男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会

  • 日時: 平成21年10月26日(月) 10:00~12:12
  • 場所: 中央合同庁舎4号館共用108会議室
  1. 開会
  2. 男女共同参画基本計画(第2次)フォローアップ 関係府省ヒアリング
    • 第7分野「女性に対するあらゆる暴力の根絶」
      • (3) 性犯罪への対策の推進
    • 第9分野「メディアにおける男女共同参画の推進」
      • (1) 女性の人権を尊重した表現の推進のためのメディアの取組の支援等(暴力関連部分
  3. 閉会
  • [議事内容]
    岩井会長
    時間になりましたので、まだ少しお見えになってない方がいらっしゃるようですけれども、ただいまから第49回「女性に対する暴力に関する専門調査会」を開催いたします。
     本日は、第2次基本計画の進捗状況に関するヒアリングの第2回でございます。
     本日の議事進行でございますが、まず基本計画第7分野「女性に対するあらゆる暴力の根絶」の中の「(3)性犯罪への対策の推進」についてヒアリングを行います。こちらにつきましては、前回時間が押してしまいましたので実施することができなくて申し訳ありませんでした。関係省庁のヒアリングに引き続き、平川委員からも御説明をいただきます。
     また、本日のヒアリングでは、併せて第9分野「メディアにおける男女共同参画の推進」の中の「(1)女性の人権を尊重した表現の推進のためのメディアの取組の支援等(暴力関連部分)」についても行い、当専門調査会において御議論いただくこととしております。
     それでは、「性犯罪への対策の推進の」のヒアリングに入ります。警察庁、法務省、厚生労働省から資料に沿いまして御説明ください。また、あらかじめお示しいたしました委員からの質問についても併せて御回答ください。各省庁さんが回答される際には必ず質問票一覧の質問番号をおっしゃってから御回答ください。
     それでは、警察庁から、よろしくお願いいたします。
    警察庁(砂川生活安全企画課長)
    警察庁生活安全企画課長の砂川と申します。よろしくお願いいたします。それでは、資料2-(1)というペーパーをごらんいただきたいと思います。
     性犯罪の被害者につきましては、精神的なショックあるいは羞恥心から警察に対する被害申告をためらうということも多くあるわけですし、さらに捜査の過程におきまして2次被害を受けるというようなおそれもありまして被害が潜在化しがちである。そしてこの潜在化によって、さらに被害が拡大していく要因にもなりかねないということであります。
     警察におきましては、これまで「性犯罪捜査指導官」の設置や「性犯罪捜査指導係」への女性警察官の配置ということを行ってまいりましたが、平成19年度からは女性警察官を対象とした「性犯罪捜査専科」を実施しておりまして、性犯罪捜査に対する女性警察官の能力の向上を図っているところであります。
     性的虐待等の児童虐待事案の早期発見や痴漢事犯等の各種性犯罪につきましても関係法令に基づく厳正な取締りの実施を推進しております。また、被害者への配慮等の観点から被害者支援を事件発生直後に行うために捜査員とは別に指定されました警察職員が被害者の付添いやヒアリングなどを行う制度も導入しまして、これは各都道府県警察で運用しているところでございます。
     さらに被害者への事情聴取に当たりましては、被害者が安心して話すことができるようにするために、被害者のプライバシー保護に配慮しました被害者支援用の車両を配備いたしますとともに、性犯罪被害者に負担をかけないでも、証拠採取が行えるような用具等をまとめました「性犯罪捜査証拠採取セット」、あるいは被害状況の再現による精神的負担の軽減を図るための「ダミー人形」の整備充実なども推進しているところでございます。
     なお、性犯罪被害者等の緊急避妊に要する経費の予算措置でありますとか、事件発生時における迅速な治療や証拠採取などのための産婦人科医等との連携を推進しているところであります。
     ちなみにこのペーパーには記載しておりませんけれども、21年度におきましては、いわゆる地方警察官の増員777人が認められまして、「子ども・女性安全対策係」というものを全都道府県に現在1,000人ほど配置して、さらに性犯罪の予防等の対策を講じているところでございます。
     委員より、「強姦罪を含む性暴力犯罪について、ジェンダーに配慮した研修が実施されているのか」という御質問がございましたが、前回の専門調査会でも御説明しましたとおり、警察官として新たに採用された際、各階級に昇任した際に、全員を対象に女性に対する暴力事案捜査要領でありますとか、ストーカー、配偶者からの暴力対策等の必要な研修を行っているところであります。
     それから、「子どもの性犯罪予防について、性暴力被害者への相談機関が少ないために、民間団体が相談を受けてもつなぐ場所がない」といった御指摘がございましたが、警察におきましては、捜査部門等との連携を図りながら、少年警察部門に継続的支援の必要な被害少年に関する情報が集約されるような仕組みを整備しております。また、ヤングテレフォンコーナーなどの電話による相談窓口の設置でありますとか、インターネット利用による相談の導入を促進しております。
     警察庁といたしましては、今後ともこれらの取組を継続させまして、性犯罪に厳正に対処いたしますとともに、被害者の心情に配慮しながら被害者への支援・援助を強化してまいりたいと考えております。
     以上です。
    岩井会長
    それでは、法務省よろしくお願いします。
    法務省(森田司法法制部付)
    法務省司法法制部付をしています森田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私のほうからは、「性暴力犯罪について、ジェンダーに配慮した研修が実施されているのか」ということにつきまして、裁判官と弁護士の部分につきまして御説明させていただきたいと思います。
     まず裁判官につきましては、裁判官の研修を担当する司法研修所が、毎年、任官時を含めて新しい職務やポストに就いた裁判官に対して実施する各種研修の中で、DV、セクシュアル・ハラスメント、女子差別撤廃条約等のジェンダー問題への裁判官の意識を高めるために、国際人権問題を専門とする大学院の教授の方、人権擁護に携わっている機関の職員(国際機関を含む)の方などを講師としてお招きして、性別に配慮した各種講演を実施しているものと承知しております。
     また、弁護士につきましては、倫理研修や新規登録弁護士研修におきまして、女性に対する暴力や性別への配慮のみをテーマにしているわけではないということではございますが、弁護士が刑事事件を担当するに当たっての心構えについて研修が行われているほか、大学教授や精神科医を講師としてお招きし、DVやセクハラ被害について研修を実施していると承知しております。
     以上でございます。
    法務省(大塚刑事局付)
    法務省刑事局付の大塚でございます。おはようございます。
     ただいまお答えいただいたところと関連いたしますので、質問の4番の関係、これは前回もお答えさせていただいたところでございますけれども、ジェンダーに関する内容を含む検察官に対する研修としてどのように行っているのか、前回もお話しいたしましたので簡単に御説明させていただこうと思いますけれども、検察官に対しても経験年数に応じた各種研修の過程で、児童、女性に対する配慮と検察の実務、こういったものをテーマとした講義を実施しているほか日常業務の中で上司が個々の検察官に対して捜査・公判を通じた指導を行っているところであります。
     具体的に申しますと、新任検事実務教育、検事一般研修ということで、経験年数に応じた研修が設けられておりますが、それぞれ児童、女性への配慮、児童及び女性に対する配慮、検察の実務という講義科目を設けさせていただいております。
     続きまして、資料2-(2)法務省作成資料でございますけれども、この関係で、「1 主な施策の取組状況及び評価」というところで、イというところがあるかと思いますが、これは必ずしも女性被害者、児童を被害者とする犯罪に限ったものではございませんが、被害者全般に対する配慮ということで、平成11年4月から、検察庁において、被害者その他の刑事事件関係者に対して事件の処理結果、公判期日などの情報を提供させていただいているところであります。
     平成13年3月からは、さらに被害者の方などからの希望によりまして、受刑者の出所情報、こういったものも通知するという運用をしております。そして従前ですけれども、検察庁において、こうした通知制度を実施していたわけですが、平成19年12月からは、検察庁、刑事施設、地方更生保護委員会及び保護観察所が連携して、被害者の方からの希望に応じ、刑事裁判確定後の加害者の受刑中の処遇状況に関する事項、仮釈放審理に関する事項、保護観察中の処遇状況に関する事項等も併せ通知するという運用を行っております。
     また、同じ時期から、少年審判において保護処分を受けた加害者についても、少年院、地方更生保護委員会、保護観察所が連携して、被害者の方などからの希望に応じて、少年院在院中の処遇状況等に関する事項、仮退院審理に関する事項、保護観察中の処遇状況に関する事項等を通知させていただいております。
     これらはいずれも平成17年12月に閣議決定された犯罪被害者等基本計画の中で、法務省が判決確定後の加害者情報の犯罪被害者等に対する提供の拡充、保護処分決定後の加害少年に係る情報の提供について検討を行い、必要な施策を実施するように求められたことを受けたものとなっております。
     資料のほうに、その被害者等通知制度による通知件数総数を、今、御説明させていただいた(2)の裏側のページになりますけれども、「3 参考データ」というところで掲げさせていただきましたので、併せて御参照いただけたらと思います。
     以上でございます。
    法務省(日比刑事局付)
    刑事局付の日比でございます。よろしくお願いいたします。
     私のほうからは、林委員から御質問のありました強姦罪の構成要件、強姦罪についての運用状況、さらには、性暴力を伴う重罪についての被害者のプライバシー保護のための運用状況等々について、これから御説明させていただきたいと思います。
     まず質問票の一覧表の1番の林委員からの御質問でございますが、「強姦罪の親告罪要件について、cedawから撤廃の勧告を受けているが、この点について改正の考えはあるか」という御質問でございます。
     強姦罪につきましては、御存じのとおり、被害者の方の名誉やプライバシーを保護する、そのような趣旨から親告罪とされているところでございますので、非親告罪とすることについては適当でないと考えております。なお、集団強姦罪、平成16年1月に刑法改正で出てきたものでございますが、こちらにつきましては、違法性の高さ等にかんがみ、犯人処罰の公益的必要性を優先させて親告罪とはされていないものでございます。
     続きまして2問目の質問でございますが、内容といたしましては、「強姦罪の構成要件である暴行・脅迫概念が狭きに過ぎ、実質的に被害者に『抵抗』したことの証明を求めているという批判があるが、その点についてどのように考えるか」ということでございますが、強姦罪の成立のために必要とされている暴行又は脅迫でございますが、被害者の犯行を著しく困難にする程度のもので足りることと一般にされておりまして、現実に暴行に対する被害者の抵抗というものは必要とされていないものと承知しております。
     また、法務省におきましては、主要国の性犯罪の構成要件等々につきましては、調査を行っておりますが、今後も必要に応じて調査を行ってまいりたいと考えております。
     続きまして3問目の御質問になりますが、「強姦罪の法定刑が低いことについて指摘されているが、量刑についての近年の変化はあるか。また、不起訴、執行猶予の率についてどうか」という御質問でございます。
