- 日時: 平成17年7月20日(水) 13:00~15:00
- 場所: 経済産業省別館825号会議室
- 出席者
- 岩男 壽美子
- 会長
- 古橋 源六郎
- 会長代理
- 石川 哲也
- 委員
- 猪口 邦子
- 委員
- 鹿嶋 敬
- 委員
- 神田 道子
- 委員
- 五條 満義
- 委員
- 桜井 陽子
- 委員
- 庄司 洋子
- 委員
- 住田 裕子
- 委員
- 竹信 三恵子
- 委員
- 寺尾 美子
- 委員
- 広岡 守穂
- 委員
- 古川 貞二郎
- 委員
- 山口 みつ子
- 委員
- 渡辺 三枝子
- 委員
- 議事
- (1)開会
- (2)報告書案について
- (3)その他
- (4)閉会
- 議事内容
- 岩男会長
-
ただいまから男女共同参画基本計画に関する専門調査会の第13回の会合を開催いたします。
委員の皆様、大変お忙しい中を御参集いただきまして、ありがとうございます。まず、資料につきまして、事務局から御説明をお願いをいたします。 - 定塚男女共同参画局推進課長
-
それでは、御説明をさせていただきます。「報告書(案)」について御説明をさせていただきたいと思いますが、7月14日、先週でございますが、自民党内閣部会・女性に関する特別委員会・男女共同参画推進協議会及び過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム合同会議がございました。
この合同会議には、岩男会長、及び鹿嶋委員に御出席をいただきました。合同会議における意見を踏まえて、会長、会長代理とも御相談して、とりあえず検討案の形で資料を用意しています。
後ほど、この内容については御説明しますが、まず自民党の合同会議で出された意見について、概略を私から説明申し上げます。
こちらの合同会議でございますが、7月14日の15時半から開催されました。会議で出された意見といたしましては、過激な性教育・ジェンダー教育実態調査プロジェクトチームのメンバーの方から、前回の専門調査会で配布した資料とほぼ同様の、プロジェクトチームが作成した「見直しのポイント」によって意見の御説明をされました。
主な点としては、ジェンダー論によらない基本計画改定をしてほしいという意見。それから、家族否定につながる表現は不適当として、無償労働、家族経営協定、苦情処理、メディアの取組が挙げられています。個人単位、税制、夫婦別氏など、党として方向性が定まっていないことは載せない。その他、性教育のあり方、「あらゆる」という言葉の表現について等のご意見がありました。
また、ジェンダーにつきましては、ジェンダー概念はフェニミズム思想から出発して、左翼や日教組が加わってきたものであるという御意見。基本法にはジェンダー概念が使われておらず、基本計画でも現行の計画には具体的な施策部分だけに書いてあり、基本的方向にはほとんど使われていないにもかかわらず、ジェンダーについて、今回の中間整理でかなり書き込んでいるのではないかという御意見などがございました。
一方でジェンダーにつきまして、国際的にはきちんと認識されている言葉であるという御意見もありました。しかし、国際的には認識されているけれども、我が国では十分に馴染んでいない。従って、いきなりジェンダーという言葉、あるいは社会的、文化的に形成された性別という言葉を使うのではなく、表現を工夫したらどうかという御意見。
例えば、男女には生物学的な違いがあるが、社会的、文化的に差別してはならない。これはジェンダーに敏感な視点であるといった表現にしてはどうかという御意見。あるいはジェンダーという言葉は性差別、あるいは性差別意識の解消と置きかえるべきではないかという御意見。それから、多少回りくどい表現でも、ジェンダーをきっちりと日本語に訳した方がいいといった御意見などがございました。
過激な性教育、ジェンダーフリー教育につきましては、プロジェクトチームのメンバーの方から事例報告の御紹介がありました。
概略は以上でございます。後ほど岩男会長等から補足があればお願いをしたいと思います。 - 岩男会長
-
若干、私から補足説明をさせていただきます。
まず、会合の位置付けなんですけれども、これは「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」からの申し入れで開かれるものであると、こういう位置付けでございました。
私が申し上げましたのは、大変、たくさんいろいろな御指摘をいただきましたので、それを専門調査会に持ち帰って、皆様に検討していただき、できるだけ取り込むように努力をいたしますと、こういうふうに申し上げてきました。
まず、第一に基本法及び男女共同参画社会の重要性については、確認がそこでなされたといってよろしいと思います。それから、2番目に現行の基本計画の改定であると確認されました。つまり、今回議論しておりますものは改定であり、現行計画の基本的方向にジェンダーが入っていないではないかというお話については、ジェンダーは入っておりますということを御指摘申し上げました。それから、機会の平等ではなくて、結果の平等を目指しているのではないかという御指摘もありましたけれども、これについては機会の平等をまず目指しているものであるというふうに御説明をしました。
それから、4点目に政府与党が決定もしていないことを、政府が任命した審議会が盛り込んでいることはおかしいという御指摘がございまして、これにつきましては、政府がまだ手をつけていないこと、あるいは与党が方向性を決めていないことでも、男女共同参画の実現に向けてどうしても必要であり、早く進めてほしいと私どもが考えるようなものについては、皆様での御議論の上、基本計画に盛り込んでいただきたいと、こういうふうにするものであると、私はこのように理解をして、今まで報告書のとりまとめに向けて作業をしてきたつもりでございます。自民党が決定していないからいけないというふうに言われることには異論がございます。決定と実際の施策の間にタイムラグもあることでもありますし、いろんなアイディアを出してできるだけ前向きなものを、そしてよりよい計画をつくるという、こういうことだと理解しておりました。ただ、この点については、御質問でも出ましたし、また終わってから私に、おかしいとの御意見がございました。
それから、御報告をしなければいけないので申し上げますけれども、7年ぐらい前の基本法をつくる前の段階の基本法検討小委員会の議事録を2回ほど読み上げられて、この議事録の一部に不適切な表現があるということで、不快感を持って受け止められた部分が、あったようでございます。
それから、ジェンダーにつきましては、例えば、イスラム圏における女性の割礼について言及がございまして、こういうものは絶対にやめなければいけないという例として取り上げられまして、私としては、ジェンダーに敏感な視点がいかに大事かということの大変いい具体的な例をお挙げいただいたというふうに理解をいたしました。
それから、ジェンダーにつきましては、2つございまして、1つはジェンダー論に立っているという基本的姿勢の問題、それから2つ目が表現ぶりの問題です。ジェンダー論に立った基本計画は直すようにという御指摘でございまして、これは男女の関係を、要するに、抑圧する者と抑圧される者という縦の権力関係でとらえるジェンダー論に立って、日教組がジェンダーフリー教育を展開したと。その中で過激な性教育が行われてきた。ゆえに、ジェンダー論に立った基本計画はいけないという、こういう御主張だというふうに理解いたしました。
関連して大学における女性学、ジェンダー学も好ましくないと。こういうようなことでございました。この点は、ほんの限られた例から全体をだめなものというふうに決めつけられるというのは、おかしなことであって、やはり、これは正しい御理解をいただく必要があると思います。
また、その関連で出てきました過激な性教育につきましては、極めてグラフィックな御説明がございました。
2番目の表現の問題、表現のわかりにくさという点については、これは今後、私たち十分検討しなければいけないというふうに思っております。
私からの補足としては以上でございます。もし間違っていたというふうにお思いでしたら、鹿嶋委員から御指摘いただければと思います。 - 鹿嶋委員
- いや、特にありません。
- 岩男会長
- 以上です。
- 定塚推進課長
-
ありがとうございました。では、引き続きまして報告書の修正検討案について説明をさせていただきます。
まず、1ページをめくっていただいて「はじめに」というところ。これは前回まで付けておりませんでしたので、今回新しく付けさせていただいております。中身としては、男女共同参画社会について、どう進めていくかということ。男女共同参画社会の実現にとって重要なこと。それから、計画の改定についての経緯等を書いてございます。
2ページ目、一番上の段につきましては、「なお、『社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)』の表現等については、様々な議論があることから、引き続き本専門調査会において調査検討を行うこととしたい」という一文を書き込んでおります。
次に3ページでございますが、3ページの一番下から2行目の文章でございます。「社会のあらゆる分野において」というところを削除しております。こちらは「あらゆる分野において」というのがたくさん、あちこちに出てきまして、本当にあらゆる分野についてというのがどこにでも必要なのかという御指摘がございました。ここの部分は、もともとは男女共同参画推進本部の決定の引用部分でございまして、社会のあらゆる分野においてという部分をここであえて載せなくてもいいということで削除をいたしております。
次に変更はしておりませんが、御紹介をしたいのが12ページでございます。
12ページの上から3つ目のポツ、「常勤の国家公務員の短時間勤務制度の導入について早期に検討する。」という文につきましては、前回の調査会で佐藤委員の方から、定員についてもう少し検討するということを含んだ書きぶりにできないかということ、あるいは利用しやすい制度としてもらわなくては困るという御意見がありまして、そうした意見を踏まえて修文の検討もいたしましたが、調整がつきませんで、修正はいたしておりません。なお、佐藤委員については、この文章で御了解をいただいております。
