第10回男女共同参画会議影響調査専門調査会

  • 日時: 平成14年3月28日(木)16:30~17:30
  • 場所: 内閣府第3特別会議室
  1. 出席者
    • 大澤 会長
      大沢 委員
      岡澤 委員
      木村 委員
      高尾 委員
      林  委員
      福原 委員
  2. 議事
  3. 議事内容
    大澤会長
    時間がやや過ぎておりますが、ただいまから男女共同参画会議の影響調査専門調査会第10回会合を開催します。
     本日は議題が3つありますが、前回に引き続き、最後の中間報告の議論になるべく時間を割いていきたいと思います。
     まず初めに、4月2日に男女共同参画会議がございますが、そこで私から今までの議論を報告します。そのための文書を作成しましたので、事務局から説明をお願いします。
    事務局
    それでは、読み上げさせていただきます。資料1と右肩に書いてあります7ページほどの資料をお出しいただければと思います。
     (「報告(案)」朗読)
    大澤会長
    では、この案につきまして御意見や御質問をお願いいたします。
    福原委員
    1ページの下から2行目で「男性の選択肢を狭める」と言うのだけれども、男性の就労とか、男性の労働の選択肢の方がわかりやすいと思います。
     それから5ページで、これは別なところに書いてあるんですが、こういうパートタイマーは正社員よりも低賃金だということを知りながら、その方がフレキシブルで具合がいいという のでわざとパートタイマーを選択する人もいるということをここに入れておくかどうか。最近そういう人の方が増えていることも事実なんです。
    大沢委員
    要するに、働き方全体の見直しというところにいかないと、二元論では簡単に片付かない問題を御指摘されたんだと思います。だから、パートの賃金を上げるという話 ではなくて、正社員の働き方をもっと変えていけばこの問題が解消するんだという方向もあり得るので、余りここでパートの問題だけに絞らない方がいいという御意見ではないかと 思ったのですが。
    林委員
    今、福原委員が指摘されたところの「男性の選択肢を狭める」というのを、就労の選択肢という方がいいのではないかと言われたことについてですが、むしろ私は女性の 場合は就労するかしないかの選択肢まで狭まっているというふうにとらえているんですね。男性の場合は、本当に労働の選択肢を狭めるだけの要因というふうに言っていいのだろ うか。やはりそれは就労そのものをするかしないかにだって影響することだというふうな気がするんです。
    福原委員
    そうすると、ライフスタイルということですか。
    林委員
    その方がいいかなという気がするんです。
    高尾委員
    付け加えさせていただいてもよろしいでしょうか。今の意見に私も非常に近いものでして、後半の方で女性の就労に関して中立性をとっていくことが家庭、企業、国全 体に対してというようなことが書いてありまして、単に男性がどういう働き方をするかという問題ではなくて、男性のライフプランの選択そのものに非常に関わっていて、それにもっと 流動性を与える。女性がこう、男性がこうというふうに決めてしまうのではなくて、そういう男性のライフプランの選択の幅を狭める要因になっているので、それを何とかすれば家 庭、地域社会には非常にプラスになってくるのではないかと思っております。
    大澤会長
    今の御意見は、全般的な御意見でしょうか。それとも、何ページのどこというご意向はありますか。
    高尾委員
    1ページの下から2行目のところで、単に労働の種類の選択ということではなく、もっと男性のライフプラン全体の選択を狭める要因になっていると。
    福原委員
    それはさっき林さんのおっしゃったことと同じようなことですね。
    大澤会長
    「選択肢」の前に「ライフスタイルの」というふうに入れればよろしいでしょうか。
    高尾委員
    はい。
    福原委員
    それと、今日橘木委員がいらっしゃらないのですが、4ページの社会保障制度というのほかのところでもこういう問題が出ているのですが、年金というのは世帯から個 人へという傾向にすべてなっているんですよね。そういう全体論をここで入れるか、それともこういうふうに個々のことだけを挙げていくか。
    大澤会長
    全体については3ページの基本的考え方というところに一応白丸3つで書いてございまして、この2)というのは具体的方向なので制度別になっているという構成で す。
     それから、最後のパートタイマー等というのがここには2か所出てくるわけですけれども、中間報告の素案といいますか、たたき台ではもう少しもちろん書き込んであります。一体 自発的パートが多いと言えるのか、減っているのではないかと言う議論もこの専門調査会で若干あったように記憶しております。その辺りのところを事務局がまとめてくださって、こ ういうまとめ方になっているのだと思います。3ページのアンダーライン3というところをごらんいただきますと、主な意見として以下のようなものがあったということですので、余り対 立するような意見は並べてはございませんけれども、それぞれの白ポツというのが非常に緊密に組み合わさっているというわけでもございません。むしろこういう意見があった、こ ういう意見があったという紹介の仕方でございます。
    事務局
    5ページの一番下ですけれども、例えば「正社員の拘束性を低めるなど」を削除してしまうと、雇用形態や処遇全体の見直しが必要ということが、正社員でもあってもい いし、パートタイマーでもあっていいというふうに見えるのですが。
    福原委員
    さっき大沢先生がおっしゃったように、対立するものではなくて中間のあらゆる段階のものがあり得るんですよね。
    大沢委員
