第5回男女共同参画基本計画に関する専門調査会議事録

  • 日時: 平成16年12月3日(金) 10:00~12:00
  • 場所: 経済産業省別館1014号会議室
  1. 出席者
    岩男 壽美子
    会長
    古橋 源六郎
    会長代理
    石川 哲也
    委員
    鹿嶋 敬
    委員
    桂 靖雄
    委員
    神田 道子
    委員
    五條 満義
    委員
    桜井 陽子
    委員
    佐藤 博樹
    委員
    庄司 洋子
    委員
    住田 裕子
    委員
    寺尾 美子
    委員
    林 誠子
    委員
    原 ひろ子
    委員
    古川 貞二郎
    委員
    山口 みつ子
    委員
    渡辺 三枝子
    委員
  2. 議事
    • (1)開会
    • (2)関係府省ヒアリング(9 メディアにおける女性の人権の尊重)
    • (3)関係府省ヒアリング(10 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実)
    • (4)その他
    • (5)閉会

    (配布資料)

    資料1
    男女共同参画基本計画推進状況調査(9 メディアにおける女性の人権の尊重) [PDF形式:29KB] 別ウインドウで開きます
    資料2
    男女共同参画基本計画に関する施策の評価等について(9 メディアにおける女性の人権の尊重)
    資料3
    男女共同参画基本計画推進状況調査(10 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実) [PDF形式:50KB] 別ウインドウで開きます
    資料4
    男女共同参画基本計画に関する施策の評価等について(10 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実)
    資料5
    日本学術会議説明資料
    資料6
    各委員からの質問事項について [PDF形式:104KB] 別ウインドウで開きます
    資料7
    平成17年1月以降のスケジュール(案) [PDF形式:11KB] 別ウインドウで開きます
  3. 議事内容
岩男会長
それでは、定刻となりましたので、ただいまから「男女共同参画基本計画に関する専門調査会」の第5回会合を開催いたします。本日は、大変お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございました。
 本日の議題は、関係府省からのヒアリングの第4回でございまして、第9分野のメディアにおける女性の人権の尊重、及び第10分野の男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実について行います。
 議事次第にございますように、まず第9分野のメディアにおける女性の人権の尊重について、関係府省から御説明をお願いいたします。また、質疑応答はこれまでどおり一応御説明が終わってからまとめてということにさせていただきます。
 それでは、文部科学省からよろしくお願いいたします。
清水男女共同参画学習課長(文部科学省)
文部科学省の男女共同参画学習課長の清水でございます。文部科学省におきまして、メディアにおける女性の人権の尊重といたしましては、そういった表現を望まない者からの隔離に関する方策の推進、そしてメディア・リテラシーの向上という、大きく2点ございます。資料2に基づきまして、1ページから説明をさせていただきます。
 まず、第1点につきましては、文部科学省としては特にメディア上の性、暴力等の有害情報が、青少年に対する悪影響が懸念されるということで、青少年を取り巻く有害環境の対策といたしまして、表現の自由には十分に配慮しながら、さまざまな取り組みを推進しているところでございます。
 まずは、PTAによる取り組みの支援といたしましては、PTAは小・中学校の子どもを持つ親であり、またテレビなどのメディアによる情報の受け手という立場から、テレビの番組をチェックする、テレビ番組のモニタリング調査をし、特にそういった子どもによって悪影響が考えられる場面につきましては、テレビ局やスポンサーに対する要請を実施しております。こういった活動を支援しております。
 また、調査研究といたしまして、テレビ、インターネット、テレビゲームという、青少年を取り巻く主な有害環境につきまして、アメリカのNPOの先進的な取組についての実地調査を実施してきております。NPOというのは、メディア自身ではなく、また行政ではない、第三者の視点からメディアをチェックする取り組み。日本ではまだまだでございますけれども、アメリカの場合かなり進んでいるということで調査をしてきております。
 また、今年度からはそういったアメリカの状況を踏まえまして、日本における実態調査、意識調査、更にアメリカ以外の海外の先進的な事例の調査研究などを続けているところであります。
 また、本年度からは、そういった海外の事例調査も踏まえまして、日本国内で各地域の関係者が子どもと保護者を対象にしたメディア・リテラシー教育を行うモデル事業を実施しているところであります。携帯電話、インターネットなどの活用について、例えば、親子でルールづくりをするとか、そういったことまで含めて各地域の取り組みを支援しているところであります。
 そのほか、この分野はやはり関係業界の自主規制が大事でありますので、関係業界に対して、大臣、担当局長から自主規制の徹底などの要請を行ってきておりますし、いわゆる出会い系サイト規制法につきましては、警察庁とも連携をしながら、地方公共団体に通知を出すなど、広報啓発活動の強化を要請しているところであります。
 そのほか、国立女性教育会館におきましても、ジェンダーに敏感な視点を育成する中で、メディアにおける女性の人権についてのプログラムを盛り込んでいるところであります。
 評価といたしましては、PTAの取り組みなど、また各マスコミを始めとする関係業界の自主規制の取り組みによりまして、テレビ番組の内容について一部改善が見られるなど、一定の成果は上がっているかと考えているところであります。
 2ページ目になりますけれども、今後の方向性についてでございますが、メディアの状況が大きく変わってきております。携帯電話、インターネットの普及など、対策についてもそれに応じて変えていく必要がございますので、メディア上の有害情報対策につきましては、関係省庁とも連携しながら、更に取り組みを推進していく必要があると考えているところであります。
 また、この場合、行政だけの対応ではできませんので、メディア自身の対応もありますし、また受け手である子どもや保護者のメディア対応能力を育成すること、地域の大人が有害環境から子どもを守るための取り組みを推進するといったことも必要と考えているところであります。
 それでは、次に3ページ目でございますが、メディア・リテラシーの向上、すなわち、情報を主体的に収集し、また判断できる能力を育成するという観点から、学校教育におきましては、従来から情報教育に取り組んできたところでありますけれども、特に平成14年度から段階的に小・中・高と実施しております、新しい学習指導要領の下では、「総合的な学習の時間」における情報活用能力の育成、また、中学校は技術・家庭科、高等学校では、「情報」という教科を新設いたしまして、情報教育の充実を図ってきております。
 特にその中で、いわゆる情報モラル、有害サイト、出会い系サイトへの対応でありますとか、そういったような対応については、それぞれの教員が適切に指導を行うことが大事でありますので、文部科学省として教員用の指導資料を作成して、全国の学校に提供しているところであります。
 また、社会教育におきましても、地域でさまざまな取り組みが行われておりますけれども、文部科学省としても「地域NPOとの連携による地域学習活動活性化事業」という、補助の事業の中で、IT学習を支援しているところでございます。
 2つ目の点は、先ほどと重複いたしますが、地域における、メディア・リテラシー教育などのモデル事業を支援しております。このほか、国立女性教育会館でも海外からの女性の行政担当者を対象とする情報処理技術研修、また女性関係施設における情報活用能力、情報機能の連携の在り方についての研究を行うといった取り組みを行ってきているところであります。
 そういった取り組みはやってきているところでありますけれども、4ページ目の今後の方向性でございますが、メディア・リテラシー、情報化への対応一般といたしましては、政府のIT戦略本部で設定された「e-Japan重点計画2004」の中でも、重点政策5分野の1つに「人材の育成並びに教育及び学習の振興」が記載されております。学校教育の情報化、国民のIT活用能力の向上について触れられておりますので、こういったものに沿いまして、学校教育、社会教育を通じたメディア・リテラシーの向上を図っていく必要があると考えております。特に学校教育につきましては、下の表のような数値目標を掲げまして、コンピュータ、校内LANの整備、またはコンピュータで指導できる教育の育成といったことも含めまして、計画的に推進しているといったところでございます。社会教育の分野についても、「e-Japan重点計画2004」などに基づきまして、一層の充実に努めていきたいと考えているところであります。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。続いて、総務省からお願いいたします。
奈良情報通信政策局情報通信政策課コンテンツ流通促進室長(総務省)
続きまして、同じ資料の5ページでございます。総務省でございます、よろしくお願いいたします。
 5ページで「インターネット等新たなメディアにおけるルールの確立に向けた検討」ということでございまして、これはまだ仮称でございますが、コンテンツ安心マークの調査研究というのを現在進めようとしてございます。
 1のところに書いてございますが、インターネット上における違法・有害情報に起因すると考えられる事件・犯罪が多発しているという状況にあって、利用者がコンテンツ、例えば、インターネット上のウェブサイトのようなことを想定しておりますが、それが安心・安全なものであることが容易に判断できる環境というのを確立すべきではないかという観点から、コンテンツの安心・安全性を示す仮称としての安心マーク制度を創設したらどうだろうかという考え方から、調査研究を本年度より開始しつつあるという状況でございます。
 予算施策でございまして、年度内を目途に一定の調査研究結果を出したいと考えてございます。
 今後といたしましては、今年度の調査研究だけで十分な成果が出るかということもございまして、引き続き次年度以降も継続的にこの検討を深めていきたいと考えてございます。また、2の2つ目のポツに書いてございますが、マークを付ければそれでいいのかということもございまして、青少年等を違法・有害情報から隔離するという観点からは、ここではアクセス制御システムという言い方をしてございますが、そうしたマーク制度と連動するような形でのシステムみたいなものの開発が必要ではないかというふうに、現時点では考えているところでございます。
 なお、この制度は基本的には、国とか法律に基づく制度ということではなくて、民間における第三者機関のようなところが実行する自主的な仕組みということで想定してございまして、現時点ではそういった取り組みはなされておりませんので、そういった動きを促進していくために、私どもで関係者、有識者等の意見を聞きながら研究を始めつつあるということでございます。まだ、始めたばかりなので、評価の欄は割愛させていただいております。
 以上でございます。
渋谷総合通信基盤局消費者行政課課長補佐(総務省)
同じく総務省でございます。6ページにつきまして、御説明させていただきます。これも同じような視点からの施策でございますが、モバイルフィルタリング技術の研究開発というものでございます。これは主に対象は児童でございますが、出会い系サイトですとかアダルトサイトといった有害コンテンツから保護するために、フィルタリングという技術、これは御案内かと思いますが、見せたくない内容ですとか、与えたくない情報を親なり教育者、先生が閲覧できないように設定する機能でございますが、こうしたものを利用することが有効ということですが、この機能は今はパソコン向けには実現しておりまして、かなり学校などでも普及しておるところでございます。
 一方でモバイル、携帯電話につきましては、いまだにこうした同程度の機能は開発実現されていないところでございます。実際に、出会い系サイトを利用した児童売春事件の97%で携帯電話が使われていたということで、児童を保護するという観点からは、この携帯電話でもこういったフィルタリングの技術というのを開発していく必要があるんではないかということで、今年度から予算を確保しまして、来年度までの2年計画で今、この技術開発を実施しております。
