計画実行・監視専門調査会(第2回)議事録

  • 日時:令和3年9月21日(火)10:00~12:00
  • 場所:オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
  1. 開会
  2. 議題
    (1)女性活躍・男女共同参画の現状と課題
    (2)人生100年時代の結婚と家族をめぐる状況
    (3)コロナ下の女性への影響
    (4)G20女性活躍担当大臣会合におけるSTEM分野・女性デジタル人材に関する議論
    (5)今後の専門調査会の進め方について
  3. 閉会

【配布資料】

資料1
ジェンダー統計から見る男女共同参画の課題(ポイント) [PDF形式:2,291KB]別ウインドウで開きます
資料2
女性活躍・男女共同参画の現状と課題 [PDF形式:4,692KB]別ウインドウで開きます
資料3
結婚と家族をめぐる基礎データ [PDF形式:2,734KB]別ウインドウで開きます
資料4
コロナ下の女性への影響について [PDF形式:1,268KB]別ウインドウで開きます
資料5
G20女性活躍担当大臣会合におけるSTEM分野・女性デジタル人材に関する議論 [PDF形式:322KB]別ウインドウで開きます
資料6
G20 女性活躍担当大臣会合の議長声明(日本語仮訳) [PDF形式:226KB]別ウインドウで開きます
資料7
今後の専門調査会の進め方について [PDF形式:680KB]別ウインドウで開きます
参考資料1
計画実行・監視専門調査会委員名簿 [PDF形式:108KB]別ウインドウで開きます
参考資料2
女性活躍・男女共同参画の重点方針2021 (令和3年6月16日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定) [PDF形式:1,384KB]別ウインドウで開きます

【出席者】

会長 
佐藤 博樹  
中央大学大学院戦略経営研究科教授
委員 
石黒 不二代 
ネットイヤーグループ株式会社代表取締役社長兼CEO
同  
井上 久美枝 
日本労働組合総連合会総合政策推進局長
同  
大崎 麻子  
関西学院大学客員教授
同  
窪田 充見  
神戸大学大学院法学研究科教授
同  
佐々木 成江 
名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻准教授、お茶の水女子大学ヒューマンライフイノベーション研究所准教授
同  
治部 れんげ 
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授
同  
白波瀬 佐和子
東京大学大学院人文社会系研究科教授
同  
徳倉 康之  
NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、株式会社ファミーリエ代表取締役社長
同  
山田 秀雄  
山田・尾﨑法律事務所代表弁護士
内閣府
林 伴子   
男女共同参画局長
同  
吉住 啓作  
大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
同  
杉田 和暁  
男女共同参画局総務課長
同  
花咲 恵乃  
男女共同参画局推進課長
同  
矢野 正枝  
男女共同参画局総務課調査室長

議事録

○佐藤会長 定刻となりましたので、ただ今より、第2回計画実行・監視専門調査会を開催いたします。まず、本日の議題の趣旨について御説明いたします。本調査会の役割は、第5次男女共同参画基本計画に基づく各府省の取組を強力に進めることであり、そのため、各府省が毎年度重点的に取り組むべき事項を決定する重点方針、いわゆる女性版骨太の方針の策定に向けた調査審議を行ってまいります。
 本日は、来年度の重点方針2022の策定を見据え、今後、本調査会において、どのような課題を検討すべきかについて、委員の皆様に議論を行っていただきます。本日の議論を踏まえ、年末にかけて、月2回を目途に本調査会を開催してまいります。女性活躍・男女共同参画の取組をさらに加速させるため、積極的な議論をよろしくお願いいたします。今回はZoomミーティングでなく、ウェビナーということで見えないけれどマスコミがいますので、いつも通り公開の会議という感じでやってもらえればと思います。また、皆さんも御経験があるかと思いますが、オンラインの会議は疲れますから、途中で5分休憩を取ろうと思っています。
 それでは、議事に入ります。まず、議題(1)~(4)について、事務局のほうで整理してもらった分の御報告をお願いします。

○林男女共同参画局長 男女共同参画局長の林でございます。資料1について御説明いたします。性別ごとに特別に集計した統計、いわゆるジェンダー統計から見る男女共同参画の課題ということで、ジェンダー平等の現状につきまして、全般、分野ごとの状況、また、女性については、人生100年時代を迎えて、昭和の時代とは異なる姿になっております。この点について見てまいりたいと思います。その上で、コロナによる女性への影響ということで、最近の状況をアップデートしたいと思います。
 まず全般的な状況ですが、ジェンダー・ギャップ指数で見ますと、我が国は156か国中120位、先進国最下位、韓国、中国、ASEAN諸国よりも下という状況になっておりまして、特に経済参画、政治参画が遅れております。
 また、男女の地位が平等になっているかということを世論調査で聞いてみますと、平等と答える人は約21%しかいません。男性のほうが優遇されているという人が約74%、特に女性の回答者に限って見れば、約77%、約8割の女性が男性のほうが優遇されていると回答しています。他方、男性も約70%の人が男性のほうが優遇されていると回答しており、男性のほうが優遇されていることは、男性も認識をされているということであります。
 それでは、分野ごとに見てまいりたいと思います。まず政治分野です。左側は、日本の全体の人口ピラミッドであります。右側は、現在の国会議員の方々の性別年齢構造を表したものでございます。これを見ていただきますと、国会議員で女性や若い世代が大変少なくなっていることがお分かりいただけると思います。
 現在の女性議員の比率は、衆議院は約10%、参議院は約23%となっておりまして、国際比較をいたしますと、通常、下院で比較をいたしますので、日本の場合は衆議院で190か国中165位となっております。欧米では大体3~4割が普通になっております。
 行政の分野を見てまいりたいと思います。霞が関の各省での局長・審議官に占める女性の割合は、日本は約4%となっております。欧米諸国では3~4割となっております。また、課長級でも同様であります。
 そのほかの職員、つまり課長よりも下のところになりますと、約20%となっております。現在、国家公務員の採用の3割以上は女性になっておりますので、今後は女性職員の職域を限定せず、幅広い仕事の経験をさせ、局長・課長として将来使いものになるようにきちっと育成をする、そして、登用することが重要な課題と考えております。
 民間企業について、見たいと思います。女性の就業者の推移です。女性の就業者数は、アベノミクスで女性活躍を成長戦略に位置づけたこともありまして、2012年から2019年までの7年間で約330万人増えております。
 また、民間企業の管理職の女性の割合が伸びている状況にありますし、左下、女性の役員数についても、約4倍に増加をしています。しかしながら、諸外国に比べると、女性の役員割合はまだかなり低いと言わざるを得ないと思います。
 給与につきましても、右上をご覧いただきますと、正規、非正規の格差がありますが、同じ正社員、同じ非正規でも男女間に差があり、特に年齢が上がるにつれて、その差が開くという状況になっています。
 また、下のグラフを見ていただきますと、同じ職業、同じ勤続年数であっても、男女間に差があるという実態があります。
 科学技術分野での男女共同参画の現状を見ますと、左上、女性のノーベル賞の受賞者について見ますと、100年以上前のキュリー夫人の時代から、世界で延べ23人の女性のノーベル賞受賞者が出ていますが、日本では一人もいません。
 その背景には、右側、そもそも研究者に占める女性が少ない。左下、大学で理系に進む女子学生が少ないということがあります。
 しかしながら、右下にありますように、15歳時点での学力をOECDで調査しておりますが、これを見ると、日本の男子、女子は、OECD平均よりも相当に高く、女子も十分に科学、数学で諸外国の生徒たちよりも高い点数を取っております。
 このような状況の背景には、例えば親や教師など、女子生徒の周囲にアンコンシャス・バイアスがあって、進路選択のときに何らかの影響を及ぼしていることが、理系に進む女子学生が少ないことが一つの理由として考えられ得ると考えております。
 こうしたSTEM分野での女性活躍は、国際的にも大きな議論になっています。8月にG20で初めてとなるジェンダーに関する閣僚級の会合、G20の女性活躍担当大臣会合が開催されたわけでございます。この中では、STEM分野における女性の活躍、また、女性の教育というのが一つの議題になり、デジタル・ジェンダー・ギャップが男女間で格差があることから、今後の経済のますます進むデジタル化を見据えて、女性のデジタル教育、女性のデジタル人材の育成が重要ということで意見が一致しました。この点は議長声明の中にも盛り込まれております。
 次に女性の人生の多様化について、見てまいりたいと思います。現在、共働き世帯が大層となっておりまして、いわゆるサラリーマンの夫と専業主婦の世帯は少数派になっております。標準世帯とか、いわゆるモデル世帯と言われる昭和の時代に多かった世帯は、今やかなり少なくなっている状況です。
 次に夫の所得階級別に妻の有業率を見ると、夫の所得が高くなるほど、妻の有業率が低くなる。いわゆる専業主婦が多くなる傾向があります。特に30歳代でこの傾向が顕著であります。30歳代の夫の所得層で多いカテゴリーは200万円台、300万円台、400万円台辺りで、この辺りの所得階層での妻は、7割以上が働いているという状況ですが、逆に夫が800万円以上であると、妻が働いているのは半分以下、専業主婦が半分以上という状況であります。
 この層が専業主婦を優遇する様々な制度、税・社会保障制度の恩恵を最も受けているとも言えます。この点は格差とか、所得再分配という観点から、大きなインプリケーションがある論点と考えられます。
 ちなみに、就業調整の点も議論になります。就業調整をしている女性は、今、約386万人おります。ただ、これは2017年のデータでありまして、この後、税制改正や社会保険の適用拡大などの制度改正が行われておりまして、例えば配偶者控除の影響がよりなだらかになるような改正が行われているところであります。
 しかしながら、配偶者手当を支給する企業は依然として多く、その支給の際に配偶者の収入による制限があるというところが大半でございます。したがって、企業の配偶者手当や、夫の扶養の範囲内で働くことを勧める、例えばフィナンシャルプランナーの言動、こういったことが全般として就業調整が多いという実態につながっている可能性があると思っております。
 次に女性の高学歴化に伴って、所得はどうなっているかということを見てみたいと思います。今、女性の大学進学率は50%を超えて高学歴化しております。ただ、右側の大卒・大学院卒の既婚女性の年収を見ますと、一番濃い青のところが100万円台、薄い青が100万円未満、グレーが無業者、つまり仕事をしていないということでありまして、大体30歳代後半から40歳代、50歳代の大卒の女性の約6割は、年収200万円未満という状況でありまして、能力を十分に発揮して所得を得ているとは言い難い状況にあります。
 最近、離婚・再婚の状況はどうなっているかということを見ますと、足元の数年を見ていただきますと、婚姻件数は毎年大体60万件、離婚件数は20万件となっています。
 また、婚姻件数のうちの約26%は、どちらかが再婚、あるいは両方とも再婚という姿になっております。このような状況ですので、親が離婚する子供も毎年約20万人ずつ生じているということで、ひとり親家庭が増えております。
 母子世帯は、現在約123万世帯あります。非正規で働いている人が多く、年平均の年間就労収入は約200万円となっております。また、養育費を受け取っている人は約24%しかいないという状況があります。
 こうした方々の所得の分布を見ますと、下のグラフですけれども、貧困線の近傍に多く分布していることがお分かりいただけると思います。日本のひとり親世帯の相対的貧困率は、OECD諸国の中でも高く、ワースト2という状況になります。
 足元ではひとり親世帯への支援、また、長い目で見ると、女性の人生における大きなリスクとして離婚があるということで、経済的なエンパワーメント、経済的に自立する力をいざというときのために備えるということが大変大事ではないかと考えております。
 次のページからは、コロナの影響でございます。白波瀬先生に座長になっていただきまして開催いたしましたコロナ下の女性への影響と課題に関する研究会で、様々な分析をしていただき、その御提言は補正予算や重点方針に反映をさせております。4月に報告書を取りまとめていただきました。その後の状況を中心に御報告したいと思います。
 左側、就業者数につきましては、去年の4月に大幅に減りましたが、足元で徐々に戻りつつあるという状況です。ただ、中身は相当変わっていまして、医療分野では増えていますが、飲食業や宿泊業では引き続き厳しい状況が続いております。
 今回、コロナで女性の影響が大きく出た背景の一つは、飲食・宿泊業等で女性の非正規が多いということがあったと考えております。
 コロナ下で女性に対する暴力も増えております。配偶者暴力につきましては、全国300の配偶者暴力相談支援センターがございます。この相談支援センター等に寄せられた相談件数はコロナ前の約1.6倍となっております。今年度に入ってからも、毎月約15,000件から16,000件で推移をしております。
 右上、各都道府県にある性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの相談件数もコロナ前の約1.2倍になっております。特に昨年度の下半期は約1.3倍となっております。
 左下、自殺者数ですが、去年の夏から女性の自殺者が急増しております。この傾向は今年に入っても続いておりまして、例年よりも高い水準で女性の自殺者が出ているという大変痛ましい状況にあります。
 私から、現状の報告は以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、これから議論することに関わる、女性活躍に関わるような状況をデータで御説明いただきました。もし御質問があれば、あるいは追加的にここが大事だということがあれば、伺っていきます。大体皆さんは御存じですか。
 一つだけあります。二つ目の資料で、民間企業での管理職に占める女性比率があるのですが、課長のところだと18%でしたか。

