計画実行・監視専門調査会(第15回)議事録

  • 日時:令和4年4月21日(木) 10:00~12:00
  • 場所:オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
  1. 開会
  2. 議題
    (1)高齢期の女性の経済状況について
    (2)諸外国における企業役員の女性登用について
  3. 閉会

【配布資料】

資料1
高齢期の女性の経済状況について(内閣府説明資料) [PDF形式:1,056KB]別ウインドウで開きます
資料2
諸外国における企業役員の女性登用について(内閣府説明資料) [PDF形式:2,162KB]別ウインドウで開きます
資料3
高齢期の女性に対する年金の現状(厚生労働省説明資料) [PDF形式:1,421KB]別ウインドウで開きます
資料4
ライフステージに応じた金融リテラシーについて(金融庁説明資料) [PDF形式:2,737KB]別ウインドウで開きます
参考資料1
計画実行・監視専門調査会委員名簿 [PDF形式:199KB]別ウインドウで開きます
参考資料2
女性活躍・男女共同参画の重点方針2021 [PDF形式:1,566KB]別ウインドウで開きます

【出席者】

会長   
佐藤 博樹  
中央大学大学院戦略経営研究科教授
同    
井上 久美枝 
日本労働組合総連合会総合政策推進局長
同    
大崎 麻子  
関西学院大学客員教授
同    
佐々木 成江 
お茶の水女子大学ジェンダード・イノベーション研究所特任教授
同    
白波瀬 佐和子
東京大学大学院人文社会系研究科教授
同    
徳倉 康之  
NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、株式会社ファミーリエ代表取締役社長
同    
内藤 佐和子 
徳島市長
同    
山田 秀雄  
山田・尾﨑法律事務所代表弁護士
内閣府  
林 伴子   
男女共同参画局長
同    
吉住 啓作  
大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
同    
杉田 和暁  
男女共同参画局総務課長
金融庁  
井藤 英樹  
総合政策局政策立案総括審議官
厚労省  
高橋 俊之  
年金局長

議事録

○佐藤会長 本調査会は、これまでに引き続き重点方針2022、いわゆる女性版骨太の方針に向けた議論を行っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 まず議題の1つ目ですけれども、高齢期の女性に関する各種データについて御説明いただいて議論していきたいと思います。
 まず最初に、内閣府の林男女共同参画局長から資料1について御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○林男女共同参画局長 内閣府男女共同参画局長の林でございます。
 皆様、ありがとうございます。よろしくお願いします。
 それでは、資料を共有させていただきます。
 まず日本の男女の平均寿命は延びて、女性は現在87歳ですが、ただ、健康寿命との差を見ますと12年あるという形になっております。
 また、100歳以上の人口は、現在約7万人となっているところでございます。
 死亡の年齢については、分布が徐々に高齢に移動しておりまして、かつて、例えば1980年頃は女性の死亡の最頻値は84歳でございましたが、現在の女性は93歳が最頻値となっております。
 また、結婚・離婚の動向を見ますと、コロナ前では大体毎年60万件の結婚に対して、離婚が毎年20万件、3組に1組という割合になっております。
 また、1985年頃に比べますと2020年現在は男女ともに未婚と離別の割合が上昇しております。下のグラフが2020年の男女でございますけれども、例えば50歳時点を見ていただきますと、配偶者がいない方が男女とも約3割となっております。
 また、65歳以上の女性の単独世帯数は現在440万世帯となっております。未婚の方が10%、また、死別された方が63%、離別された方が14%という割合になっております。
 また、社会施設に入られている女性は134万人となっております。
 また、病院や療養所に入院されている方は25万人となっております。
 要介護(要支援)の認定者数について見ますと、年齢階級が上がるにつれて女性の割合が高くなる傾向にございます。
 次に、金融資産について見てみたいと思います。こちらは、1世帯当たりの金融資産残高を世帯の属性別に見たものでございます。女性の単身世帯は全ての年代において総世帯よりも金融資産残高が少なくなっておりまして、60歳以上では総世帯の平均の7割前後となっております。ただ、この金融資産残高の平均値は分布の形状の関係でやや高めに出る傾向がございます。分布を描いてみるとより金融資産残高が低い方もたくさんいらっしゃるという形状になります。
 生活保護について見ますと、現在65歳以上の生活保護を受けている方は105万人で男女半々ぐらいですが、年齢が上がるにつれて女性の割合が高まる傾向にございます。
 また、高齢者の貧困率について国際比較をしてみますと、国際的に見ると男女で見ると女性のほうが男性よりも貧困率が高いという傾向がございます。日本の女性の高齢者の場合、貧困率が22.8%とOECD平均よりもやや高くなっております。
 また、OECDの統計によりますと、高齢者の収入源の国際比較をいたしますと、日本では社会的移転が半分くらいとなっておりまして、OECD平均よりはやや割合が低く、その代わり労働の割合が高いという傾向になっております。
 また、老後の収入の男女間格差の国際比較をしたデータもございます。こちらにつきましては、例えば現役世代のときの男女間の賃金格差などを反映しているのではないかと考えられます。
 老後の収入について男女間の格差を生む労働市場の要因として、OECDではやはり労働市場における女性の状況、例えばそもそも就業率が低い、パートタイムが多い、賃金が低い、勤続年数が短い、こういったことが影響しているのではないかと分析をしています。  そして、日本の今後の人口推計を社会保障・人口問題研究所の推計、中位推計で見たものでございます。男女別に見ております。女性のほうをご覧いただきますと、2065年、約40年後には日本の女性の75歳以上の方は1335万人となりまして、女性の中でほぼ3割が75歳以上になります。65歳以上ということで見ますと1900万人ということで、女性の中の41.8%は65歳以上の高齢者という姿になります。こういった将来の人口推計を基に考えますと、女性の経済的自立、女性の経済的エンパワーメントにより高齢期になっても自分で生活を営むことができる経済力を持つということは御本人にとって大事なのはもちろんでございますけれども、日本の財政にとっても大変重要なことではないかと考えております。
 なお、第5次男女共同参画基本計画では、高齢者が安心して暮らせる環境の整備ということで様々な施策を掲げているところでございます。
 私からは以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、厚生労働省、高橋年金局長から、資料3「高齢期の女性に対する年金の現状」について、御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

