計画実行・監視専門調査会(第23回)議事録

  • 日時:令和5年4月10日(月) 15:30~17:30
  • 場所:オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
  1. 開会
  2. 議題
    (1)L字カーブの解消に向けて1
    (2)「男女共同参画社会に関する世論調査」の結果について
  3. 閉会

【配布資料】

資料1
こども・子育て政策の強化について(試案)~次元の異なる少子化対策の実現に向けて~(概要)(こども家庭庁説明資料)[PDF形式:436KB]別ウインドウで開きます
資料2
こども・子育て政策の強化について(試案)~次元の異なる少子化対策の実現に向けて~(こども家庭庁説明資料) [PDF形式:289KB]別ウインドウで開きます
資料3
L字カーブの解消に向けて1(内閣府男女共同参画局説明資料) [PDF形式:1,146KB]別ウインドウで開きます
資料4
「男女共同参画社会に関する世論調査」の結果について(内閣府男女共同参画局説明資料) [PDF形式:436KB]別ウインドウで開きます
参考資料1
計画実行・監視専門調査会委員名簿 [PDF形式:112KB]別ウインドウで開きます
参考資料2
女性活躍・男女共同参画の重点方針2022(女性版骨太の方針2022)(令和4年6月3日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定) [PDF形式:1,756KB]別ウインドウで開きます
参考資料3
こども・子育て政策の強化について(試案)~次元の異なる少子化対策の実現に向けて~(参考資料集) [PDF形式:2,482KB]別ウインドウで開きます

【出席者】

会長   
佐藤 博樹  
東京大学名誉教授
委員   
石黒 不二代 
ネットイヤーグループ株式会社代表取締役チーフエヴァンジェリスト
同    
井上 久美枝 
日本労働組合総連合会総合政策推進局長
同    
大崎 麻子  
(特活)Gender Action Platform理事、関西学院大学客員教授
同    
佐々木 成江 
お茶の水女子大学ジェンダード・イノベーション研究所特任教授
同    
治部 れんげ 
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授
同    
徳倉 康之  
NPO 法人ファザーリング・ジャパン理事、株式会社ファミーリエ代表取締役社長
同    
内藤 佐和子 
徳島市長
同    
山口 慎太郎 
東京大学大学院経済学研究科教授
同    
山田 秀雄  
山田・尾﨑法律事務所代表弁護士
内閣府  
小倉 將信  
特命担当大臣(男女共同参画)
同    
岡田 恵子  
男女共同参画局長
同    
畠山 貴晃  
大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
同    
杉田 和暁  
男女共同参画局総務課長
同    
池上 紗矢香 
男女共同参画局調査室長
こども家庭庁
中原 茂仁  
長官官房少子化対策室長
厚生労働省
尾田 進   
職業安定局雇用保険課長
同    
若林 健吾  
年金局年金課長
同    
飯田 明子  
雇用環境・均等局総務課企画官

議事録

○佐藤座長 定刻となりましたので、ただ今から、第23回計画実行・監視専門調査会を始めさせていただきます。
 本日は窪田委員、白波瀬委員が御欠席ということで、山口委員は16時半頃までと伺っております。
 まず、本日も小倉將信女性活躍・男女共同参画担当大臣に御出席いただいておりますので、最初に御挨拶をいただきたいと思います。
 それでは、小倉大臣、よろしくお願いいたします。

○小倉女性活躍・男女共同参画担当大臣 皆様、こんにちは。小倉でございます。
 隣に座っていらっしゃる佐藤座長をはじめ、有識者委員の皆様におかれましては、今回も御多用の中、本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 この調査会では、前回までに引き続き、今年の女性版骨太の方針2023やG7男女共同参画女性活躍担当大臣会合を見据え、女性の経済的自立に向けた取組をさらに強化するための検討を深めていただきたいと思っております。
 今日もいわゆるL字カーブを議題としていただく予定であります。この関連で、先月末、「こども・子育て政策の強化について」の試案を取りまとめさせていただきました。その基本理念の一つとして、今回も事務方から御説明があると思いますが、「共働き・共育ての推進」を掲げ、「男性育休は当たり前」になる社会の実現や、育児期の男女がともに希望に応じてキャリア形成との両立を可能とする仕組みの構築などを盛り込んだところであります。
 こうした取組は、少子化対策のためだけに行うものでは当然ございません。全ての女性がライフステージの様々な場面で自らの個性と能力を最大限に発揮し、その可能性を実現することが可能となり、ひいては社会全体が一層発展をしていくために必要不可欠なものである、こういった観点もしっかり大切にしながらこれから議論を進めてまいりたいと、女性活躍・男女共同参画担当大臣としては思うわけであります。
 限られた時間になりますが、本日の議論を通じて、男女ともに自らの希望に応じて様々なライフイベントとキャリア形成を両立できる社会の実現に向けた力強い後押しをいただきますことを、心より期待をいたしております。
 今日も私はこの挨拶の後、また決算委員会に呼ばれておりまして、退席をせねばなりません。毎回議事録は拝読をさせていただきながら勉強し、これからの骨太の方針やG7会合に私なりに役立たせていただきたいと思っておりますので、皆様方の闊達な議論、今日も大変楽しみにいたしております。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 小倉大臣は、今、御説明がありましたように、公務のためにここで退室されます。ありがとうございました。

(小倉大臣退室)

○佐藤会長 それでは、議事に入りたいと思います。  まず、議題1は「L字カーブの解消に向けて」で、これは先回に続いて2回目の議論になります。
 まず、こども家庭庁長官官房の中原少子化対策室長から、資料1及び資料2に基づいて御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