    これから議論すればいいので、そこを削除して、あとは処遇全体というのも働き方そのものみたいで、処遇全体の見直しではなくて例えば働き方の見直しのようなこと ではだめでしょうか。
    大澤会長
    処遇は大事だと思うんです。つまり、長く働くとか短く働くとか、ある一定期間働くとか長期間働くとかというような働き方ではなくて、それがどういうふうに報いられるか ということが重要なので、処遇というのはこれまでの議論から考えてあった方がよろしいのではないかと思うんですけれども。
    大沢委員
    重要な点だと思ったのですが、ただ、処遇を考えるのは企業なので、そういうために私たちに何ができるのかというところのステップがもう一つ必要で、処遇は企業が 決めているから、その処遇が公平でなるような仕組みをつくることが重要なんだというふうに思っただけなんですが。
    坂東局長
    例えば年功的な処遇などというのは一番処遇全体に関わるわけですね。それで、拘束性が強いというのは例えば転勤などを拒否しないとか、残業を拒否しないとかと いう形で働けば、将来年功的に処遇してもらえると。昇進昇給の上でというようなことで、やはり処遇というのは全体の中に関わってくると思います。
    大沢委員
    それでは、これでいいと思います。
    大澤会長
    結論としては「正社員の拘束性を低めるなど」とというところを削るということでしょうか。
    福原委員
    雇用形態や処遇全体の見直しが必要であるというのだったら別にどうということはないというか、当然ですね。
    大沢委員
    基幹的パートタイマーを念頭に置きつつと、ちょっとあいまいじゃありませんか。同じ仕事でやはり同じ賃金というところはまだ時期が早いんでしょうか。
    林委員
    それは前の方にあるので、取るとしたら基幹的というのを取ってしまえば、同じ仕事をしながら低賃金に甘んじているパートタイマーということになりますね。パートタイ マーの均等待遇の実現に向けては、これが入っている方が狭くなっていくんですよね。
    大澤会長
    そこは広くしておくと。
    林委員
    はい、広くしておいた方がいいと思うんです。
    木村委員
    まずは4ページなんですけれども、気になるのが税制と社会保障制度と言いながら、扱ってあるのは税制の中では所得課税、社会保障では年金だけですね。これは 将来的には税制は恐らく所得課税ぐらいか、あるいは入れても相続税をどうするかぐらいだと思うんです。それで、特に今回のテーマだと所得課税だけでいいと思うんですが、社 会保障制度は130万円の壁と言えば医療保険の方も入ってきますね。ですから、中間報告では年金だけでいいと思うんですけれども、最終的には医療もどうするかということは避 けては通れないですね。それはここに書き込むかは別にして、この時点では確認だけ。
    大澤会長
    これは参画会議に報告するもので、検討状況の報告ということです。したがって、中間報告の概要ですらないわけで、中間報告はたたき台を議論していただいたとこ ろですから、それに基づいて素案を事務局で鋭意取りまとめ中です。その中には当然健康保険や介護保険のことも入っております。ただし、今までは時間の関係から健康保険、介 護保険等についてはほとんど議論していないというふうに記憶しておりますので、検討状況報告にはまだ入れられないというところです。
    木村委員
    その確認さえあれば、私はそれでよろしいかと思います。
     あとは用語で、短時間労働者にも厚生年金の適用を拡大すべきではないかという言葉と、それから非正規雇用者に拡大というのと、どちらのニュアンスがいいですか。後ろの方 の非正規雇用という言葉も5ページぐらいに入ってくるんですよね。
    林委員
    私は非正規雇用というのはなるべく使わない方がいいと思っているんです。やむを得ず今、使っているわけですが、短時間であるかどうかというよりも、無期契約である か有期契約であるかということが制度上の一番大きなネックになっているので、本当はそれを書きたいという思いがありますが、ここで議論されてきたのは短時間労働者という言葉 というのか、そういう対象として議論されてきたので、この報告の中では短時間労働者にも厚生年金の適用をというのはいいと思うんです。ただ、今後まとめをつくるに当たっては少 し整理をしていった方がいいと思っています。
    坂東局長
    まだ雇用システムについては十分ここでの議論が交わされていないなという認識がありまして。
    大沢委員
    経営側の選択を公平にするためには、やはりすべての労働者の負担を同じに公平にするということが大切だから、短時間労働だけではない問題だと思うんですが、 ここでどうそれを表現するか、ちょっと難しいですね。第3号の問題と、それから労働時間の条件とが両方絡んでいますでしょう。だから、それは全部整理してちゃんとそろえた方が いいという提言に最終報告のときにはした方がいいと思います。
    木村委員
    今の社会保険加入は時間で区切ってありますよね。
    大沢委員
    ちょっと複雑なので私も調べたことがあったけれども、一言では言えないですが、やはり派遣でも厚生年金の適用率はかなり低いので、そういう実態と合わせて提言 する必要があるから、そこら辺もどう書けばいいか、正規社員以外とか、そういう感じですかね。
    大澤会長
    恐れ入ります、やや次の議題の方に入りかけておりますので、参画会議に対する報告としては今、御確認いただいた1ページの「男性の選択肢」の「選択肢」の前に 「ライフスタイルの」と入れることと、5ページで最後の白丸で「パートタイマー」の前の「基幹的」を削り、なおかつ「おきつつ」の後の「正社員の拘束性を低めるなど」というところを削 るということでよろしゅうございましょうか。
     どうもありがとうございました。それでは、次の議題にちょっと入りかけているのですが、雇用システムアンケート調査報告書について事務局からの説明をお願いいたします。
