第26回男女共同参画会議影響調査専門調査会

  • 日時: 平成16年2月9日(月) 14:00~16:00
  • 場所: 内閣府5階特別会議室
  1. 出席者
    • 大澤 会長
      岡沢 会長代理
      浅地 委員
      大沢 委員
      君和田委員
      佐藤 委員
      高尾 委員
      橘木 委員
      林  委員
      福原 委員
      八代 委員
  2. 議事
    • (1) 論点について
    • (2) その他
  3. 議事内容
    大澤会長
    それでは、時間も来たようですので、ただいまから「男女共同参画会議 影響調査専門調査会」の第26回会合を開催いたします。
     委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御参加いただきまして、ありがとうございます。
     審議に入ります前に、個人住民税の均等割制度の見直しについて、去る1月28日の男女共同参画会議において、私の方から報告させていただきました。概要を別紙にまとめてお りますので、ごらんください。この別紙と申しますのは、皆さんの前に別のつづりになっているものの後ろから3枚目「男女共同参画会議議事メモ(均等割関係部分のみ)」というの がございまして、その次には見直しについてという、26日のこの調査会で御了承いただいているものがとじられておりますけれども、それが概要でございます。私の方から、この見 直しについてというペーパーに基づいて発言しましたところ、麻生総務大臣から御発言がございましたけれども、以上のとおりです。よろしいでしょうか。
     では、お手元の議事次第に従って、本日の審議を進めてまいります。本日は3月中に予定している論点整理に向けた議論いただきたいと考えております。事務局から本日の議論 のため、前回お渡しした報告書イメージ、論点骨子案、更に現状分析のデータについて、資料を作成しております。
     まず、事務局から報告書イメージ、現状分析について御説明をお願いします。どうぞ。
    定塚参事官
    では、お手元の資料の1-1、報告書イメージから、ごらんいただきたいと思います。本日いろいろな種類の資料を用意して、ちょっとわかりにくいんですけれども、こ の報告書イメージは、ほかの論点等を検討した後で報告書をつくる際に大体こんな組み立てで報告書にしようというイメージを表したものでございます。
     組み立てといたしましては、まず「はじめに」。この中では「影響調査の意義」「これまでの経緯」「報告書の視点」という3点を書く予定でございます。報告書の視点につきまして は、第1には「男女の就業を中心とするライフスタイルの選択に中立的な制度・慣行のあり方」。これは従来からの当調査会のテーマでございまして、この中立的な制度・慣行の在 り方ということに一つ視点を当てる。ただ、これだけでは検討の範囲が限られてしまいます。影響調査というものは本来、行政の施策のあらゆるものにおいて男女共同参画社会の 形成に影響をどのように及ぼしているかということを調査検討しようというものでございますので、施策についてはこの<1>のライフスタイルの選択に中立的かどうかという視点より、や や幅を広くいたしまして、男女共同参画社会の形成にどういう影響を及ぼしているかという施策を見ていくということで今回、検討をしていきたいと思っております。
     「ii.現状と課題」です。こちらの方は、まず第1に「ライフステージ毎の就業スタイルの選択状況」ということで、進学から就業、高齢、引退に至るまでのライフステージごとに就業 あるいは就業を辞めるといったスタイルをどのように選択しているかという現状を見ていきたいと思います。
     その後に「2.雇用」「3.起業・自営業その他の働き方」「4.公務員」というところで現状を見た上で「iii.政策等の方向性」で、「1.総論」「2.雇用」「3.起業・自営業その他の働 き方」「4.公務員」という組み立てを考えております。 なお、本日お配りした資料との関係を申し上げますと、iiの「1.ライフステージ毎の就業スタイルの選択状況」という部分は、本 日の資料の1-2「ライフステージごとに見た就業に関する現状」を更に加筆修正したものというイメージでございます。
     iiの「2.雇用」「3.起業・自営業その他の働き方」「4.公務員」、「iii.政策等の方向性」、これにつきましては、本日の資料の1-3の「論点骨子(案)」を整理し直して報告書にま とめたいと思っております。
     では、まず初めに今のライフステージごとの就業に関する現状という部分について、課長補佐の大森から説明を申し上げます。
    大森専門官
    お手元に資料1-2-1文章編と、資料1-2-2図表がございまして、主に文章の方で御説明申し上げますので、図表の方は適宜めくっていただきまして、ごらん いただければと思います。
     まず図表の1でございますけれども、内閣府が実施した意識調査によりますと、親が子に求める最終学歴については、男子を子どもに持つ父親、母親とも大学まで希望する者が 6割であるのに対して、女子を子どもに持つ両親の場合、大学まで希望が4割ということで意識に差が見られるということがございます。
     次のページで図表2につきましてですが、なりたい職業の意識調査では、女子の8割の方が将来なりたい職業があるとし、どんな仕事に就きたいかという質問については保育士 や看護師、美容師といった、従来、女性が就くことの多かった職業を希望しているということです。
     次の図表3で、高校生の女性と男性にイメージしやすい職業を聞いたところ、男性がイメージできる率と女性がイメージできる率の差分で、男女で違いがあるということに関して言 うと、女性の方はどちらかと言うと美に関する職業に対する関心が高いのに対して、男性の方は、めっき工など技術系の職業に関心が高いという結果です。
     進学実態として、図表4では、大学の学部については男性と女性の間で進学率に13.2%の差があり、大学院に至っては、男性13.5、女性6.9 と、女性の方は半分にしかならないと いう結果になっております。
     次に、図表5なんですけれども、専攻を男性、女性で比べた場合に女性の方は人文系が多くて、男性の方は工学系の方が多い。女性の方は工学系は1割にも満たない状況で、 専攻には顕著な差が見られる。
     次のページで、図表6にまいりますけれども、専攻の分野の差を国際比較したものでございます。日本女性の場合は、人文科学系がやはり多い。これはoecd平均に比べて多 いということと、やはり工学系が少ないというのが特徴となっております。下の図で、卒業者に占める女性の割合を見ても、やはり工学系や社会科学系は女性が少ないというような 傾向が出ております。
     就職に関してなんですけれども、次、図表7なんですけれども、卒業後の進路として男女問わず、やはり人文科学系の方が就職が厳しいというのが男女問わず傾向としてあり、な おかつ工学というところで見ると、性の方に見ても就職がいいというような傾向が見えております。
     図表8でございますけれども、これは女性の網掛けの部分の数字を見ていただくとわかりやすいとは思うんですけれども、卒業後4年までの就業状況を見たところによると、経済 商学系、工学系というのは正社員として定着する率が高いんですけれども、芸術系とか理学系とか農学系の方は非正規、求職中といった方が多い。図表8-2を見ると、非正規、 正規を比較すると、人文系や自然科学系で非正規の率が高いというようなデータが出ております。
     次のページに行きまして、図表9-1でございます。これはoecd加盟国の学力差について調べた統計データでございますけれども、傾向としては日本の学力男女差を見た場合 においては、読解力については女性の方が統計的に有意に得点が高いのに対して、数学的リテラシーや科学的リテラシーということに関しては、統計的に男女差が有意ではなく、 ほとんど差が見られないというような結果が出ております。
     以上のとおり、男女の学力差というのは余り見られないんですけれども、進学率とか専攻分野に差があるので、この中には固定的な性別イメージに捕われる意識があるのじゃな いかというような問題意識を持っております。また、中学、高校段階で職業に関する幅広い知識を得させ、将来を見据えた進路指導を行うことが重要ではないか。特に従来、女性が 少なかった理工系とか社会科学系の進学を促がすような取組が必要なのではないかというような問題意識を我々としては持っております。
     次の図表10でございますけれども、若者の職業観について、やはり正社員が望ましいという考えの方が多いということがあります。それは現在、アルバイトをしている方でも、正社 員の方でも同じような傾向が見られます。
     次の図表11-1というのは、就職率でございます。就職率は平成3年以降減っておりますけれども、図表11-2のところにございますように、大卒の男女と高卒の男女を比べた 場合においては男女差が存在し、女性の方がより厳しい状況にあるというのが図表11でございます。
     図表12につきましては、これは24歳以下で新たに卒業した人がどのような入職比、これは人材のフローという面で見た観点では、だんだん男女ともにパートという比率が上がって いるんですけれども、女性の方がパート比率が高いということがあり、特に20歳~24歳までのところでは倍以上の差が見られるというようなデータが出ております。
     次が企業にいる人材のストックの面で見たところなんですけれども、ストックの面で見ても正規社員の比率が男女問わず、だんだん減っておるんでございますが、女性の方が正 規社員の比率が低く、なおかつやはりパート、アルバイト、派遣社員というのも無視できない比率で存在するというのがデータでございます。したがいまして、やはり企業が正社員 の雇用を抑制しており、非正社員比率が上昇しており、その構成は女性の方が比率が高いと。図表14-1で、フリーターになった理由というのがございますけれども、その中で矢印 してありますけれども、正社員として採用されなかった方というのもおり、なお方、女性の場合はフリーター離脱成功率というのが男性の比べて低いというのが無視できない統計とし てあるのではないか。結論的なものとしては、女性は非正社員を自ら選択する者も多いにしろ、やはり正社員として雇われなかったという方や、あるいは非正社員から社員になろう としたけれども、果たせない方もいらっしゃるので、雇用環境の悪化というのは女性により大きな影響を与えているんじゃないかというふうに考えております。
     次の「ライフコース」というところでございますけれども、図表15-1は内閣府の世論調査なんですけれども、子どもができてもずっと職業を続けている方がよいと考えている方の 割合が平成14年7月の調査で初めて、一旦やめて再就職するという割合を上回りました。次のページに行きまして、実際に共稼ぎの割合を見てみますと、これは去年の報告書を 使ったデータなんですけれども、雇用者及び自営業者の共稼ぎ世帯数は、無業の妻からなる世帯数を上回るようになっているというのが統計で出ております。
     次のページは、これもよく使われるデータなんですけれども、女性の労働力率の統計なんですが、m字型カーブを潜在的労働力を見た場合はm字型の底が上がるというような 特徴があり、その次の図表16-2になりますと、このようなm字型のカーブが見られるというのは日本と韓国といったアジアの国が主で、北欧ではそういう傾向は見られないという 結論が出ております。
