- 日時:令和6年5⽉15⽇(水) 15︓00〜16︓00
- 場所:オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
- 1.開会
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2.議題
- (1)「ジェンダー統計整備状況調査」調査結果について
- (2)家事支援サービスについて
- (3)「女性版骨太の方針2024」の策定に向けた検討
- 3.閉会
【配布資料】
- 資料1
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「ジェンダー統計整備状況調査」調査結果について(内閣府男女共同参画局説明資料) [PDF形式:815KB]
- 資料2
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家事支援サービスの活用にかかる取組について(経済産業省説明資料) [PDF形式:1.1MB]
- 資料3
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「女性版骨太の方針2024」骨子(たたき台) [PDF形式:248KB]
- 資料4
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「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2024(女性版骨太の方針 2024)」の策定に向けて(令和5年 12 月 25 日 第 71 回男女共同参画会議配布資料) [PDF形式:1.2MB]
- 資料5
-
第5次男女共同参画基本計画中間年フォローアップの結果について(令和5年 12 月 25 日第 71 回男女共同参画会議配布資料) [PDF形式:701KB]
- 参考資料1
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計画実行・監視専門調査会委員名簿 [PDF形式:110KB]
- 参考資料2
-
女性版骨太の方針 2023(概要) [PDF形式:1.3MB]
- 参考資料3
-
第5次男女共同参画基本計画(説明資料) [PDF形式:1.7MB]
【出席者】
会長 | 山田 昌弘 | 中央大学文学部教授 |
委員 | 石黒 不二代 | ネットイヤーグループ株式会社代表取締役チーフエヴァンジェリスト |
同 | 井上 久美枝 | 日本労働組合総連合会副事務局長 |
同 | 大崎 麻子 | (特活)Gender Action Platform理事 |
同 | 桑原 悠 | 津南町長 |
同 | 小林 哲也 | 小林総合法律事務所弁護士 |
同 | 佐々木 成江 |
東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻特任准教授、 横浜国立大学客員教授/学長特任補佐「ジェンダード・イノベーション担当」 |
同 | 治部 れんげ | 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授 |
同 | 白波瀬 佐和子 | 東京大学特任教授 |
同 | 徳倉 康之 | NPO 法人ファザーリング・ジャパン理事、株式会社ファミーリエ代表取締役社長 |
同 | 山口 慎太郎 | 東京大学大学院経済学研究科教授 |
内閣府 | 加藤 鮎子 | 内閣府特命担当大臣(男女共同参画) |
同 | 岡田 恵子 | 男女共同参画局長 |
同 | 小八木 大成 | 大臣官房審議官(男女共同参画局担当) |
同 | 大森 崇利 | 男女共同参画局総務課長 |
同 | 上田 真由美 | 男女共同参画局推進課長 |
同 | 池上 紗矢香 | 男女共同参画局総務課調査室長 |
同 | 中山 奈津美 | 男女共同参画局推進課企画官 |
経済産業省 | 南 亮 | 大臣官房総括審議官 |
同 | 太田 三音子 | 商務・サービスグループ サービス政策課長 |
議事録
○山田会長 定刻となりましたので、ただいまより第36回「計画実行・監視専門調査会」を開催いたします。
初めに、新潟県津南町長の桑原悠委員が4月18日付で就任され、今回が初めての御出席となります。一言自己紹介をいただければと思います。
桑原委員、よろしくお願いいたします。
○桑原委員 新潟県中魚沼郡津南町町長を務めております、桑原悠と申します。
町議会議員から数えて13年、地方自治に携わらせていただきました。これらの経験がお役に立てるかどうか甚だ分かりませんけれども、精いっぱい努めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○山田会長 ありがとうございました。
また、本日は、加藤鮎子女性活躍・男女共同参画担当大臣にも御出席いただいておりますので、一言お言葉を頂戴できればと思います。
加藤大臣、よろしくお願いいたします。
○加藤女性活躍・男女共同参画担当大臣 よろしくお願いいたします。女性活躍・男女共同参画担当大臣の加藤鮎子でございます。
山田昌弘座長、また、今回から新たに御就任をされた桑原委員をはじめ、委員の皆様におかれましては、御多用の中、本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
本調査会におきましては、昨年秋以降、第5次男女共同参画基本計画の中間年フォローアップを行っていただくとともに、女性版骨太の方針の策定に向けて議論を積み重ねていただきました。
これまで皆様には様々な意見をいただいてまいりました。例えば女性登用の加速化に向けた企業の先進事例の共有が有効であるという御意見や、地方における取組を進めるためには自治体の首長さんに対する意識啓発が必要であるとか、女性活躍推進法に基づく情報公表について賃金格差以外の情報にも広げるよう検討すべきであるとか、長時間労働の是正など働き方改革が重要であるなどといった御意見を頂戴してまいりました。また、健康、政治、地域、防災、働き方などの様々な分野につきまして、御示唆に富んだ御意見をいただいてまいりました。
女性版骨太の方針は、このように何か特定の事柄にとどまることなく、極めて広範な分野にわたる取組を総合的に進めていただくことによって、我が国の女性活躍・男女共同参画を着実に前進させていくための羅針盤となるものだと考えております。そのために、専門調査会の委員の皆様には、いつも大変幅広い議題について深い御知見に基づく御助言、御示唆をいただいてまいりました。改めて、御協力に心から感謝を申し上げたいと思います。
私自身としましては、取組を加速化させていくための鍵となるのは、人材育成であると考えております。活躍する女性人材そのものの育成や、経営層や管理職、地域の取組の担い手となる方々の意識啓発など、我が国における女性活躍・男女共同参画を推進する人材を着実に育てていけるような取組、これを政府全体で連携を図りながらしっかり進めていければと考えております。
本日は、女性版骨太の方針の取りまとめに向けて、皆様には詰めの議論を行っていただきたいと考えております。皆様の専門的なお立場から、ぜひ忌憚のない御意見を賜れれば幸いでございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
以上です。
○山田会長 ありがとうございました。