     我が国におきましては、平成16年1月に刑法を改正しておりまして、強姦罪の法定刑を引き上げております。また、2人以上の者が現場において共同して強姦罪を犯した場合の集団強姦罪を新設しており、強姦罪に対する罰則を強化しているところでございます。強姦罪により有罪判決を受けた者の量刑ということでございますが、近年の変化という観点からの統計はとっておりませんので、お尋ねの点についてお答えすることは厳しいものと思っております。ただ、平成16年の改正によりまして、先ほどお話したように、強姦罪の法定刑は引き上げられておりまして、一般論としては検察当局において改正の趣旨を踏まえつつ公益の代表者として求刑を行っていると、そのように承知しております。
     また、強姦罪の不起訴率でございますが、平成15年度は28.6%、平成16年は31.9%、平成17年は30.5%、平成18年度は35.4%、平成19年度は41.4%となっております。不起訴となった理由の内訳でございますが、平成19年度を例にとって御説明しますと、平成19年度不起訴件数は全部で738件ございまして、その中の嫌疑不十分となっているものが384件、親告罪の告訴取消等によるものが190件、起訴猶予によるものが62件、時効完成によるものが78件、その他が24件となっております。不起訴された事件の中の被害者の方が告訴を取り消されたり、被疑者との間で示談が成立した場合の不起訴となったものが相当数あるものと承知しております。
     続きまして執行猶予率ということでございますが、強姦罪のみの統計がございませんが、強姦罪、強制わいせつ、準強制わいせつ、準強姦、集団強姦、強制わいせつ致死傷等々に関する執行猶予率の推移ということで統計をとっておりまして、この統計によれば、平成15年度は51.2%、平成16年度は56.0%、平成17年度は57.4%、平成18年度は57.3%、平成19年度は58.6%と推移しております。
     続きまして5番目の御質問でございます。これは前回も簡単に御説明させていただいたところでございますが、性犯罪の被害者の方々に対しては刑事手続においてもプライバシー等に特に配慮する必要があるものと検察当局においても認識しておりまして、法務省検察当局としてもこれまでさまざまな立法措置を講じるとともに、運用におきましても被害者の方の心情に配慮した施策を講じてきたものと承知しております。
     具体的には付添人、遮へい措置、ビデオリンク方式などを適切に活用されるよう裁判所に働きかけているところでございます。
     また、裁判員制度の下におきましても、犯罪被害者の方々のプライバシーの保護を適切に図っていくことはもちろん制度の円滑な実施のためにも重要なところでございまして、被害者の方々からのご要望については真摯な気持ちで受けとめて適切に対処していく必要があるものと考えております。具体的には裁判員制度等に関しましては、性犯罪事件のように被害者のプライバシーの保護を図る必要性が高い事件の裁判員等選任手続において工夫をしています。具体的には裁判員候補者全員を対象としたオリエンテーションにおける事件概要の説明において必要最小限の範囲にとどめて、必要に応じて個別質問の場で裁判員候補者の側から思い当たる名前や住所、その他の特定事項を言ってもらうなどして、被害者の保護を裁判員候補者との間に裁判員法で不適格事由と定められた親族、被用者といった関係等があるかを確認する方法を採用するなどの工夫が検討されております。
     また、検察当局では性犯罪の事案におきまして、被害者が氏名等の個人の特定につながる事項を裁判員候補者に開示してほしくない旨を希望されている場合には、被害者の意向を踏まえつつではございますが、被害者に裁判員候補者の氏名を事前に教示して被害者の関係者が含まれていないかどうかを確認してもらったり、被害者と同一の職場に勤務するなど不公平な裁判をするおそれがあるものが含まれる可能性が高い一定の範囲が想定される場合には、その範囲に属する裁判員候補者を特定して理由を示さない不選任請求をするなどの対応方針を定めてございます。
     以上でございます。
    法務省(富山成人矯正課長)
    法務省矯正局の成人矯正課長でございます。お手元の資料2-(2)のウと書いてあります「加害者に関する対策の推進等」の上から1つ目と2つ目の「・」について説明をさせていただきます。
     刑事施設におきましては、平成18年5月から、従来「監獄法」と呼ばれておりました法律を全面改正いたしまして、新しい法律に基づきまして性犯罪の再犯防止指導を実施しております。この性犯罪再犯防止指導で実施しております処遇プログラムといいますのは、平成17年度に保護局と連携して立ち上げました性犯罪者処遇プログラム研究会の検討結果を踏まえて策定したものであります。諸外国等で処遇効果が認められております認知行動療法という心理療法をベースにしたプログラムとなっております。このプログラムは、高密度、約8か月かけて実施するプログラム、あるいは中密度、これは約6か月かけて実施するプログラム、3つ目は低密度、これは約3か月といった指導密度の異なる3つのプログラムを用意しておりまして、受刑者が入所したときに専門的調査によって判定された各受刑者の再犯のリスク、性犯罪につながる問題性の大きさに応じて、今、申し上げました、どの密度のプログラムを受けさせるかということを決定して実施しております。
     指導の方法といたしましては、概ね8人の対象者と2人の指導者によるグループワークを行うほか、問題性を考えさせるために個別で実施をいたしますワークブックの活用などもしております。これまでの指導の実績といたしましては、平成18年5月から始めておりますが、平成20年度の年度末までの間に1,087名の受刑者に対し指導を開始しております。今後も引き続き受講が必要と認められる受刑者に対して適切な指導を実施してまいりたいと考えております。
     続きまして4番の林委員からのご質問の中で、「刑務官に対するジェンダーに配慮した研修の実情」について御説明をいたします。先ほども申し上げました新しい法律の中では刑務官に対する研修訓練に関する根拠条文も設けられております。読ませていただきますと、「刑務官には被収容者の人権に関する理解を深めさせ、並びに被収容者の処遇を適正かつ効果的に行うために必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修及び訓練を行うものとする」、このような規定が設けられております。
     そういったことも踏まえまして、刑務官も含めた矯正施設の職員に対する研修を行います機関として矯正研修所というのが設けられておりますが、そこにおいて毎年新しく採用になる職員あるいは上級の幹部に昇進する要員である職員等に対しては、人権問題という研修科目をそれぞれの研修に設け、女性に対する暴力の防止等に関する講義を行っております。また、そのほか、各矯正施設におきましても、女子の被収容者に対する処遇場面などを想定しましたロールプレーイング研修を実施するなどしまして、女性に対する暴力の防止等の職場内研修を実施しております。
     以上です。
    法務省(蛯原観察課長)
    法務省保護局の蛯原と申します。よろしくお願いいたします。
     引き続き資料2-(2)の「加害者に関する対策の推進等」の「・」の3つ目について説明させていただきます。最初に恐縮ですが、資料に訂正がございます。資料1の12ページの⑫の2つ目でございますが、ここに性犯罪者処遇プログラムの実施人員について、文末に2,020人と示しておりますが、恐縮でございますが、2,035人に訂正していただければと思います。
     同じ数字が資料2-(2)のただいま御説明申し上げようとしていたところの最後のところにも2,020名と書いてありますので、ここも2,035名に訂正いただければと思います。恐縮でございます。
     保護観察所におきましては、ただいま話がございました矯正局と保護局が共同して行いました性犯罪者処遇プログラム研究会に基づきまして、性犯罪者の再犯防止プログラムを策定して、平成18年度から、これを全国50の保護観察所において導入し実施しているところでございます。
     実施の対象となりますのは、仮釈放者と保護観察付執行猶予者のうち、犯罪の動機、原因が性的欲求に基づくものでありまして、仮釈放者については、地方更生保護委員会が保護観察付執行猶予者については、言い渡しをした裁判所の意見に基づいて、保護観察所の長が保護観察期間中に守らなければならない遵守事項としてプログラムを受けることを設定し、受講を義務づけているところでございます。
     その内容としましては、これも矯正局がやっているのと同じような認知行動療法の理論を基礎とするコアプログラムを中核的プログラムとして実施しております。これは性犯罪の被害者となった方の環境を理解させたり、自分が性犯罪を起こす危険性の高い状況を自覚させ、これを回避するための具体的な対処策を考えさせるというようなものでございまして、具体的には性犯罪のプロセス、認知のゆがみ、自己管理等対人関係スキル、被害者への共感、再発防止計画の5過程からなるワークブックによりまして、概ね2週間に1回の割合で保護観察官が個別処遇又は集団処遇により実施しております。
     それから、質問票の6番でいただいている「プログラムの効果」につきましては、このプログラムを受講した者等の再犯に関する情報を把握することを目的としまして、当省の刑事局、矯正局、保護局合同による調査の体制を19年7月に整備いたしております。現在はこの体制に基づいてプログラムを受講した者等の再犯に関する情報を収集しているところでございます。
     以上でございます。
    岩井会長
    次は厚生労働省。
    厚生労働省(杉上虐待防止対策推進室長)
    厚生労働省でございます。資料2-(3)でございます。性的な被害を受けた方の対策ということで御説明申し上げます。
     まず1点目は(被害児童に対する支援活動の推進)でございます。
     例えば婦人相談所における心理療法担当職員や同伴されているお子さんの対応を行う職員の配置などを進めて相談体制の充実を図っているところであります。また、児童相談所において、医師や児童心理司などによるカウンセリングの実施などについても併せて進めているところでございます。
     (診断、治療等に関する支援)でございます。
     18年の医療法改正によりまして、医療機関の基本的な情報については、容易に知るようなことが可能となる措置ということで、基本的な情報につきましては、すべての都道府県において提供済みでございます。また、この中で例えば性的な暴力被害者のカウンセリングを実施していることなどというような事項についても広告可能な事項の拡大ということで、住民の方が医療に関する情報を得られやすい体制整備のために医療法の改正がなされたところであります。
     (専門家の養成、関係省庁、関係者等の連携)でございますが、心のケアに関する専門家の養成につきましては、「ptsd(心的外傷後ストレス障害)対策専門研修会」の中において、性暴力、DV被害等をテーマにした講義・研修を行っておるわけでございます。また、現在20年度から3か年計画で、DV被害母子の追跡支援、あるいは医療現場における性暴力被害の実態調査なども併せて実施しておるところであります。
     続きまして、大津委員からの8番の質問でございますが、「子どもの性暴力被害への相談機関が少ないために、民間団体が相談を受けてどこに相談してよいのか、つなぐ場所がない」という御質問をいただいております。
     厚生労働省の取組について御説明申し上げます。まず加害者が保護者である場合、いわゆる性的虐待、こういった場合につきましては、児童相談所を中心に虐待の確認を行いまして、一時保護を行うということで、必要であれば職権により一時保護を実施するというのがまず出だしでありまして、次に子どもの虐待者でない方の保護者の意向を確認した上で児童福祉施設への入所の措置等を実施するということになっております。
