第11回男女共同参画会議影響調査専門調査会

  • 日時: 平成14年4月15日(月) 16:00~18:30
  • 場所: 内閣府第3特別会議室
  1. 出席者
    • 大澤 会長
      大沢 委員
      木村 委員
      岡澤 委員
      木村 委員
      小島 委員
      高尾 委員
      永瀬 委員
      林  委員
      福原 委員
  2. 議事
    • (1) 中間報告に向けた議論
  3. 議事内容
    大澤会長
    それでは、ただいまから男女共同参画会議の影響調査専門調査会第11回会合を開催します。
     今日は、前回に引き続いて専門調査会の中間報告について御議論をいただきたいと思います。お配りしている報告書案は、これまでお示ししてきたたたき台に対する調査会での 御意見を踏まえて修正し、図表等をそろえたものです。
     それからまた、表紙のすぐ後にはいわゆる鑑を追加しておりますけれども、こうした基本法などの背景説明が一般向けには必要かと思われますので用意いたしました。
     では、報告書素案について事務局から説明をお願いします。
    事務局
    それでは、中間報告素案とあります資料をお出しいただければと思います。28ページほどの資料でございます。たたき台から大きく変わったところを中心に説明いたしま す。
     基本的にこの調査会での意見を取り入れて、図表編を付けて、それから今まで箇条書きだったのを普通の文章に直すという形にしております。それで今、御紹介がありましたよう に、まず表紙をめくっていただくと鑑がございます。皆様は実態を御存じのことですけれども、一般の方向けにはこういう説明が必要かというようなことでこういうものが入っていると いうことでございます。
     具体的にはまず第1パラグラフでございますけれども、男女共同参画基本法の中の規定として制度・慣行は中立的なものとしなければいけないといった規定があるということにま ず触れて、次の第2パラグラフでございますが、男女共同参画基本計画、ここでは社会制度・慣行の見直しが必要なことですとか、それから影響調査を行うというようなことについ て触れた上で、第3段落目に入りまして男女共同参画会議が13年1月に発足して、それからこの影響調査専門調査会ができて、その影響調査専門調査会ではどういうことをやる のかという役割について述べている形になっております。
     次ページをお開きいただきますと、これは目次でございます。まず前文でございますが結構長くなったので、それぞれ見出しを入れる形にしております。
     それから、その前文に続く部分でございますけれども、大きく2つに分けまして、iの「現状」と、それから次ページで真ん中辺にiiの「施策等の方向」ということになりますけれど も、大きくこの2つに分ける形で表題を付け直しております。
     それで、iの「現状」の2ページ目の方でございますけれども、2の「生涯可処分所得の推計 16ページ」としかございませんが、ワーキングチームの報告は別資料といたしまし て、生涯可処分所得の数字だけを本文で紹介するという形にしております。それから、「施策等の方向」以下は構成には特に大きな変化はございません。
     それで、3枚ほどめくっていただきまして本文の2ページに移っていただければと思います。「家庭と地域社会の変化」という新しいパラグラフを付け加えております。これは御指摘 のありました家庭と地域についても触れるべきだということを踏まえて入れたものでございますけれども、まず最初のパラグラフで何を言っているかといいますと、都市部への人口 の集中と小家族化が起こっていて、これによりまして男性は家庭と地域を顧みる余裕が失われがち、それから女性の方は地域とのつながりが乏しいまま幼い子どもを抱えて地域 社会から孤立するといった問題が生じていること。それを受けて、男性が家庭・地域とのつながりを再構築し、女性は家庭、地域だけにとらわれず職を持って社会とのつながりを求 める選択肢もあり得るという形にしております。
     「中立性確保の意義」は特に変わっておりませんが、3ページ目の次の新しい部分ができておりまして、「中立性確保は家族の結びつきを一層薄弱にし、少子化傾向を促進する か」と、こういう反応が当然予想されますので、その答えもこの前文の中で試みる形にしております。
     まず最初の家族の結び付きを薄弱にするかということへの答えでございますけれども、従来の制度・慣行がかえって家庭への負荷を過重にしているということを挙げております。
     それから、次のパラグラフで少子化傾向を促進するんじゃないかというふうな問への答えを書いているのでございますけれども、先進国間の国際比較によれば、25から34歳の女性の労働力率が高いほど、出生率が高い。
     それからその次にありますけれども、我が国の児童手当や育児サービス供給等の児童支援の水準は低水準にあって、その結果として少子化をもたらしている可能性がある。こ ういうようなことを書いております。
     次の「中間報告の趣旨と内容」は前回から変わりませんで、次ページに移っていただければと思います。ここの冒頭のところに「現状」編のところの要約のような形のものを加え ております。それで、ここにありますように典型的なパターンによって生涯の各段階ごとに現状を見てどういう問題があるかを整理し、特にどういう問題があるかということを挙げる という形にしております。
     これ以降は、基本的に数字がたくさん並べてあったのを極力図表に落として、なるべくこの文章の方では判断といいますか、どういうふうに評価するかというようなことを述べた形 に直しておりまして、大幅な変更はございません。次に「政策等の方向」の基本的な考え方というところに移ります。この最初の「制度・慣行と中立性」、たたき台の段階の2つ目の 段落の後ろの個人単位化の記述を削除し、個人単位化にも若干触れています。
     それから次の(2)の「就業の選択に中立的な税制・社会保障制度へ」でございますけれども、世帯配慮の縮小を含め個人単位化を進めることを基本とすべきであるというふうに シンプルな書き方に変更しております。この「世帯配慮の縮小を含めて」という言葉の意味でございますけれども、税制については既に個人単位化になっているという整理をいたし ましたので、「世帯配慮の縮小を含め」というのは具体的には税制のことを言っているという趣旨でございます。
     それから(3)の雇用システムの変わったところは、「また、実情に沿わない」以下で始まっているところでございまして、雇用システムについても賃金福利制度を世帯単位から個 人単位に改めるべきであるということを付け加える形にしております。
     次のページに移っていただきますと、ここからは改革の具体的方向でございまして「税制」のところは大きな変化はございませんが、ただ、一番最後のパラグラフを付け加えており ます。具体的には、家族手当が政府の税制に合わせて設定されている面があるので、その企業の家族手当等が見直されるためにも税制の見直しが必要だという文章を付け加え ております。
     次に年金についてですが、年金の部分は大幅に書き換えております。まず「公的年金」の基本的考え方について個人単位化を進めることが基本であるという基本的方向を述べ た上で、そこで当面の課題として何があるかといいますと就業調整に象徴される中立性の問題を解決することであり、それからまた世帯単位の選択肢しかない場合には個人単位 の選択肢も導入することが必要と述べております。
     では更に具体的にどうするのかといいますと、まず「就業への中立性」という問題が出てきます。2つの選択肢があり、1つ目の選択肢は通常の労働時間の4分の3以上で就業 し、基礎年金に加え厚生年金も受給する。2つ目の選択肢は、4分の3未満の労働時間で年収130万を超えずに就業するということであり、後者が選択されるケースが多くて中立 性を欠く。それで、そのために改善が必要だという流れになっているのでございます。<1>の選択肢の方の改善として何をするのかということが、イの「厚生年金の選択肢としての改 善」であり、その内容は、適用拡大を行うことが必要だということです。
     ただ、その適用基準となる労働時間や収入の水準は、単にできるだけ低いことが望ましいということです。
     次に、数か月単位の有期雇用契約が繰り返され、結局厚生年金に加入できないケースがあるという指摘がありまして、これに対して適用拡大に際しては制度の運用等の面で必 要な対応をとるべきだとしております。それからまた、複数事業所において短時間就業を行ってる場合は、総賃金に対して本人及び事業主負担が行われる仕組み、ある意味では 事業所単位ではなく個人単位での加入の仕組みとか、そうした仕組みを検討する必要があるだろうとしております。
     それから、改善策のもう一つとして「選択肢としての魅力の増加」がございます。生涯にネットで得る額は大きいので、このことの認識からまず高められるべきである。こうした上 で、自ら負担した保険料ができる限り給付に反映されるようにすることが必要であるとおります。
     次には、先ほど申しました2番目の選択肢の改善案ですが、これが「第3号被保険者制度の見直し」でございまして、まずここでは厚生労働省のいわゆる女性と年金の検討会の 報告書のことについて触れておりまして、その報告書では第3号被保険者については必要な改革が行われることを強く望むと述べていることを紹介しております。
     では具体的に何を言うかというと、本人に直接・間接に何らかの形での負担を求めることを目指す。それで、負担を求めるのであれば負担と給付の関係を明確にして、何らかの 形で厚生年金においても本人が給付を受けることができるようにするという選択肢を設けることも検討すべき。例えば、夫婦の合意した妻分の保険料を、妻の保険料納付の記録に 振り替えることもできるようにするといった方法もある。これはある意味で厚生年金の分割という選択肢を認めることであって、この場合、高齢時の遺族年金が不要となり得るとい うふうにしています。
     それから、議論のありました公的年金にミニマム部分を設けて、それに合う税方式をとるという考え方の紹介でございます。そこは、税方式の導入は給付と負担のリスクを切るこ とになるため、その限りにおいて社会保険における中立性の問題を解消するので、最初から検討の対象から外すことは適切ではない。しかし、その是非や具体的方法等について は当調査会の各委員の間でも様々な意見があり、合意が得られなかったという形にしております。
     それから、次に「離別と公的年金」でございます。離婚した場合、多くの場合、女性の経済的状況は厳しいということを指摘した上で、不本意に婚姻関係を続けるケースが生じる。 一般的に離婚を促進するような制度は望ましくないという考え方もありますけれども、例えば配偶者に暴力などを原因として婚姻継続が困難となるケースもあることは確実なので、 婚姻期間などの条件を厳しくした上で年金分割が可能となるような選択肢について検討すべきであるとしております。
     それから、若年の遺族配偶者に対する遺族年金についても若干触れておりますけれども、その対象となることを希望しない者があると見られることから、第3号被保険者制度の 見直しと合わせて保険料等に差を設けて支給対象とならない選択肢について検討すべきであるというふうにしておりますけれども、いろいろ御議論はあるかもしれません。
     それから「健康保険・介護保険」でございます。これは以前のとおり、整合的な見直しが行われるべきだということなんですが、必要に応じ当調査会でさらなる検討を行うこととした いというふうにしております。
     それから「雇用保険」でございますけれども、保険の給付日数が総じて被保険者であった期間に応じて長くなる。これが結果として女性に不利になるのではないかと指摘していま す。それから、女性への教育訓練給付が手薄なのではないかと指摘し、これに関しては必要に応じ、当調査会でさらなる検討を行うこととしたいというふうにしております。
     (3)の「企業の家族手当等」でございますが、家族手当、住宅手当、社宅等もその縮小・廃止をされて基本給に振り替えられていこう。その際、家族手当や税制や社会保障制度 に合わせて設けていないということがほとんどであることから、家族手当の見直しを促す意味からも税制や社会保障制度を見直す必要があるとまとめております。
     それから「雇用システムの将来方向」は、たたき台からは特に大きな変化はございません。若干新しい要素として、「おわりに」の直前として、その際、個人の生き方、働き方など 社会全体の在り方との関わりを考えることも課題であり、そのための環境整備が必要であるということで、当専門調査会としても今後必要に応じてそうした課題と環境整備について 検討していきたいということを加えております。 以上、簡単ではございますが、たたき台から大きく変わったと思われる部分を御紹介させていただきました。
    大澤会長
    ありがとうございました。
     それでは、議論に移ります。議論の進め方は、区切って行いたいと思います。そして、まず目次、全体構成に関して議論をいただき、次に前文、次に1の現状、そして2の施策等の 方向、最後に全体を通じてというふうに区切って進めさせていただきたいと思います。 ところで、素案は各委員に事前にお配りして御意見を事前にいただいております。机の上にこ れまでにいただいた御意見というのは配布されております。それらの意見についてはそれぞれ該当の部分で参照させていただくことにして、それから今回加わった鑑、2枚目でござ いますけれども、これについては最後の全体を通しての議論の中で御意見をいただければと思います。