加藤大臣は公務のため、ここで御退室されます。どうもありがとうございました。
(加藤女性活躍・男女共同参画担当大臣退室)
○山田会長 本日は、「ジェンダー統計整備状況調査」の結果について報告していただくとともに、家事支援サービスについて議論を行った後、6月をめどに策定する「女性版骨太の方針2024」についてフリーディスカッションを行いたいと考えております。
それでは、議事に入ります。
議題(1)「ジェンダー統計整備状況調査」の結果について、内閣府の男女共同参画局より、資料1の御説明をお願いいたします。
○岡田男女共同参画局長 内閣府の男女共同参画局でございます。
昨年11月に、この専門調査会におきまして実施することを報告させていただいておりました「ジェンダー統計整備状況調査」の結果の概要につきまして、報告をさせていただきたいと思います。
この調査ですけれども、公表資料を用いまして、政府の各種統計における男女別のデータの有無などの状況を把握するものでございまして、有識者で構成されます検討委員会の主査を白波瀬先生に務めていただきました。誠にありがとうございます。
取りまとめました調査結果につきましては、後日公表いたしまして、今後のジェンダー統計の充実の検討の基礎資料としてまいります。
それでは、詳細につきまして、担当室長より説明をさせていただきます。
○池上室長 それでは、資料1、調査結果について御報告させていただきたいと思います。
まず、1ページでございますけれども、ページ上段にございます第5次男女共同参画基本計画における記載を踏まえまして、「ジェンダー統計整備状況調査」を実施いたしました。具体的には、調査票上における男女の別欄の有無及び全体把握として男女別表章の有無を調査したものでございます。調査対象としては、ページの下段に書いておりますとおり、政府統計の総合窓口である「e-Stat」に掲載の政府統計データについて調査を行いました。
結果について、2ページをご覧ください。こちらはe-Statに掲載の基幹統計に関する調査について、調査票上における男女の別欄の有無を一覧にしたものとなります。調査票の有無であったり、調査対象の属性で区分した表となっておりまして、ページの一番左側、個人、世帯に対する調査については、8件全てで男女の別欄がある、もしくは他の調査票との紐づけが可能であり、男女別の把握が可能という結果となっておりました。一方、真ん中の事業所等に対する調査であったり、右側のその他については、表内赤枠でちょうど囲った部分でございますけれども、何らかの人に関する設問があるものの、調査票に男女の別欄がなく、男女別の把握ができないという統計がございました。
続いて、3ページをご覧ください。こちらは男女別表章の有無について、e-Statに掲載の全ての政府統計について量的な全容把握を調査した結果となっております。表名調査においては統計の表タイトル、ファイル内調査においては集計表等のファイルの内容において「男」「女」「性別」の語句を含まない件数を集計いたしております。ページの左側、表名調査においては約8割弱、右側、ファイル内の調査においては約5割に男女別の表章がございませんでした。
同じように、全容把握については、4ページです。こちらには統計の種類別及び調査分野別の調査結果を掲載してございます。こちらの調査報告書は後日公表いたしますので、詳細の結果はそちらにて御確認いただければと思います。
御報告は以上でございます。ありがとうございます。
○山田会長 ありがとうございました。
それでは、検討会の座長を務められた白波瀬委員からコメントをお願いできればと思います。
○白波瀬委員 よろしくお願いいたします。
今回事務局の方の大変な御協力と、我々3名からの有識者ということで、神林先生と麦山先生、経済学者と社会学者ということで、私も社会学ですけれども、3名から構成されております。基本的に実際にデータ分析をしているという経験を中心に検討して、何をまず対象にしていくかということであります。
ジェンダー統計とはということは、いろいろ歴史をひもとくということで、これはもう序章のところで書いているのであまり申し上げませんけれども、基本的に政策評価、男女ジェンダー平等がどの程度達成されているのかという議論と非常に密接に関連している次第です。一方、統計というのは本当にいろいろな統計がございまして、何を対象に今回展開するのか。ただ、できるだけ俯瞰的な形で一つの基準をもって示したいという目的がございましたので、あとは方法としてどう上げていくのか、事務局としてもどういうやり方、方法でやっていくのかということがありましたけれども、今回はe-Statを中心に展開をして、かつ、統計としては基幹統計を中心にということになっています。
統計の中でも世帯統計もありますけれども、事業所統計もありますし、いろいろな種類によって何を対象として何のためのというのが、それぞれの統計についているということになります。そういう意味で、全て100、男女別の表章があるとかというのを全て網羅すべきだと、そういう提言をするのが我々の目的ではございませんで、全体がどのようになっているのかをまずしっかり俯瞰的に提示するということで、それに徹してやらせていただきました。本当に口うるさい委員に対してしっかり対応していただきまして、ある意味では分かりやすい報告書になったのではないかと思います。
基本的には男女別表章、もちろん表章で男女がどうかというのは今回は議論しておりませんので、「男」「女」「性別」表示ということになりますけれども、それをどういう形で第1次に基礎的な結果として出していくのかということもあって、一つの意見では、もうミクロデータというか、もっと言うと33条規定も含めまして、そこから研究者が別々にやればいいのではないのということもあるかもしれませんけれども、でも、基礎的なところで、男女別についてはできるだけ網羅した形で表としてはあるということを基礎に展開すればいいのではないかと。なぜならば、要するに、野菜のGDPではないですけれども、どれだけ野菜が取れましたか、これは何で男女別が必要なのですか、なのですけれども、その背景に、この野菜作りに関わったという活動が入るわけですね。その活動の中は男女同じ形で時間的にも投与していないしということがありますので、その背景には様々な形で男女不平等なり格差が関わっているという観点から、より広く見ると、それは全て男女別にすべきという議論にもなるかもしれません。でも、こういう形でしっかりまずは見たということで、皆様からの御感想とコメント等をいただくのを大変楽しみにしております。
以上です。
○山田会長 調査結果の御報告、ありがとうございました。
続きまして、議題(2)家事支援サービスに移ります。
経済産業省の南総括審議官より、資料2の説明をお願いいたします。
○南審議官 経済産業省です。
資料を説明いたします。
右下1ページでございますが、まず、家事支援サービスは事業者のスタッフが利用者宅を訪問し、主に利用者宅において、家事に関する業務の全部または一部を利用者に代わって行うサービスであります。企業としては、この右側の表にありますように、ベアーズですとか、ダスキンですとか、こういったところがサービスを提供しているところであります。
1枚めくってください。私たち、今回この家事支援サービスが利用されるように支援措置を講じるのですが、それの背景を御説明いたします。まず、左側にありますように、今、日本中で共働き世帯が増えていると。これは皆様も御認識のとおりでありますが、しかしながら、右側を見ていただきますように、依然として女性への負担が大きいということでありまして、共働きが増えても女性の家事・育児関連の時間はあまり変わらない、減らない状況でございます。