○高橋年金局長 厚生労働省の年金局長の高橋です。どうぞよろしくお願いします。
 資料の表紙と目次の次のページでございます。
 このページをご覧いただきますと、3段の表がありますけれども、上の表、配偶者あり世帯、これは高齢者の公的年金の分布の状態でございますが、配偶者ありの世帯をご覧いただきますと、2人分の分布状況ですね。これは真ん中の緑のゾーンが20万円から30万円、ここが一番多くなっております。20万円以上が7割を占めています。一番右側に平均額、書いてありますけれども、平均年金月額23.8万円でございます。 その次の段が配偶者なし世帯であります。男性と女性で分けてあります。ここの緑のゾーンは10万円から15万円のゾーンでございます。一番右側に平均がありますけれども、男性は13.9万円が平均です。女性については、平均が11.6万円で男性より若干低くなっておりますが、未婚、死別、離婚で分けてみますと、この違いがはっきりありまして、緑以上の10万円以上が未婚や死別では6割以上が10万円、未婚では11.9万円、死別では平均12.1万円ですから男性とあまり差がそれほど大きいわけではない。ところが、離婚については、10万円以上は3割しかおりませんで、平均が8.3万円というように低くなっております。 ちなみに、一番下の参考でございますけれども、配偶者ありなしを合計した場合でございますが、男性は一番右側、平均が15.9万円ですが、女性は9.6万円、ここが非常に大きな差があります。ただ、上のほうに配偶者ありやなしで分解してみるとこういう状態であるということでございます。
 何でこういうことになるかということが2ページにございます。
 女性の働き方や暮らし方と年金との関係でございますけれども、一番左側、例①の例、例えば現役時代にフルタイムで働いていた女性、共働きであったりずっと単身の方であったり、どちらでも同じですが、厚生年金の被保険者期間が長くて、その間の報酬額も比較的高かった方、そういう方は左下の図のように十分な御本人の老齢厚生年金と、それから、老齢基礎年金も満額でありまして、十分な額がある。
 次は例②で真ん中です。現役時代に専業主婦やパートなどで働いていて厚生年金があまりなかった方でもフルタイム就労だった夫と死別した方。厚生年金の被保険者期間が短くて、その間の報酬額も低かったのだけれども、3号被保険者期間が長くて、夫がフルタイムで働いていた、死別をされた。そうすると、真ん中の図のように遺族厚生年金、夫の厚生年金の4分の3が入ってきますので、十分な額の年金が受け取れるということでございます。
 右側、例③でございます。現役時代に専業主婦やパートなどで働いていた女性で夫と離婚したような方、例えば厚生年金の被保険者期間が短くて、その間の報酬額も比較的低くて、国民年金期間が長かった。しかも、その間、未納や免除の期間があった、こういうような方は老齢厚生年金も少ないし、基礎年金も満額よりも納付済み期間が少ないので少ない、こういうようなことで、先ほどの数字のように離婚の方の平均値が下がる理由はこういったところにもあるというように考えます。
 次のページは御参考に、遺族厚生年金です。死亡した方に生計を維持されていた次の遺族ということで、非常に制度的には男女差がある仕組みなのですけれども、死亡した方の報酬比例の老齢年金の額の4分の3が出る。右側に図がいろいろついていますけれども、基本は遺族年金と老齢厚生年金との関係では御自身の老齢厚生年金を先に充てまして、足りない額を遺族厚生年金として出るという老齢厚生年金を先に充てる仕組みがございます。
 次のページは御参考で遺族基礎年金です。遺族基礎と遺族厚生というのは機能が全く違いまして、遺族基礎は子供のある配偶者や子に出る仕組みでございます。
 次のページが高齢者の現役時代の経歴と年金の違いであります。ご覧のように左が男性、右が女性でありますが、年齢によって随分変わってきております。この水色の正社員中心というのが男性の90歳以上ぐらいの方は正社員中心の水色が少なくて、自営業中心の緑色、農業とかが非常に多かった。だんだん自営業が減って正社員が増えていったということであります。
 女性についても90歳以上ぐらいの方はかなり自営業中心という方が多いのですけれども、だんだんそれが減って正社員中心という方が増えていったり、あるいは常勤パート中心。常勤パートと書いてありますけれども、これは週何日とかということでずっと恒常的に働いているような方とか、契約社員みたいな方ですが、こういった者が増えてきているということでありまして、収入を伴う仕事をしていない期間というのは大体17%ぐらいというようになってございます。
 こういった低年金を防ぐためには、前回もお話しさせていただきましたが、被用者保険の適用拡大が非常に重要でございまして、短時間労働者の適用拡大と個人事業所の非適用業種の見直しでございます。令和2年改正を着実に施行した後、検討規定、附帯決議に基づいて、その次を進めてまいりたいと考えてございます。短時間労働者の規模要件の撤廃に向けた取組が必要ですし、個人事業主の非適用業種については、右下にありますように飲食ですとか宿泊ですとか理美容とかビルメンテナンス、そういうところでフルタイムで働かれる女性の方も多いと思うのですけれども、こういった方、個人事業所ですと今、厚生年金がつきませんので、そこのところが低年金の要因にもなっているので改善が必要と思っております。
 次のページは適用拡大の効果でありまして、それから、その具体的なイメージがあります。資料の説明は省略いたします。
 もう一つ、既に低年金になってしまった方、これについての対策としては、年金生活者支援給付金というのが消費税財源を10%に引き上げたときの財源を使いまして、令和元年10月からスタートしております。高齢者の給付金は老齢年金生活者支援給付金でございまして、前年の公的年金等の収入額とその他の所得の合計額が老齢基礎年金満額、年間78万円ですけれども、これ以下の方について保険料納付済み期間に基づく額は5,000円、それから、保険料免除期間があった方については、その免除期間分、年金額が減ってしまいますので、そこのところを少し埋めるということで、1万円に免除期間月数を480で割った分が乗っかる、こういったものでございます。この給付金は障害基礎年金や遺族基礎年金にも乗っけられるという仕組みでございます。
 私からは以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。非常に高齢者の年金の受給関係、分かりやすく御説明いただいてどうもありがとうございました。
 それでは、最後に、金融庁の井藤総合政策局政策立案総括審議官から「ライフステージに応じた金融リテラシーについて」、御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○井藤政策立案総括審議官 金融庁の井藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、画面を共有させていただきます。
 ライフステージに応じた金融リテラシー向上のための取組について、お話しさせていただきます。
 2ページですけれども、金融庁のほうでは、金融経済教育と呼んでいますが、この取組を近年、大変力を入れて進めてきていまして、2013年4月に研究会で報告書を取りまとめていただきまして、生活スキルとしての金融リテラシーでありますとか、商品供給、良い商品を促すためにも家計側が金融リテラシーを向上させることが望ましいですし、また、家計自身も資産の有効活用をするという観点からも重要だということで、また、別紙のほうでその内容を整理した項目は載せていますけれども、こういうことを取りまとめました。
 その後、こうした報告書に沿って様々な関係者が適切な役割分担を行って、こういう教育を推進していこうということで金融経済教育推進会議というものを関係団体、関係省庁、それから、有識者の先生方に参画いただきまして開いてきて、これは継続して今もやっているということです。
 そうした中で、各世代別に応じて最低限身につけるべき金融リテラシーの内容、これも別紙でつけていますけれども、こういったものも取りまとめて体系化して、広めていきたいということで活動しています。
 そのPDCAということですけれども、金融リテラシー調査というものも定点観測的に行ってきているということでございます。
 別紙1ですけれども、最低限身につけるべき金融リテラシーとして、家計管理、生活設計、金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択、さらには外部の知見の適切な活用ということで4分野、あと時間の関係で細かくは申し上げませんが、さらに15項目を取りまとめています。高齢者の方々についての話はまた後ほど出てきますので、そこで若干言及させていただきます。
 金融リテラシー・マップというものを先ほど示させていただきましたけれども、これは細かいそれぞれのカテゴリーごとにこういうマップを作っていまして、全体では結構分厚い資料になるのですが、小学生から大学生、若年社会人、一般社会人、高齢者までどういうことを身につけていただきたいということをまとめたものとなっています。
 金融リテラシーの向上の目的なのですけれども、今回のテーマでもありますが、やはり高齢化の進展というのが非常に大きな社会的課題となっているのですが、これは既に高齢者になられている方に対しても適切な施策をやっていく必要もあるのですが、若い方々もいずれは高齢者になって、そのときに生涯を通じてより豊かな暮らしをしていただくためには、やはり若いうちから適切な準備をしていただくことが重要だと。そのためには貯蓄にとどまらず安定的な資産形成に取り組む重要性がますます増しているということで、こういう教育を若いうちから、あるいは各層に対して理解を深めるような活動をできればというように考えていることです。
 その中で個々人が安定的な資産形成に取り組む上で重要なのは、それぞれのライフプランに合った、あるいはライフステージにあった金融商品・サービスを選択していくことが重要で、そのためには金融知識というものが極めて重要になるということと考えています。
 若干脇道にそれますけれども、今般、成年年齢の引下げがありまして、特に18歳新成人の方々に対する取組というのを政府としても強化しております。
 また、今年の4月からはいろいろ報道等もしていただいていますけれども、学習指導要領の中で家庭科を中心ですが、高校でもこうした金融教育が充実されてございまして、結婚、子育て、住宅取得、最後には老後の備えということも含めて、よりよい生活設計あるいは備えをやっていただくために、教育というものも高校を含めて充実させていただければというように考えてございます。
 次のページなのですけれども、これは高校向け指導教材というものを作っていまして、担当者によると会心の作だと言っているのですが、先ほど出てきました金融リテラシー・マップや新学習指導要領の内容をまとめた教材を作ってございます。
 また、高校よりも上の方々の世代、大学生や社会人に向けては、マネビタという形で、gaccoというオンラインの大学レベルの講義を受けられるウェブサービスというのがあるので、そこに体系的なビデオ学習の教材を一連のストーリーとして網羅的な講義になるようなものを用意して作っているということです。
 最後に、高齢者に対する取組なのですけれども、高齢者についてもこのリテラシー・マップとしてポイントをまとめてございます。家計管理、生活設計あるいは金融知識、外部の知見の適切な活用ということですけれども、金融取引の基本としては、ハイライトしているところですが、資産管理面で高齢者が必要とする基本的な知識を習得して、必要に応じて専門家に相談することが重要ではないかと考えております。
 あと例えば保険の商品であれば高齢期における保険加入の必要性。やはり必要性をより理解して自分に合ったものをちゃんと入っていただくことが大事かなと。あるいはリタイア後の生活安定のために必要に応じて資産のバランスを見直せるようにする。
 あと資産形成のところで特に大事なのは、自ら理解できない商品への投資はやはり警戒心を持ってやっていただく。金融というのは情報の非対称というか、金融商品を高齢になられて一からその仕組みをきっちり理解するというのは結構難しいのではないかという部分もあります。したがって、常識を持って対応するということは極めて大事なのですけれども、最後の赤字部分ですが、やはり専門家のアドバイスも的確に受けられるようなことが重要ではないかというように考えてございます。
 ただ、金融リテラシー調査と先ほども話しましたけれども、いろいろ調査をやってくると、やはり亀の甲より年の功ではないですが、年齢が上がるとやはり金融知識は高いという結果は出ています。これをどう受け止めるかということなのですけれども、そこはある程度心強いデータも出ています。ただし、先ほどの年金の話とかもいろいろありましたけれども、女性のほうがやはりちょっとスコアは低いのです。これは決して能力の差ではなくて、多分男性の方はいわゆる社会経験、今の高齢者の方を見ると多いと思いますので、そうすると、いろいろな経済取引にも触れる機会が多いので、その結果ではないかと思っていまして、例えば金融庁、総合職採用は女性のほうが多いというような官庁ですけれども、女性は極めて優秀ですから、能力の差というよりも今までどれだけ情報とか経済取引に接したかということなのですが、この辺はちょっとどうしたものかなというようには思っています。
 また高齢のステージにおいては、やはり本人だけの課題というよりも金融業務の在り方としても超高齢社会を踏まえて、いわゆる消費者の方々を支える仕組みが必要だろうというように考えていろいろな取組を業界とともに進めておりまして、例えば代理等の取引の在り方、福祉関係機関との連携強化、これらについて、よりよい事例というものが大きく普及していくように好事例を集約して還元したりというようなこともやっています。あと、デジタル技術を活用して取引のデータからちょっとおかしいかなというものが分からないか。そのことによって早くいろいろなサポートできるようなことはできないのか、ということを研究段階ですが行っている例もあります。
 あとは本人以外でも金融契約の有無を紹介できるシステム。これは今般、マイナンバーで相続時の照会システムを立ち上げるべく今、準備を進めていますけれども、時間の関係上、細かくは言いませんが、相続時等につきましては、証券、保険でもそういうシステムができているというところでございます。
 あと高齢者の対応として、成年後見制度を利用者にとって安全かつ安心な制度にするために各金融機関、次のページに出ていますけれども、後見制度支援信託ですとか、後見制度支援預貯金という、こういった商品も用意しております。
 以下のページは先ほど申し上げました相続時等のマイナンバー等を介した照会システムの話でございます。
 ちょっと駆け足になりましたが、私のほうから以上でございます。ありがとうございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 議題の(1)は私、説明を間違っていて、議題の(1)は高齢期の女性の年金等々経済状況について議論するということで、局長からはそれに関わるデータを御説明いただいたということです。
 それでは、この議題の(1)の高齢期女性の経済状況について御説明いただいたことに御意見なり御質問があれば皆さんから出していただければと思います。いつものようにお願いいたします。どなたからでも。
 では、白波瀬委員、お願いいたします。