     そこでまず全体構成、目次についての御質問や御意見をちょうだいしたいと思います。既に御説明の中で前文が前文というにはやや長くなってきたということがございまして。
    坂東局長
    序とか序説の方がいいですか。
    大澤会長
    そうですね。調査の背景と趣旨というような感じになるのかなと思います。背景の方が先に出てくるんですが。前文というのはもう論外だと思うんですけれども、序説と いうぐらいの感じなんですかね。それで、副題に本調査の趣旨と背景とかというような感じかなと思うんですが。
    坂東局長
    序説(本調査の趣旨と背景)ですか。
    大澤会長
    それでいかがでしょうか。モデルケースワーキングチームの中間的作業報告を資料という形で本文から抜いたこともあって、「現状」と「施策等の方向」と、つまり傾向 と対策という大きな2本の構成になりましたので、すっきりした感じはあると思います。それで、現状の中というのが生涯の段階ごとに見ていった部分と、それから生涯可処分所得の 推計というふうになりまして、要するにこれは生涯で見ての損得勘定というんでしょうか、段階ごとに見ていって最後に生涯可処分所得という形でまとめるというふうな意味でも、読 みやすいものになっているのではないかという気がします。
     ただ、このワーキングチームの中間的作業報告というのは、資料という形で本文から外すと、これは図表編に入るようになるんでしょうか。そうすると、何か資料編というふうにし た方がいいですか。
    坂東局長
    恐らく資料と図表は別立てで、これはそれなりに独立したものとしてこの本文、図表、資料になると思います。
    大澤会長
    そうですね。目次についての御意見はいかがでしょうか。
     では、また議論をしていった結果として後で全体構成を考えるということも出てくるかもしれません。その時点でということにいたしまして、次に今、序説と改めた「前文」についての 御意見や御質問をお願いします。
    高尾委員
    序説の中で「家庭と地域社会の変化」ということとか、「中立性確保は家族の結びつきを一層薄弱にし、少子化傾向を促進するか」辺りを入れていただいたので、私た ちは非常に納得できるものなんですが、2ページの「家庭と地域社会の変化」の2行目のところで「主婦の家庭運営への負荷を過重にするとともに」という文章があるんですが、こ れを負荷ではなくて負荷感というような感じにしていただければと思います。
     つまり、実際は家庭の省力化は進んでおりますし、少子化も進んでおりますし、いろいろな調査を見ても家事時間が増えたりとか、育児時間が増えたりはしていないんじゃないか と思うんです。それよりも別のデータで語られているのは、10年たっても男性の家庭参画が全然進まないがために、非常に……。
    坂東局長
    負担感ですね。
    高尾委員
    そうですね。非常に心理的なものだと思うんです。3ページにも同じ文章がありますので、そこを負担感にしていただければと思います。
    大澤会長
    「家庭運営への」じゃなくて「家庭運営の」ですね。
     この同じ部分なんですけれども、2段落目の「1990年代に入り」と始まっている段落の下から5行目で、「これらに対応するための選択として」で始まっている文章は結びが「求め る選択肢もありえるのではなかろうか」となっていまして、選択として選択肢もあり得るというのは重複感があります。例えば「これらに対応する上で」とかにして、そしてこの「求め る」と「選択肢」の間に「という」とでも入れたらすっきりするかなと。
    坂東局長
    「これらに対応するために」ですか。
    大澤会長
    「ために」というか「上で」というくらいでちょっとぼかして。「対応する上で」とやって「ための選択として」というのは切るんです。それで、「求める選択肢」の間に「とい う」と入れて「求めるという選択肢」とする。
     それで、全体を通じてなんですけれども、抽象的なものが主語になって何々させるという表現が割と多いんですね。これは書き手の書き癖とか、英語の影響とかいろいろあるんで すけれども、そういう更に細かいレベルでのというか、読者にとって読みやすくするというレベルでの修文は後で考えていきたいと思っております。
     次に、同じ2ページの下から5行目なんですが、「家庭の所得全体の増大に繋がる」と、確かにこれはそうなんですけれども、例えば家計の総収入とか、所得全体という言い方は どうでしょうか。
    坂東局長
    全体としての世帯所得の増大にと。
    福原委員
    ちょっと気になるのが、すべてを個人化して考えようということをあちこちで述べているわけですね。それで、ここだけで家庭の所得が増えるということはいいことだとい うようなことを言っているのはちょっと自己矛盾みたいなところがあるんですね。それはどのように解決したらいいんでしょうか。簡単に言えば、夫婦合算で所得が増大する可能性 があるというようなことだったらいいと思うんです。また、ここで家庭を持ち出すというのは、別に家庭を崩壊させることが目的じゃないんですけれども、後で各論で言っていることと ちょっと……。
    坂東局長
    家庭というよりもっとニュートラルな表現にした方がいいだろうと思います。合計の所得が増大するという言い方の方がよいということですね。
    大澤会長
    夫婦と言うと夫婦単位みたいだから、合計の所得ですね。2人が働くということで、この2人というのも夫婦とは言っていないわけですから、結果として所得合計の増大 につながるとかというふうに言えばよろしいですね。現実的には夫がもう少し家庭回帰、地域回帰をすると夫の所得が減るかもしれないけれども、ただ妻が働くことで合計すれば増 えるというケースも十分考えられるわけですよね。だから、やはり合計のことを言うのは必要ではあろうと思います。
    坂東局長
    それから、リスク分散などというのも個人単位なんだから全部そのリスクは1人で背負えという考え方もあり得るんでしょうけれども、一応はどちらかで支えるというこ とですね。
    大澤会長
    次に3ページなんですけれども、下から7行目で「モデルケースによる作業結果の報告をまとめている」。これは本文から外したということからすると、報告を紹介して いるとかというふうにするのか。本文から外したからこれは「更に」から「まとめている」までのこの文章が要らなくなるのか。
    木村委員
    私もこの「中間報告の趣旨と内容」のところが一番重要だと思うんです。だから、まず更にこうした結果を踏まえてという表現をするよりは、第1に何をした、第2に何を する、第3に何をすると、それぐらいで箇条書きで切れのいい文章でまとめる方がいいのではないかと思います。明らかにしているんだったら、何々を明らかにするとかですね。
    大澤会長
    ですから、序説は改善された目次に即して、第1に生涯の段階ごとに見た税制・社会保障制度・雇用システムの現状を整理し、どのような問題点が生じているかを明 らかにしている。第2にというか、その生涯可処分所得の推計をしたと。大きい2には施策等の方向が云々と、それで今の「更に」から「まとめている」のところは本文から外したので 要らなくなる。目次に即してここは後の構成を述べるというふうにしましょう。いかがでしょうか。
    高尾委員
    「女性のライフスタイルの選択等に中立的な」というふうにあるんですが、これはやはり女性なんでしょうか。男女ということはないんでしょうか。
    大澤会長
    この報告書の中間報告のタイトルというのが「ライフスタイルの選択と税制・社会保障制度・雇用システム」で「女性の」というのが入っていないんです。じつは事務局 と私が相談しまして、「女性の」と付いていたのを外していただきました。ただ、所々に入れた方がいいかなというのは、鑑にも書いたんですが、課された任務としては女性の就業を 始めとするライフスタイルの選択に関わりを持つというようなことで、基本計画に女性の就業を始めとするというふうに書かれている部分もあります。それは時々触れた方がいいの かなという感じなんです。全体としてはむしろ女性、女性と集中するよりはジェンダーという方に、男女の在り方というふうにいただいた御議論で微妙にシフトしたと思うんです。
    坂東局長
    表題からは女性を取った方がずっといいと思うんですけれども、本来の……。
    大澤会長
    課された任務ということからして「女性の」というのは所々に入れてあるという感じなんです。
    高尾委員
    わかりました。意図的に所々が女性になっているということですね。
    大澤会長
    では、次に4ページから17ページまでの「i.現状」について御質問や御意見をお願いいたします。なお、この箇所では既に13ページの部分について林委員から御意 見をいただいております。ただ、順番として4ページから13ページまでの間に御質問や御意見があればそちらを先にと思います。
    大沢委員
    5ページの「税制・社会保障制度との関係」のところでパート、アルバイトの雇用保険の加入状況で、加入しているケースがほとんどと見られるというふうに書いてあり ますが、これは数字でもう既に示されているんでしょうか。
    事務局
    これは特に数字があるわけではございませんで、最初に新規学卒で就職した場合には恐らくパートタイマーのような状況にはなっておらずに雇用保険について加入して いるのではないかということで書いているのでございますが。
    大沢委員
    わかりました。就業の初めの段階ということですね。
    大澤会長
    4ページに戻って図表の5というのが出てくる部分なんですね。図表の5-1と5-2をごらんいただきたいんですけれども、まず、少なくとも図表の5-1に対応する もので男性のデータも欲しいというのが、私が読んでみた感想です。それから、5-2と5-1というのが表章の仕方を工夫していただけないか。男性のデータは5-2のように細か く見なくても、5-1に対応するものがあれば比較できるという感じです。
     それから、図表の6というのが下から4行目に出てきますが、このちょっと上に「男女間の賃金間には大きな格差が存在する」と、「男女の賃金間には」とするか「男女間の賃金に は」とするか、「賃金」の後ろの「間」を取るというのでいいのではないかと思います。
     次に8ページなんですが、図表の14というのがあって、それで「なお」となって、要するに自発パートなのか非自発的パートなのかということなんですが、「なお」以下の90年の 63.9%、95年の55.0%というのはたしか私が提供した数字ではないかとは思うんですけれども、図表の14を見ますと「自分の都合のよい時間に働きたいから」aパート64.8、95年 度はパート55.8とちょっと数字がここは合っていないので後で合わせたいと思います。
     次に9ページで図表16というのが括弧で出てくる近くですが、配偶者特別控除の適用を受けている者は給与所得者のうち年末調整の対象となるもので1,143万人、これは高尾委 員の御指摘で1,150万人ではないかというのがございましたので、43でなく50としてください。
    永瀬委員
    4ページについて伺いたいんですけれども、就職が特に女性の方が困難であるというようなことはどこにも記述はしないんでしょうか。
    大澤会長
    それは、データとしては学校基本調査とか使って就職率を見られますよね。バブルのときは例えば4大卒で女性の方が就職率は高かったけれども、その後は低下し ているというような事実はあるわけですね。
    坂東局長
    これは本当の実態を評価するほどのデータではなかったと思います。やや就職率は減ってはいるけれども、実態としてはもっともっと難しいわけですよね。
    大澤会長
    ただ、それは雇用動向調査の新規学卒者の入職でわかるので、実際に卒業して就職できたかどうかというのは学校基本調査などだと思います。
    坂東局長
    それは有業、無業、進学に分かれています。
    大澤会長
    それをこの「<1>雇用・処遇の現状」で社会に出る最初の選択肢に直面する。そのとき既に男女の格差があるというようなことで、新卒就職率にはというふうにして高 校、短大、4大というふうに入れますか。
    永瀬委員
    今、就職が女性は入職時からして大変厳しいので、ここですとほとんど差がないというような書き方にしてありますけれども、入職は8割とフルタイムでの参入が典型 であって男女の差は余りないというようなことが書いてあるので、この辺では触れた方がよろしいのではないかと。
    大澤会長
    労働力率で見ると男女差は余りないんですけれども、実際に卒業で就職できたかどうかということで見れば差は出てくるわけですから、その程度のことはやはり書い た方がよろしいでしょうね。
    永瀬委員
    若い層の契約社員とか派遣社員で見ると、非自発的なものが増えているのがデータを見れば大変明らかです。
    坂東局長
    それはどういうデータですか。
    永瀬委員