 この研究開発の委託先でございます、財団法人インターネット協会に今年の6月に研究会を立ち上げまして、携帯事業者、フィルタリング事業者、学識経験者等から成る研究会でございますが、現在その研究開発を進めておりまして、これまで有害モバイルコンテンツ、そもそも携帯電話のサイトとはどういうものがあるかといったようことですとか、どういった方式を取るとフィルタリングがうまくいくかといった検討を進めているところでございます。
 こちらのモバイルフィルタリング技術につきましては、この関係者が非常に前向きに実現すべきだということで取り組んでおりまして、来年度末の完成に向けて引き続き取り組みを継続する必要があると考えているところでございます。
 2番の今後の方向性のところでございますが、今後も平成17年度中の開発完了に向けて、引き続き実証実験等に取り組むことにしております。
 実証実験自体は、来年度に終了する見込みですが、これで終わってしまっては意味がありませんので、こうしたモバイルフィルタリングがビジネスベースでうまくいくように、そういった仕組みをつくり上げていきたいと考えているところでございます。
 3番の参考データにつきましては、特に直接結び付くデータはございませんでしたので、参考までといたしまして、インターネット上におけるコンテンツ市場が伸びているといったようなことです。携帯市場がかなり伸びておりますので、そういったデータを紹介させていただいております。
 以上です。
岩男会長
ありがとうございました。それでは、続きまして、内閣府から御説明をお願いいたします。
定塚男女共同参画局推進課長(内閣府)
資料の7ページでございます。現行の計画の中では「国の行政機関の策定する広報・出版物等における性にとらわれない表現の促進」ということで、男女共同参画の視点からの国の行政機関の広報ガイドラインの策定と、またそれを周知するようにということを記述しており、これを受けまして、内閣府におきまして『男女共同参画の視点からの公的広報の手引』というものを、平成14年度に策定し、公表いたしております。
 策定の過程では、国内外のガイドラインの策定等の状況を調査するとともに、有識者のワーキンググループにおける検討等を行ったものでございます。
 この策定したものは、2万5,000 部作成し、官公庁のほか、立法機関、司法機関、民間団体などに配布周知しておるところでございます。なお、都道府県、政令指定都市においても、このようなガイドラインを策定しているところが増加しているようでございまして、ちょっと古いデータでございますが、平成15年3月で24団体と伺っております。今後の方向性としては、引き続き周知をするとともに、必要に応じ手引の改定について検討する必要があると考えております。
 次のページ以下に『男女共同参画の視点からの公的広報の手引』、現物は冊子でございますが、本日はコピーを付けております。「1 男女いずれかに偏った表現になっていませんか?」、「2 性別によってイメージを固定化した表現になっていませんか?」、「3 男女を対等な関係で描いていますか?」、「4 男女で異なった表現を使っていませんか?」、「5 女性をむやみに"アイキャッチャー"にしていませんか?」などの項目を盛り込んであるものでございます。
 資料の16ページ以下で、民間における取り組み等について、参考として私どもの方で各新聞社等の御協力をいただいてヒアリングをした内容を御紹介しております。この計画におけるメディアの部分では、メディアの実質的な取り組みを支援する、促進するという部分が非常に重要でございますので、現在のメディアでの実質的な取り組みがどういうものであるかということを御紹介するものでございます。
 まず、メディアにおける取り組みの支援ということは、そもそも計画を配布しているということも支援の1つかと思いますが、男女共同参画局で事務局をしておりますえがりてネットワークには、各社お入りになっていただいて、情報、意見交換、その他の連携を図っているところでございます。
 民間における実質的な取り組み例といたしましては、まず「マスコミ倫理懇談会」という会合がございます。こちらは、新聞、放送、出版などの各社団体で構成されている懇談会でございまして、全国協議会と9つの地区組織があり、年に1回全国大会を開催しているという活動でございます。ちなみに、本年の全国大会では、分科会の中でジェンダーということも取り上げられ、議論が交されたと伺っております。
 次に、日本新聞協会における取り組みでございますが、これは主に用語に焦点を当てまして、「新聞用語懇談会」を2か月に1回程度開催し、用字用語に関する情報交換を行っているということでございます。
 また、新聞各社における取り組みでございますが、各社が自主的に用字用語に関するガイドラインを策定しております。通常は社内向けの資料でございますが、一般に販売している例もあるということで、差別用語などについての記載例を掲載しています。
 次のページは、朝日新聞の平成14年の新聞記事を付けてございます。こちらは、ちょうど平成14年に朝日新聞社の社内の取り決め集ということで、用字用語集のようなものだと伺っておりますが、これを改定したときに、ジェンダーについてのガイドラインというものを取り決め集に盛り込んだという内容を記載しております。
 次の18ページでは、共同通信社の『記者ハンドブック』、これは市販されておるものですが、こちらの方も御紹介してございます。こちらの真ん中辺りの下の段に性差別ということで、女性を特別視する表現や、男性側に対語のない女性表現は原則として使わないということで、例が載っているところでございます。
 もう一度資料の16ページに戻っていただきたいと思います。放送の方でございますが、下から2つ目の○で「放送と人権等権利に関する委員会機構」、こちらは1997年にNHKと民放により設立された第三者機関ということで、放送番組による人権侵害についての苦情内容を審理し、その結果を見解、勧告として提示をするという活動をしております。現在、8名中2名が女性と伺っております。
 また、日本雑誌協会における取組としては、雑誌編集倫理綱領というものを策定して、この中でこれらの差別を助長するような表現であってはならないとしており、また、雑誌人権ボックスを設置し、苦情を処理しているというような事例があるようでございます。
 以上です。
岩男会長
ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、どうぞ御質問、御意見等をいただきたいと思います。
 古橋委員、どうぞお願いします。
古橋会長代理
まず最初口火を切りましょう。文部科学省に質問したいんですけれども、私どもは今までメディア・リテラシーについて、一方的に入ってくる情報は、それを選別し、理解し、適切な情報だけを取って、かつまた自分たちが発信するという能力を養うということで評価してまいりました。
 また、悪い情報についても、それを排除しようということについて、いろいろ文科省においても努力されていることはわかるわけであります。
 そこで、1つは、最近私どもが当初考えていなかった携帯電話、あるいはインターネットによる学生と学生との間、小学生の児童と児童との間、そういう情報というものによる弊害というものが、非常に携帯電話とかインターネットが普及してきて、メディアから直接入ってくるんじゃなくて、メディアを使う人たちの相互の間の通信が非常に増えきてきたと思います。それに伴う弊害、そういう問題について考えていかないといけないのではないかと思います。特にフェイス・ツー・フェイスの能力、あるいはEQの発達の遅れというような問題が非常に児童に対する障害になっていると思います。長崎の事件等もございましたけれども、そういうような問題について、人間にそれが与える本質的な問題について、やはり検討していく必要があるんじゃないかと思います。対処療法的ではなくて、インターネット、携帯電話を使うことによって、人間の能力についてどういう影響があるのか、そういう研究についてやっておられるのかどうか。特にEQについてよく研究をしていただきたいと思いますが、その点について1つ伺いたいと思います。
 総務省の関係ですけれども、本日はこれとは直接関係ないかもしれませんけれども、メディアにおける、私どもは2020年までに管理職に占める女性の割合が30%になるということを、政府全体として努力しているところでありますけれども、一般にメディアと労働組合は非常に遅いというふうに伺っておりますが、総務省としてメディアの中における管理職の占める割合というものをどういうふうに考えて、それについてどういうふうに指導しておられるのか、この点について伺いたいと思います。
岩男会長
ほかに、原委員、どうぞ。
原委員
これも、もしかしたらこれから申すことは、警察の方のお仕事で、今日おいでの総務省と文科省も関係ではないかもしれませんけれども、女性に対する暴力に関する専門調査会におきましては、盗撮、盗み撮り。それから、もう一つは公共の場その他、いろいろなところで出てくるポスターなどが、ジェンダーの視点に立ってみると、女性の人格や人権を尊重してないようなものがあると憂慮しております。ポルノ雑誌はもう言わずもがなですが、これに関してやはり出版や表現の自由との関連で、どういう方向を取っていくのか。盗撮は犯罪であると扱っていただきたいと考えているんですけれども、どうでしょうか。
岩男会長
ほかにいかがですか。どうぞ。
鹿嶋委員
意見というよりは、今日は新聞社に勤務する者として、いわゆるメディア表現、人権表現について感想だけ言っておきますと、16ページを見ますと、新聞社もさまざまなジェンダーの視点に立った取組というのを進めているんですけれども、例えば、事件報道と、それからいわゆる身障者、女性といったものを中心とした人権報道、その違いを見ると、事件報道というのはかなり進化していまして、どういう意味かと言いますと、1つのターニングポイントが1989年だったんです。これは、宮崎勤事件と、綾瀬のコンクリート殺人事件があったんです。
 宮崎勤事件のとき、何が問題になったかというと、大量のマスメディアが殺到しまして、いわゆるメディアスクラムというのが問題になります。
 それから、綾瀬の事件のときには、いわゆる被害者の顔写真が出たり、もう一つは、加害者の少年法との関係の問題があったり、実名報道の問題があったりと。重大事件を通して、人権の視点からどういうふうに報道すべかというのが、かなり議論になります。
 そういう経緯があるので、いわゆる事件報道につきましては、特に1980年代以降、1984年にはNHKが初めて加害者に何々容疑者という表現を使い始めるんですけれども、そういうことも含めて進化はしてきているんですけれども、いわゆる女性とか、障害者といったような人たちを、例えば、人権という視点からどう報道するかについては、それほどの進化と言いますか、事件報道に見られるようなダイナミックな進化はない感じがします。これは今、何をやっているかというと、16ページにいろいろまとめていただいて、「新聞各社における取組」と書いてあるんですが、そういう中で女性といった場合最近一番大きいのは用字用語の問題だと思います。例えば、こういう表現は使ってはいけないようにしましょうと。問題として何が残るかというと、この言葉は使えないということで、機械的にはじいてしまうことにもなりかねない。そうなってきますと、いわゆるジェンダーの視点の取組という本質的な理解がどこかに行って、用字用語という視点だけではじいてしまうということがないとは言えません。
 朝日のこのジェンダーの視点というのは、私も前から知っていたんですけれども、今日初めて見まして、その意味ではこのジェンダーの視点に立った新聞社の取組も、かなり温度差があるということを改めて今日知ったわけですけれども、そういうことでやっと事件報道などに比べて、進化がまだ遅れてはいるんです。
 横断的な組織としては、マスコミ倫理懇談会もあるし、新聞協会の取り組みもあるんですが、この問題は各社独自に取り組んでいるというのが実態でありまして、独自に取り組んでいるからこそばらつきが出てしまうということもあるんですけれども、そういうのが実態だということを報告だけしておきます。
岩男会長
どうぞ、古川委員。
古川委員
文部科学省にお尋ねしたいんですが、資料2の1ページで、一番下の方にテレビ局とかスポンサーに対する要請をされて、番組内容に一部改善が見られるというふうなことがございますが、これは差し支えなければある程度具体的なこともお聞きしたいのと。
 それから、これは一過性的な、例えば、何かがあったから、何かいろいろ要請したので改善されたのか。あるいは、テレビ局とか、これはなかなか難しい問題だと思いますけれども、継続的にそういった何か意思が改善するとか、その辺の評価を文部科学省としてどういうふうにお考えになっているのか、もし何かわかれば教えていただきたいと思います。
岩男会長
それでは、この辺りで少しお答えをいただきたいと思います。
清水課長(文部科学省)
まず、第1点目の情報モラルの、特にマスメディアからの情報だけではなくて、人と人との間の通信による携帯電話など、そういったものも広がってきているといった、それへの対応でございますが、確かに、長崎の事件が、掲示版への書き込み、あるいはチャットといったことが事件のきっかけになったのではないかといった指摘もありましたので、文部科学省として長崎の事件を踏まえて、省内でプロジェクトチームをつくりまして、今後の対策を考えたところであります。勿論、命を大切にする教育でありますとか、さまざまな観点が出ておりましたが、その中の1つの柱として情報モラル、つまり、子ども自身が情報の受け手だけではなくて、情報の発信者、掲示版に書き込むときの注意とかいったようなことまで含めた情報モラルの教育をどうしたらいいのかといったことが、1つ柱になりました。