     次の図表17でございますけれども、これは女性の就業パターンの理想と現実という形で理想の就業パターンと現実の就業パターンの乖離を調べた統計なんですけれども、希望 としては男性、女性ともに一旦やめて再就職するということを理想としている方が多いんですけれども、現実に再就職をしている方を見ても、実は働いた方がよかったというのが 16.7%いたり、専業主婦をとっている方を見ても、実は再就職型が望ましかったというのが5割いたりと、なかなか理想と現実が一致していないという現状がこの表から見れるという ことでございます。
     次に、図表18でございます。図表の18はufj総合研究所のアンケートでございますが、この中で仕事をやめた経験のある方91.3%というアンケートをして、その中で仕事をやめ た理由については右にございます、結婚、出産が4割以上を占めており、かなり大きい要因になっていると。仕事をやめた方に対して後悔しているかと聞いたところ、後悔している人 が2割いる。なぜかと言うと再就職しようとしても就職先がないと。継続した人は、やはり継続してよかったと答え、一度やめたら、なかなかいい就職先がないというような回答があっ て、これらのことから女性が出産、育児をしながら就業を継続するということはかなり困難であろうというようなことが類推できるというふうに考えております。
     次の、図表19でございますけれども、これは下の「結婚」というところに対応しております。男女ともに9割の方がアンケートに対して、いずれ結婚するつもりと答えておりますけれ ども、その割合がだんだん低下する傾向にあるということでございます。
     次のページで、図表20では、実際にもかなりの部分で男性が5割強、女性の6割弱が30代前半でも未婚であるというような統計の数字が出ているところです。
     次に、図表の21でございますけれども、内閣府の意識実態調査によりますと、なぜ結婚しないのかということについて、結婚して特に不利益になると思われる点についてアンケー トしたところ、男性、女性で差があるのは、女性は家事、育児負担の増加の指摘がかなり多いというのが男女差で見られる統計差ではないかというふうなデータが出ております。
     次に、図表22-1なんですけれども、結婚と育児について25歳~34歳までの年代については、結婚、育児を理由にやめたという方は結構多い。これは総数との比較でも明らかに 多いと。離職して無業になっている人に、なぜ無業になったのかということで聞いたところ、やはり結婚しているからとか育児のためというような理由を挙げているというのが図表22 のデータでございます。先ほど御説明したufjの統計でも、9割が退職経験を持ち、うち5割が結婚ということは先ほど申し上げたとおりでございます。
     次に「出産、子育て」のところなんですけれども、図表23-2というところで、理想の子どもと予定している子どもの方で、2人というのが多いんですけれども、やはり理想よりも予 定の方で1人の方が多かったり、3人よりも2人の方が多かったりと現実の予定の方がやや少なめな傾向にあり、なぜ理想ほど生めないのかということについては、子どもを育てる のにはお金がかかるというような割合が多いんですけれども、これはこの図にはないんですれども、妻ともに正社員の場合は59%なのに対して、専業主婦では75%ということで、 働き方によって経済的には負担感が違うというような数字が出ております。世論調査で子どもができてもずっと職業を続けるのを希望するという方は多いというのは図表15-1で 説明しました。
     実態の面ですけれども、継続就業か退職かというところでは図表24では出産後1年前に就業していた女性のうち、7割が半年後には無職になっているというデータがございます。
     次のページに行きまして、その出産した女性が仕事をやめた理由については、自発的にやめたという方が一番多いんですけれども、これについては両立が困難にあるとか、解雇 や退職勧奨があったという層が無視できないほど存在し、更に両立が難しかった主な具体的な理由として、育休がとれないとか保育所の開所時間が足りないとか、育休制度がない といった答えもあるということでございます。
     次に、図表26-1でございますけれども、育児休業化法制定後の取得率なんですが、女性の方は6割とっておるのに対して、男性の方はかなり微々たるものになっているという のが現状で、やたり男性も女性もどちらかと言うと、育休をなかなかとりにくい雰囲気があるということがあるのと、あと女性が利用しない理由としては、職場の雰囲気もあるんです けれども、収入減となる経済的に苦しくなるというような理由を挙げている方が多いということが挙げられます。
     次の、図表27-1でございますけれども、これは男性について育休をとるべきかというアンケートに対して、30~34歳の男性というのは育休をとることについては、非常にそう思 う、ややそう思うという層が多いということなんですけれども、実際には先ほど申し上げた0.33%しかとらない。なぜとらないかということについては、図表27-2で、仕事が忙しいと か取得しにくい雰囲気があるとか、そういった理由を挙げておる方が多いということでございます。
     次の、図表28なんでございますが、特に男性の方なんですけれども、25~44の男性というのは週60時間以上働いている方の割合というのが増えているというのが明らかになる と思います。図表28-1について、やはり25~34歳の方の平均時間が上がっており、なおかつ週の平均的な労働時間についても30代の労働時間が一番多いというようなばらつき があり、残業時間についても同じようなばらつきがあるというふうに出ております。
     図表29なんですけれども、子育て優先度の希望と現実ということで、父親も母親も希望としては51.6%、58.6%という形で同等に仕事と育児を重視したいという希望を持っておるん ですけれども、実態として父親の方は仕事優先となり、母親の方は家事、育児優先あるいは専念になるというような傾向が出ております。
     第一子が生まれた場合も、父親の方は余りこれまでと変わらない働き方をするとか、後は収入を増やすという希望を持っており、そういった形で図表29-3にありますように、子ど もと過過ごす時間は0時間台が38%というような数字になっております。
     次に、図表30-1でございますけれども、これは「保育所」というところに対応するんですけれども、保育所については厚生労働省が待機児童ゼロ作戦を始めておるんでございま すが、現在において、これは2万6,000 人の待機児童が存在しているという現状で、特に大都市圏というところで多いというような円グラフが出ております。
     次に、結論としては、これだけのデータからわかることとして、自らの手で子育てがしたいとしてやめる女性も多いんですけれども、一方では両立したいと思っていながら制度の不 備で果たせなかった女性とか、やめてしまって後悔している女性も無視できない。男性の方も育児に関わりたいと思っているんだけれども、なかなか育休がとれなかったりとか、長 い時間働かなければいけないということ。あるいは保育所が足らないということもあって、育児と仕事の両立というのはかなり難しいというのが現状としてあると思います。 次の「再 就業」というところなんですけれども、図表31というところになると、末子の成長ステージ別ということがございますけれども、末子が小学生と上がっていくに従いまして、フルタイムで 働きたいという女性の希望が出てくる。図表31-3で、一方そうであるにもかかわらず、これは後の実態の方と関係するんですけれども、末子年齢が上がっても正規の職員という のはなかなか割合としては少なく、ほとんどパートになっているというような状態が見てとれると思います。
     次の、図表32なんですけれども、求職者が希望する仕事の形態としては、非正社員というのが7割弱ということです。これは35歳~44歳のところなんですけれども、パート、アル バイトとか正社員以外のところでも7割を超えているということがあります。
     次の、図表33なんですけれども、パートタイムになっている方に対して希望の動機というのを聞いたところによると、やはり正社員として働きたかったけれども、希望に合う勤務先 がないという方が全体でも26%。30~34歳でも24%存在しております。パート労働者の今後の就業希望という形では、7割の方が今後ともパートでということを言っておるんですけ れども、1割の方が正社員になりたいというような状態があります。
     次のページで、図表34-1というところなんですけれども、図表34-1については、再就業の中の実態というところに対応しますが、35~44の実際の雇用形態は非自営業と正社 員、パート、非正社員がほぼ同率である。しかし、これは下の真ん中の図なんですけれども、離職後2年以上経った女性については、一旦離職して時間が経ってしまうと非正規職 員としてしか、なかなか勤務先がないというような状態があるということです。あとは、結婚のため、育児のためということに関して離職した人も同じような傾向が見られるというような のが図表34でございます。
     次の、図表35なんですけれども、これは完全失業者が仕事につけない理由について、男女別にとったものです。特に女性については15歳~34歳、35歳~44歳と矢印が付いてご ざいますけれども、ここは勤務時間、休日が希望に合わないというのがございますけれども、45歳~54歳、35歳~40歳になると年齢が合わないというような回答が目を引くというよ うな現状があります。
     次の、図表36でございますけれども、それについて中途採用ということで、企業において真ん中のグラフの中に現在より中途採用の割合が高くなるということがございますけれど も、企業において中途採用が拡大しようという傾向はあり、それによって大企業においても、5,000 人以上の大企業でも10%以上の中途採用を入れようという企業は3割あるんで ございますけれども、その採用理由というのは、やはり即戦力として活用するため。これは下のグラフなんですけども、あとは退職者の補充というのが一番多いんですが、組織の 活性化といった理由を挙げているというのがあります。年齢制限があるということを先ほど申し上げましたけれども、年齢制限につきましては図表37になるんですけれども、雇用対 策法を改正し、企業に求人年齢制限をやめる努力義務というのを課しましたが、年齢制限のある求人というのは一旦は9割からは減ったんですが、それでも7割前後あると。年齢 不問求人も1割に増えたんですが、なかなか伸び悩んでいるというような状況が見え、次のページに行きますと、求人における平均制限年齢については、むしろ最近は横ばいであ る。上限年齢も横ばいで下限年齢はむしろ下がっているというような状態にあります。 そういった高齢者の雇用の受け皿としてなんですが、図表38で自分で業を起こす創業という ような選択肢があるのじゃないかということが指摘されており、事実、創業者の開業年齢を見ても30代、40代という者で48%と半分近くを占め、男性とここは対称をなすということが 挙げられます。創業した人に開業直前の職業を聞いたところ、男性と比べて主婦と答える方が8.9 %いるため、高齢になると自ら起業するというような選択肢が考えられるというこ とでございます。ここから言えることとしましては、再就業に当たって非正規社員を希望する女性も多いんですけれども、できれば正社員という方も多く、また中途採用ということに 関しても、なかなか拡大する傾向にあるにはしても年齢制限とか時間が合わないといった制限が障害になっている場合もある。また、やはり中途採用に当たって企業は即戦力を求 めるんですが、結婚、出産、退職をした女性にとって、その能力を開発する機会が不足しているというような可能性があると指摘しております。
     次に「離婚・死別」というところに対応するグラフでございますけれども、離婚件数、離婚率というのは最近、増加傾向にあるというのが図表39のグラフでございます。