     また、意向がそぐわない場合でも、家庭裁判所に申立てまして強制措置と申しますが、児童福祉施設への入所措置ということが実施されておるところであります。併せて子どもへのケアや保護者に対する指導等も実施しているところでございます。
     また、加害者が保護者以外の性的暴力被害については、関係機関等から被害児童のケアについて相談があった場合の対応でございますが、児童相談所の児童心理司、あるいは精神科医等によるカウンセリングの実施、あるいは濃厚な医療的ケアが必要な場合は医療機関へのあっせん、家庭の状況に応じましては、このケースにつきましても児童福祉施設等への入所の措置を実施するなどの支援を行っているところであります。
     なお、現在児童相談所における性的虐待の対応等に関しましては、「子どもへの性虐待の予防・対応・ケアに関する研究」としまして、研究の中で、児童相談所が性的虐待の兆候や子ども本人からの告白を受けた場合は、複雑な背景や繊細な問題であることを認識した上で、誤誘導しないことや、裁判にも耐える事実確認を行うといったようなことを基本方針とした性的虐待対応のガイドラインも作成していただいておるところであります。
     厚生労働省としましても、性的な被害を受けた方への支援について、今後とも努力してまいりたいと考えております。
     以上でございます。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。
     それでは、質疑応答に入る前に、平川委員から、性暴力被害者支援対策に関する諸外国の先進的取組について御紹介いただきます。よろしくお願いいたします。
    平川委員
    平川です。先ほどお答えをいただいたのですが、性暴力被害者が負担を感ずることなく、あるいは2次被害を受けることのない対応ができる性暴力被害者支援センターの設置が日本でも必要ではないかと思い、この点について説明と御質問をさせていただきたいと思っております。
     支援センターは24時間対応ができること、あるいは連絡があれば30分以内に性暴力専門看護師(sexual assault nurse examiner―saneと略しますが、この看護師が病院などに到着して2~3時間ぐらいかけて詳しく聞き取りをしたり、もしけがが軽い場合であれば治療を行う。あるいは証拠の採取をする。そして心のケア、情報提供などを行うということができる施設です。もちろん産婦人科医の立ち会いも必要ですし、性感染検査あるいはピルの投与などは産婦人科医がするということになります。
     それから、被害届を出す場合には警察との連携も行います。警察官が立ち会う場合には、性犯罪被害者となると思うのですが、この支援センターは性暴力被害者を対象ということでありますので、被害届を出さない方も、今、申し上げたような対応を受けることができるというセンターです。その後に法的な支援を受けること、あるいは精神科受診や入院が必要な場合は、さらに医療機関の対応と生活支援がどうしても必要になりますから福祉事務所などとの連携を行います。そして資源のコーディネートをするアドボケイターという職員がこの支援センターにいることができるということになっております。
     こういう支援センターが日本には全くないというような状況でして、前回の会議のときに、林委員から御報告いただいたのですが、国連の基準、国際人権基準というのでしょうか、人口20万人に1つはこのような支援センターが必要になるというふうに書かれてありました。そうしますと、今、DV配暴センターが全国で186か所あるということですので、これと同じくらい、あるいはもっと多くのこうした性暴力被害者支援センターが各地にできることが必要ではないかと思っております。
     それから別に、子どもさんへのこうした緊急の支援センターも必要ではないかと思います。子どもの場合には、家族の中で性虐待を受けているときにはシェルターも必要だということで、こういった機能を持った支援センターが必要ではないかと思います。
     次に最近になって読売新聞紙上に発表されましたワンストップ支援センターについてですが、これは韓国の警察病院に併設されたセンターをモデルにした警察庁のモデル事業のようです。私はそのことも必要だと思うのですが、私が考えてきたことは、むしろ警察を中心にするということではなくて、国や民間の緊急医療センター、医療機関、民間団体が運営するような形の支援センターのほうがいいのではないかと思っています。その理由は、被害者の方が性犯罪被害者ということだけではなくて、性暴力被害者として、つまり性暴力の定義を今よりももっと広くとるということで、こうした対応を可能にする根拠になるのではないかと思います。今、こういった支援センターの設置が日本でも早急に行われる必要があるのではないかということ、これに関してどのように考えているかということをお答えいただきたいと思います。
     もう一つ、saneのことですが、これは資料にも書いておきましたけれども、1970年代に北米で開始されています。看護師と産婦人科医がポケットベルを持って1年間、ボストン市の中で150人ぐらいの性暴力被害者をケアし、生活再建や裁判などのアドボケイトをしたということから始まったわけですが、1970年代後半から90年代にかけ広がりをみせて、今では、5か国で600か所ぐらいの支援センターが立ち上がっています。このsaneが警察、司法、検察、鑑識官、そういう人たちと地域の中でネットワークを組むということで、sart(sexual assault response team )というシステムをつくっているようです。このsaneとsartを中心にした支援をすると性暴力被害者の被害届出が増加をするといわれています。あるいはptsdの発症を抑えることができる。加害者が罪状認否をするときに有罪を認めるというようなことで、かなり効果が出ていると聞いております。
     最後なのですが、最初に申し上げた性暴力被害者に負担がない、あるいは2次被害を受けないということが、親告罪規定であったり、暴行や脅迫が犯罪の構成要因になっていたり、抵抗したかどうかが裁判で焦点になるなど、これらが性暴力被害の実態に合わないものであることとも連動するものとして、法的な改正が必要なのではないか。あるいは性暴力被害者は女性に限らない、子どもに限らない、男性であったり、男の子であったりすることもあるわけですから、男性の被害者ということを想定して、このセンターが機能するようなものであってほしいと思うわけです。
     saneに関しては、私が理事をやっています「npo法人女性の安全と健康のための支援教育センター」では、年に40時間の研修を行って、この10年間で180人の専門看護師を養成しています。その人たちが働く場の確保、その人たちがうまく連携ができるような支援のシステムといいますか、そういうものが必要ではなかろうかと思っています。
     以上です。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。
     それでは、質疑応答に移ります。各省庁及び平川委員から御説明いただいた内容につきまして、ご意見、ご質問がある方は挙手願います。なお、ポルノやインターネット上の違法有害情報に関する事項につきましては、この後の第9分野のヒアリングにおいて、また、人身取引やセクハラなどについては次回の専門調査会で議論することになっておりますので、ここでは性犯罪に関することに絞って御質問をお願いいたします。
     それでは、諸澤委員どうぞ。
    諸澤委員
    諸澤です。今の平川委員の話にちょっとセコンドといいますか、私の考えを述べさせていただきたいのですが、平川委員はいろいろな言葉でおっしゃっていましたが、私の認識としては、普通名詞的には「レイプ・クライシス・センター」という言い方が多いかと思います。日本では東京強姦救援センターが、これに当たります。東京強姦救援センターは1983年にできて、いろんな活動をしていることは御承知だと思います。もちろん私はそのセンターには関係はしてないのですが、アメリカでの動きに注目して、日本でもという取組をしたと聞いております。
     強姦救援センターが、アメリカで1970年代に立ち上がって、その理由は被害者が病院に来たときに、一般外来として扱われる。なぜ特別扱いを受けないのか。また医者の治療だけでなくていろんな問題があるというようなことから、病院の一角に救急の窓口に似たような形で強姦救援センターというものをつくって、そこで医者・看護師・カウンセラー、法律の専門家である弁護士、必要に応じて警察というような関係する人たちが連携して、被害者のために、しかも集中的に対応するということをやって非常に成果を上げたということであります。アメリカのnova(全米被害者援助機構)という組織を御存じだと思いますが、そのnovaの大会に行きますと、各地の強姦救援センターの実践例の報告をよく聞きます。行くたびに各地にどんどんできていって、私の認識では300ぐらいまで認識していたのですが、今のお話だと600ぐらい既にできているということかもしれませんが、ぜひ日本にこういうのが必要なのではないかと考えております。
     私は1995年に茨城県水戸に、当時、「水戸被害者援助センター」という名称で立ち上げまして、その後、名称を変えて、現在は「いばらき被害者支援センター」ですが、それをつくった当初から、人口20万人当たり1つのセンターが必要であると主張してきました。全国各地に非常にたくさん、ですから市町村に1つずつ必要なのだろうと思うのですか、今までは警察庁が積極的に取り組んでこられて、各都道府県に1つの被害者支援センターが立ち上がったということだと思いますが、これも一般的な被害者支援なのですけれども、特化した支援も同時に必要で、いろんな被害を受け入れる総合的な支援体制と同時に、暴力被害、虐待、DV、人身売買、そういうものに特化した支援組織が同時に必要である。今のお話は強姦に特化したセンターを早急に立ち上げる。そのときに省庁の縦割りの発想だととてもできないのではなかろうか。それをぜひ何らかの形で実現していただけるといいなと思っております。
     ありがとうございました。
    伊藤委員
    被害者支援の専門的な方の養成は本当に必要だと思いますし大賛成です。私は11時半ぐらいに出なければいけませんので、いくつか余分なことも申し上げるかもしれませんが、法務省への質問で、先ほど不起訴と執行猶予のお話をしていただいたのですけれども、不起訴及び執行猶予は明らかに増えているわけですね。その原因はどの辺にあるとお考えなのかをお聞きしたい。先ほど申し上げたように、途中で退席させていただくためで、後のほうのメディアの話について、文部科学省と総務省にお願いしているのですが、基本問題・計画専門調査会のほうでも、できればメディアについて同じ情報を共有させていただければと思います。申し訳ありません。質問のほうをよろしくお願いします。
    法務省(日比刑事局付)
    刑事局の日比でございますが、御質問の不起訴率と執行猶予率が増えているという御指摘ですが、確かに数字を見ると多少増加しているように見えるのですが、個別の事案毎に検察官で適切に判断しておると承知しておりまして、特段増加しているというような認識はしていないということでございます。
    伊藤委員
    10%近い増加というのは相当の増加ですよ。しかも明らかに右肩上がりで増えているというのが、先ほどのデータを見ると明らかです。きちんと分析していただかないといけないのではないかと思います。
    法務省(日比刑事局付)
    特に不起訴率につきましては、まさに告訴を取り消したり、事案が成立して不起訴になるのが相当数あるというところでございまして、委員、御指摘のように、検討も必要か検討したいと思っております。
    林会長代理
