計画実行・監視専門調査会(第18回)議事録

  • 日時:令和4年11月8日(火) 13:00~15:00
  • 場所:オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
  1. 開会
  2. 議題
    (1)アンコンシャス・バイアスに関する調査結果と今後の取組について
    (2)男女間の賃金格差について
  3. 閉会

【配布資料】

資料1
令和4年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に 関する調査結果(概要)(内閣府説明資料) [PDF形式:1,219KB]別ウインドウで開きます
資料2
女性活躍推進法に基づく男女の賃金の差異の情報公表について(厚生労働省説明資料) [PDF形式:2,021KB]別ウインドウで開きます
資料3
金融商品取引法に基づく男女間賃金格差の開示について(金融庁説明資料) [PDF形式:561KB]別ウインドウで開きます
資料4
公務部門における男女の給与の差異の公表に関する方針について(内閣府説明資料) [PDF形式:981KB]別ウインドウで開きます
参考資料1
計画実行・監視専門調査会委員名簿 [PDF形式:112KB]別ウインドウで開きます
参考資料2
女性活躍・男女共同参画の重点方針2022(女性版骨太の方針2022)(令和4年6月3日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定) [PDF形式:1,756KB]別ウインドウで開きます
参考資料3
今後の検討項目 [PDF形式:195KB]別ウインドウで開きます
参考資料4
計画実行・監視専門調査会 これまでの議論の整理 [PDF形式:339KB]別ウインドウで開きます
参考資料5
令和4年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に 関する調査結果(本文) [PDF形式:2,641KB]別ウインドウで開きます

【出席者】

会長   
佐藤 博樹  
中央大学大学院戦略経営研究科教授
委員   
石黒 不二代 
ネットイヤーグループ株式会社代表取締役チーフエヴァンジェリスト
同    
井上 久美枝 
日本労働組合総連合会総合政策推進局長
同    
大崎 麻子  
関西学院大学客員教授
同    
窪田 充見  
神戸大学大学院法学研究科教授
同    
佐々木 成江 
お茶の水女子大学ジェンダード・イノベーション研究所特任教授
同    
治部 れんげ 
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授
同    
白波瀬 佐和子
東京大学大学院人文社会系研究科教授
同    
徳倉 康之  
NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、株式会社ファミーリエ代表取締役社長
同    
内藤 佐和子 
徳島市長
同    
山田 秀雄  
山田・尾﨑法律事務所代表弁護士
内閣府  
小倉 將信  
特命担当大臣(男女共同参画)
同    
和田 義明  
副大臣
同    
岡田 恵子  
男女共同参画局長
同    
畠山 貴晃  
大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
同    
杉田 和暁  
男女共同参画局総務課長
金融庁  
井上 俊剛  
企画市場局審議官
厚労省  
村山 誠   
雇用環境・均等局長

議事録

○佐藤会長 本日は山口委員が御欠席と伺っております。
 本調査会では、女性版骨太の方針2023に向けた議論を行っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入りますが、その前に、事務局から前回の会議における議論を踏まえた本調査会の今後の検討課題について報告していただけるということですので、よろしくお願いします。
 内閣府の杉田男女共同参画局総務課長より参考資料3で御説明いただけるということです。よろしくお願いいたします。

○杉田総務課長 事務局でございます。今日もどうぞよろしくお願いいたします。
 参考資料3でございます。前回の調査会におきまして、今後の本調査会におきまして来年の骨太の方針の作成に向けて想定される検討項目ということでいろいろ議論いただきました。そういったものも踏まえまして取りまとめさせていただいたものでございます。
 また、今年6月に取りまとめました女性の骨太の方針の中で、今後検討することとされている課題が幾つかございます。そういったものについてもここに書かせていただいているところでございます。
 まず、最初のポツでございますけれども、新しい資本主義の中核として経済的自立が位置づけられるところでございますが、企業における女性活躍、女性役員の登用促進と書かせていただいております。
 2つ目でございます。国立女性教育会館の拠点機能の強化、さらには各地域におけます男女センターを通じた女性デジタル人材、起業家の育成に向けた取組の強化と書かせていただいております。
 それから、今日の議題にもあります男女間賃金格差の情報開示の話。
 さらには、社会保障制度・税制、ひとり親への支援、さらにはリカレント教育、男性の育休取得、柔軟な働き方の推進など、L字カーブ解消に向けた取組。
 それから、前回も議論がございましたが、科学技術分野における女性活躍の推進などといったところを今後検討という形で考えております。
 こういった項目について、今後、本調査会で検討、モニターをしていくということになるわけですけれども、ここに書かれていないものにつきましても、議論の進展状況であったり、あるいは社会情勢に応じまして新たに議論を深めていくということもあり得るのだろうと考えております。そういった形で、来年の女性版骨太の方針、さらには6月下旬に開催されますG7男女共同参画・女性活躍 担当大臣会合における国際的な議論に発展させていきたいと考えております。
 それから、参考資料4として、昨年の秋から今年の6月まで本調査会におきまして骨太の方針に向けていろいろな議論をいただきました。そういった議論でいただいた意見をまとめたものということで、各回の議題に関係するもの、今回は賃金格差の開示、アンコンシャス・バイアス調査の関係について、参考資料として毎回配付させていただこうと考えております。
 今後、大体月1回ペースでこの調査会で議論をして、来年の骨太につなげていくということで引き続きよろしくお願いいたします。
 私からの説明は以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 まずはこれまでの議論を踏まえて、取りあえずああいうところから始めていこうということで、了解いただければと思います。
 それでは、そういうことを踏まえた上で、まず、今日は議題が2つあります。(1)がアンコンシャス・バイアスに関する調査結果と今後の取組について、(2)が男女間の賃金格差で、この2番目の議題は先ほどの今後の検討課題のたしかポツの3つ目だと思いますが、それを議論します。
 それぞれについて御説明いただいた後、皆さんの御意見を伺うことにしたいと思います。
 それでは、まず最初に議題(1)のアンコンシャス・バイアスに関する調査結果と今後の取組について、内閣府の畠山大臣官房審議官から資料1に基づいて御説明をお願いいたします。

○畠山大臣官房審議官 よろしくお願いいたします。
 昨年度に引き続きまして、アンコンシャス・バイアスに関する調査を8月に実施いたしました。その結果に基づきまして、主に資料1、概要ですけれども、これで御報告させていただきたいと思います。
 全国の男女、20代から60代、約1万人の方に回答を得ております。
 この関係で、実は昨年度も調査を行いましてこの専門調査会に御報告させていただきました。その際に、アンコンシャス・バイアスという無意識の思い込みということでありますけれども、そういうものの性質上、なかなか是正していくのが難しいのではないかといった御意見、また、一方でそういう中で無意識の思い込みと差別的な考え方というものが一緒になって扱われているというようなことについても御指摘いただきました。そういうことも踏まえながら、私どものほうで完全にその関係が整理されているかと言われると、正直に申し上げるとなかなか難しいところもございますけれども、この調査に当たりまして、前回調査に携わっていただいた有識者の先生に加えまして、アンコンシャス・バイアスを比較的御専門ということで担当されておられます学識経験者の方にも御参加いただきまして、改めて調査を行ったというものでございます。
 中身につきまして御説明させていただきます。
 まず、大きなポイントとしまして、1番、性別役割意識(全体)というところでございますけれども、これは性別役割について「そう思う」「どちらかといえばそう思う」「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」の4段階で聞いたということでございまして、字がやや小さくて恐縮でございますけれども、男性の上位に入った項目のうち、8項目のうち7項目が男性のほうが高いということになっております。
 今回調査した項目で新規項目というのがございまして、それが赤字でございますけれども、その関係では比較的上位に入っているものもありますけれども、全体では、男女ともに「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」というのが一番高かったということでありまして、そうしたものにおきまして、全般にどちらかというと男性のほうが高いというデータが出てきてございます。
 次のページをお願いいたします。
 2ページ目、上のほうでございますけれども、男女差でみえるアンコンシャス・バイアスという項目です。これは全項目の平均を仮に取ってみたということでありますけれども、そうしたものから分かるデータとしまして、全項目平均ということで、性別役割の意識につきましては、男性のほうが女性よりも強いというデータが出てきました。
 一方、直接言われたり、言動や態度から感じた経験というのも取ってございますけれども、これにつきましては女性のほうが多いというような結果が出てございます。そこに書いておりますように、男性は女性と比べて直接言われたとかあるいは言動や態度で間接的に接した経験は少ないということで、伝統的な役割観に自身がとらわれていることに気づいていない可能性がうかがえるという分析をしてございます。
 それから、3つ目、職場項目における性別役割意識ということでございます。これにつきまして、幾つかいろいろな項目を聞いておりまして、その中には必ずしも今から申し上げるような傾向が出ていない項目もありますけれども、一方で、やや顕著に注目すべきと思われるようなデータを引っ張ってきて御紹介しているということでございます。
 職場の役割分担に関する項目の中で、比較的若い男性になればなるほど割合が高く出ているというものがこの職場項目における性別役割意識の中で幾つかございました。20代が最高で、年代が下がるほど、大きく言うと男性の中では低くなっていく。一方、女性は総じて男性よりも低く、年齢が変わってもそんなに差がないというような項目が幾つかあるということでございます。
 「職場では、女性は男性のサポートにまわるべきだ」でありますとか、「男性は出産休暇/育児休業を取るべきではない」といった、ここに記載してあるような5つの項目につきましては、20代、比較的若年層と思われる男性のほうがそれ以上の年齢層よりも高く出ている項目があるということを示したものでございます。
 それから、次の3ページをお願いします。
 新規の追加項目で、今回、測定項目を幾つか追加しておりますけれども、このうち、「男性より女性の方が思いやりがある」というのは、女性は年代が高くなるほど「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した割合が低くなっております。
 また、もう一つの新規項目であります「女性はか弱い存在なので、守られなければならない」は、女性に好意的ではあるものの、女性の役割を固定化することにつながる考え方と位置づけられると考えておりまして、男性50~60代では「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した割合が高い結果となっております。
 その下、結婚に対する価値観の相違でございます。これにつきましては、性、年代別で大きな差はありませんけれども、いずれの層でも一定数見られます。また、直接言われたあるいは言動や態度から感じた経験では、男性よりも女性のほうが多いということで、女性は年代が高くなるほどそう感じさせられた割合が高い。特に女性50~60代で高くなっているという傾向がございます。
 また、右側に書いてございますけれども、直接または間接的にそう感じさせた人として、女性は母親が1位というデータが出ておりまして、母親の影響が大きいことも分かってございます。
 最後に4ページ目でございますけれども、今回、都道府県別にデータを取ってございまして、東京圏という概念をつくってございますけれども、そうしたところ、地方、それ以外のところという概念ですけれども、移動したきっかけというようなものについてそれぞれ聞いたものでございます。
 地方から東京圏に移動した、かつ、進学あるいは就職で移動経験がある方が、どういう理由なのかということについて調査したものでございますけれども、一番左が当然「進学や就職したい先があった/選択肢が多かった」ということでありますが、それ以外に男性と女性である程度差が出ている項目として「他人の干渉が少ない」、移動先、都会の方がそういう傾向にあるのではないかと考えたのではないかと思われますが、あるいは「多様な価値観が受け入れられる」というようなことについても差が出ております。もちろん「娯楽や生活インフラが充実している」というデータも差がついておりますけれども、固定的な役割分担意識の違いということで差が出ている項目としては「他人の干渉が少ない」あるいは「多様な価値観が受け入れられる」として、データとして出てございます。
 ただ、正直に申し上げますと、全体としての数としてはそんなに大きくないということで、この数字が実際にどれぐらい厳密な意味を持つのかということについてはかなり議論があるという点は、そういう前提であると御説明させていただければと思います。
 以上が今回の調査の概要でございます。私どもとしましては、今回の調査結果をホームページやFacebook、Twitterなどの様々な広報媒体、広報誌等で掲載しまして、意識の解消を図っていきたいということとともに、この関係につきましては、地方公共団体や企業、メディアの皆様方向けのワークショップを開催しまして、この問題を介して理解を深めていきたいと考えてございます。
 また、事例集やチェックシート、あるいは既に作ってございますけれども固定的役割分担にとらわれないフリーイラスト素材の活用を促進するなど、無意識の思い込みであるアンコンシャス・バイアスの問題について引き続き取り組んでまいりたいと思います。
 私からの説明は以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 調査結果についての御意見と、もう一つは無意識の思い込みをどう解消していくのかという辺りの御意見を伺いたいのですが、まず最初に、1ページ目、これはテクニカルな話なのですが、調査対象なのですが、基本的に全国47都道府県を性別、年代別で均等に割り振るという各都道府県同じサンプル数で、セルも同じ人数という理解でいいのですか。