○林男女共同参画局長 5ページ目ですね。

○佐藤会長 今、出ているのは賃金構造基本統計調査なのだけれども、それでも計算できるのですが、厚生労働省の雇用均等基本調査、これは企業規模が30人以上なのですけれども、大事なのは、課長以上の管理職に女性がいない企業です。ゼロは47%なのです。つまりゼロが結構いる中で、18はいるところと合わせた比率なのです。
 課長だけで見ると、課長がいる企業は30%、いない企業は70%なのです。中小企業だと、役員のところに親族などでいる可能性が高くなってしまうのですけれども、管理職レベルに女性が登用されている企業とゼロの会社が結構あって、取組がかなり違うので、その辺を考える必要があります。
 男性の育休取得も同じで、取ることを進んできている企業と今までゼロの会社もあるのです。これから考えるときに取組ができていないところと、ある程度進んできているところをさらに進めることの両方を議論することが、多分課題も違うと思います。
 公務員は多分そういうことはあると思うのです。進んでいる部局とそうではないところを見ていくことがすごく大事です。校長とか、教頭などの女性比率も平均だけ見てしまうと、現状は分からなくて、校長や教頭に女性がいない学校がどのぐらいあるかということは結構大事です。
 以上です。
 それでは、今日の本題で、今後の専門調査会の進め方について、これまでどういう議論があって、こういうことを議論していく必要があるのではないかということを事務局が整理していただいていますので、この辺について、御説明をいただければと思います。

○林男女共同参画局長 ありがとうございます。
 それでは、こちらで御説明をさせていただきます。資料7であります。今後の専門調査会の進め方についてとなっております。
 今後の専門調査会の進め方の御議論をいただくのに際しまして、まず政府として6月に決定した重点方針2021で検討することが決定されている課題がございます。例えば男女間の賃金格差も含めた経済的格差、また、クオータ制を含めた積極的改善措置の在り方、税・社会保障制度でございます。
 税・社会保障制度につきましては、経済財政運営と改革の基本方針2021、いわゆる骨太の方針の中でも、女性の視点も踏まえた税制や社会保障制度等の検討という形で盛り込まれております。また、IT分野をはじめとした理工系分野での女性活躍についても、掲げられているところであります。
 税・社会保障制度につきましては、平成12年、2000年の男女共同参画審議会、現在の男女共同参画会議の前身の組織の答申におきましても、国民年金の第3号被保険者、健康保険・介護保険の被扶養配偶者の扱いについて取り上げられ、この二つに加えて、夫婦同氏制、企業の配偶者手当が見直すべき課題として、21年前に既に挙げられております。
 なお、遺族年金の在り方や離婚時の年金分割については、平成16年改正で措置をされております。
 我が国のジェンダー・ギャップ指数が120位と大変残念な状況にある背景には、意識、労働市場などの慣行、制度の三つがあると考えられます。これら三つの要素は、昭和の時代、当時の家族像を前提に形成されたもので、相互に強化し合っている側面があると思います。しかしながら、今や令和の時代で、多様化した女性の人生や家族像の実態に合わなくなっており、それが例えば今回のコロナ下でひとり親を中心に女性に強い影響が現れるなどの問題を引き起こしているのではないかと思います。
 また、ジェンダー平等は、SDGsでも目標として掲げられ、また、ジェンダー全体を通じて、不可欠の視点とされています。具体的なターゲットは、こちらのとおりであります。
 こちらには諸外国にはある、つまり諸外国の女性や少女たちがごく普通に手にしているのに、日本の女性、少女たちにはないと、国会審議などで指摘されているものの例をまとめてみました。選択的夫婦別姓や性的同意、緊急避妊薬を処方箋なしで購入することなどであります。
 以上を踏まえて、来年に策定する重点方針2022に向けた検討課題の案を順不同に並べてみました。こちらの専門調査会で御議論いただく議題として想定をしております。また、必要に応じて関係省庁を呼んで議論をしていただいてはどうかと考えております。
 なお、小さい括弧内は、重点方針2021や骨太方針に検討課題として盛り込まれていることを示しております。
 先生方から御意見を頂戴できればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 第5次の男女共同参画基本計画はずっと5年で動いていくわけです。そういうものを踏まえながら、その中で環境変化、社会変化がありますから、これを特に重点的にやっていくとか、あるいはコロナ禍みたいに新しく出てきた課題などがありますので、そういうものを取りあえず来年度の予算などに反映するとか、あるいは政府に重点的にやってもらいたいことを議論していただくということです。
 今のものを映していただけますか。最後のところです。皆さん、お手元にありますか。順不同と言っているのが大事で、優先順位ではなくて、一応11個が述べられています。ですから、今日、特にこれが大事だ、これについてこういう点を議論してほしいということの御意見を伺って、もちろん12番目があることを伺うのが駄目だと言っているわけではありませんので、ただ、これについては、取り上げていきましょうと議論されているものであります。
 この後、11、あるいはプラス12かも分かりませんが、それぞれについて、これについてはこういうことが大事ではないかとか、特にこれは重要なので、早めに議論してほしいとか、そういうことを皆さんから御意見をいただければと思います。
 今日は、議論するというよりかは、これからの重点方針2022に向けての検討課題を皆さんに出していただくことが大事ですので、その上で、少し先というテーマもあるかも分かりませんが、自由に出していただければと思います。
 これは共有をやめていただいて結構です。どうもありがとうございます。
 それでは、お手元にあると思いますので、そういう趣旨で、この後、御意見を伺えればと思います。
 やり方ですが、今日は、まず最初に5分ずつやっていただいて、二巡目はありますので、1人10分しゃべってしまうと、私が言いたかったこともあるみたいなことがあると思いますので、5分ぐらいをめどで一巡して、二巡目であれば、ほかの人が言ったということであれば、それ以外で言いたいことを言っていただく形でやっていただければと思います。
 今、ちょうど10時半ですので、11時頃に5分の休憩を入れるという形にさせていただければと思います。
 それでは、名簿順で取りあえず最初は進めさせていただければと思いますので、石黒委員からお願いいたします。

○石黒委員 よろしくお願いします。石黒です。
 個別の課題に関しての意見ではないのですけれども、この調査会が何を目指すかというところとやり方に関して、まず意見を述べさせていただきたいと思います。
 一つ目は、女性問題には多種多様な議論があって、役員レベルの方々、一般の女性の問題、そして、今、顕著になっている貧困層の問題などを、個別に分けてしっかり議論していかないと、議論がめちゃくちゃになってしまうと思っておりますので、男女は非常に深い問題なので、そういうことを考えながら議論していきたいと思いますというのが一つ目です。
 二つ目は、男女の委員会というと、ややもすると、横串ではあるのですけれども、経済の本流ということではないというか、そのように思われがちということがあります。これを私はメインストリームに持っていきたいと考えていて、以前、「選択する未来」という会議で、要するに少子化が日本の一番の問題であるから、30年先のことを考えるという中に、一番の労働市場への貢献として女性が出てきたのです。
 それを反対に捉えてみると、女性の活躍が経済の本流であるというような議論に持っていきたいし、周りからもそう見られたい。そうでないと、女性の活躍が小さなものに見られてしまうということを危惧しています。
 そういう話を大上段に持っていきたいと思っているのです。女性の活躍がイコール経済の成長につながる、日本の成長につながっていくというような、そういう建前をどこかで話をしたいというか、議事録の中のエグゼクティブサマリーぐらいのところに持っていきたいというのが私の意見です。
 その中で、女性にクオータ制に関しては、げたを履かせるというネガティブな意見、反対意見があると思うのですけれども、それは本質論として全く違っていると思っています。
経済は椅子取りゲームの側面があります。企業においてトップの座を得るためにそれなりに競争していく。産業の中でもトップの企業になりたいから、それなりの競争をしていくという競争論があります。
 そもそもげたを履かせて困るのは、同じ数の椅子があるという前提で議論されています。だから、男性が逆差別になるという議論があるわけですが、それは違っていて、少子化の観点からは、明らかに椅子の数が減っていくのです。それは労働力にしてもそうだし、役員の数にしてもそうだし、その減っていく椅子を競争してとるよりも、椅子の数を減らさないことが本質です。げたを履かせるなというよりも、みんなで椅子の数を本当は増やす。少なくとも椅子の数を減らさないようにしましょうというようなことを議論したいと思っています。そのためには、女性の労働市場への参入が必要ですし、管理職を増やさなくてはいけないということです。
 最後に、家族の在り方なのですけれども、いろいろと離婚も増えていて、そもそも男性が働いて、女性が家を守るという家族の在り方が変貌してきている中で、さらに元に戻って、家族とは何かという本質論をできたらと思います。家族ができたのは、家族をつくらないと、個々の経済主体が成り立たないようなところから始まったと思うのですが、その昔は協働社会であり、子供に関しても協働で育てるというような社会があって、それが人間のそもそもの本質であったと思いますので、そこまで議論を伸ばしていけたらと考えています。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 クオータ制のことは、挙げられているテーマの2番目にあって、大事なことは、議論することは思い浮かべていることが相当違うので、実際にいろんなタイプがあるので、その上で整理した上で、どういう領域だったらこれを適用したほうがいいということと併せて議論しないと、不毛な議論になってしまうので、そういう意味でもきちっと議論していくことが大事です。
 あと、前半の女性活躍が経済の本流というのは、基本計画で言い続けているのです。でも、石黒さんが言われるように、それが浸透していないということがあると思うので、そういうことを浸透するようにやっていくことがあると思います。

