計画実行・監視専門調査会(第17回)議事録

  • 日時:令和4年10月4日(火) 13:00~14:30
  • 場所:オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
  1. 開会
  2. 議題
    (1)女性活躍に関する最近のデータ等及び今後の検討項目について
    (2)ジェンダー統計の観点からの性別欄検討ワーキング・グループの取りまとめに関する報告
  3. 閉会

【配布資料】

資料1
女性活躍に関する最近のデータ [PDF形式:3,545KB]別ウインドウで開きます
資料2
最近の国際的な取組 [PDF形式:1,196KB]別ウインドウで開きます
資料3
ジェンダー統計の観点からの性別欄の基本的な考え方について(説明資料) [PDF形式:183KB]別ウインドウで開きます
参考資料1
計画実行・監視専門調査会委員名簿 [PDF形式:112KB]別ウインドウで開きます
参考資料2
女性活躍・男女共同参画の重点方針2022(女性版骨太の方針2022)(令和4年6月3日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定) [PDF形式:1,756KB]別ウインドウで開きます
参考資料3
想定される検討項目 [PDF形式:203KB]別ウインドウで開きます
参考資料4
ジェンダー統計の観点からの性別欄の基本的な考え方について(本文) [PDF形式:4,438KB]別ウインドウで開きます

【出席者】

会長   
佐藤 博樹  
中央大学大学院戦略経営研究科教授
同    
井上 久美枝 
日本労働組合総連合会総合政策推進局長
同    
大崎 麻子  
関西学院大学客員教授
同    
窪田 充見  
神戸大学大学院法学研究科教授
同    
佐々木 成江 
お茶の水女子大学ジェンダード・イノベーション研究所特任教授
同    
治部 れんげ 
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授
同    
白波瀬 佐和子
東京大学大学院人文社会系研究科教授
同    
徳倉 康之  
NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、株式会社ファミーリエ代表取締役社長
同    
内藤 佐和子 
徳島市長
同    
山口 慎太郎  
東京大学大学院経済学研究科教授
内閣府  
小倉 將信  
特命担当大臣(男女共同参画)
同    
岡田 恵子  
男女共同参画局長
同    
畠山 貴晃  
大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
同    
杉田 和暁  
男女共同参画局総務課長

議事録

○佐藤会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第17回「計画実行・監視専門調査会」を始めさせていただきます。
 まず、本日は小倉將信女性活躍・男女共同参画担当大臣に御出席いただいておりますので、最初に御挨拶をいただきたいと思います。それでは、小倉大臣、よろしくお願いいたします。

○小倉大臣 皆様、こんにちは。女性活躍・男女共同参画担当大臣の小倉將信です。
 佐藤博樹座長をはじめ、委員の皆様におかれましては、大変御多用の中、本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本調査会の役割は、第5次男女共同参画基本計画に掲げられました目標の達成に向けて各府省の取組を強力に進めることにあります。各府省が計画実行に向けて毎年度重点的に取り組む事項を決定する重点方針、いわゆる女性版骨太の方針の策定に向けた議論を行っていきます。本調査会における議論は来年の6月を目途に策定する女性版骨太の方針2023に直結するものでありまして、委員の皆様の御意見は大変重要なものと考えております。
 女性活躍・男女共同参画は、全ての人が生きがいを感じられる個性と多様性を尊重する社会を実現するために極めて重要だと思っています。我が国の経済社会の持続的発展にも資するものだと考えております。
 こうした認識の下で、岸田内閣では、その目玉政策であります新しい資本主義の中核に女性の経済的自立を位置づけているところでありまして、日本の未来はまさに女性が経済にもたらす活力にかかっていると思っています。まさに女性が日本経済の中核を担う必要があると考えております。
 また、女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現は、女性活躍・男女共同参画の大前提でありまして、極めて重要です。
 さらに、男女共同参画の実現に向けては、男性の活躍の場を家庭や地域社会に広げることが不可欠です。我が国では、家事・育児等の無償労働の負担が女性に大きく偏っていることが男女共同参画の遅れの一因として考えられているところでありまして、男女問わず家事・育児に参画しやすい環境づくりに取り組むことが求められております。
 そして、来年、我が国はG7の議長国であり、G7栃木県・日光男女共同参画・女性活躍担当大臣会合を日本で初めて開催することになります。今回の担当大臣会合では、議長国として議論を牽引していくためにも、女性活躍の取組をこれまで以上にスピード感を持って力強く前に進める必要があると考えております。我が国の女性活躍の新しい方向性を打ち出す女性版骨太の方針2023、そして、そうした我が国の考え方や取組を世界へと発信するG7の担当大臣会合をしっかりと見据えながら、委員の皆様方にはぜひお力添えをいただきたいと思っております。
 限られた時間になりますが、実りある議論になりますことを心より御期待申し上げ、私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○佐藤会長 ありがとうございました。
 小倉大臣におかれましては、公務のため、ここで退席されます。どうもありがとうございました。

○小倉大臣 どうもありがとうございました。

(小倉大臣退室)

○佐藤会長 それでは、続けて、事務局に人事異動がありましたので、一言御挨拶いただければと思います。岡田局長と畠山審議官、よろしくお願いいたします。

○岡田男女共同参画局長 岡田でございます。6月末に男女共同参画局に着任いたしました。この調査会は非常に重要でございます。先生方の御意見をいつも伺って政策を前に進めていきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○畠山大臣官房審議官 審議官の畠山でございます。先生方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。これからも御活発な御議論をいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

○佐藤会長 それでは、議事に入りたいと思います。
 まず議題1、女性活躍に関する最近のデータ等及び今後の検討項目についてです。先ほど大臣からも御説明がありましたように、来年6月をめどとする女性版骨太の方針2023策定、さらにはG7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合の開催を踏まえて、それぞれでどういう項目を盛り込むかということで検討すべき議題について皆さんに御議論いただければと思います。
 それでは、最初、内閣府の杉田総務課長より資料1及び資料2について御説明いただければと思います。
それでは、総務課長、よろしくお願いします。

