計画実行・監視専門調査会(第10回)議事次第

  • 日時:令和4年1月25日(火)15:45~17:45
  • 場所:オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
  1. 開会
  2. 議題
    女性の経済的自立について2
  3. 閉会

【配布資料】

資料1
令和4年1月17日第208回国会における岸田文雄内閣総理大臣施政方針演説(抜粋) [PDF形式:567KB]別ウインドウで開きます
資料2
女性の経済的自立について②(内閣府説明資料) [PDF形式:1,535KB]別ウインドウで開きます
資料3
仕事と子育て等の両立を阻害する慣行等調査 [PDF形式:240KB]別ウインドウで開きます
資料4
教育分野における女性の登用の加速等に向けた取組状況について(文部科学省説明資料) [PDF形式:3,273KB]別ウインドウで開きます
資料5
学び直し/リカレント教育について(文部科学省説明資料) [PDF形式:3,914KB]別ウインドウで開きます
資料6
キャリア教育の取組について(文部科学省説明資料) [PDF形式:2,293KB]別ウインドウで開きます
資料7
教育未来創造会議について(内閣官房教育未来創造会議担当室説明資料) [PDF形式:883KB]別ウインドウで開きます
資料8
石黒委員提出資料 [PDF形式:222KB]別ウインドウで開きます
参考資料1
計画実行・監視専門調査会委員名簿 [PDF形式:109KB]別ウインドウで開きます
参考資料2
女性活躍・男女共同参画の重点方針2021(令和3年6月16日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定) [PDF形式:1,377KB]別ウインドウで開きます

【出席者】

会長  
佐藤 博樹  
中央大学大学院戦略経営研究科教授
委員  
石黒 不二代 
ネットイヤーグループ株式会社代表取締役社長兼CEO
同   
井上 久美枝 
日本労働組合総連合会総合政策推進局長
同   
大崎 麻子  
関西学院大学客員教授
同   
窪田 充見  
神戸大学大学院法学研究科教授
同   
佐々木 成江 
名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻准教授、お茶の水女子大学ヒューマンライフイノベーション研究所准教授
同   
治部 れんげ 
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授
同   
白波瀬 佐和子
東京大学大学院人文社会系研究科教授
同   
徳倉 康之  
NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、株式会社ファミーリエ代表取締役社長
同   
内藤 佐和子 
徳島市長
同   
山田 秀雄  
山田・尾﨑法律事務所代表弁護士
内閣府 
林 伴子   
男女共同参画局長
同   
吉住 啓作  
大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
同   
杉田 和暁  
男女共同参画局総務課長
同   
花咲 恵乃  
男女共同参画局推進課長
同   
矢野 正枝  
男女共同参画局総務課調査室長
内閣官房
瀧本 寛   
教育未来創造会議担当室長
文科省 
藤原 章夫  
総合教育政策局長
同   
伊藤 明子  
総合教育政策局生涯学習推進課 民間教育事業振興室
同  
江口 有隣  
初等中等教育局児童生徒課長

議事録

○佐藤会長 定刻になりましたので、ただいまから第10回「計画実行・監視専門調査会」を始めさせていただきます。
 年を明けて最初ということで、今年もよろしくお願いいたします。
 本調査会では、これまでに引き続き、重点方針2022、いわゆる女性版骨太の方針に向けた議論を行っていきます。
 本日は、女性の経済的自立の第2回として、特に教育の果たす役割について議論していきたいと思います。
 議論の進め方ですけれども、前半と後半に分けて行いたいと思います。前半では、重点方針2021の教育に関する取組状況について、まず、文部科学省から御説明を伺った上で、皆さんの御意見を伺って議論したいと思います。
 後半では、女性の経済的自立に向けた教育の役割について、内閣府、文部科学省、内閣官房教育未来創造会議担当室からそれぞれ御説明を伺い、皆様から同じように御意見を伺えればと思います。
 あと、どこが区切りになるか分かりませんが、若干ずれると思いますけれども、いつものように1時間めどで休憩の時間を取りたいと思います。
 それでは、まず重点方針2021の教育に関する取組状況について、文部科学省の藤原総合教育政策局長から御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○藤原総合教育政策局長 それでは、資料に基づいて御説明を申し上げます。
 1ページ目、重点方針2021というところに教育分野の実情が掲載してあると思います。
 具体的な取組の状況でございます。2ページ目でございますけれども、校長等への女性の登用の加速ということで、教育分野では、初等中等教育機関の教頭以上に占める女性の割合などを令和7年までに引き上げる目標を掲げまして、副校長・教頭で25%、校長で20%という目標設定をしているところでございます。
 表を御覧いただきますように、現状、2021年には副校長・教頭で23.2%、校長で17.3%ということで、左下にグラフがありますけれども、数字としてはこうした形で伸びてきている状況でございます。
 また、右下でございますけれども、女性管理職の割合については、都道府県・指定都市別に見た場合に地域差があるのが現状でございます。
 次のページでございます。
 これをさらに加速していくことが必要でございますけれども、その加速に当たって、まず計画の中で、事業主行動計画等において具体的な取組を定め、それを進めていく。また、国民にとって分かりやすい形で見える化をしていくということが言われております。
 教育委員会などにおいて、フォーラムの開催、メンター制などの登用方策の検討を行っていくということ。
 管理職の選考試験の受験において、妊娠や出産、子育て、介護等が不利とならないような経験年数、年齢等の受験要件の必要な見直しを促していくということ。
 さらに、女性登用方策の好事例を収集し、それをいろいろな場で発信をしていくといった取組を行うことになっているところでございます。
 具体的には下半分に書いておりますけれども、これまで教育委員会等に対しまして、管理職への女性登用の依頼を行うほか、様々な好事例の共有を行ってきている状況でございます。
 4ページ目は予算事業として行っているものでございますけれども、女性の多様なチャレンジに寄り添う学びと社会参画支援事業ということで、来年度の予算案では、右下、赤で囲っているところでございますけれども、学校教育分野における女性の意思決定過程への参加につきまして、新規事業として様々な調査研究、支援、それからフォーラムの開催といったものを実施することにしているところでございます。
 5ページ目でございます。女性の登用の加速に当たって、独立行政法人でつくばに教職員支援機構がございますけれども、そこで行っております各種の研修において、女性の教職員の参加割合をおおむね25%以上とするという目標を設定しているところでございます。
 下半分は、その実態でございます。校長、副校長・教頭、中堅教員等といった階層別に、どれぐらいの参加率があるのかということでございますけれども、令和3年度の直近の数字でございますと、校長で20.1%、副校長・教頭で28.7%、中堅教員で33.5%、次世代リーダーでは29.3%等となっているところでございます。
 現在はオンデマンド型あるいはオンライン型での研修の受講という形が発展してまいりまして、そうした中で、これまでなかなか参加できなかった女性の教職員の方々が参加しやすくなってきているという状況の変化がございます。
 6ページでございます。独立行政法人国立女性教育会館がございますけれども、そちらで女性の管理職登用を進めていくための様々なセミナーなどを開催しているところでございます。
 具体的には下半分に書いておりますけれども、調査研究事業を行った内容を取りまとめまして、平成30年度にこれを公表しているところでございます。そうした情報提供などを通じて、より一層、意識の向上に努めているところでございます。
 7ページも引き続き女性教育会館における研修事業でございますけれども、学校における男女共同参画研修を平成28年度から実施してきておりまして、中ほどに数字の推移が書いてありますけれども、令和2年、3年はオンラインも活用いたしまして、参加者数が244、241という形で増えてきている状況にございます。
 8ページ目は、都道府県・市町村の教育委員会のうち、女性の教育委員が全くいない教育委員会の数が現在まだ一定数あるわけでございますけれども、これを令和7年までにゼロにするという目標を掲げているところでございます。
 第4次計画策定時、2013年段階で女性の教育委員が全くない教育委員会が121あったわけでございますけれども。直近2019年のデータでは64という数字になっております。これをさらに2025年にゼロに持っていくというような方向で取組を進めているところでございます。
 現在、教育委員会の現状に関する調査を行っておりまして、なぜ女性の教育委員がいないのかという理由、それから今後の選任予定について調査を行っているところでございます。そうしたものを踏まえて、今後、各教育委員会に対して助言等を行っていきたいと考えております。
 それから、学校運営協議会、いわゆるコミュニティ・スクールと言われているものでございますけれども、地域の方が学校の運営に参画して、開かれた学校運営を行っていくという制度でございます。その導入率は全体といたしまして33.3%という状況でございますけれども、そのコミュニティ・スクールに参画する委員について、女性の割合を高めていくというようなことにも取り組んでいるところでございます。
 9ページ目は入試の関係でございます。大学や高校等の入学者選抜において性別を理由とした不公正な取扱いは許容されるものではない、そのような取扱いが行われることのないよう周知徹底を図るということに当然していく必要があるわけでございますけれども、これにつきましてはこれまで大学入学者選抜実施要項において、合理的理由がある場合は除き、そうした差別はあってはならないということなどを周知してきているところでございます。また、高等学校の入学者選抜につきましても同様でございます。
 そして、教員研修という形で様々な取組を行っているといった現状でございます。
 10ページ目でございます。高等教育のレベルの話でございますけれども、大学における女性の教員、研究者の登用の促進も大きな課題だと考えております。
 そして、前回の会議で御意見があった大学へのインセンティブでございますけれども、まず私立大学につきましては、私立大学等経常費補助金のうち特別補助というカテゴリーがございます。その補助金の配分基準の中で「大学院等の機能の高度化」というメニューがございますけれども、そのメニューにおいては、従前より女性研究者の在籍率を評価して配分を決めるということをやっていたわけでございますが、令和4年度の配分からはさらに当該項目において学長、副学長及び教授の女性在籍割合を評価に加味するということで実施をしていく方向でございます。
 また、国立大学につきましては、国立大学法人運営費交付金が運営を支えているわけでございますけれども、その中で「成果を中心とする実績状況に基づく配分」という枠組みがございます。その中で、これまで評価項目の一つとして女性教員比率を設定しておりましたけれども、令和4年度からはさらに学長、副学長及び教授に占める女性教員比率を評価項目に追加することにしているところでございます。
 資料の説明は以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明について、御質問なり御意見をどなたからでも、挙手のボタンを押していただければと思いますので、よろしくお願いします。
 徳倉委員、お願いします。

