計画実行・監視専門調査会(第7回)議事録

  • 日時:令和3年11月25日(水)10:00~12:00
  • 場所:オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
  1. 開会
  2. 議題
    女性の経済的自立について1
  3. 閉会

【配布資料】

資料1
女性の経済的自立について(内閣府説明資料) [PDF形式:2,423KB]別ウインドウで開きます
資料2
男女間の賃金格差の要因とその対応等(厚生労働省説明資料) [PDF形式:3,539KB]別ウインドウで開きます
資料3
求職者支援制度による再就職などに向けた支援(厚生労働省説明資料) [PDF形式:1,174KB]別ウインドウで開きます
資料4
ひとり親家庭の支援施策について(厚生労働省説明資料) [PDF形式:5,257KB]別ウインドウで開きます
資料5
経済産業省のデジタル人材育成政策について(経済産業者説明資料) [PDF形式:1,013KB]別ウインドウで開きます
資料6
養育費不払い解消に向けた取組について(法務省説明資料) [PDF形式:3,263KB]別ウインドウで開きます
参考資料1
計画実行・監視専門調査会委員名簿 [PDF形式:109KB]別ウインドウで開きます
参考資料2
女性活躍・男女共同参画の重点方針2021(令和3年6月16日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定) [PDF形式:1,377KB]別ウインドウで開きます

【出席者】

会長  
佐藤 博樹  
中央大学大学院戦略経営研究科教授
委員  
石黒 不二代 
ネットイヤーグループ株式会社代表取締役社長兼CEO
同   
井上 久美枝 
日本労働組合総連合会総合政策推進局長
同   
大崎 麻子  
関西学院大学客員教授
同   
佐々木 成江 
名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻准教授、お茶の水女子大学ヒューマンライフイノベーション研究所准教授
同   
治部 れんげ 
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授
同   
白波瀬 佐和子
東京大学大学院人文社会系研究科教授
同   
徳倉 康之  
NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、株式会社ファミーリエ代表取締役社長
同   
内藤 佐和子 
徳島市長
同   
山口 慎太郎 
東京大学大学院経済学研究科教授
内閣府 
林 伴子   
男女共同参画局長
同   
吉住 啓作  
大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
同   
杉田 和暁  
男女共同参画局総務課長
同   
花咲 恵乃  
男女共同参画局推進課長
同   
矢野 正枝  
男女共同参画局総務課調査室長
法務省 
堂薗 幹一郎 
大臣官房審議官
厚労省 
山田 雅彦  
雇用環境・均等局長
同   
本多 則惠  
大臣官房審議官(社会、援護、人道調査、福祉連携、外国人雇用、就労支援連携担当)
同   
中野 孝浩  
子ども家庭局家庭福祉課長
経産省 
江口 純一  
サイバーセキュリティ・情報化審議官

議事録

○佐藤会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第7回「計画実行・監視専門調査会」を始めさせていただきます。
 本日は、野田男女共同参画担当大臣に御出席いただいておりますので、最初に御挨拶をいただきたいと思います。それでは、野田大臣、よろしくお願いいたします。

○野田男女共同参画担当大臣 皆さん、おはようございます。私の顔も大分見飽きてきたのではなかろうかと思っていますが、今日も登場させていただきました。
 今日は、引き続き、いわゆる女性版骨太の方針に向けた議論を行っていただくことになっておりまして、誠にありがとうございます。
 実は冒頭おわびをしなければならないのは、私も徐々に忙しくなってまいりまして、今日は冒頭の挨拶だけで失礼しなければなりません。また、皆さんのお話はしっかりと林さんから聞かせていただきまして、レスポンスができればと思っています。  今日は、女性の経済的自立についての御議論をいただくことになっています。
 私も含めて、昭和と違って令和の時代、結婚の在り方、人生も100年と言われる中で、『サザエさん』のような家庭はほぼ現実には消滅し始めているのではなかろうかと思います。そういう中で、離婚も昔はバツとか言われていましたけれども、今や60万結婚して、20万離婚されるということで、さほど特別な出来事ではなくなっています。
 しかし、その後、子供を抱えた母親がひとり親になったときに、急激に困窮してしまうというのが、離婚そのものの問題ではなくて、離婚後の女性の経済的自立の問題になっているのではないかと思っています。それについて、正直、私にもまだ正解は見つかりません。
 うちの子も重度の障害児なのですけれども、重度の障害児というのは、育てるのが大変難儀なのですが、残念ながら家族の中の離婚もかなり多い。父親が精神的にその子といることがだんだんつらくなって、家を出てしまうというケースは、私の友人だけでも3組ございました。
 そんな中で、普通であっても、また障害を持つ子供であっても、育てることは極めて大変なことであるのですが、なかなかそれが痛みとなってほかの人たちに通じていかない。熱いものを触れれば熱い、とがったものを触れれば痛いという痛点があるのですけれども、女性の経済的自立について、痛点がなかなか伝わっていないのではないかという感じがあります。
 同一労働同一賃金も決まったものの、まだスルーされている感があり、どうやったら、しっかりとそれを根づかせることができるか。あと、突然来る離婚等でしっかりとセーフティーネットを提供できるかどうか。企業で言うスタートアップですけれども、やり直すときに手元資金を確保できるということは、安心材料になると思います。
 そんなことも踏まえて、皆さんはどうにかしなければということをずっと言ってくださっているけれども、具体的に何かという生々しい話になると、いろいろとためらいがあるのではないか。今日はぜひ率直な御意見を出していただきながら、実際に役立つようなことが次の骨太に盛り込めるよう、お力添えをいただきたいと思っています。
 今日も一日よろしくお願いします。ありがとうございます。

○佐藤会長 大臣、どうもありがとうございました。
 お話の中にありましたように、大臣は公務のため、ここで退席されるということですので、大臣のお話を踏まえて今日は議論できればと思います。どうもありがとうございました。

○野田男女共同参画担当大臣 またよろしくお願いします。

(野田男女共同参画担当大臣退室)

○佐藤会長 それでは、議事に入りたいと思います。

 本日は、窪田委員と山田委員が御欠席になります。
 テーマは、先ほど大臣からもお話がありましたように、女性の経済的自立ということで、最初にこのテーマに関係することについて、内閣府、厚生労働省、経済産業省、法務省から御説明いただいて、その後、皆さんから御説明についての質問なり、御意見、あるいはこのテーマについての御意見を伺えればと思います。
 それでは、まず最初に、内閣府の林男女共同参画局長から御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○林男女共同参画局長 内閣府男女共同参画局長の林でございます。
 それでは、画面を共有させていただきます。
 本日は、女性の経済的自立に関する第1回目の議論ということで、雇用やひとり親などに関わる課題を中心に取り上げたいと思います。
 コロナ下で雇用は男女ともに影響を受けましたが、特に女性の雇用への影響は大きく、その背景には女性の非正規雇用者が多いこと、また、宿泊・飲食業、生活サービス・娯楽業などがコロナの影響を強く受けたことがございます。
 現在はマクロ的に見ると相当程度改善していますが、以下、その中身に注目したいと思います。
 右側のグラフ、女性の雇用者の足元の状況をコロナ前と比較するため、前々年の同月との差を見ると、グレーの正規雇用者は増加する一方、オレンジの非正規雇用者は減少が続いております。
 この背景には、産業別で見ると、正社員割合が比較的高い医療・福祉分野や情報通信業で雇用が増加する一方、宿泊・飲食業、生活サービス・娯楽業では厳しい状況が続いていると考えられます。いわゆるK字型の回復になっていると言えます。
 求人を見ますと、飲食関係の求人はコロナ前には戻っておらず、他方、介護やIT関係などは高い求人倍率となっております。こうした需要の多い分野に円滑に人材が移動していくことは、大変重要な課題だと考えられます。特にデジタル人材については、成長分野として旺盛な需要があり、人手不足となっています。この分野の人材を積極的に育成していくことは、女性が高い賃金を得ていく上でも、また、日本経済全体の発展にとっても大変重要だと考えております。
 次に賃金について見てみたいと思います。給与は正規、非正規の格差に加え、同じ正社員、同じ非正規でも男女間の格差があり、年齢が上がるにつれて、その差は拡大傾向にあります。また、同じ職業、同じ勤続年数でも男女間の賃金格差が見られます。こうした男女間の賃金格差は、長期的に見ると縮小傾向にあります。
 しかしながら、国際比較をすると、日本は男女間での賃金格差が大きい国の部類に入ります。例えば男女それぞれの賃金の中央値を比較すると、OECD諸国の平均は男性を100とすると、女性は87になりますが、日本は76と、女性の賃金の中央値は男性の賃金の中央値の約4分の3となっております。また、この傾向は高所得層で特に顕著で、OECD諸国の平均は81であるのに対し、日本は67と、女性の賃金は男性の3分の2になっております。
 年齢別に年収の男女間格差を見ますと、正社員では50代後半が格差のピークとなり、女性の賃金水準は男性の約3分の2となっております。
 正規、非正規で男女の賃金を見ると、同じ勤続年数でも男女間に差があります。
 学歴別に見ても、同じ勤続年数でも男女間に差があります。
 大卒、大学院卒の正社員にフォーカスして見ると、年齢が上がるにつれて男女間の格差が拡大しています。
 産業別に見ると、運輸・郵便業、情報通信業では比較的格差が小さく、一方、金融・保険業では格差が顕著です。特に大企業ほど格差が大きくなっています。
 さらに役職別に見ると、同じ部長級、同じ課長級でも男女間に年収の格差があります。
 女性は離職率が高いので、十分な人材投資が行われず、結果として賃金の格差が生じているという議論があります。この点についてデータを確認いたしますと、女性の離職率は確かに男性より高いです。ただし、近年、女性の離職率は低下傾向にあり、一方、男性の離職率が上昇しているので、両者の差は以前よりは小さくなっております。
 次に女性の人生や家族の多様化の進展と、昨今の女性の経済的困窮の関係について見ていきたいと思います。昭和の時代、例えば1970年時点では、結婚は年間100万件、離婚は10万件弱でした。しかしながら、現在は結婚が年間60万件前後に対し、離婚は20万件になって います。また、結婚60万件のうち、26%は再婚となっており、女性の人生や家族の姿は多様化し、昭和の時代とは様変わりしていると言えると思います。
 こうした中でひとり親も増えていますが、母子世帯の平均就労収入は年間200万円、また、別れた夫からの養育費を受け取っているのは24%という厳しい状況になっております。
 離婚で母子世帯になった年齢を見ますと、30代が約5割となっています。また、末子の年齢は2歳以下が45%、3歳から5歳が22%となっており、就学前の小さな子を連れた30代の母親がひとり親の離婚時点で最も多い姿になっています。
 また、離婚前の就業状況を見ますと、就業していた女性が約4分の3になっていますが、いわゆる専業主婦だった人も23%います。現役世代全体で見ても、専業主婦世帯は今23%ですので、特に専業主婦の離婚が少ないということはありません。また、離婚後の就業は正規、非正規が半々となっています。
 所得分布を見ますと、ひとり親世帯の半数は貧困線以下となっています。このため、日本のひとり親家庭の相対的貧困率はほぼ50%と、OECD諸国でも韓国に次いで最も高い水準になっています。
 また、未婚の非正規雇用の女性にも着目したいと思います。このグラフは、女性の非正規雇用者数ですが、赤く塗ってあるところが未婚の人で、これを足し上げると171万人、女性の雇用者数全体の8%になります。
 こうした人も含めた配偶者のいない非正規雇用の女性の所得を見ると、その半数は年収が150万円未満という状況であります。親元で生活している場合もあると思われますが、いずれその親もいなくなることを考えると、長期的にはかなり厳しい状況になる可能性があります。
 女性の52%は90歳まで生きます。死亡年齢の最頻値、すなわち死亡数の最も多い年齢は92歳であります。人生100年時代、女性の人生も家族の姿も多様化する一方で、老後の生活も長くなっている中で、女性が経済的に自立すること、自立できるような環境をつくることは大変重要な課題だと考えられます。また、支援が必要な人には支援がきちんと届くようにすることが大切だと考えられます。
 こうした中で、政府としては、今年6月に決定した骨太の方針及び女性版骨太の方針の中で、ひとり親に対する職業訓練、養育費の不払いの解消、同一労働同一賃金に基づく非正規雇用労働者の待遇改善、また、女性デジタル人材の育成に取り組んでおります。これらの政策の進捗につきましては、後ほど厚生労働省、経済産業省、法務省の局長、審議官など、幹部の方々から説明をしていただきます。
 また、私ども内閣府男女共同参画局といたしましても、女性のデジタル人材育成について、地域の男女共同参画センターなどと連携して進め、地方自治体を交付金によって支援するということを行っているところでございます。
 私からは以上です。ありがとうございました。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 続きまして、厚生労働省の山田雇用環境・均等局長から御説明いただきます。よろしくお願いします。資料2になります。