    事務局
    では、ごく短く説明させていただきます。印刷されてあります資料2という資料の中に概要という資料が入っておりますので、それを出していただけますでしょうか。これは 1月に中間報告ということで御説明させていただきましたけれども、そこから新たに加わりました主な点というのは3ページの表でございます。
     その後、また集計し直しまして、女性従業員の割合あるいは女性管理職の割合と家族手当制度の有無について調べております。まず女性従業員の方ですけれども、女性割合が 10%以下の企業では家族手当制度があるのが86.9で、60%以上になりますと手当がある会社は82.3と、これは有意な差はないんですけれども、女性管理職割合で例えば女性管 理職がゼロ%の場合は家族手当制度がある企業は87.2%、一方3%以上となりますと家族手当制度があるところは78%と、かなり目立って減っているところでございます。
     そういうことで、2ページの下から3行目から2行目にかけて書いてありますけれども、「このことは、女性管理職割合が高いことが当該企業経営の合理性を現していると解釈すれ ば、合理的企業においては家族手当制度の採用率が低いことを示唆しているととれる」と、こういうふうに見ておりますが、この前から変更があった点の主なところは以上でござい ますので、説明はこれだけにさせていただきます。
    大澤会長
    以上の点は、新年になりましてからの追加分析で出てきた中で、非常に重要なものとして概要にも取り上げられた点でございます。これに関しては御質問などありま したらお願いいたします。
     よろしいようでしたら、雇用システムに関するアンケート調査報告書はこれで公表いたします。それで、議題の4になりますけれども、中間報告に向けた議論ということで、前回前 文と雇用システムについて議論をする時間がございませんでしたので、今回は前文と雇用システム、特に雇用システムを中心に議論をしたいと考えております。それで、あと時間 がくるまで討議をいただきたいと存じます。
     まず雇用システムの部分について、たたき台の19ページ以降について御意見をちょうだいできればと思います。
    林委員
    21ページの「ワークシェアリングの様々なタイプ」というところでわからなかったのは、第1から6まであるんですけれども、第3の「早期退職を推進することにより、高齢 者の職を他の労働者に割り当てることがある」というのはどういうことなんですか。
    事務局
    説明させていただきます。ヨーロッパでは結構あるんですが、退職年齢を早めて早く退職させて、早く退職した労働者の仕事量が企業としては減ってしまうわけですけれ ども、その分、若い人を1人雇って、退職寸前の人と若い人と引継ぎみたいなことをしながら、結果として職の引継ぎもできるし、それから1人でやっていたことを2人雇うことになりま すので、そういった形で雇用が増やせるということで導入されている国も結構あるようでございます。
     日本では余り聞かないんですけれども、ヨーロッパの例えばフランスとかドイツとかスウェーデンとかスイスでは早期退職するパートタイマーが出たときに失業者を採用すること を経営者に義務付けている。それから、オーストラリア、ベルギー、フィンランドでは新規採用は経営者に要求していないらしいんですけれども、実質的にはそういうふうに労働力を もう1人補うことが期待されていると、こんな制度があるようでございます。
    林委員
    この早期退職というのが日本などの場合とフランスなどの早期退職というのと、イメージが随分違うんですよね。それでちょっと引っ掛かりがあったんです。フランスなど はもちろん労働者自身が、こんなに長いこと65まで働きたくないよと、55になったらさっさと辞めてしまいたいという選択を自ら選ぶという考え方もありますよね。会社側の方が早期 退職を推進するような策を打って早期退職を促しているというよりもですね。
     日本の場合はむしろ年金の支給期間の時期を遅らせていっているから、どうやってそこへつないでいくかというのが課題になったりしていっていますよね。それで、この早期退職 を推進するというときの推進策が何か具体的に出ていて、ここに書かれていないのならばどういうことなんだろうと知りたかったんです。
    事務局
    これは諸外国の例を紹介したということでございまして、全く日本のものではなくてヨーロッパのタイプのものを紹介しているつもりだったのです。
    福原委員
    これはちょっと誤解を招くところはありますね。というのは、同じ内閣府で去年、高齢者対策の研究会をやって、たしか1月4日の閣議で発表されているわけですね。そ こではフリーエイジということを言っているわけで、退職を早めるなどというのはもってのほかだということになるわけですね。それは任意の企業がなさるのは勝手だとも言えるけれ ども、同じ内閣府で言っていることが矛盾するという。
    事務局
    素案の段階では十分に誤解のないような表現にしたいと思います。
    大澤会長
    ヨーロッパの文脈では、早期退職というのはもう早期年金支給開始なんです。必ずそれとセットで、年金がいかにも足らない場合には長期病気休暇とかいって事実上 年金生活に入ってしまいます。日本のように何もなしでほっぽり出すということは全くありませんから、その辺の誤解はないようにしないといけないですね。
    坂東局長
    あくまでもこれはヨーロッパの例だということがわかるような感じの説明が必要ですね。
    岡沢会長代理