○杉田総務課長 総務課長の杉田でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料1のほうから御説明させていただきます。「女性活躍に関する最近のデータ」ということでございます。
 1ページ目以降、今年9月でございますが、出生動向基本調査が公表されたという形になってございます。
 2ページ目以降に入ります。未婚女性の理想と予想のライフコースというところでございます。左側の表を見ていただきますと、未婚女性の理想といたしまして、両立というところが高くなってきて、今回最多という形になってございます。片や再就職、専業主婦というところは数値が落ちてきているということ。それから、非婚就業というところの数値が上がってきているという状況となってございます。
 それから、右側の未婚女性の予想でございます。非婚就業というところの数値が上がってきておりまして、直近で最多という形になってございます。それから、再就職でございますが、ここのところは数字が下がってきているということ。それから、専業主婦についても数字が下がってきている傾向にあるところでございます。
 3ページ目でございますが、未婚男性がパートナーに望むライフコースの経年変化ということでございます。この表を見ていただきますと、未婚男性のパートナーに対する期待といたしまして、両立というところの数字が高くなってきているということ。それから、再就職、専業主婦が下がってきているという傾向が見てとれます。
 パートナーに両立を求める未婚男性は39.4%ということなのですけれども、逆に女性が両立を理想とする数値は34%ということで、ギャップが生じているということでございます。
 それから、相手方に専業主婦を求める男性は6.8%なのですが、これに対して女性で専業主婦を理想とする数値は13.8%ということで、男性が下回っている傾向となってございます。
 4ページ目でございます。未婚女性のライフコース、理想と予想のギャップの経年変化となってございます。2015年と2021年の比較ということでございますが、1つ目は非婚就業でございます。これにつきまして、ギャップが拡大しているということ。本意ではない非婚就業が増加する可能性があるということ。それから、両立についてでございますけれども、理想として最も高い数値、34%という形になってございます。その一方で、両立は困難だというところも依然として数値として存在するということになってございます。それから、専業主婦についてですけれども、こちらは理想と予想がそれぞれ減少しているわけでございますけれども、依然としてギャップは存在している状況となってございます。
 5ページ目でございますが、結婚・出産前後の女性の就業継続率ということで、結婚前後で引き続き就業しているかということで、直近の数字が85.1%で、増え続けているということ。それから、第1子出生前後で比較してみますと、2010年以降は大幅に増加しているということで、7割に上る数値。それから、第2子、第3子出生前後も引き続き9割に近い数値になるということ。それから、第1子出産前の従業上の地位を見てみますと、パート・派遣の場合は4割ということで低い数値。これに対しまして、正規の職員につきましては8割を超える高い数値になっているということでございます。
 それから、結婚・家族に関する未婚者の意識ということで、男女とも考え方が大きくこれまでの調査から変化しているという傾向。独身がよくないだったりとか、あるいは離婚を避けるべき、結婚に犠牲は当然、こういった考え方について賛成という数値が下がってきているということ。
 7ページ目でございます。これは家族に対する考え方も同様に、夫は仕事、妻は家事、子供を持つべき、こういったところに賛成という数値がだんだん下がってきている傾向が見てとれます。
 8ページ目以降が中長期的な話ということで、労働の観点からの女性活躍とマクロ経済の話でございます。
 9ページ目、就業者数の増加要因ということでございます。男女計の就業者数の増は約400万人、うち女性が約300万人、男性は約100万人ということ。それから、右側の表は年齢別に見てみますと、15歳から64歳の緑の線のところは約100万人増えている。これに対しまして黄土色の線を見ていただきますと、65歳以上の高年齢層でございますが、ここは約300万人増えているという傾向の違いが出ております。
 10ページ目でございますが、日本の15歳以上の人口、少子高齢化により大きく減少する見込みとなってございますが、男女の労働力人口比率が2021年から一定と仮定した場合には、2040年には1000万人以上が減少する可能性ということでございます。
 11ページでございますが、今のグラフを男女別の労働力人口の推移で見たのが左側の図、男女ともに減る見込みであるということ。それから、右側の図でございますが、女性の労働力人口比率が男性のそれまで上昇すると仮定した場合、減少幅は約300万人に抑えることが可能だということでございます。
 12ページ目でございますが、女性の就業希望者の内訳ということで、左側の円グラフ、就業形態別では7割が非正規ということになってございます。
 右側の求職していない理由別に見てみますと、適当な仕事がありそうにないが34.5%、出産・育児のためが25%ということで、仕事のミスマッチの解消、それから出産・育児等との両立のための環境整備ということが課題だということを示唆しているものでございます。
 その次のページ以降は参考データということで、これまでお示しさせていただいたグラフの数値等を更新させていただいたものでございます。
 引き続きまして、資料2「最近の国際的な取組」ということでございます。小倉大臣はこの夏に着任されましてから2つの国際会議、G20の担当大臣会合にリモートで出席なされております。第2テーマの「デジタルにおけるジェンダーギャップ解消」というところに出席いただきまして、我が国の取組等を御紹介いただきました。具体的には、女性デジタル人材育成プランの策定の話、あるいはSTEM分野での支援といったような、あるいは関連する好事例等を心配させていただいたということ。議長声明におきましても、STEM産業での雇用へのアクセスを女性が平等に享受できる環境づくりだとか、ジェンダーに対応した予算編成を組むことの重要性などが指摘されたということでございます。
 それから、2点目、APEC、女性と経済フォーラムでございます。これはタイで開かれました女性の経済的自立の確立をテーマに議論がなされたということ。小倉大臣もこれはリアルで出席いただいております。
 同じように説明の内容といたしましては、女性デジタル人材育成プランの関係、STEM分野への進路選択に関する理解促進といったところを御説明させていただいたところでございます。
 3ページ目でございます。冒頭、大臣の御挨拶の中にもございました、来年、G7の栃木県・日光男女共同参画・女性活躍担当大臣会合が日本で始めて開催されることとなってございます。G7におけるジェンダー主流化の流れをより強固なものとするということ、国際社会の発信、日本における取組の一層の進展の契機とするという趣旨で開催させていただくものとなってございます。
 それから、参考資料3でございます。想定される検討項目、たたき台のようなものでございます。この①から④の項目、今年6月に決定いたしました女性版骨太の方針の柱立てを書かせていただいているものとなっています。女性の経済的自立、尊厳と誇りを持って生きられる社会、男性の家庭・地域社会における活躍、登用目標の達成という柱立てとなってございます。
 今後、来年の5月または6月に向けまして、こういった項目についてフォローアップをまず全般的に着実に進めていくということと、議論の進展あるいは社会情勢に応じまして、新たな課題・対応等について議論を深めていく。昨日の総理の所信表明演説等にございましたものも踏まえながら、また議論を深めていくということ。そういうことで来年の女性版骨太の方針2023につなげて、G7担当大臣会合における国際的な政策議論に発展させていきたいというものとなってございます。
 私からの説明は以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、最近の女性活躍等々のデータを踏まえて、これから我々が女性版骨太方針2023を検討するときの論点、あるいはG7の男女共同参画・女性活躍担当大臣会合の検討課題等について御意見をいただきたいと思います。一応事務局としては①、②、③、④と書いていただいていますけれども、⑤があるということであればそれも出していただいて構いませんので、①についてはもうちょっとこの辺をというようなことでも構いません。
 山口委員と徳倉委員は予定があって先に出られますので、まず山口委員、それから徳倉委員にお聞きして、その後は手挙げでいきたいと思います。では、まずは山口委員、お願いいたします。

○山口委員 ありがとうございます。具体的にどういう取組をすればいいのかということについては、ほかの委員の先生方にお任せして、私はデータ周り、調査周りの話が専門に近いところですので、3点ほど御意見を申し上げたいと思います。
 先ほど杉田課長から御説明があったように、データに基づいて話すようになっているというのはすばらしいことだと思います。一方で、集計されたデータだけでは分からないことも多いので、詳細な分析が出てくるようになってほしいと思っています。大局的な状況とかは分かるのですが、なかなか具体的な政策に落とし込むために何をしていいか分からないというところで止まってしまっているように思うのですね。具体的に有効な施策を打つためにはより詳細な分析が必要なので、そういった分析を見せてもらいたい。
 例えば、最近の経済学の研究では、男女間賃金格差を考える上ではチャイルドペナルティーというものも鍵だと言われています。チャイルドペナルティーとは何かというと、出産直後に女性は大きく所得が下がって、少しは回復するのですけれども、その後何年も残っていくと。これは世界中で見られているのだけれども、国によって大小が違ったり、この部分、チャイルドペナルティーをどういうふうに政策あるいは文化の違いによって説明されるのかみたいなのは国際的な計算がいろいろなされているのですが、日本の集計データにそういうものが全くないのですね。新しい研究が進むと新しく見るべき統計というのは日進月歩で出てくるわけなので、それに対応するためにはやはりここを利用して、テーマに合わせて新しいものをつくって、国際比較も行って、現在の日本の位置を確認して、どんな政策によって解決すればいいのかというのを把握しなければいけないと感じています。
 したがって、1点目として、データを見るというのはすばらしいところなのだけれども、頑張ってもう一歩踏み込んで、具体的にどんな政策を打てばいいのか分かる示唆が得られるような分析も組み込んでほしいと思っています。  2点目は、もう少し具体的に取組のほうに寄せた話なのですが、女性の経済社会における活躍を考える上で、やはりこれまでに議論されてきたように、一見逆説的なのですが、男性の家庭での家事・育児における活躍というのが非常に重要になってくるのではないかと思います。女性の労働市場における活躍について政策的な課題も見えているし、ある程度整備がここ数年で進んできたと思うのですが、一方で男性の育休取得率は低いままです。これが改善されるようにならないと、家庭で女性の責任が重いうちは女性が家の外で活躍するというのはなかなか難しいのではないかと思っています。
 男性の育休取得は非常に重要だと思ってはいるのですが、なかなかそれがどういう仕組みで取られるようになるのかとか、なぜ取らないのかとか、取ったら会社の業務にどんな影響があるのかといったことが、非常に関心を持たれているにもかかわらず、実はあまり調査が行われていない。育休取得意向ぐらいを聞くようなアンケート調査はあるのですが、もっと実際に取得率を高めるために何をしたらいのか分かるような調査設計にして、男性育休というテーマで掘り下げていくといいのではないかと考えています。
 3点目なのですが、世界中で男女間の格差について縮小させるための研究の蓄積があります。そのため、そういった蓄積を十分に生かすためにEBPMデータベースみたいなものができたらいいのではないかと思っています。経済学にもありますし、社会学にもある、心理学にもある、数々の学術的な分野から取組が行われているので、この辺をある程度分かりやすい形に、例えば地方自治体の担当者の方や民間組織の方が、こういう問題を組織で抱えているのはどうやって解決したらいいのかというのを外国のものも含めて見られるようなデータベースがつくれたらいいのかなと思っています。幾つかの民間シンクタンクのレポートなんかも先ほどの資料に引用されていて、それはそれで非常に示唆に富んでいるとは思うのですが、やはり分析の質というものにおいては査読を経た学術論文と並ぶようなものではないと感じていますので、せっかくいろいろな国で税金を使って行われた学術研究の成果があるわけですから、その情報を集めて、具体的にどういう策を打つとうまくいったのかという実績をデータベースの形でまとめていくといいのかなと思います。
 もちろんそれには専門家の監修が必要なのですが、一方で既存の論文の内容をまとめるというのは必ずしも高度な作業でもないので、十分取り組める問題なのではないかなと思っています。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。基本的には政策を立案したり実行するのにはやはりデータ、根拠に基づいてやっていくと。それと、新しい分析も必要だけれども、既に分かることは少し利用しやすいように提供してほしいという非常に大事な点かなと思います。
 それでは、徳倉委員、続けてお願いいたします。