○山田雇用環境・均等局長 それでは、始めます。
 もともと賃金格差、非正規雇用労働者の待遇改善、同一労働ということでお題を与えられていましたけれども、所要時間も10分しかないので、男女の賃金格差にウエイトを置いた説明をさせていただきたいと思います。
 これは先ほど内閣府からも御説明がありましたけれども、有期でない人の短時間、労働者ではない人、一般労働者の数字は、賃金格差は長期的には縮小傾向にある。それがより正社員、正職員については顕著に見られる状況であります。
 これは平成22年の研究会の報告以降、うちでずっと出している分析ですけれども、男女間賃金格差の要因分析ということで、役職、勤続年数、学歴、労働時間、年齢、企業規模、産業について、女性の労働者構成が男性と全く同じであった場合、どれだけ格差が縮むかということで分析しているものでありますが、一番大きな要因は役職、それから勤続年数ということになっています。
 この分析では、職種が影響を与えている部分が拾えていないのですけれども、一番新しい賃金構造基本統計調査から職種に対するより細かいデータが取れるようになっているので、それを踏まえて分析は可能だと思っています。
 もう一つの問題は、ここに掲げてある七つの項目について、相互の影響が取れていないということです。そういった問題は実際には発生しておりますが、大体の傾向としてどの要因が一番影響しているのかということは、これで見てとれるのではないかと思います。
 二つページを飛ばしまして、勤続年数に関してですが、赤とオレンジの部分、出産前に有職者であって、そのまま継続就業している人はその中の半数ということで、この数字自体は確実に伸びてはきていますが、いまだに53.1%という状況にあります。
 これも継続就業に関係するデータですけれども、夫の家事・育児時間が長いほど、妻の継続就業割合が高い傾向にあるということで、さきの通常国会でも男性の育児休業の話に力点を置いた法律改正をしていますが、夫の家事・育児時間が妻の継続就業割合に影響を与えているという状況であります。
 育児休業の取得率についてですが、女性は8割台で今はフラットな状態になっていますけれども、男性については確実に伸びています。ただ、ここには明示していませんけれども、取得日数自体は女性よりもはるかに短い状態なので、今回の法改正を踏まえて、男性がより長い形で育児休業を取れるようにと、考えているところであります。
 主な男女の賃金格差についてどういう対応をするかということで、ハードなものとしては男女雇用機会均等法でありますが、今回はあえてソフトアプローチである女性活躍推進法に焦点を絞って御説明をします。
 現在、常用労働者301人以上の企業に対して、女性活躍に関する計画的な取組ということで、行動計画をつくっていただいていますけれども、来年4月1日から301人以上の規模の企業から101人以上の規模に拡大します。
 ここのところは、企業がこういったところを進めていかなければいけない、どういうところに問題があるかということをきっちり認識してもらって、情報の一部については対外的に公表する形で進めていかなければいけない、考慮しなければいけないということで、えるぼしの話と併せて、こういった取組も進めているところであります。
 現在の施行状況ですが、義務になっている301人以上の規模の企業については、97%行動計画を策定していただいている状況であります。
 そのページの下にある企業データベースの掲載状況ということで、そういった情報について公表していただいている企業は1万5000社でありますけれども、当初、1000社ぐらいのレベルからスタートしていますが、データベースに出してくれる企業が今はその10倍にまで広がっています。
 えるぼしについては、学生が就職する際にも気にされるものであります。
 もともと計画をつくって、それを実際に実行して、チェックして、次のアクションにつなげていくというサイクルなのですが、今の流れができたのは女性活躍推進法が改正された令和元年なので、正直、計画をつくっているところ、つくったばかりのところが多いということでありますが、チェック、アクションを続けていかないと意味のないものになってしまうので、そこをどうやって進めていくかということが今後の課題になると思います。
 来年度の事業として、そういった行動計画を実際につくって、それを分析して、次のアクションにつなげるのですが、個々の企業がやっていくことに対して、アシストするような事業を開始する予定であります。
 企業にそういった個別のアシストをする一方で、既にできている行動計画そのものを分析して、ある種のモデル的なものもつくっていく必要があるということで、JILPTにその分析をやってもらったのですが、女性の活躍状況を大くくりに分けると、そこにありますように四つのグループに分かれるだろうと思います。
 第1グループは、女性の採用がそもそも進んでいないところです。
 第2グループは、女性の採用は一定進んでいるけれども、その登用に問題があるところです。
 第3グループは、女性の比率も高いし、管理職の比率も高いけれども、いまだに問題が残っているところです。
 第4グループは、女性比率、女性管理職比率も中程度というところです。
 4つのグループに大まかに分かれると思います。その上で、今の企業が置かれているのがどの位置にあるかによって、次のステップが変わってくるであろうということであります。
 第1グループに問題があるところで、そもそも入り口の採用者数、割合の増加を進める必要があるところの事例を21ページに載せています。
 女性社員は多いけれども、管理職への登用がなかなか進まないところの例が22ページにあります。
 そのほかのいろいろなものも載せてあります。
 進んではいるけれども、そういったことが進まないある種の企業風土みたいなものを変えていく、アンコンシャス・バイアスの話とか、そういったものに通じるところを解消していこうということで活動している、NPO法人J-Winというものがあって、私もオブザーバーとして参加していますが、そういったところでお互いの企業の状況を共有したり、ほかの企業から知恵をもらったりということで、変えていきます。こうすればいいとか、一対一対応で回答が得られないものについて、お互いに情報を交換して、この組織ではオールド・ボーイズ・ネットワークと言われているものを壊していくために進めていることの御紹介をさせていただきます。
 両立支援に関しては、今回の法改正で産後パパ育休を創設しています。これはさきの通常国会で通ったもので、今、経済界を中心にセミナーを開いたりしていますけれども、関心は強い状況であります。我々行政側としては一番憂うべき状況は無関心、ですけれども、セミナーで質問などもたくさん出る状況で、関心を強く持っていただいているということで、各企業での対応が期待されるところであります。
 非正規雇用労働者については、端折って話をしますが、これも先ほど内閣府から御説明があったとおり、非正規雇用労働者に占める不本意非正規雇用労働者の割合というのは、男性、女性ともずっと下がってきている状況であります。ただ、背景には高齢者で働く人が増えているということで、最初から非正規雇用前提で仕事を選んでいる人たちが増えているという問題と、あと、これはあまりメディアなどでは言われないですけれども、若年者での非正規雇用から正規雇用への転換というのは、相当数進んでいる。そういったことが融合されていると思っています。ただ、若年でも高齢でもない中間的な年齢層の人たちは、本意なのか、不本意なのかということについては、もう少し掘り下げた議論が必要だと思います。単に不本意非正規雇用労働者が下がってきているということだけで語ってしまっていいのかというところについては、いろいろと議論が必要だと思います。
 私のプレゼンテーションはここで終わらせていただきます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、続けて厚生労働省の本多大臣官房審議官から御説明いただきます。資料3になります。

○本多大臣官房審議官 それでは、始めさせていただきます。
 厚生労働省の審議官の本多と申します。
 今日は求職者支援制度について御説明をいたしますが、厚生労働省が労働政策として提供している職業訓練制度は二つありまして、雇用保険を受給している方向けの公共職業訓練と、今日説明をする求職者支援訓練です。
 求職者支援制度ですけれども、雇用保険を受給できない求職者が月に10万円の生活支援の給付金を受給しながら、無料の職業訓練を受講して再就職や転職を目指す制度です。これは雇用保険と生活保護の間をつなぐ第二のセーフティーネットとして、平成23年度に創設されました。
 これは離職して収入がない方を主な対象としていますけれども、在職中の方でも収入が一定以下の場合には、給付金を受給しながら訓練を受講できることになっております。
 収入の上限は本人収入が月8万円以下、かつ世帯収入が月25万円以下です。特例として、シフト制で働く方については、月12万円以下でも対象にすることとしています。
 また、出席についても要件を設けていまして、全ての訓練実施日に出席するのが原則で、病気など、やむを得ない理由がある場合でも8割以上の出席を要件としています。
 今お示ししている画面の赤字で書かれているものは、現在、特例措置として設けているもので、特にコロナ禍でシフトが減って厳しい状況に置かれている方などが、働きながら訓練を受講しやすくするために、本人収入の要件と出席の要件を緩和しております。
 訓練の種類ですが、二つありまして、社会人として基礎的な能力を学ぶ基礎コースと実践的な技能を学ぶ実践コースを設けていて、訓練期間は2か月から6か月、訓練時間は月100時間以上としております。
 特例措置として、シフト制で働きながら受講しやすい短期間・短時間の訓練コースも設けておりまして、この下限を緩和しております。
 受講者数の状況ですけれども、平成23年10月に創設されて、平成23年度は半年分だけなのですが、翌年度の平成24年度が最も多く、10万人弱でございました。
 その後、雇用情勢が改善するに伴って減少しておりまして、コロナ前の令和元年度は約2万人になっております。
 令和2年度はコロナの影響を受けて、2万3734人と増加に転じています。
 直近の令和3年度ですが、4月から9月までの半年間の累計で1万3385人、前年同期比で125%と大幅な増加になっております。
 受講者数の内訳ですが、女性が約7割ということで、女性がよく活用されています。
 年齢階層は、年代別に比較的均等に分布をしております。
 訓練の分野ですが、基礎コース、パソコンなどが中心となっていますけれども、基礎コースが25%、営業・販売・事務と医療事務を合わせて26%、デザインが16%、こういったところが多くなっておりまして、ほかには介護福祉、ITがそれぞれ9%、理美容が7%などとなっております。
 分野別に男女の特色がございまして、特に特徴があるのがIT分野で、これは男性割合が高い。一方で、医療事務や理美容はほぼ全てが女性になっております。ほかの分野は訓練受講者の母集団の比率にほぼ等しくなっております。
 この中からIT分野について、内容を詳しく御説明します。
 IT分野の訓練ですが、例えばJavaを学んで、スマートフォンアプリケーションプログラマーを養成するコースなどを設定しております。
 目指せるレベル感ですけれども、ITSSレベル1~2の基礎的なIT人材の育成を目標にしています。
 訓練受講者はIT関係の仕事の経験がない方が多く、下の訓練修了生の声のところにございますが、プログラミングが全く分からないところから、4か月という短期間でたくさんのことを学べた。訓練を受講して、IT業界で働くために何を学んだらいいのか、どのような資格が必要か分かったといった声をいただいております。
 この制度を必要な方に活用していただくために、周知・広報の取組を強化しておりまして、利用者目線に立った広報、また、政府広報を活用した広報を工夫しております。
 その結果が多少出ておりまして、求職者支援制度の専用サイトへのアクセス数は、昨年度と比べると3倍近く増えておりまして、今、約12万件になっております。
 今般の経済対策において制度の拡充を進めております。内閣府の御説明にもありましたように、コロナ禍によって、とりわけ非正規の方にとって厳しい状況が続いていますので、今、取りまとめ中の経済対策の中で、求職者支援制度の要件の緩和をさらに検討しているところでございます。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 続けて、厚生労働省の中野子ども家庭局家庭福祉課長から御説明いただきます。資料4になります。ひとり親家庭への支援制度になります。