○白波瀬委員 では、皆さんちょっとあれなので、最初に質問させてください。
 大変ありがとうございました。やはり何といっても根っこのところは現役時代の低賃金に代表される不安定な就労というのが背景にありまして、誰と結婚するのかということで高齢期も全て決定してくる、こういう構造だというように考えています。
 幾つか具体的な質問ということで口火を切らせていただきたいと思います。まず年金のことでございますけれども、短時間雇用者ということで拡大。もちろん、これについては期間というか1年以上というのが2022年に撤廃されて、次は企業規模がどんどん小さくなるといえども、いわゆるマクロなレベルでの中高年女性の就労場所というのは比較的小さいところが多いわけで、結局これに該当する人が実際どれぐらい増えるのかというのがやはり一つなのですが、いずれにしても適用拡大についても実質的に老後の保障がどれだけ増えていくのかということはちょっと限界があるように感じているので、その辺りのことをどうお考えになるか。
 そういう意味では、3号保険者というか、そこの基本的な構造自体、どれぐらい今、議論が展開されているのかということも2点目として確認させていただきたいのですけれども、3号保険者、個人型DCということで適用にもなったと思います。そういう意味で個人年金との関わりということは積極的にどういうようにお考えにあるのかということをお伺いしたいというのが1点です。
 2点目につきましては、金融庁様、ありがとうございます。教育は基礎だと思うのですけれども、基本的に多くの女性が、私の年齢はそうなのですが、自分で稼いでない分と言ったら変ですが、積極的にどう使ってどう増やしてというアイデア自体が本当にない方が多いのです。日本人も基本的にそうなので、企業年金その他においても運用ということが男性も含めて結局疎くて退職金という一時金にどうしても頼らざるを得ないとか、リスクを取らないということはあるのですけれども、やはり教育だけではちょっと金融自体が名義はもう夫にということもあるので、もちろん非常に重要な、これも時間がかかるのですが、積極的に海外なんかでは本当に紙のお金とか使って小学校からいろいろやっているみたいなところもあるのですが、この辺り、高齢期になって壁はどんどん高くなるのですが、リテラシー以前の金融への積極的な関わりという点では何かお考えをお持ちなのかというのを聞かせてください。
 以上です。

○佐藤会長 では、それは後でまとめて、関連する御質問、ほかの方からあるかと思いますが、メモ取っていただいて、ほかにはいかがでしょうか。
 では、出る前に私のほうから。
 今の白波瀬委員から金融リテラシーのところなのですけれども、これは金融庁なので金融リテラシー。ただ、実際は先ほどの年金の話とかそういうことを含めてセットで考えなければいけないわけで、費用で言うと、例えば高齢期になると介護とか医療がどうなるかとか、そういう年金が自分はどのぐらいもらえるかとかというと金融資産の話になるし、要介護になったときに実は介護保険制度を知らないと、新聞に入ってくる有料老人ホームの費用、すごくかかるなんて思ってしまうのだが、実は介護保険制度のことを知らない人が結構いるわけで、介護保険で自己負担分がかかっても上限はありますね。例えばそんなことを知らないとかあるので、やはり金融というか高齢期、生活する上でのお金の準備もあるのだけれども、保険制度、年金なり介護保険の医療保険のセットで本当は教えていただけるといいと思うのですが、この辺、どうもばらばらになっているような感じがするので、もちろん金融庁だからそこまでできないのかも分かりませんが、その辺についてお考えを伺えればというように思います。
 ほかにはいかがですか。少しついでおいた。
 では、佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員 ありがとうございます。
 幾つか質問というかお願いもあるのですけれども、今日のお話で金融リテラシーのところで、まず高校の授業でお金の授業が始まるということですが、金融庁のホームページでお金の授業の冊子を見せていただいたのですが、この中でやはり漏れているなと思うのが、女性が出産、育児によって正社員を1回辞めて、子供を産んでパートで戻ったときに生涯賃金がどれぐらい下がってしまうかということを最初に教えておいたほうがいいと思っております。これは我々、大学でよくそういうお話をするのですが、辞めるとその後パートで一生懸命働いたとしても生涯賃金が1億円以上下がってしまう。なので、辞めるときにそのお金を捨てているというか、そういう意識や覚悟があるのかということをちゃんと教えてあげることが必要だと思います。 また、今日、年金も下がるのだということも分かったので、それも併せてちゃんとお金の授業のときに、女性が仕事を辞めないことはリスクマネジメントだということを教えてあげる。あと離婚というイベントというのも、結婚するときはまず離婚を考えながら結婚する人はいないかもしれないのですけれども、離婚をすると急に世帯所得収入ががくんと下がるとか、今までずっと会議で出てきた資料などもしっかり教育として入れることが多分女性の意識改革にも、あと男性の意識改革にもつながると思いますので、その項目を入れてほしいというように思います。
 また、これは質問なのですけれども、遺族厚生年金の仕組みの資料3の4ページなのですが、支給対象者が子のある妻と書いてあるのですが、専業主婦のことだけで、専業主婦の婦が女性の婦のほうで、夫の男性のほうがお家にいて女性が稼ぎ頭のお家の場合は、これはどうなるのだろうというのがちょっと分からなかったです。これはあくまでも男性が主に働くという家庭像しか見えなかったです。
 それと似ているのが資料3の9ページなのですけれども、こちらも2番でサラリーマン家庭の主婦などと書いてあるのですが、ここも配偶者とかにしないと、これも何か女性は家庭というイメージがついてしまうのかなというように思いました。そういうところで無意識のバイアスが働きやすくなるような文言がないかというのも常に意識していただければというように思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 年金は大事で、厚生労働省のほうは例えばパートで働く女性が就業調整して3号のままでいるようなのは将来、年金マイナスですよなんていう情報提供をしているのですよね。それと金融リテラシーと本当はセットでやってもらうといいのかも分からないなというような気がします。
 徳倉委員、お願いします。

○徳倉委員 今日も御説明、もろもろありがとうございました。
 今、2人の先生から出たもの以外のところでちょっと私、気になるというか要望も含めてお話しできればなと思うのですが、金融庁の井藤さんからお話しいただいたところで、私、子供は中学生や小学生、また同世代の中でもどういうように、私は今、40代ですけれども、運用していくとかという当事者の目線からお話をしたときに、やはり20代、30代の賃金がなかなか上がっていかないので、その運用に回そうという元手そのものがあまりないような状態の中という現状、社会状況が一つあります。
 そういう中において、こういう金融リテラシーを今、これは中学生とかではなくて高校生向けということでありましたので、どういうように稼ぐのかというところで、昨日たまたま運用している方の専門家とちょっとディスカッションする機会があったのですが、ちょうどコロナ前にアメリカに行っていろいろ高校の教育を見てくると、STEAM教育をすごく力を入れて、何のためにそれはしているのかということを質問すると、これがまず稼げるからだと。高い賃金を得ることを高等教育の中でもしっかりアナウンスをしながら、その中で職業選択をしていって、将来、それをどういう運用をしていくのかとつなげている教育をしているという。
 これがそのまま導入するのがいいとか悪いとかではなくて、やはり運用する元手の話もしっかりどこかのところでアクションとして、高校、大学というところの中ではそういうところを入れていっていただくと非常にさらに魅力が教育の中のプラスアルファというのは出せていくのかなと。そういうようになっていくと男女の賃金格差の問題なんかもやはり子供たちはしっかり気づいていくし、今、報道にももちろんありますし、我々も議論していますが、いろいろな情報を企業は公表していく中でどの企業に勤めて、どの職種になっていくのかというところにもつながっていく風土醸成ができていくかなというように思っております。
 もう一点が、御参考の資料でいただいている16ページ、後見制度の支援信託とか預貯金ということで、私、調停員なんかもしている関係でこの問題も時々議論の中に出てきたりするのですけれども、やはり今、書かれているとおり、いろいろ契約をしたりとかする中で家庭裁判所の指示書が必要で、それがすごく手間になってきていて、それがやはり一般の家庭の中で忙しい現役世代がしょっちゅう家裁に行ってそういう指示書をもらうというところで、なかなかこれが不便だという声があって、民間の中のいろいろなサービス、信託契約をして、それをクリアするという方法ももちろんあるのですが、この辺のところの運用のしやすさ、多分今、御検討されていると思いますが、さらにこの辺を運用しやすいような仕組みになっていくと、お金の動きも含めて自分の親世代がどういう財産があって、どういう運用をしていてというのは全然分からなく認知になってしまって何も手がつけられないという状態が非常に増えてきている世代でもあるので、その辺、クリアにしていただけるような、お考えいただいていると思いますが、またその支援もしていただければなと思っております。
 以上になります。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 これは徳倉委員が言われるように金融リテラシー、高齢期で、自分でマネジメントできるときはいいのだけれども、成年後見の議論がありましたが、やはりどこかで自分でできなくなる。そうすると、家族がいれば家族に管理してもらうということも必要になってくるので、そういう意味では資産については情報共有とか、こういうものも書いていただくと、子供から言いにくいわけよね。本当は親が子供にそれを言うというようにしていかないと、子供から親に言うというのはなかなか難しいので、そういうことを高齢者に理解してもらうというのは実はすごく大事なことかなと思いました。
 井上委員、よろしく。

