計画実行・監視専門調査会(第24回)議事録

  • 日時:令和5年4月17日(月) 14:00~16:00
  • 場所:オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
  1. 開会
  2. 議題
    (1)女性の家事・育児負担の軽減、健康支援等について
    (2)「独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)及び男女共同参画センターの機能強化に関するワーキング・グループ報告書」について
  3. 閉会

【配布資料】

資料1
女性の家事・育児負担の軽減について(内閣府男女共同参画局説明資料) [PDF形式:877KB]別ウインドウで開きます
資料2
ベビーシッターの現状と課題(こども家庭庁説明資料) [PDF形式:2,275KB]別ウインドウで開きます
資料3
経済産業省の両立支援施策について(経済産業省説明資料) [PDF形式:1,400KB]別ウインドウで開きます
資料4
家事支援サービス振興に向けた施策の方向性(経済産業省説明資料) [PDF形式:1,359KB]別ウインドウで開きます
資料5
「女性の健康」に関するナショナルセンター機能について(厚生労働省説明資料) [PDF形式:743KB]別ウインドウで開きます
資料6
独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)及び男女共同参画センターの機能強化に関するワーキング・グループ報告書 [PDF形式:645KB]別ウインドウで開きます
 別添1
女性活躍・男女共同参画における現状と課題 [PDF形式:3,122KB]別ウインドウで開きます
 別添2
男女共同参画センターの職員の体制及び給与に関する調査結果について [PDF形式:608KB]別ウインドウで開きます
資料7
独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)及び男女共同参画センターの機能強化に関するワーキング・グループ報告書 概要 [PDF形式:174KB]別ウインドウで開きます
参考資料1
計画実行・監視専門調査会委員名簿 [PDF形式:107KB]別ウインドウで開きます
参考資料2
女性活躍・男女共同参画の重点方針2022(女性版骨太の方針2022)(令和4年6月3日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定) [PDF形式:1,756KB]別ウインドウで開きます

【出席者】

会長   
佐藤 博樹  
東京大学名誉教授
委員   
石黒 不二代 
ネットイヤーグループ株式会社代表取締役チーフエヴァンジェリスト
同    
井上 久美枝 
日本労働組合総連合会総合政策推進局長
同    
大崎 麻子  
(特活)Gender Action Platform理事、関西学院大学客員教授
同    
佐々木 成江 
お茶の水女子大学ジェンダード・イノベーション研究所特任教授
同    
治部 れんげ 
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授
同    
徳倉 康之  
NPO 法人ファザーリング・ジャパン理事、株式会社ファミーリエ代表取締役社長
同    
内藤 佐和子 
徳島市長
同    
山田 秀雄  
山田・尾﨑法律事務所代表弁護士
WG座長 
鈴木 準   
山田・尾﨑法律事務所代表弁護士
内閣府  
小倉 將信  
特命担当大臣(男女共同参画)
同    
岡田 恵子  
男女共同参画局長
同    
畠山 貴晃  
大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
同    
杉田 和暁  
男女共同参画局総務課長
こども家庭庁
伊藤 涼子 
保育政策課認可外保育施設担当室長
厚生労働省
浅沼 一成  
大臣官房危機管理・医務技術総括審議官
同    
佐々木 孝治   
健康局健康課長
同    
田邉 和孝   
健康局女性の健康推進室長
経済産業省
龍崎 孝嗣  
大臣官房審議官
同    
岡田 智裕  
商務情報政策局商務・サービスグループサービス政策課長
中小企業庁
栗田 宗樹  
経営支援部技術・経営革新課課長補佐

議事録

○佐藤会長 定刻となりましたので、ただいまから第24回「計画実行・監視専門調査会」を始めさせていただきます。
 本日は窪田委員、白波瀬委員、山口委員が御欠席ということで、あと多少出入りはありますけれども、その他御出席予定の方は来ていただけています。
 まず、本日は小倉將信女性活躍・男女共同参画担当大臣に御出席いただいておりますので、最初に御挨拶を頂戴したいと思います。
 それでは、小倉大臣、よろしくお願いいたします。

○小倉女性活躍・男女共同参画担当大臣 佐藤座長、ありがとうございます。小倉將信です。
 本日も御多用の中、そして、短い期間で連続の開催となりますが、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 今回の調査会では、前回までに引き続きまして、今年の骨太の方針あるいはG7の男女会合を見据え、女性の経済的自立に向けた取組をさらに強化するための検討を深めていただきたいと思っております。
 今回の主要な議題になります女性の家事・育児負担の軽減や健康支援は、前回までに御議論いただきました企業の労働慣行の見直しと併せて、男女ともにライフイベントとキャリア形成を両立できる社会の実現に向けて鍵となるものであります。固定的な性別役割分担意識を背景に、女性に偏る家事・育児負担を軽減するためには、企業における両立支援策の充実に加えて、家事支援サービスやベビーシッターといった外部サービスの利用が促進されるよう、ケアエコノミー市場の整備を検討する必要があると考えております。また、妊娠・出産等のライフイベントとキャリア形成の両立を可能とするためには、その土台となる女性の健康に関する施策のさらなる充実が不可欠と思っております。
 委員の皆様におかれましては、これらの課題について、ぜひ専門的な見地から忌憚のない御意見を頂戴したいと思います。
 また、加えまして、先般、この調査会の下に設置されたワーキング・グループの鈴木準座長にも御参加をいただいております。このワーキング・グループにおきまして、国立女性教育会館、いわゆるNWECや、男女共同参画センターの機能強化についての報告書を取りまとめていただきました。全国各地のセンターや自治体等の関係者の声を一つ一つお聞きをしながら、諸課題を丁寧に分析していただくとともに、大変示唆に富んだ御提案の数々をいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。
 限られた時間になりますが、今日の議論を通じて女性の経済的自立の実現に向けた取組への力強い後押しをいただけますことを心より御期待を申し上げまして、冒頭の挨拶とさせていただきます。本日もどうぞよろしくお願いします。

○佐藤会長 大臣、どうもありがとうございました。
 それでは、時間も限られていますので、議事に入りたいと思います。
 本日の議題の1は、女性の家事・育児負担の軽減策と健康支援についてです。
 最初に、内閣府の岡田男女共同参画局長から、資料1に基づいて御説明をお願いいたします。

○岡田男女共同参画局長 内閣府男女共同参画局長の岡田でございます。
 私からは、本日のテーマであります女性の家事・育児負担の軽減について、この問題に取り組むことの意義、また、問題へのアプローチの仕方について簡単に整理させていただいた後、私どもが行った世論調査や委託調査の結果を基に、家事・育児の時間や外部サービスの利用に関する意識について説明をさしあげたいと思います。
 スライド1でございます。前回の会議でもお示しいたしましたとおり、最終的に男女間賃金格差として帰結しますL字カーブや女性登用の遅れといった様々なジェンダー不平等の問題というのは、家事・育児等の無償労働時間の男女間の偏り、私どもは時間格差と呼んでおりますけれども、このことから根源的に発生しておりまして、喫緊の課題である男女間賃金格差の是正やL字カーブの解消に向けては、これまでに御指摘や御議論をいただきました、例えば開示情報の利活用の推進といったものですとか、企業における労働慣行の見直しといったものと同時に、女性の家事・育児負担の軽減という根本的な問題への取組も重要ではないかと考えております。
 次のスライドであります。図に示しておりますけれども、女性の家事・育児負担の軽減につきましては、男性の家事・育児への参画を促進することで男女間の偏りを解消して適正な分担の実現を目指すというアプローチ、また、ベビーシッターや家事支援サービスなどの外部サービスの利用を促進することで家事・育児負担の量の減少を目指すアプローチがあるのではないかと考えております。前者のアプローチについては、先日の「こども・子育て政策の強化について(試案)」の中で「男性育休は当たり前」になる社会の実現がうたわれており、男性育休の取得促進に向けた各種施策も盛り込まれています。本日は後者のアプローチ、図でいいますと右側でありますけれども、外部サービスの利用の促進について、今後の施策の検討を深めるために、委員の皆様においては、関係省庁からのヒアリングを踏まえ、外部サービスの価格あるいは安全性の問題、利用をためらう心理的なハードル、市場の発展に向けた課題といった観点から御議論をいただければ幸いでございます。
 次のスライドであります。家事・育児時間や外部サービスの利用に関する意識について紹介させていただきたいと思います。これは私どもが行いました委託調査の結果でございますけれども、「生活時間の使い方に関する意識」を尋ねましたところ、有配偶で子供がいる女性については、20~30代のグループでも40~60代のグループでも家事・育児時間を「減らしたい」が「増やしたい」を上回っておりますけれども、若いグループにおいてより「減らしたい」という傾向が強くなっております。また、どちらのグループにおいても家事・育児時間は生活時間の中で最も「減らしたい」と思われているのではないかと図から読み取れるわけでございます。また、有配偶で子供のいる男性については、いずれの年代のグループでも家事・育児時間を「増やしたい」が「減らしたい」を上回っているということで、若い世代では特に家事・育児への参画意欲が強いことがうかがわれるわけでございます。
 次のスライドであります。これは前回の専門調査会でも御紹介いたしましたけれども、令和4年11月の世論調査の結果であります。今回の調査では外部サービスについて、これは赤い枠で囲った部分でありますけれども、育児では7割以上、介護では9割以上、家事では5割弱、利用をしながら行いたいという回答を得ているということであります。調査方法が異なるので単純比較はできませんけれども、下に示している過去の調査を見ていただきますと、図の形もかなり変わっているのではないかと読み取れるわけであります。
 次のスライドでありますけれども、この回答は男女ともに同じ傾向を示しているわけでありますけれども、女性のほうがやや高い割合になっていることが読み取れるかと思います。
 次のスライド6であります。これも先ほど紹介させていただいた委託調査の結果でありますけれども、「家事・育児等に関する外部サービスの利用経験・意向」について尋ねたものであります。オレンジが女性で緑色が男性であります。色の濃いほうが利用したことがある、しているといった回答、また、色の薄いほうは利用してみたいと思うという回答の割合を示しておりますけれども、この結果を見てみますと、男女ともに例えば「料理代行」「子供の送迎の外部委託」あるいは「キッズ・ベビーシッターの利用」などで利用経験・意向ともに低い傾向が見てとれるわけでございます。他人を家の中に入れる必要があるとか、自分の目の届かないところでサービスが行われるといった、こうしたサービス特有の事情が関係しているかもしれませんけれども、こうした問題につきましても追って関係省庁から御説明があると存じます。
 当方からの説明は以上でございます。本日は女性の家事・育児負担の軽減に加えまして、女性の健康支援に関する最近の取組状況についても経産省及び厚労省から御説明いただく予定でございます。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 今、局長からお話がありましたように、本日のテーマについて、関連省庁からこの後御説明いただきます。
 こども家庭庁からは育児支援の関係について、次いで経産省からは女性の健康支援と家事支援の関係、最後に厚生労働省からは女性の健康支援について、それぞれ御説明をお願いしたいと思います。
 まず、こども家庭庁の伊藤保育政策課認可外保育施設担当室長から、資料2で御説明をお願いいたします。

