第10回男女共同参画基本計画に関する専門調査会議事録

  • 日時: 平成17年 4月25日(木) 10:00~12:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席者
    岩男 壽美子
    会長
    古橋 源六郎
    会長代理
    石川 哲也
    委員
    猪口 邦子
    委員
    神田 道子
    委員
    五條 満義
    委員
    桜井 陽子
    委員
    佐藤 博樹
    委員
    庄司 洋子
    委員
    住田 裕子
    委員
    寺尾 美子
    委員
    原 ひろ子
    委員
    広岡 守穂
    委員
    古川 貞二郎
    委員
    山口 みつ子
    委員
  2. 議事
    • (1)開会
    • (2)女性に対する暴力に関する専門調査会の状況報告
    • (3)中間整理案について
    • (4)その他
    • (5)閉会
  3. 議事内容
岩男会長
定刻になりましたので、ただいまから、男女共同参画基本計画に関する専門調査会の第10回会合を開催いたします。大変お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございました。
 それでは、まず、計画改定のスケジュールと中間整理の公聴会について、事務局からご説明をお願いいたします。
定塚男女共同参画局推進課長
それでは、スケジュールの方、これまでにも説明させていただきましたが、確認の意味も含めて改めてご説明いたします。
 基本計画に関する専門調査会でございますが、本日4月25日、一応中間整理前の最後の回とさせていただいております。本日全ての意見をいただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それから、もう一つ、暴力に関して検討しています「女性に対する暴力に関する専門調査会」は、既に4月15日に会合を行いまして、現在中間整理(案)の最終調整をしているところでございます。
 この両調査会の中間整理をまとめまして、今のところの予定では5月17日に、男女共同参画会議に報告をする予定でございます。また、公表いたしまして、国民からの意見募集と地方公聴会を全国5カ所で行う予定でございます。意見募集を踏まえ、基本計画に関する専門調査会で先生方のご議論を再度いただき、7月には報告書を決定し、そちらをもう一度参画会議に報告をして参画会議からの答申とする、こういう段取りでございます。
 なお、参画会議からの答申の後は、政府部内で基本計画を策定し、年度内に閣議決定をする予定でございます。
岩男会長
それでは、次に「女性に対する暴力に関する専門調査会」での検討状況についてご報告をお願いします。
定塚推進課長
続きまして、「女性に対する暴力に関する専門調査会」で去る4月15日は配布した資料でございますので、最終的な中間整理ではございませんが、中途段階のものということでご紹介を申し上げたいと思います。内容につきましては、こちらの調査会の中間整理とほぼ同様の構成といたしましております。すなわち現行計画の達成状況と評価、今後の施策の基本的要綱と具体的取組を記載しております。
 13ページ以降をお開きいただきますと、「今後の施策の基本的方向と具体的な取組」が案として書いてございます。項目だけ簡単にご紹介をさせていただきます。
 まず、13ページでございますが、「(1)女性に対する暴力を根絶するための基盤づくり」ということで、女性に対する暴力は犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であることなどの認識を社会に徹底することなどを記載しております。
 次の14ページでございますが、「(2)配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等の推進」ということで、配偶者暴力防止法に基づく施策などを中心に記述をしてございます。
 次は15ページの下、「(3)性犯罪への対策の推進」でございまして、性犯罪への対策について取組を書いてございます。
 次が17ページの「(4)売買春への対策の推進」でございます。
 その次が18ページの「(5)人身取引への対策の推進」でございます。こちらは、従来は売買春と一緒に記載をしておりましたが、人身取引ということで新しい項目として1項目立ててございます。
 次の19ページは、「(6)セクシュアル・ハラスメント防止対策の推進」ということで、雇用及び雇用以外の場におけるセクシュアル・ハラスメントについて記載をしております。
 最後が20ページ「(7)ストーカー行為等への対策の推進」でございます。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。
 本日はこれまで検討を重ねてまいりました「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向についての中間整理(案)」の取りまとめを行います。まず、資料のご説明をお願いをいたします。
定塚推進課長
ではこちらの調査会での中間整理(案)をご覧いただきたいと思います。
 本日提出した資料は、前回資料からの修正点につきまして下線及び見え消しを施しております。この下線及び見え消しの部分は、前回及び前々回の会議で委員から意見が出されたもの、及び会議の後で各委員からお送りいただいた意見を踏まえて修文した部分、それから、各省庁協議を通じて修正した部分及び事務局で文章整理等の修正を行った点がございます。表現の適正化や文章整理以外の部分について順次ご説明をさせていただきます。
 まず、1ページをお開きいただきたいと思います。「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向についての中間整理について」ということで、4段落目でございますが、「なお、次期基本計画にはできるだけ数値目標を盛り込む必要があり、これについては引き続き検討を行う。」と書かせていただいております。数値目標については、なるべく盛り込むべきだというご意見を踏まえて事務局としても検討しているところですが、残念ながらこの中間整理には間に合いませんでしたので、引き続き最終的な報告に向けて検討を進めていくこととさせていただければと考えております。
 次のページ、3ページ、「3.現行計画策定後の状況変化」というところで、(1)以降、現行計画を策定した後での経済・社会情勢の状況変化等について書き込ませていただいております。こちらは昨年、男女共同参画局で「男女共同参画社会の将来像検討会」で出した報告書での記述をベースといたしておりまして、その上で、今月内閣府で発表いたしました「日本21世紀ビジョンの専門調査会報告書」における分析を一部加えて記述をしたものでございます。(1)長期にわたった経済活動の低迷と雇用環境の悪化が女性に及ぼした影響、(2)グローバル化の進展、(3)情報化・知的価値重視・文化の魅力、次のページでございますが、(4)少子・高齢化と家族形態の変化、(5)地域社会の変化等について記述をしております。
 次の「4.中間整理の構成と重点事項」のところでは、第2段落目の部分で「『現行計画の達成状況・評価』」と、平成32年(2020年)までを見通した『施設の基本的方向』及び平成22年(2010年)度末までに実施する主な『具体的な取組』を記述している。」という記述を加えさせていただいております。こちらの方、従来の案文では、計画の記述の対象期間を明示しておりませんでしたが、中間整理段階から期間についてはきちんと明示した方がいいと考えまして、施策の基本的方向につきましては平成32年まで、具体的な取組については平成22年までということといたしております。
 その次、5ページの上の方でございますが、ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)について、これは委員の意見を踏まえて記述を追加しております。
 また、iii及びivの記述につきましても、委員の意見を踏まえまして追加をしております。
 なお、ivの一番後ろの一文、また、短時間労働者への厚生年金の適用の在り方について検討を進める。これは本文の方にありましたものをこの重点事項の方に併せて記述を加えております。
 viiの記述、viiiの記述につきましても、委員の意見を踏まえて記載をしております。
 ixの記述につきましては、事務局及び各省庁の意見を踏まえて、表現の適正化を図っております。
 次の6ページでございますが、【主な政策効果】というところで、ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)の推移の表を加えさせていただきました。
 次に10ページ、第1分野の「政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」の目標の1行目、2行目、委員の意見により追加をしております。
 また、次のページの右上の2行目以降でございますが、「ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)から見ても極めて不十分である。」という記述、こちらも委員の意見を踏まえて記述をしております。
 11ページの一番下の【具体的な取組】の2行目以降でございますが、記述を正確にするという委員の意見を踏まえて訂正をしております。
 次の12ページの2番目の「●」でございます。「女性の国家公務員の必要な制度面、運用面の整備・改善事項の検討」という括弧内におきまして、「(ゴール・アンド・タイムテーブル方式の法制化)」の前に「必要に応じた」を加えております。これは各省庁からの意見を踏まえて修文したものでございます。
 次の「●」ですが、「常勤の国家公務員の短時間勤務制度の導入について」の後に「早期に」と加えております。こちらは委員の意見を踏まえての修正でございます。
 その後、(2)以降で、「2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう」、こちらも表現を正確に記述をしたものでございます。
 13ページの右側の【具体的な取組】の3つ目の「●」でございますが、委員の意見等も踏まえまして、ポジティブ・アクションについて具体的な記述を加えております。
 【具体的な取組】の一番下の「●」、「独立行政法人大学評価・学位授与機構の評価項目に女性教員の割合向上のための取組を盛り込むことを促す。」、こちらは委員の意見により追加をしております。
 (4)の【施策の基本的方向】、こちらは事務局におきまして、ポジティブ・アクションにより具体的な明確な表現を加えたいと考えまして追加をしたものでございます。
 次のページ、14ページの一番上のところも同じでございます。
 14ページの一番最後の「●」ですが、「政治分野における男女共同参画が極めて重要であることを踏まえ、女性議員の比率が高い国等諸外国の法制度、政策の調査を行い、その結果を広く一般公表する。」、委員の意見により追加をしています。