    ちょっと説明しますと北欧諸国、特にスウェーデンがそういうことをよくやるのですが、失業率が非常に高くなると労働組合が非常に強い国ですから、労働組合費 を長く払った人ほど最初の解雇の対象にならないわけです。そうすると、若年労働者の方から先に失業者が出てくる。そうすると、学校を卒業して職がないまま失業経験をずっとし てしまうと、働くことの喜びを知らないで青春時代を過ごしてしまう可能性がある。だから、できるだけ若い人たちに社会に出て働くことの喜びを知ってもらいたい。ところが、失業率 が高くて経済が不活発なときにどうしたかというと、高齢者に早期退職をしていただいて、そしてその分だけ年金は優遇しましょうというような形で、そこでオプションをしていくんです ね。そして、その労働市場の隙間のところに学校を卒業しながら今までまだ失業保険しかもらっていない人たちに働く喜びを知ってもらうための策で、雇用をつくっていこうというのを システム全体でやったことがあります。
    林委員
    そうすると、やはり年金優遇政策による早期退職推進とかということが入ればわかりやすいですね。日本でも若い人たちが10年くらい、本当に働く喜びを味わえないで いるのは今まさにその状況だと思うんです。わかりました。
     それから第4のところなんですけれども、第4のところが具体的には<2>のところへ展開されていく中身になっているんですが、フルタイムからパートタイムへの移行を広く推進する ことにより雇用時間をより多くの人に分け与えるという、ここですけれども、ここはオランダモデルの場合にはフルタイムからパートタイマーへの移行というのは均等待遇が前提に なったパートタイムへの移行なんですね。それをこのように書いてしまうと、日本のパートタイマーのイメージをひとつここに浮かべてしまうので、非常に大きな誤解を生んで、導く結 果が変わってくるという危険性があるような気がするんです。
     したがって、これがオランダモデルというのか、そこでのことを指しているのであるとするならば、均等待遇を前提としてフルタイムからパートタイマーヘの移行を広く推進すること により、というふうに入れていただきたいと思うんです。
    坂東局長
    これは日本とは全く別に、ヨーロッパの方ではこういうふうな分類が考えられているというふうに、日本と混同されないような表現を前に付けなければいけないなと思っ ておりますけれども。その上でも更にこのパートタイムのはまずいですか。
    林委員
    第1、第2がやはり基本ですよね。3とか4とか5というのは、それをどのような形でしているかというもので、同列の分類に第1から第6にするには若干無理なような並 べ方にもなっていると思うんです。
    木村委員
    外国のことについて書くことは私は個人的にはいいことだと思っていて、ただ、その場合に共通軸をはっきりさせて書けばいいじゃないかと思うんです。オランダとかス ウェーデンとかというようなケース分けをする場合は、例えばワークシェアリングの形態が<1>でどういう形態があるかというのを大ざっぱな分類をしていただいて、オランダモデル、 スウェーデンモデルで過去どのようなワークシェアリングの形態があって、それから短時間労働者とそうでない労働者の間の社会保険の加入状況とか、それからまた待遇のことと か、育児とか、そういう幾つかの共通の軸をつくって、前半の議論か後の議論に結び付けやすいような形でここでまとめていただいたら参考にはなると思うんですけれども。
    林委員
    そのことについて私は全く異論はないんですけれども、外国のことを出すんだったら、よりこれは誤解を招きやすい表現ですよということを言っているんです。
    大沢委員
    やはり一番大きな誤解は、パートタイマーの定義が日本と全然違うということなんですよね。大体先進国では有期か無期かという、先ほど林委員がおっしゃったよう に、そこが大きな分かれ目になっていて、その無期の中で労働時間の多様な選択があるから、無期雇用で正社員の短時間の雇用形態がたくさん出てきたわけですね。それで、日 本の場合はそこがそうじゃなくて非正規になっていて、パートが正社員から外れていることによって正社員の短時間労働という枠組みがまだ確立していませんでしょう。育児休暇と か、子どもを育てているときに請求できるような育児休業時間のようなものはあったとしても、正社員がそれほど労働時間とか就業形態を自発的に選べるようなことがない点が問 題なんじゃないかと思うんです。そこが多分働き方になって、その議論がないとやはり多様な労働形態の実現にはならないということですね。
    木村委員
    今おっしゃったパートタイマーの定義もここできっちりするということは非常に有意義だと思います。
    大沢委員
    そういうようなことをむしろ今後の検討課題とした方がいいと思います。ちょっとここにジャンプがあるような気が私もしました。
    林委員
    ここでは外国の例も含めて紹介をしているわけですから、それがわかるようにして、そしてさっきの早期退職であれば、これは年金の優遇性を使って早期退職を推進し ているんだというのがわかればいいし、フルタイムからパートタイマーへというのも、これは均等待遇が前提になっているパターンですよということをわかるようにすればいいし、そ のようにして紹介した上で具体的に<1>から紹介していくというのは私はいい方法だと思っています。
    坂東局長
    そのように整理させていただきます。
    林委員
    その上でもう一つ、21ページの最後の方の一番最後の黒ポツのところにあるんですが、「このような背景があるため、同一労働同一賃金ということは必ずしも実質的に 確立していない我が国では、そのままこの方式を採用することはできない」というふうに言い切りがあるんですよね。ここの表現は言い切ってしまうと非常に……。
     もちろんこのままではいけないんだけれども、こういう否定的な方法でない表現が何かできないかというのが私の、対案を出せないで言ってしまうのですけれども、感想です。お 願いしたいと思います。
    坂東局長
    難しいが、我が国にも貴重な示唆を与えるものといえようと。
    大澤会長
    その程度ですね。ほかにいかがでしょうか。
    岡沢会長代理
