影響調査専門調査会(第25回)議事要旨

  • 日時: 平成16年1月26日(月) 16:00~18:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室

(開催要領)

  1. 出席委員
    会長
    大澤 眞理 東京大学教授
    委員
    浅地 正一 日本ビルサービス株式会社代表取締役社長
    大沢 真知子 日本女子大学教授
    木村 陽子 地方財政審議会委員
    佐藤 博樹 東京大学教授
    高尾 まゆみ 専業主婦
    橘木 俊詔 京都大学教授
    永瀬 伸子 お茶の水女子大学助教授
    林 誠子 日本労働組合総連合会副事務局長
    福原 義春 株式会社資生堂名誉会長
  2. 議題次第
  3. 概要

    ○人事院総務局磯野宏志参事官から公務員制度について説明があり、事務局から資料について説明した上で、これに基づいて次のような議論があった。

    林委員
    人事院資料では、平成14年の超過勤務の年間総時間数を、平均で男女別に出されているが、最高、最低、分布的といった傾向がわかるか。
    磯野参事官
    手元に資料がなく、確たることは申し上げられないが、そういう分布は取っていないのではないか。
    林委員
    ほとんど超過勤務がない層と、極端に長時間の層という分布に特徴があるのではないか。そのことが男性女性でどう表われているか。
    橘木委員
    超過勤務にも上限があるのではないか。
    大澤会長
    年360 時間が上限で、それ以上は手当が出ないのではないか。
    橘木委員
    超過勤務手当は、どこの級まで出るのか。
    磯野参事官
    管理職手当が出ている職員には超過勤務手当は出ない。管理職手当が出るのは、本省庁であれば行(一)9級あたりからだが、地方機関だともっと下位の級でも出るため、必ずしも級だけで一律的に言い切れない。
    橘木委員
    分布もそうだが、超過勤務手当以上のことをやっている人については何も書いていないが、出せないか。
    磯野参事官
    データがなく、調べようがない。例えば国会対応とか予算対応しているところは忙しいとかいう話はあるが、具体的にはお示しできる状況にはない。
    大沢委員
    定年退職後で働きたい人は全員短時間勤務職員になれるのか。基準を設けているのか。
    磯野参事官
    再任用の根拠は国家公務員法81条の4、81条の5。短時間は81条の5だが、ここでは定年退職者等を従前の勤務実績等に基づく選考により、短時間勤務の官職に採用することができるとあり、これを踏まえて人事院規則等で定めている。意欲と能力のある人をという形であり、本人の希望はもちろん考慮されるが、希望した者が全員という制度ではない。現在は、定年退職者に対して再任用される職員が少なく、1割ぐらいしかいない。年金もすぐには65歳支給開始にはならず、再任用の上限年齢も調査時点では61歳で、最大1年間となれば、再任用を希望しないという人もいる。
    浅地委員
    基礎的な質問だが、国家公務員の定数と再任用職員の関係如何。
    磯野参事官
    定員は、一般職の職員で80万人程度。省庁ごとに定員が決まっているが、フルタイムで働く再任用職員は常勤扱いで定員の規制を受ける。定年後にフルタイムの再任用職員を1人採れば、その分新規採用が1人採れないという話になる。
    浅地委員
    役所が民間の派遣労働者を使うことはないのか。
    磯野参事官
    通常は非常勤で雇っている。非常勤であれば定員の対象にならない。
    再任用の職員でも、短時間職員であれば、定員そのものの規制はかからないが、別途管理として、例えば通常の半分の時間である週20時間の短時間職員を2人採るとなると、その分常勤職員の定員を1人減らすことになる。
    佐藤委員
    配偶者手当を民間はまだかなり導入しているので、公務員もという説明だが、育児・介護休業は民間よりも先行している。一方では民間の制度を進めるために官から先にという議論と、民間はまだだから変えないという2つの議論の関係は何か。
    部分休業は、民間の短時間勤務に比べて利用者が少ない。育児休業を3年可能にした経緯は、もともと公務員は部分休業という名前であれ、短時間勤務を与えにくい状況にあるのではないか。部分休業の場合2時間短くなるが、1つは予算の問題で、浮いた2時間分の人件費、給与をそれぞれの部局が使ってアルバイトを雇えないようになっているのではないか。事実上使用者の方は部分休業を取られても、短くなっても補填できないので、育児休業で休んでくださいということになるのではないか。