○徳倉委員 御説明ありがとうございました。
 資料の3ページにあります都道府県の女性管理職割合で、もちろん地域差が出るということははっきり見てとれますし、どういうデータでも地域差はもちろん出るのですけれども、10%行かないところもあれば35%を超えているところもある、非常に差がある中で、これもある程度調べられていたりというところがあると思うのですけれども、地域差がすごく出る要因をもし把握されているところがあれば教えていただきたいなと思います。後ほどで結構でございます。
 以上です。

○佐藤会長 藤原局長、どちらがいいですか。まとめてやるほうがいいですか、一個一個行きますか。

○藤原総合教育政策局長 では、今、お答えしたいと思います。

○佐藤会長 委員の方は、関連することがあれば今言っていただいてもいいと思います。
 では、局長のほうからよろしくお願いします。

○藤原総合教育政策局長 ここの地域差というのは、要因はかなり様々でございまして、一律にこの要因というのはまだ特定できない状況でございますけれども、例えば転勤を伴うかどうかが一つ大きな要素になっているのかなという部分はございます。だんだん年齢が上がってきて、御家庭もあってという中で、転勤を伴うことになりますと、そこはためらわざるを得ないと判断される女性の方が一定数いらっしゃるということは恐らくあって、そうした広域で人事異動していくことがもともと組み込まれているような都道府県におきましては、そこが要因の一つになっている可能性はあるのかなと思っております。
 そのほか、もともとの地域の意識の差とか、代々女性が活躍することに大変熱心に取り組んでいらっしゃるような状況があるとか、今、個別に種々分析をしているところでございますけれども、より一層踏み込んだ状況分析もしながら、またさらに取組を進めていきたいと考えております。

○佐藤会長 それでは、治部委員、お願いいたします。

○治部委員 ありがとうございました。
 現役の小中学生保護者かつ私も大学教員なので、非常に興味深かったです。ありがとうございます。
 女性の校長、副校長を増やすに当たり、どのようなことが障害になっているかということを考えたときに、佐藤先生の御専門でもあるのですが、働き方のところがとても気になっております。これは藤原局長の御担当か分からないのですが、文部科学省で毎年、OECD国際教員指導環境調査(TALIS)を公表されているかと思います。これを見ますと、日本の先生はOECD平均と比べると、チームですごくフィードバックをしていたり、勉強熱心であったりということで、保護者としてもよくやっていただけるなと思うことがある反面、教務以外の事務的な業務、保護者の対応とかがすごく多くて、そこのストレスが多いというデータがずっと出ているところでございます。ここのところに関しては、私自身も保護者として、先生というのはやはり専門職ですので、子供の対応とか教えることに集中できるような環境がつくれたらいいのではないかということを持っていまして、1つは事務的なことをもっと任せられるような、お金を集めたりといったことを任せられるような、教員ではない方、事務補助員みたいな人を学校現場で雇うみたいな予算措置ができたらいいのではないかということを思っていることが一つ。
 もう一つは、言い方が難しいのですが、昔であれば保護者が自分たち同士で話し合って解決できていたことが、保護者のコミュニケーション能力が低下しているということがあって、私も保護者当事者なのであえて言いますと、何でも学校に解決を求め過ぎているということはあるのかなと思います。
 言いにくいかもしれませんが、事務の軽減、働き方のところ及び保護者側のコミュニケーションのありようみたいなところについて、何か今なさっている対応とかがあれば教えていただけますでしょうか。

○藤原総合教育政策局長 それでは、御質問にお答えしたいと思います。
 今お話がありましたように、日本の学校の先生方は非常に忙しくなっている。多忙化している中で、なかなか余裕がないという状況がいろいろな形で指摘されています。女性管理職の登用を考えたとき、こうした状況がマイナスに働いていることは間違いないと思います。
 そういった中で文部科学省としては働き方改革ということで、まず、時間外勤務を削減するということで業務の見直し、また、目安として月に45時間を超えないような形で仕事をしていくということも指針として示すなど、取組を進めているところでございます。
 それと同時に、事務の軽減という話がございました。それにつきましては、教育業務支援員というような形で、実際に事務的な仕事を先生方が全て抱え込むような現状を改善していくということで、そうした職員の配置を今進めているところでございます。
 また、保護者のことも御指摘がありましたけれども、一つの方向としては、コミュニティ・スクールの話を先ほど申し上げましたけれども、義務教育段階では今4割ぐらいの学校で設置されているのですが、ある地域の取組では、コミュニティ・スクールに参画していらっしゃる地域の方々が、いろいろな形で学校の運営に携わっていただいて、例えば給食の時間に、通常であれば先生方がいろいろな援助をして子供たちの見守りをすることになるわけですけれども、その時間帯は地域の方が実際に教室に入って子供たちの見守りをしたり、いろいろな形で学校の業務を支援していくことによって、時間外勤務が削減されているという状況も出てきております。
 保護者が何でも学校に解決を委ねてしまうというようなところにつきましても、むしろ保護者の方が学校運営の中に入ってきていただいて、一緒になって物事を解決していく形にしていくことで、そうした問題の解決が図られていく側面があるだろうと考えておりまして、このコミュニティ・スクールを今後全ての公立学校に展開していけるように施策を進めている状況でございます。

○佐藤会長 ありがとうございました。
 それでは、佐々木委員、お願いいたします。

○佐々木委員 スライドを共有させていただきます。
 先ほどの大学経営のインセンティブ付与に関して、女性学長、副学長及び教授のことを入れていただいて、ありがとうございました。こちらについて質問なのですけれども、国立大学のほうなのですが、「成果を中心とする実績に基づく配分」の中に入れていくということで、以前、女性教員比率はダイバーシティ環境醸成の状況というところに入れられておりました。この中に、先ほどの女性学長とかを入れていくのか。入れた場合、令和2年度は20億円あったものが15億円、まず5億円削減されていて、かつ、ダイバーシティという全体の中に入れられてしまっているので、20億円のときもあまり効果がありませんでした。その効果がない中に、さらに予算を減らして、その中にまた評価項目の一つとして入れていたとしたら入その効果に関してちょっと疑問があるということ。
 もう一点、若手の研究者比率にも女性教員比率を入れてほしいということです。こちらは予算が令和2年度より30億円アップしています。非常に額も大きいです。未来のために、若手の中に男女比率というものをきちんと評価項目に入れていってほしいというのと、かつ、以前からお願いしておりますけれども、若手ということで40歳未満で切られてしまうのですけれども、ここで切られると、女性はライフイベントが重なるので非常に不利になるので、40歳未満の年齢考慮というところも必ずセットでお願いできればと思います。
 以上です。

○藤原総合教育政策局長 ダイバーシティのほうは、令和4年度の予算案では20億、5億円増になってございます。全体としてその比率が少ないのではないかという御指摘は、担当局のほうにしっかりお伝えしたいと存じます。
 それから、若手のほうに女性の比率をというお話だったと思います。結局、大学の教員で学長は女性が少ないという話もあろうかと思いますけれども、下の層が厚くならないと上の層も厚くならないということだと思いますので、この御指摘についても担当局にお伝えしたいと存じます。

○佐々木委員 ありがとうございます。

○佐藤会長 若手というのも年齢というか、女性の場合、キャリアの中断がすごいので、実年齢ではなく研究歴みたいな形で、研究者としてキャリアが短いという形でやっていただけるといいかなと。科研費なんかはそうなっています。
 大崎委員、お願いいたします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 途中で出てきた学校運営協議会制度についてお伺いしたいのですが、実は私も地元の公立中学校で学校評議員をしているのですけれども、一番最近の評議員会で、評議員会自体を学校運営協議会に移行させるという議題が出てきまして、それ自体はすごくいいことだと思うのですが、ほかの地域がどうなのかは分からないのですけれども、学校評議員会は男女バランスが非常に悪いのです。私の参加している学校評議員会も、8人ぐらい委員がいて、女性は私1人なのです。そういうことがございますので、こういう形で地域住民の人たちが学校運営業務に参画していくに当たって、女性活躍や男女共同参画、ジェンダー平等に対してどういうカルチャーがある地域かというのはすごく大きい影響をもたらし得ると思いますので、先ほどの徳倉委員の御質問もありましたが、その地域の人たちと教育機関ということを考えると、地域と学校をつなぐ、そして地域がもっと学校の運営なりに関わっていく機運をつくっていくのであれば、地域の部分、学校運営協議会制度自体もジェンダーギャップがないように、そういう立てつけにする必要があると思います。
 今、有識者会議において今後の在り方について検討を行っているということでしたので、ジェンダー平等の推進に資する形で、こうした制度を地域の学校教育に導入していくといった方針といいますか論点があるのか、ぜひ教えていただきたいです。お願いいたします。

○藤原総合教育政策局長 学校評議員の仕組みをコミュニティ・スクールに変えていくという話で、大変ありがたいことだと思います。学校運営協議会のほうは、学校評議員制度をある意味ではさらに進めたようなものでございまして、学校運営の基本方針を学校運営協議会として承認していくというスキームになりますので、地域住民の参画を進めていくという観点から、大きな制度かなと思っております。その際に、女性の比率が少ないということでございまして、これは望ましいことではないと思います。
 実際、これまでも学校運営に必要な多様な方を選出するようにということを申し上げてきているわけでございますけれども、今、検討会で議論しておりますが、その中にも女性の項目がございます。女性の積極的な選出等についても考えていくべきだということは、まだ原案段階でございますけれども、盛り込んでいるという状況でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 山口委員、お願いいたします。