○中原少子化対策室長 よろしくお願いいたします。こども家庭庁少子化対策室の中原でございます。
 資料に基づきまして、御説明させていただきたいと思います。
 こちら、資料1でございます。「こども・子育て政策の強化について」ということで、先月3月31日付で小倉大臣から公表したものでございます。
 次のページをお願いいたします。「2030年は少子化対策の分水嶺」ということで、こちらの左のほうにグラフがございますけれども、1990年頃からの出生数の推移でございますが、1990年頃から2000年頃までは、実は毎年生まれる子供たちの数は120万人ぐらいで大体維持されていたわけですけれども、30年後は当然それぞれの年に生まれた子供たちはそれぞれ30歳になっていくわけでございまして、2020年から2030年までの間、30歳になる人たちは、年120万人ぐらいいると。言わば、親になる年代はこの頃まではまだ年120万人ぐらいでぎりぎり来ていることがこのグラフで分かるのですけれども、2000年以降、子供たちの数がぐっと下がっていきますので、ある意味、2030年から先はこの親御さんたちの数が下がっていくことが決まっているということでございます。そういったことも踏まえまして、2030年代に入るまでの残り6~7年で少子化傾向を何とか反転していきたい、このタイミングでラストチャンスなのだという思いで今回取りまとめをさせていただいたところでございます。
 次のページをお願いいたします。「少子化対策の基本スタンス」としましては、当然でございますけれども、1番としては、多様な価値観や考え方がありますと。誰もが結婚してください、子供を産み、育ててくださいというのではなくて、結婚したいと思っている方、子供を産みたい、育てたいと思っている方が、結婚できて子供を産み、育てることができるようにすると。それぞれの希望をかなえることで、結果として少子化のトレンドを反転させていくというのが基本姿勢でございます。2番は、トレンドを反転させることで、社会全体にも寄与するので、「未来への投資」としてしっかりこども・子育て政策を強化していこうということでございます。
 次のページをお願いいたします。今回の試案におきましては、3本の基本理念を示しております。1本目が、若い世代の所得をきちんと増やしていくのだということ。2本目が、社会全体の構造や意識を変えていくのだということ。特に今日の議題にも関係しますけれども、「共働き・共育ての推進」を掲げております。これまで共働きという言葉は一般に大分根づいていますけれども、共育て、男性も女性も一緒に育てるのだという意識がまだまだ足りなかったのではないかということで、こういったところの意識をきちんとこの機会に変えていきたいということでございます。3本目が「全ての子育て世帯を切れ目なく支援する」ということで、「ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化」やこども・子育て世帯を対象とするサービスをきちんと向上させていくといったことを示しております。幼稚園、赤ちゃんのお子さんを持つような親御さんもそうですし、小学生を持つ親御さんもそうですし、中高生を持つ親御さんもそうですし、きちんと切れ目なく支援していくということでございます。
 次のページをお願いいたします。これを踏まえまして「こども・子育て支援加速化プラン」ということで、今後3年間を集中取組期間として示しているところでございます。異次元の少子化対策ということでずっと言われてきておりましたけれども、今回何が従来とは次元が異なってくるのかというところは、この5つのポイントを掲げさせていただいておりまして、1点目は、各制度についてかつてないほどの大幅な拡充をしていくというものでございます。児童手当につきましては所得制限の撤廃等をしていきますし、男女で育休取得をした場合には一定期間の育休給付の手取り100%などを実現していきたいということになっております。2点目は、長年の課題を解決していくといったことで、なかなか手をつけることができなかった75年ぶりの保育士の配置基準の改善ですとか、各地方公共団体からも言われておりましたこども医療費助成についての減額調整を廃止するといったことなどを挙げております。3点目のポイントとしては、時代に合わせて発想を転換していくのだと。共働き・共育てということをきちんと入れていき、固定的な性別役割分担意識から脱却していこうということを示しております。4点目として、新しい取組にもいろいろと着手していくことにしております。5点目としまして、子育て世帯、子育て家庭がしっかり頑張るというだけではなくて、社会全体、地域全体で「こどもまんなか」を実現していくのだといったところもPRして発信していくことにしておりまして、こういったところが今までと次元が異なっていると我々としては考えているところでございます。
 次のページをお願いいたします。この「こども・子育て支援加速化プラン」、3年間の加速化プランでございますけれども、大きく4本の柱に分けておりまして、1本目は経済的支援の強化ということで、児童手当の拡充として所得制限は撤廃いたしますと。また、対象については高校生まで支給を拡大しますと。また、多子世帯への給付額もこれからアップしていくということで検討していくことにしております。また、2点目として、大学の奨学金の話ですけれども、授業料後払い制度ということで、まずは勉強している、通っている間については授業料は払わないで、後できちんと就職して一定の所得になってから後払いとして授業料を払っていくといった取組を導入することにしております。3点目はこども医療費助成について、各地方自治体でこども医療費は今は大分無料化になったりしておりますけれども、そこにつきまして、国保減額調整が今まで行われておりまして、自治体側の負担がこども医療費助成をすると若干増えるところがあったのですけれども、それをやめていこうということでございます。それから、出産費用をきちんと見える化していく、また、保険適用を含めて検討していくということ。5点目として、住宅支援もしっかりやっていこうというところでございます。
 次のページをお願いいたします。2本目の柱が「全てのこども・子育て世帯を対象とするサービスの拡充」ということでございまして、1点目は幼児教育・保育の質の向上ということで、先ほど申し上げた75年ぶりの保育士の配置基準の改善、それから、さらなる処遇の改善を進めていくとしております。次のこども誰でも通園制度が、就労要件を問わず、要するに、ゼロ歳、1歳児を抱えているような専業主婦の方であっても、これまでは保育所はどうしてもそういう方については利用できないことになっておりましたけれども、そういった方にも御利用いただけるような制度をきちんとつくっていこうということでございます。3点目としまして、幼児教育・保育、学童、ヤングケアラー、その他いろいろな困難を抱える子供たちに対するサービスについても、きちんと支援体制を強化していくということを掲げております。
 次のページをお願いいたします。3本目が「共働き・共育ての推進」ということでございまして、1点目に先ほど大臣からもお話がありましたけれども、「男性育休は当たり前」になる社会に今度こそきちんとしていくのだということで、目標を、現在は2025年までに官民ともに30%としておりましたけれども、これを引き上げまして、公務員は85%、民間は50%とするといった目標を新たに掲げて、ここに向かって進んでいくのだということにしております。また、2点目にございますけれども、男女ともに育休を取得した場合に一定期間育休給付を手取り100%にするといったことなどを入れておりますほか、3点目、どうしても育休を取るときに周囲の方に迷惑がかかることを気にしてなかなか取りづらいといった声もありますことを踏まえまして、周囲の社員に対する応援手当などを行うような中小企業に対して支援を大幅に強化していくといったことを示しております。4点目といたしまして、子供が2歳未満の期間について、完全に休む、育休ではなくて、時短勤務を選んだ場合であっても、一定の給付をするような制度を創設していきたいと考えております。5点目としては、働き方が自営業であったりフリーランスの方であったりといった方に対しても、こちらの育児期間の保険料免除制度をきちんと創設していくということで、少しでも共育てしやすい社会にしていきたいと考えております。
 次のページをお願いいたします。4本目の柱といたしまして、こども・子育てにやさしい社会づくりのために社会全体で意識改革をしていこうということで、こども家庭庁の下での国民運動的なものを夏頃をめどにスタートしていきたいということで考えております。国の施設では、取り急ぎ子連れの方が窓口で並ばずに早めにすっと入っていけるような「こどもファスト・トラック」をやっていこうと考えております。
 次のページをお願いいたします。こういった今後3年間の集中取組期間をきちんと進めていくことによって、こちらに4点挙げておりますような、子供を産み、育てることを経済的理由で諦めない、身近な場所でサポートを受けながら子供を育てることができ、また、どのような状況でも子供が健やかに育つという安心感を持てる、子供を育てながら人生の幅を狭めることなく夢を追いかけられるといった社会になるように、こども家庭庁としてしっかりPDCAを推進いたしながら進めていきたいと考えているところでございます。
 駆け足になりましたけれども、以上でございます。よろしくお願いいたします。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 続いて、内閣府の岡田男女共同参画局長から、資料3について御説明いただきます。