○伊藤認可外保育施設担当室長 こども家庭庁成育局認可外保育施設担当室長の伊藤と申します。
 「ベビーシッターの現状と課題」について、画面に共有しております資料2に沿って御説明いたします。
 まず、ベビーシッターは、ベビーホテルや事業所内保育施設などと並んで認可外保育施設に含まれます。令和2年度のベビーシッターの届出施設数は6,687か所となっております。このうち、事業者の443については、ベビーシッターを雇用して事業を実施しているもの、6,244の個人につきましては、個人でベビーシッター事業を実施しているものです。合計で6,687か所となっておりますが、事業者の場合は通常ベビーシッターを複数人雇用しておりますので、これがベビーシッターの総数ということではございません。2.の「入所児童数」をご覧ください。こちらは調査日の利用児童数を記しておりますが、ベビーシッターについては6,832名となっており、うち5割超がゼロ歳から2歳の子供となっております。
 次に「ベビーシッターの法的位置付け」でございますが、児童福祉法におきましては「認可外の居宅訪問型保育事業」、認可外保育施設の一種とされております。都道府県知事への届出や指導監督の対象となっております。
 届出の手順につきましては、こちらのページにございますが、ベビーシッターを雇用して事業を実施している事業者は事業者単位で、個人でベビーシッターを実施している者は個人単位で、都道府県知事に必要な事項の届出や報告を行う必要があるとされております。また、都道府県知事は毎年運営事業の報告、報告徴収、立入調査などにより、得た情報を取りまとめ、市町村に通知するとともに、公表するということになっております。
 続いて、ベビーシッターの利用状況でございますが、令和3年に行った調査によりますと、月額利用料はゼロ歳から6歳のどの年齢でも、この縦の棒グラフで緑色の部分ですけれども、「1万円未満」の割合が約8割から9割と最も高くなっております。右側の平均の月額利用料を見ますと、1万円台から2万円台程度となっております。また、1時間当たりの利用料につきましては、早朝や夜間を含めた全時間帯を通じまして、1,000円から3,000円未満の割合が8割から9割となっておりまして、平均利用料は1,000円台後半から2,000円台前半となっております。
 以上がベビーシッターの現状についての御説明となります。
 続きまして、ベビーシッターの課題ですが、こちらは保育の質の確保が大きな課題となっております。平成26年3月に、ベビーシッターを名のる男の自宅から男児の遺体が発見される事件が発生いたしました。また、令和2年には、マッチングサイトを介したベビーシッターによるわいせつ事案が複数発生しております。このような事案を踏まえ、様々な形で質の確保に向けた取組を進めております。例えばこちらのページの一番下をご覧ください。児童をわいせつ行為から守る環境整備につきましては、一番下の7.にありますとおり、日本版DBSの導入に向けた検討がなされておりますが、それに先駆けて、令和4年6月の児童福祉法改正により、児童にわいせつ行為を行った保育士の資格管理の厳格化を行うとともに、わいせつ行為により保育士の登録を取り消された者の情報が登録されたデータベースを構築することとしております。
 次のページが資格管理の厳格化の見直し内容ですが、子供にわいせつ行為を行った保育士は、刑事罰の有無にかかわらず、保育士登録を取り消されます。また、禁錮以上の刑に処せられた場合には、従前は欠格期間が執行を終わった日から起算して2年となっておりましたところ、期限なし、無期限での資格停止というように改正するように厳格化を行っております。
 また、子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会の議論の取りまとめを踏まえまして、児童福祉法改正により、都道府県知事は、必要と認めるときは、他の都道府県知事に対して、ベビーシッターを含む施設の設置者に関する情報その他参考となるべき情報の提供を求めることができることといたしました。
 また、昨年保育所の送迎バスに置き去りにされた子供が亡くなる大変痛ましい事案が発生するなど保育所における重大事故が繰り返し発生する中、児童福祉法の改正によりまして、都道府県等が条例で定めることとされている児童福祉施設等の運営に関する基準のうち「児童の安全の確保」については、国が定める基準に従わなければならないということになりました。これを受け、厚生労働省令の改正により、保育所等については令和5年4月1日より安全に関する事項についての計画、安全計画と呼んでおりますが、こちらの策定が義務づけられております。
 この改正を受けて、認可外保育施設における取扱いについても指導監督基準に規定しております。ベビーシッターを含む認可外保育施設についても安全計画を策定し、それに従い、児童の安全確保に配慮した保育の実施を行うことや、児童が自動車に乗車や降車する際には児童の所在を確認することなどを規定しております。この安全計画の策定につきましては、ベビーシッターを雇用して事業を実施している場合は事業者単位で、個人で実施しているベビーシッターは個人単位で策定することが必要であるとされております。
 また、こちらは「幼児教育・保育の無償化」のスライドになりますが、令和元年10月から開始されました幼児教育・保育の無償化については、ベビーシッターを含む認可外保育施設も対象となっております。保育の必要性がある3歳から5歳の子供については、月3.7万円まで無償となります。また、認可外保育施設が無償化の対象となるには、都道府県に届出を行い、国が定める認可外保育施設の基準を満たすことが必要となっておりますが、経過措置として5年間の猶予期間を設定しており、令和6年9月までは認可外保育施設の届出を行っていれば基準を満たしていなくても無償化の対象となっております。
 この無償化の開始に合わせまして、保育の質の確保・向上を図るために、いわゆるベビーシッターにつきましても、職員の基準について改正を行い「保育士、看護師又は一定の研修を受講した者」としております。
 また、認可外保育施設のベビーシッターにつきましても、年1回以上の集団指導等を行うことを令和2年3月に通知の指針を改正しております。
 また、ベビーシッターの質の向上のために都道府県等が研修を行っているのですけれども、この研修に対する補助を行っております。令和5年度からは平日の夜間や土日などを含めてベビーシッターの研修機会が確保できるように地域の予算として0.3億円を確保し、民間事業者に研修事業を行っていただくこととしております。引き続きベビーシッターの質の向上に向けて取組を進めてまいります。
 こども家庭庁からの説明は以上となります。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 続きまして、経産省の龍崎大臣官房審議官から資料3に基づいて、続きまして、岡田サービス政策課長から資料4について御説明いただきたいと思います。
 それでは、龍崎審議官、お願いいたします。

○龍崎審議官 経済産業省の審議官をやっております龍崎と申します。
 私から資料3に基づいて御説明を簡単にしたいと思います。
 まず、2ページをお願いします。私ども経済産業省ですが、産業政策としてダイバーシティーは非常に重要だと思っているということで、その中でも特に女性ですね。これは当たり前でありますので、24年度から両立支援のための取組を始めてございます。その中でコロナもありましたし、米中対立もございましたし、ロシア・ウクライナもございますので、ますます先が企業環境、事業環境としても見えにくくなっているということで、ダイバーシティー、特にその中でも女性活躍というのは一層重要になっていくと思ってございます。下の樹形図をご覧いただければと思いますが、私どもは大きく分けて2つのアプローチがございまして、狭義の両立支援、それから、女性のキャリア形成ということでございまして、狭義の両立支援につきましては、赤字でございますけれども、家事支援サービスですね。これは私の後に岡田サービス政策課長から資料4で追加の説明をしてもらいます。それから、ベビーテックやフェムテック等に取り組んでございます。それから、キャリア形成につきましては、WIL、これは企業の女性幹部候補生の研修事業でございますけれども、それから、今回新たにクロスカンパニーメンタリングなどを始めてございます。それから、これらを包含するものとして、なでしこ銘柄での評価に活用するとか、中小企業向けの補助金に加点するとか、こういったことをやってございます。
 次のページをお願いいたします。今の赤字の部分のそれぞれの施策について、かいつまんで御紹介をしたいと思いますけれども、フェムテックは御案内のとおりで女性特有の問題に対して技術で解決、サポートするものでございまして、残念ながらまだ萌芽期ということもあって、必ずしも導入・普及が進んでいないということだと思います。事実関係として、括弧の中に書いてございますけれども、不妊治療と両立できずに離職をした女性が2018年で見ますと22.7%ということで、何とか普及を早期にしたいということでございます。それぞれ関係するフェムテック企業、それから、ユーザー企業、医療機関、自治体等、課題を抱えてございますので、こうした主体が連携して実施をいたします実証事業に対して費用の一部を補助する実証事業、これを令和3年度からやってございます。3年度、令和4年度で合計39件を採択してございまして、各年度20件ぐらいということでございまして、今年度も3回目ということで、大体同じような規模で実証をやりたいと思ってございます。
 次のページをお願いします。各主体が抱える課題でございますけれども、下のほうを見ていただきますと、フェムテック企業にとってはプライベートな悩みゆえの直接のユーザーたる女性個人へのリーチが難しいですし、結果としてユーザー企業を含めてなかなかアプローチをしにくい、使ってもらえないという課題があります。それから、ユーザー企業ですね。これはもうダイバーシティー経営として女性にもっと活躍をしてもらいたいけれども、どうしたらいいかという課題を抱えております。それから、医療機関ですね。フェムテックをうまく活用してもらってアクションを女性の方々が起こすようになれば、受診ハードルが低下するのではないかと期待をしていると。それから、自治体ですね。女性の健康維持に関する接点が市によっては少ないということで、タイムリーな行政サービスができていない。こういった課題を抱えているということでございますので、これらの主体でコンソーシアムを組んでいただいて、様々な好事例を創出して、それを世の中に見せていくということで、強力に横展開をして、一気に普及拡大を図っていきたいと思ってございます。
 次のページをお願いいたします。最新の令和4年度の実証事業で、これはじょさんしGLOBALという愛知の会社でございまして、使った女性に評判がよかったので御紹介をしたいと思います。ちなみにユーザー企業は名古屋銀行や大手のドリルメーカーのオーエスジーといった企業の女性社員に使ってもらったということでございます。提供しているサービスというのは、就労妊婦に対して助産師がオンラインでいろいろな相談に乗るというものでございますけれども、特徴的なのは、そのやり取りをAIの声解説ツールを活用して分析をして、その結果を助産師にフィードバックをして、さらに次の相談などに活用してもらうということでございます。アンケート結果では参加女性の94.5%が実際に効果があったと回答している、こういう事例です。
 次のページをお願いいたします。今までやった実証事業の成果でございますけれども、令和4年度につきましては、2つの指標でどれぐらい効果があるのかを見ていくと。今のスライドは、WHOの指標を活用して、自分がやっている仕事について最高のパフォーマンスが100%とした場合に、このフェムテックを活用する前と後でどうパフォーマンスが変化をしたかを測定するものでございます。対象は1,000人ぐらいいるので、この数字の59から62.2、あまり増えていないようにも見えますけれども、これは本当に平均で、1,000人ぐらいいると3ポイント上がったというのも評価できるだろうと思いますけれども、自分のパフォーマンスが上がったという回答を平均しても女性の方はしているということでございますし、最頻値、一番多い回答は50%台が80%台に向上しているということで、こちらにつきましては顕著な結果が出ているということでございます。
 次のページ、もう一つの指標は、私どもが独自に作成をして調査をしたものでございます。一部あまり変化が見られない指標もございましたけれども、具体的には下のほうですね。女性特有の健康問題の解決手法、これは例えば医療機関を受診するとか、いろいろ選択肢はあります。これについてはほとんど変化がなくて、恐らくもともと観念的に知ることは知っていたということで、ここで差異は出てございませんけれども、それ以降のものですね。実際に行動を起こしたりとか、意識が変わったりというところは数字に違いが出てきておりますし、実際に周りの人に協力を求めると状況を変えられるのだということを認識したりとか、実際に協力を求めたりするところも向上している、このような結果が出ております。
 次のページです。実証事業をやってみて見えてきた課題、少しだけ拾っていますけれども、フェムテック事業者ですね。これは企業等に使ってもらいたいわけですけれども、実際に例えば企業に福利厚生として使ってもらうには、男性職員の不平等だという声を企業が乗り越えることが大事なのだとか、使っていただいたサービス利用者の声ですけれども、これはデバイスを実際に着用して、睡眠状態を計測して、不眠治療に使うものでございますけれども、なかなかずっとつけたままというのは厳しいので、例えば座談会でもやってもらって、同じように使っている人と仲間づくりができれば頑張れるのではないかとか、いろいろな課題が上がってきているということでございます。
 次のページです。なでしこ銘柄でございますけれども、御案内の方も多いと思いますが、平成24年度より当省と東証のほうで共同して実施しているものでございます。今度やるのが12回目になるということであります。前回から調査項目・審査方法を抜本的に見直してございまして、もともと定量調査でスコアリングをして選定をしていましたが、定性調査も前回から加えているということでございます。その中で、下の表をご覧いただきますと、昨年度につきましても「女性正社員の育休等からの復帰率」や「正社員の平均勤続年数の男女差異」、こういったものについては定量調査の評価として入れておりましたけれども、そこから下ですね。△の部分は、定性調査で書いてある場合には裏づけとして本当にやっているのかどうかを見ているという意味での参考項目にしてございました。今年度からは全ての項目を評価項目として組み込んでいきたいと思ってございますし、一番下ですね。新たな指標を検討してございます。例えば復帰率だけではなくて3年後はどうかとか、そういった経過措置を見られるようなところまで含めて、定量調査の評価項目に加えていきたいと思ってございます。
 次のページでございますけれども、経済産業省におきましては、既に委託費につきましては基本的に女性の両立支援に取り組んでいるものについては加点措置をこれまでも行ってきてございましたけれども、今回補助金の世界につきましても中小企業向けのものを先行してこの春から加点措置をするようにしてございます。それから、今後でございますけれども、中小企業向け以外の補助金につきましても、一部なじまないものもございますけれども、そういったものを除きまして全面的に広げていけないかということで、今、議論をしてございます。
 それから、次のページでございます。女性の意識向上ということで、先ほど申し上げましたWILというものをやってございます。一昨年度につきましては、大崎麻子委員にも参加をしていただいておりましたけれども、幹部候補生向けにこれまで7回実施をしているということでございまして、既に245人が卒業して、60人ぐらいが執行役員以上として活躍をしてございます。各期で自主的なネットワークもできていますし、今後期を超えたOG会等も組織をして、大きなうねりにしていきたいと思ってございます。2つありまして、一つは著名な方による勉強会ということで、例えば昨年度につきましては、岡田局長にも御了解をいただきまして野田大臣に来ていただいたりとか、女性のゼネラル・パートナーでつくられているESGにフォーカスしたベンチャーキャピタルのMPower Partnersの村上さんとか、こういった方に御自身の経験に基づくリーダーシップ論を言っていただくと。それから、半年にわたってグループ別に政策研究をやったりしています。
 次のページ、お時間だということで駆け足になりますけれども、新たな取組として企業を超えた業種横断のメンタリングプログラムを実施してみたということで、合計29社ですね。メンター・メンティー合わせて54人が参加をしてございます。実施前3割弱であった昇進を望む女性の割合が実施後に7割超ということで、一定の効果があったのではないかと。直接の社内の人だと相談しにくくても、企業が替わるとできると。非常に意味があるのだということを実感していただいたということでございます。
 最後に一言だけ、次のページでございますけれども、ベビーテック、これは小倉大臣がベビーテック事業者と車座等をやられていると思います。お時間の関係もございますので省略させていただきますが、小田原市をフィールドとして実証調査をやってございます。
 最後のページにございますけれども、実際に使っていただいて今後も利用したいという小田原市民が9割以上だったということでございますし、一部のサービスについては小田原市が行政サービスとして取り入れているということでございます。
 駆け足になりましたが、私からは以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 続きまして、岡田サービス政策課長から、家事支援サービス振興に関わる政策についてお話しいただければと思います。