    法務省に3点質問がございます。1つは、検察庁の中に性犯罪対策について専門チームを発足させるというようなお考えがないのかということです。これは前回、私が御報告をした国連のモデル立法などでも専門家が必要だとされておりますし、私は21世紀は専門家の時代だと思いますので、経済犯罪やサイバー犯罪の専門家がいるのと同時に、ジェンダーに関する暴力についての専門家は必要なのではないかと思うのですが、そういうご計画がないのでしょうかというのが1点です。
     2点目が、伊藤委員も御指摘になった統計の点なのですけれども、強姦罪と強制わいせつでさえ執行猶予率については統計を分けていないというお話でした。これはぜひ分けてください。別に法律を改正しなくてもできることだと思います。例えば電車の中での痴漢も強制わいせつで起訴されるわけですので、それと強姦とか強姦致傷というのは全然持つ重みが違う話だと思うのですね。もちろん電車の中の痴漢が軽い問題だと申し上げるつもりはありません。しかし、先ほどのように執行猶予率が50%を超えますという数字だけ聞くと、女性差別撤廃委員会などに行ったときに、日本は性犯罪者の半数以上は執行猶予になる国なのだと思われるでしょう。外国人の理解というのはその程度しかわからないわけですよね。だからそこはもう少しきめ細かな情報を提供していただきたいと思います。
     3つ目は、法律の構成要件そのものにかかわることなので、官庁ではお答えにくいかもしれませんが、日本の強姦罪の性行為同意年齢が13歳未満となっていることについて、女性差別撤廃委員会、自由権規約委員会からも低過ぎるのではないかという指摘があります。これは児童買春・ポルノ法であるとか、各地方の自治体条例で事実上は14歳、15歳の強姦についてもカバーしているということだと思いますけれども、子どもに対する性犯罪は許されないのだという社会の認識を深めるためにも、私は強姦罪の性行為同意年齢というのは上げる必要がある。つまり子どもの権利条約でいう18歳に上げていく必要があるのではないかと思うのですが、その点についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
    法務省(大塚刑事局付)
    刑事局の大塚でございます。専門チームの発足ということで、今の段階で検察庁が行っているのは、被害者に対して被害者支援員というのを置いて、ホットラインを設けて被害者の方でも相談が受けられるようにというところで制度の運用を行っているわけでございますけれども、検察庁で取り扱う事件は、先ほど御指摘がありましたが、例えば経済の事件ですとか、一般的な殺人、傷害といった粗暴犯の事件、財政経済事件とか一般の新聞で汚職事件と呼ばれているような事件、医療過誤の事件ということでごくごく一般的に非常に多く起こるものもあれば専門的な分野というところもたくさんあるわけでございまして、それぞれにおいて、確かに御指摘のとおり、特化した検察官、検察事務官を配置できるというのは非常に望ましいことではないかと考えております。ただ、どうしても全国的に現在の制度で言いますと、検察官が長年同じ庁でずっと勤務するということではなくて、当然国家公務員ということで転勤等もございますので、そういったところを考慮したり、またはどういう形でそういう人材を養成していくのかというスキームとか手だてというものについても、もしそのような形で専門チームを発足させることになるのであれば、検討していかなくてはいけないというところになろうかと思います。
     現時点で、具体的に委員が御指摘あられましたような、例えば性犯罪に関する専門チームを発足させてはどうかということについて、具体的な形のあるものということで計画がなされているという事実は今の段階ではない状況でございますけれども、御指摘があったことにつきましては、その御趣旨を承りたいと思っております。今後、性犯罪に限らず、あらゆる分野において、適切な措置ができるようにするにはどうしたらいいのかということは永遠のテーマというわけではないのですけれども、都度考えていかなくてはいけない問題ですので、真摯に受けとめさせていただきたいと思います。
    法務省(日比刑事局付)
    林委員からの御質問で、統計の件で強姦罪と強制わいせつを分けるべきだというところなのですが、執行猶予率ということでございまして、統計のほうにつきましては、司法法制部のほうでとっているところだと思うんですけど、御指摘があったことだけは係に伝えておきたいと思います。
    法務省(森田司法法制部付)
    今、いきなり受けましたので、申し訳ございませんが、一応統計の関係は司法法制部のほうで担当させていただいておりますので、確かに統計のやり方につきましては、いろんな御意見ございまして、今、林委員の御指摘につきましても、きっちりと持ち帰って検討させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
    法務省(日比刑事局付)
    続きまして構成要件で同意年齢が13歳未満になっているというところでございますが、そのような御指摘が国際会議等でなされていることは法務省としても承知しております。現段階におきましては、具体的に改正の必要があるという動きは承知はしてはいないのですけれども、そのような御指摘があったことにつきましては、持ち帰って係に伝えておきたいと思います。
    後藤(弘)委員
    各省庁に質問があります。今、法務省の方が出たので、法務省にまず。先ほど林委員がおっしゃったように、私もせっかく検察庁で、女性検察官の配置等をしていらっしゃるのに、検察でどれだけ被害者に対して配慮しているのかということがなかなか見えてこないので、私もぜひ今後特別なユニットをつくって対応していただきたいと強く思っております。それが1つ。
     あと、性犯罪、先ほどデータで出していただきました被害者等通知制度の性犯罪の統計がもしあれば、今日でなくてもいいので教えていただきたいということです。加えて、被害者参加制度を昨年12月から始めていますけれども、それの性犯罪被害者の参加状況についても、今はわからないと思いますので、次回までに教えていただければと思います。それがまず法務省に対するものです。
     次に、警察庁ですけれども、先ほど統計の問題出ましたが、前も申し上げたのですけれども、痴漢で統計がとれないかということです。痴漢という言葉が当然ながらさまざまな類型を含んでいることは承知しておりますが、痴漢という形で統計をとるということが、先ほどから出ていますように、強姦罪との差を明らかにするにも必要ではないかと思います。少なくとも私が見た範囲で公表はされてないので、とっていらっしゃるけど、公表しないのか、とってないのかというのをお聞きしたいと思います。
     2番目、痴漢に関してなのですけれども、最高裁での無罪の判決が出た後、適切な対応をするという通知を出していらっしゃると承知しているのですけれども、具体的に実務でどういうことが変わったのか、もしあれば教えていただきたい。
     もう一つ、先ほど平川委員との関係もあるのですけれども、どうやって潜在化を防止するかということが重要だと思うのですけれども、この紙の「・」の一番最後、「産婦人科等との連携」というものがあるのですが、具体的にどのぐらいの連携しているのか。私、そんなにいっぱい連携していると思えないのですけれども、そこら辺の連携状況について教えていただきたいと思います。
     最後に厚生労働省に伺います。先ほど出ていましたが、専門家の医師が不足しているということは否めないと思うのですね。子どもに対する性的な被害が起こったときに相談する専門家がいない。女性の性的被害に対して相談する専門家も極めて少ない。また、被害者支援だけではなくて適切な刑罰の執行も同時に行わなければいけないので、司法についての理解もしている精神科医の育成が必要だと思います。先ほど平川委員からは、看護師の育成についてのお話がありましたけれども、看護師だけではなかなか今の病院における実務において十分ではないと思いますから、きちんとした司法の理解をした、子どもや女性の性犯罪に関する専門家の育成について何か具体的なお考えがあれば教えていただきたいと思います。
     済みません、多くなりましたけれど、以上です。
    法務省(大塚刑事局付)
    法務省でございます。まず御質問がありました件数の件につきましては、宿題ということで、持ち帰らせていただきたいと思いますので、御承知置きください。申し訳ありません。
    後藤(弘)委員
    今、答えられなかったから、次回で結構です。
    警察庁(砂川生活安全企画課長)
    はい。
    厚生労働省(杉上虐待防止対策推進室長)
    厚生労働省から1点だけ御説明申し上げます。今、心の問題というのはお子さんを中心に大変重要な課題になっておると思います。私ども予算上の措置としまして、子どもの心の診療拠点病院の整備というようなことで、これはたしか10か11カ所だったと思うのですけれども、心の問題、その中には例えば発達障害、虐待を受けた児童のケアの問題等々ということで、地域との病院の連携体制を整えていこうと、そういった取組を始めております。
     ただ、1点、今、委員の御指摘のあった司法の理解がどこまで進んでいるかというと、正直言って、その面はこの中でやってないと思います。また、どういった対応ができるかにつきましては検討させていただきたいと思います。あと、先ほど児童相談所のお話を申し上げたのですが、児童相談所も司法的な対応は非常に重要になっております。独自に弁護士さんをお雇いになったり、私ども特別な補助を設けていまして、そういった外部の有識者、これは弁護士だけではありませんけれども、医師とか教育関係の専門家等々連携するための経費の助成ということもやっております。
    警察庁(砂川生活安全企画課長)
    警察庁でございますが、痴漢というものでの統計は、実はこれはほとんどが迷惑防止条例という、それぞれの各都道府県が制定しておる条例違反というような形になってまいりますので、今、手元に数字はございませんが、条例違反という形でよろしければ、ただ、これも必ずしも全部痴漢という形のものになるかどうかは精査が必要かもしれませんが、数字としては後で御報告できるかと思います。
     それから、電車内の痴漢事犯の対応につきましては、無罪判決が出たということで、警察庁から6月25日付で「電車内における痴漢事犯への対応について」という通達を出しております。内容的には捜査する際の一般的な留意事項でありますとか、あと、関係機関といろいろ連携を強化していこうというような中身の通達を出させていただいております。
     それから、産婦人科との連携につきましても、今、具体的にどういう形で連携しているかという具体例は手元にございませんが、それぞれの都道府県で、これも今どんどん強化をしておると。先ほど申し上げましたように、この21年度から約1,000人体制で、子ども、女性の安全対策という対策チームをそれぞれの都道府県で立ち上げておりますので、そういったところも含めて強化はしておるという状況ではございます。
    後藤(弘)委員
    迷惑防止条例に対する、できたら強制わいせつとして対応された痴漢の件数がもしわかれば、併せて教えていただければと思います。
    警察庁(砂川生活安全企画課長)
    承知しました。
    後藤(啓)委員
    先ほど平川委員と諸澤委員からお話がありましたワンストップ支援センターについては、これはぜひ設置が必要だと私も思っております。犯罪被害者支援をやっております弁護士の間でも、これの検討会といいますか、研究会を産婦人科医の先生とかいろんな方とやっております。その中で今回警察庁がモデル事業として始められるというのは大変結構なことだと思っております。ただ、これは平川委員がおっしゃったように、警察が中心になることが問題というよりも、警察庁以外の厚生労働省とかそういう役所が何もしないというところが実は問題なわけです。私も今ある県で、心当たりの施設、病院でやってもらえないかという検討をしているのですけれども、お医者さんの負担が大変でできそうにもないという話を伺うんですよね。