○岡田男女共同参画局長 では、男女局でございます。
 資料3をお開きください。
 前回は「L字カーブの解消に向けて①」ということで、L字カーブの解消に向けた課題として様々な論点を提起していただきました。本日はその提起していただいた論点を整理しております。
 女性の多くの方々は、ライフイベントに当たってキャリア形成との二者択一を迫られておりまして、L字カーブはそうした現状を象徴するものと考えることができます。L字カーブには様々な要因が複合的に寄与しているわけでありますけれども、例えば家事・育児の女性の負担の偏りですとか、長時間労働を中心とした労働慣行、また、それらの根底にある固定的な性別役割分担意識など、この構造的な問題に対してこれまで以上に取り組んでいく必要があると考えております。それを示したものが、このスライドの中央にあります見取り図であります。これは前回もお示しさせていただいたものであります。見取り図の右側では、課題として6点に整理させていただいて、前回はこの上の2点、すなわち「平時からの多様で柔軟な働き方の問題」と「子育て期の休暇取得や柔軟な働き方の問題」、この2点の観点から御議論いただいたわけでございます。
 前回の御議論を踏まえまして、中央に「重点課題」という箱をつくっております。重点課題を設定させていただきました。これは下の「視点(例)」というところにありますように、前回の先生方の御意見を集約して、この9点の重点課題、小項目と申しましょうか、そういったものに整理させていただいたものであります。「平時からの多様で柔軟な働き方の促進」、これは前回の見取り図の一番上に相当するものでありますけれども、そのほか、「長時間労働や転勤を前提とした雇用管理の見直し」、また「子育て期の休暇取得や柔軟な働き方の促進」「育休や時短勤務からの早期復帰支援」「非正規雇用の正規化や待遇改善」「中小企業における女性活躍の促進」「柔軟な働き方の選択がキャリア形成を妨げない」「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」、また「中長期的な労働市場改革の中での女性活躍推進」といった論点を項目として整理させていただいたわけでございます。これからはこれに沿って具体策の検討を進めていく必要があると考えております。
 また「家事・育児負担の問題」「労働者のスキルやキャリア意識の問題」についても検討を進めていく必要があると考えておりまして、この点に関しまして、スライド2で図として整理をさせていただきました。このスライド2といいますのは、冒頭に申し上げました、L字カーブの背景として考えられる複合的な要因を図式化したものであります。一番下、見ていただけますように、固定的な性別役割分担意識を背景に、家事・育児等の無償労働時間に男女間の偏りがあり、これは時間格差とも名づけておりますけれども、注目するべきものではないかと思っております。そのため、長時間労働を前提とする硬直的な正規雇用の働き方と無償労働の両立が困難となります。キャリア形成とライフイベント、二者択一に直面する女性の方々が、正規雇用から退出して柔軟な働き方が可能な非正規雇用に転じる、あるいは非正規雇用で働き続ける傾向があるということであります。その結果として、企業等の組織で将来的に管理職や役員に昇進する女性人材が減少するということなど、指導的地位に就く女性が増えることを妨げまして、ひいては男女間賃金格差の是正も妨げるということになります。L字カーブの解消に向けて取り組むことは、ジェンダー平等の長年の課題を根本的に解決するためにも重要なことではないかと考えております。
 そのL字カーブについての重点課題、先ほどスライド1において整理させていただいたとおりでございますけれども、L字カーブの解消に向けては、例えば女性だけがキャリアかライフイベントかの二者択一を迫られないようにするための意識改革が必要ではないかですとか、また、正規雇用でもキャリアとライフイベントを両立させることができる柔軟な働き方を男女問わず普及させていくべきではないかですとか、柔軟な働き方を選択してもその後のキャリアアップに支障が生じないようにする仕組みが導入されるべきではないかといった観点に立って、政策的に何が可能なのかということについて検討を深めていくことが重要ではないかと考えてございます。
 スライド3でございます。これは改めていわゆるL字カーブと言われるものを図示したものであります。これは年齢階級別の正規雇用比率を示しております。薄い青は女性の就業率であります。緑は男性の正規雇用比率、青は女性の正規雇用比率であります。このいわゆるL字カーブでありますけれども、これは特定の時点、これですと令和4年でありますけれども、この時点での年齢層ごとの正規雇用比率をお示しするものでございます。
 スライド4を見ていただきます。こちらはスライド3の緑色と青に関しまして、配偶者の有無で分解して、かつ時系列で5年前とデータの関係から9年前と比較したものでございます。左が女性、右が男性になっておりますが、正規雇用比率を男女別に見ますと、ほぼ全ての年齢階級で女性の正規雇用比率のほうが低いということであります。有配偶男性を除きまして、有配偶女性、未婚女性、未婚男性の正規雇用比率を見ますと、20代後半をピークとして、その後は低いということになっております。また、男女の正規雇用比率の差を見ていただきますと、50代後半まで拡大あるいは継続しているということであります。各年齢層の雇用形態の状況を見ていただきますと、日本の場合、多くの方が最初の就職活動を行う20代前半の当時の経済社会情勢の影響を受けているなど、それぞれ固有の事情も持っている可能性があることにも留意する必要があるのではないかと考えております。
 以上、論点とデータについて説明させていただきました。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、皆さんから御意見を伺いたいと思いますが、本日は今日の議論に関わるということで、職業安定局の尾田雇用保険課長、年金局の若林年金課長、厚生労働省の雇用環境・均等局の飯田企画官に、共働き・共育ての政策に関する御質問が出ればということで、質疑タイムのために同席していただいていますので、そういうものがあれば出していただければと思います。
 取りあえず、もう一つ議題がありますから、皆さん御質問がある方は手を挙げていただいて出していただいて、今日御報告いただいた中原室長と男女局の方は質問をメモしておいていただいて、まとめて御回答いただくといういつものやり方でいきたいと思います。
 それでは、質問のある方、オンにしていただいても、挙手のマークを押していただいても構いません。いかがでしょうか。
 それでは、治部委員、お願いいたします。

○治部委員 治部です。よろしくお願いします。
 中原室長のお話を聞いていて、この施策がもし10年、15年前に行われていたら、恐らく団塊ジュニアが子供を産み、育てながら仕事ができて、いろいろ状況が違っただろうと思いました。私自身はいろいろ幸運が重なって子育てしながら仕事ができているのですけれども、そうではなかった人たちがとてもたくさんいる中で、ちょっと遅いなとは思いつつも、でも、こういった施策があることはいいことだと思います。
 政策が本当にすばらしくて、かつ先ほど小倉大臣もおっしゃっていたとおり、少子化対策のみならずちゃんと女性の意思決定ができるようにということだったので、すばらしいと思うのですけれども、ここで問題なのは財源のことでして、すばらしいことを言うは易し、お金はどこから来るというところで、常にどうするのだと。増税はなかなか政治的に難しかったり、でも、今、既に現役世代は相当社会保障負担なども重い中でさらに払うのか、そういったときには今度は子供がいない人とのコンフリクトはどうなのだといったいろいろな論点がある中で、現時点で財源についてどのようなことをお考えなのかといったところを、できれば報道には出ていない範囲も含めて伺えたらと思います。
 以上です。

○佐藤会長 分かりました。
 それでは、徳倉委員、お願いします。

○徳倉委員 ありがとうございます。
 かぶらない範囲で御質問ということで、1点、こども・子育てに関わるところでいいますと、施策はたくさん出てきて、言葉として反転させるということは出てきたのですが、現実的に、今、治部さんからお金の話が出てきましたが、少子化のところを反転させて、どの数値まで持っていきたいのかといういわゆる目標設定の数値が、一応あるのでしょうけれども、あまり調べても見えてこないところがあるので、そこの部分とセットでここら辺の数字を頑張ってしっかり目指しているのだと。男性の育休だと2025年に50%にということで出してきているので、そういう辺りとの整合性みたいなところも一緒に出していただきたいと思っております。
 以上です。

○佐藤会長 では、今のに関わって、少子化、人口減少のトレンドを反転させると書かれているので、この反転させるというのはどういうことなのか、普通、人口学的にいえば人口置換水準まで戻すということなのですね。そうすると、出生率2.07かな。約2.1まで回復しないと反転しないのですね。だから、反転というのはそのことを考えているのか。僕は子育て支援は中身は反対というわけではないが、少子化を反転させるというのはどういうことを考えているのか、もし分かれば教えていただきたいということと、その意味では、御存じのように少子化の7割から8割については未婚化と晩婚化ですね。だから、今回の政策をやることによって未婚者が減るのか、結婚する時期が上がるかというのは、どういうロジックで言えるのか。これができないと少子化は反転しないのですね。これは後で伺えればと思います。
 では、山口委員、お願いします。

○山口委員 ありがとうございます。
 まず、資料1について質問したい点としては、いろいろな政策が挙がっていて、すばらしいものも多いなと思うのですけれども、その中で割と中心的に位置づけられているのが児童手当の引上げなのかと思いました。動機としては、諸外国に比べて現金給付の水準が低いということが理由にはなっているのですが、一方で、まさに諸外国において現金給付は出生率の引上げに対してはそれほど大きな影響がなかったことも分かっているわけで、そうしたことを分かっている中で、どうしてあえて現金給付を重視したのか、その背後にあるお考えを教えていただきたいと思いました。
 もう一つ、資料3に関しまして、家事・育児などの無償労働時間の男女の偏りが根本的に問題だと。これは私もそのとおりだと思うのですが、一方で、硬直的な働き方みたいなものを具体的にどうやって解消したらいいのだろうと。これは基本的には民間の企業の中で起こっていることに対して、どのように規制や政策的な働きかけができるのだろうというのは、なかなか私も恥ずかしながらいい知恵を持ち合わせていないので、この辺を具体的な政策としてどのように落とし込むことが可能と見ていらっしゃるのかお聞かせいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

