計画実行・監視専門調査会(第5回)議事録

  • 日時:令和3年10月26日(火)13:00~15:00
  • 場所:オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
  1. 開会
  2. 議題
    (1)科学技術分野における女性の活躍促進について
    (2)日英EPA等におけるジェンダーに関する議論について
  3. 閉会

【配布資料】

資料1
科学技術分野における女性の活躍促進について [PDF形式:2,970KB]別ウインドウで開きます
資料2
科学技術分野における女性研究者の活躍促進について(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局説明資料) [PDF形式:1,275KB]別ウインドウで開きます
資料3
女性研究者の活躍促進に向けた取組状況や課題について(文部科学省説明資料) [PDF形式:431KB]別ウインドウで開きます
資料4
日英EPA等におけるジェンダーに関する議論 [PDF形式:2,664KB]別ウインドウで開きます
参考資料1
計画実行・監視専門調査会委員名簿 [PDF形式:108KB]別ウインドウで開きます
参考資料2
女性活躍・男女共同参画の重点方針2021 (令和3年6月16日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定) [PDF形式:1,384KB]別ウインドウで開きます
参考資料3
夏のリコチャレ2021について [PDF形式:1,412KB]別ウインドウで開きます
参考資料4
日英包括的経済連携協定(日英EPA)関連条文 [PDF形式:194KB]別ウインドウで開きます
参考資料5
G7カービスベイ首脳コミュニケ [PDF形式:413KB]別ウインドウで開きます

【出席者】

会長  
佐藤 博樹  
中央大学大学院戦略経営研究科教授
委員  
石黒 不二代 
ネットイヤーグループ株式会社代表取締役社長兼CEO
同   
井上 久美枝 
日本労働組合総連合会総合政策推進局長
同   
大崎 麻子  
関西学院大学客員教授
同   
窪田 充見  
神戸大学大学院法学研究科教授
同   
佐々木 成江 
名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻准教授、お茶の水女子大学ヒューマンライフイノベーション研究所准教授
同   
治部 れんげ 
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授
同   
白波瀬 佐和子
東京大学大学院人文社会系研究科教授
同   
徳倉 康之  
NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、株式会社ファミーリエ代表取締役社長
同   
内藤 佐和子 
徳島市長
同   
山口 慎太郎 
東京大学大学院経済学研究科教授
同   
山田 秀雄  
山田・尾﨑法律事務所代表弁護士
内閣府 
林 伴子   
男女共同参画局長
同   
吉住 啓作  
大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
同   
杉田 和暁  
男女共同参画局総務課長
同   
花咲 恵乃  
男女共同参画局推進課長
同   
松尾 泰樹  
科学技術・イノベーション推進事務局長
文科省 
千原 由幸  
科学技術・学術政策局長

議事録

○佐藤会長 ちょっと時間が過ぎましたが、御予定の方は出席されるということですので、ただいまから第5回「計画実行・監視専門調査会」を始めさせていただきます。
 皆様には御案内のとおりですが、本調査会では、第5次男女共同参画基本計画の着実な実行のため、各府省が毎年度重点的に取り組む事項を決定する重点方針、いわゆる女性版の骨太の方針の策定に向けた議論を行っております。
 本日は、科学技術分野における女性の活躍促進をテーマに、まず内閣府の男女共同参画局と科学技術・イノベーション推進事務局、文部科学省の科学技術・学術政策局から、それぞれの取組や現状について御説明していただいた後、委員の皆様から御意見を伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議題(1)について、内閣府の林男女共同参画局長から御説明をお願いいたします。

○林男女共同参画局長 ありがとうございます。それでは、資料を共有いたします。
 第5次男女共同参画基本計画で閣議決定をいたしました政府の目標を確認いたしますと、大学の理工系の教員に占める女性の割合を2025年までに理学系12%、工学系9%に引き上げることなどを政府として決めております。
 こうした中で、私から、現状を見た上で、内閣府の取組を御紹介いたします。
 女性のノーベル賞の受賞者は、世界では1903年のキュリー夫人以来23人いらっしゃいますが、日本の女性はゼロです。自然科学分野の日本のノーベル賞受賞者は増加が加速し、特に今世紀に限ると、アメリカに次いで世界第2位という快挙を成し遂げています。しかしながら、その中に女性は一人もいません。
 右上の表にあるとおり、日本の女子の理数系の能力は、15歳時点では世界トップクラスであります。しかしながら、右下、研究者に占める女性の割合は、諸外国に比べて相当小さくなっています。
 そもそも日本では、大学の入学時点で理系の女子の割合が低いということがあります。ナチュラルサイエンス、エンジニアリング、いずれの分野でも日本はOECD諸国で最下位です。
 右側のグラフを御覧いただきますと、大学によってもばらつきが大きく、特に東大、京大など、旧帝大の理学部、工学部で女子が非常に少ないことが分かります。
 また、大学教員の職位が上がるにつれて、女性比率が下がる傾向がございまして、特に右上のグラフを見ると、理工系では、教授の女性割合が人文科学、社会科学に比べ、極端に少なくなっております。
 大学教員の雇用期間を見ると、女性のほうが有期が多く、非常勤講師など、非正規で雇用される人が多くなっています。
 そもそも理系に進む女子が少ない背景について考えてみたいと思います。日本では高1で文系、理系を選ぶことが多いですが、進路選択で影響を受けたものを聞いてみると、女の子は母親という回答が最も多くなっております。
 右側にあるとおり、母親の最終学歴と娘の進路希望の関係を見ますと、母親が理系だと理系を志望する割合が高い傾向にあります。理系の母親のほうが理系の将来のキャリアイメージを持っているということとも関係があるのかもしれません。
 日本の社会全般のアンコンシャス・バイアスが関わっている可能性もあると思います。内閣府の調査では、女性に理系の進路、学校・職業は向いていないと思っている人は男性に多く、どの年代でも一定程度います。
 こうしたアンコンシャス・バイアスを教員が持っていると、子供の進路選択に重大な影響を及ぼすことが懸念されます。実際に、教員が女子生徒に対して、女子なのに数学ができてすごいと褒めているつもりだけれども、実は女子生徒をディスカレッジしてしまうということもよく聞きます。
 こうしたことをなくすため、私ども内閣府男女共同参画局で、中学校の教員向けの啓発資料を作成いたしまして、文部科学省と連携して、各県の教育委員会に周知をしたところでございます。
 女子の理工系進路の選択の助けになるよう、企業、大学等と協力をいたしまして、理工チャレンジという事業を行っております。夏には夏のリコチャレと称して、企業の実験教室など、女子やその保護者の関心を高める各種イベントを行いまして、コロナ前は3万6000人が参加しています。今年の夏もコロナ禍ですが、オンラインも含め113件のイベントが行われ、6,300名以上が参加し、参加者の感想からは、理系への関心が高まったということが確認されます。
 今年の6月に決定をいたしました骨太の方針では、科学技術分野における女性の活躍を重要な課題として位置づけております。具体的には学校推薦型の選抜など、女子を対象とする枠の設定などにより、地方大学を含めた理工系学部における女子学生の割合の向上を促すことなどを決めております。
 また、女性活躍の重点方針、いわゆる女性版骨太の方針におきましても、教授等の女性の登用の一層の推進に取り組む大学の支援や、私立大学等経常費補助金をはじめ、大学への資源配分において、女性登用に対してのインセンティブ付与を検討することなどを政府として決定しております。
 これらの政策の進捗につきまして、後ほど文部科学省などから御説明があると思います。
 さらにアンコンシャス・バイアスを払拭するための教員研修プログラムについて、校長をはじめとする管理職や進路担当職員等の全ての教員の受講を促すことや、先ほど御紹介した教員向け啓発資料につきまして、内閣府が文部科学省と連携して普及を図ることとしておりまして、この点につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
 私からは以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、続けて、内閣府の松尾科学技術・イノベーション推進事務局長から御説明をお願いいたします。