○中野子ども家庭局家庭福祉課長 厚生労働省の家庭福祉課長でございます。よろしくお願いいたします。
 関連して、私からはひとり親への支援策について御説明をしたいと思います。
 まず、母子家庭の現状でございます。今日は就労のところを中心に御説明申し上げたいと思うのですが、データで見ますと、ひとり親家庭は一般の児童がいる世帯に比較しまして、稼働所得が非常に低いというところが特色でございます。母子世帯の稼働所得を平均で見ますと、一般の児童のいる世帯と比較しまして、34%という状況でございます。
 こうした中、ひとり親家庭への支援策としまして、子育て・生活支援がございます。ひとり親家庭は恒常的にワンオペになっておりますので、ヘルパーの派遣、保育所、こういった支援が必要になるわけでございます。今、申し上げたとおり、所得が低い状況なので、就労支援は非常に重要になるわけでございます。あわせまして、養育費の確保支援もございます。それから、児童扶養手当を中心とする経済的支援、こうしたものを一体で支援する施策を推進しているところでございます。
 こうした中、御案内のとおり、新型コロナで非正規を中心とする、特に女性が大変な状況になったということで、これまで何度かにわたる緊急対策を打ってきたわけでございます。児童扶養手当を受けている世帯に対しましては、臨時給付金という形で、これまで3回にわたり、ひとり親世帯臨時特別給付金を支給してまいりました。
 また、今年の2月、3月、関係閣僚会議で非正規対策が講じられました。この中では様々な対策が打たれたのですが、ひとり親の自立支援についても臨時給付金を出すだけではなくて、中長期的な自立支援が必要だということで新たな施策が決定されました。
 具体的に申しますと、高等職業訓練促進給付金の拡充です。さきほど、一般施策としての求職者訓練制度の説明がなされましたが、ひとり親向けにも同じような、つまり職業訓練をしている期間、毎月10万円の支給をするという制度がございます。この制度の特例を講じるものでございます。
 もう少し具体的に申し上げますと、高等職業訓練促進給付金というのは、もともと国家資格、つまり、看護師とか、准看護師、保育士、介護士、こういう例を掲げておりますが、1年以上の訓練を要する国家資格を取得する場合につきまして、住民税非課税世帯については、訓練中に月10万円、さらに、最後の1年間はプラス4万円の加算がつきますので、14万ということになるわけでございますが、そうした生活費を支給する制度がございました。
 本日はIT人材の育成というところがテーマになっているわけでございますが、特にITの関係につきましては、民間の資格が多いということで、規制緩和をいたしまして、国家資格だけではなくて、民間資格取得の場合にも対象にする。さらにこれまで1年以上の訓練という条件だったわけですが、それを6か月以上という形で、対象を拡大するという特例措置を講じたところでございます。これは令和3年度限りの措置として講じたところでございます。
 あわせまして、訓練中の住宅費、家賃も大きな課題になるわけでございますので、そうした職業訓練を受ける期間、住宅の借り上げに必要になる資金につきまして、償還免除つきの貸付制度を導入してございます。条件としまして、1年間安定的な就労に就いた場合、事後的に免除する形の制度でございます。訓練パッケージという形で、ひとり親の方の自立につながるような取組を推進しているということでございます。
 次のページ、これは根拠となる骨太の方針といわゆる女性版骨太の方針でございます。
 今後の課題ですが、新しい制度でございますので、特に拡充部分について、なかなか知ってもらえないところが課題でございますから、こうしたパンフレットを使って周知をしたりしております。資料に付けておりますのは、政府広報でございますが、例えばバナー広告、一般的な「投網」の広告だけではなくて、対象者について、より関心の高い層にターゲットを絞った広報、こうした広報を実施しているところでございます。
 さらに自治体に向けに通知を出すだけではなくて、その通知につきまして、より分かりやすく説明会を実施するという取組もしてございます。特に今回緩和した部分、単に緩和するだけではなくて、地域の実情に応じた支援が必要ということで、例えば地方ですと、IT関係のプロバイダー(職業訓練実施事業者)がないところがございます。そこでオンラインの利用も可能だという形で、柔軟な運用を認めるという取組をしてございます。
 次のページ、これは、いくつかの例示ですが、先ほどの求職者訓練制度の説明でもございましたが、それ以外にも様々民間資格の例があるということで、例示を示してございます。
 さらにオンラインを活用しまして、厚生労働省による自治体向けの会議も実施するのみならず、ホームページでもアップした上で、何度でも会議の様子がご覧いただけるようにしているところでございます。
 次に、伊万里市の例を載せておりますが、自治体のホームページに高等職業訓練制度が条件緩和をしたことについて、周知をしていただいているところでございます。
 次に、来年度の予算要求についてです。これはまだ要求中でございますので、全てが実現するわけではないのですが、今、ひとり親の訓練中の生活費の支援、高等職業訓練促進給付金のお話をさせていただきましたが、このほか、訓練経費の支援の制度もございます。現行、受講料の6割相当、上限20万でございますが、来年度に向けまして、拡充させる予算要求をしているところでございます。
 また、今、申し上げましたとおり、令和3年度の高等職業訓練促進給付金、生活費支援の部分の対象拡大等の措置につきましては、いわゆる女性版骨太にも書かれていますとおり、令和4年度以降、継続するよう予算要求をしているところでございます。
 厚生労働省からは以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、経済産業省の江口サイバーセキュリティ・情報化審議官から御説明いただきます。資料5です。

○江口サイバーセキュリティ・情報化審議官 経済産業省の江口でございます。
 画面の共有をさせていただきます。
 それでは、経済産業省におけますデジタル人材育成の取組につきまして、御紹介をさせていただければと思います。
 既に今日、林局長の御説明、さらには本多審議官の御説明にも出てきておりますけれども、ITスキルを持った人材の育成についての取組でございます。世の中全体として、デジタル化を進める、組織のDXを進めるということで、IT人材の教育に対する要請というのは非常に強くなってきているところでございます。これから市場が拡大していく中で、人材の供給と需給、需要のバランスが崩れていくと言われています。
 その中で、IT、デジタルに関するスキルを見た場合には、リテラシーからミドルスキル、さらにはハイエンドというスキルを有した方々がいらっしゃるわけですけれども、底辺を拡大するとともに、ハイエンドの部分の人材も伸ばしていく、トップ人材を伸ばしていくことが特徴になってございます。
 そのような中で、今日は女性の活躍ということで、デジタル、ITということでございます。既に御説明の中で厚生労働省から職業訓練のお話も出てきているわけでございますけれども、IT技術を学ぶということに関しましては、これまでITに関する教育を十分に受けてこなかった年代においては、ハードルが高くなってきているのではないかと考えているところでございます。
 特にコロナ禍でということで、昨年の12月に公開をさせていただきましたが、経済産業省では巣ごもりDXステップ講座情報ナビというものを提供させていただいております。これは様々なIT、デジタルに関する技術、スキルを学んでいくものでございます。掲載のコンテンツなどがございます。入門の部分からハイエンドのものまで、いろいろと載せてあるわけでございますが、特にITはこれまで勉強してこなかったのだけれども、ITの世界に入っていきたい、またはITスキルを身につけて様々な仕事に就いていきたいという方々の入門となるようなものも、この中で提供させていただいています。
 これは全てオンラインで学習ができるようになっておりまして、特に入門編の短いものですと、数十分ぐらいのものから1時間とか、ハイエンドのもので、長いものだと何日間にもわたるものも用意してございますけれども、無料で学ぶことができるということでございます。特に入門的なことで学んだ上で、様々な職業訓練等々に生かしていくという連携なども期待ができるのではないかと思っております。
 コンテンツ自身も我々が全てつくるということではなく、既に様々なコンテンツが世の中にございますので、そのような事業者の方々に協力をいただきまして、コンテンツの提供を呼びかけた上で、ここに載せていただいて、講座を受けたいという方々に使っていただける、見ていただけるという環境を整えておるところでございます。
 そのような中で、次のステップを目指すということですと、情報処理技術者試験の中に、特に入門として、ある意味社会人が共通に備えておくべき基礎知識を問うものといたしまして、ITパスポート試験というものも用意をして、2009年度から、これは相当昔から行っておるところでございます。
 社会人、学生共に受験をいただいていまして、最近ですと、真ん中の段にありますけれども、3分の1強は学生の方に受験をいただいているということでございます。もちろんIT企業の方々に受けていただくこともあるわけでございますけれども、非IT、ITをユーザーとして、技術として利用している方々にも御利用いただいているということでございます。このようなもので一定の知識を身につけていただき、職に就いていく、さらにITを学んでいくという観点から有効な策になるのではないかと考えております。
 最後の1枚になりますけれども、今後の展開ということでございます。現在、巣ごもりDXステップ講座情報ナビということで、様々なコンテンツの提供の準備を開始したところでございますけれども、このようなコンテンツを充実させていくことも重要になってきます。
 さらに人材を育てていく中では、適切な環境で実践型の様々な取組に参加いただいて、実践の研修の場、現場研修的なものを通じて、スキルアップをしていただくというのが非常に重要になってくるということで、各府省と連携をいたしまして、デジタル人材育成プラットフォームをつくりまして、そのようなものにコンテンツをのせる、さらには具体的な現場研修のマッチング等々、プログラムを提供していくことでの人材育成を進めていければと思っております。
 これはあくまでプラットフォームでございますので、地域の拠点なども活用いたしまして、地域における活動と連動していくことも重要でございますし、また、企業、組織の方々と連携をしながら、社会全体としてITスキルの向上に資する取組、人材育成に取り組んでいきたいと考えてございます。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、最後になります。お待たせしましたが、法務省の堂薗大臣官房審議官から御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○堂薗大臣官房審議官 法務省民事局担当審議官の堂薗でございます。
 大変恐縮なのですが、こちらの資料は、どちらかというとイメージ的なものでございまして、これから説明する内容を必ずしも記載したものではございませんので、お手元の資料を御覧いただきながら、画面共有せずに御説明させていただいてよろしいでしょうか。