    東京都の派遣の調査ですと、何年か見ると非自発的な派遣社員が増えている。あとは契約社員はパートタイム研究会でやった調査でも見ますと、契約社員等でもな れないでなったという人は高いですね。
    坂東局長
    実態はあると思いますけれども。
    大澤会長
    その意味でも、図表の5-1に男性のデータも加えて新規学卒入職というので一般なのかパートなのかという男女差を見せることが大事ですし、それから卒業という 時点で学校の側から見て就職できたか、できないでいるかというようなことも簡単に付け加えるといいですね。
    永瀬委員
    あとは、結婚を契機に退職した女性が増加したか減少したかは不明であるとありますけれども、これは出生動向基本調査などを見ると結婚を契機に退職している女性は減少傾向にはあるというふうに理解しております。
     そして、7ページのところでその就業継続を知って出産した女性労働者の占める育児休業の取得者の割合は56.4%というふうに出ていますけれども、出産者に占める育児休業 給付を得ているものの割合というのは5%ぐらいですので、それをどこかに。
     6ページのところに「退職するケース」と書いてありまして、職場で妊娠・出産した女性のうち、妊娠・出産事由によって仕事を辞める人は減少しているというふうに書いてあります けれども、図表10は出産時に企業に籍を置いている人で見たものだろうと思いますので、むしろここの出産の理由として無職になる人は増加傾向にあるというふうに私は見ていま す。ですから、結婚を理由に退職している人は減少しているけれども、出産を契機に退職している人は増加傾向にあって、育児休業給付を受けている人というのは5%程度にしか すぎない。
    大澤会長
    それはデータはどういうものがあるんですか。
    永瀬委員
    データは、育児休業給付は雇用保険の方にありますし、それから出生動向基本調査等から個人ベースで取得状況を無業者を含めて見られます。それから、就業構 造基本調査で見てもやはり子どものいる人の労働力率は時系列でみて一つも上がっていないことは出ています。
    大澤会長
    この図表13というのはどういうふうに読めばいいんでしょうか。
    永瀬委員
    図表13というのは、出産したときに企業に籍がある人で、産休明けに復帰しない人の割合と見るべきものです。ですから、45%は産休明け復帰している。56%は育休 を取って復帰している。そういう意味では、産休明け復帰は減って育休復帰が増えているということですけれども、それは出産する女性の母数全体に占める56%が育休を取ってい るのではなくて、出産する女性母数全体に占める割合で見れば5%程度しか育休は取っていません。ですから、サンプルとしてはかなり偏ったところを見ているということです。
    林委員
    その5%というのは何の調査なんですか。
    永瀬委員
    それは、育児休業を取った人は厚生年金の保険料免除を受けますよね。それで、出産数を分母、保険料免除者を分子にしたものです。これは女性と年金検討会の 資料の中に一つ載っておりますので。
    大澤会長
    出産数というのは全出産数ですか。
    永瀬委員
    その年の全出産数に占める、その年の育児休業給付を受けた人の割合です。
    林委員
    全雇用者ですか。
    永瀬委員
    無業者も全部含めた全出産者に占める割合で見ると、5%しか育休は受けていない。だから、95%は産休明け復帰か、もしくはもともと無業だった人なんです。産休 明けで復帰する人と育休の割合を見ると、ここで示されているように育休の方が若干増えているわけですから、就業継続する人に占める育休取得者の割合というのは増加傾向に あるのは全く事実なんです。けれども、出産する人の割合全体で見ると非常に少ない割合であって、出産する人のかなりの部分というのはまず第1段階として結婚を機に離職し て、第2段階として出産前あるいは妊娠中あるいはその辺で離職している。大体私が理解している範囲ですと、結婚を超えると妊娠までは大体勤めるけれども、妊娠の途中で辞め たりする人がかなりいる。
    林委員
    5%というのは、その数字は無業の人も全部入れたものでは若干問題ありという感じがしますね。
    大澤会長
    ですから、7ページの記述に戻ります。図表13というものの前の「出産した女性労働者に占める育児休業取得者の割合」と、これは女性労働者と付いていまして出産 したというのが付いているから、その限りではこの記述というのは誤りではないわけですね。
    坂東局長
    厚生労働省などでもよく育休の取得率56%という言い方をしていますから。
    大澤会長
    ただ、その場合に有期雇用契約の人というのは最初から入っていないんじゃないかと思うんです。だって、育休を取れないんですから。
    坂東局長
    権利のある人のうち、取った人はということですか。
    大澤会長
    そういうことだと思うんです。だから、それがわかるようにそこのところは書いておけばいいんじゃないかと思うんです。
    永瀬委員
    退職するケースはやはり非常に多いということを、6ページのところでどこかに記述していただきたいと思います。
    大澤会長
    なお書きで、育児休業制度は有期雇用者に適用されていないと書いてはあるんですが、出産した女性労働者というのはそもそも有期雇用者を含んでいないというよう なことは入っていた方が、そうでないと働いていて出産した人で半数以上が育休を取れているんだというふうに。
    大沢委員
    そうですね。ちょっとこのデータは誤解を招くと思いますので、まだ環境整備が整っていないというのが事実だと私もほかの研究から思いますし、永瀬さんがおっしゃっ たように出産と結婚の中間ぐらいで辞めている人もいるし、その前で辞めている人もかなり多いので、もしそのデータがあれば含めたらいいかなと思います。
    大澤会長
    13ページまでの間にほかになければ、ここに林委員から御意見をデータ付きでいただいておりますので。
    木村委員
    5ページの<2>のところで「就業及びそれから暫くの間の、税制・社会保障制度との関係をみる」という言葉がありますが、これはわかりにくい表現なので書き換えた方 がいいのではないかと思います。
     というのは、図表8は非常に面白いんですけれども、これはあくまでも一時点の年齢階級を見たものですよね。だから、「就業及びそれから暫くの間」という意味がよくわからなく て、年齢階級の方がわかりやすくなるんじゃないですか。「就業及びそれから暫くの間」というのは、就業というのは20歳前後にするんだという思い込みから始めた文章じゃないで すか。
    大澤会長
    そうしますと、平均初婚年齢が27.0歳というのがその次の結婚というところにくるので、20代半ばぐらいまでのというふうにしたらいいですかね。
    木村委員
    ずっとあるグループを追っていったわけじゃないですよね。
    坂東局長
    ライフステージごとにこれは記述しているので、これは卒業、就職から結婚までのライフステージなんですよね。
    大澤会長
    一応そうです。
    木村委員
    だから、図表8とタイアップさせるんだったら……。
    坂東局長
    単純に20代前半という感じですか。
    木村委員
    後でまたメモを渡して考えてみます。
    大澤会長
    半ばくらいまでのという感じですよね。というのは、厚生年金被保険者比率は25から29の方が高いですから。
    高尾委員
    8ページでさっきも座長が触れられた部分で図表14ですが、この中では女性に対してなぜパートタイマーとなったかというふうに聞いているわけですよね。それに対す る図表が14で、これは女性パートタイマーだけに関する調査ですか。
    大澤会長
    違います。男性も入っています。
    高尾委員
    その辺は女性だけのものにする必要はないんでしょうか。男性が入っていてもいいんでしょうか。
    事務局
    この統計は男性と女性が分かれて計上されていまして、ここで女性だけ取っています。
    大澤会長
    それで数字がちょっとずれたんですね。わかりました。
    木村委員
    8ページの「税制」のところですけれども、ここでの主な議論は女性のライフスタイルへの中立性ということで配偶者控除、配偶者関係に非常にポイントを置いてきまし たが、シングルの女性にとれば親に扶養されている場合に扶養控除とか、それから健康保険でいいますと被扶養者に該当するかどうかというのは、私はこれは大きなところだと 思っておりますので、中間報告の時点で載せるかどうかは別にしましても、私の個人的な意見としてはそういった問題意識の下に扶養控除についても書いておく方がいいと思って おります。成人した、働く年齢にある親に扶養されている人たちに対する中立性がどうかという観点からは要るのではないかと思います。
    大澤会長
    そうすると、4ページぐらいに戻って入職しなかった人はどうしているのか。親に扶養されていると社会保険も親の傘の中に入っているし、それから税制でも配慮され ているというようなことを書くということですかね。
    木村委員
    後につなげられたらよろしいかと思います。
    永瀬委員
    それに関連して、5ページでフルタイムで未婚者が多いことから比較的少ないと書いてありますけれども、既婚女性ほどは多くないですが、今おっしゃられたように扶 養の範囲内で働くと健康保険とかいろいろなメリットがあるので、相対的には少ないと思いますが、やはりあるのは事実だろうというふうに理解しています。
    大澤会長
    そこは比較的少ないと見られるですから、ないとは言っていないので。
    坂東局長
    個別のデータを全部丁寧にやり過ぎると、女性の典型的なライフスタイルにどういう影響を与えているかということがぼけてしまうので。
    永瀬委員
    今の木村委員のおっしゃったようなことを焦点にするんだったら、やはりここもそれはあるという議論じゃないかと思います。
    木村委員
    私はそのグループが大きいか小さいかという問題と、あとは結局ここは就労に対して中立的かどうかという観点から言えば、一番大きいグループは当然第三号被保 険者グループだけれども、あとはこれからも増えると目されている未婚者で親に扶養されているグループというのは無視できないという意見なんです。
    大澤会長
    いわゆるパラサイトシングルですけれども、これは少子化問題とも連動するのでちょっと触れておいた方がいいかなという。
    事務局
    男女となると、最近若い人に関してフリーターの男性も結構いるのではないか。
    木村委員
    その橋渡しをしてくださればと思います。
    大沢委員
    8ページの最初の段落でしょうか、図表14の後で「なお、「自分の都合のよい時間に働けるから」とする者は」というふうにありますが、この「なお」は「しかし」じゃだめ でしょうか。
    大澤会長
    これは数字を図表14の方に合わせて、しかも図表14という括弧は文末に入れて、「なお」でなく「しかし」というふうに。
    大沢委員
    そんな感じでちょっと関連を付けていただけるとありがたいと思います。
    大澤会長
    よろしいようでしたら、13ページの林委員の御意見のところなんですけれども。
    林委員
    13ページの「全体評価」というところで、図表の22というのが載っております。27ページですが、これを見ますと一番高い山が90万から100万のところにきているというの で、パートタイム労働者の収入の分布はその辺にあるんだなというのが使われて、130万のところにはきていないという表にはなっているんですね。それで、私がこの時間単価がど うなっているかというグラフを付けてみてほしいというふうにお願いしたのは、これで見ますと大体1,000円ぐらいのところが山になっているんです。それで、一般的にパートで1,000 円と言えば結構いいじゃないというふうに言われてしまうことがあるんです。それが、1,000円で1,000時間働いてやっと100万円なんだということがここのグラフと重ねれば見えてく るわけですね。1,000時間働いて100万円というのは決して高くないなというのが今度逆に見えてくるというふうな趣旨もありまして、それをわかるようにするためにここに何か並べて 若干の解説を付けた方がいいのかなと思ったんです。
     というのは、我々の労働組合の中でも1,000円と言えば高いなと言うんだけれども、では1,800時間程度働けば年収どれくらいかと言えば180万でしかないということで、やっとその 処遇の低さに気が付くというようなことがありますので、合わせて載せてもらったらどうかと思ったわけです。
    大澤会長
    その御指摘をもう少し深く生かすとすれば、就業時間と収入の調整だけではなくて、賃金率の引上げに対して消極的な傾向があるというようなことを入れたらいいんで すかね。それは現にあると言われております。だから、賃上げすると言われても、言われた本人が余り喜ばない。突破しちゃう。
    林委員
    だから、同じようにそれで生計を立てようとする人は10円でも高くしてほしいと思っている一方で、この山を越えたくないという人たちが時間単価が上がることに否定的で あるという状況です。