○徳倉委員 徳倉です。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、大きなくくりの中で私は常々言っていますが、都市部と地方部で関わり方が変わっていたり、大きな問題としては一緒なのですけれども、個別の事案が変わってきているということを実際に自分が住んでいて思います。例えば、女性は早く結婚するのだけれども、就業継続率が悪い。これは一般的な話ではなくて私の直感的にしゃべっていますが、地方では早く結婚できているのだけれども、やはり非正規の職員が多くて、なかなかそれを継続できないという問題を抱えている一方、都市部では、就職はきちんとして正社員でやっているのだけれども、意図せず非婚になってしまっているだとか、後でちょっと詳しくお伝えしたいのですが、夫婦別姓の問題とかそういう問題があって非婚になっているケースだとか、抱えている問題は同じなのですけれども、出てくる現象が違っているということがやはりちょっと私自身ギャップとして感じるので、各種データを取っていただくときに、例えば東名阪とその他の地域ではどうなのかというのが差で見えてくる中で、やはり政策的に、この地域ではこういうことの政策をしないといけない、この地域ではこういう政策をしないといけない。同じジェンダーギャップを解消するにしても、アプローチの仕方が変わってきたり、政策の内容が変わってきたりすると思うので、ちょっとそこの点は注意深く、来年の部分ではそこはちょっと検討課題として挙げていただきたいなと思っております。
 2点目は、①の女性の経済的自立関連でもちろんあるのですけれども、感じるのは、経済的自立をしようとすると、やはり個が自立しているかどうかというところになってくるのですね。では、個の自立は男性と女性でどこのところが一番障壁になるのかというのは、さっきお伝えしたいわゆる名字の問題だと思うのです。これが非常に障壁になっている。
 女性は2つの障壁があるなと思っているのは、まず結婚で名字を変えないといけないという障壁があって、その後、妊娠・出産での様々な、先ほど山口先生がおっしゃいましたけれども、チャイルドペナルティーのような障壁がある。この二重の障壁が出てきていることで各種問題がどんどん顕在化してきているというところを、私自身はそこを問題点として思っているのですが、それを男性の点からどう解消できるかというと、育休を取っていくことだということでNPOでも活動していますけれども、そこの部分にきちんとスポットを当てて、これまで今回の令和4年度の白書の中にはなかなか入れられませんでしたけれども、高度な政治判断という中にあって、そこの名字の部分をあまり具体的には書けなかったところがありますが、ここは我々は専門委員会ですので、そこのところは常々継続をして取り組んでいく必要があるかなと思います。
 あとは男性の家庭・地域社会における活躍関連というところで、これは少し長期的に、私自身、最初に育休を取ったのはもう実は13年前で、そこから3回取っています。昨年、山口先生も少しおっしゃっていましたが、直近で取った人がどうかということはもちろんそうなのですが、第1期、第2期という言い方が正しいかどうか分かりませんけれども、5年前に取られた方、10年前に取られた方がどのようなキャリアを構成しているのか、どういう家族構成なのか、家族の数であったりだとか、夫婦で両立できているのかどうなのかみたいな追跡調査のような、よく文科省が一人の子供の成績調査をずっとしていて、家族形態はどうとやっていると思いますけれども、ああいうものが男性の育休の中でもできていくのかどうなのかというのは検討として上げていただくと、ロールモデルとして企業がどうすればいいのか、地域がどうすればいいのか、個人がどうすればいいのかという一つの指標になってくるのではないかなと思います。こういう調査は国でないとなかなかできないので、そういうところをぜひ検討していただければなと思っております。
 長くなりました。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。前半の都市と地方という議論をされた、地方もいろいろだよね。そういうことも踏まえて、地方の多様性も踏まえたような議論もということはすごく大事かなと思います。
 それでは、この後は、それぞれ手挙げで先に話したい方。一応、4分前後ぐらいでやっていただくと2回目がいいかなと思いますので、その辺で多少御留意いただければということと、もう一つ、今日は90分、2時半までということなので、休憩を取らずにずっとやりますので、その辺、御了解いただければと思います。
 それでは、治部委員、手を挙げられたので、よろしくお願いします。

○治部委員 ありがとうございます。今日もしっかりとした資料をおつくりいただきまして、内閣府の方にはお礼申し上げます。
 私は、今日いただいている議題の中で想定される検討項目①から④まで挙げていただいた中で、特に申し上げたいのは②に関するところです。女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現に関連するところで、特に性犯罪・性暴力関係のところで強い要望を1つ出したいと思っております。具体的に言いますと、元陸上自衛官の女性が受けた性暴力に関連して、先日防衛省のほうで事実を認めて本人に謝罪をしたということがあったのですが、この事実関係のきちんとした調査と、あと、このようなことになっているという組織としての問題。あと、この方、五ノ井さんって物すごく意思が強くてしっかりした方なのでここまでに至ったのですけれども、この背景には多くの泣き寝入りというか、何も言えなかった人たちがいるはずなので、きちんと実態調査をするということと、それを多分、通常ですと女性に対する暴力に関する専門調査会のほうで検討されると思うので、検討された後、きちんとこちらの専門調査会でも傍聴の皆さんがいるところで防衛省のほうからしかるべく報告を強く求めたいと思います。
 と申しますのは、今日冒頭、小倉大臣からありましたG7で今度日本が議長国になるわけですけれども、G7の中でもジェンダー・ベースド・バイオレンスというのは非常に大きなイシューとしてあります。例えば5月14日に外務省が仮訳を出していますけれども、G7のドイツの外相会合のコミュニケの中でもジェンダーに基づく暴力の問題、特にアフリカとか紛争地域について言っているわけですけれども、自衛隊というのは場合によっては紛争地域にも行って平和構築のために働く、日本を代表してほぼ唯一やるような部隊でこのような問題が起きたことについて、政府としてはかなりプライオリティー高くきちんと調査をして、権限を使って報告をしていただきたいということを強く要望したいと思います。議長国でありながら、こういったことが足下できちんと調べられずに放置されている状況で、国際会議も何もあったものではないだろうというのが私としての見解です。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。御検討いただければと思います。
 では、井上委員、お願いいたします。

