マイノリティーの中にもジェンダー問題があるということを話してくれました。つまり、この会議で話してきたとおり、女性の収入が男性より低い、つまり女性同士のカップルは男性同士のカップルと比べてより経済的に脆弱になりやすい、こういったことを考えてほしいというお話がありました。
 また、これは佐々木委員がおっしゃっていたとおり、現状、同性カップルの状況を国勢調査等で把握し切れていないために、彼ら、彼女たちが必要な施策がまだ公の形で把握されていないというところが非常に問題になっています。私が印象に残っているのは、女性に関する施策は男女共同参画計画等々で、法律である種定められていることによって、問題がありながら改善しつつある。ですが、セクシュアルマイノリティーに関しては基本的な法律がない状態であるということを聞いておりまして、非常に憂慮しているところであります。
 では、どうするかということなのですけれども、これは統計の効率性とか、白波瀬委員のほうからスペースの問題とかがあったのですけれども、スペースの問題と多様性の問題はどうしてもトレードオフになってしまうところがあるのですが、生まれたときに割り当てられた性がどうかということと、今どっちだと思っていますかということを尋ねるという丁寧なことをするしかないのではないか。国勢調査はアメリカがちょうどそのようになっていますし、ちなみにアメリカの国勢調査では、次のどちらがあなたをよく表していますかという性的指向に関する回答が5択になっていまして、バイセクシュアル、同性愛、ストレート、その他、あとは分からない。LGBTQのQはクエスチョニングですので、このようにしていくことが必要なのかなと思っております。
 恐らく多様になってくるということは手間がかかることなのですけれども、女性に対する配慮も従来の男性中心の社会からすれば手間がかかることをやってきたわけなのです。なので、そういった流れにあるのかなということは思いました。
 あと、統計に関しても、こういったことを議論するときには、私自身はシスジェンダーの異性愛なので、ぜひ当事者の方を会議の中に入れていただいて、何にお困りかとか、どうであれば人権が守られるかということを聞いていただけたらと思います。
 以上です。

○佐藤会長 大崎委員、お願いします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 聞き方といいますかデータ収集の際にどうするかということは、今、本当に治部委員がおっしゃってくださったように、多様な選択肢ということがすごくあり得るのかなと思います。
 他方、この問題を議論していくときに、ジェンダー統計が何で重要なのか。この意味がまだあまり理解されていないのだなということが今回よく分かりました。特に今、SDGsと皆さんがおっしゃっていて、国も自治体もやっています。SDGsの中では、一つジェンダー平等ゴールという5番目のゴールがあります。なので、先ほど来議論になっているジェンダー統計というのは、男女共同参画社会、ジェンダー平等を推進していくために重要なのだということが一つありつつ、もっと重要なのは、SDGsの文脈では、ほかのゴールにもジェンダー主流化しなければいけないということをはっきり言っていまして、ジェンダー主流化の第一歩としてまずはジェンダー統計、男女別データということをはっきり言っているのです。なので、例えば気候変動とか災害とか感染症とか、ジェンダー平等推進を一義的な目的とはしていない政策領域に関してもちゃんと実態調査をするには、まずはジェンダー統計の拡充ということを言っていて、それに基づいて政策、施策の立案。
 もっと重要なのがモニタリング、進捗状況の確認ということと、それから評価です。そういう比較を行ったことによって、男女にどう異なる影響が出たのか。それが差別を温存するような形でなっていないかとか、どれだけ男女格差を縮めたかとか、そういう評価にもすごく重要になってくるので、ジェンダー統計の意義が行政、地方公共団体であまり理解されていないとするならば、これは大問題だと私は思いますので、ジェンダー統計の意義というものをしっかりと併せて統計の取り方とか聞き方とか、そういったことを議論するのとセットで、この意義をしっかりと国として方針を示して、考え方を示していくことが重要かなと思います。
 日本はSDGsをやっていますと言っていますけれども、もしジェンダー統計をちゃんと取っていないとしたら、それはもうSDGsではないですねということです。

○佐藤会長 徳倉委員、お願いします。

○徳倉委員 もう時間も過ぎているので、簡単に。
 今、各委員が言われたとおりで、もうアグリーでございます。その中で、今、大崎委員も言われたように、ジェンダー統計は世界的にも発信をしていかないといけない、そのために必要な指標だということで、男性、女性、先ほど佐々木委員もおっしゃっていましたけれども、その他という書き方は非常に排他的に感じます。ですので、無回答がいいのか、どちらでもないがいいのかというのは、治部さんもおっしゃいましたけれども、当事者の方から広く御意見をいただいて、その中である程度この方針だということを、林局長がおっしゃったように、この内閣府の中で、このような専門家の中で、こういう意見が出ているという一つのスタンダードを仮でもつくって、それを発信していくことによって、各自治体や基礎自治体がそこに準じていくような形の一つルールをつくっていくのが非常に建設的かなと思います。
 以上になります。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 皆さん、まずはなぜジェンダー統計の整備が必要なのかをもう一度きちんと押さえる。その上で、多様なものが出てきました。それを踏まえながらどうするかということを会議するということで、議論する必要があるかなと思いました。
 それでは、ここまでですけれども、局長のほうから何かありますか。

○林男女共同参画局長 ありがとうございます。大変貴重な御意見をいただきました。
 今日いただいた御意見も踏まえて、私どもはさらに何ができるか、一生懸命検討してまいりたいと思います。また御議論いただけるように、いろいろと準備してまいりたいと思います。
 ありがとうございました。

○佐藤会長 それでは、少し時間が延びましたけれども、いつもと同様、活発な議論をしていただいて、ありがとうございます。また次回もよろしくお願いいたします。
 それでは、ここで終わりにさせていただきます。どうも御苦労さまでした。