 次に17ページをご覧いただきたいと思います。第2分野の〈目標〉の少し上の〈評価と問題点〉の3番目の「●」でございます。こちらの記述は、従来、教育の分野だけに掲げられておりましたが、教育の分野だけには限らないだろうということで、こちらの2分野にも「啓発」という事項がございますので、教育の分野と併せて記載をさせていただきました。
 次のページ、18ページの【具体的な取組】の一番下の「●」でございます。社会保障、賃金制度等についても「ライフスタイルの中立的な仕組みとしていくことが重要であり」という後の「個人単位の制度とすることが基本的に必要である」という部分を削除しております。
 また、短時間労働者の年金保障等につきましての記述についても改めております。こちらは各省庁からの意見を踏まえて修文をしたものでございます。
 右側の19ページの(2)の【施策の基本的方向】の中の修文及び【具体的な取組】の中の修文につきましては、委員の意見を踏まえて修文したものでございます。
 「(3)法律・制度の理解促進」につきましては、従来「法識字の強化」という言葉を使っていましたが、わかりにくいという意見も多いものですから、事務局としてより適切な表現にということで修文を用意いたしました。
 次に27ページ、雇用等の分野をご覧いただきたいと思います。〈目標〉の第2段落目の中の修文につきましては、前回のこの会議で委員から意見が出たものを踏まえ修文をしたところでございます。一番下の段落、「雇用、起業等の分野においては女性が男性と均等な機会の下で、一層活躍できる状況を実現し」という部分、こちらは各省の意見を踏まえて修文をしております。
 29ページの(3)の【具体的な取組】の一番下の「●」でございますが、こちらは委員から女性の正社員としての門戸が広がるようにというご意見がございましたことを踏まえて、新しく案文を掲載してございます。
 次の30ページでございます。パートタイム労働者の部分につきまして、従来の案文では具体的な取組の「●」の一番上の最後の行に「法的措置を含めて検討する」という記述をしておりました。こちらを修文いたしまして、「幅広い検討を行い、必要な措置をとる。」といたしております。そのかわりにというわけではないのですけれども、上の【施策の基本的な方向】の中の最後の段落で「また、パートタイム労働者の雇用管理の改善については、今後とも必要な法的措置が着実に行われていくべきという前提の下に」と書きまして、「法的措置」という言葉、下から上の方に移してございます。こちらは各省庁の意見を踏まえて修文をしたものでございます。
 それから【具体的な取組】の5つ目の「●」、こちらは有期労働契約者につきまして、委員の意見ございましたので文章を載せております。
 次の31ページ、【具体的な取組】の2番目の「●」、女性の起業に関する実態把握と、統計調査についての項目、これは各省庁の意見及び委員の意見を踏まえて修文をしております。
 次に38ページをご覧いただきたいと思います。農業の部分でございます。(3)の【具体的な取組】の2つ目の「●」、「固定資産の形成促進のための金融面を含む各種の支援手法の検討等を行う。」、こちらは各省庁の意見と委員の意見を踏まえて修文をしております。
 39ページの(4)【施策の基本的方向】の中、こちらも委員の意見を踏まえて修文を行っております。
 40ページの【具体的な取組】の一番上の「●」、こちらも委員の意見を踏まえて修文しております。
 次に45ページをご覧いただきたいと思います。男女の職業、家庭、地域生活の両立の支援の項目ですが、(1)の【具体的な取組】の3つ目の「●」で、育児休業中の所得保障の財源につきまして、各省庁の意見を踏まえて修文をしております。
 次の46ページ、(2)の【具体的な取組】の中の5つ目の「●」でございます。委員のご議論を踏まえましてこのように文章をつくりました。「若年や未婚その他の理由により、妊娠・出産・子育てにおいて何らかの問題を抱えた女性に対しては、適切な保護やきめ細やかな子育て支援を行う。」といたしております。
 47ページの【具体的な取組】の1つ目の「●」、「ライフサイクル」を「ライフスタイル」と委員の意見を踏まえて修文をいたしております。
 次に、53ページをご覧いただきたいと思います。高齢者の中の「(3)高齢期の所得保障」の中の文章につきましては、前回の委員の意見を踏まえまして修文をさせていただきました。
 それから、53ページの(4)のタイトル、こちらは各省庁からの意見を踏まえて修文をさせていただきました。
 次に56ページをご覧いただきたいと思います。第8分野のタイトルですが、「生涯を通じた女性の健康支援」、こちらは「女性の」という言葉を前回の委員のご意見を踏まえて加えさせていただきました。また、「人権を尊重しつつ」という言葉も加えております。
 57ページの上の方では、「心身及びその健康」といたしております。
 また、日本も関与しているということを「我が国を含め」という文言を加えております。
 〈目標〉の括弧の中の下から2段落目「『女性2000年会議』においては」の中で、「その中で、多くの場合、男女の力関係が平等でなく」というくだりを削除しておりますが、こちらは事務局としての意見でございます。この部分は2000年会議のイニシアティブの引用部分ですが、文脈からは途上国を中心とする記述ではないかということ。それから、ここでこの記述をいたしますと、その下に「こうしたことを配慮しつつ」ということで、それらの全て受けるという文脈になりますので、あえてここの記述は載せなくてもいいのではないかということで削除をさせていただきました。
 次の(1)の【施策の基本的方向】の中の修文は、委員の意見を踏まえての修文でございます。
 【具体的な取組】についても修文をいたしております。女性に特有ながんについても、委員の意見を踏まえて記載を加えております。
 次のページ、58ページ、(2)の【具体的な取組】、こちらも委員の意見を踏まえて修文をしております。3行目以降ですが、「相手の健康についても思いやりを持つことが重要である。そのため、学校において心のつながりも重視し、発達段階に応じた性教育を実施していくとともに、家庭や地域においても性と生殖に関する健康の重要性について教えることができるよう家庭教育を含めた社会教育を支援する学習機会を充実する。」としております。
 また、次の「●」については、「気軽に」を「安心して」にして、不妊治療について、男女それぞれの思いやりということは特に必要ないだろうというご意見を踏まえて削除しております。
 (3)につきましては、「受動喫煙防止対策」を委員の意見を踏まえまして追加をしております。
 右側の59ページ、【具体的な取組】の1番目の「●」、これはHIV/エイズの記述がございませんでしたので新たに加えさせていただきました。
 一番下の「●」では「受動喫煙防止対策の徹底」をこちらも加えております。
 62ページをご覧いただきたいと思います。メディアの部分の記述につきまして、「固定的な性別役割分担など」、こちらは委員の意見により追加をいたしております。
 63ページは、【具体的な取組】の一番下の「●」、「メディアにおける情報発信の場や機会に女性が積極的に参加し、主体的な役割を果たすことができるように促す。」、委員の意見により追加をしております。
 次に69ページをご覧いただきたいと思います。「教育」の項目でございます。69ページの一番下の行から〈評価と問題点〉の記述がございますが、一番下の行から70ページの上にかけまして、第2分野でも記述をしましたが、こちらの教育の分野でも同様の記述を残させていただいております。
 70ページの下以降の「教育の分野」の〈目標〉につきましては、委員の意見を踏まえて修文・追加をしております。
 71ページの【具体的な取組】の1番目の「●」につきましても、委員の意見を踏まえ、「男女平等が歴史的にいかに進展したかということにつきて、理解を促す。」という文章を加えております。
 また、その後の食育の部分、こちらは農業の部分での食育の記載と併せて同じ表現とするということで、表現の適正化を図らせていただきました。
 また、次の「●」、「国立」、「公私立大学等についても」ということで表現を加えさせていただいております。
 71ページの一番下の行から次のページにかけての国立女性教育会館、こちらは文部科学省においてご検討いただいた文章を掲載しております。
 72ページの(2)の中の【具体的な取組】の2番目の「●」でございます。放送大学の記述でございますが、やや、記述が長いということで、一部事務局で削除させていただきました。
 次の「●」の最後、委員の意見によりまして「高等教育機関における託児施設」を追加をしております。
 次の73ページですが、2番目の「●」は各省庁の意見を踏まえて表現の適正化を図っております。
 4番目の「●」以降については委員の意見を踏まえて修文をしております。
 78ページ、「地球社会の『平等・開発・平和』への貢献」の項目でございます。【具体的な取組】の中で、78ページの一番上の行「良い統治、人間の安全保障」の後に「軍縮」を加えさせていただいております。
 3番目の「●」、「UNIFEMへの支援」を追加しております。
 また、下から4番目の「●」ですが、ODAのほかにも女性の参画は重要であろうというご発言を踏まえまして記述を修正しております。
 次に80ページをご覧いただきたいと思います。新たな取組の分野でございますが、まず、「(1)科学技術」、従来、「科学技術・学術」としておりましたが「科学技術」ということで、前回のご意見を踏まえて修正をさせていただきました。
 次に82ページの上から2つ目の「●」、「提案公募型研究事業等の審査員への女性の登用を積極的に進める。」、委員の意見を踏まえて追加をしております。
 次の83ページ、防災の部分ですが、【具体的な取組】の中で、外国人等に対する記載、固定的な性別役割分担意識の解消等を地域コミュニティの防災活動にも加えるということ、こちらも委員の意見を踏まえて修文しております。
 84ページの【具体的な取組】の一番下、こちらは地域おこし、まちづくり、観光の項目ですが、「異業種間を含む幅広いスタイルの連携活動」、こちらも委員の意見を踏まえて追加をしております。
 85ページ、環境の分野でございますが、一番下の「●」、委員の意見を踏まえ、「国連持続可能な開発のための教育の10年」について記述を追加しております。
 最後に87ページ以降の第III部でございますが、こちらは基本的には文章の修文及び場所の入替え等でございますが、88ページの一番下の部分には、「国連諸機関や経済協力開発機構(OECD)」ということで追加をさせていただいております。
 また、91ページの「女性のチャレンジ支援」の中では、2「●」目で、より事業を明確化するということで具体的な記述を加えております。
 中間整理(案)については以上でございますが、引き続き、次の資料についてご説明をさせていただきたいと思います。「『ジェンダー』の定義について(使用例)」と書いた資料でございます。
 「社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)」という記述で、こちらの調査会の報告書におきましても、具体的に記述をしております。例えば、19ページ以下でこの記述をしております。本調査会でも以前に少しご議論いただいたところでございますが、この言葉を使用するということにつき、きちんとご意見を伺っておきたいということで若干の資料を参考までに用意をさせていただきました。簡単にご説明をいたします。