    22ページのスウェーデンのケースで上の4行目、「結果として賃金水準は低いものの」という表現があったのですが、これは非常にいい表現だと思います。ス ウェーデンにおけるワークシェアリングというのはまさにそのとおりで、1960年代スウェーデンの賃金水準は余りにも高過ぎて企業が国際競争力を失ったんです。そのときに企業 が国際競争力を維持するためには何があるだろうかといったときに、1人の賃金水準はインフレに応じないから実質的に下がって税負担額で減るけれども、もう一人働けば1つの ファミリーとしての相対的な所得は増えるだろう。そして、その経営者にしてみればレーバーコストをある程度の水準で低く押さえることができる。家庭にしてみれば、所得が少し増 えるというところで合意が成り立ったんです。そして、それから再びスウェーデンの企業の国際競争力が拡大していったんです。
     50年代、60年代、1クローネが70円ぐらいだったとき、当時の日本でスウェーデン製自動車なんて買える人は一人もいなかった。それほど高かったんです。それで、このままいく と企業が国際競争力を失ってしまって、そのために福祉の財源が入らなくなるんじゃないか。これは何か新しい方法が必要なんじゃないかといったときに、労働者と経営者の方でこ の辺の合意ができたんですね。社会全体でワークシェアリングして、1人当たりの賃金水準を下げるけれども、ファミリーとしては所得が上がるという仕組みが考えられないだろう か。そして、労働者の方にはパートナーも2人で働くから、1人がたまたま失業になっても1人の給料で何とか食べられるだろうし、企業の方としても高い賃金コストの上昇の一途と いうことはなくなっていくだろうというところで合意ができた。
     だから、そのことをすべて含めて「結果として賃金水準は低いものの」とまとめてあるんだなと思って、非常に適切な表現をしているなと。まさに1人当たりはこうなんです。それで、 夫婦でやると高いという仕組みにしたんです。
    木村委員
    21ページのワークシェアリングのところに付け加えさせていただくと、先ほど林委員が問題にしておられた高齢者と若い人との職の割当てについてですが、確かに年 金優遇策を講じることによって80年代ぐらいまではそういうことをやっていたんですけれども、これにはどう書いてあるか知りませんが、ヨーロッパ諸国をトレースしていきますと、こ の手段は財政的に無理だというのでだんだん縮小している。だから、そのコメントもひとつ入れておいていただけたらいいかなと思います。
    林委員
    21ページで先ほど参画会議への報告文書を修正したように、一番下のところの低賃金に甘んじている基幹的タイマーというのは、「基幹的」というのを外していただくとあ りがたいんですが。
    大沢委員
    21ページの最後の同一労働同一賃金のところですが、採用することはできない。しかしながら、我が国の賃金体系も今、大きく変わっておりというところで、やはりこう いった賃金がもう少し図りやすくなるような賃金体系に変わる可能性があるというようなことを示唆していた方が、できないが、しかしながら変化があるので日本的にやはりそういっ た同一労働同一賃金というのは今後可能になっていくというような書きぶりをしていただけますか。
    福原委員
    この文章で今、大沢先生のおっしゃったようなことは読み取れるとは思うんですが。
    坂東局長
    19ページから20ページにかけて2)辺りで変化が起こっているということは一応コメントはしているんですが。
    大沢委員
    賃金について、そうですね。ここはオランダのことですからね。
    大澤会長
    オランダモデルがいろいろな意味でもてはやされているというか、評判になっているのでコメントが必要かなと。
    林委員
    そういうふうにするためには、むしろ逆に同一価値労働同一賃金を確立していく方向を求めなければならないと、こういうふうにしてもらいたいんですね。それならばいい と思うんですけれども、できないというのが割といろいろなところで使われるんです。あのままオランダモデルを日本ではできないとかですね。それで、やるべきことをやろうという方 向を示さずに、できないということがよく使われるんです。これはどのような会議でも、身内の会議でも出るんですね。そういうことで今、大沢委員がおっしゃったようなプラスの方向 に向かった書き方にしてほしい。
    大沢委員
    変化の方向は、私は別に希望的観測でもあるけれども、それだけではなくて実際に今度の春闘を見てみますと大きく賃金形態が変わっているからそちらの方向を目 指して、家族手当てもなくなるわけだし、十分可能な状況になってきているというふうに私は思います。
    林委員
    前のところで企業別、産業別の労働協約で職種ごとの賃金を決定していたことが挙げられるというけれども、もう一つ言うならばそれもそうなんだけれども、パート条約と euのパート指令があって均等に処遇をすることが可能であったということになるんだと思うんですけれども。
    大澤会長
    ある種の立場からの見方というのは、もともと横断的に賃金が成り立っていたから、それを法制化することも条約化することも可能だったというふうになるので。
    大沢委員
    でも、今は急速に横断化する方向にいっていますよね。最近の総務庁のデータで、大企業の正社員の労働者数が6月ぐらいから減少していますでしょう。私はちょっ と男女別に見ましたけれども、女性の方は増えているんですね。増えているといってもちょっとですけれども、男性の方はやはり減っているんですよね。
     だから、大企業の方でリストラがもうある程度進行してきたと思えるんじゃないかと思うんです。ということは、やはり市場価値を持って横断的に労働市場を渡っていかないと自分 の仕事が確保できないような状況になってきたし、厚生労働省の雇用政策もそちらの方向にかなりシフトしてきているから、ここでは不可能だとか違うというような書き方だけれど も、実際の動きというのはむしろ男女共同参画に早くその状況を近付けていかないと、むしろセーフティネットとして大きな問題が出てくるというふうに思いました。そういう面ではむし ろこういう流れが日本にとっていいんだというような感じで書いていただけるとありがたいと思います。