     私は警察庁がやってくれる病院を探してやろうとしていることは大変すばらしいことだと思っているのですけれども、本来は厚生労働省がそういうことができる病院を探すとか、あるいは予算をつけるとか、こういうことをやらないとおそらくできないと思うんですね。警察とか弁護士とか、そういう権限のない組織や個人が一生懸命探すよりも、本来は厚生労働省が各県にこういうことをやれるところはないか、あるいはやるならこういった予算をつけるとか、こういう動きをとっていただかないとなかなか進まないと思います。ですから厚生労働省にはぜひともこれを前向きに検討して一日も早く実現をしていただきたい、そのように思います。
     以上です。
    岩井会長
    厚生労働省ありますか。
    厚生労働省(杉上虐待防止対策推進室長)
    済みません、具体的なお答えはできないわけでございますけれども、医療の関係の問題を中心に御指摘いただきました。今回は性的暴力ということでございますけれども、警察庁のモデル事業、私、個人としては内容的に把握しているわけではございませんので、どういった協力ができるか、我々としてどういったことを積極的に協力といいますか、持ち出せるか、持って帰って検討したいと思います。
    諸澤委員
    フォローアップ質問の中で、林委員が出されている問題意識、私もかなりの部分で、全く同じ考えなのでありまして、いろいろ質問あるのですが、時間を制約されていると思いますので、1つだけ法務省にお聞きしたいと思います。強姦罪の構成要件をぜひ変えるべきだと思っていますが、法定刑が引き上げられたという御説明でした。
     そこでお聞きしたいのは、法定刑の引き上げはなぜというか、何のためにやるのかということであります。というのは、最近、性犯罪関係、交通事犯関係で法定刑の引き上げがなされている。最高刑が引き上げられたにもかかわらず、検察の求刑が低いということが気になります。ある新聞社と協力して、それぞれ法律が施行された後、1年間、各地の地検がどういう求刑をしたのか調べてもらって分析したことがあります。性犯罪についてと交通事犯について、別の新聞社がそれぞれ調べてくれました。驚くことに仮に法定刑の最高刑が1.5倍になっても求刑は1.1倍とか1.2倍であると。国会で決めた引き上げが検察レベルで全く認識されていない。1年目ぐらいであれば移行期なのでやむを得ないと思うのですが、そこでできれば強姦罪の法定刑が引き上げられた後、今まで求刑がどういうふうに推移しているかということをぜひ分析して御説明いただきたいと思うんです。
     現時点ではもう少し求刑が高くなっているかもしれませんが、しかし、ここのところ裁判員裁判とか被害者参加で注目されている事件で、特に強盗、強姦などでの求刑が低いということをすごく感じておりますので、もしかして検察の体質が変わってないのではなかろうかという意味で、このあたりぜひ分析して次回でも結構ですのでご説明いただきたいと思っております。
    法務省(日比刑事局付)
    まず御質問の平成16年1月の法定刑が上げられた被害、強姦罪等につきまして、法定刑が上げられた理由でございますが、強姦罪、強制わいせつ罪につきまして、委員御指摘のように、当時国民の規範意識に照らすと、低きに資するのではないかという御指摘を踏まえまして改正されたものと承知しております。それから、最高刑が1.5倍になっているにもかかわらず求刑が1.1倍にしかなってないと。それは数字自体こちらも把握していない数字でございますので、コメントすることはなかなか難しいところではございますが、基本的には法定刑は裁判規範となっておりますので、法定刑の上限というものは、基本的には例えば強姦罪であれば、強姦罪に当たる事案として想定される裁判の事案において適用されるものでございまして、犯罪の凶悪化・重大化の傾向等を踏まえて量刑が重いほうに移動していくことはあるだろうと。その上限に応じた求刑がなされることはあるのだろうと思ってはいるのですけれども、まさに上限が1.5倍に上がったからそのまま求刑が1.5倍になるのかというのは、事案に応じて検察官の判断によるとは思うのですけれども、一慨には言い難いところかと認識しております。
     以上でございます。
    岩井会長
    それでは、ほかにはございませんか。
    平川委員
    非常に具体的なことなのですが、警察庁で性暴力被害者の方に公用車を出すということなのですが、これは今までに何台ぐらい出ているか、おわかりでしょうか。支援センターで被害者が公用車を使ってというのは非常に必要なことなのではないかと思っているんですね。
    警察庁(生活安全企画課長)
    済みません、各都道府県に公用車配備はしておりますが、運用状況の回数までは私どもも承知はしておりませんが、実際に被害者に対しては車で手配して病院まで連れていくといったことは実際にやっております。県警も回数までの統計は多分とっていないだろうとは思いますが、今、積極的には運用しております。
    岩井会長
    それでは、よろしいでしょうか。
     それでは、次の第9分野、「女性の人権を尊重した表現の推進のためのメディアの取組の支援等」、この項目につきましては、内閣府の共生社会担当、警察庁、総務省、文部科学省、法務省の順にお願いいたします。それでは、内閣府から。
    内閣府(高須青少年環境整備担当参事官)
    内閣府の共生社会担当の高須でございます。私のほうで御説明させていただきますのは、資料3の様式1の具体的施策の中に⑥というのがあると思うのですけど、そこの1つ目の「○」に「青少年の非行問題に取り組む全国強調月間(7月)及び全国青少年健全育成強調月間(11月)において、青少年の非行防止・保護等に向けた気運醸成及び青少年を取り巻く有害環境の浄化活動を推進」、この部分になろうかと思います。
     ちなみに同じ表現で、3ページ、⑨のところにも掲げてございますが、気運醸成の醸成(誤:情勢)の字が違っておりまして、恐縮でございます。これは同じことになります。
     中身でございますけれども、資料4-(1)内閣府作成というので、様式2というところでありますけれども、ここに記してあるとおりでありますけれども、内閣府では2つ、「非行問題に取り組む全国強調月間」と「全国青少年健全育成強調月間」をそれぞれやっておりまして、そこで青少年を取り巻く有害環境の浄化活動を推進しておる。それだけではありませんけれども、柱としてやっておるということであります。また、それぞれ月間の終了後、各都道府県におけるフォローアップを実施しているところであります。
     それで、資料に付けておりますのが、1枚めくっていただきますと、今度の11月に行います月間の実施要綱、10月19日に大臣決定をいたしておるところでありますが、これが3枚ほどにわたってありまして、その後、ポスターの縮小版でありますけれども、1枚。さらに、その裏にありますけれども、先般行いました7月でしたけれども、それの「青少年の非行問題に取り組む全国強調月間」の大臣決定、これがまた3枚ほどあって、その後、そのときのポスターの縮小版のコピーを資料として付けております。
     端的に1点だけ申しますと、今度の11月の月間の実施要綱のほうで申しますと、3ページになりますが、半ばちょっと上あたり「エ 青少年を犯罪や有害環境等から守るための取組の推進」というのがありますけれども、その中の「(イ)有害環境への適切な対応」ということで3つほど掲げてございます。
     ①は、ネット上の有害情報への対応ということで、法律が施行されたものもございますので、着実に推進していくというものです。
     ②につきましては、ネット以外といいましょうか、有害図書・ソフトの関連の対策、対応、また、インターネットカフェ、カラオケボックス等の事業者の要請といったものを触れてございます。
     ③については、薬物乱用防止に関する指導の充実というものに触れているという状況でございます。
     以上でございます。
    岩井会長
    それでは、警察庁。
    警察庁(砂川生活安全企画課長)
    メディアの関係、資料4-(2)をごらんいただきたいと思いますが、インターネット・ホットラインセンターにおきましては、インターネット利用者からインターネット上の違法情報ですとか有害情報に関する通報を受理いたしまして、ガイドラインに基づいて選別を行って警察への通報、電子掲示板の管理者への削除依頼等を行っております。
     警察庁では、インターネット・ホットラインセンターの運用を平成18年6月から民間委託しております。平成20年中の数字、このデータにも記載しておりますが、13万5,000件余の通報を受理しておりまして、分析結果としまして、違法情報に関するものが約1万4,000件余、有害情報に該当するものが6,100件余であります。
     なお、違法情報と判断した情報のうち8,200件余を警察庁に通報されておりまして、6,400件余については、電子掲示板の管理者等への削除依頼を実施しているということで、このうち、5,400件余が削除されておるということであります。また、有害情報と判断した通報のうち2,200件余は同じく削除依頼を実施して1,700件余が削除されているということであります。
     なお、同センターは、平成19年3月に諸外国におけるホットライン相互間の連絡組織「インホープ」というところに加盟をいたしまして、諸外国のホットラインと連携した違法情報対策を推進しております。平成20年中は海外で550件余の通報を行うとともに、海外から360件余の通報を受理しておるということであります。
     委員から、「児童買春・児童ポルノの検挙件数が今年に入って増加の傾向にあるという記事が出ましたが、その増加傾向の特徴がどうなっているか」という御質問がございましたが、今年、平成21年上半期の児童買春・児童ポルノ禁止法違反事件による送致件数は939件、被害児童数が653人となっております。送致件数、被害児童数ともに上半期の統計をとり始めました平成12年以降では最高ということであります。なお、この送致件数939件のうち児童ポルノに関する事件は382件、その半分がインターネットに関するものということであります。また、児童ポルノ事件の被害児童につきましては、中学生と高校生が全体の約8割ということでありますが、小学生以下も全体の1割以上を占めているということであります。
     それから、委員から、「海外で(henntai)と呼ばれている性暴力が内容のパソコンゲームの流出量の把握されているのでしょうか」ということでありましたけれども、警察庁では把握しておりません。
     以上です。
    岩井会長
    総務省。
    総務省(中村消費者行政課長補佐)
    総務省消費者行政課の中村です。よろしくお願いいたします。
     まず総務省の担当となったところですけれども、資料3の「メディアにおける男女共同参画の推進」と6ページの「インターネット等新たなメディアにおける情報の規制等及び利用環境整備の在り方等に関する検討」のところだと承知しております。
     総務省としましては、インターネット等新たなメディアにおけるルールの確立に向けた検討をこれまでも進めてきたところでございます。まず平成18年11月、19年2月、20年4月の3度にわたり、総務大臣が携帯電話事業者等に対し、フィルタリングサービスの導入促進について要請をしてまいったところでございます。また、これは携帯電話事業者に限った話ではございませんが、「インターネット上の違法有害・情報への対応に関する研究会」というものを開催いたしまして、平成18年8月に最終報告書を公表しております。これを受けて電気通信事業者の関連団体においてガイドライン等が策定されたところでございます。
