計画実行・監視専門調査会(第25回)議事録

  • 日時:令和5年5月15日(月) 16:30~17:30
  • 場所:オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
  1. 開会
  2. 議題
    「女性版骨太の方針2023」の策定に向けた検討
  3. 閉会

【配布資料】

資料1
「女性版骨太の方針2023」の策定に向けた検討(第69回男女共同参画会議資料) [PDF形式:1,336KB]別ウインドウで開きます
資料2
G7サミット及び各閣僚会合における「ジェンダー主流化」の取組状況(第69回男女共同参画会議資料) [PDF形式:163KB]別ウインドウで開きます
資料3
第69回男女共同参画会議における岸田文雄内閣総理大臣発言 [PDF形式:428KB]別ウインドウで開きます
参考資料1
計画実行・監視専門調査会委員名簿 [PDF形式:108KB]別ウインドウで開きます
参考資料2
計画実行・監視専門調査会運営規則 [PDF形式:115KB]別ウインドウで開きます
参考資料3
女性活躍・男女共同参画の重点方針2022(女性版骨太の方針2022)(令和4年6月3日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定) [PDF形式:1759KB]別ウインドウで開きます
参考資料4
計画実行・監視専門調査会における「女性版骨太の方針2023」の策定に向けたこれまでの議論 [PDF形式:109KB]別ウインドウで開きます

【出席者】

会長   
山田 昌弘  
中央大学文学部教授
委員   
石黒 不二代 
ネットイヤーグループ株式会社代表取締役チーフエヴァンジェリスト
同    
大崎 麻子  
(特活)Gender Action Platform理事、関西学院大学客員教授
同    
小林 哲也  
小林総合法律事務所弁護士
同    
佐々木 成江 
お茶の水女子大学ジェンダード・イノベーション研究所特任教授
同    
治部 れんげ 
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授
同    
徳倉 康之  
NPO 法人ファザーリング・ジャパン理事、株式会社ファミーリエ代表取締役社長
同    
内藤 佐和子 
徳島市長
同    
山本 勲   
慶應義塾大学商学部教授
内閣府  
小倉 將信  
特命担当大臣(男女共同参画)
同    
岡田 恵子  
男女共同参画局長
同    
畠山 貴晃  
大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
同    
杉田 和暁  
男女共同参画局総務課長

議事録

○山田会長 定刻になりましたので、ただいまより第25回「計画実行・監視専門調査会」開催いたします。
 まず、男女共同参画会議議員及び専門委員について、先月19日に改選がありました。本調査会では参考資料1の名簿に示されている男女共同参画会議議員及び専門委員の方々で今後御審議いただきますので、よろしくお願いいたします。
 また、本調査会の進行は、男女共同参画会議の議長からこの調査会の会長に指名されました山田昌弘が務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 初めに、各委員に簡単に自己紹介をいただきたいと思います。お一人1分程度で名簿順に大崎委員、お願いいたします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 皆さん、こんにちは。大崎と申します。今期もどうぞよろしくお願いいたします。
 私は、国際協調、それから公共政策におけるジェンダー平等推進ということにずっと専門的に取り組んでまいりました。今、Gender Action PlatformというNPOを主宰しております。
 近年では、民間企業がジェンダー平等推進に取り組むことが非常に多くなってきているので、そういったセクターでも様々活動しております。よろしくお願いいたします。

○山田会長 よろしくお願いします。
 続きまして、小林委員、お願いいたします。

○小林委員 皆さん、はじめまして。小林です。よろしくお願いいたします。弁護士をしております。
 日弁連ではクオータ制検証PTの副座長、第二東京弁護士会では男女共同参画推進本部の副本部長をやっております。第二東京弁護士会、日弁連とも、クオータ制を採用したときの制度構築に関わらせていただいております。
 また、プライム市場では2社ほど役員も務めさせていただいておりまして、各社で男女共同参画についていろいろとお話をさせていただいております。これからよろしくお願いいたします。

○山田会長 ありがとうございます。
 佐々木委員、お願いいたします。

○佐々木委員 お茶の水女子大学ジェンダード・イノベーション研究所の佐々木です。
 専門分野は、分子細胞生物学になっております。理系の女性研究者を増やそうということで、様々な活動を支援してきました。自分がポスドクのときに大学の中に保育園をつくるというワーキングに入って、保育園をつくって、自分の子供を入れて、その後名古屋大学に異動しましたけれども、そこでは国内初の学内学童保育、育児支援室、病後児保育、女性リーダー育成など、様々なことをやりまして、自分の専攻の女性教員は最初3%しかいなかったのですけれども、10年間で25%に上げるような活動をしてきました。  そのように数のことをすごく意識してやっていたのですけれども、研究の内容自体に非常にジェンダーバイアスが入ってしまっているということで、それをきちっと精査・分析を研究の中に入れていく、科学技術分野の中に入れていためにジェンダード・イノベーションというものを日本で推進するための活動を続けています。どうぞよろしくお願いいたします。

○山田会長 よろしくお願いします。
 次に、徳倉委員、お願いいたします。

○徳倉委員 徳倉でございます。皆さん、よろしくお願いいたします。
 NPO法人ファザーリング・ジャパンの理事をしております。どうぞよろしくお願いいたします。
 父親支援をしている全国ネットワークのNPOでございまして、お父さんの集団ではあるのですけれども、育児を通じて働き方とか生き方とか、もちろんパートナーであります妻の生き方、働き方というところに着目をしながら、子育てと両立をしながらどういうふうに社会の中でアクションを起こしていくのかということをやっております。
 私自身は、東京・埼玉で妻と二人で3人の子供を子育てしながら、ちょうど小学校に上がるタイミングでふるさとの四国の香川県にUターンで移住をして、こちらで起業をしながらNPOの活動もしております。
 都会での子育てや働き方、地方での子育てや働き方、両方の面から様々な提言、提案をさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