○山口委員 ありがとうございます。
 藤原局長、御報告どうもありがとうございました。様々な取組をされていらっしゃることがよく分かりました。
 今日のお話では人事についてが中心だったかと思うのですが、私が非常に関心を持ったのは男女共同参画の推進に向けた教員研修プログラムみたいな話でして、特に児童生徒が自身の将来を固定的な性別役割分担にとらわれず考えられるようにしたいということで研修を行っているということで、これは非常に重要ではないかと感じました。
 私がふだん感じていることなのですが、学校内の制度やカリキュラムの中に、不合理に男女差を強調したようなものが時々見られてしまっていて、それがジェンダーバイアスを再生産しているのではないかという懸念があります。特に具体例としては、名簿を男女別にして、男が先で女が後というような形になっています。物によっては研修という形で、意識改革みたいなことで子供に伝えていくのがふさわしいものもあるかもしれないとは思うのですが、こうした制度について、特に名簿の男女順ということについて、何か文科省のほうから指導のような形で変えていくようなことは可能なのでしょうか。

○藤原総合教育政策局長 男女別の名簿については、特段の国としての定めとかがあるわけではございませんけれども、私の認識では、もう既に男女混合名簿という形になってきているのかなとは思っております。それも含め、今お話がありましたように、固定的な性別役割分担といったものは、子供たちの意識を変えていかなければいけないということだと思っておりますので、そうしたものも含めて教員の研修をしっかり充実していきたいと考えております。

○山口委員 ありがとうございます。

○佐藤会長 次もあるので、このテーマの質疑はできれば20分ぐらいまでにと思います。

 白波瀬委員、お願いします。

○白波瀬委員 御説明をいろいろとありがとうございました。
 こちらに限ったことではないのですが、管理職になりたいかという意識調査がいろいろなところで実施されています。こんなに女性の方は管理職になりたくないのですよ、という結果説明が多いのですが、ここでの結果解釈をうまく行っていただきたいということです。もっというと、女性による管理職就任の低い希望の現状を、合理的に説得的に説明していただきたい。
 どういうことかというと、いろいろな読み方ができますけれども、今日出していただいたように、6シート目、男性でも、管理職になりたいと思っている人は4分の1です。女性の場合は、対応する値はもう1割もなくて、実際の管理職割合も低い。意識と現実が整合的で、女性たちの希望を無視しているわけではない、という解釈に陥る危険があることをご理解いただきたい。現在の管理職像、管理職にある人たちをみていての意識ということになります。
 大体、管理職になりたいかという質問項目自体、どの程度有効なのかはわかりません。意識よりも管理職になるというのは、キャリアで積み上げる過程での通過点というところがあります。ですので、管理職希望の結果だけをもって効果を測定するのは少々注意が必要ということになります。
 以上です。

○藤原総合教育政策局長 若干関連するお話として、管理職になりたいかどうかという話は一般的に組織全般にあり得る話でございますけれども、教師の場合の一つの特殊事情としては、子供たちと触れ合う時間が大切だと思っていらっしゃる方が多いと思うのです。そうした方々は、管理職になるとどうしても学級担任から外れたりとか、管理的な仕事に就いてしまうことになるわけでございますけれども、そうではなくて、自分は子供たちと触れ合いたくて教師になったのだといった方々が非常に多いということがあって、そうしたことが先ほどおっしゃったデータにも反映している部分があるというのは、一つの特別な事情としてはございます。

○白波瀬委員 私の理解が足らないかもしれませんが、重要な意思決定の場に参加する管理職の立場と、女性管理職を増やすことは、少し区別して考えた方がよいように思います。現場に近いところにいたいので管理職にはなりたくない、という声は業界が違っても共通に聞こえてきます。ただ、管理職に就くことが現場と離れてしまうことと同時決定的なキャリア構造に問題があり、現場と管理はあるいみ有機的、双方向的な位置づけにあるべきでしょう。ですので、長いキャリアの中で管理職の就任をどう位置づけて、上位職という側面もまたどう意味づけて、長いキャリアについての議論をするのかは重要です。
 そこで少し気になるのは、学長、副学長、教授という3つのものを一緒のカテゴリーとされていることについては、少し御検討していただけるとありがたいかと思います。
 以上です。

○佐藤会長 これは結構難しいのは、一般的になりたい、なりたくないという理由を聞いているのです。女性の場合、今の管理職の働き方、あんな働き方はとてもできないということもあったりとか、この背景をもうちょっと見ていくことが大事かなと思います。
 山田委員、お願いいたします。

○山田委員 藤原さん、どうもありがとうございました。
 私も今の白波瀬さんと同じように、管理職になりたいと思うかどうかというところが気になったのです。
 かなり長い間、私はたまたま大きな大学の法律顧問とか、学校に発生するトラブルをずっと相談してきた経験からすると、この10年、15年で決定的に変わってきたのは、先生は比較にならないぐらい昔より忙しくなってきて、それは単なる教育ということだけではなくて、部活動の指導であるとか、モンスターペアレントという言葉はあまりよくないかもしれませんけれども、かなり過剰な要求をされてくる親御さんの対応とか、非常に忙しい。なおかつ、女性の教員の方たちは家庭を持っている方もパーセンテージとして結構いる中で、御自身の家事との両立とかを考えていったときに、管理職の仕事がこの上に加わったら、それはとてもやっていけない。さっきおっしゃったように、一種の教育現場に対する専門職的な発想はもちろんあるのですが、そもそもそんな時間は生み出せませんという声を結構現場で聞くのです。
 そういうことを考えたときに、女性の教員の人たちの実際の労働実態、例えば活動時間数、普通のタイムカードを押すような仕事とは違うので、裁量労働的な部分があるのでなかなか出しにくいと思うのですが、そういったデータなどももしあれば知りたいなと思いますし、そういった方たちのインフラ整備とか、プロフェッショナルとして管理職になる人を育てるような仕組みを考えないと、私の弁護士業なども全く同じような問題が起きていて、女性は会長、副会長とかになりたくないという人が数としては圧倒的に多いのです。それは忙しいからです。自分の家庭の時間が全然つくれなくなってしまうというところで、まずは仕事をやって、あとは自分の家庭を守りたいという人が現場の声として大きいのです。同じようなことが学校の中でも起きているなということは体感としても感じていますし、今日、このデータといいますか、なりたくないと思う人たちがこれだけ多いという背景にはいろいろな事情があると思うけれども、やはり問題だなと思うので、もし、そういったデータ的なものがあれば、今日ではなくてもいいのですけれども、教えていただければなと思いました。

○藤原総合教育政策局長 また勤務実態調査などをやっていかなければいけないと認識しておりますので、昨今の多忙化が具体的にどういう状況なのかということは、またデータを提供させていただければと思います。

○佐藤会長 それでは、最後になるかと思います。内藤委員、お願いいたします。

○内藤委員 時間もないので1点だけ意見を言わせてください。
 徳倉委員もおっしゃっていましたけれども、校長先生や女性の管理職の割合に関して地域差はありますが、中央研修に参加している女性比率の県別も踏まえて、特に低い地域のアンコンシャスバイアスや地域の雰囲気といったものをどう底上げしていくかということは重点的に考えていかないといけないと思いました。
 以上です。

○佐藤会長 皆さんに伺うのですけれども、今のオンライン研修は間違いなく女性が参加しやすくなっている。これはコロナ対応だったのだろうと思いますが、令和4年からは複数回の最終回はオンラインでということなので、対面に戻す感じなのです。できれば選択できるように、全部オンラインもできるし、時々対面も必要だと思うので、対面に戻してしまって一部オンラインにしますみたいな感じなので、女性が参加しやすくということであれば、きちんと選べるようにしていただければいいなと思いました。ぜひ御検討いただければと思います。
 本当に長時間、丁寧に御説明いただいてありがとうございました。
 それでは、前半の議論はここまでにさせていただいて、後半の女性の経済的自立に向けた教育の役割に移らせていただきます。
 ここでは4人の方に御説明いただきます。
 まず最初に、内閣府の林男女共同参画局長から御説明いただければと思います。

