第4回男女共同参画基本計画に関する専門調査会議事録

  • 日時: 平成16年11月22日(月) 10:00~12:05
  • 場所: 経済産業省別館1014号会議室
  1. 出席者
    岩男 壽美子
    会長
    古橋 源六郎
    会長代理
    石川 哲也
    委員
    鹿嶋 敬
    委員
    桂 靖雄
    委員
    神田 道子
    委員
    五條 満義
    委員
    佐藤 博樹
    委員
    庄司 洋子
    委員
    住田 裕子
    委員
    竹信 三恵子
    委員
    寺尾 美子
    委員
    原 ひろ子
    委員
    広岡 守穂
    委員
    古川 貞二郎
    委員
    山口 みつ子
    委員
  2. 議事
    • (1)開会
    • (2)関係府省ヒアリング(4 農山漁村における男女共同参画の確立)
    • (3)関係府省ヒアリング(5 男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援)
    • (4)閉会

    (配布資料)

    資料1
    男女共同参画基本計画推進状況調査(4 農山漁村における男女共同参画の確立) [PDF形式:29KB] 別ウインドウで開きます
    資料2
    男女共同参画基本計画に関する施策の評価等について(4 農山漁村における男女共同参画の確立)

    ○ 農林水産省作成資料

    資料3
    男女共同参画基本計画推進状況調査(5 男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援) [PDF形式:92KB] 別ウインドウで開きます
    資料4
    男女共同参画基本計画に関する施策の評価等について(5 男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援)
    資料5
    第1回男女共同参画基本計画に関する専門調査会議事録(案)
  3. 議事内容
岩男会長
おはようございます。遅れてお見えになる方もございますけれども、定刻になりましたので、ただいまから、男女共同参画基本計画に関する専門調査会の第4回会合を開催いたします。大変お忙しい中を御出席いただきまして、ありがとうございます。
 本日の議題は、関係府省ヒアリングの第3回といたしまして、第4分野の「農山漁村における男女共同参画の確立」及び第5分野の「男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援」について行います。
 議事次第のとおりでございますが、まず、第4分野の「農山漁村における男女共同の確立」について、農林水産省から御報告をお願いいたします。
 どうぞよろしくお願いいたします。
牛谷女性・高齢者対策推進室長(農林水産省)
農林水産省の女性・高齢者対策推進室長をしております牛谷です。よろしくお願いいたします。
 お手元の資料2に沿って御説明をさせていただきます。「農山漁村における男女共同参画の確立」ということで5項目に分かれておりますが、最初に、「あらゆる場における意識と行動の変革」ということで、農山漁村の場合、ややもすると昔からの慣習等にまだ縛られている部分がございます。こうした男女共同参画に向けた意識なり行動の変革のために、国、都道府県、市町村、それぞれの段階において、農村地域の女性の方、男性の方、関係団体、あと、リーダー的な女性農業者を対象に啓発資料の作成・配付、研修、シンポジウム、様々な手段を使いまして啓発活動を行っているところでございます。特に、3月10日は「農山漁村女性の日」ということで特別な日を定めまして、シンポジウムを行うなり、表彰活動を行うといった記念行事を開催することで一層の啓発活動を行っているところであります。
 また、いわゆる農水省のいろいろな補助事業がございますが、そういった補助事業の採択に当たっても、男女共同参画に向けた取組状況を加味するなり、また、そういったことに留意するということで、そういった内容を盛り込みました「農山漁村男女共同参画推進指針」を平成11年に示しているところであります。
 次に、いわゆる調査なり情報の提供ですが、そのうち調査・統計については、資料の1ページの真ん中ほどにございますように、毎年度それぞれ若干視点を変えておりますけれども、男女共同参画の実態なり、いろいろな意向の把握に努めているところであります。
 また、情報提供という観点ですけれども、女性農業者の方に情報がなかなか行き渡らないという声をよく聞くことがございます。そういったこともございまして、平成15年度から、毎月1回、希望する方に、国の方から直接電子メールで男女共同参画にかかわりますいろいろな行事なり、また、こういった研修をやっていますという情報を提供する形で、「ミニminiニュース」というものを発行しております。
 また、平成16年には、同じくメールを活用いたしまして、これも同様に農林水産省の方から、県、市町村、普及センター、JA、農業委員会等、いわゆる男女共同参画にかかわる現場の担当者の方に直接情報提供を行うという、そういった情報伝達、草の根運動というものを開始しております。
 さらには、これも平成16年度からですけれども、農山漁村の女性の声を直接聞こうということで、いわゆる施策なり制度なりに関する女性からの提案を、窓口を設置いたしまして、メールなりファックスなりでそれを受けつけているような状況でございます。
 「今後の方向性、検討課題等」ですけれども、いわゆる意識と行動の変革について言えば、引き続き、こういったいろいろな観点から、いろいろな主体が、いろいろな層に向けて啓発活動を展開していくことが重要であると考えております。特にそういった意識なり行動の変革のためには、それに対する影響力のある者といいますか、指導的立場にある方、また、リーダー的な女性農業者に対する普及啓発なり情報提供の実施が重要ではないかと考えております。
 また、後ほど少し御説明いたしますが、農山漁村における男女共同参画のことで特徴的なことを申し上げれば、最近、女性農業者の方が、いわゆる直売活動とか農産物の加工活動などが活発化しておりまして、そういったことを通じて地域がそれぞれ活性化するといった事例も出てまいりました。そういう意味では、今まで、どちらかというと、男の陰に隠れてなかなか表に出てくることができなかった女性の方が、こういった起業活動を通じて表に出てきて、そこでその実力を示すことで、逆に、そういったことが意識の改革、意識の変化につながっているという事例が多く見られます。
 そういう意味で、啓発を進めて経営参画を進めることも重要かと思いますけれども、逆に言いますと、研修の充実とか情報提供の充実を図りまして、女性のそういった経営参画を進めることで意識の改革をさらに促していくことが、啓発活動と同様に重要ではないかと考えております。
 2ページ目に、先ほど申し上げました「農山漁村女性の日」の実施要綱を載せております。
 3ページ目は、先ほど申し上げました「草の根」運動のパンフレットと申しますか、真ん中にありますけれども、これまでに 578件の登録依頼がございまして、そういった方にいろいろ情報を提供しているところであります。
 4ページ目に、「チャレンジ支援提案窓口」ということで、下の方に、インターネット、ファックス、電子メールということで、女性の方みずから農林水産省の方に、いろいろな提案なり悩みの相談といいますか、そういったものを受けつける場を設けているところでございます。
 次に、2番目の「政策・方針決定過程への女性の参画の促進」ということです。まず、都道府県なり市町村の男女共同参画に掲げるビジョンなり目標の策定状況ですが、これまでも農林水産省では、都道府県及び市町村における女性の参画目標や、ビジョンの策定の推進に取り組んでいるところでございます。
 各都道府県の状況は、次の6ページを御覧いただきたいのですけれども、そこに、都道府県の、いわゆる男女のパートナーシップに関する主要指標なり目標の設定状況がございます。各県それぞれ若干、目標なりの内容に違いはありますけれども、ほとんどの県で、こういった社会参画の目標なり、あと、右側にございますような経営参画に関する目標、家族経営協定に関する目標等を設定して取り組んでいるところでございます。
 次の7ページに、今度は、農山漁村女性ビジョンの策定状況についてということで、ほとんどの県で、それぞれの県が農山漁村の女性に関する、いわゆる男女共同参画に関するビジョンなり活動プランを設けて実際の活動をしているという状況にございます。
 次に8ページを御覧いただきます。今度は市町村段階のビジョン等の取組状況でございます。都道府県と比較しておわかりのように、市町村段階で策定している市町村が、全体で合計すると 181市町村ございます。非常に少ない感じがしますけれども、一部、例えば男女共同参画全体のビジョンを設けて、その中に農業分野のことを書いてあるものとか、あとは、いわゆる地域農業のマスタープランみたいなものをつくりまして、その中に、いわゆる男女共同参画の事項、目標なりを設定しているところがありますので、ここに挙げた数字はそういったものは除いて、単独での数字を載せさせていただいております。
 また5ページにお戻りいただきたいのですが、次に、いわゆるJAグループなり、全国農業会議所の取組でございます。こちらもそれぞれ独自の目標設定、例えばJAですと、平成12年の全国大会で、いわゆる合併JA当たり2名以上の女性役員を設けるとか、平成15年には、JAの理事総代に対して女性の選出枠を設けるという決議を行っております。また、農業会議所の方も、全国農業委員会の平成13年にありました会長大会におきまして、一農業委員会当たり複数の女性の方を登用するという決議をしております。
 そういった意味で、女性の登用を推進しているわけですけれども、実際、役員に占める女性の比率について、9ページを御覧いただきたいと思います。9ページの前段に農業委員会、また、農協の組合員と役員数、漁協の組合員役員数が載っております。一番上の農業委員会の数字なり農協役員の数字を御覧いただきたいと思いますが、農業委員会、農協の役員も、ある意味ではスタートラインといいますか、これまでは非常に低いという状況がございました。そういった意味で、依然として水準自体は低いのですけれども、年々増加している傾向にあるところでございます。
 また、審議会の状況ですけれども、同じく9ページの上から3つ目に「農業関係の審議会等における女性の登用割合」を載せております。これを御覧いただきますと、平成15年度におきましては28.8%ということで、おおむね目標の30%は今後十分に達成されるのではないかと考えております。
 また5ページに戻っていただきたいと思います。そのほか、女性の能力の開発なり適正な評価を推進していくということで、地域段階でエンパワーメント研修を行ったり、リーダー的な女性農業者を都道府県の知事が女性農業士等という形で認定するような取組も行っております。
 女性農業士関連のことを若干補足させていただきます。10ページを御覧いただきたいと思います。各県では、いわゆるリーダー的な農業者を認定することで、そういった方にいろいろな指導的な活動をやっていただくという仕組みがいろいろございます。一番上にありますのは、指導農業士ということで、いわゆる農村青少年の育成に指導的な地位を果たしている農業士、やや年配の方ですが、そういった方を指導農業士という形で都道府県が認定しております。
 また、青年農業士ということで、今度は若い層といいますか、35歳未満の方ですけれども、そういった中でリーダーになるような農業士青年の方を青年農業士として認定しているところでございます。こういった指導農業士、青年農業士の中にも女性を認定することで、男女共同参画に関する取組も、農業に関する指導活動の中でやっていただいているところでございます。
 その下にあります、いわゆる女性農業士ということですけれども、これにつきましても、こういった指導農業士なりとはまた別に、女性農業者の方から、農業経営なり農家生活の向上に意欲的に取り組んでいる方、いわゆる模範になるような方、リーダーとしてふさわしい方を育成するという目的で、こういった方を女性農業士ということで都道府県が認定しているところでございます。