○石黒委員 ある意味で、ほかの議論では、経済のメインストリームで男女をやりましょうと言っているのですけれども、この調査会では、男女をやりましょうから経済が議論されがちなのですが、経済をやりましょうという本質が男女ですという言い方をしたいと思っています。

○佐藤会長 次に大崎委員、お願いいたします。

○大崎委員 おはようございます。ありがとうございます。
 私からは、国際協調の観点からコメントさせていただきます。5次計画、重点方針、そして、本日の林局長からの御報告に通底している非常に強い問題意識というのは、国際社会における著しい遅れだと理解しております。
 昨今、国連だけではなくて、G7、G20でも首脳レベルでのジェンダー平等は、アジェンダとしての重要性が非常に増していますので、そういったことも踏まえますと、日本の取組の方針、施策、評価自体をグローバル基準、グローバル標準に寄せていく必要があるのではないかと考えています。
 昨今のESG投資の国際的な動きを見ますと、SのSocial、社会と、GのGovernanceで、特に人的資本の文脈も含めて、人権とジェンダーの重要性が高まっていて、非財務情報の情報開示項目としても、男女間賃金格差とか、セクシャルハラスメントに対する対応も求められるようになっています。
 日本では、GPIFがESGのSとしてMSCI、女性活躍指数を採用していますけれども、これは女活法にひもづいたデータで構成された指数でして、残念ながらグローバル基準には追いついていないと思います。
 GPIFは、同じように昨年11月に外国株式を対象に、モーニングスタージェンダー・ダイバーシティ指数を採用しましたが、この指数のベースになっているのは、女性のエンパワーメント原則、通称WEPsです。これは2010年にUN Womenとグローバル・コンパクトが共同で策定した民間企業がジェンダー平等を推進するための共同指針ですけれども、WEPsの普及というのは、5次計画でも経済分野における具体的取組に挙げられています。
 WEPsはここに来て、世界的に署名企業が非常に増えています。その背景には、先ほど申し上げたような主要なジェンダー関連指数がWEPs署名を加点項目にしていることとか、世界中の企業のジェンダー関連のデータ収集と評価を行っているエクイリープという団体が、WEPsをベースにした評価基準を採用しているといったところがあると思います。
 そこで、今後、調査会で検討していきたいと考えているのは、5次計画でも言及されていますけれども、コーポレートガバナンス・コードとか、有価証券取引報告書の活用において、WEPsが示しているような情報開示、報告に関する基準、指標を積極的にどのように導入していけるかということです。
 あと、コーポレートガバナンス・コードに関しては、今、プライム市場を対象にダイバーシティーに関しての情報開示項目が拡充されていますけれども、まだ不十分だと思います。せめてプライム市場が国際的に通用する市場ということですので、国際基準に合致する項目、例えば女性役員比率の条件を設定する。できればその条件は国際的に意思決定に影響を及ぼすことができると認識されている30%にするといったこととか、独立社外取締役の割合の条件を現在の3分の1以上ではなくて、過半数にするといったことも含める。そういうことも検討していくべきではないかと思います。
 一方、非上場企業とか、中小企業に関しましては、非常に大きなインセンティブは公共調達での加点です。今もくるみんとか、えるぼしが加点項目になっていますが、ジェンダー平等の推進という点においては、WEPsのような国際標準、国際的に通用する枠組みをどう活用するかということをこの調査会でも、積極的に模索すべきではないかと思います。
 もう一つ、大きなレバレッジとなり得る国際標準、国際基準が国連のビジネスと人権に関する指導原則です。日本政府も2019年に行動計画を策定していますが、昨今、EUとか、イギリスとか、アメリカが企業に対して人権デューデリジェンスを義務づける法整備を進めていることもありまして、日本企業も取組を強化しています。
 人権デューデリジェンスでは、ジェンダー視点の主流化、女性の人権は必須だとされているのですけれども、日本の行動計画などを見ますと、ジェンダーが前面に出てきていません。国連のビジネスと人権ワーキンググループは、2019年にジェンダーに関するガイダンスを出していますので、それをしっかりと日本の政策、制度に反映して、企業が性差別そのもの、女性の人権の問題に積極的に取り組むような後押しをするべきではないかと思いますので、その辺りを議論したいです。
 ちなみに、ドイツとEUが近い将来に施行する法律では、人権デューデリジェンスを行わないと、公共調達に制限をかけるというペナルティーも課しています。
 次にもう一点だけお話をしたいのですけれども、行政機関におけるジェンダー主流化についてです。男女共同参画基本計画には、推進体制の整備、評価のセクションで毎回男女別データの収集とジェンダー統計の拡充が盛り込まれているのですけれども、それは確かにジェンダー主流化を進めるに当たっての一丁目一番地に当たる施策ではあるのですが、問題はそれを分析して、いかに政策策定、政策評価に反映させていくか、活用していくかという点でして、ほかの国の取組を見ますと、日本はこの部分において、非常に大きなギャップがあるのではないかと思います。
 ジェンダー統計、男女別データを用いて、ジェンダー分析をちゃんと行うことが重要で、それを経済・財政、環境、安全保障、デジタルの全ての政策領域に省庁をまたいでしっかり反映させていく。そういう仕組みを人材と予算を含む資源の投入をして、構築していかなければ、いつまでたってもジェンダー主流化は無理だと思います。
 その辺りでほかの国のナショナルマシナリーがどういう戦略、手法、体制でもって分野横断的にジェンダー主流化を進めているのかということを参考にしながら、日本でもしっかりと仕組みをつくる。そういうことにちゃんと時間をかけてやるべきではないか。その辺りをこの調査会でも議論できればと思います。
 以上です。ありがとうございました。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 企業のガバナンスを資本市場から変えていくということが大事です。5次計画をつくるときにコーポレートガバナンス・コードを見直し中だったのです。多分そうだと思うので、出来上がった後は含まれていないので、そういう点では、その辺をフォローしたほうがいいかもしれません。
 窪田委員、お願いします。

○窪田委員 神戸大学の窪田でございます。
 今まで大局からの御発言があったかと思いますが、私からは個別の論点に即した発言をさせていただければと思っております。2点ございます。
 一つは、今後の課題の10番に挙がっておりました夫婦別姓に関する問題でございます。夫婦別姓に関する問題というのは、議論しにくいところがあるのですが、私自身は家族を専門にしておりますので、少しだけ説明をさせていただきたいと思います。
 夫婦別姓というのは、我が国の伝統的なものという説明がよくなされるのですが、夫婦別姓の規定ができたのは戦後でございます。戦前は夫婦別姓の規定はなくて、家の名前が氏という形になっておりました。したがって、その家に入ると、その氏を称するという形になっていたのですが、戦後、家という概念が解体されて、そうすると、夫婦は別の氏になるわけですが、あえて残したというのが夫婦同姓の規定になりますので、夫婦同姓そのものが我が国の伝統だというわけではないということです。
 もう一点は、これは常識的に考えても分かるのですが、名前が変わるということは、仕事をしていく上ではものすごく不利になるわけです。私の場合、研究者ですが、研究をして、いくら論文を書いたとしても、ある時期から名前が変わったとすると、普通にデータを検索してもヒットしない。知っている人は知っているかもしれないけれどもということになってしまいます。これは普通にそれ以外の職場でもそうなのですが、それまでのキャリアを生かすことができないという点では、当然非常に不利益なものになります。
 これに対して、通称を認めればということがあるのですが、一方で、私は法律の戸籍の関係でも仕事をしているのですが、名前というのは、個人を特定するデータとして最も重要なものになります。名前を変えればいいということでは困るということもあります。そうだとすると、こうした中で実際的な必要性があることを考えたときに、諸外国において夫婦同姓を強制するとなっていないのは当たり前だということなのだろうと思います。もちろん夫婦同姓がいいという方はおられると思いますし、それはそれで構わないと思うのですが、全員に対してそれを強制することは、制度としてはあり得ないだろう。
 3点目なのですが、最高裁判決が合憲判決を出したということで、しばしば報道されるのですが、しかし、ここ2回出ている合憲判決には反対意見が複数、それなりの数かつ有力な形で付せられています。なおかつ合憲だという判断をした裁判官の多数意見を見ると、これが望ましい姿だとは一言も言っていません。夫婦別姓としたときに、子供の名前をどうするのだとか、制度設計の問題が出てきてしまうので、簡単に違憲だということで、この規定が無効だという形では済ますことができないので、むしろ立法的に解決すべきだという観点があるものです。
 こうしたことを考えますと、私自身、一番問題であるのは、議論すること自体をタブーとしていることが一番の問題なのではないかと思います。ですから、法律の問題としては、法制審議会は一定の判断を出しているのですが、それ以外の場でも積極的に議論をしていくことを促すことがここで必要なのかと思います。
 もう一点、これは課題の2と6に係ると思うのですが、私の身近なこということになってしまうのですけれども、女性研究者に関しては、理系の人が少ないということが言われます。実は学術振興会というところで分析をしておりますと、分野による偏りが明確にあるのはそうなのですが、理系が単純に少ないわけではなくて、理系でも生物学とか、医学は比較的多い。それに対して、極端に少ないのが数学、物理です。したがって、こういうようなことを踏まえる必要があります。
 もう一つは、年齢によってそれらも違ってくることがあります。生物学などですと、比較的女性が多く、教授になる数はどうなのかというと、がたんと減っています。そうすると、先ほど御説明がありましたけれども、理系に進む女性が少ないというだけでは説明できない状況があるだろうと思います。
 したがって、こうしたことについての分析が必要になるのですが、この際に先ほども大崎先生から御指摘がありましたが、データを拡充するのは当然必要なのですが、そのデータの拡充に加えて、それが一体どのようなものによるのかという分析がかなり必要になってくるのだろうと思います。
 クオータ制の導入というのは、もちろん一定の意味があると思うのですが、分野とか、そうした状況を全く無視してということになりますと、社会的に通用されないのではないかという気もしますので、そういった点が必要になるのかと思っております。
 以上、2点、少し長くなってしまいましたが、私からの発言です。