○井上委員 ありがとうございます。
 ちょっと感想的な話になってしまうかもしれません。連合でこの2月に非正規雇用で働く女性の実態調査をインターネットで行いました。そのときに主な家計収入が自分の勤労収入の女性の平均年収が214万円となっており、加えて初めて社会に出たときに就いた仕事が非正規と答えた女性が46%で、その後、配偶者がいるかいないかでも、やはり初職が正規雇用なのか、非正規雇用なのかで全然違ってくるのですね。そうすると、もう社会に出る段階で、先ほど冒頭、白波瀬委員からもありましたけれども、何か道が決まってしまっているような状況になっているということ自体がやはり課題だと思いますので、まず予備軍を生み出さないことと、今の現役世代をどうするのかということと、それから、既に60代を超えていて貧困の中で生活をしている女性たちをどうするのかという3つのことをやっていかなければ本当に解決しないのではないかと思っています。
 それと、最近、男性の単身者も増えてきています。それでいくと、やはり第3号被保険者の課題については、男性にとっても不公平なのではないかという意見も男性の組合員から聞かれます。その意味でも、性やライフスタイルに中立な税や社会保障制度をきちんと構築をしていかなければ、貧困の特に高齢期の女性の貧困の問題、それから、単身男性の貧困の課題というのも解決しないのではないかと思います。
 その上で、要望というか、現状、どうなっているかということについて、高橋年金局長に質問なのですが、年金というとどうしても退職の間近になってから年金の話や年金研修などがあるのですけれども、もっと若い時代から相互扶助のためにこういう制度があって、みんなで助け合っていくという形で、というような教育をしていかないと、例えば30代、40代ぐらいで年金のことを聞かれても全く分からない人たちが本当に多いのですよね。退職間近になって年金の話になってくるのですけれども、年金の教育みたいなことが実際にはどのように行われているのか、あるいはこれから行う予定があるのかなどについて教えていただければと思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、大崎委員、お願いいたします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 御報告ありがとうございました。高齢者の女性の経済状況、高齢者全般の経済状況について、年金も含めて男女別データですとか男女別にどういう傾向があるのかということをお示しいただいて大変参考になりました。この女性の高齢者の貧困というテーマを議論、検討するときにやはり前提として私たちが持っておかなければいけないのは、これはもう新しい問題ではなくて、やはり一億総中流と言われた時代にも単身の女性の高齢者、それから、シングルマザーにはもう貧困があったということで、長く続いてきて、なおかつ今、これがトピックになっているということは放置されてきた問題であるということをしっかりと認識しなければならないと思います。
 先ほど井上委員もおっしゃっていましたけれども、今の高齢者に対してどういう施策を打つかということと、あとは現役世代を含めて全ての世代に対してどういう施策が必要なのかということを考えていく必要があるのかと思いますが、やはり通底しているのは、この女性の経済的エンパワーメント、今回は女性の経済的自立というように訳されていますが、エンパワーメントということと、あとは労働市場における男女格差の撤廃、性差別の撤廃ということに尽きるのではないかと私も考えています。
 高齢者に関してなのですけれども、やはり働いている人が多いという、そういう実態がある中で、女性の方々がどういう労働実態なのかというデータなり分析なりがあるのかということを教えていただきたいです。例えば報道ベースですけれども、今年のちょっと前に製菓会社、おせんべいとか作っている会社の工場で深夜に火災があって、お亡くなりになった方々がたしか6名いらっしゃって、4名が女性で、2名が男性で、男性の方は正社員だったと思うのですが、高齢の女性のアルバイトの方が亡くなっている。アルバイトだとすると防災訓練、火災訓練していたかどうか分からないというようなこともあったということで、この方々は清掃のアルバイトだったということなのですが、こうした中高、高年、高齢の女性たちがどういう職種、どういう業種、どういう雇用形態で働いているのかというデータ、分析があるとしたら教えていただきたいのと、やはりそういうことをベースに施策を考えていかなければいけないと思います。
 あと高齢者に関しては高橋年金局長にお伺いしたいのですが、老齢年金生活者支援給付金など、そういった施策もあるというようにお伺いしまして、これは皆さん御存じのものなのでしょうか。知った上で申請しなければいけない類いのものなのか、それとも自動的に対象となり得る方々には給付されるものなのか、ぜひ教えていただきたいと思います。
 あとは現役世代ですけれども、本当に今回、こういう形で重点方針の柱として女性の経済的エンパワーメントというのをばんと打ち出していただいているのは大変意義のあることだと思っていまして、その中でも特に賃金格差に関して情報開示ルールの見直しというのは本当にすばらしいと思います。
 ただ、どういう情報を開示してもらうのかということが非常に重要になってきまして、正社員で同じ職位で男女間の賃金格差を見ても、それも重要なのですけれども、やはり今回の目的に鑑みますと全ての雇用形態、契約社員、パート、アルバイトも含めて、そういった全ての従業員における男女間の賃金の例えば平均値なのか、中央値なのか、その格差を見なければ、今回の女性の経済的エンパワーメントというのは女性の貧困をなくしていくということも非常に重要視されていますので、そういった実態が分からないというようになってしまいますので、しっかりと開示内容、それが実態を把握するのに足る必須項目にしていただければと思います。ありがとうございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、山田委員、お願いします。

○山口委員 おはようございます。いつもながら大変丁寧な御説明をいただきまして、ありがとうございます。非常に数字と、それから、データで分かりました。私自身、高齢者のカテゴリーに入り、私の両親をやはり送る形で経験した者として、今、高齢者の女性の抱えている問題というのはかなりシリアスなものがあるなという実感を持っています。
 質問もあるのですが、まず全体観として感じたことは、冒頭で白波瀬先生がおっしゃったように、高齢者の女性の経済的な問題というのはやはりどういう方と結婚したかによってかなり決定されてしまっているという現実というのがあるというのは確かで、一方で、いわゆる未婚率が非常に男性だけではなくて女性も増えていて、離婚の数も増えていて、50歳以上の女性の未婚者、いわゆるお一人様の割合というのはたしか2割以上ある。こういうことになると、結婚した相手にだけ頼るような考え方というのは、もう今、もはや通用しないような状態になっている。
 その中で考えなければいけないことは、87歳の平均寿命だけれども、実際には死亡最頻値は93歳。ですから、皆さん、93歳までは生きるという前提で考えたときに、今の就業体制というのはどこの企業でも延ばしたところでも大体65歳、70歳まで働けるところを最近はつくってきていますが、それはどちらかというとまだ例外ですね。そうすると、この残った30年ぐらい、25年から30年ぐらいを年金だけで暮らしていけるかというと、かなりこれは現実問題としては厳しいですし、私は、これは実感なのですが、両親を送ったり家内の父親を送ったときに感じたことなのですが、教育とか、出産とか、それから、住宅ということもすごくお金がかかるのですが、実は高齢期の介護とか施設に入るとか、こういう最後のほうのライフステージになってかかるお金は実は物すごく大きいのですね。
 これをきちっと貯金しておけよということは現実問題としてはなかなか難しくて、この意味では金融リテラシーというのは非常に重要なテーマになってくるのですが、先ほど徳倉委員がおっしゃったのかな。今あるお金というのは実際問題で見ていると、これは麻生さんのお話ではないですけれども、高齢期で2000万以上持っている人は大体ほとんどなのではないかなんていう話を昔、麻生さんがおっしゃったがとんでもなくて、データで見ると、これは私の注文なのですが、平均値で出す数字、1200万という数字が先ほど出ていましたが、平均値は物すごくお金を持った人が引っ張ってしまうのですよ。なので、これはやはり中央値で出すべきで、中央値で出すとかなり低いのですね。
 なおかつ、私どもはよくいろいろ事件で離婚なんかの問題で出てくる女性が持っている個人のお金、本当に厳しい場合が多くて、これで就業しようと思うとなかなかきちっとした就業を得られる職場がない。それで30年、40年生きていくということになると、年金だけではもうどうにもならない問題が出てくる。
 なので、ここは国としては企業のいわゆる働ける年齢を今、やはり70、75ぐらいまで、体が元気であれば絶対働けますから、それを延ばしていくことが非常に重要だということは政策的にありますし、あと女性の場合は健康寿命と実寿命の差が男性より12歳ある。つまり、87歳の平均寿命に対して75歳は健康寿命で、75歳から87歳は誰かの力を借りないと生きられないという、そういうゾーンに入ってくるわけです。この健康寿命を延ばすという意味でのいわゆる今、企業にとって健康経営という問題もありますけれども、どうしたらこの健康寿命を延ばすかということが大事なテーマになってくると思うのです。
 そういったかなりシリアスな問題を含んだテーマなのですが、やはり根本にあるのは、かなり収入格差を含めた今の日本の女性に対するイレギュラーな形での取扱いというのを是正していくというのが重要で、それが高齢期になるとさらにフォーカスされた形で出てきているというのが高齢期の女性の問題だというように思います。
 一応以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、内藤委員、お願いいたします。

○内藤委員 丁寧な御説明、ありがとうございました。
 女性の高齢者の貧困率とかすごいOECD平均としても高めということで、自治体として結構今、相談を窓口で受けている以上に私自身がすごく感じているのは、生活保護とかの相談まではいかないけれども、これからの暮らしをどうしたらいいのかというような窓口に来ないまでもそこのグレーゾーンというか、生活保護まで私はもらっていいのかどうかと悩んでいる人の数が実感値として増えているような気がしています。やはり自治体としてはもちろん生活保護というのをもらうのはもちろん権利なのでいろいろな相談に乗りたいと思っているのですけれども、やはりその生活保護をもらう人というのがどんどん増えていくと財政状況も厳しくなるというジレンマがすごくあります。
 徳倉委員がおっしゃっていましたけれども、やはり現役世代の社会負担がこれからもっと恐らく増大していく中で、では、金融リテラシーの教育をやったとしても、そこに投資できる余力はあるのかという問題もこれから出てくるのかなと思うので、やはり現役世代の負担と高齢世代との社会福祉に対しての自治体としてどこまで支援をしていけるのかという部分に対して、バランスをどういうように考えていけばいいのだろうという現場としてのジレンマが今、非常に大きくなってきているような気はします。
 やはり皆さん、最低限度の社会生活は送ってもらいたいと思う一方で、現役世代とか子育て世代からも福祉の部分だったりとかいろいろな部分を手厚くしてくれという要望もある中で、自治体としてどこに予算を割いていくのかという問題が出てきていますし、やはり日本の国としてこれからどうしていくのかというのを考えていかなければいけないというように思っています。
 いろいろな意見がある中で、やはり将来世代に関しては女性のライフプランの話とかも出てきましたけれども、そういう教育をきちんとして、もう貧困率を下げていくということをきちんとやっていかなくてはいけないと思いますし、先ほど徳倉委員からSTEAM教育の話も出ていましたが、ここで女性のデジタル人材をきちんと増やしていくというところにつながっていくのかなと思いますし、高校の先生とかの大学の進学の際とかにも何となく文系で女の子だったら選んでいる子はやはり多いと思うので、金融リテラシーと収入の部分とライフプランということをきちんとセットで教えてあげること。先生たちにもきちんと認識していただくことによって将来世代の女性の貧困は減らしていければいいかなというように思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、いつものとおり、ここで5分休憩して、その後、御回答いただける範囲内で御説明いただければというように思いますので、そうしたら、6分ぐらいということで11時5分ぐらいから再開させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。一応休憩ということで。