     次に、図表40でございますけれども、これは母子世帯数、父子世帯数の数でございまして、母子世帯数は62万世帯に、95年から2000年にかけて上昇している。ほとんどが離別 であるというようなデータが出ております。
     図表41でございますけれども、そのような母子世帯については収入がほとんど150 万円か200 万円と低く、これは下の真ん中の方にありますけれども、母子世帯は父母両方世 帯に比べて400 万円近い平均所得額の差があるというようなデータが出ております。
     次のページなんですけれども、母子世帯の生活については、やはり全世帯に比べて大変苦しい、やや苦しいという方が抜きん出ておって、8割を占めるということでございます。父 子世帯につきましても、網掛けをしたところをごらんいただければ、2人世帯の父が588 万円稼いでいるのに対して、父子世帯の父については独立している場合は480 万円しか稼 いでおらず、なかなか厳しいというような状態があります。困っていることとしては、父子世帯の場合は家事ということを挙げる方が多いんですけれども、母子世帯の場合は家計が 苦しいということを訴える方が多いというのがアンケート調査で明らかになっているということです。
     次の、図表43なんですけれども、これは離職者の数ということでございまして、ここは次の「高齢・引退」というところに対応するものでございます。離職者の数なんですけれども、 男性の方は60~65で定年なんですけれども、定年でやめる方が多いのに対して、女性の方は25~29の間に山ができていて、離職する時期に差が見られるというのがあります。 男性の方下のグラフで定年であるとか、あとは人員整理、リストラ型の退職というのが多いんですけれども、女性の場合は結婚、育児という理由が多く、なおかつ定年もあるんです が、介護という理由も無視できないほど存在するということでございます。
     そういった高齢期の女性のことについては、図表44-1の上の方で、希望のアンケート調査をとったんですけれども、やはり不就業者の就業希望について、女性については55歳 の段階で6割以上の方がもう就業を希望しないということもあって、そのデータが65歳~69歳も続いているので、やはり定年の年齢の後も働き続けたいという女性の数というのはな かなか少ないというような状態であるということがあります。就業している方は、その理由としては経済上の理由というのが男女ともに多いです。仕事したいと思わない理由というの はいろいろ多岐にわたっています。
     仕事が見つからない理由については下のグラフで、技能が生かせないとか希望が合わないといったような理由を挙げる方が多いということがございます。
     大体、以上でございます。
    大澤会長
    ありがとうございました。
     マーカーが入っていて、至れり尽くせりのデータを用意していただきまして、大変助かります。ただいまの御説明について御質問や御意見をお願いします。
     どうぞ。
    高尾委員
    こちらの資料1-2-1の方の1ページの進学の実態のところですけれども、4年生大学への進学率を見ると女性の進学率は現在でも男性を13.2ポイント下回り、大 学院は女性は男性の半分だとここに書いてあるんですが、これに対応して国際比較のデータがありましたか。つまり、新聞記事か何か見てこの間、驚いた経験がありますけれど も、結局、欧米ではもうほとんど同じ率になっているけれども、日本はやはり低いんだと。この部分に関して国際比較があるといいかなと思ったんですけれども。
     済みません。すごく速く報告されたので、ちょっと全部消化できていないので。
    大澤会長
    なかなかフォローし切れない。
    高尾委員
    はい。ありませんか。
    定塚参事官
    概要としては今、委員のおっしゃられたとおりでございまして、oecdのほかの諸外国はほぼ男女同等となっているのに対して、日本の方はかなり差があるという状 況が出ていると思います。今手元にないため、次回にでも出したいと思います。
    高尾委員
    今日いただいたところには載っていないんですね。
    大森専門官
    ないです。
    名取局長
    ただ、今おっしゃったのは昨年9月にoecdの公表した「図表でみる教育 oecdインディケータ(2003年版)」のことだと思います。今、御発言の趣旨のところは出て おりませんけれども、図表6-1が、同じインディケータに載っていたもので、専攻分野についても日本は非常に遅れていることを示す表を、ここではちょっと加工してお示ししており ます。
     同図表では、工学、社会科学・商学・法学に占める女性の割合が非常に日本は少なく、最下位ということを言っております。ここには載せておりませんが、ほかの分野でも例え ば、保健・健康とか、生命科学・自然科学・農学でもoecdで最下位なんですね。
    坂橘木委員
    それに関して1つですけれども、確かに日本の女性は理学、工学、社会科学が少なく、男性が圧倒的に多いんですけれども、最近、男性で自分は理工系に絶対向か ないと。親が就職できるから理工系に行けと言って行ったけれども、自分は数学得意じゃないし、間違ったというのが結構目立ってきまして、だから本人の資質と就職に有利である というのが両方やはり兼ね合いでもって専攻が決められる。私も昔は何でこんなに日本は、女性が理工系あるいは社会科学系が少ないか不思議に思っていたんですけれども、最 近何かやや男性側で自分にふさわしくない、失敗したというのが増えているというのに気付きまして、これはやはり自分の資質と就職の可能性、両方必要じゃいなかという気がしま したけれども。
     工学に女性が少ない、逆に言えば、圧倒的に男性が多いわけでしょう。
    名取局長
    どこの国も多いんですけれども、多さの点が違うんですね。女性割合の平均値が22.2%で韓国と同じなんですけれども、日本が10%でoecdで最下位なんです。男性を見れば90%か78.2%かの問題ですが、女性から見ればダブルスコア-より多い。ですから、その辺をここでは問題にしているということだと思います。
     韓国など、ある時期まで日本と同じくらいだったんです。10%ぐらいしかいなかったんですが、ある時点から急に22%で大体ほかの先進国ぐらいになっているんですけれども、唯一 日本だけは相変わらず10%ぐらいで低迷しているということはございまして、ちょっとoecdの中の、男性か女性を取るかというのは別ですけれども、女性にスポットを当てますと日 本の場合は、女性の専攻分野がなかなか広がらないというのが一つ特徴であるのかなということは言えると思います。
    坂橘木委員
    私も過去はそう思っていたんですよ。これはものすごく問題だと思っていたんですけれども、繰り返しになりますが、逆に男で全くふさわしくないというのが結構いるとい うのも問題だと思うんですね。むしろ自分は文学とか歴史とか、そっちの方が向いているという男が今、結構多いんですね。
    大沢委員
    専攻の男女差が日本の場合、どちらにしてもミスマッチで向いていないのに理工に行く男性と、実は理工に向いているのに文系に行ってしまう女性がもしかしたらいる のかもしれないという、それがどういう選択の理由によって決まるのかっていうことを考えると、やはり何か、その後のライフスタイルにおいて女性の場合はインベストメントにペイし ないような、仕事のキャリアを、例えばエンジニアリングについたとしても結婚や育児でやはり自分はその資格を生かしていけないだろうと思うと、そこに思い切って人的資本を投入 するような意欲が湧かないんだろうし、逆に男性の場合はそこに実力以上のプレミアムがかかっている場合だと理工系が多くなるというふうに考えると、やはり人的資本の選択肢 において男女差を生み出すような仕組みがあるんじゃいかなと、この統計を見た限りで思ったんですが。それが例えば、その後のライフステージにおける就業において自分が一生 仕事が続けられると思うという希望を持っていても、希望が満たない人が多いというところで、どうしてもそういった理工系とか、よりペイするようなところに自分の教育投資をしていく ようなインセンティブが湧かないような仕組みというのが何かこの中にあるんじゃないでしょうか。資質ではなくて。
    坂橘木委員
    ペイということに関して言えば、理工系の方が不利ですよ。日本は圧倒的に文系の方が役人の輩出率が高いですしね。大沢さんの言われたペイということに関して言 えば、私は理工系は日本は不遇だと思っていますけれども。
    大澤会長
    どうぞ。
    岡沢会長代理
    それとの関連なんですけれども、私など一番痛切に感じるのは、中学から高校に行くとき、高校から大学に行くときの意思決定に進路指導の先生方のガイダンス が意外と、その直近の全国統一模試辺りの点数のいいのがその人の適正じゃないかみたいな判断をして、そうすると、うちもそうなんですけれども、国語国文科とかいう、そこに圧 倒的に女性がいい成績取るわけですね。そして、その人たちがそのまま文学部と教育学部に行く。ところが、その人たちが非常に就職しにくくなる。そうじゃない人は結構それなりに 就職できるのに優秀な偏差値の高い人たちが特定の学部・学科に集まってしまって、しかもそこが非常に就職の少ない、ジャーナリストなど一番少ないところなんですが、そこに優 秀な人がずっと集まっていて挫折していくという。だから、進路指導のときのガイダンスみたいのをどういうファクターで切り替えていくかということを真剣に考えていかないと、今まで のように直近の全国統一模試でいいから、あなたに適切という判断のウェートが多過ぎるんじゃないかなという気がしますね。
     というのは、私も進学高校出たんですが、別に医者に向いていないのに偏差値が非常に高いから君、医学部だ何だって決め方を、非常に強引な、大体恐らく進学高校ってほとん どそうだったろうと思うんですが、全国模試上位何位だから君、医学部だねと言われると、ちょっと違うんじゃないかという。その辺をもう少し中3、高3のときの進路指導のときのガ イダンスに何か工夫があっていいんじゃないかなという気はしますね。
    八代委員
    目的が違うんですよ。つまり、ガイダンスの先生ができるだけ自分の高校から大勢入れたがりますから、そんな医学部に行けるのに行かないなんてもったいないこと するなということで、個人の適性は二の次ですね。
    福原委員
    さっき大沢先生のおっしゃったことに関連するんだけれども、教育投資というのはお父さん、お母さんが相談しなさるわけでしょう。ただし、教育に関しては自分の時間 投資は自分が決めることなんですね。ところが、お父さん、お母さんの立場からすると大体、理工学系の技術者とか医者の場合は社会科学あるいは文学というのは虚学だと思って いる方々が多いんですね。したがって、子どもに才能があろうとなかろうと、あるだけのお金はそちらにつぎ込みたいというのが事実であって、子どもはそれでゆがめられているん じゃないですか。だから今、橘木先生の言われた、社長というか、ある地位に工学系の出身者が少ないというのは、この日本の状況は今、私は急速に変わりつつあると思います。
    坂橘木委員
    そうですか。
    福原委員
    今、工学系の社長さんはかなり多くなってきました。また、それらが割合成功しています。
    坂橘木委員
    でも、一昔前は圧倒的に文系が有利でしたね。
    福原委員
    そうです。
    林委員
    ちょっと質問で、図表9-1について、これが理解できないんですけれども、教えていただけますか。数学的リテラシー、科学的リテラシー、読解力と3つ並べてあって、読 解力は男女差が非常に大きく女性の方が読解力があるというふうに、日本は見るわけですか。
    定塚参事官