 勿論、決定版があるわけではありませんけれども、学校教育における指導の問題でありますとか、それから地域ぐるみの取り組みでありますとか、施策としては先ほど発表した中に入っているわけでありますけれども、長崎の事件も踏まえてその情報モラルといったところを重視してやっていこうといったことがプロジェクトチームのまとめに取り上げられているところであります。
 そして、それを本質的に考えていく調査研究ということでありますけれども、今までやってきているものといたしましては、先ほど紹介いたしました、テレビ、インターネット、テレビゲームといったものに関しての、アメリカのNPOの調査を御紹介いたしましたけれども、あれも海外調査だけではなくて、それを基に研究委員会が、日本でどのように取り組むべきかということを、テレビ、インターネット、テレビゲーム、それぞれについて研究をして、報告書を出しているところであります。
 そして、テレビであれば放送関係、インターネットはインターネット協会などとも連携をいたしまして、その調査結果を踏まえたシンポジウムを開催いたしまして、今年度はテレビゲームを開催する予定と聞いておりますけれども、そこでもってこれからの対応について検討したり、あるいは普及を図ったりということをやってきております。
 あと、もっと根本的な調査といたしましては、例えば、脳科学というような観点から、テレビゲームが脳に与える研究といったことにつきましては、子どもの発達に応じてやりますので、時間が少しかかるかと思いますけれども、研究所でもって取り組んでいただいているといったところがございます。
 文部科学省の中で幾つかの部署に分かれているところでありますけれども、長崎の事件を踏まえたプロジェクトチームのように、省内で連携を取りながら、またインターネット関係などは他省庁との関係がありますので、インターネットの危険、有害な情報に関しては、省庁の連絡会議などもございますので、文部科学省もメンバーになっておりますので、そういったところでも参加をしてまた取り組んでいこうとしているところでございます。 それから、番組の一部改善といった点でございますが、実際にはPTAの申し入れのほか、それぞれの民放、NHKなど、放送の事業者による自主規制といったこともありますけれども、直接PTAから聞いているところでは、以前PTAから批判を受けた企画、女性が恋人の前で見知らぬ男性とキスをすると1万円もらえるとかいったような番組を子どもが見る時間にやっていたということに関しては、直接PTAの批判でもってその企画をなくしたとか。あるいは、内容において子どもに影響があるということで、時間帯について8時からの番組をもっと夜に移したとかいったような形で、具体的にPTAの批判に応えて幾つかの改善がなされた事例がございます。
 そのほか、これがきっかけ、これだけではないと思いますけれども、あるいは社会全体がきっかけになって、マスコミの側での自主規制の動きについては、最近進んできているんではないかと考えているところであります。
 そういう中で、テレビの番組についても報道されていたと思いますけれども、そういった自主規制の中での指摘を受けて改善されているという動きもあると聞いているところであります。
奈良室長(総務省)
総務省でございます。1点目、メディアの事業者における女性の登用状況等という御質問でした。大変申し訳ありませんが、2人そろっているんですけれども、2人ともその所管をしておりませんので、具体的な数字は手元に持っておりません。また、所管のところで、どのように対処しているのかということははっきり申し上げられないのですが、少なくともこういった男女共同参画の基本計画等々の中で、さまざまなことが書かれているということは当然関係事業者、関係団体にも周知を図られている状況であろうと認識してございます。
 あと表現の自由との関係での御指摘がございました。実際にやってもインターネット上やっても、犯罪は犯罪でございまして、そこは当然警察の方できちんと取り締まっていくということになろうかと思います。実際に犯罪に至らない程度の事例についての、例えば、インターネットとかそういうところでの表現の自由との関係という御質問、御指摘に関して申し上げますと、端的に申し上げて、これを直接公権力の介入によって云々するというのは、なかなか難しい部分があろうかと思っております。
 そういった中で、さまざま総務省だけではなくて、関係省庁がいろんな取組をしておるということで考えております。本日御説明した2つの取り組みも、これは要するに利用者がいろいろ選択する、あるいは対策するためのツールを増やしたいということで取り組んでいます。そういった、なかなか直接的な取り組みはないという御指摘はあろうかと思いますけれども、さまざまな状況、条件の中で、いろいろ取り組みをさせていただいているという状況であろうということでございます。
 以上でございます。
岩男会長
ただいまの御説明にちょっと付け加えさせていただきますが、実は御説明をいろいろ伺ったのと、それから実際に街にあふれているものとの間に、かなり落差があるという感じが、私もいたしましたし、恐らく多くの方はそういうふうに受け止められたのではないかと思います。
 例えば、メディアによって対応と言いますか、内容も随分違いまして、例えば、タブロイド版の新聞なんかは、相変わらず地下鉄で隣に座っていて目を背けるような写真は引き続き出ております。
 それから、週刊誌的なものもまた新聞や何かと違いまして、私が週刊誌の分析をしたときには、事件報道でもやはり女性が被害者、あるいは加害者になると、容姿についての記述が、ほとんど例外なく出てくるというような結果にもなっております。
 もう一つ、古川委員から御質問のあった、番組内容の改善というところでは、PTAのケースは私存じませんけれども、放送と青少年委員会という第三者機関がございまして、私はその設立から今年の3月までその委員をしておりましたので、直接関わったんですけれども、1つの例を申し上げますと、ネプ投げという、ネプチューンというタレントが出てきて、そして若い女性が自分で希望して投げてもらうんです。投げてもらうというのは変な話ですけれども、要するに、ほうり投げてもらう。何か願をかけて、私は余り理解ができなかったんですが、その投げられた女性は自分の意思で出ているというのが、まず制作者側の御説明でして、それをカメラが下着が映るようなアングルから映すという、これが大変な人気なんです。こういう番組というのは、非常に視聴率が高くて、その放送と青少年委員会は一般の人からの苦情を受けて、それを放送事業者につなぐというような役割をし、私自身の見解もまとめて公表すると。その見解の公表の結果、幾ら自分の意思で女性が投げてもらっているといっても、投げるのを断われないような状況で女性を選んでという状況なものですから、そういうことを指摘して見解を公表して、その結果番組は自主的に取り下げられたと、強制ではなくて自主的にという、そこが非常に大事なんですけれども、そんなようなことが具体的な例としてございますけれども、やはりこれは放送と青少年委員会に引き続き苦情が来るものの多くは、やはり性表現それから暴力表現ですから、まだまだ努力が必要なところだというふうに認識しております。
 山口委員、どうぞ。
山口委員
全国紙は、随分表現を気を付けるようになったなと思います。女性団体でも、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京、NHK、TBSといったようなところをみんな巡りまして、女性社員の管理職の問題だとか、それから人権問題への取り組みだとか、コマーシャルの対応だとか聞いたんですが、それなりに対応していますが、いろいろ新聞協会だとか行きましたけれども、一番問題なのは雑誌、週刊誌なんです。口では気を付けていると言いますけれども、もう本当に怒濤のごとく出てくると。やはり仕組みというか、フリーターの方たちが取材をするというか、それが一番そういう際どいものを取り上げるなという感じがいたします。
 その場合に、その編集責任者、デスクというか、そういう人たちのセンスにもよると思いますが、まだ恐らくジェンダーだとか、ジェンダーはもとより、性の問題をやらなければ売れないという状況で、やはり一番問題は雑誌だなと。自主規制ということを言っておりますけれども、やはり自主規制ということについてもっと声を高めるというか、その必要があるなと思います。
 NHKなんですけれども、よく各地で放送番組に関して意見を聞くというところを見ておりますが、私も全部見ているわけではないんですけれども、まだまだジェンダー問題だとか性差別について、多分1人か2人ぐらいいつも女性の人がいるんですが、発言をするのを見たことがない。それで、これは内閣府の方にお願いした方がいいかもしれませんが、そういうことが放送番組の審議会というか、各地の視聴者懇談会で出たことがあるかどうか、それを聞きたいというふうに思います。
 それから、バックラッシュも最近、皆さん御承知のように各地に激しい。私は、18年度にNHKが大河ドラマで山内一豊の妻をやるというときに、私、ぎょっとしたんです。それは、司馬遼太郎さんの作品だというので、本屋に行って司馬さんのチェックをしてみて、私ども女性団体の仲間も見てきたんですが、司馬さんのだからそんなに悪くないはないけれども、山内一豊の妻についてどういうイメージがあるのか、内助の功で支持者が大変多いわけです。下手にああいうものを流されると影響が大きいと思いますので、やはり公共放送はもっとそういう点を気を付けた、文化的に香り高いものをやってもらいたいと思います。
 できれば、本当はNHKからどういう、ジェンダーとか男女共同参画に対応しているのか、もし時間があればヒアリングというか、あるいは文書でもいいからいただきたいと思います。
 以上です。
岩男会長
ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
林委員
男女共同参画局に質問が1つと、あと総務省にも質問が1つございます。先ほどの説明で、男女共同参画の視点からの公的広報の手引というものを2万5,000部印刷配布したという報告があったわけですが、私どものような労働組合でもこういう観点は非常に遅れていますので、これを何度も活用させていただいたという経緯がございます。それでも、やはりチェック漏れというのは続いて起こっております。そこで、参画局にお尋ねしたいんですが、こういうものを配布して、あとどのように活用され、どういうところでこれを配ったことによってチェックできたというようなことがあったかどうかを、幾らか把握しておられるかどうか、とりわけ15ページのところにあるチェックしてみましょうというところ辺りですね。前の部分というのは、さらさらっと読んでしまうんですけれども、チェックしてみましょうというところになると、例えば、ポスターのデザインを業者に委託する場合、自分たちでつくるときにはかなり気を付けていても、業者のデザインの中にかなり事前の説明をしておかないと、ぱっと潜って出てきてしまっている。それを、その後デザインがゆえに私自身も見過してしまったという経験もたびたびございますので、これを配った後の結果と言いましょうか。活用具合についての把握があるかどうかということと。
 総務省には、こういうものについて何か総務省自身で御活用になったという経験、あるいは生かされたということがあればお聞きしたいと思います。
 以上です。
岩男会長
ほかに御質問がなければ、ただいまの御質問にお答えいただきたいと思います。
定塚推進課長
広報の手引に基づいてチェックしたことがあるかというご質問でございます。当方で特に手引きを使った結果、その先でどういう使い方をされているかということを今までチェックしたことはございませんでした。ただ、聞いている情報としては、例えば、地方公共団体等で、このガイドライン、あるいは独自のガイドラインに反しているのではないかという苦情が県民の方から出てきているということは、お伺いしたことがございます。
 行政機関以外のところには、広報ということでこれをお配りしているわけですが、それ以上チェックしているかということを、どこまで我々が聞くことが適当かどうかという問題もあります。
 以上でございます。
奈良室長(総務省)
総務省です。当省におきますと、恐らく官房に広報室というところがございまして、そちらの所管になるだろうと思います。そういった意味で、詳細にどうかと言われると、お答えできないというか。
 あと、たまたまなんですが、私ども2人とも直近、PR活動を所管の業務としてもやってないものですから、端的に申し上げるとこの場ではお答えできないということです。申し訳ございません。
岩男会長
それでは、時間の都合もございますので、第9分野に関するヒアリングを以上で終わらせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。関係府省の方々、お忙しい中をどうもありがとうございました。