     また、今後の方向性についてですけれども、平成21年4月に「青少年インターネット環境整備法」が施行されております。今後は同法に基づいてフィルタリングサービスの一層の普及促進とその支援に取り組んでまいる予定でございますが、総務省としましては、青少年インターネット環境整備法等の成立を受けまして、インターネット上の違法有害情報への対策を効果的、効率的に推進するために、総務省としての今後の3年間の政策の方向性を提示する「安心ネットづくり」促進プログラムを策定したところでございます。促進プログラムについては、具体的にはフィルタリングの導入促進、またフィルタリングのカスタマイズ機能の促進を行ってまいっております。また、本年2月に設立された安心ネットづくり促進協議会のような、民間の自主的な取組を促進してまいっているところでございます。
     また、利用者のリテラシーを高める取組、具体的には文部科学省さんと連携させていただいておりますけれども、「e-ネットキャラバン」でありますとか、保護者向けの啓発活動等にも取り組んでまいっているところでございます。
     さらに、前田委員から御質問のありました「中高生を使ったデリバリーヘルスが問題になっている。ミクシィ、モバゲー等で、女子高生に業者が働きかけているが、これらがフィルタリングの対象から外されたことについてどう思うか。また、プロフが女子高生等を業者が『物色』する場になっていることについてどう考えているか」という御質問がございました。質問の12でございます。
     総務省としましては、御指摘のいわゆる性風俗業者による中高生の働きかけについては、現在承知してございません。ですので、まずは実態把握に努めてまいりたいと考えております。なお、御指摘のsns等のコミュニティサイトにつきましては、これまでも監視体制の強化やゾーニング等の(利用者毎による機能制限)健全化の取組を行ってきておるところでございます。本年の10月19日、これは先週でございますが、ミクシィよりユーザーアクセスの制限について発表されております。具体的には、本年の11月4日、来月から18歳以上のユーザーが原則18歳未満のユーザーへアクセスすることを制限するもの、こういった取組を行っていくということを発表しているところでございます。さらにsnsのさらなる健全化に向けて、現在業者において問題点とそれなりの対応策の整理が検討されているところでございます。総務省としましては、この検討結果を受けて、さらなる取組を検討してまいりたいと、そういうふうに考えております。以上です。
    岩井会長
    次は文部科学省、お願いします。
    文部科学省(高口男女共同参画学習課長)
    文部科学省は、資料4-(4)「女性の人権を尊重した表現の推進のためのメディアの取組の支援等」についてでございます。
     文部科学省におきましては、性・暴力表現を扱ったメディアの、青少年やこれに接することを望まない者からの隔離のため、基本計画の具体的施策の要請に対し以下の取組を実施しているところでございます。
     まず1つ目、「メディアにおける男女共同参画の推進、人権尊重のための取組等」でございますけれども、「・」の1つ目でございますが、青少年を取り巻くメディア上の有害情報をめぐる深刻な問題に対して、地域における有害環境対策の推進体制の整備を図るモデル事業を実施しております。また、啓発資料の作成・配布、全国フォーラム及び調査研究を平成16年度~平成19年度まで実施をしてきております。平成20年度からでございますが、青少年がメディアを安全・安心に利用するための推進体制の整備をするとともに、携帯電話のインターネット利用に際しての問題などの意識啓発を促す取組をしてきております。
     また、子どもの携帯電話の利用実態や携帯電話に対する意識等を把握するため、全国の小6、中2、高2とその保護者、学校を対象とした調査を平成20年度に実施をしております。
     1つ飛んでいただきまして、平成19年2月に、文部科学省、警察庁及び総務省の連名で、都道府県知事、教育委員会、都道府県警察に対し、携帯電話におけるフィルタリングの普及促進のための啓発活動に取り組むよう依頼する通知を発出しております。
     平成20年7月、本年の1月に、教育委員会、都道府県知事に対し、情報モラル教育の充実や家庭や地域に対する働きかけなど、携帯電話等をめぐる問題への取組の徹底するよう依頼する通知を発出しております。
     家庭教育におきまして、家庭教育に関する学習機会、いろいろな学習講座等ありますけれども、そういったところにおきまして、子どもの携帯電話やネット利用についての知識や理解を深めるための講座・支援を平成16年から実施をしてきております。
     大きな柱の2つ目でございますが、「メディア・リテラシーの向上」というところでございまして、先ほど総務省からございましたが、保護者、教職員等を対象としたインターネットの安心・安全利用に関する啓発講座(e-ネット安心講座)を実施してきておりまして、平成20年度では1,208件実施をしてきております。
     次に〈情報教育の推進〉ということで、学習指導要領の記述でございますけれども、小学校段階では、各教科の指導に当たりまして、「コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ適切に活用する学習活動を充実する」こととしております。また、中学校・高等学校段階においては、「情報手段を積極的にできるようにするための学習活動の充実に努める」ということを明記しているところでございます。
     次のページでございます。これは平成21年度から先行実施をしております〈小学校の新学習指導要領〉でございますが、「総則」に「コンピュータで文字を入力するなどの基本的な操作を身に付ける」ことや、「情報モラルを身に付け」ることを新たに明記をしております。
     〈中学校の新学習指導要領〉につきましても、「総則」にコンピュータや情報通信ネットワークを「適切かつ主体的、積極的に活用できるようにする」ことや「情報モラルを身に付け」ることを新たに明記しております。
     〈高等学校の新学習指導要領〉、これは平成22年度より先行実施する部分でございますけれども、「総則」に「適切かつ実践的、主体的に活用できるようにする」ことや「情報モラルを身に付け」ることを新たに明記しております。また、高校の共通教科「情報」について、社会の情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育成する観点から、従来の3科目の内容を再構成しまして、「社会と情報」、「情報の科学」の2科目構成としたところでございます。
     また、学校における情報モラル教育を推進しているところでございまして、平成18年度におきましては、「情報モラル指導」モデルカリキュラムの作成や、教員の指導用ガイドブック及び普及・啓発パンフレットの作成・配布をしております。平成19年度においては、情報モラル指導セミナーの開催、情報モラル指導ポータルサイトの構築、こういったことに取り組んできております。
     「今後の方向性、検討課題等」でございますが、残虐な暴力や性暴力などの有害情報から子どもを守るため、大人社会のモラルと保護者の責任感を高めるとともに、情報化社会に生きる子どもたちが情報の持つ意味を正しく理解し活用できる能力を高める取組を推進していく必要があるということでございまして、情報教育充実のために、新学習指導要領の円滑かつ確実な実施を目指しているところでございます。先ほど新しい学習指導要領につきましては、本年度から一部先行実施をしているところもございますが、小学校につきましては、完全実施は平成23年、中学校は平成24年からであります。高校については平成25年度の入学生から段階的に実施をする予定といたしております。
     資料の説明につきましては以上でございますが、委員の先生方から事前に御質問をいただいておりますので御回答をさせていただきます。
     まず質問の9、伊藤委員からの御質問でございます。「中学校、高等学校におけるメディア・リテラシー教育の現状について、概要を知りたい。また、メディア・リテラシー教育におけるジェンダーに敏感な教育実践例についての情報はあるか」という御質問でございます。
     先ほど御説明したところと重なるところがありますが、このメディア・リテラシーにつきましては、類義語である「情報リテラシー」という用語を一般的に用いておりまして、その内容につきましては、情報活用能力に加えまして、情報モラルの育成を含むものと考えております。そして現在の社会の情報化が進展する中で、子どもたちの情報活用能力を育むということを情報化の影の部分の対応として、他人への影響を考えて行動することや、有害情報への対応などの情報モラルや情報リテラシーの育成につきましては非常に重要であると認識をしているところでございます。
     このために情報モラル、情報リテラシーにつきまして、学習指導要領に基づきまして、学校において指導を行っているところでございますけれども、指導の充実を図るために情報モラル指導モデルカリキュラムの作成、また実践事例等をまとめた指導用のガイドブック、普及・啓発のパンフレットの作成・配布を平成18年度に実施しております。
     また、情報モラル指導の普及のためのセミナーの開催。情報モラル指導事例等を紹介する教員向けの情報モラル指導ポータルサイトの構築などに平成19年度から取り組んでいるところでございます。
     なお、御質問にありましたメディア・リテラシー教育におけるジェンダーに敏感な教育実践例についての情報は、大変恐縮でございますけれども、私どものほうでは把握していないところでございます。
     2つ目の質問10、原委員からの御質問でございますが、「学校教育における情報教育について、実施状況も含めて具体的な中身を知りたい」というところでございますが、先ほどの説明と少し重なりますが、一部先行実施している小学校の新学習指導要領の「総則」におきまして、「コンピュータで文字を入力するなどの基本的な操作を身に付ける」ことや「情報モラルを身に付け」ることが新たに明記されておりまして、これに基づき、各教科等の指導の中で情報活用能力の育成に関する学習活動が行われているところでございます。また、一部先行実施している中学校の新学習指導要領では、「総則」におきまして、コンピュータや情報通信ネットワークを「適切かつ主体的、積極的に活用できるようにする」ことや「情報モラルを身に付け」ることが新たに明記されているほか、必修教科であります「技術・家庭」の技術分野におきまして、「情報に関する技術」が指導内容として位置づけられておりまして、第1学年、第2学年では年間70時間、第3学年では年間35時間の中で学習を実施しておるところでございます。
     また、高等学校でございますが、高等学校の学習指導要領の「総則」におきまして、「各教科等の指導において、「コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用できるようにする」ことが明記されているほか、普通教科「情報」が必履修教科として位置づけられておりまして、情報a、情報b、情報cの3科目の中から最低1科目を選択し、1科目あたり2単位、年間70時間履修することとなっております。
     次の質問12、平川委員からの御質問でございますが、「性に対する包括的教育の実施はどのように行われているか」ということでございます。
     学校における性に関する教育は、性に関する健康問題につきまして、児童生徒が正しく理解して適切に行動をとれるようにすることを目的として実施をしております。体育科、保健体育科などの教科のほかに、特別活動、道徳、そういった領域を中心に学校活動、教育活動全体を通じまして指導をしているところでございます。性に関する教育を進めていく上での基本的な考え方でございますが、まず1つ目といたしまして、学習指導要領に則りまして、児童生徒の発達段階に即した時期と内容で実施するということ。また、2つ目でございますが、体育科、保健体育科を中心といたしまして特別活動、道徳、その他の教科の関連する教育内容を組み合わせて、学校全体で共通理解を図っていくということでございます。3つ目として、教育の内容、方法について、保護者の理解を得るということ。また、4つ目として、事前に集団指導として行う内容と個別指導との内容を区別しておくなど計画性を持って実施する。そういった4点を基本的な考え方として各学校におきまして実施をしているということでございます。