次に17ページでございます。17ページの〈評価と問題点〉の3つ目のポツでございまして、こちらの方は前回の会合で意見をいただいて、修正をしたものでございます。修正後の文章としては、「男女共同参画社会は男女に生物学的な違いがあることを前提としており、この点に関して一部に見られる誤解を払拭するためにも、男女共同参画に対する正確な理解の浸透に努める必要がある。」という文章といたしております。
その次の2の〈目標〉の部分の上から6行目でございますが、もともとの文章は、「どのような生き方を選択しても、それに対して中立的に働くような制度構築が大きな課題となっている」と書かれております。この部分の「どのような生き方を選択しても」という部分につきまして、自民党のPTの方から、これは非常に幅広くいろいろなことが読める文章ではないかという御指摘がございまして、こちらは、例えば、「男女の社会における活動の選択」という言葉に書きかえてはいかがかと思っております。なお、この書きかえました「男女の社会における活動の選択」という言葉は、基本法の条文にある文言でございます。
次が右側の18ページの【施策の基本的方向】の下から3行目以下の部分でございます。まず、「男女の社会における活動の選択」、これは左ページで説明したものと同じ趣旨でございます。その後の部分でございますが、「社会制度・慣行について個人単位の考え方に改めるなど必要に応じて見直しを行う」という部分の「社会制度・慣行について、個人単位の考え方に改めるなど必要に応じて」という部分、こちらは必ずしも必要があるのかどうかということで削除する案としておりますが、こちらの方も自民党PTの意見で個人単位に偏り過ぎているのではないかという御指摘を踏まえて修文案を用意しているものでございます。
〈具体的な取組〉の2番目のポツ、選択的夫婦別氏制度の導入の部分でございますが、こちらの部分、「結婚に伴う氏の変更が職業生活等にもたらしている支障を解消するという観点からも」という部分を削除をしております。この部分につきましても、自民党の党として方向性が定まっていない、また夫婦別氏制度など、特定の考え方に誘導しているのではないかという御意見を踏まえての修文案でございます。
次の19ページでございます。「社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー) 」の部分については、【施策の基本的方向】については修正をいたしておりません。【具体的な取組】につきましては、もともとジェンダーとカタカナだけで書いている部分がありましたが、様々な議論を踏まえますと、まず日本語を書いて(ジェンダー) としておいた方がよろしいのではないかということから、カタカナのジェンダーの前に、「社会的・文化的に形成された性別」という日本語を追加をしております。
次が20ページでございます。【施策の基本的方向】の部分の有償労働と無償労働の時間、それから、いわゆる無償労働というくだりにつきまして、無償労働という言い方は主婦の労働について適切でない表現であるという自民党PTの意見を踏まえまして、例えば、ここのところは「仕事と家事、育児、介護等」と修文をしてはという修文案です。また、【具体的な取組】の一番下のポツにつきまして、無償労働の時間の把握については、これも例えば、「育児、介護等の時間の把握については」と修文するということで案を載せてございます。
次が31ページでございます。31ページの一番上のポツの部分でございますが、テレワークについて、従来、テレワークについて普及促進を図るということだけ書いてございました。しかしながら、これも自民党PTの意見で育児期等でテレワーク等の形態を重視してはどうかという御意見がありましたことから、ここに「育児期等にある男女が仕事と家庭の両立を図りながら働く形態としても重要であり」という文章をつけ加えてはどうかという案です。
次が36ページでございます。36ページの農山漁村の部分の〈評価と問題点〉の1番目のポツでございます。ジェンダー統計という言葉を使っておりますが、これは男女別統計と改めるという修文案を掲げております。
次が46ページでございます。(2)の子育て支援の部分でございますが、こちらも自民党PTの方から働く母親だけではなく、あらゆる母親の子育て支援をすべきではないかという御意見が出されていることに対応いたしまして、「すべての親子に対する子育て支援策」、「すべての子育て家庭の支援に努める」という言葉を入れてはどうかということで修文案を掲げさせていただいております。
次の47ページでございます。47ページ(3)の【具体的な取組】の1つ目のポツの中の「多様なライフスタイルを持つ男女の地域活動への参加を促進するため」というくだりの「多様なライフスタイルを持つ」、これがどんなライフスタイルでもいいということになると、やはり非常に幅広く読めるのではないかという自民党PTからの御指摘がございまして、この文脈では必ずしも必要ないのではないかということから、削除という案を掲げさせていただいております。
次が53ページでございます。高齢者の部分でございますが、このあたりにつきましては、女性だけを取り上げた記述が非常に多いのではないかと、女性だけを取り上げているけれども、一方で男性はどうなのかという御指摘が、やはり自民党のPTの方からございました。例えば、高齢期について、低所得の女性が増加しないようと書いてあるけれども、低所得の男性が増加してもいいのかという御意見などがございまして、こちらは「男女差の実態を踏まえ」と書いてありますので、低所得の女性が増加しないようにと書かなくてもいいということで、削除の案を掲げさせていただいております。
障害者の部分につきましても、【具体的な取組】の中で「女性のニーズに」と書いてありますが、「男女それぞれのニーズに」と書いてはいかがかということで案を掲げております。
次に56ページでございます。生涯を通じた女性の健康支援の目標のくだりでございますが、1行目で「女性も男性も各人が互いの身体的特徴を十分に理解し合い」と書いてございます。こちらの方は岩男会長から御意見をいただいておりまして、特徴という言葉が適切なのか、特性とか、特質といった言葉の方が適当ではないかという御意見がございますので、こちらの方は後ほど皆様の御意見を拝聴したいと考えております。
次が69ページでございます。〈評価と問題点〉の4行目以降でございます。前回の調査会の議論を踏まえて修正をしようと考えております。修正の文案につきましては、先ほど御説明した17ページの〈評価と問題点〉の3番目のポツ「男女共同参画社会は男女に生物学的な違いがあることを前提としており」というくだりと同じ文章を、ここで入れたいと考えております。
「一部にみられる誤解を払拭するためにも、学校教育において」ということで、「学校教育において」という文言だけは、教育の分野ですので加えまして、そのほかの修文については、17ページと同じ修文案を掲げております。
次が71ページでございます。71ページの1つ目のポツの4行目でございますが、「家庭生活の大切さ」という文言を追加をしております。こちらも自民党PTの意見で、家庭を重視した基本的計画という御意見がございますので、家庭生活の大切さという言葉を加えてはいかがかという修文案です。
2番目のポツでございますが、こちらは前回の調査会での御意見を踏まえまして、「男女共同参画社会は男女に生物学的な違いがあることを前提としており、教育関係者等に対し男女共同参画に対する正確な理解の浸透を図る」という文言といたしております。
なお、この修文につきましては、内閣府内あるいは他省庁からの指摘がございまして、「男女に生物学的な違いがあることを前提としており」とだけ書きますと、社会文化的な性差はすべて前提としていないということなのかということで、逆に誤解を招かないかという御批判も受けているところでございます。このあたりについては、再度委員の先生方の御意見を伺えたらと思います。
それから、その2つ下の「高等教育機関等における女性学等の一層の振興を図る」という部分でございます。こちらの方は原案は「高等教育において、男女共同参画に対する正確な理解の浸透を図るとともに、大学教育等における女性学等に関する教育の充実を促す」となっておりました。これを修文して、現行計画では「振興」という言葉を使っておりますので、現行計画に近い表現ぶりということで、「高等教育において、男女共同参画に対する正確な理解の浸透を図るとともに、高等教育機関等における女性学等の一層の振興を図る」という文章としてはいかがかというのが修文案でございます。
なお、この点につきましては、文部科学省からは別の意見が出ておりまして、こちらの修正案としては、「高等教育において、男女共同参画の正確な理解の浸透を図るため、女性学等を含む大学教育の充実を促す」としてはどうかということで、原案では「図るとともに」となっておりますが、これを「図るため」とするとより女性学について理解が得られやすいのではないかという修文案でございます。こちらの方も後ほど御議論いただければと存じます。
それから、72ページの(2)の【具体的な取組】の2つ目のポツでございます。こちらは岩男会長の御意見に基づく修文でございまして、「放送大学や放送大学大学院等をはじめ、時間・空間的制約のない高等教育の機会の提供の促進を促す」ということで、従来の文章ですと、放送大学、放送大学大学院に限定した書きぶりでしたが、こちらの方では、それを「はじめ」ということで、もう少し広がりを持たせた文章にしたという修文案でございます。
次が77ページでございます。【施策の基本的な方向】の中ほどで、「ジェンダー平等」という言葉を使っておりますが、こちらの方は「男女平等」と修正してはいかがかというものでございます。
それから、78ページの【具体的な取組】の5つ目のポツ、こちらも「ジェンダー平等」を「男女平等」と変更してはどうかというもの。それから、その下のポツでございますが、「ジェンダー統計」の2か所の部分を「男女別統計」としてはどうかというものでございます。
次が83ページでございますが、【具体的な取組】の5つ目のポツでございますが、「地域コミュニティにおける防災活動の意義は大きく、男女の参画や災害や防災に関する知識の習得を進める。また」ということで追加をいたしております。こちらの方は自民党PTの意見の中で、こうした点が重要であるという御意見がありましたので、それを取り入れてはいかがかという修文でございます。