 それでは、次に第10分野の男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実について、関係府省から御報告をお願いしたいと思います。
 質疑応答は、先ほどと同様御説明が終わってからまとめてということにさせていただきます。
 それでは、文部科学省からお願いをいたします。
清水課長(文部科学省)
それでは、資料4でございます。1ページ目からよろしくお願いいたします。「男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」につきまして、男女平等を推進する教育・学習が1点目。また、多様な選択を可能にする教育・学習機会の充実が2点目でございますが、特に2点目につきましては、国立女性教育会館につきましては、1つ資料を別に用意しておりますので、資料としては大きく3つに分かれております。まず、第1点目「男女平等を推進する教育・学習」についてでありますが、これにつきましては、男女平等意識の涵養、女性問題の解決に資するといったことを目的に、学校教育、社会教育などを通じまして、また家庭教育も含めまして取り組んでいるところであります。
 まず、初等中等教育についてでありますが、小・中・高等学校を通じまして、発達段階に応じて、さまざまな教科において男女の平等や、男女相互の理解、協力の重要性などを指導することとしております。
 特に平成14年度から実施されております、新学習指導要領におきしては、高等学校公民科において、職業生活、社会参加について、男女が対等な構成員であること。高等学校の家庭科においては、男女が相互に協力して、家族の一員としての役割を果たし、家庭を築くことの重要性について認識させること。あと特別活動なども含めまして、学習指導要領の記述においても、男女平等についての記述の充実を図っているところであります。これに基づきまして、教科書もつくられ使用されているというところでございます。
 次に、高等教育機関における男女共同参画の充実についてでございますが、これは第1分野の政策方針決定過程への女性の参画の拡大のところでの説明と少し重複しているところでございますが、国立大学協会において女性教員の割合を引き上げるといった達成目標を立てたということ。また、それを踏まえて各大学で取り組んでいることといったことがございます。
 また、それぞれの学会等につきましても、男女共同参画学協会連絡会をつくりまして、そこで科学技術研究者の現状について調査をし、今後の提言を行う、調査研究事業を行っておりまして、文部科学省からその支援をしているといったものがございます。
 また、科学研究費補助金につきましても、旧姓や通称のみによる応募を可能にすること。育児休業に伴って、1年間の中断の後に研究の再開を可能にするということ。日本学術振興会の特別研究員制度につきましても、同様の制度面での対応が取られているところでありまして、高等教育機関における男女共同参画の充実のための取り組みが、それぞれの主体で取られているところであります。
 次に社会教育の推進につきまして、家庭教育の支援につきましては、これも両立支援、第5分野でございますが、そちらで説明したところがございますが、家庭教育支援のためのさまざまな取組を行うほか、特に家庭教育の中で子どもが小さいうちから、幼児期から男女の固定的役割分担意識にとらわれないような家庭教育をしていくといったことも重要だということでありまして、文部科学省としても小さい子どもを持つ親を対象にした学習プログラムの開発をしたりとか、また国立女性教育会館におきましても、男女共同参画の視点からそれぞれの地域において家庭教育の事業を推進する際の注意事項などを記載いたしましたブックレットを作成するといったような事業を行っておりまして、各地域で行われます家庭教育の事業において、男女平等意識の涵養に努めるように働きかけているところでございます。
 次のページでございますが、そのほか男性の家庭、地域生活への参加を促進することなどを目的にしたモデル事業の委嘱でありますとか、補助金等の中でも男女平等、女性の参画を促進する事業を支援しているところであります。
 国立女性教育会館においても、男女平等意識を推進する教育・研修などを行っているところでございますが、これは後ほどまとめてペーパーにしておるところであります。
 また、教育関係者の意識啓発につきましても、国立女性教育会館の取り組みのほか、独立行政法人教員研修センター、筑波にあるセンターでございますが、各地域からの中核となる校長、教頭等の研修等を行っておりますが、その研修の内容において、男女共同参画に関する内容を盛り込んでいるところでございますし、教員養成課程においても、憲法等の中で男女平等についての履修をすることになっているところであります。
 そして、女性学・ジェンダーに関する調査・研究につきまして、国立女性教育会館において、各大学の女性学・ジェンダー論、関連科目のデータベースを作成いたしまして、情報提供を図っているところでございますし、各大学におきましても、「お茶の水女子大学ジェンダー研究センター」など、女性学・ジェンダー研究に関する研究機関もできてきているところで、また研究教育に取り組んでいただいているところであります。
 評価についてでございますが、意識の改革ということでは、なかなか難しいところではありますが、アンケート調査によりますと、固定的な性別役割分業意識につきまして、肯定する割合は年とともに、低下してきている。また、若い世代ほどそういった意識が少なくなってきているというところが見られるところでありますけれども、国際比較調査などを見ますと、まだまだ日本は固定的な役割分担意識が強いといったところでございますので、その定めの教育については、一層努力していく必要があると考えております。
 3枚目になりますが、今後の方向性といたしましては、これまでの取り組みを充実していくといったことでございますけれども、特にドメスティック・バイオレンスでありますとか喫緊の課題について、研修事業等を通じまして、そういった新しい課題について、指導者層に普及を図っていく必要があると考えているところであります。
 時間もありませんので、次に6ページになりますが、多様な選択を可能にする教育、学習機会の充実でございます。これにつきましては、生涯学習の推進という広い観点からは、男女を問わない施策も数多く含まれているところでありますが、生涯学習の推進については、各大学における編入学、社会人特別選抜、夜間大学院など、リカレント教育については、ニーズも踏まえて拡大してきているところであります。特に女性に関しての生涯学習につきましては、文部科学省におきまして、「女性の多様なキャリアを支援するための懇談会」を設けまして、第1次報告は女性研究者でありますが、特に第2次報告においては女性の生涯学習をテーマにいたしまして、学習や活動に関する情報、相談の総合的、一元的な提供でありますとか、コーディネーターの育成、また生涯学習型のプログラムの充実などの提言をいただいておりまして、これを踏まえて今年度から「女性のキャリア形成支援プラン」といった新しいモデル事業を組み立てまして、各地域における取り組みの支援を始めたところでございます。
 また、放送大学、専修学校なども、生涯学習の機関として重要な役割を果たしているところであります。放送大学においては、テレビ、ラジオの放送メディアを活用して、大学教育の幅広い提言に努めているところであります。また、大学院を設置いたしまして、学生の受け入れを始めている。さらに、地上テレビ放送のデジタル化の対応といったようなことも進めているところであります。
 専修学校につきましても、最近の動向を踏まえて、フリーター対策でありますとか、そういった面については、文部科学省としても支援を図っているところであります。
 青少年の体験活動の充実につきましても、特に最近体験不足ということが言われておりますので、社会教育面や学校教育面の両方において体験活動を増やすための取り組みの支援をしております。
 また、特に高度通信情報ネットワーク社会に対応した学習機会といったことにつきましても、先ほどのところと重複するところもございますけれども、さまざま支援施策を講じているところでございます。
 次に7ページの「(2)エンパワーメントのための女性教育・学習活動の充実」、これにつきましては、「男女の家庭・地域生活充実事業」、先ほど説明したところと重複するわけでございますが、モデル事業を実施しておりますし、国立女性教育会館におきましても、女性のエンパワーメントを支援するという観点からの研修事業、調査研究事業などを実施しているところであります。
 また、進路・就職指導につきましても、初等教育、中等教育それぞれございますが、それぞれの能力に基づいて、進路を決定できるようにという観点から充実を図っているところでございますが、特に最近フリーター等の問題もございますので、キャリア教育という観点から施策の充実を進めているところであります。
 また、就職問題につきましては、各企業に対して学生の就職機会の拡充と同時に、女子学生、男子学生の機会均等の確保も含めまして要請を行ってきているところでございます。全体の評価でございますが、それぞれの施策については、進捗は順調と判断しているわけでございますが、4年制大学、大学院における男女の比率を見ますと、女性が少ないといった問題はございますし、理工系の分野など、分野における男女の差といったものもございますので、引き続き施策の充実が必要と考えているところであります。
 今後の方向性といたしましては、そういった観点から従来の施策を推進いたしますとともに、特に女性のチャレンジ支援という観点からは、上へのチャレンジ、横へのチャレンジ、再チャレンジといったものを推進するために、資料を2枚めくっていただきますと、「男女共同参画社会の形成」という資料が付いているかと思いますけれども、一番下の方に施策が並んでおりますけれども、今年度から始めております「女性のキャリア形成支援プラン」に、更に「女性の上へのチャレンジの支援事業」といったものに、来年度から取り組みたいと考えております、独立行政法人国立女性教育会館におきましても、細かい字で一番下でありますけれども「多様なキャリアを支援するためのロールモデル提供システムの構築」といった事業に、来年度から取り組みたいということで予算の要求をしているところでございます。
 こういった活動を通じまして、多様な選択を可能にする教育、学習機会の充実に努めていきたいと考えております。
 それから、最後11ページ、12ページが、国立女性教育会館の事業の関係でございます。国立女性教育会館につきましては、平成13年度から独立行政法人に組織が変わりまして、やってきているところでございますが、現在、政府全体の独立行政法人の見直しが1年前倒しで早まった関係で、全体の業務の見直しの作業が進められております。報道等で青少年関係の団体との統合でありますとか、あるいは民営化といったような検討も行革の観点からなされているところでございますけれども、これについては女性教育のナショナルセンター、あるいは国際的にも非常に評価が高いといったことで説明をし、またそれぞれの関係の団体からの働きかけもございまして、かなり行革関係の方にも理解していただいてきているというふうに考えているところでございます。今後総務省の独立行政法人の評価委員会から勧告の方向性が間もなく出るかと思いますが、それを踏まえて今年中に新しい見直しの案をつくり、政府の行革推進本部で決定をしていくことになっている、その途中ということでございまして、現時点において取り組んでいる事業については、記載しているとおりでございますが、更に見直しの方向性といたしましては、地方あるいは民間でやっている事業については、むしろ地方、民間に委ねるという考え方で、真に国レベルのナショナルセンターとして必要な事業に重点を置いて実施していこうというように、そういった部分については、更に充実を図っていこうというような考え方で、次の5年間の事業を現在考えているといったところでございます。
 ちょっと細かい点については、時間もございませんので、ご覧いただければと思います。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。
 それでは、厚生労働省お願いをいたします。
三富雇用均等・児童家庭局総務課調査官(厚生労働省)
それでは、厚生労働省からは施策の進路・就職指導の充実の中で、実施状況を調べで言いますと、9、10ページにあります、女子高校生、女子学生に対する職業意識の醸成、意識啓発の実施と、就職指導の充実について御説明いたします。
 まず、女子高校生、女子学生に対する施策でございますが、幅広い職業選択を念頭に進路決定を行うことができるよう、短大、大学生向けには、『女子学生ための就職ガイドブック』、資料の15ページ以降に実際のもの、ちょっと部数が足りませんのでコピーを付けさせていただいていますが、女子学生向けにはこのガイドブックを配っております。また、高校生向けには、その後ろに『私の仕事・未来形』というパンフレットを作成いたしまして、同じく各都道府県労働局雇用均等室を通じまして、それぞれ配布をいたしまして、意識啓発を図っているところです。
