第25回男女共同参画会議影響調査専門調査会

  • 日時: 平成16年1月26日(月) 16:00~18:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席者
    • 大澤 会長
      浅地 委員
      大沢 委員
      佐藤 委員
      高尾 委員
      橘木 委員
      永瀬 委員
      林  委員
      福原 委員
  2. 議事
    • (1) 公務員制度について(人事院からのヒアリング)
         (報告者) 人事院総務局 磯野 宏志 参事官
    • (2) モデルケース・ワーキングチーム研究経過報告について
         (報告者) 橘木 俊詔 委員、永瀬 伸子 委員
    • (3) その他
  3. 議事内容
    大澤会長
    時間もまいりましたので、ただいまから「男女共同参画会議 影響調査専門調査会」の第25回会合を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中御参 加いただき、大変ありがとうございます。
     では、お手元の議事次第に従いまして、本日の審議を進めてまいります。
     本日は「公務員制度について」という題目で、人事院総務局磯野宏志参事官から御説明をいただき、質疑応答、意見交換をしていただきます。また、関連して事務局から資料を提 出しております。まず、磯野参事官から御説明、続けて事務局から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
    磯野人事院総務局参事官
    ただいま御紹介いただきました、人事院総務局の磯野と申します。よろしくお願いいたします。恐縮ですが、座って説明させていただきます。
     早速ですが、男女共同参画局の方から依頼がありました、公務員の人事諸制度について、概要、実態及び今後の考え方などについて説明いたします。
     最初に、お手元の資料1-1の1枚目をごらんください。これは公務における女性の採用、登用の状況を概観する資料です。
     1枚目は、採用に関するデータで、i種、ii種、iii 種の各試験別に申込者、合格者、それから採用、あるいは内定者の女性の比率をグラフにしたものです。一番上がi種試験です。 右側の方が新しい16年度の採用、内定に占める女性の割合ですが、19.2%となっており、最終合格者の15.1%に比べ、4ポイントぐらい上回っています。それから、ii種についても 同じように採用内定が1ポイントぐらい上回っている状況にあります。
     また、特に最近になるに従ってその辺の率が上がっているということで、着実に女性の採用の促進が図られているのではないかと考えております。
     この点に関し、人事院としては、女性の採用をより増やすためには、合格者の増加が必要であると考えており、そのためには、優秀な女子学生にもっと公務を志望してもらう必要 があり、女性の募集に力を入れております。資料の3ページにあるような女子学生を対象とした募集活動を実施しておりまして、今後ともこれらの活動を推進していきたいと考えてお ります。
     続きまして、資料の2ページは登用に関するデータです。役職段階別の女性の占める割合のグラフでして、3本の棒が並んでおりますが、右側が平成13年度と一番新しくなって おります。それぞれの段階ごとに女性の占める割合は増えており、特に係長級、課長補佐級、準課長級は、それぞれ順調に増えております。この伸び率自体が、大きいか小さいか はご意見があろうかと思いますけれども、着実に増加傾向にあると認識しているところです。
     ちなみに、人事院としましては、女性職員の能力を開発し、登用に資するために女性のみを対象とした研修を、東京及び各地方事務局において実施しているところです。
     2点目といたしまして、男女とも働きやすい就業形態を目指すという観点から、就業形態の多様化について御説明申し上げます。
     まず、資料5ページではフレックスタイム制と裁量勤務制を取り上げております。公務におけるフレックスタイム制は、始業及び終業の時刻について、職員の申告を考慮して勤務 時間を割り振るもので、公務能率の向上に資する制度として、試験研究機関の研究職員を対象に、平成5年度から導入されております。このフレックスタイム制の適用者は、合計 で約1,600名ということになっております。男女別の人数は集計しておりませんが、そもそも研究職の職員が約1,800人であり、その研究職に占める女性の割合は、約15%となって おりますので、ほぼ同様の比率ではないかと考えております。
     裁量勤務は、時間配分の決定その他、職務遂行の方法を大幅にその職員個人の裁量に委ねることで、その職員の業務の能率的な遂行に資する制度として平成9年から導入さ れておりますが、対象が非常に限定されていて、任期付きの研究員、その中でも特に実績のある方を招聘した場合の任期付き研究員を対象として、導入されております。そもそもこ ういった研究員自体が、十数人の単位しかおりませんので、現在まで実際に裁量勤務を適用された人はいないということです。
     短時間勤務につきましては、戻りまして資料4ページです。現在、公務における短時間勤務は、定年退職した人を再任用する場合に設けられております。これは平成13年に設け られたものですが、定年後の再任用ということで、意欲、体力等に応じた柔軟な勤務形態を可能にするという観点から、週16時間~32時間の範囲での短時間勤務が認められてお ります。再任用にはそのほかにフルタイム勤務があります。
     再任用の実施状況は、再任用職員自体が1,700 人余りで、そのうちフルタイムと短時間がほぼ2対1ぐらいの割合になっております。
     一方、その再任用の前提になる前年の定年退職者の人数は1万6,000 人ぐらいとなっております。
     短時間勤務の具体的な時間数は、週20時間と24時間、つまり通常の勤務時間に比べて約半分の時間がほとんどになっております。なお、男女別の数字はございません。
     以上申し上げたような、フレックスや裁量勤務、あるいは短時間勤務を一般の職員へ拡大することについては、資料の6ページにありますように、人事院において現在、研究会を 開催して検討いたしております。この研究会は、内外の困難な情勢に迅速・的確に対応するための公務能率の向上、職員の健康管理、あるいは少子高齢化の進展等による育児・ 介護等の個人的事情への配慮等の観点から、多様な勤務形態について、総合的に検討するために設置されているものです。
     昨年の秋に設置されてからの期間も浅く、現行の制度の紹介とか、関係各省からのヒアリングを行っている状況で、まだ具体的な意見が煮詰まっている状況ではありません。
     今年の7月を目途に中間とりまとめ、来年7月を目途に最終報告というスケジュールで検討が進められる予定になっています。
     次にコース別採用についての制度と実態等についてお話しします。一般職公務員の場合、コース別とは何を指すのかという問題はありますが、とりあえず採用試験におけるi種、ii 種、iii 種の種別と考えさせていただきます。i種試験は制度的には係員のうち3級というグレードの係員を採用するための採用試験ですが、現在の実態を見ますと、各府省におい ては、いわゆるキャリアシステムの中でその採用者は幹部候補生として扱われております。ii種試験は、2級係員を採用するための試験です。iii 種試験は、1級係員を採用するた めの試験ですが、それぞれ多くは地方機関での採用になっているところです。それぞれの採用数に占める女性の割合は、資料の1ページに示されているとおりです。
     現在のシステムについては、1回限りの試験で幹部要員の選抜を行うもので、優秀なii・iii 種の職員の意欲を削いだり、あるいはi種職員の誤った特権意識につながるのではない かという指摘があります。そのため、国民全体の奉仕者としての使命感を持ち、政策立案能力等の優れた幹部要員の採用、選抜、育成のシステムを、新たな視点で再構築する必 要があると考えているところです。
     それで、現行のi・ii・iii 種の試験の種類を維持することの適否も含めて、採用試験について精査し、選抜育成方法を見直す必要があると考えてます。また、当面、意欲と能力の あるii・iii 種の職員を幹部職員へ登用するため、ii・iii 種採用職員の計画的育成を行って、確実に登用を進めていくための指針を人事院として出しております。これが7ページの資 料です。
     次に採用試験の年齢制限の問題について説明させていただきます。8ページに、現在のi・ii・iii 種試験それぞれの受験資格年齢を示していますけれども、これは、この試験が各 省の係員の職員を採用するために行うものであって、新規学卒者を採用し部内で育成することが基本的な枠組みとなっている現在の我が国の雇用慣行の下、新規学卒者を中心 として人材を確保するために、受験資格の年齢の制限を設けているものです。
     これについても年齢に関わりなく均等な受験の機会を確保するという観点から、関係者の意見を聞きつつ、一応撤廃する方向で検討を進めております。ただ、高卒程度の採用試 験につきましては、高卒者の雇用確保という観点から、必要な考慮がなされるべきではないかと考えてはおります。なお、現時点では、見直しの具体的な方向性をお示しできる状況 にはなっていません。
     それから、この新規採用者を対象とした採用試験のほかに、選考採用があります。係長以上の役職ポストへの中途採用については試験は行われておりませんで、選考によって 行われているわけですが、この選考については、従来から法制度上年齢による制限はありません。
     次に諸手当について御説明いたします。ここでは、扶養手当、住居手当、寒冷地手当について取り上げさせていただきます。まず資料9ページの扶養手当の資料をご覧ください。 扶養手当というのは、扶養親族を有することにより増える生計費の負担を軽減するためにその負担を補填する趣旨で出されている手当です。通常家族手当と称されるたぐいのも のです。
     この扶養手当の支給対象は、配偶者とか子ども等でして、被扶養者の要件として、9ページの枠の下にあるような要件があります。
     <1>は、ほかの人の扶養手当の基礎になっていないこと。
     <2>は、年額130 万円以上の恒常的な所得がないこと。
     そういった要件がかかっております。
     10ページの一番上に「民間の家族手当の支給状況」がありますが、民間でも家族手当があるという事業所が85%以上になっています。