    大澤会長
    ちょっと話を戻しますと、オランダでは産業別というか、横断的な職種別賃金というのが成立していたから、賃金を含めて均等に処遇することは実態として可能でも あったのだけれども、しかし、それを条約や法律という形で改めて原則にしたわけですよね。それをきちんと原則として確認した上で大きくオランダモデルに踏み出したという経緯が あります。ここはもう条件が整っていたから自然とできたんだよみたいな感じになっているけれども、それを原則としてきちんと立てたということがあるので、その辺が1つですね。
     それから、日本では同一労働同一賃金は必ずしも実質的に確立していない。これはそうなのですけれども、しかし、横断的な賃金が成立する動きは見られる。それは20ページで 成果主義、能力主義的な要素が賃金決定に取り込まれつつあって、雇用は流動化しているというふうに書いているのだから、横断的な賃金が成立する可能性も見られているので はないか。
    林委員
    今は、20ページの<1>の下から2つ目のポツのところを先生はおっしゃったのですね。それでいくとするならば、横断的というのをここに付け加えないと、成果主義、能力主 義的な要素が賃金決定に取り込まれつつあるというふうにだけ言ってしまうと、職務賃金というのがなかなか出てこなくて、どうしても成果主義とか能力主義というのは、賃金全体 のある一部分だということが、逆に日本では全部が成果で決まるものだというふうにとらえられがちなんですね。そういうこともありますので、表現は先ほどおっしゃっていたことを加 えながら、またどの段階でもいいですけれども。
    大澤会長
    ここはどうなんでしょうか。今、横断的なところまで行きつつあると言えるのですか。企業の壁というのは相変わらず高いのか。
    林委員
    高いですよ。大企業との格差は7割以下ですから、とてもいきそうにもありません。それは特定の職種でしょうね。
    大沢委員
    なりつつあることは確かだけれども、それを進めるための政策を打ち出している、方向転換をしたということは確かに言えると思います。雇用政策の新しい方向性の中 では。だけど、それが実際に効果を生むまでにはまだちょっと時間がかかるから、どうでしょう。横断というところはちょっと考えないと。
    大澤会長
    横断的になってきたとまでは言えないが、しかし、従来方式からの変化の兆しは見られるという中で、やはり採用することはできないと言い切るのはちょっと問題でしょ う。先ほど局長が言われたように、そのままこの方式を採用することはできないにせよ、我が国にも貴重な示唆を与えるというぐらいで収めるのか。
    坂東局長
    もう少し踏み込めば、我が国でこの方式をするには同一労働同一賃金を実質的に確立する必要があるがと。でも、そこまではまだ言えないような気もします。
    大沢委員
    でも、結局は次のステップがそういうことなんですよね。
    大澤会長
    そうなんです。
    木村委員
    その4と5の並べ方ですけれども、4番の税制・社会保障制度というのは、かなり具体的にいろいろな感じで提言できますけれども、5の雇用システムの将来的方向に ついての提言というのは一体どこで、雇用システムと税制社会保障制度というのは3つここの柱ですけれども、5番は各国の制度を紹介するだけでいいのでしょうか。
    大澤会長
    これは将来的方向を展望するし、なお期待するところがあれば期待を述べるということです。政府に対しては改革しろというふうに言えるのですけれども、個別企業に 対して、あなたはこういうふうに改めなさいというふうには言えないので、やはりよい方向を展望し、期待を述べるというのが5のできることなのではないかなと、そういうスタンスです よね。
    木村委員
    太い軸はどこに求めたらいいのでしょうか。
    大澤会長
    やはり家族主義的な処遇から個人単位の処遇ということなのではないですか。働きに応じた処遇ということになるでしょうし。
    木村委員
    あとは、両立しやすい。それぐらいが2つの大きな柱ですかね。
     あとは、中立的というここの一番重要なところとの接点を求めれば、どこになるでしょう。個人単位。
    大沢委員
    賃金制度の変化というのはすごく大きいですね。
    木村委員
    働きながら両立しやすいようにですよね。
    大沢委員
    そうですね。こういう安定的な雇用の仕組みの中に労働時間の選択肢が入ってくれば、男性も女性も別に関わりなく両立ができるわけですよね。
    岡沢会長代理
    それが実は入っていないんですよね。私もこれをずっと見ながら、ライフスタイルの多様化であるとか、選択肢の拡大であるとかと言っている割には、例えばワー クシェアリングしたときに労働時間が実際にどうなっているのか、年休消化率が実際どうなっているのか、そして人々は本当にある一定の生活水準までいったらお金よりも時間を 求めているのだろうか。そして、それに対しての充足度は高くなっているのだろうかという統計数字があるといいのになというふうにちょっと思いました。後ろをずっと今、見たのです が、オランダモデル、スウェーデンモデルなどと言っている割にはその部分がないんですよね。
     先ほどの例にもう一度戻しますと、ワークシェアリングするときというのは視点は3つあったんです。1つは、失業率が高いのでそれを何とかして低くする方法として考えられない か。もう一つは、企業の国際競争力を維持するために高くなる一方の賃金水準を何とか抑制できないか。これは北欧の場合、それを考えたのですが。そしてもう一つは、社会が成 熟化していてライフスタイルが多様化し、もっと人々が選択の自由を求めていったときに、ワークシェアリングという考えた方はできないのだろうかといったときに、もう私はある程度 の物質的な充足度はあるから時間が欲しい。労働時間を短縮し、年休が欲しい。消化率を高めたいという選択肢が一つの効果としてそういうワークシェアリングのシステムをずっと 押していったと思うんですよね。