 女性農業士という言い方をしたわけですが、一番下にありますように、各県によって若干、それぞれ名前のつけ方が違っております。国も、こういった、いわゆる女性農業士等の取組につきまして、補助事業を通じまして、国では男女共同参画アドバイザーという言い方をしておりますけれども、こういった都道府県における認定の手助けなり、あとは、こういった全国の女性農業士の方を集めたセミナーを開催する等の支援を行っているところでございます。
 1ページお戻りいただきまして、9ページに、そういった女性農業士の方の数の推移が載っております。指導農業士の中の女性の方、青年農業士の中の女性の方、あとは女性農業士ということで、年々増加の経過にございまして、平成15年には3つをあわせて約 8,000人という状況になっております。
 再び5ページにお戻りいただきたいと思います。今後の方向性なり検討課題ということです。いわゆる参画の目標等その他につきまして、全国都道府県段階では、先ほどの数字にもありましたように、目標を設定する等の取組が進んでおります。これをもう少し地域の現場レベルといいますか、もう少し下の方に浸透させていく必要があるということで、市町村なり農協等の地域段階において、より具体的な目標設定を加速化することが一つ重要ではないかと考えております。
 また、先ほど、女性の経営参画が意識改革につながったというお話をいたしました。社会参画についても、ある意味同様ではないかということで、例えば役員なり理事とかに登用された方が、その場で能力を発揮していただいて活躍されることが、その次といいますか、後続の方の進出につながるということで、そういった観点からも、女性農業委員や女性農業者等のリーダー的な女性のネットワーク化や、そういった人たちに対する先進な取組、知識・技術などの情報交換をより一層円滑化していくことが必要ではないかと考えているところであります。
 次に、11ページになります。3番目のテーマである「女性の経済的地位の向上と就業条件・環境の整備」について御説明いたします。
 まず、そこに挙げてあります家族経営協定ですけれども、家族経営協定は、農業の場合、経営の主体は家族農業経営でございます。そういった中で、家族が家族の中で話し合うことで経営方針なり経営における役割分担、実際の休日も含めた労働条件等を取り決めて、ソフトな契約という形ですけれども、取り決めるものが家族経営協定でございます。家族経営協定は、女性の方に対するメリットもそうですけれども、経営にかかわるすべての人がそのメリットを享受できるということで、農林水産省といたしましても、近代的な家族経営に向けての、いわゆる経営改善のツールとして締結を推進しているところでございます。そういった取組もございまして、締結農家数は年々増加傾向にございまして、平成16年で2万 8,734戸で締結されております。
 12ページに若干の資料をつけさせていただきました。そこに地域別の締結農家数なりを載せております。あと、下の方に「取り決めている家族経営協定の内容」ということで、何か画一的なものをこちらで押しつけているわけではなくて、それぞれの家族が話し合いで、その家族に合ったものを締結していただいております。中身を見ますと、最も多いのが労働時間なり休日に関する取り決めです。あと、実際の農業経営の方針決定、つまり、うちの家族経営はどういう感じの経営を目指していくのかという決定なり、あと、それぞれの役割分担をどうするかということ。また、いわゆる報酬なり収益の問題を定めているというものが特に多くなっております。当然、家族農業経営ですから、そういった経営のことを決める中で、どうしても生活の問題も出てきます。そういった問題についても、あわせて中で取り決めたりしている例も多く見られております。
 結び方ですけれども、最も多いのが、いわゆる夫婦間で、経営主の方と配偶者が約半数近く結んでいる形が多いです。それ以外にも、経営主の世代とその上の世代が結んだり、逆に、後継者に当たる息子さん世代と結んだりするようなケース、また、3世代にわたる締結という例も見られているところでございます。
 また11ページに戻っていただきたいのですが、農林水産省の方で、農業の担い手の基本となる者として位置づけられております認定農業者制度があります。認定農業者制度は、これまでは、1つの経営体で1名ということで、大体は男性の方が認定農業者として認定されることが多かったのですが、平成15年6月に、認定農業者制度の運用改善を行いました。これは、女性の方が農業経営において果たしている役割が非常に重要になってきたことを考えて行った措置ですけれども、女性の農業者も共同経営者として一緒に申請することができるということで、女性農業者の方もそういった担い手として位置づけられる認定農業者になる道を開いたところでございます。
 次に、女性の起業活動についてでございます。先ほど、活発になってきているということを申し上げました。国なり都道府県の方でも研修を行ったり、情報提供を行ったり、また、低利な資金を用意したり、加工施設に関する補助等も行っておりまして、女性起業の活動は年々取組がふえております。
 13ページに表を載せさせていただきました。先ほどの認定農業者の話も若干いたしますけれども、一番上に「女性認定農業者の推移」というものが載っております。認定農業者自身は約18万人いますが、そのうち女性のみが 3,600人。今まででも1戸1名ですから、女性の方でも多かったのですが、これはどういった方かというと、例えばだんなさんはサラリーマンをしていて農業をやっていない。女性の方が農業をやっている場合に、女性の方が認定農業士になるということですけれども、先ほど申しました運用改善というのは、女性の方は単なる補助労働者ということではなく、まさしく共同経営者として共同に申請するということです。始まったばかりで数はまだ少ないのですけれども、平成16年に、そこにありますように、81組の夫婦の方がこういった申請を行いました。これもこれからどんどん増やしていかなければいけないと考えております。
 次に、「女性起業数の推移」です。一番下にグラフとして載っております。年々増加しておりまして、8,186件の起業が起きている状況でございます。
 また11ページにお戻りいただきたいのですが、そのほかの取組といたしましては、簡単に申し上げますと、例えば農業機械とか農作業の安全を推進するという観点で、農林水産省でも農作業安全のための指針を出しております。その中でも、項目として、女性・年少者・高齢者の配慮事項ということで、例えば妊産婦の方の重労働なり深夜作業を行わないというような、そういった配慮事項を盛り込んだような形での指針を示しているとともに、いわゆる軽労化といいますか、省力化に向けた機械の開発等も行っているところでございます。
 また、平成15年度から、国なりでいろいろ支援を行っております。そういった支援内容がわかるようにということで、インターネットを通じて支援策を一元的に紹介しているということで、14ページに、これは農林水産省のホームページの中のある画面を抜き出したような形になっております。「農山漁村 女性のチャレンジ支援」ということで、資金を借りたい方、起業したい方、そういった方はこういったところをクリックしていただくと、それに関する情報にたどり着くことができるという支援を行っているところでございます。
 また11ページにお戻りいただきます。今後の方向性なり検討課題ということで、家族経営協定については、締結農家数が顕著に増加しておりますが、先ほどありましたように、就業農家に占める割合から見ますと、まだ1割にも満たないということで、必ずしも十分な状況であるとは言えないことから、引き続き締結の推進に向けた啓発活動を行っていきたいと考えております。
 また、女性起業については、先ほどのグラフにありましたように、いわゆる売上高で見ると300万円未満のものが多くなっております。そういった面で、今後さらに起業の高度化といいますか、そういったものを図っていく必要があると思いますし、また、繰り返しになりますが、女性認定農業士の拡大、経営の法人化も推進する必要があると考えております。
 先ほどは御説明しなかったのですけれども、14ページに、「女性が経営参画する上で必要な支援策」ということで取ったアンケートの結果を載せております。それを御覧になってもおわかりのように、こういった各種研修なり情報提供に関する要望が多く挙げられていることから、そういった支援をさらに一層強化していく必要があると考えておりますし、また、女性の資産形成のあり方についても今後は検討が必要ではないかと考えております。
 次に15ページを御覧いただきたいと思います。4番目のテーマです。「女性が住みやすく活動しやすい環境づくり」ということで、一つは子育ての問題がございます。女性の経営参画がどんどん進んできますと、そこでは子育ての問題がどうしても挙がってきます。そういった女性の農業活動と子育ての両立を支援するために、一つは、そういった託児機能や、女性の起業向けの研修機能をあわせてセットにしたような総合施設の整備に関する助成とか、あと、母性保護セミナー、農業分野における子育て相談員の研修などを行っております。また、いわゆる地域における補助労働力の確保の観点から、労働力の調整を行う農業ヘルパーセンターを、市町村なりJA等で取組を進めているところであります。
 また、一方で、環境整備の観点から申し上げますと、農林水産省では、農村整備事業というものを進めていく中で、住みやすく快適な生活環境の整備に向けて、いわゆる環境とか景観とか、農山漁村が持っている良さといいますか、そういったものに配慮した農村整備、住みやすい農村の整備を進めております。また、都市と農村の交流や女性農業者と消費者の交流、食育活動等、いわゆる農山漁村への理解の醸成を図るための取組も積極的に進めているところでございます。
 今後の方向性と検討課題についてですけれども、16ページに若干のデータを載せさせていただきました。いわゆる男女の農林水産漁業者の労働時間の比較です。これを御覧になっていただくとわかりますように、仕事の部分は女性の方は少ないのですけれども、やはり家事とか介護、育児等で時間を取られておりまして、女性の仕事時間は男性の1.2倍になっております。先ほどの14ページの経営参画を推進する上での課題も、介護サービスの充実ということがあったかと思いますけれども、女性が経営参画をする上では、家事、育児、介護等の負担が大きくて、経営に参画するゆとりがないということが一つの障壁になっております。
 これまで育児の問題というのは、農家の場合は時間的にわりと自由がきいて、家族も多いということで、どちらかというと、こういった育児の問題は都市の問題と考えられがちでした。ただ、農村においても、現在、高齢化が進んでおりますし、また、核家族化が進展しております。そういう意味で育児の問題は非常に重要になってきておりまして、地域を越えて、同じ立場にある女性農業者の子育てネットワーク活動の推進なり、また、その支援体制に関する優良事例を紹介するなど、今まで家族間で解決するだけではなくて、農業者間、さらに、農業者以外の人々も含めた地域全体でそういった支援をする体制づくりが今後は重要になってくるのではないかと考えているところでございます。
 最後になりましたが、17ページに、高齢者が安心して活動し、暮らせる条件の整備ということを掲げております。農業就業人口なり基幹的農業従事者の中に占める65歳以上の者は、農林水産業の場合、それが過半以上を占めているということで、お年寄りの方が非常に多いわけですけれども、そういった中で、農林水産省では、毎年10月を「農山漁村いきいき高齢者月間」と定めまして、高齢者のグループの方の優良活動に関する表彰を行うなど、「生涯現役」ということをキーワードにして普及啓発活動を行っております。一方で、農協の方ですけれども、平成15年度の全国大会で、高齢者福祉対策の取組の推進ということを決議するなど、これまでも福祉対策には農協もかなり力を入れております。