1枚めくってください。そういった中で、家事支援サービスの活用をすることによって家事負担を軽減し、今、問題となっている企業の人手不足の問題を解消していくということと、個人のウエルビーイングの向上も図っていきたいと思っておりまして、この下のグラフにありますように、家事支援サービス利用後の家庭での変化ということで、見ていただくと、「家事の負担が軽減した」、これは当たり前といえば当たり前なのですが、「仕事の時間を確保できるようになった」「プライベートの時間を確保できるようになった」「精神的な余裕が生まれた」と、非常にいい効果が現れているところであります。
次のページをお願いいたします。右下4ページでございますが、今、申し上げましたように、家事支援サービスの利用は様々な局面でメリットがあるのですが、しかしながら、現実を見ますと、足元での利用者は僅か1.8%となっております。この利用が少ない理由を調べてみますと、右側でございますが、価格が高いという部分、それから、サービスを利用することに対して、家の中に入られたくないとか、他人に任せにくいとか、そういった心理的な抵抗感がまだまだあることが分かってきております。
次のページをお願いいたします。私たちは、サービスの未利用者、まだ使ったことがない方に、所属企業の福利厚生サービス経由での提供でこのサービスを使ってもらうことが、現実の利用につながっていくのではないかという調査結果を得ております。ここにありますように、所属企業の福利厚生サービス経由での提供といった制度が現実の利用につながるかというところで、半分以上の方につながると、そのように答えていただいているところであります。
そうしたことを踏まえまして、右下6ページでありますが、家事支援サービス福利厚生導入実証事業を令和5年度の補正予算で手当てしております。この予算でありますが、中堅企業・中小企業の方と家事支援サービスの提供事業者が連携して福利厚生として家事支援サービスを使ってもらおうと。その結果、どういった効果が現れるのかを実証しまして、その後、こういったサービスの利用についてどういった環境整備が必要かを明らかにしていきたいといった事業であります。
7ページ、最後のところに出ておりますが、この実証事業の形式ですが、これは中堅企業・中小企業と家事支援サービス提供事業者が連携して、福利厚生として従業員に安い形で家事支援サービスを使ってもらうと。この家事支援サービスの提供事業者に対して国の補助金が入るということで、補助率は3分の2となっております。今月以降、実際にこの事業を開始していきたいということで、公募などをしているところであります。
以上です。
○山田会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの議題(1)、議題(2)の説明に関しまして、御意見、御質問のある方は挙手でお願いできればと思います。いませんでしょうか。
では、山田から質問させていただくのですけれども、家事サービス業者のカスタマーのほうの状況はよく分かったのですけれども、家事サービス業に従事する人たちの性別なり待遇なりみたいなものは調査したのかと、もう一つは、先日、私の知り合いでシルバー人材センターから派遣してもらって食事作りなどをしていただいている人と会って話を聞いたことがあるのですけれども、そういうものは把握しているのかについて、もし何かありましたらお願いいたします。
ほかにありませんでしょうか。
大崎委員、お願いいたします。続いて、佐々木委員、お願いします。
○大崎委員 ありがとうございます。
ジェンダー統計整備状況の調査、ありがとうございます。本当に大変すばらしい調査だと思いました。分野別で男女表章なしのままであるところ、3枚目のスライドの赤枠の中で、男女表章なしのところが、経済産業省企業活動基本調査であるとか、農林業、漁業、港湾等々、ジェンダーギャップが非常に大きい分野で基本的なデータがちゃんと取られていないことを明らかにしていただいたのは、大変重要なことだと思います。
過去に男女の別があったが削除したというところが、例えば先ほどの経産省の企業活動基本調査などあるのですが、もともとは男女別でやっていたのだけれども削除をしたことの背景が、何か分かっていることがございましたら教えていただきたいです。よろしくお願いします。
○山田会長 佐々木委員、お願いいたします。
○佐々木委員 まず、家事支援サービス提供事業のお話なのですけれども、まとめてみたので画面を共有します。
こちら、県によってどれぐらい使える家事支援サービスの提供事業者があるのかを、簡単に目でカウントしたので間違っているかもしれないのですけれども、地方になると使えるサービス提供事業者がかなり少なくなってしまう感じがあります。1というところは、キッズラインが事業者になっていて、そこが全国展開しているので1は一応全国は網羅しているのですけれども、先ほどのダスキンさんなどはもっと全国展開しているとは思うのですけれども、一部の地域しか入っていなかったりして、これが全国で使えると、ここがまず2になると思ったのですけれども、何か御事情があるのかということなどを教えていただければと思います。
ジェンダー統計、すごく手間のかかるデータをありがとうございます。私もe-Statを使いまして、いろいろ特に女性の科学者のところ、研究者のところの解析をしているのですけれども、出てきているものがすごく限定的で、調査票を見ると、ローデータはあるのだと。自分たちの調べたいところが調べられなくて、そこで、二次利用をいかに簡単にというか、どうやったら簡単な手続になるのかが分からないのですけれども、こちらの検討もぜひして、研究者たちが研究できるような形にしていただきたい。
実際に交通事故の男女比も調べているのですけれども、それは交通事故総合分析センター(ITARDA)というところからデータを購入することができるのですけれども、自分がやりたいところを調べたら、何百万、800万とか900万ぐらいデータをもらうのに購入費がかかってしまうということで、かなり項目を絞ってしか解析ができなかったので、そういう費用面についても少し国のほうで検討していただければと思います。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
続きまして、治部委員、小林委員の順でお願いできますでしょうか。
○治部委員 ありがとうございます。
私も家事サービスについてお伺いしたいと思うのですけれども、山田座長と類似している御質問になります。これは現在使われていない理由として、ある種、利用者側の意識の課題、規範の問題等々を挙げていらっしゃったのですけれども、実はその辺り、利用状況は地域によってかなり差があるのではないかと思います。私自身、東京23区内に在住していた頃は、週に2回食事作りの家事サービス兼病児保育とを頼んでいたのですけれども、これは23区内では割と需給のバランスがよく、つまり、頼みたい人も多いし、提供したい人も多い状況なのですけれども、これが同じ都内でも郊外に行くと、なかなか提供者が見つからない。もうちょっとはっきり言うと、いい人が見つからない状況があったりします。同様のことは地方都市でもよく聞きます。つまり、利用者の規範意識、利用者のちゅうちょということだけでは説明がつかないことがあると思いますので、今日御紹介いただきました施策は、ある種後押しをすることによってデマンドを増やしていこうという施策だと思うのですが、今後デマンドが増えたときに恐らくサプライが足りないというか、既に足りないところがあることも御認識いただいた上で、どうしていくかということになっていくのかと思います。