それから、資料の一番最後でございますが、前回の会議で御紹介をした数値目標を別紙の資料という形で付けております。こちらの方は備考欄に若干の修正がございますが、それ以外については前回提出したとおりでございます。報告書の修正案については、以上でございます。
続きまして、先ほど岩男会長からも御紹介がございましたが、ジェンダーの表現ぶりについて工夫をすべきではないかという意見があったということを踏まえて、事務局としてペーパーを用意してございます。1つはジェンダー概念の中身を説明する方法ということで、例えば、本文中でジェンダーという言葉がはじめて出る部分に、そしてジェンダー概念の中身を付けたらどうかという案でございます。「注」としては、例えば、「本報告書において、『社会的、文化的に形成された性別』(ジェンダー)とは、社会や文化により作り上げられた『男性像』、『女性像』を言う。これは、男女に生物学的な違いがあることに前提とした上で、社会における性差別、個性と能力の発揮の阻害につながる男女の固定的な役割分担意識、偏見などに気づくための概念である。(この意味でのジェンダー概念は、国際的に広く定着している。)」といったものでございます。これは本文に付けるということで、例えば、今申し上げましたジェンダーが初めて出る部分に付けるか、あるいは第一部の最初の方に付けるということも考えられるかと思います。
それから、「2」として書いてありますのは、「社会的・文化的に形成された性別」という日本語がややわかりにくく、かつ長ったらしいという御指摘を受けておりまして、これを置きかえるというものでございます。
前回、自民党の部会の方で提案をされていたのは、社会的・文化的に形成された性差別、あるいは性差別意識といった文言が提案されておりました。こちらの資料は、必ずしも今日結論を出していただかなくてはならないというものではございませんが、後ほど時間があれば、御意見、御議論をいただきたいと考えております。
とりあえず、以上でございます。 - 岩男会長
- それでは、これから意見交換の時間としたいと思います。今、既に修文案について御説明がございましたので、修文案、それから自民党の方からいただいております御意見等を踏まえて御意見をいただければと思います。
- 五條委員
-
具体的な点で3つ指摘したいと思うんですけれども、「あらゆる分野での」というところがありましたね。3ページの指導的な立場に女性が30%ということを書いている部分ですけれども、ここでもし仮に、「社会のあらゆる分野において」という言葉を外した場合に、ごく一般の人が、これをどういうふうにとらえるかということをよく考えて見る必要があると思うんです。これを外した場合、例えば、地方公聴会でも議論が出たような、こういう基本計画はエリートのための対応なのかという、そういう議論が出ました。決して、それは本意ではないんですけれども、そういう印象を持たれがちな部分をいかに克服していくかということが、この調査会が地方公聴会なんかが終わった後に対応すべき重要な課題なんです。ですから、ここではあらゆるという言葉をきちっと使って、男女共同参画をどういう形で浸透を図っていくかということの位置付けをはっきりさせるべきじゃないか。私は、むしろ「社会のあらゆる場面や活動において」というふうに明確に書いて、それで後の方で「各分野において」という形で文章をつなげていくということが、むしろ、決してエリートにとどまる男女共同参画の問題ではないということを鮮明にする上で大事ではないかというふうに考えます。
それから、あと2点は社会的な慣行のところですね。そこで中立的に働くようにというところの文章が、たしかあったと思うんですけれども、ここの部分のように、もし修文をした場合に、何が中立的に働くようにするのかという主語がそもそも抜けてしまうというふうに思います。この文章をそのまま読むと、「また、個人の生き方がますます多様化する中で、男女の社会における活動の選択に対して中立的に働くよう」と書いてあるわけですけれども、何が中立的に働くのか、これでは主語が欠落してしまうと思います。少なくとも、日本語の文章で言うのであれば、社会制度・慣行についてという言葉を入れないと言葉にならないと思いますし、ここの部分は、これは基本的な方向を示すための文章ですから、そういう社会慣行や社会的な制度や慣行がどういう方向に、どういうベクトルに動いていくのかということを明示しないと文章にならないわけです。ですから、個人単位にという言葉をきちっと補って、そこの趣旨を鮮明にしないと、方向性を示すものになかなかなり得ないという感じがします。
それからもう1点、無償労働のところですけれども、決して無償労働という言葉は、家族否定につながるものではありません。むしろ、専業主婦の方が、そこに無償労働の実態があるということを通して、家族の中における個人それぞれの寄与を適正に評価していくということについて、敏感な視点を持っていくということにつながるわけです。ですから、無償労働という言葉は、ここで使うというのは非常に適格であるし、アンペイドワークという、この議論については、国際的にもかなり認識されて、議論として浸透されてきていることであって、このとりまとめに当たって、この無償労働という言葉を外すということ、これ自体、問題があるのかなという感じがしております。
以上であります。 - 岩男会長
-
ありがとうございました。主語がないというのは、そのとおりでございまして、ここは主語を入れないといけないと思います。まず、簡単なところから、ほかに御意見がなければ、今のところをちょっと結論的なことを先に申し上げてしまいましたけれども。
個人単位のところについて、まだ議論が残っております。事務局が用意してくださった修文と今の五條委員の御提案とございますけれども、それから、あと2つ御提案をいただいています。あらゆる分野というところと無償労働のところですね。いかがでしょう。
私は実は何で「あらゆる分野」ではいけないとおっしゃっているのかが正直よくわからないんですね。御提案ではたしか「あらゆる分野」を「各分野」に直せと、こういうことだったと思うんですけれども、私の日本語の能力では、「あらゆる」と「各分野」がそんなに大きな問題になるほど違うのか、正直言って、なぜそこが問題なのかがよくわかりません。確かに五條委員のおっしゃるように、あらゆる場面や活動においてというふうに言えば、もっとはっきりするように気がいたしますけれども。ただ、基本法であらゆる分野という言葉を使っているのは。 - 定塚推進課長
- 「あらゆる分野」という言葉は基本法上使われております。あらゆる分野というのは、計画上いくつか使っていますが、例えば、4ページの一番下ですが、「本計画に掲げた分野を含むあらゆる分野において男女共同参画の視点に立って」施策を進めるというくだりがあります。これは基本法の中でも、「あらゆる分野で男女共同参画を進める」と書いてありますので、法律の条文に従っていることと、一方、指摘を受けているのは、もう1点ありまして、あらゆる分野に30%というのは、本当にあらゆる分野で30%が必要なのか。あらゆる分野まで30%というのは言い過ぎなのではないかという御指摘で、各分野とすべきだという御意見であろうと承っております。
- 古橋会長代理
- だけど前の決定のときに、あらゆる分野にと決定しているわけでしょう。
- 岩男会長
- そうなんですね。
- 山口委員
- チャレンジのときにやっているんですね。
- 古橋会長代理
- チャレンジ支援のときの男女共同参画会議決定と男女共同参画推進本部決定に書いているわけだから、私は、ここのところは何も直す必要はないんじゃないかなと思います。直すということ自身がおかしいんじゃないかなと思いますけれどもね。
- 岩男会長
- そうですね。基本法の前文にも、そのようにあらゆる分野として出ておりますから、これは特に取り立てて直す必要はないのではないかと思いますけれども。
- 古橋会長代理
-
もう一つは、私は五條さんがおっしゃったことと大体同じようなところに直す必要がないという×を付けてあるんです。1つは18ページのところの「個人単位の考え方を改めるなど必要に応じて見直しを行う」と、これは影響調査専門調査会における基本的な考え方ですね。これがなくなっちゃうと、これからの税制・年金制度等、いろいろなことがわからなくなっちゃうんで、このところは「社会制度・慣行について個人単位の考え方を改めるなど必要に応じて見直しを行う」ということは残すべきです。個人主義を主張するから国家意識が薄れるということとは全く関係のないことでありまして、制度面におけるものですから、ここのところは「社会制度・慣行について個人単位の考え方を改めるなど必要に応じて見直しを行う」と書くべきです、これは、私はいろいろなところで強く言ってきておりまして、そうだなと思っている人が、結構うなずいている人もいるので、ここのところを何も直す必要はないんじゃないかなと。
それから、クエスチョンマークがさっき言った有償労働と無償労働なんですけれども、随分、変なふうにとられることもあるんだなと思って、これもクエスチョンマークです。
それから、あとクエスチョンマークは、47ページの「多様なライススタイルを持つ男女の地域活動への参加を促進するため、あらゆる機会を通じて広報・啓発を行う」。「多様なライフスタイルを持つ」というのを何で消すのかがわからないんですね。今や価値観の多様化の時代。それに対して多様性を認めていくという考え方が必要で、何で消したかがよくわからないというのが、私のこれを見たときの3つの感想でございます。
以上です。 - 岩男会長
- 私が解説をする立場にはないんですけれども、ある見方で読むといろんな表現が、何て言うんでしょうか、私たちがそもそも意図しているものとは、かなり違った受け止め方で読み取る方をいらっしゃるということなんだと思うんです。多様なライフスタイルというのは、どうも若い人が、自由奔放とはおっしゃらなかったかもしれないけれども、要するに、結婚もしないとか、子どもを生まないとか、家庭を持たないとか、そういうような、そしてフリーセックスを含めて、そういう生き方をするということに対する非常な嫌悪感というか、危機感をお持ちの方があって、そういうふうな読み取り方をなさるんじゃないかと私は思って、私たちが考えているものとは全く違うんですけれども……。