○畠山大臣官房審議官 そういう意味では、先生のおっしゃるとおりでございまして、各都道府県同じ人数を基本的に割り当てるということでありますので、例えば東京都とそれ以外、人口の少ない県とかと比べて重みをつけるということはないということでやっておりますものですから、調査としてもそういう前提があるということで御理解いただければと思ってございます。

○佐藤会長 もう一度確認で、各都道府県例えば1,000人としたとき、東京が1,000人だとすると、東京の男性500人、女性500人で1,000人で、20代50人、30代50人で、男性の20代50人あるいは女性の20代50人という分け方でいいのですか。

○畠山大臣官房審議官 そういう考え方でございます。

○佐藤会長 そうすると、積み上げた数字でいうと、都道府県別はいいのだけれども、積み上げると東京などはすごく複雑に出ているということね。都市部について。

○畠山大臣官房審議官 おっしゃるとおり、重みづけということを特に考慮せずにやっております。

○佐藤会長 そのことはいいのだけれども、それともう一つは、高齢層が実際よりも少なめに出ているのかな。人口ウエイトに高齢者も多いとすると。

○畠山大臣官房審議官 そういう傾向も当然あると思います。

○佐藤会長 何が言いたいかというと、特にその下の全体の数字を読むときに気をつけなくてはいけないのは、今みたいなことが、つまり、地方のウエイトが大きくなっているし、若い人が高齢者よりも実態よりも多くなっているということだよね。

○畠山大臣官房審議官 はい。

○佐藤会長 では、白波瀬さん、続けて。

○白波瀬委員 今の佐藤先生に同意です。これは全国のいわゆる無作為というよりもモニター調査ですので、逆に言えば、モニターのところで分布を出してもらわないと、ここに多分高齢者層が十分サンプルにはいっていない可能性もあります。今の佐藤先生の説明はどちらかというと全国を母集団としていて、とても正しいコメントなのですけれども、これは多分インターネットモニターと調査手法が記されていて、日本全体を母集団としたものではないとされていますので。

○佐藤会長 御指摘のとおりで、ただ、高齢者の割当て分は取っているのです。ただ、全体のモニターで取ると少ないのは事実。一般的に国調とかに丸をつけると、一番問題なのは学歴構成がモニター調査は高く出るのです。あとは、男女別とか年齢はコントロールできるのだけれども、学歴だけはコントロールしないと、高学歴の人が多くなるのは間違いないので、だから、単にこれも学歴層が高いなと。だから、間違っているというよりは、こういう調査のやり方でしたということを書いて、読み方の留意事項を入れた上でやる。
 あともう一つ、これは全体なのですが、アンコンシャス・バイアスで気をつけなければいけないのは、男性は仕事をして家計を支えるべきだと例えば回答者の50代の人が思っている。自分はそうやって生きた。誤解を恐れずに言うと、これは悪いわけではないのです。問題は、その人が管理職だったとして、自分の部下にそうすべきだと言ったり、あるいは部下がそうしないことをマイナスに評価するのが問題なのです。この辺が、こう思ってはいけないと誤解されることもあるので、もちろん夫婦でうまくいっていればいいのだけれども、あそこは個人がそう思っているということと、その価値観でほかの人の行動を評価したり、そうすることが望ましいと言うのは問題なのです。その辺は、自分がそう思っていたのはみんな悪いのだみたいになってしまうと、今度は逆に反発もあるので、やや誤解を恐れず言えばということです。
 それでは、皆さんの御意見を伺えればと思います。どなたからでも、最初は端から行きますか。
 では、白波瀬先生がいらっしゃるなら、白波瀬先生、お願いします。

○白波瀬委員 口火を切ってしまっていいですか。
 一つは、今、佐藤先生との関連で言わせていただいたのは、どちらかというとコンシャス・バイアスなのです。意識調査に関してです。ここでの結果をもってアンコンシャス・バイアス云々というところ議論を立てるのはなかなか難しいだろうということです。有識者の先生も関係しておられますし、それなりの理由はあると思います。でもこの結果をどう読むのかというのは、私も少しよい意味でも悪い意味でもコンセンサスを得て公表されたほうがいいように思います。すでに申し上げているように、この意識調査の結果をよし悪しで読んでいただくのは、恐らくそもそも論のフレームワークとしては違うかもしれないと思っています。
 以上です。

○佐藤会長 大崎さん、お願いします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 今、白波瀬先生がおっしゃってくださったことと同様の趣旨でございます。
 御報告の冒頭でも指摘いただきましたけれども、無意識のバイアスと意識的なステレオタイプ、ジェンダーバイアスというのはしっかりと分けるということが重要です。無意識のバイアスの問題は男女間賃金格差とも深く連動しています。無意識のバイアスが採用、登用、職務の割振に作用している。そこで、無意識のバイアスが作用しない人事等の仕組みをいかにつくるのかがポイントですから、そこをしっかり見ていく必要があると思います。
 一方、昨日の日経新聞のコラムが「無意識のバイアス根強く」というタイトルになっているのですが、この内閣府の調査が引用されていて、紹介されているのは意識レベルでの性別役割分業に基づく固定観念、先入観です。やはりこういう形で独り歩きしてしまうわけです。それと同日の昨日、今日御欠席ですが、東大の山口先生がコラムを書かれていて、リファラル不採用への有用性に言及されているのですが、アンコンシャス・バイアスが弊害になり得るということを述べておられます。こうした正しい認識が周知される必要があると思います。

○佐藤会長 やはり大崎さんが言われたように、管理職が無意識に、例えば短時間勤務の女性はこういう仕事は無理だろうと思って、よかれと思って仕事の割り振りで補助的な仕事を割り当てられるといったことがすごく起きてしまうので、そういうことが起きないようにどうするかという話も大事かなと思います。
 治部委員、お願いします。

○治部委員 私も全く同じなのですけれども、内閣府がやる調査というのは結構権威をもって世の中の人が引用します。それから、最近私もいろいろな地方公共団体の講演や男女共同参画センターの啓蒙の冊子、広報誌で認識バイアスに関するインタビューを受けるという機会が非常に増えています。恐らく日本人にとってなじみやすいなと思うのですが、差別ですと言われると、本当は差別している人でも差別ではないと言って、かえって話に抵抗を示してしまうという中で、それは無意識バイアスですと言ってあげると問題を指摘しやすいというような事情もあるのかなと思うのですけれども、大崎委員、白波瀬委員、佐藤先生もおっしゃっているとおり、やはり無意識バイアスと固定的男女役割分担意識とは明確に分けて発信しないと政府機関としてはまずいと私も思っております。その意味で、男性はこれこれ、女性はこれこれと思いますがと明示的に聞いてイエスというのは、これはずっと内閣府が調べている固定的性別役割分担意識であるということを改めて強調したいと思います。
 通常、無意識バイアスをはかる、これは企業研修、大学でも研修を最近やっておりますけれども、よく使うのが、これは多分ハーバードで作ったものではないかな。IATテストというものがあって、いろいろな言葉の組合せを何も考えずにどんどんやっていくのです。そうすると、表向きは自分は例えば共働きに賛成とか、女性は家庭、男性は外なんてことは思っていませんよと言っている人でさえ、例えば女性と仕事を結びつけるようなキーワードの文面に対しては反応が遅くなる。逆に男性と家庭を結びつけるような言語の分類は反応が遅くなる。つまり、それはまさに無意識でそのようなことが出てしまうということをはかるツールというものは既にありますし、日本の組織の中でも研修等で使われているので、無意識バイアスという場合にはそういったきちんと科学的に立証されたものを内閣府として使っていただきたいと思います。
 ただ、この調査自体は私は意味があると思っておりまして、つまり、日本の社会全体はまだ無意識バイアスを論じる段階ではないのではないかと思うのです。これは佐藤先生もおっしゃいましたが、高学歴の方に女性に家庭にいるべきだと思いますかと言われたら、建前上ノーと言う人は結構多いです。私も大学に勤めるようになって、皆さんよく意識レベルでトレーニングされているのでノーと言うのですけれども、ただ一方で、この会議の中でも地方からいらしている委員の方もいらっしゃいますけれども、地方においては、いまだに女性で若い人が働いていると、まだ結婚はしないのかみたいなことを言われたりする。これはバイアスというのか、差別というのか分かりませんが、こういういろいろなレイヤーの人たちがいる中で何をどう問題視するのかというところはやはり政府の仕事としてきちんとやっていただきたいと思います。
 最後になりますが、これも佐藤先生のおっしゃるとおりで、個人がどのような価値観を持っているか自由である。どうしたいかはそこの家の自由で、勝手にやっていただければいいのですけれども、何が問題かというと、その人が権力を発揮するときに、自分と異なる価値観を持っている人に対して、まさに無意識的に抑圧するとか差別的に扱うというところに問題がある。この辺りのところを、お分かりだと思うのですけれども、内閣府は的確に言語化してぜひ発信していただきたいと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 佐々木さん、お願いします。