(休憩)

○佐藤会長 御説明いただいた方には休む時間がなかったかも分かりませんが、すみません、いつも私のアレンジではありませんので、林局長。
 委員の皆様からたくさん御意見、御質問、出していただきました。それでは、いろいろ多いですので可能な範囲で高橋年金局長の順に御説明いただければと思うのですけれども、その前に、先ほど健康寿命と普通の寿命との格差みたいなのがあって、私の記憶が正しければ、健康寿命は主観的評価なのですね。お医者さんが病気ですと判断したのではなくて、間違いなければあなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますかといって、ないと答えると健康なのですよね。なので、そういう意味では健康ではない時期というのは日常上、生活に何か影響があるとあると答えた人なので、すごく病気でというような感じではないので、中にはかなり幅があるというようにちょっと。多分間違っていたら後で言ってください。だから、主観的な評価。日常生活上、何か健康上支障があるかで、あると答えた人が健康ではない、不健康のほうに入っているということで、かなり幅が広いということですので。
 それでは、高橋年金局長のほうから可能な範囲で御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○高橋年金局長 年金局長、高橋です。
 いろいろありがとうございます。まず白波瀬委員から今回、被用者保険の適用拡大、どのくらい対象者が増えるのかという話、ありました。今回の令和2年改正のときの見込みは、今回50人規模までで、65万人ぐらい適用拡大になるというように数字を出していました。その後、最低賃金も上がってきますので、この効果はもっと大きくなると思いますし、今後の制度改正で規模要件を全部撤廃すると大体325万人ぐらいが週20時間以上で対象になるというように見込んでおります。
 それから、個人型DCのお話もありました。3号被保険者、これを1号か2号か3号か、それぞれでDCの拠出限度額は違うわけなのですけれども、3号については月2.3万円ですね。これについては今後、引上げが必要だという議論をしております。今後の課題と考えております。
 それから、佐々木委員から資料の4ページの遺族厚生年金の仕組みのところで、資料を出しましょうか。ここですね。支給対象者のところで、子のある妻または子、子のない妻となっているけれども、夫については死亡当時55歳以上の夫で、しかも支給は60歳からということで、女性がメインで働いていて男性が家で主夫をしているような場合は妻が亡くなったときにどうするのか。まさにこれは、この遺族厚生年金、昭和のモデルでできていまして、男性が主として働くというモデルででてきているという問題で、これは今後の検討課題であります。妻が亡くなった場合の男性の問題とか、男女の要件を均等化していかなければいけないと思っています。子のない妻であればずっと出るというようなことですね。しかも中高齢寡婦加算まである。ここのところについては見直しが必要と思っています。
 それから、資料の9ページのところでサラリーマン家庭の主婦などと、できるだけこういう主婦とか専業主婦という言葉を削って被扶養配偶者と直してきたつもりだったのですけれども、残っていました。すみません。3号の男性も大体今、直近でも11万人ぐらいいますので、このパターンもあります。サラリーマン家庭の被扶養配偶者とここは直します。
 それから、3号被保険者不公平論、井上委員からいただきました。これは何をもって公平と見るかということがポイントと思います。3号被保険者は不公平だと言う方は大体応益負担や個人単位の発想で公的年金を見ておられる方が多くて、一方で、現行制度は応能負担だったり世帯単位の発想をベースにできているということで、どういう立場で見るか、何をもって公平と見るかで見え方が変わってくると思っています。世帯1人当たりの賃金が同じなら世帯1人当たりの年金も同じというのが現在の仕組みでありまして、いずれにしても、被用者保険の適用拡大によって3号被保険者を縮小していく、ここは共通認識になっていますので、その取組を進めていきたいと思っております。
 それから、年金教育の現状、若い頃からの年金教育の現状ということですね。これは大変重要であります。若い頃からの年金教育です。特に学生さんですとかセミナーですとか非常に力を今、入れていまして、小中学生用教材とか最近作ったりしているのですけれども、特に大学生ですね。大学生向けのセミナーというのを年金局もやっていますし、年金機構もやっていますけれども、積極的にやっています。
 それから、インターネットやQuizKnockとか若者受けしやすいそういう広報媒体を使ったり、来週、4月25日から公的年金シミュレーターというスマホで年金額を簡単に見られて、それが繰下げ受給をしたらどう増えるかとか、働き方を変えて賃金を上げたらどうなるかとか、何歳まで働いたら年金額がどう増えるかとかというのがすごく視覚的にビジュアルに分かりやすくスマホで見られるものも提供します。若いうちからそういう年金の意識を持ってもらえるような、そんな取組をやっているところでございます。
 それから、大崎委員から老齢年金生活者支援給付金、知らない人が多いのではないかと。どういうように知ることができるかということですけれども、これは対象者の条件が公的年金の支給額と、それから、課税所得で決まってきますので、市町村から前年の所得情報をもらいまして、年金機構が持っている年金支払い額データと合わせた上で、対象に該当する人、賃金と年金を合わせて、この該当の78万円以下の人に対して、年金機構のほうから申請書を送って、名前を書いて送り返してもらうと支給される、こういう仕組みにしてございます。
 年金関係は以上だったと思います。またよろしくお願いします。

○佐藤会長 丁寧に御説明いただいてどうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、金融庁の井藤審議官のほうから可能な範囲で御説明いただければと思います。

○井藤政策立案総括審議官 井藤でございます。
 大変ありがとうございました。先生方のお話は多分質問というよりも御提言といったようなお話が多かったようには受け止めています。そういった問題意識、我々も共有いたしまして、今後、何ができるかということはよく考えてまいりたいと思います。
 その上で、幾つかお話しいただいたことにコメントさせていただきますと、まず学校教育だけではなくていろいろなところで教育が必要だということについては、これはもうそのとおりで、我々、教育というのは言葉の使い方もあるのかもしれませんけれども、狭い意味では考えておらず、いろいろな局面で金融に対する理解を深めていただきたいということで、先ほど厚労省さんの年金に関する理解を深める活動、非常に増やされているということでしたが、我々どもも近年活動を増やしていっています。
 ただ、悩みが1点ありまして、結局、こうした知識の伝授とか問題意識の共有みたいなものは興味のない人にはなかなか届かなくて、今、年金局長さんがおっしゃったように教材というのはとてもたくさんありまして、例えば子供向けのお金のゲームみたいなのも実は世の中、たくさんあります。そういったことに関心がある御家庭はそういう教育もされているのですが、実は、それは社会人とか若者などもそうなのですが、今、いろいろな情報がネットでもユーチューブでもいろいろな人があって取れるのです。あるいはひょっとしたら私より詳しいみたいな人もいて、そういう人は実は教育が要らなくて、本当はこういったことにちゃんと備えてほしいとか、そういったことを理解して、あるいは変な商品を買わないようにという情報が、必要な人にはなかなか届かないのです。だから、届けたい人にはなかなか届かないという構図が一つあって、そこは一つの悩みどころです。
 その点で、学校教育というのはとても効率的なのです。ある種、学校が土俵さえ用意していただければ、脳の中で本当にこれは面白いと思って記憶にとどめていただいているかどうかというのはやや疑問なところもあるのですが、みんな強制的にその時間に一定の教育機会を受けさせることができるということで、近年特に学校教育の充実に取り組んでおります。
 その点、文科省もこの点ではとても協力してくれていまして、実は私、文教・科学技術予算というのを財務省で5年間担当していて、学校現場の話も知らなくはないのですけれども、あれやれ、これやれといってすごい忙しいのですね。受験のない科目を増やしてくれみたいな話をすると、極めて難しい中でも金融については今回、教育機会を広めようとしていただいて、そうはいっても高校の先生がいきなり教えるというのはなかなか難しいので、教育教材なんかも動画教材も含めて、これだけやればある程度の基礎知識はつくものも用意しています。
 その中で先ほど御指摘もありました公的保険の話とか、やはり収入によるキャッシュフローをまず得なければ話が始まりませんよ、といった内容も含めてございますが、ただ、年金の話は私が考えても相当難しいのですよね。だから、金融の講義の時間、ましてや高校あるいは大学の授業で金融の一連のシリーズを10こまやったとしても、年金について充てられる授業は、時間がかなり限られてくる。その中で年金というものがあるので、シミュレーションなどもしたほうがいいのだよね、ぐらいの知識は与えられても、本当に制度を理解するとなると、これは相当な基礎的素養があった上で、制度についてかなり勉強して初めて分かるというところがあるので、そういう人が増えてほしいとは思うのですが、我々としても充実はさせていきたいと思っていますが、そういった限界もちょっと感じているのは事実です。
 あと、生涯賃金の出産により退職した場合、といった話については、我々もどういう形で盛り込めるか分からないのですけれども、大変重要な点だというようには思っています。
 続きまして、そもそも働くことでキャッシュフローを得ることが大事だということについて、確かに貯金もできないような状況であれば資産形成もないわけなので、我々も先ほどから申しましたように、そもそも働くことは大事ですよと、そこの稼ぐ力というもの自体は、これはもう金融庁だけというよりも全省庁あるいは学校教育も含めて全関係者が力を合わせて取り組む課題なのかなと思っています。
 その上で、今のように金利がつかないような預貯金にただ置いておくのではなくて、例えばつみたてNISAを紹介して長期分散投資なども考えてみませんか、というプロモーションにも取り組んでいるところです。
 あと、さらに保険の関係と公的保険の関係でいいますと、これも事前に公的保険制度を理解したうえで保険商品を選びましょうと言っても、これはもう人口の何%がそんな準備をできるのだろうかという話になってくるので、少なくとも保険会社が商品を提供するにおいては、公的保険制度について十分に説明してくださいという趣旨で監督指針を先般改正したりもしていますし、そうなると、保険会社のほうからは、でも、国の制度を何で自分たちだけでみたいな話もありますので、厚労省さんとタイアップさせていただいて、当庁もホームページ等で公的年金制度についても紹介もさせていただいているところでございます。
 ただし、結局、自分に本当に必要な知識としてそういったものを頭に残る形で伝えるための局面というものは、ホームページに載せただけでもそれを見てもらえなければ何の意味もないので、金融商品であれば今、申し上げたように保険とか投資信託の販売の局面においてはそういうことも含めて丁寧に説明してほしいということは私どもも行政としてやっていくこととしています。
 あと相続の話、後継人とか支援信託みたいな話は使い勝手が悪いというお話、ございました。これはしばらく前も金融庁の審議会のほうでこのテーマは扱ったのですけれども、結局、何でこんな不便なのというお話だと思うのですが、これは100回のうち90回以上は問題は起きないのですが、徳倉先生、あと弁護士の先生も委員にいらっしゃったと思うのですが、お金の話は問題になる事例というのは本当に問題になって、大変なトラブルになるのです。そうならないようにするには法的にがちがちにしなければいけないということで今みたいな制度になってしまう、ということです。
 ただ、これはあまりにも不便だろうという話があるのも事実で、だから、先ほどもお話ししたように、この範囲ならば問題ないだろうという社会的通念をつくれるように好事例を重ねていって、それをセーフハーバーにできないかということは問題意識を持っていて取組を進めているところでございます。具体的によりよいアドバイス等があればさらにいただければと思います。
 大体そんなところかなとは思いますけれども、もし足りない部分があればさらに御指摘いただければと思います。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、林局長のほうから関連することがあればよろしくお願いします。