○松尾科学技術・イノベーション推進事務局長 内閣府科技・イノベーション推進事務局長の松尾でございます。今日は、こういう時間をいただきまして、ありがとうございます。
 今、林事務局長から全体像を御説明いただきました。具体の施策については、文部科学省からあるかと思いますが、私ども科技・イノベーション推進事務局で取り組んでいることについて、少し御紹介をしたいと思います。
 先ほど林局長から骨太の方針での記載がございましたけれども、この中で特にいろんな事項が出てきておりますが、その一つ一つの施策について検討しているわけでございますが、それを深掘りする観点で、今、CSTI、科技・イノベーション推進事務局と、これは初めての取組になるのですけれども、文科省の中教審、経済産業省の産構審と共同で教育・人材ワーキンググループを検討させていただいておりまして、そこで深掘りをしているところでございますので、最後にその御報告をさせていただきたいと思います。
 今、林局長からございましたが、データについて少し御紹介したいと思います。
 これは学部学生に占める女性学生の割合でございますけれども、女子学生の人数は、進学率の大幅の上昇になってございます。特に女子学生の場合は、この30年間で2.4倍の増になってございますが、その中で特に理工系はどうかというと、6万人の増にとどまっておりまして、極めて少ない状況にございます。
 先ほど林局長からありましたが、大学におけるいろんな環境もそうなのですが、その前の段階と大学を卒業した後の企業におけるロールモデル、これがなかなかないということが現状だと思います。
 これがもうちょっと子供のときからの大学、大学院における進路選択の状況でございますけれども、局長からもありましたが、義務教育段階では、女子生徒の理数のリテラシーは比較的高くございます。これは世界的にも高いわけでございますが、高校の段階で選択する数、学部の段階で選択する数は徐々に減っていきます。
 特に理工系につきましては、どうしても女性の場合、親御さん、教師の方々のこともあり、資格系に行くという傾向がございまして、純粋に理工系を選択する女子学生が少ないという傾向にございます。
 これは我々の総合科学技術・イノベーション会議で毎週議論をしている場があるのですが、その中で特に女性研究者の方々を呼んで、女性研究者の在り方について議論したことが先月の9月2日にございました。特に2人の女性に来ていただいて、意見を伺ったわけでございますけれども、特に女性研究者について申し上げますと、バイアスがかかるということ、保護者もそうですけれども、教師、先生方からのバイアスがあります。
 本来は得意なはずなのに、苦手意識を先入観として持ってしまうということ。ロールモデルが不足している。先ほど企業でのロールモデルを申し上げましたけれども、例えば理数系を教える先生方に男性が多いということであれば、理数に行ったらと言ったとしても、行っても先生は男性ですということになると、ロールモデルにならないということです。
 大学での環境です。これはポジティブアクションが必要だということが言われておりました。これは男性もそうかもしれないのですけれども、職業に関する情報がどうしても女性は看護であるとか、薬であるとか、資格系に行ってしまう、そういったことがあるということでございます。
 もう一人の方からは、理数系の研究者が少ないというようなことがありましたが、そのほか、男女問わない関係でございますけれども、例えばオーバードクターの問題、研究環境の問題、博士であるとか、そういったところに行くと、アカデミアに行ってしまうというような問題、そうなってくると、今度はダブルメジャーといいますか、そういったことをやることによって、多様な学びをし、多様な職業選択をすることが必要であろうということ、それから、流動性の問題、そういったことが挙げられております。
 それをまとめますと、こういった1枚の紙になるわけですけれども、初等中等段階では、企業からのロールモデルをしっかりとつくること、理系の女子中高生を増やすこと、それから、施策の効果、大学、企業を動かすムーブメント、アンコンシャス・バイアスをなくすことです。
 大学においては入試の問題、私立文系について、理数系を諦めてしまうという構造的な問題、企業でのキャリアの問題、そういったことが論点として挙げられているということでございます。
 左側に骨太の方針の元になりました円卓会議の提案を書いてございますが、右にいろんな施策を書いてございます。
 特にこの中で我々が課題の中心として持っておりますのは、小中学校、高校での体制の問題、中段の上から三つ目にあります教壇に立つ教員の免許制度をある程度改善、改革をしていく必要があるのだろうということ、研究者のアウトリーチ、ロールモデルをつくっていくこと、女性は文系といった、あるいは資格系といったバイアスを取り除いていくこと。
 大学入試、大学教育においては、人社の方を含めた理数分野への転換、文理融合、そういったことをやっていかないと、理数全体を増やしていくことにはならないのではないかと思ってございます。
 これは教育の問題ですけれども、さらにその先を行くと、企業での女性技術者、女性研究者、女性の活躍が重要だと思っておりますし、どうしても数だけの問題ではなくて、上位職での女性の登用、そういったロールモデルが必要になってくるのではないかと思ってございます。
 そういった中で、今、私どもがやっておりますのは、先ほども申し上げましたが、科学技術・イノベーション基本計画、これは第6期の基本計画を4月から開始してございますけれども、この中で初めて中教審・産構審と連携として、教育・人材ワーキンググループの設置をし、その深掘りをさせていただいています。
 ここで議論しているのは、女性研究者に特化したものではなくて、研究環境を含めた人材、教育の在り方を検討しているわけでありますけれども、その中でも大きなテーマが女性の活躍支援ということになります。
 これがワーキンググループのメンバーでございまして、中教審・産構審からも入っていただいて、CSTIの下で議論をしてございます。
 その議論に当たっての状況、論点といたしまして、大きく時間の問題、人材の問題、財源の問題、今、こういった観点から議論を進めているところでございまして、先日は時間の関係で議論をさせていただきました。これから引き続き、人材の問題、財源の問題、そういったことを全体としてやらせていただき、まとめをし、そして、林局長のところ、各省庁、現場、親御さん、教師の方々、企業の方々の理解が必要になってきますので、そういったステークホルダーの方々と意見交換をしながら、よりよい方向へ持っていきたいと思ってございます。
 簡単ではございますが、以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、最後になりますが、文部科学省の千原科学技術・学術政策局長から御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○千原科学技術・学術政策局長 文部科学省科学技術・学術政策局の千原でございます。
 本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。
 そうしましたら、資料3に基づきまして、文科省でやっております具体の施策の主なものを御紹介させていただきたいと思います。
 1ページでございます。ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブという施策でございます。研究と出産・育児のようなライフイベントとの両立、女性研究者の研究力向上を通じたリーダーの育成、こういったことをしっかりやっていただける大学等に対して、取組を支援させていただいているものでございます。
 牽引型、先端型、複数の大学などが連携して、課題あるいは分野における女性研究者の活躍促進の取組ですとか、あるいは今も御議論に出てまいりましたけれども、女性研究者を海外に派遣させていただきまして、いろいろな知見、ネットワークを獲得していただく、研究を進めていただく、そういったことを通じてより上位の職に就いていただくための施策を支援する。そういったこと等、幾つかのカテゴリーで支援をさせていただいております。
 事業期間は6年間、うち3年間の補助をさせていただきます。1件当たりが年4000万程度という取組をやっております。
 次のページをお願いいたします。これまで上の箱にありますように、128機関の大学等を御支援させていただいております。それによりまして、支援した大学において、研究とライフイベントの両立、あるいは女性の上位職への登用推進、そういったことが進んでいると承知しております。
 下の箱は、先ほど申し上げましたように、左側が牽引型の機関である大学の取組で、右側は先端型ということで掲載させていただいておりますけれども、例えば奈良女子大学です。教育研究支援員制度ということがございます。地域、学生、そういった方との共助による子育て支援システムの構築、そういったものを支援させていただいて、うまくいっていると聞いております。
 また、東京農工大ですけれども、連携機関と連携をして、教育・研究・ライフバランス、ワーク・ライフ・バランス、それらに対応するためにグループメンター制度をつくっております。こういったことによって、いろいろな悩みを解決して、より女性研究者の登用が進むということでございます。
 右側に行っていただきますと、宇都宮大学でございますけれども、女性教員の上位職への登用促進とか、あるいは女性リーダーの育成ということで、海外派遣制度、意識啓発に関するセミナー、そういったことを実施しております。このことによって、上位職における女性研究の教員の比率が1.2%上昇して、17.3%になりました。目標にはまだ到達していませんけれども、そういった取組が少しずつ進んでいます。
 長崎大学も女性の上位職の登用とか、あるいはダイバーシティ推進センター長が各部局長に対して、女性研究者の上位職登用を実施するということになっております。
 次のページをお願い申し上げます。これはダイバーシティーの取組の中の一つで、いわゆる横串を通すといいますか、できるだけ個別の大学で閉じるのではなくて、横にうまく展開をして、いい取組は学んでもらおうということで、全国ダイバーシティネットワークということを進めさせていただいています。それによって、情報共有とか、あるいは取組の活性化を図るということです。
 下のダイバーシティネットワークの図の中で恐縮ですが、もともとKPIとして2023年度に120機関になるといいということでやり始めましたが、154機関に参画していだたいております。
 右側ですけれども、具体的な取組として、シンポジウム等を実施しております。
 下ですけれども、全国ダイバーシティネットワークの取組の好事例集です。こういったものを発行することによって、取組が進んでいくものと考えております。
 次のページをお願い申し上げます。そうした成果がある一方で、課題も見えてきてございます。このような事業の取組の結果として、女性研究者支援に関する全国展開は進んでいますけれども、まだまだ充実、さらなる発展をさせるためには、検討・改善が必要だと認識しております。
 これは局長のところにもありましたとおり、まさに研究現場を主導する上位職の登用促進に向けた取組はまだまだということでございまして、下のグラフは徐々に右肩上がりにはなっておりますけれども、まだまだ目標には到達していないということでございます。
 先ほど見ていただきました先端型のところですが、中間評価を行った結果、こういう結果が出てきておりまして、まさに女性研究者の上位職への登用を促進するための新しい取組をダイバーシティーの中に入れようということで、今やらせていただいております。
 話がずれますが、下に丸で参考とさせていただいておりますけれども、女性研究者の裾野の拡大という意味では、女子中高生、あるいは教員、保護者の方々に理系のすばらしさをお伝えする取組が大事だと思っております。今やっております。
 次のページをお願いいたします。ダイバーシティーの事業でございますけれども、資料の真ん中辺り、ダイバーシティー実現に向けた取組の支援の①②が黒字になっております。
 ①女性リーダー育成型ということで、特に上位職への登用のところについて調査をするという観点で、こういう枠組みを新設させていただきました。これについては、先ほど御紹介いたしましたように、事業期間が今まで6年間のうち、補助機関が3年間だったものを5年間に延ばすというところ、あるいは支援金額の年4000万円程度だったものを上限7000万円程度にして、少しでも野心的・挑戦的な数値目標を掲げて、女性研究者を登用しようという大学等の支援の強化をしていきたいと思ってございます。
 次のページをお願い申し上げます。こちらも先ほど参考でお示しさせていただきました女子中高生への理解を進めるための施策でございます。
 JSTによりやっていただいている事業でございますが、理系進路選択支援ということで、参画局さんがやられているリコチャレと似たような取組と思いますけれども、女子中高生の理系分野に対する興味・関心を喚起する、そして、理系分野に進んでいただくことを支援するということで、女性研究者、技術者、これは大学の先生もそうですし、あるいは企業の方もおられます。大学生などと交流を進めていきたいと思っております。
 下に対象ということで、女子中高生だけでなく、先ほどもありましたが、保護者、あるいは教員、こういった方々も対象にして、取組を進めさせていただいているところであります。
 次のページをお願いいたします。こちらでございますが、成果もありますけれども、課題もあるということでございます。
 まず成果でございます。上です。理系進路への関心が薄い層、特に中学生にもちゃんとやるということで必須化をいたしまして、そのことによってより幅広い生徒層にアプローチができるようになったということです。
 矢印のところの市区町村教育委員会との連携といったことによって、中学生へのアプローチ強化ということを進めております。アンケートを取ってみますと、いろいろと出てきているようです。
 民間企業の参画も必須化をしておりまして、これによって企業が関わるということで、例にありますように、企業体験、企業見学、そういったところでまさにロールモデルとしての女性の研究者、技術者についてございます。あるいはロールモデル集をつくっていただく、こういうようなことです。それから、企業から講師派遣を無料でやっていただくこと、協賛金の提供についてもいただいているというところでございます。
 一方で、課題のところでございますけれども、実施機関からの要望です。例えばより効果的なアプローチということで、中学生からさらに若い小学生のプログラミング教育が始まるといったこともありますので、対象を拡大できないかとか、支援期間は2年でございますけれども、これを3年以上に延長できないかというような御要望をいただいておりまして、そういったことを検討していく必要がございます。
 裾野拡大ということで、今、実施拠点数が17機関でございます。応募数は地域によって偏りがございまして、それをカバーして全国展開するというようなことを考えていきたいと思っております。
 次のページをお願いいたします。最後になりますけれども、特別研究員、RPDです。これはJSPS、日本学術振興会でやっていただいている事業でございます。
 特別研究員制度といいますのは、優れた若手研究者に対するものでございます。男女に限らず、こういった事業がございまして、優秀な若手研究者に対して研究奨励金をお出しして、頑張っていただくという取組です。
 この一環といたしまして、出産・育児で研究が中断されてしまった研究者の方に、円滑に研究現場に復帰いただけるように、特別研究員の中のRPDという事業を平成18年からやっております。
 下の申請資格のところを見ていただきますと、例えば出産・育児のために3か月以上研究活動を中断してしまった方は、この制度によってできるようになるということで、このような取組を支援しているような制度でございます。
 簡単でございますが、文科省から以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 この後、委員の皆さんから御意見を伺いたいのですが、進め方になります。お三方から御説明いただいた内容について御意見、質問がある、今回のテーマの科学技術分野における女性活躍推進ということで、そのことであれば、報告されないことでも構いませんので、御意見を伺いたいということでお願いしたいと思います。
 それと、御質問するときに、特にお三方の資料については、この部分とか言っていただいたほうがいいと思いますので、特定の資料などであれば、どなたのものと御指定いただくといいと思います。
 御説明いただいた方は、一対一ではやりませんので、ある程度まとまったところで御回答いただく、あるいは御意見を出していただくということですので、委員の方の質問があったら、自分のところだと思ったらメモをしていただいて、後でまとめてということにさせていただければと思います。
 この後、どなたからやっていただくかなのですけれども、今回のテーマが科学技術分野の女性活躍ということですので、今回、委員の中で女性のこの分野の研究者というのは佐々木さんなので、まず佐々木さんにお願いします。
 その後、他の委員会等の御都合で、14時頃に出なければいけない方がいらっしゃいますので、佐々木さんの後、山口委員、石黒委員、井上委員ということで、その後は手を挙げていきたいと思いますので、そのようにさせてください。
 いつものように14時頃、健康管理上、背伸びをするといいと思いますので、5分ぐらい休憩しますので、よろしくお願いします。
 それでは、佐々木委員からお願いいたします。