 18ページを御覧いただきたいと思います。JAの高齢者福祉活動ということで、真ん中の上の方に、ホームヘルパーの養成数を載せております。JAでは、そういったホームヘルパーの資格取得までの研修なり、また、介護技術の能力向上のための研修を行っておりまして、ホームヘルパーの数も年々ふえている状況にあります。
 また、その下に「JA助け合い組織設置数」がございます。組合員の方に任意の組織をつくっていただきまして、組合員のみならず、その地域の高齢者の方に、いわゆる声かけ運動なり安否の確認、配食のサービスとかを行ったりする等、福祉活動に力を入れているところでございます。
 17ページにお戻りいただきたいと思います。農林水産省の取組で、若干前後いたしますが、先ほどの普及啓発的な活動のほか、高齢者の活動を推進するということで、高齢者グループが行う農業生産活動や農業に対する支援、農業施設のバリアフリー化等を推進しております。
 また、一方、制度面では、社会保障で農業者年金制度というものを設けておりますけれども、これにつきましては制度の見直しをいたしまして、平成14年1月からは、これまでは難しかった女性の方、農地などの権利名義を持っていない女性の方でも加入が可能になるようにいたしまして、徐々にではありますけれども、そういった加入割合もふえているところでございます。
 「今後の方向性、検討課題等」ですけれども、地域の農業、農村の活性化のためには、女性を含めた高齢農業者が持つ生活の視点や経験・知識を活用するような環境を整備することが一つ重要になってきております。先ほど申し上げました起業活動の中でも、多くは女性の方、特に50代なり60代なりの方の活動が非常に顕著ですので、そういった、今まで持っていらっしゃるような生活の視点と経験を生かしていくような整備が必要であると考えております。
 あと、育児と同様に、むしろそれ以上といいますか、介護の問題が重要になってきております。農協の助け合い組織、ボランティア組織との連携を一層進めるとともに、同様に、地域全体でそういった支援をしていく体制づくりが現在課題としてあるのではないかと認識しているところでございます。
 時間を超過してしまいました。申し訳ございません。
岩男会長
ありがとうございました。それでは、45分ぐらいまでを、ただいまの御説明に対する質疑に充てたいと思っております。どうぞ。
五條委員
まず第1点目ですけれども、女性の経済的地位の向上に関連して、農山漁村の女性の資産形成の問題をめぐっては、資産形成の内容をよく検証していく必要があるのではないか。特に資産については、流通資産、固定資産、流動資産という形で分けることができると思いますが、中でも固定資産の形成については、これまで十分に踏み込んだ政策上の支援が行われてこなかったと考えられます。この固定資産の問題が、女性の共同経営者たる地位を確立する上でも、社会参画を促す上でも非常に重要な課題であると考えますが、固定資産の形成をめぐって、政策上、その誘導を図る各種の支援施策について、今後どのように考えているのか。現場での啓発活動などのことも含めて、農林水産省の今後の取組に関するお考えをお聞きしたいというのが第1点目であります。
 第2点目ですけれども、家族経営協定に関連してです。家族経営協定については、男女共同参画の要素を盛り込んだ内容をつくっていくことによって、農業の経営改善にもつながるという視点から、ぜひとも今回の基本計画に位置づけていくべきだと考えます。これに関連してお聞きしたい点は、現場での推進体制に対して、国や県がどのようにして今後一層バックアップを強化していくのか、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。特に、締結後のフォローアップ活動も含めて、今、現場で重要な課題になっております。
 それから、家族経営協定に関連しては、もう一つ、政策的な支援の中に一層盛り込んでいくことについてどのようにお考えなのか。特に、女性の共同経営者たる地位の確立に向けて各種の対策が今出てきております。まさに認定農業者の夫婦共同申請などは、女性の共同経営者たる地位を確立する上で重要な意義を持っていると思います。また、現場段階では、例えば徳島県でエコファーマーの認定を夫婦2人で受けたいという現場の要請に基づいて、家族経営協定を活用した独自の制度を創設し、夫婦2人をエコファーマーとして認定する仕組みなどもできております。お聞きしたい点は、こうした家族経営協定の仕組みを踏まえて、女性を共同経営者として社会的にも位置づける支援施策を一層整備・強化することをめぐり、関連する農林水産省からのコメントがあれば、賜りたいと思います。以上です。
岩男会長
お答えは、全部の御質問が終わってからにしたいと思います。それから、御質問は手短にお願いしたいと思います。
 原委員、どうぞ。
原委員
今回いただきました資料で、「農山漁村」と書いてあったり、「農山漁業者の生活時間」と書いてあるのですが、いただいた資料では漁家のことが非常に少ない。また、農協のことは書いてあるけど漁協のことは書いてないとか。漁家についても少し着目してデータを集めていただいて、今後の課題を発掘していただきたいと思います。コメントでございます。
岩男会長
古橋委員、鹿嶋委員の順でお願いします。
古橋会長代理
お話を伺っていて、農林省が一生懸命にやっておられることは、大変敬意を表したいと思います。まず、ジェンダー統計の中で、今、原さんが漁業について言われましたけれども、林業に関するジェンダー統計が全くない自体について、私は前から指摘しておりますけれども、今回もまた出てきておりません。この問題について、ぜひ整備をしていただきたい。これは基本計画の中に書かざるを得ないかもしれません。それがどの程度になっているのか、現状を教えていただきたい。
 2番目が、女性の起業ですけれども、直売であるとかいろいろなことがあって大変結構なことです。それに対する支援は、女性のチャレンジ支援ということではなくて、一部に書いてありますように、農山村と漁村との交流、それを通じてのいろいろな食文化であるとか、森林文化とか、あるいは、稲作文化とか、そういうものと都市文化との交流という意味で非常に重要であるという観点からも、ひとつ支援をしていただきたい。単なるチャレンジ支援ではない、別の大きな意味があるという点もひとつ考えていただきたい。
 それから、家族経営協定について、2万 8,734という内訳がありましたけれども、そのうち販売農家と主業農家の割合はどうなっているのか。と申しますのは、私はそろそろ、家族経営協定について、ゴール・アンド・タイムテーブル方式を農林省としてもある程度考えるべきではないかと思っております。今見てまいりますと、一部の都道府県の場合においてはゴール・アンド・タイムテーブル方式がある程度取られておりますけれども、国としてもこれのゴール・アンド・タイムテーブル方式的なものをつくって、それに応じて努力しているということが必要なのではないかと思います。この2万 8,734というのは非常に少ないわけですが、そのうち主業農家について何%とするのか、販売農家に対して何%にするかという目標を設定する必要があると思いますので、それらの分析のこともありまして、これらのことを教えていただきたいということであります。
 それから、農村における託児所の問題については、従来、農繁期における託児所の開設時間の問題がありました。これについてはどのように配慮されているのかということをお伺いしたいと思います。以上です。
鹿嶋委員
家族経営協定ですけれども、農水省はがんばっているとは思いますけれども、やはり販売農家戸数の1%台というのは、余りにも少なすぎる。私どもが取材で接する締結農家というのは、やはり大規模農業家庭が多くて、そういうところは女性もそれなりに地位を持っていて、家庭内でこういう問題が話し合えるような雰囲気があるのですけれども、そういう人たちと話していると、やはり小さな農業家庭の中では、そういうことすら切り出せない女性たちがかなりいる、私たちはまだいい方ですよという声を大分聞きます。では、そういうことをどのように発掘していけばいいのか。それから、都道府県で、北陸の県は目標戸数が大分少ないですね。締結目標戸数が少ない都道府県によるばらつき、農業県でも大分ばらつきがあるので、そのあたりをどのように埋めていくのかということをお聞きしたいです。
 あとは一緒です。漁業と林業はどうなっているのかと常々思っていますので、教えてください。
岩男会長
広岡委員、どうぞ。
広岡委員
家族経営協定のことですけれども、目標値とか基準になる数字を設定して進めていくことが大事ではないかと思います。ほかのことでも、数値がどのくらい進んでいるのか正確にわからなかったのですが、何%で、その進みぐあいがどうで、どんなふうに考えているのかはっきりわからなかったので、そういうこともわかればいいかなと思いました。
 家族経営協定は、地域によって大分格差があると思いますが、こういう地域差が出る原因は何なのでしょうか。ぜひそれを納得できるように説明していただきたいと思います。
 それから、女性農業士とか認定農業士ですが、実際に農業をやっている人は60%が女性だと言われますよね。農家にお嫁に行って、補助的に農業をやって、実質は主力になっているというケースが多いのかもしれませんけれども、もともとは、働くこと、結婚すること、家族を持つことは切り離すのが現代社会の本当のあり方なのではないかと思います。法人の経営といいますか、有史以来ずうっと家族で経営してきているのでしょうけれども、本当は、家族経営協定というよりも、もうちょっと個人的な話なのだろうという気がします。実際の女性農業士や認定農業士の中の女性の数字が余り低いので、ちょっと深刻だなという感じがします。ぜひ、これを増やすような努力が必要なのではないかと思います。
岩男会長
すみませんが、時間がありませんので、ここまでにしてお答えをいただいて、第4分野はおしまいにさせていただきたいと思います。
牛谷室長(農林水産省)
それでは、最初に、五條委員からいただきました女性の資産形成、特に固定資産の関連です。以前ですと、農地とかは個人の資産というよりも家の資産、家産という考え方が主流を占めていました。今でもかなり主流を占めていることは事実だと思いますけれども、そういった中で、最近は、家族の中でも、また、女性の方自身も、その考え方が多様化してきたのではないか。中には、女性の方でも固定資産を持ちたい、その動機も様々で、いわゆる資産を形成したいと思っておられる方、あとは、自分も経営に参画していることの精神的な支えとして、何か形になるものが欲しいと思っておられる方も多いと思います。一方で、逆に、そういった固定資産は要らないということもありますので、少なくとも、そういった固定資産を持ちたいという方に対する道というか、こういった情報提供なり、そういったことの道は開いていきたいということで、そういったことの情報提供は十分にしていきたいと考えております。
 もう一つは、農山漁村の林なり水の点で、林水は、申し訳ないのですがデータが少なくて、今回も余りつけられませんでした。農業の場合は6割が女性ですけれども、林水では2割以下ということと、労働の質も、経営に参画できる環境も違っているとは思うのですけれども、そういった面での情報がまだ非常に少ないのが事実ですので、これは今後ともしっかりとっていかないといけないと思っております。
 あと、家族経営協定についてでございます。どういった形でフォローアップしていくかということですけれども、先ほどの認定農業者制度は共同申請ができると言いましたけれども、それの一つの条件に家族経営協定を締結することを入れております。そういった形で進めていきたい、そういったことも通じて進めていきたいと思うのですけれども、女性農業士の方はまだ数が少ないですけれども、やり始めた平成7~8年ごろというのはまだ、家族を縛るものという意識がかなり強かったと思います。こうやって、例えば締結数が3万人ぐらいにふえてきますと、それぞれの地域に、ある程度の模範になる人が出てきましたので、一つはそういった方、同じ視線で考えられる人を活用する形で今後は進めていけないかということを考えております。