○岡田サービス政策課長 経済産業省サービス政策課長の岡田でございます。
 資料4に基づきまして、御説明をさせていただきます。
 我々サービス政策課ということで、サービス政策、サービス産業全般を見ているところでございますが、昨年来、民間サービス事業者の活力を利用して少子化対策に何か貢献できないかということで課題設定をいたしまして、検討を進めてきたところでございます。その中で、昨年末、それから、今年の頭にかけまして、2つのアンケート調査を実施いたしました。一つはマッチングアプリなどの婚活ツールなどの利用促進ということで何か考えられないかということで、未婚者・既婚者調査というものをさせていただいています。もう一つが家事支援サービスに着目いたしまして、家事支援サービス利用動向調査という形で年始に調査をしたところで、回答は2,200ほどでございます。この結果を受けまして、サービス産業の発展と少子化対策の好循環に向けた検討会ということで、中京大学で家族社会学を研究されている松田教授に座長をしていただきまして、検討会を進めてきたところでございます。
 次のページをお願いいたします。ここでいう家事支援ですけれども、ハウスクリーニング、例えばエアコンなどを専門の機器を使ってクリーニングするようなものですが、こういったものや家政婦は除いて、事業者のスタッフが利用者宅を訪問して、主に利用者宅で家事に関する業務を全部または一部利用者に代わって行うサービスということで定義をして調査をしております。この分野ですけれども、業界団体としては全国家事代行サービス協会というところがございますので、こことも連携しながら進めてきたところでございます。
 次のページを見ていただきますと、この家事支援サービスのニーズ自体は近年増加をしている状況でございまして、この折れ線の部分が企業数ですけれども、かなり参入業者は増えている状況です。棒グラフのところが売上げでございますが、売上げも順調に伸びている状況ですけれども、この少し薄い緑の部分が上位5社の合計でございますが、シェアがそれほど大きくない状況ですので、多くの事業者が参入している、このような業界構造になってございます。
 次のページを見ていただきますと、業界のほうで家事支援サービス事業者を安全・安心、それから、機能同等性、接遇という3つの品質を評価して認証する制度を、2016年度から始めてございます。こちらは先ほど申しました家事代行サービス協会が運営をしているところでございますけれども、現時点では認知度があまり高くない状況になってございまして、2022年3月時点で認証を取得している事業者は9社にとどまっている現状でございます
 次のページを見ていただきますと、そうした中で、株式会社ベアーズ、こちらは家事代行サービス協会の会長が副社長をしている会社でありますけれども、ベアーズのサービスを福利厚生として導入している企業は増加傾向でございまして、去年の10月時点で720社超という状況でございます。下にかなり先進的な取組をされている事業者例を書いていますけれども、特に真ん中のVIVIWARE株式会社、VIVITA JAPAN株式会社という会社は、従業員29名、それほど大きな会社ではないのですけれども、月額5万円までのシッター・家事代行サービス補助というものを実施しておられるということでございます。
 次のページをお願いします。ここから我々が行ったアンケート調査の結果でございますけれども、足元、家事支援サービスの利用割合は1.8%という状況にとどまっていると。平成29年にも一度同じような調査をしたことがあるのですが、そのときも1.8%でしたので、そういう意味では利用が進んでいる状況にはなっていないということでございます。
 次のページを見ていただきますと、調査の中で、では、なんで家事支援サービスが利用されないのかを調べたものでございますけれども、一番は価格面、価格が高いということで20.01%の回答がございました。それから、その下3つほどの上位の回答部分は、全て心理的抵抗感ということでくくれるかと思っておりますが、他人に家の中に入られたくないということや、他人に家事を任せることに抵抗感がある、あるいはセキュリティー面ですね。何か物を壊されたり、プライバシー情報が漏れたりということに対しての抵抗感、これらを合わせると40%弱という状況でございました。
 次のページを見ていただきますと、他方で、一度でも使ってみれば、そういった心理的抵抗感が薄れるということであろうかと思うのですけれども、一度利用された方がまた「利用したい」あるいは「まあ利用したいと思う」というものを合わせると、9割以上が継続利用を希望している状況でございます。
 次のページを見ていただきますと、家事負担を非常に負担に感じていると答えた方のうち86.3%、あるいは育児負担を非常に負担だと考えている方の80.6%が、家事支援サービスによって負担軽減を図りたいということをおっしゃっていますので、ニーズ自体は高いものと考えられます。
 次のページを見ていただきますと、これはやや直接的に聞いているのですけれども、既婚者の方に対して家事支援サービスの利用によって追加的な出産意欲の変化を調べたところ、子供がある方、ない方にかかわらず4割の方が出産意欲が「増加する」とお答えになっていて、そのうち1割は「大いに増加する」と回答されているということでございます。
 次のページを見ていただきますと、他方で、先ほど申し上げた認証制度の認知について確認をしたところ、70.9%がそのような認証があることを「全く知らない」と回答されているということでございます。
 次のページで、その認証制度について、こういったものが整備されれば利用につながるかということをお伺いしたところ、14.6%が「非常に繋がる」あるいは43.9%が「やや繋がる」という回答をされているので、そういったところで安全が担保されれば使ってみたいという方は結構いらっしゃるという結果になっております。同様に、企業の福利厚生サービス経由でそういうサービスが提供されていればどうかということでお伺いしたところ、「非常に繋がる」が16.5%、「やや繋がる」が39.9%ですので、企業がしっかりとそこに関与しているということであれば、使ってみたいという方も結構いらっしゃる状況が明らかになってございます。
 13ページですけれども、こういった状況を踏まえまして、この有識者検討会で提言された施策の方向性ということで、3つほど提言されております。1つ目は、先ほど申しましたように1回でも使ってみれば安心だ、いいサービスだと実感していただけますので、心理的ハードルを下げるといった観点から、例えば初回の利用体験を後押しするような仕組みはどうかということが提言されております。2つ目ですけれども、家事支援サービスの信頼性向上に向けて、既に民間の認証サービスはございますけれども、認知度が低いあるいは民間同士での認証制度なので信頼性がどうかというところはあるかと思いますので、少し公的な色合いを強めたような認証制度、例えばベースとなるガイドラインを官民で一緒になって策定するとか、こういった形で役所が関与することで認証制度の信頼性を高めていくということはあるのかと。それから、消費者に対する効果的な周知もしっかりやっていくことが提言されてございます。最後に企業の福利厚生サービスとして、例えば福利厚生サービスを経由したサービス提供をさらに促進するような方策が可能かどうかを検討できないかということが提言されてございます。こうした有識者会議での提言を受けまして、これから具体化に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 サービス政策課からは以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、最後になりましたけれども、厚生労働省の浅沼大臣官房危機管理・医務技術総括審議官から、資料5に基づいてよろしくお願いします。