 「『ジェンダー』の定義について(使用例)」ということで、「ジェンダー」という言葉はご承知のように国際機関では幅広く使われてございます。例えば、こちらにありますとおり、国際機関の中で国連開発計画や世界銀行、国連ジェンダー問題特別顧問事務所、世界保健機関、国連人口基金などで使用をされております。また、欧州委員会(EC)でも使用されているところでございます。国連経済社会理事会では、「ジェンダーの視点の主流化」という言葉について定義的に説明を加えてございます。
 これらの「ジェンダー」という言葉につきましては、各国際機関ともいろいろな定義の仕方をしていますが、基本的には、「社会的・文化的につくり上げられた性別」、「社会的・文化的に形成された性別」といったことで定義をしていまして、ほぼ内容的には同一というものでございます。
 なお、3ページ目でございますが、日本政府におきましても、今、申し上げた基本計画のほかにジェンダーと開発(GAD)イニシアティブであるとか、次のページ、防災教育イニシアティブなどで「ジェンダー」という言葉を使用しているところでございます。
 その次に付けておりますのは、先ごろ、17年3月にニューヨークで行われました国連北京+10の会議、第49回国連婦人の地位委員会の関係の資料でございます。ご参考までに付けておりますのは、1ページめくっていただきますと、政府代表の演説でございます。
 また、その後には、この会議におきましてなされた宣言ということで、第49回婦人の地位委員会でなされた宣言という資料も付けてございます。この宣言の中でも「ジェンダーの視点」という言葉が出てくるところでございます。
 最後に付けましたのは、以前ご紹介いたしましたけれども、昨年の10月に男女共同参画会議の有識者委員から男女共同参画会議に提出をされた「当面の論点について」という資料でございます。こちらの中でも2の(ジェンダーに敏感な視点の定着)ということが述べられておるところでございます。
 私からの説明は以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。それでは、まず「中間整理(案)」の第1部について検討をしたいと思います。修正、追加、その他ご意見がございましたら、どうぞお手をお挙げいただきたいと思います。第1部のところだけです。猪口委員どうぞ。
猪口委員
まず、皆様にお礼申し上げます。この作業は大変だったと思いますけれども、会長と局長のご指導の下、定塚さんのオフィスで非常に精力的に調整してくれたと思います。いろいろ大変な状況もありますと伺っていますけれども、やはり気を引き締めてこの基本計画をきちんと推進していくことに集中したいと思います。
 まず、第1番目なのですけれども、女性の正社員化を促進しなければならないという発言を以前いたしました。28ページ以降、29ページ等でいろいろ調整していただいたことはわかりますが、しかし、1の重点事項の中にivところをもう少し工夫して書き込んでいただけないかという希望があります。もうぎりぎりの調整でこれしか仕方がないということかもしれないけれども、そのときもお話しましたが、やはり少子化の最大の原因の1つは、女性が1年契約だったり、そういうパートタイム契約で身分が出産年齢時において不確定であるために、結局はいろいろと悩むということです。ですから国家戦略として少子化の問題を真に取り組むということを志すのであれば、女性の社員としての身分の安定化、特に出産年齢時を含めた時期の身分の安定化ということが根本的に重要なことなんですね。
 他方で公務員のところはよく書けています。これは政府としてできることだからと思うのだけれども、民間を指導するときにどういう政策があるかということは確かにいろいろと難しいのかもしれないし、日本の今までの伝統的なやり方もあるから、そういうことでいろいろ苦労されたのが何かにじんでいるような感じもするのですけれども、これは内閣府の会議だから、国家戦略として少子化の問題に取組むのであれば、この問題をもっと直視しなければならないし、そういうふうに仕切っていただかなければならないのです。それが私の意見です。
 少子化の問題は、仕方がないということであればそれも国家としての選択だということです。ただ、ここをちゃんとしないと多分少子化の問題は解決しないと。なぜならば、私は現場でそういうふうに悩んでいる女性たちをたくさん知っているし、見ているし、みんなそこのことで出産を先延ばしにしたり、妊娠したら解雇されるのではないかと、そういう普通の、こういう審議に意見を反映させることのできない人たちの声を知っているから、だから今発言しているわけですね。
 具体的には、重点項目の中にもう少し女性の正社員化を促すような政策努力が必要であるという、あるいは啓発でももう少し書き込んでいただければと、ちょっと作文してこなかったので申し訳ないのですけれども、それを発言しておきます。
佐藤委員
パートの人も正社員にするという意味で正社員化と言われているのか、正社員として働いている子育て期にやめざるを得ない要因を取り除くということなのか。今、問題になっているのは後者だと思うのですね。問題なのは、育児休業取る前に正社員の人がやめていくことが問題になっているので、今、パートの人を正社員にしろという議論ではないと思うんですね。正社員で入った人が正社員のまま育児休業取って子育てできるようにするということであれば、私もそうだろうと思うのですけれども、企業が正社員にするか、パートにするかというのは企業の選択ですので、正社員として入った人が子育て期にやめざるを得ないということはすごく問題だと思って、そこを書くのは大事だと思うんですね。その辺どちらなのか。
猪口委員
それは29ページのところである程度書いていただいているので、これも文章を強化しなければならないから、そこに行ったら発言しますけれども、パートの人を正社員化するか、はっきりそこまで書かなくても、全般的に女性の方が正社員化率が低いわけですから、その問題を直視しなければならないし、現在の問題は、それは1年契約だから、ことし妊娠したら来年の契約がないという女性たちが出産を延ばしていると。希望するけれども、出産を延ばしているという状態は現にあるのではないかと思います。ただ、その人たちの声が組織化されてないから、正社員だった人が育児でやめてもう一回正社員にしてほしいという人の方が社会的に強い立場で、その声は私たちには届くけれどもということです。
佐藤委員
育児休業というのは基本的に雇用を継続することが前提になっているのですね。ですから、もともと有期雇用であれは育児休業がないのが一般的です、まず考え方として。もちろん有期でありながら継続している人についてどう適用するかというのはよくわかるのですけれども、どの国でも基本的にはテンポラリーであれば育児休業ないんです。ですから日本の場合の有期のところをどうするかという議論はあるのですけれども、そこは少し議論を整理しないと誤解を招くのではないか。
 今回の育児・介護休業法の改正で、有期であっても一定の範囲内で継続されるものについて育児休業が適用されるようになりました。ですから、それをどこまで範囲適用するかというのはよくわかるのですけれども、有期のすべてに育児休業適用しろというのはほかの国でもそれはないです。もともと継続雇用されている人が子育て期に辞めざるを得ないのを続けられるようにするのが育児休業ですから、継続雇用が前提なんです。
岩男会長
猪口委員の言われた1つの点は、まず女性の経済的な立場が非常に不安定であるというか、雇用の場において不安定な状況に置かれている女性が多いという問題の解決に向けた努力が必要だということと、それから2番目には、正規で雇われている人たちが育児のため、子どもを産むために辞めざるを得ないような状況を解消するための努力が一層必要であるというその2点であればいいわけだと思うのですけれども。
猪口委員
後者は29ページでテイクケアされていますが、正社員化比率にジェンダーギャップがあるということですね。その大前提をどう認識するか。
岩男会長
できれば重点項目の中に入れてほしいと。
猪口委員
そういう一般的なふわっとした表現でもいいですよね。正社員化率の男女格差が著しいのが日本の特徴だというような指摘で、そこで考えさせるというやり方でもいいかもしれないのだけれども、お任せします。発言しましたので。
岩男会長
どうぞ、原委員。
原委員
今のことですけど、少子化を食いとめるために、こういったような文言が必ずしも入らなくてもそれはいいというふうに。
猪口委員
ただ、発言している理由は、国家として少子化が問題だと認識されているので、そのための解決策を言っているのです。
岩男会長
これはちょっと考えさせていただいて。
猪口委員
そうですね。
岩男会長
ほかに、特に第1部になければ……。
古橋会長代理
1つ細かいことですけれども、大分直ってきたのですが、5ページのところの「短時間労働者への厚生年金の適用の在り方について、検討を進める。」というのは、「早期に」というのはなぜ入れてはいけないのですか、検討を進めていると思いますけれども、その点はいかがなのですか。5年後には見直しは必ずあるのだけど、その前に検討を進めるという趣旨だったと思うのですけれども。
岩男会長
どうぞ、課長。
定塚推進課長
こちらの方は、担当省庁から聞いている話としては年金改正の附則の中で検討期間が設けられていると、おっしゃった5年後でございます。ただ、5年後から検討するということではなくて、既にいろいろな場面で検討が進められていることもあるということでございます。「早期に」というのは、そうした意味で短時間労働者だけに「早期に」と付けるのではなくて落とすということでとりあえず整理をしております。
古橋会長代理
一般の常勤の公務員の場合については「早期に」と入れてもらったんですよね。それと同じような重要性を持つのではないかと思って「早期に」ということを入れたのだけれども、その部分が全部削られてしまったので、5年後というふうになれば、大体5年をめどに1年前ぐらいからやるんですよね。だけど、この問題は、急いでいるのではないかということで「早期に」というのを入れてほしいということを言ったのです。政府がそういうことならば、私は特には固執はしませんけれども、5年後見直しというのは附則に書いてあるけれども、それは1年前にやるんです。
定塚推進課長
年金制度、社会保障制度については、今いろいろな場で既に議論が進められているところと承知しております。
古橋会長代理
検討を行うのだったら、今、検討している、政府もやっているし、年金もやっているのだから、それを書くのだったら「早期に」ということが入らないと意味がないんじゃないかということですけど、強くは言いません。
岩男会長
それでは第2部に移りたいと思います。第2部の第6、高齢者の分野までまず検討をしたいと思います。ここでは「社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)」という用語を使用しておりますので、先ほど事務局からご説明がございましたけれども、この語の使用について何かご意見がございましたら、これも含めてご発言をいただきたいと思います。
猪口委員