    これはoecdの方で各国の男女でそれぞれ読解力、数学、科学の特性がどちらにあるか、あるいは好きか嫌いかというような傾向がどちらにあるかということを判 断したもので、薄い部分は統計的に有意でないということなので、日本のところを見ていただくと読解力だけ女性の方が高いということが統計的に言えると。数学の部分と科学の部 分は薄くなっておりますので、ちょっと差はあるが統計的に有意なデータとまでは言えないという報告となっております。
     したがって各国見ると、数学と科学はほとんどの国で統計的にそう差はないと。ただ、読解力だけは女性の方が高いということになっているようでございます。
    大澤会長
    林さんの疑問は解けましたでしょうか。
    林委員
    ちょっと解けていないんですけれども、数学的リテラシーという中身は一体何なのかなというのがわからないですね。
    大澤会長
    簡単に言って算数や数学の点数が高いかどうかという。
    林委員
    単に点数ということを言っているのか。
    大澤会長
    できるという。
    林委員
    その範囲のことですか。
    大澤会長
    だと思います。数学的リテラシー、科学的リテラシーとは要するに理数系ができるかどうかということで、読解力は国語の点数が高いかどうかという。
    林委員
    割と単純なことなんですね。
    大澤会長
    単純なことだと思います。
    林委員
    そうですか。何かここにファクターが入っているのかなと思ったんですけれども。わかりました。
    大澤会長
    9-3の方を見ましても、これ日本だけですけれども、国語、社会、算数、理科、英語ってほとんど男女で差がないですね、日本は。ほかの国を見ると理数系で男の方 が得点が高いという国が幾つか黒い字で、例えば韓国とかオーストリアなどそうなんだけれども、日本は薄くなっているから統計的な有意差はないと。要するに国語は女の方がで きるけれども、理数系には男女差はないというのが日本の在り方だというのがこれでわかるわけですね。
    林委員
    それなら実感としてもありますので、わかりました。
    大澤会長
    ちょっと時間がビハインドになってしまっているんですが、高尾委員の御指摘のこともあるんですけれども、特に大学進学率のところではoecd諸国と比べて日本は どうなのかというのと同時に、一部の途上国と比べても日本は問題があるんじゃないかというのが、例えばフィリピンとかタイとか比べた場合に日本の方が問題があるというふうな こともちょっと耳にしますので、oecd諸国だけでなく途上国もピックアップして見てみると、この図表4の問題性というのがよけい浮き彫りになる気もいたします。
     よろしいでしょうか。ちょっと次に移りたいと思います。論点骨子について、その総論部分についてと雇用部分についての、まず事務局からの御説明をお願いします。
    定塚参事官
    では、資料1-3をごらんいただきたいと思います。この資料1-3につきましては関連データを資料の1-4-1の方、あるいは1-4-2の方にお付けしてありま すが、本日、余り時間がありませんので、基本的には論点骨子の方で一部だけデータの方は御紹介させていただきたいと思います。
     まず、論点骨子ですが、こちらの方はあくまでもヒアリングと今までの委員の先生方の御議論の内容及び事務局の方で考えたことということで並べたものでございまして、まだま だ論点骨子でございますので今後、盛り込むべき内容、方向性あるいは構成について、御意見をぜひいただきたいと思っております。
     まず「1.総論」。こちらは雇用とか自営とか、そういった区分にかかわらず大きな問題ということで記載をしてあります。(1)は、従前は性別役割分担を前提に、世帯を単位に世帯 主である片稼ぎの男性雇用者に対して長期雇用を保証し、世帯に配慮した年功賃金性を採用するなどの制度、慣行が設立してきたところでありますが、共稼ぎ世帯の比率が上昇 して、世帯単位の制度、慣行というものがライフスタイル選択に中立的に機能しなくなってきたということで、個人単位の制度運用に変更することが求められているということでござ います。
     (2)は、雇用形態の多様化及び雇用労働者以外の部分で主婦が起業するとか、雇用労働者であった者が起業する。あるいは、在宅ワーク、npoで就業するなど多様な働き方 が出てきたという点でございます。
     (3)は、この(2)を受けまして、これら多様な就労形態、雇用だけでなくて、雇用以外の働き方も含めますけれども、個人個人がライフスタイルに応じて選択し、選択した際に中立 性を確保できるという制度、慣行であることが望まれるという点でございます。ここに例示で挙げましたのは、例えば雇用や自営、その他の就労形態間で人生の中で何度か移動す るということも考えられるようになってくるわけですが、この移動の円滑化に資するような制度としていくことが必要であろう。第2には、雇用と自営業者の中でもかなり労働者性の 強いものとの区別が付きにくくなったということを踏まえまして、非雇用者でも労働者性の強いグループに何らかのセーフティーネットを考える必要がないかという点でございます。
     (4)は、ただいま御議論もいろいろありました教育、能力開発の点でございまして、進学時の学部選択。これは親のイメージ、親のイメージを受けた子どものイメージというものに よって、かなり学部選択も偏ってきているのではないかという問題意識に基づいておりますが、こういった偏りを除去して、就職を見据えて理工系や社会科学系進学を啓発してはど うかという点。
     従来、企業内訓練というものが非常に盛んであったわけですが、最近あるいは今後においてはこの役割が比較的に低下していくのではないかということから、そのほかの能力開 発の方法、社会人教育というものを充実して、特に主婦から再就職する方とか起業する方とか、そういった方にも教育が受けられるようにということを書いてございます。
     次のページをごらんいただきたいと思います。「論点骨子(雇用部分)」と書いてございます。雇用部分の「現状・課題」については4点挙げてございます。おおむねは今までデータ 等で御説明した内容のものでございます。
     (1)は、継続就業を希望していても結婚、出産を契機としてやむなく退職する女性が多い。
     (2)は、継続就業している女性でも、一般的には男性に比べて賃金格差がある。この点につきましてはヒアリングのときの男女賃金格差のデータ、別の資料の方に出てございま す。格差の理由には、さまざまあるわけでございますが、その1つとしてコース別雇用管理制度の内容や運用方法が誤っているということで昇進が遅れたり、処遇が低くなっている 場合もある。
     (3)ですが、専業主婦が再就職しようとする場合に、非常に壁が高いということで、特に正社員の門戸が狭く、パートとして再就職しても処遇が低いことが多いという点。
     (4)、これはちょっと我々の方も自信がないので括弧書きにしておりますが、引退時の問題として女性はm字カーブで見ると男性より退職年齢が早いということがございます。ま た、高齢になると男性以上に職を得にくいということがある一方、ここには書いてございませんが、就業希望もそう多くはないということで、果たして問題点というものがあるのかどう かということが事務局の方でもやや不明となっております。早期に退職勧奨を女性だけされるというような声も全く聞かないわけではないですけれども、具体的案件というのはつか めていないというのが現状でございます。
     次の「2.影響を及ぼす制度・慣行等」ということで「1.現状・課題」に対応して、それぞれどういう制度があり、その制度が不十分な点がないかということについて見ております。
     (1)の、結婚、出産退職という点につきましては、両立支援策はたくさん講じられてはいますが、そうは言ってもまだまだフルタイムで働き続けるための環境整備というのは十分で きていないのではないか。短時間勤務制度やフレックスタイム制というものはありますけれども、まだ導入率が低い。あるいは、利用率が低いといった部分もございます。フルタイム の正社員以外の就業形態に、子育て期だけ転換して、あるいは転職して働き続けるということがなかなか難しい社会となっているという現状がございます。
     3番目として、結婚、出産退職というのを強いる職場の雰囲気が残る企業というのが、いまだに残っているのではないか。特に、最近景気の動向が非常に悪いということもありまし て、妊娠したら解雇すると言われているような女性労働者も多くいるというふうに聞いております。
     (2)、賃金格差、コース別等の話でございますけれども、個人単位ではなくて世帯単位での諸手当の支給というものがまず問題となります。この点は、ヒアリングでもございました が、労働基準法の時間外割増賃金の算定根拠に、家族手当等の手当が含まれないということも多少働いているのではないかという御指摘もございました。
     次にコース別雇用管理指針がございますが、指針に反している例があるのではないか。賃金格差が賃金制度の運用や雇用管理の面から発生するのではないか。
     (3)の再就職につきましては、募集、採用における年齢制限、これは雇用対策法の施行によって、努力義務を課せられたわけですけれども、いまだに年齢制限を持つ企業が多い ということがございます。
     2番目に、再就職の場合にどうしても両立ということが引っかかってくるわけでございますが、希望に応じた働き方を得て、その上で働きに応じた適切な処遇を得られるという職が 少ないのではないかと、どうしてもパートだから低賃金ということになっているのではないかという点。
     3つ目は、今、申したパートの点ですけれども、パート労働法指針の趣旨に反している例があるのではないか。
     (4)の引退、退職の問題ですが、こちらちょっと自信がないんですけれども、早期退職勧奨をしているような企業がいまだにないかという点等があります。
     3では「今後の政策等の方向」ということで、今までのような現状、課題を踏まえて、何が考えられるかということを記載してございます。(1)では、多様な就業形態を自由に選択で き、働きに応じた処遇が実現する社会ということで、個々人のライフスタイルと希望に応じて就業形態を選択できるよう、多様で良質な就業機会。
     イは、パートタイム労働等、多様な就業形態に応じて、働きに応じた賃金等の処遇の実現を得られること。
     ウは、これらの多様な就業形態間及び雇用以外の就業も含めた移動の円滑化です。
     (2)は、企業の家族手当の見直し等、生活給から能力給への転換。
     (3)は、賃金格差の解消、配置、昇進等における差別。結婚、妊娠、出産を理由とする解雇の強要に対する適切な指導という、労働基準法あるいは男女雇用機会均等法上の課 題でございます。
     (4)は、コース別雇用管理の適切な運用の促進。
     (5)は、募集、採用における年齢制限の撤廃の検討。
     (6)は、両立できる環境の整備でございます。
     以上でございます。
    大澤会長
    ありがとうございました。ただいまの御説明について、御質問や御意見をお願いいたします。
    八代委員
    ここに書いてないことで、最近の動きとして、今度の国会に例の65歳までの雇用義務のような話が出ているんですけれども、これは何か新聞等ではとかく労使の対立 のような形で展開されているんですが、労働者対労働者の利害対立というふうに考えると、明らかに中高年は得をするけれども、その分若年者の雇用機会が狭まるという問題も あるし、同時に今、高年齢層では極端に比率の少ない女性にとって、本当にプラスになるかどうかという視点は全く議論されてないんですがどうなんでしょうかということなんです。 報告書自体は、働き方の多様化ということを強く打ち出している中で、言わば本人の能力に関わりなく定年延長みたいな形を強いる政策というのは、整合的にはどうかというのは ちょっと議論する価値はないのかどうかという問題提起なんですけれども。