○浅沼危機管理・医務技術総括審議官 それでは、「女性の健康」に関するナショナルセンター機能につきまして、厚生労働省の医務技術総括審議官の浅沼から御説明をさせていただきます。よろしくお願いします。
 続きまして、次のページをお願いします。皆様御承知のとおりでございまして、本年の3月31日にこども政策担当大臣取りまとめによります「こども・子育て政策の強化について(試案)」が公表されております。この試案の中におきましては、資料のとおりでございまして、国立成育医療研究センターに「女性の健康」に関するナショナルセンター機能を持たせ、女性の健康や疾患に特化した研究を進めるとする方針が明記されたところでございます。
 次のページをお願いします。国立研究開発法人国立成育医療研究センター、長いので、通称成育医療研究センターや成育センターと言っていますので、以降それで御説明しますが、この成育センターは6つの国立高度専門医療研究センター、ナショナルセンター、例えばがんセンターなどがあるのですけれども、そういったものの一つでございます。特徴とすると、小児や周産期医療を担う我が国最大の医療研究センターとしておりまして、病院と研究所が一体であるという強みを生かして、成育医療に関する研究や医療の提供を行っているところでございます。
 次のページをお願いします。この成育センターが現在有しています女性の健康に関連する組織を示しております。この成育センターの周産期・母性診療センター、これはもちろんなのですけれども、次のポツ、妊娠と薬情報センター、ここでは妊産婦等の医薬品の使用に関する相談を受けているほかに、薬剤が妊娠や胎児に与える影響の調査研究も行っているところでございます。また、次のポツ、プレコンセプションセンター、これは将来の妊娠を考える女性やカップルの皆さんが、自分たちの生活や健康に向き合うため、その相談に対応したり、正しい知識の情報発信を行っているところでございまして、個別の課題に取り組んでまいったところでございます。今回の方針を受けまして、厚生労働省では、これらの機能の再編・拡充によりまして、女性の健康に関する司令塔として必要な体制をこの成育センターに構築すべく、関係機関とよく協議をし、検討を進めていきたいと考えているところでございます。
 次のページをご覧ください。これは参考となるのですけれども、先月更新、閣議決定されました成育医療等基本方針、正式名称は長いのですけれども、成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針というものでございますが、こちらにも関連する記載がなされておりますので、お示しをさせていただきました。この4ページは、先ほど御紹介したような妊産婦の皆さんへの医薬品の適正使用に関するものが書かれております。
 次のページをお願いします。こちらのページには養育者の方の視点に立った成育医療の提供に関するシンクタンク機能の充実が求められているところでございます。また、成育医療等の提供に関する推進体制等も記載されています。
 次のページをお願いします。6ページになりますが、こちらは男女問わず性や妊娠に関する正しい知識の普及や健康管理を促すプレコンセプションケアの推進を進めていくこととされているものでございます。これらによりまして、こども家庭庁さんを中心に都道府県単位での相談支援体制整備などが進められる一方で、自治体等を支える中核機能といたしまして、今回のナショナルセンター機能が重要になっていくものと考えているところです。女性が生涯にわたり健康で活躍する社会を目指し、具体的な検討を進めていきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 これから御説明いただいたことについて委員の皆さんから御意見なり御質問をいただいて、今日報告された方にはメモを取っていただいて、後でまとめて委員の皆さんの質問等にお答えできる範囲内でお答えいただくというように進めたいと思いますが、治部委員は55分までということだったのだけれども、今、いらっしゃいますか。いないかな。

○治部委員 ありがとうございます。

○佐藤会長 質問ができるような状況にいるならばということで、無理には。

○治部委員 大丈夫です。

○佐藤会長 では、治部委員、時間が限られるようですので、今までのところでもし何かあればお願いします。

○治部委員 家事サービスの件につきまして、私自身も非常によく利用しましたので、納得のいくデータをお示しいただいたかと思います。1点気になりますのが、価格という観点でいうと、日本の平均的な女性労働者の賃金が結構低いので、家事サービスを利用するとほとんど差引きとんとんというかマイナスみたいになる人もいるのではないかと思うので、その辺りの価格設定みたいなところ、どういう人が使うことを想定するかによって政策や補助金を出すといったことも変わってくるかと思うので、その辺りのことを伺えればと思いました。
 以上です。ありがとうございます。

○佐藤会長 今、ここでお答えいただくほうがいい。どうかな。治部委員、後で議事録で見てもらうでいい。

○治部委員 後で大丈夫です。

○佐藤会長 すみません。その点、御了解いただければと思います。
 大臣がいらっしゃるけれども、オンラインの方が多いので、いつものように5分休憩です。だから、お茶でも飲んでいただいて、オンラインは疲れるので立ち上がったりしていただいて、今から57分ぐらいに再開で、5分休憩します。よろしくお願いします。

(休憩)

○佐藤会長 いつものやり方で、質問、御意見のある方はボタンを押していただいて、役所の方はメモをしておいていただいて、関係する質問もあると思いますので、一巡過ぎたところで可能な範囲でまとめてレスポンスいただければと思います。
 それでは、どなたからでも。
 では、山田委員、お願いいたします。

○山田委員 山田でございます。
 詳細な御報告をありがとうございました。ベビーシッターの数、事業所で443、個人で6,244、家事サービスについても、言わば育児をサポートする、家事をサポートする、これはトータルとしてサポート部隊と考えていいと思うのですが、私はこの問題に限らず最近どこに行っても人手不足ということを非常にいろいろな経営者の方あるいは現場の方から聞いて、ここを厚くするためには人の手を増やしていかなければいけない。そう考えたときに、一つポイントになるのは、外国人の労働者あるいは高齢者がサポートするといったことがすごく重要になってくるかと思っているのですが、特に家事サービスの関係などで、これから高齢化社会が物すごく進んでいったときに、家事・育児だけではなくて介護のサポートもすごく出てくると思います。この辺のマンパワーについてどのように支えていくとか、そういったことについてのビジョンあるいは分析といったものがあるのか。全体像についての質問になって申し訳ないのですが、そこを非常に感じていたものですから、もしお分かりになったら教えていただければありがたいと思います。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 僕も家事については特区で外国籍の外国人の方を入れていて、今もあるのかどうか分かりません。もし分かれば経産省に。

○山田委員 そうですね。

○佐藤会長 徳倉さん、続いてお願いします。

○徳倉委員 徳倉です。よろしくお願いいたします。
 2点あります。各省庁の皆様、御報告ありがとうございました。具体的なものになりますけれども、こども家庭庁さんの資料の12ページと13ページのところなのですが、私は子ども・子育て会議にも出席しているので、そちらで聞いてもよかったのですが、抜けていたのでここでというところなのですが、12ページの法改正の後に集団指導ということで、年に1回集団指導していただいて、これは実施が始まっていると思います。東京都などのホームページでどういうことをされているのかということで拝見はしておるのですけれども、実際にいわゆる効果効能といいますか、今、コロナ禍がありましたので、事前に動画等で配信して資料を見るという形で、改正前と改正後で何かしら省庁として手応えのようなものを感じているのかどうなのかというところを具体的に知りたいということ。
 続いて、13ページのベビーシッターの質の向上というところで、今年度から新規で予算をつけて民間事業者に対する補助というところで、実は研修を実際にやっていただきたい、質を高めるのであれば研修は必要だということで、これはずっと声高に申し上げておりまして、ここに予算がつくことは非常にうれしいのですが、平日の夜や土日の実施に引っかかるところがあります。働き方改革を進めながらというところで、人員の部分の大変なところはあるのですけれども、一般的ないわゆる就業時間の中でどうにか工夫をして実施ができる方策みたいなものを、予算措置を含めて何かしら工夫することができないのかというところが質問になります。
 もう一点、経産省さんの資料3で、これは言葉の使い方というかワーディングで気になったところがあります。経産省の龍崎さんに御説明いただいた2ページですね。ちょうど赤で囲っていただいている「女性の意識の向上」というワードが私は実はとても気になっていまして、女性の管理職に向けていきたいとか、健康の意識というところなのだとは思うのですけれども、ここだけ見ていくと、どうしても女性全般が全て意識が低いように捉えられてしまいがちではないかと思うので、言葉の使い方といいますか、変えるべきは経営者の意識であったりだとか、社会の風土をどのように変えていくのかというところだと思いますので、ここの言葉の使い方にもし何かしら意図があるようでしたら教えていただければと思います。
 以上になります。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 続きまして、井上委員、お願いいたします。

○井上委員 ありがとうございます。
 それぞれ資料も含めてありがとうございました。質問2点、意見1点です。まず質問2点のほうですが、資料4の家事支援サービスのほうのアンケート調査なのですが、2,000名以上の方のアンケートを取っているのですが、これは男女別の調査や回答者が正社員で働いている、非正規で働いているなどの違いが分かる結果の記載がなかったのですが、これらの状況別に調べているのかどうかを教えていただきたいのがまず一つです。それによって回答も違ってくるのではないかと思いました。
 2点目は、資料5「女性の健康」に関するナショナルセンターなのですが、こういうものができるのはとてもいいことだと思うのですが、周産期に限らずその前の段階でも、例えば、若い世代でも子宮がんや子宮体がん、子宮頸がん、それから、働く女性は子宮筋腫を患っていたり、女性にはいろいろな健康課題があります。そういうものに関してここでちゃんとサポートできるのか。それから、ナショナルセンターがあるのはいいと思いますが、地方との関係はどうなっているのか。地方では病院に行くのに1時間もかけて行くような地域もあったりしますから、そういう意味で中央と地方との連携がどうなっているのかを教えていただければと思います。
 3点目は意見です。内閣府からの女性の家事・育児負担の軽減のところなのですが、治部委員と同様の意見なのですけれども、資料1の2ページには、ベビーシッター、家事支援に関しては、利用をためらう心理的ハードルもあるがとあるのですが、まさに外部サービスを利用したくても経済的な理由で利用が難しい人もいるのではないかと思いますので、そういう意味では何らかの制度的支援は必要だと思っています。例えば介護に関しては、介護保険制度が社会化されて充実してきているので、介護サービスを利用しながら仕事などと両立を図ることの理解が進んでいますが、一方で、家事や育児に関しては、まだまだ固定的性別役割分担意識から外部化することへの批判もあると思いますし、外部化してもそこで働く人たちの賃金が安いという課題もあるのではないかと思います。単にサービスを充実させるだけではなくて、本当に必要としている人が使えるような制度的支援の検討や、あるいは固定的性別役割分担の払拭についても併せて取り組んでいく必要があると思っております。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、大崎委員、お願いします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 非常に詳細な様々な施策の御説明をありがとうございました。冒頭で小倉大臣からケアエコノミー市場の拡充をしていくということをおっしゃっていただきました。私もケアエコノミー市場の拡充はすごく重要だと思っております。井上委員のおっしゃったことと関連しているのですけれども、本日はこの家事・育児サービスについて、利用者側に立った政策、施策についての御説明をたくさんいただいたと思います。それと同時に私たちが見ていかなければならないのは、ケアエコノミーにおける労働者、そして、従事者、ここは女性が物すごく集中しておりますので、そこを見ていかなくてはいけないのではないかということです。雇用政策とも関連してくるかと思うのですけれども、ベビーシッターさんや家政婦さんや家事使用人の人たちの報酬や待遇、特にこの家事使用人に関しては過労死した家政婦さんに労働基準法が適用されないということもありました。ケア労働者の雇用、それから、報酬、この辺りが非常に重要になってきます。もしこれをやらないで利用者側のニーズ、そちらだけに配慮した形で施策が進んでいくと、女性の貧困がさらに大きくなることにつながっていきますので、サプライサイドの政策をどのように考えていらっしゃるかをぜひお伺いしたい。
 あとは、健康に関して、ナショナルセンターということで非常にいいと思います。今、企業では、女性の健康、リプロダクティブヘルスに関して、ウエルビーイングという観点も含めて、様々な情報やリプロダクティブヘルスに関するサービスへのアクセスを後押しするですとか、様々施策が取られているという話を最近大企業の方から聞きます。そこで懸念されるのは、そういうサービスを提供するほどの体力のない中小企業に勤めている女性、それから、先ほど御指摘もありましたけれども、都市部と地方の格差が拡大していくことです。若年期のリプロダクティブヘルスの問題もあるのですが、更年期がすごく大きいと思うのです。この問題はあまり日本でも議論されてきていないというか、みんな我慢しているところがありますね。特に女性ホルモンの補充療法は、例えばオーストラリアなどだと50%の女性が活用しているのに対して日本は1.7%みたいな、そういう統計もあると聞いております。でも、最近、都市部の大企業に勤める女性たちの間ではヘルスリテラシーも上がっていて、アクセスもできるのだと思うのですが、もし地方と都市部、それから、大企業と中小企業の間でギャップが埋まっていかないとなると問題です。健康を理由に非正規労働で働く方もいらっしゃいますし、短時間勤務しかできない、管理職、幹部職の責任を全うするのが難しいという障壁にもなっていますので、ユニバーサルなアクセスにするためにはどうすればいいのか、方針、お考えがあれば聞かせていただきたいです。お願いします。