○林男女共同参画局長 それでは、画面を共有させていただきます。
 女性の経済的自立における教育の役割の話に入る前に、1点御報告がございます。
 先週1月17日に開会いたしました通常国会の冒頭で、岸田総理の施政方針演説が行われました。その中で、この専門調査会で昨年秋以降、御議論いただいてきた課題、すなわち男女間賃金格差に取り組むこと、また、人生や家族の在り方が多様化する中、女性の経済的自立について取り組むといったことなどを表明いたしました。
 特に男女間賃金格差につきましては、企業に公表をしていただき、説明できないような合理的な格差がないかどうか、もしあれば何が要因なのか、企業が考え、改善していく機会になるようにすることを目指してまいりたいと思います。
これらの課題につきまして、引き続きこちらの専門調査会で御議論いただき、夏前には女性版骨太の方針として、政府として具体策を決定したいと思います。
 さて、女性の経済的自立につきましては昨年11月、この専門調査会で労働、賃金などの観点から御議論をいただきました。本日は、女性の経済的自立における教育の役割について取り上げたいと思います。
 まず、男女別・学歴別に年収を見ましたところ、例えば右側、正社員に限ってみても、同じ大卒でも男女間に年収の格差があり、年齢の上昇とともにその差が拡大する傾向がございます。また、40代以下では、女性の大卒の年収は高卒男性とほぼ同じ水準となっております。女性の高卒はさらに低く、正社員でも平均の年収は300万円台にとどまっております。
 これを生涯賃金で見ますと、大卒正社員では、男女の間には5,200万円の差があります。また、大卒女性正社員の生涯賃金は、高卒男性正社員とほぼ同じ水準であります。高卒の女性正社員はさらに6,600万円低いという現状があります。
 また、右側の図は、学校卒業後、直ちにフルタイムの非正社員として就職し、60歳まで働いた場合の生涯賃金の推計で、さらに低い水準となっており、ここでも男女間の差があります。
 男女差の背景には育児負担が指摘されることも多いので、単身の人だけを取り出して年収を見てみました。やはり男女の差があり、40~50代では、女性の年収は男性の7割程度の水準になっております。
 大卒の女性は大幅に増えまして、4年制大学の女子学生数は40年前の約3倍になっておりますが、専攻を見ると、約2割は文学、3割弱は新しい分野の新設学部などを含むその他となっており、理学や工学などは僅かな割合となっております。
 また、学部ごとに見ますと、家政学部や看護学部では女性が約9割、文学部では3分の2が女性である一方、例えば工学では約15%と少なくなっています。
 なお、以前先生方から御示唆があったとおり、法学などでは、かつては女性が少なかったのですけれども、現在は3分の1が女子学生になっております。
 次に、教育の現場を担う教員の意識について見てみたいと思います。
 教員のうち4分の1、約25%は、教育の現場で「男性の方が女性より管理職に向いている」と思っています。しかも、女性の教員のほうがそう思っている割合が高いという結果になっております。
 また、「男性の方が昇進・昇給の機会を与えられている」と思っている教員も2割弱おりまして、女性の教員のほうが多いという結果になっています。
 さらに、女性の教員は、子供が小さいときに家事・育児などをほとんど自分でやっていたという人が3分の1以上いるという結果になっております。
 また、「理数系の教科は、男子児童生徒のほうが能力が高い」と思っている教員が22%おり、しかも女性教員のほうが割合が高いという結果になっています。
 一方、半分近くの女子高校生は、授業で取り上げてほしいこととして、キャリアプランニングを挙げています。
 また、女子高生に、もっと女性がいるといいと思う分野を聞くと、政治、企業の役員に次いで、理数系教員や校長などが挙げられています。
 子供たちに自分が文系か理系かと聞くと、理系と答える女子の割合は男子よりも低いという結果になっております。
 また、算数(数学)は男子のほうが向いていると答える女子割合は、学校段階が上がるにつれて増えるという傾向があります。学校で学ぶうちに、こうしたアンコンシャスバイアスが身につくのか、あるいは別の理由があるのか、この点も注意を払う必要があると思います。
 進路選択では、親、特に同性の親、すなわち女の子の場合には母親の影響を顕著に受ける傾向があり、次いで父親、そして学校の先生であります。
 女性に理系の進路は向いていないと直接・間接あるいはメディアを通じて決めつけられた経験があるという人も一定数います。
 なお、推薦型の入試での男女の合格者数を見てみたところ、女子学生の合格者割合が高くなる例も多くあるようであります。
 このように、女性の教育に関する意識と教育、労働市場が相互に強化し合って、現在のジェンダー不平等の構造が出来上がっているのではないかと考えられます。教師や親などの周囲から、女の子はそんなに勉強しなくてもいいといったメッセージを受け止め、しかも就業に関する具体的なイメージが持てないまま進路を選択することも多々あるのではないかと思います。
 また、そうした意識の下で進路選択をすると、専攻について偏りが生まれる可能性もあります。大学の学部によっては、そこで勉強した知識や能力を生かせる職種が限定的であることも多いと考えられます。その結果、その能力を十分に生かせない職業に就き、労働市場でも、賃金格差、昇進期待格差などに直面してモチベーションが低下し、結果としてポジションが上がらず、所得も伸び悩んだり、離職に至ったりするといった状況になり、そうした実態を見て、やはり女性への教育投資の効果は小さいという偏見を強化する結果になり、それがますます、という悪循環がぐるぐる起こっている可能性がございます。
 こうした悪循環を変えるためには、3つの要素、すなわち意識、教育、労働市場それぞれについて働きかけ、女性の教育についての意識を変えるとともに、教育現場や労働市場の格差をなくしていく努力が必要ではないかと考えております。
 私からは以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 続いて藤原総合教育政策局長から説明をお願いします。

○藤原総合教育政策局長 それでは、学び直し/リカレント教育についてでございます。
 1ページ目でございます。
 今、人生100年時代ということになり、社会の状況が激しく変化する中で、大学で学んで終わりではなくて、卒業した後もしっかりと学び直しをしていく、また、いつでもリカレント教育が受けられる体制が整理されていくことが非常に大きな課題になっていると認識しております。そうした中で、岸田総理からも累次の所信表明等におきまして、リカレント教育の重要性が触れられているところでございます。
 また、参考4は新しい資本主義実現会議での内容でございますけれども、リカレント教育やセーフティネットの整備を通じて、やり直しのできる社会、誰一人として取り残さない社会を実現する必要があるといった内容が盛り込まれております。
 教育未来創造会議として議論をスタートしておりますけれども、その中で、学び直しを促進するための環境整備といった項目も論点として掲げられている状況でございまして、今、政府全体として、リカレント教育についての議論が様々始まってきているという状況でございます。
 2ページ目、そうした状況でございますけれども、従来より様々なリカレント教育の事業を実施してきているわけでございますが、こちらは令和4年度の予算案でございます。様々なものがございますけれども、いくつか例をお示しいたしますと、最初に大学・専門学校等を活用した社会人向けの実践的なプログラムの開発・拡充ということで、就職・転職支援に向けたリカレントプログラムの実施ということで、DXなど成長分野を中心とした様々な事業を実施するプログラム。
 あるいは、放送大学の中で、数理・データサイエンス・AI教育に関する様々なコンテンツの制作といった内容を進めている事業。
 また、価値創造人材の育成ということで、大学等における人材育成拠点の形成ということで、デザイン思考やアート思考の養成、分野横断中の学習を行っていくような内容のもの。
 さらには、専修学校でのリカレント教育プログラムの開発といった事業など、様々なものが実証されている状況がございます。
 左下でございますけれども、リカレント教育を支える専門人材の育成ということで、産学の連携が非常に重要なわけでございますが、実務家の方を大学などの教員として迎えていくための人材の育成も併せて取り組んでいるということでございます。
 右下でございますが、リカレント教育推進のための学習基盤の整備ということで、女性のキャリアアップあるいはキャリアチェンジに向けた学び直しの支援といった事業、あるいは情報アクセスの改善ということで、ポータルサイトの整備を図っております。または、そのリカレント講座の運営モデルを構築しようといった様々な事業が動いているということでございます。
 3ページ以降は個別の事業でございますので、ごく簡単にだけ御紹介したいと思います。
 3ページにつきましては、令和3年度の補正予算で10億円余り計上されたものでございます。
 次のページは、DX分野等におけるリスキルのプログラムなどを詰めていくといった予算事業でございます。
 4ページ目は、職業実践力育成プログラム、BPプログラムでございますけれども、その認定制度がございます。もともとは平成27年に教育再生実行会議で提案されて、それを受けて制度化を図ってきたものでございますけれども、産学がしっかり連携をいたしまして、総授業時数の半数、5割以上が様々な実務家教員による事業、実地による体験活動、企業等と連携した事業、そういった内容を盛り込んでいるものを認定いたしまして、これについては厚生労働省の教育訓練給付制度とも連動していく。こういった仕組みを進めておりまして、令和3年10月現在では314課程が認定されているといった内容があるということでございます。
 5ページ目はその具体的な事例ということで、日本女子大の「リカレント教育課程」におきまして、女性活躍を目指したプログラムがございます。
 関西学院大学の「ハッピーキャリアプログラム女性リーダー育成コース」も似たような仕組みでございます。
 6ページ目は、「マナパス」と言われるポータルサイトを運営しております。
 いずれにいたしましても、これからジョブ型の雇用といった新たな雇用制度の仕組みを社会全体としてどうしていくのかということとも連動しながら、大学、専門学校、それから企業も含めて、こうした制度をしっかりとつくっていくことが今、大きなテーマになっていると認識をしております。
 以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 続きまして、文部科学省の初等中等教育局 江口児童生徒課長から御説明いただければと思います。

○江口児童生徒課長 キャリア教育の推進につきまして、御説明をいたします。
 キャリア教育につきましては、社会的・職業的な自立に向けまして、必要となる能力、態度を育てるということをまず考え、それによりましてキャリアの発達を促す教育ということでございまして、発達段階に応じて体系的に行われているものでございます。
 そういう意味で、職業教育といいますのは、一定の職業に就くための特別なといいますか、マッチするような能力の養成であり、キャリア教育とはちょっと違うものでございます。
 発達段階に応じてと申し上げましたけれども、小学校から高等学校までそれぞれ段階に応じてやっていくものでございます。小学生の頃は、直接自分が仕事に就くというよりは、むしろいろいろな社会で仕事をしている人たちがどんな仕事をしているかというものに触れていくというあたりから、自分と社会との関係を考えていくというあたりから入って、順次、中学、高校といく上で具体化されていくような取組でございます。
 こちらを通じて養成を期待する能力としては、下のほうに基礎的・汎用的能力と書いてございます。特定の職業の能力ということではなくて、ここに書いてあるような、ある意味一般的な人間関係の形成能力、自己理解・自己管理能力、課題の解決能力、あるいはキャリアプランニングということで、自ら主体的にキャリアを形成していく力を育成することを目的に行われているものでございます。
 具体的には、各学校のカリキュラムを通じて行われていることになります。中学校の例を出しておりますが、中学1年、2年、3年とあるうちに、様々な科目、その中でも特に特別活動の学級活動、あるいは職場体験とありますが体験的な活動、総合的な時間、そういうものを中心に社会との接点、実際に体験してみるということから、いろいろな取組の楽しさということもありますし、自分にはこういうことが向いている、向いていない、好き嫌いというものを考えながら、意識を高めていくという活動でございます。
 これ以外は具体的な例ということで省略させていただきます。
 仙台の例でございます。小学校、中学校の例でございます。左上は田植えのような体験をしているところですけれども、これは小学校でやっているということで、地域と関わる、自然と関わるということでやっているものでございます。
 学年が上がるにつれて、より具体的なものになっていくということでございまして、中学校あたりになっていくと、自分たちで話合いをしながら体験をしていくということもございます。
 こちらは高等学校になりますけれども、より具体的にといいますか職業意識という意味でも高まってくるところもございますので、それぞれグループに分けて、いろいろな課題意識を持って、いろいろな経験をするということも含めてやっていくということでございます。
 こちらは参考です。体系的にキャリア教育をやるという意味で、小学校から高校までばらばらな取組ではなくて、それが蓄積されていって振り返れるような教材ということで、キャリアパスポートというものをつい最近導入しているところでございます。振り返りながら蓄積し、さらにキャリア意識を高めていくことを期待するものでございます。
 それから、文科省として推進しているものの御紹介です。シンポジウムということで開催しているのが1つ。それから、2のところにありますキャリア教育の推進体制の構築ということで、起業体験の推進及びキャリアプランニング推進ということで、2つの事業をやっているところです。
 起業体験につきましては、読んで字のごとくですけれども、真ん中にプログラムの流れと書いているところがございますが、例えば商店街でお店屋さんをやるような感じで、どんなものが売れそうだという市場調査をやってみたりということで、実際に起業活動的なものを体験させるものでございます。
 もう一つのキャリアプランニング推進事業といいますのは、キャリア教育を実施していくに際しまして、地元のいろいろな企業等とのつなぎをやっていただくような方、具体的には教員のOBや企業の人事経験者になりますけれども、そういう方々にスーパーバイザーとして入っていただいて、キャリア教育の充実に貢献いただくような取組も進めているところでございます。
 最後でございます。進路指導ということで、これはキャリア教育の一部でございますが、生徒が目的意識をきちんと持って主体的に選べるように、それの手助けをするということを基本に各現場で取り組んでいるところでございまして、その際にはもちろん保護者との連携も進めているということでございます。
 簡単でございますが、御説明は以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、最後になりますが内閣官房の瀧本教育未来創造会議担当室長から御説明いただきます。