○佐藤会長 選択別に議論はしていくということで、きちっとやっていかなければいけないし、データを男女別でつくって分析です。簡単に言うと、平均値だけというのは、ばらつきがすごく大きいので、そういう意味で、平均値で見えないところが次に行く段階だと思います。
 佐々木委員、お願いいたします。

○佐々木委員 私は、科学技術分野について、コメントさせていただきたいと思います。先ほど石黒委員からもお話がありましたが、ジェンダーの推進がいかに経済にインパクトを与えるかということと同様に、いかに科学技術分野にインパクトを与えるかということを念頭に置いて、そこに力を入れるべきではないかと思っております。
 画面を共有させていただきますが、ジェンダーの多様性による科学技術への効果なのですけれども、こちらに論文が出ていまして、多様性が科学技術に与える効果として、企業は特許に関して正の相関がある。アカデミアに関しましては、男女の混合チームのほうが論文の引用率などに正の相関があると言われています。
 さらに最近はアメリカ、ヨーロッパを中心に、これまで男性を対象として研究されてきた医療製品の技術開発について、性差解析がなされていなかったものに着目することでイノベーションにつなげるというジェンダード・イノベーションという概念が提唱されており、Natureの150年記念誌には「セックスとジェンダーの解析は科学と技術を発展させる」という論文も出ております。
 これを受けまして、今回、第6期科学技術・イノベーション基本計画では、ジェンダード・イノベーションの創出に向けてという文言が入りましたし、第5次男女共同参画基本計画では、性差を考慮した研究技術開発という文言が入りました。しかし、今、これが実際に進むような形には全くなっておらず、これをきっちり進めるような議論をしていかなくてはいけないと思います。
 また、ジェンダード・イノベーションとは少し異なりますが、女性研究者の活躍の例として、放射線リスクに配慮した住宅に関する情報が福島の原発の問題が起きたときにほとんどなかったということで、工科大学と連携して放射線遮断効果の比較的高い建築材料を編み出したり、建物サンプルを設置して調査を行い、住宅建築の放射線対策に関する冊子をまとめたり、またシリコンバレーでロボットの最前線で活躍する女性の方のコメントですが、「自然に利用者の使いやすさについて考えることができる、女性ならではの発想が今後のロボット開発に生かされる」とか、「女性にしかつくれないロボットがある」と断言されております。
 さらに先ほどSTEM分野のデジタル人材についてお話がありましたが、今後、経産省でデジタル関連部活支援の在り方に関する検討会が開催されるようになります。こちらは中・高校生の部活をつくろうというものなのですけれども、そのままでは男子部活になってしまうということを申しましたら、ちゃんと女子学生をどう入れるかということを検討事項にいれてくださり、さらにこの委員会のバランスもジェンダー比率を5対5にしていただけております。
 また、先ほども話題に出ましたが、PISAの結果で、数学や科学は男女であまり変わらず、世界レベルだと数学において女子は15位です。一方、読解は女子のほうが男子より高いのですけれども、世界レベルでは21位です。つまり、世界レベルで見て、文系と理系のどちらが得意なのかというと、理系なのです。なので、国際レベルで見て、いろいろ検討していかなければいけません。
 また、先ほどコロナの問題で、貧困の問題が出ましたけれども、理系出身のほうが給与は高いということがあります。アメリカの新卒給与トップ10は、全て理系分野になっています。日本でも理系のほうが高くなっています。理系だと、理系分野でも、文系分野でも就職、転職が可能ということもあります。
 また、旧帝大だと理系のほうが入学者数は多く、旧帝大に入ろうとすると、理系をやっていないと、入りにくいことがあります。
 また、東大の女子入学者が20%で低いと言われているのですけれども、この原因を探っていきますと、合格者の3分の2、合格者3,000人中2,000人が首都圏、関西の高校なのですが、その中の1,762人が中間一貫校になります。この中間一貫校で、10名以上の合格者を出す学校の女子生徒の割合は22.7%しかありません。この段階で東大に入学できる女子生徒の割合が決まってしまっていることは、中学校の受験のための小学校の受験勉強の段階から決まってしまっているということです。東大に女子学生が少ないと非難されることはかわいそうで、実は高校から東大入学する際の問題ではなく、小学校からの問題だということです。さらに、共学においても女子生徒の方が少ないというところも非常に問題だと思っております。
 さらに学生を増やしたとしても、これはアメリカなのデータですけれども、製薬企業での退職率が男性は25%、女性41%、そのほかもシステム関連の分野でも大体男性の倍以上の女性がやめてしまうのです。その理由としては、敵意ある男性的な文化とか、孤立してしまう、キャリアパスが図りにくい、そういうことがありますので、学生を入れる、かつその後のキャリアパスをつなげさせる、その両方の支援が必要だと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 佐々木さん、もしこの資料を共有できれば、送っていただいて、我々も共有できればいいと思います。よろしければ、事務局に送っていただいて、事務局から皆さんに送るということにしたいと思います。
 井上さん、入っていただいていますね。今、議論しているのは、議事の(5)の重点方針2022に取り上げる事項で、一応事務局は11に整理していただいていますので、それを見ながら、もちろんそれ以外でも結構なのですけれども、このテーマであれば、このことがより重要ではないかとか、このテーマでこれが落ちているのではないかということを伺うようにします。11時頃に5分休憩します。
 それでは、治部さんのところで休憩にします。治部さん、お願いいたします。

○治部委員 ありがとうございました。
 私も石黒さんのおっしゃったことと似ていると思います。女性の課題というと、マージナライズされがちなところがあるので、これが大事なマクロ課題であるということです。もうちょっと言うと、私はマスコミ出身なので、総選挙の論点にしっかり挙がってくるようなことを目指したいと思っております。そこでいいますと、委員の方には当たり前の釈迦に説法なのですが、出していただいた各論点というのは、全部関連していることがあるので、これがそれぞればらばらではなくて、つながっていることを示したいと思います。
 もう一つは、ぜひ世代という要素を入れたいと思っております。男女共同参画基本政策とされていたことというのは、若い世代の男性にとっては相当当たり前に賛成されるようなことです。ちょうど先週、住宅メーカーの積水ハウスが男性の育休に関する新しい調査を出したのですけれども、後でリンクを共有しますが、それによりますと、就職活動をしている世代は、男性育休の97.8%が賛成をしています。これも20年以上前からリサーチされている佐藤先生から見れば、ようやく世の中がついてきたということだと思うのですけれども、そういう状況なので、ここに世代という要素を入れることによって、男女の話を男女の対立にしないというような、戦略的なコミュニケーションが可能になるのではないかと思います。
 例えばその関連でいいますと、局長からお出しをいただきましたジェンダー・ギャップの問題です。120位の問題の一番大きいところは、女性の政治家が少ないことなのですが、先ほど局長の資料から人口ピラミッドの問題もお示しいただきました。要するに女性だけではなくて、子育て世代である30~40歳代の男性の議員も少ないところがありまして、彼らはここにいる我らの問題意識を完全に共有しているところがあるので、こういった人たちも巻き込んでいくことが必要だと思います。
 もう一つ、雇用における女性の問題は、要するに市場の失敗であるわけですけれども、本来、市場が失敗した場合は公共政策、ないしは司法によって解決されるべきです。今日も法律家の方がいらっしゃっているわけですけれども、私は日本の問題で雇用の問題が解決されない一つの問題は、裁判所のジェンダーバイアスであると思っております。
 個別のことは後ほど議論をしたいと思うのですけれども、アメリカであれば、性差別をしていて、女性が昇進できなかったり、賃金が低く抑えられていると、多額の懲罰賠償が取られて、集団訴訟になりますので、企業に対して司法はある種のむちが働いています。これが日本の場合には、仮に裁判をしてもすごく時間がかかる。マタニティーハラスメントなどで賠償金が取れても、とても安い。100万などでは割に合いませんので、泣き寝入りすることが続いております。
 私が個人的に取材した事例では、2014年に中国電力の賃金訴訟を取材したのですが、18歳で中国電力に入った女性は、同期の男性が全員昇進・昇格しているのに、1人だけずっと平のままでお茶くみなどをしていたという事例です。この事例では、最高裁まで原告が負けているのですけれども、シカゴ大学の山口一男先生という統計学の権威が最高裁に意見書を出しまして、このようなことが統計的に見てあり得ないと、会社側の抗弁は偶然だというのですが、確率的な意味でこんな偶然はないということを出したのですが、日本の裁判所は、なぜか統計を理解できないみたいで、負けました。そういうようなことで、恐らくこれまでの論点で入っていないのは、司法の問題が入っていないので、ここを変えていく必要があると思いました。
 最後になりますが、私も佐々木先生のおっしゃっていた理系の問題です。今、ちょうど就職先が理工系の大学なので、非常に関心がありまして、大学はすごくラジカルなことを着々と準備をしていて、期待を持てるところなのですが、一つ懸念しているのは、ラジカルな施策をしますと、必ずバックラッシュが起きます。どんな世の中でも、アメリカでも、ほかの国々でもバックラッシュが起きますので、バックラッシュも含み置いた上で、男性に対する逆差別が来る前提で、いかに社会全体を包摂的に変えていくか。その一つの鍵は、最初に申し上げた世代だと思うのです。若い世代の男性たちを包摂しつつうまく進めていくことが、今後進めていくことに対しての傾向をなるべく弱めて、ソフトランディングができるのではないかと思ってお話ししました。
 ありがとうございます。以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 確かに男女の違いも大きいです。世代で男性も相当変わってきているということはちゃんと言ったほうがいいと思うので、若手の課長ぐらいまでは変わってきています。課長の中でも、その上の層と下でかなり違うと思います。
 それでは、今、大体11時なので、5分ちゃんと休むとすると、11時6分ぐらいから始めますので、背伸びをして5分休憩です。
 次は白波瀬さんからです。