○井上委員 ありがとうございます。井上です。今日も貴重な資料の提供をありがとうございます。
 本論に入る前に、まず前回、2022年度の骨太を議論したときに、骨太に入ってこなかった残された課題があったと思います。それにつきましては、15回の専門調査会の場でも内閣府から次につなげるために中間的な取りまとめをしたいという御発言もありました。新しいものを議論するときに過去のものを検証しないで次の議論ということにはならないと思いますので、ぜひこちらの中間取りまとめがどうなったのか、どうするつもりでいらっしゃるのか、その辺を教えていただければと思います。
 その上で、今後の検討課題なのですが、やはり①の女性の経済的自立は喫緊の課題だと思います。最近、労働組合でも、例えばILOやOECD、UN Womenなどとコラボレーションしてセミナーを行うことが結構多くなっています。そのときに、日本における男女間賃金格差についてだとか、あるいは不平等の中で日本国民はどういうふうに思っているのかとか、そういうテーマが労働組合にも求められてくることが大変多くあります。今回、女性活躍推進法で男女の賃金の差異の把握、公表が義務化されましたけれども、やはりまだまだ賃金格差が大きい中で、また、日本の場合は高学歴の女性が妊娠、出産、結婚した後に仕事を辞めてしまって非正規雇用で働く、あるいは働かない、ということも多く、そういうことに関しても海外からはなぜなんだということをよく聞かれたりもします。そういうことを解決するために、どうしたらいいのかということが大きな課題だと思っています。
 連合の調査でも、本来であれば正規で働きたかったけれども、非正規で働かざるを得なかった。あるいは初職、初めて就いた仕事が非正規であったということで、これはこの間も私も何回もこの調査会の中でも発言をしておりますが、最初にどんな職に就いたかによって女性の一生の生涯賃金などにも影響してくるということを踏まえれば、この課題は喫緊ではないかと思います。
 また、先ほど徳倉委員からもありましたが、選択的夫婦別氏制度に関しましては、この間の専門調査会で全ての委員の皆さんが発言をされていたにも関わらず、やはり盛り込まれなかったというのは大変残念に思っておりますので、こういう課題についてもしっかりと議論していただければと思っております。
 以上です。

○佐藤会長 前回のこの調査会で議論した積み残しについては後で御説明があると思いますが、まず今回の論点①、②、③、④と、これは前回の検討をするときに出していただいたものなのだよね。これは変更していないのです。同じものなのです。そういう意味では、それの議論してきたものを、多分また残ったものを議論するという趣旨でそれを出していただいているのかなと思います。ですから、そういう意味では前回の骨太をつくるときに出した①、②、③、④の論点を出していただいています。

○杉田総務課長 事務局のほうからよろしいでしょうか。中間取りまとめにつきましては、次回以降、個別の論点について議論いただくという形になりますけれども、その議題に関連したところの中間取りまとめの関係部分を参考資料として配付させていただきまして、過去にそういった議論がなされていたことも参考にしつつ、次回以降、それぞれ個別のテーマごとに議論いただこうと考えております。

○佐藤会長 そういうことで、当然議論してきたことを踏まえた上で議論していただくということのようですので、そういうふうにやっていただいて、要望があればあれですけれども、一応そういう事務局の考えだということを頭に入れていただければと思います。
 では、窪田委員、お願いいたします。

○窪田委員 窪田でございます。①から④まで、今までもこれが出てきたことについて今回もということですので、今さらこの立て方自体について今日言うのは適当ではないのかもしれませんが、ちょっと今、もう一度見直していて気になる点がありましたので、少しお話しさせていただければと思います。
 1つは、既に徳倉委員からもお話があった夫婦同氏原則と言いながら、これは本来、男性でも女性でもどちらに合わせることも法律上はできるわけですけれども、実質的にはほとんどの場合、女性が氏を変える仕組みになっている。これが実際に就業等に関して制約になっているということが認識としては確実にあるのだろうと思います。その問題をどうやって考えるのかといったときに、一つは本人のアイデンティティーの問題という捉え方もされてきている。これも確かなのですが、一方で、今日、杉田課長からお話をいただいたところでは、要は労働力人口もこのままではどんどん減っていくという中で、女性にもっと参加してもらわなければいけないというのは、本人のアイデンティティーとはまた別の理由にもなるのだろうと思います。
 そうした点を考えなければいけないとなったときに、①から④のどこに入るのかなというのを考えたときにすごく居心地が悪いのですね。どうしてなのかというと、単純に考えると、私自身は②に収めるのがいいのかなという気もしつつ、②で上がっているのは女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会と言いながら、実は性暴力の話だとか健康の話だけになっていて、いわば体の話になっている。これはこういう立て方でいいのかなというのが少し気になりました。尊厳と誇りを持って生きられる社会というふうに言った場合、単純にそれだけではなくてもっと違う問題が入ってくるのではないかということ。
 もう一つ、これも徳倉委員から御指摘があった部分なのですが、出産に伴っての様々な制約を考えたときに、恐らく③はそれに関係すると思うのですが、これだと男性が家庭や地域社会において活躍するということで、結果的にはそれも関係するとは思うのですが、本来解決すべき問題は、専ら女性がそうした負担を担っているということであって、男性が育休を取るというのはいわばその問題に対する解決の一つなのだろうと思います。それ以外に、例えば公的な機関であるとか、地域社会であるとか、そういったものが一定の範囲で担っていくというのもあると思いますので、これは目標と手段の部分がうまく示されていないのではないかなという気がします。
 そうした点で、中身自体ではないのですが、①から④をうまく立てないと、本来拾うべきものが拾われないとか、目的と手段が混同してしまうといったことがあるのではないかなと思いましたので、発言させていただきました。
 以上です。

○佐藤会長 今の点は窪田委員、これまでも発言されていたことで、取りあえず今回は前回の議論を引き継ぐということで①、②、③、④。ただ、そういう意味では、ほかの委員の方も御意見が出るかも分かりませんけれども、この立て方も御検討いただければと思います。
 続きまして、どなたからにしますか。手を挙げていただければ。当てますか。では、白波瀬委員。