○瀧本教育未来創造会議担当室長 ありがとうございます。
 御紹介いただきました内閣官房の教育未来創造会議担当室の瀧本と申します。
 本日はこの会議の検討内容と女性の視点について紹介をさせていただきます。
 見ていただいている資料でございますけれども、教育未来創造会議は1にございますとおり、大学等の高等教育をはじめとする教育の在り方について、国としての方向性を明確にする。あわせて、学び直しについて推進をしていくために、内閣官房に先月、閣議決定によって設置された会議体でございます。
 会議は、内閣総理大臣を議長として、官房長官と文科大臣以下、8名の人材育成に関わる大臣、有識者により構成されている会議でございます。
 2の有識者を御覧いただくとおり、有識者15名中、過半数の8名が女性の方となっております。
 3にございますが、この会議は、立ち上がったばかりですが、今年の初夏に第1次の提言をまとめるべく、議論をスタートしたところでございます。
 昨年末の親会議で示された論点としては、①、②、③がございます。
 1点目が、未来を支える人材を育む大学等の機能強化。
 2点目が、新たな時代に対応する学びの支援策。
 そして、学び直しを促進するための環境整備でございますが、とりわけ1点目の未来を支える人材を育むということに関しまして、会議の中で有識者の皆様から女性の視点で頂いた発言について、ここで御紹介をさせていただきます。
 まず1点目ですが、よく御承知のとおり、ジェンダーギャップ指数が日本は120位、この課題を解決しないと、この先の国の発展はない。
 2点目ですが、女性の活躍推進をどう進めるかといったことも念頭にした人材育成策が重要であるといった指摘。
 3点目ですが、諸外国がSTEAM領域の学生を大きく増やしている中で、日本はやや減少しております。この領域の専攻する女性を増やすということが、伸ばしていける領域であって、女性が理系に弱いということは科学的に証明されていないので、環境要因が大きく、早急な対策が必要だろうという御指摘もいただいております。
 また、最後に、教育の多様化という視点で、理工系では女性の学生・研究者を増やす方策について、積極的に取り組むべきといった御指摘をいただいているところでございます。
 この会議は立ち上がったばかりで、こうした御指摘も踏まえて、具体に深掘りをしていく論点は今後整理してまいりますが、大学等におけるジェンダーギャップについても論点の一つになり得るものと考えているところでございます。
 私のほうからは以上でございます。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 それでは、1時間過ぎたので、5分、背伸びでもして休憩して、戻られたら、内藤委員と徳倉委員は出なければいけないということなので、御意見を伺う時間だけはあるかと思いますので、今から5分後ぐらいに戻ってきていただいて、内藤委員と徳倉委員に御意見を伺おうと思います。

(休憩)

○佐藤会長 この後の進め方は前半の藤原局長のやり方とは違って、皆さんそれぞれどなたに対する質問かということ、意見なのか質問なのかができるだけ分かるようにしてお話ししていただいて、ある程度まとまったところで質問等についてお答えいただければと思いますので、御報告いただいた方はメモしていただいて、これは自分が担当だなというふうにやっていただければと思います。
 それでは、内藤委員と徳倉委員は後ろがあるということですので、内藤委員、徳倉委員の順で、質問なり御意見を伺えればと思います。
 では、内藤委員からお願いいたします。

○内藤委員 ありがとうございます。私からは2点、意見を申し上げます。
 まず1点目は、女性への真の公平を推進するためには、DE&I、エクイティーの概念を浸透させていく必要性があると思っています。例えば女子学生のみのプログラミング教育事業などを行政が実施する場合には、女性だけ本当にずるいという声がたくさん上がってきます。そこには、女性エンジニアや理工学部の進学率が少ないとか、女性のほうが全体的に給与が低いという背景などがあるということを皆さんは御承知だと思うのですけれども、こういったことを行政や教育機関も含めて積極的に国民にメッセージをもっともっと出していく必要性があると認識しています。
 女性の経済的な底上げになるような事業、方法、様々な分野でのクオータ制などの導入や研修、キャリア教育などをかなり高速で、ぐるぐる回し続けて実行していくしかないということを特に地方においては強く感じています。
 もう一点は、キャリア教育についてです。私自身も女性政治家ですので、女性政治家が今すごく少ないという現状を危惧しておりまして、女性政治家を増やす取組をしております。
 何をしているかといいますと、意欲のある中高生や大学生、また社会人も含めて、私の市長インターンシップができるということを話して回っています。現在までにギャップイヤーの大学生1名の実施とはなっているのですけれども、この春休み以降で参加する学生などの調整も行っているところです。
 また、特に女性が少ない職業、例えば企業家とか理工系エンジニアなどにも同じようなことができないかと呼びかけています。女性が特に少ない分野で横断的にインターンや研修を行うことは、その分野の女性を増やすきっかけになると考えていますし、徳倉委員もお分かりになるかと思うのですけれども、特に徳島とかの地方だと、情報が本当に都市部より少ないという状況がございますので、こういったことを積極的に取り組む必要があると感じています。
 以上です。

○佐藤会長 前半はそれぞれ関係ある方に、もしあればお答えいただく。後半はキャリア教育ということでございます。メモしておいていただければと思います。
 それでは、徳倉委員、お願いします。

○徳倉委員 御説明どうもありがとうございました。
 私からは大きく1点になります。林局長に御説明いただいた女性の自立のスライドの特に前半部分でございます。
 私も子供が3人おりまして、男の子も女の子もおりますけれども、このグラフを見るだけで絶望しかないわけです。例えば同じ子供で仮に全員大学に進んでも、平均ベースでいくと同じように進んだとしても娘の場合だけ生涯賃金が7割になる。これだけのマイナスを食らう社会が果たしていいのかとなった場合に、確かに文科省さんの様々な施策、ジェンダーの4つの指標の中でいくと、教育と医療は日本はもちろん非常に高い水準の中にあって、特に文科省さんが進めてくださるものは全て税金の中で政策があって、それを受ける側も公務員でやるということで、恐らくスピード感で言うと速い遅いはもちろんありますけれども、どんどん進んでいくのだろうと思います。
 しかし、この辺は恐らく井上委員が御専門になっていくと思いますけれども、受け手の社会や企業において、それが実装されていない社会となっていくと、自分は大学に進む意図があるのかとか、社会に出ていって自分の能力を出していこうという意味が果たして湧く社会かどうかと考えたときに、ここは以前から何度も議論になっていますけれども、企業や団体の中において、同一労働同一賃金はもっと強力に推し進めて、ペナルティーに近いものがなければ、社会の受け手の中で女性が経済的に自立をするだけで、社会の様々な問題が解決していくという点はたくさんあります。受け手の企業の部分、報酬だけが全てではありません。
 ただ、学部を見ていくと、看護科や法学に進む子が多い。これ何を意図しているかというと、そこにお金という部分があります。看護師になると収入がある程度担保されていくだとか、全員ではありませんけれども公務員志望の子が増えてきていることを考えると、直感的ですけれども、そういう関連性は見てとれるグラフになっていました。
 出口戦略ではありませんけれども、いかに給与を払い、自立をさせていくかというところをセットにしながら男女共同参画の問題を話していかないと、恐らく解決していかない問題だろうなと思います。

○佐藤会長 どうもありがとうございます。
 この後は手挙げでやっていただければと思います。先ほど説明しましたように、特定の方であればどなたについての御意見なり御質問なのか。全員についてでもいいと思います。そのようにしていただいた上で、報告された方はメモをしておいていただいて、特に質問について後で可能な範囲でお答えいただければと思います。
 それでは、治部委員、お願いします。

○治部委員 ありがとうございます。
 私からは、徳倉委員の御意見に対する賛成と補足を申し上げます。
 内閣府の会議に出るたびに、政府の関係省庁がどのような努力をしているかということを非常に感じますし、皆さん本当にいろいろなことをなさっているなと思います。
 ただ、私もリカレント教育、女性に関するものにいろいろと関わってきたり、審査をしたりということがあるのですが、率直に申し上げて、教育をインプットする側の努力に対して、就職で一体どれくらい賃金が上がったのかという結果のところがおぼつかない現状があります。リカレント教育も税金を使ってやるからには、そこでどれぐらい賃金が上がるかというところはKPIとしてはかるべきであろうかと思っています。
 その部分は、徳倉委員がおっしゃったように、雇用主の側に責任があると思います。これを個別にどこがどうだということを努力でやるというよりも、恐らくデータの開示を法律で義務づけるというのがもっともよいインセンティブになるのではないかと思います。
 女性活躍推進法の制定によって、まだいろいろ課題があるとはいえ、企業としては女性の管理職を増やさなければいけないというマインドセットになっております。私がいろいろと取引をしておる企業でも、なぜ女活法に沿った形で対応するか、これはビジネスにとっていいからであるということを明確に言っています。そのようにしていかなくてはいけない。
 関係者の方は御存じのとおりなのですけれども、イギリスで男女賃金格差の情報開示の法律が先行して進んでおります。JETROのほうで2017年4月のデータが出ています。250人以上の大企業は、企業自身のウェブサイトと英国政府指定のウェブサイトで、男女の賃金はどのように払っているかを公開しなくてはいけないということを出しております。
 これに沿って見ていきますと、いろいろな英国の雇用主が、自分たちが男女それぞれの従業員にどのように賃金を払っているか、差がどれくらいあるかということがはっきりと出てくるわけです。すごく大きいところもあれば、日本語で取れる情報の範囲でも、英国の図書館は雇用主の中でも男女の賃金の格差が小さいことが分かっております。
 こういった情報開示の義務づけによって、企業の自主的な努力を促すというのが、法整備をすることができる中央政府の権限行使としては望ましいことではないかと思いまして、今日お話がありましたいろいろな省庁の方々の努力がきちんと結果が出るようにするために、今後こういったことを考えていただけたらと思います。
 以上です。