- 古橋会長代理
- 私どもは男は職場、女は家庭という単一なライフスタイルじゃなくて、男も家庭であるとか、地域社会活動をするというのが多様なライフスタイルだと、理解しているので、それが相手方の意見を認めて直すというのが、ちょっと問題ではあるような気がするんですけどね。それで通りがいいというのなら、消すことについて私は特にこだわりませんけれども、一番私どもが主張している1つは、現代における価値感の多様化ということの中において、どういうふうにライフスタイルを変えていくかということが1つ、少子高齢化、国際化、高度情報化、地域社会の変化、こういうような社会経済情勢の変化の中において、男女共同参画を考えるということであって、多様なライフスタイルの選択というのは、私は非常に大きな意味を持っていると思います。こういうふうに考えているので、それを消すことについては、ちょっと疑問点を感じますけれども、どうしても通らないというのであれば結構です。
- 定塚推進課長
-
今の「多様なライフスタイル」のところは、こちらのお配りしたPTの意見では、ジェンダーフリー教育、結婚制度否定などに利用されるおそれがある表現として、単に「男女の…」でよいのではという意見が付いておりました。
それから、多様なライフスタイルというくだり、この報告書にたくさんございまして、例えば、前の46ページの(2)「多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実」というところ、ここは削れないと思っております。ただ、この47ページのくだりは削っても差し支えないということで掲げさせていただきました。 - 古橋会長代理
- 特に言わなくてもいいということで削ったんでしょうね。
- 岩男会長
- そうですね。繰り返しに若干なりますから。
- 古橋会長代理
- だから、特にそれはこだわりませんけどね。
- 岩男会長
- どうぞ、神田委員。
- 神田委員
- 36と78ページにジェンダー統計を削って、男女別統計にということですけれども、男女別統計イコールジェンダー統計とは言えないんでございます。ジェンダー統計には男女共同参画を推進する統計という意味が入っておりまして、それに必要なものは男女別だけじゃなくても入れていくわけです。例えば、保育所の数とか、学童保育数なんかはジェンダー統計の中に入っていくわけです。だから、イコールで結んでジェンダー統計を男女別統計にはちょっと直せない。専門にやっている方にもジェンダー統計の意味等を聞いてまいりました。
- 古橋会長代理
- ジェンダー統計というのは、確かにそういうことなんですけれども、特に林業と漁業の場合は、日本においては、全くその男女別統計がないものですからね。農山漁村については、男女別というふうに書いたのかなと。ただ、地球社会の方でのジェンダー統計というのは、もう少しちゃんとジェンダー統計ということを入れないといけないんじゃないかと思うんです。これを男女別統計というふうにしちゃうんじゃなくて、開発途上国における、77ページの2番目ですね。開発途上国政府におけるジェンダー統計の整備、ここのところが、やはりジェンダー統計というふうにしないといけないのかなと思います。
- 神田委員
- だから、あえてもし使わないとしたら、男女共同参画を推進するための統計とか、何とかということになっていくんだろうと思います。
- 岩男会長
- あるいは男女共同参画に関連するとか。
- 神田委員
- そうですね。推進する統計とか。
- 岩男会長
- どうぞ竹信委員。
- 竹信委員
-
ただ、それを言うと全然違うものになってしまうと思います。ジェンダー統計はジェンダー統計だと思います。言い換えても意味が通じるものについては、わかりやすくするためという理由で変えるのは構いませんけれども、多様なライフスタイルにしても、ジェンダー統計にしても、言い換えると意味が違ってきてしまうので変。
それからあと、いろいろなライフスタイルがだめだとすると、逆にこの委員会は多様なライフスタイルを否定しているんですかと言われかねない。専門調査会の方の立場が問われてしまうので、そこはかなり慎重になさらないと、わかるからいいだろうで削るのは危ない。多様なライフスタイルが広がっていて、これからの日本社会のシステムをそのような実態に合ったものにしていかないと社会に歪みができるとの心配が多数指摘されている時に、それを安易に削るということは、根幹に触れる問題だと私自身は思います。
あと、夫婦別氏の制度の18ページについても、「職業生活等にもたらしている支障を解消するという観点から」、これをどうして削らなくちゃいけないのか。やはりわかりません。 - 岩男会長
- ここのところは、私はむしろ問題のないところが削られたような気がしておりますけれども。
- 竹信委員
- 私もそう思います。一般の人にとってニーズがあり、主要な部分を削るということは問題があります。
- 岩男会長
-
ここのところは、私、大変厳しい御指摘を受けたもので、どこが問題なのかというと、まず、恐らく問題になさった方は、「選択的夫婦別氏制度の導入については」と、導入前提で推進をするということを言っているという、それがまずいけないということをおっしゃったと、そういうふうに受け止めたんですね。ですから、例えば、一番最初の「導入」はとっても、「選択的夫婦別氏制度については」でも別に、後がどうであるかによって問題ではないんで、そこの「導入」は、むしろとった方が御指摘の方のお気持ちには沿うのかなというふうに思いました。
それから、文章としても少しわかりにくいような気がするんですね。ですから、制度については世論調査等により、国民意識の動向を把握するというふうにして、まずそこで一つ切ってしまったらどうかと思います。そして、「結婚に伴う」という消してある観点からも、最後のところの「国民の理解が深まるように引き続き努める」として、この「婚姻適齢期の男女の統一及び」というのを別の文章にした方がわかりやすくないですか。 - 定塚推進課長
- それで別の文章にするのがすごく難しいものですから、一緒の文章にさせていただいているんですが。
- 岩男会長
-
それが間に入っていて、とてもわかりにくいのかなと。PTの方から先に再婚禁止期間のここを踏まえて、再婚の問題に飛ぶのかという御指摘があったのは、どうもここなんですね。ここを何とかうまく、ぶつぶつ切れても組み立て直した方がいいのかなというふうに思いましたけれども。
ちょっと古川委員に教えていただきたいんですけれども、例えば、党として決まっていないことを書き込んではいけないと、こういうふうにおっしゃったわけですが、その辺、ちょっと……。 - 古川委員
- こういう審議会は政府から受けているわけですから、自由に議論をすると。それは原則だと思うんです。ただ、党とか、あるいはほかのところで、例えば、もっといい意見があるならば、党から言われたというよりも、一つの見識として、自分たちが気づかなかったと。そういうふうなことでも、それはフランクに取り入れると、この報告書をより高めるために取り入れるということはあってもいいと。そういう感じだと思います。
- 岩男会長
- わかりました。ほかにどうぞ。住田委員。
- 住田委員
-
自民党でPTがつくられて、そしてこちらの関係者等も出席した上で、多様な御意見をいただける場をいただけたこと、それは非常によかったことだと思います。私ども政府の方から任命された委員としては、こういう多様な御意見、特に、わかりにくいという御指摘を受けたことを踏まえて、きちんと直すことも大事な姿勢だと思っております。
ただし、私たちが今まで積み重ねてきた様々な専門調査会の議論の結果として、いろいろな成果があらわれていますが、そこら辺については、御存じない御意見もあったようですし、それに対しては、誤解とみられるようなこともあるかと思います。これまでの成果としての根幹に関わる部分や誤解とみられる点については、再度御説明をするなどの必要があると考えます。そういう意味では、各専門調査会が夫婦別氏、年金を含めました社会保障等に関しての、いろいろな議論を経た上の結果がありますので、そういう部分については、やはり今回は削る必要はないし、削るべきでもないというふうに考えています。
特に夫婦別氏については、社会生活上の必要性や障害になっている事実がありますので、削る必要はないと思っています。
また、基本法にあります社会における制度または慣行についての配慮という、法律の文言に関してですが、元通りとしておくべきではないかと思います。本当に深刻な対立点となって、基本法についての改正意見が出るなら、それはそのとき改めて議論すればいいことであって、今のところ、これまでの調査会の様々な成果があり、それらを維持すべきというのが、私の基本線でございます。 - 岩男会長
- もう一つの御理解をいただくための一案として、例えば、個人単位の件は社会保障に関する有識者会議の報告の中に入っておりますので、「~にあるように」というふうに、もう既に出て、政府の方でも了承されているものを引用するという、ちょっとくどくなりますけれども、そういうような形をとる……。
- 住田委員
- そうですね。それと家族を大事にするのと家族制度の崩壊をねらうのと、全く違った面からのものであり、やはり誤解や混同をされがちですので、ここのところは、やはり説明する必要があると思いますが、訂正する必要はないと思います。
- 山口委員
-
もっと読む人たちがわかるように書いているつもりだけれども、それに対して消していかなければならないのは誠に残念だと思いますね。
それから、ジェンダーの主流化とか、そういうことは、ここのところは国際社会、特に国連を中心とした主流ですよね。そういうこともあって、日本の代表もそういう演説をしているし、外国も必ずそれを言っている。したがって、批判される方がジェンダーという言葉の翻訳が悪いと言いたいのか、あるいはジェンダーそのものを否定するのか、どちらなのかよくわかりません。何か気に食わないというだけ。それで私は、この「はじめに」の中に、国連及び国際社会の言葉を引用して入れる必要があると思います。「はじめに」のところで。これは憲法との関係を書いてありますけれども、やはり、国際協調というのが基本法の中の理念の5に上がっていますから、やはり、そういう意味では、ジェンダーなんていうのも当たり前であって、これはきちんと「はじめに」の中で位置付けておいた方がいいと思います。それは翻訳を付けるかどうかは別としてね。どうなんですか。ジェンダーの言葉そのものが気に食わないんですか。何なんですか。 - 岩男会長