(休憩)

○佐藤会長 それでは、再開ということで、白波瀬委員からお願いいたします。

○白波瀬委員 よろしくお願いします。
 先生方が重要な点をいろいろと御指摘なのですけれども、私は3点ぐらいお話ししたいと思います。
 1点目です。やはり今すぐというところで、コロナ禍については無視できないと思います。今回幸いに報告書については、かなりいろんな方から着目されたのですけれども、これが男女共同参画局として研究会を引っ張った予算、補正予算までいった、その後、何なのか、ここは物すごく重要だと思います。ですから、結果というか、効果というか、それについてより具体的な発信は、課題提示だと思います。男女共同参画についてはうまくローテーションがありまして、計画があって何とか、でも、やはり評価とか、実際に何がというところの発信がもう少しあったほうがいいのではないか。佐藤先生はずっとドンでいらっしゃいますので、そんなことは何十年も前に言っている。ただ、残念ながら、その広まり方が不十分だというのは、ちょっと工夫が必要だと感じます。
 そういう意味で、男女と言っているのは、王道なところなのです。石黒さん、お久しぶりでございます。まさしく選択のところで御一緒したときは、王道のところで話そうということがあったので、そこは本当に重要なところです。でも、残念ながら、内部の異質性と言うのですけれども、ヘテロジニアス、要するに集団の中、女同士の中で違いもあるし、男と女で違いもあるというところが非常に弱いので、そこは逆にマクロなところで男か女かというのも十分ではないけれども、今、何人かの委員の方から御指摘がありましたが、しっかり効果分析をしていただいて、メカニズムがどうなっているのか見ていただきたいと思います。
 今、出していただいたところで物すごく重要なところは、ダグラス・有沢といって、夫の収入が高ければという、これもまだ平均的には維持されている。でも、30歳代のところでものすごく出ている。これはどういう意味かというと、専門家から言うと一目瞭然で、子育て支援のところです。子供が小さいところがまさしく出ている。だから、そこでの選択肢がいかに限られた人とそうではない人の間で分断が行われるか。これはそれだけ見ても分かるのだけれども、そこまで言ってあげないと、発信は弱いということです。
 氏の問題、通称、長くやってきたものについては、身につまされた思いで、やはり男女共同だからというか、ここだからタブー視しないで、真正面からということも、あえて戦略的に出す必要があるのではないか。
 そういう意味で、機会の平等というのはそのとおりなのですけれども、ここはやはりメリハリをつけて、集中的にやってもらいたいところです。足元の貧困層のというところは、どうしても集中になります。だけれども、全体として、上もぐっと上げていかなければいけないということであると、足元はやはり教育、ここはある程度の強制性を入れた積み上げを、親への教育も含めて展開しなくてはいけない。
 そういう意味で、今までの先生方から御発言がなかったのは、地域の問題です。日本の中で地域の問題というのは、コロナ禍でもそうなのですけれども、我々が考えている以上に古いというか、壁はなかなか厚い。若い人たちと一言で言うのだけれども、そこは都会とそうでないところ、高学歴者だとどうとか、ものすごく違っていると思います。世代の中でも若い子たちの学歴間、あるいは地域間の違い、この辺りのメリハリ感を入れたところで、少しラインアップを考えていただくと、これはラインアップとしては十分だと思うのですけれども、あまりに促進とか、活躍促進といって止められてしまうと、中は何なのかと言われないように、その辺りが考えどころだと思っています。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 ずっと言ってきたのですが、発信の仕方です。繰り返しだけれども、やはり伝え方です。そういう意味では、効果分析をきちっとやっていかなければいけないということはよく分かりました。

○白波瀬委員 先生、通じていないということは、通じなくてもよい状況があるということなのです。

○佐藤会長 そうですね。

○白波瀬委員 だから、やはり踏み込まなければいけないというか、どこかで強制性というか、司法の話も出ましたけれども、よろしくお願いします。

○佐藤会長 あと、世代もあるのですね。

○白波瀬委員 ちょっと下からぐっと上にかけて、集中的に教育と強制性を入れて変えないと駄目だと思います。

○佐藤会長 あと、地域です。これもかなり大きいですね。

○白波瀬委員 大きいです。

○佐藤会長 家族間なども地域で相当違うのでね。

○白波瀬委員 違います。

○佐藤会長 そこで女性が出ていってしまう地域というのは、古いところがあるのですね。

○白波瀬委員 つらいというか、結構厳しいのです。仕事もないのです。

○佐藤会長 日本一律ではなくということですね。

○白波瀬委員 違いますね。

○佐藤会長 どこに課題があるか、ターゲットをはっきり押さえていくことは大事だと思いました。
 ありがとうございます。
 徳倉委員、お願いします。

○徳倉委員 ありがとうございます。
 既に先生方から世代と地域が出たので、私、何をしゃべろうかと思いながら、悩んでいたのですけれども、内藤委員と私だけが大都市圏に住んでいないというか、今、私は四国の香川県の高松におりますが、7年前まで東京、埼玉に大学卒業からずっといて、35歳のときに子育てをしながら、外で働きながら、Uターンをして起業をするというケースでしたので、地方の観点でお話をしたいと思います。
 あと、治部さんからもお話がありましたけれども、世代というところのお話等をさせていただきたいと思いまして、事務局にまとめていただいた11の項目以外で抜けているところでいえば、世代と地域というところが一つワードとして、全て絡み合ってというところですが、やはり置き去りにできない問題だと思っております。
 その点で、5点ほど、具体的に足早にお話しさせていただきます。
 地方という観点でいうと、地方の仕事のやりようというと、やはり地方自治体が様々な仕事の発注をしていたり、受けていたりというところがあって、あとは電力会社であったり、銀行であったりという、幾つか限られた中で、そこに労働力も集約をしていく。それ以外は全部中小零細企業です。ある都市に関しては、大手の支店がある。こういう経済で回っております。
 私、地方の自治体でいろんな研修をさせていただいたり、内部で女性活躍のコンサルの仕事をさせていただいて、はっきり出ているのが、今、20歳代、30歳代の公務員になろうとする人が増えているということです。これはまた総務省などに伺っていただくと一番分かりやすいと思うのですけれども、女性の職員の割合は、40歳代以上とそれ以下で比べると、入ってくる人数が非常に増えています。何が起きているかというと、女性の職員割合はとても増えているのですけれども、係長級、その下も含めて、いわゆる管理職、管理職の卵になる人が圧倒的に少ないのです。これはもちろん働き方の問題であるとか、評価に問題があるとか、これは佐藤先生が御専門ですので、深くは突っ込みませんけれども、そこで女性の職員たちが避けているという側面があります。ですから、この問題を解決しないと、地方における最も大きな企業体といいますか、組織体の中での働き方、また、キャリアの構築の仕方ができていないと、地域の中小企業にもなかなか波及していかない問題があるということです。これは私が持っている自治体のデータ、もちろん小さいところはありますが、全国的にどうなのかというところが分かれば、より問題が見えてくると思いました。
 家族の問題です。私自身が育休を取っているので、その観点から幾つかあります。先週も林局長と御相談させていただいて、幾つかリアクションいただいたものもありますけれども、先ほど治部さんから若い世代で育休を取りたい人がいるというお話がありました。これは職種に限らず、育休を取りたくなってきています。
 私、先週、ある西日本の国立大学の医局主催の育休セミナーに出させていただきましたけれども、これまではほとんどいませんでしたが、今、うちの医局で2人男性医師が育休を取っていますとおっしゃっていました。どんどん取る人が増えてきて、上の教授陣もそこを理解しながら、地方は人手がいないので、辞められたら困るので、ある程度短期的に、1か月、2か月ぐらいであるならば、休んで戻ってきてもらえるなら、それで回すというスタイルで取ろうとするのですが、やはり大学病院は複雑なのです。雇用形態の仕組みで、取れないというケースが出てきています。
 これは結構突っ込んで、そこの大学なりにいろいろ聞きました。例えば出向者ですと、来年の4月以降、解消される問題ですけれども、1年以上雇用し続けていないと取れないとか、有期だと取れない。法律が変わって、そこはクリアされても、労使協定の中で取れないままの仕組みになっていると、男性、女性に限らず、医局員という立場で病院に出向している間に妊娠、出産となると、これは女性でも配偶者でもそうですけれども、育休を1か月、2か月取りたいと思っても、仕組み上取れないようになってしまっているのです。そうすると、何が起きるかというと、医局としては、そういう意向がある人を出向させられないというジレンマになってくるのです。
 地域は医師不足なので、人が出せない。いろんなジレンマが絡み合って、男性育休、女性育休も含めて、やはり働き方が多様化していく中で、雇用の在り方が様々ある中で、それでも産休、育休をどういうふうに取るのか。どんどん進めている、世代間の中でも取りたいとなっているけれども、はざまを少しピックアップしないといけない時期に来ていると感じました。
 続きまして、女性科学者の問題と氏の問題です。私の妻もばりばりの理系です。ドクターをしているので、入籍するタイミングなども非常に苦労しました。名前が全て変わるので、非常に苦労した経験がありますけれども、この辺の話題と常にリンクをしていく。ともすると、科学技術分野の女性という中で、夫婦別姓というのは、相当心のハードルになっているということをセットにして議論していかなければ、女性活躍のところのくだりだけで話しても、進まないのではないかということがあります。
 あと、子を持つ、娘を持つ親として、先ほどの林局長のお話の中で、平成12年の話題がありました。各種問題の中で、年金等はこの20年間で解決した問題ももちろんありますけれども、平成12年というと、私はまだ大学生の頃なのです。年齢がばれますね。私、これでも42歳なので、ちょうど大学4年生ぐらいだったのですけれども、そのときから変わっていない。問題はたくさんある。ここは何がポイントか。議論しなければならない、調査しなければならない、もちろんそうなのですけれども、例えば6次計画をつくるところまでは、ここぐらいのゴールは要る。調査はしたものの、施策をここまでにつくらないといけないという、やはりゴールが必要ではないかということは強く思っています。
 性交同意年齢とか、HBワクチンとか、そういう女性の人権に関わるような部分も含めて、特に少女をどう守っていくのかというところに関しては、5年、10年たつと、その対象から外れていってしまって、どんどんリスクにさらされていくという問題もあるので、この辺を深く議論できればと思っております。
 以上になります。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 徳倉さんが言われた有期の人の育休、介護もそうですが、かなり広げてきたのだけれども、伝わっていない部分が相当ある。変わったこと、できることが現場に伝わっていない。そういう意味で広報の問題をきちっと考えていかなければいけないと思います。
 あと、選択的夫婦別姓等々については、一部通称でやればいいのではないかという議論があるのだけれども、これは相当やってきたのです。やってきて、ある面では限界が分かった。そういう意味では、これはよかったのだけれども、それでやってきた、もう限界ですということははっきり言わないとまずいと思います。
 山田委員、お願いいたします。