 ページをめくっていただきまして、例えば、女子学生のための就職ガイドブックの16ページにざっとした目次が並んでおりますので、概要がわかると思いますが、まず就職活動を始める前に、自分自身の自己分析をしていただく中で、どういった働き方をしたいか、中長期的に働きたいのか、子育てと両立しながらいきたいのか、それとも再就職をしたいのかというようなことを考えていただいて、それぞれの働き方を、今のうちから余り断定的に決めずに、長い目で見たキャリアプランを立てて、それが実現できるような長期的なキャリアプランを考えたらどうかというような話から、希望する業界の状況等、就職活動の本当にアプローチのところから始まりまして、働く女性のための法律の紹介、それから、最後のところで、御相談は雇用均等室へというところで、実際に会社で就職活動する中で差別的な取り扱いを受けたときには相談しやすいようにということを実施しております。
 また、その次の黒ポツのところでございますが、幅広い職業選択を促すために、自治体とか経営者協会等関係団体ですとか、大学などと連携いたしまして、セミナーなどを実施しております。
 次に就職指導の充実についてですが、若年者の就職を支援して円滑な就職を図るために、学生職業総合支援センター等を設置いたしまして、大学、短大、高等、高等専門学校、専修学校の学生、それから現在問題となっておりますが、未就職卒業者等の就職支援を実施しております。
 ここでは、女性特有のターゲットにした相談というよりも、もう男女関わりなく若年者に対する支援を行うということでございまして、例えば、学生職業センター、あるいはインターネットといった媒体を使った情報提供、それから希望する者に対してはセンターなどで職業相談等を行うことによりまして、就職の支援を行っております。
 下の参考データに学生職業センター等の来所者を載せておりますが、過去からの推移を見るとおおむね増加傾向にございます。
 大学生等約38万人が15年度については来所しておりまして、こうした取組の効果もありました、平成16年度3月卒業の大学生につきましては、就職率を見てみますと93.1%と、前年度よりも0.3ポイントアップしてございます。ちなみに男女別に見てみますと、男子が93%と前年よりも0.2ポイント低下している一方で、女子学生については93.2%と前年度よりも1.0ポイント上昇しているという結果でございます。
 その学生職業センターの主な業務としましては、職業相談、紹介、あるいは就職面接会の開催、各種セミナーの開催といったことを実施しております。ここでは、大学のことを中心に書いておりますが、こうしたことを短大、高専、高校卒業の者に対しても同じようにやっておるところでございます。
 その下の2の今後の方向性、検討課題のところでございますが、こうした取り組みを引き続き実施していきたいと思っておりますが、依然として新規の18年3月卒見込みの採用計画については、若干上向き傾向にあるものの、若年の雇用情勢については、以前として厳しい状況にございますので、引き続きこうした意識啓発から就職に至るまでの実質的な指導について、着実に実施してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。
 続きまして、日本学術会議事務局から御説明をお願いします
黒羽日本学術会議事務局学術部長
日本学術会議から御説明させていただきます。資料は資料5でございまして、基本計画の中では学術会議関係の具体的施策につきましては、「日本学術会議におけるジェンダーに関する検討」ということで、「日本学術会議において、特別委員会を設置し、ジェンダー問題に関し人口、健康、暴力等の観点から多角的に検討する」というものでございました。資料5の1番にございますように、取り組み状況でございますけれども、18期と呼んでおりますけれども、平成12年から始まる学術会議の期におきまして、「ジェンダー問題の多角的検討特別委員会」というものを設置いたしまして、ここにおきまして委員・有識者からの報告を中心に検討を行った次第でございます。
 また、同委員会と「J AI COWS」などとの共催によりまして、4回の公開シンポジウムを開催し、更に15年5月には「ジェンダーと日本の学術」という公開講演会を開催いたしまして、最終的に15年5月に委員会報告「ジェンダー問題と学術の再構築」というものをとりまとめて発表しております。この報告書につきましては、後ろに付いております厚い資料の中にございますけれども、適宜ご覧いただければと思います。
 この報告書の中では、全体としてジェンダーの視点に基づく学術研究の活性化を図り、女性研究者の環境改善、それからこれを進める上で我が国社会の男女共同参画の一層の推進を図ることの重要性を指摘したというものでございます。
 更に19期、15年7月から始まりました19期におきましても、「ジェンダー学研究連絡委員会」、「21世紀の社会とジェンダー研究連絡委員会」というものを設置いたしましたほか、16年11月、直近でございますけれども、学術会議主催の公開講演会ということで「どこまで進んだ男女共同参画」というのを開催したところでございます。
 この上の2つの研究連絡委員会につきましては、第1部、第2部ということでございまして、人文・社会科学系、あるいは法学・政治学系の部門での委員会でございましたけれども、この主催講演会の方は、むしろ物理学研連等、理科系の方が中心となって開催した講演会でございまして、資料の一番後ろの方にチラシも付けておりますけれども、遠山先生とか、黒田先生とか、名取局長などにもおいでいただきまして、熱心に講演会を行っていただいたところでございます。
 ということで、取り組み状況、評価につきましては、形の上では計画どおりに進んだということでございますけれども、2番にございますように、実際にはまだまだ我が国の学術の世界においては研究環境において改善の必要なところが多いと。したがって、引き続き事態の改善に向けた取り組みが重ねられなければならないということが言われておりまして、先ほど申し上げました平成15年の提言の中でも、次の2ページでございますけれども、3つの提言がなされております。
 1つは、女性研究者問題の改善に向けての長期的方策に関する提言ということでございまして、まずあらゆる領域で男女を平等に評価すること。人権思想の確立を図ること。そして、セクハラとか、出産、育児への配慮・制度が欠けている。そういった制度について緊急に整備する必要があるということで、女性研究者問題の改善を図る必要があるということが1つ。
 2つ目は、ジェンダー視点に基づく学術の再構築を図る必要があるということで、新たな視点に基づく学術の展開が図られるように、まずは女性研究者の質量両面にわたる拡充が重要であること。それから、児童、生徒への学術研究への動機づけも必要であること。研究環境の改善、大学研究機関、学協会等における男女共同参画の積極的推進を図ることが必要だということが言われております。
 学術の再構築につきましては、提言に加えまして、検討過程での個々の報告、あるいはシンポジウムなどの結果も踏まえまして、先生方にお配りしております、「ジェンダー問題と学術研究」という本の形で改めてまとめられておりますので、これもまたご覧いただければと思います。
 3つ目といたしましては、更に再構築した学術を用いて、実際のジェンダー問題の問題点、あるいはその基盤、ジェンダーの基礎理念とか研究成果というのを提示していって、実際の面での改善に結び付けていくというようなことが必要であるというような3つの提案がなされているところでございます。
 3ページ目、これまでの学術会議におけます、主な対応について並べております。簡単に御説明申し上げますと、学術会議のこういった問題の検討というのは、大体国、政府、あるいはこの男女共同参画局の対応と歩調を合わせて進められてきておりまして、最初に取り組みが始まりましたのは、昭和50年、国際婦人年の年に学術会議の中にも「婦人研究者問題小委員会」というのができたというのが最初でございまして、そこで検討が行われまして、52年に最初の「婦人研究者の地位の改善について」の要望がなされたということでございます。
 それから、昭和60年になりまして、これは国連婦人年の10年の最終年だったと思いますけれども、また更に検討を進めてこういった2番の要望が出されております。
 3番につきましては、「女性科学研究者の環境改善の緊急性についての提言」と、これは平成6年でございまして、検討の結果を踏まえて声明が出されております。
 4番でございますけれども、平成9年になりまして、「女性科学者の環境改善の推進特別委員会」というのをつくりまして、その成果は12年に要望「女性科学者の環境改善の具体的措置について」という形で出されております。
 また、「女性科学研究者の環境改善に関する懇談会」、たしか「J AI COWS」は平成6年に発足していたかと思います。それと歩調を合わせまして、平成12年6月に学術会議の中でもやはり女性会員の比率の向上を目指さなければいけないということで、2010年までに10%まで高めるという目標を設定いたしまして、それを声明という形で出しております。
 続きまして、4ページでございますけれども、これは今、御報告申し上げましたとおり、平成12年に18期におきましても特別委員会を設置いたしまして、15年に報告を出したということで、更に新たな19期におきましても研連を設置いたしまして検討を進めております。そして、先ほどの公開講演会を行ったり、研連ベースのシンポジウムを行っていると。あるいは、最近になりまして、国連大学と共催でシンポジウムをやっておりますけれども、10月には、タルヤ・ハロネンフィンランド大統領にお願いしましてレクチャーをしていただき、11月21日には、イランのノーベル賞受賞者のシリン・エバディさんのレクチャーを国連大学でやっていただくということもやっております。
 また、一昨日まで、11月29日から12月1日までは、学術会議の後援でございますけれども、カナダ大使館の方で学術会議とカナダロイヤルソサェティとの後援で、「科学技術とビジネスにおける女性」というコンファレンスを、3日間連続で行ったということをやっておりまして、活発な活動をしているところでございます。
 参考ということで付けてございますけれども、日本学術会議に所属する女性科学者数ということで、先ほど声明を出して10%を目標にということでございましたけれども、17期、18期、19期と着実に増えておりまして、現在6.2 %、210人のうち13名の方が会員になっているという状況でございます。
 更に資料の一番最後に付けておりますが、日本学術会議、来年10月から新しい体制になるということで、今、改革を進めておりますけれども、その中で、現在、学術会議から独立して職務を行う形で「会員候補者選考委員会」という委員会を立ち上げて、会員選考を始めていただいておりますけれども、その中では新しい来年10月からの学術会議は男女間のバランス等に配慮して会員選考を行うということで、現在学協会、学会などに会員候補者の推薦をお願いしておりますけれども、推薦に当たってはおおむね3割以上女性を推薦してくださいということでお願いしているところでございます。
 また、新しい学術会議になりますと、いまもだんだんそういう方向に進んでおりますけれども、単に科学技術政策に対する提言というだけではなくて、科学的知見に基づいて社会に対する提言、政策に対する提言を行っていこうということを考えておりまして、更に来年4月には総務省から日本学術会議が内閣府に移るということになっておりますので、総合科学技術会議との関係が非常に重要になるのはたしかでございますけれども、男女共同参画会議などともこれから来年以降連絡を密にして、例えば、審議テーマの選定に当たっての御相談や、あるいは提言を出した後の各関係機関への連絡や調整についても、内閣府と連絡を取りながらやらせていただきたいと考えている次第でございます。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、あるいは御意見がございましたら、どうぞ御発言をお願いいたします。
 どうぞ。
五條委員
初めに、小・中学校の教育に関連してですけれども、男女平等の考え方とか、男女間の協力という考え方を、子どものときから育む上で、今、食育、食農教育の推進ということが、重要な取組の一環になってきていると思います。これは、小学校の総合的な学習でもかなり取り入れられるようになってきています。
 ただ、学校関係者が農業体験とか、農産加工を含む食育を推進しようと考えた場合に、どうしても学校関係者と地元の農業者グループの連携だとか、教育委員会と農業委員会の連携といったようなことが、非常に重要になってくるわけですが、その点文部科学省と農林水産省間の連絡調整ということに関しては、どういうふうに進められておられるかという点を質問いたします。
 食生活の改善に関連して、この食育が今、クローズアップされていますが、男女共同参画という観点からも重要な意義を持っていると思いますので、文部科学省にその点のことをお聞きしたいというふうに考えております。