○佐藤会長 皆さん、平気ですか。それでお願いいたします。

○堂薗大臣官房審議官 大変恐縮です。
 それでは、御説明いたします。
 養育費につきましては、子供の心身の健やかな成長のために必要なものであるにもかかわらず、現状を申し上げますと、取決め率、支払い率ともに低い水準にありまして、養育費の不払い解消は極めて重要な喫緊の課題であると認識しております。
 このため、法務省では、現行制度の枠内における運用面での改善を行うという方法と、法制度自体の見直しを行うという方法の両面から積極的に取り組んでいるところでございます。
 本日は、重点方針2021で御指摘いただいた事項を中心に、運用面の取組状況を御説明した上で、最後に法制度面の取組についても御紹介させていただきます。
 まず運用面の取組についてでございます。一つ目は、動画等による効果的な情報提供でございます。法務省ではこれまでも養育費の取決めを促進するための周知・広報として、養育費に関するパンフレットを離婚届用紙と同時に配付するなどの取組を行ってまいりました。
 このたび、資料の3ページになりますけれども、養育費バーチャルガイダンスという新たな動画を作成いたしまして、養育費に関する諸制度のさらなる周知を図るという取組をしてございます。この動画はユーチューブ上で公開をしております。養育費に関する基本事項、取決めの方法、不払いがあった場合における支払い確保、具体的には強制執行等の手続になりますが、こういった問題となる場面ごとに必要な知識やどのような支援があるかという点について、分かりやすく解説したものでございます。
 離婚届の標準様式の変更、こちらは資料の6ページに載せてございます。これまでの養育費の周知の一環として、離婚届に養育費の取決めの有無を尋ねるチェック欄を設けて統計を取ってきたところでございますが、令和3年4月にこの様式を変更いたしまして、公正証書での取決め、これを公正証書で行いますと、不払いがあった場合に一定の要件の下で強制執行をすることができることになるわけですが、それを促進する観点から公正証書による取決めの有無に関するチェック欄を追加したほか、法テラスの連絡先を追加したり、あるいは離婚届にQRコードを追加したりして、養育費に関する情報提供の説明動画にアクセスできるようにしてございます。
 次に法務省のホームページの大幅な改修ということで、こちらは資料の4ページを御覧ください。4ページの真ん中の右側ぐらいに書いてあるところでございますが、昨年の3月に「離婚を考えている方へ、離婚をするときに考えておくべきこと」というウェブサイトを開設いたしまして、養育費等に関する周知を行ってきたところでございますが、本年4月に知りたい情報に速やかにたどり着けるように、チャート式のQ&Aページを追加するなどの大改修を行ったところでございます。引き続き、法務省としては、ひとり親の方々の目線で、分かりやすい周知・広報に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 続きまして、資料の1ページにございますが、モデル事業の実施をはじめとする実証的調査研究も行っているところでございます。この種の調査研究は法務省民事局としては初めて行うものでございますが、地方自治体と連携したモデル事業を通じて、法的支援等の在り方に関する調査研究を行っているものでございます。
 法務省では、令和3年度に、ひとり親の方々にとって最も身近な相談先である地方自治体の窓口における法的支援等の在り方について、地方自治体におけるモデル事業を通じた調査研究事業を実施しております。
 具体的には五つの自治体の協力を得まして、自治体内部における連携の強化、具体的には戸籍の部分と福祉部門との連携を強化するための方策、あるいはIT技術を活用した自治体窓口における随時のオンラインでの法律相談、公正証書の作成費用や調停申立て手数料の補助などの取組について、自治体の規模に応じて試行していただき、実効性の検証を行っているところでございます。
 この調査研究は、離婚後の子の養育の在り方等に関する法改正、次に御説明しますが、その法改正における課題や対応策を把握・分析するために実施するものでございまして、結果につきましては、本年度末に報告書に取りまとめる予定でございます。
 最後に法制度面の見直しに向けた取組でございます。資料でいいますと7ページに具体的な内容を記載しております。本年2月に養育費の不払い問題の解消等の離婚及びこれに関連する法制度の在り方につきまして、法務大臣から法制審議会に諮問がされたところでございます。
 この点につきましては、家族法制部会において検討がされており、今月16日までの間に合計9回の会議が開催されております。現在、一巡目の議論の終盤でございますが、来年度初頭にも中間試案を取りまとめ、パブリックコメントの手続に付すことができよう、スピード感を持って検討が進められているところでございまして、できる限り早急に答申が得られるよう、努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
 御説明は以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 11時なので、1時間経ったのですけれども、進め方はこうさせてください。この後、皆さんの御意見を伺う時間を設けますけれども、その前に、今日、厚生労働省から企業の中での女性の活躍推進とか、いろんな法律が出てきて、男性の参画とか、最近の新しい取組ですし、あと、求職者支援制度とか、ひとり親の訓練の制度、知らない方が多いと思いますので、ここが分からないから説明してほしいとか、事実確認の質問だけ先に伺って、御意見は休憩を5分した後にしたいと思います。この資料が分からなかったのだけれども、ここはどういうことですかということがあれば、先にそこだけお願いします。もし何もなければ、5分休憩します。いかがでしょうか。事実確認の御質問はいいですか。
 それでは、いつものとおり、ちょっと背伸びをしましょう。5分休憩します。
 その後、手挙げ方式で、どなたへの質問ということがあれば、あるいは全員でもいいと思いますので、どなたへの質問かということを言った後、御意見を伺って、最後にまとめてお答えいただきます。例えば法務省の方への質問はメモしておいていただいて、関係するものもあると思いますので、後でまとめて御回答いただくようにしたいと思います。
 それでは、今、11時2分なので、11時7分再開にしたいと思いますので、お茶を飲むなり、背伸びをするなりしていただければと思います。それでは、5分休憩です。

(休憩)

○佐藤会長 それでは、これから皆さんの御意見を伺えればと思います。いつものとおり、挙手をしていただいて、挙げた順に指しますので、御発言いただければと思います。2~3分でお願いできるとありがたいです。二巡目もあると思います。一巡が終わったところで、例えば本多審議官にあれば、そこをまとめてお答えいただくようにしたいと思いますので、それぞれお願いします。
 石黒さんからお願いします。2~3分で1回目はお願いします。

○石黒委員 まず非正規が増えているというお話なのですけれども、これはそもそも論で、コロナ禍で非正規の母数が増えた理由というのは、解雇条件が日本は非常に厳しいものがあると思っています。特にアメリカと比べると、アメリカはパフォーマンスが悪いからということでなくても、何の理由もなく解雇ができる。それ自体がいい悪いということではなくて、国際競争力という点で、労働力をコストとして考えた場合の弾力性で、明らかに日本は不利になっているわけです。
 結果的に企業はどういう形で行動したかというと、解雇ができないので、要するに非正規を増やしたわけです。解雇の条件の中に金銭解雇があります。アメリカも解雇をする場合は、会社の状態が非常に悪くなった場合、当然会社自体が立ち行かないわけですから、それに対して金銭を支払い、まだまだ大丈夫だから、6か月とか、そして、だんだんパッケージが減っていくわけですけれども、それなりに金銭を支払って解雇しているわけです。日本の企業としてはそれができないので、非正規を増やしたということは、非正規を即座に解雇、いわゆる労働契約を切れるわけです。何の対価もなく切られていく場合、結果として非正規の方で職を失うと、次の就労までに時間がかかったり、それまでの保障がなかったりということになると思うので、以前からこれは申し上げているのですけれども、考えていただきたいというのが、この問題の根底にある問題ではないかと思っておりますので、そういった意見を述べさせていただきました。
 あと一つ、ITの教育ですけれども、レベルなどをいろいろと考えて、いろんな角度でやっていただいていることはよく分かりました。しかしながら、ITを全くやったことがない人が、Javaですとか、アプリケーションとか、ネットワークエンジニア、こういうことを言われてもハードルが非常に高いのです。
 これは学校教育のところからまず見直しをしなければいけないと思っておりまして、文科省なども学校教育でテクノロジーということは、小学校の頃からいろいろと考えてくださっていると思うのですが、まずは学校教育でITの基礎を学ぶという下地をつくってあげることが、これからの教育としては必要だと思っています。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 これはなかなか難しい問題で、アメリカが例外的で、ヨーロッパとアメリカはまた違います。その辺を踏まえて考えてください。

○石黒委員 もちろん重要だと思いますが、私たちIT企業はアメリカと競争しているわけです。

○佐藤会長 もう一つ、これは全体でいいのですけれども、正社員の雇用機会の規模は一定なのです。減っていないのです。3500万人ぐらいです。雇用者全体が増えている中で非正規の割合が増えているのです。誤解があるのですが、正社員の数が減って非正規が増えているわけではありません。それは確認しておいてください。企業の雇用行動が変わってきているのです。雇用者を増やすときに、今までのような正社員は増やさないで、非正規を採っている。だから、正社員数は減っていないのです。誤解があるわけです。

○石黒委員 ITの場合は、今、故意に非正規になっている人も非常にたくさんいて、正社員でないほうが報酬が増える傾向にあるので、正規、非正規という言葉だけで考えるとよくないと思いますけれども、さはさりながら、大体の非正規の方が正社員より賃金が低い状況にあると思います。