加えて、私自身が利用していた経験からしますと、利用者が幾ら払って、そして、働いてくださる方、元主婦の方、いわゆるできる主婦の方が多いのですけれども、その方々が幾ら報酬を得ているかについておおむね認識は得ているのですけれども、決して多い金額ではないことを考えたときに、結局利用者が高いからといって支払いを躊躇すると、他人のケア労働を買いたたくことになってしまう。この家事労働に伴うジレンマはここにもあることを御理解いただきつつ、推進はしていただきたいのですけれども、そういうタイプの業務であるかとは思いました。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
小林委員、お願いいたします。
○小林委員 ありがとうございます。
私も家事支援サービスについてお聞きしたいのですが、弁護士会でも似たような制度で、ベビーシッターだけなのですが、研修等の場合にベビーシッター費用補助ということをやっているのですが、なかなか伸びないのですね。それは何かというと、今回の資料にも出てきたように、他人が家に入るとか、そういう心理的な障壁があるのだと思うのですが、この資料を見る限りでは、企業の福利厚生サービスを利用すると一つのアイデアとして出ているのですが、企業の福利厚生サービスを使うにしても、サービス提供事業者の側がどうなっているのか。つまり、経産省がマル適マークを出すわけにはいかないでしょうけれども、業界団体等でマル適マークを出すというような、何か研修をやっているとか、保険を使っているとか、そのような工夫を考えていらっしゃるのかどうかお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○山田会長 ありがとうございます。
山口委員、すみません。手短にお願いいたします。
○山口委員 統計についてです。白波瀬先生や神林先生といった社会科学の実証の研究者の方が入っているので、感覚としては私も非常に共有するところがあるので、これは非常に重要な取組だと感じています。
今、やっていらしたことについて特に注文をつけるようなことは全くないのですが、今後どの統計表や調査票について男女別の項目を入れていくことができそうなのかという具体的な検討に入っていけるとよいのかと思います。例えば経産省の企業活動基本調査などですと、男女別に役職者数を出すみたいなことはどれぐらいコストがかかるのか。一方で、それらに対しては公表義務もあるので実現可能な可能性もあるかもしれないと思いますので、個別のところに最終的には下りていくのかと思いつつも、一方で、調査負担が上がったら今度は回収率に関わってくるかというところもあるので、難しいとは思いますが、そういった方向で検討を続けることができればとは思っております。
○山田会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの御意見、御質問に関しまして、内閣府、経済産業省から何かありますでしょうか。特に御意見ということでよろしいでしょうか。
お願いいたします。
○太田課長 経済産業省でございます。
たくさんの御質問、コメントをいただきまして、ありがとうございます。順にこちらのコメントをさせていただきたいと思います。
最初に、山田座長からサービスの担い手側のジェンダーについて御質問をいただいたかと思います。こちらは我々は調査という形できちんと明確に把握という形は実のところ取っておりませんけれども、サービス事業者と常日頃お話をさせていただく中で、ほぼ基本的には女性のスタッフさんが占めているという認識でございます。また、その方々は直接の雇用ということもございますし、契約されている方、また、担い手となっていただく方とのマッチングをされているような事業者さんもいらっしゃいますので、先ほど主婦の方でというお話も出ていらっしゃいましたけれども、そういう御経験の豊富な方々が登録をするような形で担っていただいているというような様々な形式があると認識をしております。
また、シルバー人材センターの御指摘もございましたが、こちらについて、現在、我々は直接把握しておりませんで、今回の事業におきましても家事支援サービスの提供事業者として取り組まれている企業、どこでもいいということではなくて、先ほど小林委員からもマル適マークという御指摘もございましたけれども、サービス提供事業者としてきちんとした企業である、あるいはスタッフさんに研修をしているといった事業者であることを確認した事業者さんを対象に、この予算事業を執行しているということでございます。
御質問が前後して恐縮でございますが、小林委員から御指摘のあったマル適マークについては、我々、国のそういう認証はございませんけれども、業界団体で認証制度を設けております。なかなか認証を取る事業者さんも少なかったといいますか、伸びていなかったということもございますけれども、我々が今回の事業をやるに当たりまして、認証事業者さんも徐々に増えている状況にもございまして、家事支援のサービスを使っていただく方々にも、そういう認証を取ったような企業さんは信頼できるということで、御活用いただけるのではないかと考えております。
また、地域性についてでございます。大都市には担い手が多いけれども、地域によると非常に少なくなるという御指摘をいただきました。こちら、私どもも承知をしているところでございます。御指摘のダスキンさんなども完全に全国津々浦々提供されているということではないということでございます。こちらは事業者様とお話をさせていただくと、ニーズとの兼ね合いということもおっしゃっていただいております。今回の事業においても、先ほど弊省の審議官からも御説明させていただいたように、アンケート調査では1.8%しか御活用いただいていないと。実際、潜在的に御活用いただけるような方々はもっとたくさんいらっしゃると思うのですけれども、心理的な理由や様々な理由で御活用いただいていないということでございます。もちろん各地に展開していただける事業者さんもいらっしゃると思うのですけれども、我々の事業もございますので、地域、地方においても需要を喚起しながら、使いたいのだけれども事業者様がいらっしゃらないところについては、我々もサービス事業者様とコミュニケーションを取りながら、そういう地域にも展開できないかということはお話をしていければと考えております。
同じように、地域差について、23区、中心部はいいけれども、地方都市についてはという御指摘、こちらも我々は明確に全国レベルでどこの地域は見つかりにくいとか、そういうところまで調査して把握できているということではございません。一方で、民間ベースでの取組ではございますけれども、1社のみならず複数社で連携をしまして、機会損失を出さないようにという企業側の意識もあると思いますけれども、スタッフさんを融通し合うような取組も一部できてきている認識でおります。そういった意味で、なかなか活用したいのだけれども提供者が見つからないところについては、今後我々も何かできないかということを、事業者等も含めお話をしていきたいと考えております。
大体カバーをしたと思うのですが、漏れていなければよろしいのですが、以上でございます。ありがとうございます。