-
さっき申し上げたように、ジェンダー論に立った基本計画はまずいというご意見なのです。
それからもう一つは、最終的には基本計画がきちんと改定をされて走り出す、実効あるものとして走り出すというものにならなければいけないわけですよね。ですから、目的までのここは第一歩のところなんですけれども、そういういろいろなことを考えなくてはいけないと思うんですね。そして忙しい議員の方々が一生懸命勉強されて、大変な時間をつくって、いろいろと書き出してくださったのを、私たちは一つ一つ検討して取り入れられるものは取り入れるというのが、私たちのすることであると、私はそのように思っております。 - 山口委員
- 例えば、個人単位という考え方は、社会保障制度に触れているけれども、この男女共同参画施策が始まって、すでにその言葉を明解にしたことがありましたよね、これまで。つまり、前にあれば、今回個人単位ということを削るんだったら、私は後退だと思うんですね。その辺はどうなんでしょうか。
- 定塚推進課長
- 現行計画に個人単位が入っております。
- 古橋会長代理
- 影響調査専門調査会で何度も言っていることですしね。苦情処理監視専門調査会でジェンダー統計の報告をわざわざ出しているわけですから、余りあそこは削りたくはない。ただ、森林とか、農業のところは、男女別統計も全くないというところが問題だから、そこのところは、それを強調したということでもいいのかなという気がしないではないですけれども、しかし、何も男女別統計と言い直すこともないような気もします。
- 岩男会長
- 基本的な考え方として、ジェンダーの重要性というのは、これは全く変わらないわけですね。どういう表現をとろうと、その部分については、私たちは変えることはできないし、変えないということで合意が得られているんだと思うんです。あと、表現ぶりでできるだけ、ギラギラするところというふうに受け止められているところを直せるところは直すというようなことではないかと思っています。ですから、先ほどの古橋委員がおっしゃった、例えば、農林水産分野でのジェンダー統計は男女別の統計というふうに。
- 神田委員
- 修正のところでよろしいでしょうか。71ページの女性学のところで文科省の方から修正案が出ておりまして、「図るとともに」じゃなくて、「図るため」というふうに、これは私、女性学の意味とか、役割という点で、「ともに」でなくて、「ため」というのは、非常に大きな意味を持つと思うんです。そこで「図るために」に直した方がいいと思っております。
- 岩男会長
-
そうですね。その方が明解になりますよね。ですから、ぜひ、そのようにと思っています。それから、原委員から38ページの2番目の【具体的な取組】の3番目の●の2行目というんですね。一番下のところだと思います。「女性の固定資産の形成の実態・意識の把握を含む固定資産の形成促進のための金融面を含む」と、これは「含む」、「含む」が2回出てきているんですけれども、これを次のような修文案なんですね。「女性の固定資産の形成の実態意識を把握するとともに、金融面を含む」と、こういうふうに直したらという御指摘なんですけれども、よろしいでしょうか。(「異議なし」の声あり)それでは、これはこのように直させていただきます。
それから、今、事務局案となっておりますものを順番に御了承いただけるかどうか。3ページからですか。「社会のあらゆる分野」というところ、これは既に基本法にあるということなので、これはそのままということで決定、よろしゅうございますね。 - 古橋会長代理
- それから、12ページはいいんですよね。
- 岩男会長
- そうすると、次は17、18で「男女の社会における活動の選択」という法律の言葉に変えようということで、ですから、「中立的に働くよう」18ページの方は「見直しを行う」ということになるんですけれども。
- 鹿嶋委員
- ここは「生物学的な違いがあることを前提としており」というのも、何となく嫌な文章ですね。ここはね。どうなんですか。
- 岩男会長
- どういうふうにしますか。
- 鹿嶋委員
- なくてもいいんじゃないですか。どうですか。男女共同参画の社会について、一部に誤解が見られるけれども、それを払拭するためにもとか、「生物学的な」と入れる必要があるんですかね。厳密に言うと、これだって更に議論があるわけで、どうなんでしょうか。
- 岩男会長
- 生物学的な性差さえ否定すると、こういうふうにおっしゃるわけですね。それでわざわざ、これが入ったという、そういう経緯だったと思いますけれども。
- 鹿嶋委員
- そうですがね。改めて文字になって見るとね。
- 竹信委員
- もし削るのがだめなら、性差があることなどの誤解というふうに、例示として上げるならばはっきりしますけど。つまり、それこそ性差があることを前提とはっきり書いてしまいますと、性器の面から言っても中間的な人のことをどうするんだといった専門的な疑問が出てくる可能性もあります。「などの誤解」なら、例示として何を問題にしているかがわかりますので、省いてしまうか、例示にするかなら、いかがでしょうか。
- 岩男会長
- 竹信委員、もう一遍修文案をおっしゃってください。
- 竹信委員
- 男女共同参画社会は男女に生物的な違いがない、または生物的な違いを否定するものなどの誤解を払拭するためにもとか……。
- 岩男会長
- 違いを否定する……。
- 竹信委員
- などの誤解を。
- 岩男会長
- 否定するなどの……。
- 竹信委員
- 否定するものであるなどの誤解を払拭するためにも。それなら、比較的いいのでは。誤解があるのは事実でありますし。
- 岩男会長
- そうですね。じゃ、そういうふうに訂正をいたしましょう。それでその次の……。
- 古橋会長代理
- 18ページの……。
- 岩男会長
- 17、18の「男女の社会のおける活動の選択」という、これは法律の表現はそのまま使うということで……。
- 古橋会長代理
- 個人単位の考え方は生かす。
- 寺尾委員
- 後の方で家族について書いてある部分がありますね。それと同じような文言を持ってきて、尚書きで「なおこのことは家族制度の価値を否定するものではない」といった趣旨のことを書いておけば、誤解される可能性が少なくなるということはないんでしょうか。
- 岩男会長
- それは家族にところに入れることにして、とりあえず、ここの部分は「中立的に働くよう」の後も生かすということですね。今消してあるところは。そして、【具体的な取組】の2番目の●のところで、「導入」は削除した方がいいと思います。2番目の「選択的夫婦別氏制度については」にしてしまう。
- 鹿嶋委員
- これの文章は、「国民の理解が深まる」の前に選択的夫婦別氏制度を持ってくればいいんですよ。「導入」まで取っちゃってね。「世論調査等により国民意識の動向を把握しつつ、結婚に伴う氏の変更が職業生活等にもたらしている支障を解消するという観点からも、婚姻適齢の男女統一及び再婚禁止期間の短縮を含む婚姻の制度及び離婚制度の改正とあわせ」、その次ですね、「選択的夫婦別氏制度について国民の理解が深まるよう」と。主語が大分後にきちゃいますけれども。ただ、導入をとるだけで……。
- 岩男会長
- 導入はね、とっていいと思うんですけれども。国民の理解が深まるよう……。
- 鹿嶋委員
- これはずっと前から書いてありますからね。
- 古橋会長代理
- 政府が決めているわけですからね。
- 岩男会長
- 今、鹿嶋委員から御提案のような形で、ですから、文章の方は世論調査等によりというところから始まるんだと思うんです。
- 庄司委員
- すみません。その意図はどういう意味でしょうか。というのは、やはり、これが冒頭に来ていることによって、この黒ポツは、それを言っているというか、そこを特に重視しているという印象になって、わかりいいんですが、今、鹿嶋委員の御提案ですと、最後まで読まないと、このパラグラフの一番言いたいことは何なのかがわかりません。そこが意図なのかどうかをちょっと確認したいと思います。
- 岩男会長
- そうですけど、真意がちゃんと込められていればいいにしましょう。
- 庄司委員
- 今のは、そういう意味ならそういう意味で結構です。ただ、読む方にとって、わかりにくい文章に逆にならないかなという心配をちょっと受けました。
- 山口委員
- 選択的夫婦別氏というのは、むしろすんなりと上に持っていっちゃった方が、そして言われたように「の導入について」をとった方がかえっていいんじゃないかと思うんですが、どうですか。そっちの方ですよ。
- 岩男会長
-
要するに、要素は全部入っている形で後ろに持ってきての方がいいと思います。真ん中がそうすると、ちょっと入りにくかったのが生きますから。では、鹿嶋委員の案で。
先ほど五條委員から御指摘のところ、どこでしたっけ。 - 古橋会長代理
- 無償労働、20ページ。19ページも。
- 岩男会長
- 18ページにもありませんでした?主語がはっきりしないという。
- 五條委員
- それは先ほどの中立的という案の……。
- 岩男会長
- それでよろしいですね。
- 古橋会長代理
- それから19ページのジェンダーは、また別の問題としてやって、20ページの基本的方向のところの有償労働、無償労働。
- 鹿嶋委員
- 私は無償労働を取っていいと思っています。皆さんと考え方が違うんですけれども、無償労働ゆえにいかに尊いかということを、逆に読み方として強調されることもあるので、とるならとってもいいと思います。要するに、これがGDPに換算して幾らということを出すということは、それなりに意味はあるんですけれども、逆に、それだけ尊いんだというような、むしろ読み方の方に問題があると前から言っていますので。
- 古橋会長代理
- 私はどちらでもいいんだけれども、私は地方でのお話で、専業主婦のことを男女共同参画社会を軽視しているという人がいるけれども、我々は専業主婦の家庭の中の役割を重視するがゆえに無償労働を一生懸命計算しているんですよと言っています。だから、男女共同参画社会が専業主婦を非難するなんていうのは、全く当たりません。ただ、言葉が、そういうふうに変なふうにとらえられるんだったら、私は何も固執はいたしません。