    大澤会長
    就業時間だけではなくて、賃金率の引上げに対しても消極的というのをどこかに入れるとしたらどこでしょう。パートが出てくるのはライフステージで7ページの最終行 が、そういう意味では最初でしたか。むしろパートの賃金率という表が出てくるのは4ページから5ページにかけてなんですね。でも、年収だけではなくて賃金調整という言葉が5 ページのところで既に入っているわけですね。ここでは調整していないと言っているわけだから、やはり最初に出てくるという意味では7ページから8ページにかけてですね。
     それで、8ページの<2>のところに「年収や労働時間が一定の水準を超えないように調整するという現象が起きている」というふうに書いてありますが、ここは「賃金・年収」というふ うにしていただけると、その上で13ページのところに年収の山だけではなくて賃金率の山というのもくればわかりやすいですね。
    坂東局長
    ここでもしもう一歩踏み込むとしたら、労働時間調整をその扶養範囲内に収めるという形で行われているけれども、全体としてはパートの方たちの賃金水準は非常に 低いという部分についてはコメントしなくていいですか。
    大澤会長
    これは年収・労働時間調整問題となっていますけれども、賃金・年収・労働時間というふうにして。
    坂東局長
    それには4ページの最初の格差のところでこの部分をコメントしておいた方がいいのではないでしょうか。時間調整ないし年収調整だけの話ではなしに、やはり厳然と してものすごく賃金格差があるというのは、単に特に所定内賃金とだけ比較して7割だ、格差がある。下がったの上がったのと言っていますけれども、総収入で比較すれば労働時 間かける賃金の総収入だとものすごく格差があるわけですが、これだとぼけてしまう。6割だ7割だなどと言っていますけれども、総収入で比較すると6倍、7倍違うわけです。
    林委員
    これは結果的に両方のグラフのところから均等待遇の必要性みたいなものが出てくるんですけれども、どうするかという問題になればですね。
    坂東局長
    賃金格差というのは時間当たり賃金ばかり格差を問題にされるんですけれども、トータルの方がずっと格差が大きいじゃないかという問題意識を持っていまして、昨年 の白書でも税調の民間給与の実態調査を使ったんです。その方が問題として女性の所得力、稼得力が低いんだというのがはっきり出てくるんじゃないかなと思うんですが。
    福原委員
    生涯賃金という意味ですか。
    坂東局長
    生涯でも年収でも、要するに女の人は稼げないんだ、稼いでいないんだと。格差じゃなくてですね。
    大澤会長
    それは最後の生涯可処分所得のところに出てきますので。
    坂東局長
    そこに反映してくるんですけれども、何となくここのところがどうも賃金格差で6割だ7割だと言っているとちょっと違うんだけれどもなという気がするんです。
    大澤会長
    一番格差が小さく出るデータで比べているということですから、格差を過大に見せるような比較を私たちはしていないということですね。
    坂東局長
    現実を反映しないで一番そうでなく見えるような。
    大澤会長
    どちらの誤りをおかすかと言えば、過少評価の誤りの方になるようにちゃんとやっているということなんですけれども。
     さて、今の賃金率の引上げに対して消極的な傾向があるのではないかというのは、やはり入れるとすれば、私は8ページの<2>のところだと思います。ここに賃金、年収、労働時間 というふうに入れて、それで文章の中にも、女性労働者の間に賃金や年収や労働時間が一定の水準を超えないように調整するという現象が起きていると、書けばよろしいのではな いかと思うんです。
     それで、上に女性のパートとフルの格差の拡大傾向が見られるというのがありますから、女性のパートタイムとフルタイムの間の格差の拡大傾向は、パートタイム労働者において 賃金率の引上げに消極的な傾向が存在することと無縁ではないだろうとか書けばつながるんじゃないかと思うんですけれども、そんな感じでどうですか。それで、この13ページの ところに賃金率が出てくると、割と構成としてよくなるんじゃないかという気がいたしますが。
     ここの13ページの最後の段落なんですけれども、「しかし」というので始まるのはちょっとつながりが悪いような気がするんです。「税制は影響しているが、社会保障制度は影響し ていないことを示唆する」。その次は、配偶者控除や配偶者特別控除を意識している事実はあると言っているんですから、だから税制は影響していると、ここは逆説じゃなくて順説 のつながりだと思うんです。だから、「しかし」は取った方がいいかなと。
    木村委員
    でも、130万の山がなくなるのは、先に100万の山で切られちゃうんだから、当然なんじゃないですか。だから、それで社会保障制度に影響しないなんていうのはちょっ とおかしいじゃないですか。
    永瀬委員
    ここでわざわざこういうふうに影響していないと言う必要があるのかどうか。
    大沢委員
    むしろ全体のシステムとしてここら辺近辺に壁のあることが問題だから。
    木村委員
    だから、税制がもし180万円になったら130万円のところで一番初めにみんな振るわれるわけだから。
    林委員
    就労調整の結果として税制には大きく影響しているということと、合わせて当然ながら社会保障へもその結果影響が表れるという方が普通かもしれないですね。
    木村委員
    社会保障制度は影響していないというのは、130万の壁をなくすのに反対の人たちが言っているので。
    大澤会長
    130万円近辺に山はないというのも言う必要はないですか。100万円の手前に山ができているので。
    永瀬委員
    ただ、山があるという見方もできます。ちゃんと110から120が落ちて、一番不利なところが落ちて130万でまた上がっていますので、山はあるという見方もできるんで すよね。
    大澤会長
    小さいけれども、山にはなっているんですね。
    木村委員
    130万円で振るわれなかった人が次の山でこけると。
    大澤会長
    では、ここはむしろ100万円の手前に高い山ができており、130万円近辺にも小さな山があるというふうに書いた方がいいんですか。この図表17の下の段の表の読み 方なんですけれども、括弧をしてパーセンテージが付いていますよね。
    事務局
    これは36.7%のうちということです。
    大澤会長
    調整する人の中での、その調整の理由なんですよね。これは複数回答なんですよ。だけど、やはり税制上の控除がなくなると言っている人は圧倒的に多いわけです よね。
    木村委員
    これは健康保険の方も、これは未婚の女子もあるんでしょう。
    大澤会長
    パートですから未婚の人はそんなにいないとしても、健康保険の加入義務が生じるというのも出てきているから、ここはやはり高い山が100万円の手前にあって、130 万円の手前にもう一つ小さな山があって、税制が影響していることはもとより社会保障制度も影響していることを示唆するとした方が……。
    大沢委員
    示唆するの方がいいと思います。
    木村委員
    示唆は弱い。
    大沢委員
    だけど、アナウンスメント効果の方が大きくて、制度をちゃんと理解している人は少ないところがあるということですよね。それをおっしゃっているんだと思うんです。だ から、そこで示唆すると。だから、まだ本当に女性が調整するのか、そういうものがあるよというのを聞いて需要側と供給側の両方でそこに合意点を得ているのかというところがわ からないので。
    木村委員
    それは税制の方のことをおっしゃっているんじゃないんですか。
    大沢委員
    その方で言っているんですけれども、違いますか。
    木村委員
    税制の方で誤解に基づくとか、いろいろな議論がありますけれども、それは8割ではっきりしているんですよね。それで今、問題になっている健康保険の方は、あれは 別に誤解も何もなくて130万というのがはっきりあって、それで4割ぐらいがやはり加入義務が生じるから調整すると言っているんですよね。それで、社会保障については書いてい いと。前に話しましたように、今度の国民生活白書でも誤解に基づくと書いてあったけれども、あれは必ずしも誤解じゃないかもしれない。だって、調べてみたら企業が103万のところ でパートは入りますか入らないですかとやっているという事実があるんだから、全部じゃないとしても。
    大沢委員
    誤解かどうかは別にしても、そこに壁がつくられている要因が何か。供給要因か、需要要因かというのは両方あるよということを言いたかっただけですが、どういうふう に書きましょうか。
    大澤会長
    示唆するでは弱いですか。
    大沢委員
    私は示すでもいいですが。
    木村委員
    示唆というのはやはりインプリシットにほのめかすという意味だから。
    大澤会長
    この後まだシミュレーション研究をやらなければいけない永瀬さんとしてはどうですか。ここで示しているというふうに書いちゃうと、もうシミュレーションをやらなくてもい いというようなことには……。
    永瀬委員
    十分示していると思います。
    大澤会長
    では、ここで図表17をもう一度リファーしてください。
    福原委員
    130万というのは障害になっていることは確かなんだけれども、小さな山があると言ってしまっていいですか。山はあり得るんだけれども、あるというほどのデータと言 えるかどうか。
    永瀬委員
    私自身がものさし研のデータを集計しますとものすごい調整がありますよ。まず103万ぴったりでおどろくほど大きい山があります。100万でも山があるんですが、ピッ タリ103万で山がある。そして、その次にちゃんと130万で山があります。こちらは小さな山ですけれども。
    福原委員
    だけど、非常に小さな山じゃないんですか。そうでもないですか。
    永瀬委員
    この図とかなり似ている形です。
    大澤会長
    統計的な検定をして山だと言えるわけですか。
    福原委員
    だから、障害になっていることは間違いないと思うんです。だけど、山と言っていいのかどうかです。
    大澤会長
    誤差の範囲だという反論はあり得るから、小さな山と言い切れるかどうかということなんです。
    永瀬委員
    もう一度見てみますけれども、余りにきれいだったので驚きまして、それが100万でもなくて103万で、100から103万のところにすっとあって、それで次に130万です。そ れで、その103万から130万の間にすごい落ち込みがあって、そして130万で小さな山がもう一度ちゃんとできるんです。
    福原委員
    ただ、その山といった場合に、その山というのは10分の1の山なのか、3分の1の山なのか。
    永瀬委員
    2つ目の山はもっとずっと低いです。だから、大体図はこれに似ていますけれども。
    福原委員
    ということは、第2の山は有意検定できるかということです。
    大澤会長
    私が言っているのは、誤差の範囲だろうという反論に対して統計的に検定できるのかということです。
    永瀬委員
    ものさし研のものは個票を使った結果で、公表されているのはそこまで出ていないですが、きれいだなと思いました。
    福原委員
    そうなんですけれども、それはわかるんです。
    大澤会長
    福原委員がおっしゃっているのは、ちゃんと検定しないと誤差の範囲だよという反論があり得ますよということです。
    永瀬委員
    わかりました。では、検討して検定してみます。
    林委員
    110万と120万がちょっと下がっているから言っているだけで、もしこのわずかに下がっているのが下がっていなかったとしたら山とは言えないかもしれないですね。その 問題だと思います。だから、当然100万円の山でもほとんど落ちちゃっているわけで、両方ともアウトになっているわけですよね。その山の話は一つすれば十分に足りると思いま す。
    福原委員
    100万の山と130万の山とは性格の違う山なものですからね。
    大澤会長
    これが山なのか山でないのかで書きぶりが違ってきますので、私としては検定しないと言いたくないということです。
     ここにばかり時間を使っているわけにもいきませんので。
    坂東局長
    中間報告ではコメントしないで100万円の手前に高い山ができているでやめて、130万円近辺には小さな山があるとも、山はないとも何とも言わないのはどうか。
    大澤会長
    検定は本報告までにできればいいわけですから。
    林委員
    したがって、影響していないということを示唆するもやめるんですね。
    大澤会長
    それもやめようと思います。
    福原委員
    しかし、これは将来よく精密に検討していく必要がある問題ですね。
    大澤会長