○山田会長 よろしくお願いします。
 内藤委員、お願いいたします。

○内藤委員 皆さん、こんにちは。
 徳島市長の内藤佐和子です。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 私自身は、女性の首長が今日本で2%とも3%とも言われておりますけれども、そういった少ない女性首長の中で政治分野のほうからも発言をしていきたいですし、徳島市としましては、女性のデジタル人材の育成、養育費の支援の相談、そういったこともやっておりますし、あとは徳島は女性の起業家とか役員比率も全国的に見て高い町ですので、そういった自治体として何をやっているのか、また、それをどうやって全国に広げていくのかといった視点でお話をさせていただければと思います。
 また、皆さんからの引き続き多くの学びがあると思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○山田会長 では、山本委員、お願いいたします。

○山本委員 こんにちは。慶應大学商学部の山本勲と申します。初めて参加させていただきます。よろしくお願いいたします。
 私の専門は労働経済学になっておりまして、様々なデータを使って働き方について、どういう働き方が労働者や企業にとっていいのかというような研究をしております。
 女性活躍推進に関しても、例えばどういう企業が女性活躍推進を進めているのか、あるいはそれをすることによって企業の業績にどういう影響あるのかといったことをこれまで研究してまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。

○山田会長 ありがとうございます。
 石黒委員が御入室されましたので、よろしくお願いいたします。

○石黒委員 石黒と申します。
 ネットイヤーグループというデジタルマーケティングの会社を創設いたしまして、2008年に上場、それから十何年CEOを務めさせていただきました。2年前にNTTデータのTOBということでサクセッションをいたしまして、今、取締役として残っております。
 外部取締役のところも数社やらせていただいておりまして、マネックスとか損保ジャパンをやらせていただいて、今度6月から三井物産さんも総会を経て外部取締役に就任をいたします。
 ということで、委員の中で、どちらかというと企業経営の中でどういった男女の問題があるのか、そこのところを企業経営目線からもただしていけるかというところを中心にお話ができるかなと思っております。
 個人的には、子供が2歳のときにアメリカに渡りまして、アメリカで10年ほど自分の会社をつくって仕事をやっておりましたので、アメリカでの小学校の子育て、彼が大学を卒業して、私もスタンフォードのMBAを取っておりますので、アメリカの大学とか小学校、そういったところも、環境の違いといいますか、そういうところから来る男女の比率の違いとか、そういうことも貢献できるかなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○山田会長 続けて治部委員、よろしくお願いします。

○治部委員 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院の治部と申します。よろしくお願いします。
 私は、もともとのキャリアは経済誌の記者でして、日経BP社というところで16年記者をしておりました。その後、フリーでジャーナリストを7年やっております。この委員の皆様の中でも、取材でお世話になった方々もいらっしゃるような感じかなと思います。ですので、男女共同参画やジェンダーに関しては主に書いて発信をするという視点から長いこと見ておりました。
 かなり隔世の感があるなと思いますのは、20年、25年ぐらい前、私が新人記者だった頃には、そんな女性の問題なんて経済誌に書いたって読まれないよと言われていたことが、今はすごく主流化されてきていて、様々なメディアでジェンダーの問題、女性だけでなく、男性の働き方の問題というものもよく取り上げられるようになってきて、そこはとてもいい変化だなと思っております。
 2年前から、東工大という理系の国立大学の文系の部門で、ジェンダーだけでなく、子育てとかダイバーシティといった視点を教えているのですけれども、最近すごく感じるのは、東工大は男子学生が87%という、これ自体は日本の課題なのですけれども、そういったところでもジェンダーについて関心がある、何か話題になっているらしいから勉強しておいたほうがいいかなというところで関心を持つような学生が男女ともに増えているところがあります。そういう意味では、男女共同参画計画とか、私たちが今やっている政策に関する発信を的確にしていく必要があるのかなと思っております。
 男女共同参画自体がねじ曲がって捉えられてしまうようなところもあったり、実際よりも多額の予算がついていると勘違いされているところがありまして、学生に男女参画予算、日本のジェンダー平等予算は今どれぐらいついていると思うかと聞きますと、100億円とか1兆円と言う人がいまして、そんなに予算がついたらいいよなと思うのですが、実際は10億単位ですよといった話をする次第です。
 私としましても、今関わっている高等教育の部門とか、あとは発信、メディア関連のところなどを中心にお話ができたらと思っております。よろしくお願いいたします。

○山田会長 ありがとうございます。
 最後に、改めて私、山田から自己紹介をさせていただきます。
 私は、家族社会学、少子化や結婚問題等を研究してまいりました。特に最近は独身問題等を研究しております。
 家族、特に女性、ジェンダーに関する珍しい男性ということで男女共同参画関係にはいろいろ関わらせていただきまして、内閣府には2005年から専門委員としてもう20年近く関わっております。
 今回、多分年の功というところで、年長ということで、会長、取りまとめ役を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 では、お忙しいところ、本日は小倉將信女性活躍・男女共同参画担当大臣にも御出席いただいておりますので、一言頂戴できればと思います。
 小倉大臣、よろしくお願いいたします。