    磯野参事官
    人件費と非常勤職員手当とでは経費の性格が違ってくる。
    佐藤委員
    そうすると、短時間で取られて、その短時間分を埋めるような形で流用してアルバイトを雇うということは現場ではできない。
    磯野参事官
    ただ、それが原因で部分休業取得者少ないのかどうかは分からない。また、制度の改正については基本的に、特に給与については、社会一般の情勢、特に民間に準拠という考え方でやっている。育児休業、部分休業を3年にしたのは、民間の育児介護休業法で3歳までの間は育児休業か勤務時間の短縮の措置のいずれかの義務が定められたし、看護休暇についても努力義務が定められたことと、民間の実態も法改正に伴い増えていくだろうということもあって、家庭と仕事の調和を図るという施策として措置した。一般論としては、国の政策として進めている事柄はタイミングをとらえてやることもなきにしもあらずだが、基本は民間準拠。処遇については今いろいろ厳しく言われている時期でもあり、民間に先行するというのはなかなか厳しい。
    高尾委員
    女性が働く上で民間と比べてよさそうなところと、民間と同等のところと、両方あるとのことだが、一般的に公務員というのは家庭と両立させやすいと聞いていたが、離職率、退職率の官民比較や、一般公務員の中で比較したときの男女差も教えてほしい。それから、一度退職してもう一回その会社に入るような再任用という形態は公務員の世界ではないのか。
    磯野参事官
    正確なデータがないので断言できないが、感触的なものであれば、若い層では女性の方がやはり離職率は高い。また、定年後の再任用以外には特別な再任用の制度はないが、選考採用でかつて職員だった人間をもう一度再任用することができる。選考採用については、年齢制限はない。全くの自己都合で辞めた職員を再採用した数のデータはないが、余り一般的ではない。
    高尾委員
    離職率に関してもデータがないのか。
    磯野参事官
    離職者の数自体はデータがあるが、手元にない上に、完全に辞めてしまう場合と、人事交流計画に基づいて、一旦地方公務員とか特別職になるために退職する場合とがあり、その人数をどう考えるかによる。
    永瀬委員
    主としてその収入によって世帯の生計を支えている職員を世帯主と言うとあるが、例えば夫婦間で、片方が45%で、片方が55%というふうなときに、5%や10%の差で片方が支えていると決めるのか。これは片方が非常に支えるということを前提とした定義だ。
    磯野参事官
    そういう考え方もある。要するに、両者には出さないということだ。
    永瀬委員
    もしも生計維持に両方の収入が非常に大事な場合に、どう考えるのか。
    磯野参事官
    これは、ある程度職員の側の判断もあるだろうが、世間的に、両者に出しますとはならない。
    橘木委員
    例えば、公務員の場合は夫婦で働いているケースが結構多いが、奥さんの方が収入が多いときに、その人が世帯主と名乗っているか。
    磯野参事官
    実態はよくわからないが、いると思う。扶養手当では男女局から示された資料にもあるように、妻が夫を扶養している場合も少しはある。
    大澤会長
    扶養手当の方は民間における普及状況というのを御紹介いただいたが、住居手当の方も民間給与実態調査で把握しているのか。住居手当の方が普及状況は低い。
    磯野参事官
    大体6割ぐらい。年によって若干差はあるが。
    大澤会長
    借家、借間の場合には世帯主の縛りがないが、賃貸契約というのは1人の人しか結べないから、結局は賃貸契約を結んでいる当事者ということになるか。
    人事院
    夫婦ともに職員で共同名義で借りているような場合も、それは一方にしか出さない形で、1つの住居に対して1人ということは、自宅の場合も借家、借間の場合も変わらない。
    大沢委員
    出産後も勤務を継続する職員の数は、把握しているか。
    磯野参事官
    育児休業の取得率はわかるが、そこまではわからない。その後辞めるという方もいるだろうが、基本的には続けるという前提で育児休業を取る。出産後辞める人のデータはわからない。
    浅地委員
    受験資格年齢の件で、これを過ぎると公務員にはなれないということか。
    磯野参事官
    採用試験は受けられないので、一般の行政事務職員に採用される。道は狭くなるというのは否定しないが、採用試験はあくまでも一番下の係員を採るための試験で、ほかにも経験のある人を係長とか補佐でいきなり民間から採るということはある。この場合は、試験でなく、選考採用という形だ。この場合は年齢制限は一切ないので、勿論なれる。