○林男女共同参画局長 先生方、どうもありがとうございました。
 私からは3点ございます。
 一つは、大崎先生から女性の高齢者の労働実態について職種ごと、業種ごと、雇用形態などに分けて分析はしていないかというお尋ねがございました。ちょっと確認したいと思いますけれども、データ的にはいくつか思い当たるものもございますので、また別の機会に御紹介をしたいと思います。
 なぜ高齢者が働くのか。特に日本は諸外国に比べて高齢者の労働参加率が高くなっていますけれども、いろいろな理由があるかと思います。もちろん経済的な理由もあるかと思いますし、他方で、働き続けることが御自身の健康に、メンタルヘルスにもいいというお考えの方もいらっしゃると思います。様々な要因があると思いますので、必ずしも割り切れるところはないのだと思うのですけれども、ただ、今、どんな職種で、あるいはどんな産業で、雇用形態でということはしっかりデータで見て、また御紹介したいと思います。それが1点目です。
 2点目ですが、男女間賃金格差の開示についてどの男女間賃金格差を示すかというお話がございました。男女間賃金格差の開示につきましては、これは今、金融庁と厚労省と私どもで相談をして、まさにこの開示に向けて進めているところでございます。金融庁については、有価証券報告書の非財務情報として出すということ、そして、厚労省と私どもの間では女性活躍推進法の枠組みで開示をするということ、それぞれ開示の仕方も含めて今、いろいろと協議をしているところでございますので、また御報告できる機会があればと思っております。
 それから、3点目に、山田先生から金融資産は平均値で見ては駄目であるというお話、全くおっしゃるとおりだと思います。金融資産の分布を見ますと、確かに下のほうに非常に偏っておりまして、平均値と最頻値と中央値が完全にずれているという感じでございます。そういう意味では、また別の機会に金融資産の保有の状況について別の形で分布も分かる形でお示しできるよう、データの精査をしたいと思います。
 どうも最近、ここでの分析をしておりますと、平均値と最頻値、常時かなり違う局面が多いと思っております。資産については、資産をほとんど持ってらっしゃらない方がたくさんいるのですが、一方で、非常に高い方がいて、その方が平均値を上げてしまう。それから、平均寿命と死亡年齢の最頻値については、死亡の平均値、平均寿命のほうが低いのですけれども、これは若くして亡くなる方がいらっしゃるので、平均寿命のほうは低くて女性は88ですが、実際亡くなる年齢は90を超えており、最頻値はもっと高い。実際半分以上の女性が90以上で亡くなっているということがございます。
 ということで、これから私ども、今後の経済や社会を議論していくときに平均値だけで議論してはいけないというのを今、この専門調査会で議論を伺いながら感じているところでございまして、分布を見ながら平均値、最頻値あるいはもう分布の絵をヒストグラムで書いて議論するというのが大事だということを改めて感じております。どうもありがとうございます。

○佐藤会長 徳倉委員、何かありますか。

○徳倉委員 すみません、1点だけ。先ほど佐々木先生と高橋年金局長のやり取りを聞きながらあえて言わなかったのですが一言だけと思いまして、実は遺族年金の問題は2011年の東日本大震災のときに我々、ファザーリング・ジャパンが結構働きかけをしました。現実として被災をされて職場も家も家族も失って、実際、父親と子供が残った世帯と母親と子供が残った世帯で経済活動が同じようにできない状態なのに遺族年金が受け取れる要件が満たせている世帯とそうではない世帯というのが出まして、実は総数としてはすごく多いわけではなかったのですけれども、非常に社会復帰をしていく中の光がまず見えるか見えないかというところで、かなり差が出ました。
 そのときにかなり働きかけをしたのですが、なかなかそこの改正に至らず、そこはやはり官庁だけではなくて政治の問題ももちろんあると思うのですが、男女共同参画の観点も含めて、ぜひ林局長のお力もお借りしながら全体の中で10年たっても全く変わらない現状があって、昭和のモデルで今、令和の時代を生きているので、この問題はさらにどんどん大きくなってくるので、これは批判でも何でもなくて、いろいろなものの制度の中でそごが出てきている状態の中で今、洗い出しをしている状態ではありますが、10年前と実は変わっていない現状、これは男女共同参画の問題、いろいろな点ではもちろんありますけれども、これは直ちに不利益を受ける可能性が出てくるということがあるので、ぜひ積極的に動いていただければなと。また情報提供等も必要であれば我々のほうも積極的にさせていただきますので、ぜひよろしくお願いいたします。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 高橋年金局長のほうから何かあるみたいなので、どうぞ。

○高橋年金局長 どうもありがとうございます。
 御指摘のように遺族年金の見直しはずっと課題、懸案になっていまして、今、次の年金の制度改正、次の財政検証が2024年なので2025年の制度改正を目指したいろいろ検討をしております。今年の夏ぐらいから年金部会の議論も社会保障審議会の議論も始めますけれども、そういった中で、この遺族年金の男女差の問題については取組をしていきたいというように思っています。
 ちなみに平成24年改正のときに遺族基礎年金の対象者を父子家庭に拡大するというのはやったのですね。遺族基礎年金につきましては、男女差がなくなったところなのですけれども、遺族厚生年金についても検討していきたい。おっしゃったような子供がいる場合は遺族基礎年金の問題だったので、それは解消したのですけれども、今度は子供がいない場合の男女差が遺族厚生年金で残っているのですね。そんな取組もしてまいりたいと思っています。ありがとうございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 よろしいですか。それでは、高橋年金局長と井藤審議官はここまで御対応いただけるということですので、本当どうもありがとうございました。御丁寧に御説明いただいて御対応いただいた。

○井藤政策立案総括審議官 ありがとうございました。

○高橋年金局長 ありがとうございました。

○佐藤会長 どうも。
 では、先ほど平均値の話なのですけれども、前回、男性の家庭・地域参加の話があったのですが、しばしばお子さんがいる男性の育児・家事時間が非常に短いという議論があるのですが、あれも統計上、家事・育児に関わってない人が75%なのですよね。やっている人が25%。だから、ゼロの人と家事・育児をやっている人の平均なのね。なので、家事・育児、私はやっているよという人からするとすごく低く出てしまうので、そういう意味でやはり分布に偏りがある中で平均を出すというのは意外にいろいろな政府の実態、目標が平均値で出しているのですよね。
 目標値がいろいろな例えば男性の家事・育児時間をどれだけ増やすみたいなのがそういう偏ったデータの平均値になってしまっているので、私たちが言っている一つは、例えば今であれば家事・育児をしていないゼロの人をどのぐらい減らすかとか、今、75%、何もやっていない人を半減するとかというようなのも例えば組み込むみたいにしないと、分布が偏っていると結構難しいかなと思いました。どうもありがとうございました。
 それでは、2つ目の議題で、諸外国における企業の役員への女性登用について、林局長のほうから御説明いただければと思います。
 資料は2ということですので、よろしくお願いします。