○佐藤会長 続きまして、内藤委員、お願いします。

○内藤委員 資料の御説明をありがとうございました。
 私からは1点意見なのですけれども、先ほどのフェムテックの御説明の中でもありましたが、福利厚生で導入するとなると何で女性だけという話が出てくるというお話もあったかと思います。徳島市でも実際にフェムテックの事業、女性のデジタル人材の教育、女性のリスキリング、ダイバーシティー経営の支援等、すごくいろいろな支援をやっていく中で、実際になぜ女性だけ、なぜ女子だけという声が本当にたくさん上がってきています。先ほど東京と地方との格差というお話もありましたけれども、地方だと女性支援や女性のためにということをやろうとすると、ダイバーシティーなのだったらみんな支援しようよという声が実際に本当に多く上がってくることも事実ですので、でも、この流れを絶対に私は加速させなければいけないと思っていますし、地方でも様々な自治体でどんどんこういった施策をやりながら啓蒙もしていくということを全体としてやっていかなければいけないと思っていますし、加速させなければいけないと思っていますので、ぜひほかの自治体、いろいろな地方にもどんどんこういった施策が広がるようなことを一緒にやっていければと思います。
 以上です。

○佐藤会長 それでは、佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員 画面を共有させていただきます。
 今回私の事例も入れながらいろいろ意見をさせていただければと思います。自分は、夫がワンオペで育児できる状態をつくることを目指していろいろ名古屋大学の中でやってきました。ですから、男性がワンオペでも育児ができるというのを頭にイメージしながら方針をつくっていくといいと思うのですけれども、まず、大学の中に保育園と学童を設置しましたが、保育園と学童は同じ場所にしないと、保育園と小学校の子供がいる場合、お迎えに時間を取ってしまうので、これはまず厚生労働省が2つとも担当なので、同じ場所にできるのではないかと思います。また、病児・病後児保育も保育園の中に作り、移動をいかに少なくするかが非常に重要です。
 また、仕事場に子供を連れていきながら仕事ができるように大学内にキッズルームをつくったのですけれども、このときに、ベビーシッター割引券は、自宅でしか使えないという縛りがあって、出張やこういう仕事場でベビーシッターを使えるような制度に変わっていくといいなと思いました。
 さらに、近くに住むということが非常に重要です。これは本当に都市計画のところから考えなくてはいけないですし、仲間と一緒に近くに住んで助け合うような、そういうシステムもつくっていく。子育て単身赴任ネットワークというのはそういうものです。
 加えて、家事についてなのですけれども、シルバー人材派遣というものを国がやっていると思うのですけれども、そこで家事手伝いもしていただけます。シルバーの方々の派遣手配などをするのを国が支援しているために非常に安くて、週に2~3回で月2万から4万程度でできると思います。これは割と周りの人たちは使っていました。でも、使うことに対するハードルがすごく高い。夫が嫌がるとか、自分が家に入れたくないというのがあります。
 ここでいろいろ建築学科の先生と話していたのは、家の間取り自体を変えたほうがいいのではないかということです。他人が入ってきてもいいスペースとプライベートのスペースを分ける。入ってきていいスペースを玄関近くに置いて、ここで生活して、そういう支援の方なども入ってこられる、そういう間取りを変えていく。例えばルンバに合わせて家具の高さを変えてきたりとか、どんどん変わってくるので、そういう形で家事手伝いの方を使うような家の間取りも発達してくるといいのではないかと思っています。
 また、家事労働に対するテクノロジーの導入が非常に遅いというのが問題です。これは日英比較プロジェクトで最近論文発表されたのですけれども、今まで有償の労働のお仕事がどれだけAIに代わるかというのはずっと前から研究されていたのですが、家事などの無償労働に対する研究は実はなかったのです。そこをお茶大のこの間来られた永瀬先生たちのチームが研究されたのですが、家事は10年後に44%の自動化が進むと予測された一方で、ケア労働のほうが難しいとなっています。また、面白いデータとして、イギリスの専門家のほうが日本人の専門家より楽観的という結果がありました。これは永瀬先生が、日本では家庭内労働の負担が極端に女性に偏っていて、軽減への関心が男性が低いのかもしれないということを言われています。開発者のところに女性を増やすのも非常に重要だと思います。
 最後に、ナショナルセンターのことなのですけれども、今、お話を聞いているのは全部産婦人科などのビキニ医療と言われているもので、ビキニ医療というのは、ビキニの水着で隠れる部分のみを女性と考えたような医療なのですけれども、そうではなく、性差医学・医療では、本当に同じ病気でも様々な性差があります。実際にアメリカのNIHでは1990年ですか、女性健康研究局というものができ、ここでそのような性差医学が発展しました。例えば、女性が鬱病と診断されるのは男性の2倍とか、心臓発作を起こすけれども結果として死亡する可能性は女性が高いとか。こういう性差医学的なものをナショナルセンターで行っていただけるのかをお聞きしたいと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 最後になってしまいましたが、石黒委員、よろしくお願いします。

○石黒委員 よろしくお願いいたします。
 先般と同じような意見になるのですが、全般的な意見と個別に2つぐらい意見を申し上げたいと思います。家事や育児の支援サービスですね。安全性などの諸問題はあるにしても、結局私は価格面が非常にハードルが高いのではないかと考えます。私自身は育児や家事が中心の年齢の特、決して自分の年収は低いほうではなかったと思うのですけれども、それでも、これらのサービスを受けることに関しては、価格面のハードルが自分でも高かったことを考えると、現在の日本の経済が低迷する中で、アンケートに答えられた方々の心情が、このようなサービスにお金を払うのはあり得ないという声が本当に聞こえてくるのではないかと思いました。
 一方で、こういうサービスを企業の福利厚生面で企業にお願いする方法はあるとは思うのですけれども、これも無理があると思っていて、企業間の格差は広がると思いますし、先般の会議で申し上げたように、それぞれの会議ではなかなか発展的な意見や施策が出されて、それぞれが評価できるのですけれども、木を見て森を見ずというか、個別の対策だけでは日本経済が低迷する中で本当に無理があると思っていて、日本全体が非常にミゼラブルな状態になって、全員が貧しくなって、こういうサービスも結局使われないという状況になっては元も子もないので、包括的、さらに統合的な経済成長戦略とともに予算配分を考えて、それぞれの施策の点と点が結ばれて線や面になってくる省庁間をまたいだリーダーシップ、仕組みづくりを私は望んでいます。
 あとは個別意見なのですけれども、まずベビーシッターのほうです。私はベビーシッターの需要があるアメリカに長く住んでいたのでかなり経験がある方だと思います。今の施策を見ていると、確かに安全面を考えると、例えば登録制はありだとは思うのですが、果たして規制を強化するのが正しいのかとか、山田委員がおっしゃったように今は人材不足の問題があって、登録制で人材を確保していくということが現実的かというかと、なかなかこれも難しいと思います。御存じのようにアメリカでは子供が中学に入るまでは親の監督義務というものがあって、日本みたいに子供だけで地下鉄に乗っているとか、ああいうものは全く許されないのです。スーパーに買物に行っても、ちょっと子供を置いておいただけで人だかりがして、何たることだみたいな、今、警察を呼ぼうと思っていたという感じの国なので、親か親が監督権を委任した人、ベビーシッターもこれに含まれるのですけれども、ですから、保育というよりも単なる監督ですね、子供を見ている、完璧に見ることがベビーシッターを通じて行われているのがアメリカの現状です。日本でもベビーシッターはそういう需要があるとすると、反対にアメリカでは中学校になったらベビーシッターの必要がない、イコール中学生がベビーシッターをアルバイトですることもできるのです。これは中学校か高校か忘れてしまいましたけれども、要するに、専門家でなくても委託ができるということです。こういう場合、登録制は本当に不可能で、安全性を確保するためには、例えばUberやAirbnbなどで採用されている利用者の評価を入れて安全性を担保するという柔軟な対応もあるのではないか、それが現実的なのではないかと。そのほうがリアルタイムで評価が得られる。何か問題を起こして登録してそれを抹消するという時間的に非常に時間がかかったり現実的な対応でないものよりも、そういう考えもあるという意見を言わせていただきたくて、結局現実的に何かを実施しようとすると本当にできるのかできないのかという問題が起こってくると思いますので、なるべく施策の幅を広げて柔軟に考えるというのが私の意見です。
 あと一つ、フェムテックのところで卵子の凍結の問題はあると思うのですけれども、これは私たちの頃よりも今のほうが少しはよくなったかとは思うのですが、認知が少ないということがあると思います。私はかつていわゆる人口減少と経済問題に最初に対応した内閣府の委員会で「選択する未来」の委員だったのですけれども、そのときに初めて知った事実が物すごくたくさんありました。40歳を過ぎるとほぼ自然妊娠をする確率がゼロになる、この言い方がどうか、当時の話ですから、医学も発達したので自然妊娠以外でも妊娠はすると思いますが、自然妊娠の確率が極端に低くなること。また、そのときに聞いた言葉ですからこれも確認が必要ですが、50歳で出産すると2名に1名死亡するということでした。このような事実は私も全く知らなかったし、そのために、私はキャリアを目指している女性たちに出会うたびに、卵子を凍結しておいたほうがいいよというアドバイスをずっとしているのです。このときに分かったことは、このアドバイスを受けた人たちのほとんど全員がそれを知らなかったということ。それを実施した女性は実際に卵子凍結で出産して、後で連絡をいただいて、本当に感謝している、あのアドバイスに感謝しているということも言われています。つまり、これだけ認知がまだまだ少ないということなので、これを周知させることは必要だと思います。周知をした上でどのような対策が取られるのかを全員で考えていくことが必要だと思います。
 以上が私の今の意見です。ありがとうございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、たくさん出たので可能な範囲ということですけれども、私の感想だけ、女性の家事・育児負担を軽減するために外部サービスの利用ということなのですけれども、気をつけなければいけないのは、女性が一人で外部サービスを利用することによって、仕事と家事・子育てが両立できるというようにいくと困るのね。これは結構リスクがあるので、今、短時間勤務を比較的長く使っている女性のパートナーの労働時間を見ると、長いのです。つまり、パートナーが長時間労働できてしまう。逆に言うと、長時間労働だから短時間勤務を長く使わなければいけないみたいなことが起きているので、育児・家事サービスもそうならないように、非常に僕は大事だと思うのですけれども、男性の家事・育児参加と併せて進めていくようにしていただくといいなということです。
 これは経産省なので、民間のビジネスとしての家事・育児サービスですけれども、佐々木委員が言われたようにシルバー人材センターやファミサポがあるので、そういうことを併せたときに民間とセットで利用を少し考えてもらうようにすることをやっていただくといいなと思います。
 もう一つ、価格のことについていうと、確かに短期的には高いかもしれないのですけれども、長期の視点で見るのも他方で大事かと。キャリアを中断してしまうよりも、一時期正直稼いだ賃金全部、もちろん夫婦でということですよ。女性だけではまずい。夫婦で収入のかなりの部分を家事・育児の外部サービスを使うにしても、キャリアを続けられるということのプラスとどう考えるかという視点もぜひ一緒に情報提供していただければと思います。
 あとは福利厚生ね。フェムテック、大企業になるかも分かりませんけれども、福利厚生に入れるときに男性から批判があるというお話があったのですけれども、一つのアイデアは、カフェテリアプランの中に組み込む。これは男性・女性関係ないですね。何を選べるかなので、女性はフェムテック関係を選ぶというだけの話なので、一つはカフェテリアプランの中に組み込んでもらって、かつ1回目、2回目の利用をすごく安くする。企業からすれば、そういうものを使って女性が仕事と子育てを両立しやすくなるのでプラスですので、カフェテリアプランの中に組み込んで、2回目ぐらいまではすごくポイントを使わなくても使える。そういう意味では使ってみようと社員に思ってもらうということをやってもらうと企業にもプラスですので、そのようなことを考えてもらってもいいかと思いました。感想です。
 それでは、今までの委員の皆さんからの御意見、御質問について、可能な範囲で、今日御説明いただいた順でということで、岡田局長からお願いします。