「ジェンダー」の表現につきましては、「ジェンダーフリー」という表現についていろいろと誤解があって、その表現は私たちとしても使用しないとしています。しかし「ジェンダー」という概念は、これは国際的に広く、資料にありますとおり認識されて全ての先進国を含む多くの国での男女平等推進の根幹的なコンセプトとして成立し発展しているものですので、常にジェンダーにセンシティブな政策を推進するというような考え方は当然日本においても重視されていかなければならないということは確認しておきたいと思います。もし、こういうことから撤退するということであれば、ミレニアム・デベロップメント・ゴールスの根幹的なコンセプトから日本は離脱するということで、先進国として説明が求められる状況になると思います。
岩男会長
ほかにこの点について。どうぞ、神田委員。
神田委員
同じ意見です。私もジェンダーまで撤退するというのは、今までの学問の発展からいっても考えられないことですので、ここはきちんと再度。
岩男会長
私たちはそのように考えるのだと思うのですけれども、問題は、国会の中での議論を見ましてもこの2つ、ジェンダーフリーとジェンダー、それから過激な性教育と全部ごっちゃにして議論が行われているようです。どうぞ。
猪口委員
会長がおっしゃるようなもし状況があるとすれば、それは誤解に基づくものですので、誤解は解除していただくという説明をしっかりと男女共同参画局の方からやっていただき、その誤解に基づく了解が進まないように、それは全ての関係者が注意していただくということではないかと思いますので、それも淡々とやるべきことで大きな議論になるべきことではないと感じます。
山口委員
ちょっと伺いますが、この資料ですけれど、これは一般的にこれから公表される予定ですか。
岩男会長
これの扱いについて、どうぞ。
定塚推進課長
本日の資料5は公表している資料でございます。
古橋会長代理
そういう資料を記者クラブやなんかにどんどん配るなり、あるいはいろんなところで書いてもらうように努力することが事務当局の必要な仕事なんじゃないですか。
山口委員
一般的には、このまま出すというよりも、私たち大衆運動している人間から言いますと、とにかく「ジェンダー」については、このように国際的に使用されており、日本もかつ賛成している分野であって、したがって、オーソライズされているみたいな若干の解説があった方がいいんですよね。このまま用語辞典ではなくて、これではあまりにもプロフェッショナルな人たちの間ですから、ぜひ、そういうことをホームページなり何なりでやっていただきたいと思います。
岩男会長
ホームページというのもいいですね。ひとつぜひ、事務局の方でお願いをしたいと思います。
名取男女共同参画局長
承知いたしました。
岩男会長
それでは、関連の用語はこのまま原案どおり使用するということで、それでは第2部の修正点について何かご意見ございましたら。私1つあるのですけれども、17ページ、〈評価と問題点〉というところの3番目の「●」ですけれども、「男女共同参画は画一的に男女の違いをなくし人間の中性化を目指すものではないにもかかわらず」という文章ですけれども、画一的でなければいいのかなんていう変な議論になるということも考えられますので、「男女共同参画は男女の中性化を目指すものではないにもかかわらず」としてしまった方がいいのではないかと思います。随分苦労なさってというのは大変よくわかるのですけれども。
住田委員
私もその点が気になっております。私自身は、生物学的差は否定しないと考えているのです。着替えのときに男女一緒にすべきだとか、トイレも一緒にすべきだなんていうばかな話につながりやすいので、ここのところにも生物学的な差異を認める、これを否定するものではないという趣旨を入れていただければと思います。
岩男会長
そうですね。それを付け加えてということと、これを変えると、先ほどの……原委員、どうぞ。
原委員
今のところですけど、今、おっしゃったような修文が加わったとしても、ずっと読むと、男女共同参画は男女の中性化を目指すものではなくとしたときに、「男女共同参画を男女を中性化するものとしてとらえている事例があるとの苦情があることも踏まえ」、ここまで読むと、逆に「苦情が当然だ、だから、修文を」と読み取れます。文章表現の工夫については、それは会長や事務局にお任せ……。
岩男会長
山のような苦情が来ているような印象がありますから。
住田委員
その点については、誤解とか理解不足とか、そういうふうに書いていただいた方がいいと思います。
原委員
資料5の一番後ろの「男女共同参画基本計画に関する当面の論点について」、10月7日の紙の論点2番目では、「ジェンダーに関しては誤った認識が見られるが」と簡単に書いてあるのですが、「誤った認識が見られる、これを是正することが大事だ」とまず言っておいて、「例えば云々というような誤解」という形で書いていただくのも一案かと思っております。
岩男会長
ここは、ただいまのご意見踏まえて修文をさせていただきたいと思います。よろしいですか。
神田委員
「誤った認識」という言葉と「誤解」という言葉、どちらがいいか、誤解の方がいいかと思います。
岩男会長
そうですね。
古橋会長代理
大分直していただいたのでよくなったのですけど、28ページのところ、これは佐藤委員のご意見伺いたいのですけれども、【具体的な取組】の「●」の2つ目、「併せて職務の価値を評価する効果的手法を研究する。」ということに対して厚生労働省の方はもうそういうことはやらないというようなことの返答が来たのですけれども、過去において、ILOの委員会の方から、日本においては、それについての、女子と男子との賃金の格差について、客観的に評価する基準がないので検討すべきであるという意見を言われています。職務の価値を評価するということについての問題点と、私はもう一つは、同一価値労働同一賃金とはなんぞやということについて、まだ、日本の中において議論が交わされていないことが男女間の賃金格差という問題が生ずる根本的な原因があると思いますので、この職務の価値を評価する効果的な手法を研究するということと、それから同一価値労働の概念について早急に整理すべきだということを言いたかったのですけれども、これについて厚生労働省から反対がありました。これについて、佐藤委員のご意見を教えていただきたいのですが。
佐藤委員
なぜか私は知らないですけれども、まず職務評価の手法についてはいろいろあるのですね。既に開発されたものが、たくさん。例えば、アメリカで、ホワイトカラーではヘイシステムがあるし、日本でも戦後いろんなものが導入されてきた。ですから仕組みはあります。これがまず1つです。
 もう一つ、賃金を決めるときに職務評価が必要なのかどうか。職務評価を主張される方は仕事の価値だけで賃金を決めるというふうに考えられているのだと思うのですけれども、賃金を仕事の価値だけで決める賃金制度はごく一部だけです。単純労働です。一般的には仕事の価値と、その仕事に従事しているその労働者の職務能力、もう一つは成果などの組み合わせで賃金が決まります。それによって賃金が決まるわけです。この組み合わせをどうするかということに関して普遍的なものがあるということはないんです。基本的にはどういう仕事かによっても組み合わせが違ってきますし、企業がどういう働き方を労働者に求めるかによっても違ってきます。例えば同じ販売の仕事をしていても、成果を重視するというのか、顧客満足度を重視するのかということによって、当然職務なり労働者の働き方の評価で違ってくるんですね。ですから一律に基準があって、それを適用すればパートと正社員の賃金が同じになるという話ではないんですね。そこに多分誤解があるのだと思うんです。
 評価基準さえあれば解決するというのは誤解です。問題なのは、同じ会社の中で、同じ仕事なり、同じ働き方を期待しているにもかかわらず、例えばパートと正社員について、同じ賃金制度を導入していないというのは問題ですね。でも、それは評価基準がないという話ではないんですね。ですから正社員にこういう評価基準を適用しているにもかかわらず、パートも同じ仕事をしていても、適用してないことに問題があるのであって、ですから評価の仕組みができるということで問題にあるのではなくて、評価の仕組みはあるんです。でも、そういうことは賃金格差の制度の研究会等でも出ていますので、林委員が言われているのはどういうことなのか。
古橋会長代理
例えばILOの、何回も日本における女性賃金の低さ、男性に比べての低さについて、そういう問題について、同一価値労働の条約との関係で何度も勧告的なものは出ているというのはなぜなのだろうかと思うのです。それについて何か対応しなくていいのかというのが私のまず疑問なんです。
佐藤委員
ですから同一価値労働同一賃金というのは、賃金制度にどう具体化するかといったときに、正社員とパートについて言えば、同じ仕事で、例えば同じ能力を持っていて会社が期待する働き方、同じでもあるにもかかわらず違う賃金制度を適用しているというところに問題があるわけです。これについては、今みたいな状況であれば同じ賃金制度を適用してくださいというのが今度のパート指針に書かれていることです。それは職務評価の仕組みをつくれという話と全然別の話です。
古橋会長代理
それは同一報酬率を適用するということですね。条約の定義のところに書いてあるように、同じ報酬率を適用すると、こういう趣旨ですか。
佐藤委員
評価の仕組みを、もし同じ仕事で、同じ能力で、同じような働き方を期待しているとすれば、同じ賃金制度、その賃金制度は何が望ましいというわけではないですよ、例えば仕事の部分なり、能力の部分なり、成果の部分、その会社でウエイトをつけているとすれば、社員にそうしているとすれば、パートについても同じ基準を適用する、ということです。
古橋会長代理
そうすれば大体そんなに差が出てこないと思うんだけれども、なぜ、今、これだけ差が出てきているのでしょうか。
佐藤委員
ですから、今はそうなっていない部分が相当あるからです。
古橋会長代理
だからここのところについて何か指摘できないかというのが考え方なんですけれども、同一価値労働同一賃金ということについてもう少し、今、佐藤委員が言われたようなことをみんな議論していかないと、極めて裁量的な余地が働いて恣意的に適用されるというところに私は問題点があるのではないかとこう思うんですけれども、これについて、それを直すようにするには文章をどういうふうに書いたらいいでしょうか。
佐藤委員
それについては、先ほどの新しいパート指針に非常に詳しく書かれています。実際、普通働いている人は自分の賃金がどう決まるか知らない人多いんです。正社員でもそういうものなんです。それでまた職務で決めればいいのではないかという議論が出てくる側面もあるんです。ですからその辺読んでいただければわかると思うんですけれども、そこには……。
古橋会長代理
30ページの方の具体的なところで、パートタイム労働指針というのが書いてあるから、それによって解決できると、こういうことですか。
佐藤委員
1つは、パートと正社員についての、例えば同一価値労働同一賃金という考え方を適用すれば、どういう物差し、評価でやればいいかという研究会が3~4年前にできて、それを受けてできた指針なんですね。それには労働組合の人も入ってつくったものです。議論はされているから多分厚生労働省は落としたのではないでしょうか。それを読んでくださいということだと思います。
古橋会長代理
議論ができても実行されてないから、今、差があるんですよね。
佐藤委員