○佐藤会長 厚生労働省でいろいろと検討されていると思いますので、この点でもしあれば、お願いいたします。
 徳倉さん、お願いいたします。

○徳倉委員 徳倉でございます。よろしくお願いいたします。
 大きく3点ございます。
 一つ、構造的な問題で、先ほど林局長からお話がありましたけれども、女性の寿命が長いということで、長いということは社会保障費を含めて、全て費用がかかってくるのです。
 まず1点目なのですけれども、同一労働同一賃金がなされていないので、しっかり同じように働いた人が、同じように税金も含めて納めていくような構造にならないと、日本の国としては、なかなか立ち行かないという前提がある中で、同一労働同一賃金がなされないということのマイナスの部分が大きいので、ここの部分の是正、それはインセンティブの方式がいいのか、罰則がいいのか分かりませんが、今、絵に描いた餅になりかけているので、これを強力に推し進める制度設計が必要だと思います。
 二つ目の論点は、ひとり親の子育ての支援制度なのですけれども、この辺は個別具体的に言うといろいろとあるのですが、基礎自治体とか、都道府県レベルで何が問題になるかというと、後で内藤委員からもサポートのコメントをいただければ助かるのですが、例えばひとり親は様々に抱えている。その中で、例えば役所に行って支援制度を頼もうと思っても、ワンストップになっていません。ワンストップでどうやって時間を軽減できるか。もっと言うと、例えば土曜日や日曜日、夜間もしくはウェブを活用する。中で発表もございましたけれども、こういうものを活用したひとり親の当事者に向けた支援制度は、基礎自治体だけが工夫するには限界があるので、国がここにお金をかけるのであれば、専門的な人材を増加させるような施策、基礎自治体にその予算を配分して、コーディネーターのような仕組みをつくって、ひとり親をしっかり支援していく制度設計が必要だと思います。
 最後ですけれども、私、以前、内閣官房のマイナンバーの普及に関わる委員をさせていただいたときに、これは異論や反論があると思いますが、最終的にマイナンバーに個人の銀行口座等をひもづけるという話も出ていました。これが将来的にどうなるかは分かりませんけれども、夫婦の問題で養育費が支払われないとか、今、私自身も調停委員をさせていただいていますが、不払いが非常に多いのです。そういう中で強制執行していきましょうというと、先ほど法務省からも今後変えていくということで、今、モデル事業をやられているとありましたけれども、その中において、もっと簡易的に、事実はもう決まっていますし、子が養育費をもらうというのは、本質的に言うと子の権利になっていきますので、ここの部分をしっかり国が担保しながら、強制執行は国がやりますとか、都道府県がやりますぐらいのレベルがいいと思います。こういう制度設計は国がつくっていく。制度設計をつくった上で、基礎自治体にそういう陣容を割り与えていく予算をつけていかないと、各府省がこういうことをやっています、周知していきますだけでは、忙しい女性、忙しいひとり親はなかなか救えないのではないかと思います。
 以上です。

○佐藤会長 ありがとうございました。
 井上委員、お願いいたします。

○井上委員 ありがとうございます。
 非正規の話を少しさせていただきたいと思います。今日のデータにはなかったのですけれども、総務省の就業構造基本統計調査で、初めて仕事に就いた人たちが正社員だったのか、非正社員だったのかということを調べたものがあるのですが、女性の場合、5割は正社員になれていないのです。逆に言うと、50%の女性たちは初めて就いた仕事が非正規なのです。そのまま非正規で働き続けた場合、厚生年金は納めた保険料に応じて年金額が決まるため、結果的に60歳以降の年金支給額が低くなり、高齢女性の貧困問題にもつながると思います。また、昔からパート労働はありましたけれども、「新時代の日本的経営」以降、使い勝手のいい非正規を増やす一方で、長期継続雇用や高度専門能力活用型など、働き方の区分けがされたことが、結果として女性が初めて仕事に就くときに、正社員になれない人たちが増えてしまったということで、今の日本の女性の貧困の問題に大きく影響が出ているのではないかと思います。内閣府も第5次で非正規の女性の正社員への転換をうたっていますので、そこを変えていかないと、女性の経済的自立は一生できない状況になっていくと思いますので、まずそこが重要だと思います。
 その意味でも、女性活躍推進法はもうちょっと何とかならないか。私も審議会で議論はさせていただいているのですけれども、男女の賃金の差異の状況把握は指針に何とか入りましたが、状況把握がなかなかできていないということもありますので、もっと女性活躍推進法を活用して、男女の賃金の差異をきちんと調査し、比較し、引き上げるようなことが必要ではないかと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 次に治部さん、お願いします。

○治部委員 ありがとうございました。
 私は企業で17年勤務しておりましたので、今日のお話はそうだろうという感じでありました。
 行政の皆様はよく御存じだと思うのですけれども、同じ仕事をしていても、女性は非正規とか、フリーランスということがあります。私が長く勤務しておりました出版社で、私自身は正社員で男性と同じ賃金をもらえて、大変ラッキーであったので、その間、2人出産をしまして、復帰ができたのですけれども、同じ職場で働いていた、私と雇用形態が違う同じ年の女性は、妊娠と同時に契約を解除されている状況があります。私は40歳半ばです。
 もう一つ、先ほど厚労省から見せていただいた、男女賃金格差が大きいか、小さいかというのは、業界によって違うというデータがございました。これは、今、急に起きた話ではなく、佐藤先生がよく御存じのことだと思うのですが、そもそも四半世紀ぐらい前の採用が男女で全く違っていたということがあります。今、男女賃金格差が大きな業界は、かつて女性を総合職で採用していません。ですから、女性が昇進・昇格せず、賃金格差が大きいということがあります。安倍政権になってからの女性活躍で、例えば事務職を総合職に転換ということを急いでいろいろやったのですが、そういった短期的な施策では、入り口のところ、男女で雇用形態が違うというところは変わりませんので、長期で起きている問題である、マクロで起きている問題であるということは、御認識いただけたらと思っております。
 もう一点、細かい話はいろいろとあるのですが、政府の機関には市場でできないことに注力していただきたいと切に思います。くるみん、えるぼし、女性活躍の表彰は中央政府でも各県でもやっているのです。好事例集は山のように見てきました。あめはたくさんありますし、表彰はマスコミ、民間企業でもできることなのです。政府の機関は何が特徴かといいますと、公権力であって、権力を行使できるところが民間企業と大きく違います。ですので、やっていただきたいのは、飴はもういいので、鞭、罰則のほうをきちんとやっていただきたいと思います。
 例えば性差別の認定をされたら、社名を省庁のところで公開するとか、調達から外すとか、そういったことをやっていただきたい。
 厚労省に関しては、例えば都道府県の労働局にマタハラやパタハラの相談がたくさん寄せられているはずです。私も取材をしておりますけれども、労働局に言ったけれども、基本的には雇用主寄りの解決を進められて、戦ってもしようがないと思って諦めたという方から録音を聞かせていただいて、2014年に記事を書いたことがあります。ちゃんと労働者の側に立って解決をしていただきたいと思います。
 最後に、今日、法務省さんがいらっしゃっていますし、あと、石黒委員から米国との比較が先ほどありましたので、ぜひ御検討いただきたいのは、こういういろいろな不平等がなぜそのまま蓄積されていくかというと、最後、司法での解決が日本は難しいということがあると思います。マタハラにしても何にしても、泣き寝入りしている方が膨大にいます。労働で裁判をしても大変時間がかかって、得られるお金はせいぜい百数十万円、これでは訴訟するインセンティブがない、泣き寝入り、転職したほうがいいという方が本当にたくさんいらっしゃいます。懲罰対象とか、集団訴訟、クラスアクションといった仕組みを入れることで、かつアメリカの企業で結構女性が進出しているのは、アメリカが平等だからということもありますけれども、クラスアクションで負けると数百億円単位の罰金を払って、それが痛いからなのです。ですので、鞭の導入を真剣に考えていただきたいというのが私からのお願いです。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 山口委員、お願いいたします。

○山口委員 ありがとうございます。
 最初に男女間賃金格差について触れたいと思います。いろいろなものを見せていただいたのですが、率直に言って原因がたくさん挙がっていて、相対的にどれが重要なのかよく分からないし、例えば役職が大事だという話があるのだけれども、役職に就いていない原因は、女性のほうにスキルが足りていないのか、それともスキルは足りているのだけれども、企業が何らかの理由で、差別みたいなものも含めて雇っていないということなのか、供給側なのか、需要側なのかということもよく分からなくて、結果的に対策はどういうものを優先して打つべきなのかということが分からないようになっていると思います。
 賃金格差についても、今、平均を見ているのだけれども、男性の上位10%と女性の上位10%を比べるとどうなるのか、下位10%だとどうかという感じで、平均以外の賃金分布の位置についても考慮する必要があると思います。
 こういった問題について、今あるデータと分析ツール、通常、経済学で使われている分析ツールで十分にできる話まで詰められていないという印象を持ちましたので、個票を使える立場にある厚労省ですとか、内閣府で詳しい分析をしていただきたいと思っています。統計技術的に難しいということであれば、外部との協力をどんどんやっていってほしいと思います。私は労働経済学者ですから、そういった点についてアドバイスができますし、ほかの人がいいということであれば、いい労働経済学者は幾らでも御紹介できますので、現状何が問題なのか、もうちょっと定量的にしっかり把握しないと、大事そうに見える問題は山ほどあるのだけれども、どこから手をつけていいのか分からないということになっているという印象を受けました。
 あとは、求職者支援制度ですとか、ひとり親自立促進パッケージのところですが、非常にすばらしい意義深い取組だと思うのですが、こちらについて効果検証というのはどういうふうに考えていらっしゃるのかという点も疑問に思いました。もし計画があれば伺いたいと思います。効果検証して、悪いことを言われるのではないかと懸念を持たれるのかもしれませんが、必ずしもそういう話ではなくて、細かい部分に改善の余地を見つけられるかもしれないと思うので、個々のプログラムでどれぐらいその後の就職や所得増につながっているのかといった点について、追跡調査をしていただければと思います。厳密な因果推論に基づくようなものを必ずしも求めているわけではなくて、ビフォー・アフターでもいいから、あるいはほかのプログラムとの比較がなされればいいと思います。
 求職者支援制度で特に気になったのは、その前の内閣府の発表だったと思うのですが、IT人材に需要があるような話が出ていたと思うのですが、一方で、求職者支援制度でITに関する研修を受ける女性の希望者が少ない。これはどういうふうになされているのかということが気になりました。御本人の御意向を尊重したほうがいいということは間違いないことなのですが、一定のインセンティブをつけて誘導する、あるいは定員の枠を決めるといった形で、求職者側が必ずしも労働市場の需要の状況を分かっているわけではないので、そこに対してアドバイス、誘導を入れていくというのは必要だと思います。
 同時に、先ほども委員の石黒先生からお話があったように、どのレベルのITスキルが求められているのか。基本的にZoomの操作ができるとか、ワードで文書を書けるというレベルなのか、プログラミングができなければいけないのか。そういうハイレベルになってくると、大学ですとか、専門学校で学ばなければ到達できないレベルなのか、労働市場における需要の状況と、それに対応する必要なスキル辺りについての分析も分かるといいと思います。
 最後にひとり親の自立促進についてですが、プログラムの趣旨自体はすばらしいと思います。同時に国際的なデータを見ると、日本ではひとり親の貧困の度合いが高いと同時に、就業率も高いのです。そういう意味では、国際的な水準からすると、日本のひとり親は実はかなり自立している。自立できるにこしたことはないものの、所得再分配ですとか、公的な支援が足りていないのではないかと認識をしています。  以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 男女の賃金格差にしても、もう少しデータ分析をしていないといけませんし、求職者支援制度も、出口だと就職がどのぐらいできているかとか、訓練と就職の関係などがあれば、後で伺えればと思います。
 佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員 三つあるのですけれども、今回、男女の賃金格差というのは、非正規のところはもちろんあると思っていたのですが、役職が同じで比較してもあるというデータを出してくださったというのは、価値が大きいと思いました。
 思い出したのですが、MITが1994年に女性研究者と男性研究者のお給料が違うということでレポートを出したのですが、そのことで差別が表面化し、アメリカの女性研究者が増加した大きなきっかけになっています。
 先ほどの役職内の格差も同じ企業の中で違うのか分からないので、会社それぞれで離職率も出してほしいですし、賃金の格差というか、お給料のことはなかなか聞けないので、そういうものをしっかり会社のホームページに載せてくれると、女性が就職するときに、この企業はいい、悪いということを判断できると思います。また、そういうことをしっかり公表しているところだけが、公的資金など助成対象になるとか、そういう圧力をかけていただくとよいのかなと思いました。
 ひとり親のところですけれども、ひとり親ではないのですが、女性研究者は別居が多く、子育てをひとりでやっている方が多いです。そういう場合、どういう支援があるのかというと、近くに住んで、その人たちを協力させ合うということが非常に役に立っています。ひとり親のシェアハウスみたいな特集も、以前にテレビで見たことがあります。シェアハウスにして、住んでいる人たちで協力しやすい環境をつくる。そういうことをしているところに助成金をあげるとか、そういういろんなサポートを考えてくれるところに助成金をあげるという支援もよいかもしれません。また、いろいろな情報をホームページなどで載せても、先ほど言ったひとり親の世帯収入が貧困線以下が50%いるということで、そういうところもすごく気になりました。通信費もかなり高いので、そういう支援も必要だと思います。
 あと、IT技術です。ITを学ぶ率が少ないというところなのですけれども、ITという名前をつけられると、そこに女性は行きにくくなります。なので、美容とか、デザインとか、そういうところが高いなら、そういうカリキュラムの中に自然とデジタル教育を入れていく。全ての分野に関してデジタル関係の知識は必要なので、自然に入れていくということをしないと、区切ってしまうと駄目だと思います。
 デジタル人材育成の話もありましたけれども、デジタルとか、そういう名前をつけてしまうと、女性の参加率が悪くなりやすいです。ITパスポートは男女比が出ていなかったのですが、どれぐらいの割合でパスポートが取れているのか、また様々な支援を自治体がしていますけれども、そのときに男女比をしっかり見ているかどうかということも調べていただきたいと思います。
 一つ共有させてほしいのですけれども、これは経産省で行っている、中高生向けのデジタル関連部活支援の在り方に関する検討会の資料です。最近始まりましたが、普通このような検討会は、男性部活応援団みたいな内容になってしまいがちなのですが、今回女性メンバーを半数にしてくださいました。また、四つの論点の中の一つにジェンダーバランスというものをしっかり入れてくれていまして、今ここで非常に活発に議論しています。今までの枠組みだと多分駄目で、先ほど言ったみたいに美容とか、様々なところにデジタルを入れていく。発想をがらっと変えたものを提案しようしています。ぜひ、全体にこういうものを行き渡らせていただければと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 賃金格差は、先ほどのものは日本全体なので、個別企業もあるというお話があったのですけれども、一部、改正女性活躍推進法で個々の企業に情報開示を求めています。男女の勤続年数の差とか、女性管理職がいるかとか、ただ、賃金のあれは、結果で反映することになっていると思うのですが、そういうものもあるということです。
 内藤委員、お願いいたします。