 あともう一点であります。私は、日ごろ大学内において就職担当の委員をして、学生向けの資料作成だとか、就職講座だとか、そういう企画に力を注いでいるわけですが、その現場の担当委員として実感することをお話し申し上げて、質問させていただきたいと思います。まず、第1点目ですけれども、先ほど紹介のあった女子学生のための就職ガイドブック、こうしたものを24万部つくっておられるということでありますけれども、大事なことは各大学における就職講座などの取組とうまくフィットして活用されていくことではないかと考えます。
 そういう中で、例えば、これをもしただ各大学に何百部という形で送り付けても、その大学の女子学生を集めた講座に来る人数よりも少なければ、結果的に就職担当部署に欲しい人持って行ってくださいという形で積み上げるしかなくなってしまうので、どういう形でこのガイドブックを効果的に配布できるように考えて進めておられるか、その配布される際の留意点だとか、そういう点についてお聞きしたいということであります。
 それから、大学生の就職に関連して、もう一点だけお話させてください。例えば、私、今、就職活動体験記というものを学内で編集しております。学生の声をつづったものでありますけれども、こういう中から今、大きな課題として感じることは、3年生の秋から就職活動が始まるというのが常識になってきて、就職活動が早期化かつ長期化していることです。ただ、3年生の秋からやっても就職活動がうまくいかなくて、4年生の秋にも内定が決まっていない学生がいたり、改めて4年生の夏に自己分析をやり直して、もう一回秋にチャレンジしたいという学生がいたり。それから、大学教育の根本的な課題と関わるわけですが、3年生の後半から4年生にかけてという非常に大事なときに、就職活動で取られてしまうというのが、学生の教育上も非常に課題がある部分もあって、実際に4年生の秋からでないと、学部、学科によっては就職活動が十分にできないというケースもあります。
 そういうことで御質問申し上げたいのは、4年生の秋からでも、しっかりと就職活動ができるような支援対策についてどういうふうに考えておられるか。男女共同参画の推進という観点からも、特に女子学生の職業選択ということについて、幅広い視野から考える上で、そういう4年生の秋からの取組にも支援できる体制づくりが必要であり、文部科学省、あるいは厚生労働省の話を是非伺いたいということであります。
 以上です。
岩男会長
ほかに、桜井委員、渡辺委員、原委員、古橋委員の順番でお願いします。
桜井委員
私は文部科学省と厚生労働省に3点質問があります。
 1つは、文部科学省なんですけれども、こちらの6ページ辺りで、女性のキャリア形成支援プランというお話がございました。こちらは、生涯学習で行う女性のキャリア支援というのは、一体どういう内容なんでしょうかと、どういう内容を想定なさっているかということをお聞きしたいというふうに思います。
 それは、同じように7ページに女性のエンパワーメントのための女性教育、学習活動の充実というところで、女性の社会教育を支援するためのモデル事業というふうになっていますけれども、そこでも女性の社会参加を支援すると。女性の社会参加ということは、一体何を意味してらっしゃるか。そして、ここに男性の社会参加というのが出てこないというのが、どういうことなのかということを1つ伺いたいと思っています。それで1点。
 それから、厚生労働省に伺いたいのは、厚生労働省の方の資料の14ページの御説明のところだったとかと思いますが、就職率についてデータがなしでお話なさったかと思いますが、就職率が90%とかというふうにおっしゃったと思います。ちょっとそれは私どもが認識しているのと違うかなということで、データをいただきたいというふうに思っております。それが1つ。
 もう一つ、これも文部科学省なんですけれども、女性の場合、ジェンダー、あるいは暴力についてもそうですけれども、さまざまな大学院とかを修了しても、研究者になる道というのは日本では大変狭いわけです。海外でドクターまで出ても、野に下がると言いますか、在野にいる人たちがすごく多いというのが実態だろうと思います。
 それで、科研費等への応募要件と言うんでしょうか。どういう人が応募できるのか。これは、大学に所属してないとなかなかここまで届かないと私どもは思っておりますけれども、例えば、企業に勤めながらこういったことについて、女性の研究者、あるいは研究者になろうとしている人たちが、何か調査をしたいとか。あるいは、私どものような女性センターに勤めながら、調査、研究に関わりたいといったときに、全くどこにそういった予算、学術研究費を申請したらいいのかがわからないわけです。
 そういったところが少し幅が広がって、在野にいても研究者がそういった科研費のようなものを申請できるとすれば、かなり調査研究が広がっていくんではないかと思うんですけれども、そうした在野の研究者に対しての調査研究の支援ということについて、どういうふうにお考えかと。
 それと関連してなんですけれども、既に幾つかのプログラムで、例えば、先ほどのメディア・リテラシーもそうですし、今回の生涯学習もそうですけれども、地域で活動しているNPOと組んでやってらっしゃるというふうな御説明が2か所ほどで出てきましたけれども、これはどういうふうに地域のNPOというのを選んでいらっしゃるか、あるいはどういうふうに探してらっしゃるか、そこに私どもが知っているNPOが応募したいと思ったときに、どういうふうな手続を経ればいいのかというところをお聞きしたいと思います。
岩男会長
それでは、渡辺委員、お願いします。
渡辺委員
主に文科省と厚労省にお伺いしたいんですが、特に焦点を絞りまして、直接教育や指導に当たる人材の育成についてお伺いしたいと思います。
 先ほど古橋委員からもEQという言葉が出たと思います。初等中等教育にしても、それから卒業者の職業選択の指導、援助にしても、確かに、文書上は非常によくでき上がっておりますし、学習指導要領においても、非常に男女共同参画という言葉はよく出てきております。事実、教員研修センター等でも、それについての講義も増えてきている。ですから、意識の高まる人は、もう十分と言ったらいいんでしょうか、どんどん高まり、関心を持ち、いろんな研修を受けたり、シンポジウムに出て意識を高めていくんですけれども、触れないで済む人は読んで通り越してしまっているという状況もあって、二分化されているような気がします。
 相談をしている方々においても、同じようにお見受けするんですが、そこでパンフレットをつくったり、いろいろなところで規定を加えていただくというのは、もう1段階でして、次の段階は実際にその学習指導要領等で言われていることを実線に移す能力、特にEQと言うと一般的ですけも、いわゆる人権を守っていくために必要な能力とか感覚とかを、きちんと幼いときから育てていくための指導者の教育、育成というところは、どの程度意識されているのか。どの程度予算をそこに費していただいているかなというのが、1つ私のお伺いしたいところです。
 勿論、公民等でやっていただいておりますけれども、それが実は高等学校の家庭科が選択科目にしていってどんどん減っているという現状があります。そうなっていきますと、公民で取り上げるのは知識として取り上げるんでして、それを実践に移す男女共同参画という、参画するという、行動に移していくには、どうやったらいいかというところの教育がまだ進んでいないようにお見受けするんですけれども、そのためには教職員の教育の中身が非常に重要になってくるんではないかと。
 同様に、文科省においてもいろいろな就職の支援をしていただいていると思いますが、支援に当たっている方々が、この男女共同とか、男女が一緒に働くことの意味と難しさと、そのために男性に働きかけることと女性に働きかけること、これらについてどの程度具体的な施策を持ってやっていただいているのかというところをお伺いしたいと思います。
岩男会長
続きまして、古橋委員、お願いします。
古橋会長代理
3点ほど、1つは私どもがいろいろなところに行ってお話すると、教育の現場における混乱から、男女共同参画に対するバックラッシュが出てくるのですが、その1つに性教育の問題があります。性教育についても学習指導要領がちゃんと出ていて、個人の発展の段階に応じて、問題があったときは父兄とよく相談しなさい、あるいは、保健婦も入れなさいとか、いろんなそういうことが書いてありますけれども、具体的に教育現場において、そして家庭との関係において一番困っていることが、性教育についていかなる段階から始めるか、そしてその段階においてどういう内容のものを教育としてやっていくべきか、そこいらについての具体的なものがないと、やはりまだまだ現場においては混乱するんではないかと懸念しています。
 したがって、これについての文部科学省として専門家を交えての性教育に対する在り方についての研究というものを、今やっておられるかどうかというのが、第1点目です。
 それから、第2点目は、職場のインターンシップというのが、この間NHKがやっておりましたけれども、高校生などがインターンシップをやって非常にいいという感じも受けたんですけれども、その場合に受け入れる側、仕事においてそれを受け入れる側における負担、あるいはまた受け入れる側の質、そういう問題についてどういうふうに、何か基準でもあるのかどうか、そして今度の予算では要求されているということのようでありますけれども、受入側にそういうことについての何かメリットがあるのか、ないのか。そこいらのことについてひとつ。特に高校生でしたかね。
 それから、3番目は、先ほどの五條委員が言われたことと同じようなことなんですけれども、厚生労働省のガイドブックを配るときに、大学の職業の進路指導教官に対して、私はあれを説明すべきではないかと思います。そういうことについて、文部科学省と連絡を取っていただいて、進路指導教官に対してこういう内容についてやりますけれどもと御意見を伺ったり、そしてそれをまた内容について説明していくというような会合を持った方が、私はいいんではないかと思いました。これについて文部科学省との連絡がうまく行われていたのかどうか。ただ、送り付けただけでは全く違ってくるんじゃないかという気がいたしましたので、ちょっと伺いたいと思います。
岩男会長
原委員、お願いします。
原委員
2つあります。1つは、今、古橋委員がおっしゃった性教育との関連ですが、先ほどの渡辺委員のお言葉のように、まず幼いときからの人権尊重に関する教育、お互いに人を大切にしましょうというところから始まって、年齢に応じて、人を大切にするということの中にセックスに関わる問題も含まれてくるというふうな形での教育の仕方とか、情報の提供の仕方というのがあるかなと思っております。この点については厚生労働省と文部科学省によく連携していただいて、地域のそれぞれの現場の先生方が働きやすくしていく方策を考えていく必要があると思います。特に保健の先生方が今とても苦しんでらっしゃるわけです。保健室に子どもたちは駆け込んでくるけれども、校長先生や教育委員会が、性のことについてしゃべってはいけないというから、苦しんでらっしゃるとか、いろいろなことが起こっています。そのようなことについて、やはり2つの省庁で連携していただきたいと思います。
 もう一つは、日本学術会議と文科省と両方への御質問になるかもしれません。先ほどの桜井委員のお話とも関係しますが、科学研究に関するいろいろな財源として、省庁の財源もいろいろあると思いますけれども、そういう中で審査員にどれぐらい女性の比率があるのか、応募件数の女性比率、採択件数の実態がどんなになっているかについて、単に文部科学省の科学研究費補助金だけではなくて、日本学術振興会を通じるものだけではない、いろんな省庁に関してのデータをいただければありがたいと思います。
 先ほど、桜井委員が御質問になった文科省の科研費についてだけですと、資料4の一番上のページの清水課長がお話になった、文科省の資料の下の方に、旧姓使用とか通称使用ができるようになったと書いてありますが、非常勤講師としてどこかの大学で働いている人には、文科省の科学研究費が申請できるようなったんです。これについては20年ぐらいにわたり、JAICOWS(女性科学研究者の環境改善を推進する懇談会)という団体とか、ほかのいろいろな研究者の間で資料を集め、シンポジウムなどを開いてきておりました。非常勤講師には女性研究者が多いわけです。男性非常勤講師もありますけれど、東大名誉教授とかが、高齢の方が非常勤講師をしてらっしゃる場合が多いのです。女性は、ちょうど研究盛りの30代から40代前半の人が、フルタイム非常勤講師でいるということが多いわけです。
 それと同時に、この桜井委員がおっしゃったような、非常勤講師の職を得ていないけれども、もっと幅広く民間で研究をやっている人たちに対する研究助成が考えられます。これは何も女性だけではなく、男性の方も含めてのことでございますが、大事なことと思います。この点も質問したいのです。
岩男会長
今、原委員がおっしゃった、人を大切にするという、それは警察とも連携して、自分を大事にするという、つまり援助交際なんかの問題がありますので、警察との連携も必要になってくるのではないかと思いますので、一言。
 住田委員、お願いします。
住田委員