     9ページに戻り、扶養手当の月額ですが、配偶者を特定していて、配偶者の場合は月額1万3,500 円、配偶者以外については順番でという形になっています。1人当たり6,000 円 ぐらいが加算されていくという内容になっております。
     扶養手当を受けている職員数は、給与法適用職員全体約45万人のうち26万人ぐらいおり、そのうち配偶者に対して扶養手当を受けているという職員が約19万人、お子さんに対 して扶養手当を受けている方も同じぐらいいるという比率になっております。
     扶養手当の額の改定経緯ですが、10ページの下の表の一番左の欄の配偶者に対する手当額を見ていただくと、しばらく増えてきたわけですけれども、平成14年、15年と2年連 続で額が減ってきております。最近はどちらかというと、教育費の問題もありまして、子どもに対する手当額を重視する方向での改定が行われおります。手当の額は、公務の中で の給与額の配分の問題ですが、民間の家族手当の支給状況等も参考としながら、改定を図ってきているところです。
     扶養手当の見直しについては、職員の家計負担の実情、家族の就業形態の変化、及びこれらに伴う民間における配偶者手当の見直しの動き等を考慮し、今後扶養手当の在り 方の検討が必要であると認識しております。このことは、平成14年の給与勧告時の報告でも触れております。ただ、給与は重要な職員の勤務条件ですし、官民の比較給与にも含 まれていることから、これらの検討に当たっては民間の動向も踏まえつつ、職員団体、あるいは各省庁当局などの関係者と十分協議をしながら進める必要があると考えておりま す。
     続いて住居手当についてお話しします。住居手当は住宅を借り受けたり、自宅を維持するなどによって増加する生計費の負担を軽減するために支給される手当です。資料11 ページの<1>、<2>、<3>にあるような職員に支給されますが、言われているのが<2>の自宅の居住者で、世帯主である職員に対する支給です。この<2>につきましては、実は平成15年に一部改 正されまして、基本的には自宅に対する住居手当は廃止するということになっております。ただ、新築購入から5年以内の者については、なお当面支給するということになっており ます。
     手当額は、<1>の借家・借間の方々というのは、ここに書いてあるとおりですが、<2>の自宅を持っている方に対する支給額は、月額2,500 円が最大5年間という形になっております。自 宅に係る手当を受給している職員は、全体の職員の約1割になっています。
     自宅に係る手当は、昭和49年にできて以来支給額を改定していなかったのですけれども、先ほど申しましたように、5年を超える部分については平成15年の勧告で既に廃止され ています。
     自宅の住居手当において世帯主であることが必要要件になっていますが、この世帯主というのは主としてその収入によって世帯の生計を支えている職員と定義しております。そ もそもこの手当が住居維持の費用により増加する生計費を補填する趣旨で支給されるものですから、その世帯における主たる生計維持者がそういった維持費用をすべて負担し ているという考え方の下に、こういう構成になっております。住民票の世帯主などとは直接関係はありません。実態に即して判断するということになっております。
     住居手当については、特に借家の場合には、家賃負担がかなりの額を占めるということもありまして、全般的には、給与制度の中で一定の役割を果たしていると考えております。 今後、民間の動向も見つつ、その在り方について検討を行っていきたいと思っております。
     自宅に係る手当については、先ほど申しましたように、既に廃止されております。これは民間の支給状況を考慮してということです。ただし、新築・購入住宅に限って5年間暫定的 に残すということにしたのは、財形家個人融資の融資要件として、そういった補助をすることが要件になっていますので、これを直ちに廃止すると、融資を受けている方に影響があ るため、当面存置したということです。
     次に寒冷地手当ですが、12ページをごらんください。寒冷地手当は、冬期間における暖房用の燃料費などの生計費の増加分を補填する趣旨で支給されている手当です。この場 合の生計費の増加の度合というのが、世帯の状況や、扶養人数が多いかどうかによって実際の額に差があるということから、そういう世帯主であるかどうか、あるいは扶養人数に 応じた額の定めになっております。
     手当額自体は、12ページ中ほどの表にあるとおりです。
     各区分別の受給人数は、一番下の表にあります。寒冷地手当を受けている方は、そもそも全体で25%ぐらいで、そのうち世帯主である職員が21%ぐらい、世帯主でない職員が 3%ぐらいという比率になっております。
     寒冷地手当の見直しに関しては、特に最近民間の支給状況と隔りがあるのではないかという指摘もあります。それをも考慮しまして、民間における同手当の支給状況等を把握す るため、速やかに全国的な調査を実施して、それを踏まえて必要な検討を進めると平成15年の給与勧告時の報告においても触れたところです。
     しかしながら、先ほど来申しておりますが、給与は重要な勤務条件の1つですし、既に寒冷地における生計費増加分の補填給与として定着しているということもありますので、検 討に当たっては、職員団体、各府省当局等との十分な協議を行いながら、進めていきたいと考えています。
     次に家庭と仕事の両立のための働きやすい職場づくりという観点からの制度と実態について御説明いたします。
     まず、超過勤務の話ですけれども、資料の13ページにあるように、公務における超過勤務というのは、臨時、緊急の必要がある場合に、上司からの命令によって、勤務時間外に 勤務を行うものです。
     平成14年における超過勤務の年間時間数は、男性が190 時間余り、女性が166 時間余りとなっております。超過勤務の縮減については、人事院においても、政府全体において も従来から取り組んできているところですが、特に平成14年の3月には、各府省から構成される連絡会議で具体的な超過勤務の縮減に向けて取り組みがなされております。人事 院としても、これに協力しているところです。
     また、先ほどフレックスタイム等の多様な勤務形態の研究会の話をしましたが、そういった勤務形態を導入することによって、勤務時間の効率的な配分を促し、超過勤務の縮減に も資するのではないかと考えているところです。
     次に育児休業の話ですけれども、資料の14ページをご覧ください。公務における育児休業は、職員が3歳に満たない子を養育するために休業することができる制度とされており ます。3歳になったのは、平成14年の4月からです。休業中は基本的に給与は無給ですけれども、育児休業に入る前に勤務実績があった部分のボーナスについては、その期間に 応じて支給されることになっています。
     休業中の経済的支援については、共済組合から支給がありますが、これは子が1歳に達するまでの期間について行われることになっています。
     復職した後の給与等の取り扱いは、育児休業期間の半分を勤務したものとみなして、復帰後の給与の調整を行うことになっております。
     次に15ページの部分休業制度についてお話しします。民間で言えば、労働時間の短縮措置に当たりますが、1日の勤務時間のうち2時間を限度として勤務しないことができるも のです。これも育児休業と同様、平成14年の4月から3歳を上限とすることになりました。
     これらの休業の取得実態は、新たに育児休業を取得した職員が5,600 人余りで、男性が83人、女性が5,500 人余りとなっています。また、取得率は男性が0.5 %、女性が92% で、過去最高となっており、順調に伸びていると理解しております。
     16ページは介護休暇です。介護休暇については、2週間以上介護をするために必要な場合に認められ、休暇期間は最大6月以内となっております。これも従来3月だったんです が、平成14年4月から6月に延びております。
     介護休暇の取得者数は女性が223 人、男性が78人となっています。
     17ページではその他の両立支援策を紹介しています。民間にもありますが、育児・介護を必要とする職員について、深夜勤務の制限、超過勤務の制限が設けられています。
     もう一つ、小学校就学前の子どもを有する職員については、子の看護のための休暇が年間5日間認められています。これらの措置は、いずれも平成14年4月から実施されてお ります。
     これらの取得状況について、深夜勤務の制限は、178 人、4人などと書いてありますが、これを男女別で申し上げると、178 人にはすべて女性です。介護を事由とした深夜勤務の 制限が4人とあるうち1人が男性です。超過勤務の制限につきましては、28人、3人のうちそれぞれ1人が男性です。子の看護のための休暇の取得者は、そこに書いてあるとおり です。
     これらの両立支援策については、民間の実態等も踏まえて充実に努めているところですが、現時点において民間の育児休業等の法制度に比べればむしろ充実している部分もあ ると認識しております。今後も民間の施策の検討状況を踏まえつつ、遅れることのないように措置していく考えです。
     以上、駆け足で申し訳ございませんでしたが、とりあえず私からの説明とさせていただきます。
    定塚参事官
    では、続きまして資料1に基づきまして、事務局資料ということで御説明させていただきます。この「公務員制度について(事務局資料)」という資料につきましては、 人事院さんの方に我々の方から、更に詳しいデータをお願いして提出いただいたもの、それから公務員制度の所管官庁であります総務省から御提出いただいた資料に基にしまし て、本日の議論に役立ちそうな資料を集めたものでございます。
     まず、1ページ目でございますが、これは平成14年度の各試験別、年齢別合格者数、先ほど磯野参事官の方から、それぞれの職種の採用制限年齢がございましたけれども、こ ちらの制限年齢までの間で、どのように分布しているかというデータでございます。これを見ていただきますと、i種の方は比較的若い層が多いですが、ii種、iii 種については、かな りばらけておりまして、年齢条件まで合格者の方が大勢いらっしゃるということがわかるかと思います。
     次に2ページでございます。大変小さい文字で恐縮ですけれども、人事院さんの方にお願いいたしまして、各職種の経験年数別の男女別の級別在職状況という資料を出していた だきました。こちらの資料は、実数で出ているので、ちょっとわかりにくいかと思いますけれども、例えば例示で申し上げると、i種職員の9年以上12年未満という層について男女で 比較を見ますと、例えば男性であれば7級以上の者が69.6%であるのに対して、女性の方は51.0%という割合になります。ii種の方で、同じく9年以上12年未満という層で見ます と、男性ですと4級以上が74.3%であるのに対して、女性の方は51.0%という格差がございます。iii 種の方も同じように、あるいはもっと幅が開いた格差があるという状況になって おります。
