影響調査専門調査会(第3回)議事要旨

  • 日時: 平成13年7月16日(月) 15:00~17:00
  • 場所: 内閣府府議室(545号室)

(開催要領)

  1. 出席委員
    会長
    大澤 眞理 東京大学教授
    委員
    岡沢 憲芙 早稲田大学教授
    大沢 真知子 日本女子大教授
    木村 陽子 地方財政審議会委員
    小島 明 日本経済新聞社常務取締役・論説主幹
    神野 直彦 東京大学教授
    高尾 まゆみ 専業主婦
    橘木 俊詔 京都大学経済研究所教授
    永瀬 伸子 お茶の水女子大学助教授
    福原 義春 (株)資生堂会長
    師岡 愛美 日本労働組合総連合会副会長
  2. 議題次第
  3. 概要

    ○木村委員から「女性と社会保障制度について」報告が行われ、また、神野委員から「女性と税制について」報告が行われ、これに対する質疑応答が行われた。
    また、モデルケース・ワーキングチーム(案)について事務局から説明が行われた。

    ○木村委員・神野委員に対する質疑応答

    福原委員
    木村委員のアメリカの年金事例について再確認をしたい。
    木村委員
    アメリカの年金支給については65歳から満額支給となっている。60歳から65歳未満で受給する場合はそれより減給するという意味である。
    福原委員
    神野委員への質問として、アメリカのブッシュ政権では、相続税の減額について改革の動きがあるようだが。
    神野委員
    ブッシュ政権は、相続税額を上げると経済的活力が失われるとして、そうした活性化についての改正を考えているのではないか。
    橘木委員
    カナダが相続税を廃止したが。
    神野委員
    オーストラリアも廃止している。
    橘木委員
    農業中心国は相続税廃止で工業国はそうではないということか。
    神野委員
    事実上相続税に反対というのは、農地に限らず不動産所有者の政治的な力にかかっている。
    橘木委員
    木村委員への質問として、女性は年金支給額が男性より少なくても、平均余命が長い分得ではないか。
    木村委員
    問題は、収益率でなく、年金額が老後の生活を保障するのに不足するということである。
    岡沢委員
    神野委員への質問として、日本は、税の負担感が分かりにくい仕組みなのか、北欧のようにタックス・ペイヤーの意識が育っていないのではないか。
    神野委員
    日本の場合は、なるべく税痛感を伴わないような考え方になっている。
    木村委員
    日本では、法定相続人が家族に限られている。介護者(家族以外)を相続者として考慮してもいいのではないか。
    大澤会長
    我が国の税についての神野委員の考え方を纏めれば、日本の税制は、個人単位だが、家族配慮が大きいため、税制全体として所得再分配効果を損なっている。それがまた、女性や男性のライフスタイルの選択に対して中立でない仕組みになっている、といったことになるのではないか。
    また、木村委員の報告では、税制だけでなく日本の社会保障制度は、共稼ぎや単身から片稼ぎ世帯に逆再分配があるため、諸外国と比べて再分配効果が少ない。つまり、社会保障制度にも、所得階層間とジェンダー(夫婦のあり方)でクロスした偏りがあるのではないか、といったことになるのではないか。
    師岡委員
    日本社会は片稼ぎ前提であったが、今後、女性の稼ぎによって税額がどう変化するかという場合、公平性の問題が残る。また、少子化との関係では、出産・育児等で女性が昇給できないリスクを社会配分の中にどうとりいれていくのかという問題もある。

(以上)