    大澤会長
    ありがとうございます。それは今までも議論しておりませんね。
    定塚参事官
    そうですね。今まで議論されていないかと思いますけれども。
    大澤会長
    ただ、前の報告書をまとめるに際しては、年金制度との関連でフレキシブル・リタイアメントのようなことが言及されたということはあったと思います。これまでは、その 程度にとどまると思います。私から質問なんですが、今の資料1-3の2ページ目に、一番下の書(4)<1>女性に指導の対象となる早期退職勧奨。この指導は何法に基づく指導です か。
    定塚参事官
    これは均等法では、女性だけに退職勧奨をすれば違反となるということでございます。
    大澤会長
    結構、地方公共団体で、女性職員への退職勧奨年齢が男性よりも低いという話は聞くんですね。
    定塚参事官
    その話は聞きますけれども、実際公共団体に聞いてみると、そんなことはやっていないという話ですね。
    大澤会長
    正面から聞けばやってないと言うんですね。
     どうぞ。
    佐藤委員
    論点骨子の今後の政策等の方向が、やや現状の政策をいろいろ並べてあって、それを推し進めようという形で、それは悪いわけではないんですけれども、やはり各省 庁の間でやれないところで大事な点をここで言うことが大事だと思っていまして、ですから、その辺少し整理し直していただけたらということです。
     それとの関係で、1つはヒアリングのときにもお話ししたんですけれども、例えばパートのところ、現行の短時間労働法というのは、通常の労働者と短時間労働者の間の処遇の均 衡ということを言っているんですけれども、通常の労働者の行政解釈で正規型労働者なんです。簡単に言うと、正社員と短時間労働者の処遇の均衡なんですけれども、多分これ から大事なのは多様な働き方と言ったときには、フルタイムの人とパートタイムの人の処遇の均衡。
     ですから、現行法で言うと、例えば有期契約のフルタイムの人と短時間の人が同じ仕事をしていても、これはパート労働法の対象ではないんです。ですから、フルタイマーとパート タイマーの処遇の均衡というような、つまりパートと比較できる仕事がどうも有期契約に移っていっています。そこはフルタイムなんです。ですから、そういうことも含めてフルとパー トの処遇の均衡が大事だということを少し言うとか。
     あとコース別雇用管理も、これは正社員の中でのコースの分け方が適切かどうかということを議論しているだけで、実は正社員以外のところも視野に入れておかないと、総合職、 一般職でぎりぎりやり始めると、一般職が有期契約に移っていってしまって、正社員が全部総合職になったらこれは意味なくなってしまうんですね。全部総合職になれば問題解決 するのかというと、実は有期契約の例えばフルタイム数が増えてしまったということが起きるかもしれない。
     そういう意味で、このコース別雇用管理についても、実は正社員の中だけではなくて、多様な雇用区分間、つまり雇用区分の設定が正社員の中だけの雇用区分ではなくて、その 外の雇用区分も含めて見ていくことが大事だということを言った方がいいのではないかということです。
     あともう一つだけ、総論のところで、先ほど職業選択についての啓発という議論があったんです。就業意識等々。それも大事なんですけれども、もっと私が大事だと思っていますの は、働くことに伴う労働者の権利意識、これがどんどん低下してきているんです。
     例えば、育児休業取得というのは請求権ですから、その会社の就業規則に育児休業の規定がなくても取れるんです。ところが、そのことを知らないと、就業規則に書いてないと取 れないのではないかと思ってしまうと。実際上、働いている人で育児休業が法律で定められた権利だと知っている人がどれぐらいいるかというと、5割切っているんです。最近で5 割ちょっと超えている。
     多分均等法についても、どれぐらい高校生なり大学生が働くときに知っているのかというと、やはり私は怪しいと思っていまして、時系列で見てどうかというのは全部のデータわか らないんですけれども、例えばnhkの放送文化研究所が、憲法で定められた権利について調べるというのを、5年ごとにやっているんですけれども、例えば団結権。30年間やって 30年前は団結権というのが、労働者の権利だというのを知っていたのが36%ぐらいだったんです。今は20%切っているんです。調査ごとにすべて落ちてきている。
     私は、やはり働くことを選ぶときに、こういう権利があるんですよということを学校で教えることがすごく大事かなという気がしていまして、いろんな法律ができると。例えば、厚生労 働省は企業に一生懸命広報するんです。だけど、これから出てくる新しい法律というのは、働く人自身が知ってないと、なかなか権利というのを行使できないのではないか。そういう ものが増えてきていると思いますので、そういうことも入れていただくといいなということです。
    大澤会長
    ほかにいかがですか。
     大沢さん、どうぞ。
    大沢委員
    私も佐藤委員と同じような感想を持ったんですが、やはり今、起きている雇用形態の多様化について、ここでも触れられてはいるんですが、その重要度が、どちらかと いうと正社員が中心になっていて、10年前、例えば就調で92年と2002年で正社員比率が10%減っているんです。92年が78%ぐらいだったと思うんですが、2002年で68%に減っ ておりまして、ということはもう3割の人が非正規で働いているというような現状が、ものすごく重要なインパクトを今、日本経済に及ぼしておりまして、自営業と言いましても、ここで も論点整理の中にあったので認識されておられると思いますけれども、労働者性のある独立請負でしたか、そういった人たちが非常に増えていて、そういう人たちの団体保険の加 入ですとか、年金問題についてどういうふうなセーフティーネットをつくっていかなければいけないか。そういった非正規の中に女性が多いという問題を、この研究会で指摘すべきで はないかと思います。
     それと、八代委員がおっしゃったように、65歳以上定年延長のような形で、今、起きている変化が、むしろ非正規を拡大するような方向で動く可能性も、その運用によるんですが、 なきにしもあらずだと思うんです。
     今のままの正社員制度が続く限りは、女性や若者がどんどん正社員以外の雇用市場に広がっていき、ですから政策の論点というのはむしろ個人中心に、佐藤委員がおっしゃっ たように、個人に対して労働者の権利なりセーフティーネットというのを、どう付与していったらいいのかということを考えなければならないような気がしました。ちょっと雑駁な感想で 恐縮なんですが、そういう意味でここで読む論点は、どちらかというと男女差がこんなに大きいよ、この男女差が現行の制度にどういうふうに関わっているのかというふうに、どうし ても読めてしまうんです。その背後にもう一つ大きな経済の流れの中で、製造業中心産業からサービス産業化が進んでいって、戦力としての女性を位置づけなければならない重 要点が、経済社会の中で非常に増してきたという位置づけがないと、何のために男女共同参画を形成しなければいけないのかというような、一つインパクトを持たないと思うんで す。男女差があって、どこが悪いんだという、その男女差がやはり最終的には日本経済の成長率を下げているという形で、非常にマイナスの影響を持っていると思います。これは、 ここで言うべきことか、その後の自営のところで言うべきかわからないんですが、実は熊本に講演に行きまして、そこの地方銀行で聞いた話なんですが、女性のコース別人事制度 を敷いていたせいで、女性がお金を貸す方の貸出業務には就かせないというか、就いても男性が中心の業務でしたので、女性には向かないだろうということで、女性はそこに就か ないで昇級・昇格を繰り返してきて、優秀な人を一人支店長にした結果、今、実際には起業するのが女性になっていまして、そういったお金を借りにくる女性のお客さんも多いんだけ れども、それに対応する行員がいないとか。彼女の場合は、やはり彼女自身が、自分がそういうことを経験していたら、支店長になったときに今ほど苦労しなかったんじゃないかと。 非常に不安な面があって、銀行にとってもそれはマイナスですし、それからせっかく選ばれた支店長の女性にとっても、非常に厳しい立場になっていくという、そういう1つの例なんで すが、そういった実例をちょっと入れていただいて、そういった実情の中で確かに女性の進学率も男女差もあるんだけれども、随分縮小したんです。私がデータを見始めた20年前 から比べると、もう格段に女性の高学歴化が進んで、ここまで女性が理工学部を選ぶようになったのかと思うような感慨もあるんですが、でもそれはやはりどこで止まっているの かというと、結婚退職で止まっている。でも、みんなが同じように30歳ぐらいで結婚するわけではなくて、晩婚化もすごく進んでいるわけですね。それから、子どもを産まないという選 択とか。子どもを希望よりも少なく産むという選択もしているわけですから、いろんな意味でのマイナスの影響が男女共同参画の形成がうまくいかないと、そのマイナス要因が最終 的に日本社会全体で、みんなで負担しなければならないコストになるんだというような報告書ができて、そういった方向性とは別にもう少し柔軟な働き方とか、これは皆さんの議論 の行方だと思うんですが、この報告書の中でいろんな就業形態が選択できるような社会を選ぼうというようなことを論じておられますが、そういった方向に進むことが、今よりもいい 現状になり、かつ制度的にも維持可能な仕組みになるんだというような、そういった形での報告書の在り方というのもあるんじゃないかという。私の今までお話を伺ったり、ヒアリング の中でもちょっとお話ししましたけれども、感想を述べさせていただきました。
    大澤会長
    どうもありがとうございました。林さん、どうぞ。
    林委員
    主に2点ですが、まず1点は、今後の政策等の方向という3ページ目に関わってですけれども、(1)のところのアのところには、希望に応じて就業形態を選択できるよう な、多様で良質な就業機会を創出するということが一つ示されているんですけれども、そこのところでいくか、総論の1とも関係するんですが、やはり同一価値労働、同一賃金という 考え方、あるいはその職務や成果に応じた賃金の在り方、そういうものを打ち出す方向の方がいいような気がするんです。
     男性片稼ぎ型とか、年功賃金型ということの問題点は、今まではこうだった、それが合わなくなっているということは書かれているんですが、良質なというときの中身は何かと言え ば、やはり同一価値労働、同一賃金ということで、雇用形態の違いなどを超えても、そういう考え方がきちっと具体化されればいいのではないか。
     そのためには、日本にこれまで余りなかった職務に対する考え方、職務評価そのものが余り行われていなかった、役職という程度であったということ、その辺りを1つ出すべきでは ないかということが1点です。
     もう一つは、両立支援ということに関わって、2ページ目の2.の<1>というところですが、両立支援策は講じられているが、結婚、出産してもフルタイムで働き続けるための環境整備 には不十分という表現があるんです。これは、女性という立場から見たら、結婚、出産ということが当てはまるけれども、明らかにここで男性も含めて両立支援策というのを我々が 考えていくとするならば、男の人の働き方を変えないままでのさまざまな両立支援策というのは、もう限界に来ている気がするんです。
     その意味では、その次のページの一番下の(6)の長時間労働の是正ということは、もっと大きく前面に出る方が、個別の支援策以上に重要なのではないかという気がしていま す。