○佐々木委員 よろしくお願いします。
 長めにお時間をいただいているので、今回は、現状分析と提案ということでお話をさせていただければと思います。
 スライドを共有させていただきます。
 先ほど科学技術分野における女子学生割合がOECDで最下位というデータがありましたけれども、日本の女性研究者もOECDの中で最下位になっています。
 また、こちらもよく見るグラフだと思うのですが、日本の数値には文系も含めた全分野の博士課程も入っていて、それらを除くと2~3%下がります。
 各国の数値に日本がいつ達するかということを予測するためにグラフを作成したのですが、このように非常にきれいな直線で増加しております。これで見ると、2000年初期に一緒にビリ争いをしていた韓国に14年の差をつけられてしまい、さらに目標としている30%はあと40年、アメリカには50年、イギリスには70年かかります。今、ここにおられる委員は、私も含めて生きておりません。
 こちらは部分別に見たものですが、どの国でも企業が少なくて、公的機関、大学と多くなっています。全体で30%を目指しているなら、公的機関や大学では40%以上を目指さなくてはいけません。
 このような大学の女性研究者増加のために、これまで採用割合が設定され、こちらは今回の資料にも出てきている工学部の例なのですが、採用割合は2006年から2020年で5.9%から13%と7%近く上がって目標値に近くなっていますが、実際、女性研究員の割合がどれだけ増えたのかというと、6.8%から9%、2%程度しか上がっていません。
 これはなぜかというと、研究者の多くがキャリアアップのために大学を移るので、出入りが激しいのです。だから、採用割合はどうしても高く出てしまいます。こちらは私が所属している名大の生命理学専攻の例ですが、10年で3%から25%に上げたときの採用割合は45%になっているので、もし採用割合にするなら、もっと採用割合を高く設定するべきだと思います。
 また、女性研究者が増えているかをモニタリングするためには、女性研究割合を目標にする必要があるのですけれども、今回、このように准教授、教授に関して設定されました。すばらしいことであります。このように全ての職位においてほぼ直線的に増加していまして、今回、目標値に設定された数値の教授23%、准教授30%というのは、現状では2030年に達成する目標値になっています。これを5年で達成するという目標を立てているので、これは2倍もスピードを上げなければいけなく、現場にいる者としては、すごくチャレンジングな数値を挙げてくださったと思っています。
 これを達成するためには相当な戦略が必要だと思います。先ほどの説明にもありましたが、文科省も本気になってくださって、教授、准教授職を積極的に採用するために支援事業を開始してくださっています。大学全体を動かすこのようなイニシアティブをつくってくださっていて、本当にありがたいと思います。
 ただ、大学全体を動かすためには、もう少し仕掛けが必要だと思います。仕掛けとしては、インセンティブとペナルティーということがあると思うのですけれども、インセンティブとして運営交付金につなげることが重要です。昨年のものなのですが、女性教員比率はその他の外国人、障がい者、留学生、社会人学生比率などのダイバーシティーにまとめられて20億円、一方で、若手研究者比率には力が入っており、120億円と全く額が違います。額自体も増やしてほしいということもありますけれども、全体に関わることなので、ほかの評価項目にも女性比率を考慮してもらって、特に若手の場合は、クオーター制でパーセンテージを決めてしまうことが非常に効果的ではないかと思います。
 また、国立大学ではなく、私立大学へのインセンティブも非常に重要で、全国の大学の約8割が私立大学なので、私立大学が変わらなければ、現状の改善は困難だと思われます。
 さらに全大学に影響を及ぼすために、通常の大型の競争的資金の申請にも、女性研究者支援というものを条件に入れてはどうかということです。これは我々の例なのですが、博士課程教育リーディングプログラムの中に応募したのですけれども、その中の三本柱の一つが女子学生のリーダー育成をいれました。
 これのいいところは、普通、ダイバーシティーのお金で配ると、男女共同参画に関わっている先生しか関わらず、全く興味がない人は関わらないのですけれども、通常の競争的資金の条件にすることで、男女共同参画に関わっていない教員にもアプローチできます。また、そういう形でやったとしても女性教員に仕事が振られるのですけれども、それをもう一回戻して男性教員にやってもらって意識改革をするということも大事です。
 このように通常のものにどんどん女性研究者の支援を入れていくことが非常に重要で、最近、ショックだったのは、世界と伍する研究大学専門調査会の中間報告に若手という文言が入っていたのですけれども、女性の文言がゼロで、やはりどうしても女性活躍の視点が抜けてしまうのだろうということがあります。今後、世界と伍する研究大学専門調査会の中で議論される制度改革とか、また10兆円大学ファンドの評価基準に入れることが非常に重要なのではないかと思います。
 また、評価システムの構築も重要です。第6期科学技術・イノベーション基本計画の中では、「女性職業啓発における活躍の推進に関する法律」を活用して、それぞれの分野ごとに博士後期課程の在籍者に占める女性割合に応じて、戦略的な数値目標設定や公表を行う、としていますが、これは非常に重要な取組だと思うのですけれども、目標を設定しただけでは駄目で、それを評価するシステムが必要となります。
 参考になるものがイギリスにおけるものです。イギリスにおいてSTEM分野の大学研究機関がジェンダー平等のために2005年に創設され、2011年からは一部の研究費の申請の要件になりました。こちらに関する研究は、先ほどの文科省のイニシアティブ調査分析で調査がなされていて、報告が出ておりますので、そちらを参考に実施する必要があると思っています。
 さらにいろいろ目標を設定するために、分野ごとに細かく設定していく必要があります。こちらは国立大学における女性研究者割合を示したものです。このように博士課程は増えているところもあるのですけれども、教員で減少して、特に理系分野がひどいことが分かります。先ほどから問題になっています理学・工学は学部の段階から少ない。一方、農学部や医学部のように、学部に女子学生が多い分野でも女性教員割合は低くなってしまいます。
 こちらはアメリカにおけるSTEM分野の女性研究者割合なのですけれども、アメリカもSTEM分野を増やすことはすごく難しく、奮闘しております。アメリカでも、ここからスピードがアップしているのですが、1.5倍しかスピードを上げられておらず、今、日本は2倍にしようとしているので、非常に大きな目標になります。
 また、アメリカではライフサイエンス分野はSTEMの中でも高いのですけれども、それ以外の分野は非常に低いです。20%ぐらいです。この20%というのは、実は博士課程の女性割合はそのぐらいありますので、女性教員の段階での漏れを確実に止めれば、アメリカの割合ぐらいまではいくような感じがします。なので、卵はある、漏れを確実に止めるということが非常に重要で、もちろん理学や工学の分野の女子学生を増やすことは大事なのですけれども、結局、卵をたくさんつくっても、研究者に育つ前に廃棄してしまうのです。我々は、ポスドク1万人計画でポスドクを増やした世代に相当するのですけれども、まだポスドク後の行き先がない人が多くいます。そして、それを見て後輩たちが博士を目指さなくなっています。自分たちは、そういう悔しい思いをした世代であり、今、Waffleさんたちが理系分野への大学進学者を増やそうとしてくれているので、そこで理系を目指してくれた女子生徒たちがあと10年、15年で教員を目指す時期に入ってくるので、それまでにここの漏れを確実に止めておかなくてはいけないと感じております。
 さらに先ほど言ったようにライフサイエンス分野はアメリカで非常に高いのですけれども、日本の今の分け方だと、物理や化学、情報科学などの少ない分野がライフサイエンス分野とまとまって理学としてカウントされるので、その少ない分野の状態が分からなくなっています。なので、アメリカのような分野の分け方にしないといけなく、また、コンピューター・情報科学も日本では分かれていないので、そこも分けて、アメリカと同等の男女別で解析をする必要があります。
 では、漏れを防ぐにはどうすればいいのかということなのですけれども、女性研究者は40歳で55%、50歳で70%が就いており、その値は男性研究者の35歳と40歳に相当します。つまり昇進に関して、女性は5年、10年遅れます。ちょうどその時期にライフイベントがかぶっているということで、そのときに差がついて、そのまま回復できていません。
 先ほどの文科省の方の説明にあったRPDというのは、そういう方々を復帰させるのに使われている制度なのですけれども、実際にRPDの採用の年齢を見ると、35歳から45歳が85%、差が開くと言っている時期と一緒です。かつ40歳の年齢制限では、今、若手採用に40歳の年齢制限をかけてしまっているのですけれども、そうすると、せっかく育てても、採用者の50%が支援終了時には、40歳を超えており、応募できません。また、PD終了後の90%が常勤職になっているのに対し、RPDは63%しか常勤職につけていません。
 よって、時計を変えてあげる必要があります。採用だけではなく、若手枠の研究費などの全ての年齢制限で出産後プラス5~10年を増やす必要があります。今、プラス1~2年というのが研究費申請では考慮されているのですが、それでは多分短過ぎると思っています。また、3年のRPD採用期間を5年まで、トータル支給額は同じでいいので延ばせるようにしてほしいと思います。そうすれば、女性割合と研究員をアップしますし、お金もかからないですし、女性割合の数値目標も達成できるので、こういうライフイベントを考慮することが当たり前の環境になっていただければと思います。
 また、単身赴任の問題が非常に大きく、研究者はキャリアアップのために研究先を異動しなくてはいけなくて、男性も他の職業に比べて多いのですが女性では単身赴任経験者が50%ぐらいになってしまいます。実際、日本神経科学会奨励賞の2018年までの女性受賞者の6名中6名が単身赴任で、5名が子供がいる状態での単身赴任でした。男性は単身赴任でも子供を連れていかないのですけれども、女性は子供を連れていく割合が非常に高いです。実際に我々の専攻では、女性の50%である5名が単身赴任で、そのうち4名が子供連れという非常に多い割合になってしまっています。企業だと女性は単身赴任をあまりしないのですけれども、ここは非常に女性研究者につきまとう問題です。
 これにおいては、夫婦雇用制度の推進や、フランスのCNRSと呼ばれる国立機関が付与している移動可能なパーマネント研究職など、ここを早急に対応していかないといけないのではないかと思っております。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 年齢基準はかなりなくなってきて、研究歴とか、博士号を取ってからとか、そのように少しずつ変わってきていますけれども、まだまだ年齢基準は残っているので、それを変えていく必要があります。
 先ほど御説明しましたように、御予定がある山口委員、先にお願いいたします。