○小倉女性活躍・男女共同参画担当大臣 皆様、こんにちは。女性活躍・男女共同参画担当大臣の小倉將信です。
 まず、新たに御就任をいただきました山田会長、小林委員、山本委員、また前回引き続き御就任をいただいている委員の皆様方におかれましては、御多用の中、本調査会に御出席をいただきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。
 改めてになりますが、本調査会の役割は第5次男女共同参画基本計画に掲げられました目標の達成に向けて、各府省の取組を強力に進めることにあります。まずは、本年の女性版骨太の方針2023の策定とか、あるいはG7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合が来月の24日、25日に迫ってまいりました。この開催を見据えまして、取り組むべき課題や施策について議論を行っていただきます。
 本日の議題であります女性版骨太の方針2023の策定に向けては、先月末に開催をした親会議でもあります男女共同参画会議において、親会議の議員も何名か参加をしていただいておりますが、岸田総理から示されました3つの重要事項、すなわち、第1に、企業における女性登用の加速化、第2に、女性の所得向上、経済的自立に向けた取組の強化、第3に、女性が安心できる社会に向けた、あらゆる暴力の根絶に基づき、政府一体で政策の具体化を進めているところであります。
 委員の皆様におかれましては、この3つの重要事項も踏まえながら、女性版骨太の方針に取り込むべき視点や具体策について、ぜひ専門的な見地から忌憚のない御意見をいただきたいと思っております。
 限られた時間となりますが、本日の議論を通じ、女性活躍・男女共同参画の推進に向けた取組への力強い後押しをいただきますことを心からお願いを申し上げまして挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

○山田会長 ありがとうございました。
 小倉大臣は公務のため、ここで退室されます。どうもありがとうございました。

(小倉大臣退室)

○山田会長 それでは、議事に入ります。本日の議題は、「『女性版骨太の方針2023』の策定に向けた検討」です。
 まず、先月27日に行われた男女共同参画会議での議論や今後のスケジュール等について、内閣府の岡田男女共同参画局長から説明をお願いします。よろしくお願いします。

○岡田男女共同参画局長 男女共同参画局でございます。
 本日の資料ですけれども、資料1、資料2、資料3とお出ししておりますのは先月4月27日の参画会議に提出した資料でございます。
 資料1に基づきまして説明をさせていただきます。
 資料1は、これまでの専門調査会で御議論いただいたことなどを踏まえて、先ほど大臣の御挨拶にもありましたように、課題として考えられるものを示したものであります。
 1ページ目をご覧ください。
 女性登用の加速化でございます。こちらは、社会経済の意思決定の多様性と活力を高めると同時に、女性自身のキャリア形成の意欲を高めていくためにも重要と考えております。
 図1をご覧ください。これは女性役員がいない企業の数・割合であります。赤いのは東証第一部上場企業で女性役員がいない企業を示したものでありますが、この数はこれまで減少してまいりました。緑色はプライム市場であります。このプライム市場は、グローバルな投資家との対話により高い水準のガバナンスが期待される市場でありますけれども、そこでも女性役員がいない企業は約2割に上っているということであります。
 図2をご覧ください。これは諸外国の女性役員比率の推移を示したものであります。諸外国では、数値目標の設定等によって企業の女性役員比率の向上が実現されてきております。
 右上、図3をご覧ください。これは機関投資家等による女性活躍情報の活用状況について、私ども男女共同参画局で調査した結果を載せております。これに基づきますと、投資判断に女性活躍情報を活用している機関投資家は、一番左の円グラフの青と緑で示されているように3分の2であります。活用する割合が最も高い女性活躍情報は、真ん中の棒グラフでありますけれども、女性役員比率であります。どうして活用するかということは、右側のグラフでありますけれども、企業の業績に長期的に影響があると考えるため、そういった調査結果が出ております。
 また、図4でありますけれども、こちらは民間企業の雇用者の各役職段階に占める女性の割合の推移であります。部長級や課長級の管理職における女性比率は徐々に上がってきておりますが、まだ低いということで、将来の女性役員候補を供給するパイプラインの構築も急務と言えます。
 こうしたことを踏まえますと、企業の女性役員比率に関する短期的、中期的な目標を設定した上で、その達成に向けて各企業による行動計画の策定などを促していくということを唱えていくとよいのではないかと考えております。
 スライド2であります。
 こちらは、女性の所得向上・経済的自立に向けた取組を強化させるということで、幾つか図表を載せさせていただいております。
 図5をご覧ください。これはL字カーブでございますけれども、こちらに見られますように、女性は30代以降の非正規雇用比率が高くなっております。その背景には、無償労働時間の女性への偏りなどが考えられます。下の横の棒グラフでは、先日お示ししております世論調査の結果を示しております。育児などに女性のほうがより多くの時間を費やすことが職業面での女性活躍が進まない要因の一つという意見について、「そう思う」という答えが多いということを示しております。
 図6であります。こちらはひとり親世帯の現状でありますけれども、母子世帯の収入は一般世帯と比較して低いということ、また、養育費の受領率も低い状況にあるということであります。こうした現状を踏まえまして、先般設定いたしました養育費の受領率目標の達成に向けた取組を含むひとり親支援など、女性の所得向上・経済的自立に向けた取組を強化していくことが重要と考えております。
 図7であります。こちらは4月の専門調査会でも報告いただいておりますが、国立女性教育会館及び男女共同参画センターの機能強化に関するワーキング・グループの報告書を踏まえまして、地域のニーズに応じた取組を推進していく必要があるということであります。  3ページ目でございます。
 こちらは、主に参画会議の下にもう一つの専門調査会、女性に対する暴力に関する専門調査会で御議論いただくことでございますけれども、問題意識として2点ございます。配偶者等からの暴力や性犯罪・性暴力などは個人の尊厳を害する重大な人権侵害であり、その防止と被害者の保護が男女共同参画・女性活躍の前提であるということを示しております。
 図8はDV対策であります。こちらは、先週の金曜日に改正の法案が衆議院で成立したことを踏まえまして、来年4月の施行を念頭に必要な対策を講じていく必要があるということを記載しております。
 右側にありますのは、性犯罪・性暴力の相談件数は増加しておりますけれども、先般3月30日に関係府省会議で決定いたしました「性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針」に基づいて対策を検討していく必要があるということで、課題として載せさせていただいております。
 なお、資料2でありますけれども、こちらは先般の参画会議に提出した資料でありまして、G7サミットなど各閣僚会議においてジェンダーの視点をどのように取り入れられているかということを整理したものでありまして、資料3は当日の参画会議の総理の発言でございます。
 最後に、今後の女性の骨太2023の策定に向けましたスケジュールについて説明させていただきます。
 本日、先生方から御意見を頂戴いたします御議論を踏まえまして、政府において原案を作成してまいります。その原案については、今月中を目途に専門調査会の先生方にも御確認をいただきたいと考えております。
 この原案につきましては、親会議であります男女共同参画会議においても御議論いただき、取りまとめを行ってまいります。
 また、与党においても御議論をいただく予定であります。
 こうしたプロセスを経まして、全閣僚で構成されるすべての女性が輝く社会づくり本部及び男女共同参画推進本部の合同会議において最終的に決定されるものでございます。
 時期でありますけれども、例年、私どもは女性版骨太の方針と呼んでおりますが、女性版骨太の方針は、いわゆる政府全体の骨太の方針、経済財政運営と改革の基本方針に先立って決定されておりまして、女性版骨太の方針が6月の上中旬を目途に決定することを想定しております。
 以上、先般の参画会議での議論と今後のスケジュールにつきまして説明させていただきました。