     勿論、この格差には個々人の能力、意欲、家族環境等いろんな事情がありますので、一概にこの結果だけでは比較できませんが、結果として見れば差が付いているという状況を 表わすかと思います。
     次の3ページ、4ページについては、非常勤職員についての総務省のデータでございます。非常勤職員と呼ばれるものには、いろんな種類の職員がございますが、中央省庁でよ くアルバイトとして働いている職員は、一番左の事務補助職員というのが大方のものを占めております。
     そのほか、すべてをトータルしてみますと、4ページの一番下の合計欄でございますけれども、全部で23万人余の非常勤職員の方がおられると。このうち事務補助職員の方は、 3万3,949 人おられるということでございます。このうち、一体中央省庁のアルバイトと呼ばれる職員が、どのぐらいを占めているかというのを我々把握してございませんが、これら の方々は我々の感触から言うと、ほとんど9割9分女性であると。しかも日々雇用で、非常に不安定な身分で働いていらっしゃるという方が大半であるというふうに認識しておりま す。なお、データの方は男女別では取れないということで、御用意してございません。 6ページでございますけれども、先ほど再任用職員という短時間の正規職員がいるという御 説明がありましたが、日本郵政公社ではもう一つの類型として、正規の短時間職員として、郵政短時間職員というのがおります。これが9,836 人いるという御紹介でございます。な お、日本郵政公社では非常勤職員として、そのほかにも大勢おられまして、男性5万人、女性7万人の非常勤職員がおられます。
     続きまして、7ページ、扶養手当でございます。先ほど磯野参事官の方からも、扶養手当の概略について御説明ありましたが、更に細かくデータを取っていただきました。こちらの 表は配偶者の扶養手当、及び子どもの扶養手当、受給者についてそれぞれ男女別、級別に把握をしたものでございます。ちょっとわかりにくいかと思いますが、次の8ページの方 では、配偶者手当だけを抜き出しまして、級別の状況をグラフにしたものでございます。男性の方は、級を追うごとにつれて受給者が多くなっていると。女性の方は、非常に少ないと いう状況でございます。ただ、男性の方は級別に増えていると言いましても、これは母数が独身者も含めておりますので、若い層の方は独身者であれば当然受給していないという ことになりますので、その点留意が必要なグラフかとは思います。
     次の9ページ、最後の資料でございますが、こちらは先ほど御説明がありまして、扶養手当、住居手当、寒冷地手当というところで、世帯によって差が出てしまうということを具体 的に例示して、我々の方で試算をしたものでございます。
     前提条件といたしましては、上の四角の中にありますが、6級2号俸で札幌市、寒冷地手当の関係で、札幌市に住んでいる方。新築の持ち家を持っている方ということで見た場合 に、aの方は配偶者がいて、子ども2人がいるけれども、いずれも扶養親族ではなく、世帯主でない方。つまり手当が付いていない方と。bの場合は、配偶者、子ども2人、世帯主と いうことで、手当が付いている方ということで試算をしてみました。
     結果から申し上げますと、一番左上のaとbの差ということで、最大限で見みますと年間56万2,875 円の差が、これらの手当によって付くということになっております。
     内訳を見ますと、その下の月給欄で扶養手当、調整手当、住居手当ということで、合計で年間34万5,180 円の差が付いております。
     これらが期末手当、6月の分と12月の分に反映いたしますので、これらの差が6月分は4万円余、12月分は3万8,000 余ということで差が付いています。
     寒冷地手当の方は、年間で13万8,900 円の差が付くということで、これら合計すると56万2,875 円の差ということになっております。
     以上でございます。
    大澤会長
    ありがとうございました。ただいまの御説明について、御質問や御意見がおありでしたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
     どうぞ。
    林委員
    最初に御説明をしていただきました、13ページの超過勤務に関わることでお尋ねしたいんですけれども、平成14年の超過勤務の年間総時間数は、平均で男女別に出さ れておりますけれども、この平均というのはほとんど平均を取っている人が少ないというケースもありますけれども、分布というか、最高、最低、そして分布的にはどういう総時間数 のところがどれぐらいというか、そういう傾向がわかりましたらお聞きしたいんです。
    磯野参事官
    ちょっと手元に資料がありませんので確たる事は申し上げられませんが、恐らくそういう分布は取っていないのではないかと思います。
    大澤会長
    林さんの問題意識は、どのようなことでしょうか。
    林委員
    私が思ったのは、極めて、ほとんど超過勤務がないという層と。それから、する人は極端に長時間というのが、この平均よりもはるかに多いというような分布に特徴があ るのではないか。そしてそのことが女性ではどう表われているか、男性ではどう表われているか、その性のところも大変気になったものですから。
    坂橘木委員
    でも、ものすごく超過勤務にある人も上限があるんじゃないですか。
    大澤会長
    360 時間というのが上限で、それ以上は超過勤務手当が出てないんじゃないかと。
    坂橘木委員
    超過勤務手当は、どこの級まで出せるんですか。係長級は出ますか。
    磯野参事官
    出ます。どこの級までというよりも、俸給の特別調整額、いわゆる管理職手当が出ている職員には超過勤務手当は出ないことになっております。管理職手当は、本 省庁であれば、行政職(一)9級あたりから出ますが、地方機関の課長などはもっと下位の級でも管理職手当が支給されるので、必ずしも級だけで一律的に、超過勤務手当が出る とかでないとかは言い切れないということです。
    坂橘木委員
    私も林さんの言われることと同じで、ものすごく分布がばらけているんじゃないですか。それと、超過勤務手当以上のことをやっている人の状態については、ここでは 何も書いてないけれども、出せないですか。
    磯野参事官
    出せないというよりも、ちょっと調べようがないというところです。
    坂橘木委員
    データがない。
    磯野参事官
    はい。確かに超過勤務は人によって違うと思いますけれども、申し訳ないけれどもデータがないのです。例えば本省で国会対応とか予算対応しているところは忙し いとかいう話は勿論ありますし、地方機関であっても、やはり忙しいところはあると聞いております。ただ、それを具体的にお示しできる状況にはありませんということです。
    大沢委員
    短時間勤務制度についてお伺いしたいんですが、これは定年退職した方で、基準を設けていらっしゃるのでしょうか。どういう基準で、働きたい人は全員この短時間勤 務職員になれるんですか。
    磯野参事官
    再任用制度の根拠は国家公務員法81条の4と81条の5にあります。短時間勤務の場合は81条の5ですけれども、そこでは定年退職等をした者でも、従前の勤務 実績等に基づく選考により、短時間勤務の官職に採用することができるとされており、これを踏まえて人事院規則等で具体的に定めています。
     意欲と能力のある人間をという形になっており、本人の希望も勿論勘案するということになりますけれども、希望した者が制度的に全員ということには必ずしもなっているわけでは ありません。
    大沢委員
    大体何人ぐらいが短時間勤務職員になるんでしょうか。
    磯野参事官
    数は先ほど資料で。
    大沢委員
    そうですね。私ちょっと、1万6,038 名と。
    磯野参事官
    それは前年の定年退職者全員の数です。その横に短時間勤務は546 人とあります。今のところ、定年退職者に対して再任用される職員が少なく、1割ぐらいしかい ませんけれども、1つには本人が希望しないという場合も結構あるのです。現在は65歳まで再任用できるわけではなくて、年金の支給開始年齢に合わせて上限年齢を上げており ますので、この調査時点では61歳までとなっており、定年退職後最大で1年間なのです。誕生日によっては、1か月で支給という人もいますから、そういう期間であれば再任用を希 望しないという人もいるのではないかと思っております。
    浅地委員
    恥かしい質問なんですが、国家公務員とはというようなことと、再任用とか、まず一つは国家公務員の定数というのは、どういうことで、その中に再任用とかそういうこ とが含まれるのですかということなんですけれども。
    磯野参事官
    定員については、総務省で定めております。国家公務員、通常我々が一般職の職員と言ってる公務員は80万人ぐらいおり、省庁ごとに定員が決まっています。フ ルタイムで働く再任用職員は常勤職員になりますので定員の規制を受けます。ですから、例えば定年後にフルタイムの再任用職員を1人採れば、その分新規採用が1人採れない という話になります。
    浅地委員
    最近、派遣制度とかがはやっていますが、そういうときは。
    磯野参事官
    公務員が、例えばどこかに派遣されるという意味ですか。
    浅地委員
    雇う方ですね。
    磯野参事官
    公務員に来るということですか。
    浅地委員
    役所に民間の派遣の人を使うということはないですか。
    磯野参事官
    派遣労働者を使うという意味ですか。
    浅地委員
    はい。
    磯野参事官
    普通は非常勤職員として雇っていると思います。非常勤であれば定員の制約はかかりません。
     それから、先ほど再任用の職員は、フルタイムであれば定員の規制がかかると言いましたけれども、短時間勤務の職員であれば、定員そのものの規制はかかりません。しかし、 別途管理と言いまして、例えば先ほど週20時間とか24時間の短時間職員が多いと言いましたが、週20時間の短時間職員を2人採るとなると、その分常勤職員の定員を1人減らせ ということになるわけです。
    大澤会長
    よろしいでしょうか。それでは、佐藤さん、高尾さんの順に。
    佐藤委員