     以上です。
    大澤会長
    どうぞ。
    坂橘木委員
    それに関してですが、ここは男女共同参画会議なので、3ページ目の(4)のコース別管理、これ女性だけでしょう。男性はコース別管理ないですから、もう我々はこれ 廃止ぐらいの主張をしてもいい、そんないい運用をするというのは生易しいことではなくて、何で女性だけコース別があるのか、私は差別だと思うので、撤廃ということを言えないかと いうのが第1点と。
     第2点は、今、林委員が言われた、(6)の一番下の「長時間労働の是正」ではなくて、不払い賃金、いわゆるサービス残業の是正の方がもっとこの問題を解決すると思いますの で、そこも言ってほしいというのが第2点です。
     以上です。
    大澤会長
    高尾さん、浅地さんの順にどうぞ。
    高尾委員
    今ずっと続けてきた意見と同じところが、私も非常に気になっておりまして、6の2.の長時間労働の是正ということですが、ヒアリングとかいろいろ聞いてきて、個人とし てはほとんど拒否できないんだなと。雇用者である限り、サービス産業であるとか、長時間働かされるということが。となると、やはりだれかが本気で何とか言っていかないと、希望 がないというのが、特に30代の女性たちの話を聞いていきますと、ほかの今日のデータの中にもありましたけれども、30代男性の労働時間がすごく増えていて、そこだけが本当に 増えていて、もうお父さんというのは、12時過ぎないと帰ってこないのが至極当たり前で、どこのうちもそうだという中では、日本の国の男女共同参画社会ということはあり得ないと いうふうに思っています。この部分が諸外国と比較してすごく違うところだと思っているんです。
     具体的にどういう案があるかと言われると、本当に難しいんですが、先生方がおっしゃったようにここの部分をもっと大きく取り上げていただきたいというのがすごくあります。
     あとはさっき大沢委員のおっしゃったように、現在の雇用状況の中で、女性がうまく生かされていないことが、非常に日本の国全体に対してコスト的にすごくマイナスになっていると いう、何ごとも経済的に片づけるのは好きではないんですが、しかしそういうところで現状課題をとらえていくことが、説得力があるんじゃないかと。哲学的なことを言ってもなかなか 難しいですし、実際経済上本当にロスになってきているし、今後も伸びようがないというような、いろいろ経産省なんかの研究報告もあるようですので、その辺もっと取り上げていた だきたいという。この(1)(2)(3)(4)という以上に、もうちょっと何かまとめ方がないかなという感じがしております。
    大澤会長
    浅地委員、どうぞ。
    浅地委員
    今、議論になっております、コース別と言うか、そういうことは今のところこれが発生したときは、そういう女性にそういう道を開けるという意味でできてきたんだと思うん です。だけど、今にしてみると不便なところもあると。
     しかし、権利と義務というふうに考えますと、やはり一番大きな問題は、ライフタイムでは転勤、あるいは配置転換ということが大きな問題になってくると思うんです。それと出世、昇 格ということも絡んでくると思いますので、そういうときに正社員になってそういう道を歩むのが幸せなんだと、正社員になって生涯雇用を目指していくことが幸せなんだという中で、 今の中の配置とか、転勤とか、そういうことが否定されるような格好ですとなかなかうまくいかない。したがって、それを望む人にはそういう道を開けると。それでは不公平な社会だと いうふうに考えていきますと、私も迷うわけですが、やはりそうやってくるとこれからの雇用はやはり入社をするけれども、それが必ずしも安定につながるものではないかもしれな い。どんどんモビリティーを促していくような世界になって、そうなってくると、そこの中で改めてジョブ志向と言いますか、特にパートの問題については、私は転勤、配置転換がない ということが前提で成り立っている、ジョブの契約だろうと思うんです。それは必ずしも入社とかいうことと、こだわらない、そこら辺のところを道はしっかり開けておいて、それが男性 でも女性でも、それがむしろマッチを増やしていく方向で、ミスマッチを狭めるとは思わないということを申し上げておきたいと思います。
    大澤会長
    ありがとうございました。どうぞ。
    林委員
    今のところで2つあるんですが、1つは長時間労働の是正の重要なことは、不払い残業をなくすることということと、見直した方がいいというお話があって、私もそれが大 前提だと思うんです。
     だから、長時間労働の是正ということの中には、不払い残業の撤廃ということと、もう一つ大事なことは、法定残業規制です。年間の360 が、本来なら3年後に360 ~150 に近いも のに変えていくという、国会附帯決議まで出ていた。しかし、そのことが全くどちらからも論議の対象にすらなっていないということで、この法規制の問題はここできちっと入れた方が いいと思うんです。長時間労働の是正の中身として不払い残業と法規制の在り方を変える。そのことがワークシェアリングの非常に大事なところにつながってくると思うので、ワーク シェアリングということもここで1つ出てくるんではないかと思います。もう一点は、先ほどのコース別雇用管理等に関連し、パート等も関連するんですが、配転だとか、配置だとか、 転勤という問題が、総合職コースというそのコースを選んだならば、当然付いて回るものだと考えられていたり、あるいはパート労働者はそれがないというふうに考えて、かなり乱暴 な区分になっていると思うんです。しかし、iloの156 号の家族的責任条約、並びに165 号の家族的責任条約の勧告について言うならば、これはたとえ総合職というのを選んだとし ても、その必要性がある期間において、転勤を配慮しなければいけないということは含まれているわけなんです。
     ところが、それはコース別の総合職を選べば、必ず男並みの転換をしなければならないというものが、妙に間違って日本の場合は広まってしまったというところに大きな問題が1つ はあると思うんです。
     パート労働者もかつては子育てを終わった人たちが、たくさんそこにいたという事実から転勤はないとか、配転はないとか、そういうことが結構多かったと思うけれども、自ら選択し たりとか、この転換制度も含めてということを考えた場合には、パート労働者に就いて層を見ても、極めて20代が多くなってきているということから考えても、やはりその人たちにも育 児介護といったような、子育てに対する配慮も必要になってくるし、そういう人たちがまた同時にパート労働であっても転勤するというふうなことはあり得るという、働く時間が短いの であって、そのことがほかの条件をいっぱいくっ付けていくものではないというふうに解釈し直していく必要が私はあるのではないかと。パートと言っただけで、もう転勤もないだとか、 責任もないだとか、くっ付いていないことまで全部くっ付けていって、パートの働き方というものを限定していくいうことでは、本当の意味でも豊かさだとか、働き方をお互いに見直して いこうとか、仕事をわかちあっていこうという発想になりにくいのではないかと思います。
     これは社会保障をそれぞれに保障していき、ちゃんとした担い手になり得る労働者をつくっていくという観点からも、その解釈ではまずいなという感じがいたします。
    大澤会長
    ありがとうございました。実は大分ビハインドになっておりまして、ただ私も一言申し上げたいんですけれども、賃金格差の解消のところですね。最近占領期の労働改 革と男女平等改革でドクター論文を書いている人がいて、その人の論文なんかを見ているので、改めて感じたんですけれども、労基法の第4条というのを立法過程の中では、価値 労働同一賃金、価値というのが入っていた段階があるというのが、ほぼ研究で確かめられておりますし、また日本政府はiloの100 号条件というのを批准しているわけですから、 先ほど林さんがおっしゃった、同一価値労働同一賃金というのは、男女の賃金格差に関しては、そういう方向が追求されるべきなんではないかと個人的に思っていまして、均等法 には賃金差別についての条文がなくて、それは労基法第4条にあるんですけれども、そういった価値ということまで立法過程でもまたilo条約の批准ということにかんがみても、労 基署がきちんと差別違反というのに対して取り締まりと言ったらすごく大げさですけれども、その辺の取組が一体どうなっているんだろうかということが、改めて気になるところです し。
     それから、いわゆる女子保護規定というのが、労基法からはもう解消されているわけですから、第3条の差別の禁止のところに性別というのを改めて入れるということも考えられ ていいし、同時に均等法にも賃金差別の条項というのがなくていいということにはならないのではないかということを考えますと、ちょっとこれは立法の方に及んでくるので、大きな問 題ではありますが、ちょっと留意しておきたいなという点です。
    佐藤委員
    今のじゃないですけれども1つだけいいですか。先ほど橘木先生が、コース別雇用管理なくした方がいいというお話があって、私も暗黙のうちに男女を区別するコース 別雇用管理はなくす必要あると思うんです。ただ、人事管理をやっている立場からすると、実態としては別のタイプのコース別雇用が増えているんです。これは例えば、つまり今ま で高卒、大卒というのは明らかにキャリアが違った。今は企業が考えているのは、大卒をどう分けるかなんです。大卒の中でキャリアを分けて、例えば人的資源投資のやり方を変 えるとか、ですからそういうのがどんどん増えてきている。それも含めてなくすと言われてしまうと、これはちょっと。
    坂橘木委員
    私は、女性を総合職と一般職で分けるコース別と理解して発言しただけです。
    佐藤委員
    それならいいです。
    大澤会長
    よろしいでしょうか。今日の議題というのが、まだまだ積み残しがありまして、ちょっと先を急がせていただきます。起業と自営業の部分についての事務局からの説明を お願いいたします。
    定塚参事官
    事務局が無理にたくさん資料を入れて申し訳ないんですけれども、本日意見が出なかったものも、また後で追って御意見を承りたいと思います。
     「論点骨子(起業・自営業その他の働き方)」でございます。起業・自営業について見ていますが、ここでは自営業と言っても数あるわけですが、特に独自性や新規性等を備えて、 成長を志向する企業を中心にして取り上げているというところでございます。
     まずデータ的には、以前高橋さんの方からヒアリングもいたしましたけれども、男性に比べて女性経営者の数は少ないけれども、女性の創業意欲は高いということで、女性の起業 家数というのは減少傾向だけれども、女性の社長比率、あるいは創業者、創業希望者というのは、長期的には上昇傾向にあるというデータがございます。
     起業の年齢としては、30代で起業するという女性が比較的多く、前歴についても主婦やパートなどまちまち、いろいろな方がおられる。
     規模は小規模で、大半が飲食、サービス業であるという方が多いというような実態がございます。
     「(1)現状・課題」の<1>でございますが、女性が生活者の視点を生かしたビジネスモデルというのがたくさん出てきているわけですけれども、こういったモデルについて融資や投資 等の資金アクセスが課題になっているのではないかという点でございます。
     この点については、次の資料1-4-2の5ページ目と6ページ目に資料をまとめてございます。女性が女性の視点を生かしたとか、女性が生活者の視点を生かしたと言うと、 ちょっと誤解を招きかねない表現ではありますが、あくまでも実態として女性が現状ではより生活者の視点というのを持っているのではないかということでございます。