○佐々木委員 画面を共有させていただきます。
 私のほうから、科学技術の発展に寄与する120学会が加盟している男女共同参画学協会連絡会の行った大規模アンケートの自由回答から見えるアンコンシャス・バイアスのデータを紹介したいと思います。
 今日お話しすることは、学会のホームページの無意識のバイアスコーナーに載っておりますので、ぜひ御覧ください。
 今回の回答者は大体2万人くらいのアンケート調査なのですけれども、その中の自由回答者3,719の内容を調査したものです。
 回答から見えてきた人事に関わるようなアンコンシャス・バイアスとして、女性は男性に比べて能力が劣るとか、女性は組織になじまない、女性にはリーダーが務まらない、女性は責任ある地位を望まないなどがありました。
 また、国のほうで女性研究者の数値目標を設定していただいておりますが、それに関する自由回答で、実は女性の反対意見が55%、男性が反対意見が70%という結果が見えてきております。
 反対意見の内容ですけれども、弊害が出る、これは多分レベルが下がるとかという意見だと思います。あと、不公平、逆差別、公平な人事ではないというような回答が占めております。
 実際にアンコンシャス・バイアスを直していくためにはデータを出しながら正していく必要があって、今回時間がないので詳細なデータはホームページを見ていただきたいのですけれども、学問のレベルが下がるのかについては、下がるという統計的根拠がない。現在の人事は公平に行われているのかについては、助教の採用が博士取得者の女性率の5~12%下がるので不公平ではない。育児をしない女性は男性と同列とみなすべきなのかについては、子供を持たない女性でもジェンダーギャップがあり、子供があると9年ぐらいの遅れがあるのですけれども、子供なしでも7年の遅れが見られています。また、数値目標は不当に高く設定されているのかについては、我々の解析では控えめである。女性枠は男性研究者の就職を妨げているのか。新規採用者の女性比率は2014年から横ばいなので妨げていないということで、今回、内閣府でいろいろアンケートをされていますが、やはりちゃんとアンコンシャスバイアスに対して違うというデータを見せながら、みんなの意識を変えていかなくてはいけないと思います。

○佐藤会長 ありがとうございました。
 それでは井上委員、次にお願いします。

○井上委員 本日内閣府から出された資料には、性別による無意識の思い込みに括弧をつけて、アンコンシャス・バイアスと記載されていますが、無意識の思い込みだけでは不十分であるため、「偏見・無意識の思い込み」とするなど、偏見ということをきちんと記載していただきたいと思います。アンコンシャス・バイアスは、単に思い込みにとどまらず、今までの生活、習慣で無意識にできている考え、一種の偏見であり、連合でもこの点も踏まえ、アンコンシャス・バイアスを使うときには偏見という言葉を入れるようにしています。
本日ご説明いただいた、資料・アンコンシャス・バイアスに関する調査結果をみると、
「男性は出産休暇/育児休業を取るべきではない」「仕事より育児を優先する男性は仕事へのやる気が低い」というのがあるのですけれども、これは育児休暇を取得しようとする男性に取得を許さない、あるいは嫌がらせなどをするマタニティハラスメントに該当することだと思うのです。なので、そこを注意していかないと、何でもかんでもアンコンシャス・バイアスにまとめられてしまうと、均等法に違反するようなことなども入ってきていますので、きちんと整理をした上で、これからホームページなり、SNSなり、何かガイドブックを作る時には、注意をして取り組みを進めていただければと思います。
 また、先ほど冒頭のところで発言ができなかったので、発言をしたいのですが、参考資料4でこれまでの議論の整理ということで事務局から説明がありましたが、ここに記載されている内容はこの間の委員の発言の内容であって、委員の合意が取れたものではないと思うのです。なので、これが単体で外に行った場合は誤解を生む可能性もあると思いますので、タイトル自体を専門調査会で委員から出された意見を論点ごとに整理したものとか、注記をしていただかないと、間違った方向に向かってしまうのではないかと思いますので、変更をお願いしたいと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 最後の点は結構大事で、確かにあれは最後の報告書としてまとめたものではないので、いろいろな意見があったということなので、その辺は御留意いただきたいと思います。井上委員の御指摘はすごく大事だと思います。
 皆さんが言われたように、アンコンシャス・バイアスは男女差別というよりもっと、バイアスというと、基本的に先ほどの心理学でやっているようなものでいうと、必ず全員を取っているというのがバイアスなのです。これを差別だと言ってしまうのはちょっと問題なので、差別と言える部分はあるのだけれども、アンコンシャス・バイアスを誰が持っているというのは心理学のほうのテストのあれなのね。だから、その辺もこれから整理していくことも必要かなと思います。
 あと、ちょっと言うと、最近企業がアンコンシャス研修をやり始めているのですけれども、では、企業は今までやってなかったのかというと、僕は人事管理専門ですが、実は管理職だとみんな研修を受けているのです。何か言うと、例えば課長になると部下の人事考課をしますよね。なので、人事考課でバイアスが入らないようにということで、人事考課者研修というものをやっているのです。これはもちろん男女ということではないのですけれども、例えば半年間の評価をするときに、最近1か月すごく業績を上げている。近いものに引きずられて、その前はあまりよくなくてもよく評価してしまうとか、そういうふうに幾つかバイアスといういろいろものについて研修をしているので、それを男女に関わるようなものを少し広げるというようなことをやっていくことがこれから大事なのかなと思います。
 それでは、続きまして、2つ目の議題として男女間の賃金格差のテーマに移りたいと思います。どうぞ。

○石黒委員 事前に御説明があった女性管理職の登用に関してのところで、アンコンシャス・バイアスで女性のほうが管理職になりたくないという答えがあったのですけれども、今、御説明の中になくて、これでアンコンシャス・バイアスが終わるのであれば、それに関して意見を申し上げたいと思うのですが。

○佐藤会長 女性自身が自分に対するというのもいろいろあるよね。そういう話かな。

○石黒委員 そうです。事前では御説明があって、結構それは大事かなと私は思っていて、女性の管理職の登用に関して、登用できない理由の中にほぼ100%出てくるのが、雇用しようとする女性が、いやいや、私は管理職になりたくないですとおっしゃるというのがどこの企業さんでもあるのです。それも事前説明で上がったのですけれども、そこで気づかされたことは、こういう調査で私も初めてそれを聞いたのですけれども、よく考えますのは、男性に聞いていないということなのです。確かにこれは管理職になりたいですかという女性に対する質問なのですけれども、同じ質問を男性に対して行っているときは実はあるのです。ただ、違う文脈で、例えばIT企業に関してよくあるのですけれども、男性が管理職になりたいというか管理職にしてあげたいのだけれども、それを断る人がすごくたくさんいるのです。なぜかというと、彼らはエンジニア、特にプログラマーでずっとやっていきたいとか、いわゆる管理業務をしたくない。エンジニアとかクリエイターの人に多いのですけれども、ただ、この質問は違う文脈の質問なのです。ですから、同じ質問を男性にしていないと思います。
 ですから、例えばIT企業だとアメリカのようにプログラマーとして50代でも60代でもピンで出せるプログラマーになりたいという人がすごく多くて、そういう人にキャリアパスを用意するという流れになっているのですが、本当はそれは違う話をされているので、特に女性の管理職の登用に関して、必ずある意味言い訳が出てくるのですけれども、それは、男性側に同じ質問を本当にしているかというと、していないということを改めて気づかされたので、もしかすると割合としては女性のほうが今の段階では少ないかもしれないのですけれども、ここは非常に重要なポイントだと思いますので、これはやはりアンコンシャス・バイアスにつながっているということをもう少し周知徹底をしたほうがいい。
 私も企業側からそうやって、いや、女性はなりたくないんだよと言われてしまうと、それは仕方がないのかなと思ってしまうのですけれども、いやいや、違いますと。男性の中にも管理職になりたくない人はいます。そういう文脈で女性も断っているかもしれないということを認識したほうがいいかなと思います。
 以上です。

○佐藤会長 石黒さんが言われるように、時系列を見ると、男性も、これはアンコンシャス・バイアスの文脈ではなく、いわゆる既存の管理職になりたいという人は男性も落ちてきます。ただし、女性と比べるとまだ男性のほうが多いのです。それぞれに、例えば女性になぜなりたくないですかというと、一番多いのはやはり管理職の働き方に問題があるからなのです。管理職になりたい気持ちはあるけれども、なったらあの働き方はとてもできない。そういうのは僕は常識的な当たり前の反応かなと思うのですけれども、そういう意味で、管理職の働き方を変えていかない限り、なかなか女性は管理職になって活躍しようとは思わない。そうすると専門職みたいな話になりますよね。僕はそれを悪いと言うわけではないですけれども、管理職にもなれるシステムを用意しながら女性も選ぶ。男性も逆に言えば、管理職だけというのもまた問題なのですけれども、こういう逆のバイアスもあるので、その辺も多様化していく必要があるかなと思います。
 白波瀬委員、お願いします。

○白波瀬委員 石黒委員から御指摘があった点です。これはたしかどこかで話したと思うのですけれども、おっしゃるとおりだと思います。ご指摘をありがとうございます。
 まず、このデータの結果をもって、女性が管理職に向いていない根拠にしていただきたくないですね。まず同様の質問を男性に尋ねてきていません。たしか同様の質問に対する男性の答えは、3分の1程度が管理職になりたいということだったと思うのです。9割がイエスと言っていません。男性も3分の1。多数派ではないということもあります。今おっしゃっていただいて、これはアンコンシャスとも関連しますし、石黒さんがおっしゃったことはとても正しいと思います。