     その3番目のライフスタイルの多様化であるとか、人生における選択肢の増大であるとかという点に労働時間が実際にオランダではどうなっている、スウェーデンではどうなって いる、フォーマルな年休の日数は幾らで、実質的な消化率は何%なのか。その辺も賃金の格差の問題と同様に、やはり同じようなレベルで考えていかないと、違うライフスタイルが 選択できない。ただ単に賃金だけでスタートしたはずではないのにというような気はちょっとします。
    木村委員
    私もそれに付け加えて言うならば、学ぶとか働くとかレジャーとか、生涯の時間の使い方をそういうふうに3つぐらいに区切ると、その生涯時間の配分がずっと今よりも やりやすくなる。それが1つ重要なことと、あと一つはそれに行き着くと結局、年齢差別も禁止しないと、40過ぎの女の人が大学院を出ても職がないなどというばかなことが非常に選 択をゆがめるのだから、エイジフリーも将来書くのだったら入れる方がいいのと、それから生涯時間配分が弾力的に設計できるようにする。
    大沢委員
    それが私はかぎだと思うんです。それがあるために非正規の満足度が高いけれども、非正規の方が安いから増えていて、全体としてはやはり正社員になりたい人が 増えているんだけれども、日本の場合正社員の満足度が非常に低いんですよね。それはやはり時間の価値が高まってきて、それを求める人が増えてきているのに、それが提供さ れていないという、結局それが生産性を低めることにつながるから、やはり非常に大きなテーマとしてここで書いてもいいテーマではないかなというふうに私は思っています。
    林委員
    一番最初のワークシェアリングの第1のところにも、週当たり労働時間の短縮による雇用の創出策と、これ一言で書いてあるのですけれども、実はこの中にもっと意味 合いがいろいろ今、岡沢先生が言われたようなことがあるんですね。現実に日本で男女共同参画、そして中立性という観点で見たときに、仕事に就いている人と仕事に就けない 人、就いていない人との仕事の分かち合いというのが基本的にワークシェアリングになるわけですね。その中の、就いていない人、就けない人の多くが女性であるという意味で、こ のワークシェアリングをここで取り上げる意味が出てくるわけですよね。そこに自己決定とか、自己労働時間の自己選択による自分の生活のつくり方というふうなものが込められて いる1行だとは思っているのですけれども、もう少し男女共同参画の観点でワークシェアリングを見たときに、仕事をしている人としていない人とのそこの偏りをどう見るかというの か、見ていますよというそこから書いているのですよということが少しわかる方がいいような気もします。
    福原委員
    今の岡沢委員のようなことを入れるとなると、結構大きなスケールの調査とかシミュレーションとかをやらなければならないので、ここではそれをやらないで何となく状 況がわかるような表現にせざるを得ないですね。また、それはそれで別途時間をかけて1年ぐらいやらなければしようがないですね。
    大澤会長
    ちょっと時間が超過しているのですが、実はまだ前文を検討いただいていないんです。しかしながら前文は、先ほどの参画会議に報告するものの「検討の背景」とか なりダブっております。1ページ半ぐらいのものですので急いで御意見をいただきたいと思います。男性のライフスタイルの選択肢云々というようなことも入れるとか、そういうことは 先ほどの議論から出てくるかと思います。
    高尾委員
    共働き世帯が主流になってきたことの原因について、この調査会の特色として、非常に経済的な視点から当然書いてあって、それはいいのですが、もう少し加えてほ しいというのが私の意見です。
     どういうふうに加えていただきたいかというと、教育制度の中で培われてきた女性自身の能力の向上というようなこととか、それから労働の場に非常に性別の偏りがあると同時 に、家庭、地域社会も当然非常に偏りがあるのが日本なわけでして、その中で耐え難くなっている専業主婦というのがいまして、単に経済的な原因だけで就労の場に出て行ってい るわけではなくて、非常に労働市場の裏返しとしての地域、家庭社会の苦しさというのが、やはり今、日本にはあると思うのです。そういうものをこういう調査会ですが、やはり前文 の中に取り入れていただいて家庭、地域社会の苦しさの中でDVとか、児童虐待とか、青年引きこもりとか、あるいは仕事しかない中年男性が不況下で自殺が増えてきているとか、 そういうような問題もすごく出てきているのではないかと思うのです。
     だから、こういう問題を解決するためにも女性が出て行くことが非常に大事だという視点もここにひとつ欲しいなと。単に経済的なものだけではなくて、かなり心理的なことになって しまうかもしれませんが、社会問題としてそういうことを入れていただきたい。
     そしてこのポツの4つ目、5つ目の辺りで、何で女性が就業した方がいいかということがずっと続けて書いてあるわけですけれども、これはできれば一般の方にも読んでいただきた いというようなこともあるわけで、ぱっと読むと、とにかく女性も外へ出て働きなさいというように取られてしまうのですね。ところが、別姓の反対論者みたいな方々がたくさんいらっ しゃいますけれども、本格的に女性も働くようになったら、今でさえ大変なのに家庭ががたがたになってしまうじゃないかというような反論が当然出てくると思うんです。それに対して 何か言っていかなければいけないわけで、そういう意味ではさっきの家庭や地域社会での問題を書いていただいて、それをつなげていただいて、それを解決するためにもというよう なことで、この4ポツ、5ポツをずっと広げてふくらませて書いていただいて、とにかく女性が外に出て行くのは収入を得るためだけじゃないんだよというようなことが多少わかるよう なことになると、私としてはありがたいなと思っております。 実際問題、本当に男性も家庭、地域社会に参加してもらわないと今、解決できない問題がすごくたくさんあると思うんで す。そういうことで、よろしくお願いいたします。