○山田会長 どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。
お願いします。
○池上室長 それでは、内閣府から大崎委員からの御質問に回答させていただいてもよろしいでしょうか。
大崎委員から過去に男女の別があったが削除された統計の経緯ということで、今回こちらは4統計挙げさせていただいておりますけれども、薬事工業生産動態統計調査と木材統計調査につきましては、以前は人に関する設問、従業員等々を聞いていたのですけれども、報告者、回答者の負担を考えて、人に関する設問自体が現在は削除されているという経緯から、男女の別は今は聞いていないというところでございます。
一方で、医療施設調査と経済産業省企業活動基本調査については現在もまだ人に関する設問はあるのですけれども、回答者の負担を考慮するというところと、こちらについては医師数もしくは従業員数の男女別を廃止しているのですが、他の統計調査で把握ができるものであることから、回答者の負担を考えて削除しているというところでございます。
以上でございます。
○山田会長 ありがとうございました。
経済産業省におかれましては、ありがとうございました。これで御退室いただいて結構です。今後ともよろしくお願いいたします
○太田課長 ありがとうございました。失礼いたします。 (経済産業省退室)
○山田会長 ありがとうございました。
続きまして、議題(3)「女性版骨太の方針2024」の策定に向けた検討を行います。
内閣府の岡田男女共同参画局長より、資料3から5までの説明をお願いいたします。
○岡田男女共同参画局長 資料3「『女性版骨太の方針2024』骨子(たたき台)」について説明をさせていただきます。
この骨子(たたき台)ですけれども、これまでの専門調査会におきまして、昨年秋以降御議論いただいておりました第5次男女共同参画基本計画の中間年フォローアップですとか、今年に入ってから御議論いただいておりました議事の内容を踏まえまして、おおむねこのような内容を盛り込むこととしてはどうかという骨格を示したものでございます。
内容についてでございますけれども、1つ目「企業等における女性活躍の一層の推進」でございます。昨年の「女性版骨太の方針2023」で掲げましたプライム市場上場企業における女性役員の登用目標の達成に向けまして、企業における女性の採用・育成・登用について施策を盛り込むことですとか、女性起業家の支援、科学技術・学術分野における女性活躍の推進、職場におけるハラスメント対策の強化などについて施策を盛り込むこととしてはどうかと考えております。
2つ目「女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の一層の推進」でございます。所得向上、リスキリングの推進ですとか、仕事と育児・介護の両立の支援について施策を盛り込むことのほか、今回の専門調査会におきまして特に御議論いただいておりました仕事と健康課題の両立の支援ですとか、地域における女性活躍・男女共同参画の推進などについて施策を盛り込むこととしてはどうかと考えております。
3つ目「個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現」でございますけれども、今年の元日に発生しました能登半島地震の経験を踏まえまして、男女共同参画の視点に立った防災・復興の推進を掲げるとともに、女性・平和・安全保障(WPS)の取組強化について施策を盛り込むこととしてはどうかと考えております。また、基本的に女性に対する暴力に関する専門調査会で御議論いただいてまいりましたけれども、配偶者等からの暴力への対策の強化、性犯罪・性暴力対策の強化、ハラスメント対策、困難な問題を抱える女性への支援についても、しっかり施策を盛り込んでいきたいと考えております。さらに、働く女性の健康課題にとどまらない生涯にわたる健康への支援についても施策を盛り込むこととしてはどうかと考えております。
最後に「女性活躍・男女共同参画の取組の一層の加速化」でございます。女性活躍・男女共同参画の取組の基盤となるものとして、ジェンダー統計の整備状況に関する調査の充実、先ほど昨年度実施しましたものを報告させていただきましたけれども、また、政治・行政分野における男女共同参画の推進、国際的な分野における女性の参画拡大などについて施策を盛り込むこととしてはどうかと考えてございます。
また、今後の「女性版骨太の方針2024」の策定に向けたスケジュールについて説明をさせていただきます。画面はまだ資料3のままで結構でございます。本日の先生方の御議論を踏まえまして、政府におきまして、具体的に原案を作成してまいります。その原案については、今月中を目途に専門調査会の先生方にも御確認をいただきたいと考えております。この原案につきましては、親会議であります男女共同参画会議において御議論いただきまして、取りまとめを行ってまいります。また、与党においても御議論をいただく予定でございます。こうしたプロセスを経まして、全閣僚で構成されるすべての女性が輝く社会づくり本部及び男女共同参画推進本部の合同会議において最終的に決定をいたします。決定の時期につきましては、いわゆる政府全体の骨太の方針と呼ばれる経済財政運営と改革の基本方針に先立って決定することとしておりまして、6月の中旬を目途に決定することを想定しております。
なお、本日は御議論の参考として、資料4としまして、昨年末の男女共同参画会議において関連するデータ等をお示しした資料でございます。
また、資料5として、昨年秋以降御議論いただきました第5次男女共同参画基本計画の中間年フォローアップの結果の概要についてお配りをしております。
以上でございます。
○山田会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明を踏まえて、議論を行いたいと思います。時間が押しております。すみません。委員の皆様からお一人当たり3分以内で御意見、御質問を順に頂戴できればと思いますが、治部委員が早めに退室ということですので、治部委員からお願いできますでしょうか。
○治部委員 ありがとうございました。
私のほうでは、最初の項目の企業等における女性の活躍にひもづいた形で項目が入っておりました科学技術・学術分野における女性の活躍について意見を述べさせていただきたいと思います。
なかなかどの項目をどの分類にするかが毎年悩ましいところかと思いまして、というのが、私は今、この構成を拝見したときに、教育はどこに書いてあるのだろうと思ったら、STEM分野に特化した形で企業のほうにひもづく形になっていて、それはそれでそういう整理の仕方もあるのではないかと理解をしたところがあります。
私は今、勤務先が東京工業大学、理工系の大学ということがありまして、女子学生が極めて少ない状況で、かなり経営課題の優先課題としまして、女子に対するアウトリーチ、入試改革その他を意欲的に行っております。それに伴いまして、初年度教育等々についても私も担当しているのですけれども、相当工夫をしたり、とはいっても学生からは反発があったり、それに対してコミュニケーションをしたり、表向きの反発が仮になくなっても、そういったものはSNS等に隠れる形で起きたり、日本は表現の自由があるので、それはある程度はしようがないのだけれども、どこまで教育でできるだろうかということを本当に日々議論している状況になります。