○山田会長 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から御意見を頂戴できればと思います。御意見のある方は挙手をお願いできればと思います。
 では、順番で石黒委員からお願いできますでしょうか。

○石黒委員 ほとんどは全体感を示されたことなので、それの一つ一つにあまり楽観的な意見というわけではなく、ちょっと気をつけたいところということで2点ぐらいお話をしたいと思います。
 まず、上場会社、プライム市場のほうに女性役員がいない会社は2割あると。これは社外役員を含んでということなので、どうしてもいわゆる男性を対象に事業が偏っている会社ではあるとは思うのですけれども、やはりここは早急に是正をしていかなくてはいけないと思います。その中でも、社外役員のほうが入れやすいので、社内からのプロモーションがないというのも問題になると思いますので、社内のプロモーションをぜひともやっていただきたい。
 あと、最近気づくのが、私は社外の役員ということで複数の会社の役員を拝命しておりますが、社外役員に女性を採用する場合に女性だからということで、女性採用が進んでいる場合があります。どういう言葉を使っていいか分からないのですけれども、いわゆるクレデンシャルとして候補者の今までの経験とか知識とか、そういったクレデンシャルはあまり下げるべきではないのではないかというのがちょっと気になるところであります。
 極端な言い方をすると、女性であるということをまず念頭に置かれて採用するのですけれども、企業の経営の経験がないとか、それとは別に、弁護士さんなどはガバナンスの知識が豊富であられるのでいいのですけれども、そういう経験がない方々が入ってくると、それはそれで企業経営にも問題が出てくると思いますので、そこのところは、候補者がいないので難しいのですけれども、気をつけてやっていきたいなと思っています。
 複数の会社の役員をやっても時間的にはできると思います。女性の中でも日本人じゃなく外人採用ということもあると思いますので、いわゆるレベルを下げるべきではないと思います。
 もう一つは、女性の役員比率を30%にするというものがありますが、経団連でも、政府でも2030年までにその比率をという目標を持ってらっしゃるのですけれども、各社で管理職の定義が違うのですよね。女性役員というのは何なのか、取締役なのか、管理職なのか、はたまた例えば管理職でも係長という名称を使っていらっしゃる会社が幾つあるか分かりませんけれども、どこまでを管理職と呼ぶのか。管理職の定義をきちんとして、この管理職を管理職と呼び、それを30%目標にするというふうにしておかないと、真面目にやっている会社と、真面目ではないとは言いませんけれども、とにかく数を合わせようという会社さんが出てくるのはよくないと思いますので、早期の段階で管理職の定義をしておいたほうがいいと思っています。
 今日は細かいところばかりで恐縮ですけれども、そういうことを感じております。以上です。