    ○続いて、橘木委員、永瀬委員からモデルケース・ワーキングチームについて説明があり、これに基づいて次のような議論があった。

    福原委員
    橘木先生の御発表に。これだけアングロサクソン系のペーパーもお使いになっていると、何らかの意味で将来国際比較をして、日本の特徴というのを抽出する可能性はあるのか。
    第2番目は、給料の多い御主人と結婚されて、何もしてないのが幸せというご指摘について、2つ考え方があるのではないか。簡単に言えば、その御本人の社会観、人生観の問題で、社会の中で1人だけがいいというのであったら、確かにそうかもしれないけれども、いずれにしても人類というのは、ある時期から共同社会をつくって、その社会を良くしようとしてみんなが努力してきたわけだから、自分だけ楽をしていいということは本当にいいのだろうかという、どちらかというと哲学的な命題があるのではないか。1982年に社会学者のダニエル・ヤンケロビッチが書いたニュールールという本に、始めは女性は社会進出して生きがいを求めようとしたけれども、今や住宅ローンを支払うために働き続けなければならなくなっているということは、高水準の質の悪い生活の社会になっていると、だから社会全体が生きがいを求められない社会になっているという可能性もあるのではないか。
    もう一つは、保険的なリスクで、そんなにいい御主人がおられたとして、何らかの事件に巻き込まれたり、あるいは急に病気になられたりしてお亡くなりになった場合は、一体その方はどうなってしまうのか。
    橘木委員
    国際比較は、いろんな方がやっていて、日本は南ヨーロッパに割合近い、スペイン、イタリアに近い出産構造で、女性の労働状況が非常に近い。北欧と大分違う。
    国際比較というのは、いろんな形でやられているし、面白い視点だと思う。
    大澤会長
    このワーキングチームでは、私と帝塚山学院大学の室住先生と、家計の構造ということで、国際比較を心がけてやっていた。家計支出に占める世帯主勤務先収入の比率や、配偶者収入が収入に占める比率というのを国際比較でやっている。後日、簡単な御報告をしたい。
    橘木委員
    福原さんの2番目の問題は、非常に大きな問題提起だ。例えば、働くのは何のためか。お金稼ぎでいい生活のためか、あるいは、お金よりも自分の満足のためかといろいろある。私が最初に言った旦那さんの所得が高くて、奥さんの学歴が高い人は働かないということが、日本において一番満足度が高いという現象をどう考えるかというのも、私もいろいろ働くとは何のためかとか、いろんな関心から考えているが、まだ結論はないので、真剣に今、考えている。皆さんの知恵もできればお借りしたい。旦那さんが働いていて、奥さんが専業主婦の場合、旦那さんが亡くなったときどうかと。これは非常に重要な視点で、両方が働いているとどっちかが失業するとか亡くなっても、セーフティネットがあるという意味で、むしろ両方が働けばリスクをミニマイズするという効果がある。今までの日本の社会というのは、旦那が働いて奥さんが専業主婦で、旦那が亡くなったときに備えて生命保険というのに入っていた。日本の社会は、生命保険参加率と生命保険のかけ金は世界一で、旦那が亡くなったときのリスクヘッジだったが、奥さんが働くようになると、生命保険の加入率もだんだん減っている。
    福原委員
    セーフティネットを政府に頼るのではなく、自分の家庭でつくるという視点が更に重要だ。
    橘木委員
    それは政府には頼れない。自分の家でセーフティネットを考えるしかない。
    大澤会長
    夫が亡くなってしまえば、女性の場合には、本人が何歳であっても遺族厚生年金を受けることができる。自営業だった場合が問題だが、亡くなった夫が雇用者であった場合には、遺族厚生年金が受けられるので、これはもう政府が手厚いセーフティネットを用意している。一番困るのが病気で倒れて収入が途絶えた場合だ。
    佐藤委員
    橘木先生に、未就学子がいると自営業確率を高めると、それは時間の調整とか、あるいは親との同居があるかもしれないというお話だが、小さい子どもがいて子育てするために自営業者になれと読むのか、そうではなくて家族従業員であれば子どもが生まれても割合復帰しやすくて働いているということなのか。
    橘木委員