- 竹信委員
- 私はあった方がいいと思うのは、確かに古橋委員がおっしゃったとおり、主婦たちも最近は、無償労働という概念をむしろプラスイメージとして、便利に使っていますので、ということが一つです。それから、労働を外せという理由がよくわからないということが一番大きいです。
- 住田委員
- 私は残す説です。アンペイドワークという形で、国際的にも、女性がたくさん担っているということからいろいろ検討されている。そういう言葉を、多分、PTの先生は余り御存じなかったゆえの誤解であろうというふうに考えます。ただ、これだけ読むと主婦の労働、家事労働というのは、無償であることについて、非難が来るというふうに御心配があるんだったら、「いわゆる」という形で括弧書きにしてでもいいですから、専門用語として熟しているということで残すことが大事だと思っています。
- 岩男会長
- ここでもいわゆる無償労働についてはとなっているんですけどね。これを更に括弧書きにすると……。
- 住田委員
- 下が入っているんですけれども、上がないので。
- 岩男会長
- 上は有償労働、無償労働をと。
- 住田委員
- そこをいわゆるという形で。
- 猪口委員
- この「いわゆる無償労働」のところを削除して、上のところの「有償労働と無償労働の時間をバランス」というのを残してというので、いかがですかね。
- 岩男会長
- 削除する御意見と残す御意見と半々みたいな感じなんですけれども。
- 鹿嶋委員
- 私はこだわりませんから。
- 名取局長
- この無償労働というのは、1995年の北京会議で行動綱領に入りました。しかしながら、未だに無償労働という表現は不当に主婦の労働をおとしめているというような誤解もあって、この言葉が定着しておりません。それであれば、学術用語としては無償労働というのは残るでしょうけれども、一般的にはそこまでこだわるようなものではないのかなという気はしております。
- 鹿嶋委員
- 無償労働はなくなる。
- 岩男会長
- ここは特に意図していることは、要するに、時間のバランス、仕事とのバランスがうまくとれるような形にもっていきたいということが意図だと思うんですね。ですから、なくても私はいいのかなと。
- 鹿嶋委員
- 無償労働論議は基本的に北京会議で出たのは、開発途上国なんですよね。要するに、開発途上国の女性の貢献というのは見えないと。ですから、それをどうするかというので出てきたんですけれども、ただ、日本での無償労働論議というのは、要するにGDP換算で幾ら幾らになってくるんだ、だから単純に専業主婦は尊いんだというような議論のたたき台にされる傾向もある。そういうこともあるから、むしろここで無償労働という言葉をあえて使う必要はないというのが私の意見です。
- 竹信委員
- 途上国だけというのはどうでしょうか。北京会議でも先進国女性の無償労働は視野に入っていたと思いますので、私はちょっと違う認識を持っています。ただ、それは今のテーマではないのでちょっと別にしますが、こういうことでならOKです。つまり、ほかに事例が、家事、育児、介護以外に無償労働で書かなければならない事例があるかどうか。それがなければ落してもいい。それから、もっと違う立場といいますか、不払い労働と訳している研究者もいまして、無償労働なんていうのは、非常に生ぬるいと、本来は女性への不払い労働なんだというふうに言いかえるべきであるという議論もありますので、そういった異論があることを加味して、家事・育児以外の仕事が特になければ、訳語に諸説あるという理由で落すことはできるかもしれないと思います。
- 住田委員
- 局のパンフレット27ページの(4)に6条についての説明があるんですが、ここで使われているのは、「子の養育、家族の介護等家事の多くは」という、こういう言葉でこれまで説明してきているわけですよね。それにも平仄を合わせてしまうのかなと。家事時間について、家事とか、家庭内での労働という言い方をしてもいいと思うんですけれども、それは女性が多く担っている、ただ、それに対して有償か無償かという形でいきますと、対外的には無償だけれども、私自身は夫の収入の一部について、家族内では有償だという、そういう考え方を持っています。だから、主婦にも年金の負担能力があるんだと思っているんですけれども、それは置いておきまして、ここの部分のもとの言葉に戻すと、こういうような説明にするという形であれば、結構かと思います。
- 五條委員
- 私も当初申し上げたように、無償労働という言葉は、ここでしっかり残す意味というのがあると思います。1つはあくまでも家族否定という議論の中から、これを外すということを言ってきていることがきっかけですから、それは決してそうではなくて、家族の中における個人の貢献を明確にするという視点から、決して家族否定ではないということが1つと、それから、農林水産業を含めて、自営業の場合、有償労働、無償労働という用語を通して、従来から言われてきた家事労働をどういうふうに評価していくかというのは、非常にこれは大事な問題なんですね。それで、家族の中における有償化した労働、例えば、農作業をしたとかということの労働をどう評価するということについて、それだけでは、自営業においてはだめなんですね。無償労働になっている部分、つまり家事労働などの部分もどう位置付けるかということがないと、個人の労働の実態をトータルでどういうふうに評価していくかということにつながらなくなる。あくまでも無償労働という言葉の意味というのは、非常に意味があると思うんです。
- 岩男会長
- 今御指摘のように、家庭の中における個人の貢献を明確にするということは、そのとおりであって、それを一文入れるのもいいかなと一瞬思ったんですけれども、むしろ、個人の貢献を明確にしてはいけないという、そちらの立場なんですね。つまり、貢献を明確にすることは、ギスギスした家族関係になると、こういうふうに思っていらっしゃるんですね。ですから、ちょっと……、どうぞ。
- 猪口委員
- 私も局長の御意見はわかるのだけれども、国際的に使われている概念なので、日本の方だけがわからなくなってしまうと将来的にも困りますので、教育的な意味でも、この言葉を残した方がいいと思います。
- 鹿嶋委員
- 無償労働は何でだめかというと、これは推測ですが、多分、家事等は聖なる行為であって、無償という言葉に置き換えることに抵抗があるということですから、文言の入れかえでは無理なんです。
- 竹信委員
- 私、先ほど、家事育児以外の無償労働がないなら言い換えしてもいいと申し上げましたが、五條委員のお話を聞いて思い出しました。確かに、家事、育児、介護以外に無償労働ってあったんですよね。農産農家と中小企業の女性の労働は、家事育児ではなく、家業を行っていながら払われない労働がたくさんある。あったということは、今わかったわけですから、無償労働という言葉は譲れない方に入っちゃうかなと。前の、言い換えも可能という意見を撤回させていただきます。
- 岩男会長
- どうしましょう。ほかの方。
- 住田委員
- 私個人は、情勢を見ながら、事務局にお任せするということで、私自身はこだわりませんということで結構です。
- 岩男会長
-
まだほかもございますので、この部分については、お任せいただくということでよろしいでしょうか。ただいまのいろいろな御意見を踏まえて決めると、こういうことにさせていただきたいと思います。
その次は……。30ページですか。30ページにはないみたい。 - 古橋会長代理
- 31ページの一番上。
- 岩男会長
-
これはちょっと説明を加えただけなので、これは問題ないんじゃないでしょうか。これはそのまま了承ということでいきます。
その次は36ページの部分です。これは先生、男女別でも当面……。 - 古橋会長代理
- 男女別統計が未整備なのですからね。
- 岩男会長
-
まず、そこから出発しなきゃいけないという。その次は46ページでしょうか。「すべての親子に対する」は、これは問題ないと思うんですね。それから、ちょっと同じところで上から2つ目の●のところで、「仕事と育児・介護の」となっていますのは、これは「介護等」という、前の方は全部「等」が入っているから、ここも「等」という字を入れた方がいい。平仄を合わせるという意味でもいいと思います。
それから47ページの、これは重複だからとったということで、それから、53ページは女性ばかりギラギラしているということですので、これでよろしいですね。事務局案のようにしたいと思います。 - 古橋会長代理
- 56ページの一番下の目標。
- 岩男会長
- いろんなことを言われてますので、私は「身体的特徴」というのも何か変な誤解をされる心配があるように思います。
- 鹿嶋委員
- 56ページは、僕らには何の印もないんですけれども。
- 岩男会長
- ないんです。ただ、私が昨晩になって身体的特徴よりも特質とか、特性とかと言った方がいいかなと思ったんですけれども。ここは変えさせていただきたいと思います。
- 定塚推進課長
- 69ページのところは先ほどの修文と同じような形で。
- 古橋会長代理
- 同じくするということですね。
- 岩男会長
- そうですね。71ページですね。先ほど一番下の●も文科省の案をとるということで決まりましたし、それから、ここに家庭生活の大切さが入っているのは、特に問題はないと思いますけれども、よろしいでしょうか。2番目は先ほど検討したということです。それから77ページですね。
- 寺尾委員
- 先ほどの文科省の修文に71ページですが対になったところがあります。「大学教育等における女性学等に関する教育の充実を促す」とあります。どういう大学教育なのかを書かないといけないのではないでしょうか。大学教育を充実することが男女共同参画の正確な理解の浸透を図るというふうに薄められて読まれてしまう可能性があると思います。女性学等を含む、男女共同参画に関係が深い大学教育の充実を促すとかというふうに書いた方がよろしいと思います。
- 岩男会長
- そうですね。それから、ちょっと読み直してみると、最初に高等教育においてというのも要らないような気がするんですけれども、後で大学教育の充実と言っているんですから、この部分は重複しているような感じがいたします。女性学等を含むカリキュラム?