その指針は、おととしか、ですから今それを普及させているということです。ですから、ここには徹底しろというようなことが書いてある。
古橋会長代理
これでよければ、私はそれでいいと思います。
 それからもう一つ、いいですか。
岩男会長
はい、どうぞ。
古橋会長代理
31ページのところの【具体的な取組】の起業のところ、大分直してもらって、2番目の「●」、「既存の統計調査の見直しを検討するとともに」と、これは既存の統計調査と就業構造基本調査での見直しのことを言っているのですけれども、それを具体的に書いてくれと言ったのですけれども、これについてのご意見は総務省いかがですか。
定塚推進課長
今日総務省統計部門来ておりませんので、申し訳ないのですけれども。
古橋会長代理
要するに起業についての統計をつくるということは女性のことのみならず男性にとっても必要だし、その間の男女の統計をとるということは極めてこれから必要になってくると思うんですね。それについて現在就業構造基本調査というものを少し見直しをすればできると、こういうことなら、そのことを具体的に書くべきではないか、具体的な取決めなのだから、そうしないと総務省はやらないのではないかという気がするものですから、それを書いてくれと、こういうことを言っておったのですけれども、その点はまだだめでしょうか。
定塚推進課長
その点につきましては、総務省に本日ご意見が出たと言うことで伝えさせていただきます。
古橋会長代理
それで調整をしてくださいね。それから、45ページ、これも佐藤委員との関係ですけれども、45ページの下ら2つ目の「●」ですけれども、「育児休業を取りやすい環境を整備するため、育児休業取得中の所得保障を含めた子育て家庭の支援の在り方について、財源の問題も含め幅広く検討する。」と、こういう形に直したのですけれども、これについて佐藤委員は、この間のときに、育児休業のあれが特別会計を以てやっておられるということを書いてくれればいいと、こうおっしゃったのですけれども、そのことは抜けておりますけれども、それはいいかということと、財源の問題、一般財源と書くと反対されちゃってとてもできないので、とりあえずは財源問題と、こういうふうに書いたと思います。
佐藤委員
逆に雇用保険からも出すなという議論になるのもあれなので、これでいいと思います。
古橋会長代理
これでよろしいですか。
佐藤委員
ええ。
岩男会長
よろしいですか。
佐藤委員
有期の話等々も含めて、基本的には所得保障の問題と育児休業取得の問題は一応分けて議論すると思うんですね。有期の人は休業内でも所得保障は、今は雇用保険で出している限りそこはなかなか難しいんですよね。所得保障は私は個人的にはもう少しユニバーサルに関係なく出すべきだと思っているんですけれども。
古橋会長代理
一番最初の議論はそういうことから出発したと思うんだけれども、そこのところを、だからあまり書かなくて、「育児休業を取りやすい環境を整備するため」というような極めて漠然とした言葉にしたのですけれども、それでよければ、いいですか。
 それから、46ページのところの上から3つ目の「●」、これを削った理由は、現在、既に指針に書いてあるということですけれども、そういう指針があるならば、その指針との整合性を連携を図り、地域における両立支援環境が整備されるよう特に奨励するというようなことを言わなくていいのかどうか。これをおっしゃった委員の方の意見をちょっと聞きたいんです。どなたがおっしゃったのでしたか。
広岡委員
多分私ではないか。
古橋会長代理
これは既に指針の中に入っているのだそうですよ。指針の言葉は、そういう指針を踏まえて、地域における両立支援策が整備されるよう奨励するという文章にすれば、それは入ると思うんですけれども。
広岡委員
そういうことならば、それでけっこうです。
古橋会長代理
入れるということで調整してください。
住田委員
それに関連してよろしいですか。
岩男会長
今のところですか。
住田委員
45ページのそのあたりのところですが、次世代育成支援法の計画などについてはこのあたりのものを組み込んだものだと思うので、この法律や、市町村のそれぞれ計画などについてどこか一言入らないのかなと。男女共同参画は少子化対策にもなるのだということ、また、次世代育成と働き方の見直しはリンクさせておいた方がいいと思いますが。
岩男会長
その点はそういう方向で。古川委員、どうぞ。
古川委員
ちょっと気にかかることですが、29ページ上から4行目、「労働政策審議会雇用均等分科会において、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い……」について検討していると。その次に「その結果を踏まえ」と書いてございますが要らないのではないか。というのは、「結果を踏まえ」というと、いつまでたつのかわからないし、早期の結論を期待すると同時に、妊娠・出産を理由として雇用管理面で不利益な取扱いを受けることないようにするということについては、むしろ向こうの審議に男女共同参画会議の考え方を反映させるという意味では、その「結果を踏まえ」というのは要らないのではないかなという感じがしますね。
岩男会長
おっしゃるとおりだと思います。見落としていました。
猪口委員
29ページの下の「●」、直していただいているところなんですけれども、先ほどの議論の後半のところなのですが、「育児等を理由に離職した者の再就職先として正社員も含めて門戸を広がるよう」はぎりぎりの表現なのだけれども、もう少し強くならないかなというのが私の希望で、例えば「育児等を理由に離職した者が再就職先する場合は正社員とする方向など」、「など」を付けるか、「……企業等の取組を促す。」と。「……も含めて門戸を広がるよう」というのはすごく広い考え方なんだけれども、育児を理由にして離職した者が再就職するわけでしょう。そのときは正社員になるのが当然なので、というふうなことをやはりわかっていただくと。
佐藤委員
それはなかなか難しいです。その時点の職業能力に応じて雇用するわけです。もちろん育児休業で継続雇用できるようにするというのはやらなければいけないです。基本的にはその時点の能力に応じて、だから年齢条件などやめるべきです。基本的にはそのときに空いたポストによって正社員として、あるいは有期で雇うかということだと思うんです。
猪口委員
その議論はよくわかるのだけれども、もう少し強く、だから、そういう能力もなくなっただろう、育児の間勉強しなければと、そういうことを言われてもちょっとつらいものがあります。正社員だったわけでしょう、それで子ども産んだわけでしょう、それで戻るといったときに、あなた、もう能力が、10年もブランクでだめなんだからと言われる状態は現実だとしても、もうちょっと子どもを産んだ人を大事にする社会に、何とかならないかということなんですよ。もともと正社員だった人が「再就職する場合は、正社員とする方向など」とか……。
佐藤委員
基本的にパートで入って、それで終わりというのが問題なんですよ、今。だからその先、正社員への登用とかがないのがすごく問題です。
岩男会長
ニーズとか希望に。
猪口委員
だけど、それがまたそういうふうに利用されると思うんですね。すぐとは書かなくても、ですから「再就職する場合、正社員とする方向などで企業等の取組を促す」というぐらいであれば、ちょっとは強いけれども、十分にそういうこと加味してないですかね。
佐藤委員
なぜ、子ども産んで子育てした人を正社員で採るのかというのは結構難しいと思います。私は基本的に正社員として働き続けることができるようにすることだと思うんですよ、基本的考え。それを支援する仕組みをつくるのがまず先だろう。
岩男会長
それができる仕組みをつくる。
佐藤委員
ええ、できる仕組み。
古橋会長代理
だけど、できる仕組みをつくればいいけど、それはなかなかできないんですよ。
猪口委員
それができてないしね。
古橋会長代理
この間新聞で、トヨタが、出産でやめた場合、介護でやめた場合、それから配偶者が転勤してやめた場合において、そういう理由がなくなった場合においては復職させる制度を組合と協定を結んだという記事が出ていたんですね。もう一つは、母性保護条約で、この批准をしていないけれども、こういう場合については、元の職務へ戻せという条約があるにもかかわらず、日本はそれを批准していないという問題があるので、このところは、もうちょっと私は強く言わないと、要するに正規社員として企業でいろいろ研修をして訓練をした、あるいはそのために学校教育により能力をつけた者が、辞めた結果、後で戻れずにパートになって賃金が減ってしまうということになったときには、その能力というものが国家的に利用できないという問題があります。国家的損失だからある程度、もう少し前向きで検討する必要があるというのが私の考え方です。私は日本のこれからの社会において、外国人の労働者を入れる前に、女性の活躍を期待しているときに必要なことではないかと、こう思いますものですから、そこのところはもうちょっと前向きに書いた方がいいと、こう思っております。
佐藤委員
再就職としては、正社員との可能性を開くというのは、1つは本人からすると、あまり長期に離職してはだめなんですよ、基本的には、まずは。時間とともに職務能力は低下しますから、元正社員でいてもほとんどゼロになってしまうんです。
古橋会長代理
それは、だけど、休業または離職期間中における研修の問題ではないですか。
佐藤委員
できるだけ短期の離職期間で就職するようにするとか、採用時の年齢条件などは緩和していかないといけないと思うんです。それと戻った後、パートなどから正社員の登用の仕組みを整備するということはあると思います。
 もう一つは、再雇用制度は確かにあるんです。やめた会社へ戻る場合、正社員で採ったり、パートで採る仕組みというのはもう少しやってもいいと思います。ただ、この場合も、あまり離職期間が長いとなかなか実際上正社員としての再雇用は難しいんですよ。
古橋会長代理
トヨタの場合も何年か以内に決まっている。
佐藤委員
そうです。ですから、そういうものはいろんなメニュー用意した方がいいと思いますけれども。
岩男会長
その点はチャレンジ支援でもさんざん議論して、休業中あるいは離職している間に、会社の方からスキルが落ちないような方策をいろいろと工夫してほしいというようなことが入っているわけですけれども。
猪口委員
これはそもそも促すですから、それは企業がそうしなければいけないということを別に決めているわけでも何でもなくて、やはり行政としては、そういう方向を促していただくということの表現にとどまっているわけですから、それまでの文章を、私から、例えば一例を示したように、若干強化しても、今、佐藤先生がおっしゃるような事情がもし企業の側にあるとすれば、十分にそれは促すだけですので大丈夫ではないか。ここで法律を決定するという話ではないので、と思いますので。
佐藤委員
先ほど登用制度とか、そういうものを含めて書かれる方がいいのではないか。それは現実的ではないと思います、私は。
桜井委員
女性の場合、中途採用というと、パートとか非正規の採用しかない、そこが問題だろうと思うんですね。ですから中途採用の正社員を女性にも積極的に企業の方が門戸を開放していけば、終身雇用ではなくなっていますから、雇用の流動性というのでしょうか、いい形で、そっち方の問題ではないかと思うんです。
猪口委員