    次に15ページなんですけれども、図表27にリファーしております。この図表27というのが見にくいですね。32ページなんですけれども、この薄いグレーの例えば15歳 から64歳・男というのは一体何を指しているんでしょう。高齢者世帯の割合の推移というのがこの図のタイトルで、この16.2とか19.7とか23.8とかというのが65歳以上世帯割合と。こ の世帯数というのが例えば65歳以上女・単身というこの黒いものの意味はわかるんです。しかし、15歳から64歳・男という一番幅の広い、これは何を意味しているのかよくわから ないんですけれども。
    坂東局長
    15歳から64歳の男が世帯主の世帯が2,900万世帯あります。15から64の女世帯主が500万ですと。
    大澤会長
    それは備考をよく読んでみないとわからないので、わかりやすいように改善していただけませんか。
    林委員
    15から64まで書いてあるので、高齢世帯の推移というものでもぴんとこないんですよね。65以上のところだけにすれば割とわかるんだけれども。
    坂東局長
    女世帯も男世界も外して、65歳以上だけで単身か、その他かということだけと。
    大澤会長
    要するに、女性高齢者が1人で暮らす割合が高まっているということが言いたいわけだから、それを端的に示すグラフにしていただければと思います。
    坂東局長
    それで、全体の世帯の中で高齢世帯の割合はその折れ線グラフだけでいいですか。
    大澤会長
    そうですね。16ページを見ていただきたいんですけれども、ちょうど真ん中辺に離婚したくてもできないケースが多々生じ得るというのがあって、これは後ろの方にもま た離婚の話が年金にかかわって出てくるんですけれども、離婚を奨励しているのかと言われたくないですね。後ろの方は、私は不本意な婚姻関係を継続せざるを得ないとかという ふうに直したらどうかと。
    坂東局長
    多々かどうかというのは議論があるでしょうね。
    小島委員
    個人的な好みの問題ですけれども、大きな枠組みみたいなものが付け加わるといいなと思っているところがあります。それは、今50年続く経済の大停滞の中でみん な世の中の関心と実態が過剰雇用とか、正規雇用を減らしてパートとか格差とかにいっていますけれども、生産年齢人口の減少も始まっているわけです。それで、今の就業構造と か人口の少子化がずっと続いた場合、20年後の日本の生産人口、年齢人口はどうなるか。それによって経済、社会がどういう問題を抱えるか。その日本の問題は長期的に見ると 完全にディープオペレーションで減ってしまうわけです。それで、定年の問題もそうですが、男性も女性も取り分け就業の問題である女性の場合はライフステージに応じて能力を十 分に発揮できるような弾力的な就業構造が用意されない等、日本のマクロ的な雇用情勢というか、労働人口状況というのはひどいことになるわけです。急激に減ってきますから。
     それで、今も過去の10年間にとらわれ過ぎて、今は既に始まっている生産年齢人口の減少過程、これが10年先、20年先にどういうインパクトを持つか。もし今の制度のままだと インセンティブが変わらない場合には、制度も変わらない場合は何が起こるかというような警告もできたらなと。そうすると、そういう長い位置付けの中で個々の問題がもう少し真剣 に議論されるべきじゃないかと思います。そういうところは非常に重要で、それぞれの専門家が議論していらっしゃるテーマなわけですが、その位置付けをもう少しダイナミックに長 期的に位置付けられたら、もっとしっかり関心を持ってこの報告書が読まれるんじゃないか。あるいは、この影響調査専門調査会の課題ではなくて全体の課題かもしれません。
     だけど、その重要なところは繰り返しそういうような視点でこの個々の問題を押さえているという門構えをしっかりした方がいいのかもしれないという感じもしましたので。
    大澤会長
    ただいまの御指摘を組み込むとすれば、2ページの下のところです。ここは中立性を確保するとどういうメリットがあるかということを6点にわたって述べているんで す。2ページの下から3行目の<5>ですが、ここに労働力は一国の経済成長を支える基本的な動力であるというふうに書いてあって、そこで選択の幅が拡大すると労働供給の拡大 が起こるというようなことを書いています。ここに生産年齢人口が減少していく現局面にあって、それが労働力人口を増やせるかぎになるというようなことを入れるというのはどうで すか。
     ただ、余りそればかり強調するとまたすべての女性に就業を強制するのかということも言われるので。
    小島委員
    男性、老人にも就業の機会を与えなくちゃいけないんですから、結局みんな冒頭に出てきたジェンダーフリーであり、エイジフリーという話になるわけですね。したがっ て、長いライフステージの中で絶えずインセンティブを確保しながら、その能力がフルに発揮できるような多様な就業形態ということなんでしょうね。
    大澤会長
    ともあれ、労働供給の拡大が起こるということは、生産年齢減少段階に入った現局面で非常に重要なことなんだという点を、ここら辺りでまずぱんと出しておくというこ とですね。
     それでは、一応16ページまできましたが。
    福原委員
    さっきの話に戻るんですが、13ページの「全体的評価」というところの3行目で「130万円近辺には山はない」と言ってしまっているので、それを多少今度は山のある方に……。
    大澤会長
    そこは消すことにいたしました。「100万円の手前に山ができている」で切ることにしました。それで、「社会保障制度は影響していないことを示唆する」というのも切るこ とにしました。
    福原委員
    それから14ページなんですけれども、雇用保険の給付が下の方で、「しかし、女性の被保険者数は男性の被保険者数の半分程度であるのに、受給者数は殆ど同じ であるので、一概に女性に不利とは言えないだろう」というのですが、女性の受給資格の多い人は多いので当然と言えば当然みたいな話で、一概に不利というのはどうなんでしょう かね。不利とはだれももともと言っていないと思うんです。
    大澤会長
    不利となるのではないかという見方があるというのを段落の上の方で紹介しております。それで、そのような御意見は当調査会でも八代さんのヒアリングのときに御指 摘があって、それで少し事務局にも検討していただきました。御指摘があることは事実なので、見た結果はどうであるかというのを書いておいた方がいいかなという感じなんです。
     それでは、iiの17ページから以降のところを御議論いただきたいと思います。
    木村委員
    それでは、20ページの「公的年金」の<1>の4行目からです。当面の課題は、就業調整に象徴される中立性の問題を解決することである。世帯単位の選択しかない場 合は個人単位の選択肢も導入する。現時点では、世帯単位、個人単位のどちらかのみを強制する制度は望ましくないと考えられる。これはどういう意味なんですか。
    坂東局長
    そこは、今は例えば遺族年金なども含めて世帯単位の選択肢しかないんですね。しかし、これからは個人単位の選択肢も導入する。どちらかがそれが選べるような 形が望ましいんじゃないかと。
    木村委員
    これは具体的には何を言っていますか。
    坂東局長
    例えば、遺族年金の権利は放棄するから保険料を少し安くするコースと、しっかり遺族年金まで面倒を見てくれるようなコースを選択できるということがあり得るので はないか。
    木村委員
    オプションの年金をつくりましょうと。そうしたら、世帯単位か個人単位かとするよりは、選択というよりは、そういう家族に対する配慮的なものはオプションにすると。
    坂東局長
    でも、必要な人はいるでしょうから。
    木村委員
    だから、オプションにするという表現の方がわかりやすくないですか。個人単位か、世帯単位か。選択肢も導入する。だって、個人単位化の方向を進めるんでしょう。
    坂東局長
    一概にはそうなかなかいかないんですが。
    木村委員
    現時点での表現方法が同じことを言うにも非常に重要ですよね。だから、オプション形式にするということが1つと、あとは所得の低い人に配慮しつつ40年かけて廃止 するとか、この間ここで話し合ったような、そういうものを具体に入れる方がいいんじゃないんですか。
    坂東局長
    現在では世帯単位と設計されているが、個人単位の選択肢も導入することが必要であるということですか。
    木村委員
    私はこれはかえって混乱させると思います。同じ制度の中に別の制度を導入するというよりは、同じことをおっしゃるんだったら本当にさっきのオプションという表現の 方がわかりやすいと思います。
    大澤会長
    それは、この場で合意できれば書けると思うんです。つまり、世帯配慮の制度についてはオプションにするということがこの場で合意できれば、私は書けると思いま す。
    木村委員
    オプションにする方法もあるし、そのオプションにする仕方だって今の制度よりは来年から年金制度に入る人からやるとか、経過的なことを考慮するというふうに言い まして、合意がありましたね。経過的にするというのはこの委員会で今まで合意したところであると。それで、世帯的な配慮のオプションにするかどうか。合意が必要だったらそれを してもいいんじゃないですか。私は同じことを言うにも表現の問題だと思っているんですけれども。
    林委員
    私はむしろ今の6行のところの一番の基本は最初の2行で、「選択の中立性を確保する手段としては、個人単位化を進めることが基本である」というのが、この影響調 査会の一番大事な点なんですね。そうすると、後ろの4行の中で特に一番最後などの、現時点でこれこれでどちらかを強制する制度は望ましくないと考えられるなどということを書 くことは、基本的な方向に向かって進むことを抑制する力にはなっても、進める力にはならない表現かなという印象は持つんです。
    大澤会長
    この段落を全部削除しても意味は通りますよね。
    林委員
    いいですね。2行だけあってもいいぐらいです。
    木村委員
    だから、経過的には非常に配慮していくんです。
    大澤会長
    それぞれの箇所に入っているんです。
     では、一つの提案として、この段落ごと削除するということですけれども、でも最初に少し予防線を張っておきたいというのであれば書き方を工夫するということです。
    林委員
    実施については段階的にとか、何とかを配慮しながらとかというのを入れるぐらいのものですよね。
    大澤会長
    そうですね。ですから、時々使われる激変緩和のためのさまざまな措置をと。
    木村委員
    「強制する制度は望ましくない」などというのは、これはおかしい。
    大澤会長
    現時点は世帯単位を強制していて、それをやめろというふうに言っているんですから。ちょっと書き方は考えてみますが、一案は全文削除ですが、もう少し書き方を工 夫して少し予防線を張っておくというのもあり得るかと思います。
    大沢委員
    前にコメントをファックスで送ったときに18ページの3)のところなんですけれども、これはこういう制度の中立性を確保すると同時に雇用システムにおいても性差別を 解消することが望ましいということですが、ここに労働形態における差をなくしていくことが重要だというようなことをちょっと入れていただきたいんです。
    大澤会長
    お手元に大沢委員の事前にくださったコメントというのがありまして、その2ページのところに具体的にどういう文章にするかということも御提案いただいています。
    大沢委員
    それで、どのような雇用形態を選択しても不利益を被らないような労働市場の関係を整備することが重要であろうというところで、その後に続けるのですが、もしよ かったら先ほど来パートと正社員の格差の議論が出ていますので、入れていただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
    大澤会長
    今までの議論の流れからして合意できるところなのではないかと思いますが、林委員いかがですか。
     ただ、私は「待遇等の性別格差を解消し」というのは落としたくないような気がするんですけれども。
    大沢委員
    では、それも入れて。
    坂東局長
    そのような雇用形態をとってもというふうにすると。
    大沢委員
    そうですね。入れるのを忘れただけですから。
    大澤会長
    「見直し」というのがまたきますから、「解消し」の次に「見直し」とくると変なので、「解消することはもとより」として、正社員と非正社員といった区分を見直しと続ければ よろしいですか。
     その後、大沢委員には24ページについて御意見を出していただいています。
    大沢委員
    これは小さい点なんですが、正社員と非正社員が置き換えられているということで、もう少し正確に言うと新卒採用とか中途採用のところで置き換えられているので先 ほどから議論があったように、やはり新卒採用とか女性が再就職するときに正社員の仕事がなくなるという現象が起きているというところをちょっと触れていただけたらと思っただけ なんですが。
    大澤会長
    これは、より正確にしていただいたということで、これも御提案のとおりでよろしいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