○石黒委員 アンコンシャスではないと思うのですけれども、企業側がある意味ではアンコンシャスなのかと思います。

○佐藤会長 それはありますね。

○白波瀬委員 それを企業側が正当化してしまったら困るというか、そこではないでしょうという話です。では女性は何に合うのかということになりますが、専門職に就いても、おっしゃったとおりで、女性の場合は専門家としてピンで立ちたいと思いながら選択し仕事をしていけているかというと、実はそこにはまたダブルスタンダードがあっても障壁があります。でも本来であればそういう選択であるべきだと私は思うので、ここは実のところ足元のところで実質的な問題があるともいえます。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 今日皆さんの御意見を伺うと、いろいろ大事な御意見を出していただいて、一つはこの調査のいわゆる調査の仕方による。ある意味でバイアスを意識的にえぐっているので、どう読んだらいいかということを出していくことと、もう一つは、治部さんが言うように男女差別的な項目もあれば、役割分業意識みたいな意識を聞いている部分とバイアスの部分が混ざっているので、この辺を少し整理して分かるように出す。調査自体は使えるのですけれども、やはり気をつけないと使い方が間違ってしまうということがあると思いますので、その辺をこれから少し説明するものを作って出していったらいいかなと思います。貴重な御意見をどうもありがとうございました。
 それでは、議題(2)に入りますが、その前に、和田義明内閣府副大臣が御参加いただいていますので、一言御挨拶いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○和田内閣府副大臣 ありがとうございます。
 先生方、いつもお世話になっております。内閣府で女性活躍・男女共同参画を担当しております副大臣の和田義明でございます。
 佐藤博樹座長をはじめ、委員の先生方におかれましては、大変御多忙のところ、御参加いただきまして誠にありがとうございます。
 本調査会における議論は、来年6月を目途とします女性版骨太の方針2023、また、G7栃木県日光男女共同参画・女性活躍担当大臣会合につながっていくものでございます。委員の皆様方の御意見は極めて重要なものと考えております。
 特に男女間の賃金格差につきましては、新しい資本主義の中核である女性の経済的自立の実現に向けた最重要課題でありまして、各府省一体となって取り組んでいるところでございます。その是正に向けて残された課題は何か、さらに何をしなければいけないか、その点について御議論をいただければと思っております。
 あと、私ごとになってしまうのですけれども、私個人としても、副大臣就任前から党のほうで男性の育休の取得推進に取り組んでまいりました。また、現在も本調査会の委員であられます治部准教授をはじめ、有識者の皆様方に私的勉強会でお力をいただいておりまして、この問題の解決についても取り組んでいるところでございます。
 本日は大変限られた時間にはなりますけれども、皆様方の専門的なお立場からぜひ忌憚のない御意見をいただければと思います。本日の議論を通じて、女性の経済的自立に向けた取組の力強い後押しを頂戴しますよう、心からお願いをしまして、私の御挨拶に代えさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○佐藤会長 和田副大臣、どうもありがとうございました。
 それでは、今、大臣からも言及いただきました男女間の賃金格差のテーマに移りたいと思います。
 初めに、厚生労働省の村山雇用環境・均等局長から資料2に基づいて御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○村山雇用環境・均等局長 よろしくお願いいたします。厚生労働省の担当の局長の村山でございます。
 本日、事務局から10分間程度で説明をと伺っておりますので、資料2につきまして、これから10分間程度、13時50分頃まで御説明をさしあげたいと思います。
 今、表紙を映しておりますけれども、男女間の賃金の差異の情報公表につきまして、制度改正の背景、経緯、改正内容、また、関連の事業について御説明をさしあげたいと思います。
 今、画面を切り換えましたが、日英独仏の男女間賃金格差についてのOECDのデータでございます。我が国の男女間の賃金格差は長期的に縮小傾向にございますが、欧州の主要国と比べると大きい状況ということでございます。最新の数字22.1というのは、男性を100にしたとき、女性が77.9なので、その差が22.1ということを示しております。ヨーロッパの主要国、イギリス、ドイツ等は10前半にとどまっております。ちなみにアメリカが17.7ぐらい、韓国が31.5ぐらいということでございます。
 もう一つ、留意事項として、資料の下のところにございますように、国際比較をするときは各国のフルタイム労働者について比較をすることが一般になっているということで、ここは後ほど御説明をさしあげます日本の制度化との関係で一つの留意事項かと存じます。
 続きまして、2枚目のスライドで、男女賃金格差の要因についてでございます。
 右側の表を見ていただきますと、「男女間賃金格差の要因(単純分析)」となっておりますが、これは各事項それぞれ、役職であれば役職について男性と女性が同じであると仮定した場合に格差がどの程度縮小するのかを示したものでして、現行の75.2が、役職が部長級、課長級、係長級、みんな男女同じく昇進しているとすれば9.8縮小するということで、それだけ役職の違いというのは要因として大きいことを示しています。その次に大きいのは勤続年数の4.1ということでございます。
 ちなみに、この数字は毎年私どもの「働く女性の実情」という冊子の中で公表しておりまして、女性活躍推進法の制定に当たってもベーシックなデータになったものでございます。
 以上が現状についての説明でございます。
 続きまして、制度改正の経緯でございます。先ほど和田副大臣から御言及がございましたが、新しい資本主義の中で大きなテーマになっているということで、さきの通常国会における総理の施政方針の中で、「男女の賃金格差も大きなテーマです。この問題の是正に向け、企業の開示ルールを見直します。」という言及があり、1つ飛ばして一番下ですが、予算委員会の質疑におきまして、総理から、「依然として男女間賃金格差が大きい状況も踏まえ、同法のスキームがさらに実効あるものとなるよう、御指摘のように男女間賃金格差そのものの開示を充実する制度の見直しについて、具体的に検討し、速やかに着手してまいりたい。」という答弁が1月の段階であり、それを受けて逐次議論が進んでいったということでございます。
 男女共同参画会議を含め、様々な会議体で議論が深められましたが、中心となりましたのは新しい資本主義の実現会議で、そのグランドデザイン及び実行計画が議論を踏まえて6月7日に政府の方針として閣議決定されてございます。
 Ⅲの1ポツ(5)②の男女間の賃金差異の開示義務化を、地の文の3行目にございますように、女性活躍推進法に基づき開示の義務化を行うとされ、そして、2つ目のポツにございますように、男女の賃金の差異は、全労働者について、絶対額ではなく男性の賃金に対する女性の賃金の割合で開示を求めることとする。加えて、同様の割合を正規・非正規雇用に分けて開示を求めるとされました。これは雇用形態の格差是正が我が国の大きな課題となっているということを踏まえた我が国独自の方法です。
 1つ飛ばして、対象事業主は、常時雇用する労働者301人以上の事業主とされました。当時、1万7650社ぐらいの企業が対象になったということです。ちなみに、101~300人の事業主については、施行の状況等を踏まえて検討を行うということにされております。
 このように政府全体の方針が定められ、厚生労働省におきまして、民間部門における男女賃金差異の公表についてどのようにしていくのかという具体策を検討し、公労使三者構成の労働政策審議会で集中的な調査審議を行っていただき、その合意事項を踏まえ、7月8日に省令の改正を公布、施行したところでございます。その概要について、今出しておりますスライドで御説明をさしあげたいと思います。
 まず、情報公表項目の中に「男女の賃金の差異」を追加し、特に先ほどの政府方針にございましたように、301人以上の規模の企業では必ず開示していただく項目とする。それから、101~300人の規模の企業でも、現在、一定の開示は義務づけられておりますが、選択の項目の一つとする。それに満たない規模の企業に関しては努力義務とする等の内容が定められたところです。
 続きまして、具体的にどのように差異を公表するかということで、ホームページや説明会用のパンフレット、リーフレット等に書かせていただいている内容ですが、先ほど申しましたように、いつ公表日なのかを明示した上で、男女の賃金の差異につき、全労働者について、そして、そのうちのいわゆる正社員の方について、また、そのうちのパート・有期社員の方について、それぞれ男性の賃金に対する女性の賃金の割合の数値を公表していただくということです。それから、対象期間をきちんと書いていただくということをお願いしているところです。
 また、一番最後の吹き出しのところにございますように、自社の実情を正しく御理解いただくために、説明欄を有効活用することを奨めております。
 この具体的な内容が今出したスライドでございますけれども、男女の賃金の差異に関する数字の比較だけでは全体像が分からないということもありますので、より詳細な情報や補足的な情報を公表することを可能としているところです。
 具体的には、任意の追加的な情報公表の例の最初のところにございますように、例えば女性活躍推進の観点から女性の新卒採用を強化した結果、例年と比べて相対的に賃金水準の低い女性労働者が増え、男女間賃金格差が一時的に拡大したといった御事情がある場合、そういったことも書いていただいて求職者等の理解につなげていただくことをお勧めしているところでございます。
 さらに、関連の事業についてでございます。この公表は自社のホームページで行っていただいても差し支えないわけですが、一覧性を担保するために厚労省で運営しております女性の活躍推進企業データベースでの公表をお勧めしており、既に多くの企業様に御利用いただいているところでございます。こうした中でもより賃金格差の問題を御理解いただけるように、例えば各種の説明会等におきまして、学生等の求職者が男女間賃金格差に着目した企業選択を行うような周知・啓発に努めるですとか、あるいはデータベースの機能強化、コンテンツの充実を図る等の予算要求を概算要求の中で行っているところでございます。
 あわせまして、関連事業といたしまして、管理職比率や勤続年数の状況把握、また、課題把握を改めて深めていただきまして、女性活躍推進の取組を強化していただくように、説明会やコンサルティングの予算の増額もお願いしております。
 最後になりましたが、口頭での紹介になりますけれども、7月の施行後、既に男女間賃金格差を公表してくださっている企業も続々と出ております。固有名詞は避けつつ、2つほど実例を御紹介したいと思います。
 一つの例はグローバルな大企業で、全体の賃金格差は75%、差の部分が25%ということでございます。うち正規が74%、非正規が101%ぐらいとなっておりまして、非正規のほうはほとんど男女同じということでございますが、正規について26ポイントぐらい差があり、その原因は女性管理職が少ないためと認識されている。その一方で、管理職の中でも男女の賃金格差というのは、これは制度上は公表を求めていないわけですけれども、参考欄のところに98%ということで、管理職になった方はそんなに男女間格差はないのだけれども、今はまだ管理職登用を伸ばす途中であることなどを記されている例がございます。
 また、もう一つの例ですが、地方都市の宿泊業の例でございます。こちらは全体が48%ということで、うち正規が64%、非正規が93%となっている企業でございます。この企業は女性採用を近年拡大しているけれども、まだ勤続年数が積み上がっていないので、管理職も出ていないし、勤続年数自体が短いということを書かれております。この企業ではキャリア支援とともに非正規雇用の方の正規雇用の転換等について取り組んでいるというようなことを書かれている実例です。
 以上、雑駁でございますけれども、よろしくお願いいたします。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 開示の仕組みと実際に取り組んでいる企業の事例を御紹介いただきました。これについては後でまた御意見を伺うこととします。
 続きまして、金融庁の井上企画市場局審議官から、資料3で御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○井上企画市場局審議官 佐藤会長、ありがとうございます。金融庁企画市場局審議官の井上です。
 私からは、金融商品取引法に基づく男女間賃金格差の改善について御説明させていただきます。
 スライドの1ページをお願いします。
 男女間賃金格差の開示に関する政府の方針としましては、先ほど厚労省からも御説明がございましたけれども、金融庁関係の抜粋をここにつけさせていただいております。本年6月3日に閣議決定されております新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画、それから、女性版骨太の方針2022において、下のほうの青字のところでございますけれども、「金融商品取引法に基づく有価証券報告書の記載事項にも、女性活躍推進法に基づく開示の記載と同様のものを開示するよう求める」ということが掲げられております。これに基づきまして、我々としましても内閣府男女共同参画局、厚労省と緊密な連携を取りつつ準備を進めているところでございます。
 2ページ目をお願いします。
 金融庁におきましては、昨年6月に金融担当大臣から金融審議会に対してディスクロージャーの在り方、金融情報開示の在り方について検討を行うように諮問がなされまして、昨年9月からディスクロージャーワーキング・グループにおいて有価証券報告書におけるサステナビリティ情報等の開示の在り方の検討を進めてまいりました。
 その結果をこの6月に報告書としてまとめていただいておりまして、このスライドがその概要になります。内容としましては、左側のほう、大きく非財務情報開示の充実と開示の効率化についての審議の取りまとめをいただいておりまして、非財務情報開示の充実のうち、サステナビリティ開示について、全般として記載欄を有価証券報告書に新設、あるいは人的資本、多様性について記載項目を追加するということが提言されております。
 その中でも赤線を引いていますけれども、今回の会合のテーマでございます男女間賃金格差をはじめ、女性管理職比率、男性育休取得率といったものを記載項目に追加するということが提言されています。
 1つ目の男女間賃金格差につきましては、もともと有価証券報告書においても男女別の平均給与の開示が行われていたところですけれども、連結決算に移行する過程で、合理化ということで1999年3月来で一旦廃止としておりました。その後、20年ほど有価証券報告書において義務的な開示とはなっておりませんで、一部の企業で自主的な開示が行われているという状況でございました。こうした中、先ほど厚労省からも御説明がございましたけれども、本年7月から女性活躍推進法において常用労働者301人以上の企業について男女の賃金の差異が公表されることとなったということも踏まえて検討を行っているところでございます。
 女性管理職比率につきましては、昨年6月のコーポレートガバナンス・コードの改定によりまして、補充原則において上場会社は女性等の管理職への登用と中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方と自主的かつ測定可能な目標を示すとともに、その状況を開示すべきとされておりまして、これをベースに御議論いただいた結果でございます。
 男性育休取得率につきましても、2020年5月に閣議決定されております少子化社会対策大綱等におきまして、有価証券報告書などの企業公表文書への育休取得率の記載を促すなどということが書かれていることで、それらを背景に御議論いただいて、これらの指標というのは投資家にとっても投資判断に重要な指標であるというようなことで御議論いただいた結果、提言にまとめられたということでございます。
 3ページをお願いします。
 このディスクロージャーワーキング・グループの提言を踏まえまして、金融庁で現在内閣府令の改正等の所要の準備を進めております。
 まず、有価証券報告書にサステナビリティ情報の記載欄を新設し、人的資本、多様性についての開示を進めるということでございます。
 この内閣府令の改正につきましては、改正案を昨日11月7日から来月12月7日までパブリックコメント手続きに付させていただいております。
 施行時期につきましては、2023年3月期の有価証券報告書、我が国の3月期決算企業では6月に出てくるものということですけれども、そこから適用していただくことを予定しております。
 多様性につきまして、具体的には左の有価証券報告書のほうですけれども、「第一部 企業情報」の「第1 企業の概況」の従業員の状況の中に開示項目として、既存の項目に加えまして、赤線を引いております女性管理職比率、男性育休取得率及び男女間賃金格差について開示項目として追加することとしております。
 4ページをお願いします。
 こちらは御参考ですけれども、サステナビリティ開示の今回の改正全体の概要になります。基本的にはサステナビリティ全般共通でガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標という4つの柱に沿って開示していただくということですけれども、その中でも、スライドの一番下のところですけれども、男女間賃金格差等の多様性に関する開示項目について記載していただくということを予定しております。
 最後、スライドの5ページをお願いします。
 ここからは実際の開示のイメージを御紹介したいと思います。企業のほうからもどのように記載すればよいのかというような声も聞かれていますので、有価証券報告書における多様性に関する指標の記載例を載せさせていただいております。いずれの指標も企業の厚生労働省の女性活躍推進法ないし育児・介護休業法で公表しているものと定義を合わせる形で、同じ内容を有価証券報告書にも記載していただくといったイメージを予定しております。
 女性活躍推進法または育児・介護休業法に基づいて、女性管理職比率、男性の育休取得率及び男女間賃金格差の公表を行っている企業は、有価証券報告書においても開示をしていただくことを予定しております。具体的には有価証券報告書の従業員の状況の欄に提出会社及び指標を公表した連結子会社について、多様性に関する指標をそれぞれ記載していただくようなイメージになります。ここで、男女間賃金格差については、全労働者のうち、正規雇用労働者とパート・有期労働者の内訳で記載していただくことを考えております。
 なお、脚注の3、下のほう、ちょっと細かい字で恐縮ですが、数値の背景、各社の取組、目標をより正確に理解できるよう、任意でより詳細な情報や補足的な情報も記載していただくことも可能とすることを予定しております。
 以上、有価証券報告書における男女間賃金格差に関する今後の見直しの方向性について御説明させていただきました。御清聴ありがとうございました。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、内閣府の岡田男女共同参画局長から、資料4について御説明いただければと思います。お願いします。