○山田会長 ありがとうございました。
 大崎委員、よろしくお願いします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 女性登用、女性の所得向上、そして経済的自立、これが女性版骨太の方針には重要項目として記載されると承知しておりますけれども、ぜひとも全体の骨太の方針にしっかりと反映していただきたいというのが1点目です。  それから、役員の女性の登用のところで私も意見を述べさせていただきます。
 役員の女性比率というのは、女性が活躍できる環境が整備されているかという公正性の観点に加えて、企業のガバナンス、経営に関する意思決定が多様な視点から、より客観的に、透明性の高い形で行われているかという観点が重要ということで、機関投資家にとっては経営リスク、企業価値のポテンシャルを測る情報です。それは、先ほど局長から御紹介いただいた調査でも、活用している情報として女性役員比率がトップに来ていたということからも明らかだと思います。
 それを踏まえて今後の施策として二、三意見を述べたいのですけれども、まず1点目として、今般、有価証券報告書の人的資本の情報開示義務化におきまして、多様性のところで管理職の女性比率、男性育休取得率、男女間賃金格差が開示項目になったと承知しております。それに加えて、ジェンダー・ダイバーシティがガバナンスの主要指標として位置づけられているという国際潮流を踏まえて、コーポレートガバナンスに関する記載事項として役員の女性比率を検討していただくのはどうかと考えています。
 GPIF、年金積立金管理運用独立行政法人が今年3月に、日本株式を対象としたESG投資にMorningstarジェンダー・ダイバーシティ指数を採用しています。この指数は、オランダのEquileapというジェンダーに関するデータ収集、調査・分析機関のスコアカードを用いて、4つのカテゴリーで評価を行っていますが、最も点数の配分が高いのが取締役、執行役員、上級管理職のジェンダーバランスです。
 GPIFによるジェンダー・ダイバーシティ指数の採用は、企業にとっては情報開示や取組を行う大きなインセンティブになるのではないかと思っていますので、期待しています。政府としてこれをどう活用していくかということをぜひお伺いしたいです。
 さらに言いますと、このスコアカードのベースになっているのが、国連が企業のための行動指針として策定している女性のエンパワーメント原則(WEPs)です。加点項目の一つにWEPsへの署名というものも含まれております。第5次男女共同参画基本計画でもWEPsの普及というものを具体策として示されていますが、具体的に何をやっているのかを教えていただきたいです。具体的な施策を含めて、WEPsの普及ということも女性版骨太の方針でもしっかりと示していく、反映させるのはどうかと思います。
 最後に、これは投資とは関係ないのですけれども、ぜひやっていただきたいこととして、「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」の行動宣言の1つ目に、「私たちは、我が社の女性活躍に関する目標を設定し、達成に向けた取組を進め、その進捗状況を定期的に把握・公表し、取組を継続的に改善します」とあります。
 この取組の今までの報告書や会議の様子をホームページで見ますと、コミットメントとか取組のことはすごくおっしゃっているのですが、成果がどうなっているかという情報は共有されていないようです。毎年報告書を出されていますが、企業のプロファイルのところに男女間賃金格差と女性の役員比率はプロファイル情報としてぜひお示しいただきたいです。男女局のホームページでも、各男性リーダーのコミットメントに対するアカウンタビリティ情報としてお示しいただくといいのではないかと思います。
 以上です。

○山田会長 ありがとうございます。
 続きまして、小林委員、お願いいたします。

○小林委員 3つについて私の意見ということで申し上げますと、先ほど来出ている女性役員比率については、CGコードに入ったのが2021年6月ですので、去年間に合わなかった部分もあるのではないかと思うのですね。そうすると、そろそろ発表もされていますけれども、今年かなり女性役員比率が改善されていくのではないかということは期待しております。実際にどういうふうになるかは開けてみないと分からないということではありますが。
 それから、気になったのは、大崎先生がおっしゃるような役員以下、そこで一般事業主の行動計画、300人以上ところについては、そろそろ行動期間が境目に来るところがあると思うのですよね。3年ぐらいということになると、そろそろということになりますから。そこで、先ほど大崎先生がおっしゃったような検証をどのようにしていくのか、またはどのように取り組んだのか、その辺を明らかにするようなメッセージがあるといいなと思っています。
 それから、2番目の男女賃金格差については、今年の6月ぐらいから有価証券報告書のほうで次々に出てくるだろうと思っているのですが、厚労省のほうで賃金格差の解消ガイドラインというのを出していますけれども、それだけでいいのか。結局、各社において賃金格差を発表したけれども、それについてどうしていけばいいのかというところをもう少し丁寧に出せればいいなと思っております。
 それから、法律家としてはちょっと衝撃的なところは、養育費の受給率の問題なのですね。養育費の受給率について低いというのは分かるのですが、低いだけではなくて、養育費を請求する手続に乗っていない方がかなりの数いるのではないか。それがDVを理由とするものなのか、それとも貧困によるものなのか、その辺は資料を見ても分かりませんけれども、それをどういうふうに動くようにしていくのか。
 法テラスなどでは無料の法律相談をやっていますし、弁護士費用については貸付みたいな形になっていますけれども、そういうことをやっていることは確かなのですが、それがどこまでに動いていくのかも検証していく必要があるのかなと思っています。
 それから、DV等の暴力の根絶については、もう当然のこととして皆さん意識はしているけれども、実際に遭っている方々についてはシェルターをどうしていくのか。DV被害のシェルターを国としてやっていけるのか。今、民間では幾つかあるわけですけれども、民間を使うとしたらどのように支援をしていくのか。その辺について、予算もかかることですので難しいのは分かりますけれども、何とか取り組んでいただきたいなと考えています。
 以上です。