 目標設定に関する考え方ですが、家族経営協定は、こちらでも力を入れて進めていますけれども、一方で、一部にはバックフラッシュ的な動きもございます。一つは、家族経営協定が家族を縛るものだという誤解もあると思いますけれども、もう一方では、家族経営協定が徐々に入ってきたのは、それが非常にソフトであったから。行政も、一たん口ききをして、あとは家族同士の話し合いに任せるといったことが重要だと思いますし、そういう意味では、家族経営協定は今後とも農水省としても進めていきますけれども、どういったやり方が一番スムーズにやっていけるかということは、農業関連で言いますと、今、新しい基本法の検討を来年3月に向けて行っておりまして、そういった中でも家族経営協定も含めて女性の経営参画に向けての施策を検討しておりますので、引き続き検討をしていきたいと思っている次第であります。
 託児所の関連は、育児の問題が、正直言いまして、地域レベル、国でも、まだそんなに進んでいないという気がしております。そういう意味では、こちらも、まず情報をいろいろ収集するなり、事情を把握するところからそれなりのことをやっていかなければいけないと考えているところです。
古橋会長代理
あと、2万8,000の内訳を教えてください。12ページの 1.3%は全体に対する割合でしょう。そうではなくて、2万 8,734のうち販売農家数と主業農家があるかということを聞いているわけです。そうしないと、政策を立てるときに、この2万8,000は主業農家が多いとなると、主業農家の方を基礎としてやっていかなければいけない。
牛谷室長(農林水産省)
いわゆる家族経営協定を結んでいる方の7割が認定農業者になりますから、そういう意味では、主業の方が多いと思います。
古橋会長代理
主業がほとんどと。7割と考えていいわけですか。
牛谷室長(農林水産省)
認定農業者の方が7割いますから、それをさらに上回っていると思います。
岩男会長
まだお手も挙がっていましたし、私自身も伺いたいこともございますし、今の答えで十分に納得されていない点もあると思いますので、改めてまた書面で御質問させていただきたいと思いますので、よろしく御協力をお願いしたいと思います。
牛谷室長(農林水産省)
わかりました。
岩男会長
本日は本当にありがとうございました。
 急ぎますけれども、これで第4分野のヒアリングを終了させていただきたいと思います。
 次に、第5分野の「男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援」について、関係府省からの御報告をお願いいたします。質疑応答につきましては、これまでどおり、すべての説明が終わってからにさせていただきたいと思います。
 まず、厚生労働省からお願いをいたします。
三富雇用均等・児童家庭局総務課調査官(厚生労働省)
それでは、「多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実」という施策から御説明いたします。
 この施策は、大きく3つに分けておりますが、総括的な取組状況と評価ということで、一番上にまとめております。まず、エンゼルプランは平成7年度から始まり16年度まで2期にわたって実施してきております。また、待機児童ゼロ作戦につきましては、平成14年度から16年度の3年度ということでそれぞれ取組をしてきております。この取組の結果、保育サービスの拡充等が行われまして、量的な増加は進展が見られたのではないかと考えておりますが、保育ニーズがその時点からさらに増加していることから、待機児童はまだ多数存在しておりますし、また、多様な保育サービスへのニーズも依然として高い状況でございます。
 また、最近の情勢としまして、地域共同体の機能が失われていく中で、身近な地域に相談できる人がいないといった在宅の専業主婦家庭で子育て支援サービスが行き渡っていないというような深刻な状況も見られます。
 以下、保育サービス等につきまして、各論で主なところを御説明いたします。
 まず、「待機児童ゼロ作戦の推進」につきましては、先ほど言いましたような形で進めてきております。平成14年度は受入れ児童数が 5.4万人増、15年度は 5.8万人増ということで、ここ最近で見てみますと、5年ぶりに待機児童の数は減少しております。ただ、受入れ児童が増えているにもかかわらず、先ほどのような保育ニーズの増加といった背景をもとに、いまだに待機児童は2万 4,000人存在しているという状況でございます。
 続きまして、「多様な保育サービスの提供」につきましては、取組状況の推進状況調べの1ページ目のところで、「保育サービスの整備」という欄で、新エンゼルプランに基づいてそれぞれ多様な保育サービスのメニューごとに、13年度から16年度までの数値、実施状況を記してございます。これを見ていただきますとわかりますように、数値的に達成したものもありますし、まだまだ数値的にも達成していないものとに分かれております。例えば低年齢児の受け入れの拡大、延長保育、休日保育といったところについては、おおむね数値については達成間近、あるいは、達成している状況ですが、さらなる保育ニーズの多様化といったことで、いまだに十分なニーズに達しているという評価はできないと考えております。ですから、さらなる新しいプランの中でさらに推進していくことが必要と考えております。
 また、数値的にも達していないものとして、例えば乳幼児健康支援一時預かりといった施策がございます。この乳幼児健康支援一時預かりにつきましては、子育て支援の場合のニーズが高いものがありますが、数値的にはなかなか達成できていない状況であることから、国の負担率を、平成16年度につきましては3分の1から2分の1に引き上げて、さらなる取組の推進を図っているところでございます。
 それから、「総合施設の検討」につきましては、いわゆる骨太の方針で検討することとされておりまして、現在、文部科学省と連携しながら検討を進めているところです。ここに書いておりますように、平成17年度にモデル事業を実施し、平成18年度に本格実施というスケジュールで進めております。本日は時間がありませんが、中間まとめについては8ページ以降に参考までに載せておりますので御参照ください。
 続きまして、「放課後児童対策の充実」です。放課後児童対策につきましても、小学校就学後の子どものケアということで、新エンゼルプランに基づきまして計画的な整備を図っているところです。
 3点目の「子育てに関する相談支援体制の整備」につきましては、先ほど申しましたように、身近な地域に相談できる人がいないといった子育て事情を勘案いたしまして、「つどいの広場」事業、地域子育て支援センターといったようなことで、気軽な親子の集いの広場をつくったり、子育てサークルの支援等を行うなど、地域全体で子育てを支援する体制をつくることで進めているところです。
 2ページ目に参りまして、「今後の方向性、検討課題等」についてです。昨年成立した、「次世代育成支援対策推進法」におきまして、行動計画の策定等が、国、地方公共団体、301人以上規模の企業に義務づけられたところでございます。今後は、実効性ある行動計画の策定・実施を支援するとともに、政府においては、本年6月に「少子化社会対策大綱」を策定しまして、新エンゼルプランに代わる新たなプランを本年中に策定することとしております。
 このプランの中は、地方公共団体で検討されている行動計画等も踏まえた上で、保育関係事業のみならず、働き方の見直し、教育、まちづくり等幅広い分野も含め、総合的な取組がどのように進んでいくかが目に見え、さらに、子どもを生み育てやすい環境整備が着実に進んでいる実感が持てるようなものとなるよう、現在検討しているところでございます。
 続きまして、21ページに参りまして、ひとり親対策について説明いたします。ひとり親対策につきましては、平成14年に母子寡婦福祉法が改正されまして、児童扶養手当中心の支援から、母親と子どもの自立支援へという転換を図っているところでございます。具体的には、子育て・生活支援策、就業支援策、養育費の確保策、経済的支援策などの主なメニューについて、総合的な母子家庭対策を推進しているところです。
 例えば、子育て・生活支援策としましては、母子家庭に対して家事援助を行う母子家庭等日常生活支援事業、それから、突発的に子どもを見れないといったような事情に対して、児童福祉施設で子どもを預かる子育て短期支援事業等を行っております。それから、重要な就業支援策につきましては、平成15年度から、母子家庭等就業・自立支援センターによる就業相談等を行っているところでございます。
 さらに、母子家庭の母の職業能力開発ということで、従来から公共職業訓練は行っているところですが、自立支援教育訓練給付金事業を行っておりまして、平成15年度から自立支援教育訓練給付事業と高等技能訓練促進費事業を実施しております。この自立支援教育訓練給付金事業というのは、雇用保険の教育訓練給付の受給資格のない母親が、そういった教育訓練講座を受講した場合に、受講料の40%まで支給するというメニューでございます。さらに、高等技能促進費事業については、例えば介護福祉士、看護師等国家資格を要するような高度な技術を取得しようとするお母さん方に、生活費を、1年を限度に給付するということで組み立てている事業でございます。そうしたメニューを使いまして、できる限り職業能力の開発を図り、高度な就業機会を提供することを支援するということでございます。
 その下、母子家庭の母の雇用・就業機会の増大を図るため、常用雇用転換奨励金事業を実施しておりまして、これは、パートから常用に転換した事業主に対しまして、1人当たり30万円を給付するという事業でございます。こうしたことで職業生活の安定を図るとともに養育費の確保策、経済支援策ということで、引き続きそういったものも実施しているところです。
 「今後の方向性・検討課題等」でございますが、平成20年度から児童扶養手当の受給期間が5年以上になったものに対して減額措置が導入されることが決まっております。これについては、どういった減額措置かということは今後の状況を見ながら具体的なことを検討するわけですが、こうした背景を踏まえまして、引き続き母子家庭の母の生活の安定と自立の促進に向けた取組を積極的に推進することを考えております。
 22ページに参りまして、「仕事と育児・介護の両立のための雇用環境の整備」でございます。これも大きく3つに分けておりますが、一番上の「仕事と育児・介護とを両立しやすい雇用環境の整備」につきましては、先ほどの次世代育成支援対策推進法について、これは一般事業主に対する行動計画の策定・実施の周知・啓発を今進めているところでございます。あわせまして、子育て・介護支援の取組に対する評価ということで、ファミリー・フレンドリー・サイトを利用することによりまして、企業が、いかに自分の企業が両立の観点からの取組を行っているかといったようなことが客観的な指標としてわかる「両立指標」の活用促進、あるいは、ファミリー・フレンドリー企業表彰等を通じたファミリー・フレンドリー企業の普及促進といったような手段を通じまして、子育て・介護支援の取組を自主的に進めていただくようにお願いしております。
 ファミリー・フレンドリー企業の表彰につきましては、平成11年度から始めておりますが、既に大臣表彰が21企業、労働局長表彰が206企業ということで進んできておりまして、ファミリー・フレンドリーという考え方への企業への理解もかなり進んできているのではないかと考えております。
 その下の「育児・介護休業法に基づく周知・指導等」でございます。これにつきましては、具体的に、1つ目に書いております育児・介護休業を取得しやすい雇用環境の整備が大事だということで、例えば勤務時間短縮の措置、時間外労働の免除を請求することができる制度等につきまして、事業主に対する指導を行っております。また、事業主、労働者、双方に対して、職業生活と家庭の両立の重要性についての周知・啓発に取り組んでおりまして、育児・介護を両立しやすい企業風土づくりに努めております。
 さらに、労働者側から育児・介護休業を取りたいといった申し入れをしたときに不利益な取扱いをされる事案もありますので、そういった相談に的確に対応するとともに、事業主に対して適切に厳しく指導を行っているということで、その結果、ほとんどが解決に至っている状況でございます。