- 寺尾委員
- 「女性学等を含む」というのは、つまり、男女共同参画社会の形成に役に立つ大学教育というのは、女性学には限らない、女性学が主流だという、そういう意味なんでしょうか。
- 岩男会長
- そうですね。今の寺尾委員の修文案のように、最初の頭の高等教育においてはとってしまって……。
- 山口委員
- 今の部分をお読みくださいませんか。修文にしたところ。女性学等のところから入るわけですね。
- 岩男会長
- 男女共同参画の正確な理解の浸透を図るためというのは、生きているわけですよね。
- 鹿嶋委員
- その次に何が入るんですか。
- 岩男会長
- 男女共同参画社会の形成に資するでしたっけ? ちょっと寺尾委員、もう一遍お読みください。
- 寺尾委員
- 高等教育は削るんでしょうか。
- 岩男会長
- 下の方に大学教育の充実を促すというのがあるものですから。
- 寺尾委員
- ただ、大学教育と高等教育はイコールなのかどうなのか。つまり、大学においてジェンダー学等々の学問が進むと、例えば、高校における教育とか、中学における教育も影響は受けますよね。なので、私はそこを削らなければいけないのか、ちょっとわからないんですが、一応読み上げてみます。「高等教育において、男女共同参画の正確な理解の浸透を図るため、女性学等を含む男女共同参画の形成に資する大学教育の充実を促す。」少しくどいですが。
- 岩男会長
- よろしいですね。
- 猪口委員
- 網かけになっている高等教育等の「等」におけるというのは、これを削るんですか。これは残るんですか。
- 岩男会長
- 今の寺尾委員の御意見で、くどいけれども必ずしも大学だけではないからということで……。
- 庄司委員
- 高等教育というのは前期高等教育と後期高等教育に分かれているという、昔のあれでは、そういう意味のテクニカルな言葉なんですか。それとも非常に一般的な……。
- 岩男会長
- 一般的に言っているんだと思いますよ。
- 猪口委員
- 高等教育は大学、短大、高専、大学院を含むと思いますが、高等教育機関等で専門学校とか、そんなところも読めるかもしれないので、この文章はそのまま残した方がいいのではないかと。この網かけの部分はいいのではないでしょうか。
- 古橋会長代理
- 高等教育機関等におけると最初に書くんですか。
- 猪口委員
- これを更に、先ほど寺尾先生の文言で表現してもいいですけれども、網かけの部分は残るのならそれでいいと思います。ただ、これを削ってしまうと、高等教育等というのが入らなくなってしまうと、かえって限定的になるから、そういうことです。
- 岩男会長
- 今、実は最初は、これのかわりに文科省のということを、文科省案を議論していたんですけれども、今の御提案は、事務局案の網かけの部分をそのまま残して、更に寺尾委員からの御指摘のようにしましょうという。
- 古橋会長代理
- そうすると、女性学等を含むの前に、「男女共同参画社会の正確な浸透を図るため、高等教育機関等における女性学等を含む」というふうにいくんですか。今の網かけを生かすというと。
- 神田委員
- 大学教育というふうに出ているんで、ここをとっちゃって、「高等教育機関等において、男女共同参画の正確な理解の浸透を図るため、女性学等を含む教育の充実」としたら全部入りますね。
- 岩男会長
- 等を含む男女共同参画社会の……。
- 古橋会長代理
- 形成に質する……。
- 神田委員
- 教育の充実を促す。
- 岩男会長
- 大学をとる。
- 神田委員
- はい。
- 岩男会長
- その方がいいですね。
- 神田委員
- 全部入ります。
- 岩男会長
- できるだけ限定をしないということで。
- 寺尾委員
- 文科省の方の修正案では、高等教育においてというのが入っていますけれども、男女共同参画の正確な理解の浸透を図るための教育の充実というのは、社会全体において必要なことです。なので、高等教育においてというのをとってしまって、男女共同参画の正確な理解の浸透を図るために充実を促すという文章にした方がよろしくはないですか。
- 桜井委員
- でも、そうすると、女性学とかというのが入りにくくなりませんか。
- 寺尾委員
- 浸透を図るために女性学等を含む男女共同参画社会の形成に資する……。
- 桜井委員
- これは具体的な取り決めの一番最初のところで、初等、中等教育においてということを言っていて、それだけではまずいから、高等教育においても女性学というのをきっちり出して図るということを言っているんじゃないかと思うんです。
- 寺尾委員
- 理解の浸透を図るためというのは、大学等における高等教育機関において、女性学等の学問が進むことの結果として、社会全体のというふうに思っただけなんです。ですから、高等教育機関等において、正確な理解の浸透を図るんじゃないですよね。あるいは、言いたいことは、それをするために大学で女性学等の授業といいますか、教育が充実されることが必要だということなんでしょうか。
- 桜井委員
- 多分そうですよね。これは初等、中等教育においては、こういうことが必要、そして高等教育においても女性学等、こういうことが必要ということを言っているんだと思うんです。
- 古橋会長代理
- それは順序を直したんですね。最後に社会教育を入れたんですよ。わかりにくかったので整理したのです。
- 桜井委員
- その整理の仕方に沿っての訂正の方がいいと思いますが。
- 岩男会長
- 高等教育機関というのは残すと、入れた方がいいという。
- 寺尾委員
- 高等教育機関でそういうことを充実することは大事なんですけど、その結果、何々のためにというのは、その結果として起こることですよね。その結果として起こることは、高等教育機関における理解の浸透ではなくて、社会全体における理解の浸透だと私は思ったんです。
- 岩男会長
- 結果としては、そうなるんだろうと思います。
- 寺尾委員
- なので、「図るため」というのが「高等教育において図るため」では、というふうに読まれてしまうとよくないと思った次第です。文科省の修文の方は、そういうふうにも読めるようになっているような印象を持ちましたので。
- 神田委員
- この背景には、今、大学教育の中での女性学とか、ジェンダー学が必要じゃないという、そういう意見があるわけで、それに対応する文章にしないと、あんまり広げちゃうと意味がないんです。だから、それをきちんと状況を踏まえた上での文章にする必要があるのだと思います。
- 猪口委員
- 女性学の推進を図ることについてはこの原案で一番いいと思います。高等教育機関等における女性学の振興を図るという文言がちゃんと残ることが重要だと思います。
- 岩男会長
- これは、このままの文言で、既に基本計画に載っているわけですから、それを削らない方がいいと思うんです。一つは既に現行に入っておりますということは、つまり現行の改定であって、後退ではもちろんないわけで、推進のための改定であるわけですね。ですから、そういう形で御説明をするという。
- 古橋会長代理
- 71ページのところは、さっき定塚課長が言ったように、高等教育において、男女共同参画に対する正確な理解の浸透を図るとともに、高等教育機関等における女性学等の一層の充実を図ると、こういうふうにするんでしたね。
- 定塚推進課長
- 事務局案はそうでございます。
- 古橋会長代理
- そういうことですよね。
- 定塚推進課長
- こちらの文科省から出していただいた案では、そこのところを「ともに」ではなくて、「ため」とした方が安心できるだろうということでございます。
- 神田委員
- だから、そこのところだけを「図るため」と入れたらどうだろうという考え方です。
- 寺尾委員
- 「ために」の後は、ここに網かけになっている、この文章が来るというふうに理解すればよろしいんですね。
- 定塚推進課長
- 網かけの方は差しかえる。網かけは消去するということでございます。
- 岩男会長
- それがもともとの議論の出発点だったんですけれども、猪口委員からは網かけはそのまま生かしましょうと、そして後、つけ加えるというか、挿入するという形にしようと。こういうことなんですけれども。
- 定塚推進課長