○白波瀬委員 今、窪田先生のほうからかなり重要な点が指摘されていて、この点については実は私も疑問がございましたので、発言をさせていただきます。やはりちょっとでこぼこ感というか、手段と目的が一緒になっているような印象です。女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現は、極めて重要な目標です。でも、ある意味で誤解を恐れないで言うと、今さらこういう印象もうけるけれど、あえてここでリストされる意味、これは物すごく根源的なことですね。それが②に来ていて、男女の経済的自立というのは、これは一つの方法でもありますね。あと、男性の家庭参加、あるいは地域間ということで中身における異質性の高さも考慮すべき点、これが③に来ています。これは①を実現するために③も関わっているというところにもなりますし、④は明らかに登用目標達成ということで、これらの配列はあまり据わりがよくないのです。
 これを一律にリスト化して、これを次のG7の柱としてそのまま展開されないとは思いますけれども、ここの位置づけは少々わかりにくい。だから、もうちょっとこの辺りは整理していただいた方がよいように思います。もし女性の経済的な自立というところを中心に持ってくるのだったら、その柱に添ったストーリーを立てていく。そこで目標値として何をだし、その背景としてどう記述して、落としどころとしてどこを目指すか、という、やはりちょっと議論の流れを考える必要があるように思います。もちろん、十分な議論できない時間的締約の中で、この柱を提示されたことは十分伝わってくるのですが、もう少し議論の建付けを検討されるとその出張がよりわかりやすくなると思います。これが1つ意見。
 2点目は、山口先生とかが既に御指摘されたところなのですが、厳密な査読論文とも連動するといったかなりチャレンジングなお話があったのですけれども、そこでの研究としての位置づけと、政策議論をめざしたベースとしての根拠としての位置づけの間には若干距離があると思うのです。ここの距離感を、どういうふうにうまく男女共同参画の枠組みで展開できるかは極めて重要です。研究が高次にあって、政策が低次にあるといったことではなく、位置づけや役割、期待される機能が両者でことなっているのです。ですからこれは多分、最初の一つのモデル事業になってくると思います。ここでの議論はある意味テーマが明確だから。
 でも、これはうまくやらないとちょっと混乱してしまうのと思います。優秀な研究者を育成しなければならない使命があり、また分野的にも政策議論とまったく独立ではない位置づけがあります。そこはうまく、めり張り感を持って積極的に役割分担をして、連携して、社会を変えていくというのが必要かなというのをすごく感じています。ボトムの問題意識はすごく共通しています。
 3つ目なのですけれども、これはまだ思いつきなのですが、リカレント教育についてです。現首相からも言及があったところですけれども、これから個人の経歴が初職の段階で大きく決定されるような硬直的な構造では駄目なのですよ。就労し、キャリアを蓄積する過程でいろいろなチャンスを出し学びの機会(リスキリング)を提供し、次にジャンプしていただくことが求められます。初めて就いた初職で最後が決まってしまう。これはまさしく日本の構図でした。学歴でその後も全部決まってしまう。東京大学で決まってしまう。この構造はもう限界にきています。それでリカレントというのは日本で言うとちょっとまだ単線的な印象がでてきますが、そうではなくて複線的、相互連携的な経歴を想定することが重要です。今、アジアなんかでも積極的に大学教育を含めて本当に積極的にリカレント教育の展開をしています。修士をとって2、3年してまた次なる専門プログラムに入って学ぶ。技術革新、イノベーションが日進月歩ですので、教育を提供する側もその動きをしっかりとらえる必要があります。物すごく動的でございます。その辺りを男女共同参画のジェンダー格差縮小に向けた方法にもなりうることだと思います。これだけ質の高い潜在的労働力を育て、活用しない手はありません。ここが一つのキーかなと思いますので、これはテーマにもなり得ると感じます。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。ちょっと脇道だけれども、リカレントで言うと、今、ビジネススクールで教えていて、大体30代、40代、50代もいるのだけれども、確かに大学はいろいろね。でも、やはりその後のキャリアで全然違うのね。僕はそういう意味でのリカレント、大学だけで決まらないし、そういう意味でMBAで学んでまたキャリアチェンジというのは結構多いのね。こういうのをもう少し。
 でも、広がっていかないのだよね。特にロースクールを除くとビジネススクール、例えば専門職大学院に行く人の数は増えていないような状況があるので、それも考えていかなければいけないかなと思います。
 ほかの方、次にどなたにいたしますか。手挙げで。佐々木さん、お願いします。

○佐々木委員 ありがとうございます。いろいろ資料をありがとうございます。
 そして、今回、G20とかAPECの女性と経済フォーラムなどで科学技術分野の女性、STEM分野への進路とか様々入れていただいて、どうもありがとうございます。その中でデータが足りないというところがありまして、画面共有をよろしいですか。こちらなのですけれども、これはジェンダー・ギャップ・レポートのところから取ってきているのですけれども、2021年にはプロフェッショナル・テクニカル・ワーカーという部分に数値が入っていたのですが、ここが2022年では消えてしまっていて、専門職がどうなっているのか分からなくなっています。
 あと、これは2021年のときは何%いるかというエデュケーション・アンド・スキルのところが全く書かれていないというふうにお話ししたところ、今回幾つか入っていったのですけれども、先ほど話題にしていたSTEM教育とか、ICTとか科学技術関係のところでデータが出てきていないということで、この辺りは世界に向けて発信するところでデータをしっかり取っているのか、取っていないのかよく分からないのですけれども、示していっていただければなと思います。
 次は、これもICT分野としてのデータなしというふうになってしまっているので、データがないままどうやって改善したかというのも、改善したかどうかも分からないので、この辺りは早急に取るようにしていただければと思います。
 あと、科学技術の分野は先ほどの④の項目で人数を増やすという、そこに割と着目されているのですけれども、実際は先ほどの②の尊厳のところに入れてもらいたいものがありまして、科学技術や研究の中身自体にも男性のデータが基準となってしまって、ジェンダーバイアスが含まれてしまっているということが分かってきています。これは何度も話していますけれども、薬の効き方では男女で違う場合があって、女性のほうが副作用が出やすかったり、心疾患でも男女で若いときは症状の出方が違って死亡率が変わったり、骨粗鬆症は逆に女性ということで男性の死亡率が高かったり、また、動物実験は雄を使うことが多いので、雌を使ったら新しい発見がある。工学分野でも、車の衝突実験、今、クラッシュテストのときに女性は助手席にしか日本では座らせてもらっていません。そういう問題があります。
 様々なことがあるのですけれども、これは海外でも重要だと言われて、いろいろ重要だというのは広めたのですけれども、なかなか研究が進まなくて、やはりそれは申請とかの助成金のときにひもづけをしないと無理だということで様々な国がやり始めていて、欧州委員会のホライズン・ヨーロッパで全ての分野について義務化というのが2020年から出てきています。あと、査読付きジャーナルとかも生物分野のところではガイドラインに出てきていますので、こういう政策を早く日本もやっていかなくてはいけないと思います。
 あと、夫婦別姓ですね。これは女性研究者にとってはキャリアに関わる非常に大きな問題になっています。本当によく問題を聞きます。通称拡大では対応できない事柄もたくさん事例があるので、これは文科省の方々にもきっちり調べてもらって、女性研究者が名前のことでどれだけ苦労しているかということをきっちり把握していただいて、それを改善できるようなことをしていただければと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、大崎委員、お願いします。