 それから、「次世代育成支援に関する当面の取組方針」等につきましては、育児休業の取得率の目標値を掲げております。女性については80%、男性については10%という目標を掲げておりますが、こうしたことも目安にしながら、企業への働きかけを進めているところでございます。
 さらに、育児・介護休業給付につきましても支給しているところで、あわせて助成金等で事業主の取組を促していくということです。
 「その他の両立支援」といたしまして、ファミリー・サポート・センターという事業を行っております。これは、急な残業など、変則的な保育ニーズに対応するために、地域の家庭でお子さんを預かるといったようなことでございます。地域における子育て支援の一環ということで、平成15年度は301か所の設置が進んでいるところでございます。あわせて各種のサービスということで相談事業を行っております。
 「今後の方向性、検討課題等」ですが、新エンゼルプラン後の新たなプランということで、仕事と育児・介護の両立についてもその新しいプランの中で引き続き積極的に進めたいと考えております。特に、働き方の見直しということがこれまでの新エンゼルプラン以上に重要なテーマとなっておりますので、そのあたりを重点的に進める必要があるであろうと考えております。
 現在、国会において育児・介護休業法改正法案を審議いただいているところですが、その成立後は、その積極的な周知に努め、制度の十分な活用を図るといったことを進めたいと思っております。
 続きまして、34ページに参りまして、「ボランティア活動等の参加促進のための環境整備」について御説明いたします。
 まず1点目、「勤労者マルチライフ支援事業」ということで、平成13年度から15年度までを第1期、平成16年度から18年度を第2期といたしまして、地域の事業主団体等と連携して、企業の担当者を対象としたセミナー等を行いまして、勤労者がボランティア活動に参加できるような基盤整備を行っております。アンケート調査によりまして、平成15年度の結果を見ますと、ボランティアへの参加意欲が高まったという評価が半数以上から得られております。
 その下に4点ほど挙げておりますが、これは、勤労者と離れて、幅広いボランティア活動推進事業ということで、1点目が全国的なもの、2点目が都道府県・指定都市単位の中規模のリーダーあるいはコーディネーター養成・研修等の事業、3点目が身近な市町村単位の住民からの相談・登録・あっせん、入門講座といった事業について記述してございます。時間がありませんので、細かい説明は省略いたします。
 「今後の方向性、検討課題等」についてですが、勤労者マルチライフ支援事業につきましては、第2期に、引き続き12地域を選定して行うこととしております。それから、ボランティア活動全般的なものについても引き続き進めるということで考えております。
 次に、36ページへ参りまして、「労働時間の短縮等就業条件の整備」でございます。労働時間につきましては、昭和62年の経済審議会におきまして、年間総実労働時間1,800時間の達成・定着ということが政府目標として既定されております。その後、数々の法改正等が行われておりますが、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法ができたのが平成4年度ということで、平成4年度から15年度までの進捗状況をここに掲載しております。総実労働時間で見ますと、1,950時間が1,853時間ということで短縮が図られているところですが、いまだ1,800時間達成には遠いところです。
 ただ、この内訳を見てみますと、所定外労働時間についての進捗は、平成4年度が144時間だったものが147時間ということで、3時間の増です。もっぱら短縮されたのは所定内労働時間であるということでございます。
 その下に、労働時間短縮の3本柱ということで掲げてございます。まず、週40時間労働制の遵守の徹底です。平成14年度調査によりますと、所定労働時間が40時間以下である事業所の割合は約9割ということで、おおむね定着は図られているところです。
 年休の取得促進についてですが、平成16年の取得率が47.4%ということで、引き続きいろいろな周知・啓発等を中心とした施策が必要かと考えております。平成4年度との進捗状況で比較してみましても、年休取得率はやや減少しておりますし、取得日数についても9日から8.5日ということで減少しているということで、これについてはさらなる取組が必要ということです。
 3点目として、所定外労働の削減でございますが、時間外労働については限度基準というものが定められておりまして、その限度時間を超えて行う場合には、「特別条項付き協定」というものを結ぶ必要があります。特別な事情がある場合については、そうした協定を結ぶことによって時間外労働が可能になるわけですが、一部の事業所においては、その「特別条項付き協定」を基に恒常的な時間外労働が行われていたということで、平成16年4月施行になっておりますが、特別な事情というのはあくまでも臨時的なものに限るということで、恒常的な時間外労働が行われないような適正化の指導を行っているところです。また、所定外労働削減要綱の周知等を行いまして、職場全体として労使の意識の変革を図り、所定外労働時間の削減を図っているところです。
 その下です。労働時間短縮支援センターにおける中小企業等に対する指導・援助については、ここに書いてあるとおりでございます。説明は省略させていただきます。
 その下の「フレックスタイム制等の普及」ですが、柔軟な働き方ということで、平成15年に労働基準法を改正いたしまして、専門業務型の裁量労働制については労使協定によって健康・福祉確保措置といった導入が必要ですが、ある程度制度の基本的枠組みを維持しながら、制度が有効に機能できるような方向に持っていくために、制度の導入・運用についての要件手続を緩和したところでございます。
 例えば、対象事業所を本社等に限定しない、労使委員会の決議を全会一致から5分の4の多数決にするといったようなことで、基本的な枠組みは維持されておりますが、導入が進んでいないことを少し改善できるのではないかということで、これも進捗状況を引き続き見ていく必要があるということでございます。それから、フレックスタイム制等弾力的労働時間制度については、集団指導等の際に、パンフレット等を活用いたしまして普及・促進に努めているところです。
 「今後の方向性、検討課題等」についてですが、労働時間の短縮につきましては、年間総実労働時間1,800時間の達成、定着を図るために、年休の取得促進、所定外労働時間の削減に重点を置いて引き続き取組を進めることにしております。
 労働時間が子育てに及ぼす影響についても少なからずあることがいろいろな調査でわかっております。男女共同参画の観点からも非常に重要なポイントであり、引き続き働き方の見直しは新新エンゼルプランの中でも進めていく必要があると考えております。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。それでは、引き続きまして、文部科学省からお願いいたします。
清水生涯学習政策局男女共同参画学習課長(文部科学省)
よろしくお願いいたします。
 資料4の38ページからでございます。文部科学省といたしましては、家庭教育の支援などによる子育て支援施策が1点。2点目といたしましては、教育施策を通じた家庭生活・地域生活への男女の共同参画の促進。この2点について説明をさせていただきます。
 まず、子育て支援策の充実です。第1として、「幼稚園における子育て支援の充実」です。幼稚園の通常の教育時間の前後や長期休業期間中など、通常の教育時間以外に幼児を預かる「預かり保育」、また、子育て相談などの子育て支援を実施する幼稚園に対して支援を行うことで、幼稚園における子育て支援のより一層の充実に努めているところであります。
 また、幼稚園と保育所のそれぞれの特性を生かしながら連携を強化するといった方向では、幼稚園教員の資格認定試験の実施とか、合同活動、合同研修、保護者交流などを行う調査研究などを実施しているところであります。
 2点目の「就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した『総合施設』について」は、厚生労働省から説明があったところですので省略させていただきます。
 3点目の「子育てに関する相談支援体制の整備(家庭教育に対する支援)」についてです。家庭教育に関する相談体制につきましては、各都道府県の教育委員会などで家庭教育の電話相談などを実施してきているところですが、さらに、子育てやしつけに関する悩みを持つ親に対して気軽に相談に乗ったり、きめ細かなアドバイスを行うことのできる子育て経験者などの「子育てサポーター」の全国配置、資質・能力の向上などを促進する事業を実施してきております。
 また、家庭教育相談についても、できるだけ時間を長く、夜にでも電話が通じるようにということで、家庭教育24時間電話相談事業を整備するための調査研究などを実施してまいりました。そして、今、力を入れているのが、行政だけではなかなか十分な家庭教育のきめ細かな支援はできないだろうということで、子育てサークルや、子育てサークルがさらにネットワークをつくった子育てネットワークといった子育て支援団体等と行政が連携した施策を推進するための事業を推進しているところであります。
 そのほか、家庭教育に関する学習機会や情報提供として、家庭教育のビデオの作成、全国的な子育て講座開設の支援、子育てのヒント集としての家庭教育手帳を作成しまして、乳幼児や小・中学生を持つ全国の親に対して配布する事業を実施してきているところであります。
 また、子育てネットワーク支援づくりの充実を図るためには、独立行政法人国立女性教育会館におきまして、子育てネットワークに関する協議会の開催、データベースの充実なども図ってきているところであります。
 4点目が「児童虐待への取組の推進」でございます。今説明いたしました家庭教育への支援を通じた子育ての悩み、不安の解消に努めることによって児童虐待などの予防を図るといったこともございますけれども、これに加えまして、厚生労働省とも連携しまして、児童虐待防止法の制定・改正の際に通知を発出するなど、特に、早期発見・対応などについて関係機関との連携を図ること、学校などから児童相談所への通告義務に関することなど、学校教育及び社会教育関係者に対して周知を図っているところであります。
 次のページの「評価」ですが、幼稚園の「預かり保育」につきましては、実施率が約68%ですけれども、年々徐々に上昇してきているところであります。
 また、家庭教育の支援につきましては、42ページに文部科学省における政策評価の全体の取りまとめと、その次のページ以降に細かいものをつけておりますけれども、妊娠期の子育て講座、就学時健診時の子育て講座、思春期の子どもを持つ子育て講座とか、家庭教育手帳の配布、電話等による相談など目標値を設定して推進してきたところでありますけれども、これについては、目標に向けておおむね順調に進捗しているといった状況でございます。
 次に、児童虐待の取組につきましては、最近でも深刻な虐待事例が続発しているところですので、引き続き取り組んでいく必要があると考えております。
 これを受けまして、「今後の方向性、検討課題等」についてでありますが、家庭教育支援などのこれまでの取組事業の確実な推進を図ることが第1であります。また、これらの事業については、基本的に直接実施するのは地方自治体であることが大変多いところでもありますので、地方公共団体等において実質的な取組が行われるよう要請を図っているところであります。
 「総合施設」は省略いたしまして、3つ目の○印、家庭教育につきましては、先ほども申し上げましたけれども、行政と子育て支援団体が連携して、すべての親に対してきめ細かな家庭教育支援をしていく、そういった体制をつくっていこうということで事業の充実を図っております。また、新しく現在検討している、概算要求している事業としましては、ITを活用した、携帯電話によるメールなどを活用した家庭教育支援手法の開発・普及といったことを考えているところでございます。
 最後に、児童虐待につきましては、今までの施策の充実を図るとともに、平成17年度から、学校・教育委員会における児童虐待防止に向けた取組に関する調査研究を行うこととしているところであります。