○佐藤会長 メモをしておいていただいて、もちろん可能な範囲でレスポンスをいただくということで。
 石黒委員、お願いいたします。

○石黒委員 ありがとうございます。
 治部委員から財源のお話が出ましたけれども、男女共同参画は非常に大賛成で、この施策は、治部委員がお話しになるように10年前にやっていたらいろいろ景色が変わっただろうとは思うのです。ところが、できなかった理由は、もちろん政府がこれまでイニシアチブを持ってやる気を出していなかったこともありますけれども、これら全ての施策が企業側に非常にコストがかかることだからです。私は先回の議論の中で例えば金銭解雇のお話をしましたけれども、政府が、キャリアというものは、一人一人の人がつくっていくものであり、会社に任せずつくっていくものだという方向性を打ち出している中で、最終的には生産性が上がり、企業側にもメリットがあるのですが、ただ、一つ一つの施策が企業にもコストがかかっているということも事実なのです。
 育休に100%の支払いをするということ、大賛成ですけれども、これを企業としてどうやって払っていく手段があるのだろうということです。また、大企業、中小企業でも事情は違うし、一方で、大企業といえども、国際競争力の中で日本の企業は非常に利益率が低いという事情もあるのです。これらの施策を単独で進めていくと、何かいい手法を用いない限り、企業の利益率は下がります。そうすると、国際競争力がなくなります。国際競争力がなくなって、日本で経済全体が非常にミゼラブルになる中で、日本経済がシュリンクしていく。この一つ一つの手法だけを進めていっても、結局すごく貧しい国ができてということに本当になりかねないと思うのです。ですから、縦割りの各省庁が、いろいろな施策を単独で進めるのではなく、日本の国としてパーパスを持って、どのような国にしたいのかという議論が先にないと、このいろいろな施策を決められない状況ではないかと私は思っています。
 それはここの委員会で話すことではないかもしれません。この上の委員会かもしれません。はたまたこの男女というくくりではなく日本の政策全体でなくてはいけないのです。そこから落とし込んでいかないと実現性のない施策になってしまうのではないかと危惧をしておりまして、その辺りの御意見を伺いたいと思います。
 以上です。

○佐藤会長 では、山田委員、お願いします。

○山田委員 ありがとうございます。
 治部委員と石黒委員から御質問のあったところ、御意見のあったところと、お聞きしていてかなりかぶってしまうのですが、私も現実的なプランとして、これは非常に内容はすばらしいと思うのです。もし実現できたらという条件付なのですが。実際問題としては、国の財源の問題もありますし、これらを民間に波及した場合の民間の今の経済状況を考えると非常に厳しいと思うのですが、国でこの施策をするときの一種のプライオリティー、これが1から5あります、全部すばらしい、同時並行で3年間でやろうと思ったら、現実にはなかなか厳しいし、お金も出ないだろうと。そのときに、おつくりになったときの優先順位みたいなものをもしお考えであるのであれば教えていただきたいということが一つです。
 それと、今の石黒委員の考え方とも通ずるのですが、パーパスといいますか、要するに、どの辺をベンチマークといいますか、日本が今はかなり遅れている状況の中で、例えばフランスをイメージするのか、イタリアをイメージするのかといった、多分おつくりになった段階でかなりその辺はお考えになっていると思うのですが、そういったベンチマークとなっているような国のイメージ、この辺まではやりたいねというものがあるのかないのかといったあたりを教えていただきたいというのがもう一つ。
 細かいことですが、男性育休の問題で、公務員85%、民間50としたこの数字の違いは、どの辺を根拠にして数字をはじいたか教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○佐藤会長 いいですか。たくさん出ているけれども、あと4人で、関係するところは関係しているということで、それでは、ほかにあと4人の方、何か。
 佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員 ありがとうございます。
 私も子供を産めないのではないかと思った一人なのですけれども、お茶大に保育園をつくるためのワーキングの中に児童心理の先生がおられて、社会で育てるというのは子育てが楽になるというだけではなくて、子供の精神の発達に非常に重要なことだという言葉を聞いて、すごく前向きに考えられるようになりました。そういうメッセージをしっかり発信していくことが必要ではないかと思いました。
 もう一つは、自分が子供を産んだとき、20年ぐらい前なのですけれども、そのときに、育休などの休む制度はすごく充実していたのですけれども、研究に戻りたい自分にとっては、早期復帰したい、すごく働きたいという方に対しての支援がすごく乏しいと思いました。今回の中でもそれが見えにくいと思いました。例えば出張などをしたいけれども、出張に子供を連れていくこともあり得る場合が多かったりとか、単身赴任が多かったりとか、子供が病気をしたときにどうやって仕事に対応するかとか、そういう整備されていないところは、男性が子育てに参加した際に、非常に同じような解決策が必要だと思うので、働きたい人が働きながら子育てもできるというものをしっかりと盛り込んでいただければと思っています。
 以上です。

○佐藤会長 ありがとうございます。
 井上委員、お願いします。

○井上委員 ありがとうございます。連合の井上です。
 まず、中原室長に質問なのですけれども、今回の施策自体は確かに治部委員やほかの委員の皆さんもおっしゃるように本当にもっと前からやっていたらとは思うところです。私もこの間、雇用環境・均等分科会で育児・介護休業法などにも携わってきましたので、そのときの少子化対策関連の話もありましたから、ぜひ進めていただきたいと思います。その上で、資料の8ページ、共働き・共育ての箇所で周囲の社員への応援手当のことが書いてありますが、中小企業への支援という点ではとても理解はできるのですが、本当に育休だけがこういう応援手当などの強化策の対象でいいのだろうかと疑問に思っております。例えば仕事と治療の両立という観点で見ると、治療しながら仕事をしている人たちがいて、それを支えている職場の人たちもいるわけです。あるいはメンタルで仕事を休んでいる人がいる職場がとても多くなっていて、その中で仕事をしている人たちもいるというところも考慮すると、果たして育休だけが手厚い手当が出るようになったときに、不公平感というものも出るのではないかと思うので、そういうところとの関係をどうするのかを教えていただきたいと思います。
 L字カーブについては、質問というよりは意見になるのですが、前回私が発言をしたということもあって、男女別の有配偶者、未婚者のL字カーブをそれぞれ出していただいているのですけれども、M字カーブは解消しつつあるとはいっても、M字の谷の部分、浅くなりつつあるものの、主な要因は非正規雇用労働者の増加によるものだと認識しています。その点を踏まえれば、雇用の質が伴っておらず、M字カーブの解消と言えるのかどうか疑問に思っています。
 それから、前回高いスキルを持った労働者が低処遇の非正規雇用で働いているという点が指摘をされていたかと思いますが、それに加えて非正規で働く労働者はキャリアアップにつながるスキル向上の機会が乏しくて、一度非正規雇用となった人たちが再度正社員になれる環境は十分でないところがあると思います。ですから、その意味では今回の論点整理の中にも非正規への対応というものが書いてあるのですが、これもコロナのときから非正規雇用の問題はまさにあぶり出された課題であって、それが改善されていない中で具体的にどのように対応していくのか、それをもし今の段階で何かお答えできることがあるのであればお願いしたいと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 L字カーブについては、先ほど内閣府の局長から、女性有配偶者の時系列の正社員で働いている人の割合を見ていますけれども、これはここ10年間改善してきているからLになったのだね。ですから、現状も問題はあるのです。ただ、いろいろな政策を打ったことによって正社員の方が離職しなかった、あるいは正社員に転換できる人が増えた結果、疑似コーホートでやっていくと正社員比率が高くなっていますので、改善してLになったということもあるので、それは正しく理解する必要があるかと思います。
 それでは、ほかにはいいですか。
 内藤委員、お願いします。