○山田委員 よろしくお願いいたします。山田でございます。
 11の論点につきましては、先ほど治部さんもおっしゃっていたのですけれども、かなり網羅的に論点が挙がっています。これに優先順位をつけられるかと思ったのですが、やはり全部密接に関連し合っているので、あえて優先順位をつけるということはしないほうがいいと思いました。
 その中でも決定的なのは、冒頭のジェンダー・ギャップ指数です。相変わらず、後ろが30か国ぐらいしかない。政治と経済の分野が非常に遅れている。これは何としてでも、指導的なポジションにおける女性の数を増やしていかないと、今のままで漠然と女性活躍推進ということを言っていても、100年待つような形で、50年たってどういうふうになっていくのかということに関しては、私、いつも言うのですが、悲観的にならざるを得ない。
 それから、これも治部さんがおっしゃっていたのですが、いろいろ批判されても決めるのは政治家ですから、政治家の中の立法府、それを支える行政の中における数を一定割合にしていくこと。
 さらに先ほど司法の分野もジェンダーバイアスがあるのではないかという御指摘がありましたが、私、弁護士をしていますし、実際に弁護士会の仕事をしていても、こういった問題は指摘されていて、ジェンダーバイアスの問題についてはかなり真剣に検討しています。
 さらに言うと、最高裁判所をはじめとする裁判官の中にも、やはりジェンダーバイアス的な発想を持っている人がいるのではないかという指摘もあり、端的に言うと、この中でも数字を考えてくださればいいのではないか。
 クリティカルマスという言葉があるのですが、これは一定の数字を超えた瞬間に大きく流れが変わるという、その分岐点を指すものなのですけれども、例えば今、私が関わっていることでいうと、最高裁判事の推薦人事とか、弁護士会の会長、副会長の推薦人事であるとか、あと、上場企業の取締役会における女性割合、そういったところは身近に関連しているところなのですが、形だけ入れて、1人だけ、あるいは多くても2人女性を入れるという形だと、クリティカルマスという大きな流れをつくるところには行かないという感じがしています。
 例えば1人女性の社外取締役を入れましたといったときに、その1人の方は、どちらかといえば、言葉は悪いですけれども、お客様、もっと厳しい言い方をすると、お飾り的な形になってしまうおそれもある。そうであれば、クリティカルマスは、個人的に30%以上ではないかと思っています。
 先ほど夫婦別姓の最高裁判決の話が出ましたが、あれも最高裁の判事の中に、もし5人女性の判事がいれば、判決の流れは合議体の中で変わってくる可能性があります。
 実際に経験するところなのですが、例えば10人ぐらいの社外取締役、あるいは生え抜きの取締役が3名いると、議論が全く違ってくるという印象を私は持っています。
 その意味では、いつも言って申し訳ないのですけれども、劇薬と言われているかもしれませんけれども、世界的に言えば、劇薬でも何でもないクオータの考え方をもうちょっと積極的に取り入れていくことが必要だと思います。
 弁護士会でこれを実現したときに大変な反発があったということは、今までもお話ししたことがありますが、反発があっても、やってみると、そこに注目がいきます。
 例えば政治の世界でも、ある政党でクオータについて導入するかどうかという議論をしたことがあるようですが、結論的に導入というところには至っていませんが、こういったトライ・アンド・エラーをしていかなければいけないと最近は思っています。
 それから、やはり根底にあるのは、経済的な格差です。これは最初の賃金格差ということですが、自由業である我々のような弁護士も、10年に一度、経済調査をするのです。ついこの間それが出て、詳細に説明すると時間がなくなるのですが、収入格差、所得格差でいっても、収入で男性と女性は2倍ぐらい弁護士でも違うのです。所得で1.6倍です。これは能力の格差であると言う人は1人もいません。恐らくは自由業であるがゆえに、クライアントの側のバイアス、女性の弁護士ではなくて男性の弁護士をお願いします、男性の弁護士にお願いしたいといったバイアスがあるのではないかと思いますし、自由業でさえこういったバイアスがある。こういう事実をある程度税制面等々も含めてクリアにしていかないと、大変な仕事に就いていただくための経済的基盤がないと、やはり弁護士会でもそうでしたが、副会長をやってください、会長をやってくださいといっても、こんな大変な仕事をボランティア同然の報酬でやると、事務所が維持できないといった声が女性の中でも多くありました。この部分も注視して進めていきたいというのが一つであります。
 もう一つ、私、職業柄、中長期というのではなくて短期的に、コロナ禍の問題で、弱い立場の人にコロナ禍の様々なネガティブな面というのが出ていて、例えば自殺者の数が増えている。そして、それが女性の中で増えている。さらに言うと、DVの件数も増えている。
 実際に私が事件をやっている中でも、DV、モラルハラスメント的なものも含めて、やはり閉塞感がある中で非常にいらいらしている、そういった夫婦、カップルがいますし、それがデートDVという形になったり、あるいは家庭内における暴力的なことになったり、さらには性犯罪に発展するというケースも見られます。これについては、DV被害支援センターとか、様々な形での支援の役割はとても重要になってきていると思います。
 もろもろを含めても、11の問題について、深掘りしていって議論をすることに加えて、何らかの具体的な実践を含む提案をしていくことが物すごく重要になっていて、女性活躍推進ということを言うだけですと、一つのテーマになって、中身についてはなかなか議論されない。
 私、先ほどクリティカルマスと言いましたが、総裁選に4名のうち2名の女性の方が出たというのは、すごく意味があると思っています。1名の方が出ると、女性活躍推進ということをテーマにせざるを得ない。それだけで注目される。今回はお二人出ている。半数です。しかも、考え方がどうこうではなくて、男性、女性ということではなくて、自分自身の意見をおっしゃる候補者の方もいたりする。これがすごく大事なのではないかと思います。女性が出てきた、女性が何か発言しているということではなくて、4人いるうちの2人が女性で、いろんな意見を言っていて、どちらがいいかという視点にならなければいけないと思っています。
 まだまだ申し上げたいことはあるのですが、5分ということなので、取りあえずこのぐらいにしておきます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 管理職、クリティカルマスに関しても大事で、0より1は確かなのです。

○山田委員 でも、1名ではどうしようもないです。

○佐藤会長 3というと、自由に意見が言えるようになってくるのですね。

○山田委員 流れが全く変わります。

○佐藤会長 情報発信をしていく必要があると思います。
 最後になりましたけれども、井上さん、お願いいたします。

○井上委員 遅れて大変申し訳ございません。
 既にいろいろと意見が出ているところとかぶるかもしれませんけれども、(1)~(11)のところで考え方を述べさせていただきたいと思います。
 当初、局長からレクを受けたときには、総花的にやっても駄目だから、やはりどこか重点で、一つ二つ決めなければいけないのではないでしょうかという話もさせていただいたのですが、密接に関係してくるというのは、私も改めて思ったところです。
 そうはいっても、何が一番重要かというと、これだけ女性の非正規労働者が増えて、コロナでさらに再就職ができない状況で、というところでいくと、(1)の賃金格差の解消は非常に重要ではないかと思います。
 要因分析なのですけれども、政府が行っている賃金構造基本統計調査を基に算出・公表している男女間賃金格差なのですが、こちらはフルタイムの労働者のみが対象ではないかと思います。短時間労働者を含めて、時給で算出をして、格差の本当の実態を明らかにすべきではないかと思います。
 対策なのですけれども、女性活躍推進法はできましたが、やはりそうはいっても、コース別雇用管理だったり、女性が正当に評価されるということが、実際の現場では起こっていないと思います。
 それでいくと、2018年にアイスランドで新しい法律ができました。同じ仕事をする男女に対して同額の賃金が支払われていることを証明することを雇用主に義務づけて、違反したら罰金を取る。日本もそのぐらいの強制力がないと進まないのではないかと思います。
 そこで、クオータ制も同様で、女性の力が弱いというところが進まない原因ではないかと思います。その意味では、労働組合もクオータ制の導入をしているのですけれども、実は労働組合法がネックになっているところがあります。労働組合法の5条2項3号に均等な取扱いを受ける権利という項目があるのですけれども、昔の労働省の課長補佐がここで女性だけを扱うと、均等の取扱いを受ける権利に抵触するということを非公式に発言したことがあります。実は労働界の中でずっとそれが残っていまして、それを基に男性がクオータ制を導入することに対して、ものすごく反対するのです。なので、これはここの課題とは違うのかもしれないのですが、政府としてここのところの見解をきちんと出していただくと、労働組合の中のクオータ制もしっかりと入るのではないかと思います。
 それから、社会保障制度ですが、この間、非正規労働者が排除されてきたのが日本のシステムだと思いますので、そこを変えていかなければいけないと思います。
 ちなみに、連合は公平・連帯・納得の社会保障制度、税制改革の実現ということで、例えば第3号被保険者であれば、短時間労働者等への厚生年金のさらなる適用拡大、被扶養者認定の年収要件の見直しで対象者を縮小するであるとか、あるいは配偶者控除については、扶養税額控除に整理・統合して、人的控除はできるだけ社会保障給付や各種の給付に振り替える。残すものは所得控除から税額控除にする。こういうものを政府に要請しているところであります。ですので、やはり時間はかかるかもしれないのですけれども、限界に来ている社会保障の仕組みは変えていかなければいけないと思います。
 コロナの関係と統計のところの絡みなのですけれども、ちょっと古いデータですが、昨年12月の総務省の労働力調査で、非正規雇用は去年の1月から56万人減、うち女性が41万人ということで、男性の3倍弱という数字が出ています。女性の場合、例えば再就職を断念するとか、あるいは非労働力化する傾向があると言われていますけれども、中には売春的行為とか、風俗業とか、あるいは暴力とか、ハラスメントとか、権利侵害を受けやすい働き方に向かう人たちもいるわけですが、そういう実態が統計上どこに表れているのでしょうか。現に当時の女性の完全失業者数は76万人という数字でしたけれども、野村総研は加えて90万人という数字を出しています。そういう意味で、大規模調査というのは、民間では大変難しいと思いますので、国や地方自治体が無作為抽出標本を対象に全国調査を行い、女性が置かれている現状について、偏りない実態把握と問題の可視化を図るべきだと思っています。
 それから、アンコンシャス・バイアスなのですけれども、これは労働組合でもやっています。うちもアンコンシャス・バイアスをどういうふうに訳そうかということで、無意識の偏見・思い込みと訳しています。政府の場合、無意識・思い込みと訳していると思うのですけれども、最初は思い込みでもいいのですが、やはりベースにあるのは偏見だと思うので、そこは無意識の偏見・思い込みにするとか、偏見が払拭されなければ、差別もなくならないし、それが全てのバイアスにかかってくると思います。アンコンシャス・バイアスについてはいろんなふうに言う方たちがいらっしゃって、専門家もいらっしゃいますけれども、例えば男女共同参画学協会連絡会で、アメリカ科学財団のプログラムを使ってお話をしているときに、偏見という言葉なども使ったりしていますので、気づきから次の解決策に持っていくことも必要ではないかと思います。
 最後は選択的夫婦別氏制度です。これは皆さんからも出ていると思いますが、待ったなしだと思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
 以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 労働組合法が労働関係の法律で一番改正されていないのです。それはそれですが、役員のところは、やはり選挙で選ぶという形になっているので、それは議会の話と一緒なのです。組合の中での話です。だから、女性を増やすという形が組合法上できないようになっているということです。
 あと、皆さんから出たように、この項目の関連については、今後、事務局で考えていただければと思います。
 二巡目に回りますが、全員話したいと思いますので、2分でお願いしたいと思います。全員に聞く機会を設けたいと思うので、すみません。それでは、石黒さんから2分でお願いいたします。