○岡田男女共同参画局長 内閣府でございます。
 資料4に沿いまして、公務部門におけます男女の給与の差異の公表に関する方針につきまして説明させていただきます。
 次のスライドでございます。
 先ほどから御覧いただいておりますけれども、今年6月の重点方針、女性版骨太の方針とありますけれども、男女間賃金格差の情報の開示のところですが、一番下のポツのところを御覧いただければと思います。国・地方公共団体についても同様に女性活躍推進法に基づく開示を行うということで決定されてございます。
 次のスライドでございます。
 女性活躍推進法に基づきます情報公表につきまして、特定事業主関係でございますけれども、現行制度としましては、先ほど民間企業の場合は厚生労働省さんからお話がございましたが、同じようなことでございますけれども、特定事業主は女性の職業選択に資するよう、機会の提供に関する実績、両立に資する雇用環境の整備に関する実績の各区分から1項目以上を公表するということになっております。
 また、状況の把握・課題の分析を実施するということになってございます。
 これに今回職員の給与の男女の差異を追加するということでございます。
 次のスライドを御覧いただきます。
 今までは、上の6項目の中から1項目以上を公表する、下の7項目の中からまた1項目以上を公表するということになっておりましたけれども、このほかにも職員の給与の男女の差異を新たに必須項目とするということでございます。
 次のスライドは状況把握・分析に係る改正事項についてでございますけれども、これにつきましても職員の給与の男女の差異というものを新たに必須項目とするということでございます。
 次のスライドでございます。
 公務部門での差異の公表におけます基本的な考え方とありますけれども、原則、民間企業における開示の内容と同様としまして、その上で、公務の特殊性を勘案しつつ、必要に応じて個別に調整する。
 また、女活法に基づく情報公表というのは、求職者などに対して各機関が比較可能な形で情報を提供するということが目的でございますので、開示の内容・方法についての基本的な部分については、共通ルールの下で実施する。
 ただ、次ですけれども、国・地方公共団体の各機関のそれぞれの様々な特性、実情もございます。それらを踏まえつつ、運用可能な制度設計が必要ということで、この考え方に基づいて設計いたしております。
 次のスライドをお願いします。
 職員区分でございます。先ほど申し上げましたが、民間企業における開示の内容と同様ということでございますけれども、民間部門と比較可能なものとするという観点から、職員の区分としては、任期の定めがあるか否か、常勤か否かをメルクマールとするということで、具体的には下の表を御覧いただければと思いますけれども、任期の定めのない常勤職員とそれ以外の職員、それぞれを合わせた全職員、この3区分で公表するということでございます。更に詳細な区分による公表も可能としております。
 情報公表のイメージでありますけれども、この御覧いただくような形で公表することをイメージしております。
 次ですけれども、公表の対象となる機関になりますが、民間部門であれば、下の表のとおり、常時雇用する労働者が301人以上の事業主が今回対象になっておりますけれども、公務部門におきましては、ほかの情報公表項目と同様に原則全ての特定事業主を対象とするということでございます。
 ただ、※ですけれども、特定事業主には、都道府県・市区町村が共同して設ける広域連合や一部事務組合も含まれるものですから、情報公表の対象者が少ないことにより、特定の職員の給与が推測し得る場合として当該特定事業主が判断する場合には、情報公表の対象外とするということもあり得るということでございます。
 給与の範囲について御説明いたします。こちらも民間部門と考え方は同じでございます。民間部門の場合は、使用者が労働者に支払う全てのもの(基本給、手当、賞与、超過勤務手当等)が対象であり、退職手当、通勤手当などは、企業判断により除外可となっておりますけれども、国・地方公共団体の場合は通勤手当などの実費経費や退職手当は除くということにさせていただきます。
 次のスライドであります。
 イメージでございます。計算方法でありますけれども、任期の定めのない常勤職員、任期の定めのない常勤職員以外の職員、全ての職員ということでありますけれども、それぞれの区分について、女性の平均年間給与、男性の平均年間給与を計算しまして、その比を取るということでございます。
 次のスライドでございます。
 非常に細かい話ですけれども、各月のお給料の支払いにおいてお給料を支給した職員数の平均を用いて計算をしております。
 次のスライドでございます。
 3つの区分で公表するということを申し上げました。追加的な情報の公表でございますが、任期の定めのない常勤職員の区分については役職段階別に算出する。また、勤続5年ごとの区分でも算出するということでございます。
 また、各機関の実情に応じて更に詳細な情報公表も可能ということでございまして、先に公表イメージを見ていただければお分かりいただけるかと思いますけれども、役職段階別ですと、指定職相当、本省課室長相当職、地方機関課長・本省課長補佐相当職、係長相当職の4つの役職段階別に出すということ。勤続年数別では5年ごとに出すということでございます。
 1枚もう一回戻っていただきまして、この①につきましては、地方公共団体では本庁部局長・次長相当職、本庁課長相当職といったように同じような形で役職段階別に算出することとしてございます。
 次のスライドをお願いします。
 また、先ほど厚生労働省さんからもお話がありましたけれども、説明欄を活用して男女の給与の差異の数値のみでは説明が困難な状況等について、より詳細・補足的な情報を公表することができるということとしております。
 例えばでありますけれども、扶養手当や住居手当などについて、世帯主や住居の契約者として男性の職員による受給が多くなっている。これは金額的に少し増えるということでございますので、そういったものがあるですとか、相対的に男性の超過勤務時間が長いために、超過勤務手当の分多く給与が支払われている場合があるとか、そういったことを分析したことを書いていただくことができるというものでございます。
 いつ情報を公表するかということでございます。先ほど厚労省さんから既に事業年度が終わって公表されている企業様があるということでございますけれども、公務部門の場合は、最初の公表については今年度の実績について来年6月までに公表するということとしております。
 次のスライドであります。
 今回、国・地方公共団体全部の特定事業主が公表することになりますので、国の機関においては人事・給与システムなどを効果的に活用する。また、地方公共団体への支援を的確に行うということを考えてございます。
 今、駆け足で簡単に骨子を申し上げましたけれども、これらについて、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく特定事業主行動計画の策定等に係る内閣府令の一部を改正する内閣府令」、また、「事業主行動計画策定指針の一部を改正する告示」の改正が今後行われることになります。現在、それらのパブリックコメント中でございまして、パブリックコメントの後、本年12月中旬に公布し、来年4月に施行し、来年6月までに情報公表が実施できるように進めていきたいと考えております。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 この後、いつものように少し休憩してから御質問を伺いますが、基本的に男女賃金の公表の仕組みができてきて、取りあえずこれから運用していくということですので、多分それをどう女性の賃金格差を解消していくのに活用していくかということがすごく大事になりますと思いますので、その辺について御意見を伺えればと思います。
 それでは、いつものとおり、オンライン会議は普通よりはすごく疲れるということで、副大臣もいらっしゃっているのですが、5分休憩ということで、15分ちょっと前ぐらいから再開して、皆さんから御意見を伺えればと思います。

(休  憩)

○佐藤会長 それでは、今までの御説明について、男女の賃金格差の開示が始まるということで、先ほどの説明欄はすごく大事で、なぜそういう格差があって、これをどう変えていくのかということを企業にも考えていただくというのはすごく大事だと思いますので、もちろん開示の仕組みについて、これは始まったばかりですので、すぐは変えられません。
 それでは、御質問がある方は手を挙げていただければ。
 では、徳倉委員、お願いいたします。

○徳倉委員 ありがとうございます。ファザーリング・ジャパンの徳倉でございます。
 私は半分質問、半分意見という形で、厚労省さんと内閣府さんになのですが、私は今、四国の香川県に住んでおりまして、どちらかというと地方の企業の研修をオンラインで、西日本とか北陸とかにすごく御依頼いただいて、全国オンラインでさせていただいたり、今は現地に行かせていただいているのですが、この公表ということでも非常に地方の企業は、300人企業ではないけれども、段階的に100人以上というのは上げられるだろうということで、非常に注意深く、また関心高く取り組み始めているという非常にいい波が来ているのですけれども、では、これを公表していったその先です。これと同時にどういうステップでこの賃金格差を解消していく方法があるのかという方法論をぜひ同じタイミングで来年度の早い段階で、業種、業態、地域差はもちろんあると思いますけれども、こういう取組でうまくいっている、探せば個別の事例はちょっとずつ出てきているのですけれども、ある程度国のガイドラインというとおかしいですけれども、こういうことから取り組んでいきましょうみたいなものとセットにして公表を進めていく仕組みというのを厚労省さん、内閣府さんが連携していただきながら進めていくという機会をぜひ設けていただくことによって、地方の企業はやはりこういうことは開示を何とかするけれども、そこから何をしていいのかと。やはりそこがリソースが割けないので、そこのリソースを国の予算を使いながら進めていくというところをぜひセットにして、より強く進んでいただきたいなと思います。
 以上になります。

