影響調査専門調査会(第18回)議事要旨

  • 日時: 平成14年12月9日(月) 14:00~16:00
  • 場所: 内閣府第3特別会議室

(開催要領)

  1. 出席委員
    会長
    大澤 眞理 東京大学教授
    委員
    木村 陽子 地方財政審議会委員
    大沢 真知子 日本女子大学教授
    小島 明 日本経済新聞社常務取締役・論説主幹
    高尾 まゆみ 専業主婦
    高山 憲之 一橋大学教授
    林 誠子 日本労働組合総連合会副事務局長
  2. 議題次第
  3. 概要

    ○ 今回は、年内に報告をまとめるための最終的な議論を行った。

    大澤会長
    本日は、細かな表現を除いて報告全体をとりまとめたい。
    事務局
    永瀬委員は欠席だが、事前に女性が自由に働くことと子供育成の問題は非常に関係があり、子供を生み育てることを社会全体が支えることが必要であるという提案をさ れている。
    大澤会長
    今回は、専業主婦という言葉をなるべく使用せず、また、専業主婦で無業の方の無償労働を考え、片働きではなく、片稼ぎという言葉を使用しているがどうか。
    木村委員
    被差別的であるという理由から、共稼ぎではなく、共働きという言葉を使うように他で言われたことがあるが、自分は必ずしも納得していない。
    高山委員
    専業主婦世帯は、家事という無償労働をして働いていることから共働き世帯という言い方もできる。むしろ、共稼ぎという言葉を使ってはいけない理由があるだろうか。
    大澤会長
    「共稼ぎ」という言葉を使うべきではないという明確な理由がないので、この調査会では、「共稼ぎ」という言葉を使いたい。
    林委員
    配偶者特別控除は手取り逆転現象を解決しているといえるが、配偶者控除まで含めて手取りの逆転現象を解決しているとはいえないのではないか。
    大澤会長
    老齢厚生年金の受給開始年齢が引上げられると遺族厚生年金に依存する期間の比率が一層高くなるかどうかは、ケース分けなども必要であり、今回は見送りたい。
    なお、影響調査とはどういうものか、手順などを記述するか否かについては、会長預かりにさせていただきたい。
    林委員
    正社員の所定労働時間が長すぎ、残業時間の上限規制も緩いことが、子育てを終えた際に正社員として再就業することを非常に困難にしていることを指摘すべきではな いか。
    高尾委員
    私は、子育ては全く私的なものではなく非常に社会的な労働だと感じている。経済的な価値や稼得がある部分のみを社会的な労働と呼んできたのは偏りすぎではな いか。
    大澤会長
    子育てが社会的貢献になっていることを認めない人はいないが、労働とよぶことについては意見が分かれる。
    林委員
    趣旨には反対ではないが、「社会的」を付けた言い方は一般的ではないのではないか。
    大澤会長
    社会全体に対する貢献の部分があるという趣旨を、誤解のないよう工夫した表現にするということではどうか。
    高尾委員
    お任せしたい。
    大沢委員
    日本では、制度・慣行そのものに、子育てを重視しないようなものが含まれていることが問題であり、今後の課題ではないか。
    林委員
    今までも子育ては大事なこととして位置付けられていたが、一方で、子育ては家族、女性が中心でしないければならないという巻き返しの議論も出てきている。
    高尾委員
    子育てを評価することによって、以前のように女性が担うということにはならず、むしろ、公的な部分と私的な部分のバランスがとれてあらゆる分野で男女が共同して参 画していくのではないか。
    大沢委員
    今後、労働と私生活のバランスという形で議論できるのではないか。
    大澤会長
    個人住民税の規定の男女差について、規定の仕方あるいは制度のあり方について検討が必要である」という案に対し、「規定の仕方」を削除してはどうかという意見 があるが、それでは増税につながりかねない。また、同規定の男女差はライフスタイルの中立性とは無関係ではないかという意見もあるが、明文上の男女別の取り扱いがあること は、影響調査以前の問題であると考える。
    木村委員
    同意見である。
    大沢委員
    雇用システムが、就業やライフスタイルに対して中立的に変化していないたことが問題ではないか。男性も選択肢さえあれば、子育てなどで平等の役割を果たすことが 可能になっていくのではないか。また、ヨーロッパでは、パートや派遣労働者が増加することに対して、労働者保護を考える際に家族を前提に考えるが日本ではそのような視点がない。
    ワークシェアリングの議論には、子供を育てるだけでなく、夫婦が家事労働も含めて平等な負担、平等な対価を得るための改革であるといった視点も必要なのではないか。
    木村委員
    問題意識はみんな共通していると思われるが、どう中立性と兼ね合わせていくかが課題ではないか。
    林委員
    市場の原理のみのグローバル化ではなく、国際労働基準の問題も含めたグローバルな視点での議論も今後必要になるのではないか。
    大澤会長
    今回の議論で報告の内容はご了解いただいたが、表現を含めて会長預かりにさせていただきたい。今後は私が事務局と確認しながら、各省庁と調整を進め、必要があ れば事務局から各委員に個別に連絡をとらせていただく場合もあるかもしれないので、宜しくお願いしたい。報告は、今後適切な時点で公表したい。

(以上)