○内藤委員 ありがとうございます。
 先ほど石黒委員からもありましたけれども、負担感という部分で、地方でいうと中小企業がほとんどですので、こういったことをどんどん進めたいと皆さん考えてはいらっしゃるのですけれども、中小企業なのでそこまで負担ができないとか、有給の取得とか、いろいろなことが義務化されていく中で、みんな全部やってあげたいのだけれども、支援がないとどうしても大企業と同じようにはなかなか進められないねという経営者さんの悩みもあるので、そういった部分で中小企業にも配慮するような、地方の中小企業にも配慮ができるような取組にしていただきたいというのが一つ。
 あと、先ほど井上委員からもこれだけ子育ての部分だけでいいのかというお話もありましたけれども、私もいろいろな方と話をしていると、どんどん保育士さんの配置基準や処遇改善のほうに話が注目されているのですけれども、一方で、特に地方は高齢者も増えていく中で、介護士さんがどんどんそれだと集まらなくなってくるというお声もいただいていまして、そういった中で介護士の処遇改善なども併せて考えていかないと、子育てという意味とはまた離れていくとは思うのですけれども、そこの部分も考えていかないとなかなか難しいのかとは首長としては思いました。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、大崎委員、いいですか。

○大崎委員 ありがとうございます。
 既に委員の先生方から様々な質問が出ていて、私も大変関心を持っている論点が提起されているので、お答えをお伺いしてからまた追加的な質問、意見を述べたいと思います。よろしくお願いします。

○佐藤会長 それでは、たくさん出ましたが、関連するものもあります。今、お答えできないこともあるかと思いますので、まずは中原室長から可能な範囲で御回答いただいて、その後、もし厚労省で今日待機している方で、これは私のほうでというものがあれば手を挙げていただく形にしたいと思います。
 まずは中原室長から可能な範囲でお願いします。

○中原少子化対策室長 中原でございます。皆様、ありがとうございました。
 試案ということで、たたき台としてつくったところでありますので、引き続き皆様からの御意見につきまして、また、先ほど大臣も申し上げたとおり、議事録はきちんと大臣室のほうでもしっかりと読んでいるという話でもありますし、それを踏まえまして、またさらに議論を重ねていきたいと考えておりますが、現時点で御説明できる部分で回答させていただきたいと思います。
 1点目が、財源をどうするのかというところでありましたが、こちらにつきましては、まさに先週の金曜日から総理の下でまた新しい会議を、さらに本格的に議論する会議を立ち上げておりまして、そちらで財源についてはきちんと議論していくことになっているところでございまして、現時点ではこういう方向ですとなかなか言える状態ではないのですけれども、そちらで議論を重ねていって、骨太の方針までに財源の大枠を説明していくということになっております。
 それから、少子化対策ということで、取組の目標はどのように設定するのかという御質問があったかと思います。こちらにつきましては、数値で出生率幾つまでとか、婚姻率何%と明確に示してしまうと、若い人たちに結婚や子育てに前向きになってもらいたいという思いはありつつも、逆にそれが報道されて変に政府のプレッシャーみたいに取られてもよくないので、そこはどのようにしていくかは慎重に考えなければいけないかと思っておりまして、今のところでは、特に今回の試案で出生率幾つを目指すという言い方はしていないところであります。ただ、反転ということですので、いつかはちゃんと2.0幾つまで行かないと反転とは言えないのではないかというのはおっしゃるとおりだと思っておりまして、そこにどうやって到達していけばいいのかというのは我々としても当然頭に置いた上で、こういった検討を進めているところでございます。
 それから、未婚化、晩婚化が少子化のかなり大きな要因であるようなところで、今回の試案もどのようにそこに関わっていくかというところでございますけれども、一つは、試案の柱といたしましては、雇用、賃上げ、若い人たちの雇用をしっかりするというところを書いておりまして、こちらについては、2週間ほど先に総理がきちんとやるのだということを掲げられたこともありますので、そこはきちんと若い人たちの給料、雇用がしっかりなっていくようにしていくというのは、政府としての一つの柱であるということであります。
 それから、今回のこども・子育て施策をいろいろ進めていくことによって、若い人たちにとって、今はどうしても結婚や子育てに対するネガティブなイメージになっているものが、今回のこども・子育て施策をしっかり進めて行くことによって、このようになってくるのだったら自分も結婚できる、結婚したいかも、と、気持ちが結婚や子育てに対して前向きに変わっていくことを期待しているところでありまして、結婚して子育てできる、これだったらできそうだ、これだったらやってみたいなと思う人が増えていく、それによって婚姻数の増や、早めに結婚しようかという人が増えていくという効果があるのではないかとは思っているところであります。
 また、今回の試案には書いておりませんけれども、地域で行う出会い支援みたいなところについては、既に大きな予算がついておりまして、それを早めにやっていく、しっかり取り組んで前向きに進めていくことも並行してやっていきたいと思っているところでございます。
 それから、児童手当についてなぜ引き上げるのですかという話があったかと思います。山口先生のおっしゃったとおり、一つは現物給付についてはほかの国と比べても日本はかなりパーセントとしてはそれなりに来ている。一方で、現金給付はそんなにではないというところも踏まえてというところもありますし、また、少子化が進んでいるのは、未婚者やなかなか理想の子供の数にたどり着かないと。実際は3人欲しいけれども、2人で止めています、1人で止めていますという方の理由を聞いてみると、経済的理由でなかなかもう1人、もう2人はいけないのだと答える方が多いところも踏まえますと、基礎的な経済的支援として、子育て世帯については皆さんに一定の額をきちんとお渡しするのだというところは、政府としてそれを示したほうが前向きな流れにつながっていくのではないかということで、今回の所得制限の撤廃と多子世帯、まだこれから検討でありますけれども、金額についてもしっかり検討していきたいということになっております。
 男性育休のところで、民間と公務員でパーセンテージが違うことについては、もし厚労省さんで後で御回答いただけるのであったら、厚労省さんから御回答いただければと思います。
 それから、育休以外でも、出張に子供を連れていったり、育児のために休むだけでなく、子育てしながら早期復帰したいといったニーズにも応えるような取組をしてほしいというご意見もいただきました。こちらについては、今、説明の中で軽くしか申し上げませんでしたけれども、病児保育もしっかりこの中で取組をしていきたいと思っておりますし、保育のサービス向上も引き続きしっかり取り組んでいくというところでございます。本試案における理念としましても、子供を持つことによって夢を諦めたり人生の選択肢が狭まることがない社会をしっかり目指すのだというところでやっておりますので、きちんと働きながら無理なく子育てをしっかり進めていくことが大丈夫なように、いろいろな施策を進めていきたいと考えております。
 取りあえず私から答えられそうなことは以上ですけれども、厚生労働省さんからお答えできる部分をお答えいただいて、それでも足りない部分がありましたら、私のほうからもう一回お答えします。

○佐藤会長 先ほどの男性育休の取得目標で民間50、公務員は85、この辺についてもし何かあれば。
 飯田企画官からお願いします。

○飯田企画官 厚生労働省雇用環境・均等局の飯田です。
 男性の育休の目標値ですが、こちらも今回数値をいただいてということなので、公務員のほうは民間の女性の直近の取得率は85.1%ということで、それに合わせて公務員からということで設定されたものと認識しています。
 それから、井上委員からいただきましたL字カーブの非正規雇用の方への対策ということなのですが、御指摘のようにキャリアアップにつながる機会が乏しいということは課題だと考えていまして、今も企業が行う労働者のスキルアップ支援の取組に対して助成金で支援したり、正社員への転換などを行う事業主へのキャリアアップ助成金などの支援をしております。今回の試案を踏まえて引き続き対策を進めたいと思っています。
 以上です。