○内藤委員 私からは、養育費確保の切り口に全体的な話をさせていただければと思います。徳倉委員がおっしゃられていたことにも関連いたしますが、養育費については、払われていないほうが育児とか、家事、仕事に追われながら、時間的にも金銭的にも手間をかけないといけない今の状況が問題だと思っています。以前よりは簡単になった面もありますが、国として、もう少し容易に養育費が取れる法整備などを検討していたただきたいと思います。
 そんな中で、徳島市では、現在、公正証書の作成補助、養育費保証会社への支払いの補助、養育費回収手続相談の三つの支援を本年度やらせていただいております。相談については、養育費の確保だけではなくて、DV相談とか、あらゆる家庭についての相談が寄られているような状況でございます。やはり様々な問題について、どこに相談すればいいのか周知が不足していると考えるのと同時に、相手方、特に男性への教育の重要性も感じているところでございます。
 ひとり親への支援は多いのですけれども、相手方にも教育が不十分であったり、所得が低い人もいらっしゃったりするので、ここの貧困をどうするのか、そういった部分の対策も考えないと、養育費の確保ができたとしても、継続的な支払いが難しいと考えています。包括的な相談業務の周知を含め、骨太の方針にも示されていますが、あらゆる施策を組み合わせて周知・提供しないといけないと痛感しています。
 現在、徳島市では、生理の貧困や孤立・孤独対策、所得格差解消に向けた研修や養育費確保、将来世代、特に女子へのデジタル人材育成教育等、様々な施策を組み合わせて実施させていただいております。
 そんな中で、一つ紹介をさせていただきますと、徳島市では世帯年収にかかわらず、IT系の直接就業へもつながる研修を官民連携で行っている状況です。そこで参加者に話を聞きますと、地方と都市の所得格差を埋めたいという声だったり、子供を出産してから働く時間を気にすることになったために、働く時間を自分で決められるような働き方をしたいと思ったという声だったり、夫の転勤や子育てのために正社員の仕事を失って、個人の所得が減少したことに対しての自己肯定感が低下して、所得を向上させることで自分を肯定したいという声など、様々な意見が寄せられているところです。
 デジタル人材の育成というのは、国家としても急務であると思いますが、女性にとっての所得向上やそれに伴う自己肯定感の向上につながる重要な施策であると考えています。小中高校生の頃からそういう教育をすることも重要だと思いますし、大人になってからも研修等で働きかけていくことはとても重要であると考えておりますので、各府省庁が民間と連携して様々な施策を講じていることもよく分かりましたが、引き続き継続について御尽力をいただきたいと思います。
 最後に二つ意見を述べさせていただきます。徳島市では様々な施策を行っていますが、自治体によってできていない自治体もあると思います。アンコンシャス・バイアスへの対応を含む様々な女性の経済的自立対策は、地方からの女性の流出を少しでも減少させて、地方創生につながるという議論を国でもさらに活発に自治体に働きかけていってほしいと思います。
 もう一つは、徳倉委員のお話に関連して、制度の周知についてです。国も様々な事業をやってくださっていますが、自治体でも支援策がばらばらであることと、支援を受ける側に余裕がないことから、なかなか周知が進んでいないという現状があると思います。自分に必要な支援策をレコメンドしてくれるCivichatのようなチャットボットなどが普及すれば、もう少し必要な人に支援が届くようになるのではないかと考えますので、自治体への金銭的な支援も含めて御検討いただきたく思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 最後の点はすごく大事で、例えば厚生労働省はいろんな施策をやっているのだけれども、なかなか届いていない。ここをどうするかです。自治体にもやっていただきますけれども、これも大きな問題だと思います。
 白波瀬委員、お願いします。

○白波瀬委員 よろしくお願いいたします。
 幾つもデータをいただいたのですけれども、今、届く情報ということがありましたので、そちらの点についてお話をしたいと思います。いかにアウトリーチをするか、いろんな工夫はされているのですけれども、ITなどになりまして、向こうからは幾らでもアクセスできるが、こちらから能動的に手を出さないと情報に届かないという非対称性があります。そこの中で母子家庭の方々にこんなにたくさんあると言っても、あること自体、あるいはどういうふうに組み合わせるのか、その情報をどういう形でアウトリーチしてあげられるのか。これについては、皆さんスマホを持っています。ただ、友達などに聞いたら、こういうことがあるということのほうが実際には役立って、自分から足を運ぶという状況もあると思いますので、そういう辺りはどういう形で使われているのかという足元の実態調査とともに、アウトリーチの工夫をしていただきたいと思います。
 IT教育につきましては、経産省らしくリストもあり、いろいろつくられていると思います。ただ、一般の者がIT教育を受けても、室内の仕事でどう使うのか。石黒委員からもありましたけれども、例えばエクセルを習ったらいいといっても、実際にどう使うのか分かりません。IT教育そのものだけを入れるのではなくて、例えば高等教育における情報科学というところで、理系も含めて新しい分野をというやり方をここではぜひやっていただきたいと思います。
 今、山口先生からもありましたように、日本のひとり親女性の就業率は8割以上です。これは国際的に見てもかなり高いです。ここで就労支援と同じ枠組みでやられていても、その効果は見えにくい。低い賃金ということになりますと、具体的なお仕事の中でOJTをやってあげるとか、工夫をしていただいて、実際に情報社会の中で使っていただけるような紹介の仕方が必要だと思います。これは厚労省と経産省が横並びでしていただけますと、ポテンシャルは非常に高いですし、ここが伸びていきますので、福祉の分野も進むと思います。ですから、その辺りは横連携をしていただきたいと思います。
 今、効果という話もしたのですけれども、山口先生から賃金格差の話がありましたが、実証社会学者もこの辺りは労働市場におけるジェンダー格差で研究をしております。同じ学歴を持っても、学歴の効果が違うのか、入り口のところで違うのか。これは仮説の中にあります。今、山口先生もおっしゃいましたけれども、出していただいた様々な統計は、よくはなっているのですが、このメカニズムが分からない。専門家と一緒にやってくださいというのは、答えを一つ出しますということではないのです。それは物すごく複雑なのですが、ただ、複雑なところで、ここにリーチしましょう、ここに焦点を置きましょうというのは、本格的な共同研究の中でしか展開できませんので、これは欧米ではかなり進んでいます。この点は我々研究者を信頼していただいて、よろしくお願いしたいと思います。
 最後です。養育費の不払いについてですけれども、特に離婚におきましては、DVの問題が現実問題としてはあると思います。不払いといっても、まず請求しないという状況も日本の中にはある。国が肩代わりするという状況もヨーロッパでは早くからやっていますが、これは同時進行で、この人が駄目だったらというところまでではなくて、申し訳ないのだけれども、子供の権利、機会の平等という観点から、父親の養育義務ということもありますが、これは問題が複雑ですので、一歩踏み込んだところで、若干の強制性も含めまして、国に頑張っていただけると、子供たちがいいのではないかと思いました。もちろん母親も給料のいい仕事が見つかるのではないかと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 大崎委員、お願いします。