主に文部科学省だと思いますけれども、お願いいたします。働く女性が増えますと、働いている間、子どもがどうなっているか、保育園の間はいいんですけれども、小学校に入ってからの放課後と、それから学校5日制ということで、土曜日、日曜日の子どもの在り方というのが、非常に気になるんです。これについては、学校施設の開放でありますとか、奉仕活動とか、それからボランティア活動、自然体験活動等の場の機会の充実を図るというふうに書いてあるんですが、これらの受け皿について、どうも学童保育につきましても、公的なものから切り離しが進んでいるような気がしてならない、そういうお母さん方の不満を聞いております。これらの官民の連携をどういうふうに考えておられるのかということが、まずお尋ねしたい。
 そして、放課後と土日、お金がある親は、塾だとか、そういうところにやっているわけなんですけれども、そうじゃなくてぎりぎりの生活をしてらっしゃるおうちだと、子どもがほったらかしになってしまっている。そこを地域でうまく受け入れ先を見つけなければいけないのではないか、これらにつきもう少し組織的に何か考えていただけないかという気がしています。
 そのための1つの方策として、今後定年退職者が増えていき、そういう方々が地域に戻ってこられます。職業教育も含めて単なる自然体験活動だけでなく、職業教育を含めて子どもたちを地域に受け入れていただくような、そういうネットワークづくりの方向に持っていっていただけないかと思います。どうも今まで、男女共同参画、子育て支援も女性に対してしか向けられていないような気がしてなりません。そろそろ男性を、特に今まで社会の中で活躍されていた男性を取り込むような形で意識改革をしていただかないと、大きなつながりにならないのかなという気がしております。
 以上です。
岩男会長
私、文部科学省に1つ伺いたいことがあるんですけれども、よろしいでしょうか。国立、公立、私立を問わず、共学大学で女子学生だけのための奨学金を出しているところがあるのかどうか。つまりいろんな民間のものは別といたしまして、大学としてですね。
 2番目は関連して、理工系に進む女子のための奨学金を設けているところがあるかどうか、そういうものがあることによって、随分インセンティブが違ってくるので、やはり何かインセンティブがないとだめだと思うんですけれども、それを伺いたいと思います。
 ほかにどなたかよろしければ、それでは、手短に、林委員、山口委員に御質問いただいてお答えいただきたいと思います。
林委員
聞き漏らしたのかもしれませんが、先ほど厚生労働省の方で、女子学生に対する職業意識の醸成、意識啓発の実施というところで、就職ガイドブックというのを24万部という話がございますが、これは大学生を対象としたものだと思うんですが、女子高校生を対象としたものはここに出ていないように思いますけれども、これは高校生向けなんですか。
三富調査官(厚生労働省)
ガイドブックは大学生向けで、パンフレットが高校生向けということで、ガイドブックの後ろにパンフレットを同じく付けております。
林委員
もし付いているなら、私が見落としていましたが、先ほど五條先生がおっしゃったように、こういうものをやはり配って活用されているかという、先ほどの参画局のと同じですが、活用されてかどうかということの多少の把握はやらないと、おっしゃるように高校生に向けたものは、私も大阪府でつくって配布をして活用してもらうという経験をしましたけれども、部数の関係で本当に置いたままになっているということもあったり、直接高校生の手に届いていないとか、その趣旨について指導する側の先生が理解していないために、せっかくの予算を使ったものが無駄になっているという傾向があるので、是非ともその辺りの点検というのは、今後も継続されるならば重要だと思います。大変いい資料だとは思います。
山口委員
簡単に申し上げます。文科省に伺います。中学・高校は、進路指導に徹底的に影響を与える時期だと思いますけれども、やはり意識改革といった教室内というか、そこで終わってしまうことが多い、やはり私はもっと実践的な、将来多様な人生を選択するチャンスを与えるべきだと。その意味では、今、言った修学旅行、割合テーマ性を持ってやっているようですが、国内始め海外。修学旅行というのは、どういうふうになっているのか、減っている傾向なのか、私はやはり男女共同参画社会を視点にした修学旅行の奨励はいいんじゃないかと。人との出会い、仕事、そういう意味でそういう内容をちょっと伺いたいと思います。私が言いたいことは、実践的な役立つものを見てほしいというふうに思っているわけです。
岩男会長
それでは、文部科学省からお答えいただきたいと思います。
清水課長(文部科学省)
非常にたくさん御質問いただいたことと、それから大変申し上げありませんが、私のところで所管以外のところが大変多いものですから、十分なお答えできないところが多いと思いますが、そういったところは質問について担当課に伝えまして、また資料も含めて紹介させていただきたいと思います。
 幾つかお答えいたしますと、まず食育関係につきましては、総理から知育・徳育と体育に食育も加えるといったような形での演説もございましたし、文部科学省としても食育は大変力を入れているところでありまして、栄養教諭制度の創設などもございますので、そういった面からも食育については、さまざまな取り組みをしておりまして、議員立法でございますが、食育基本法といった動きもございます。今国会では、日程の関係上成立いたしませんでしたけれども、そういった中で農林水産省とも連絡を取りながら、さまざまな検討をしているところでございますので、この部分については更に充実をしていく方向にあると考えております。
 それから、就職関係につきましては、ちょっと4年生の秋からの就職対策といったことについては、担当課に伝えて、またどのような考え方であるのかといったことをお伝えしたいと思います。
古橋会長代理
通産省に関しては、募集を行わない配布をやるから、そこのところを直させないと。
清水課長(文部科学省)
それから、就職関係では、インターンシップ関係のものがございましたけれども、キャリア教育という観点から、大学部分、それから専門高校の部分でのインターンシップについては、各地域で協議会をつくり、また中央でもそういった協議会をつくって推進しているところでありまして、企業の側、それから学校の側にも両方メリットがあるというような形で、負担をかける企業の側に、そういった一定の利益があるようにといったような仕組みを考えながらやっているところかと思います。どういったような形で仕組みができるのかといったことは、また後で御報告させていただけたらと思います。
 それから、女性の生涯学習、女性のキャリア形成プランについてということでありますけれども、文部科学省でこの「多様なキャリアが社会を変える」第2次報告を出したところなんですが、文部科学省の範囲内と言うんでしょうか、考えておりますのは、むしろ職業、キャリアという言葉としては、職業だけではない、地域生活でありますとか、あるいは家庭生活まで含めた女性のさまざまなキャリアを広くとらえておりまして、それを社会の中で生かすと、社会の中で生かすということも勿論起業などをして、職業という面もありますし、さまざまな社会活動、地域活動に参加するということも含めて考えているところでありまして、具体策としてはそういったさまざまな能力を生かすための情報を簡単に得ることができるようにするとか、あるいはその足りない能力の部分といったものがあるんだとすれば、どこに行けばそういった学習ができるのかといったようなこと。そして、もし女性の学習機会がまだ足りない部分があるとすれば、大学とも連携をしながら、そういった学習機会を積極的につくっていくことが必要だということで、提言をいただいているところでして、今年度からの予算でございますけれども、各地域で大学と地方自治体、NPOなどが協力をした実行委員会をつくっていただいて、そういったモデル事業を支援していこうと思っております。
 それから、男性の社会参加というのが出てこないということがありましたけれども、確かに、家庭の中での育児への参加でありますとか、あるいは子育てという観点からのPTA活動への男性参加も大事かと思っておりますので、これは地域でのおやじの会とかいったような動きも今、出てきているところでございますので、そういったところとは連携を取りながら、男性の社会参加という面も進めていきたいと思っております。
 それから、科研費の応募要件については、原先生からもございましたけれども、この部分も後でお答えをさせていただけたらと思います。
 それから、地域のNPOと組んでやるときに、どういうふうに探しているのかという話がございましたけれども、基本的にはモデル事業の支援というような形が文部科学省の役割としてはありますので、各地域の都道府県、市町村の教育委員会が、地元で活躍しているNPOと相談をした上でこういったモデル事業をやりたいということを申請していただくというような形でNPOが選ばれている部分が多いかと思います。ただ、何らか参加したいというNPOがございましたら、文部科学省あてにお問い合わせいただければ、地方自治体とのつなぎをするといったようなことは、文部科学省の役割としてできるかと思いますので、そういった点はまずは地方の教育委員会にアタックしていただいても、あるいは文部科学省に直接にお話があってもよろしいかと思います。
 それから、学校教育の中での指導者の育成、教育といった面があったかと思いますが、文部科学省、学校の教員と言いますと、国の研修と地方の研修と現場の研修等、いろいろあるかと思いますが、文部科学省としては教員研修センターにおける「各地域の中核となる校長、教頭等の育成を目的とした」研修というのが国の役割としてありますので、そこのところを増やしていき、そこで研修を受けた方々が、それぞれの地域でもって、研修で得たものを広げていただくといったようなやり方を取っているということがございます。
 それから、教員に限らない形でありますけれども、女性教育の指導者育成につきましては、国立女性教育会館での研修がございますので、この部分については国の役割ということを重点化してということでございますけれども、重視していきたいと考えているところであります。
 あと性教育関係につきましては、確かにさまざまな議論がございまして、発達段階に応じて、また地域、親の方の了解を得ながら実施するようにといったような形で指導をしているところでありますが、実際にどういう形で性教育をしていくのがいいのかといった点については、担当の学校健康教育課において、厚生労働省などとも連携を取りながらやっているところかと思います。ここも詳細につきましては、また後日御報告をさせていただければと思います。
 あとは科学技術関係の審査員、あるいは応募、採択の実態の男女の比率といったようなデータにつきましては、これも後ほどご報告させていただきたいと思います。
 それから、子どもの放課後、土日の対策といったことでもございましたけれども、学童保育といったものもございますけれども、文部科学省といたしましても、必ずしも働いている両親の子どもということだけではなくて、子どもの体験活動を増やしていくという観点からも、また特にそこに地域の男性、定年退職された方も含めた地域の方が、そういった子どもの体験活動を支えるという活動が大事だということで、これも今年度からでありますが、子どもの居場所づくり事業ということで、放課後、週末に、子どもが来やすいところということですから、放課後の小学校などが一番多いわけでありますけれども、放課後の小学校などで地域の大人が力を結集して子どもの居場所をつくるんだといった事業を展開しておりまして、初年度4,000か所という形で進めておりまして、概算要求といたしましては、来年度更にこれを拡充していこうと考えているところであります。
 あと奨学金のお尋ねにつきましては、ちょっと申し訳ありませんが、担当に聞きたいと考えているところであります。
 落としているものがあるかもしれませんが。
古橋会長代理
キャリア教育実践プロジェクトというものがありますけれども、その内容は後で結構ですから、どういうふうに、受け入れ側に金を払うのか、そういうことはやってないのではないかと思いますけれども、どういうことを考えておられるのか、そして今、三位一体との関係で文部科学省の予算には問題がありますけれども、こういうことまでやるのか、こういうことはいいですよということを文部科学省が言って、あとは地元に任せるのか。そこら辺のことも含めて伺いたいので、あとで教えていただきたいと思います。
清水課長(文部科学省)
わかりました。
山口委員
私は、修学旅行の活用のことをお聞きしたんですけれども、後でまた伺えばいいです。所管外でしょうから。
清水課長(文部科学省)
修学旅行が、今、どういう実態かということは後でと思いますが、修学旅行の場合は各地域、それから各学校がかなり自主的にやるというところがございます。ただ、私も昨年まで佐賀県の教育委員会に出向しておりましたけれども、最近ではやはりこういった体験を入れたりとか、あるいは海外に行ったりということで、ただ楽しむという就学旅行ではないようにしようということを工夫する学校が増えてきているなということは感じております。
岩男会長
それでは、厚労省お願いいたします。
三富調査官(厚生労働省)