- 結局、女性学という言葉が2回出てきてしまいますが。
- 岩男会長
- 削れと言ったのに増やしたじゃないかと言われちゃうのもなかなか辛いところはありますね。
- 定塚推進課長
- 私から御提案申し上げたいんですが、先ほどの文科省の修文案というのを見ていただきまして、「高等教育機関等において、男女共同参画の正確な理解の浸透を図るため、女性学等を含む男女共同参画社会の形成に資する教育の充実を促す。」このような文章でいかがでしょうか。
- 岩男会長
-
それにしましょう。それに差しかえということで決定です。
それから、72ページは言葉の入りかえでありまして、できるだけ限定的な形にしない方がいいということですので、特に問題はないと思いますが、よろしゅうございますか。
それから77、78のあたりですね男女平等、それから男女別統計、あるいはジェンダー統計にするかどうかという、このあたりはいかがでしょうか。 - 古橋会長代理
- 開発途上国におけるジェンダー平等は生かしておいてもらって、さっきの議論と同じですけれども、ジェンダー平等については、ジェンダーメインストリーム化と言っているのですからね。開発途上国のジェンダー統計というのを、私は生かしておいた方がいいと思います。
- 岩男会長
- いかがでしょう。
- 住田委員
- ですから、ジェンダー統計を残して、そしてその用語の注をきちっともう一遍付けるということにすればいかがかと。
- 猪口委員
- ジェンダー平等は日本語になっていないという人もいるけれども、これはジェンダーの平等と入れたらいいのではないですか。
- 鹿嶋委員
- あるいは「男女平等(ジェンダーイクオリティ)」という言葉を入れるか。
- 古橋会長代理
- 男女平等には、形式的男女平等、実質的男女平等がありますからね。何も括弧書きで入れることはないんじゃないですか。ジェンダー平等と最初から言って、ジェンダーのところの定義で明確にするんじゃないですか。
- 岩男会長
- こうしたらいかがでしょう。一応、定訳として男女平等というふうに政府の定訳で使っておられるのであれば、「男女平等(ジェンダーイクオリティ)」というふうに入れるというふうにしたらどうでしょうね。さっき鹿嶋委員がおっしゃったことなんですけれども。
- 古橋会長代理
- 男女平等ですか。ジェンダー平等?
- 鹿嶋委員
- 僕もジェンダー平等が、やはりいいんだと思うんです。実質的な平等というのは、それ以外の言葉はないので、ただ、折衷案としては、男女平等として、括弧でジェンダーイクオリティとやっておけば、こちらの趣旨を通るんじゃないかなというだけで、ただ、これも現実的な対応の案でしかないんですけれども、ここも議論になるところですね。
- 古橋会長代理
- 男女共同参画の考え方が男女平等じゃ出てこないわけですよ。
- 鹿嶋委員
- もちろんそうですね。そのとおりだと思うんです。
- 古橋会長代理
- それが今大きな時流だから、そういう意味においてジェンダー、外部の考え方を入れなくちゃいけないというのが、我々の考え方ですから。
- 鹿嶋委員
- 私もそういう趣旨のことを今まで書いてきていますので、ジェンダー理論については重いということはよくわかっていますが。
- 古橋会長代理
- 国内的な理由だけで外せと言う議論は、私はおかしいと思います
- 山口委員
- おかしい。通用しないと思います。
- 岩男会長
- ただ、GADのところも、そのままジェンダーと開発で残っておりますし、それから文章で説明をしている具体的な取組の方も、かなり残してあるわけですね。ですから、幾つかそんなにたくさん変わったわけでもないんですけれども、実際には残っている方が多いんですが、ちょっとこれも時間が……。
- 古橋会長代理
- あとは任せますよ。
- 岩男会長
- そうですね。では、また事務局と御相談をしながらということにさせてください。これであとは83ページは、特に問題はないと思いますけれども、意見が分かれるようなところではないと思いますので。
- 桜井委員
- すみません。ちょっと戻って申し訳ないんですけれども、53ページの高齢者のところなんですけれども、【具体的な取組】のところで、「女性のニーズ」のところを「男女それぞれ」というふうに変えるというのがあったんですけれども、これ、わざわざ男女それぞれというふうに言わないで、単に高齢者というふうにしたらどうでしょうか。全体が高齢者の……。
- 岩男会長
- そうすると、障害のある高齢者のニーズへの対応。それでも同じことですから。
- 桜井委員
- その方がわざわざ男女それぞれというよりは……。
- 名取局長
- 一応、高齢者の枠の中に障害者もいると思いますので。
- 岩男会長
- 特に高齢者ではない障害者を対象にしている部分ですから。
- 桜井委員
- 高齢者等の「等」のところの部分なんですね。わかりました。
- 岩男会長
- これは男女それぞれで。ほかに何か御指摘があれば……。よろしいでしょうか。それから、副題については、今日決めないといけない?
- 定塚推進課長
- そうですね。副題を付けるのであれば、今日決めていただかないといけないのではないかと。
- 岩男会長
- それでは、資料の3を御覧いただいて……。
- 原田審議官
- ジェンダーの中身の議論は、次回以降となりますが、初めのところの2枚目の一番上になお書きで付けたことについては……。
- 岩男会長
-
それは御了承いただいたわけですね。
それでは、副題をさっと御覧いただきたいと思います。「真の男女平等を目指して」から「女性の力が活かされる社会の実現のために」までです。御推薦のものが2つ、3つあれば、その中で決をとるとかというような形でもよろしいと思うんですけれども、順番にしますか、いけないかしら、よろしいですか。
では、順番にまず最初に「真の男女平等を目指して」、「男女がともに輝く社会へ」……。 - 古橋会長代理
- 私は「男女がともに輝く社会へ」に1票入れておいてください。
- 岩男会長
- 1人ですね。
- 鹿嶋委員
- 僕は「真の男女平等を目指して」の方です。ジェンダー平等の一番の意味をあらわしていますから。
- 岩男会長
-
これはたくさんですね。それでは、「男女がともに輝く社会へ」というのをもう一遍、3人ですね。「男女の個性が輝く新たな時代へ」、なし。「男女がともに躍動する未来へ」、なし。「男女共同参画は新たな飛躍の原動力」、なし。「人口減社会の処方箋」、なし。「社会に活力、暮らしにうるおい」、スキップですね。「新たな飛躍のエンジン」、「もっと、わかりあえる社会へ」、それでは、「広がる未来へ踏み出すステップ」、「次なる未来へ踏み出す力」、「実現へ第2ステップを踏み出そう」、「女性の力が活かされる社会の実現のために」、いかがでしょう。
それでは、最初の2つでもう一遍選んでいただきたいと思いますが、まず最初の「真の男女平等を目指して」、4人ですね。それから、「男女がともに輝く社会へ」というのは、じゃ、こちらの方が多いので、副題はこれで……。 - 古橋会長代理
- なぜ、私がこれかというと、倉敷の市民憲章では男女がともに輝くという言葉を使っており、これが非常にみんなうけて、太陽が輝くと月も輝くと同じように、女性が輝くと同時に男性も輝くと、こういう意味も含めているということを、私はそのとき言ったんですけれども、輝く社会というのは、結構ロマンティックでいいんじゃないですかね。
- 岩男会長
-
そうですね。それでは、副題が決定いたしましたので、この次の日程でございますけれども、7月25日の17時30分から男女共同参画会議が開催されます。そこで、私からこの報告書を御報告いたしまして、その後、参画会議議長から男女共同参画基本計画改定に関する基本的考え方について、総理大臣に答申がなされる予定になっております。
それから、資料1から3に議事録がまとめてございますので、このとおりでいいかどうかということを、とりあえず、一応皆様が目を通されたということを事務局で再度確認をしていただいた上で、このままでよろしければ……。(「異議なし」)
- 岩男会長
- よろしゅうございますか。それでは、大変長時間ありがとうございました。これで終了させていただきます。
(以上)