○大崎委員 どうもありがとうございます。
 今日はテーマとして経済的自立という言葉を使っていただいていまして、その背景にある問題意識として、経済力というのは女性が自己決定して生きていく上で欠かせない、非常に重要な力だと思います。
 その文脈で、今日この問題を設定していただいているのは、私の理解では、今回コロナの影響がどのように女性に出たかというところで、コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会、白波瀬先生が座長を務めてくださっていて、山口先生と私も構成員として入りましたけれども、そこではっきりと見えてきたこととして、女性の自殺の増加、昨年は主婦が多かったです。そして、最近は非正規雇用の労働者の女性が多いのではないかという統計を厚労省が出しているかと思います。DVが増えた、シングルマザーが大変困窮している。今、申し上げた問題の裏側にあるのは、女性の経済的自立の問題になろうかと思います。その問題意識を持って、今日はテーマ設定していただいていると理解しております。
 コロナ研究会でも、経済的自立というのがいかに重要かという話が出てきて、その際に、緊急的な支援というものが重要だということと、もう一つは、なぜ女性が経済的に自立できないのかという構造的な問題にしっかりと取り組むといいますか、真正面から受け止めて、中長期的なところで構想を変えなければならないということを提言しております。その文脈で二つお話しさせていただきます。
 一つは、全体の問題意識として、特に非正規雇用に女性が偏っているということがあったかと思うのですけれども、なぜそこに行くかというところで挙がってくるのが、配偶者控除というものだと思います。結婚した女性が短時間で自宅の近くで低処遇、低賃金の労働に合理的選択としてそういう就労形態を選ぶ。それはキャリア形成にはつながりませんし、コロナのような状況のときに、非労働力化したということも実態としてございましたし、それから、これだけしか課されていないと、DV等々いろいろあっても離婚できない。離婚したとしたら、今度は生活に困窮する、大変な就労状況が続くことになりますので、配偶者控除というものを見直す必要があるのではないかというのが、一つ研究会からの提言でも入っていました。ですので、これまで配偶者控除撤廃に関して、政府としてどういうことをおやりになったのかということと、これができない、撤廃するのが非常に難しいのであれば、その背景にはどういう障壁があるのかということをぜひ教えていただきたいというのが1点目です。
 2点目は、非正規雇用の問題なのですけれども、今年の10月3日に東京都の男女共同参画の事業で、非正規雇用で働く女性に向けてのセミナーを開催しました。私も登壇しまして、もう一人登壇されましたのは、女性の労働問題に詳しい弁護士さんでいらっしゃいました。事前にたくさんの質問や聞きたいことが寄せられまして、そこで実態として大変なのだということが浮かび上がってきたのですけれども、解雇とか、雇い止めとか、無期雇用転換とか、そういったところで、先ほどお話をいただいたような、いろいろ法律で守られている部分もあるのだけれども、そのことが全く周知されていないというか、どのように交渉すればいいのかとか、どういう権利があるのかとか、どのように相談すればいいのかとか、そういったことを知識として持っている方が非常に少ないということなので、労働の権利に関する教育というのは、日本の場合は薄いという気がしていますので、そこはしっかりやっていく必要があるということです。
 あと、中高年の女性たちです。非正規で働いている方々の不安感はものすごく大きいということで、先ほど井上委員のお話がありましたけれども、働いてこられた方というのは、年金受給額も非常に少なくなるわけですから、ずっと働き続けなければならないというような、そこにちゃんと目を向けて、中高年の女性の貧困の問題と労働の問題がどう関わっているのかというのは、非常に重要だと思います。
 最後に、非正規雇用の話をするときには、民間企業だけではないのです。いわゆる官製ワーキングプアとされる問題です。非正規の公務員、民間委託先の被雇用者である方々、特に男女共同参画系で先ほどのセミナーです。すばらしい事業なのですけれども、全国各地の自治体レベルで実行しようとして取り組んでおられる方々の多くが非正規雇用なのです。そういう雇用形態ですと、当たり前ですけれども、もちろん生活の不安がありますし、キャリア形成もすごく難しい。男女共同参画基本計画をちゃんと実施していく、全国レベルで根づかせていくには、人材育成とか、専門的な知識とか、経験への正当な評価とそれに対する報酬や雇用のありよう、そういったものがすごく重要になってくるので、この辺りもしっかりと調査会では見ていかなければいけないと思っております。
 ありがとうございます。

○佐藤会長 ありがとうございました。
 就業調整の話は、制度的にはかなり改善してきました。実際に少なくなっているのですけれども、もう一つ、よく言われているのは、企業の配偶者手当がそれにリンクしていないということが結構大きいと思います。
 それでは、この後、それぞれ御説明をいただいた中から、関連するところについては、御意見を伺えればと思います。可能な範囲で結構です。
 最初に、厚生労働省の山田雇用環境・均等局長からお願いいたします。

○山田雇用環境・均等局長 私のところが一番質問があると思いますので、あまり時間もありませんので、急いで答えます
 石黒委員からあった非正規雇用労働者の増加が厳しいということについてなのですが、事実関係として、リーマン・ショックが落ち着いて以降、非正規雇用労働者の割合は変わっていません。今、非正規雇用労働者率は、高齢者と60歳、65歳以上のゾーンとそれ以下のゾーンと分けて出すようにしていますけれども、今の非正規雇用労働者を増加させる要因というのは、非正規雇用で働く高齢者が増えていることの影響が大きいということが事実関係としてあります。その上で、今、規制の問題とか、IT業界の非正規雇用労働者問題は、他の業界と違うITゼネコンの問題とか、そういった問題もありますので、ある種業界特有の問題もあると思います。
 徳倉委員からあった同一労働同一賃金の話が進んでいないのではないか。これは基本的に働き方改革関連法案が施行されてまだ数年しかたっていなく、加えて、同じタイミングでコロナ禍のしょうけつを極めたということで、正直、その効果がどこまで出たのかということは、データ的に見にくい状態にあります。
 ただ、例えば非正規雇用労働者の特別給与額は跳ね上がっていますし、それでも駄目なものと駄目ではないものをちゃんと仕分けてやっていかないと、とにかく全面否定でも、全面肯定でも、具体的な対応の前進は見込めないと思っているので、その辺の見極めは必要だろうと思います。
 井上委員からあった話です。資本主義の緊急提言での男女の賃金格差について大きく触れられていて、ほかの委員も言われていたとおり、情報開示が一つのキーになるとは思っていますので、その点は意識して対応していきたいと思います。
 治部委員からあったそもそも周りに採用していないという中長期の問題だということはあります。これは途中で触れましたけれども、もともと採用はしている企業なり、産業群は相当数あるのは事実であって、例えば登用が進んでいないところで、今、登用が急に進み出したというのは、女性が会社の中にいる状態にあって、それが今から急激に女性を増やさなければいけないところとは、当然アプローチは変わってくるということなので、会社の中の今の風景がどうなっているかということでもって、対応の数は幾つかに分かれてくると思います。
 山口委員からあった男女の賃金格差については、先ほどお見せした資料は、10年前の研究会に基づいたものをずっと重ねてやっています。そういったものも含めて、あと、賃金統計調査がベースになっているもののデータは、今以上に深掘りできるような状態になっています。ただ、残念ながら、最新の令和2年の調査というのは、コロナ禍のノイズが入っているので、扱いに注意する部分はありますけれども、分析は深められると思います。
 ただ、分析をすればするほど、各企業でどう考えるのか、各産業でどう考えるのかということを深めていかなければいけない、すなわち個々の行動計画をちゃんと分析して、それを改善につなげるということを並行してやっていかないといけない、それはぬるい対応だと見られるかもしれませんけれども、それなしでは恐らく進みません。
 話題がずれますが、20年前、日本の障害者雇用は欧米と比較して最悪の状態にあったのですが、今は恐らく欧米先進国で最先端になっています。日本の個々の企業の工夫の積み重ねがブレークスルーした、ハードな政策手法をとるヨーロッパやアメリカとはやり方が違いますけれども、そういうところが行き詰まっている、ハードなやり方とソフトアプローチの両方を交えてやっていくことが必要と思います。
 実証分析の大事さということも言われましたので、それは山口先生のコメントと重なってくるところもありますけれども、それはしっかりしていきたいと思います。
 最後に、大崎委員からあった労働教育の話です。これもうちの役所で以前から力を入れるようにしていて、文科省とか、そういったところとも協力して、そもそもあなたにどんな権利があるのかということを若いうちから学んでいくことは、我々の政策手法の中の大きな話だと思って、これは引き続きやっていこうと思います。
 以上です。

○佐藤会長 本多審議官、お願いします。

○本多大臣官房審議官 いくつか御質問がありましたので、かいつまんで説明をします。
 まずIT関係の在り方ということで、山口委員などから御指摘をいただきました。ITと銘打ったコース以外でも、ITリテラシーを掲げることは常に念頭に置いています。例えば約4分の1が基礎コースを受講されますが、この中ではパソコンの使い方で、レベルとしてはMOSを習うとか、そういった基礎的なところから勉強していただきますし、また、あるいは事務とか、デザインも入ってきています。
 山口先生からは、労働市場のニーズに合ったものということだったのですが、当然御本人に強制はできないのですが、今、こういうIT関係は多いので、そういう状況は御説明をしていますし、また、訓練コースを地域ごとに設定する際には、地域の産業界のニーズを聞いて、地域別の訓練計画を立てることにしています。
 ITについては、今後重要ですので、今のコースを設定した訓練施設には上乗せしてお金を出すようにということも始めます。
 あと、効果検証なのですけれども、今もコース別の就職率などを取っていて、雇用被保険者になれる方が6割、そうではない方も含めると、8割ぐらいの就職率なのですが、御指摘にように収入が改善したかということも非常に重要な要素だと思いますので、収入なども含めたデータを分析しておりまして、取りまとめているところでございます。引き続きの御協力をいただければと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 中野家庭福祉課長からお願いいたします。