○大崎委員 ありがとうございます。今年も専門調査会が始まって楽しみにしています。毎回、男女局の皆さんからすばらしいデータをお示しいただいて、委員の先生方からは様々な専門的見地からのフィードバック、コメントをいただけるので、私も大変勉強になっております。
 私の関心がある点は引き続き2点でございます。1点目は国際と国内をどうつないでいくか。これは既に多くの委員の方々からも出てきましたけれども、国際協調と国内施策はもう分けられないと思いますので、国際基準、グローバルスタンダードを日本の法律、制度・政策にどういうふうに落とし込んでいくのかが非常に重要なポイントです。
 2点目がジェンダー主流化です。全ての政策分野においてジェンダー統計を活用し、男女双方の参画を担保した形で政策立案を行っていく、モニタリング評価を行っていくというのがジェンダー主流化ですけれども、これまでの日本の男女共同参画の施策、女性活躍の施策は、やはり女性政策というところにとどまっていたと感じております。ですが、昨年の専門調査会では経産省、金融庁といった多様な省庁の方からの報告、それから意見交換の場というものが提供されて、これを私は非常に高く評価しております。今年度もこのやり方を継続していただきたいと強くお願いいたします。
 来年はG7の議長国ですし、安保理の非常任理事国でもありますから、国際スタンダードをしっかりと踏まえた上で、日本がどういう議論をリードしていくのかというのが非常に重要な年になりますので、いま一度強調したいと思っております。
 G7に関しましては、2018年のカナダでのサミットから首脳宣言でジェンダー主流化、ジェンダー平等がトップレベルのアジェンダになりました。首脳宣言を御覧になると分かるのですが、女性という項目だけではなくて、気候変動ですとか、エネルギーですとか安全保障、全てに関してジェンダー視点からの言及がある。つまり、首脳宣言自体をジェンダー主流化したという流れができました。日本も男女共同参画担当大臣会合にとどまらないで、G7全体、気候変動、安全保障を含めて、これまでのG7のコミットメントや政策議論を踏まえながら、国際基準にかなう形でリードしていただきたいと思っていますし、そのためには省庁間の連携、それから市民社会との対話というのが不可欠になってきますから、そういったプロセスを大切にしていただきたいと思っています。
 専門調査会に関してなのですが、昨年の評価と今年期待したいことを2点お話しします。昨年はやはり男女間賃金格差にハイライトしたのは非常に画期的だったと思います。ここにジェンダー不平等、女性の人権の問題が集約されていますので、新しい資本主義という文脈で構造問題としてハイライトしたというのが非常に重要な一歩だと思っています。
 特に骨太の方針の中で垂直分離、水平分離についての説明が示されましたが、これが非常に重要だと思っています。ペイギャップは普遍的な課題ですが、ほかの国はジョブ型雇用、それから、あるポジションがアドバタイズされて、そこに応募して、賃金は交渉するというやり方でやっていますので、日本のような新卒一括採用のメンバーシップ型雇用とは全く状況が違います。ですから、日本特有の男女間賃金格差の問題は何なのかということをちゃんと見ていく必要があり、その点において垂直分離、水平分離についてちゃんと説明があったというのはいいと思います。
 ちなみに、他国とは異なる日本の特色というのは、今申し上げた新卒一括採用に加えて、正規と非正規という二重の労働市場がある点です。今、リスキリングをすごくやっていますが、企業が基本的に対象にしているのは正規雇用者ですから、非正規雇用者に対しては公共投資、公共政策でしっかりとやっていく必要があります。また、強固な性別役割分業意識による社内での職域分離と無償ケア労働時間の女性への著しい偏り。これがやはり日本の男女間賃金格差の要因です。それらを整理したことを私は高く評価しております。
 企業の男女間賃金格差の情報開示義務化も非常に重要です。ただ、企業から実態を示す情報が出てきたときに、それをどういうふうに分析して解釈するのか。それから、その情報からどのように課題を抽出して社内での取り組みを進めるのか。その辺りの丁寧なフォローアップがすごく大事だと思いますので、ここら辺をやっていただきたいです。
 男女間賃金格差のデータはESG投資、インパクト投資、人的資本経営やESG経営でも重要な指標、イシューというふうに捉えられています。今、金融庁で情報開示、指標、インパクト評価の仕方なども検討されていると思いますから、SとGのところでの人権、ジェンダーギャップの解消、ダイバーシティというところでどういう検討がされているのかというのはぜひ知りたいです。
 それから人権デューデリジェンスについても知りたいです。サプライチェーン等における人権尊重ガイドライン、最近経産省から発表されましたけれども、昨年私もこの専門調査会で発言したと記憶していますが、素案はすごくジェンダー視点が薄かったと思います。ところが、パブコメの多くがジェンダー、女性の人権に関連したことだったということで、最終版には女性やWEPsが追加されています。素案の中でガイドラインとセットで使えるハンドブックをつくるということが書いてあったので、そのハンドブックにどのようにジェンダー視点を入れていっているのかをぜひ知りたいです。
 もう一つ、G20でコロナ後のケアエコノミーのトピックがあったということですが、ケアエコノミーの中には有償ケア労働があり、その中に家事労働者も含まれます。最近、東京地裁の判決で、家政婦さんとして介護もしていた亡くなった方の労災訴訟が敗訴しています。理由は、日本では家事使用人に労働基準法、労災保険法が適用されないという公的枠組みになっているからですが、家事労働者というのはケアエコノミーで非常に重要な主体で、2011年にILOも家事労働者の条約を採択しています。日本は批准していませんが、批准していない国でもほとんどの国が家事労働者に一部もしくは完全に労働法の適用をしています。日本は一切適用していない8%の国の一つだという報告もございます。家事労働者に対するプロテクションの国際動向がどうなっているのかを報告していただきたいです。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。真ん中辺りだったかな、企業の様々な情報開示については、例えば賃金格差なんかは企業が格差の理由を自分の企業として分析して、こういう結果だということも公表していただいて、どう取り組むかと出していただくことはすごく大事かなと思います。格差自体の情報だと意味がないので。
 内藤委員、お願いいたします。

○内藤委員 ありがとうございます。先ほど徳倉委員からも、都市部と地方ではジェンダーの意識やいろいろな部分について違いがあるというような御発言がありましたけれども、やはり私は都市部と地方だけではなくて、地方自治体の中でもかなり取組とか意識レベルで差が出ているというふうに考えています。
 ①の女性の経済的自立の中で国立女性教育会館のお話もありますけれども、そこと各地の男女共同参画センターが一緒になってそういった地域の取組の底上げをするというようなお話もありましたけれども、やはりしっかりと横展開ができるような取組を構築して、あまり関心がない自治体に対しても具体的に男女共同参画とかこういったジェンダーの課題に対して取り組んでいくインセンティブのようなものが与えられるような取組を具体的にお話しできたらなと思いました。
 もう一点なのですけれども、女性の登用目標の部分で政治分野に関してです。前回の参議院議員選挙でも子連れ選挙について田村真菜さんが新聞記事などでも取り上げられていたのですけれども、公職選挙法の中で未成年は選挙活動をやってはいけないというようなところがありまして、自分の子供であったり、あとボランティアで手伝ってくれている友人のお子さんと一緒に例えばビラをまいたら公職選挙法違反じゃないかというようなことを相手陣営の方たちとかに通報されるような可能性もあるのかなと思っています。来年また地方統一選挙がありますけれども、そこで女性議員を増やそうというような取組もございますし、私自身も選挙のときに、子連れで選挙ができるのかとか、政治ができるのかというような嫌がらせを受けた部分もあります。そういったところでこういう取組を着実に進行していくためにも、子連れ選挙についての具体的にどこまで大丈夫なのかというようなところはお話ししておいてくれたほうが、やはりお子さんのいる若いお母さんも出馬しやすくなるのではないかなと考えました。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 では、私から簡単に。先ほど事務局からデータを御説明いただいて、社人研のデータがあったのですけれども、あれを見ると女性の将来のキャリアについては両立を希望していて、そういう意味では働いて結婚し、あるいは子供ができても仕事と結婚、子育てを両立したいというのが多かったですね。それで、女性から見てパートナーになる男性も両立でいいですよという人がすごく多いのですよね。ところが、実際に将来どうなるのというと、非婚就業ですよね。結婚しないで働き続けるというのがすごく多い。これはなぜか。
 1つは③に書いてあるように、結婚しても男性のパートナーが子育て、家事を一切やらないから難しい。あるいは勤務先の働き方に問題があって、結婚や子育てと両立しにくいから非婚就業を選ぶ部分がゼロだとは言わないけれども、本当にそれだけなのということは少し考えなければいけなくて、皆さん言われたように、結婚とか家族の在り方みたいなものがもしかしたらハードルになっているのかもしれないので、③は不十分でもそれなりに一生懸命やってきたわけです。でも、社人研の結果を見ると、両立を希望する人が増えているのだけれども、非婚就業が実は増えてしまっているという状況なわけね。そうすると、③を進めても両立の希望がかなうようなことになるのかどうか、ここは少し考えていただければと。
 もう一つは、③のところで働き方改革は大事なのですが、ややもすると実態で見ると、企業の働き方改革って残業削減なのだよね。もちろんそれも大事なのだけれども、両立のことを考えると柔軟な働き方だよね。それと、やはりめり張りのある働き方。例えば毎日残業2時間よりも毎日残業1時間のほうが一見よさそうなのだけれども、毎日残業を1時間していたら、男性は保育園に迎えなんて行けないのだよね。そうすると、残業しないで定時で帰れる日、あるいは残業するときはまとめてする日。女性も突然残業は困るけれども、早目に言ってくれれば残業してもいいですよというのはあるよね。一番女性が困っているのは、突然残業してとか、夕方に会議を組む。これだよね。つまり、残業削減ではないのです。働き方のオペレーションシステム。これまでいつでも残業できる男性がいたときの仕事の仕方を変えるということが大事なのだけれども、残念ながら③の働き方改革にそういうものが入っているかどうか。だから、ここは少し点検していただくといいかなと思います。そうじゃないと、④なのだけれども、女性の登用目標が下手をすると、非婚就業の女性が増えて達成できるなどというのは困った話なのですよね。これは全然よくないことなので、そういう意味では女性が希望している両立ですね。働きながら、結婚したければ結婚しても両立できるようなというのをしながら、結果的に④の女性の登用目標が実現できるということにするので、そのときに③の取組だけでいいのかどうか。あるいは③の中身ね。これまでやってきたことを続ければいいのかということを少し御検討いただければいいかなというのがデータを見ていたときの感想です。
 あともう一つ議題があるので、15分ぐらいまでしかないのですけれども、7分ぐらいありますので、ちょっと言い残したこと、もう少し説明したいということがあれば、2人ぐらいはどうにかなると思いますので、手を挙げていただければ。
 では、大崎さん、いいですよ。