○山田会長 ありがとうございます。
 佐々木委員、ありますでしょうか。

○佐々木委員 ありがとうございます。
 最初の女性の起業の話なのですけれども、起こす、ベンチャーのほうですね、そちらのほうもやはり女性がすごく少ないですし、投資が少ないというのも出ています。
 金融庁が昨年の7月に報告書を出してくださっております。こちらはかなりよくまとまっておりまして、資金調達、上場といった過程で、先ほどの社長とかそういうところ以上に、資金調達が女性は2%とか、代表を務めるベンチャーキャピタルの社数が1%とか、非常にここが少なくなっておりますので、新しい産業などを広げてさらに新しい視点でというときに、これは非常に重要な視点なので、この辺りも踏み込んでいただければなと思います。
 あと、3番目の暴力の根絶のところなのですけれども、先ほど言った科学技術分野にどうやって取り込んでいくかということなのですが、ウーバーとかがすごく便利になってきていますけれども、ウーバーもすごく性被害の報告がたくさん上がっているという現実、あと自動運転とかも今やろうとしていますけれども、そうすると運転する人がいないということは、そこで安全性をどう担保するか、女性が性被害に遭いやすい状況になってしまわないか。
 あとは、メタバースの中で性被害が起きてしまっています。その場合、メタバースの中でそういうことが起きないようにするにはどうすればいいか。都市設計におきましても、インドの例とかだと、こことここに行きたいと2点でやるとルートを教えてくれますけれども、そこに危険な場所を通らず、かつ最短時間の場所を提示する。そういう科学技術をきっちり利用しながら安全性を担保していく、そういう流れをつくれるような何かを入れていくといいのではないかと思います。
 以上です。

○山田会長 ありがとうございました。
 治部委員、ありますでしょうか。

○治部委員 ありがとうございました。
 私のほうからは、ここまででほかの委員の方がおっしゃっていることに全面的に賛成という前提で、ほかの方がおっしゃっていないところを申し上げたいのですけれども、まず骨太の方針自体の扱いに関してですが、例えば昨年の骨太を見てみますと、男女間賃金格差のことをメインに、地域の問題、固定的性別役割分担の問題、AVの出演強要の問題や、夫婦の氏の問題等々、ずっと長いこと言われていることを丁寧にカバーして、特に男女間賃金格差のことを一番前に持ってくる形で、なかなかよい骨太だったと思うのですけれども、そもそもこれを毎年出すことに加えて、昨年書いたことがどの程度達成されて、何が達成されていないのか、その原因は何なのかということを検証したほうがいいのではないかなと思っています。政府がやっていることはいいことが多いのですけれども、言って、おしまいになってしまうことが多いのではないかなと思っています。
 ですので、ある項目に関して、例えば今回でしたら養育費の受取りの割合等々は達成目標があると思うので、その目標がどうだったのか、達成か未達かということだけにとどまらず、仮に未達である場合にはその理由はなぜなのかというところまでをきちんと発表する必要があるのかなと思っております。
 例えば203030に関しては、未達であったということについて報道機関からは厳しい批判の声が上がっていたかなと思います。ただ、202030が未達であることの原因が果たして政府機関の問題だったのかというと、これは疑問符がつくところだと思っておりまして、国家公務員であるとか、いわゆる中央政府周りは結構頑張っていたのかなと。
 多くの未達であった原因は、民間企業や、それもかなり特定のセクターが遅れているということがあるときに、その原因をきちんと分析をしないと、今日マスメディアの方も傍聴にいらしているのでぜひ聞いていただきたいのは、何でもかんでもざくっと政府が悪いみたいな言われ方になりがちですが、そうではなくて、どこに課題があるのか、物事の進展というのは進んでいるところと遅れているところがあるので、どこをこれから取り組む必要があって、どこがうまくいっているかということをもうちょっと解像度を上げて分析して周知していくことがとても大事なのではないかなと思って聞いておりました。
 それから、先ほど来、治部委員、大崎委員から経営層に対する女性の登用の話もありまして、もろもろ進んできているのですけれども、私もいろいろな経営者の方と意見交換をしていますと、機関投資家も早く女性の登用をしてほしいのだけれども、事業会社のほうでヘジテイトするというか、できないと言い訳をされるので困っているというような話も聞いたりします。
 意思決定層が多様化しているほうが利益率が高いということは、今日、経済学者の先生等もいらっしゃるのでお分かりのとおり、既に数字では出ておりますし、その多くは相関関係でありますけれども、データがもう既にいっぱい出ているのだということがいまだに認知されていないようなところがあるので、もうこういう証拠はありますよといったようなことも、場合によっては既に出ている情報も内閣府のほうで取りまとめてホームページに載せてあげるといったことがあってもいいかもしれません。
 既に出ている範囲でも、例えばマッキンゼーはダイバーシティが進んでいる企業のほうがEBITとかEBITDAマージンが高いといったようなことはもう何年も継続してトラッキングしておりますし、進んでいる企業群と遅れている企業群の差が激しく開いているということ、恐らく遅れているほうに日本企業が入っていると思うのですが、そういったデータも英国ですといっぱいあるのですけれども、日本語になっていないがゆえになかなか広まっていないということがあるので、データを整理して見せてあげるということをもう少ししてもいいのかなと思いました。
 それから、小林委員がおっしゃっていたDVシェルター関連のことも私は個人的には気になっているところですけれども、内閣府の委員と直接関係があるか分かりませんが、恐らく法務省のほうで共同親権の問題は結構議論をされているのではないかなと思います。
 一つ日本で大きな誤解があるようですけれども、欧米では共同親権が常識であるというような話になっていますが、私が関わっているEUと日本のジェンダー平等推進の政策に関するプロジェクトで、EUの専門家の話を昨年の12月に聞く機会があったのですけれども、EU側の専門家が口をそろえて言っていたのは、共同親権がデフォルトであるなんていうことはないと。
 多くの場合、例えば婚姻中に非常にアビューシブ、虐待的であった親が離婚した途端にいい親になるということはあり得ないので、やはり子供の安全とか人権を第一に考えてきちんと個別事例を見るべきであるということはEU側からは聞いておりますので、日本の政策を考える際に誤った欧米の常識に依拠しないようにということはぜひ考えていただきたいなと思います。
 以上です。