     ありがとうございます。それから、更に27ページについても大沢委員から御意見をいただいております。
    大沢委員
    この点については、ここでやるべきなのかどうかちょっとわからなかったんですが、一応私の意見だけを申し上げますと、多様な労働形態が表れつつあるがというとこ ろだと思います。27ページの4番なんですが、例えばそこにそういう労働形態をよりポジティブに日本の社会の中で位置付けるために、現状の労働形態の多様化というのは必ずし も多様な選択肢を働く側に提供してきたわけではない。それで、労働形態の多様化が不安定で低賃金の労働を生み出してきたことに留意が必要である。こういった労働形態の多 様化か経営側にとってだけでなく、働く側や生活者にとってもメリットを生むような多様化が望ましい。そのためには現在の正社員、非正社員という区分をなくし、雇用形態の違いで はなく雇用契約の違い、仕事の違いによって賃金が異なる制度に変更し、同じ仕事には同じ賃金が支払われる同一労働同一賃金の原則が適用できるような環境整備が望ましい と、ちょっと勢いに任せて書いてしまったんですが、そういうようなことがちょっと触れられていると、これからエイジレス、ジェンダーフリーの時代になったときにもうちょっとポジティ ブに雇用形態の多様化とライフスタイルの多様化が実現できるのではないかと思いました。
    林委員
    27ページの4の何行目ですか。
    大澤会長
    下から7行目ですが、実は送られた素案には既に多様な労働形態が表れつつあるというセンテンスがあったんですけれども、今日の分にはそこがなくなっています。
    林委員
    それで言うと、私は大沢委員の提案の中で雇用形態の違いではなく、雇用契約の違いや仕事の違いによって賃金が異なる制度に変更し、というところの雇用契約の違 いというところに引っ掛かりを感じるんです。まさに雇用契約の違いが格差を生んでいるわけで、無期と有期の問題ですね。だから、こういうふうに雇用契約の違いというのはここに 入れない方がいいなという気がしますが。
    大澤会長
    「雇用契約の違いではなく」から「変更し」までを削除して、「区分を見直し、同じ仕事には同じ賃金が支払われる」と続けばよろしいでしょうか。
    大沢委員
    その方がわかりやすいと思います。これは何となくイメージを書いたので。ただ、いずれやはりこういうところまで踏み込んだ議論が必要ですね。
    木村委員
    私ももう少しで席を外さなければならないので4点ほど申し上げたいと思います。
     22ページと21ページで、まず22ページの一番初めのパラグラフの下から3行目ですね。「の問題は解消するので」から始まる文章で、最初から検討の対象から外すことは適切 ではないという税方式のことです。この間よりはずっと前進したと思うんですけれども、でもこれは何でこんなに遠慮した書き方をしなければいけないんですか。中立性の問題は解 消するので検討に十分に値するとか、そういう表現にはどうしてできないんですか。私は最初から検討の対象から外すことは適切でないなんて、こんな遠慮した書き方をする必要 はないと思います。だれに遠慮しているのかわかりませんが。
     それから、その次のパラグラフで「例えば、夫婦の合意した妻分の保険料」、これは夫婦の年金分割のところでやっと高齢期の遺族年金が不要となり得るとありますが、高齢期の 遺族年金が不要というのは必ずしも年金の分割とはいつもくっ付いたものではないので、ここだけに遺族年金が不要となり得るというような表現を出してくると、私は一緒にくっ付い たものであるという印象を与えてしまうので、ここの書き方は配慮が要ると思います。どういうふうに書いたらいいかは、私はまた帰ってから考えて自分の意見をまた送ります。 そ れから、その上の一番初めのパラグラフで一つの考え方は云々とあって本人、本人というのが出てくるんですけれども、この本人というのはだれのことなんですか。
    大澤会長
    第3号のことじゃないですか。
    木村委員
    そのときに本人と、こういう表現でいいんですかね。私は本人という、こういう書き方は余り適切じゃないと思っているので、第3号被保険者該当者本人か、そこのとこ ろは考えてみます。
     4番目は選択肢としての魅力の増加とありますけれども、これは簡単に言ったら厚生年金加入の魅力を増加させるということなんでしょう。だから、選択肢と言ったらちょっとわか りにくいかなということです。もっとシンプルな書き方ができないかというのが私の意見です。
    林委員
    ちょっと質問したいんですけれども、22ページのところの今の例えばという例が上から6、7行目までにありまして「夫婦の合意した妻分の保険料を、妻の保険料納付の 記録に振り替えることもできるようにする、といった方法もある」という、この中身なんですけれども、私は厚生年金の自分の立場で考えると、雇用主の方がそんなに雇ってもいな い人の分まで払うかなという疑問があって、雇っている人の賃金の一七%を半分にして労使で負担しているわけなんですよね。それを妻分も合計して払うということは、使用者も妻 分を払わなくちゃいけないわけですよね。本人だけじゃなくて。
    大澤会長
    これはわかりにくい表現なんですけれども、要するに今まで夫名義だけの保険料になっていた報酬比例部分の保険料を、例えば半分は妻の保険料とするということ で、事業者負担分の方は全然関係ないんです。保険料は同じなんです。
    林委員
    保険料は変えないで、名義だけを半分にするということですか。
    大澤会長
    ですから、事業主負担分には何ら変わりはありません。ただし、事業主が負担した分というのも夫本人だけではなくて妻の分というふうになっていくということです。
    坂東局長
    それは明確になるわけで、やはり抵抗はあるかもしれませんね。
    高尾委員
    これはあくまでも夫婦の合意したということですね。
    大澤会長
    だから、半分で合意するか、2割で合意するかはわかりませんけれども。
    林委員
    だけど、幾ら合意したとしても使用者側から見ると、私が使用者だったら何で働いてもいない人の分を負担しなきゃいけないのかと、私は使用者じゃないけれども、そうい う非常に強い疑問が残るんです。
    坂東局長
    実際はそうなんですけれども、カバーされているわけですね。あいまいにされているわけですが、それが白日の下にさらされるだけなんです。
    福原委員
    それは自然だと思いますよ。
    坂東局長
    でも、実態は今はそうなんですよね。
    大澤会長
    要は、全額本人が負担しているというふうに考えていいわけです。ただ、それを使用者は本人に渡さないで払っているというふうに思えば、一七・三五というのは全部 本人が負担しているんだけれども、今は基礎年金のことを省略しますが、それを自分だけの年金、保険料というふうにするか、半分は妻の分というふうにするかというだけのことな ので、働いていない人の分まで事業主が保険料を負担するということにはならないんです。
    私的に分け合いますという感じですね。
    坂東局長
    それも、夫婦の力関係で弱いと……。
    大澤会長
    隣りは5割なのにうちは2割で、やっぱり愛していなかったのねということになるとは思いますけれども。
    福原委員
    実態に合わせて、文章をちょっと直したらどうなんですか。
    永瀬委員
    年金分割というのをもっと前面に出した方がわかりやすくないですか。
    大澤会長
    こういうふうに書いた意味はあるんでしょう。年金当局に聞いてみたんじゃないんですか。
    事務局
    まだなんですが、今、彼らの方で……。
    福原委員
    そういう議論はあったということを言っていただいて、どう書いたらいいかということですね。
    永瀬委員
    私はこれを読んだだけではちょっとわからなかったんですが。
    大澤会長
    年金分割と言ってしまうと給付で分割するのか、保険料で分割しているのか。それとも例えば離婚時の財産分与みたいにいろいろなものを引っくるめて分割する中に 将来の年金受給というのも入れるのか、少なくともこの3通りあり得るので、これは保険料でそもそも分割していくということははっきりさせたいと私は思ったんですけれども。
    高尾委員
    負担の段階で分配していただく方が一番すっきりして。
    大澤会長
    そうですね。後になって計算し直す必要はなくなるわけです。そこは別に離婚しなくても妻名義の年金ができてくるわけですから、これが一番いいと私は思うんですけ れども。
    福原委員
    オランダモデルのところのパートタイマーなんですけれども、これはたしか25時間であってパートタイマーも社会保障をするわけですよね。要するに時間が自由にで きる、あるいは時間を変えられるというだけのことであって、日本で言っているパートタイマーとは違うんですよね。そのことはここへ書かないと、要するにオランダ型にすればいい んだというとオランダ型のパートタイマーを日本型に適用するということになってしまうので。
    林委員
    だから、均等待遇原則が前提にあるとか、相互転換が可能であるとか、労働時間の選択が自己選択になっているとかという前提条件をちょっと書いておいた方がいいか もしれませんね。
    大澤会長
    それは一応書いてあります。さっきの22ページの中ほどの「最初から検討の対象から外すことは適切ではない」。これは「から」「から」と続くから日本語としても余りこ なれていないんですけれども、ここは木村委員の御意見もありましたので、十分検討の対象になり得るというくらい書いていいんじゃないかという気はします。
    福原委員
    そのことはそのこととして、私は26ページのオランダモデルというのは22ページをよく頭に入れて読めばいいけれども、26ページが単独に理解されると変なことになっ てしまうことを言っているわけです。
    大澤会長
    「均等処遇を法律等により原則であるとして確認した」というのが27ページの方に書いてありますので、それは誤解は余りされないのではないかと思ったんですけれど も。
    林委員
    これを前に持ってくる方がいいかもしれないですね。オランダのパートというのはこうなんだというのを先に持ってきておけば、読み間違いはないけれども。
    事務局
    御参考までに、26ページの<1>の方の「第4に」のところにも関連した記述はございます。
    大澤会長
    「第4に、同一労働同一賃金を前提として」というところに書いてありますね。それで、単に労働時間が短いという日本ではこうなっているけれども、オランダは違うみた いなこともここに、オランダと書いていないですけれども。
    林委員
    「欧州の場合」というひとくくりの中に書いてあるんですね。
    福原委員
    そういうふうに読めばそうなんだけれども、どうも……。
    大澤会長
    これを入れ替えることは、可能であった背景というので書いているので。
    坂東局長
    まずオランダはこれこれこうなのでこういうことができたというふうに順序を逆にするとか。
    大沢委員
    まず最初に、日本とは定義が違うというようなことがあるということですよね。
    大澤会長
    では、オランダモデルの2番目の段落のところですかね。「男女の社会への参画の選択肢が広がった」で、「このようなことが可能であった背景には」というふうに出 すということでしょうか。
     22ページに戻っていただきたいんですが、エの「離別と公的年金」です。この1行目が「離婚した場合、多くの場合」と「場合」「場合」が重なるので、「離婚すると多くの場合」という ふうにしていただく。
     それから、その下から6行目なんですが、「婚姻期間などの条件を厳しくした上で、年金分割が可能となるような選択肢について検討すべきである」。年金分割で婚姻期間に応じ たというふうに言っていない人はいないので、「婚姻期間などの条件を厳しくした上で」というのは要らないのではないかと思います。
    永瀬委員
    22ページの第3号被保険者の見直しのところなんですけれども、私は個人単位にするにしても、例えば育児による無業というのはある程度社会年金権として見て いっていいんじゃないかという考え方をずっと持っているんですけれども、その辺を一言入れていただくわけにはいかないでしょうか。夫から年金を分割すればいいというのは、今の ように夫が世帯賃金を取っていて非常に高い賃金を取っている場合だけにおいては分割すればいいんですけれども、夫の賃金が下がっていった場合には分割したら非常に夫婦と も貧しくなってしまうという話ですよね。
     それで、失業だけではなくて育児のような事情というのはある程度配慮して年金権につなげていいんじゃないか。それは多くの国の流れでもあるんじゃないか。例えばスウェーデ ンでもそうですし、カナダでもそうですね。ドイツでもそうですし、フランスもそうですね。アメリカはそこに入っていませんけれども、一言ぐらい入れていただいてもありがたいかなと 私自身としては思います。
    大澤会長
    ここの基本というのは、第3号被保険者制度を見直して何らかの直接、間接の負担を求めるというところにあるので、今言われたようなことを入れるとすればどの辺り に入れるかというのが難しいですね。