    あなたの言われた後者で、別に私は子育ても、就業もうまくいくから自営業をやれとまで言っていない。むしろもともと自営業をやっていて、出産して、また戻るという形のケースが一番多いのではないか。
    佐藤委員
    自営業にした方が、後で復帰しやすいということで、雇用者の方がハードルが高いだろう。もう一つは、高学歴で夫が高収入の方が満足度が高い。福原さんが言われたように、やはりそれぞれ求めているライフスタイルが違うから、フル・フルで働いている人が専業主婦になれば満足度が高くなるわけでもない。逆に言うと満足度が低いと言っても、専業主婦になれば上がるわけでもないし、そのことでみんな専業主婦になることが幸せだということになるわけではない。
    橘木委員
    夫がフルで妻がパート、このパートが相当労働きつい。賃金が安いとか、非常に過酷な労働条件にいる。それよりも専業主婦になって、高い所得の旦那と一緒にいる方が満足度が高いのでは。ある調査で、女性の満足度が一番高いと出たのは、本人の学歴水準が高くて、専業主婦で、子どもが1、2人いて、旦那の所得が高いもの。
    佐藤委員
    今、働いている人が専業主婦になれば、その人の満足度が上がるということではない。プリファレンスが違うから、だからそれほどそのことで悩むこともないと。逆にみんな専業主婦になれと言うのが問題。
    橘木委員
    私は、専業主婦になれとは一切言っていない。
    高尾委員
    八代先生のお話しでは、現実問題としてそういう夫婦世帯は、今後どんどん減っていって、実際5%程度という話で、そういう5%は人生観で哲学的な問題だ。私が知っている範囲で、その女性が能力や学歴があれば、そういう自分自身が社会参加をしないという生き方に満足しているということは、やはり少ないのではないか。専業主婦でお金も子どももいて、家もあって満足するという方は少ないのではないか。
    林委員
    そういう人がいてもいいと思うが、満足度というのは何に対する満足度なのか。
    橘木委員
    人生全体だ。あなたは、生きていて幸せですかという感じだ。
    永瀬委員
    日本の場合には、年金で見ても収入で見ても、女性が働いても家計の補助程度にしかなってない。働くと非常に生活水準が上がるというのは、むしろ男性の所得が高いと非常に高くなって、女性が少しパートで働いたぐらいではとても賄えないぐらいの賃金分散がある。女性に関しては賃金の差は非常に狭く、労働市場では賃金面での能力をなかなか生かし難い。子どもを持つときに現実の制度がそういう選択をよりよいものに思わせるような制度のセットが、日本にはあるのではないか。ただ、それが長期的に持続可能かと言えば、女性の学歴水準も上がっており、寿命も長期化しているので、そちらの能力をもう少し生き生きと生かせるような場を広げていくように考えた方良い。なかなか制度の変化は遅いが。
    大澤会長
    橘木さんの御報告と永瀬さんの御報告を突き合わせた場合のサジェスチョンとして、橘木報告の中で、税制、公的年金制度が有意に収入を下げているとか、就業調整する人だけでなくて、そういう人がいると就業調整しない人も賃金上昇が見込めないこととか。これを永瀬さんが御報告の最後で口頭でコメントされた、夫婦の収入格差というのは、日本は格段に大きいというときに、それを所与として人々が行動するという中で、女性が労働供給を増やしてもそんなに報われない格好になっている。これは労働市場の問題というのがあるかもしれないという御示唆だった。制度や政策がタッチしないところで、労働市場がそうなっているということを、道徳的に非難をしてみても仕方がないが、橘木さんの御研究の結果というのは、やはり制度や政策というのが、そこに歪みをもたらしているということを言われている、そういう歪みをなくすことによって、夫婦の収入力格差が、少しでも縮まるのではないか。
    それから、就業調整が行われているという話をすると、だれもがめいっぱい働かなければいけないのかという反応が返ってくる。橘木さんに対してそういう質問が出るというのも、非常によく理解できるが、その人がそういうプリファレンスに基づいて、満足度が高いということは、何ら非難されるべきことではない。しかし、就業調整している人のビヘービアというのが、しない人の賃金水準にも影響を及すということはどうなのか。また、男女局のパンフレットによく出てくる潜在的労働力率と実際の労働力率のギャップは希望が満たされてないことを意味し、この希望が満たされるように制度や政策というのを工夫していくということは、やはり全体としてのウェルフェアとかウェルビーングを上げることになるのではないか。