○林男女共同参画局長 それでは、画面を共有いたします。
 先日、2月15日のこちらの専門調査会で企業における役員への女性の登用について御議論いただいたところでしたけれども、今日は諸外国でどうなっているのかということでクオータ制などを中心に調査をしまして、その結果をまとめましたので御報告をしたいと思います。
 おさらいでございます。我が国の上場企業における女性の役員の状況でございます。今月の4日から新たにプライム市場がスタートしておりますが、プライム市場に入った企業1,838社について参考値として昨年7月31日現在でのデータで女性役員の割合を算出してみますと9.3%となります。女性役員ゼロ企業数は539社となりまして、割合としては29%、ほぼ3割ということでございます。
 また、右側のグラフをご覧いただきますと、過去5年の推移で、東証一部上場企業で女性の役員がいない企業は減ってはおります。1,253から732まで減ってはおりますが、やはり全体の3分の1の企業で女性の役員がいないというのが昨年7月末時点での状況でございます。
 次に、諸外国の企業の役員に占める女性比率を見てまいりたいと思います。制度の具体的な内容は後ほど御説明したいと思いますが、役員の一定割合を女性に割り当てている、いわゆるクオータ制を導入した国については、その導入以降、女性比率が大きく伸びていることが分かります。フランス、ノルウェー、イギリス、ドイツといった国々は2021年時点で役員の女性比率が30%台後半から40%台半ばまでなっておりまして、日本の3倍から4倍の水準となっております。
 では、各国の状況を見てまいりたいと思います。
 フランスでは、一部の企業を対象として義務的なクオータ制が導入をされております。経緯といたしましては、2006年の時点では、世界経済フォーラムが出しているフランスのジェンダーギャップ指数は115か国中70位とヨーロッパの先進国では下位で、日本と同じような状況、当時、日本はもう少し高かったのです。日本と同じような状況でありました。
 2008年に憲法改正をいたしまして、2011年に取締役クオータ制が制定されています。これは上場企業や、従業員や売上高が一定規模以上の非上場企業等を対象といたしまして、取締役会及び監査役会の男女それぞれの比率について2014年1月1日までに20%、2017年1月1日までに40%を達成することとされていたものでございます。それが達成できない場合は取締役や監査役の報酬の一部が停止されるといったペナルティもございます。この制度によって、現在、フランスの女性役員比率は45%を超える水準まで上昇をしております。
 また、最近の動向として昨年12月に新たな法案が可決されておりまして、その中では従業員1,000人以上の企業を対象として、役員より下の幹部社員、上級管理職や管理職などに占める女性の割合を2027年までに30%、2030年までに40%を達成することとされております。対象企業は一定の猶予期間を経て達成できない場合には、罰金が課されるという、そういうペナルティもございます。
 以上がフランスの例でございます。
 次に、ドイツについて見てまいりたいと思います。
 ドイツでは2001年に指導的立場の女性比率の向上について、政府と使用者団体が協定を結びまして、企業の自主的な取組を進めてきたという経緯がございますが、2011年の段階で取締役の女性比率が3.2%と低い水準にとどまっているという状況を受けて、2015年に女性の指導的地位法が制定されまして、監査役会にクオータ制が導入されております。
 ドイツの企業における監査役会の役割は、取締役の選任、解任といった権限がございまして、監査役会の女性比率を向上させることで取締役等への女性登用の増加につなげるという考え方でまず監査役会に女性のクオータ制が導入されたという経緯がございます。
 具体的には上場大手108社を対象といたしまして2016年以降、新たに監査役を選出する場合には男女の比率をそれぞれ30%以上とすることが義務づけられております。毎年、その遵守状況の報告義務があります。また、男女の比率、それぞれ30%以上を満たせない場合には空席を維持しなければならないというペナルティもございます。この制度の実施によって2020年4月には監査役会の女性比率は35.2%まで上昇をしております。
 さらに、近年の動向といたしましては、今年の1月から第2次女性の指導的地位法が施行をされました。その中では、従業員数が2,000人超といった一定規模以上の上場企業に対し、取締役が3名以上の場合には少なくとも女性、男性をそれぞれ1名は選任すること。また、政府が過半数の株式を保有する企業等にも対象を拡大するといった内容が含まれております。
 以上がドイツです。
 次に、ノルウェーについて見てまいりたいと思います。
 ノルウェーは御案内のとおり、世界で初めて企業の役員への女性のクオータ制を導入した国でございます。2002年の時点では上場企業の取締役に占める女性比率は6%でございましたが、2003年に法律を制定し、まずは国営企業について取締役の女性比率を2005年7月1日までに40%という目標を設定し、企業が自発的に取り組むこととされました。また、2006年からは上場企業も対象となっております。具体的には2007年末までに40%を達成することが義務づけられておりまして、それができない場合には会社名の公表のほか、最終的にはその企業の解散といった厳しいペナルティも設けられているところでございます。
 国営企業については、2005年7月1日の時点では取締役の女性割合は25%にとどまっておりましたが、罰則が施行される2008年には全ての上場企業について全体として女性役員比率40%が達成され、2021年には41.5%となっております。
 以上がノルウェーでございます。
 次に、イギリスについて見てまいりたいと思います。
 イギリスでは企業役員のクオータを義務化する制度はございませんが、政府の委員会が数値目標を設定し、その進捗をフォローするとともに、取締役の性別構成の情報開示を義務化することなどにより、企業の取組を促すという方法が取られております。
 具体的には2011年にデーヴィス・レビューによってFTSE100の企業を対象として、2015年までに取締役会に占める女性比率を25%以上とするという目標を設定し、その目標が達成された後、今度は2016年にハンプトン・アレキサンダー・レビューというのができまして、FTSE350の企業まで対象を広げた上で、2020年までに取締役の女性比率を33%とするという目標を設定し、これについても2020年9月にはFTSE350の企業において目標に未達の企業が約4割あったものの、対象企業全体の平均値では33%が達成されているところであります。
 また、現在はロンドン証券取引所の新たな上場ルールが検討されているところでございまして、プレミアム市場などの企業を対象にしまして取締役の女性比率40%以上の確保や毎年の情報開示、未達の場合の理由の説明などが盛り込まれているところでございます。
 これがイギリスです。
 次に、アメリカについて見てまいりたいと思います。
 アメリカでは国レベルでの企業役員のクオータ制はございません。NASDAQやカリフォルニア州などの各州において取組が進められているところでございます。
 まずNASDAQについて見てまいりたいと思います。NASDAQについては、2022年8月から順次適用がされておりまして、全上場企業を対象に取締役について女性から少なくとも1人の選任、その情報を開示、また、未達、未実施の場合にはその理由を説明することが義務づけられております。適切な開示がなされない場合には、最終的には上場廃止というペナルティもございます。
 次に、アメリカの州レベルの取組です。例えばカリフォルニア州では2018年に取締役へのクオータ制を導入しております。具体的には、カリフォルニア州に主たる執行事務所がある企業を対象として、2019年末までに取締役に少なくとも女性1人の選任、また、2021年末までに記載のとおり取締役の人数に応じた女性の選任、例えば取締役が5人だったら女性は2人以上といった形で、取締役の人数に応じた女性の選任が義務となっておりまして、それに違反した場合には罰金が科されるという制度になっております。
 そのほか、メリーランド州やニューヨーク州においては女性の取締役への登用に関する情報開示が義務づけられているところでございます。
 以上、諸外国における企業役員への女性登用に係る制度などについてクオータ制を中心に御報告をさせていただきました。
 企業における役員への女性の登用につきましては2つございまして、まず一つは、今年の夏以降、プライム市場上場企業を対象に執行役員等も含めた役員に占める女性割合の調査を行って、第5次男女共同参画基本計画に掲げる成果目標の達成度評価を行うこととしております。また、これを踏まえつつ、2つ目ですが、今年度内に令和7年までの新たな成果目標の設定を行う方向で検討を進めたいと考えております。本年秋以降にこの専門調査会でさらに御議論をいただければというように考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いをいたします。
 私からの説明は以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 役員への女性の登用について、御意見なり御質問があれば、どなたからでも。
 では、山田委員、お願いします。

○山田委員 御説明ありがとうございました。
 質問と、あとちょっと御参考までにということなのですが、ちょっと私がよく分かりにくかったのは、ドイツのクオータについてペナルティというところで、女性または男性の選出人数が不十分な場合、空席を維持しなければならないという男性も含んでいるのですけれども、空席維持は具体的にどういう意味なのでしょうか。それが質問です。
 あとついでに御参考までに、何度もこの委員会で御説明していますが、たまたま私が所属している業界の日弁連でクオータ制を2018年に採用いたしまして、今年の報告なのですが、約4万強の団体で副会長15名という中でクオータが2名ということで採用した。今年、驚くことに6名、女性の副会長が生まれてびっくりしているという今、状況で、4割が女性の副会長になりました。
 その中の一つの6,000人ぐらいおります私の所属している第二東京弁護士会で、こういったことを受けて、こういったことを受けてパイオニアということか、ちょっと少し頑張り過ぎなのかもしれないですが、今度パリテということをやろうということで、それについてのシンポジウムを来週やるのですけれども、パリテの内容というのはほぼほぼ同数の役員にまず第二東京弁護士会で出そうというようなことを考えて、実現は大変困難ではあるのですが、結果的にはこれが引き金になって私どもの弁護士会から今度は日弁連でクオータが採用され、結果としてクオータによる2名だけではなくて、それ以外に4名出てきて、4割が女性の副会長になったということは御報告申し上げます。やはり何か一つ突破口ができると、形ができるとそこからいろいろな流れができてくることなのかなという感想を持っています。
 以上です。