ただ、この「●」のところへ、「末子の年齢上昇とともに」と、とにかく少子化のことをやや念頭に置きながら、うまい文章でつくってくれていると思うんですよ、そこまでは。比較的反発の少ない文章の組み立てになっているのでそこをやはり生かして、今のご議論はもうちょっと別のところに書くとしても、この文章はこういう事情で女性がやめる場合というのをかなり限定的にイメージできるように書いてあるので、それを生かして、だけど、そういう人が再び職場に戻るというよくあるパターンなのですけれども、なぜかというと、育児休業の期間は非常に短かったり、夫の転勤とか重なってとか、いろんな事情で現在の制度でカバーできないで辞めてしまうといった人がということなんですよ、かなり具体的に。だから、それは促すだけですから、ちょっとここはご理解いただければありがたいと思います。私のことでは全くないんだけど、多くの女性が助かると思うのではないかと思って、あえて発言しております。
岩男会長
それでは、ここのところをもう少し強い表現を工夫するという……。
猪口委員
ついでにほかのところもいいですか。
岩男会長
はい。
猪口委員
(4)の「障害のある者の」というのは外したのだけれども、これ、自立した生活支援で全ての高齢者とか、もうちょっとわかるようにした方がいいかもしれない。外すのはいいですけれども。
岩男会長
桜井委員、どうぞ。
桜井委員
細かいところなんですけど、46ページの「●」の下から3つ目、加えていただいたところです。ありがとうございました。こういうことが入るととてもいいと思います。文言なんですけれども、1行目、「妊娠・出産・子育てにおいて何らかの問題を抱えた女性に対して」というと、その女性自身が何か問題があるととらえられる可能性がありますので、ここを「子育てにおいて困難な状況を抱えた」とか、そういうふうに変えていただけませんでしょうか。
岩男会長
「何らか」というのも必要ないと思いますので。どうぞ、神田委員。
神田委員
28ページ、先ほどの蒸し返しなんです。「併せて職務の価値」、ここで言っているのは、フルタイマーとパートタイマーの問題というのではなくて、ここは例えば介護ヘルパーさんと看護師さん、医師との職務の価値をどうするかというような問題なんでしょうね。だから、今、例えばヘルパーさんの賃金が低いというときに、ヘルパーさんの職務というのをどう評価するかというような問題の研究なんです。だから、ちょっと先ほどの議論の内容と私はこれは違うと思います。そういうことを評価する効果的手法を研究しろという中身だと私は思っているのですけど。
古橋会長代理
仕事が違う。
神田委員
例えばヘルパーさんと看護師さんの、これは賃金にはね返るわけですよね。そうすると賃金にはね返る中身の仕事の中身をどういうふうに評価するかというような問題だと。
岩男会長
非常に幅広に職務の価値の評価という問題をここでは取り上げようという、そういう趣旨だということですよね。
神田委員
ええ、と思っているんです。それは必要だと思っているんです、私は。
古橋会長代理
そういうふうに、趣旨にわかるようにちゃんと書かないとわからない、これは。
岩男会長
そうですね。
古橋会長代理
だけど、日本政府が、今まで女性と男性の賃金の格差の理由について言っていることは、要は日本政府が説明したことは、年功序列賃金であるということ。それから、女性と男性の職務というものがそもそも違う場所が多いからだと、賃金格差があるのは当然だという言い方をしてきました。しかし、その場合に、最近は女性でも男性と同じような職場に就く場合がいっぱい増えてきた。また、年功序列賃金制も崩れてきた。そういうふうになってきたときに、私は同じような職務についているときに男女間の賃金格差があるというのはおかしいから、それについて、同一価値労働・同一賃金という原則をもう少しみんなで真剣に取り組んで、ある程度それについての国民的コンセンサスを得ていく必要があると思います。そういう問題について、労働省は努力していますかと言いたいのです。だから、そこの問題について、指針だけでなくて、もっと国民的な議論を踏まえる必要があるということを私は言いたいのですけれども。
神田委員
私はもっと違うとらえ方です、つまりヘルパーさん……。
岩男会長
どうぞ、厚労省から。
(厚生労働省)
厚生労働省です。今の問題につきましてですが、ILO第100号条約におきましては、先ほどご意見あったように、性別による差別のない賃金が求められておりまして、異なる職務の間の労働の価値を客観的に評価する基準を導入するかどうか、こういった問題は各国に委ねられております、この条約において。その点が1点です。
 それから、厚生労働省における取組ということで、今、ご質問がありましたが、我が省におきまして、平成13年から14年にかけまして、学識経験者によります研究会を開催いたしまして、男女間の賃金格差解消に向けての検討を行いました。その結果なのですが、検討によりますと、日本の賃金制度が職能給が中心で、職務給が一般的ではないこと、それから職務評価についても導入の仕方とか、運用によっては男女間賃金格差の縮小につながらないといったことから、今後の取組の重要な柱としましては4点、人事評価を含めた賃金制度の運用の在り方、女性への業務の与え方、昇進・昇格における男女差の解消、最後に勤務の継続のための取組といった4本の柱が重要であるということで、現在この4本の柱を中心として、各企業の方々にガイドラインの周知を中心に働きかけを行っているところです。
古橋会長代理
人事評価というのを一番最初に言われましたね。4つの中の最初は人事評価ですか。
(厚生労働省)
はい。
古橋会長代理
その人事評価の内容が問題なんじゃないですか。同一価値労働・同一賃金にならないような裁量による評価をしていると。それについてもうちょっとみんなが、雇主と雇われている労働者がわかるような透明性のある基準を私はつくるべきでなのではないか。国家公務員の場合でも、そういう問題についていろいろ議論をして、お互い労使の間で話し合いをしてやることの機運が出てきましたけれども、そこのところはどうなんですか。
(厚生労働省)
企業の場合では人事制度の研究もなされていると思いますけれども、国として、そういった企業の人事評価の在り方について、現段階では検討するということはやっておりませんし、その点については、各企業の方での取組をするべきではないかと思っています。
古橋会長代理
男女間の賃金格差というものを国としてはしようがないと、こう思っておられるというふうにとらえていいわけですか。
(厚生労働省)
具体的な取組として、賃金制度の在り方とか、人事評価の在り方についてはガイドラインの周知を通じて企業に取組を促しております。周知については引き続きやっていく必要があると思っております。
神田委員
なぜ男女格差があるかということをいろいろ分析していったときにいくつかあるわけですよ。その1つとして、女性が非常に多い職務に対する評価というのもかかわっているというのがあって、それがこれに反映したのだと私は思っていたんです。結果として、それが低く評価されると男の人は入って来なくてなって、また、女として固まっていくと、そういう循環でそこまで踏み込んでこれを言っていると私は思ったんです。
古橋会長代理
これに対する回答は、厚労省はやったからやることは考えていないという回答だったんです。
佐藤委員
今の話は多分別の話で、厚生労働省は、同じ企業の中で仕事が違う場合、あるいは同じ仕事の場合、どうするかという議論をやっているわけですね。社会的に、例えばヘルパーと看護師さんとの賃金格差がある。これは別に個々の企業の話ではないんです。
神田委員
全く別の。
佐藤委員
ただ、これは職務評価をやれば解決するか、また、需要の問題とかいろいろあるわけですね。やはり需要がなければ、賃金下がったりとかいろんなことがありますから、ですから、そういう社会的な職務間の格差がどのような要因に起因するのかという議論はもちろんあると思います。それは厚生労働省はやっているわけでは、そのことについて、同じ企業の中でです
山口委員
52ページの「高齢者が安心して暮らせる社会を目指す」のところの2項なんですけれども、(2)【施策の基本的方向】、この3行目なんですけれども、要するにこういう高齢者問題は「社会全体で支える仕組みとして創設された介護保険制度を着実に実施していく必要がある」と、これは女性に集中しているという現実があるのですけれども、今、在宅介護を望む人たちが多いですよね。在宅介護には男女がともに介護休暇が取れるようにということ、どこかの指針にもありましたけれども、やはりここで記入しておく必要があるのではないか。
 「着実に実施していく必要がある」といって、次に「高齢者ができる限り寝たきりにならずに」、ちょっと飛んじゃっているので、ここでは「女性に集中することなく男性も介護休暇が取れるように奨励をする」といったようなことは1つ入れていただきたいと思います。その結果、この【具体的な取組】にもそれを受けたところがあって入れたいと思いますので、ちょっと作文をしていただけないでしょうか。
定塚推進課長
よろしいですか。
岩男会長
定塚課長、どうぞ。
定塚推進課長
現行計画で介護休業のことは、第5分野の両立支援のところに育児休業と一緒に書かれておりまして、介護休業等につきましても……。
山口委員
何ページですか。
定塚推進課長
現行計画でいきますと、冊子の方の47ページでございます。新しい計画でいきますと、本日の資料の45ページでございまして、45ページの(1)の最後のパラグラフ、「育児・介護休業を取得しやすく」ということ。
山口委員
印象が薄いんですよ、とても。老・老介護だとかいろいろ言いながら、その中で女性が見ると、なかなか男の人は育児休業が取れないと。例えば、私どもの職場は、育児休暇よりも介護休暇の問題が起きてくるので、そういうところ多いと思いますので、ここでひとつもう一回繰り返し強調してほしいと思います。
古橋会長代理
それはいいんじゃないですか。こんな分厚い計画だから、関心のあるところ、そこしか読まない人がいっぱいいるわけだから、高齢者のところにもそれを書くということはいいのではないですか。ダブっても頭が悪いなんて言われませんよ、それで。
住田委員
高齢者の問題の関係で、介護する側としての女性について女性の問題としてここで書いてあるわけなんですが、実は高齢者は女性の割合が多いということを53ページのところに入れていただけないかなと思うのですが。53ページの一番上の段落のところの、高齢期において女性の割合が高くその所得・資産状況の男女差の実態というのがありますが、そもそも、高齢者は全体として女性の問題だという意識も入れていただければと思います。
岩男会長
そうしないと、何で高齢者の問題をここで1つの分野として取り上げているのかというのがわかりにくい。
定塚推進課長
51ページに書かれているんですが、51ページと併せてこちらに。
住田委員
51ページのは〈目標〉ですので、53ページのところでも、ここは所得・資産状況の男女差だけ書いてありますけれども、やはり女性の割合が高く所得・資産状況について男女差があると。だから女性は若いときからちゃんと収入や所得が取れるような形でやりましょうというところにつなげた方がいいと思っているんですが。
岩男会長
実は大分時間が過ぎてまいりましたので、残りの半分に移りたいと思います。それで、今のご意見は、一応修文をお任せいただいて、またご相談をしながらということにさせていただきたいと思います。
定塚推進課長