     最後に、質問17、平川委員からの御質問でございますが、「性をめぐる問題に巻き込まれた青少年へのサポートはどのように行われているか」というところでございます。
     まず、性をめぐる問題に巻き込まれた青少年のサポートでございますが、1つ目は教育相談、もう一つは健康相談・保健指導、この2つによって実施が行われておるところでございます。1つ目の教育相談に関しましては、学校にスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを配置しまして、子どもたちがさまざまな不安や悩みを相談できるように、学校内のカウンセリング機能の充実を図っているところでございます。スクールカウンセラーには、児童生徒の臨床心理に関する高度に専門的な知識・経験を有する者を配置することと、あとスクールソーシャルワーカーにつきましては、教育分野に関する知識に加えまして社会福祉等の専門的な知識・技能を有する者を配置しまして、必要に応じて関係機関との連携を図っているところでございます。
     次に健康相談・保健指導に関しましては、事故・事件に巻き込まれた児童生徒の心の健康の問題を重点把握するために、養護教諭をはじめとした教職員が相互に連携をいたしまして、健康相談、または児童生徒の健康状態の日常的な観察によりまして児童生徒等の心身の状況を把握すること、そういったことが重要であるわけでございまして、健康上の問題があると認めるときは、遅滞なく当該児童生徒等に対して必要な指導を行い、保護者に対して必要な助言を行い、また必要に応じて地域の医療機関等との連携を図るよう努めるよう、これは学校保健安全法で規定が定められているところでございます。あと、健康相談・保健指導に係る日々の健康観察の重要性の理解、健康相談の視点や方法等の提示に加えまして、身体面のみならず心の健康に関する健康観察の視点や対応の在り方についての教職員の理解を深めるために、平成20年度に「教職員のための子どもの健康観察の方法と問題への対応」というものを作成いたしまして、平成21年3月に各学校に配布をしております。また、学校における健康相談、保健指導に資するために、平成18年3月に災害や事故・事件に遭遇したときにおける児童生徒の心的外傷ストレス障害の理解とその予防のための保護者用のリーフレットを作成しておりまして、これは文部科学省のホームページにも掲載をしているところでございます。
     今後ともこういった取組をいたしまして、学校における教育相談体制の整備、また適切な健康相談・保健指導の実施に努めてまいりたいと考えているところでございます。
     文部科学省からは以上でございます。
    岩井会長
    それでは、法務省、お願いします。
    法務省(前田刑事局付)
    法務省刑事局でございます。第9分野に関しては、法務省として対応するものはなかったかと思いますが、事前にお出しいただいた質問、質問票の15番、平川委員からの御質問でございますけれども、「児童ポルノの単純所持禁止の必要について、どうなっているか」とのお尋ねがございました。
     先ほどもございましたとおり、児童ポルノ事犯は増加傾向にございまして、児童ポルノから児童を守る必要性については異論のないところと認識しております。御案内のとおり、さきの通常国会において、児童買春・児童ポルノの禁止法改正案が審議されて与野党協議が行われたわけですが、衆議院の解散に伴って廃案となりました。単純所持の規制、禁止も含めて児童を性的搾取からどのように守っていくべきかという規制の在り方についてはさまざまな御意見があるところと承知しております。児童買春・児童ポルノ禁止法の制定改正というのは、これまで議員立法でなされているところでございますけれども、役所としても勉強させていただいているところであって、今後も引き続き勉強してまいりたいと考えております。
     以上です。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。
     それでは、質疑応答に移ります。御意見、御質問のある方は挙手を願います。
    後藤(弘)委員
    まず内閣府ですけれども、第2次の基本計画の98ページ以降が、このメディアの部分だと思うのですが、ここでは役割分担として、この最初のアのところにあるようなことについては議論しないということなのかどうかをまず伺いたいのですが。ここでの議論をするべきことが、今回かなり青少年についてのことに偏っていたような御回答だったという印象があるので、それ以外のことについては、ここでは議論せずに基本問題のほうでやられるのかというのをちょっと伺いたいのですけれども。
    藤澤推進課長
    第9分野、これは98~101ページまでありますが、99ページの、アの上から3つ目の「○」の「性・暴力表現を扱ったメディアの、青少年やこれに接することを望まない者からの隔離」というところからイまでを、より専門的に見ていただくために、こちらの暴力の専門調査会でお願いをしたいと思っています。逆に言うと、それ以外は、基本問題・計画専門調査会のほうでお願いしたいと思っていて、ここはち分けた形で、御議論いただきたいと思っています。
    後藤(弘)委員
    わかりました。それについても、また別の機会でも構わないので、基本問題・計画専門調査会でどういう回答がされているのかを教えていただかないと、全体の中でどういう形でメディアに対してこちらが臨むのかということが見えてきません。そこは今日でなくてもいいのでお願いしたいと思います。
     警察庁に伺います。前もって質問してなかったのでご用意がないかと思うのですけれども、出会い系サイト規制法に関してのデータが出されているかと思うんですが、こちらの資料3の5ページにある、検挙されている数というのは、サイバー犯罪に関してということなのですが、児童が検挙されている数とその児童に対して、これは平川委員のお話にもあるのですけれども、どういう対応がなされているのか。誘引行為というのは、児童が行っても犯罪として評価されると承知しているのですけれども、その犯罪として評価されたけれども、被害児童であるという、子どもたちに対してどういう具体的な対応がされているのかということが、今日でなくてもいいので、おわかりになったら教えていただきたい。これが1つ。
     あと、総務省で、さきほど伊藤委員の16の質問があったと思うのですけれども、今の話だと、インターネットとテレビは総務省の管轄だと思うんですけれども、例えば出版メディアについての管轄がどこなのかよくわかりません。多分総務省さんは違うと思うんですね。テレビ以外のメディアに対する青少年の状況がこれではなかなかわかってこないので、テレビ、インターネット以外の紙媒体、ビデオ、そういうものについての青少年に対する対応がどうなっているかはどこが教えてくれるのかということを教えていただければと思います。
    警察庁(砂川生活安全企画課長)
    警察庁でございますが、まず出会い系サイト規制法違反事件につきましては、21年上半期でこの違反事件で送致しました件数は184件。これは前年同期比で15.7%増。送致人員が191人、同じく前年同期比で19.4%増になっておりますが、このうちに児童がどういう形で対応したかというところまで、今、手持ち資料ございませんので、後ほど御報告させていただきます。
    内閣府(高須青少年環境整備担当参事官)
    内閣府でございますが、ネット以外の関係ということで、あえて申せば青少年の環境整備という意味で内閣府ということになろうかと思うのですけれども、現在どの程度できているかというと、先ほど国民運動的な月間というのを設けてやっていますと申したものの、ネットに比べるとかなり弱いと言わざるを得ない実情にございます。ネットの方も昨年議員立法でできまして、いわゆる青少年インターネット環境整備法でございますけれども、今年の4月から施行ということで、内閣府が主管という立場で、もちろん総務省さん、経産省さんと一緒にやっているという形になるのですけれども、そちらの方も法律ができたときの、これは参議院の附帯決議なのですけれども、「インターネット上の違法情報対策については、本法の措置に基づく民主導の取組を注視すること」という言い方がなされたり、あるいは法律自体に3条の基本理念というところがあるのですけれども、基本理念の1つとして「民間における自主的かつ主体的な取組が大きな役割を担い、国及び地方公共団体はこれを尊重することを旨として行わなければならない」というような表現の自由とのバランスだと思うのですけれども、法律ができていても、そういうような求めがございまして、ましてそういうネット以外の部分についてどうしていくかというのは、課題としては認識しておるのですけれども、どこかの役所が強力に何かしているという状況にはないのかなという気がいたしておるところでございます。
     以上でございます。
    林会長代理
    メディアの苦情処理機関について総務省と内閣府にお尋ねします。メディアにおける、特に女性に対する暴力表現というのが、今後、国内人権機関をつくるに当たっても重要な論点になっていく部分だと思いますので、深く研究が必要ではないかと思っております。
     今回、総務省から、質問16への回答として、テレビ局各社の倫理綱領において、人権、性差別を言及しているものの御回答がありましたが、例えばポルノグラフィであるとか、女性に対する暴力表現についても、これらの綱領に基づいて、例えば苦情処理を受けるという仕組みがあるのでしょうか。例えば放送と人権についての委員会などが存在しますけれども、個人の名誉が毀損されたということではなくて、ある番組が女性に対して暴力的であると。こういった暴力表現をしてもらっては困るというような申立てを受理してくれる機関は存在するのでしょうか。
     同じく内閣府に対しては、テレビ以外の媒体の、特に雑誌・週刊誌に対して、今、新聞社は各社、読者委員会という形でそれなりの苦情処理を受け付ける体制を整えつつあると思いますが、私は雑誌メディアが大きな問題として残っていくのではないかと思っています。そうしたときに、ある週刊誌の見出しや記事、ヌードのグラビアなどが極めて女性差別的であるといったことを受けとめて、専門家ないし独立なパネルが審査をしてアドバイスを出してくれるというような仕組みは今どのくらいあって、かつ官庁とそういう雑誌の業界団体とはどの程度対話が進行中なのでしょうか。
    内閣府(高須青少年環境整備担当参事官)
    内閣府の今の現状で申しますと、放送につきましては総務省さんからも御回答あるかもしれませんが、例えばbpo(放送倫理・番組向上機構)ですとか、jaro(日本広告審査機構)といった審査機構というのでしょうか、そういうところがある意味でがっちり機能しているのではないかと認識しております。
     それ以外では、特に雑誌というところですけれども、これは私自身の不勉強もあるかもしれませんが、それほどまでにしっかりなされているところは、私の今の範囲ではそれに相当するものは、ないわけではないにせよ、そこまではないかという気もしておるのですが、他方において、先ほども別の側面で痴漢の話が出たかと思いますが、青少年の健全育成条例といった都道府県における条例の中で、有害指定というような形で条例による規制は一定程度図られている。民主導というわけではありませんけれども、条例によるそういった措置がなされているということは言及させていただければと存じます。私からは以上です。
    総務省(中村消費者行政課長補佐)
    御指摘のございました放送各社への番組内容についての申立受理についてですが、恐らくbpoが対応していると思いますが、別の局が担当しておりますもので、委員からの御指摘についてはその局に伝えたいと思います。