○山田会長 ありがとうございます。
 徳倉委員、ありますでしょうか。

○徳倉委員 一部各委員とかぶるところもありますが、大きな1点と個別に3点です。
 今、治部さんもおっしゃっていましたが、この委員会自体が計画実行・監査専門委員会ということで、私は5次計の策定のときから関わって、5次計の策定のときに数値目標を出したときに必ず検証をセットにしないと、何回計画を立てても同じことだよと各委員から出ていたところがあります。ですので、骨太の方針を出す毎年出すタイミングで、もちろんできるところ、できなかったところがあると思いますけれども、そこら辺を詳らかに明らかにしていくことで、どんどんそれを加速していくことが必要かなと感じております。
 それを踏まえた上で何点かというところでいきますと、まず我々はお父さん、男性のことをメインにやっていますので、男性の育休にどうしても目が行きがちです。育休を改正されて、つい先月、ファザーリング・ジャパンのほうで速報版を出しましたけれども、今、パネラーの方にはURLをお送りさせていただいていますが、直近に子供が生まれた1,000人のお父さんに、実際に企業側が変化はありましたかとか、いろいろ調査したのですね。
 そうすると、法整備はされたけれども、きちんとできていないのではないかというところが見てとれます。詳細版は来週また発表させていただくのですけれども、法律は変わって、3段階にわたっていいふうに変わっていくはずが、しかし、企業の現場ではこういうことが起きているのだなというところを国のほうでしっかり把握をしながら、じゃあどういうアプローチ、どういう次の施策につなげるかというところをこういう委員会等で議論をしていく必要性は非常に出てきているのではないかと感じます。
 2点目が、そういう計画で言いますと、昨年の骨太の方針の中には男性の家庭参画の推進というのは結構大きな項目で入っていたのですね。しかし、それは今回、大きな項目の中では抜け落ちているところがあって、それはどうしていくのと。幾つかの面がやはり政策の中にあって、男性が家庭の中で担うケアワークの役割は非常に大事なポイントがあって、そういうものを引き続きやっていかなければならないというメッセージなんかが非常に必要なのではないかなと感じています。
 最後に、養育費に関して、先ほど小林先生も治部さんもおっしゃっていましたけれども、私、地方に住んでいて、シングルの御家庭で、父子家庭ももちろんそうですが、いわゆる母子家庭の中において養育費をきちんと受け取れていない御家庭は非常に多いです。そういう中において、これは小林先生の御専門になるかもしれませんが、2021年、民法の中でこれは子の権利だよということをきちっと考えていこうという動きはもちろんあるのですけれども、子供が平等に育っていくための権利だと思うのですね。そういうものを、例えばマイナンバーが進んでいる中で上手にひもづけて、きちんと子供を養育するための費用なのだと、夫婦間や様々な問題があるかもしれないけれども、子供をどう育てていくのかというところの部分、数値目標自体がまだまだ低いのではないかなというのが私の実感としてあります。
 以上になります。

○山田会長 ありがとうございます。
 内藤委員、ありますでしょうか。

○内藤委員 ありがとうございます。
 私も治部委員とか徳倉委員などと同じような意見で、まず検証をしっかりしていただきたいという部分も同様の意見です。
 本当にすばらしいいろいろな御意見が出ておりますけれども、実行のフェーズとなったときに何ができなかったのかという部分はきちっと分かるようにしなければいけないということもありますし、先ほど徳倉委員がおっしゃったように、都市部と地方部でも違うと思いますので、地方の中でもやっていかなければいけない部分が多々あると思います。
 そういった中で、委員の中でも言及されていない意見で申し上げますと、国立女性教育会館と男女共同参画センターの機能強化の件です。地方において男女共同参画の取組は弱い部分がございます。男女共同参画会議のほうでも申し上げたのですけれども、地方の男女共同参画センターには予算の配分がされていないところもありますし、各市町村ではこういったセンターが機能していないようなところもありますので、ここにしっかりと予算をつけていただくということ。
 これからナショナルセンターというところで動いていくという部分がありますけれども、徳島市としても地方の中で女性のデジタル人材の育成をやっていって、実際に正規の職員として就労モデルまでつくり上げている部分もありますので、都市部と地方での違いも踏まえて、地方でどういうことができるのか、地方と都市部での給与格差の部分をどう埋めていったのかというような事例もほかの地方都市にも広げていきたいと思っていますので、そういった成功事例を県と一緒になって構築していく地方都市と、地方都市の男女共同参画センターや地方都市ときちんとつなげていくという部分をしっかりとやっていただいて、実行まできちんとやっていただきたいと思います。  以上です。