○佐藤会長 民間の50%はこれから出てきたので、厚労省としてどうするかと、こういうことね。

○飯田企画官 はい。

○佐藤会長 分かりました。
 厚労省からほかにありますか。もし手を挙げていただければ、私からレスポンスしたほうがいいというものがあれば、担当の方、いいですか。
 そうすると、中原室長から大体お答えできる範囲内はお答えいただいたということでいいですかね。
 そうすると、あまり長くというわけではないけれども、幾つかあれば追加で。
 大崎委員、もしあれば。

○大崎委員 ありがとうございます。
 今日のテーマのL字カーブ等に関しては、解消に取り組んでいくには、男女間賃金格差の解消に真摯に取り組んでいくのがすごく重要なのかと思います。新しい政策も非常に重要なのですが、既に直近で整備した法律や政策の実効性をいかに高めていくかが重要なのではないかと思っています。
 企業や行政機関など一つ一つの組織の中の問題として、正規と非正規の割合であったり、そこに生じてくる様々な格差。垂直分離で何が障壁になっているのか。そこで無償ケア労働の偏りについて出てくるわけですが、そこら辺で打ち出している施策をしっかりやるということですね。もう一つは、社会全体の男女間賃金格差の文脈で言えば、保育士の方々、それから、介護士の方々を含めてケアセクターにおける待遇、職場環境の改善を徹底的にやっていく。数千円プラスなどのレベルではなくて、本当にこここそまさに異次元でやっていくということも重要になってくると思います。
 男女間賃金格差の情報開示は、我々が実態把握をしたり、求職者がどこに就職するかを選ぶ際にも非常に重要な情報ですので、企業や行政機関に対して大きなプレッシャーにもなってくると思います。ペイギャップの要因が何なのかという分析をしっかりとしていただいて、それをちゃんと施策にしていっていただくことをまず徹底するということかと思います。もう一つお聞きしたかったのは、ペイギャップの情報開示の対象企業は常時雇用者301名以上ですが、これは順次拡大できるのか、もっと中小企業にも適用できるのかをお聞きしたいです。
 あとは、男性の育休取得推進に関しても情報開示が義務化されまして、これは1,000人以上のところかと思いますが、それについても対象企業を拡大できるのか、それから、開示内容を育休取得の期間、時短勤務の取得の男女別データというところまで拡大できるのかもお伺いしたいです。
 このように法整備されて、コンプライアンス事項になると、企業の姿勢が物すごく変わると思います。ただ、地方の中小企業にとってはコストだし大変ではないかということが指摘されているのですが、むしろ地方の中小企業は、今、本当に人材を獲得するのも定着させるのも大変で、さらには生産性が向上できていないということで、むしろ、そういう企業が戦略的にジェンダーギャップの解消に取り組んでいるところもあるわけですね。そういうグッドプラクティスが出てきていますが、ただ、個社でやるのは難しい。そこで、行政がプラットフォームをつくって、経営者に対する研修、管理職に対する研修、女性パイプラインの育成やリスキリング、エンゲージメントの強化、男性育休取得の推進の仕方や男性に向けたキャリアパスの構築の仕方のワークショップなど、そういうことをその地域の民間企業に対して市がサービスとして提供しているところも出てきているのですね。実際に行われているグッドプラクティスをちゃんと拾っているのかどうかもお聞きしたいです。
 まず以上です。

○佐藤会長 厚労省、情報開示はいずれも男性の育休取得も賃金格差も始まったばかりなのであれですけれども、議論としてあるかどうかについて、少し飯田企画官からお願いできればと思います。

○飯田企画官 御指摘ありがとうございます。
 まず、男女間賃金格差の情報開示ですけれども、昨年7月から省令改正して始めていまして、今、開示していただける企業がどんどん増えていますので、まずはそこをこちらでもきちんと分析をして、情報開示が難しいということであれば、どういう原因でそういうことになっているのかとか、まずは施行をきちんとした上で考えていきたいと思っています。
 男性育休の情報開示については、この4月からです。ですから、まだこれからですので、そこも情報開示していただくいただき方を見ながらということなのですが、情報開示の部分については、行政側からセミナー等の支援を行っていこうと考えておりますので、そういったものも活用していただきながら情報開示を進めていただきたいと思っています。これ以上進められるかというところにつきましては、今の施行をきちんと進めた上で考えていきたいと思っております。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 男女局から何かありますか。

○岡田男女共同参画局長 先ほど山口先生からお話をいただきまして、硬直的な働き方というのは、取組の方向性はそういうことではないかというお話をいただきました。ただ、民間のやることかもしれないのではないか、どういった施策が考えられるかということでございました。先生がおっしゃるように、民間がやることに対してどのように行政が働きかけることができるかというのは、いろいろなやり方があると思います。時間軸、短中長いろいろありますし、強制的にやるのか、強制ではないけれども既にやっている企業の取組を広げていくようにするのか、いろいろな形がございますけれども、現時点でこれをやりますということはまだ申し上げることはできませんけれども、今日の御議論なども踏まえて、今後私どもは6月の女性版骨太に向けて議論してまいりますので、その中で検討していきたいと思います。先生方からはぜひこういったことを考えられないかという御示唆をいただければ幸いでございます。

○佐藤会長 どうぞ。

○大崎委員 ぜひやっていただきたいと思うのは、男女局が実施している男性リーダーの会がございますね。企業や自治体のトップの男性が入られるあの会合です。そこで、皆さんに男女間賃金格差のデータを持ち寄っていただいて、それをちゃんと議論する、どのように経営者として分析されているのか、どういう行動計画を立てておられるのか、そういったことを共有する、そのような取組をぜひおやりいただきたいと思います。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 もう一つ議題があるので、ここまででもよろしいですか。
 ここでこども家庭庁、厚生労働省の方、特に傍聴もたくさん入っていただいたようですので、ありがとうございました。ここまでとなりますので、どうもありがとうございました。
 委員の皆様はいつものとおり、ここで5分休憩ですので、35分で2点目の議題に移りたいと思いますので、5分間休憩ということになります。
 こども家庭庁の皆さん、厚生労働省の皆さん、どうもありがとうございました。

(休憩)