○山口委員 どうもありがとうございます。
 ここまで林局長、松尾局長、千原局長、佐々木委員からすばらしい御発表をいただきました。基本的に全ての御発表についての御提案とか、これまでの取組について、強く賛成いたします。
 私から多く付け加えることはないのですが、感想として特に重要だと見ているのは、経済的なインセンティブをつけるということです。もちろん既についているものもあるのですが、達成度が不十分であるということならば、より強いインセンティブを取り入れていく必要があると思いますし、そうしたインセンティブの適用される範囲を広げていく必要があるのではないかと思いました。
 今では特に女性の研究者を増やす、女性のSTEM専攻の学生さんを増やすということで特別なプログラムが用意されて、そこにお金が落ちるというのは、御報告いただいたようにもちろんあるのですが、一般的に学会主催のシンポジウムの登壇者で一定数の男女比を確保できないのだったら、それに対して助成はできないのだという形で条件づけるということでいろんな学会に広めていけばいいのではないかと思います。
 現状は女性の教授クラスは見つけられなくて、しかも、いろんな学会でイベントをやるたびにその教授の方が呼ばれて、忙しくなり過ぎるという弊害はあると思うので、注意すべき部分はあると思うのですが、登壇者の対象を何も教授に限らずに、もっと若い方、助教の先生とか、場合によってはいい研究をされている大学院生の方にまで対象を広げたりすれば、決して不可能ではないと思います。現在の状態にしてしまっている段階でよくないと思いますので、そういった形で学会のシンポジウムの登壇者に一定の男女比を確保することを義務づけて、助成の条件にすることはいいやり方ではないかと思います。
 もう一点、皆さんの御報告に付け加えるとしたら、女性の研究者の方が活躍する上で、女性だけではなく、男性にも同時に注目したほうがいいと思います。男性側が家事・育児をすることが間接的に女性の活躍の助けにもなるのではないかと思っています。そのためには大学などの機関における男性の育休の取得率なども、重要な指標になるのではないかと思います。
 どうしてかというと、女性の研究者の方のパートナーが男性の研究者であることが多いことが一つと、パートナーがほかの仕事をされている方でも、職場に家事・育児を行う男性が増えることは、問題の理解の促進につながるのではないかと思います。したがって、間接的な形ではありますし、女性の支援のためにも男性の育休取得状況などをKPIの一つに取り入れていくというのは、いい方法だと思っています。
 今のところうまくいっていると思うのですが、さらに可視化が必要だと思います。今、入試や採用のプロセスで、最終的に採用された人数については見られているのですが、受験者数とか、あるいは応募者数の男女比を取っておいて、出口と入り口について、今、出口だけ見ている形ですが、入り口についても見ておいて、プロセスに男が多かったら、絶対不正があったというわけではないのはもちろんなのですが、常に見える形にしておくことが必要だと思います。
 入試制度について多様な入試制度の導入が必要という御指摘もあって、その提案に賛成します。入試は、日本ですと筆記試験の一発勝負で、それがフェアで公正ですばらしいものなのだと受け止められがちですが、一方で、男女でリスク回避に対する態度がかなり異なるわけです。そうなると、リスク回避の方向に動きがちな女性の学生は、例えば偏差値の意味でランクの高い学校を避けて、より安全なチョイスをしてしまうということもあり得るわけですので、意図せざる形で入試制度が一方の性に有利に働いてしまうという可能性についても、考慮が必要ではないかと考えました。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 学会のときの主要なシンポジウムなどは、ルールができなくても、学会が言って当然のものだということで、我々も喚起したいと思いますし、今、入試のことがありましたけれども、教員の場合、基本的には公募です。採用された人は分かるのですが、公募段階で女性がいたかどうか。いないのなら理由は何かということはきちっと分析して、対象がいないのか、ちゃんと公募しているのかということは、少し見てもらうようなことを学部なり、学科でやってもらうことは大事だと思いました。
 石黒委員、お願いします。

○石黒委員 ありがとうございます。
 時間が途中で切れてしまうかもしれないのですけれども、もしも言えないことがあったら、後で資料を提出いたします。
 私の今日の意見は、ほとんど自分の個人的な経験をもとにお話しするのですけれども、今までの議論の中で恐らく出ていないものの一つに、入試のやり方ということがあります。私は子供がスタンフォード大学に行っておりました。スタンフォード大学だけではなくて、アメリカの大半の大学は、入試のときに○○大学の××学部を受験しない、つまりスタンフォード大学を受験するのです。スタンフォード大学の工学部を受験するわけではないのです。
 大学に入った後で、いろいろな授業を取りながら自分の専攻を決めていって、大体が3年生で学部に行きます。入試で学部を受験しないのに、定員などをどう操作していくかというと、そのオペレーションは、大学入試の場合にエッセイがありますが、そのエッセイの内容から大体推測しているのではないかと考えます。
 私の高校時代は、いろんな職業教育がなされていませんでした。にも関わらず、高校1年、高校2年で自分の将来を決めていくというのは、なかなか厳しいものがあると思っていて、そうであれば、大学に入った後にその選択ができるようにというような方式を日本でも取り入れたらいいのではないかと考えています。先ほど言いましたスタンフォード大学はそうなのですが、アメリカの大学はかなりこの方式で、しかしながら、全部が全部というわけではないと思います。これが一つです。
 本日の資料には、アメリカの統計はあまり見当たらなかったのですけれども、研究者というよりも、いわゆる母数の問題です。例えばコンピューターサイエンスの中で女性の占める割合というのは、アメリカもかなり低くて、私は10年前の統計しか持っていないのですが、一般的には30%ぐらいだったと記憶しています。しかしながら、うちの子供はスタンフォード大学のコンピューターサイエンスなのですけれども、その卒業式に出たら、ほぼ女性は皆無だったのです。
 アメリカでもいまだにいわゆるトップスクール、スタンフォード、MITとか、理系のトップスクールは、女子学生がすごく少ないという問題を抱えていると思っています。私どもなどIT企業の中の女性割合が少ないとか、マネジメントに少ないということが今でも非常に大きな問題で菅、これは、そもそも、母数である理系の女子学生が少ないという問題に端を発します。つまり、アメリカのIT企業もこの問題を抱えています。アメリカはそれでも先進国なので、アメリカでどんな解決方法があるのかというようなことを、できれば調査していただきたいと思っています。
 最後に自分の反省なのですけれども、私のネットイヤーグループは、基本的にはIT企業なのですが、今年、サクセッションを実施いたししました。私の考える自分の一つの退任理由というのは、私がエンジニアではないことなのです。ちなみに、サクセッションの理由は、外部には公表していません。
 私の持論なのですけれども、普通のレベルのIT企業であれば、トップはエンジニアでなくても良い、しかしながら、飛び抜けて成長する企業、アメリカで言えば、インテルとかGAFAなどのトップマネジメントもしくはCEOは、エンジニアであり、この人と働きたいという人がトップであることが私は必須だと思っております。だから、これからの成長を考えて、トップにエンジニアを据えたいと思いました。
 自分の過去を振り返ってみると、私の高校時代は基本的に勉強はできたほうだと思います。中でも、理系が好きだったのです。しかしながら、理系を選択しませんでした。一つの理由は、いわゆる理系専攻、文系専攻と別れるときに、理系専攻は男子ばかり、こういう状況を見て、自分が理系を好きであるにもかかわらず、選べなかった。自信のなさがあったと思う。もしも人生の中で失敗したことがあるとすれば、私は理系を専攻しなかったことだと思っています。
 そういうことが起きないように、職業教育を様々な形でしていただいていると思うのですけれども、もっと一般的な授業の中に、将来を見据えてこういった形になるのだというような職業教育をぜひ入れていただきたいと思います。さらには、例えば数学の微分、積分を習うときに、ゴールが分からないのです。なぜ微分を学ぶのか。将来的にこういう職業のところは微分を必ず使います、積分を必ず使いますというようなゴールのイメージがあって、その手段を学んでいるということが分かると、勉強に対しての熱意も非常に出てくるし、やる気も出てくると思います。先生方にぜひそういったような教育をしていただきたいと思いまして、そういうことを意見として述べさせていただきます。
 以上になります。よろしくお願いいたします。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 石黒さんもここでということになりますので、それでは、初めに御説明しましたように、健康管理上、背伸びするのは大事なので、5分だけ休憩します。2時03分か、2時04分ぐらい、その後、井上さんから発言していただきます。あとは手挙げで御意見がある方からにしたいと思います。それでは、5分休憩します。