    2つあって、1つは、先ほど扶養手当、10ページのところで、特に配偶者のことで、民間がかなりまだ導入しているということをちょっと言われたので、多分民間がかなり 導入しているので、公務員もというのが暗にあったのかなと思うんですけれども、人事院がいろんな制度を導入するときに、先ほど育児・介護について言えば先に出ているわけで すね。看護休暇なんかは、やっと今度の法改正で決まるかどうかということで、育児休業も育児介護休業法では1年が公務では3年になっていますね。ですから、一方では民間の 制度を進めるために先に出るという議論をされるときと、民間はまだまだだから変えないんだという2つの、これはどういうふうになっているのかと聞きたい。これが1つです。
     もう一つ、部分休業のところですけれども、私は民間の短時間勤務に比べて利用者が非常に少ないと思うんです。これが私もいろいろ説明を受けてもわからないんですけれど も、育児休業の方を3年にしたというのは、もともと公務員の方は部分休業という名前であれ、短時間勤務をやりにくい。もともと与えにくい状況があるので、ですから育児休業の方 を短時間よりも休んでもらってしまうという形で3年にしたのではないかと気もするんですけれども、部分休業の場合2時間短くなります。そのとき、1つは予算の問題なんです。人 件費、給与を払わないわけですけれども、それぞれの部局が2時間分の予算を使えるんですか。使えないんじゃないか。つまりそれでアルバイトを雇えないようになっているのでは ないかと思って、だから事実上使用者の方は部分休業を取られても、短くなっても補填できないので、育児休業で休んでくださいということになるのではないかという気もするんです が、その辺のところはいかがでしょうか。
    磯野参事官
    使えないと思います。職員の人件費と非常勤職員手当は予算の項目が異なりますので。
    佐藤委員
    そうすると、現場としては短時間取られて、その短時間分を埋めるような形で流用してアルバイトを雇うということは現場ではできないわけですね。
    磯野参事官
    ただ、それが原因で部分休業が少ないかどうかはわかりません。
    佐藤委員
    育児休業を取るということについては、大体やっておられるんですか。
    磯野参事官
    やっております。
     最初の話ですけれども、基本的に、特に給与については、社会一般の情勢、特に民間に準拠という考え方でやっております。育児休業、部分休業の期間を3年にしたのは、一応 民間の育児介護法で、確かに完全な義務はかからなかったですけれども、3歳までの間は育児休業か勤務時間の短縮の措置かのいずれかを行う義務が定められましたし、看護 休暇についても努力義務が定められたわけでして、民間の実態も当時過半数いったかどうかだと思いますが法改正に伴い増えていくだろうということもあって、家庭と仕事の調和を 図るという施策として行ったわけです。また、一般論としては、国の政策として、例えば週休2日制だったら週休2日制を推進する政策のタイミングをとらえて進めるということも、なき にしもあらずだと思います。いずれにしても基本は、特に処遇については今いろいろ厳しく言われている時期でもありまして、民間に先行するのはなかなか厳しい状況ではないかと 思っております。
    高尾委員
    民間よりも女性が、男性もそうですけれども、働く上で民間と比べてよさそうなところと、民間と同等ぐらいの感じのところと、両方あるようにおっしゃっておられたかと思 うんですけれども、一般的に言って公務員というのは働きやすい、家庭と両立させていくときにやりやすいというふうに聞いておりますが、離職率、退職率ということについて教えてい ただければ、つまりすごくアバウトな話ですけれども、民間と比較したときとか、一般公務員の中で比較したときの男女差、その辺を教えていただければ。それが一点目。
     それから、再任用という言葉が、定年退職の方が続けて働く場合に使われているので、私の頭の中で再任用というと、一度退職してもう一回その会社に入るような再任用の頭が あったものですから、そういうことは公務員の世界ではないんですか。済みません、本当に初歩的で。
    磯野参事官
    正確なデータが今ないので断言はしかねますが、感触的なものであれば、女性の方が若い層ではやはり高いかなと思います。
     それから、再任用については、今、しっかりとした制度として定年後の再任用制度があります。一般的な再任用については、そのための特別な制度はありませんけれども、それは 先ほど採用のところでも申しましたように、できなくはないと言いますか、選考採用ができることになっています。係員を選考採用することは、採用試験制度の抜け道になるといけな いので、各省限りで行うことを認めていないところですが、かつて職員だった人をもう一度再任用する場合には、各省限りで選考採用することができる扱いになっております。それ から、例えば係長級で再任用するのであれば、もともと選考採用が可能です。選考採用については、採用試験とは異なり年齢制限はありません。ただ、そういった一般的な再任用 の数が多いかどうかは別問題でして、余り一般的ではないと思います。
    高尾委員
    実数としてはどれぐらい。
    磯野参事官
    それは調査しておりませんので、把握できません。人事交流計画に基づいて、例えば一旦地方公務員に出てまた戻ってくるのも形の上では再採用になり、そういう 形の再任用であればデータがありますけれども、全くの自己都合で辞めた人を再採用した数のデータはないということです。
    高尾委員
    離職率に関しても余りデータがないと。
    磯野参事官
    離職者の数自体のデータはありますが、今、手元にないということと、先ほど申し上げたように、完全に辞めてしまう場合と、人事交流計画に基づいて、一旦地方公 務員とか特別職になるために退職する場合とがあり、そこのところの人数をどう考えるかということがあるものですから。
    大澤会長
    ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
    永瀬委員
    世帯主とは何かについて質問させていただきます。「主としてその収入によって世帯の生計を支えている職員を世帯主と言う」というふうに11ページに書いてあります けれども、例えば夫婦間で、片方が45%で、片方が55%というふうなときに、その収入によって世帯の生計を支えているという点ではどちらもまさにそうだろうと。「主として」という時 に、5%や10%差がある夫婦はどうなるのか。これは片方が主に家計を支えるということを暗黙の前提とした定義ではないのか、この辺はいかがお考えなのか。
    磯野参事官
    そういう考え方もあるかと思います。ただ、これは要するに、両者には出しません、どちらか一方ですよということです。
    永瀬委員
    そうだろうなとは思ったんですが、ただもしも「生計維持」に双方の収入が不可欠に大事な場合に、理念としてどう考えるのかと思ったものですから。
    磯野参事官
    これは、ある程度職員の側の判断もあるかと思います。ただ世間的に、両者に出しますとはいかないだろうということです。
    坂橘木委員
    例えば、公務員の場合は夫婦で働いているケースが結構多いですね。奥さんの方が、例えば収入が多いときに、その人が世帯主と名乗っていますか。
    磯野参事官
    実態はよくわかりませんが、いると思います。扶養手当でも、奥さんが旦那さんを扶養しているという人がいますから。先ほど男女局の方から示された資料を見てい ただくと、数は多くありませんけれども、少しはいるわけです。
    坂橘木委員
    そうですか。
    大澤会長
    ほかにいかがですか。私から一点、扶養手当の方は民間における普及状況というのを御紹介いただいたんですけれども、住居手当の方も民間給与実態調査で把握 なさっているんでしょうか。
    磯野参事官
    しております。
    大澤会長
    私の知る限りですと、住居手当の方が普及状況は低いのかなと思いますが。
    磯野参事官
    今年の調査では、56%です。
    大澤会長
    大分低いですね。
    磯野参事官
    大体6割ぐらいです。年によって若干差はありますが。
    大澤会長
    それから、借家、借間の場合に、一定額を超える家賃を支払っている職員と、ここには世帯主であるかないという縛りが、?の方はないわけですね。
    磯野参事官
    ありません。
    大澤会長
    そうなると、何か共同で、しかし借家、借間の場合には、それを借りる賃貸契約というのは1人の人しか結べないから、結局は賃貸契約を結んでいる当事者ということ になりますね。
    人事院
    例えば、夫婦ともに職員で共同名義で借りているような場合であっても、それは一方にしか出さないという形にしております。1つの住居に対して1人ということについて は、自宅の場合も、借家、借間の場合も変わりません。
    大澤会長
    大沢さん、いいですか。
    大沢委員
    短時間勤務の場合は、時間比例で待遇は全く。
    磯野参事官
    そうです。給与は時間比例です。
    大沢委員
    それと全く別の質問なんですが、出産後も継続する職員の数というのは、把握されていますか。何割ぐらい。
    磯野参事官
    育児休業の取得率はわかりますけれども、そこまではわかりません。
    高尾委員
    でも、さっき92%と数字出ておりましたけれども、その方は続けて働く場合がほとんどなわけですが。
    磯野参事官
    基本的にはそういうことになります。その後辞められるという方もいらっしゃるとは思いますけれども、基本的には続けるという前提で育児休業を取りますので。
    人事院
    育児休業終了後に辞める人は何%かおりますけれども、ごく少ないです。
    磯野参事官
    育児休業終了後に辞める人も少しはいるという話ですが、データはわかりません。ほとんどは続けられると思います。
    浅地委員
    受験資格年齢の件でお伺いしたいのですが、これを過ぎると公務員にはなれないということになるのですか。結論として。
    磯野参事官
    結論は、なれないというわけではありません。採用試験は受けられないということですので、一般の行政事務職員に採用される道が狭くなるのは否定しませんけれ ども、先ほど申しましたように、採用試験はあくまでも一番下の係員を採るための試験です。ほかにも入口が、例えば経験のある人を係長とか課長補佐でいきなり民間から採ると いうこともあります。その場合は、そもそも試験ではなく選考採用という形になり、選考の場合は年齢制限は一切ありませんので、勿論公務員になれるということです。
    大澤会長