○中野子ども家庭局家庭福祉課長 ひとり親関係で幾つか御指摘をいただきました。まず、徳倉委員、内藤委員、白波瀬委員からいただいた、アクセスの関係についてのご指摘、土日開庁、チャットボットを使って、支援情報にアクセスしやすくすべきといった御指摘をいただきました。
 御指摘のとおりだと思っておりまして、今日のお配りした資料で、時間の関係で説明できなかったのですが、お手元の資料4の中で、例えばチャットボットを使った取組がございます。実際の相談の窓口で様々な支援制度がある中で、うまくニーズに合致した支援情報を届けるという観点で、ワンストップの窓口の強化を図っています。特に今年度はモデル的な事業としまして、1自治体当たり最大8000万をお支払いしまして、ニーズに合致した情報を届けるような、そうしたシステムの開発を支援しているところでございまして、今、徳島県も含めて、全国6自治体で、手が挙がっている状況でございます。
 チャットボットを使って、典型的な質問に答えたら、常に必要な情報が届く。あるいはLINEを活用しまして、プッシュ型で支援に必要な情報を届けるといったものなどを自治体独自にいろいろ提案いただきまして、そこを国が10分の10で支援をするという制度でございます。
 その成果につきましては、多くの自治体の方々のニーズに合致するものであれば、フィードバックをして、取組を広げていきたいと考えています。ワンストップの窓口強化は、国でしっかり支援をしていきたいと考えています。
 次に、ひとり親の就労訓練の中身の検証についてでございます。私どもの高等職業訓練の民間への拡大は、実施してまだ1年もたっておらず、半年程度という状況でございまして、先日、検証のための調査研究の事業をスタートしたところでございます。やや時間がかかると思うのですが、ヒアリング等を重ねながらしっかり取り組んでいきたいと思っています。
 具体的には研修・就労訓練の「入口」、「中身」、「出口」の三つについて検討する必要があると思っておりまして、例えばひとり親の方の、特にITの関係で、ITといいますと、ハードルが高いと思われがちなのですが、例えばLPICの初級編ですと、6か月程度のものもございます。
 システムをプログラミングするようなレベルの高いものではなくて、例えば保守管理とか、そういう業務があるわけでございまして、もともと事務系の就職を希望している方に対して、「ITの仕事でも手が届くのだ」ということを、キャリアコンサルティング的な支援をしながら情報を届ける、というのが就労訓練の「入口」のところの課題です。
 次に「訓練の中身」でございますが、ひとり親の方のITの技術、技術自体の訓練はもちろん必要なのですが、このほか、例えばヒューマンスキル、つまり、どのようにコミュニケーション能力なども含めて、幅広い技術を身につけていただくかが重要と言われています。  さらに「出口」のところです。訓練を終えた方を受け入れていただく企業と連携した訓練を組めるのかどうか。こうした視点で、ある程度インターンシップ的なものと組み合わせるところも重要ではないかと考えておりまして、その辺りも含めて、しっかりとひとり親の高等職業訓練促進給付金をうまく使われているのかどうかというところを、今後検証していきたいと考えてございます。
 あと、養育費の関係の御指摘をいただきました。これは既に今年度から一自治体当たりの補助額は昨年までは最大170万だったわけですが、今年度は1500万です。一気に10倍ぐらい単価を引き上げまして、養育費確保についての支援を行っている状況でございます。
 お手元の資料にもお配りしているところでありますが、例えば保証会社に対する支援などは、実質的な養育費の確保につながる具体的な支援です。自治体から御提案いただきますと、国も支援ができるという仕組みを拡充しているところでございまして、今年度の活用自治体は約100近くまで増えてございます。こうした取組を行っていただく自治体について、今後ともしっかり周知をします。事例集をお手元の資料にもつけてございますが、そういった事例集も提供しながら、自治体に対してこうした取組の活用を広げていきたいと考えております。
 最後、佐々木委員から、ひとり親のシェアハウスの活用といった御提案をいただきました。これは厚労省の施策だけではなくて、例えば愛知県の長久手市などで地方創生の観点も加味しながら、そうした様々な工夫がなされているところでございます。厚労省の施策を超えて、例えば、まち・ひと・しごと創生本部でやっておりますような地方創生交付金とか、そうした幅広い施策連携を図りながら、ひとり親の方が助け合っていくアイデアは重要なことだと思っておりますので、関係省庁の施策と連携を図りながら、そうした取組を進めていただきたいと思っております。
 私からは以上でございます。

○佐藤会長 今のことに関連して、堂薗審議官からお願いいたします。
 あと、委員の方は、予定がある方は抜けていただいて構いませんので、もう少し時間がかかると思います。
 堂薗審議官、お願いします。

○堂薗大臣官房審議官 法務省の堂園でございます。
 養育費の関係でいろいろ御質問をいただきましたので、お答えしたいと思います。
 徳倉委員、内藤委員、白波瀬委員からは、養育費の手続を迅速に行うための法改正が必要であるという御指摘をいただきました。この点は、我々もまさに問題意識をもってやっているところでございまして、先ほども法改正の見直しについて検討していると申し上げましたが、重要な課題の一つとして、今、御指摘のあった迅速な強制執行等の手続を実現するための方策が取り上げられているところでございます。
 現行法の下では,養育費の回収をするためには、債務者がどういう財産を持っているのかということを把握した上で、債務者の財産に対して差押えをするということになっています。この点について,財産の把握のところでマイナンバーとの紐付けという御指摘をいただきましたけれども、1回の申立てで,給与債権、不動産に関する権利、あるいはマイナンバーと紐付けられた預貯金債権についての情報を取得できるような制度を設けることはどうかといった検討がされております。
 ただ、預貯金につきましては、本年の通常国会でマイナンバーに関する法改正がされましたけれども、その法改正を前提としても、マイナンバーと預貯金債権との紐付けは、預金口座を持っている人が任意に行った場合に限られていますので、養育費のように義務を負う人が預貯金口座と紐付けられた預貯金債権から強制的に回収をされることになりますと、任意に付番していただけなくなるのではないかといった問題もございまして、この辺りは将来的な課題です。もちろんマイナンバーの制度ですので、関係省庁と協力しながら検討を進めていくべき課題であると考えているところでございます。
 今の御説明は財産の把握に関するものでございますけれども、さらに,差押手続を一体のものとして迅速に手続を進められるようにするという方策についても、検討を進めているところでございます。それをさらに進めますと、国で強制的に徴収する,あるいは立替払いをするところまで進んでいくのだろうと思いますけれども、法務省といたしましては、私人と私人の間の法律関係を規律する民法を所管している関係で、養育費に関する法改正を検討しておりますので、今のような強制徴収とか、立替払いになりますと、それは公的機関との関係になりまして、福祉的観点から行う支援になりますので、法務省だけでは実現できないところがございますけれども、いずれにしても、仮にそういった制度を検討する場合にも、財産把握や債権回収を簡易迅速にできる手続があるということは、前提条件の一つになろうかと思いますので、法務省としては、まずは民事基本法制の中でできることについて、迅速に検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 内藤委員、あるいは白波瀬委員から、離婚などに関する問題については、DV問題を含めてきちんと検討し、対策を取る必要があるといった御指摘をいただきました。我々も,離婚に関する法制度の検討をする上で、DV問題は切っても切り離せない問題であると考えております。
 現在、養育費の支払いを確保するために考えられている法制度の内容といたしましては、例えば養育費に関する取決めをしないと協議離婚はできないようにするとか、あるいは協議が調わない場合には、離婚した場合に最低限の養育費の債権が自動的に発生するといった仕組みをつくること等が検討されているわけですが、仮にこういった制度を設けることになりますと、DV問題を抱えている方が協議離婚をするのが困難になるのではないかという懸念が指摘されているところでございまして、この辺りの問題をどういう形で総合的に解決していくかというところについて、検討を進めているところでございます。
 最後に、治部委員から、労働問題に関してということだと思いますが、裁判に要する費用等の関係で泣き寝入りになってしまう場合があるということで、懲罰的な損害賠償などについても、検討する必要があるのではないかという御指摘をいただきました。それぞれの被害者が裁判を受ける権利を有しており、本来はそこで救済を受けることになるわけですが、それが絵に描いた餅になるのは非常に問題でございますが、それを解消するための方策としては、様々なものが考えられるところです。
 その一つの方策として、懲罰的損害賠償の導入という御指摘をいただいたと思いますけれども、労働問題に特化したという形ではなくて、一般的に懲罰的損害賠償の制度を導入することにつきましては、紛争解決結果の予測可能性が非常に低くなる、あるいは損害額が非常に高くなってしまうという懸念等もございまして、その点につきましては、慎重な検討を要するものと考えているところでございます。
 ただ、他方で、司法へのアクセスを改善するという点は非常に重要だと思っておりまして、現在、民事訴訟などにつきましては、IT化を進めて,オンラインで申立てをすることができるようにしたり、あるいはウェブで裁判に参加することができるようにするといった見直しが検討されているところでございますので、そういった司法へのアクセスを改善するための方策につきましては、引き続き検討してまいりたいと考えているところでございます。
 私からは以上でございます。

○佐藤会長 最後になりますが、経産省の江口審議官からお願いいたします。

○江口サイバーセキュリティ・情報化審議官 ありがとうございます。
 非常に多くの示唆をいただいた会議で、私自身も勉強になりました。ありがとうございました。その上で、御意見をいただいた中でコメントをしたいと思います。
 まず学校教育でIT、デジタルをきちんと勉強していくことが必要だという話で、これは御案内のとおりで、文部科学省を中心といたしまして、様々な取組を出されてきています。情報科目を必修化していくとか、様々な取組ということで、これから社会に出てくる世代については、きちんとそのような教育などをされた形で、少しハードルが下がった形で人材供給をされていくということに期待をするところがございます。
 逆に言うと、学校だけでやっていても、今いる人たちはどうするのかという話も当然出てきますので、今の課題を解決するという観点から、様々な職業訓練、企業を含めた人材の育成が非常に重要になってくるのではないかと考えているところでございます。
 特にその中で、今日も何度もコメントをいただきましたけれども、IT、デジタルということは、非常にハードルが高いというお話がありました。確かに全くIT関係で携わってこなかったような人に、いきなりプログラミングをするというイメージで捉えられると、非常に難しいのですけれども、これはそれぞれの職性に応じて求められるスキルは変わってくるということだと思います。
 IT、デジタルを提供していく側、技術やサービスを提供していく側である、いわゆるベンダー側に求められる技術、スキルというものと、ITをうまく使って業務を行っていく意味でのITのスキルがあると思います。そのような観点で、全てがプログラミングとか、ネットワークという非常に難しいところばかりではなく、今日も少しお話があったと思いますが、エクセルをどうやって使うのかとか、ウェブ会議はどうやるのかとか、そういうようなものを含めて、きちっと使っていけるような環境です。
 1回使ってしまうと、そんなに難しくなく使えるようなものも結構多くあるのは事実でございます。そのような観点から、既に先ほど厚労省からも説明がありましたけれども、職業訓練の分野別の中でも、パソコンの使い方とか、そういうようなところも含めて、初歩的なものも含めて協力しているような話もあったわけでございますけれども、そのようないきなりITということでハードルを上げるのではなくて、ハードルを下げるような努力をしつつ、社会全体としてITスキル全体が高まっていく。ITについての人材のようなものにもきちんと対応していくことを目指していきたいと考えております。いずれにしても、ハードルを下げる努力というのは、関係省庁とも一緒になって取り組んでまいりたいと考えてございます。
 最後になりますけれども、議論の中で資格の試験の把握調査をしていただきましたけれども、男女比率はどれぐらいになっているのかという話がありました。これは大体ですが、3分の1強が女性、30数%です。そのようなデータがあることを御紹介させていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 時間が過ぎてしまいましたけれども、林局長から何かあれば、お願いします。

○林男女共同参画局長 山口先生から、賃金について、もっと個票を使った分析をして欲しいというお話がありました。また、佐々木先生から、役職が同じでも男女間に格差がある。この辺りの背景の御質問がありました。ここはまさに個票データを使って、きちんと分析することが一番有用だと思いますので、私どもは、個票データを使った分析を進めて、この場で御披露差し上げられるようにいたしたいと思います。
 また、大崎先生からお話がありましたとおり、コロナ研究会に端を発した問題意識から、今回取り上げましたのが経済的自立です。自立という言葉は、エンパワーメントを私どもなりに分かりやすい言葉にしてみたものでございます。自己決定できることが大事ということで、経済的エンパワーメントをより分かりやすいものとしました。どうしてもジェンダー分野の言葉は片仮名が多くて分かりにくいという御指摘も多く、それが日本のジェンダー平等を阻害しているのではないかという懸念もありますので、ここは分かりやすい言葉として経済的自立ということで、まさにコロナ研究会での成果も踏まえて、今回、取り上げさせていただいた次第です。どうもありがとうございました。

○佐藤会長 時間を過ぎてしまいましたけれども、今日は充実した議論ができたと思います。
 それでは、まだまだ議論も尽きないと思いますが、ここで終わりにさせていただければと思います。どうもありがとうございました。