(休憩)

○佐藤会長 それでは、井上委員からいただいて、その後は挙手で、ほかの委員の方に挙げていただければ、順番に指します。井上委員、お願いいたします。

○井上委員 御配慮いただきありがとうございます。連合の井上です。
 連合の中にも国立研究開発法人がありまして、そこに女性の研究員も少しではありますが、いらっしゃいます。私も現場でお話を聞かせていただくのですが、研究員となると、時間の制限というか、男性はいつまでも研究の時間があるのだけれども、女性の場合、家事や育児ということで、時間に制限があって、なかなか男性と同じような研究成果を得るのが難しいという意見も聞きますし、共働きで研究所で働いている場合などは、やはり女性のほうが家事や育児の負担がかかってしまうという話も聞きますので、その意味でも先ほど山口委員からもありましたが、男性の研究員あるいは大学の教員の皆さん、教授の皆さんに、男女共同参画、家事、育児、固定的性別役割分担意識の払拭、そういうものを理解いただいて、環境の整備に努めていただかなければ難しいのだろうということは現場を見ていても思います。
 それから、林局長の説明の中でアンコンシャス・バイアスの話がありました。これは佐々木委員がいつもデータで使っていただいている男女共同参画学協会連絡会のところでも、アメリカの事例とか、日本の事例もありますけれども、女の子は算数が駄目、数学ができないということを刷り込んでテストをすると、それを聞いていない女子と聞いた女子のテストの結果が違うなどのデータも出ていますので、家庭で親が「女の子はこうだから」というのを何とかしないと、やはり変わらないのではないかと思います。
 先ほど文科省からは中学校のところまで対象を広げて、その年代から理系の教育をと言っていましたけれども、小さなときから、文系、理系の区別がないような、どちらも教育ができるような環境をつくっていかないと、成長する過程でいろいろな差ができてしまうのではないかと思います。
 プログラミングが小学校で必修化されたということで、この間、テレビでプログラミングの学習塾に通っている子たちを映している報道があったのですけれども、そこに行っているのは全部男子だったのです。女子が1人もいないのです。既に男子は学習塾でプログラミングを覚えて、それで学校へ行くわけです。でも、女子は学校で初めてプログラミングを習う。そこでも学習の蓄積力が違っていて、それが学年が上がるにつれて、また差が開いてくるということがあると思います。そういう意味でも、小さなときから教育で、例えば小学校の授業参観のときに親御さんにも聞いてもらえるような何かをするとか、そのぐらいやっていかないと、親御さんからの刷り込みというのが女子の教育のところ、人材育成のところにも関係してくるのではないかと思い、何らかの対策が必要ではないかと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 井上委員も14時半ごろ退席しなければいけないようです。
 ほかの方は御発言がある方から順にやっていきたいと思います。徳倉委員、お願いします。

○徳倉委員 ありがとうございます。徳倉でございます。よろしくお願いいたします。
 先に発言しないと、今日は発言する内容がなくなりそうだと思ったので、先に手を挙げさせていただきました。
 各局長からの御説明と、佐々木委員と山口委員から御説明いただきましたけれども、今日お話ししようと思ったのは、大学の中身の組織の話と、あとは、私の配偶者、妻が研究職ではありませんが、ザ・理系の職業に就いていますので、そういう点も踏まえて男性育休のお話もしようと思ったのですが、山口先生がお話しくださったので、そこのところは割愛させていただきます。
 実際の数字でお話をすると、今日もきっと傍聴の中に関係者がいると思うので、名前は伏せますけれども、私は2年ぐらい前まで、ある組織のダイバーシティーの委員を10年間ぐらいさせていただいていました。これは理系も文系も関係なく、いわゆる学術系の部分で私は関わらせていただいておりましたけれども、そこですごく感じたのは、そこのトップ層はジェンダーバイアスが強いということです。今回、千原局長や松尾局長におっしゃっていただいたような施策を進めていこうとしても、トップがそこに理解を示していないと全く進まない現状があったのです。その委員会は結構もめて、けんかをして、すぐに首になりました。そういうことが実際にありました。
 そこから何を考えたかというと、普段、私は企業などで研修をさせていただいていますけれども、やはりトップの意識をどう変えていくかということです。制度はあるのだけれども、風土が伴っていないというところが一番の問題になっています。
 先ほど佐々木さんもおっしゃっていらっしゃいましたし、山口先生も追加でおっしゃっていましたけれども、経済的な部分のインセンティブをどういうふうに大学につけていくか。私も香川大学に所属をしているので、いろいろと聞きますが、交付金が増やされる、減らされるということはすごく敏感に反応します。
 例えば四国全体の国立大学は五つございます。香川大学、愛媛大学、高知大学、徳島大学、鳴門教育大と五つございまして、その中でいわゆる理事クラスまで、学長、副学長、理事という数字を男女比で表現すると、57名いらっしゃって、そのうち6名しか女性がいらっしゃらないのです。それをさらに内訳で見ていくと、何と6名のうち3名が非常勤です。ほかに非常勤の男性の理事などがいらっしゃるかというと、ほとんどいらっしゃらないのです。お一人ぐらいいらっしゃいました。専門性の関係でそういう現状があります。
 今まで御説明いただいていたように、教授や准教授とか、そのほかのそれぞれの職種においても、有期と無期の部分の差が出ている。こういうところにも表れているので、トップ層のジェンダーバランスを早急に変えるような、経済的なインセンティブをつけたほうがトップ層の意識が変わるので、佐々木さんがおっしゃるように、これから加速度をつけていかないといけない場合は、この辺のインセンティブを具体的に変える必要があるのではないかと思っております。
 今日はそのぐらいにいたします。お願いいたします。

○佐藤会長 上場企業などでいうと、役員に占める女性比率みたいなことがいろんなところで言われています。国立大学がどうなっているか分からないけれども、そういうものがあってもいいかもしれません。

○徳倉委員 ごめんなさい、佐藤先生、一つだけ言い忘れました。

○佐藤会長 どうぞ。

○徳倉委員 育休改正法の中で、大企業、1,000名以上の組織は、男性の育休取得率の公表が義務化されていると思います。お聞きしたいのですけれども、いわゆる大学法人などは適用される組織に入るのでしょうか。

○佐藤会長 適用されます。今、学校法人化しているので、基本的には全て民間ルールです。労働法制は全部民間ルールになっているので、適用されます。

○徳倉委員 そういうものが出されていけば、先ほど山口先生がおっしゃったようなところも可視化できると思うので、そこは期待しております。
 以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 今の点は結構大事です。特に学校法人、国立大学法人については、民間ルールです。これは大事かと思います。
 窪田委員、お願いいたします。

○窪田委員 窪田でございます。
 本日の話は大変積極的な形で分析をしていただきましたし、それ自体は十分に理解できるものでした。
 全く別の観点から思いつきのようなことで大変申し訳ないのですが、発言させてください。今日お話をずっと伺いながら、理系で女性の割合が少ないというお話だったのですけれども、ある種の危機感がございました。私は1979年に大学の法学部に入学しております。京都大学だったのですが、330名の定員のうち、女性は13名でした。そのとき、13名という数について話題になりまして、倍増した、前年は7名だったのです。恐らく東京大学も同じような状況だったのではないかと思いますし、ほかの旧帝大も似たような状況で、地方大学あるいは私立ということで、少しずつ比は変わっていたのではないかと思いますが、今日、理系について示されたデータとほぼ同じようなものだったのではないかと思います。恐らくほとんどの大学の法学部に女性教員はいなかったと思います。20年ほど前でも、恐らく1人、2人いる大学があるかどうかというレベルだったと思います。
 正確な数字をきちんと把握しているわけではないのですが、京都大学は女子学生の割合が30%弱程度だろうと思います。私の勤務する神戸大学だと40%ぐらいです。何をお話ししたいのかというと、これこれこういうことで法学関係では成功したなどと言うつもりは全くないのですが、文系、理系と分ける中では見えてこないのですが、恐らく文学部は早い時点から女子学生の数は多かったのだろうと思います。それに対して法学部では、実際にこれは耳にしたこともあるのですが、法学部なんて行ったらお嫁に行けないというような世界だったわけです。
 これに関して一体どうやって変わってきたのか、何が理由で変わったのかということを私は分析していませんが、社会学の先生方にきちんと分析していただきますと、今、理系に関して取り組んでいる問題に関して、別の視点から、ひょっとしたらこういうアプローチもあるのではないかということが出でくるのではないかという気もいたします。恐らく女子学生の割合についても、文科省はきちんとしたデータを統計として全部持っていると思いますし、そういうアプローチもあっていいという、全くの思いつきなのですけれども、発言させていただきました。
 以上です。