○岡田男女共同参画局長 岡田でございます。
 今日は様々な御意見を頂戴いたしました。私のところは細かいデータということは特になかったかとは思いますけれども、本日、経産省さん、またはこども家庭庁さん、厚労省さんからいろいろお話をいただきました。ここだけの視点ということではなくて、専門調査会では、今回の専門調査会の議論も含めて今年の女性版骨太にどのようなことを入れていくかということも今後御議論いただくことになると思います。今日いただきました御指摘を踏まえながら、それに向けて案を作成していきたいと考えております。
 以上です。

○佐藤会長 龍崎審議官、可能な範囲でよろしくお願いします。

○龍崎審議官 いろいろ御指摘いただきまして、参考にこれからやっていきたいと思います。まず、徳倉さんですね。資料3の女性の意識の表現です。御懸念のような女性全体の意識が低いとか、そういう他意は全くございません。ただ、御指摘のようにそのように取られかねないというのはよく分かりましたので、今後誤解を受けないように担当とも相談をしつつしっかりやっていきたいと思います。全く思いは同じでございますので、御理解はいただきたいと思います。
 それから、内藤委員からいただいた、ほかの自治体にもというお話でございましたけれども、私どもも御説明したようにフェムテックなどで自治体さんと一緒にやってございます。今日説明は省略しましたけれども、実際に令和3年度に参加をした広島県の三原市は、実証が終わった後に実際にスタートアップと契約をいたしまして、今、無料で女性市民に対して何度でもオンライン相談できるようなサービスを提供してございます。今年度もまた事業をやっていきますので、可能な限り多くの自治体を巻き込んで使っていただいて、広がるように努力をしていきたいと思ってございます。
 それから、石黒委員ですね。経済成長戦略を頑張れということで、頑張りたいと存じます。特に投資や賃上げですね。今、我々は力点を置いてございまして、それで持続的に経済が上がる、それが将来の雇用や所得につながるように頑張ってやってまいりたいと思います。
 それから、フェムテック系で卵子の凍結のお話がございました。厚労省さんなどとも御相談をしながら、どうやって周知を図っていくのかを考えていきたいと存じます。
 以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 それでは、岡田課長からお願いいたします。

○岡田サービス政策課長 様々な御指摘をありがとうございます。
 冒頭、治部委員からどういう方が家事支援サービスを利用するということで想定しているかという御質問がございました。価格が高いのでなかなか女性は難しいというお話がございましたけれども、基本的には我々が調べたところだと、平均的には1時間3,000円とか、2時間だと5,000円とか、こういう単価と承知しておりますけれども、育児と違って週に1日あるいは2日ぐらいの利用が一般的かと思ってはおります。これを高いと捉えるかというところではございますけれども、自分でやれば無料なのにそもそもこういうところにお願いするのかという心理的抵抗感も込みで高いと御回答されている方も多いのかと思いますけれども、これでも高いというお声があるのは承知をしております。まずは出せる人から利用してもらって利用者の裾野がどんどん広がっていけばいいと思っておりますけれども、先ほど企業の福利厚生というお話を申し上げましたけれども、そういったところで企業が支援していただけるというインセンティブの設計をどのようにやっていくかは考えていきたいとは思いますが、石黒先生もおっしゃったように、それでは格差が広がるということは確かにあろうかと思いますので、どういった支援策が可能かというところは、なかなか家事支援単独では難しいかもしれませんが、少子化文脈なども踏まえてどういうことが可能かは引き続き考えてまいりたいと思っております。
 特区の話がございましたけれども、家事支援サービスについては平成29年の3月から外国人材を一部エリアで受入れを開始してございまして、足元では1,200人が受け入れられている状況にございます。
 井上委員から御指摘がありました男女正社員・非正規の区別をされているかというお話でございました。残念ながらアンケート調査で正規か非正規かを聞いておりませんので、その観点からの分析は難しいのですけれども、男女はもちろん聞いておりますので、今すぐということではないのですけれども、こちらで改めて分析をしてみまして、重要な御示唆をいただいたと思っておりますので、男女別で傾向が見られるかを分析してまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

○佐藤会長 それでは、厚生労働省の浅沼審議官からお願いいたします。

○浅沼危機管理・医務技術総括審議官 浅沼でございます。
 御質問、誠にありがとうございました。まず、井上委員からの御質問でございまして、妊娠・出産前からきちんとこのセンターでやるべきではないかということでございまして、3ページの資料に書いてございましたプレコンセプションセンター、まさにプレコンセプションケアこそが御指摘の点なのかと思っております。将来の妊娠を考えながら、若いうちから女性あるいはカップル、皆さんが生活、健康に向き合うことを進めていくことが大事ということ。
 もう一点、御質問のあった地方に中央からしっかり連携を果たすべきではないかという御指摘だったと思いますが、その次のポツに書いてある妊娠と薬情報センターというものがあるのですけれども、これは全国の拠点病院ネットワークを張っておりまして、地方ではその拠点病院にアクセスしてもらえれば相談や情報を手に入れたり、相談者の利便性がそこに行くことで向上、一々東京まで来なくてもいいということをやっておりますので、このプレコンのほうも同じようなことを考えていければいいのかと思っています。具体的には、自治体も含めて女性応援施策のところ、あるいは保健所や保健センターみたいなところも関係できるのではないかと考えておりますので、しっかりと取り組んでいけたらと思っております。
 佐々木委員からの御質問がございました。これは要は産科ばかりではないのか、性差医療はNIHが示しているよりもっと大きいのではないかという御指摘でございました。そのとおりでございます。我々も同じことを今、考えておりまして、特に今まではどうしても母と子の病院のようなイメージが強かった成育医療センターに、この提言を踏まえて女性健康センターをつくることによって、幼少期から更年期まで対応できるようなことを進めていきたいと考えておるところでございます。まさにそういうことがやりたいという意味では、佐々木委員の御指摘のとおりでございます。人口の半分以上は女性ですから、今まで子供などだけに集中していたところがあるのですけれども、もっと視野を広げてしっかりやっていけるようにしたいと考えておりますので、御指導をよろしくお願いいたします。
 厚労省から佐々木課長も手を挙げているので、佐々木課長からも何か一言あればよろしくお願いいたします。

○佐藤会長 どうぞよろしくお願いします。

○佐々木健康課長 続けまして、厚生労働省健康課長の佐々木でございます。
 本課は関係省庁、関係機関と連携しながら健康課題に様々に取り組んでおります。浅沼審議官の回答の補足でございますけれども、大崎委員から御指摘のございました更年期のところについても実は取り組んでおります。昨年度より更年期をお持ちの状況について、その実態把握のための調査研究事業を進めております。こうしたものを情報発信していくというように考えてはいるのですけれども、御指摘いただいているこのたびの「女性の健康」に関するナショナルセンター機能の強化の中でも、例えば新しいセンターで研究を深掘りしていただくもしくは連携して情報発信していく、そういったことも考えられると思いますので、引き続きこの点については検討してまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

○佐藤会長 ほか、各省庁の方、いいですか。

○伊藤認可外保育施設担当室長 こども家庭庁でございます。
 ベビーシッターにつきまして、様々な御意見をありがとうございます。まず、徳倉委員から御指摘のありましたベビーシッターの集団指導でございますが、令和2年の4月1日より年に1回行うことということで盛り込まれておりますが、大都市ということで、東京などはコロナで集団指導といいましても動画を見てくださいというようなやり方に最近とどまっていたこともあり、令和2年度の実績だとまだ12%程度しか集団指導ができていないということで、効能効果につきましては、今後対面も含めた集団指導が開始されていきますので、その中で検討していきたいと考えております。
 また、民間事業者による研修機会の確保でございますが、こちらは都道府県でもともとやっていたところ、なかなか平日の夜や週末は都道府県での実施がないので、より多くの方に研修を受けていただく機会を提供しようということで、令和5年度から行うものです。ですから、事業者のほうで働き方改革で就業時間内に受けていただくことももちろんあるのですけれども、より多くの方に機会を提供ということで始めたものということで御理解いただければと思います。
 また、石黒委員からいただいたアメリカの状況なのですけれども、日本でもマッチングサイトでのベビーシッターを利用するというやり方はかなり普及しているところでして、この場合はマッチングサイトがプラットフォームになっておりまして、そこに登録している個人のベビーシッターと利用者が直接契約を結ぶ形になります。ただ、この場合ですと本当に様々なバリエーションがあるのかと思いますが、こども家庭庁としましては、これは厚生労働省時代からなのですが、ベビーシッターを利用するときの留意点、例えば事前に面接はしましょうですとか、資格や研修受講の状況は確認していきましょうという留意点をお示しして、安全に使っていただくようにということで、保護者の方に注意喚起をしている状況です。
 以上、よろしくお願いいたします。