○佐藤会長 厚労省はコンサルティング事業もセットでやるようですので、それはまた後で御説明いただければと思います。それでは、ほかにはいかがでしょうか。
 治部委員、お願いいたします。

○治部委員 ありがとうございます。
 今の徳倉委員のお話、企業にとってこの情報開示が一体何なのかというところに関連して、ぜひ政府にお願いしたいことがあります。それは、もちろんこの男女間賃金格差の開示というのは、情報開示をもってどれだけ今、男女間格差があるかということを明らかにし、普通、情報が明らかになるとちゃんとしなくてはと思うのが良心のある人間なので、男女平等を進めていくということは特に内閣府男女局の会議の趣旨かと思うのです。
 私、経済記者なものですから、経済の理屈でもってなぜこれが必要かというのを少し情報提供させていただきたいと思います。画面共有をいたします。
 我々の年金を運用しているGPIFがあります。GPIFのような大きな年金基金、世界中の年金基金などの大きなところは、やはりサステーナブルな持続可能な投資ということを特にリーマンショック後はやっているわけです。その中でも、特に環境については盛んに報道されているのですけれども、ESG投資の中のSにジェンダーの話が入ってきているということがあります。御存じの方には釈迦に説法ですけれども、特にSの中でジェンダーが扱われることがあって、少なくともGPIFが公開しているESG指数の中に日本の企業を対象にした女性活躍指数と、日本を除いた先進国に対する投資というものがあります。
 それで、御覧いただきたいのが一番右端のところなのですけれども、モーニングスター先進国を除く日本ジェンダーダイバーシティー指数ということなのですが、モーニングスターはアメリカの金融の会社です。こういうところに投資先をスクリーニングするときにどう考えるかというところに、まさに今、我々が議論している男女間賃金格差の話が入っています。これはどうやって外国株式を選んでいるか。GPIFは個別株を選ぶことはしませんので、ある基準に沿ったものをばさっと選んでくるというやり方があるということなのですが、Equileap Gender Scorecardによる企業のジェンダー間の平等に対する取組の評価等に基づき投資を決定しているということで、これはエクイリープというオランダの調査会社とアメリカのモーニングスターとで一緒に考えてよい企業を選定する基準というものを選んでいるというものです。
 エクイリープが何をやっているかということですけれども、こちらを御覧いただきますと、幾つかのカテゴリーに分けて企業のジェンダー平等の状況というものをはかっています。恐らく日本の女活法に該当するのが女性の頭数の問題です。ボードに占める女性の割合であるとか、労働者に占める女性の割合とか、シニアマネジメント、だから、Aに該当するのは多分日本での女活法で扱っているところなのではないかなと思います。
 あと、日本の企業はペアレンタル・リーブに関しては比較的きちんとやっておりますので、Bのequal compensation and work life balanceというところも部分的には日本がちゃんとやっているところもあると思います。
 日本がほかの国と比べて劣後しているのが、まさにこのgender pay gapのところになりまして、先ほどのプレゼンテーションの中にもあったのですけれども、やはり日本の男女間賃金格差というのはOECDの中でも結構大きい状況になります。では、こういうことを、Gender Scorecardというのをこのオランダの会社がやっているのですが、これは一体どこから出てきているかというと、遡ると実は国連のUNのWomen's Empowerment Principles、いわゆるWEPsというこの委員の中では大崎委員がお詳しいのではないかと思うのですけれども、国連の定めたこういった基準に基づいて、オランダの調査会社がスコアカードを作り、そこにアメリカの金融の会社が入って指数化して、GPIFなので今100兆とかそういう単位のお金がグローバルで動いている状況になります。
 したがいまして、男女間賃金格差を開示しないような企業は、長期的には恐らく投資先から選ばれなくなってくるという厳しい現実があるということを、政府の方は御認識はあると思うのですけれども、認識をお持ちの上で企業に対して対応されることが長期的に日本の企業に対してよきことではないかなと思います。
 ちなみに、このエクイリープがジェンダーエクイティ、ジェンダー平等につきまして世界の上場企業の調査をしていまして、2022年、今年版のランキングを出しているのですけれども、このランキングを見ますと、これは上位100社が載っているのですけれども、実は上位100社に日本企業は一個もないのです。言いませんけれども、日本企業のトップは皆さんも知っているある企業で、そこはグローバルで見ると、ジェンダー平等の観点で言うと250位なのです。極めて順位が低いという状況です。
 日本の企業の課題としては、ずっと言っている例えば管理職が少ないとかという問題もあるのですけれども、情報開示の問題がありまして、このFigure 7というのを見ていただくと、gender pay gap disclosure by marketというのがあって、アジア太平洋の市場においてどれぐらいの国で男女間賃金格差の開示がされているかというのが載っています。これで見ると、日本は、赤がwithout gender pay gap disclosureだから開示していないというのが96%で、ほかのオーストラリア、シンガポール、ニュージーランド、香港等と比べたときに、未開示の度合いが多くなっています。つまり、情報の開示が乏しいということはジェンダー平等の観点から好ましくないと思われて、投資家から敬遠されるような動向が既に生まれているということがグローバルの動きを見ているとあるということです。
 なので、どうしても企業に関して情報開示を求めるのは負担が多いと思います。私の企業でも、また何か負担が思うのですが、そうやって企業に配慮をしてしまって、ある種甘い情報開示の仕方という規制にしてしまうと、それはグローバルで見れば通じなくなってしまって、機関投資家から選ばれなくなるという現実を踏まえた上で、先ほど徳倉委員がおっしゃったように、企業に対してなぜ必要なのか、何をすればいいのかということをぜひ政府機関の方におかれましてはコミュニケーションしていっていただけたらなと思います。

○佐藤会長 大事な点で、どうもありがとうございました。
 白波瀬委員、お願いいたします。

○白波瀬委員 ありがとうございました。
 もうちょっと後でと思ったのですけれども、今、治部委員から御意見がございましたので、誤解を招かないように意見を申し上げたいと思います。  開示はあくまでも一つの手段でございまして、目標にしてはならないと思っております。それで、企業に甘くなくということは分かるのですけれども、上場企業というのは日本全体で企業は500万以上いると思うのですけれども、そのうちの何%の話かという点も見落とせません。該当するのは1%に満たないのです。そして、あとは厚労省での政策対象になっているのは301人以上規模。つまり、全体のマクロなところの位置づけをしっかり押さえながら、政府としても何を求めているのかということを伝えないと、誤解を招くと思います。ESGだけを前面に出すことのよし悪しがあるのではないかというのは、私としては懸念しているところでございます。
 同時に治部先生がおっしゃったことはまさしく正しい。ただ、投資家に選ばれるようにと言ったときに、日本全体の中で後向きになるのは困る。これはかなり国際的に問題なのだけれども、国内的な問題でもあるので、この足元の問題をいかに手段としてよい契機として使ってもらえるかがポイントだと思います。
 そういう意味で、説明のところも、まずどういう計算方法をもとに数字を出しているのかを開示してもらわないと、数字だけが一人歩きしてしまいます。金融庁から出ている数字と今回厚労省さんから出てくる数字を安易に横並びに比較してしまうことにもなります。そのときに、数字の根拠というかデータの説明が極めて重要で、本当はダッシュボードみたいなものを作って、いろんな観点から比較できるような環境整備があるとよいと思います。
 数字を開示することによって、その差が何なのか。これを考えるのが重要です。例えば、ここでの結果は事業所データがもとになっています。すると、事業所のところでデータを作らなくてはいけない。すでに統計委員等ではすでに議論されていますけれども、いかに正確な要求される値を過度な負担なく提供できるか。このような点も重要です。データの電子化ですね。だけれども、事業所といっても中小も多く、高齢化している。ここの中でインフラをどう整えてもらうかというのは問題が結構あるので、せっかくのこの試みをうまく使っていただけるような環境整備は少なくとも足元のところでしていただきたいなというのが一点です。
 あと3ページの男女間賃金格差のところで、これは基本的な確認です。
 これは産業のところは簡単な要因分解を進めました。でも、これでよく見ることができるので、やはり管理職が少ない。これは背景的には言っていることが正しい。ただ、産業のところがマイナス2.2となっております。要するに数字が逆になっている。この辺りの説明を一応追加的にしていただけると、すごく有益でないかなと思います。これが一点。
 それで、金融庁様の説明なのですけれども、これは上場。実は今、ドイツのほうで同じようにジェンダー不平等に関する議論が進んでいて、そこでも起業の話とかファンディングにおける男女格差が問題になっています。そこで関連会社の話です。連結子会社。これはどこまでをターゲットに置かれているのでしょう。これも国際的には今、中心的な議論になっております。日本でも人権とビジネスというところでやっとこ仕上がったかなという形で、これは歓迎すべきことだと思う。だけれども、これはあまりに企業さんの自主的な志だけでデータを作っていただくと、逆に使いにくくなるので、この辺りのことをどれぐらいお考えなのかということです。
 最後、内閣府におかれては、自主的に公的機関での賃金格差開示は大変意義があるのですけれども、制度そのものが民間と物すごく違います。例えば、職員区分のところで2つ目のカテゴリーの異質性が高く、常勤以外のところに異質なカテゴリーが混在していて解釈しづらい。公共機関のところでも、非正雇用者が多いという問題もございます。この辺りの最初の常勤というところなのですが、それ以外を一緒にしてしまわなくてはいけないことも分かるのだけれども、このカテゴリー分けの工夫というのはお考えなのか。
 この3点をよろしくお願いいたします。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 最初の治部さんが言われていたいわゆる上場企業、公開企業の国際的な議論も大事だけれども、国内で言うとそうではないというのはたくさんあって、ただ、そこも進めてもらわないといけないので、両方考えながらどう動かしていくかということだと思います。
 では、井上委員、お願いします。

○井上委員 ありがとうございます。
 私は雇用環境・均等分科会で女性活躍推進法にもとづく男女の賃金の差異の情報公表の議論に参加していましたので、今回、情報公表項目だけではなく状況把握項目にも男女の賃金の差異が入ったということは大変大きいと思います。それをしっかり生かすためにも、厚生労働省から企業に対するサポートもお願いしたいと思います。
 ただ、今までもたくさんの委員から出ていますが、公表すればよいというわけではなくて、公表した結果をどのように男女間賃金格差の是正に生かしていくかというところに持っていかないと、ここは解決しない課題ですので、そこをしっかりとやっていくこと、次のステップに向けたことも考えていっていただきたいと思っています。
 ちょっとテクニカルなところなので回答できないかもしれませんが、指摘だけしておきたいと思います。特定事業主で、公務員の部分で情報公表のイメージが7ページのスライドで出ています。それから、民間のほうは同じように7ページのスライドにあります。全労働者、正社員、パート・有期社員ということで民間のほうは男女の賃金の差異を出すようになっていますけれども、人員数を出すときに、パート労働者については正規雇用労働者の所定労働時間等を参考として人員数を換算しても差し支えないという解釈があるのです。そうすると、パート労働者の人数をそのまま人員数にするのではなくて、正社員何人分かをパート労働者の人員数にするということが認められているので、純粋にここにパート・有期社員の人員数が出てこない可能性があるのです。そうすると、特に公務員の場合は、地方自治体は非正規の公務員が大変多いので、実際に賃金格差がゆがんだ形で出てくる可能性があるのではないかと思うのです。なので、そこは特に特定事業主のところはしっかりとやっていかないといけないですし、民間の部分は時間がなくてパブリックコメントができなかったと思いますが、パブリックコメントをしたら多分そういう御指摘もあるのではないかと思います。せっかく男女の賃金の差異を公表するのに、パート・有期社員のところの人数が純粋に出てこない可能性があるのであれば、もしそのように換算するのであれば、どこかに換算していることの注釈を入れさせるとか、それこそ説明欄などをうまく活用するとか、そういうことが求められるのではないかと思います。回答が難しければ結構ですので、問題意識として意見として発言させていただきます。
 以上です。