骨太にどこまで書き込めるかというところがあるのですけれども、恐らくこれは今日御参加の方々もしくは傍聴されている方の中にも、女子が少ない特定の学科ですね。理工系に限らず文系でも少ないところはどうしたものかということで、結構文科省からのプレッシャー等々も感じながらいろいろやっているところがありますので、私は今は国立大学に勤めておりますけれども、私立も含めて大学が男女共同参画・女性活躍に関連する施策をやった際には、ぜひ政府機関からの後押しもお願いしたいと思っております。私はメディア出身なので広報面で大学の組織での仕事をしておりまして、大学の人は結構一生懸命政策があればやるのですけれども、必ずしも大学がやったからといって霞が関でサポートしてもらえるとは限らず、ちょっと困っていたりするところもありますので、ぜひ内閣府にとどまらず文科省高等教育関連の部門の方等々、御支援をお願いしたいと思います。
活躍につながるような進学は、大学、高等教育だけで起こるわけではないので、初等教育、場合によっては未就学児の教育も含めたようなところを視野に入れた場合に、骨太にどう書き込むかが悩ましいのですが、その辺りに関心を持っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございます。
○山田会長 ありがとうございます。
では、ここからは五十音順でお願いいたします。
石黒委員、お願いいたします。
○石黒委員 ありがとうございます。
私からは、前回お話ししたことと同じなのですけれども、どうしてももう一度お願いしたいということで、いわゆる年収の壁になっている法律の改定に関して、骨太でぜひこれを推進していただきたいという思いです。106万円、130万円、それから、配偶者手当、これら昭和の時代の家族制度を基につくられた法律を、本当に何年にもわたって改正の議論だけしているのですね。私の記憶する限りでは、男女共同参画とか、私が初めて少子化問題に真正面から取り組んだ選択する未来という内閣府の委員会があったのですが、そこでも取り上げられて、取り上げるだけで、何も変わっていないのですね。
なぜこれをここで再度お願いするかというと、今回の委員会の説明の中では、いわゆる今、この法律があるために既得権益を得ていると言うと語弊があるかもしれないのですけれども、それら個人、法人になだらかなアプローチで、この方々が既得権益がなくなることによっていわゆる損をすることがないようにというアプローチの御説明であったと思います。私はその考え方は全く違っていて、もちろん政府の役割として福祉やそういうところにアテンションを当てていかなくてはいけないという考え方もあるのですが、本来であれば政府主体で変化を促していくことが大切なのに、むしろ法律を今すぐ変えることにより市場が対応する速度が速まるようにすべきものを、20年、30年にわたって議論をしている。
これはビジネス界でいえば、いわゆる「イノベーションのジレンマ」という言葉を御存じだと思うのですけれども、既存市場で利益を得ている者が、幾ら改善を重ねたとしても、既存事業を守ろうとする意識が強くて、やがては新しいサービスや技術を持った新興勢力に取って代わられることを意味する言葉なのですけれども、日本がこれだけ少子化に陥っているのは、この法律が変わらないから、この法律をずっと守り続けていることによって、現在の労働市場のゆがみ、ひいては経済効果が全く出ず、日本の経済が停滞していることにつながっていると思います。今すぐこの法律を変える勇気を持っていただきたい。
なぜこれをお話しするかというと、この委員会でもなだらかなアプローチをしていこうというような主張だったので、ここをぜひ再検討をしていただきたいという思いです。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
続きまして、井上委員、お願いできますでしょうか。
○井上委員 ありがとうございます。井上です。
大前提として、昨年のこの議論のときには、4月の段階で男女共同参画会議で資料が出されて、その内容を踏まえてこの専門調査会で議論をしたというプロセスを踏んでいると思います。今回このたたき台で議論というのは、少し乱暴というか、データが少な過ぎるのではないかと思っています。その意味では、もう少し丁寧な運営の方法あるいはプロセスがあったのではないかと思いますので、それは指摘をさせていただきたいと思います。
その上で、たたき台なのですけれども、昨年の「女性版骨太の方針2023」に盛り込まれていました地方・中小企業における女性活躍の促進、それから、非正規雇用労働者の正規化及び処遇改善等、そして、選択的夫婦別氏制の導入の記載がありません。いずれもこの間の議論で私をはじめ各委員からも多く意見が出ていた課題だと思いますし、特に選択的夫婦別氏制度につきましては、この間、私は何度も発言をしておりますし、それから、現場からは通称使用の限界という声が大変多く上がっております。これは早急に取り組むべきだと考えておりますので、これが落ちたことに関しては、大変遺憾に思っているところであります。
それから、順番は関係ないのかもしれないのですけれども、最初に企業等における女性活躍の促進が出てくると、どうしても一部の優遇された女性たちをさらに活躍させるように見えてしまいます。そもそも先ほど挙げた課題の中にもありますが、非正規でしか働けない女性、あるいはシングルで困窮している女性たちが多い中で、全ての女性が安心・安全で文化的な生活ができる、個人個人の人権が尊重される、そういう世の中にするための女性版骨太方針にしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
続きまして、大崎委員、お願いできますでしょうか。
○大崎委員 ありがとうございます。
たたき台をお示しいただいて、ありがとうございます。私もこの案を見たときに、私が日々多く接する機会がある地方の女性たちが、これをどのように捉えるかということを思いました。女性版骨太の方針というのは非常に重要な政策ですね。そこに地方のことが物すごく少ないとなりますと、取り残されている感じがしてしまうと感じる女性たちが本当にたくさんいるのではないかと思います。
今、これだけ地方から若年女性が都市部に移動しているということが言われている中で、この政策を見ると、そういうことができる大企業から取組を進めていくような印象を受けます。そうしますと、働きやすくて働きがいのある職場が都市部に集中してしまって、さらに人口移動に拍車がかかるのではないかという危機意識を持つ人たちがまた増えるのではないかと思います。
そもそも私は、地方での男女共同参画推進における障壁が何なのかを十分に聞き取れているのか、十分に分析できているのか、この重要な政策に反映されているのかということに対する問題意識がございます。私は地方に行く機会が多くて、地方の行政機関で男女共同参画施策に携わっている人々ですとか、NPO、女性グループで活動している方々ですとか、地方の企業で女性のネットワークをつくって企業におけるジェンダーギャップを解消しようとしている方々ですとか、たくさんの方々と接する機会がございまして、そういった人たちからの声がしっかりと反映されないと、この女性版骨太の方針に対して多くの女性たちががっかりしてしまうのではないかと思います。