     ここの5ページ目の田村さんという方の書かれた本の中の4行目にございますけれども、ハードからソフトへ、モノからサービスへ等と変わる市場は、女性の事業機会を広げつつ あるということで、生活感覚が重視され市民感覚が幅を利かす市場というものがあるのではないかというような指摘。
     あるいは、2の高橋さんの指摘ですけれども、女性であるために一般の男性とは異なった経験を持つ者も多い。そのような独自の経験と経営能力が結合したものは、男性が多い 経営の世界において競争優位の源泉となるというような御指摘もあります。
     6ページはいちいち御紹介しませんけれども、そういった生活者の視点を生かしたビジネスの事例というものが掲げてございます。
     論点の方に戻っていただきまして、(1)の<2>ですが、起業に際してのニーズはさまざまでございまして、資金とか、経営ノウハウ、手続、両立支援など多岐にわたるわけでございま す。適切な窓口での相談が必要になっているという課題があります。
     3番目に起業した後の成長段階では、成長していくに従いまして、大企業との競争にさらされて、特に勤務経験がない女性の場合は、財務や労務管理のノウハウなどがないという ことになってしまいますと不利になるという局面がございます。
     <4>は、企業の成長のため長時間働くと、特に創業してしばらくは長時間働くことが必要となって、両立が困難となる場合もあると。
     <5>としては、事業の失敗をした際のリスクが、特に日本では大きいと言われております。社会保障制度なども手薄だということも論点としてあるのではないかということです。
     (2)ですが、これらの課題に影響を与えている制度・慣行等ということで、<1>で金融機関や投資家は女性の起業への理解が十分なのか。女性のための起業家支援融資制度を設 けている公的機関もあるわけですけれども、一般的に言って審査担当者の女性比率は低い、あるいはほとんどないのではないかという点。
     それから、支援制度が融資に偏って、投資形態での支援や補助金が手薄なのではないか。これは女性に限ったことではございません。
     <2>については、創業塾や起業家支援セミナー、こうしたものが女性を対象としても一部開催されております。しかしながら、こうした中でさまざまなニーズに見合ったアドバイスを提 供できているのかと。特に起業の最初の段階での、そうしたセミナー等は多いですけれども、それ以降の具体的な相談・アドバイス等の対応等フォローは十分なのか。
     起業後の能力開発の機会が不足しているのではないかということで、特に企業の管理職の経験をしていない女性の方が起業した際に、こうしたことが出てくるのではないか。
     4番目に、長時間働かなくてはならないという可能性がある一方で、自営、あるいは起業だからということで保育が十分に受けられないということがあるのではないか。
     5番目に、社会保障が十分なレベルか。事業が失敗したときの個人保障の緩和が必要ではないかということです。
     「(3)今後の政策等の方向」につきましては、<1>は投融資制度・補助金の充実、特に生活者の視点を生かしたビジネスモデルというものを評価できるような体制をきちんとつくって いってほしいという点。
     <2>が、創業塾や起業家支援セミナー等では、相談等も行っているわけですが、こうした相談窓口の利便性向上・内容の充実する必要があるのではないか。並びに、各県で女性セ ンターが置かれていますが、こうした女性センターの中では少し起業にも取り組むところも出てきております。こうした取組を増やしたらいいのではないかということ。
     <3>が、とかく女性の起業家には、モデルがまだまだ足りないと。かなり出てきたんですけれども、まだ足りないということですので、モデルケースを周知するようなネットワークが必要 なのではないか。
     <4>が、両立支援策の充実が必要ではないか。
     <5>が、セーフティーネットの充実の問題はどうか。
     <6>が、起業家に関しての男女別のデータというのが不十分でございます。これは、男女共同参画会議の苦情処理・監視専門調査会の方でも同じ指摘をしておりますけれども、や はりデータがないということは、基本的に影響調査もよく調査できないということになりますので、この統計を充実する必要があるのではないかということが1点。
     次の2の在宅ワークにつきましては、これは12月に北浦氏からヒアリングした内容を基に書いたものでございます。
     「(1)男女共同参画の視点からの課題」と書いてございますが、在宅ワークの方、特にここでは労働者性の強い方を中心として記載しておりますけれども、大半が女性であると。 契約内容が不明確、一方的な打ち切りなどトラブルも多い。
     <2>として、時間・健康等の管理が手薄になる。
     <3>として、生活面・経済面での不安定要素があるという点です。
     (2)ですが、これらの課題に影響を与えている制度・慣行等ということで、<1>ですが、厚生労働省で在宅ワークのためのガイドラインというものをつくっていますが、この周知をして いるのか。更に法的整備というものは必要ではないのかということ。
     <2>として、苦情トラブル発生時には、相談する先としては、消費者相談室や国民生活センターといったところしかないと聞いておりますけれども、これで十分なのかと。
     <3>として、ガイドラインは、健康を害するような労働を防げるようになっていないのではないかと。
     <4>では、年金、健康保険について、就業調整という問題が出てくるのではないかと。その一方で、継続的な仕事を得られない時のための支援策は十分かという問題。
     「(3)今後の政策等の方向」につきましては、<1>としては、発注者と受注者、それからその中に立つ仲介者についての就業実態を把握すること。
     <2>として、契約ルールの適正化、就業条件の安定、ガイドラインの周知徹底、法的整備についての検討。
     <3>として、在宅ワークに必要な契約、税務等の基礎的な情報の提供等支援の充実。
     <4>として、苦情、トラブル等への相談体制の整備。
     <5>として、能力開発への支援。
     <6>として、これは年金、社会保障制度の個人単位化の推進等の問題。
     <7>として、仲介機関を通じた情報整備等でございます。
     次に「3.npo等における就業」でございます。このnpoの就業というのは、さまざまな方がおられるわけですが、ここでは有給スタッフということを念頭に書いております。
     「現状・課題」としては、大半が女性であり、有給スタッフといっても低賃金、家事と両立した場合に収入が配偶者の補完程度にしかすぎない。
     これは広岡先生から御指摘があった点ですが、働き方や給与をどのぐらいもらうかという点に関して、npoの構成員間で考え方が異なっている場合も多いというような御指摘が ありました。
     これらの課題に影響を与えている制度・慣行等につきましては、有給スタッフについては最低賃金等の労働法制、融資・税制等の支援制度、社会保障制度等がございます。
     政策の方向性としては、考え方が異なる構成員のニーズを満たす方向での対応ということをしていかなくてはならないという難しい点がございます。
     雇用された者については、最低賃金法等の労働法制を遵守する。
     税制・融資等の経営支援制度、及び男性の参加活発化促進が重要であると考えられます。 以上ですけれども、公務員の方も併せて説明してよろしいですか。
    大澤会長
    そうですね。
    定塚参事官
    それでは、最後の「公務員部分」、これは本日初めて配らせていただくものでございますが、御説明いたします。
     「現状・課題」ですけれども、(1)現行の国家公務員制度は、学卒者を中心とした者がフルタイムで働くということを基本に設計されておりまして、フレックスタイム制度、その他就業 形態の多様化の制度というものは導入されてはいるんですけれども、一部の職員のみの適用のものにとどまっているということでございます。
     公務というものは言うまでもなく、公務運営の維持に配慮しなければならないという要請もありますが、他方個々の規模に応じた多様な働き方が可能となる措置が求められるとい う状況がございます。
     非常勤職員というものが多数おられまして、これは常勤に比して女性が多いという実態がございます。
     (2)ですが、公務においては子育て後の再就職の者を積極的に採用するという環境は整っていないという点がございます。
     (3)ですが、採用試験での女性の採用は拡大傾向にはありますけれども、まだまだ十分ではないということです。
     種別により男女比率が異なっているという点もございます。
     (4)ですが、民間の事業所と同様に、世帯単位の考え方に基づく諸手当が支給されていると。また、一部の手当には世帯主要件というものが存在して、実態として世帯主には男性が多いということから、結果として男女間の賃金格差を生むという現象が起きている。
     (5)ですが、育児等との両立支援策ですが、保育施設等の支援策の問題。
     それから、介護休暇、産休、部分休業を取得者の代替要員確保の問題、これは前回御指摘がありましたが、難しいのではないかと。
     育児休業等の取得は、昇給等にも影響するということがございます。男性の育休取得率は極端に低い、それから一部に長時間勤務が見られるという問題がございます。
     「政策等の方向性」ということですが、民間の方とかなり軌を一にした記載にしてございます。
     (1)として、就業形態を多様化させるということでございます。中身としては、短時間公務員制度というものを、一般の公務員に導入してはどうかという点。
     <2>として、いわゆるアルバイトの採用はほとんど女性ですけれども、男女平等にすべきではないかという点。
     3番目は、フレックスタイム制、裁量勤務制等を、一般の公務員に導入してはどうかという点。
     <4>は、採用試験の受験年齢制限の廃止の問題。
     (2)ですが、女性の採用・登用の促進。それから、採用試験の種別、これは一種、二種、三種、その他の種別がございますが、こちらの種別にとらわれない能力に応じた人事管 理。
     (3)は、諸手当を見直すかどうかという点。
     (4)が、働きやすい職場づくりということで、両立支援策の充実、ライフスタイル、選択に適した休職制度、男性への育休促進、長時間勤務の解消を掲げてございます。
     以上でございます。
    大澤会長
    御意見や御質問をお願いしたいんですが、とにかく時間が足りないんですけれども、次回が3月1日ですね。そのときに更に御意見をいただくということでいいのか。そ れともまでに日時を区切って、御意見をできれば文章でちょうだいした方がいいのか。その辺はいかがですか。
    定塚参事官
    次回は、できればある程度文章化した論点整理原案というものを出したいと思っておりますので、今回この骨子について、この場で言えなかったという点において は、例えば10日後ぐらいまでに我々の方にいただくか、あるいは意見を聞きに来いということであれば、東京近辺であればすぐ駆け付けます。
    大澤会長
    高山委員など、余りお忙しくて御出席いただいてないので、お尋ねする必要はありますね。そういうことも含めて、書いて送るのはあれだから来てくれというのも含め て、今日言い切れなかったことを10日ぐらいの間に御意見を出していただくという前提で、あと残りの時間でこの場でどうしても言っておきたいという御意見を、どうぞ。
    佐藤委員