なお、林委員から、28ページあたりについてご意見が来ているんですけれども、林委員の意見の第1点は、先ほどから出されている、古橋先生からご提議をいただいた職務評価のことでございます。それから、第2点については質問ということで確認事項でございますので、第2点につきましては、事務方から厚労省に確認をしたいと思います。第1点につきましては、先ほどの議論を踏まえて考えさせていただきたいと思います。
原委員
そのお返事を林委員だけになさらないで、私たちにも知らせていただけないでしょうか。
定塚推進課長
はい。
岩男会長
よろしいでしょうか、先に進んでも。それでは猪口委員、残りの半分というか、残り全部というか。
猪口委員
すいません、その前のところで1点だけなんだけど、30ページで、これはだめなことはわかっているのだけれども、もう一回、発言しておきたいのだけれども、今、すごく努力してくださったのはわかるんですが、最初の「●」、「法的措置を含め」、これは削除なんですよね。それは仕方がないのかなと思いつつ、一応発言いたしますが、例えば「法的措置も視野に入れつつ幅広い検討を行う」というようなことが可能かどうかですね。ただ、前段のところで入れてくれましたので、その努力はあったというふうには思いますので、それで発言だけで、あとは預かっていただくと。
 次、59ページ、この「受動喫煙」のところを入れていただいたのはありがたいのですけれども、最後の「●」ですが、民間の職場等でも対策、「受動喫煙防止対策を促す」ぐらいのことを付け加えてもらえればというふうに思います。公共の場だけ書いているわけで、一般の職場で女性が受動喫煙するという被害についてということです。
 次、71ページなんですけれども、これは山口さんと一緒にこの間発言したところの一部なんだけれども……。
古橋会長代理
何ページですか。
猪口委員
71ページの最初の「●」ですが、「その際、男女平等が歴史的にいかに進展してきたかということにつき、理解を促す。」と、こういうふうに入れていただいたわけですね。私の希望としては、もうちょっと、いかに進展したかと、どこかで勝手に進展したみたいな、そういう非主体的な書き方ではなくて、例えば「進展し女性の先駆者たちも含め多大な努力と苦労があったこと等につき、理解を促す」と書き加えていただくと、さっきの議論の精神が生きるかなと。女性の先駆者たちも含め、それは男性も助けてくださった方たくさんいるから、でも、初期の女性の苦労を、私たちが省みなければ、政府としてどこも省みるところはないので、ここに1つ、そういうふうに書こうと思います。
 それから、63ページ、すいません、ちょっと前後しちゃうのだけれども、メディアのところの最後の「●」でこういうのを入れてもらってありがたいのですが、情報発信だけではないんですね。要するに討論したり、討議するときに男性だけで日本の未来を討論するというような新聞の企画、テレビ等の企画、こういうことをやはり考えていただきたいということですから、「メディアにおける討論や情報発信の機会」、「場」はいいんじゃないですか。「……の機会に女性が積極的に参加する」と、こういう表現でいかがかしらというふうに思います。
 国際のところはちゃんとやっていただいてありがとうございました。
住田委員
58ページです。「妊娠・出産等に関する健康支援」のところで、【具体的な取組】のところに若年者に対しての性教育の問題だろうと思うので、ここに入れていただければと思うのですが、2行目当たりに、「男女ともに正確な知識をもち」というところですが、「年齢、発達に応じた正確な知識」ということで、過激な性教育ということに対して、子どもにこんなこと教えているということに対しては、年齢や発達に応じて適切な教育をして、それに対しての正確な知識を持たせるという。
岩男会長
「発達段階に応じた」というふうに入れましたけれども。
住田委員
すみません。
岩男会長
過激な発達、発達段階に応じた過激では困りますよね。
住田委員
年齢も入れて……。
岩男会長
健康専門の石川委員。
石川委員
この間、そういうことを提案していただいて、全体的に入れていただいてありがとうございます。今、そういった議論がなされてきたので、「適切」という言葉を取ったのですが、これをもう一回復活させて、「発達段階に応じた適切な性教育」というふうにしていただければ、全体的に読めてくるのではないかなと思っています。
古橋会長代理
これ、何で「適切」を取ったのでしょうか。
石川委員
私が「適切」という言葉を具体的にこういう言葉であらわしたらと言ったものですから、それで「適切」ということを取ったのですけれども、今のような議論でまた出てくるようなら、もう一度復活していただいて。
定塚推進課長
石川先生等にお聞きしたいのですけれども、この2行目に「自ら判断して」と、健康計画でも「自ら判断して」という言葉があるのですけれども、こちらの方に「発達段階に応じた」ということがかかる必要があるのでしょうか、ないのでしょうか。もしあるのであれば、先ほどのご指摘のように2行目の方に入れておいてもいいのかなと思います。
岩男会長
最初の「●」の2行目ですね。「自ら判断して」という。
石川委員
ここは健康管理にかかっているんですね、「自ら判断して」。
岩男会長
そして健康管理を行う。
石川委員
はい。だから、この「自ら判断して」というのは、その後ろの方にはあまりかかってこなくて……。
名取局長
今、援助交際など何でもできるというふうなことを自己決定権だというのだというふうな……。
岩男会長
誤解ですね。
名取局長
ええ。
石川委員
「自ら判断して」を取りますか。
山口委員
この位置が悪いのかしら。
神田委員
「正確な知識をもち」のところにかかるようにするといいですね。
原委員
きちんとした修文で、ここもまた文章をしっかり練り込む必要があると思うんですけれども、繰り返しになっても、「年齢・発達段階」、例えば、年齢だけでは、それから、発達段階というと、「小学校低学年」とか、そういうふうにピッピッと切っちゃうけど、個体差が随分あるわけですね。特に障害をお持ちで、知的障害を持っていらっしゃるお子さんの場合は、年齢だけではない問題があって、そのときの指導のやり方は、特に個別に工夫していろいろしなければいけない。だからこそ性教育のときに、性器が付いているお人形を実際的に合体させたりするところを見て、こんなことやっている、とおっしゃるわけだけど、現場では本当にそういうことをしないと通じない。わかってもらえないからそういうことをしているということもある場合、あるわけですけれども、そんな細かいことは書かないわけですけれども、「年齢・発達に応じた」としておくのが、説明するときにそういうことまで言えるということもあるかもしれなくて、ここは今時間がないですから、また、文章を練り込んで検討していただきたいと思います。
岩男会長
先ほどのところですね。下の方の修文が既にされているところに入れる……
原委員
上から2行目のあたりも含めて、「自ら判断して」という表現を、誤解されない、ないしは曲解されないようにどういうふうに入れるか。
岩男会長
そうですね。
住田委員
もう一つ、これもいかがかと思うので、ご意見をお聞きしたいのですけど、これは健康であることの重要性だけでなく、性の尊厳についての重要性についても知ってほしいなと思うんですけれども。それが援助交際に対しての一つの歯止めにもなるかなという感じがするんです。そこで「性と生殖に関して健康であること。また、性の尊厳そのものについての重要性」としていただければ。
岩男会長
石川委員、どうぞ。
石川委員
一般的に発達段階というのは年齢とか、個人個人の差というものについても考慮して表現していると思っていますので、私はこれでもいいのかなと思っていますけれども、全体にわかりにくいという話なら入れていただいてもいいのかなという気はしています。
 そのほかのところでよろしいですか。
岩男会長
それでは、今のところのなんですけど、ここはちょっといろいろと曲解されるおそれがあるところなので、皆様のしっかりご意見を伺っておきたいと思いますが、先ほどの「自ら判断して」というところはどういうふうにいたしますか。住田委員のご提案の文言を入れるにしても、そのまま残すか、あるいはここをどういうふうにしたらよろししいかですね。
山口委員
ストレートで言えばよい。配慮しているからわからなくなってしまっている、かえって。
岩男会長
だんだん文章も長くなりそう。
山口委員
そうなんですよ、ここの部分は。
岩男会長
その前の「正確な知識」ということについても、問題にする方は問題になさるかもしれないし……神田委員、どうぞ。
神田委員
「自ら判断して」というのは置いておいて、自ら判断する基礎としてのものをここにずっと挙げたらどうでしょうか。正確な知識もあるし、いろんなものをここに置く。
岩男会長
「性の尊厳」といったようなことを含めて……。
神田委員
そういうことを並べてしまって、それを踏まえて「自ら判断する」ということです。
石川委員
よく言う言葉で言えば、「自ら判断して健康管理」云々というこの一文を取ってしまって、男女とも正確な知識をもち、生命尊重、男女平等の精神に基づいて、こういったことをやりますという書き方をするといいのかなと思いますけど。
岩男会長
なるほど。
岩男会長
特にご意見がなければ、これまで出たご意見を踏まえて、もう一遍ここは修文をするということで進めたいと思います。
 それでは、どうぞ、ほか、どうぞ、石川委員。
石川委員
もう一点、59ページの3つ目の「●」ですが、そこのところの最終の行の「未成年者の喫煙、飲酒については」ということで「予防を推進する」とあるのですけれども、この「予防を推進する」のところに、可能ならば「強力に推進する」とか、それを入れていただけたらと思います。
猪口委員
「徹底的に」。
石川委員
「徹底的に」でもいいです。
岩男会長
これは違法行為ですから「徹底的に推進する」で全く問題ないと思います。
石川委員
それから、57ページのところに「性差医療」という言葉の解説が出ているのですが、これは5ページにも「性差医療」という言葉が出てきますので、こちらの方に持ってきたらいかがでしょうかということです。上の方にも「ジェンダー・エンパワーメント」の解説が入っているので、ここに入ってもおかしくないかなという気がするのです。
住田委員
健康増進法の趣旨はどこかに入れてもよろしいのではないですか、受動喫煙とかそのあたりであれば。
岩男会長
すいません、ちょっと聞こえませんでした。
住田委員
健康増進法ができていまして、その関係でそういうものをいろんなところへ入っていますので、新しい動きとしてどこかに入れておいていただいた方がいいと思います。
定塚推進課長
受動喫煙のほかにということですか。
住田委員
健康増進法の趣旨があるので、その中に受動喫煙も入りますでしょう。
岩男会長
今、57ページのところですね。
住田委員
59でも結構です。
庄司委員
「性差医療」というのはジェンダーの正しい理解の上で非常に重要だという気がするんですね。つまり、一律に男女の性差をなくすというような誤解がありますので、それが、そういうことと必ずしも明快にリンクさせた説明になってないのですが、性差医療を出すときに、何かそういう使い方、それを工夫できないか。今、すぐにどうしようというのがうまく提案できなくてすみませんが。
岩男会長
つまり先ほどの生物学的な差というものは当然あるということですね。