○佐藤会長 続きまして、質問のある方は挙手ボタンを押していただければ当てます。
 山口委員、お願いします。

○山口委員 ありがとうございます。
 最初に、林局長からの御報告について、主に意見を申し上げたいと思います。
 男女間賃金格差のグラフを見せていただいて、学歴別・年齢別だったのですが、もちろん海外でも男女の賃金格差はあるのですけれども、ほとんどの場合、出産・子育ての時期から差がつき始めるということがよく海外で見られるパターンなのですが、今日お見せいただいたグラフだと、そのかなり前から出ていて、20代前半から出ているということにかなり驚きました。単身世帯に絞っても同様の傾向でしたので、そこははっきりしていると思います。
 ただ、ここの背景の理由についてもっと詳しく知りたいなと。大学の専攻の違いから来ているのか、就職先の企業の規模や他産業が違うのか、あるいは何か不公正な雇用慣行があって、女性に不利な形がまかり通ってしまっているのか、この辺はどこに原因があるのかについて、ミクロデータ分析を今後も期待しております。
 もう一つ関連してですが、大学での専攻分野の話です。一つには入試制度がリスキーで、うちの大学もそうなのですが、一発勝負の筆記試験といった形になると、女性のほうがリスク回避的であるということはよく知られていますので、結果的に女子に不利になっている。リスクが取れるというのは一つの才能だという見方もあると思うのですが、大学にとっては、必ずしもリスクが取れることを高く評価して、そういう人材ばかり集めたいわけでもないわけです。ということは、入試の多様化というのは、公正性を保った上で学生の多様性を確保するためのいい方法ではないかなという感想を持ちました。
 1点、質問したい点として、これは林局長が御存じかどうか分からないのですが、非常に驚いたアンケートの結果として、教員の方々のジェンダー意識について、世間一般では若いほどバイアスが弱めに出るのに対して、先生方ですと逆になっている。若い方ほどむしろ性別役割分業意識が強いという結果が出て、この背景を何か御存じでしたら、伺えればなと思いました。
 もう一個、藤原局長は既に退席されましたが、リカレント教育については治部さんのコメントに基本的に強く同意いたします。私は労働経済を専門にしているので、職業訓練がどのような効果を持つかという研究を山ほど見てきたのですが、基本的に大人に対する教育は効果が極めて出にくい、かなり難しいということが山ほど世界中で出ています。だからやめたほうがいいということを言いたいわけではなくて、やるならばやるで、リカレント教育は今後重要になってくると思われますので、効果検証をぜひ組み込んでほしいと思っています。
 効果がなかったという結果になることは必ずしもないとは思うので、いいものをつくればそれなりに効果は出ると思うのですが、効果検証をやることによって、プログラムのどの部分を変えていくともっとよくなるのかといった議論につながっていきますので、前向きな形で効果検証を考えていただきたいと思います。
 また、文科省に関して言うと、私が全然別の件で関わったGIGAスクールのEBPMでは、これまでにないような非常にいい取組になって、政策の効果検証がされていますので、そこで行われているような形で、このリカレント教育についてもより効果的なものにするための取組の一環として効果検証を行っていただきたいなと感じました。
 以上です。

○佐藤会長 今、総合教育政策局長は出られていますけれども、局としては御質問に対応いただけるようですので、御質問があれば出していただいて構いません。
 白波瀬委員、お願いいたします。

○白波瀬委員 よろしくお願いします。
 報告が充実したのでたくさんあるのですけれども、今、山口先生からリカレント教育のことがありましたので、少し越境になるかもしれないのですけれども、これは要望でございます。
 今、効果測定ということがありましたけれども、日本のリカレント教育の考え方は中高期になるというか、ステージとしては半ばを超えて後半期という枠組みで捉えられることが多いように思います。しかしそれがいま、リカレント教育といわゆる学術的教育との間の距離は縮まっていてもっと積極的に、修士が終わった子が3年後にまたリカレントプログラムに入ってくる。それぐらいDXの分野というのは日進月歩でございますので、積極的なキャリア教育という点では、リカレント教育をもっと積極的に位置づけて、そこに分野として少数派である女子も積極的に参画を促していただく。このようにしていかないとリカレント効果を報酬額(賃金上昇)からみて、限定的になっています現状に落ち着いてしまうのではないでしょうか。
 林局長のところで、賃金格差ということなのですけれども、解決策として同一労働同一賃金という話がすぐ出てくるのですが、そこのところでジョブ内容が細切れにされて評価対象を特定化して基準を厳密に傾向も見え隠れします。ただ、仕事内容を特定化すること自体困難が伴い、高学歴で高い給与を支給されている場合の「みなし報酬」という観点も無視できません。また、日本では、仕事の内容や職種の分布自体が男女で大きくことなりますので、まずそこから改善しつつ、同一労働同一賃金のスタンスをできるだけ反映させる雇用契約の在り方が重要なのではないでしょうか。
 あと2点です。これは江口課長のほうからだと思うのですが、大変面白い取組です、小学校の日常的なところでアンコンシャスバイアスを解消していくことは重要です。私も日頃ええっと思うこともありまして、これが地域地域が違いますと、そんなことをまだおっしゃっているのか、ということも少なくありません。
 モデル事業となると、どうしても都市部、既に成績がよいところで実施される傾向にある印象をもっておりますので、地域的な違いを考慮していただけるとよいと思います。
 最後に、実際の中身が見えにくいという場面の一つに進路指導があります。そこでの指導の内容が知らず知らずのうちに偏っている状況はあると思います。ですから、できるだけいろんな人が関り、あまり閉鎖的な環境にないようもう少しオープンにしていただくということと、指導する側もまたされる側にも良い意味で緊張感がでてきてよいのではないでしょうか。進路指導に関わる先生たちは意識的に、バイアスしないという工夫を研修等で会得していただき、生徒たちに無意識のうちに現状を肯定し、生徒たちに消極的な意味でチャレンジさせないようなことも、また必要ではないかと思います。
 以上です。

○佐藤会長 佐々木委員、お願いいたします。

○佐々木委員 私も質問というよりは意見になるのですけれども、まず、リカレントとキャリア形成のところです。白波瀬委員もおっしゃったように、教えるほうも、受講するほうも、今の状態では性的役割分担、アンコンシャスバイアスが非常に入ってくると思います。なので、そこは本当に気をつけないと、あまりジェンダー平等につながるようなリカレントやキャリア形成にはならないのではないかと思います。
 一番問題なのは、アンコンシャスバイアスの中の固定概念が与える影響が非常に大きくて、その固定概念、アンコンシャスバイアスを外すためには、教える方も非常にテクニックが要るということです。内藤委員も女子だけ集めてやることに反対の声があると言ったのですが、実は女性だけとか女子だけを集めることが、テクニックなしでアンコンシャスバイアスを割と簡単に外せる一つの方法でもあるということを皆に知っていただいて、そういう形でやるというのも選択肢の一つに入れていっていただきたいと思います。
 あと、アンコンシャスバイアスが入っているか、いないかということを評価するために、参加者の男女比もしっかりモニタリングしていってもらいたいと思います。起業体験とかもありましたけれども、そこは多分、女子比率が下がってしまっているのではないかと思います。もし下がっている場合は、一番いい方法としては人数を決めてしまう、男子はこの人数で止めて、あとは女子だけ応募するとか、そういうことも積極的にしていかないと多分意識されにくいと思います。、そうやって半々にしますということでメッセージ性も上がるので、そういう工夫も必要なのかなと思います。
 あと、リカレント教育の予算を配っていると思うのですけれども、採択する全ての申請書の中に、ダイバーシティへの視点や配慮はどのようなものがなされているかを書くことで、申請する側がそれに対して意識をするようになると思います。例えばオンラインをするとか、もし対面だったらベビーシッターをちゃんと確保するとか、これまで主に女性が無償で背負ってきたものが、実は有償なものであるということをきっちり見える化していくことが大事かなと思います。
 さらに、私もアンケートで驚いたのですけれども、女性の先生の方が女子は理系が苦手と思っている方が多いということで、そこはどうにかしていきたいなと思うのです。女子学生の理系進路選択支援を文科省のほうでやっているのですけれども、地方格差をなくすために、1つの県に1個ぐらい採択されるように、もう少し採択件数や予算を増やしてもらえないかなと思います。
 次は、Waffleさんがやっているのですけれども、先生に対する教育です。小学校の女性教員向けのプログラミング教育、生徒や学生だけにではなく教員に行うことも重要だと思います。
 あと、林局長の話にもありましたけれども、育てた人材をいかに世の中で活躍してもらうか、そこまできっちり道筋をつけるというのが人材育成に重要だと思います。大学であれば、労働市場というのは大学教員になるのですけれども、これは先ほど見ていた女子学生比率の推移なのですが、1990年代に理系分野がグッと上がっているのですけれども、現在女性教員は、例えば工学部で9%ですが、その数値は1996年、我々が大学に入って博士を取ったぐらいのときの女子学生の割合です。25年以上かけてもその割合にしかなっていない。つまり、女子学生が増えただけでは教員は増えないということです。なので、育てているときに、労働市場をしっかりつくっておくということをもっともっと意識してほしいと思います。
 また、非常にたくさん女子学生がいたのに、女性教員がなかなか増えないというのは、やはり出産のライフイベントが重なることが大きい理由ですが、RPD特別研究員という出産した人がポスドクで戻れるような予算があります。これも前から言っていますけれども、3年間の雇用期間というのは短いので、5年間にして、毎月のお給料は20万円と少なくしてもいいので、雇用期間を延ばすことでキャリアをつなぎやすくなる。
 あと、75名というのは、もうちょっと枠を増やしてほしいと思います。
 以上です。