 続きまして、「家庭生活・地域生活への男女の共同参画の促進」についてであります。まず、家庭生活への男女の共同参画の促進事業ですが、最初に申し上げますと、広くここをとらえますと、学校教育への取組、国立女性教育会館における女性教育の取組など様々ございますけれども、それらにつきましては、第10の分野「教育・学習の充実について」のヒアリングの場で詳細を説明することといたしますので、今回、資料といたしましては、広報・啓発的な施策を中心に掲げさせていただいております。
 まず、「男女の固定的役割分担意識の是正のための広報・啓発」といたしましては、年少の子どもを持つ親を対象にしたモデル的な事業の実施などをしてきているところでございます。そして、先ほどと重複しますけれども、家庭教育における学習機会の中で、家庭教育ビデオ、家庭教育手帳等の配布をしておりまして、それらの内容におきましても、家庭における男女の共同参画を促すような内容を充実してきているところであります。
 特に、父親の家庭教育参加につきましては、父親を考えるフォーラム、父親のための家庭教育講座の開設、子どもの職場参観の事業などを実施する市町村に対する補助の実施、また、「男女の家庭・地域生活充実支援事業」といったモデル事業の実施などを図ってきておりますし、家庭教育手帳の一ページを47ページに資料としてつけておりますけれども、家庭教育手帳の中でも、「子育ては母親の仕事、そう思っているお父さんは要注意。」といったようなページを入れまして、父親の家庭教育参加の促進を図っております。それから、記載はしていませんけれども、家庭教育ビデオもいろいろなテーマを取り上げておりますけれども、特に父親の家庭教育参加をテーマとしたビデオも1本作成いたしまして、全国での活用を促しているところであります。
 次に、「地域生活への男女の共同参画の促進」につきましては、男性も女性も地域生活への促進が求められますので、男女を含めた事業になっております。地域の教育力の再生としまして、今年度からの事業ですけれども、子どもの居場所づくり、全国の小学校などで放課後や休日に地域の大人の協力を得て、放課後などが中心ですけれども、様々な活動を行う事業を促進しております。また、「総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業」ということで、すべての年代の人が自分のレベルや目的に合わせて好みのスポーツを実施できるようなスポーツクラブを全国的に展開していくという事業もしているところでありまして、これらを通じて、それぞれの方が地域の活動に参加できるように促進をしているところであります。
 また、消費者教育につきましては、国立女性教育会館のデータベースあるいは国立大学における公開講座などにおける消費者問題に関する講座の実施を推進しているところであります。
 続きまして、「評価」についてでございます。家庭教育につきましては、先ほどと共通するところです。また、総合型地域スポーツクラブにつきましても、目標を立てて全国的に広げておりますけれども、想定した以上に達成ということで増えてきているところでございます。
 「今後の方向性、検討課題等」ですけれども、男性の家庭・地域生活への参画の促進を確実なものにしていくために、これまでの施策の着実な推進を図ること、また、地方公共団体等における取組が継続されるようにしていくことが大事かと考えているところであります。
 2つ目の○印の家庭教育支援につきましては、先ほどの説明と共通するところでございます。
 また、地域の教育力の再生につきましては、先ほど説明しました子どもの居場所づくり、総合型地域スポーツクラブ、ボランティア活動などにつきまして、次の概算要求におきましては、これらを大きくとりまとめまして、「地域の教育力の再生」という柱の下でさらに充実する要求をしております。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。それでは、国土交通省からの御説明をお願いいたします。
松本総合政策局政策課企画官(国土交通省)
5番目の分野におきます国土交通省の取組におきまして、5分間という時間をいただきまして御説明をさせていただきます。
 私ども国土交通省の施策といたしましては、5番目のうちの (1)の「多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実」の中の7番目、「子育てを支援する良質な住宅、居住環境及び道路交通環境の整備」、ここに記載されております。便宜上、居住関係と交通関係に分けて御説明させていただきます。
 まず、52ページに居住関係部分を記載させていただいておりますけれども、こちらにつきまして、内容に修正がありましたので、差替え版を御覧いただければと思います。
 まず、住宅関係ですけれども、子育て世帯向けの広くてゆとりある住宅の確保を支援する観点から、持ち家という点で申しますと、良質な持ち家取得を支援するためということで、住宅金融公庫の証券化支援事業ですとか、あるいは、住宅ローン減税等を行ってきております。また、賃貸は、ファミリー向けを中心として低い水準にとどまっていると言われておりますが、こういう民間賃貸住宅につきましては、特定優良賃貸住宅や、前の都市基盤整備公団である都市再生機構による民間供給支援型賃貸住宅制度あるいは高齢者等の持ち家の賃貸化支援、このようなことを行いながら、良質な賃貸住宅の供給を支援してきております。
 さらに、公共賃貸住宅という観点では、約 220万戸あります公営住宅、あるいは、77万戸ある都市再生機構賃貸住宅、こういう公共賃貸住宅におきまして、地域の実情に応じた多子世帯等の優先入居等を行ってきているところであります。
 次に、保育所設置という観点ですけれども、この関係につきましては、今申しましたような公共賃貸住宅の建替え等に際しましては、保育所等の子育て支援施設との一体的整備を推進する。参考データにありますように、保育所で申しますと357施設、社会福祉施設全体では1,466施設を併設してきております。こういうことを行ったり、あるいは、建築基準法の世界ですけれども、建築指導の分野におきましては、総合設計制度における保育所等に係る容積制限の緩和、こんなことなどにも取り組んできているところでございます。
 さらに、職住近接で子育てがしやすい都心居住という観点で申しますと、いわゆる既存オフィス等のファミリー向けの賃貸住宅への転用、最近出てきておりますコンバージョンと言われておりますが、こういうものの促進をしたり、あるいは、大都市地域の規制市街地における市街地住宅、良好な住宅市街地の整備の総合的推進といったこともしてきております。
 このような取組をしてまいりまして、「評価」のところに書かせていただいておりますけれども、住宅の質の向上を誘導する指針ということで、誘導居住水準というものを私どもはつくっているわけですが、この誘導居住水準は、お子様が1人の世帯ですと、98平米、共同住宅で75平米。4人であれば、またそれ相応の数字になっているわけですが、誘導居住水準は、3人以上のファミリーということで見ますと、達成率が、平成10年度が35%であったものが、15年度は42%まで上昇してきております。
 また、職住近接の観点で申しますと、3大都市圏の都心部、ここで平成8年度から17年度までの10年間に100万戸の住宅供給という目標を置きまして、平成15年度時点で、累計81万戸となっております。
 「今後の方向性、検討課題等」ということでは、これら施策の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。
 次に、交通関係について御説明させていただきます。53ページを御覧ください。まず1点目の「あんしん歩行エリアの整備」でございます。歩行空間の安全・安心を推進するという観点から、平成15年度に、警察庁と国土交通省におきまして、死傷事故発生割合が高い796地区を「あんしん歩行エリア」に指定し、都道府県公安委員会と道路管理者が連携して、面的かつ総合的な事故抑止対策を推進しております。なお、これにつきましては、社会資本整備重点計画におきまして、このエリア内の死傷事故を平成19年までに約2割抑止することを目標として掲げております。
 次に、「歩行空間のバリアフリー化」でございます。そもそも子育ち支援という観点から申しますと、妊娠中の女性の方、ベビーカーを利用したときの移動を考えますと、移動とか利用の円滑化という観点からのバリーフリー化の推進が重要と考えております。この歩行空間について申しますと、道路の移動円滑化に関するガイドラインというものを設けておりまして、これらに基づきまして、市街地の駅、商店街、病院等を結ぶ主要ルートにおきまして、だれもが安心して通行できるよう幅の広い歩道の整備、歩道の段差・勾配の改善等のバリアフリー化を推進しております。
 特に、1日当たりの平均利用者数が 5,000人以上の旅客施設等を中心とする地区につきましては、平成12年11月に施行されました交通バリアフリー法という法律がありますが、これに基づく歩行空間のバリアフリー化を積極的に推進することとしておりまして、具体的には、社会資本整備重点計画というものにおきましても、バリアフリー化された道路の割合を、平成14年の17%から、平成19年には約5割にしようと位置づけております。
 次に、同じくバリアフリー化の関係で、旅客施設のバリアフリー化でございます。公共交通機関のバリアフリー化につきましては、先ほど申しました交通バリアフリー法に基づきまして、大臣が基本方針を定めているわけでございますが、その中で、1日当たりの平均的な利用者数が5,000人以上の旅客施設につきましては、原則として、平成22年までに 100%の全面的なバリアフリー化を目標として掲げております。現在、これに基づきまして、関係機関に対する支援等を行っているところでございます。
 さらに、次の「心のバリアフリー」と書いてある部分でございます。バリアフリーに関しましては、施設整備とあわせまして、国、地方公共団体、交通事業者、そして区民の方々、それぞれの主体が役割や課題を認識し、自発的に相互に連携して取組を行う、私ども「心のバリアフリー」と呼んでおりますが、こういう社会を実現することが必要であると考えております。こういう観点から、平成13年度より交通バリアフリー教室を開催しまして、高齢者の方々、身体障害者等の方々の介助体験、疑似体験などを通じまして、一般の方々がみずからの問題として、こういう交通バリアフリーの意義を考え、行動のすそ野を広げる取組を推進してきているところでございます。
 最後に、STS(Special Transport Service )の関係でございます。鉄道とかバス等の公共交通機関では十分に対応しきれない、ドア・ツー・ドアの個別サービスに応じたSTSの充実という観点から、平成16年度におきまして、育児支援輸送サービスのあり方につきまして調査・実験等を実施しているところでございます。
 近年、少子高齢化の進展を背景としまして、従来は「バリアフリー」と言っていたわけですが、それのみならず、生涯の有無・年齢・性別等にかかわらず、どこでも・だれでも・自由に・使いやすくという観点から、都市とか生活環境をデザインしていくというユニバーサルデザインという考え方が求められてきているところでございます。私ども、こういう考え方を踏まえまして、全省的に、このユニバーサルデザインという施策の構築に向けて検討を開始しているところでございます。
 さらに、先ほど申しました交通バリアフリーについて申しますと、平成17年11月以降に見直すとされていることも踏まえまして、現在、学識経験者、障害者団体、事業者、地方公共団体、こういう方々からなる「ユニバーサルデザインの考え方に基づくバリアフリーのあり方を考える懇談会」を開催しておりまして、今後、幅広い御意見をいただきながら、バリアフリー施策につきましても、そのバージョンアップを進めていくことを考えております。
 今後ともこの男女共同参画推進の一環といたしまして、子育てを支援する良質な住宅、居住環境、道路交通環境の整備に向けて努力してまいりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