    橘木委員
    委員長の言われるとおりだが、女性が働きに行っても、働くだけの見返りの賃金をもらってない、例えばパートの賃金が非常に低いことまでここで踏み込むか。
    大澤会長
    制度や政策が邪魔をしていて、低位均衡の状態にはまっているのだとすれば、それは制度を是正することによって改善に向かう余地があるかというのが、この専門調査会の任務だ。
    大沢委員
    制度がパート労働者の低賃金化につながっているが、それがなくなればよくなるのかというと、むしろ今の流れだと非雇用の分野にどんどん就業形態が流れる。今、日本の社会が直面している問題として、これ以上もう正社員が増えないような、高収入、高賃金、生涯安定した仕事を持つ人の割合が、どんどん減っていく感じだ。
    それには制度が影響している。ただ単に税制度があるとか、所得税で世帯主の配偶者控除があるという問題ではなくて、社会全体の日本の中の労使関係の中で正社員、非正社員という位置づけがつくられてきて、制度がその中でパート賃金を安くしていくような役割を果たした結果、今の正社員の仕組みができているので、これがAだからBにつながるという感じではないと思うが、今の大きな流れは、雇用されない働き方の増加という大きな流れがある。それがパートだけではなくて、自営とか、請負とか、そちらの方向に流れており、その中で影響調査会の政策というのは考えられるべきではないか。セーフティネットの考え方とか、夫婦の在り方というのが今、根本的に変わってきた。福原委員の言う質の低い生活になってきて、かつ夫婦が働かなければいけないような方向に動いているのではないか。だから、女性に働けという話ではもうなくて、男性も含めた中で考えていく。そこで、夫婦でともにリスクシェアしなければいけないときに、そういった仕組み、労使関係の中で税制度、社会保障制度も影響して、非正規、正規という形で、かなりリスクに直面している世帯が増えてきている。先ほどの専業主婦世帯が幸せかというのは、多分古いモデルで考えて、保障がある中では幸せだろうが、もうそれは夢だ。今の若い人はその先々を考えて選択をしていて、そのリスクどう対応しているのかということだ。
    だから、賃金の問題というのは、制度の問題の中で考えられる。やはりその全体の中で考えて、どういう在り方が望ましいのか、そのときに、例えば南ヨーロッパと日本と非常によく似ているが、南ヨーロッパは同じような労使関係の仕組みを持っているがゆえに、スペインでは臨時雇用が非常に増えている。イタリアでは、非常に自営が増えて、ブラックマーケット化している。日本では、パートが異常に増えている。なぜパートが異常に増えているかは、すごく制度と関わりがあると思っており、そういう面で非常に重要な問題を、この影響調査会で扱っている。
    大澤会長
    雇用・就業というところに焦点を当てて審議は進めているが、高尾委員の御提言もあり、自営の問題とか、それからNPOの問題なども取り上げてきた。
    さて、来年度の税制改正について、個人住民税の均等割制度の見直しについて、前回この調査会としての意見を報告としてとりまとめたいと申し上げ、案文について、既に昨年事務局から各委員に御相談している。お手元の文案でとりまとめ、28日、明後日の男女共同参画会議において、私の方から報告させていただきたいがよろしいか。

    (「異議なし」と声あり)

    大澤会長
    ありがとうございました。
    次回以降はこれまでのヒアリングを踏まえて、論点についての御議論をいただきたい。お手元に論点について事務局が作成した資料をお配りしている。これについて、次回の調査会で御議論いただきたい。
    浅地委員
    この資料の現状と課題のライフステージの3の結婚という中に、最近は大分離婚というのも出てきて、結構問題になっているのではないかと思うので、今回ではなくても、どこかで少し触れていただいた方がよろしいかと思う。
    大澤会長
    専業主婦で、夫が病気で倒れて収入がなくなったとき以上に悲惨なのが離婚で、これは全くセーフティネットがない。検討させていただきたい。

(以上)