    よろしいでしょうか。そうしましたら、ちょうだいした時間もまいりましたので、磯野参事官におかれましては、本日は大変お忙しい中御説明いただき、どうもありがとうご ざいました。
     (磯野人事院総務局参事官退室)
    大澤会長
    早速でございますが、次にモデルケース・ワーキングチーム研究について、橘木さん、永瀬さんから御報告をお願いいたします。
     まず、橘木さんでよろしいでしょうか。
    坂橘木委員
    お手元に、私と高畑、横山という3人の著者による文章が配られていると思いますが、全国消費実態調査、平成6年版と11年版の個票を、このプロジェクトに使わせ ていただきまして、いろんなことを、女性の就業だとか、税制なり、社会保険制度、あるいは世帯特性が、どのような女性の働く効果に影響力があるかということを、いろんな面から 推計した作業でございます。
     経済学をやられた方だと、何をやっているかというのが、例えばプロフッイットとか、バイバリエート・プロフッイットとか、オーダード・プロフッイットとか、そういう手法が出ていて、わ かりやすいと思うんですが、経済学以外の方は余りよくわからないかと思いますので、テクニカルな話はほとんどパスしまして、やったことの結果でわかったこと。そして、今後の課 題ということを中心に話させていただきたいと思います。
     日本でもこういう研究というのは、最近非常に盛んでございまして、参考文献を見ていただいたらいろいろ挙がっておりますし、これ以外にもいっぱいあるんですが全部は挙げて おりません。女性の労働供給というのは、労働経済学の中でも非常に大きな、ここにおられる大澤さんとか永瀬さんなんかも非常にいい仕事をしてこられた方で、我々後に続く者に とっては非常に刺激になる研究成果になっているんですが、ここでやったのもそれを踏まえて、どんなことに関心があったかというと、まず一つは、親と同居することの意味、親と同 居すると働くか働かないかの選択に、どういう影響を与えるかというのが第1点。 それと第2点は、配偶者の所得が高いと、奥さんは働くのか働かないのかというのが、第2番目の 関心。
     第3番目の関心は、これは特にここの委員会でのメインテーマでありますが、例えば103 万円の壁とか、130 万円の壁というものが、女性の労働供給にどういう影響を与えてきた かということが、第3番目の関心。
     第4番目は、これはややテクニカルになるんですが、こういう話は例えば働くか出産するかというのは、ある意味において女性が同時決定をしている。あるいは、どちらを先に決 めてから次の段階に移るかということがありますので、例えば就労するか、あるいは就労した後出産するのか、あるいは出産した後また就労するのかというような問題を同時決定 をやっているようなモデルを使ってやっています。それが8ページのイクエージョンiiとイクエージョンiii と言われるもので、これがバイバリエート・プロフッイット・イクエージョンで、 攪乱項が2つ相関があるときの推計方法が、ここの論文の1つのコントリビューションかなという気がします。お互いに影響を与えあっていますから、出産が就労へ、就労が出産へ と両方の影響力を同時に考慮するようなモデルになっているというのが、第4番目のメインテーマになると思います。
     テクニカルな点は一切しゃべらずに、結論を言いますと、まず9ページの一番下に、就労、非就労の選択で、本説の主要な結果をまとめると、親との同居は就業コストを下げること で、女性の就業促進につながると。それから、その次のページを見ていただくと、資産、世帯所得、夫の所得が高ければ働かない。あるいは、税制上、103 万円とか130 万、年金制 度も就業を抑制する傾向があるというのは、過去にやられた研究をコンファームした側面もあるかと思います。
     その次が10ページ、これは出産と、就業・非就業を、お互いに影響を与えるのを考慮して推計した結果によりますと、10ページの一番下にありますように、これは先ほどと同じよう な結果が得られているんですが、ここで行った一つの新しい点というのは、3で書いてありますように、就業と第1子出産はトレードオフの関係にあるというのがここでわかった点の 特徴だと思います。
     次は、女性の就業形態には、フルタイマーかパートタイマーか、あるいは就業しないのかという選択がありますので、これはもう過去相当やられている話でありまして、これはもう スタンダードなテクニークが、mutinoinal logit equation でやった過去の研究を割合コンファームするような点でありますので、省略します。
     もう一つ、我々が関心を持ったのが、次の12ページ、では雇用者になるのか自営業をやるのかというのが、ここの論文のもう一つの新しい点でありまして、何で自営業の方が子ど もを持っても両立できかというと、職住近いですから、雇用者であれば1時間かけたり、30分かけて働きに出かけなければならないけれども、自営業者の場合は自分の家に住みな がら子どもの面倒も見られるし、働くこともできるというメリットがあるので、そのようなことに興味を持ちまして、自営業者というのは雇用者よりももうちょっと、先ほど言ったような要 因というのが強く働くことがわかりました。要するに、女性の場合、もし働くのであれば、雇用者になるよりも自営業者になる確率の方がどうも高いだろうというのが、ここでわかった 点であります。そういう意味では、雇用者であったらいろんな制約を受けるんだけれども、自営業者であれば、おじいちゃんもおばあちゃんもそこにいるかもしれないし、いろんな助 けもあるという意味で、既婚女性にとっては一つの就労形態としては、見直されてもいいんじゃないかというのが7ページの話であります。
     あと税制とか、公的年金、いわゆる103 万円、130 万円の壁というのは、この平成6年と平成11年のデータに関しては、皆さん御存じのように、そういう効果があったというのが指 摘されていましたから、それを追認したという意味で、逆に言えばそういうような103 万円とか130 万円の壁というのを撤廃した場合には、もうちょっと別の現象が起きるだろうという ことを、この研究からも類推できるのではないかという感じがしております。 したがいまして、この研究によっていわゆる女性の就業を促すためには、あるいは労働時間の調整をな くすためには、そういう壁というのは、できるだけ撤廃する方がいいだろうというようなことが、この研究からも言えました。
     以上が、この研究による大体のわかったことなんですが、最近私が悩んでいることがありまして、皆さんに問題提起でお話ししたいんですが、私も男女共同参画会議の議員です から、できるだけ女性が働けるような体制に持って行けるような制度というのを、いろんなところでしゃべるんですが、最近一番既婚の女性として満足度の高いのは、高学歴で働い てなく、旦那さんの所得が一番高い人が、一番既婚の女性として満足度が高いということが出ておりまして、そういう質問が出たときに私はどう答えていいか、はたと悩んでおりまし て、そういう満足度の高い人生を送るのが一番幸せですから、何が何でも働けということを言えない層もいるというのに気が付きまして、最後はちょっと問題提起みたいな形で皆さ んの感想なり、御意見なりを聞かせていただければと思います。こういう研究をやって報告しますと、必ずそういう意見が出てきますので、よろしくお願いいたします。 以上です。
    大澤会長
    どうもありがとうございました。永瀬さん、引き続きどうぞ。
    永瀬委員
    では、私の方のワーキングチームの中間報告をさせていただきます。東京大学の縄田和満先生、上智大学の出島敬久先生、東京大学の原尚幸先生、そして東京大 学の村尾祐美子先生、これらの方々と御一緒にいたしました。
     まず、幾つかやったことがあるので、今日は中間報告としてかいつまんで御報告をしたいと思います。
     最初に、世帯内の夫婦それぞれの年金受給の実態の特別集計というのをいたしました。これは、3ページの図をごらんください。実は、夫婦それぞれがどういう年金を受給してい るのかというのは、意外とデータがないんです。男性だけが幾ら、女性だけが幾ら、あるいは厚生年金は幾らというふうなものが出てくるんですけれども、世帯で合計で幾らなの か、そしてそれはそれぞれどういうふうに分布しているのかということに関して、実はデータが余りないということに気が付きました。ですので、これは実際どうなっているのかという のを、この全国消費実態調査の特別集計で許可が下りた範囲内で集計したものになっております。
     まず、上が平成11年の65-69歳の世帯主の妻のいる世帯、ですから高齢者夫婦世帯と思ってください。この図は、正面から見ると男性の年金分布になっておりまして、これは2 コブラクダになっております。横から見ると女性の年金分布になっておりまして、1コブラクダ大体40万~80万ぐらいと、ここが最も多いと。男性の方が、80万~200 万という階級と、 それから300 万~350 万という2つの階級が多くなっています。その下の図が70歳以上の夫婦世帯になっております。
     次のページは、これは平成6年についての結果です。この2枚の図についての説明は、2ページの一番最初の2番というところに書いてありますけれども。失礼しました、そして5 ページ目の表のa-1が、今、男性と女性と両側から見たものを、女性の側からだけ見た年金の分布の変化になっております。
     これは、まだ最終報告ではありませんので、数字を後でもう一度よく検討したいとは思いますけれども、このような数字になっております。
     妻の年金階級ゼロというのが、例えば55-64歳層で8割ぐらいいるのは、勿論まだ年金年齢に達してない方々も多いわけだからです。一部は若くとも遺族年金等を受けている方 がいます。しかし70歳以上は年金年齢であり、この年齢で見まして平成6年から平成 11年にかけて、年金ゼロというのが減っています。この辺の説明が2ページのところに2番に 書いてありますけれども、女性の就業経験が全体に増加したということもありますでしょうし、それから第3号の創設とともに、無年金の主婦が減少したという効果が出ているのでは ないかと考えられます。
     しかし、この2時点で見ますと、無年金の減少は女性に限るものではなくて、男性についても無年金者はやや減少、それから世帯主の年金階級が250 万以上である高齢夫婦世 帯というのが、平成6年は38%程度であったのですけれども、平成11年にはもっと上昇しております。故に平均的な高齢者の受け取る年金額は、この2時点で拡充したといえま す。もっともこの分析は夫婦世帯に限っております。同居世帯の高齢者や、これから単身はここの中には入れておりませんけれども、というようなことがわかります。