岩男会長
ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に対しまして、御質問をどうぞ。住田委員。
住田委員
厚生労働省の方にお願いします。次世代育成支援の行動計画のために今いろいろ周知・啓発活動をしておられることについては承知しているのですが、今回、この中に育児休業取得率等の目標値を挙げておられます。「等」とありますが、勤務時間短縮等措置の普及率と看護休暇の普及率、これについてはもう目標値に挙げておられるのでしょうか。
 私は、こちらの必要性の方が強いと考えており、まだ制度として半分以下のところしか設置されていないようなのですので、これが現実に100%普及することが望まれます。
岩男会長
竹信委員、庄司委員。
竹信委員
厚労省の方に、ひとり親支援のことで伺います。自立支援はどれくらい就業に結びついているのかという実績を知らせてください。手当は減ったけど自立が全然できないという話が大変多いので、その実績が知りたい。もし、できていないなら、どうしてなのか、対策もあわせてお願いします。
 それから、男性の育児休業取得で、1年まとめて取るより、バラバラに取るとか、細切れに取る方が取りやすいと言われているのですが、なかなか進んでいないようです。これも実績があれば、どんな例があるのかとか教えていただきたいと思います。
 それから、国交省の方に、バリアフリーに絡んでくると思いますが、お子さんの乳母車について、いまだに道路の構造などについての苦情がすごく多くて、小さな子どものいる母親が外に出にくいということがあります。実態はどうなっているのか。また、もし直るなら、いつ、どのように直るのかということを教えていただきたい。
 この3点です。
岩男会長
庄司委員、石川委員、神田委員。
庄司委員
厚労省の方で、ひとり親支援の児童扶養手当や就労支援のことが出ておりますが、国土交通省の資料で申しますと、1の「主な施策の取組状況及び評価」の真ん中辺に、公営住宅云々のところで、「多子世帯等の優先入居」とありますが、例えば、その「等」のところに、ひとり親支援の基本は、もちろんいろいろな支援があると思いますが、ひとり親であるがゆえに入居が非常に困難な状況になっているということ、民間が非常に確保しにくい。公営も、優先入居の枠が狭い。厚労省の支援と国土交通省の支援とが有機的に結びつくような考え方はお互いにないのかどうか、ちょっとお尋ねしたいという気がしました。以上です。
石川委員
厚生労働省の方に保育のことでお伺いします。保育所では、今、健康とか安全、教育の機能が求められていると思いますが、健康に関して、今、幼稚園と保育園といろいろなすり合わせをやっていらっしゃるということでした。1点、管理者で、幼稚園には学校医、学校歯科医、学校薬剤師の学校3師がいるのですけれども、そういったものを健康管理のために保育所に置かれるようなお考えがあるのかということ。
 それから、教育は、幼稚園の教諭の免許を付与していくという制度がそれぞれとられるということですけれども、それに関して、保育所というのは非常に多様な面を持っていて、多様な保育ということに関して、そういった教育をどうやって付与していったらいいのか。一つは、多様化がなくなってくると選択肢が少なくなってくると思うのですが、いろいろな保育士を選択するという意味でどんな対策があるのかということをお伺いしたいです。
神田委員
2点お願いいたします。就学前の教育・保育の一体化を進める上で、総合施設をつくるというのは一つの新しい施策だろうと思います。もう既にかなり進んでいるようで、平成17年度はモデル事業を行うということですが、このモデル事業の核になっているもの、どういうモデルを想定しているのか。全部一緒なのか、例えば、やり方として、こういうモデルを想定して事業を行おうとしているのか、そのモデル事業の中身を教えてほしいと思います。
 第2点目は、37ページですが、厚生労働省のところです。フレックスタイム制の普及と関係しまして、この表の中に、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制があります。いずれも2.5%、0.5%と少ないのですが、企業数としては幾つかになるのか。そして、これの普及について、具体的にどのようなお考えがあるのか、その2点をお伺いいたします。
広岡委員
仕事と子育ての両立というのは、男女共同参画と非常に深いつながりがあるわけですね。例えば、待機児童ゼロをやったときに、待機児童がゼロになっても送り迎えが全部お母さんばっかりだったというと、一方で深く考えてみると、男女共同参画という面では、待機児童ゼロだけでは必ずしも十分ではないということになってしまいます。
 そういうことで、男女のかかわりということで少し申し上げたいのですが、例えば待機児童がゼロになってオーケーということではなくて、送迎の実態がどうなっているのかということなどを把握しないでいいものかどうかということが一つ。
 それから、ファミリー・サポート・センターを見ていましても、あそこは男女共同参画の問題が、実質上、集約して出てくるところだと思います。制度の不備みたいなところを、地域のお互いの相互援助活動で支えるというだけではなくて、圧倒的に女性の世界ですよね。ああいうところをある種のセンサーみたいに使って、男女共同参画の問題の実態を把握するという面と、ファミリー・サポート・センターの機能を拡充するという面でも考えてもいいのではないかと思います。
 もう一つは、次世代育成支援の問題です。次世代育成支援の行動計画を一般事業主が今年度末までにつくるということになっていて、恐らく、頭は、働き方を少しフレックスにしていくとか、子育て中の従業員をサポートしていくとかいうことが要になっていると思いますが、トータルで考えて、例えば企業と子育てサークルなどの連携をやっていくとか、働く人たちの地域貢献活動を企業は支えていくとかいう視点が割と重要ではないかと思います。そのようなことを少し考えていくような手立てはないのかなと思います。
桂委員
厚生労働省さんですけれども、一つだけに絞りたいと思います。
 現状の産業界の我々の実感として、少しかけ離れているのではないかと思うのは、例えば年間の労働時間1,800時間というのは、うちの会社でやったのは、今を去ること11年前に、1,800時間を実用しようではないかと。当時は 2,000時間ぐらいでしたからね。これは総量で1,800時間が達成できたから、男女共同参画に効果があるとか、ないとかいうことが、僕には実感として湧かない。つまり、平均値でいけば、今は1,800時間よりも伸び始めています。例えば、子育て家庭でどうだとか、介護家庭でどうだとか、女性がそういう環境にある方はどうだということで見ないと、総量だけで管理してうまくいったという話になると、効果としては余りないのではないかと思います。
 もう一つは、フレックスタイムということをおっしゃっているのですけれども、このフレックスタイム制導入はかなりの企業で進んでいると思いますし、我々もかなり昔からやってきました。しかし、現実には、これは今どんどんやめ始めています。このフレックスタイムはかえって効率を落とすのではないかということで。実際には、制度としてはちゃんと採用していますけれども、職場実態としてはかなりやめているところがあります。この辺もどういう環境の方々がフレックスタイムが必要なのかというデータがあれば教えてほしいですし、そういうデータを補強されるようなことをされた方が実質的な効果があるのではないかと感じております。
 以上、質問と意見です。
岩男会長
山口委員、どうぞ。
山口委員
先ほど、農水省からヒアリングを受けたのですが、古橋委員も言われているように、農山漁村地域は、特に農村地域は農繁期があるので、そういう状況に合わせた託児所が必要だと思うのですが、厚生労働省と農水省は、そういう待機児童ゼロ作戦に関して、特に農村に配慮した連携とか相談をやっていらっしゃるのかどうか。それから、ゼロ作戦は16年度末に成功するだろうか。その辺を伺いたいと思います。
岩男会長
それでは、これまでの御質問にお答えいただきたいと思いますが、竹信委員から出ましたベビーカーのことで国土交通省に伺いたいと思います。バスに乗りますと、ベビーカーはたたんでくださいというアナウンスが必ずあります。あれはお母さんやお父さんにとってとても大変なことです。車いすはちゃんとそのままで乗れるのに、どうしてベビーカーはたたんでと言われるのか、どうしてああいう指導をしておられるのか、その辺、ちょっと御説明いただきたいと思います。
 それでは、厚生労働省から順番にお願いいたします。
三富調査官(厚生労働省)
まず、住田委員からの御質問で、目標値についてですが、子の看護休暇制度の導入率は25%、勤務時間等短縮措置についても制度導入率25%ということで目標値を置いております。
 男性の育児休業についてですが、細切れで取るという方法もあるのではないかという御指摘ですけれども、育児休業については1回の取得で、細切れ取得という制度にはなっていません。一たん復職された後は、勤務時間短縮等の措置を活用したりということで育児との両立を図っていただく仕組みになっております。バラバラに取るという制度になっていませんので、一たん復職された後は、勤務時間短縮等の措置を活用していただきながら両立を図ることになります。
 それから、石川先生から、保育所の健康なり教育面で、例えば学校3師を置く予定があるかとか、教育についてどのように施していくかということについては、これからの検討課題ではないかと思います。その辺、まだ具体的な結論が見えておりませんので、今、まさに検討しているところだと思っております。
 今の段階でお出しできるものがあれば、お出しできるのですが、今、手持ちではありませんので、申し訳ございません。
(厚生労働省)
神田先生の御質問は、総合施設のモデル事業については、平成17年度の概算要求におきまして、30か所ということで要求させていただいております。中間まとめがありますが、モデル事業につきましては、教育・保育の内容というか、今、幼稚園では幼児教育指針、保育所の方は保育所保育指針という形で実施されておりますが、そのあたり、生活時間の異なるお子さんが一緒になったときに、どういった形でやっていくのがいいのか。そのあたりの教育・保育の内容というところが1点。それから、もう一つは人員配置の面ですとか、施設設備、そのあたりをどうそろえていくかということを中心にモデル事業を実施したいと考えております。
 実施の箇所数についてはまだ具体的には決まっていませんが、公立と民間ですとか、あるいは、幼稚園からの移行型、保育所からの移行型、そのあたりのバランスを考えながら実施したいと考えております。
三富調査官(厚生労働省)
それから、神田委員の2点目の御質問のフレックスタイム制度導入の企業数ですが、数としては把握しておりません。制度導入率という形での調査結果は出ておりますが、数ではわかりません。普及がなかなか進んでいないということですが、15年度の採用企業数はやや増加しています。フレックスタイム制とあわせて、いかに効率のいい働き方をして成果を出すかという両面で進めていく必要があるかと思いますので、そういった面の取組とあわせて進めることによって、フレックスタイム制についてもう少し導入率を引き上げる余地があるのではないかと考えております。
 それから、広岡委員の御質問、待機児童ゼロ作戦についての御質問、もう一度よろしいでしょうか。
広岡委員
特に質問ではなくて、意見の表明ですので、別に結構です。
 要するに、待機児童がゼロになっても、お母さんばかりが送り迎えをしているのでは、男女共同参画の視点ではもう一歩足りないのではないか。そこを把握する手立てが必要ではないかと申し上げました。
三富調査官(厚生労働省)
わかりました。
 それから、次世代行動計画の策定指針につきましては、働く人の健康支援であるとか地域活動への参加を促進するようなことが項目として入っております。幅広く入っておりますので、いかに今後、地域なり企業が、それを盛り込んでいただくかということが肝心です。それについては、労働局の方では、企業に対して説明会をする際などに、こうしたポイントもありますということで、前回の会合でも、男女共同参画の視点がなかなか入っていないケースがあるのではないかという御指摘がありましたので、機会をとらえて、そういったことについても注意喚起していきたいと考えております。