     次にインターネットについてですけれども、苦情処理機関ということですが、総務省において、消費者相談センターや各局において同様の苦情処理機関といいますか、申立機関というものがございますので、そこに苦情が来ているのではないかと思います。また、民間の事業者団体において同様の取組がいくつかなされていると、そのように承知しております。
     以上です。
    林会長代理
    済みません、今のお答えですが、bpoに実際に女性に対する暴力を理由とした申立てがあって、取り扱っているのかどうかということについては、部局の方から御回答を後ほど何らかの形でいただけますでしょうか。
    総務省(中村消費者行政課長補佐)
    承知いたしました。
    後藤(弘)委員
    bpoの中に青少年委員会があるのですが、私は青少年委員会の委員をやっていたときには、女性差別的な、例えば具体的な名前どこを言っていいかわかりませんが、ある番組で、女性が投げられて、下着が見えるようなものについて、最初に取り扱って勧告を出したという経験はあります。ただ、それ以降については、先ほどあったように、もうちょっと調べていただいて、どういう形で対応しているのかを共有できればと思います。ただ、勧告したからといって簡単に改善されるものではありません。そのコーナーはなくなったのですけれども、それに類するものは繰り返しされているので、例えばある程度青少年委員会に苦情申立があったとしても、それが第三者機関で強制力がないものですから、なかなか実際上は機能してないという実態があると私は思っています。
    大津委員
    私のほうからですけれども、簡単に買える雑誌、書店やコンビニで売っている雑誌などをあるところから見させていただいたときに、いわゆる漫画であっても、子どもや女性に対してのレイプの実態というものが書かれている。これは雑誌にしてもそうですけれども、出版、言論の自由のところでのハードルがきついからそれが許されているのか、その辺がわかりにくくて、明らかに、たとえ個人がわからなくても、そういうものに対してなぜ禁止されないのかということを伺いたいと思います。
     それから、友人でドイツから帰ってきた人が、日本がビデオでレイプのものを見ることができるけれども、日本はレイプ被害に対してもっときちんと、ビデオであろうと何であろうと規制をしていくべきではないかという質問を私のほうに投げかけられましたので、それの回答もお願いいたします。
    内閣府(高須青少年環境整備担当参事官)
    内閣府の青少年のほうからお答えさせていただけることとしましては、先ほどちょっと申しました条例がある中で、例えば区分陳列とか、あるいは簡単に開いて見られないような包装を行ったりするようなところもないわけではないのですけれども、ぎりぎりその中身の話になってまいりますと、例えばわいせつに当たるかどうかという議論になると司法判断ということになってまいりますし、また、先ほどの繰り返しになりますけど、自主規制という点において、社会の相場観みたいなのがあろうかと思いますけれども、機関・団体といいましょうか、表現者によっては、ここまでは大丈夫だというそれぞれの判断が一時的にはあるものですから、そこを事前に行うというのは現状ではなかなか難しいところが、今の現状としてはあるのかなということなのでございます。
     以上でございます。
    諸澤委員
    民間の取組を支援するとか、自主規制を尊重するというのは建前としていいと思うのですが、自主規制をしている場合であってもハードルが非常に低いというのか、何でもオーケイみたいなものは苦情処理の機構を活性化することによって将来的には改善するという望みはあるのですけれども、自主規制機構を持たない業界、そういう世界が非常に多いと思うんですね。こういうものに対して、行政としてどういうふうに向き合うか。ここに書かれているのは非常にきれい事、建前であって、実は問題はそうでないところにあるわけですが、それでもなおかつ民間の支援を期待するとか、そういう取組を支援するとか、そういう建前でいくのでしょうか。
    内閣府(高須青少年環境整備担当参事官)
    先ほどに引き続いて御回答させていただきます。決して建前でこの話は過ごすつもりは毛頭ないのでございますけれども、現状はそういうことでありますということと、それから、特に現在、私のところでは、ネットの法律が4月に施行されたこともあって、それ以外が問題ないか、ゆめゆめそういうふうに思っておらないところでありますけれども、まず法律のものについてしっかり施行していって、ざる法と言われないように努力しているというところが1つございます。
     それ以外についても、理想というようなことはあるのですけれども、少なくとも青少年インターネット環境整備法も参考にしつつ着実に進めていきたいと考えております。
     以上でございます。
    平川委員
    ポルノに関しては女性に対する人権侵害だと私は思っているのですが、DV被害者から聞く話では、ポルノDVdを見ながら性暴力行為が妻に対して行われています。さらにその場面を子どもたちに見るように強制するというような実態があるのですね。そのあたりを含めて、先ほどから問題になっているような表現の自由ということとの関連もあるかもしれないのですけれども、実際に現場では女性たちが人権侵害にあっている現実に直面していますし、子どもたちもその目撃ということで非常に大きな被害を受けているということがありますので、そのあたりを何とか考えていただけないかと思っております。
    後藤(弘)委員
    ポルノグラフィについては後ほどというお話だったのですけど、第2次の基本計画で「ポルノグラフィ」という項目は項目立てしていなかったんですよね。それについて、ポルノグラフィについて、今、平川さんがおっしゃったように、私も女性に対する暴力だと思うんですけれども、ポルノグラフィについて項目立てをするべきだと私は思っています。今の話だと、女性に対する暴力のところでもポルノグラフィについて正面から議論ができないし、メディアのところだと、私たちが担当するべきなのは青少年に対してという形になってしまうような気がして。ポルノグラフィについて、女性の暴力であるといった形を今回の基本計画には盛り込めないかというふうに考えています。
     それに関連して、警察庁に。突然で申し訳ないのですけれども、例えば実際のわいせつとして取り扱うものが、私は少なくともわいせつと感じるものよりはかなり基準が低いような気がします。なので、先ほどの大津委員の質問とも関連するのですが、現在どういうものをわいせつとして取締りの対象としていらっしゃるのか、基準がもしおわかりになれば教えていただければと思います。
     あと、性犯罪の被害者の方で、例えば写真を撮ったりとか、映像を撮られて、それをネットで公開するぞと脅されたりとか、そういうような被害があると聞いているのですけれども、性犯罪というのが、単体で強姦なら強姦に存在する。それに付随するさまざまなそこから得た情報が転々流通する可能性ということについて、もし何か経験ではないですけれども、事例等があれば教えていただければと思います。
    警察庁(砂川生活安全企画課長)
    公然わいせつ罪で検挙するかどうかの基準というのをなかなか明快にお答えするというのは非常に難しいのかなと。結構時代によっていろいろ変わってきて、実際に検挙したけれども、裁判で無罪になったとか、まさに表現の自由のほうが尊重されるというようなこともありまして、私どもで、今、こういう基準で検挙しますというようなことをここでなかなか申し上げることは非常に難しいというのが実情だろうと思います。
    後藤(弘)委員
    最近、何か検挙された事例とか、事例紹介がわいせつ物との関係であれば、1つ参考になるかなと思うのですけれども、済みません、いつもデータがない中でお聞きして申し訳ありませんけれども。
    警察庁(砂川生活安全企画課長)
    今、その手の手持ち資料はございませんので、もし今度御報告できるようでありましたら、また報告させていただきたいと思います。
    岩井会長
    何かほかにありますか。それでは、よろしいでしょうか。大変活発な御議論ありがとうございました。メディアについては終了いたしますが、今日は12時半までの予定ですので、まだ若干時間があるようですので、前回、DV対策・配偶者暴力防止対策についての議論が少し時間が短かったと思うのですけど、何か御意見、御質問のようなものがございましたら、この際お願いしたいのですが、よろしいですか。
    平川委員
    保護命令のことですが、保護命令が発令されやすくなっているように思います。私のところで申立てをする方に限ってなのかもしれないのですが、そういう状況になっているような気がするんですね。ですが、保護命令が申立ててから発令するまでの間の安全性が保障しにくいという現状があります。これについて、さらなる改正といいますか、緊急保護命令の創設について、ぜひ御議論いただきたいと思います。
    岩井会長
    ほかに何か。
    大津委員
    今日、お配りした資料を少し説明させていただいてよろしいでしょうか。
    岩井会長
    どうぞ。
    大津委員
    1つは、今、0120で、「性暴力被害ホットライン」というものを開設しております。これは10月からなのですけれども、来年の1月31日まで。これは無料だということもあって、全国から今、相談が来ております。DV相談と性暴力を受けた方々の相談も結構入っております。その中で何人かの人間が電話相談の対応をしているのですけれども、性暴力を受けた方々の相談がなかなか大変です。そういう意味では時間がかかりますので、相談時間の中でそれがどこまでできるのかというのは、相談を担当している者が持続してできたらいいなというふうに思っております。
     それから、1つ、「あなたは悪くない」、これは性暴力を受けた方が書かれたものを小さな冊子にしておりますけれども、当事者からの意見が出ておりますので、よろしくお願いします。
     それから、性暴力被害に遭った子どもたちのサポートマニュアルというのが1冊出ているのですが、これは後ろと前、どちらが前なのか、どちらが後ろなのかわからないのですけれども、サポートマニュアルと被害の実態というものが半分半分に書かれております。これは全国の女性シェルターネットが、シェルターで来られている方たちの子どもさんやお母さんの声を聞いて調査し、ここに書かれております。それでサポートマニュアルというのもシェルターネットが書いたものですけれども、本当にわかりやすく書いております。これをいろんな人たちに利用していただきたいということでつくりました。
     以上です。
    岩井会長
    どうもありがとうございます。では私の方から配偶者暴力防止の問題について、少し意見を申し上げたく思います。
     保護命令の問題についてかなり順調に発令されているように数は上がっているんですけれども、退去命令がかなり減っているんですね、第2次の改正の後で。それがどうも退去命令の期間が2か月と決められたのが、少し負担になっているという意見をかなり聞いております。そこのところを少し改正して、裁判官がそのときの事情に応じて、2か月以下の範囲で退去命令を出し得るという形にしたほうが、もう少し柔軟に退去命令が出せるのではないかという意見を聞いておりまして、そこのところも御検討いただきたいと思っております。
     ほかにはよろしいでしょうか。それでは、ここで終了したいと思います。
     次回は、現行計画の(4)の「買売春」から、(7)の「ストーカー行為」までの進捗状況について、関係省庁からのヒアリングを行いますので、よろしくお願いいたします。
     事務局から何かありますでしょうか。
    仲程調整官
    次回の調査会でございますが、11月11日水曜日の午後2時から予定しております。場所は変わりまして、永田町合同庁舎の会議室になりますので、よろしくお願いいたします。
     以上です。
    岩井会長
    それでは、これで第49回「女性に対する暴力に関する専門調査会」の会合を終わります。本日はどうも長い時間ありがとうございました。