具体的なことをいいますと、地方ではジェンダー統計がないということをよく言われるのです。市町村における男女共同参画が進まない要因の一つとして、各市町村が現状分析ができていないことが考えられるといった指摘がございました。ジェンダー統計の都道府県別、市町村別データの提供をお願いしたいというような切実な声ですね。NWECが公表しているジェンダー統計は国統計データになっているのだけれども、国統計データの多くは都道府県別、市町村別データが公表されていないので、自治体レベルで統計を作成していくことが非常に難しいという声も来ています。ですから、データに基づいた男女共同参画推進施策を地方で進めていくためには、そういった目配りも重要になってくると思いますし、こういった声はちょっと行けばたくさん出てくるわけですね。非常に重要な意見が出てきますので、そこがどこまで反映されているのか。
また、統計に関しましては、前回の専門調査会でお示しした能登半島の被災地での女性への聞き取り調査、その際もジェンダーと災害の専門家の静岡大学の池田恵子先生が監修されましたが、データを探すのが非常に大変だったと。特に災害後の失業に関するデータなどは男女別になっていない。そうしますと、復興の政策にジェンダーの視点を入れるのは非常に難しくなっていきます。それから、災害の後にこれだけの問題が出てくるのは、平常時のジェンダーギャップの解消が地域で進んでいないということですので、地方というのは大きな柱なのではないかと考えております。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
続きまして、桑原委員、お願いできますでしょうか。
○桑原委員 私、地方行政を担っておりまして、田舎は男女という以前の問題が多過ぎて、なかなかこの分野、勉強不足なところはございますけれども、私の前に男女共同参画会議の議員を務めていらっしゃいました徳島市長の内藤佐和子さんですけれども、様々な事情で1期で辞められ、一旦別のキャリアを進まれるということでございます。新たなロールモデルでありまして、注目しているところであります。
政治・行政分野の女性参画についてでございますが、この分野の女性比率を上げるに当たりまして、首長や議員など公職を終えた後のセカンドキャリアが課題ではないかと感じております。弁護士など士族の方はスムーズに移れるかと思いますけれども、それ以外の人は政治的に色がつくといった先入観があるかと存じます。まだまだ働き盛りの内藤さんのような世代の女性が首長や議員経験を生かしたセカンドキャリアの構築ができていくとよいと思っております。民間、役所、NPOなど、元の所属先に戻ることを前提としたリボルビングドアのようなキャリア構築が柔軟にできるようになると、さらに参画が進むと感じているところです。
また、先ほど石黒委員がおっしゃいましたように、租税や社会保険において性別ごとの役割を助長する制度がいまだ存在していることが、私も大きな課題と思っております。民間企業においても国の制度に沿う形で家族手当などが存在しているというところ、こうした諸制度によりまして多様な働き方が阻害されている、こういった状況を変える必要があると私も思っています。今年、大きく動く年になることを期待しているところです。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
続きまして、小林委員、お願いできますでしょうか。
○小林委員 ありがとうございます。
私のほうでは第3章ですか。「個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現」のところなのですが、7項目が並列的に挙がっているのですが、実際に書かれるときはこのような形なのかどうか分かりませんけれども、この中でDVの問題、性犯罪の問題、ハラスメントの問題、この辺りは女性の活躍だとか、女性の参画だとか、そういう問題ではなくて、個としての人間の問題、個としての人間として認めているかどうかという問題なので、並列的に書かれると何となく違和感があると。これはこれとしてアンコンシャスバイアスというより、強く否定するような形で書かれてはいかがかと思っております。
それから、4番目の女性活躍云々のところで、政治・行政分野、ここは国際的な基準からしてもかなり日本が遅れていることになりますので、なかなか書きづらいところではあると思いますけれども、何とかここを強く打ち出していただきたいと思っております。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
続きまして、佐々木委員、お願いできますでしょうか。
○佐々木委員 ありがとうございます。
私からは科学技術・学術分野における女性活躍についてコメントさせていただきたいと思います。
先ほど治部委員からもありましたけれども、教育の部分ですね。大学のところに理系に女子が増えてくるというところ、非常に重要で、実際にそれに対しての対策はかなり力を入れてこられていると思います。大学の理系分野への女子枠も増えてきました。今回「企業等における女性活躍の一層の推進」の中に入れていただけたのですけれども、本当にそれはすごく重要で、卵だけではなくてそれがちゃんと鶏に、しっかりキャリアアップできる環境をつくることが重要だと思います。
スライドを共有させていただきますが、本当にいつもそこの最初の段階を育てるというところは力が入るのですね。今回博士号取得者を3倍に増やそうという話になっていると思うのですけれども、こちらも結局博士を増やしただけでは駄目で、その人たちをいかに活躍させられる状況にするかが重要です。博士号を持つ人が産業界やアカデミアでどれぐらいいるのか、その男女比、分野や職位別ごとに公表していただければと。そうやって追っていかないといけないと思います。ヨーロッパではEUはSHE FIGURESということでしっかりそういう統計を出していますし、アメリカはNSFがScience and Engineering Indicatorsというもので1973年からずっとデータを出し続けてくれています。
また、韓国は2000年ぐらいまではずっと女性研究者は日本と背比べだったのですね。そこから急に離されているのは、このWISETの働きが大きいと思うのですけれども、これはWISETが出しているデータなのですけれども、社会のワークフォースとしてどういう人数がいるかを40ページ近く科学技術分野だけでこういうレポート、データをしっかり出しているのです。ですから、こういうことを日本もしていかなくてはいけないと思います。
また、交差分析、先ほど地域の話が出てきましたけれども、マイノリティー掛けるマイノリティーというのは、すごく差別が増幅されやすいのですね。ですから、地域となると非常にここでマイノリティーになるので、ここでの男女別という統計も重要です。
障害のところも非常に重要だと思っています。先ほどの性犯罪なども、女性の障害者は健常者よりも性被害が3倍ぐらい上がるというデータもあるので、障害者のところもしっかり見ていっていただきたいのですけれども、e-Statで見ると、障害者の職業紹介状況とか、ここは全て性別情報がないので、そういうマイノリティー掛けるジェンダーをしっかり見ていっていただければと思います。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
続きまして、白波瀬委員、お願いできますでしょうか。
○白波瀬委員 よろしくお願いいたします。