○佐藤会長 大事な点です。これまで女性が少ない学部でも今は多くなっています。そのプロセスでどういうことが有効だったかというのは、理系にも役に立つということはすごく大事な視点だろうと思います。
 治部委員、お願いいたします。

○治部委員 ありがとうございました。
 私はこの4月から東工大の文系教養部門に勤務していまして、今日伺った話は全部あるあるだと思って興味深かったと思います。
 まずびっくりしたのは、学生さんの85%ぐらいが男子というところです。ただ、聞いてみると、どうして理工系の大学に入ったのかというと、やはり子供のときに科学に触れて、それが面白いと思う経験をしている人が男女共に多いです。展示会とか、イベントとか、そういったものがトリガーになることによって、性別を問わず面白いから来ているというところがすごく大事なので、文科省さんからいろんな取組がありましたけれども、ぜひ子供たちの好奇心を刺激するということをやっていただきたいと思っています。
 それに際してちょっと気になることがありまして、いわゆる校外学習、課外活動で知的好奇心を刺激するということは、通常、家庭環境がいい子ほどオポチュニティー、チャンスが多くなっています。例えば文科省であったり、都道府県でイベントをやる場合にも、親のリテラシーがそもそも高い、親の学歴が高い、親の収入が高いほうがそういった情報をキャッチすることができて、子供をそういったところに取り込むことができます。もちろん国の施策なので、この辺は御配慮されているとは思うのですけれども、これはジェンダーの問題であると同時に、交差性、インターセクショナリティーの問題であります。
 今、東工大などを見ていても、首都圏の出身の人がすごく多いのです。なので、ジェンダーと同時に、地方であるとか、家庭に十分なお金がないとか、親の学歴がそれほど高くないといった方たちが、理系の教育にアクセスできるようなことを考えてほしいと思っています。
 情報公開に関しては、山口先生や徳倉さんと同じ意見なのですけれども、今、検索をちょっとしても、合格者数、受験者数を学部別で取ることができないので、ここは運営費交付金とセットにして、公開を義務づけることをしていただきたいと、文科省さんにはお願いしたいと思います。先ほど来、佐藤先生も御議論されている女性活躍推進法で、雇用主は女性の管理職の数等々の数値を公開するようになっていますので、この教育版のようなことができたらいいと思っています。
 例えば既にやり始めているものとして、医学部に関しては、令和3年度の受験者と合格者の男女比というのが少し前に公開されています。これは数年前に起きた医学部入試の女性差別を受けて、国会議員等々が働きかけをした結果、文科省さんで出されたと思うので、同じことを全ての学部においてする。物事を変えていくための第一歩は、情報公開ではないかと思っております。
 最後にお詳しい方にぜひ聞きたいと思うのですが、本日のテーマは科学技術における男女ギャップ、ジェンダーギャップなのですけれども、これは煎じ詰めると、女子が数学を回避しがちであるという問題だと思いました。文系でも経済学部は女性が非常に少なくて、今のエンジニアリング等々とあまり変わらない状況にあります。
 私が、昔、大学受験をした頃を振り返ってみましても、同じ文系の中でも数学の受験がない私立文系を選ぶといった傾向が女子で顕著に見られたのです。一方で、林局長がお示しくださったデータを見ると、日本の10代の女性は、国際的に見ると算数はできているわけなので、できているはずの子たちがなぜ避けるのかというところ、ここに何があるのかということを深掘りしていったほうがいいということを、ちょうど10歳の女の子を持っているママとしては、自分事として関心を持っておりますので、よろしくお願いいたします。

○佐藤会長 親の経済的背景も大事で、特に大学だと理系のほうが授業料が高いのです。そういうこともあるし、数学だと大手私大の経済学部なども数学を必修にし始めているから、受験生がどう動いているかということを見ると、今みたいなことも分かるかもしれません。
 大崎委員、お願いいたします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 今日の皆さんの御報告、委員の皆さんの御提言は大変勉強になるというか、触発されております。
 私からジェンダー主流化の観点からコメントしたいのですが、その前に、私も保護者として、最近、大学受験というものを経験しました。うちの娘はいわゆる進学指導重点校、トップ校を卒業して、今年の4月に大学に進学したのですが、そういう高校ですと、男女問わず、とにかく東大を目指そうとか、あと、女生徒も理系をものすごく奨励されます。ですが、選ぶときになって大変なのは、文理選択を1年生や2年生でやらなければいけないというところが非常に大きいのと、うちの場合は文理を両方選択、ダブルメジャーをやりたいということがあったのと、あと、大学に入ったときの学びの環境が男女比率で偏りが著しい、教員の方々にジェンダーバイアスがある可能性がある、そういったところでの学びの環境というのはどうなのだろうかという疑問を私自身は持っておりまして、結果として、大学に入ってから専攻を選べる、ダブルメジャーも可能である、なおかつジェンダー平等の推進に大学として取り組んでいる環境を選択しました。なので、保護者もそういうところを見ている。単に女子が理系に進むことに積極的ではないというバイアスだけではなくて、自分の娘にとって学びの環境としてどうなのかという問題意識を持っている親も非常に多いと認識しております。
 先ほど佐々木委員から大学ファンドの創設ですとか、世界と伍する研究大学に関しての御発言があったと思います。私もここでジェンダー視点を主流化するのは非常に重要だと思っていまして、これが大きな政策、大きな改革のところなので、別個で男女共同参画に特化した取組というところだけではなくて、やはりジェンダーの視点を大きな政策にいかに主流化していくかということが重要だと思います。
 これまでの議論でもいろんな資料などを出していただいているので、全部見たのですが、そこではやはり佐々木委員がおっしゃっていたとおり、ジェンダーギャップだったり、女性ということはほとんど出てきていないので、世界に伍する研究大学を目指すのであれば、海外の研究者、海外の学生から選ばれなければいけないのですけれども、日本というのはジェンダーギャップが大きいということですごく有名なわけです。そうすると、研究の場としてどうなのか、学びの場としてどうなのか、そういったことを考慮する人たちはすごくたくさんいますから、そこをしっかりと取り組まないで、世界と伍する研究大学の環境創出というのは難しいのではないかと思っています。
 それプラス大学ファンドには、金融機関の視点もこれからすごく入ってくるのだと思います。そうしますと、今、企業の中のジェンダー平等推進を進めるインセンティブの一つとしては、機関投資家がステークホルダーとしている。そういった人たちは男女間の賃金格差がどうなっているかとか、男性の育休取得率がどうなっているかとか、セクシャルハラスメントや暴力の根絶に対してどういう取組を行っているかとか、ジェンダーの部分での評価軸、それでもってどこの企業に投資するかということを決めるという潮流があるわけですので、大学ファンドの創設に関しても、今後そういう議論が出てくるのではないかと予測しております。そうしますと、いかにジェンダー平等な環境を大学キャンパスで創出していくかというのは、経営課題そのものになる。そういう認識がトップに必要であると思います。
 以上です。

○佐藤会長 内藤委員、お願いします。

○内藤委員 皆さんおっしゃっていましたけれども、先ほどの御説明で共有された問題意識は私も全て共感するものばかりでした。私自身は地元の国立大学の機械工学科に30歳のときに進学しているのですけれども、そこの経験を踏まえて感じたことと自治体のトップとして感じている意識、特に地方での意識改革の重要性について、少しお話をさせていただければと思います。
 2014年に私は機械工学科に入学したのですけれども、もちろん当時も女性の先生は機械工学科にはいなくて、女子学生も115人中4名という状況でした。ちなみに、今年入学した1年生は女子学生が1人だと聞いております。
 そこで、先ほどの問題意識もありましたけれども、私自身もすごく問題意識を持っていたので、機械系とか、電気系の女子学生を増やそう思って、メカガールという団体を設立して、当時の山口科学技術担当大臣と対談したり、地元のテレビ番組で機械の先生たちの紹介をしたり、そういった活動をしていました。そのときに、当時の学長さん、つまりトップの先生には褒められたのですけれども、現場の大学の先生の反応はよくなくて、どういう反応をしたかというと、研究室に女子が来られても困るとか、そういうことを直接的に言われたり、あと、女子学生が増えたら面倒くさいから、あまり活動しないでほしいみたいなことを直接的に言われたりもしました。実際そういうこともあるので、女子学生が行きやすい研究室が非常に限られてしまっているという問題が発生している。女子中高生に理系進学を勧めていいものだろうかということを、地方の一女子大生として悩んだ経験があります。
 同じようなタイプの男性教員ばかりが集まっているので、難しい部分がすごくあるとは思うのですけれども、そこの意識啓発をどうしていくかというのは、もちろんトップの理解も重要なのですが、現場の先生、同質性の人がいる中での意識啓発をどうしていくかということを考える必要があると思いました。
 また、自治体としても、特に女子のSTEAM教育、中高生のSTEAM教育を進めたいと思ったときに、様々なところから何で女子だけなのですかという声が必ず寄せられます。
 この夏に女子中高生向けに無料のIT教育の場、Waffle Campという場を徳島市としては提供させていただいたのですけれども、実際、教育長からも市役所の職員からも市民からも男性も入れてくれないかとか、多様性の推進を推している市長なのに、どうして男性が対象ではないのかとか、そういった声が結構聞こえてきました。もちろん市としても、理系の女子が少ないことが理由でこういった事業をするということは、市内外に向けて発信をしているのですけれども、先ほど挙げられた課題とか、そういった部分についての理解促進はもっと国を挙げて発信してほしいと、自治体としても感じています。
 何でそういうことを思うかという、もう一つ重要な視点があって、科学技術系の事業に限らず、特に若い女性、先ほどの資料にも出てきていましたけれども、Waffle Campをやられている田中さんとか、私もそうですが、こういったジェンダー関連の事業をSNSなどで発信すると、すごくたたかれるのです。若い世代に届けたいと思うと、SNSで発信したいと思う一方で、理解のなさからくる批判がどんどん寄せられると、発信を減らそうかとか、もう発信をやめようかという方向になってしまうので、みんなで一緒になって啓発を行っていく必要性を強く感じています。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 一巡目で白波瀬委員、お願いします。一巡目を先にします。