○山田会長 ありがとうございます。
 山本委員、お願いいたします。

○山本委員 ありがとうございます。
 まず1点目、女性の登用に関してです。短期的には外部登用を活用して、まだ登用できる余地があると思うので進めるべきだと思います。ただ、中長期的には日本の労働市場慣行を考えると、内部登用がとても大事になると思います。
 そのときに、時間がかかることなので、2030年まで30%の役員比率という数値目標はいいのですけれども、そこまでに至るプロセスが読めない企業さんが多いのではないのかなと思うのですね。そこに行くには、正社員の中で女性がどれぐらい増えて、その後で女性の係長、課長が増えていく、部長が増えていくというプロセスがあると思うのです。
 例えば、標準的な一般的な企業だと、正社員の女性比率が増えると何年後に女性の課長が増えて、部長が増えてという、そういう期間とか、確率とか、そういったものを示したり、あるいは企業に自らのデータを、これまでの男性の経験でもいいと思うので、どういうステップで昇進が行われていくかといったところを基に計画を出させるとか、そういうような形でのプロセスに対して何らかの目標を設定するというのも一つアイデアとしてはあるのかなと思いました。
 2つ目がL字カーブ問題です。正社員の女性が少ないということですけれども、統計を見ると、不本意で非正規を選んでしまっている、本当は正規になりたいのだけれども、今は非正規にならざるを得ないという人が近年すごく減ってきていて、女性では10%を切っているわけですね。
 そこで何が問題かというと、そもそも選びたくないという労働市場慣行が問題になっていて、特に有償労働で正社員になると長く働かなければいけない。そうすると、なかなか生活が大変だということで、むしろ非正規を選んでしまっているという、後ろ向きな形で不本意な非正規の人が減っているような気もするのです。
 もちろん男性の育休を増やすという介入手段はあるのですけれども、それ以外の無償労働の男女間格差を減らすというのが、なかなか介入が難しいということを考えると、やはり有償労働の男性の働き方を変えていって、まだまだ長時間労働が起きている場所がありますので、そこを何とか減らしていくと、正社員になっても労働時間がそんなに長くなくて済むので、そうすれば両立ができる、あるいは男性の労働時間が減れば、自然と育児・家事の時間が男性も増えていく。そういう姿を目指すといいのかなと思いました。
 以上です。

○山田会長 ありがとうございます。
 最後に、山田から意見を一つ述べさせていただきます。
 男女共同参画の本会議でも申し上げたのですけれども、地方の問題というものが、甘いという指摘がされましたけれども、まだまだ不十分ではないかと思います。
 本会議でも申し上げたのは、23区ではここ20年子供の数は減っていないけれども、地方は子供の数がどんどん減っている。つまり、やる気のある、活躍したいと思う女性が、もちろん不十分かもしれませんけれども、まだ男女平等が進んでいる活躍可能な都市部に行ってしまっているのだと私は思っています。
 私も社会学者として婚活とか独身者調査を地方でやっていますけれども、話を聞きますと、男性は全部正社員、女性は全部非正規社員といった中小企業はまだまだたくさんあります。もちろん上場企業とか300人以上の企業も重要なのでしょうけれども、むしろ裾野の地方の中小企業、それも学歴があまり高くなくて地方にいるような女性たちの底上げと言ったら失礼かもしれませんけれども、底上げを進めることが少子化対策としても有効ではないかなと私は思っております。どうもありがとうございます。
 ほかに特にありますでしょうか。

○石黒委員 石黒ですけれども、加えさせていただいてよろしいでしょうか。
 先ほど佐々木委員のほうから、起業に関しても、資金調達、女性が役員をしているところが少なくなっているというお話があって、本当にそのとおりだと思っていて、いわゆるスタートアップを議題に入れていくというのは意味があることではないかなとまず思っています。
 岸田政権でも、今後経済を支えていくのがスタートアップであるというようなことはきちんと命題に掲げていらっしゃいますし、結局こういった起業した人たちが最終的にIPOをしたりして女性役員の数が増えていくわけですから、いわゆる卵のところから見ていくことは必要ではないかなと思います。
 一方で、特に女性トップの会社の調達がなかなかできないという問題点は本当に存在するのですね。もちろん問題はそれだけではなくて、女性がスタートアップ、そもそも起業というのを職業に選ばない女性が多いということも一つの問題ですし、それから女性が起業をするときに事業規模が小粒である。つまり、資金調達を必要とするようなビジネスモデルに女性の起業家が行き着いていないという質の問題もあるので、そういうところも議論できればなと思います。
 以上です。

○山田会長 ありがとうございます。
 ほかにありませんでしょうか。
 そろそろ時間になりました。皆さん、活発な御議論をありがとうございました。
 事務局のほうから何かありますでしょうか。

○岡田男女共同参画局長 先生方、御意見、ありがとうございました。
 去年の秋から月1回ほど、いろいろなテーマについて御議論をいただいてまいりました。今日はそれを参考資料4につけさせていただきましたけれども、各回の御議論もさることながら、今日はマクロ的に大きな観点から再度御議論いただきましてありがとうございます。
 細かいところで、今日は手元に資料がなくてお答えできないものもございましたが、今後、先ほど申し上げましたように原案をつくっていくことになります。今日先生方からいただいた意見を踏まえながらつくっていきたいと思っております。
 また、先生方は検証というのをおっしゃいました。女性版骨太の方針は、例えば去年のものですと、昨年度にやるもの、あるいは今年度にやるものを少しずつ前倒しで盛り込んでいくものですから、そのときに載ったものが次の年につくるときに全て結果が出ているかというと、必ずしもそういうわけではありません。しかし、毎年毎年、骨太を作成していく過程では、省庁とも相談する際にどこまでできているのかというようなことは検証してまいります。それだけではなくて、実際にどういう成果があったのかということも引き続き検証していきたいと考えております。今日は御指摘をありがとうございます。

○山田会長 ありがとうございます。
 本日いただいた御意見も踏まえながら、政府において女性版骨太の方針の原案の作成を進めていただければと切に思います。ありがとうございました。
 時間になりましたので、特にほかになければ、本日の会議は以上とさせていただきます。ありがとうございました。