○佐藤会長 井上さん、分からなかったのだけれども、基本的にパート・有期はその中の男女の差だよね。だから、正社員の人数は関係ないので。

○井上委員 男性と女性の非正規雇用で働く方の人数です。

○佐藤会長 その人数が女性が多い、男性が少ない場合という意味。

○井上委員 そうです。この解釈を読み込むと、男性も女性も、例えば正社員が40時間だとしたときに、パートで男性が20時間で女性が週10時間の人たちがいたときに、40時間に合わせて人数を換算できるようになるのです。

○佐藤会長 賃金格差の話ではなくて。賃金格差は1人時間当たりを比較する。

○井上委員 計算を出すときのテクニカルな話です。

○佐藤会長 では、佐々木さん、お願いします。

○佐々木委員 これは村山局長への質問かもしれないのですけれども、開示が義務化になったということなのですけれども、義務化になって、もし開示しなかったところにはペナルティーのようなものがあるのでしょうか。また、先ほど企業は有価証券報告書などで開示され、チェックしやすいと思いますし、公務部門に関しても先ほど方針の説明があったのですけれども、大学はどこにも入らないような気がしていて、大学に関してどうなっているのか。大学ならではの状況というのがあって、個別に方針を検討して、担当は文科省とかになるのかと思うのですけれども、ぜひ検討していただきたい。
 また、これは大学の状況なのですけれども、一般的に大学の研究者というのは任期つきから始まって、つまり、非正規ポストから始まって、だんだん年齢が上がるごとに任期なしというものが増えていくという感じなのですけれども、女性の場合、ライフイベントが重なる30歳のところで任期なしの割合に男女の差がついてくるのです。その時期についた差がその後も全然回復できなくて、女性のほうが任期つき職員が多いという傾向があります。
 こちらは役職、男女別、任期あり・なしでの平均年収なのですけれども、全てで女性のほうが低いという傾向があり、また、研究院では任期なしと任期つきの年収はかなり差が大きいということが分かります。
 こちらは任期つき研究員の年齢別、男女別の平均年収なのですけれども、女性はやはり30代から全然年収が上がっていない。男性は上がっていくのですけれども、女性は上がっていかないというのが分かります。
 そして、任期つきがどんどん増えているのですけれども、改正労働契約法によって5年、10年で雇い止めというのがあって、我々、5年とか4年ごとにアンケートをしているのですけれども、以前はたくさん存在していた10年以内とか10年強が今回のアンケートでは急になくなっていて、多分これは研究者という高度専門職の使い捨てが行われてしまっているのかなと。これも非常に大きな問題だと思っています。
 このように、大学ならではの問題があるので、やはり文科省を中心に情報の公表の仕方とか方針というのはどうやって集めるかを検討していただきたいと思います。
 以上です。

○佐藤会長 国立大学を含めて基本的に民間のルールになるので、基本的には厚労省のサイトに情報掲載ができるのね。ただ、どういうものを出していいかは少し文科省も含めて考えていただくことが大事。厚労省でやれというのは酷なので、それは文科省なり国立大学の大学局が考えているかもしれないです。
 大崎委員、お願いします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 男女間賃金格差の情報開示というのは日本のジェンダー不平等を是正する上で必要不可欠な施策だと思いますので、新しい資本主義に位置づけて、政治的リーダーシップの下で法整備が進んでいることは本当にすばらしいと思います。
 こんなに早く動いている背景には2つあると私は見ておりまして、一つは国際的なサステナビリティーやESGの潮流の中で民間企業が非財務情報を開示しなければいけない。それがノームになってきているということと、もう一つは、国内的な動機として、白波瀬先生が座長を務められましたコロナ下の女性への影響に関する研究会で、非正規雇用の女性たちの経済的脆弱性と、その背景にある日本の労働市場における構造的なジェンダー不平等の問題がクローズアップされたとことが非常に大きかったと思います。それを受けて、新しい資本主義と、骨太の中に女性の経済的自立、女性の経済的エンパワーメントというものがアジェンダになったかと思います。
 国際的なESGの潮流を見ますと、金融庁の井上さんがよくお分かりだと思うのですが、気候変動とか人権とかDEIに関する情報開示等の動きをつくってきたのは多様なステークホルダーです。そのうちの一つは治部さんが述べておられたとおり、機関投資家です。  もう一つ、非常に重要なステークホルダーは市民社会です。NGOやNPO、研究者等の専門家、当事者団体等、の意見や専門性もしっかりと巻き込む。民間企業であれば様々なボードにそういうステークホルダーが入っていますし、公共政策の形成過程においても市民社会を巻き込むというのが今の国際潮流ではマストになっています。
 今日のお話を聞いていますと、金融庁にはディスクロージャーワーキング・グループがあって、専門家とか外部の人たちの話を聞いている。あと、内閣府の御説明ですとパブコメをやるのですということなのですが、私は人権とかジェンダーに知見がある市民社会組織や専門家などがこの政策決定過程にしっかり入らないといけないと思うのです。特に男女間賃金格差の全労働者のところの算出の仕方とか、非正規雇用者のカウントの仕方、情報の集計、公表の仕方、これは先ほど井上さんがおっしゃったように、パートの方とかをどういうふうにカウントするのかというのをちゃんと見極めないと、本来何でこの男女間賃金格差の情報公開をやることになったのか、つまり、コロナ禍で見えてきた女性の経済的不平等の問題の解消にはつながりません。ここはちゃんとやっていただきたいのです。  ただ、先ほど井上委員が御説明されたように算出の仕方はすごくテクニカルなのです。これに関しては、研究者もいますし、必要性を発信している当事者、専門家で形成されているネットワークもあるわけですから、そうした人たちをちゃんと政策決定過程に巻き込まないといけないと思います。その人たちが重要なステークホルダーなわけですよね。このステークホルダーの巻き込みというのがESGなどで国際潮流なのだけれども、日本はまだ市民社会に対する認識というのがすごく低いです。先般の経産省さんが作られた人権デューデリジェンスのガイドラインも、検討会に市民社会などはほとんど入っていないのです。だけれども、パブコメでは大変なたくさんの市民社会組織からの意見が寄せられています。国際潮流も踏まえて、こうしたプロセスにちゃんと市民社会を位置づけていかないといけないと思います。先ほど冒頭でお話がありましたが来年のG7で日本が議長国として国際議論を牽引していくのだというのであれば、市民社会が出てこないですという議論はアウトです。世界的には企業や投資家もそういうふうに今、理解しているわけですから、ここをしっかりやっていただきたいのですが、いかがでしょうかということをお伺いしたいです。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 先ほど井上さんが計算するときに、それはよく分かります。全労働者を積み上げるときにどうするかという話で、僕が勘違いしていたので、すみません。

○大崎委員 あと、特に公務部門の非正規雇用。特にジェンダー分野では、非正規で雇用されている女性の職員が特に多いのです。これをちゃんと検証することはジェンダー予算でもあります。公共財源からお給料が出ているわけですから、そこにどんな不平等があるかというのはジェンダー予算の取組なのです。来年G7で議長国としてジェンダー分野の議論も引っ張るというのであれば、そういったことを徹底的にやるべきだと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 では、内藤委員、お願いします。

○内藤委員 ありがとうございます。
 私からは、自治体の公務部門における男女の給与の差異の公表の部分なのですけれども、これも自治体のトップがきちんと気にするようにしてほしいなと考えています。やはりこういうデータを開示するときに、担当部署で完結してしまうような可能性がありますので、それで終わりではなくて、例えば逆に自治体のトップに女性管理職を増やしたり、賃金格差を気にするような研修を促すような仕組みを国のほうでも考えてほしいと思っています。
 先ほど市民社会を巻き込むというようなお話もありましたけれども、自治体のトップの意識が変わらないと、特に地方では、地域の企業に対してもそうですし、例えばうちだと市役所ですけれども、市役所の意識も変わらないですし、やはりそこはきちんとトップに対して意識づけをしていくというような研修が必要ではないかと私自身は考えました。
 以上です。

○佐藤会長 あと、それぞれ報告者の方から御説明いただく必要があるので、いいですか。
 それでは、村山局長から順に可能な範囲でまとめて御説明いただければと思います。
 では、村山局長、よろしくお願いします。