    公務員制度のところですけれども、フレキシブルな働き方のときネックになるのは定員法なんですね。職員は全部フルタイムを想定して定員管理を行うと。ですから、 勿論短時間もつくってもいいんですけれども、これは定員1とカウントされてしまう。ですから、定員法を総時間管理法みたいにしてくれないと、短時間勤務はつくれないというのが最 大のネックだと思います。
     ですから、例えば部分休業も2時間カットになっていますけれども、2時間短くしても、2時間分の人件費くれないんです。ですから、その辺の定員法の方を見直さないことには、公 務員の柔軟な働き方ができないので、是非そこは言っていただきたいと思います。
    大澤会長
    公務員制度調査会では、そういったことについて議論はないですかね。
    定塚参事官
    まだ、そこまでは進んでいないかと思います。
    林委員
    この論点骨子の公務員部分と書いてある、この公務員の対象は、国家公務員制度となっていますけれども、これは国家公務員に限定して書くという前提なのか、地方公 務員も視野に入りつつ、国家公務員中心なのか、そこによってちょっと違ってくる部分もあるかなと思います。
     今の定員法の問題は、地方の条例と国家公務員法の両方入ってくる。非常に深い関係で壁になっているということなので。
    定塚参事官
    一応こちらでは国の制度・施策ということなので、国家公務員を主に念頭に置いて議論をお願いしたいと思っています。ただ、全く地方公務員について何も言えない かというと、そうではないので、例えば国家公務員について見た後で、地方公務員についても同様の検討が必要と思われるぐらいのことを書くとか、そういったことは可能かもしれま せん。
     その辺は、また皆様の御意見に応じて対応したいと思います。基本的には国家公務員ということです。
    大澤会長
    いかがでしょうか。
    坂橘木委員
    要するに、公務員の問題は、フルタイムに関しては男女差別というのは、そんなにないというふうに理解して、もし女性に対する不当な差別があるとすれば、それはも ういちずにアルバイトに表われているということを、もうちょっと強調してもいいんじゃないですか。
     逆に私の言いたいのは、フルタイムは相当うまくいっているということも、むしろ民間に対する指針になるようなことも言ってもいいんじゃないですか。フルタイムに関しては。
    八代委員
    今の意見には、かなり異議があります。形式には平等ですけれども、実態的には、はなはだ不平等だと思います。
    坂橘木委員
    フルタイムもですか。
    八代委員
    はい。
    坂橘木委員
    民間と比べてどうですか。
    八代委員
    それは民間と比べて不平等ということは言いませんが、相対的に今、民間で言っていることと全く同じこと、あるいはそれ以上に例えば公務員の長時間労働というのは 激しいものがあるし、頻繁な転勤なんかも民間よりある意味で大きいわけですから。
    坂橘木委員
    いや、男女間の話ですよ。
    八代委員
    だから、平等でやっていても、それが非常に女性の就業継続にマイナスになっているわけなんです。形式的には差別はしてないんですけれども。
    坂橘木委員
    賃金なんかの差別は、フルタイムに関しては余りないでしょう。
    八代委員
    それは違反ですから、勿論ありません。
    林委員
    もう一つは、(2)のところで、公務においては子育て後の者を積極的に採用するという環境が整っていないと。この趣旨がよくわからないんですけれども、一旦退職した その人をということなのか、広く子育てをした後の人でも採用するという環境整備という意味なのか、ちょっとよくわからないと思って、それをはっきりさせていただきたいと思います。
    定塚参事官
    広く子育て後の者をすべてということで書いております。
    林委員
    それであれば、採用年齢の制限を設けたことの問題の方が、私は表現としてはいいと思っているんですけれども、子育てに限定しない方が。例えば、35歳未満とか、40 歳未満とか、28歳未満とかというような募集のかけ方はまだたくさんありますから。
    高尾委員
    今、林先生がおっしゃったことは、私はちょっと反対のような感じなんですけれども、基本問題調査会が女性チャレンジを言うときに、上、横、再というふうに3つ出しま して、私はそのときに再チャレンジの部分に特にオフィシャルセクターで、アクティブポジションを取ってほしいみたいなことを言ったことがあるんです。子育て女性がその後再就職で きないということが今、日本で非常に大きな問題だということは話してきたわけで、そういう人たちを何とかどこかでということになったときに、数は要らないんですね。本当にわずか でもいいからオフィシャルなセクターでそういうことをやってくださると、ある程度インパクトになるんじゃないかと。つまり年齢制限撤廃ということだけで来たときに、この間千葉の方の 自治体でやりましたけれども、結局民間企業でずっと就職してきて、いわゆる「キャリア」のある人しか採用されないで、子育て後の人は、幾ら年齢制限撤廃しても採られないわけ です。そういうふうな状況もありますので、オフィシャルなセクターで、数は要らないと思うんですけれども、本当にいろんな理由からどうしても退職しなければならなかった人の中 で、有能で、やる気もあってという人をモデル的にアクションプランとして採用してていただければ、私はすごくいいと思うので、この(2)はできればこういう形で残しておいてほしいと いう希望があります。
    大澤会長
    ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
    福原委員
    4月から論点整理の報告のディスカッションに入るわけでしょうけれども、その論点整理をするときに留意しておきたいのは、実態における不平等、あるいは差別のよ うな問題と、片方は年金だとか、税法だとか、民法だとか、いろいろなものがそれにどの程度の影響を与えているのかということがわかるように整理すべきではないかと。そうしない と、ただ差別がありますよということだけに終わってしまうんじゃないかという気がするわけですが。
    大澤会長
    これは、前回ワーキングチームの方も、橘木さんと永瀬さんにもしていただいて、そういう検討結果も出ていますから、盛り込むことができるんじゃないかとは思います けれども、御意見として承っておきます。
     私は、全体にかかることと、細かいことと、一つずつあるんですけれども、今、公務部門が最後に報告があったので、そこに議論が集中したんですけれども、起業・自営というところ で、それぞれのセクションで社会保障というか、セーフティーネットが十分であるかどうか。個人単位化が必要なんじゃないかということが書かれていまして、これは1ページ目の セーフティーネットの構築、非雇用者でも労働者性に強いグループのセーフティーネットの構築というところで、総論的にカバーされているところなんだと思うんですが、これが非雇 用者なんだけれども労働者性の強いグループが出てきて増えているから、その人のためにスペーシフィックなセーフティーネットを構築するというふうに読まれてしまうと、ちょっと 違うんじゃないか。
     つまり何か建増しをしたら段差があるということになると、これはまたライフスタイル、ライフコースに対する中立性に反してしまうので、神野委員がまだお辞めになっていなけれ ば、すごくユニバーサル化ということを強く主張なさったと思うので、そのことも踏まえて申し上げたいんですけれども。
     先ほど大沢委員が言われた、サービス経済化してきて云々ということとも関わるんですけれども、より最近強く言われているのは、地域経済化ということで、その知識経済なり知 識社会にふさわしいセーフティーネットの在り方というのは、やはりできるだけユニバーサルなシステムなんじゃないかということを考えると。今の日本の税制でも社会保障制度でも 雇用システムでも、縦割分立となっていて、その間に大きな段差があるというようなシステムは、日本の経済社会全体として知識化していくことに対する、大きな障害になっているの ではないか。そういう意味で日本の経済のリニューアルのようなものを妨げている面がありはしないかということを少し言えないかと考えているわけです。これは全体に関わることで す。
     もう一つは、公務員部門のところで、諸手当の見直しのところなんですけれども、形式的にはその差別はないと言いますか、フルタイムで正規の職員であればということだと思うん ですけれども、でもそこになお男女の賃金格差を起こしているのが世帯単位の考え方に基づく諸手当だということになりますと、やはりここのところをもう少し強く言いたいという気は ございます。
     勿論、国家公務員法とか給与法とかで、生計費を配慮しなければいけないというのがあるから、その生計費を配慮すれば配偶者手当は当然だということになるのかもしれないん ですけれども、しかし我々は税制について議論したときに、専業主婦がいるということは帰属所得にもなり得る。あるいは、分業の利益ということでもあり得るので、単に被扶養の配 偶者というふうに専業主婦をとらえることはいかがなものかという議論もいたしまして、だから単に生計費を増している存在というふうにとらえるのか、やはりアンペイドワークと言い ますか、そういうもので貢献をして、帰属所得をもたらしている。あるいは、分業の利益をもたらしているというふうに考えれば、生計費を配慮するという法上の規定を変えなくても、 配偶者手当のようなものは見直していけるんじゃないかという気もいたしますので、そこはもっと強く言いたいというのが、具体的な点の方でございます。
     済みません。時間を取りまして、あと4分ほど時間がございますが、しかし次回以降のことについてもアナウンスをしなければいけないので、よろしいでしょうか、申し訳ございません。
     次回は、先ほど事務局からありましたように、論点整理原案というのを作成していただいた上で、それを議論したいと思います。先ほど10日間以内ぐらいにということでしたので、言 い漏らした意見、それからここはもっと強く言っておきたかったということを事務局に提出していただければ幸いでございます。あるいは、聞きにこいということでも結構でございます。
     次回は、3月1日の14時から、第27回会合として開催する予定でございます。
     では事務局からの連絡事項をお願いいたします。
    定塚参事官
    議事録案をお配りしてありますので、見ていただければと思います。それから、今後の影響調査専門調査会の進め方についてという、委員限りというペーパーが一 番下に入っておりますので、ごらんいただきたいと思いますが、次回3月1日、次々回3月24日、それで3月24日に一応論点整理をとりまとめて、4月の男女共同参画会議に報告 し、パブリック・コメントに付した上で、もう一度最終とりまとめに向けて審議をいただくということを考えております。
     ただ、一応論点整理とりまとめの段階で、大体主な論点と方向性は出るというぐらいまでにまとめておきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
     それから、先ほど申し上げたように、本日の議論に追加して御意見を是非出していただきたいと思っておりまして、我々の方にファックス、郵送、メール等でお送りいただけるか、御 一報いただければ参上いたします。
     ただいまお配りした資料、ちょっと説明する時間はありませんが、各国比較の進学の状況のデータでございますので、後ほどごらんいただければと思います。よろしくお願いいたし ます。
    大澤会長
    ありがとうございました。それでは、以上をもちまして「影響調査専門調査会」の第26回会合を終わります。大変活発な御議論をありがとうございました。

(以上)