○大崎委員 5次計画の第11分野、国際協調のモニタリングも必要です。今、進んでいるのは外務省が開発協力大綱の改定を進めています。前回の大綱は、一部に女性のことが書いてあります。今回の改定では、この数年間の国際的な潮流も踏まえて、全体の方針のところでジェンダー主流化を打ち出すべきだと思います。どのような検討がされているのかをぜひ知りたいです。
 女性・平和・安全保障に関する第3次国内行動計画の改定作業も今、外務省主導で行われています。この行動計画は国際協力、国際貢献に関してだけではなくて、国際貢献の国内の実施主体や安全保障の主体にも適用されるものです。その中には防衛省・自衛隊も含まれています。女性の人権、暴力の根絶も国際的には入っていますが、治部委員がおっしゃったとおり、日本ではそれが全然実行されていないことが今回明らかになったわけです。なので、この国内行動計画では、特に国内の関連省庁に対して、防衛省・自衛隊を中心に、女性の人権と暴力の根絶の取り組みを入れていただきたいです。政府としてどういう御見解をお持ちかを教えていただければと思います。ありがとうございます。

○佐藤会長 では、佐々木さん、お願いします。

○佐々木委員 簡単な話なのですが、今日出していただいたデータの中で、女性の理想で非婚就業が前回5.8%なのが12.2といきなり2倍以上になっているのがすごく気になっていて、仕事をすごくしたいという女性が増えたということですね。でも、結婚はしたくないというところは、多分、今打っている政策がよくないのだと思うのですけれども、その原因をしっかり分析したほうがいいのかなと。

○佐藤会長 ただ、今のは結婚したくない人が増えているのかというか、現実上、両立できないで希望、実態のキャリアはどうかを聞いているので、それで非婚就業かな。だから、ちょっと読み方として。

○佐々木委員 理想ですよね。

○佐藤会長 それは別のやつか。もう一個のほうか。

○佐々木委員 はい。理想が増えているのだから、こうやりたいというのが2倍に増えているので、そこはちょっと。2倍ってすごく大きいと思うのですよ。

○佐藤会長 スライドの3のほうかな。

○佐々木委員 資料1の2ページ目です。

○佐藤会長 それでは、その辺は見ていただくことにして、まだあるかも分かりませんが、ちょっと今日はこの辺までにさせていただいて、本日の御議論を踏まえて、取りあえず検討すべき課題について少し組み直していただければ、整理していただければと思います。  それで、次回以降、どのような課題を検討していくかということが分かるような形で整理いただければと思います。そのときに、次回以降の専門調査会で取り扱うテーマについてこれまで議論したものもあれば、それも整理したものを一緒に出していただければと思いますので、そのようにお願いしたいと思います。今日は取りあえずそういうふうに整理させていただければと思います。
 それでは、議題2としてジェンダー統計の視点からの性別欄の検討ワーキング・グループが取りまとめいただいていますので、それについて、この5月から今のワーキング・グループを設置し、白波瀬ワーキング・グループ長の下で検討いただいて議論し、その結果を「ジェンダー統計の視点からの性別欄の基本的な考え方について」という形でまとめていただいています。本日は白波瀬委員よりその内容について御報告いただければと思います。よろしくお願いします。

○白波瀬委員 よろしくお願いいたします。では、本日、私のほうから説明をさせていただきます。ワーキング・グループのメンバーその他についてはアップされておりますので、もちろん局長をはじめ、事務方にも御協力いただきましたことをまずお礼申し上げたいと思います。
 本年4月に開催されました第14回「計画実行・監視専門調査会」におきまして、ジェンダー統計の観点からの性別欄検討ワーキング・グループを設置することとなりました。5月から7回にわたりまして多様な方面から真摯かつ慎重に議論を進めてまいりました。議論の内容を踏まえまして、9月6日、ジェンダー統計の観点からの性別欄の基本的な考え方についてということで取りまとめをいたしまして、公表いたしましたので、ここに報告をさしあげたいと思います。
 まず、本ワーキング・グループを開催いたしました背景でございます。平成7年、もうしばらく前になりますけれども、北京で開催された国連第4回女性会議、北京女性会議と略されますけれども、女性の地位向上を目指すためにはジェンダー統計が必要である。政策評価をということを念頭にしてこの文言が明記されたわけでございます。
 しかし、昨今、男女の性別欄に伴うアンコンシャスバイアス、あるいはトランスジェンダーの方々への配慮のなさということが指摘されまして、その対応として各種申請書、履歴書、入学願書などから性別欄の廃止もしくは見直しの動きが見られます。見直し自体については必要だとは思いますけれども、行政機関、民間企業・団体におきまして、性別情報の取得の是非、あるいは取得する場合の選択肢などについて迷いが生じているということも見受けられる状況であります。
 ただ、だからといって、性別欄をなくしてしまえばよいのではないかという単純な話ではございません。例えば、各種統計調査における必要な男女別のデータの取得ができなくなるという深刻な状況が生まれるわけであります。
 そこでまた、第5次男女共同参画基本計画では、基本認識といたしまして、男女共同参画の推進に当たりましては状況や課題を適切に把握するための男女別データの利活用の促進と当該データを男女共同参画の視点に立った政策の企画立案・実施につなげることが重要としておりまして、具体的な取組としてジェンダー統計における多様な性への配慮について現状を把握し、課題を検討するとしております。
 本ワーキング・グループでは、我が国の男女間格差が依然として大きいままである現状を踏まえれば、その解消に向けまして、EBPMを実施する観点からも、男女別のデータを確実に取得することは重要であるという点については疑いなく、本ワーキング・グループでも合意を得た次第であります。
 したがって、性別役割の有無に関する、やめたらいいとか、あったらいいとかいうような単純な二項対立的な議論というのは、拙速な対応はするべきではないという結論に至りました。
 しかしながら、同時に、性別欄の選択肢がこれまでどおり男性か女性かの二択で十分であるかについては議論すべき余地があると考えられます。事実、性別欄における選択肢の見直しは当事者に配慮したものであるべきであり、性別情報を取得する際には、性別欄が存在することでハラスメントや差別に通じる困難に直面する人たちの存在を理解するということも極めて重要であります。
 議論する中では、取りまとめの資料にも記載しましたとおり、統計調査等においても多様な性の配慮に留まらず、性的マイノリティーの実態や課題の把握もしっかり行うべきである等も含めまして、様々な有益な意見が出された次第であります。
 ワーキング・グループとして男女以外のデータを取得する場合の質問項目や、男女以外というか男女の2つだけのカテゴリーではなくてという意味で質問項目、選択肢に関するある程度のガイドラインを策定するところまでは時間の関係上、議論には至りませんでした。しかしながら、取りまとめの資料において、全7回にわたって活発に行われた議論の内容を整理した次第です。そこでは性別情報の取得について検討する際のフローチャートのほか、諸外国の統計調査、国内の調査や地方公共団体、民間の取組例も参考資料として添付しておりますので、地方公共団体を含む行政機関、民間企業・団体様の検討の際の参考になるのではないかと期待しております。
 このようなワーキング・グループを政府で設置し、実施したのは初めての取組でありました。LGBTの当事者団体からも構成員を迎えまして、性別情報を取得する際に当事者に困難を強いるようなことはあるべきではないという観点も踏まえまして、かなり充実した議論もできました。
 ただ、やはりまず必要なマクロなレベルでの男女別のデータを取得することの意味は、決して現在の多様な性に関する配慮と相反することではないという共通認識も得られたことは、ワーキング・グループの一つの成果であると私たちは考えております。
 私からの報告は以上です。ありがとうございました。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 少し事務局から追加の説明があるということです。それをお伺いして、その後、今のワーキング・グループの取りまとめについて御意見があれば伺えればと思います。
 では、事務局からお願いいたします。