○佐藤会長 井上委員、お願いします。

○井上委員 ありがとうございます。
 全部意見になります。
 先ほど徳倉委員から、意欲が湧く社会なのかという御発言がありました。実は私が遅れてきた理由は、女性の組合役員や女性組合員の会議がありまして、そこで職場で不満に感じていることや職場のもやもやをグループワークして出してもらっていました。
 その中で、女性が発言すること自体が遠慮せざるを得ない職場環境にあるとか、女性が残業していると、女性なのに偉いねという発言があるとか、お茶くみがいまだに女性に求められているなど、まだそういう状況なのかということが職場の中の不満として出てきています。
 女性活躍推進法が施行されて、これだけ時間がたっているにもかかわらず、現場は全く変わっていない。そして、研修自体も男性のほうが数多く受けていて、女性のほうが少ない。あるいは、男性が主催する会議の準備は女性とか、そういうことがまだ職場の中で行われているという実態が明らかになりました。
 そういう意味で言っても、まず教育現場から男女平等、ジェンダーのことをしっかりと教育することと、職場の風土・環境を変えない限りは変わらないと思いますので、女性活躍推進法をもっと強いものにしていかないと駄目なのではないかと思いました。
 2点目ですが、林局長の資料で、男女間の賃金格差などのデータも出していただけていたかと思います。これにつきましては、かつて有価証券報告書では、平均給与月額、平均勤続年数、従業員数について、男女別に開示がされていたかと思います。現在はそれが公表されていないわけですけれども、そういう指標が開示されることで働く女性が直面している男女間の賃金格差の解消が、男女平等を推し進めるのみならず、女性及び次世代を担う子供の貧困リスクの減少にも寄与するのではないかと考えます。
 今後検討するに当たっては、これらの指標の開示、特に総理大臣の施政方針演説で男女の賃金格差の是正に向けた企業の開示ルールの見直しが挙げられていますので、企業内部での把握の義務化や公表する方向での検討をぜひお願いしたいと思います。
 3つ目、最後ですが、リカレント教育なのですけれども、連合も政策・制度 要求と提言の中にはリカレント教育を入れているのですが、これまでのリカレント教育は学び直しや生涯学習の観点からでしたが、現在のリカレント、学び直しは、生活する、生きるための学び直しになっていると思います。
 というのも、コロナ禍で特に非正規雇用の女性たちが職を失い、その後、再就職できていない女性たちについて大変多い数字が出ています。その意味でも、この学び直しの概念を変えていかなければ、生きていけない人間がどんどん増えていくのではないかと思います。その意味では、現在リカレント教育が経済的な余裕がある、あるいは時間的にも金銭的にも余裕がある人たちが行けるようなリカレントになっていないか。そのあたりの検証も是非していただいて、もっと間口を広げて、今、困難に陥っている人たちがどうやったら学び直しができるのか、そういうことに関しても御検討いただけたらと思っております。
 以上です。

○佐藤会長 大崎委員、お願いします。

○大崎委員 ありがとうございます。
 今、井上委員がおっしゃったこととも関連するかと思うのですが、職場のそんな声がたくさん出てくるというのは、私もいろいろな企業の方々、特に女性の方々と話しているとそういうことをすごく聞きます。
 何を申し上げたいかというと、先ほどコミュニティ・スクールのところで、地域住民、地域の方々を小学校、中学校の学校教育に巻き込むというのはすばらしいことではあるのですが、けれども、その地域に深く根差した性別役割分業意識やジェンダーバイアスをお持ちの人たちがたくさん学校教育の現場に入ってくる可能性があるわけです。
 先ほど申し上げたとおり私は学校評議員をやっていますけれども、評議員を務めるのはかなりシニアな方々であったりとか、強固な性別役割分業意識をお持ちの方も結構いらっしゃいます。
 それから、キャリア教育でも地域の協力を得てというお話が出てきましたが、私も娘の中学校でPTA会長をやっていたときに、キャリア教育の中で保護者の方々の働いていることに関する話を聞きたいので、PTAからいろいろな保護者をですね、スピーカーとして出してもらえないかと言われて、こういうテーマだと、やはり皆さんの感覚だとお父さんなのです。私が会長だったので、徹底してお母さん5人、お父さん5人でいきましょうと出したのですが、そういったある程度のガイドラインみたいなものがないと、全員お父さんだった可能性も非常に高いと思いますし、職場体験も地元の企業に協力を得てやっていらっしゃるのですけれども、保育所には女の子がたくさん行くとかということが出てくるわけですので、そういった性別に偏りがあるような職場に関しては、積極的に、そうではない性別の子を入れるとか、そういった配慮をしていかないといけないのではないかと思います。なので、地域を巻き込むときの留意点は、殊に男女共同参画に関しては非常に注意が必要だと感じています。
 それから、リカレント教育に関連してなのですが、今回の経済的エンパワーメントという文脈での教育ということなので、先ほど来出ていますが、そもそも経済的エンパワーメント、経済的自立というのが非常に重要な今の政策課題になっているというのが、先ほど来、委員の先生方からも出ていますが、コロナ下で困窮する女性が非常に増えた、DVの背景には女性の経済のことがあるということがちゃんと見えてきたからであって、そうだとすると、中学、高校での教育を考えるときも、困難な家庭に育っている困難な状況にある女の子たちが就学を中断せずに、ちゃんと教育を受ける。それが経済的エンパワーメントにつながっていくという側面をしっかりと強化した施策でないといけないと思います。
 1つ、なかなか出てこないのは、けれども国際的な環境で女の子のエンパワーメント、教育に関して必ずやっていかなければいけないのは暴力対策です。学校での暴力とか、公共空間での暴力、特に通学途中、日本でしたら痴漢も性暴力ですので、そういったことが障壁になって、学業になかなか専念できるようなメンタル状況でなくなってしまうとか、あとは妊娠・出産です。妊娠で自主退学させるということがずっと日本では起こってきましたけれども、それによって若いときにシングルマザーになっている。けれども、高校も中途退学しているというようなことは、シングルマザーの貧困問題とも直結していると言われているわけですから、女性の経済的自立という文脈での教育を考えるときには、こうした要素を必ず入れていただきたいと思います。
 もう一点だけ。男女間賃金格差の問題です。リカレント教育を受けたとしても、その雇用の受け皿がどのような形なのかは本当に重要で、非正規の雇用が多いということ。これは民間企業だけではなくて、行政機関もそうです。図書館の司書さんとか、保育士さんとか、それから男女共同参画センターの職員さんとか、非正規の方々は専門知識を持っているのに低待遇、低所得が非常に多いのです。なので、男女間賃金格差は民間企業だけではなくて、行政機関、しかも非正規の問題は見ていかないといけないと思いますし、それが最後に先ほどの男女間賃金格差の企業の開示ルールを見直すということで、大変すばらしいコミットメントをいただいたと思っていますので、開示するのであれば、正規雇用も非正規雇用も両方ともちゃんと開示するという国際基準に合わせた開示ルールをしっかり検討していただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございます。

○佐藤会長 最後になりますが、山田委員、お願いします。

○山田委員 女性の経済的自立について、そして教育分野の問題もそうですし、初等教育についての問題も、参考になるだけではなくて、女性の活躍あるいは自立のために、経済的な自立ということが非常に重要なのだということをさらに強く認識しました。
 また、教員さんの意識が7ページにもありますが、男性のほうが女性より管理職に向いていると思う教員の割合がかなり高くて、そしてそれは女性のほうが割合として高いというのは私からすると結構ショッキングで、教職の世界はある意味リベラルで、もっともっと前に進んでいるかと思ったら、意外と保守的な部分があって、これは何なのかと考えると、企業は女性を推奨あるいは活躍させないと生産性にも影響するといったことに対して非常に敏感に反応するところがあるのですが、教育現場はそういうことに対して鈍感なのかなと思うことが、私の発想なのですけれども、思いました。
 それから、リカレントの問題も先ほど治部委員と山口委員がおっしゃっていた効果ということを考えなければいけないだろうというのは私も全く大賛成なのですが、リカレントに限らず、一種の高等教育あるいは専門教育を受けたことについては、それに対して経済的自立に向けた経済的な効果を考えてやるべきだと思うのです。
 たまたま日弁連で10年ごとに弁護士業界の経済的なデータを取っているのですが、10年ぶりに2020年のデータを取ると、弁護士総体増えたことによって収入や所得は減っているのですが、その中でも男性と女性の比率が白書によると2対1なのです。収入で男性の半分。これは本来、大学を出て、ロースクールに行って、かなり時間をかけた高等教育、専門教育を受けて、それで司法試験を受けて弁護士になるわけですから、そこに賃金格差と全く違った本来であれば能力で反映したような収入所得があってしかるべきなのですが、そこでも倍の違いがあるということで、社会の構造にかなり起因するところがあるなと私はかなり強く感じていて、もちろん全体数として若い女性の弁護士が多いということで、データ的に男性弁護士との違いは若干あることを踏まえても、大きな有意差があるなと思っています。
 やはり経済的な自立をしていくためには、単にリカレントとか、あるいは岸田総理の施政方針演説の中にそういった条項を入れてくれたということは、総論としてはありがたいことなのですが、現実との乖離はかなり強いし、そういう中でも、上川さんがこの間、離婚した家庭の奥さんに対しても10万円の給付をすべきだという質問をして、それがすぐ認められた。このプロジェクトに参画している女性の方たちもそうなのですが、ああいった各論の積み上げをきちんと発信する女性の力のある人が増えていること、力のある女性が発信することは物すごく大きいと私は思っているので、絵に描いた餅に終わらないようにするためには、中身を実践していくという日々の努力がすごく必要なのだなと痛感した次第です。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
 今日は石黒委員が御欠席ですけれども、資料8で御意見を出していただいていますので、後で御参照いただければと思います。
 これから順に、始めと逆方向にしましょうか。御質問でお答えいただけるもの、御意見でそれがとにかく大事ですというレスポンスがあれば言っていただいても結構ですが、今日は聞いておくだけもいいと思います。瀧本室長、江口課長、総合教育政策局、あとは林局長というふうに逆順に、時間は10分ちょっとしかありませんが、よろしくお願いします。
 先ほど山口委員も言われていたのですけれども、林局長の男女の賃金格差、大事なのは企業内です。社会的なものは企業規模であるとか、先ほどの山田さんでいえばノウハウ面の小さいところの格差もあります。あと、企業内をどうするかということで、そのときに、治部さんからイギリスのようなという話があったのですけれども、開示させることを通じて企業に考えされることが大事なので、それぞれうちの会社はなぜこうなっているかということを企業に考えさせて、その上、これを変えていくというほうに回すという開示がすごく大事かなと思います。
 いろいろあると思うのです。同じ学歴で、年齢は一緒なのだけれども、差があるのは勤続年数とか、途中、育児休業でブランクがあるとか、それで昇進だとか、いろいろあると思うのです。企業ごとに違うと思うので、企業ごとに自分の会社での男女の賃金格差の原因を考えて、説明させる。それに取り組んでもらうことがすごく大事かなと。そのように回していくような開示は大事かなと私も思います。
 では、感想でも結構ですので、瀧本室長から何かあればよろしくお願いします。