○佐藤会長 それでは、次に、議題2ということで「男女共同参画社会に関する世論調査」の結果がまとまったということですので、その内容について、内閣府男女共同参画局の池上総務課調査室長から、お手元の資料4で御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○池上調査室長 よろしくお願いいたします。
 それでは、令和4年11月に実施しました「男女共同参画社会に関する世論調査」の結果を御報告いたします。
 まず、1ページをご覧ください。こちらに世論調査の概要をまとめております。今回の調査方法は郵送法でした。前回の調査までは個別面接聴取法で実施しておりましたが、今回調査方法が変更になったため、過去の調査結果との単純比較はできません。過去の結果は参考値としてご覧いただければと思います。調査項目は夫婦の名字・姓に関する意識を含む5項目となります。
 続いて、2ページ、こちらは年齢別の回収結果となります。この分布を踏まえますと、世論調査の結果については、単に総数だけではなく、年齢別、性別などの内訳で見ることが重要だということが言えるかと思います。
 続いて、次のページからは、主な設問について回答結果をまとめました。
 4ページをご覧ください。こちら、名字・姓に関する意識についての回答です。夫婦の名字・姓に関する制度をめぐる議論を、自分または自分の周囲の人にとって身近なこととして「考えたことがない」または「議論があることを知らない」と回答した割合は、男女ともに5割以上となりました。年齢別では、18~29歳は「議論があることを知らない」と回答する割合がほかの年代よりやや高くなりました。議論を「考えたことがある」と回答する割合は30歳代が最も高くなりました。
 5ページでは、先ほどの18~29歳の結果をさらに細かい年齢区分で見ております。
 続きまして、6ページ、こちら、性別と年齢別のクロス集計結果となります。女性では30歳代以下で議論を「考えたことがある」と回答する割合は5割を超えます。男性では議論を「考えたことがある」と回答する割合は、年代別で大きな変化はありませんが、40歳代以下、特に18~29歳で「議論があることを知らない」と回答する割合が高い傾向にありました。
 7ページは、配偶関係別の結果です。女性ではパートナーと暮らしている人及び未婚者で「考えたことがある」と回答する割合が高くなりました。
 続きまして、8ページ、こちらは従業上の地位別で見ております。女性では「考えたことがある」の回答割合は、正規雇用者や自営業・自由業で高い傾向にありました。
 今回の結果を踏まえまして、若い世代を含めてより多くの人たちに、身近なこととして議論に関心を持って理解を深めてもらう必要性を示すものとして受け止めております。
 次は「社会全体における男女の地位の平等感について」です。
 10ページをご覧ください。社会全体で見た男女の地位が「平等」と回答した割合は14.7%でした。
 男女別で見ると、11ページです。「平等」と回答した割合は女性が10.4%、男性が19.6%で、女性のほうが低くなっております。また、男性では7.6%が「女性の方が優遇されている」という回答でした。
 続きまして、12ページ、こちらは年齢別で見ております。「男性の方が優遇されている」と回答する割合は50歳代以上で高く、他方「女性の方が優遇されている」と回答する割合は年代が低くなるほど高くなり、18~29歳では1割を超えるという結果でした。
 14ページは、性別・年齢別で見ております。「平等」と回答した割合は、女性は20歳代以下、男性は40歳代以下で高くなりました。18~29歳の男性では「女性の方が優遇されている」と回答した割合が高くなっています。
 次は「育児等に女性が費やす時間と職業面での女性活躍との関係」、別の設問になります。
 16ページ、「育児などに女性の方がより多くの時間を費やすことが、職業面での女性活躍が進まない要因の一つ」という意見について、「そう思う」と回答した割合は全体で84.0%に上りました。逆に「そう思わない」と回答した割合は、年齢別で見ると40歳代で2割と、ほかの年代より割合が高くなっています。
 17ページは、性別と年齢別のクロス集計となっております。
 続いて、19ページ、次の設問です。「育児等に費やす時間を男女間でバランスのとれたものとし、職業生活における女性活躍を更に推進するために必要な支援」として最も回答割合が高いのは、男女ともに「仕事との両立を支援するための施策の整備」となりました。グラフの緑色のところです。40歳代以下では「育児などに用いることができる時間を増やすための勤務環境の整備」、グラフの青い部分になりますが、こちらの支持が高い傾向です。
 20ページ、グラフの青い部分である「勤務環境の整備」については、女性は30代で高く、男性では年齢が低くなるにつれて「勤務環境の整備」の回答割合が増加しています。ライフステージによってフェーズが違えばニーズも異なることが分かります。
 続いて、22ページをご覧ください。「男性が育児や介護、家事等に積極的に参加するために必要なこと」として、男女ともに最も回答が多かったのは「職場における上司や周囲の理解を進めること」でした。男性の育児などへの参加は、もはや家庭内だけで解決できる問題ではないことがうかがえます。
 最後に「育児等に対する配偶者との役割分担」についてです。
 24ページ、外部サービスについて、グラフのピンク色の部分ですね。育児では7割以上、介護では9割以上、家事では5割弱が、外部サービスを利用しながら行いたいと回答しました。
 続いて、25ページ、こちらを男女別で見ると、同じくこのグラフのピンク色の部分、外部サービスを利用しながら行いたいと回答した割合は男女ともに同じ傾向でしたが、女性の方が男性よりも回答割合が高くなりました。配偶者との分担という観点で見てみると、「配偶者と半分ずつ分担」と回答した割合は男性の方が高いのですが、女性の方が「自分の方が配偶者より多く分担」と回答した割合が高いという結果でした。
 次のページには、参考として、旧姓の通称使用の希望についての回答を載せております。
 私からの説明は以上です。ありがとうございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 それでは、調査結果の御説明だったので、質問はそれぞれについての御意見があればそれを伺うことと、全体の今回の結果についてこういうことではないのとか、このように考えていいという御意見があると思うので、まず質問をこれはこういう意味でいいのとかというものがあれば先にそれはその都度御説明いただいて、全体のこの分野の結果についてどう読むとか、どう感じたということは後ででいいですか。ありますか。あまりそういうことはないかな。  今回郵送法になったということで、2ページにありますけれども、プラスマイナスあって、前のは訪問個別だっけ。そうだね。そうすると、例えばマンションなどはオートロックだとなかなか会えないということもあるのだけれども、郵送だと本人まで届く。ただ、本人が回答しているかどうか分からないという問題がある。あるいは面接だと建前を答えやすいこともあるので、両方ともプラスマイナスあるので、どっちがいいというわけではなく、最近は郵送法がかなり再評価されている。なかなか訪問しても今はセキュリティー上とか防犯で会ってくれなくなっているので、郵送のほうが工夫しながらやるほうがいいかということにかなり変わってきているということがあると思います。
 もう一つ、これは事務局なのだけれども、2ページで回収数の年齢割合を出しているでしょう。これは右側は意味がないのだね。大事なのは年齢階層ごとの回収率が違うということで、つまり、50代と60代の回収、50代は59%、6割でしょう。60代は7割の回収率で、20代は40%ちょっとだから、そういう意味ではこれの違いだね。だから、全体とすると50代、60代の結果を多く反映しているということなので、そのことが大事で、もう一つは、そろそろ回収率を復元したほうがいいね。ウエートをかけて復元してしまうほうがいいかな。そうしないと各年で年次比較できないかなと思いますが、調査をやっている人の感想です。
 調査のことはいいですか。
 では、これの結果について、この辺はどうだとか、御意見なり感想なりで結構ですので、どなたからでも。
 井上さん、お願いします。

○井上委員 ありがとうございます。
 「1.名字・姓に関する制度の在り方をめぐる議論に対する意識」のところですが、そもそも選択的夫婦別氏制度という制度があることの説明がなく、この名字・姓に関する制度の在り方ということで聞いていること自体がどうなのかと少し思いました。連合も2022年1月に夫婦別姓と職場の制度に関する調査を行っていますが、そのときには選択的別氏制度はまずこういうものですと説明し、その上で、夫婦の姓の在り方に対してあなたはどう思いますかということで聞いています。特に佐藤先生からありましたが、答えているのが年代の高い人たちが答えていて、本来この制度を望んでいる若い人たちが入ってきていないとも思うのです。ですから、こういう調査はすごく設問によって引っ張られることがあるので、特に5次計画から選択的夫婦別姓の言葉がなくなったことによって、今、そういうワードが政府の調査、あるいは政府のいろいろな議論の場に出てこなくなってきており、これは誘導し過ぎなのではないかと思いましたので、意見として述べておきます。

○佐藤会長 調査票上は、夫婦の名字・姓に関する議論が、質問はこのとおりなのね。そうですね。どういう議論があるかは言っていないわけだね。その辺は確かに井上さんが言われるとおりでもあるかと。
 何かありますか。あれば。

○岡田男女共同参画局長 ありがとうございます。
 特に今日はこういった調査をしましたという御報告でありますけれども、スライド4を見ていただきますと、年齢別で見ても違いがあるということでございますので、これを全体的な、冒頭室長からも申し上げましたけれども、年齢階層別の構成割合をかなり考えなければいけないものですから、私どもは全体と並んで年齢別の状況も今日は説明させていただいてございます。

○佐藤会長 確かにさっきの年齢階層ごとの回収率が違うので、本当は年齢別しか、足し上げてしまったのはあまり実態を反映しないのだね。50代、60代の多い結果が総計や男女計に出てきてしまうので、この辺をどうするかはあると思います。あと、聞き方については、井上さんが言われるとおりあるかと思います。
 佐々木さん、どうぞ。