○石黒委員 皆さんの発言を受けてということだと思っていますので、その観点でSTEMなのですけれども、生物学とか、本日、様々なタイプのSTEMのお話が出たのですが、特に日米の経済界でよく議論されて、いわゆる賃金格差が一番大きくて、アメリカにおいても、量としても、また、賃金も一番に上げているのはコンピューターサイエンスだと思います。米国のエンジニアの給料は物すごく高いです。異常に高いです。それはそれで置いておいて、これが特に日米の間でも格差を生じさせているし、例えば先進国の中でも、コンピューターサイエンスの仕事に属する人の量があるからこそ、結果的に、技術系の給料が高いという事実があると思いますので、恐らく皆さんおっしゃったとは思うのですが、基本的にもう少しコンピューターサイエンスにフォーカスを当ててはどうかと思います。
 また、それに関連して、私の経験論と統計学的なところからですが、アメリカでも技術系の学部の選択、特にコンピューターサイエンスを専攻する女性が30%ぐらいになってきたとは思うのですが、これもやはりレベルの差があって、中間と言うと申し訳ないのですけれども、難易度で中間のところは30%ぐらいですが、トップが非常に少ないという問題点があるのです。
 この原因は、それこそ女性の気持ちが強いのではないかと思うのですが、私の子供も2012年にスタンフォードのコンピューターサイエンスを卒業しているのですけれども、その卒業式に出て、本当にびっくりしました。ほぼボーイズクラブ、女性を探すことができませんでした。スタンフォード大学は、ジェンダーもLGBTも非常に進んだ大学で、大学自体が壁を設けているということは、私はないと思っていますので、これは反対に受ける側、選択する側の意識の問題だと思います。日本と違って学部を選択して入ってくることはないのです。入学はスタンフォード大学、1年、2年を経過して、3年目に学部を選ぶ。そのときに女子学生がコンピューターサイエンスを選んでいないという事実があると思いますので、これも、トップと中間などに分けて、今後の方針を考えていかなければいけないのではないかと思います。
 あと、どなたかが御発言なさったのですが、ここの調査会の発信力というものは、以前から問題視をしていて、これはこの調査会だけではなくて、経産省にも常に申し上げているのですけれども、議事録をPDFで置いても誰も見ませんからという話なのです。自分たちの存在意義にも関係して、一生懸命やって、力も時間も使っているのに、あまり浸透しないとか、世の中を動かす力にならないというのはすごく残念だと思うので、省庁としてどういう発信の仕方をするのかとか、PDFは置くだけでは絶対に見ないですから、来させる方法を考えることが大事だと思います。
 あと、マスコミの力は日本ではとても大きいと思っていて、正直言って、ネガティブなものも物すごく多いです。今日もマスコミの方が傍聴していらっしゃるかもしれませんけれども、いい形でマスコミにこの中の委員の方が発信していくとか、マスコミにこれを取り上げてもらうという形をつくれないかと以前から思っておりまして、せっかく新しいことをやっているので、他の省庁とは違った形での発信をお願いしたいと思います。
 以上になります。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 アンコンシャス・バイアスのところは、女性自身ということですね。

○石黒委員 そうです。そちらのほうの話です。

○佐藤会長 こういうものを変えていくということも含めて、やっていく必要があると思います。

○石黒委員 女性の気持ちというのは、入っていませんでしたか。今回の議事次第に入っていなかったとすれば、物すごく大きい話だと思います。管理職の話にしても、学術系の学部とか、そういうことに関しても、女性の気持ちが非常に大きいというのは議論されています。

○佐藤会長 あと、情報発信についていうと、厚生労働省が2か月ぐらい前、コロナの対策をいろいろとやっているのだけれども、全く伝わっていないので、情報発信の仕組みをどうするかという検討委員会をやったのです。事務局の方にぜひ見ていただければと思います。

○石黒委員 20年ぐらい言っているのですけれども、全く変わっていないのです。

○佐藤会長 そのためだけの検討会をやりました。

○石黒委員 お願いします。

○佐藤会長 井上さんは後ろのほうにいたします。順番でいくと、大崎さん、お願いいたします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 今までの御議論を聞いていますと、人権デューデリジェンスは使えるとさらに思いました。これは性差別、賃金格差、暴力、ハラスメント、そういったことに深く切り込んでいく枠組みで、サプライチェーンのリスク評価ではあるのですけれども、日本企業も人権デューデリジェンスを義務づけるということを進めている欧米の国々の企業と取引をしているわけですので、これに対応していかざるを得なくなる。そう思いますと、これはやるべきだ、すごく使える国際標準だと思います。
 特に繊維業界などですと、既に欧米の企業から生産現場での女性の労働環境、賃金格差はどうなっているかという情報を詳細に出せ、そうでないと取引をしないというプレッシャーもかかっているということですので、これをしっかりやっていくことが、社会全体のジェンダーの推進にもつながっていくと思います。
 今後の議論の材料として、グローバルとか、諸外国の動向に関する情報はすごく重要になってくると思いますので、ぜひ事務局の皆さんに集めていただきたいと思うのですけれども、諸外国の法整備、規制の動向、あとは、ナショナルマシナリーでジェンダー主流化をどうやっているかということはすごく重要だと思うのですが、その際に欧米の先進諸国だけではなくて、日本の文化的土壌と親和性の高いアジア太平洋の国々、中東の国々でもジェンダー平等をがっつり進めているところがありますから、そういったところの事例、情報もたくさん出していただけるといいと思います。
 それと関連して、国内のグッドプラクティス、事例をしっかりと集めて発信していくということが重点方針でも言われていますが、地方公共団体のグッドプラクティスは、本当のグッドプラクティスを集めていただきたいと思います。自称女性活躍推進プロジェクトではなくて、例えばメディアでも取り上げられているのは、兵庫県豊岡市ですが、真正面からジェンダー・ギャップ、ジェンダーの問題に取り組んでいます。これはもともと人口減少、女性が帰ってこないというところからの問題意識ですが、今は包括的なジェンダー平等推進ということで、市役所内にジェンダー主流化委員会を設けて、様々な部署が一緒になって男女共同参画推進プランをつくっています。
 あと、DXの取組というのは、三重県が県を挙げて進めていらっしゃいますが、ジェンダー平等を推進するということを三重県のDXの一つの目的として掲げていらっしゃいます。そういう本質的な取組を行っている、そういうグッドプラクティスを、ちゃんとジェンダーの視点から集めて発信していくことが重要ではないかと思います。
 ありがとうございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 窪田委員、お願いいたします。

○窪田委員 私からもごく簡単に、地域のことについて発言させていただければと思います。
 白波瀬先生から御指摘がありましたけれども、地域による差というのは、かなり残っているのだろうと思います。例えば相続というのは、非常に単純な仕組みになっているにもかかわらず、長男が家を継ぐというケースは、そんなにまれではなく、接する機会があります。
 なおかつ、単純に都市か田舎かということではなくて、都市部でも比較的古い慣習が残っているところ、地方で過疎化のところであったとしても、必ずしもそうでもないところもあるのだろうと思いますが、これらの問題に何とか対応しなければいけないと思います。
 簡単ではないのだろうと思うのですが、この部分に対応しないと、問題は解決しないというのが残っていると思いました。検討課題ということで、発言させていただきました。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 佐々木委員、お願いいたします。

○佐々木委員 先ほどからジェンダー・ギャップの問題、121位というお話がありましたけれども、順位だけではなく、2006年からの伸び幅を見てほしいと思うのですが、日本が0.011で115か国中106位、後ろから5番目になっています。フランスやイタリアは、もともと日本と同じくらいの順位だったのですが、それらの国と比べると日本は13分の1しかありません。つまり、日本は今の13倍は頑張らなければいけない、それぐらいの頑張りが必要だということを、まず我々は覚悟しなくてはいけないと思います。
 また、出生率ですが、女性の活躍度が高まると、出生率が低くなるような印象を持ってしまいがちなのですが、実際は女性活躍度がしっかり上がっている国では、出生率も上がってくることが分かっていますので、出生率がちゃんと上がっていくような改革をしっかり目指していかなくてはいけないのではないかと思います。そこもちゃんと見て、それができていなかったら、無理をさせて女性を活躍させているということなのだと思います。
 また、男女共同参画局で理系分野における調査をかなり詳細に2016年にされており、しっかりデータとか、調査はされているのですが、調査するというところで満足してしまうのではなく、実際にそれをどう落とし込むかということをしっかりやっていかなければいけないと思います。
 これは、その資料の中の大学の例なのですけれども、日本は20年で6%しか女性教員割合が伸びていません。今回の日本の目標値は、教授とか、准教授の伸び幅を倍にしなければいけないのですが、そうだとすると、韓国、ドイツ、ノルウェーが大体日本の倍の伸び率になっているので、これらの国が参考になると思います。
 韓国などは何で急に伸びたかというと、法律を設定して、しっかり政策に結びつけてきたところがありますので、法律をもうちょっとしっかり整備するべきだと思います。
 また、カナダの例が面白いと思ったのですけれども、雇用公平法というものをつくっています。さらに、連邦契約事業者プログラムというものを制定して、特別な措置と差異の調整、雇用に関する積極的な改善措置、それぞれの分野の雇用可能人口比率の目標などを策定しています。そして、このプログラムは、政府と関係している事業者が契約しなくてはいけないのですが、大学も研究費をもらっているということで、その中に入っています。まずは政府の公的資金が入っているところは、必ず変えていくということです。さらに、これが大事なのですけれども、雇用公平の責務を担う上級管理職を任命しなければいけないということです。本当に変える人を企業の中とか、大学の中に置けるのかというのは、非常に重要だと思いました。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 治部委員、お願いします。