     a-3というのは、これは高齢夫婦世帯の合計の公的年金受給額の分布と、それから妻の受給年金額は夫婦の年金に占める割合でございます。妻が年金受給に占める割合と いうのは、高くても35%ぐらい、低いと15%ぐらいです。世帯の年金受給額階級が上昇していくと妻の割合が下落しているということは、つまり女性の年金は余り上がらないけれど も、夫の年金が高くなると高い年金受給額となるということを意味しております。
     ただ、一番年金受給の高い階級で反転があります。ここは割合としては少ないものの女性も長く働いてきた方々が、それなりの年金を受給していることが世帯の年金額を高めて おり、そのために一番高い年金世帯の年金階級のところでは、世帯にしめる女性の年金割合が反転し高くなるという形になっております。
     それから、本当にこの集計でよかったのかどうかというのが、若干自信がありませんけれども、夫婦で受給されている年金額が300 万円以上である世帯というのが、非常に多い というのがここでわかります。現在の政府が話しているモデル年金は月24万円弱ぐらいですので、そうしますと年間290 万弱ぐらいの年金を被用者世帯のモデルとして想定してい るわけです。ところが夫婦世帯の現在得ている年金受給を合算しますと、平均像がかなりモデルよりいいのだなということがわかります。
     ただ、ここは夫婦世帯だけの集計です。高齢者にも子どもと同居世帯の人たち、単身の方もいます。今日はこちらの分析は持ってきてないのです。実は豊かな世帯が高齢夫婦と して独立世帯である傾向が高いので今日の報告は豊かな世帯についての話です。ただ、夫婦世帯は大変増えておりまして、決して少数の人たちではないということも言えます。夫 婦世帯の分析からは、今まで見てきた資料とは随分違う受給実態があるんだなということを感じました。
     それから、図には示しておりませんけれども、個人年金、企業年金の分布を見てみますと、2ページの4番のところですけれども、個人年金、企業年金が夫婦のどちらかにある高 齢夫婦世帯は、大体2割程度であります。そして、夫か妻か、どちらかが個人年金、企業年金の権利を持つ者を見ると、年金階級が高い世帯に若干多くなっております。公的年金 がゼロで個人年金をもつ世帯も少し高いんですけれども、あとは大体年金階級は高いほどそうした権利を持っている世帯が多いと。受給を受けている者についての受給額を見る と、平均で100 万円程度になっております。受給権者の比率は、年齢が上がるほど下がっておりまして、また男性と女性を比べますと、男性の方が高いというような傾向が見られま す。
     年金について、受給の実態がどうなっているかということを見てみたいという意図でつくった図を紹介しました。加えて本報告では単身者と引き取られた高齢者、だから子世代同居 の年金等についてもまとめたいというふうに思っております。
     bが「子どもコストの計測および男女の収入と消費行動に与える影響の差異」というものでございまして、6ページになります。この6ページでは何をしたかというと、消費に占める 食費の割合というのを、一種の消費水準、厚生の指標というふうに考えようというエンゲル関数というのがあったと思いますけれども、そういう考え方で見た場合に、子どもがいるこ とがどのぐらい食費シェアを上げるのだろうかというのを、持ち家状況ですとか、他の世帯の状況ですとか、あるいは消費支出額そのものはそのうちの経済状況を示しますので、そ ういう状況をコントロールした後で、どのぐらい影響があるかというのを見たものであります。推計結果が下に出ている。例えば、子ども5~9歳ですと1.19というのは、大体夫婦2人 よりも19%ぐらい消費額が増えると、夫婦2人だけの世帯と同じぐらいの食費シェアになるよと、だから、もしも食費シェアを厚生水準の指標として見るんでしたら、それぐらいの消 費額の増加があって、同じぐらいになるということを意味しているわけであります。
     ですので、これから計算してみると、夫婦2人世帯と比べると、例えば10~14歳の子ども1人と、5~9歳の子ども1人の計2人を持つ世帯で、大体49%ぐらい消費額の増加を伴 わないと、夫婦2人だけの世帯の消費よりも効用水準は下がるというのが、この推計結果であり、これを子どもコストと呼んだりします。
     ただ、これの見方はいろいろありまして、子どもがいるという喜びの部分もあると思いますので、これは一つのそういう計測結果であります。こういう計測はいろいろやられておりま して、大体過去にも私自身も幾つかやっているんですけれども、それほど変わってない数字だなというふうに思っております。
     次の7ページは、収入なんですけれども、夫の収入と妻の収入とで同じ1円が消費行動を変えるのかということが関心になっておりまして、ここでは社会保障と税金負担が1つの テーマになっておりますので、その例だけを持ってきたんですけれども、勿論これはこれだけではなくて、例えば教育費の支出が夫の収入1円と女性の収入1円とでどういうふうに 変わるかとか、そういう計測ができるわけですけれども、ここで見ますと、夫婦合計の収入よりも、妻の収入の方が税金シェアは落とすことがわかります。妻の収入は税金、社会保 険料的には優遇されていると、これはよく知られている控除ですとか免除とかでございますけれども、実際にそのような効果が出ているということであります。
     次のcのところが、女性の就業行動です。橘木先生からいろいろもう既に御説明がありましたので省きます。ここの推計方法1とは、過去に行われてきたようなことをこのデータで いろいろとやってみた一例を持ってきたものです。推計方法2の方はかなり難しいというふうに思っているものでございまして、それについては東京大学の縄田先生が現在中心に取 り組んでくださっています。本報告のときには結果を御説明できればと思います。一つの問題はこの全国消費実態調査には賃金がないことです。しかし、夫婦の収入実額が非常に よくわかるという良い特徴があります。しかし賃金とか労働時間データはございませんので、それをどういうふうに考えるかということをしないと、労働供給関数の推計はなかなかで きません。そこで、ここでは賃金率を賃金センサスから、県別、企業規模別、産業別、年齢別にマッチさせてインプットして、そして女性の常勤とパートの人の賃金分布をつくってみ ると、図のような形になる。ここから労働時間もつくり出していってというふうにするわけです。日本の女性の収入は家族手当がなくなる103万円を超える収入分布がなくなり落ち込 む部分と、それから130 万円で落ち込む部分とがあります。分布が非常に大きく落ち込みまして、こういう大きな落ち込みというのは、諸外国ではないものなので、なかなかきちん と計測する方法が確立されておらず、大変難しいというふうに思われます。
     先ほど橘木先生から、歪みをなくすといいというようなお話がございました。まさにそうなんですが、例えば歪みのおこる部分を65万に下げて、そこに新たに歪みをつくったらそれ でいいかというと、やはり歪みは残ることにかわりない。では65万に持ってきたらどういう影響が起きるのかということは、推計したいのですが、なかなか難しいというふうに思われま す。
     これをやるに当たりまして、全国の家計簿をずっと見ているわけですけれども、そこで私が非常に印象に残ったことを、先ほどの橘木先生の質問の投げかけを含めて、ちょっと申 し上げたいと思います。さっきの私のした世帯主とは何かという質問とも関係します。夫婦の収入の格差ということなんです。夫婦の収入の格差が、日本はものすごく大きいというこ とを、この家計簿を見ると特に痛感いたしました。
     少しぐらい働いても、余り夫婦の収入格差は縮まらない。そして、常勤のパートでは、ここでインピュートした数字でごらんになるように、全く正社員とは賃金水準が違って低い。次 に、常勤をみてもやはり夫婦間格差は、かなりある。そういう賃金制度上の構造があるということがわかります。
     橘木先生が出産と就業がちょうど代替的になっているというふうにおっしゃいましたけれども、この全国消費実態調査をみると、確かに子どもを持つと、更に夫婦の収入ギャップと いうのが拡大するということがわかります。
     このような大きな収入ギャップをある場合には、少しぐらい女性が働いても生活がよくならないということがあるのかもしれなくて、それは単に税制や社会保障制度の辺の問題で はなくて、やはり賃金制度そのものの問題である。男女の学歴格差が縮小し、生産性格差が縮小する中にあっては、もう少し賃金制度そのものを考える必要があるのではないか と感じました。それほど大きな夫婦の収入ギャップがございました。
    大澤会長
    どうもありがとうございました。大変興味深い結果の御報告と言いますか、中間報告ではありますけれどもいただきました。ちょっと簡単なことなので質問させていただ きますと、永瀬さんの資料の9ページ目に出てくるグラフの横軸と縦軸の単位はなんでしょう。
    永瀬委員
    円と度数です。
    大澤会長
    横軸が円で時間給ですか。
     どうぞ。
    福原委員
    橘木先生の御発表に2つ、1つは、これだけアングロサクソン系のペーパーもお使いになっていると、何らかの意味で将来国際比較をして、日本の特徴というのを抽 出する可能性はあるんでしょうか。それが質問です。
     第2番目は、さっきの給料の多い御主人と結婚されて、何もしてないのが幸せであるということについて、これが決定的なお答えはとてもできないわけですが、2つ考え方があるの ではないか。
     簡単に言えば、その御本人の社会観、あるいは人生観の問題なんです。社会の中で1人だけがいいというのであったら、確かにそうかもしれないけれども、いずれにしても人類と いうのは、ある時期から共同社会をつくって、しかもその社会をだんだんよくしようよくしようとして、みんなが努力してきたわけですから、自分だけ楽をしていいということは本当にい いのだろうかという、どっちかというと哲学的な命題があるわけではないかと思うんです。1982年に、社会学者のダニエル・ヤンケロビッチが書いた、ニュールールという本に、始め は女性は社会進出して、生きがいを求めようとしたんだけれども、今や住宅ローンを支払うために働き続けなければならなくなっているということは、高水準の質の悪い生活の社会 になっていると、ですから社会全体が生きがいを求められない社会になっているという可能性もあるのではないかということが1つ。
     もう一つは、これは保険的なリスクで、そんなにいい御主人がおられたとして、何らかの事件に巻き込まれたり、あるいは急に病気になられたりしてお亡くなりになった場合は、一 体その方はどうなってしまうのでしょうか。そういう2点があると思うのですけれども。
    坂橘木委員