○瀧本教育未来創造会議担当室長 ありがとうございます。
 教育未来創造会議の瀧本と申します。
 ずっと聞かせていただいて、私どもの新しい会議の視点の一つである未来を支える人材を育む大学等の機能強化に引きつけて言いますと、先ほど私は委員からジェンダーギャップについての指摘を受けたということも申し上げましたけれども、いかに女性が活躍していくかということが、日本が活力ある未来を勝ち得ていくために非常に重要な視点として、私どもの会議でも重要なポイントになってくるかなというのは改めて感じました。
 また、もう一点、学び直しについてもこの会議はターゲットになっておりますので、その中で先ほど来、皆様方の間で様々な御指摘がありました効果検証も含めて、この後の会議の参考にさせていただきたいと思いますし、今日出された様々な資料についても、今後の私どもの議論の中で一部参考にさせていただけたらありがたいかと思っております。
 今日はありがとうございました。

○佐藤会長 続きまして、江口課長、お願いいたします。

○江口児童生徒課長 どうもありがとうございました。
 たくさん御意見をいただきまして、大変に参考になるお話ばかりだなというふうに伺ったところです。
 初等中等教育といいますのは、地域の自主性というか独自性も重んじながらやっているというところで、地域ともつながりながらということで実践されているのが実態だと思います。
 そんなところではございますけれども、今いただいたお話なども含めて、今後また何ができるのかということで考えてまいりたいと思っております。
 私のほうからここで申し上げておくとすると、1つは繰り返しになりますが、キャリア教育につきましては特に男女で差は設けていないということでございます。
 それから、キャリア教育ではございませんが、例えば家庭という教科がございます。こちらについては家庭生活あるいは職業生活というところで触れる部分もございますが、こちらも特に男女を区別なくやるということになってございます。
 先ほど1つ、妊娠すると学校を辞めなければいけないという話もございましたが、この点につきましては、むしろ文科省としてはきちんと学業を続けられるようにいろいろな支援をしてくださいということは繰り返し申し上げているつもりではございますが、そういった学校が出てこないように、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
 どうもありがとうございました。以上でございます。

○佐藤会長 それでは、藤原局長に御説明いただいたところで、局長の代理に入っていただいて、もし何かあればお願いします。

○伊藤民間教育事業振興室長 総合教育政策局の民間教育事業振興室長の伊藤と申します。よろしくお願いいたします。
 本日、リカレント教育に関しまして多くの御意見をいただきまして、ありがとうございました。今後の事業実施について、ぜひ参考にさせていただきたいと思います。
 いただいた御意見の中で、まず効果検証について多くの御意見をいただいたのですけれども、これは大変重要な点だと思っておりまして、今後の課題だと思っております。
 実際に、我々の事業では大学のほうが実施するので、企業側の評価もそうなのですけれども、大学のほうでもしっかりと効果を検証していかないといけないと思っていまして、先ほど藤原のほうから令和3年度補正予算のDX等成長分野における就職・転職支援のためのリカレント教育推進事業を御紹介させていただきましたけれども、こちらのほうでも、採択された大学に対しては就職率の調査とか、受講生に対する事後のアンケート調査、連携した企業からの評価を受けるといったことで検証していけるといいかなと思っていまして、具体的にはいただいた御意見を踏まえて検討させていただきたいと思っております。
 もう一点、生きるための学び直しが必要なのではないかという御意見をいただいておりました。8ページから10ページに参考資料をつけさせていただいて、実は令和2年度の補正予算でも同じような事業が実施されていまして、コロナ禍の影響を受けた失業者や非正規雇用労働者、女性も含めて、そういった影響を受けた方に対しての就職・転職支援を行う事業を実施しております。今、ちょうど実施しているところなのですけれども、女性向けのプログラムもかなりありまして、10ページに参考資料で青山学院大学の事例をつけさせていただいておりますけれども、ITの職種に転換するための就職支援のプログラムも実施されております。
 こういった趣旨の事業についても、改善点なども含めて、令和3年度の補正予算事業を実施していきたいと思っております。
 以上です。

○佐藤会長 どうもありがとうございました。
それでは最後に林局長のほうから、御質問に対する御意見なり感想があればよろしくお願いします。

○林男女共同参画局長 ありがとうございます。
 大変貴重な意見を多々頂戴いたしました。3点ほど申したいと思います。
 1つはやはり教育を出た先の出口である労働市場が大事であるということで、まさにおっしゃるとおりだと思います。今回私どもは経済的自立、経済的エンパワーメントを中心の柱に据えましたのも、女性の人生が昭和の時代とはまるきり変わってしまったということが大きくございます。女性の52%は90歳まで生きます。文字どおり人生100年であります。また、結婚は毎年60万件に対し離婚は20万件ということで、人生の姿が様々であります。3組に1組は離婚しているということでございますので、様々であります。
 文字どおり人生100年の長い人生の中で、女性が経済的困窮に陥らないようにする、女性が経済的に自立力をつけることは、女性本人のために重要なのはもちろんですけれども、日本という国の経済あるいは財政にとっても重要な、社会全体で取り組むべき課題だと考えております。そういう意味で、今日のお話は大変重く受け止めております。さらに関係省庁と議論してまいりたいと思います。
 2点目、DXのお話がございました。私どもも産業構造の分析などをしますと、もともと産業構造が転換する中で、よく女性が多くついていたホワイトカラーの事務の仕事というのは、どんどん無くなる方向にあり、さらにそれはコロナ下で加速しているという側面もあると思います。そういう中で、就業構造が大きく変わり、中間層のところが、事務、ホワイトカラーの仕事がどんどん変わっていく中で、女性にデジタルの力をつけることは大変大事なことだと考えておりまして、私どもは今回、女性デジタル人材育成プランを策定しようという検討を始めているところでございます。それによって、今、各省でいろいろデジタルについては取組をしていますけれども、特にコロナ下で困窮に陥っている女性も含めて、デジタルの力を身につけていくことができるようなプランを考えてまいりたいと思います。
 3つ目、男女間賃金格差でございます。企業に男女別の賃金の情報の開示について義務づけるべきではないかという御意見を多々いただきました。今日いただいた御意見を踏まえて、また、これは新しい資本主義の議論とも関わる重要な議論でございますので、関係省庁と連携して、しっかり前に進むように取り組んでまいりたいと思います。
本日は本当にどうもありがとうございました。

○佐藤会長 どうも御苦労さまでした。
 局長からもう一つ報告があるのですね。今、説明していただいた方は出ていただく形ですか。

○林男女共同参画局長 いえ、そのままいていただいて大丈夫です。

○佐藤会長 では、お願いします。

○林男女共同参画局長 それでは、画面を共有します。
 私どものところで今、仕事と子育ての両立を阻害する慣行の調査をやっておりますという御紹介でございます。
 昨年6月の重点方針で掲げました仕事と子育ての両立を阻害する慣行への対応に関して、主に子育て中の方を対象に、幼稚園、保育園、認定こども園あるいは小学校、学童保育、習い事、課外教室等の具体的な場面において、子育て・家事の困り事やそれを乗り越える工夫について、広く意見募集を実施しているところであります。実は徳倉先生には有識者としてこの調査にお力添えいただいているところであります。
どのようなものかというと、例えば保育園から使用済みのおむつを持ち帰らなければならないとか、PTAは強制参加の上に会合が平日の昼間に開催されて、仕事を休まなければならないとか、PTAは母親が参加することが当然とされていて、父親が参加しづらいとか、いろいろ子育て・家事をする上での負担になっている困り事、それを乗り越える工夫などについて御意見が寄せられていまして、既に私どもところに5,200件以上の御意見をいただいております。募集期間は今週金曜日までとしております。さらに、ぜひ広く御意見をいただきたいと思っておりますので、御協力をお願いいたします。
 この意見募集で収集した事例を分析・整理したところで、専門調査会で先生方に御報告するとともに、困り事を乗り越える対応策について、可能なものは女性版骨太の方針に盛り込んでまいりたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○佐藤会長 関係ある人は、いろいろな方に出してくださいと言っていただけると思います。
 それでは、ちょっと時間が過ぎましたけれども、女性の経済的自立と教育の関係について、活発な御意見を出していただいてありがとうございます。特に関係者、文科省、教育未来創造会議の方、時間を取っていただいてありがとうございます。
 今日はここまでということで、どうもありがとうございました。