○治部委員 ありがとうございます。
 私は夫婦別姓の話をしたいと思います。私自身は事実婚で、籍を入れていない状態です。私は記者でずっと署名記事を書いてきました。夫は研究者で自分の名前で論文を書いているので、名前をどちらが変えても、アイデンティティーが損なわれるところがあります。これをやっていくに当たって、子供も2人いるのですけれども、相当大きな精神的苦痛を味わっておりますし、大変不快なこともたくさんありました。ただ、それでも私がやってこられたのは、こういうことを公開の場で言えるような、女ではありますが、かなり立場が強いところにいるからです。男性以上に稼いでおりますし、ある種世の中の不当なことは自分で経験して訴えていくというのも仕事のうちだと認識してやっているわけです。
 ですが、白波瀬先生が先ほどおっしゃっていたとおり、女性も一枚岩ではなくて、例えば地方に住んでいて、それほど収入がない人は、自分の名前をキープしたいと思っても、そんなことはそもそも言えないわけです。9割以上が男性の姓になる、これが当たり前という社会において、果たしてそんなことを選ぶ自由があるかといったら、自由はないという状態です。この状態において、通称使用で何とかなるというのは、私から言わせれば、はっきり言ってナンセンス極まりないと思います。
 この問題になると、とかく男性と女性の対立みたいな不毛なことを言われるのですが、今日御参加いただいている窪田先生とか、山田先生などは非常に深い理解をいただいておりますので、決して男女の問題ではない。これは人間の尊厳が分かっている人と分かっていない人の人権の克服過程の問題だと思っています。
 一つ御紹介したいのが、2015年12月に最高裁が毎度のことながら、男女同姓の強制に対しての合憲判決を出したときに、反対意見を出された女性の裁判官の方が注目されたのですが、最もラジカルな反対意見を出したのは男性の裁判官でした。この方は国家賠償までやるべきだということに踏み込んでいる方なのですが、山浦善樹さんという男性の裁判官です。彼は著書の中でこういうふうに言っています。私の理解では、単なる立法不作為なんていう甘い言葉ではなく、いまだに偏った価値観に基づいて女性差別の愚を繰り返している、私はそう気づきました。立法が遅れた過失、不作為の問題などではなくて、背後に潜む女性蔑視の考えがなせる業、意図的に放置し、あるいは積極的に反対してきたという趣旨ですということをはっきり書いていらっしゃいます。
 ちなみに、山浦さんは70歳代の男性でありまして、つまりこの問題に対する理解というのは、女性とか、働く女性とか、そういうことではなくて、人権の尊重というものに対する理解であるということをぜひ強調しておきたいと思います。
 私から以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 白波瀬委員、お願いします。

○白波瀬委員 お願いします。
 今、治部さんの力強いあれで、完全にバックアップしたいと思いました。つまりジェンダーというのは、行き着くところは人権の問題です。人が自らの選択を自由に行えないという状況をないがしろにするという、極めて深刻な問題であるということを社会の全員が確認すべきだと思いますし、そういうメッセージは強くいろんなところで発信しなくてはいけないと思います。
 2点あるのですけれども、1点は、賃金格差ということもあるのですが、そこは昇進機会を公平に与えるという、現場のところもあると思いますけれども、今回は第3号被保険者、年金改革だと思います。これは厚労省でやられるとは思うのですが、この辺りはうまく府省を乗り越えて、ちゃんと連携をして発していかないと、政策実施府省のところではやりました、うちは男女だけですねということであると、結果、発信のところも弱くなる。そこは両輪で議論を積み上げて、うまい連携をつくって展開していただくというのがすごく重要なところではないかと思います。
 第3号被保険者だと、氏の話も実は絡んでくるとか、そういうことになりますし、制度のところでかなり踏み込んでいただきたいということがすごくありますから、その点、府省連携ということで、リーダーシップを取っていただけるとすごくいいと思います。よろしくお願いいたします。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 徳倉委員、お願いします。

○徳倉委員 時間もありませんので、簡単にですが、林局長に御説明いただいた資料の7枚目に当たりますが、諸外国にはあるが、日本にないと指摘されているものということで、6項目ほどの一覧がありますけれども、今回検討すべきと考えられる課題の(1)~(11)、(12)(13)と増える部分はあるかもしれませんが、先ほど各委員からありましたけれども、どこが論点で、どこを変えないといけないのかということを、メディアの方々もそうですが、我々委員は何年もこの問題をやっているので、これとこれは関連する、これはこういう意識だというのは分かるのですけれども、ぱっと見たときに、これは複合的な要因で、これを解決すること、この制度を変えることによって、ハードを変えればソフトも変わっていく、ソフト面で変えないといけないところからのハードの変換が要るみたいなところ、こういう一覧表みたいな分かりやすい形で、関連図というと、全て関連するので、ごちゃごちゃになると思うので、こういう表みたいなものをきちっとつくって、それを一つ一つ潰していくような、濃淡を分けながら、第6次計画のときにはこれが変わってきた、これは表現が変わって進んできたみたいな、進度が分かるような一覧表みたいなものを作成をして進めていかないと、やっていないものがあったり、委員も当然替わっていくので、そういう部分のところで、やはり進行の仕方というか、進め方というところ、ここは取り残している、ここは今回重点的にやっていると、日本中の人たちが、メディアの方も含めて分かるような仕組みを表の中で表すといいのではないかと、一言言わせていただいて、終わりにしたいと思います。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 山田委員、お願いします。

○山田委員 皆さんから貴重な意見をいただきましたが、私が感じたのは、日本は政治が国を動かすというよりは、やはり経済、企業が動かして、それで政治が動くという仕組みがあるように思います。
 その中で、先ほど大崎さんがおっしゃった人権デューデリジェンスというのは、企業にとって響きやすいやり方だと思います。今、SDGsとか、ESDとか言いますが、コンプライアンスはどうしたらいいか、コーポレートガバナンスをどうしたらいいか、みんな企業は考えています。大企業が人権デューデリジェンスというコンセプトの中で、女性の活躍推進、管理職、役員、一般社員の雇用について、人権デューデリジェンスされると言ったら、動く可能性があるのです。浅いと言ったら失礼なのですけれども、企業はそういうレベル感で動くところがあるので、これはアイデアとして大変いいのではないかと思います。
 より根本的に言うと、佐々木さんがおっしゃったように、各国と比べると日本はコロナの問題でもロックダウンのことが議論されていますが、強制化すること、強制力を用いることに対して非常に抵抗感を持ちます。ある意味では、自由主義社会の中において大事なことではあるのですが、それによって物が決まらない部分もあるので、クオータだけではなくて、そういった視点というのはすごく重要だと思いました。
 さらに言うと、治部さんがおっしゃったように、最高裁判事を選んだりするときに、私、実際に推薦するときに、山浦さんも存じ上げていて、弁護士出身の裁判官を推薦するときにも、何度も何度も面接をし、書いたものもチェックし、こういう人になってほしいということで推薦するのですが、最後選ぶ段階になると、官邸・内閣でお選びになって、一度でも国に対して訴訟を起こしたとか、リベラル的な発言をすると、選ばれないという傾向がないわけではないということを感じていまして、そういったところからもバイアスがあります。これも一種の司法とか、行政におけるバイアスだろうと思って、それをマスコミの方たちがアピールしてくれたりすると、ありがたいと思っています。
 もう一つ、全体を通じて、今、格差社会ということがいろんな形で言われていますが、格差の問題というのは、根本的には男女の格差、しかも、経済格差というのが、先ほど申し上げたように、収入、賃金などでも出ていますし、昇進といった問題でも出てきますし、その分析というのは、11の項目とは別に、あるいは全体を通じて考えていただくといいと感じました。
 以上です。

○佐藤会長 12時という予定ですが、ちょっと延びますので、お時間に制約がある方は抜けていただいて構いません。
 最後になりますが、井上さん、お願いいたします。

○井上委員 ありがとうございます。
 資料6のG20の議長声明を読んで、感想です。DXを通じて新たな雇用創出というような書きぶりがあるのですけれども、女性の雇用の問題は、今、お話があったように、根っこの雇用の格差、賃金格差があると思います。そういう意味では、構造的な部分をそのままにして教育などを行ったところで、問題は解決しないと思いますので、やはり構造的な部分を変えていくことが必要ではないかと思います。
 それとテレワークによる女性への影響ということも触れられていました。これは日本だけではなく、世界的にも課題認識されているということで、改めて認識をいたしました。テレワークの負の側面、特に女性の場合は非正規が多いということもありますし、テレワークをやっているのは男性正社員、管理職、専門職ということで、テレワークができない女性たちがいる中で、議長声明にもこういうものが入ったということがありますので、政府としては、負の側面についての対応をお願いできればと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 熱心に議論いただき、非常に有益な御意見を出していただいて、感謝いたしたいと思います。
 それでは、まだまだ議論したいのですけれども、時間ですので、一応ここまでにさせていただいて、事務局には今日出た皆さんの意見を踏まえて、これから議論していくものを整理していただいて、次回以降はそれについて議論させていただければと思います。
 事務局からは特にいいですか。

○林男女共同参画局長 本日、本当に貴重な御議論をいただきまして、ありがとうございます。
 経済政策のど真ん中に男女共同参画は来るべきだという石黒先生のお話、私、経済財政諮問会議の「選択する未来」をまさに御一緒にやらせていただいていたので、懐かしく伺いましたが、本当に大事なことで、メインに持ってくることが大事だと思いました。
 その意味では、発信力を高める。これは私どもも大変大きな宿題をいただきましたので、しっかり取り組んでいきたいと思います。
 また、地域や世代間の問題など、多くの視点をいただきました。しっかり取り組んでいきたいと思います。
 人権デューデリジェンスの話については、これからキャッチアップして、しっかり対応できるようにしていきたいと思います。
 本当にどうもありがとうございました。
 今月中にもう一回やりたいと思っておりますので、実際に今日いただいた議題を整理しまして、その中の取り上げられるものからどんどん取り上げて、御議論いただきたいと思っております。

○佐藤会長 それでは、ここで本日の会議を終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。