まず、24万部のガイドブックの効果的な配布をしているかという点でございますけれども、女子学生については、大学、短大合わせて就職希望者全員に行き渡る部数を確保しております。そして、配布する際には、大学で就職セミナーが行われる場合には、学生に説明する機会をできればいただきたいということも雇用均等室からお願いして、配布しております。
 それから、高校につきましては、14万部ということでして、基本的に一人ひとり行き渡るまでの配布数はございません。考え方といたしましては、基本的に学校の先生を通じて意識啓発を進めていただくというやり方を想定しております。
 その際に、教育委員会を通じて、あるいは安定行政が実施しておりますハローワーク等と連携した学校での職業教育といったようなところと連携しながら、なるべく高校生の方にも直接説明するような機会を、配布を通じてしたいということで取り組んでいるところでございます。
 それから、そもそもこのガイドブックとかパンフレットを作成する際に、文部科学省、あるいは学校当局とも連携を図っておりまして、そういった進路指導担当者の方の視点であるとか、現場の実感も反映されるように心がけております。
 勿論、文部科学省等から情報提供いただいたデータも活用させていただいておりますので、その辺は今後ともしっかり連携してやっていきたいと思っております。
 それから、五條先生の2点目の大学4年からの就職活動もしっかり就職できるようにという質問については、担当の方から御説明いたします。
(厚生労働省)
今ほどお話ありました、就職活動の早期化、学業との両立という点について御説明いたします。大学生の就職活動につきましては、就職採用情報交換連絡会議というものを、経済界の代表の方、それから大学の進路指導の担当者の代表の方を構成員といたしまして、文部科学省の方に事務局、私どもオブザーバー参加ということで会議を行っておりまして、こちらでいろいろ情報交換、協議を行っているところです。
 そうした内容も踏まえまして、御承知かと思いますけれども、産業界の方では自主的に守るべきものとして、新規学卒者の採用選考にかかる倫理憲章というものを定めて、また大学の方におかれましては、就職に関する申し合わせというものを策定されまして、それぞれが守り、それを相互に尊重するということで、これまでルールづくりをしているところです。
 ちなみに、来年度に関しましては、昨月お互いその申し合わせ、倫理憲章をつくられまして公表されたところです。その内容を見ましても、例えば、大学におきましては、3年生時の学内での採用選考に関わるようなことは自粛しようとか。あるいは、企業の方に関しましても、卒業年次に達しない学生に対する実質的な面接などの採用選考は自粛しようとか、そういう内容が盛り込まれているところです。
 これに加えまして、昨年度から日本経団連の方でこの倫理検証を自主的に守るのは当然なんですけれども、特に遵守しますという企業の共同宣言というのをとりまとめてらっしゃいまして、昨年度ですと三百数十社、今年はそれを若干上回る数でこの共同宣言に参加する企業がございまして、実際この効果と言えるかと思いますが、今年度の大学生の就職活動につきましては、若干前年よりも遅くなったというような御報告を聞いているところでございます。
 厚生労働省といたしましては、文部科学省とも連携しながら、この就職に関する申し合わせ倫理憲章を各企業に周知しているところでありますし、またこうした環境制度というものを今後も推進していきたいと考えております。
 それで、秋からの就職活動ということにつきまして、若干また補足しますと、私ども先ほど申し上げましたように、学生職業センターというような、学生向けのハローワークで大学生の就職支援を行っているところですが、民間の就職サービスは秋ぐらいから、特にこうした公的機関におきましては、合同企業説明会を集中的に開催したりですとか、あるいは求人企業さんの開拓をしたりとか、情報を提供したりとか、そういう形で秋以降も就職支援を強化するということを行っておりますので、今後ともそういった取り組みを推進していきたいと思っております。
 あと1点、高校のインターンシップにつきましてもお話がありましたので、御説明させていただきますと、高校生のインターンシップにつきましては、これまでも私ども文部科学省と連携しながら推進してきているところです。具体的には、文部科学省の方で学校での授業の中での組み入れということに関しての推進を、私どもといたしましては、その際に受け入れ企業が必要になりますので、そうしたところの開拓、調整といったところを役割分担しながら行っているところです。
 実際は、ハローワークの方が学校の御要望をお伺いして、日程ですとか、職種などに応じた企業さんを開拓して、学校の方と連絡して調整するということを行っておりまして、この際、質とか基準というお話がありましたが、特にそうしたものは設けておらず、御協力を得られるところに受け入れていただいているという実態があります。
 また、負担につきましては、特に直接的な金銭のお支払いというのはないんですけれども、仮に何か講師を呼んで講習を行った場合などについては、事業主の方に謝金相当をお支払いするという予算措置を私どもの方でもしているところです。
 また、実際日程調整とかそういったもろもろ非常に見えないコストがかかるんですが、そうしたものはハローワークの方で行っているというところでございます。
 このインターンシップにつきましては、体験学習の推進ということで、文部科学省の方も来年度から非常に力を入れられると聞いておりますが、私どもの方でもこうしたコーディネートを行う人員体制の整備等を行うことを検討しております。
三富調査官(厚生労働省)
続きまして、桜井委員の方から御質問のありましたデータの出処についてですが、平成16年5月に発表しました「平成15年度大学等卒業者就職状況調査」でございまして、平成16年4月1日現在についての状況でございます。
 これについては、数字は先ほど申しましたが、繰り返しますと、大学の就職率が93.1%で、男女別に見ると男子93.0%、女子93.1%という結果でございます。
桜井委員
あとでその母数が何かというのを教えてください。何分の何か。
三富調査官(厚生労働省)
はい。資料そのものでお渡しさせていただきたいと思います。
 それから、性教育に関しましてですが、先ほど文部科学省の方からご説明がございましたが、厚生労働省としても、10代の性感染症の増加でありますとか、妊娠中絶の増加といったことに非常に問題意識を持っております。思春期の方に対する健康相談といった施策は、重点事項として引き続きやっていきたいと思いますし、文部科学省との連携についても、しっかりと図っていきたいと思っております。 それから、住田先生の方から、定年退職者についても、地域に取り込み、職業教育も含め、子どもたちの地域での受入れ場所をつくるようなことを考えられないかという御意見がございましたが、シルバー人材センターにおいても、子育て支援をやっておりまして、そのシルバー人材センターの会員さんは女性ばかりではなくて男性もいらっしゃいます。実際に子育て支援に、男性がどのような関わり方をしているかというのは今、手元にございませんが、そういったことも通じまして、高齢世代の男性も含めた地域の子育て支援活動を今後とも進めていきたいと考えております。
 それから、渡辺先生からの御質問、家庭と職業を両立しながら働き続けることは難しいと。
渡辺委員
いえいえそうではなくて、就職指導に当たっているジョブカフェとか、こういう学生支援センターとかで働いていらっしゃる相談員の方々が、ジェンダーの問題とか、男女共同参画についてきちんと教育を受けて、その理念を持って指導してくれているのかどうか、そういう教育はなされているんでしょうかということで、相談の仕方とか、自己分析とか、それはもうどこでもやっていることですから、そのときに男性に特に必要になること、女性に特に必要になることがあるんじゃないでしょうか。
 そういう意味で、家庭との両立の問題ではなくて就職ということで、相談員の教育の中で入れているかということです。
三富調査官(厚生労働省)
相談員に対する研修の中のプログラムとしては、当然ながら入っていますが、十分研修の効果が上がっているというふうに思いたいところですが、現場でどのぐらいそういった意識が高まっているかといった効果の検証というところまでは、ちょっとできておりません。
岩男会長
それでは、時間も。ごめんなさい、どうぞ。
黒羽学術部長
原先生から、科研費の関係で御質問がございましたけれども、これまで学術会議では、科学研究費の審査について審査員の推薦ができるようになっておりましたけれども、それに際して恐らく女性比率というのは、念頭になかったんではないかと思っております。
 ただ、今度の改革で、学術会議は、政策提言機関としての機能を拡充するということで、その代わり、科研費の配分とか、その審査員の推薦とか、そういったことに関わる事務は行わないということにいたしたところでございます。今後審査員候補者の情報収集等の事務は学術振興会自ら実施するということになろうかと思います。
 それから、審査員の女性比率とか、科研費の申請件数、採択件数に関する女性比率の調査ということで、文部科学省か学術会議ということでございましたけれども、先ほど文部科学省の方でまとめてくださるということでございましたので、私どもの方でも、できましたら是非活用をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
岩男会長
ありがとうございました。それでは、予定の時間も過ぎておりますので、第10分野のヒアリングは以上とさせていただきたいと思います。御説明においでくださいまして、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。
 続きまして、資料6と7につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
定塚推進課長
資料6でございます。各委員から10月29日と11月5日にいただいている質問事項について、回答を各省庁に用意していただいております。説明は省略いたしますので、後ほどごらんいただきたいと思います。
 また、これ以降にいただいた質問についても、順次御提供申し上げたいと思います。
 資料7をごらんいただきたいと思います。1月以降のスケジュールについてでございます。12月につきましては、次回の会合で一応ヒアリングの終了となりますが、1月につきましては、第7回専門調査会を開かせていただきまして、計画の第3部の計画の推進体制等について御報告をいたします。
 また、併せて新たに盛り込むべき事項ということで、男女共同参画会議の有識者の当面の論点についての意見として、幾つか審議事項を示されております。例えば、科学技術や観光、まちづくり、地域おこし、環境といった分野、またそのほかに新たに盛り込むべき事項について御議論をいただきたいと考えております。
 その後、1月、2月には、起草ワーキングチームという形で、6回程度会合を開催したい。これは、1回について各2分野ずつ、プラス新規事項1回ぐらいと考えておりますが、会長と会長代理と各分野の担当委員、で御議論をいただく予定といたしております。
 また、このワーキングチームにつきましては、会長代理の古橋先生に中心となって進めていただきたいと考えております。
 その後、また専門調査会の方で3回程度論点整理案の検討、その後論点整理を公表いたしまして、国民からの意見募集、東京、そのほかの各地における意見交換会の後に、7月位に報告書の決定というスケジュールを予定しております。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。ただいま御説明がございましたように、起草ワーキングチーム、かなりタイトなスケジュールになっておりますけれども、各分野、御担当委員におかれましては、是非御協力をよろしくお願いをしたいと思います。
五條委員
1つ質問ですけれども、進め方についてなんですけれども、第7回の1月の調査会に関して、当初御説明いただいたときにフリートーキングということになっていた部分があるかと思うんですが、これで拝見すると、あらかじめ議題が決まっているようなんですが、フリートーキングのような場があるのかどうか、またフリートーキングがもしあるとすれば、それはどういうやり方になるのか。あるいは、各委員自ら提出したい資料があれば、そういうものは認められるのかどうか、その1月について、どういう形で行われるのか、12月中はあと1回しかありませんので、次回また1月の第7回会合のやり方についてお話いただければありがたいと思います。
定塚推進課長
1月の会合でこの2つに限らず御意見があれば伺いたいと思っております。
 なお、委員からの提出資料につきましては、ワーキングチームにおいて資料を提出していただきたいと考えております。
岩男会長
それでは、本日の議題は以上でございます。次回は、12月17日金曜日午前10時から、経済産業省の会議室において、第6分野、高齢者等が安心して暮らせる条件の整備。第8分野、生涯を通じた女性の健康支援。それに、第11分野の地球社会の平等・開発・平和への貢献につきまして、関係省のヒアリングを行います。
 それでは、これで閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

(以上)