- 日時: 平成14年9月2日(月) 14:00~17:00
- 場所: 内閣府5階特別会議室
- 出席者
- 会長
- 島野 穹子 つくば国際大学教授
- 委員
- 大津 恵子 女性の家HELPディレクター
- 同
- 戒能 民江 お茶の水女子大学教授
- 同
- 垣見 隆 弁護士
- 同
- 北村 邦夫 (社)日本家族計画協会クリニック所長
- 同
- 小谷 直道 読売新聞社特別編集
- 委員
- 同
- 小西 聖子 武蔵野女子大学教授
- 同
- 住田 裕子 弁護士
- 同
- 瀬地山 角 東京大学大学院総合文化研究科助教授
- 同
- 林 陽子 弁護士
- 同
- 前田 雅英 東京都立大学教授
- 同
- 若林 昌子 明治大学教授
- 議題次第
- 1 開会
- 2 性犯罪について
- (1) 警察における性犯罪被害者対策について
安田 貴彦 警察庁長官官房給与厚生課犯罪被害者対策室長 - (2) 性犯罪被害者の心理的ケアについて
小西 聖子 武蔵野女子大学教授 - (3) 自由討議
- (1) 警察における性犯罪被害者対策について
- 3 閉会
-
(配布資料)
- 資料1
-
性犯罪関係基礎資料 [PDF形式:997KB]
- 資料2
-
安田氏説明資料 [PDF形式:38KB]
- 資料3
-
小西氏説明資料 [PDF形式:19KB]
- 資料4
- 第14回男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会議事録(案)
- 概要
○警察における性犯罪被害者対策について警察庁から、性犯罪被害者の心理的ケアについて小西聖子委員からそれ ぞれ説明が行われた。
[自由討議]
- (住田委員)
- 戦後、強盗罪によって保護された経済的損害の意味は、日本が経済的に豊かになったことによって変わってきている一 方、現在、強姦による精神的、肉体的、性的苦痛は損害も大きく、回復が困難であることが研究により分かってきている。 少なくとも強盗罪と強姦罪の保護法益の重みを同じにするべきである。
- (前田委員)
- 強盗罪に比べ強姦罪の法定刑が軽いことは事実であり、強姦罪を重く処罰するためには、その下限を上げる、強姦致 傷罪を広げていく、その両方を組み合わせるなどの手法が考えられ、今後、議論が必要である。その前提としては、社会 全体の被害者の苦痛に対する認識の変化が重要である。
- (戒能委員)
-
警察だけでなく、検察官、裁判官に対しても被害者への二次被害防止の観点から研修をきちんと行うべきである。
また、二次被害を防ぐために、弁護士など性犯罪の問題をよく分かっている人の事情聴取等への同席を認めるべきであ る。 - (北村委員)
-
強姦などが申告罪であることによって、かえって問題が表面化しにくくなっているのではないか。
性犯罪もDVのように誰もが加害者になる可能性があるのであれば、社会や学校、家庭において、人を傷付けることに対 する問題意識を高めるための性教育やジェンダーの視点に立った性教育を行うことが重要である。 - (前田委員)
- 告訴期間の撤廃やビデオリンク方式の証人尋問の導入などの刑事訴訟法の改正については、一歩前進ということで評 価すべきである。医者などの被害者以外の者が告訴できないかとの意見もあるが、大人であれば本人の判断で告訴す る方がよいと考える。
- (小西委員)
-
告訴するかどうかは本人が決め、告訴した場合にどのようなことが起こり、どのようなサービスが受けられるかといった 情報が本人に入ることが必要である。
また、加害者には様々なタイプがあるが、セクハラや痴漢など日常の性暴力被害の予防には、暴力についての教育が必 要である。 - (瀬地山委員)
- 強姦については重篤な犯罪であり、ケアが必要であることはもちろんであるが、発生件数が多いと思われるにもかかわ らず、これまで焦点が当てられてこなかった痴漢についても、教育や法律レベルでの厳格な取組が必要である。
- (小西委員)
-
痴漢は、トラウマの基準を満たし、重い症状が出ることもある。小中学生など特に若い人にその傾向が見られるので、痴 漢も性犯罪として取り上げるべき問題であると考える。ただ、性暴力被害というのは必ず暗数を含むので、性犯罪の概念 の拡大について焦点を当てるだけでなく、臨床的な観点からも捉えるべきだと思う。
また、実際に痴漢行為をしていなくても訴えられる場合があるとの意見もあるので、このようなケースについても対策が必 要である。 - (前田委員)
- ちまたに出まわっている痴漢行為を題材としたわいせつビデオは犯罪行為をあおる1つの要因であり、何らかの対策を 講じなければならない。また、トイレやお風呂などの盗撮の問題は、最近はカメラ付きの携帯電話による被害も多く、女性 の人格権という意味では重大な保護法益侵害であり、立法化を含めた対策が必要である。
- (瀬地山委員)
- 痴漢ビデオの大半は実際の痴漢を写したものではないので、実際の行為と演技上の行為との違いを厳格に区別して考 えるべきである。
- (林委員)
- 弁護士会でも裁判における加害者側弁護士から被害者への尋問に配慮すべきだという議論が出てきているが、この問 題に関心のある若い女性弁護士に対する研修の場がないのが現状である。弁護士自身がガイドラインを作ったり、事例 について議論する場を設けたりすることが今後必要だと思う。
- (住田委員)
-
性犯罪被害者への配慮について、司法研修所での研修は非常に大切だと思う。
被告人側の弁護士から尋問される内容は、量刑や示談金を決める上で必要な場合もあるので、これに対してどのように 対処していくかは、今後よく考えていかなければならない。
○事務局から、第14回専門調査会の議事録(案)が提示され、了承された。
○事務局から、次回の専門調査会について、10月18日(金)9時30分から、内閣府3階特別会議室で開催する予定 である旨、説明があった。