    1番の国際比較は、いろんな方がやっていまして、アングロサクソンか、あるいは南ヨーロッパタイプか、日本は南ヨーロッパに割合近い、スペインとかイタリアに近い 出産構造だとか、女性の労働状況が非常に近いですね。これは案外文化的な近さもあるかもしれない。逆は、北欧で大分違う。
     国際比較というのは、いろんな形でやられていますし、面白い視点だと思います。
    福原委員
    将来、可能性はあるわけですね。
    坂橘木委員
    いや、もう相当やられています。
    福原委員
    いや、先生たちで新しい。
    坂橘木委員
    私たちのプロジェクトで、ですか。私たちでどこまでできるかというのは、ちょっと難しいので、文献はいっぱいありますから、それを参照しながら比較をやるということし か、私らのプロジェクトではできないと思います。
    大澤会長
    ちょっと補足をさせていただきますと、このワーキングチームには、まだもう1セクションございまして、私と帝塚山学院大学の室住先生と、家計の構造ということで、国 際比較を心がけてやっておりまして、ちょっと集計に誤りがあることが直前になってわかったので、本日は御報告できなかったんですけれども、家計支出に占める世帯主勤務先収 入の比率ですとか、それから配偶者収入が収入に占める比率というのを国際比較で、これは日本の全国消費実態調査だけでできることではないので、既存の研究ですとか、そう いった公開されたデータなども使ってやってみようということでやっております。
    福原委員
    それは後日。
    大澤会長
    はい。できれば、次回の専門調査会で簡単な御報告をしたいと思っています。
    坂橘木委員
    福原さんの2番目の問題は、非常に大きな問題提起というか、私にとってもどう考えたらいいか。例えば、働くのは何のためかと、お金稼いでいい生活をしたいために するのか。あるいは、そうじゃないと、お金よりも自分の満足のために働くのだというように考え方がいろいろあると思うんです。そこに絡んできますので、私が最初に言った旦那さ んの所得が高くて、奥さんの学歴が高い人は働かないということが、日本において一番満足度が高いという現象をどう考えるかというのも、私もいろいろ働くとは何のためかとか、い ろんな関心から考えているんですけれども、まだ結論はないので、真剣に今、考えているところです。
     これも男女共同参画会議と関係ありますので、皆さんの知恵もできればお借りしたいと。 2番目に言われた、旦那さんが働いていて、奥さんが専業主婦の場合、旦那さんが亡く なったときどうかと。これは非常に重要な視点で、両方が働いているとどっちかが失業するとか亡くなるときがあっても、セーフティーネットとしてあるという意味で、むしろ両方が働い ているとリスクをミニマイズするという効果は非常にあると思うんです。今までの日本の社会というのは、旦那が働いて奥さんが専業主婦だと、旦那が亡くなったときに備えて生命保 険というのにものすごく入っていました。日本の社会というのは、生命保険参加率と生命保険のかけ金は世界一なんです。ものすごい量入っていまして、これはまさに旦那が亡く なったときのリスクヘッジとして生命保険に入っていたんですが、奥さんが働くようになると、生命保険の加入率もだんだん減っているという現象がありますし、そういう意味でセーフ ティーネットとしてどう考えるかという話、今後非常に重要な。
    福原委員
    でしたら、セーフティーネットを政府に頼るのではなくて、自分の家庭でつくるという視点の方から更に重要ではないかと。
    坂橘木委員
    それは政府には頼れないですよ。私の旦那が亡くなったから、奥さんが政府に頼るというのはあり得ないわけで、これはもう自分の家でセーフティーネットを考えるし かないですね。保険に入るのか。
    大澤会長
    夫が亡くなってしまえば、女性の場合には、本人が何歳であっても遺族厚生年金を受けることができます。自営業だった場合には18歳未満の子がいる場合のみ、定 額の遺族基礎年金が出るだけなんですが、亡くなった夫が雇用者であった場合には、遺族厚生年金が受けられるので、これはもう政府が手厚いセーフティーネットを用意している というふうに言ってよろしいんです。一番困るのが病気で倒れて収入が途絶えたときです。
    福原委員
    それは医療保険の支払い上からもそうなんですね。
    大澤会長
    はい。
     どうぞ。
    佐藤委員
    橘木先生に、1つはさっきの質問に対してなんですけれども、自営業の読み方ですが、未就学子がいると自営業確率を高めると。それは時間の調整とか、あるいは親 との同居があるかもしれないというお話ですけれども、小さい子どもがいて子育てするために自営業者になれと読むのか、そうではなくてこれはもともと家族従業員から働いていた 人が、子どもが生まれた後も、つまり家族従業員であれば子どもが生まれても割合復帰しやすくて働いているということ。
    坂橘木委員
    私もそう思いますよ、多分あなたの言われた後者で、別に私は自営業をやった方が、すべて子育ても、就業もうまくいくから自営業をやれとまで言っていません。むし ろあなたの言われたように、もともと自営業をやっていて、出産して、また戻るという形のケースが一番多いんじゃないでしょうか。
    佐藤委員
    自営業にした方が、後で復帰しやすいということで、雇用者の方がハードルが高いだろうというふうに読んだ方がいいということですね。
    坂橘木委員
    そういうことです。それで結構です。
    佐藤委員
    もう一つは、高学歴で夫が高収入の方が満足度が高いという話なんですけれども、どういう質問がわかりませんけれども、福原さんが言われたように、やはりそれぞ れ求めているライフスタイルが違いますから、フルフルで働いている人が専業主婦になれば満足度が高くなるわけでもないわけです。逆に言うと。だから、フルフルで働いている人 が求めているものが違いますから、低いと言っても、どうすればその人の満足度が上がるかというと、専業主婦になれば上がるわけでもないし、ですから別にそんな気にする、そ のことでみんな専業主婦になることが幸せだということになるわけではないので、そんな問題にしなくてもいいんじゃないかと思います。
    坂橘木委員
    一番私が考えるのは、夫がフルで妻がパート、このパートが相当労働きついわけですね。賃金が安いとか、非常に過酷な労働条件にいると、そんなことよりも専業主 婦になって、高い所得の旦那と一緒にいる方が満足度が高いというのは、私が女性でもそういうふうに考えると思いますけれども。
    佐藤委員
    先生が問題にされるのは、専業主婦になりたいという人が多いのが問題だと言われているんですか。
    坂橘木委員
    いや、そんなことは言っていません。ある調査で、これは全国的な調査ですが、女性に満足度を聞いているわけです。そうすると、満足度が一番高いと出たのは、繰り 返しになりますが、本人の学歴水準が高くて、専業主婦で、子どもが1人か2人いて、旦那の所得が高いというのが、一番満足度が高いんです。
    佐藤委員
    そのことで、今、働いている人が専業主婦になれば、その人の満足度が上がるということではないですね。
    大澤会長
    つまりプリファレンスが違いますから。
    佐藤委員
    プリファレンスが違うわけですから、だからそれほどそのことで悩むこともないと。逆にみんな専業主婦になれというふうに言うのが問題なんです。
    坂橘木委員
    私は、専業主婦になれとは一切言っていません。
    佐藤委員
    多分そうするとまた満足度は下がると思います。
    高尾委員
    八代先生が来てくださってお話してらっしゃったときに、現実問題としてそういうふうな夫婦世帯というのは、今後どんどん減っていって、実際5%とかになるのではない かという話で、そういう5%はもうほうっておけばいいというか、それはもう人生観で哲学的な問題です。そういうデータがあるとおっしゃったけれども、私が知っている範囲で、本当 に狭い範囲ですけれども、その女性に能力があれば、学歴があれば、そういう自分自身が社会参加をしないという生き方に満足しているということは、やはり少ないんじゃないか と。5%はほうっておいて、でも残りの95%を考えていった場合には、専業主婦であれば満足するという、お金もあって、子どももいて、家もあって、それであれば満足するという方は 少ないんじゃないかという感じがします。
     その5%はもう別格として、5%が正しいかどうかはわかりませんが。
    林委員
    余り高学歴で高所得の妻が満足していることを議論する意味もないような気もするんですけれども、そういう人がいてもいいじゃないかというふうに、私は軽く思っていま す。
     ただ、満足度があるかないかというときに、満足度というのは何に対する満足度なのか、要素があると思うんです。だから、一般的に満足度というふうに言って図れるものではな かろうなと、そこのところをやはりもし問題にするなら、何に対する満足度なのかという。
    坂橘木委員
    人生全体だと思います。あなたはハッピーですかと、生きていて幸せですかという感じだと思いますけれども。
    永瀬委員
    そのことについて意見を申し上げてもよろしいですか。
    坂橘木委員
    どうぞ。
    永瀬委員
    日本の場合には、年金で見てもそうですし、収入で見てもそうなんですけれども、女性が働いても家計への影響は補助程度にしかなってないというのが、日本の全体 像なんです。女性が働くと生活水準が上がるというのはあまりない。男性の所得が高いと非常に高くなりますが、女性が少しパートで働いたぐらいじゃ、とても賄えないぐらいの男女 の差がある。男性側では大きな賃金分散がある。一方女性に関しては、賃金は低く、個人差も非常に狭い。だから、要するに言い換えれば、労働市場では賃金面での能力をなか なか生かし難い。特に橘木先生が御指摘なさったように、子どもを持つときにそれは非常に難しいような状況が日本にある。だから現実の制度がそうなので、高収入の夫がいて専 業主婦である選択がもっとも満足が高いのであろう。そういう実態が、日本にはあるのではないかと。ただ、それが長期的に持続可能かと言ったら、先ほど高尾さんが御指摘になっ たように、2人分、3人分、4人分の賃金を取れるような男性が、これから大勢出るとは思えない。むしろ女性の学歴水準も上がっていますし、寿命も長期化しているので、女性の 能力をもう少し生き生きと生かせるような場を広げていくように考えた方が、どちらかというと実現化されやすそうである。しかしなかなか制度の変化は遅くて、やはり実現されない のかもしれませんけれどもそれは決して良い結果を生まなかろうと。