○白波瀬委員 今日は貴重なお話、特に個人的な経験に基づく貴重なお声を聞かせていただいたのですけれども、三つぐらいあります。
 一つは、今日、内閣府、文科省からいただいたものは貴重なデータなのですけれども、この二つの関係は少なくともどうなっていますかということです。連携はついているのでしょうか。中身的には非常に似通っております。その辺りは、御説明を別々にしていただいてもしようがないので、よろしくお願いいたします。
 今、内藤さんからお話もあったのですけれども、バッシングにつきましては、最近、SNSということで、いろんなところが直に触れる機会になっていますが、実は我が大学の女子学生も最近ちょっと少なくなったような気がしますけれども、私のゼミはどういうわけか男の子が多いのですが、フェミニストと言われることに対して物すごく恐怖を持っている。日本人は何でそこまで恐怖を持たなければいけないのかと思うぐらい持っている。つまり社会的な制裁がきっとどこかであるだろうと思っているのです。これは非常に残念です。
 そういうことを考えると、これも非常に限られた、バイアスされたほうからしか見ていないので注意が必要なのですけれども、例えば女子学生にネットカフェをやろうということで、足元のところから少し近くなろうかと思ってやったのですが、みんな結構元気なのです。そのときによく聞くと、都内の女子一貫校の割合がめちゃめちゃ多い。どういうことかというと、頭をたたかれていないのです。男の子だろうが女の子だろうが好きなことをやる。もちろんそこに入る子自体、かなりのスクリーニングを通っていますので、そういう意味では結果からということでバイアスはされています。ただ、環境として、男の子だろうが女の子だろうが伸びるだけ伸びろと言えば、恐らく同じぐらいの専攻の分布になるだろう。
 それを短時間でやるためには何が必要か。こんなにアンバランスになっていることのもと、それは女子ですということは前面に出していただいてもいいのではないか。大変失礼なのですけれども、文科省のところで、ここは私自身も言いにくいところがあって、実は身近なところも含めて、女の子だけというわけではなくて、どちらかというと、しっかりしているのは女の子なので、男子学生のほうが気になるのですが、でも、全体のマクロな部分を考えると、アンバランスさは一つのバランスを目指すためというところで、ダイバーシティーという言葉と女子育成、これはどこかで覚悟を決めて出していただいたほうがいいのではないか。
 結果的にはダイバーシティー、それは男だろうが女だろうが、どういう国籍だろうが、どういうセクシャルアイデンティティーだろうが、それが行き着くのがダイバーシティーでございます。ただ、日本の場合は、男女と大きく分けたときのバランスがあり過ぎます。そういう意味でトップの理解が必要です。私の年齢になっても上の方が理解して育てる。男と同じように育てるボスであればあるほど、物すごくやりやすい。だけれども、それを見たことかと言われると、こちらはキャリアもないしというところのつらさはあります。
 窪田先生から御指摘もあったのですけれども、これは文系と問題が似ております。もう一つのトリックは、例えば文学部は多い。学生数は多いかもしれない。でも、教員数は少ない。ここの大学に私がお世話になったときも、実は社工から来ましたので、物すごく女性が少ないところが来たのですけれども、文学部もめちゃめちゃ少ないと思った経験がございます。これは薬学部についてもそうです。薬学部は理系の中で女の子が多いのだけれども、やっと1人のフルプロフェッショナルができたかというぐらいのところでございます。このアンバランスは非常に深刻です。
 そうなると、何人かの方もおっしゃっているように、キャリアです。出口の発想がものすごく少ない。だから、数学が好きということがどういうキャリアにつながるのかという具体的な事例を出していく。
 最後です。女性を対象に経済支援をぜひ積極的にしていただきたい。どういうことかというと、インセンティブというのも重要なのですけれども、時間がないので、地方の女の子に向けて、都会のトップ校に入る奨学金をしっかりつくっていただく。これは一つのインセンティブになると思いますし、佐藤先生も言っておられましたように、出口ではなくて、候補者のところから探す努力を外圧としてつくっていただく。それが非常に大きな第一歩になると思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。山田さん、お願いします。

○山田委員 皆さんのお話を聞いていて、異論は全くないです。
 私自身は典型的な文系の人間で、物理の試験に詩を書いて単位をもらったのですが、その私が高校2年のときに、文系か理系のどちらに行くかというときに、理系を選択したのです。まさにアンコンシャス・バイアスで、理系に行くと男子が圧倒的に多いのです。文系に行くと、私が行っていた高校は7割ぐらいは女子だった。それがつらいので、理系を選んだという経緯があります。今から50年前ですけれども、そのときからそういう傾向がありました。
 先ほど窪田先生がおっしゃっていましたけれども、私が司法研修所に入った1983年は、司法修習生は全体で440数名だったのですが、女子は33名でした。1割に至っていない。1クラスに3人しか女子の修習生はいませんでした。今はどうかというと、完全に2割は超えています。法学部もある部分論理的な思考力が必要なので、純粋に文系というわけではなくて、理系的な要素もあるわけです。
 そこに至るまでの数十年の過程の中で、だんだん女性の数が増えてきたというのは幾つか分析できるのですが、一つは国家資格を持つことができる。弁護士、裁判官、検事になる、国家資格を持つことができるということに対する女子学生のインセンティブが働いていることは確かだと思います。
 先ほどお話がありましたが、薬学部は女子の学生の比率が大きいです。確かに学校のプロフェッサーになる人は極めて少ないのですが、薬剤師という国家資格があることによって、広義でいえば、医学部、歯学部、薬学部も理系に入ると思うのですが、薬学部を目指す女性が増えていることは、国家資格とつながるということがあると思います。つまり経済的なインセンティブとか、安定性があることがかなり大きいのではないかと思います。
 私自身、今、東北大学の男女共同参画のアドバイザリーボードで、5~6年、この問題をやっていて、その中でも常に理系の女性、ポスドクだけではなくて、教員のところで増やしていくにはどうしたらいいかということについては、毎年議論しています。様々な大学の先生からのいいアドバイスをいただいたりしながら、私も一緒に意見を言っているのですが、数字はすぐには出てこない。その中で、やはりアンコンシャス・バイアスやジェンダーバイアスがある。
 根本的にその問題は絶対にあると思うのですが、少しずつ変えていくためには何をしていったらいいかというと、いつもこの会議で申し上げるのですが、女性を積極的に採用するという公募の仕方から、女性を優先して採用するといった採用の仕方にある程度かじを切っていかないと、様々な啓発や研修をしても、やはり意識の高い人はごく一部なのです。トップクラスの人であっても、ジェンダーバイアスを持っているトップ層の人はすごく多くて、そういう意味では先ほど徳倉さんがおっしゃっていたけれども、この問題は根深いアンコンシャス・バイアスがあって、その背後にオールド・ボーイズ・ネットワークもあるのではないかと思います。
 東北大学のことでいうと、数年前に初めての女性副学長になられた方がいて、そこから何となく私が見ていると、少しずつ流れが変わってきたという印象を持っています。上の層の意識を変えていくためには、啓発作業をやっているだけだと、意識の高い人たちだけがそうだねと言って終わってしまうので、もうちょっと強い強制力、法的な強制力でなくても、優先して採用するとか、そういうことが必要だと思います。
 前にカルビーが同じポストを男性か女性かということであったら、同じ能力だったら女性を採るといった方針を社長が出したことがありますが、こういったものがないと多分変わらないだろうと思います。あと50年とか、それぐらいはかかってしまうと思います。
 今はリケジョと言うぐらい、女性でも能力の高い理系の学生さん、教員も多いですし、企業の中でもそういう方が増えていることは間違いないので、それを救っていくためにはクオータ的な発想と経済的な支援、もっと言うと、男性が家事などを手伝えるようなインフラの整備、両方が一緒になっていかないと、いつまでもたっても韓国も抜けないという状況が続くのではないかと思っています。
 以上です。

○佐藤会長 それでは、佐々木さんの後、御説明いただいた方からの御意見をいただきます。佐々木さん、お願いします。

○佐々木委員 二巡目になります。
 今日の午前中もデジタル関連部活という経産省の会議に出ていたのですけれども、そこでは、学生たち、高校生などにどうやってデジタルの関連部活に入ってもらうかということを議論しています。そのときに女子生徒の参加率などが低いのは、課題がまずいのではないか、興味が持てないのではないかということが話題になっていて、実際にこれは我々女性教員なども思っていて、まずは中高の教科書がまずいと思っております。興味が持てないというか、男性の教員がつくっていると思うのですけれども、興味が持てる教科書にまずなっていないというところから、女子生徒の意識がずれていってしまうのではないかと言われています。
 これは面白い例なので共有させていただきますが、カリフォルニア大学の好事例なのですけれども、HIV殺菌ジェルがあります。通常はコンドームでHIVを予防したりするのですけれども、それは男性に任せなければいけない。このジェルは女性が自分を守れるのです。そして、女性がほどんどいなかった流体力学の研究室で、流体力学を使ってHIV殺菌ジェルがどうやって膣内に残りやすくするかという研究のテーマを変えただけで、女性研究者が大幅に増加したという事例があります。なので、今、増えないのは興味が持てるものがないのではないかと思います。
 私もこれまで、実際に女性研究者を増やそうということで活動していたのですけれども、研究を深めるためには、研究の多様性とか、方法の多様性、つまりジェンダーの多様性が重要です。筆頭及び最終著者が女性の論文は性差関連の記述を含む確率が高いという報告があります。
 これは九大の先生ですけれども、通常、動物実験はオスで行うことが多いとこの間紹介しましたけれども、メスも使ってみたら、メスマウスでは痩せ薬になったという発見にもつながっていたりします。
 さらにこれはマンモグラフィーに代わるリングエコーというものなのですけれども、これは東大発のベンチャーですが、社長が女性研究者です。実際の技術自体はパートナーの方が考えているのですけれども、マンモグラフィーはめちゃくちゃ痛いのです。痛いのが当たり前だと思っていたのですが、技術の開発に近いところに女性がいることで、こういう発明も生まれる。
 これは非常に重要で、アメリカからジェンダードイノベーションが始まって、カナダとかヨーロッパでは、研究費の助成金の要件になってきていますが、日本はまだなっていません。
 さらに名大、我々の専攻でなぜ増えたかというと、分野を絞らなかったのです。分野を絞った上で応募をかけられてしまうと、もともと女性が少ないのでいないのです。分野を絞らない応募のかけ方は非常に重要で、実際にそれをしなかったおかげで、神経分野の女性がたくさん集まってきて、そうしたら、脳研究拠点が出来上がりました。これは今までの発想で、分野が重ならないように人事をしようとしていたらできなかったものです。今までにないことをやることで、我々は新しい風を起こせるのではないか、そういうことも起こっていくのではないかと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。この後、松尾事務局長、千原局長、最後に林局長という順番でお願いします。それぞれ御意見なり、お答えいただけるところで結構です。それでは、松尾事務局からお願いします。