○ では、事務局から若干補足させていただきます。
 このワーキング・グループの取りまとめ結果につきましては、9月に開催されました統計委員会企画部会の第3ワーキンググループに報告をしているところでございます。
 それから、今日専門調査会に報告しました旨を男女別データの習得・取得の重要性に触れた本報告内容と併せまして、各省庁に改めて周知したいと考えております。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、先ほど白波瀬委員から御報告いただいた内容について御質問なり御意見があれば、どなたからでも出していただければと思います。
 では、治部委員、お願いします。

○治部委員 白波瀬先生、ありがとうございます。それから、事務局の皆さん、取りまとめをお疲れさまでした。この問題というのは非常に世間の関心が高く、コントラバーシャルであって、ともすると女性の地位向上とか男女間のギャップの解消というものと、LGBTとよく言われますけれども、LGBではないですよね。トランスジェンダーの方の人権の問題と女性の人権の問題があたかも対立するかのように論を立てられるところを私は非常に懸念してずっと見ております。
 かつ、トランスジェンダーの当時者の方であっても、そのような論の立て方を好まない方も非常にいらっしゃる中で、いたずらにいわゆる性的マイノリティーと女性の権利が衝突しているかのような見せられ方がするということをとても懸念している中で、白波瀬先生のワーキング・グループで出された結論というのはとても妥当性があり、かつ、これまでの政府の男女共同参画の政策にもアラインしたもので、私はとても安心をしたというところがあります。
 大学等々でもいろいろ議論がありまして、不要なところで聞かなくてもいい、まさにここで結論をお出しになっている、聞かなくてもいいところまで聞いているということが現状ある一方で、やはりエビデンスベースでポリシーをつくるためには、どんなギャップがあるかということを把握しなくてはいけませんので、そういう意味では聞くべきところは聞くという結論には私も賛成でございます。
 これは先生からお話のあったとおりなのですが、恐らく男女だけではなくて、答えたくないとか当てはまらないといったような選択肢の数を増やすというのが現実的には行われることであろうと思います。
 あと、これも恐らくワーキングでもお話があったことかと思うのですが、私が実際に対談をしたことがある女性の同性カップルの方に聞いたところでは、国勢調査等々で配偶者、日本ではまだ同性婚ができませんので、実質的には事実婚相当の生活をされている方で、パートナーが同性である方がどれくらいいるかといった実態把握を是非してほしいといったようなことは伺っています。これはやはり実態把握をするということは、必要な支援を把握することにもつながりますので、どのようにデータを取るかということが今後建設的な形で進んでいくことを希望します。
 ありがとうございました。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員 性別欄をなくそうとしているところで割と、採用のところでなくしますとか、この会社はなくしますみたいな話があって、それは採用のときにそういう差別を受けないようにという配慮の意味だと思うのですけれども、今回は出すということで、そういう差別が起きてしまう現状があるというので、そこは性別欄の有無で採用とかの不利にならないようなしっかりとした対策みたいなもの。無意識のバイアスの教育とか、応募してきた比率と採った比率がすごく違っているとか、まず応募者自体が少ないとか、そういうところもちゃんと提示していったほうがみんな安心して、性別欄を書いていいんだとみんなが思えるような対応策も今後検討していくといいのかなと思いましたが、本当に今回まとめていただいてどうもありがとうございました。

○佐藤会長 では、内藤委員、お願いします。

○内藤委員 このたびまとめていただき本当にありがとうございました。うちも性別欄をどうするかという議論はかなりありまして、先ほど佐々木先生もおっしゃっておりましたが、やはり採用の募集時にそういった差別が起きてはならないということで、徳島市においては採用の募集時に関しては性別欄をなくすという形で今はやっております。ただ、やはり一方で統計データを取る場合にそういったデータが必要なのではないかという議論があることも承知しておりますので、私たちは性別欄を廃止することを検討して、統計情報必要であるものに関しては現在のところ性別欄は設けているのですけれども、空欄にして、各自記載してもらう形にして出しているような状況になっています。
 自治体としてどうするかというのは、やはり各自治体で議論があるのですけれども、白波瀬先生がとりまとめてくれたものも理想にして、また首長同士でも議論をしていきたいと思います。ありがとうございました。

○佐藤会長 では、井上委員、お願いします。

○井上委員 ありがとうございます。白波瀬先生、大変お疲れさまでした。
 私もいろいろ議事録とかをこの間拝見させていただいておりました。労働組合でもやはり性別欄をどうするかというのはずっと取り組んでいた課題ですので、今回、一定程度お示しいただいたことは大変敬意を表したいと思います。参考資料4の10ページに性別情報の取得について検討する際のフローチャートがあります。配慮する場合の具体例ですとか、男女別データの取得が不要な場合の具体例なども記載されているので、先ほど内閣府のほうからは、今後各省庁へ周知という話がありました。これはしっかりやっていただきたいと思います。
 ただ、やはり残念だったのは、ワーキング・グループとして男女以外のデータを取得する場合の適切な質問事項や選択肢を示すまでに至らなかったというところです。やはりここは欲しかったなというのは率直に言ってありましたので、引き続きまた議論ができるような場を設けていただければと思います。ありがとうございます。お疲れさまでした。

○佐藤会長 それでは、白波瀬委員のほうから何か今あれば。

○白波瀬委員 最後の井上委員におっしゃっていただいたのは、実は本当にメンバー自体の中での強い意思でもあります。ただ、ここでジェネラルルールというか、ガイドラインを設定することの責任については、正直、最後はやはり私がちょっと引いちゃったかなというところはあるかもしれません。だけれども、それぐらい重要な問題であって、他国についてはかなりいろいろな意味でしっかりしたものを、フローチャートでしっかり国としてというのを出しているところもあるのですけれども、今出ているものは実質的には議論は10年かけていますね。それぐらいの中身であるということなのですね。
 今、必要でない、何のための統計か。これが鍵だと思います。ただ、今、もう一つは政策評価が必要なのですね。あらゆるデータを使った政策評価をしたいのですね。ですから、厳密な意味の行政データなり一つの政策データであれば、その時点で必要なければ、採用では全く必要ない。採らなければいいのです。だけれども、それで入った人がその後のキャリアの中でどれだけの正当な扱いを経て、正当にキャリアを積んでいくのか。これはデータで実態をちゃんと分析しなければいけないのです。そのときにそもそものものがないと、ここは中の委員間も、一研究者としては物すごく複雑。そういう意味では、やはり取っておいてほしい。だけれども、取り方に、男性、女性、その他はないよなというのは、中では結構ありました。でも、その残念ながら気持ちは、メンバーとしてはそうなのですが、その先には、私も力及ばずというところではあったと思います。

 ですから、このワーキングが最後にならないで、次につなげてもらいたいという、責任転嫁してはいけないけれども、そう思います。

○佐藤会長 それぞれ我々研究者が調査をするときでも、多少そういうものへの参考になるし、積み重ねだよね。少しやってみるということが大事だと思うし、あともう一つは、取らなくてもいいものを取っているのはあるのだけれども、これまで取るべきなのに取っていないものがたくさんあるのも事実なのだよね。こういう議論になって、取らなくていいんだなみたいなことを言ってしまうことは問題で、やはり取らなければいけない行政データは結構多いので、そことの全体を見ながらだと思います。本当に御苦労さまでした。
 それでは、一応、今日用意していた議題について、特に1番目についてもう少し御議論を出していただく時間があればよかったのですが、取りあえず最初ということで、事務局については今後の検討について、どういうものを取り上げるかについても、窪田委員や白波瀬委員、皆さん言われたので、それを踏まえながら少し見直していただいて、次回以降の調査会で検討する内容を整理していただければと思います。
 事務局、一応これでいいですか。
 では、ちょっと時間が過ぎましたけれども、熱心に御議論いただいてありがとうございました。また次回以降もよろしくお願いいたします。