    福原委員
    直接本文にどうのこうのというのではないんですが、今後いろいろなものを書いていくと、ライフスタイル、ライフプラン、ライフサイクル、これらの言葉の使う場所と定 義を少しはっきりしておかなくてはいけないですね。どこかで定義していかなければ、ここで書いた方がいいですかね。ライフスタイルとライフプランではちょっと違うのですね。
    岡沢会長代理
    本当に福原委員の言うとおりで、どこかで定義していかないと。
    福原委員
    できれば日本語で書いた方がいいんですがね。ライフスタイルとライフプランではちょっと違うんですね。
    大澤会長
    そうですね。ただ生活様式とやると余りにも堅くなってしまって、ライフスタイルぐらいは片仮名でもいいのではないかなと。ライフプランというのは、多分生活設計とい う方が、むしろこれが一般的な日本語ですね。
    岡沢会長代理
    生活設計と、片方で人生の生き方とか。
    大澤会長
    地域社会や家庭がいろいろ困難を抱えているということは、私も重々承知しているつもりです。ただそういう困難について書くとなると、またそれはそれでバックデータ も含めてかなりの書込みが必要になるので、むしろ社会制度や慣行を中立にするとどういうメリットがあるかというものの中に、高尾委員がおっしゃったことを織り込むというやり方 ではどうですか。こちらの参画会議への報告版の方が<1>から<6>というふうになっていて、どういうメリットがあるかということはわかりやすい書き方になっているのですけれども、ここ もかなり経済主義的ではあります。そこで個人の選択の機会の拡大というような抽象的な書き方で、男性の生き方ももっと自由でバラエティに富んだものになれるということが含ま してはあるのですが、それをこちらの前文にも、中立化するとこういういいことがあるというものの中にそれを入れる。地域社会の生活ももっと多様な人が参画する結果として豊か になり、家庭と生活も充実すると、そういうような形で入れるというのではどうでしょうか。
    木村委員
    高尾委員は、もっと切羽詰まっているという表現が欲しいんですよね。本当に切羽詰っていて、職場も家庭もそうかもしれないけれども、地域もお互いに支えなければ だめなんだというニュアンスをもっと。
    高尾委員
    日本経済が詰まっているのは間違いないですね。反面だと思うんですね、全く。
    大澤会長
    そうすると、さまざまな制度、慣行がライフスタイルや世帯の実態に適合しない度合いを広げているとなって、それから女性の就業を妨げるとすぐに続いてしまうので すけれども、適合しない度合いを広げた結果としてどういう問題が見られるかという点を簡単に2行ぐらいで書くということでしょうか。その上で中立化するとこういういいことがある んだよという中に、そっちの方も入れると。
    木村委員
    簡単にではなくて、思いを込めて2行で書くと。
    高尾委員
    1,200万とかいる3号被保険者みたいな人たちは非常にその点があるのではないかなと思います。そういう人たちが改革される主体の報告書なので。
    大澤会長
    では、そこはそういう方向で草案の作成に努めたいと思います。
     誠に議論は尽きないのですが、時間も大幅に超過しましたので、ひとまず以上の議論をもって中間報告の素案に盛り込んでいただくということにして、それを基にしてまた4月の影 響調査会で議論を行いたいと思います。
     それでは、事務局からの連絡事項をお願いします。
    事務局
    次回でございますけれども、4月15日の月曜日16時から18時半、場所はまだ決まっておりません。それまでには早目に中間報告の素案をお渡しできるようにしたいと思 います。それから、最終的に4月24日の13時から15時、そこでもしできれば報告書をおまとめいただければと思います。
     あとは、いつものことでございますけれども、18日の会議の議事録の案ができておりますので、修正等がございましたら4月4日までに見え消しで御連絡いただければと思いま す。以上です。
    福原委員
    岡沢委員に伺いたいのですが、今スウェーデンモデルですね、賃金が低くなってしまって、水準が低くなって、2人働くとやや高くなる。その場合、託児所の費用等は 結構、国営みたいなもので安くなっているのですか。
    岡沢会長代理
    基本は所得に応じてです。
    福原委員
    それは私営も含めてですか。
    岡沢会長代理
    はい。高齢者の介護センターなどでも、どんなに取っても最低限度何千クローネだけは残して取らなければならない。それで市場の消費を活性化させているわ けで、必ず手元にお金が残るような取り方をしています。それで結局、自立した財布が2つあれば、そのまま消費市場が活性化するという発想なんです。だから、非常にわかりや すく言えば、北欧などは失業も労働のうちだというのは、失業率がべらぼうに高くなったら別ですけれども、そうでない限りにおいては消費市場がそれほど縮小しないんです。それ はトータルな人口が少ないから、結局1つのファミリーに倍の生活者、倍の消費者、倍の納税者をどうつくっていくかという発想から生まれてきたアイデアなんですね。だから、シス テム全体でやっていると考えた方がいいと思います。だから今、経済が非常によくて、また消費も非常に伸びているんですけれども、これはやはりこういうことの積み重ねです。
    大澤会長
    どうもありがとうございました。それでは、以上をもちまして影響調査専門調査会の第10回会合を終わります。どうもありがとうございました。

(以上)