○佐藤会長 僕のミスで飛ばしてしまってすみませんでした。どうもありがとうございました。

○山本母子保健課長 こども家庭庁の母子保健課長の山本でございます。
 審議官からも御説明いただいたところでございますが、もともと厚生労働省、現在はこども家庭庁になりましたが、厚生労働省、こども家庭庁でも各自治体に性や健康に関する相談を行っていただくような事業を行っていただいていました。具体的には、不妊や妊娠・出産、そして、女性の健康について医学的・科学的知見を普及啓発していただいたり、相談に対応していただくような事業になっておりまして、先ほどの妊娠と薬の相談の外来の整備も全都道府県でされていますが、こちらの事業についても全都道府県で実施いただいているところでございます。これらが今回の「女性の健康」に関するナショナルセンター機能が充実しましたら、そちらとうまく連携しながら、より自治体での事業がしやすくなるところを期待しているところでございます。
 卵子の老化、また、不妊などについては、これまでも教科書に妊娠のしやすさは特に女性の年齢と関連していることであるとか、40歳になると治療を行っても妊娠・出産は難しくなることについて、教科書に記載されていると承知しているところでございますし、これまで当課で実施しておりました不妊症の助成金事業であるとか、また、保険適用に際しても年齢制限などを行う根拠となっているところでございます。引き続き文科省や厚労省とも連携しながら、正しい情報の発信に努めてまいりたいと思っております。ありがとうございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 先ほどの井上委員の質問に関係するのですけれども、経産省の家事支援サービス利用意向の調査と内閣府の家事の外部サービスの利用経験なり意向の調査がありますね。これは先ほど回答者が正規なのか非正規なのかとあったのですけれども、カップルでフルで働いているとか、子供がいるとか、そういう家族類型の集計はやっていないわけね。男性・女性などになってしまっていて。

○岡田男女共同参画局長 内閣府がやりました委託調査は、夫婦ではなくてそれぞれ女性、また、男性ですので、これは。

○佐藤会長 分からないわけね。

○岡田男女共同参画局長 別の御家庭で。

○佐藤会長 そうなのですけれども、ですから、結婚しているカップルとか、夫、パートナーも働いているというような、そういうものがつくれる変数ではないわけね。女性に聞いてでもいいのだよ。例えば結婚していてパートナーが働いていると分かればいいだけね。自分も働いているとか。そういうものはやっていないのかな。

○岡田男女共同参画局長 ほかに何を聞いてというのが、手元にすぐお答えできるものはございません。

○佐藤会長 経産省もそうかな。基本は例えば夫婦で働いていて子供がいる人、片方が専業主婦だとそれほど利用ニーズがないとか、子供がいる人の家族類型ごとのニーズみたいなものも結構大事かと思うのですけれども、それは特にやっていないのかな。

○岡田サービス政策課長 経産省です。
 共働きかあるいは働いているか、子供が何人いるかというようなことは質問項目では聞いておりますので、クロス分析は進めたいと思っております。まだそこまで緊密な分析ができていないのですが、進めていきたいと思っています。

○佐藤会長 分かりました。
 石黒委員、手を挙げられているので、もし何かあれば。

○石黒委員 ありがとうございます。
 各省庁さんからいろいろと伝え方に関して何々省が伝えるというような御意見をいただいたのですけれども、私はこういう委員会に出ていていつも申し上げているのですけれども、例えばこの委員会の議事録をPDFで各省庁のホームページに載せました、イコール伝えるというようなことがずっと、それは誰も見ないのですね。ですから、メディアの使い方や、もちろんメディアが入られることもあるのですけれども、積極的にもう少しメディアの種類を増やして、本当にターゲットの人にその事実が伝わるというようなことを考えていただきたいとずっと思っているのです。そういうことを再三申し上げているのですが、伝え方に関して省庁さんで本当に20年、30年前からあまり変わっていない気がして、ぜひそこのところを御検討いただきたいと思います。

○佐藤会長 これは外部に公開されていて、マスコミの方は今も何人か、これは外部の人が60人ぐらい聞いていますので。

○石黒委員 なるほど。でも、60人ですね。日本の人口は。

○佐藤会長 もちろんそうです。今日は基本的にはマスコミの方も聞いていらっしゃる。意外に皆さんは自分たちしか映っていないので聞いている人がいないと誤解しがちなのですけれども、聞かれている。

○石黒委員 そうですね。改善はされていると思うのですが、もっと根本的にこちらからの発信ということで、例えばアメリカみたいにSNSを自ら開局するとか、いろいろ炎上のリスクもあるのですけれども、もっといろいろな方法をして伝えることは、特にこの女性問題ではすごく大切だと思うので、いろいろ考えていらっしゃることは分かりますけれども、ぜひ今後もさらに考えていただきたいというのが私の意見です。

○佐藤会長 分かりました。これはいろいろな役所の広報、マーケティングの課題だと言われていることでもありますけれども、どうもありがとうございました。  それでは、議題1についてはここまでにさせていただきます。
 こども家庭庁、経産省、厚生労働省の皆様、本当に今日はありがとうございました。
 次に、議題2としまして、独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)及び男女共同参画センターの機能強化に関するワーキング・グループの報告書がまとまりました。これについて御説明いただければと思います。冒頭、小倉大臣からも御説明がありましたが、昨年末より本調査会の下に設置されましたワーキング・グループにおいて、今日御出席いただいていますが、鈴木準ワーキング・グループ座長の下で検討してまいりましたので、その内容についてこれから御説明いただければと思います。
 それでは、鈴木座長から、資料6、資料7について御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○鈴木座長 御紹介を賜りました鈴木でございます。
 今、お話がございましたけれども、本専門調査会の下に設置をされましたワーキング・グループから御報告させていただきます。具体的には先週11日に取りまとめました「独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)及び男女共同参画センターの機能強化に関するワーキング・グループ報告書」につきまして、資料6が報告書の本文ですけれども、資料7の概要を用いまして御説明をいたします。
 まず、左上の「はじめに」をご覧いただきたいと思いますが、本ワーキング・グループは、女性の経済的自立を始め、全国津々浦々で男女共同参画社会の形成を促進するため、NWECについて、その主管を内閣府に移管し、センターをバックアップする機関として人材育成機能や拠点機能等の強化を図る、また、センターについて、専門人材の育成・確保、関係機関・団体との連携等の機能強化を図るとの方針の下、それぞれの機能強化の在り方について検討するため、昨年12月から議論を進めてきたところでございます。その際、現下の女性活躍・男女共同参画をめぐる状況や課題を念頭に置きつつ、NWECやセンターにおける現状の課題を整理した上で、我が国における男女共同参画社会の形成を促進するために、NWECやセンターがどのような機能・役割を果たしていくべきかといった観点から議論を進めてまいりました。
 まず、左側のグリーンの帯のところでございます。第1の「女性活躍・男女共同参画における現状と課題」については、3つのパートで整理しています。1.の「あらゆる分野における女性の参画」では、我が国のジェンダー・ギャップ指数を押し下げる大きな要因となっている政治分野・経済分野を始め、各分野の状況について記載をしています。2.の「女性の経済的自立」では、結婚・離婚の状況を始めとする家族の形の変化や男女間の賃金格差、M字カーブ、L字カーブといった女性の就業をめぐる状況、ひとり親世帯の状況、また、女性のデジタル人材に関する状況等について記載をしております。3.の「地域における男女共同参画」では、女性の地域からの転出、その背景ともなっているアンコンシャス・バイアスといった人々の意識の状況、地域による進捗の違い等について記載をしています。
 次に、第2では、センターとNWECの機能強化の検討に当たって、それぞれの現状と課題を整理しています。検討に当たりましては、内閣府において昨年11月から12月にかけまして、センターや地方公共団体を対象に全国13の地域ブロックごとに実施した意見交換や、センターの利用者側のアンケート調査、また、本ワーキング・グループにおいて実施した関係団体のヒアリング等を踏まえて整理をしています。
 まず、1.の「センターの現状と課題」につきましては、大きく6つの課題を挙げています。例えば地域における啓発活動や相談支援、調査研究などの実施に必要な専門性の向上が難しいといった職員の育成・専門性に関する課題、行政の関係部局や企業、学校といった地域の関係機関との連携の不足といった課題、センターの職員体制や待遇における課題など、様々な課題が挙げられております。
 次に、2.の「NWECの現状と課題」について3点挙げています。1点目は「男女共同参画施策の総合的な実施」です。女性の経済的自立、男性の望まない孤独・孤立など、男女共同参画をめぐる課題が非常に幅広く多様化する中で、NWECはこれまでの女性教育の振興に軸足を置いていた事業展開から、男女共同参画全般にわたって総合的に取り組む方向で、事業の対象分野の拡充や人材育成等の対象とする層の拡大を図っていく必要があるということです。2点目は「センターのバックアップの強化」です。職員の専門性向上や関係機関との連携など、様々な課題を抱える各地のセンターにNWECが積極的にアプローチして支援することによりまして、地域によって相当の差があるセンターの取組の底上げを図っていく必要があるということです。3点目は「施策の実施状況等に関する把握・分析・評価・発信」です。各地域で異なる取組の進捗や課題の的確な把握と、施策の効果の適切な評価のための調査研究機能の強化です。それと同時に、調査研究の成果の積極的な発信と国際的な知見の収集・分析・発信にさらに力を入れていく必要があるということです。
 その上で、箱の下に矢印で書いてありますけれども、国の行政の課題についても記載をしています。地域によって異なる課題を前提として、きめ細かな施策展開が求められる中で、国においてもNWECやセンターとの強力なネットワークを形成し、各地域の状況を的確に把握すること、同時に、そのネットワークを効果的に活用し、施策の効果を浸透させる体制の構築が急務である旨を指摘しています。
 次に、第3の「センター及びNWECにおける機能強化」です。まず、1.の「機能強化に当たっての基本方針」では、NWECの機能強化に当たって、大きく2つの方針を掲げています。1点目は(1)として男女共同参画全般にわたって各種事業を展開する「ナショナルセンター」としての機能強化を図ること。2点目である(2)で「センターオブセンターズ」として、全国のセンターとのネットワーク構築、センターを通じた各地域の状況・課題等の把握、それに応じた知見・ノウハウの提供によって、センターをバックアップする組織として機能強化を図るということです。その下で、①センターの人材の育成・専門性向上、②関係機関とのネットワークの構築・強化、③EBPM機能の強化、④国・地方公共団体の施策との連動性確保、推進機能の強化という、4つの基本的方針を掲げております。
 次に、2.の「機能強化に係る施策・取組」では、今、申し上げた1.の方針に沿ってセンターとNWECの具体的な機能強化策について、第2で整理したセンターの各課題に対応する形で記載をしています。
 まず(1)のセンターの職員の育成・専門性向上に関して、NWECの研修につきましては、初任者向けにパッケージ化した研修プログラムの開発、研修を分野別、レベル別に体系化し、その修了段階に応じた認定制度の創設、オンライン研修のオンデマンド化、また、人事交流として、地方公共団体やセンターからNWECに職員を派遣して事業の企画、実施等のノウハウを培うといった取組を盛り込んでいます。また、助言・情報支援として、個別の事業の実施方法等について、都道府県のセンター等からNWECに相談し、アドバイスを受けられる仕組みの構築や、研修や講座のための講師情報バンクの創設等も盛り込んでいます。
 次に、(2)の「関係機関との連携強化とネットワーク構築」について、地域ブロックごとにセンターを対象とした意見交換会の定期的な開催、また、NWECや各センターとの間で常に情報交換等を行えるポータルサイトの創設などの取組を入れております。また、企業との連携を強化する取組として、NWECにおける新たに企業や経済団体向けの研修メニューの開発や各センターが地域の企業や経済団体にアプローチする際に活用できる教材の作成、また、それを効果的に活用するためのセンター職員向けの研修の充実等を書き込んでおります。教育機関等との連携では、国において、センターと教育委員会、地域の大学等との連携の好事例の収集・普及と併せ、NWECにおいて各センターが学校の児童生徒向けに行う講座や教職員向けの研修を行う際に活用する教材の作成、また、初等中等教育の教職員向けの研修の強化等を盛り込んでおります。
 次に、(3)の地域・社会のニーズの把握につきましては、各センターが把握する地域の課題等の情報をNWECが集めて分析し、その結果をセンター等へ共有する体制の構築を掲げております。併せて、女性デジタル人材の育成について、デジタル人材を目指す方向けにNWECが企業等と連携して基礎的な研修プログラムを開発し、各センターが地域において積極的に活用すること等を書き込んでおります。
 (4)の「利用者層の拡大」については、若年層や男性の関心が高いテーマについての教材の開発、また、センター職員向けの広報のノウハウに関する研修の実施等を掲げております。
 (5)調査研究等については、NWECのEBPM機能の強化、センター等で活用できるデータベースの構築、また、各地域のセンターを通じた取組状況等に関するデータ等の定期的な収集・分析とその成果に係る国際的な発信の強化、さらに、国際動向や海外の先進事例などの収集とセンターへの情報提供等の強化を入れております。
 (6)センターの体制等につきましては、国においてセンターの職員の体制、待遇、運営状況等について、さらに詳細な実態調査を行った上で、センターの活動内容に応じた人員体制や待遇等の在り方に関するガイドラインを検討すること、また、センターの法的な位置づけについても検討するといったことを今回記載しております。
 その上で、3.の「機能強化に係る施策・取組の実施に当たって」におきまして、各施策や取組を実施する上での留意すべき事項等を記載しております。1点目として、今回の機能強化に見合ったNWECの必要な人員体制・予算を確保すること、2点目として、今回非常に多岐にわたる多くの機能強化策を盛り込んでいますが、各施策・取組については、優先順位をつけながら計画的に実施していくこと、3点目として、機能強化の取組の中には、NWECが今後新しく取り組むものも多く含まれていますけれども、民間団体等と連携し、その知見・ノウハウを十分に活用して効果的に取り組むこと、が必要である旨を指摘しております。
 一方で、今回の機能強化によりまして、NWECは、例えば企業や全国津々浦々のセンター関係者など、今後、啓発や研修の対象とする層の拡充を図る方向で、現在の施設の在り方につきましても、これはオンライン研修などの増加が見込まれる中でございますので、今回の機能強化の実施と併せて今後検討が必要である旨を指摘しております。また、センターの機能強化を図っていく上では、当該センターを設置している地方公共団体の役割も極めて重要です。今回の機能強化の趣旨に沿って、また、それぞれの地域のニーズも踏まえつつ、必要な対応を期待する旨を記載しております。その上で、最後に、センターとNWECの機能強化により、全国津々浦々で、国、NWEC、地方公共団体及びセンターが男女共同参画社会の形成を加速させていくよう取り組んでいくべきとしております。
 私からの説明は以上ですが、本日の本調査会での御議論や今後の政府における御検討を経まして、機能強化が着実かつ一定のスピード感を持って進められることを強く期待しております。ありがとうございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 ただいまのワーキング・グループの報告書の概要について、御意見なり御質問があればどなたからでもよろしくお願いします。
 徳倉委員、お願いします。