○佐々木委員 今の名字・姓に関する結果なのですけれども、この50%ぐらいしか知らないというのは、少ないのか多いのかがよく分からなくて、ほかの日本の中で問題になっているこういう問題と同じぐらいの割合だとか、だから、憲法の9条の話ぐらいはもっと知っているとか、50%ぐらい知っているとか考えたことがあるというのは多いのかなと思わなくもないのですけれども、これは少ないと見るべきなのですか。

○佐藤会長 結構大事な点ね。

○岡田男女共同参画局長 このスライドに書きましたように、これは今回新しく聞いた問いでございます。こういったものはほかのところでは聞いているわけではございませんので、比較することは必ずしもできないわけでございますけれども、今回はこのような形で聞いてこの数字となったということをまずは受け止めていきたいと考えております。

○佐藤会長 そういう意味ではなかなか難しい。佐々木さんが言われるように、NHKの放送文化研究所が「日本人の意識」調査というものをやっていて、あの中で例えば井上さんがいるところで労働者は労働組合をつくる権利があるということを知っていますか、このように聞いているのだね。でも、そういうものでも知らない人が結構いるのは事実なのね。だから、そういう意味では、知らない人がかなりいるというのは普通のことだと思ったほうがいいと思います。だから、確かにこういうことでいうと、だから、このぐらい知らない人がいるのは別に異常ではなくて、関心が低いわけではないのかもしれない。佐々木さんが言われるように、それは解釈の仕方としては慎重なことがいいかと思います。
 それでは、徳倉さん、お願いします。

○徳倉委員 井上さん、佐々木さんに重ねてという感じになりますが、このことを聞いてくださっているということは、これまでの議論の中で一つ大きな前進だと思うのです。ただ、これは選択的夫婦別姓制度をすぐやればあっという間に解決する話なのに、これを聞きました、例えばそれが50%ならばいいか悪いか、60%が問題なのかは置いておいて、ここからどのように政策に反映できる道筋が立つのかというところまでを、今日はこの調査がこうでしたというところだと思うのですけれども、実際に政策に反映させて、これを反映することによって享受できる未来が結構あるのに、さっきのこども・子育ての話と全く一緒で、10年後にやっとできましたということよりは、これは直ちにやっていったほうがいいだろうという議論が非常にされていた分野だと思いますので、その辺の道筋みたいなものやゴール設定みたいなものが、今日は難しくてもどこかで御提示いただければと思っております。

○佐藤会長 では、治部さん、お願いします。

○治部委員 ありがとうございます。
 徳倉委員とほとんど同じことを考えております。世代別に見て若い人がやりたい人が多いのであれば、やらない理由は一体何でしょうかと。高齢者が比較的反対が多いとしても、それは基本的に人間は現状維持バイアスというものがあるので、別に結婚してハッピーでほとんど96%ですか、夫の姓にしてそれをハッピーな人が選択的夫婦別姓に反対するのは、それはそうかと思います。これから結婚する可能性が著しく低い世代の人たちが何を言うかということに一体いつまで引っ張られて変えるべきことを変えないのでしょうかということは、改めて申し上げたいと思っております。
 これも徳倉委員のおっしゃったことと同じなのですが、もちろん民主主義国家なので人々の声を聞くというのは大事なのですけれども、これは相当前回からか、議論をしておりまして、もう議論は尽くしてあるのかなという感覚を持っておりますので、アンケートをすることに意味があるのかということも考えたほうがいいかと思います。政策的な意思はどこにあるのかを問いたいです。
 全然違うイシューになるのですけれども、政策的意思で世の中が大きく変わった事例、参考事例の一つとして、フランスは西ヨーロッパで最後に死刑を廃止しているのですけれども、そのときはミッテラン大統領が公約で死刑に反対するということを言って当選をしているわけですね。結局それを通したのですけれども、実は当時の世論調査ではフランスでは死刑存続を求める声が6割を超えていたということでして、このように世論に引っ張られることと政治的な意思決定、政策的な意思決定が違うことは往々にしてあるので、これはもういいかげんに男女局でどのような意思を持つかが問われる段階なのではないかと思います。
 この休憩前の議論で少子化のことを話したのですけれども、私は子供がいてすごくハッピーに暮らしておりますけれども、若い方たちで子供を持ちたくない、持つ気にならないという方の話を聞いていると、今の日本は変化があまりに遅い、若い人の望むような政策がなかなかやられないことによって、日本に対して希望が持てないという声をすごくよく聞きます。この選択的夫婦別姓などもその一つの例なのではないかと思うので、何年も調べ続けるというよりは、早くやるべきことをやったほうがいいと私は考えます。

○佐藤会長 7ページは説明してもらったのだっけ。離死別、未婚、だから、未婚を少し年齢で見ると、7ページを映してもらうと、既に離婚している人、結婚している人はいますね。だから、未婚のところを年齢階層別に見ると、これも相当違うので、治部委員が言われたように結婚してしまって高齢の人と未婚で若い人、各年齢層で結婚される方はいらっしゃると思いますけれども、こういうものを見ると、当然未婚でこれから結婚しよう、あるいはパートナーと暮らしている人などは一番ですね。65.4なので、そういうことも結構出していくのが大事かと思います。
 もう一つ、テーマは違うのですが、死刑の存置・廃止についていうと、日本でも政治家が意思決定したらそれに従いますという人は実は結構多いのだね。だから、そういう問題かもしれないなと思います。
 ほかには。
 大崎委員、お願いします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 私も徳倉委員、治部委員と基本的には同じことなのですが、この世論調査をどのように政策に反映させていくのか、し得るのか、つまり、政策的な意図をぜひお伺いしたいと思うのと、これはそんなにユースフルなデータなのかという気はちょっとするのです。2年前ぐらいでしたか、男女局からご報告いただいた調査で、日本の国内省庁は通称使用拡大のためにいろいろなことをやっていると。そこに係る行政コストの大きさがつまびらかになった、していただきました。ああいうデータというのは、政策を進めていく上で非常に貴重なエビデンス、説得材料になるのだと思うのですね。そういうものが政策的観点から価値のある調査なのではないかと思います。ありがとうございます。

○佐藤会長 山田委員、お願いします。

○山田委員 選択的夫婦別姓の問題、これは訴訟になっていることを応援する立場でずっと関わっていたものですから、この問題は誘導とかそういう問題はあるにせよ、この問題について議論があることすら知らない方がこれだけいることは、普通のことだというのはなかなか受け入れられなくて、むしろこんなものなのかと。新聞の1面で最高裁の判決が出たときなどは大きなニュースになったり、ニュースで報道もあったと思うので、これは知っていただきたいし、我々のような高い年齢の人間でも選択的夫婦別姓をすることに不合理さなどはどこにも感じていないので、なぜ議論すら知らないのかということについての違和感はとてもありました。ですから、皆さんがおっしゃっているように、こういうデータや意識調査をした上で、それをどのように具体的な政策に落とし込んでいくかということをしないと、これだけだと本当に積極的な意味が乏しいことになってしまうのではないかという印象を持ちました。
 以上です。

○佐藤会長 分かりました。
 ほかにはいいですかね。
 そうすると、最初の議論になっているところでいうと、例えば7ページなどを先に出すほうがまだ実態に合っているのではないかと。特に未婚なども年齢に分けて、そういうほうが少なくとも皆さんの言われるような多少反映するような出し方かという気はしますので、せっかくやった調査ですので、課題があることが分かるような形で使っていただくといいかと思います。あと、これから調査をやるときには、皆さんの言われたようなことも考えながらやっていただければと思います。
 ほかにはよろしいですか。
 それでは、今日は少し時間が早いのですけれども、調査については皆さんの御意見などを踏まえて、今後また取り組んでいただければと思います。
 前半の議論について踏まえてまた次回あるということですので、今日の会議はここまでで、事務的な連絡はいいですか。
 では、ちょっと早いですけれども、今日も熱心に御議論いただいて、ありがとうございました。また次回よろしくお願いいたします。