○松尾科学技術・イノベーション推進事務局長 松尾です。
 いろいろと御意見ありがとうございました。
 いただいた意見は全くおっしゃるとおりで、我々はそれをしっかりと、今、ワーキンググループをつくってやっていますので、取り組んでいきたいと思っています。
 何人かの先生から大学ファンド、世界に伍する研究の話をいただきましたので、それについてですが、世界に伍する研究大学のために何が必要かということはまさに議論しているところで、世界に恥ずかしくない大学にするためにはジェンダーギャップをどうするかというのは当然の視点だと思いますので、これはしっかり議論していきたいと思っております。
 そのほかは言われるとおりだと思いますし、あとは具体的にどういうふうにということだと思いますが、個人的なことを言うと、今は少なくとも男女比が相当ある中で、いろんな評価が行われているので、評価の軸というのは、今の男女比を正当化するというか、今の評価軸でやるとこれが正当だと思います。評価の軸を変えていくためには、男女比を無理やりにでも変えていかないと、評価の軸は多分変わらないと思うので、ポジティブアクションというのは個人的には絶対に必要だと思うのだけれども、それをどうやって具体的に入れていくか、大学の中で国が強制することも恐らくそんなにできないと思うと、そうすると、どう入れていくかということをやっていくために、いろんなアクションを起こすためにどうしたらいいのかということは、また具体にいろんな先生からいただいて、好事例があれば、それを展開するとか、そういったことをしたいと思います。
 あと、唯一、白波瀬先生からあった地方の女子を都会に持っていくための経済的支援ですが、これはとてもいいと思うのですけれども、一方で、今、東京一極集中なので、都会に来る子は現状はいいのかもしれないのですが、都会に来ることをいいと思うのも、またいろんなバイアスがあると思います。現状はそうかもしれないのだけれども、これが本当にいいのかというのは、自治体の長であられる先生がどう思っておられるのかも含めて、感情的には分かるのですけれども、国としてどうするかというのは、いろんな組合せ、例えば今ちょうどコロナでリモートでいろんなことができるので、わざわざ東京に来なくても、いろんなことが地方でもできるということとうまく組み合わせたり、情報のギャップをなくしたり、私の田舎は青森で高校から東京に来ているので、都会はいろんな情報があって、いいこともあることは分かるのですが、それをどうやって具体的にやっていくかというのは、またいろんなお知恵をいただけるとありがたいと思います。
 そんなところで、いただいた意見は消化できるようにしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 千原局長、お願いいたします。

○千原科学技術・学術政策局長 千原でございます。
 本日は、大変貴重な御指摘、御意見を賜りまして、ありがとうございました。
 科学技術・学術政策局からではございますけれども、今日御指摘いただいた職業教育の話とか、評価書の話とか、若いうちから分かれてしまうとか、そのような話は、いわゆる高等教育など、文科省の中でも多岐にわたる重要な御指摘でございますので、省内に持ち帰りまして、先生方の御意見を共有して、今後は学術政策局で考えていきたいと思います。
 少しだけ申し上げますと、特別研究員のRPDの御指摘がございました。年齢制限のところは、確認を私自身でしてみたいと思いますが、若手研究者の育成という観点があって、あるいは40歳という制限があったかもしれません。そこのところは、御指摘を踏まえてどういうことができるのか、そういったことも議論していきたいと思います。
 私の局ではありませんけれども、高等教育局から教えてもらっているのは、林局長の資料にもありました大学の入試選抜の関係です。高等教育局からもらっていますのは、令和7年度の大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告があるのですが、そこで入学者の多様性を確保するという観点で、入学者の選抜を確立することとして、一定基準における女子を対象とした選抜を例示して、各大学に今年の7月に通知しているものでございます。全体の御指摘を踏まえて持ち帰らせていただきます。
 白波瀬先生からは、リコチャレ等々の部分の連携などの御指摘をいただきました。リコチャレについては、資料にありますので、文科省の事例の詳細を見ていただければと思います。
 女子中高生の支援はまだまだこういう取組が足りないので、結果として講演会をやるとか、ロールモデルを示すとか、やっている中身は一緒になるところはあるかもしれませんけれども、それぞれの視点でしっかり展開していく必要があるのだろうと思っておりますので、頑張っていきたいと思います。
 以上でございます。

○佐藤会長 よろしくお願いします。
 佐々木さんが言われた科学研究費もそうですが、いわゆる若手は、実年齢ではなくて、研究歴が短い人みたいな形で、見直しはかなり進んできていますので、いろいろ見ていただければと思います。
 最後になりますが、林局長、お願いします。

○林男女共同参画局長 貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。
 連携の話を白波瀬先生からいただきました。実は科学技術分野でこのように密接に連携をするようになってきたのは、この半年ぐらいだと思います。松尾さんのところの内閣府の科学技術・イノベーション推進事務局も、同じ内閣府なのですけれども、この夏前ぐらいからお互いに会議にこうやって呼び合って、議論をすることになりました。今日、文科省の千原局長にも来ていただきましたけれども、男女共同参画会議の専門調査会で局長クラスの人に来ていただいて、こうやって議論をすること自体、過去にあまりなかったと聞いております。
 男女共同参画は、はっきり言って男女共同参画局だけではできません。各省、日本政府を挙げてやらなければ絶対できないので、日本政府の中の局長の皆様方をお呼びして、これからも議論させていただきたいと思います。また、連携もしっかり今後とも取ってやってまいりたいと思います。本当にありがとうございます。

○佐藤会長 ありがとうございました。
 まだ御意見があると思いますが、次の議題があります。日英EPA等におけるジェンダーに関する議論について、事務局から御説明いただければと思います。お願いします。

○林男女共同参画局長 それでは、資料の共有をいたします。
 日英EPA等におけるジェンダーに関する議論でございます。
 EU離脱後のイギリスと新たな貿易の枠組みをつくらなければいけないということで、昨年、日英EPAの交渉が行われまして、今年の1月に発効いたしました。この協定の中で、貿易及び女性の経済的自立に関するチャプターが設けられまして、その条文に基づいて、第1回の作業部会が先週21日に開催されましたので、御報告をいたします。
 イギリスの国際貿易省には、貿易とジェンダー平等課がございまして、イギリス側は、その課長以下が出席し、また、日本側は、外務省や私ども内閣府男女共同参画局を含め、各府省が参加して会合が行われまして、この分野における日英間の協力をさらに進展させていくということで一致をいたしました。
 なお、英国は、今年のG7の議長国でございまして、G7でも首脳コミュニケや貿易大臣コミュニケで、女性の貿易への参画と経済的自立の重要性について盛り込むなど、この分野で非常に積極的な姿勢を見せているところでございます。
 私からは以上です。

○佐藤会長 今のことについて御質問なり、御意見があれば、お願いします。いいですか。
 そうすると、先ほどの議題に戻って、言い残したことがあるという委員がいれば、お願いします。白波瀬委員、どうぞ。

○白波瀬委員 1点だけです。田舎の、都会のというところで、局長がおっしゃっているところはすごく分かるのですけれども、私が想定していたのは、大学さえもない田舎からというところで、皆さんはそうやって解釈してしまうのです。親からの独立のところを経済で支援してあげる。そのために逆にいろんな大学が一極集中ではなくて、その分野の一流の先生たちを集めていただくことをよしとする経済的なインセンティブを十分につくっていただくという、そのことを言いたかったので、誤解がないようにと思います。

○佐藤会長 了解しました。
 徳倉委員、どうぞ。

○徳倉委員 今の大学のところで、白波瀬先生のあれでいくと、うちの長男が中学生なのですけれども、例えば香川県ですと、うちの長男が高校に入るときには、高松市に住んでいるのですけれども、今まで同じ公立の高松市の中にある、もしくは県だけではなくて、広がったところに5%受け入れますとか、定員が減りますとか、増えますという制度ができ始めていて、我が県はそれが一番最後ぐらいに条例を出したと思います。
 現実的に全体の母数に対して5%ぐらい行き来があってもいいという仕組みは、日本全体に広がっていることを親もあまり知らないし、当事者もあまり知らない。そういう仕組みがある中で、ジェンダーのところでプラスアルファの試験があるとか、こういう観点だとこういう勉強ができるみたいなところを、なるべくまとめて発信していくだけで、その子供たちは男女が関係ないので、選択肢は非常に広がるのではないか。そういう制度がありますということを付け足していただきたいと思います。

○佐藤会長 それでは、毎回毎回ですけれども、御議論いただいてどうもありがとうございました。
 お忙しい両局長に来ていただいて、どうもありがとうございました。
 それでは、ちょっと時間が余っていますけれども、専門調査会はここで終わりにさせていただければと思います。どうもありがとうございました。