○村山雇用環境・均等局長 先生方、御指摘どうもありがとうございます。また、会長、御指名どうもありがとうございます。
 初めに、佐藤会長から現状の整理についてのお話がございましたし、皆様からの御指摘にも重なるところですが、今日は男女間の賃金の差異の公表に絞ったお話ですので、女性活躍推進法という枠組み自体は、まず、職場での女性の活躍についての課題等を状況把握していただいて、社内の課題を分析していただき、行動計画をつくっていただく。それに則した取組を進めて、こういう活躍状況になったというのを公表していただき、またそれを分析して、さらに課題を深掘りしていただくというPDCAを常に一定以上の規模の企業に回していただく仕組みになっているということがございます。井上先生から少し補足もいただきましたが、男女間賃金格差について、301人以上の企業は年に1回公表することだけが義務づけられたわけではなくて、状況把握においても必須化されて、より具体的にPDCAを回していただくということが我々としてもお願いしていきたいところですし、それを息長く続けていく必要があるということをまず初めに申し上げたいと思います。
 以下、先生方の御発言順にお答え申し上げていきたいと思います。
 徳倉委員からのお投げかけのとおり、地方の企業も含めて良い波を広げていくということが大事だと思っております。本日の資料の中でも、説明会とか、さらに個別の中小企業に対するコンサルとかのアドバイザー予算なども積み増して、全国の都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)の働きかけを強化していきたいということを申し上げました。先般、日商の傘下の商工会議所の方々とリモートで意見交換をさせていただく機会があったのですけれども、その中でも、労働問題の中でもこの問題に関する御関心を、地方の商工会議所の会頭をやっていらっしゃるような幹部の方々にも非常に強くお持ちいただいているなという実感も得られたところでした。
 いみじくも、徳倉委員には改正育児・介護休業法の施行に向けていろいろお世話になっているわけですが、商工会議所をはじめとする地方の商工団体の皆様方とも連携しながら、そういう様々な施策についての説明会等、あるいはまた好事例の展開等を進めておりまして、そうしたネットワークも活かしながら前へ進めていきたいと考えているところでございます。
 それから、治部先生からの御提起についてです。経済の観点という意味で、やや労働の視点に寄った経済の観点からいうと、これから人口減少が進んで、一人一人の貴重な人材に活躍いただくということがとても大事になってくる中で、こうした施策について捉えていただけるようにということが、白波瀬先生からあった、上場企業は上場企業であるのだけれども、地方の企業などにどうやって広めていくかということからも、大きなポイントになってくるのではないかなと思います。
 今、コロナ禍の状況から労働市場が脱却して、人手不足感がまた強まっておりますので、そこのところについてしっかり対応していきたいと思っております。
 それから、白波瀬先生から何点か貴重な御指摘をいただきましたが、データの電子化等で正確な情報公表をというお話をいただきました。実は今回も男女の賃金の差異の公表について、給与ソフト等を取り扱っていらっしゃる業界の方々が御関心を持ってくださっていまして、我々もいろいろコミュニケーションを進めております。たくさんの働き手の賃金についての膨大なデータをどうやって正確に把握するかというのは、企業経営を効率的・効果的に行っていく上でも、また、こうした新しく課される行政からのお願いに的確に対応していただくためにも大事になってくるだろうと思います。今までの労使、特に経済団体等のつながりとはまた別な意味で、労務管理、特にソフトの開発や普及などに取り組まれている方とも意見交換をしながら、関連するインフラを豊かなものにしていくことについて取り組んでまいりたいと考えております。
 白波瀬先生から、具体的にきちんと説明してほしいと御指摘をいただいたのが、私どもの資料の3ページ目の、男女間賃金格差の要因(単純分析)の表の中で、先ほど最初のプレゼンでは役職とか勤続年数の効果が大きくプラスになっており、そこが改善すれば女性の賃金が上がっていくことを示していると申し上げましたが、産業のほうはむしろ符号が逆で、マイナス2.2になっているけれども、これはどういうことなのかというご指摘でございました。
 例えば介護分野で労働者が増え、かつ一定の資格を取れば高い給与を得られることから、女性の労働者が増えるにつれて、産業の符号がマイナスになる効果もありますし、もう一つは、製造業のようにかつては重労働が多くて、男性も比較的安定した収入の方が多かったところが、産業の空洞化に伴って少し男性の雇用者は減って、そこに地方などで女性の労働者の方々が支えているような分野が増えているというようなことなどもあります。そういう製造ですとか医療・介護、中でも介護の分野の動きでこうした符号になっているということで、近年の産業動態が表れているのではないかと受け止めておるところでございます。
 それから、井上先生からの御質問は、本質的にお投げかけは特定事業主行動計画の話かなと思いますので、岡田局長からお答えがあると思いますが、前提として、人数の出し方について、非正規雇用の方の換算を時間換算していることについてです。事実関係として、非正規雇用労働者の算出に当たって、いわゆる単純な人数、頭数ではなくて、フルタイム労働者の所定労働時間に換算した人数を記載する取扱いでも差し支えないという取扱いとしていることは事実でございます。
 こうなった背景なのですけれども、今日、先ほど井上審議官から御説明がありましたように、労働市場で今回新しく設けた女活法の改正省令に基づく取組と、金融市場で有価証券報告書で従来からやられている措置に新しくオンする取組と緊密に連携しながら、企業の負担が著しく増えないようにということで制度化してきました。
 そこで、有価証券報告書におきましては、従来から従業員の人数に加えて臨時従業員の方々の人数を記載することが義務づけられています。有報の場合、違反には罰則がつきますので、企業としては、昔からしっかり対応されてきました。今般、女活法のほうでも人数のカウントの方法が問われるようなものができたというときに、女活法のほうは違うやり方で統一してくださいとはなかなか言えないので、有報のほうの運用としては、単純な頭数ではなくて、フルタイムの所定労働時間に換算した人数を記載することでもいいよということになっているので、ここは現実の企業負担を考えて有報と同様のやり方でも良いと合わせたという経緯です。
 一方、公務員の場合は話が違いますので、これをどうするかはまた別のお話ではないかと思っております。
 それから、佐々木先生からサンクションについてお話がありました。女性活躍推進法に関しては罰則はございません。もしも法制度上求められていることに対して、例えば事業主行動計画をつくってくださいということについてつくっていない場合には、行政指導を行った上で、最終的には企業名公表を行うのが行政としてのサンクションです。企業名公表が準備されていることは今回の改正省令についても同じです。ただ、運用としては、できるだけここまで持っていかずに丁寧な粘り強い行政指導で必ずつくるべき計画はつくっていただくということに、従来全ての企業でそれをやっていただいておりまして、この男女間賃金格差の問題に関しましても、同様に丁寧な説明と粘り強い行政指導でしっかりと履行確保してまいりたいと考えているところでございます。
 若干お答えを漏らしているところがあるかもしれません。取りあえず私のほうからは以上でございます。

○佐藤会長 井上審議官、よろしくお願いします。

○井上企画市場局審議官 金融庁の井上でございます。
 白波瀬先生から連結子会社の扱いについて質問がございました。私どものプレゼンテーション資料の5ページの下のほうに少し書いてございますけれども、基本的には今回の対象範囲は有価証券報告書等の提出会社及びその連結子会社としております。ただ、連結子会社でもいわゆる女活法の男女間賃金格差を開示していないところもございますので、そういうところは義務の対象から直接的には外しております。
 この点はディスクロージャーワーキング・グループでも議論がございまして、投資家としては連結ベースの指標をぜひ知りたいという御意見もございました。他方、企業側から、例えば海外の子会社について、法制も違う中で全てのものを集計するのは難しいというような話がございましたので、女活法の適用範囲に関しては統一的な基準に基づいて開示していただくということにしています。
 加えまして、記述情報の開示に関する原則というものも今回改正案をパブリック・コメント手続きに付させていただいております。これについては、女性管理職比率も含めて、多様性に関する指標については連結グループにおける会社ごとの指標の記載に加えて、連結ベースの開示に努めるべきであることというような形で、パブリックコメント手続きに付させていただいているということでございます。
 私からは以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、最後になりますが、岡田局長から御説明いただければと思います。

○岡田男女共同参画局長 岡田でございます。
 内藤委員、また、徳倉委員から、地方公共団体での開示について御発言いただきました。
 内藤委員からは部署だけの問題になりかねないという御指摘をいただきましたけれども、やはりこれを出すことによってお互いの比較というのが可能になると思います。
 佐々木委員から、ペナルティーはあるのかという話もありましたけれども、これはペナルティーはないわけですけれども、出さないことが分かってしまうということでございますので、どちらがお出しにならないかというのはすぐ分かってしまうということでございます。
 治部委員からは開示していかなければいけないということで、そのとおりでございます。企業さんによっては社の市場での評価は非常に気にされることもあるということでございます。
 井上委員からは重要な視点をありがとうございます。実際のところ、今、パブリックコメント中でございます。またいろいろ御意見をいただくと思いますけれども、あと、すべての地方自治体が同様のやり方でやってかなくてはいけないものですから、私どもも、先ほど資料にございましたように、今後、何回も説明会の開催ですとか、FAQの作成などを通じまして、どの地方公共団体もできるようにということで進めてまいりたいと思います。
 大崎委員からは市民社会が大事だということで御指摘いただきました。結果を出すことによって、市民社会の方々も含めて外部の目にさらされるということでございます。そのことにより各機関が分析をして説明に努めるという効果が大いに考えられるのではないかと思います。
 白波瀬委員からは、任期の定めがない常勤職員以外の人たちにいろいろな人が入るではないかというお話がございました。私どもの資料でスライド6でございますけれども、基本的には3つの区分でお出しするということは最低限考えているわけですけれども、機関によっては更に詳細な区分による公表も可能となっておりますので、それぞれの機関でお考えいただくということ。また、これは民間企業さんも同じですけれども、説明欄を活用して説明できるように、この数字の違いはどうなっているのかということを各機関でお考えいただくということを考えてございます。
 以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 もう時間になりまして、まだ御意見はあるかと思いますけれども、今日は意見交換はここまでにさせていただければと思います。
 最後に、小倉將信女性活躍・男女共同参画担当大臣が御出席くださっていますので、一言御挨拶をいただければと思います。大臣、よろしくお願いいたします。

○小倉女性活躍・男女共同参画担当大臣 皆様、こんにちは。時間をオーバーしての御議論、誠にありがとうございます。女性活躍・男女共同参画担当大臣の小倉將信と申します。
 本日も、佐藤博樹会長をはじめ、委員の皆様におかれましては、大変御多用の中、本調査会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 岸田内閣の目玉政策であります新しい資本主義の中核には、女性の経済的自立が位置づけられております。その実現に向けましては、男女間の賃金格差など、構造的な課題に取り組んでいく必要があります。
 特に、本日の主要な議題でありました男女間の賃金格差に関しては、我が国の女性の賃金は男性の賃金の約4分の3とOECD諸国と比較しても格差が大きくなっており、その是正は女性の経済的な自立に直結する喫緊の課題となっております。
 今年の7月、各企業において格差の要因を分析し、対策を講じていただくきっかけとするため、常用労働者301人以上の事業主について男女間賃金格差の開示を義務化したところであります。賃金格差の開示は格差の是正に向けた第一歩でありますが、より実効性のあるものにするためには何が必要か、引き続き議論を深めていく必要があると考えております。
 賃金格差の是正に向けましては、女性の正規雇用比率を増加させるなど、質の高い雇用の拡大に向けた対応も鍵と思います。リスキリングを通じたデジタルなど成長分野への労働移動、女性に多い非正規雇用労働者の正規化や処遇改善、男女ともに仕事と子育てを両立できる環境の整備など、様々な視点から対策を講じていく必要があります。
 また、先月13日から14日にかけて、ドイツベルリンで開催されましたG7男女共同参画担当大臣会合に参加してまいりました。白波瀬先生にも御参加いただいたと思いますが、男女間の賃金格差はG7各国のジェンダー平等の進捗を評価したダッシュボードにおいて重要項目として位置づけられるなど、各国共通の課題となっております。各国との会談でもこの課題の重要性について認識を共有いたしました。
 例えば、今から5年前に既に男女間の賃金格差の開示を実行いたしておりますイギリスでは、今年の4月だったと思いますが、ロンドン証券取引所の上場規則の改正で、上場企業に対して、たしか取締役だったと思いますが、女性役員の比率を4割以上にするという規則改正をいたしました。
 我が国の東証プライム市場で女性の取締役が一人もいない企業が344社、全体の2割でございます。そういった我が国の状況と国際的な議論や潮流を踏まえながら、こういった議論をさらに深めていきたいと私としては思っております。
 特に来年6月を目途とする女性版骨太の方針2023の策定、さらにはG7栃木県日光男女共同参画・女性活躍担当大臣会合の開催も見据え、引き続き議論を深めてまいります。
 私、今日も本当は2時間びっちり見て、皆様方の御意見を拝聴する予定だったのですけれども、たまたま衆議院の本会議と重なってしまいまして、最後の最後の参加になってしまいました。和田副大臣が参加しておりましたので、和田副大臣からも会議の様子をお伺いしながら、皆様方とともに真の意味での男女共同参画・女性活躍社会をつくり上げていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上になります。ありがとうございました。

○佐藤会長 小倉大臣、どうもありがとうございました。
 それから、和田副大臣もずっと御出席いただいて、本当にありがとうございました。
 それでは、少し時間が延びましたけれども、活発な御議論、御意見を出していただいてありがとうございました。また次回もよろしくお願いいたします。