    林委員
    1つは、大学まで行ける、行けない、その行ったことをどうしているかという問題で、全く別の観点から考えると、私はやはり大学まで行くということ、私立であっても、国公 立であっても、そこに相当税金を投入して、そういう社会的に学べたという認識というのを持つような学び方というか、そういうものが必要だと思うんです。
    大澤会長
    時間が迫ってまいりましたので、今、大沢さんの方からお手が挙がっているんですけれども、橘木さんの御報告と永瀬さんの御報告というのを突き合わせた場合のサ ジェスチョンというか、示唆というか、橘木さんの御報告中で、15ページから16ページにかけて何か所が出てくる、税制、公的年金制度が有意に収入を下げているとか。
     それから、就業調整する人だけじゃなくて、そういう人がいると就業調整しない人も賃金上昇が見込めないこととか。
     16ページに行きますと、同じことをだめ押し的に、16ページの最後から2番目のパラグラフでおっしゃっていまして、これを永瀬さんが御報告の最後で口頭でコメントされた、夫婦 の収入格差というのは、日本は格段に大きいというときに、それを所与として人々が行動するという中で、女性が労働供給を増やしてもそんなに報われない格好になっている。 こ れは労働市場の問題というのがあるかもしれないという御示唆だったと思うんですけれども、制度や政策がタッチしないところで、労働市場がそうなっているということを、道徳的に 非難をしてみても仕方がないですが、橘木さんの御研究の結果というのは、やはり制度や政策というのが、そこに歪みをもたらしているということを言われていると思います。そこの ところなんですね、我々がこの専門調査会でずっと検討しているところというのは、そういう歪みをなくすことによって、夫婦の収入力格差というのが、少しでも縮まる方に行けるので はないかということ。
     それから、みんな働けということなのかということです。つまり就業調整が行われているという話をしますと、だれもがめいっぱい働かなければいけないのかという反応が、必ずと 言っていいほど返ってきますので、橘木さんに対してそういう質問が出るというのも、非常によく理解できるわけですが、その人がそういうプリファレンスに基づいて、満足度が高い ということは、何ら非難されるべきことではないと思うんですけれども、でも就業調整している人のビヘービアというのが、しない人の賃金水準にも影響を及すということはどうなのか というのが一つあると思います。
     それから、お手元のパンフレット、男女局がよくお使いになっていますけれども、いつも出てくる潜在的労働力率というのが3ページに出てきます。実際の労働力率、女性の場合緑 ですが、それに対して就業希望を足すと、ピンクというか赤になるわけで、この2本のグラフのギャップのところというのは、希望が満たされてないと。もっと働きたいと思っているけ れども、その希望が満たされてないということなので、この希望が満たされるように制度や政策というのを工夫していくということは、やはり全体としてのウェルフェアとかウェルビーン グを上げることになるのではないかという、コメントめいたことになってしまって恐縮ですけれども、感じた次第です。
    坂橘木委員
    委員長の言われるとおりで、私ももう大賛成ですが、そこで永瀬さんがちょっと言われた、女性が働きに行っても、働くだけの見返りの賃金をもらってないというような、 例えばパートの賃金が非常に低いとか、そのようなことまでこの委員会で、もうちょっと是正が必要であるということまで言えますかね。
    大澤会長
    制度や政策が邪魔をしていて、低位均衡の状態にはまってしまっているのだとすれば、それは制度を是正することによって何らか改善に向かう余地があるかどうかと いうのが、この専門調査会の任務だとも思いますので。
    大沢委員
    その点で言うと、制度がパート労働者の低賃金化につながっていると思うんですが、それがなくなればよくなるのかというと、むしろ今の流れだと非雇用の分野にどん どん就業形態が流れるという感じで、今、日本の社会が直面している問題というのを考えると、これ以上もう正社員が増えないような、高収入、高賃金、生涯安定した仕事を持つ人 の割合が、どんどん減っていくという感じだと思うんです。
     それに制度が影響しているかというように聞かれれば、影響していると思います。それは、ただ単に税制度があるとか、所得税で世帯主の配偶者控除があるという問題ではなく て、社会全体の日本の労使関係の中で正社員、非正社員という位置づけがつくられてきて、制度がその中でパート賃金を安くしていくような役割を果たした結果、今の正社員の仕 組みができているので、これがaだからbにつながるという感じではないと思うんですが、今の大きな流れは、雇用されない働き方の増加という、非常に大きな流れがあると思うんで す。それがパートだけではなくて、自営とか、請負とか、そちらの方向に流れているわけで、そういった中で影響調査会の政策というのは考えられるべきなのではないかと思いま す。
     だから、セーフティーネットの考え方とか、夫婦の在り方というのが今、根本的に変わってきたんだと思います。まさに福原委員がおっしゃったように、質の低い生活にみんなが なってきて、かつ夫婦が働かなければいけないような方向に動いているのではないかと思うんです。だから、女性に働けという話ではもうなくて、男性も含めた中で考えていく。そこ で、夫婦でともにリスクシェアしなければいけないときに、そういった仕組み、労使関係の中で税制度、社会保障制度も影響して、非正規、正規という形で、かなりリスクに直面してい る世帯が増えてきているというふうに思ったので、先ほどの専業主婦世帯が幸せかというのは、多分古いモデルで考えて、保障がある中では幸せだろうと思うし、もし私もチョイス があったらと思いますが、それは何か例ですが、今になってみるとそれもよかったかなと思わないでもないですが、でも今の若い人はその先々を考えて選択をしていて、そのリスク にどう対応しているのかということだと思うんです。
     ですから、やはり賃金の問題というのは、制度の問題の中で考えられると思います。やはりその全体の中で考えて、どういう在り方が望ましいのか、そのときに、例えば南ヨーロッ パと日本と非常によく似ているんですが、南ヨーロッパは同じような労使関係の仕組みを持っているがゆえに、スペインでは臨時雇用が非常に増えている。イタリアでは、非常に自 営が増えて、ブラックマーケット化している。日本では、パートが異常に増えている。なぜパートが異常に増えているのかというのは、すごく制度と関わりがあるのではないかと思っ ておりますので、そういう面でこの解釈というか、やはり非常に重要な問題は、この影響調査会で扱っていると思います。
     以上です。
    大澤会長
    大変適切なコメントありがとうございました。一応、今、雇用システムというところに焦点を当てて審議は進めておりますが、高尾委員の御提言もありまして、自営soh oの問題とか、それからnpoの問題なども取り上げてはまいりましたので、雇用労働にばかり専念しているわけではございません。
     時間が大分過ぎてしまいましたので、今までの議論は以上といたしまして、橘木委員、永瀬委員、大変ありがとうございました。本報告の方も是非よろしくお願いいたします。 さ て、来年度の税制改正について、個人住民税の均等割制度の見直しについて、前回この調査会としての意見を報告としてとりまとめたいというふうに申し上げました。案文につい て、既に昨年事務局から各委員に御相談しております。お手元の文案でとりまとめ、28日、明後日の男女共同参画会議において、私の方から報告させていただきたいと存じており ますけれども、いかがでしょうか。議事録の手前、資料5というところにその文案がございます。よろしいでしょうか。
     暮れの間に照会をかけたものとの相違はどこでしょう。
    定塚参事官
    1点だけ、形式的なことですが、一番右上の3行目、影響調査専門調査会報告と付けてありましたのを、勿論報告は報告なんですけれども、報告という文言を落とし たというだけでございます。
    大澤会長
    あとはすべて暮れの間に御相談させていただいたものです。よろしいでしょうか。
     (「はい」と声あり)
    大澤会長
    ありがとうございました。
     では、次回以降はこれまでのヒアリングを踏まえて、論点についての御議論をいただきたいと考えております。お手元に論点について事務局が作成した資料をお配りしております。 資料4でございます。これについて、次回の調査会で御議論いただきたいと考えておりますので、あらかじめ目を通しておいてくださると大変幸いでございます。
     次回は2月9日月曜日の14時から、第26回会合という再開する予定です。事務局からの連絡事項等をお願いいたします。
    定塚参事官
    とくにペーパーはございませんが、今後の予定について若干お話し申し上げますと、次回2月9日でございますが、その後3月上旬に1回と、3月末にもう一回でき ればと、大変お忙しいところ恐縮ですけれども、次回2月9日と3月上旬の回で、いろいろ御議論をいただきまして、その結果を3月末に論点整理という形で、ほぼ最終報告にかなり 近いなというようなものを、3月中にある程度まとめたいと思っております。 事務方の方から、3月の御予定について照会しておりますので、まだお返事いただいていない方は、ま た別途事務局の方にお知らせをいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
     以上でございます。
    大澤会長
    1点だけ、林委員がおっしゃられた、高等教育に行くのに税金を使って云々というお話ですけれども、収入を伴う職についていらっしゃらない方でも、立派に社会貢献な さっている方はたくさんいらっしゃるので、そういう意味で受け取ったものと社会に貢献しているものを、幅広く見ていく必要があるかなと思います。
    浅地委員
    一つよろしゅうございますか。この資料4の現状と課題のライフステージの3の結婚という中に、最近は大分離婚というのも出てきて、結構問題になっているんじゃない かと思うんですが、今回とは思いませんが、どこかで少し触れていただいた方がよろしいかと思います。
    大澤会長
    そうですね。先ほどのハッピーな専業主婦ですけれども、夫が病気で倒れて収入がなくなったとき以上に悲惨なのが離婚で、これは全くセーフティネットがありません から、検討させていただきたいと思います。
     それでは、これで「影響調査専門調査会」の第25回会合を終わります。本日はどうもありがとうございました。

(以上)