    永瀬委員
    私は第3号は妻への考慮だと。だけど、ケア活動への考慮というのはやはり必要なんじゃないかということを思っているんですけれども。
    林委員
    どういうときですか。
    永瀬委員
    例えば、子どもを持っていても仕事をずっと続けている人はいいですけれども、続けていないような人の場合、自分で納めない限りにおいては無職になると第3号をな くせば年金権はなくなりますよね。
    林委員
    仕事を辞めたらですね。
    永瀬委員
    そうしたら場合に、大体その子どもを育てている世帯で十分な給与があればいいですけれども、そうじゃない、今のようにフリーター化などが進んでいって男性の賃金 も下がっていくような状態の下で第3号をなくせば、子どもを育てている世帯というのはその分だけ年収が下がりますから年金権も落ちていく。
     それを、年金分割というのは夫婦間で解決しなさい、お互いに2分割すればいいでしょうということだと思いますけれども、更に社会的にみんなで育児等によるケア活動による無 業期間というのを年金上、評価してあげましょうというのがケア活動の考慮としての年金権であって、私は妻考慮というのはもう必要ないけれども、ケア活動考慮というのは必要が あるんじゃないかと思っているんです。みんなが当然のように働くのが当たり前になっていれば、それはそれで全くいいと思うんですけれども、今は働けていない状況ですよね。
    大澤会長
    できれば、どの箇所にどういう文章をという文案を終わりまでの間に考えていただければ。というのは、次回は実質的な議論はほとんどできないと思いますので、今回 の終わりまでの間に考えてください。
     それで、既にいただいている御意見で言いますと、岡沢委員がスウェーデンに関連して御意見を出してくださっています。これも紙で出ております。これは27ページの3)で「ス ウェーデンのケース」というところでして、紙をごらんください。「フルタイムで働く形が実現している」ではなくて「スタイルが追及されている」と。それから、下線というのは加筆で、抹 消線が付いているところは抹消というようなことです。「これへの対処として賃金水準が引き下げられ」というところをもう少し丁寧に書く。インフレ抑制と通貨引下げに努めた。高齢 化による負担増のため賃金水準が実質的に引き下げられたが。
     通貨引下げというのは為替レートのことですかね。通貨引下げというのは意味がわかりますか。
    坂東局長
    為替レートの値下げによるということでしょうね。
    大澤会長
    そうじゃなくて何かマネーサプライの量の引下げのこととかと思われても困るから。
     そういう御提案で、御専門の観点から丁寧にしてくださっていますから、取り入れるということでいいのではないかと思いますが、今の通貨引下げのところだけちょっとということで すね。
     28ページについても大沢委員が御意見をくださっております。さっき24ページの4)までいきましたよね。
    大沢委員
    28ページの2段落目だと思うんですが、私はさらっと読んだせいなのかもしれないけれども、ちょっと意味がわからなかったので説明していただければと思っただけな んです。「低賃金に甘んじているパートタイマーというひとつの典型パターンを念頭におきつつ、雇用形態や処遇全体の見直しを行い、良好で多様な労働形態の実現に向けて努力 することが重要であろう」というような、もうちょっと具体的に述べられてもというか、こういう状況の典型的なものを頭に置きながらこれを直すということでしょうか。
    大澤会長
    ここは大沢委員から御意見をいただいたので私ははたと考えたんです。友人や同僚の労使関係研究者はここを読んだら激怒して、日本的雇用慣行というのは単に 勤続年数が長いことから正社員に高賃金を払うほど甘くはないというふうに、必ず言われるであろうと感じました。福原委員は経営者としてそんな企業はないというふうに。
    大沢委員
    合理的理由はないけれども、勤続年数が長いと正社員は賃金が上がるよという。
    大澤会長
    しかも、それが典型的と書いてあるでしょう。
    福原委員
    この25ページ辺り、ちょっと妙だなと思っているところがあるんです。27ページに戻りますけれども、「ただし、長期継続就業がスキルアップの手段として効率的で効果 的な部分があり、その結果として長期就業が高賃金につながっている」というのならば、企業はもうこの長期就業をやめているはずなんですね。それで、アメリカもそんなに思った ほど流動的ではないような気がするんです。しかし、逆に高賃金を得るにはよその新しいジョブを知育しなければできないんです。
     ということは、結局長いこと雇用をしている方が安心というだけのことで、効率的にスキルアップしているということではどうもないんじゃないか。お互いに雇用する側もされる側も安 心というだけのことじゃないかしらと最近は思っているんです。いずれにしても、だんだん崩れていくことははっきりしていますけれども。
    大澤会長
    御意見ありがとうございます。実は私もこの「<2>今後の動向」というところをもう少し注意深く書いた方がいいのかなと思っていたところです。例えば、そこの3行目で、 「その合理性が失われつつあるわけであるが」となっているんですけれども、ここまで断言できるのか。そういう指摘はある。その合理性が失われつつあると指摘されているぐらい は書けると思います。それで、全く合理的でなくなったので日本的雇用慣行が消滅してしまうというわけではなくて、ここのところもちょっと日本語がこなれていないなと思います。全 く合理的でなくなり、日本的雇用慣行が消滅してしまうことは考えにくくとか、合理的な部分があるのであれば残るであろう。これは一部分は残るであろう。ちょっと直っているんです ね。一部分は残るであろうというのも、何か余計なお世話という感じがして、消滅してしまうというのは考えにくいとか、その程度かなと。
     それから、その次の段落に「この慣行が広く採用されることはもはや合理的とは言えないであろう」。これも何か余計なお世話っぽいので、この慣行がより広く採用されることはも はや予測できないとか。
    坂東局長
    でも、現実には一定の合理性はあったにしても女性を排除して機能してきたわけですよね。しかし、今後はこういうふうな長期継続雇用が広く採用されることは極めて 少なくなるであろうということじゃないですか。「もはや合理的とは言えない」という表現はちょっとあれですが。
    大澤会長
    少なくなるというふうには、アンケート結果などを見ると案外そうでもないんですよね。将来の雇用ポートフォリオで長期継続雇用の正社員と、それからもう少し短期的 な、あるいは流動的なものとのポートフォリオをどう考えているかというアンケートをすると、意外とそんなに正社員をシュリンクさせると答えていないですよね。
    大沢委員
    シュリンクはするだろうけれども、やはりこの部分は必要だというところで。
    福原委員
    「企業の側も」と書いてあるけれども、では政府自治体はどうなんですか。
    大澤会長
    ここは企業というよりも雇用主ということにしましょう。
    大沢委員
    今、ふと気が付いて、単に長く勤めていれば能力の向上に関係なく賃金が上昇するという体制という、ここはかなり批判を覚悟して気を付けて書いた方がいいと思いま す。やはりそれは合理性があるわけだと思います。
    大澤会長
    年功制とは言っても、非常に競争的な能力主義的なシステムで、その中で大幅な格差じゃないけれども、微妙な格差を付けてきたというのが労使関係研究の一致し て指摘するところなので、単に長く勤めていれば能力の向上に関係なく賃金が上昇するシステムであるわけではないんですね。
    高尾委員
    公務員だけは違いますか。
    福原委員
    そういうふうに言われるよとね。
    大澤会長
    私は国家公務員の一員として言いたいんですけれども、やはり昇格しない限り昇給というのか、定期昇給はどんどん号俸間の格差がなくなっていって頭打ちになりま す。昇格するにはやはり何かしらの能力の向上を認めてやっているので、公務員だって単に長く勤めていれば賃金が上昇するというほど甘くはないと思うんです。昇格しない限り、 頭打ちになりますから。
    福原委員
    それは企業でも今は大抵そうですね。
    坂東局長
    ただ、本当にその部分が非常に甘いということは言えるんですよね。
    大沢委員
    多分、念頭に置いているのは、日本は若いときには生産性より低く、その後は生産性よりも高い賃金が例えば年功的な賃金として払われている場合は、高齢化に よって人件費のコストが非常に上がるから、それが合理的じゃないというような意味ですか。
    福原委員
    それからもう一つは、何をもって能力とするかということなんですね。限度ということだってあるんですよね。
    大沢委員
    多分、正社員の定義が諸外国と日本と違うところにこういう問題が出てきていることなんですね。つまり、専門職とか今パートタイマーがやっているような仕事というの も、普通のレギュラーワーカーとして臨時的に雇われている人じゃない限り、全部ほかの国では労働者としてレギュラーワーカーと呼ばれるんだけれども、日本は異常に特定の幹 部候補生みたいな人を養成してきて、訓練もして年功的な賃金を払うという慣行が続いているから首が切れない。それで、どうしても拘束性みたいなもので労働者を縛るような結果 になっていて、それが正社員の定義に今までなってきているから、非常に時代の流れの中で合理性を失ってきた部分があるんだと思います。
     ただ、技能形成そのもののプロセスにおいてはそういう部分というのはどの国でもあるわけだし、その合理性ということは疑いようがないと思います。だから、そこら辺が混乱して いるかなという感じがするんです。
    坂東局長
    我々としても、これはすべて年功序列、長期継続性雇用がメリットがないと言っているわけではない。ある一定の合理性があったから、特に高度経済成長時代、よく八 代さんがおっしゃるように好況期が長くて、その部分の熟練を確保していく方がより企業にとってメリットがあるというふうないろいろな背景があったからこそ機能してきたわけですけ れども、今はそういった合理性のかなりの部分が失われつつあるにもかかわらず、制度そのものは高度経済成長のときに適用したままの形で残っているのではないか。そこのとこ ろもオール・オア・ナッシングじゃなしに、かなりの部分が合理性が失われているにもかかわらずだと。それからまた、年功的な部分についても全部消滅するのではなくて、ある一部 の人にだけ限定するというか、それが適用される範囲が狭くなるという方向へいくことは当然だろうと予想しているわけです。
    大澤会長
    ちょっと整理しましょう。この25ページの「単に長く勤めていれば能力の向上に関係なく賃金の上昇」と、これはちょっとおかしいので、雇用主の側もというふうに書い て、年功のみによって昇給させるような処遇を許容する余力はないであろうと、こんなことでどうでしょうか。
     それで、関連して先ほどの最後のところですね。大沢委員の御指摘の、「単に勤続年数が長いことから高賃金を得ている正社員と低賃金に甘んじているパートタイマーのひとつ の典型的パターン」と書いてしまうと、やはりこれは絶対に批判をされますので。
    坂東局長
    まず「単に」は切りますね。
    林委員
    生涯賃金の問題なんだと思うんです。退職金だとか何だとか、そういうものを含めて正社員というのは、勤続年数が長いことによって結果として生涯賃金が高い正社員 というのか、そういうことのような気がするんです。
    大澤会長
    だけど、賃金率も現に高いわけですから、生涯所得だけではなくてですね。一つの典型的パターンというのがまずいので、勤続年数が長いことから高賃金を得ている 正社員が存在する反面、正社員と同じ仕事をしながら低賃金に甘んじているパートタイマーが存在するという事情を念頭に置きつつとか、こんな感じでどうでしょう。
    林委員
    勤続年数が長くなくても、正社員とパートタイマーとは同じ仕事をしていて賃金が違うんですよね。例えば、勤続3年目ぐらいのうちの組合員の場合は、女性が5、6年 やったパートタイマーから仕事を教えてもらって成長していくというケースであるわけです。それで、賃金は私たちの方が高いんですと。パートの人たちの方が先輩で安い賃金で教 えてもらっているんですというようなケースもあるんです。だから、長いこと勤めているから高いというわけでもないんです。
    大澤会長
    それはパートタイマーの方に、長期勤続でも低賃金だというのが入ればいいわけですか。正社員と同じ仕事をし、かつ勤続が長くても低賃金に甘んじているパートタイ マーが存在するなどの事実を念頭に置きつつ、というふうにすればいいんじゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
    福原委員
    小さなことなんですけれども、25ページの一番下で「特に、オランダとスウェーデンのケースを検討することにする」となっているんですが、26ページはオランダモデ ルで27ページはスウェーデンケースなんですね。だから、これはケースじゃなくてオランダとスウェーデンの実情とか、あるいは状況とか、実態とかというふうにした方が、モデルと ケースは何で分けてあるかというのは意味があると思うんです。