○佐藤会長 後でまとめてお答えいただきます。
 では、佐々木委員、お願いします。

○佐々木委員 ありがとうございます。
 最近なのですけれども、東北大学、工学部の分野、全国的に非常に女性教員が少ないのですが、そこで女性の教授人事を一気に5名行うということをされます。その場合、差別ではないかとすごい大炎上してしまうのですね。やはりそういう事案で炎上してしまうとほかの大学も続きにくい状況が作られてしまいます。今回のクオータ制なのですけれども、企業の役員とか政治とかできっちりクオータ制が導入されていけば、差別だという議論とかが起こりにくくなる。クオータ制を導入することで、社会全体で議論するきっかけをつくって、一時的に炎上するかもしれませんが、ちゃんと議論してみんなの理解が深まっていくということがそのクオータ制を入れる非常に重要なポイントだと思います。なので、クオータ制を導入するということと、あとペナルティーがしっかりいろいろな国であるので、ペナルティの導入も重要なのだなというように思いました。
 そこで質問なのですけれども、このクオータ制はどうやったら始められるのですか。何で始められないのかというか、どうやったら始められるのかという道筋を教えてもらいたいなというように思います。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 では、大崎委員、お願いします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 今、欧米諸国の法規制、クオータ制を中心とした取組、御報告いただきまして大変参考になりました。こうした諸外国の取組から日本が参考にできることといいますか、日本の法律、公共政策に生かせる、反映させること、クオータができるのはどういうことだというようにお考えかという分析されているかということをお聞きしたいのと、イギリスはアメリカ、アングロサクソン、そうですけれども、やはり政府の介入を嫌いますので、まずは民間主導で始めて、イギリスの30%Clubが主導してかなり牽引して、だけれども、その先で今、法規制も含めてやっている。
 つまり、民間での取組が起点になってだんだん増えていったところで、やはりこれは法律でもやるべきだというような多分コンセンサスが醸成されていったのだと思いますし、アメリカでもそういう動きが出てきているというところが大変市場原理に基づいていろいろなことをやりたいという国でもこういう形で進んでいるということに私も注目しているのと、あとはやはり日本の場合は、まずは管理職を増やしていく、その先に役員、取締役というのがあるというような感じなのですが、ほかの国を見ていますと、まずは役員、取締役のところで数値目標をしっかりと決める。そこからバックキャスティングでどういうようにパイプラインを強化する、どういう施策を取るのかということをちゃんと情報開示して、モニタリングをして、進捗状況も含めて情報開示していくというようなバックキャスティング型のやり方というのを取っているのですよね。
 日本は管理職から増やして行く行くはみたいな、これがやはり多分機能しないと思うのですね。何十年かかるか分からないというところで、諸外国はもう今、バックキャスティングに移行している。アジア諸国も含めてですね。そういう動きもご覧になって、日本ではどういうようにそういったことを参考にできるのか。それから、今、もう既にあるコーポレートガバナンスコードとか、それから、公共調達の優遇措置というような、そういう枠組みをどう強化する、もしくは使って情報開示を促すような形で進めていくというのか、その辺りをぜひお伺いしたいなと思います。お願いします。

○佐藤会長 ほかにはよろしいですか。
 では、白波瀬委員、お願いします。

○白波瀬委員 御説明ありがとうございました。
 1つだけ、やはりドイツの状況です。これは基本的に監査役ということで役員レベルのクオータ制ということで御議論いただいたのですけれども、やはりずっとドイツについては管理職の女性割合というのはなかなか伸びていかない。その企業体質というのも実は背景には言われているところなのですね。そこで、監査役というところで妥協を出したのかどうかという、その背景的なところ、多分日本のところ、ちょっと参考になるかなというように思いますので、もし分かることがありましたらよろしくお願いいたします。
 あと1点だけ、やはりアメリカは州によってかなり違いますので、この差というのが社会全体の中でどれぐらいのダイナミズムがあるか、それはもうパリテを到達しても本当に日進月歩でこの差別、逆差別の話はありますので、この辺り、何か情報が今あれば、統計なのですが、おいおいでもいいのでよろしくお願いいたします。

○佐藤会長 では、林局長、可能な範囲でお願いします。

○林男女共同参画局長 たくさん御質問いただきましてありがとうございます。まさに皆様方にこれから御議論いただきたい点でもございます。
 まずファクトから、それでは、山田先生からいただいたドイツのお話、この担当をいたしました須藤積極措置政策調整官からお答えをさしあげたいと思います。

○須藤積極措置政策調整官 ありがとうございます。
 ドイツの企業の監査役会におけるクオータ制に関するペナルティについて、2016年以降に新たに監査役を選出する場合に、男性、女性、どちらも30%以上を上回ることが義務となっており、それを満たせない場合にはその席については空席を維持しなければならないとされております。その意味としては、監査役に空席があることによって、取締役の選解任や、経営への監査、助言といった、監査役会としての任務・機能を十全に果たすことが困難となる、そういう制裁だと承知をしております。
 以上です。

○林男女共同参画局長 佐々木先生、大崎先生からいただきました、どうやったらクオータ制ができるのか、どういう道筋を描くのか。これは本当に大きなお話だと思います。いくつか私自身感じております論点を3つ申し上げたいと思います。
 一つは、やはりどの分野でやるのがやりやすいか、あるいは納得感を持って始められやすいかというのが一つ大きな論点だろうなとは思っております。例えば政治分野と経済分野と比較しますと、政治分野はやはり代表制ですのでコンスティチュエンシーのリプレゼンテーションという観点から考えると、女性は今、有権者の52%でございますので、一方で、衆議院の女性議員は1割を今、切っておりますので、これをどう考えるのかというところから積極的是正措置を考えるべきではないかという議論は、リプレゼンテーションという点からは割合、頭にすっと入る方が多いのではないかなというように期待をします。
 他方で、企業の経営などに関しては、あるいは分野によっては非常に専門能力の高い分野に関しては、その能力との兼ね合いなどでやはり納得感がないとおっしゃる人が一定数いることが予想されて、そういう意味では母集団となる女性がどれくらい形成されているかということにも依存すると思います。そういう意味では、分野ごとに考えていくのが一つの論点かなと思います。
 2つ目として、日本の役員の女性が少ない、あるいは国家公務員もいまだにこの局長、審議官クラスが4%しかいなくて、私も国会に政府参考人として呼ばれて答弁をいつもしているのですけれども、もう周りはみんな男性ばかりで、本当に極端に少ないです。これはやはり日本の雇用制度と関係が深いと思います。終身雇用で、1年生のときから雑用から始まって上がっていくという、人材育成システムと関係があり、だから、パイプラインがどうかとかいう話になるのだと思います。
 労働市場がもっと流動的であれば、上にぽんと能力のある人が来るということはもっとあるわけでありまして、やはり労働市場の流動性が少ないことが女性の管理職の少なさとも関係が深いのではないかと考えております。そういう意味で、日本は今、労働市場の流動性が少しずつ若い人のほうで変わりつつありますので、これを機会に変わっていくといいとは思います。
 3つ目の論点としては、今あるツールはどんなものがあるかということがあるかと思います。男女共同参画社会基本法というのがございまして、これに基づいて私ども、こうやって会議もやっているわけですが、この基本法の中に積極的改善措置というのがありまして、ポジティブアクションあるいはアファーマティブアクションでございます。これはきちっと定義もされていて積極的改善措置は2条で男女間の格差を改善するために必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することが法定もされています。
 また、国の責務として第8条で、国は男女共同参画社会の形成についての基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有するとはっきり書いてございまして、積極的改善措置というのはいろいろな措置を含み得るというようになっていますが、クオータ制も一つの措置の在り方として想定をされています。
 こうした法律もあります。それから、女性活躍推進法もあります。公共調達ですとか開示、事業主行動計画、こういうのもございます。ツールはあるのですけれども、これが完全にフルに活用されているかというところが多分一つ論点なのかなと思います。行政として魂を入れてきちっとやっていくということが大事ではないかと思っております。
 以上、3点でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 時間が来ました。局長、資料の1ページ目、出してもらえる。スライドの1、上場企業における。今の議論でいうと、一つは、これは先ほどの平均の話でいうと、女性役員割合、全上場企業7.5%ですけれども、これは役員全体の中の女性が7.5%で、下のほうが大事で、女性役員ゼロは45%なのですね。なので、このゼロをどうなくすかということと、もう一つは既に役員がいるところは、先ほど局長が国会に呼ばれて1人、周りは男性と言うけれども、大事なのは、やはり少なくとも3人というのは大事なのですよね。やはり女性が複数、少なくとも3人いると、1人だと女性のということが期待されてしまうので、複数人いると実は女性の中でもいろいろな意見の人がいる。それが大事なのだよね。そういうようにしていくというのが大事なので、そういう意味では女性がまずは1人、これは大事。ゼロをなくすということと、もう一つは、少なくとも3を目指すということですね。そういう取組がすごく大事かな。
 あともう一つ、先ほどのどう増やすかなのですけれども、大崎委員が言われたように女性役員、内部登用でいうと部長クラスで実は女性がいないところが大体8割ぐらいなのです。ただ、私は役員についていうと内部登用できなくてもある程度いろいろな形で社外取締役が1人、2人ぐらいまではどうにかなるだろう。ただ、林局長が言われたように分野によって内部登用を考えなければいけない重要分野があるので、そうすると、やはり部長を増やすということと、ある程度、大崎委員が言われたように運営を増やすような取組、両方考えてやっていくということが今、すごく大事かなとお話を伺って思いました。
 本当は早くやめなければいけなかったのですけれども、どうもこれはありがとうございました。今日、非常に大事な議論をいろいろできましたので、一応専門調査会で議論してここまでである程度まとめのほうに移っていくのかなと、基本的には骨太をつくっていく。それをちょっと御説明いただけますか。

○林男女共同参画局長 ありがとうございます。
 まず5月に、今までの御議論でもうたくさんの御議論をいただいて、その施策を女性版骨太の方針の原案に盛り込んでまいりたいと思います。これを来月御議論いただいて、そして、この専門調査会の親会議である男女共同参画会議で固めていただきまして、さらに政府として決定をするという、そういうプロセスを来月、いたしたいと思います。
 女性版骨太の方針は基本的に今年度、来年度、政府がこの分野について何をやるのか、そして、予算を来年度どうするのかというのが基本でございます。今回御議論いただいたことは大変幅広いので、この御議論の中で今年度、来年度のものは女性版骨太の方針で、さらに少し中長期的にしっかり取り組まなければいけないお話については、せっかくこれだけ御議論いただいたので、1回中間的な取りまとめをしていただいてはどうかと思っております。この辺りの御相談をまた具体的に来月させていただければと思っております。こういった課題がある、あるいはこういったことをやらなければいけない、まだまだ今回御議論いただいたことはたくさんありますので、ぜひそういった取りまとめを中間的にしていただけると次へつながると思っております。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 今、局長の御説明のように、まずは当面つくらなければいけない女性版骨太に反映する、できるものは入れて、ただ、今回、本当に大事な論点、幅広に御意見いただきましたので、中長期的に取り組む課題については別にまとめるということのようですので、そういう意味でまたその点について御協力いただければというように思います。
 それでは、ちょっと12時過ぎてしまいましたけれども、ここでよろしいですか。では、本日も活発に御意見を出していただいてありがとうございました。
 それでは、ここで終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。