女性の骨太ができたのは、たしか2023年、もうちょっと前か、つまり、骨太というところに女性という視点をあえて入れるということだったのですけれども、最初のコメント、石黒先生の厳しい御意見もあったように、一般的にはどこが変わったのと。それで、せっかく今回頑張ってつくるのに、またかいと。やっぱり効果がないとしようがないと思うのです。もちろんこの問題自体が非常に複雑に複合的になっていますので、特に人材派遣のところは物すごく効果としては時間がかかる、しかし、ここは時間がかかるのでもう待てない、この緊急度をどれだけ優先度を持って出していくのか。
今まで何があったのか、この議論も積み上げ型ではないような気がするのです。毎回本当にいろいろなところに問題があるので、これをやってください、あれをやってくださいと、それを受けていただくというのでもいいのだけれども、そういう意味で、この4つのカテゴリーもバランス的にはちょっとというところになると、もちろん網羅的ではないからそれに対していろいろな御意見もあるかもしれないのですけれども、次に出すものについてはもうここで優先していくという、もう少しストーリーとしての見せ方を効果的にしていただく。結果として所得なのですけれども、その背景に、どういう分野にから始まって、どういう形でキャリアがということになると、うまく書けないと効果が薄いかと思います。その作業的なことと、いかにインパクトがある骨太を次にちゃんと出せるのかに集中をして進めていただけるのが、みんな期待値が高いので、よろしくお願いしたいと考える次第であります。
そういう意味で、いろいろなところの分析があるので、リーダー層というか、そこは政策に関わる人たちというのもあるのですけれども、裾野のところと大きく二重構造のところでどうストーリーをつくっていただけるのかは、考えどころのような気がいたします。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
続きまして、徳倉委員、お願いできますでしょうか。
○徳倉委員 ありがとうございます。
時間も過ぎているので、端的にお話しさせていただきます。
先ほど井上さんからも御指摘がありましたけれども、たたき台でこのタイミングでということで、細かい部分が見られていませんけれども、私としては、先ほど積み上げだったりどうだったりという白波瀬先生のお話もありましたけれども、我々が一番力を入れてコメントしている部分が割と抜けがちになっていると。夫婦別氏の問題もそうですし、税金の問題もそうですし、地方でどのようにキャリアを育成していくのかとか、例えばあえて限定的にいうと、シングルマザーが養育費がきちんと取れていないことによって貧困層に陥って、では、どのようにして生活していくのかと、我々が具体的に示して提案したり白熱して議論しているところが、いろいろな意図があるのかも分かりませんけれども、うまくオブラートに包んでほしくないのに包まれてしまっているものになっているように見受けられることが、私は非常に残念に感じています。
ですから、先ほど白波瀬先生からもありましたが、骨太の中で何を変えていくのだ、何が問題なのだ、では、これを基にして地方の皆さんが、私はふだんは地方に住んでいて、今は8週間ほど海外におりますけれども、地方にいながらここを目指せばいいのだ、ここを国が主導してやろうとしているのだというフォローの風をどう流していくのかがこの骨太の方針の中に入っていくことが希望に変わっていくのかと思いますので、非常に難しいところもあると思います。ただ、我々が積み重ねている議論の中で特に白熱している部分に関しては、それを抽出していただいて出していく工夫を、またそこからメディアの皆さんに、全国で活動している方々がそれを基にして自分たちのところにまた落としていけるような、こういう動きをつくれるような骨太の方針の出し方、見せ方をぜひ工夫していただきたいと思います。
以上になります。
○山田会長 ありがとうございます。
山口委員、お願いできますでしょうか。
○山口委員 ありがとうございます。
簡単に2点申し上げたいと思います。
1つ目は、所得の年収の壁の問題だと思います。もちろんいろいろ議論のあるところではあるのですが、制度が人の意識をつくるという問題を軽んじるべきではないと思いますので、その点を骨太の方針の中に盛り込んでいただければと思います。
もう一点は、1番と2番などについては、女性の経済領域における活躍だと思うのですが、これと表裏一体になるのが、よく申し上げるのですが、男性の育児参画や家事参画という問題だと思います。その点についても明示的に入れていく必要があると思います。男性の育休取得率は上がってはいますが、まだまだ水準としては低いことを踏まえると、女性版の骨太の方針ではありますが、男性のほうの問題も含めてセットで考えるべきではないかと感じております。
以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
最後に私ですが、時間が押してしまって申し訳ございません。私も2点なのですけれども、私、男女共同参画のいろいろな委員をしていますけれども、20年以上関わってきて、もちろん前進はしているのですけれども、毎回エッジを利かせなくてはとか、加速化と言うのですけれども、全然加速化していない気がします。つまり、加速化させるためにはどうすればいいのかをもう少し考えなくてはいけないかというのが第1点でございます。
第2点は、第3分野の地域、毎回地域で話すのですけれども、もちろん中小企業もそうですけれども、私が何度も発言させていただいたように、いわゆる町内会等の地方団体もそうですけれども、慣習的なところです。実は先日、私の女性卒業生が法事で地方に帰ったら、男性は若い人も含めて全部据え膳で、女性だけが若い人も年配の人も走り回ってお酌や配膳をしていた、こんなところには戻りたくないというのは、それは当然だと思います。そういう大人たちにどうやってそういうことを伝えていくのかというのは、今後課題になってくるのではないかと思います。
これで発言を終わらせていただきます。
これまでの御意見、御質問について、内閣府から何かありますでしょうか。
○岡田男女共同参画局長 先生方、短い時間で端的に厳しい御指摘をいただきまして、ありがとうございます。
先生方がおっしゃった御指摘、それぞれそうだとお話を伺いながら納得をいたしました。
先ほど申し上げましたように、今後整理をしてまいりますけれども、今日先生方からいただきましたことを踏まえさせていただいて、また調整をしていきたいと思っております。
今日は短い時間でございましたけれども、先生方から御指摘いただきましたこと、大変ありがとうございます。
今日、資料3として示させていただいたのはたたき台ということでございますので、昨年の形式としては冊子のような形になりまして、いろいろな施策を盛り込んでいく形を想定しておりますけれども、その準備をこれから進めていきたいと考えております。また先生方には見ていただくことになる、御議論いただくことになると思いますけれども、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。
○山田会長 ありがとうございました。
それでは、本日いただいた御意見も踏まえ、政府において女性版骨太の方針の原案の作成作業を進めていただければと思います。
皆様、活発な御議論をありがとうございました。時間を超過しまして、運営上、申し訳ございませんでした。
最後に、事務局から何かありますでしょうか。
○岡田男女共同参画局長 特にございません。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○山田会長 ありがとうございます。
では、本日の会議は以上となります。皆様、どうもお疲れさまでした。