    大澤会長
    意味は、オランダモデルという言葉が流行しているからです。
    福原委員
    だから、そういう意味でオランダはモデルなので、後ろの方はちゃんとモデルと書いてあるので。
    大澤会長
    スウェーデンはスウェーデンモデルというと社会保障のタイプのことを言われることが多くて、こういう働き方とかフルタイムでどちらも働くとか、そういうことをスウェー デンモデルと言われることはまれなのです。だけれども、いわゆるオランダモデルと言われるものであるというのが出てくれば、見出しをそろえていくことで問題ないんじゃないかと 思います。
     それで、鑑を含めて全体についての御質問や御意見です。そこで鑑を見ていただきたいんですけれども、タイプミスがありまして、真ん中の白丸の3行目で、「影響について調査 について」と重なっています。この「影響について」の後ろの「調査について」は削除して、「影響についての調査の実施」です。
    永瀬委員
    さっきの年金のところを申し上げてもよろしいですか。22ページのところで、「ひとつの考え方は」の次の「本人に直接・間接」の段落の、その下の第3号の見直しという ところですけれども、「ただし、その際に幼い子どもや要介護者の無償ケアにフルタイムで従事している者の年金権に対して社会的配慮が不要ということにはならないのではない か。例えばこうした層の社会保険料負担は社会連帯として社会保険で、あるいは税金で賄うという提案もある」でいかがでしょうか。
     もう少し弱い形で言えば、「ただし、その際に幼い子どもや要介護者の無償ケアにフルタイムで従事している者についての配慮は必要との指摘もある」。それで、例えばこうした層 の保険料負担は税金であるいは別途と。
    坂東局長
    そういうふうになると、ちょっと言い過ぎじゃないですか。どうでしょうか。
    大澤会長
    そういうことを年金制度で考慮するのか、それともサービス給付をもう少し厚くするということで考慮するのか。それとも、例えば高齢の要介護者には介護者を雇える だけの給付を行って、その中から介護者を雇うというやり方もある。子どもも子どもに児童手当を払って、子どもはその児童手当の中で親を育児者として雇うというようなスタイルも あり得るわけです。フルタイムで子どもや要介護高齢者のケアに従事している人の年金権のようなもの、あるいは社会保障への権利をどうするかということは方法がかなりあり得 て、年金の中のみで解決するのかどうか、これは意見が分かれると思うんですね。
    永瀬委員
    もちろん年金外も含めてするのが当然の対応だろうというふうには思います。
    坂東局長
    その際に、幼い子どもや要介護者の無償ケアをフルタイムで行っている者への配慮が必要という指摘もあると。
    永瀬委員
    そうですね。では、それを入れていただければと思います。
    大澤会長
    配慮が必要というのは、「の社会保障に関して配慮が必要」と、これは年金だけに限定するといろいろ意見があるかと思いますが。
    坂東局長
    あるいは税もありますが、社会保障だけでいいですか。
    大澤会長
    社会保障だけでいいと思います。だって税金は払っていないんですから。
    高尾委員
    私もこの問題はもちろんすごく考えたんですが、確かにそういう人たちを保障していかなければならないということで、私も全くそうなんだけれども、何ページかわから ないんですが、別のところで、日本は非常に育児に対してサービスが少ない国であるというようなことを書いてありましたね。その辺で言っていくということにして。
    大澤会長
    ワーキングチームの中間的作業報告を本文から資料編の方に移したことによって、その部分というのが一つは後ろにいった。本文に出てくるのは図表の3だから3 ページの真ん中辺りを見ていただきますと、改行しているところの上です。「我が国の児童手当や育児サービス供給等の児童支援は低水準にあり、それが結果として少子化をもた らしている可能性がある」と言って図表3を見よというふうになります。それで、図表3というのは資料編の4ページですけれども、これは注が不完全なんですね。途中で切れている ところがありますけれども、これを見てくれというふうになっています。
    高尾委員
    永瀬委員のおっしゃった点は本当にそのとおりで、そこのところへの配慮がないと本当に不満が大きい世代があると思うんです。ですから、ここの3ページのところで 言うのか、どこで言うのか私にはわからないですが、かなり言っていかないといけないと思いますし。
    大澤会長
    今の22ページのところに、「本人に直接・間接に何らかの形での負担を求めることを目指すことである」と、ここで「その際」というにつなげるんでしたか。
    永瀬委員
    そうですね。「ただし、その際に」ですか。
    大澤会長
    ただし、その際に児童や要介護高齢者のケアにフルタイムで当たっている者に対する社会保障の在り方について検討が必要であるとか、あるいは配慮が必要であ る。そこでもう一回図表3を見てほしいと。繰り返してもいいんです。我が国の児童手当や育児サービス供給等の児童支援は低水準にあるというようなことをもう一回ここで言って もいいと思うんです。
    高尾委員
    この図表3も、日本はここにありますけれども、もっと私は低いんじゃないかという気がしていて、スイスに4年半いて実際に私はあそこで子育てをしたんですが、児童 育児手当とか、そういうことだけではなくて、それで比べると日本とスイスは同じなんですが、もっと交通費はただだとか、学費は全然かからないとか、医療費も非常に低いとか、数 を挙げればすごくいろいろなことがあるんです。
    大澤会長
    それは子どもがいてもいなくても受けられるベネフィットと、この場合には家族を形成する場合、共稼ぎで子どもがいてというところに絞っているので。
    高尾委員
    子どもの交通費がただである国とか、そういうふうなことはいろいろあると思うんですが、そういうのが日本はないのですごく育てにくいですね。負担が大きいです。
    永瀬委員
    私も個人単位化とか中立的というのはいい方向と思います。ただし、児童の育成などは無償でやられている部分をどうするかを考えないままに個人単位化をすすめ ても必ずうまくいかないと思います。この部分をどう考えるのか、社会的考慮をするのかなど、もっと視点をあてて言う必要があるんじゃないかと思います。
    大澤会長
    特に3号を見直すというところで反発が出るでしょうから、今、永瀬委員が提案してくださったような、「ただし、その際」というのを入れるのはいいことではないでしょう か。ただ、年金だけで解決しようとしていると思われないように、社会保障というふうにした方がいいのかなと思っています。
    永瀬委員
    もう一度前に戻って2ページで1つ申し上げてよろしいですか。2ページの一番下で「中立性確保の意義」の<5>なんですけれども、「男性も女性も就業の選択に幅が 増大することは経済全体の発展にとってつながる。特に、育児負担を減少させる形で女性の就業の機会が増大すれば」という、ここのところは多分2つに分かれるのかなと。1つは 社会的支援の整備で、それによって育児負担が減少するということと、もう一つは男女がより柔軟に育児を負担するという、その2つが入るんじゃないか。前者だけではなかなか難 しいかなという気がするので、この2つを入れていただいた方がよりいいかなと思います。
    大澤会長
    ありがとうございます。
    高尾委員
    23ページの「<3>雇用保険」の2つパラグラフがある2番目のパラグラフで、もうちょっと検討しなければいけないと書いてあるんですが、前のところで不利ではなかった と。教育訓練給付も手薄ではなかったという結論が出ているのに、どうしてまた検討を行うというふうにここに書いてあるんでしょうか。
    大澤会長
    ここは残っちゃったんですか。
    事務局
    落としてよければ落としますが、一概には不利とは言えないとか、要するに今の段階で断言していいものだろうかということで一応ここの後ろの方には残っているんです か。
    大澤会長
    それでは、それは前段との表仄の問題なので、前段のところが余り言い切りではないようにした上で、ここを残しておくことにしましょう。
    高尾委員
    あとは19ページなんですけれども「税制」のところで、1番目で問題点を指摘して、2番目でも問題点を指摘しているんですが、その2番目のところでさっき誤解だとか 何かいろいろあって、その後で「更に、配偶者による家事労働というサービスを無償で享受しているのにも関わらず、かえって減税されている。或いは、配偶者が専業で家事に従事 すれば分業の利益が大きいと考えられるので担税力があるのにかえって減税されているという考え方もある」というふうにここで取り上げているんですけれども、こういうふうな批 判の方向性というのはこの調査会でいこうとする方向と違うというか、この調査会としてはこういうふうな家庭での男女の偏りや労働市場での偏った男女の役割分担をなくしていこ うという方向にあるので、そういう方向にある調査会としてこういうふうな問題を取り上げるというのは、私はちょっと納得できないでいるんです。
     前に八代先生の負担をしていない専業主婦に対して何千万出しているというような資料がここのところに載っていたかと思うんですが、それが落とされていますが、要は今、非常 に大変なんだということを載せていくことでいいんじゃないんでしょうか。
    大澤会長
    何が大変だという論点でしょうか。
    高尾委員
    全然負担していない専業主婦に対して、八代先生の調査によると健康保険で千何百万とか、年金で幾らとかという資料がありましたよね。それで、前はそれはここに 載っていましたが、今は載っていないので、落とされた理由とかあるんだと思うんですが。
    大澤会長
    資料の方にいったんじゃないですか。
    高尾委員
    資料の方にも載っていないです。
    事務局
    いずれにせよこちらでデータを調査して自前で計算しようということで、ひとまず引用はしていたんですけれども、なかなかいい数字が見つかりませんで、とりあえず現段 階では盛り込めなかったということでございます。
    高尾委員
    自前で今後やっていけばそれはいいと思いますが、そういう方を使った方が納得できるかなという感じは私はするんですが。
    大澤会長
    この帰属所得のこととか分業の利益とかというのは、片働きの方が担税力があるという意味で、それなのにかえって減税されているという意見もあるということなんで す。
    高尾委員
    もちろんその意見はわかるんですけれども、そういう片働きのままではよくないよというふうに私は思っているんです。だから、そういうふうな意見に加味をしていかな い方が、もちろんそれは……。
    坂東局長
    くみしているわけではなくて、要するに片働きをそんなに優遇することはないじゃないかと言っているわけです。
    大澤会長
    そうなんです。だけど、それがわかる人にしかわからない書き方になっているかもしれないですね。
    坂東局長
    今の制度は、そういう人たちが本当はとても豊かでいい暮らしをしているのに、ちょっと優遇し過ぎているんじゃないかという批判が込められているんです。
    高尾委員
    時間もないことなので、もう少し考えてみます。
    大澤会長
    大体後ろまできたんじゃないかと思うんですが、1か所だけ、17ページの1)の「制度・慣行と中立性」の最初の段落の最後から2行目なんですが、「ある制度・慣行に ついて個人単位化の考え方に改めるなど」となっているんですが、これは「化」は取った方がいいか、あるいは「個人単位化を進める」とか。
    事務局
    これは「化」は間違いです。
    大澤会長
    「化」は要らないんですね。
     これで一応チェックしておいたところは議論が済んだと思います。ほかによろしいでしょうか。
     どうもありがとうございました。皆様の御意見を踏まえて、報告書の素案を修正したいと思います。次回の第12回調査会で、できれば中間報告書を取りまとめたいと考えていま す。それまでの間、私や事務局から再度個別に御意見をお伺いすることがあるかもしれませんので、その際にはよろしくお願いします。
     それから、全体を通じて抽象的なものが主語になっているという文体がやや多いので、そこを人を主語にするというふうに改めるというような文章のブラッシュアップをさせていた だく場合がございます。その辺りもよろしく御了解をお願いします。
     最後に、事務局からの連絡事項をお願いします。
    事務局
    次回は4月24日のお昼でございます。
     それともう一つでございますが、3月28日の議事録の修正等がございましたらできますれば22日月曜日までに訂正の御連絡をいただければと思います。よろしくお願いいたしま す。以上でございます。
    大澤会長
    それでは、これで影響調査専門調査会の第11回会合を終わります。
     本日はどうもありがとうございました。

(以上)