○徳倉委員 ありがとうございます。
 鈴木座長、ありがとうございました。このワーキング・グループ、私は本調査会からということで出させていただきました。本当に12月からこの4月まで、特に須藤調整官をはじめ職員の方々は非常に多忙な中で取りまとめていただき、また、鈴木座長に最終の取りまとめをしていただき、御報告もありがとうございました。
 私からは大きく2点です。最後、鈴木座長からありましたけれども、人材確保、予算というところです。実は皆さん御存じのとおり、各センター、専門職であり、かなり高度な知識を要するにもかかわらず、全国各センター、NWECに限らず非常に低賃金でかつ期間が決まっている働き方になっていて、そこに知見が集約すべきものが流出してしまう、使い切れていない実態がございます。そこの部分を予算措置も含めてしっかり確保していきながら、日本の中のジェンダーを変えていきつつ、全てのものを変えていく大きな起爆剤になり得るセン ターとしてのNWECの立ち位置があると思いますので、ぜひここを重点的にお願いしていただきたいと思います。
 もう一点、私は香川県、地方に住んでおりまして、再三再四、このワーキング・グループでも申し上げておりましたが、今回NWECが心臓部だとすると、各都道府県、市町村がつながっていくと。しかし、そこの受皿になる、これは非常にハードルが高い部分になりますが、ワーキング・グループでも出た中に、この男女センターの法的な位置づけが実はないのです。ですから、実は各47都道府県レベルで見てもしっかりとしたセンターがない都道府県があります。そういうところも含めて、法的な部分での設置が難しいかもしれませんけれども、今回の機能強化を踏まえて各地方の中でそれの受皿になるようなきちんとした組織をつくっていくような働きかけ、組織がなければ、それをどのようにして担ってもらうのかという事例を併せて進めていくところにセンターが機能強化されていき、質がよいものが地方に流れていく仕組みを同時に提案、提言できるような流れをぜひお願いしたいと思っております。
 以上になります。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 井上委員、お願いします。

○井上委員 ありがとうございます。
 徳倉委員とほぼ同じ意見であります。もともとNWECは独立行政法人改革のときに存続も危ぶまれていた組織だったのが、やっとこうやって認められましたが、もっと早く本来であれば認められるべきであったと思っております。その意味でも、そこで働く人たち、そして、専門職を担う方たちの人材育成、予算確保に向けては、ぜひ頑張っていただきたいと思いますし、センターの位置づけ自体は、これから国会等で法改正が行われて機能強化というところで議論がされると思いますけれども、そこでしっかりと位置づけていただきまして、地域における男女共同参画推進の中核的機関であることをしっかりと認識できるような組織になっていっていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

○佐藤会長 続きまして、大崎委員、お願いします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 短期間で本当にこのような施策を取りまとめて報告もしてくださいまして、ありがとうございました。私もジェンダー平等推進に関して、世界各国の取組をずっと見てまいりましたけれども、日本の優位性といたしましては、全国の自治体にこのようなセンターがある、物理的なスペースがあるというのは非常に特異というか、ほかの国はないと思うのです。ですから、このセンターの機能をしっかりと拡充していけば、これは世界に発信できるグッドプラクティスといいますか、非常に重要な事例になりますので、これからしっかりとリソースを投入してやっていっていただければいいと思います。先ほど出たような女性の健康に関する教育、周知であったり、ケアワークに関することであったり、様々プラットフォームとして活用できると思いますので、大いに期待しております。ですから、進めるに当たっては官民、市民社会、市民社会にはアカデミア、NPOも含まれてきますけれども、そのネットワークをフルに生かして、地域の女性政治リーダーの育成も含めてぜひやっていっていただきたいと思います。ありがとうございます。

○佐藤会長 時間が過ぎていますけれども、皆さん御意見があれば伺いますが、もし予定がある方は抜けていただくということで構いません。
 では、佐々木委員、お願いいたします。

○佐々木委員 ありがとうございます。
 機能強化、とてもいいと思うのですけれども、強化したことでどういう効果があったかというか、何らかの企業などだと何%にしましょうとか数値目標みたいなものがあって、そこに向かっているかどうかが分かるのですけれども、NWECの場合、どういう効果測定を検討していて、かつ外部からの審査というのですか、ナショナルセンターになるとしたら、それはしっかり機能しているのかという評価のシステムなどがどうなっているのかを教えていただければと思います。

○佐藤会長 では、山田委員、お願いします。

○山田委員 鈴木座長、ありがとうございました。大変短期間の中でこのような御報告、非常に中身も濃いので期待しております。
 佐々木委員が言ったこととかぶるのですけれども、ベンチマークといいますか、時間と目標とを検証していくことがすごく重要で、座長が最後におっしゃったスピード感を持って対応していただきたいというのは全ての問題について言えることなのですが、スピード感をどのように検証していくかについて、ぜひこれはすばらしい内容ですので、これの検証を行っていただければと思っています。
 以上です。

○佐藤会長 そうしたら、可能な範囲で。

○鈴木座長 少しだけコメントさせていただきます。徳倉先生、井上先生からあったヒト、モノ、カネが絶対的に貧弱だという問題は、ワーキング・グループの構成員共通の認識でありまして、そこは改善していかなければいけない。そのためにも、法律上の根拠を検討していただきたいということや、あるいはEBPMをきちんとやって、何が成果として得られるのでこういうことが必要だと言っていくか、そこが重要だということだと思います。
 それから、大崎先生からの連携ネットワークの重要性のご指摘は、そのとおりでございまして、この分野にも、よい資源やよいモデル、よいナレッジはたくさんありますけれども、いま一つそれが結びついていない、あるいは存在に気づいていないということがありますので、そこをぜひつなげていきたいということであります。
 最後に、佐々木先生、山田先生からございました政策の戦略性というのでしょうか、最終的な政策目標はジェンダー主流化ということだと思いますけれども、そこに向けてそれぞれの取組にどう優先順位をつけ、どう戦略性を持って施策を体系化していくか、また、どういうKPIやKGIを置いていくのかということについては、今回できるだけ漏れがないように課題と必要な強化策を提言に入れさせていただいておりますので、それを受け、今後政府の中でまさに優先順位をつけていっていただく、そういうことになろうかと思います。
 以上でございます。

○佐藤会長 岡田局長、何かありますか。

○岡田男女共同参画局長 今回ワーキング・グループということで、先生方に今後こういうことをしていくべきという御提言をいただきました。これを踏まえて、政府として文科省さんとも調整していく必要がありますし、NWECの方々とも相談していく必要があると思いますけれども、機能強化について、何を優先的にやっていくのかということも考えてまいりたいと思います。
 今後、女性版骨太について議論していくわけでございますけれども、その中でこの御提言につきまして、どのようなことをやっていくのかを早速考えていきたいと思っております。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 法律的な根拠をどうするかということであって、センターがない自治体もあるということですが、あるところでもこれは予算は自治体からなのですね。ですから、その辺、自治体の担当者がセンターの役割を理解し、予算をつけてもらわないことには運営できないので、その辺が今度はきちんとやれるようになっていけばいいかと思います。
 鈴木座長におかれましては、取りまとめ、本当に御苦労さまでした。
 この報告書を踏まえて、関係府省、関係機関におかれましては、さらに検討、取組を進めていただければと思います。
 それでは、時間が延びましたが、最後に内閣府の岡田男女共同参画局長から一言いただけるということですので、よろしくお願いします。

○岡田男女共同参画局長 専門調査会の先生方の皆様には、2年間の任期でお務めいただいてきましたけれども、今期におきましては、本日が最後の専門調査会でございます。毎回熱心に御議論いただきましたこと、厚く御礼申し上げます。どうも本当にありがとうございました。
 以上でございます。

○佐藤会長 それでは、少し時間を過ぎましたけれども、本日の会議はここまでとさせていただきたいと思います。本当にどうもありがとうございました。