庄司委員
こういうことが非常にはっきり認識されていて、私たちもこれを非常に重視しているということなのですが、そこが必ずしもつながりを持って出てあらわれないのでもったいないというか、これをもっとはっきりさせたいということで、もうちょっと考えてみます。
猪口委員
その辺、5ページに持ってくれば、最初のところに出てくるので、言わずもがなで、そういう立場かということが伝わりやすくなるかもしれないですね、簡単な方法としては。
岩男会長
ほかに。
山口委員
「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」で、「ライツ」を除いては書いてあるのですけど、「ライツ」は女性の人権とだけで考えていいのですか。
岩男会長
何ページですか。
山口委員
57ページ。特に原先生に伺いたいのですが。「ヘルス」の方は、これ以上書かなくても。つまり、ここは女性の人権という括り方をしていれば自己決定権も含むというふうに考えられるけれども、どうなんでしょうか。
原委員
ここのことに関しては、カイロで開かれたこの会議におきまして、例えば、ホーリー・シーとして国連の会議に参加しておられるバチカンなどは「ライツ」は絶対に入れないというご主張で、あったわけですね。今、日本国内で、曲解していらっしゃるというか、意識的誤解をなさっている方々、この「ライツ」という言葉をここで見たら、ここだけに反応してしまうかもしれない。ここを見て、基本計画全体に反対してしまうかもしれない。
 ということを、私はちょっと心配していまして、これについても、きちんと話せばまた10分ぐらい必要となるので、今は長くは発言しませんけど、ここのところは、全体の言説の流れと合わせて、「生殖の健康」だけにしておいて「権利」と「ライツ」をこの際外しておく。しかし、カイロ会議の文書(ICPD POA)には入っていて、日本政府はこれを採択しているんです。それは明らかです。
岩男会長
この間、実は鹿嶋委員のご発言がこれについてあったと思うんですね。その趣旨は、地方ではどういう形でこれが出てくるかというのを見守っていると。そのときに後退したという印象を与えるのは非常にまずいのではないかという、そういうご意見だったように私は理解したんですね。
原委員
私も、鹿嶋委員のご意見は、岩男会長のおっしゃったように思っていました。
岩男会長
今の点、ほかの方、どうぞ。
山口委員
私は「自己決定権」という言葉は書かなくても、広く、女性の人権というとらえ方で説明がつくのではないか。「ライツ」のことを飛ばしているようだと、政府は及び腰になってしまうから、私は女性の人権という説明で括れるかなという感じがするんですよ。私の意見はそれです。
猪口委員
私の原案はとてもよくできていると思うんです。57ページの上の括弧で囲んでいるところですよね。
岩男会長
ええ。
猪口委員
ここで「我が国を含め」が入ったので、これで政府としてコミットしているんですよということをさりげなく言っているので、それで山口先生のおっしゃるとおり、女性の人権として確認された。「人権」という言葉は重いですから、それ以上の註釈は要らなくて、これでよろしいと思います。「ヘルス/ライツ」は固有名詞ですので、「ヘルス」だけ取ると、そういうふうにこの段階でする必要も特になくて、これはこういう会議の名称ですし、日本が参加して決めたのだけど、これは世界的にそういう文書があるということでさらりと説明していただいて、ですから原文でいいのではないですか。
岩男会長
例えば「性と生殖の健康・権利(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)」までのところをカギ括弧に入れるというのはどうでしょう。
猪口委員
それはお任せしてもいいと思います。カギ括弧に入れた方がよければ、それで。
岩男会長
それでは、残りの時間少なくなりました。住田委員、どうぞ。
住田委員
先ほどの性教育の話、69から70にかけて、また一言入れて、そういうものの誤解に対しての批判、これは先ほどの文章とかなり同じものがありますので、69ページから70ページです。そこをぜひわかりやすく説得力のある書き方をお願いしたいと思います。
桜井委員
今の57ページに戻ってしまうのですけれども、〈目標〉のところの削除した一番最後から2つ目のパラグラフのところの国連特別総会のところの2行目の右、「多くの場合、男女の力関係が平等でなく、女性が安全で」というところを削除してありますが、ここのところを削除してしまうと、「女性の健康を守るニーズに関する男女間のコミュニケーションや理解が欠如している」ということが問題だというふうになっていますが、社会構造の問題だということをどこかで書いておかなければまずいのではないかと思います。
 そして、今日いただいた暴力の方の中間整理のところでは13ページに〈目標〉のところの3つ目のパラグラフの一番下から3行目、「男女の固定的な役割分担、経済力の格差、上下関係など我が国の男女が置かれている状況等に根ざした構造的問題として把握し」というところがありますので、まだ、この問題が開発途上国の問題だけでなく、日本の問題でもあるということはやはりどこかに入れておくべきなのではないかと思いました。それが1つ。
 それから、今度はすごく小さいことなんですけれども、57ページの【具体的な取組】のところの「●」の4行目、一番最後「心の悩みも含め気軽に」というところ、次のページ、ここを「安全に」というのが「安心して」というふうに変わっていましたので、ここも「気軽に」ではなくて「安心して」に変えていただければと思います。
 それから、もう一つ、これはここで言うべきことではないのかもしれませんが、暴力のところの、おせっかいなんですけど、14ページの、すいません、ついでだから「(2)配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等の推進」というところで、これはDV防止法の改正も「保護」だけではなく、今回は自立支援というのが大きく出てきましたので、ここにぜひ、「保護及び」とか、「自立支援等の推進」というふうに、これをぜひ入れていただきたいと思うんです。
定塚推進課長
保護の中には自立支援も入っているというのが法律上の整理でございますので、そうした意味で「保護」というのを書かせていただいております。
桜井委員
タイトルのところで「保護」から今度は「自立支援へ」というふうに大きく踏み出して、私ども相談を受けていても、やはり保護のところから自立支援のところの問題が大きくクローズアップしてきますので、何かそこのところがしっかり出るといいなというふうに、これは意見、すいません、人のところを。
定塚推進課長
「自立支援」という言葉はあちこちに書いてございます。タイトルには入ってないのですけれども、随分入れたつもりでございます。
原委員
暴力の部分の14ページの(2)の、題についてですが、女性に対する暴力に関する専門調査会では、「配偶者等からの」といって、「等」の場所を「配偶者等」のところにするという意見でしたよね。
定塚推進課長
これは先ほど説明したとおり、15日に会議に出した中途段階の案です。この後の議論としては「配偶者等」……。
原委員
その修文がここに入っていなかったということですね。
定塚推進課長
はい。
原委員
もう一つ、よろしいですか。今の57ページの桜井委員のご意見のところの「途上国のことである」というのは、性習慣を主張すると、そこがFGM:Female Genital Mutilationのことを指しているというふうに思われたのかどうかよくわかりませんが、ここの文章を工夫して、桜井委員がおっしゃるように、構造的なことを含意した文章というかフレーズを足すとした場合には、「性習慣」という表現を変えることが大事だと思います。だから、全部を復活するのでなくて……
古橋会長代理
「その中で」というのを取っちゃって、別の形にすればいいんですよ。「その中で」というと、このことを書かなくてはいけなくなっちゃうから、だから、別の形でここのところを書き直すということがいいのではないですか。
定塚推進課長
ただ、この文章自体はこのイニシアティブの指摘ということで客観的に書いたつもりでございまして、新しく文章をつくるとなると、また非常に難しいので、できるだけ引用という形で書かせていただきたいのですが、残すということであれば、例えば多くの場合というのが日本の場合、DVとかそういった場合にあるけれども、「多くの場合」とはさすがに読めないのではないかと考えておりますので、例えば、この文章で「多くの場合」だけ削らせていただいて、あとは残すということではいかがでございますか。
古橋会長代理
「性習慣」という言葉が非常に日本的に嫌な、我々には何かオーカードな感じを与えるんですよね。だから、この言葉を排除した方がいいと思います。今、原委員がおっしゃったように、これは女性のいろんな問題が入っているから、ここのところは嫌だということはわかるから、「その中で」を切っちゃって、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」について、そういう非常に苦しい場合には、男性が酒乱であったり、覚醒剤中毒であったり、あるいはもっと構造的な要因があるというような場合については処理できるというようなことをわかるような、さっきの暴力に書いてあるようなことを書いていいのではないか。どうなんでしょうか、私は前からここのところで、協議できる場合は何だということを何度も原さんとずっと議論してきたわけですけれども、この「性習慣」という言葉は非常に何か変な感じです。
猪口委員
「女性が安全を確保することが困難」、そのぐらいだとちょっとソフトですよね。
原委員
引用する場合の、これが国連特別総会の2000年会議の文書の日本語政府仮訳かなんかそのまま引用していらっしゃるわけですよね。政府仮訳が時々変な日本語になっている場合があるわけですよ。だから、ちょっとその辺も検討してほしい。
岩男会長
ですからちょっと形を変えれば、そのままそっくり引用しなくても部分的な引用で済むような形になると思いますので。
 ほかに何かございますでしょうか。まだ、中間整理(案)の段階ですけれども、これについて副題を付けるわけですけれども、副題の案がおありでしたら伺いたいと思いますし、今日特に案がおありにならないということであれば、最終報告のときにきちんと副題を付けるというようなことで、それまでいろいろお考えをいただくということにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。ご意見がありましたら、ぜひお知らせいただければと思います。
原委員
この次の回でなく、すぐ思いついたらFAXすればいいということでいいのでしょうか。
岩男会長
お知らせいただければと思います。
 それでは、本日のご意見を踏まえまして、この中間整理案を修文したいと思いますので、若干調整をする必要もあると思いますので、また、委員のご意見、ご相談をする場合もあるかとも思いますし、古橋委員と私に一応お任せをいただければと思いますので、よろしゅうございますでしょうか、そういうことで。
 それで、中間整理(案)が完成次第、各委員にお送りをいたします。
 それでは、基本計画に関する専門調査会の第10回の会合をこれで終了させていただきます。大変お忙しい中、ありがとうございました。

(以上)