 それから、桂委員の御指摘の、年間の総実労働時間 1,800時間ということでとらえても、実感とかけ離れているのではないかという御指摘ですが、確かに、働き方、労働者も多様化する中で、正社員は超過労働時間が多くなっていて、短時間が増えたことによって総実労働時間が減少しているという局面もございます。労働基準局の方で現在検討を進めておりますのが、御指摘がありましたような育児・介護負担を持っている方、その他の育児・介護のない人でも、学習をしたいとか、別の活動をやりたいといった個々の事情に応じた形で働き方のメニューを策定できるといったようなことを労使で自主的に取り組んでいただけないかということで、1,800時間という目標自体も、今、その場で議論になっていると聞いております。
 それから、フレックスタイム制についてですが、具体的にどういう人が使っているかというデータが今ありませんが、確認いたします。
 それから、農村の保育事情に配慮して連携を取っているかということですが、基本的に、農村を中心とした自治体であれば、そういった保育需要をその自治体が主体的に判断してそういった取組を行うと思うのですが、厚生労働省と農水省という形で何かプロジェクトを持ってそういったことを検討しているかということは、今のところはやっておりません。ただ、ファミリー・サポート・センターのような、地域の御家庭を活用した保育ニーズへの応え方があるのではないかといったようなことは、担当レベルでの情報提供として行っております。
 ひとり親の自立支援についてですが、資料3の12ページの実績状況調べに、給付金を受けた人がどのくらい就職件数に結びついたかという話ですが、上から4つ目の欄に職業相談の状況について書いてあります。ここは職業相談をした者に対しての紹介件数と就職件数という形では12年度からの時系列で載せておりますが、それぞれの助成金の支給とリンクさせた形で、受給者がどういう就職率かということはここでは把握しておりません。
岩男会長
厚生労働省からの答えは以上ですか。
三富調査官(厚生労働省)
はい。
岩男会長
それでは、国土交通省にお願いいたします。
松本企画官(国土交通省)
ベビーカーの関係で、一つは、ベビーカーでは外に出づらいというお話、もう1点、バスに乗るときにどうなのかという点の2点あったかと思います。ベビーカーの関係につきまして、まず御説明させていただきます。
 先ほど申しましたように、私どもは、バリアフリー化を鋭意行っておりまして、もちろん、今の段階では、整備率はそう高いものではありませんけれども、そういうことを行っていくことによりまして、例えば道路、交通機関、建物、特に大勢の方が行かれるような建物についてのバリアフリー化を進めていくことを考えております。バリアフリー化は、わかりやすく申しますと、段差をなくすとか、あるいは、縦方向の移動でエレベーターの設置をするとか、廊下等の必要な幅を確保するということを行ってきております。こういうことによりまして、道路におきましても、建物におきましても、あるいは、公園におきましても、ユニバーサルデザインに配慮した形でのいろいろなガイドラインをつくって、それらの周知徹底等も図ってきておりますので、そういう中でバリアフリー化を進め、ベビーカーでの外出をしやすくということも進めていきたいと思っております。
 ただ、例えば道路等の場合ですと、車道と歩道の間を全く平らにしますと、今度は目の不自由な方が、車道に入ったかどうかがわからなくて危険であるということで、実は、その辺いろいろとお話を聞きまして、車道と歩道の間に2cmの段差をつけたりしております。これは、それより小さいと、目の不自由な方が車道に入ったことがわからずに交通事故に遭ってしまうということもありますので、若干、ベビーカーを使うときに、そういうところでガタンと衝撃があろうかと思いますが、そういった事情も御理解いただければと思っております。
 もう1点は、バスの場合です。もちろん、交通公共機関の電車などですと、駅も当然バリアフリーになっておりますし、電車の中でも車いすを停めるスペースもありまして、当然、ベビーカーなどもそこに停めるということがあるわけでございます。そういう意味で、バリアフリー化が進んでいるかと思いますが、御指摘のバスの場合、電車以上にどうしても急ブレーキをかけることを前提とせざるを得ない部分もございまして、そういう意味で、安全対策をまず第1に考えざるを得ません。
 先ほど、車いすの場合はできて、どうしてベビーカーができないのかという御指摘がありましたけれども、車いすの場合は固定装置をバスにつけておりまして、急ブレーキをかけても大丈夫なようにしております。今、ベビーカー専用の固定装置というところまでいっていないものですから、そういう意味での危険性ということで、今の段階では、交通事業者さんの御判断ではありますけれども、折り畳んでいただくことになっております。
 ただ、一方で、横浜市の交通局さんでは、今、ベビーカーに子どもを乗せたままでも乗車できるルールを提唱されて実践していると伺っております。私ども、横浜市のその実践がどういう状況なのか、いろいろお話も聞きながら、今後、ベビーカーに子どもを乗せたままバスに乗せるということについてどのようにしていけばいいのか、これはバス事業者さんといろいろお話をしないといけないものですから、そんなお話も深めていきたいと考えております。
山口委員
ちょっと一言。
 それでちょっと思うのですが、エスカレーターは、日本の場合は上るばかりが多くて下りが少ない。北欧などではちゃんと下りもある。下りのも考えてやっていただきたいと思います。
松本企画官(国土交通省)
はい。
岩男会長
ベビーカーの件につきましては、あれを折り畳んで、子どもを抱いて立っているお母さんなりお父さんなり、非常に危険だと思います。むしろ危険度が増すので、簡便な、フックか何かをバスのポールにつけるような形で、比較的簡単に解決できる問題だと思いますので、ぜひ早急に御検討いただければと思います。
松本企画官(国土交通省)
そのあたりは、今、実際にそういうことをやっているところもありますので、私どももお話を聞きたいと考えております。
 それから、先ほどのエスカレーターの件につきましても、基本は、車いすでもいいという意味においては、まずエレベーターがあるのですが、エスカレーターを設置する場合でも、上りと下りの両方がありまして、2本取れない場合は、上りの方が多ければ上りにし、それ以外のときは下りにするということで入れ換えることができるエスカレーターもございます。古いものですと、そういうことができないタイプのものもあるようです。ただ、下りの方が足に負担がかかるということはよく伺っておりますので、そのあたりも今後よく考えていただきたいと思います。
 あともう1点、私どもの関係で、公営住宅の優先入居の関係で、専門の者からお答えいたします。
(国土交通省)
公営住宅の優先入居は、多子世帯のほかにシングルの親御さんの場合、対象になるかどうかということにつきましてお答えいたします。結論から申し上げますと、母子世帯等であっても対象となり得ます。優先入居と申しますのは、そもそも公営住宅の対象である低所得者がまず対象となっておりますけれども、優先入居につきましては、その困窮度が特に高い者について、事業主体である地方公共団体の判断によって優先入居の取扱いがされることになっております。したがいまして、例示で挙げますと、多子世帯、母子世帯のほか、高齢者、障害者等々、公共団体の判断によって優先的に取り扱うことが可能となっております。
岩男会長
ありがとうございました。そろそろ時間は来ておりますけれども、御発言の御希望がございましたら、どうぞ。
古橋会長代理
国土交通省に申し上げたいのですが、これから老人社会、あるいは、子ども、男女共同参画社会ということを考えたときに、都市空間の利用ということでお願いをしておきたいと思います。過去の我が国おける都市問題は、都市計画があったとしても、その運用の貧弱さから起きている面が多いと思っています。そこで、今、都心において地価が下がってきたときに、コンバージョン政策ということで、すべてそれをみんな賃貸住宅にしてしまう、そういうことも民間にやらせるがままに、全部を住宅にしてしまうということではなくて、地価が下がったときにおける都市計画として、都市空間における緑地の確保という問題を、老人が日向ぼっこをするとか、子どもたちが安全に遊べるような都市空間というものを、住宅の民家のところにできるだけつくっていく都市計画を、今やるべきだということを私は言っているのですけれども、そういうことについてもっと国土交通省が、あるいは、都市計画が都道府県なり市町村に来たわけですから、よく指導をしていただきたい。
 外国の事例などでは、老人とか子どもたちはみんな、住宅近辺における空間において、ある意味においては不完全ではあるけれども、自然と接している。日常的なふれあいがある。そんなに大規模でなくていい、小さくていいんです。単なる木があって、腰かけがあるだけでも、今の現在の都市問題は随分解決すると思います。ロンドンとか、各地域はみんなそういうことでやってきているわけですから、その点について、ぜひお願いしたい。その財源についてどうだということは、私は30年前に、それはオフィスから緑地のためのある程度の税を徴収すべきだと言って皆さんから大反対を受けたのですけれども、いまやもう一回そういうことを、都市空間における緑地、それは老人、子ども、男女共同参画の視点からも含めてひとつ考えていただきたい。お願いします。
佐藤委員
今日は、厚生労働省から、勤労者のボランティア活動支援のお話がありましたね。これの書き方ですが、ところどころ公務セクターの話があるけど、抜けているところがあります。例えばボランティアについて言うと、公務員の場合、平成8年にボランティア休暇が有給で入っています。多分知らない人がほとんどだと思います。昨年の利用者はたった35人です。ですから、一部民間について書いてあるところと、パブリックセクターは部分的に書いてあるんですね。ですから、もしかしたら、例えばボランティア活動支援のところも、公務員のことを書く必要があるかもしれないので、その辺はぜひ御検討いただければと思います。
岩男会長
それでは、もう時間が来ておりますので。
原委員
書面でお出ししますので、よろしくお願いします。
岩男会長
それでは、これで第5分野のヒアリングを終了させていただきたいと思います。各府省の方、御協力をいただきまして、ありがとうございました。
 それから、いずれまた書面で質問事項がたくさん出ると思いますので、その節はどうぞよろしく御協力をお願いいたします。
 それでは、以上で議事は終わりになりますが、資料5を御覧いただきたいと思います。これは、事務局で第1回の専門調査会の議事録案をまとめていただきました。これにつきまして、このとおり決定してよろしければ、ホームページに公開したいと思いますので、御了承いただけますでしょうか。

(異議なし)

岩男会長
それでは、そのようにさせていただきます。
 それから、次回は、12月3日の金曜日、午前10時から、経済産業省会議室におきまして、第9分野の「メディアにおける女性の人権の尊重」と、第10分野の「男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」につきまして、関係府省のヒアリングを行います。
定塚推進課長
連絡事項が1点ございます。
 議事録について、第2回の10月29日の議事録を、御出席した方について、本日までに確認をお願いしたいということで申し上げておりますので、お持ちになった方は机の上に置いていただければと思います。
 それから、11月5日の分も、御出席いただいた方にはお手元に配付してありますので、これも期日までにお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
岩男会長
それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

(以上)