第6次基本計画策定専門調査会(第2回)及び計画実行・監視専門調査会(第39回)議事録

  • 日時: 令和7年1⽉31⽇(金)15︓00〜18︓00
  • 場所: オンライン会議システム(Zoomウェビナー)にて開催
  1. 開会
  2. 議題
      (1)第5次男女共同参画基本計画のフォローアップ
      (2)女性に対する暴力に関する専門調査会における第5次男女共同参画基本計画の第5分野に係る取組状況の議論について
  3. 閉会

【配布資料】

資料1
第5次基本計画のフォローアップにおけるヒアリング事項(予定) [PDF形式:94KB]別ウインドウで開きます
資料2-1
内閣府説明資料 [PDF形式:88KB]別ウインドウで開きます
資料2-2
金融庁説明資料 [PDF形式:413KB]別ウインドウで開きます
資料2-3
経済産業省説明資料 [PDF形式:1,858KB]別ウインドウで開きます
資料3
厚生労働省説明資料 [PDF形式:441KB]別ウインドウで開きます
資料4-1
内閣府説明資料 [PDF形式:3.154KB]別ウインドウで開きます
資料4-2
文部科学省説明資料 [PDF形式:3,217KB]別ウインドウで開きます
資料5-1
内閣府説明資料 [PDF形式:2,128KB]別ウインドウで開きます
資料5-2
文部科学省説明資料 [PDF形式:1,127KB]別ウインドウで開きます
資料6
第5次男女共同参画基本計画(第5分野)の取組状況について [PDF形式:2,110KB]別ウインドウで開きます
資料7
井上委員提出資料 [PDF形式:297KB]別ウインドウで開きます

【出席者】

会長 山田 昌弘 中央大学文学部教授
委員 石黒 不二代 世界経済フォーラム 日本代表
井上 久美枝 日本労働組合総連合会副事務局長
大崎 麻子 (特活)Gender Action Platform理事
北仲 千里 広島大学ハラスメント相談室准教授、
NPO法人全国女性シェルターネット共同代表
小西 聖子 武蔵野大学副学長・人間科学部教授
小林 哲也 小林総合法律事務所弁護士
佐々木 成江 東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻特任准教授、
横浜国立大学客員教授/学長特任補佐「ジェンダード・イノベーション担当」
治部 れんげ 東京科学大学リベラルアーツ研究教育院准教授
鈴木 準 株式会社大和総研常務執行役員
徳倉 康之 NPO 法人ファザーリング・ジャパン理事、
株式会社ファミーリエ代表取締役社長
納米 惠美子 NPO法人全国女性会館協議会代表理事
橋爪 隆 東京大学大学院法学政治学研究科教授
山口 慎太郎 東京大学大学院経済学研究科教授
山本 勲 慶應義塾大学商学部教授
内閣府 岡田 恵子 男女共同参画局長
小八木 大成 大臣官房審議官(男女共同参画局担当)
大森 崇利 男女共同参画局総務課長
上田 真由美 男女共同参画局推進課長
田中 宏和 男女共同参画局男女間暴力対策課長
中山 奈津美 男女共同参画局推進課企画官
金融庁 新発田 龍史 企画市場局審議官
小澤 裕史 企画市場局企業開示課課長補佐
文部科学省 江﨑 典宏 大臣官房審議官(総合教育政策局担当)
先﨑 卓歩 科学技術・学術政策局 科学技術・学術総括官
厚生労働省 大隈 俊弥 大臣官房審議官(雇用環境、均等担当)
有瀧 悟史 雇用環境・均等局職業生活両立課課長補佐
野村 ひとみ 雇用環境・均等局雇用機会均等課母性健康管理係専門官
吉越 正幸 雇用環境・均等局雇用機会均等課課長補佐
岡 裕美 雇用環境・均等局有期・短時間労働課課長補佐
加藤 正嗣 労働基準局労働条件政策課労働時間特別対策室長
藤代 岳志 労働基準局監督課中央労働基準監察監督官
橋本 泰明 労働基準局安全衛生部労働衛生課メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室室長補佐
戸石 輝 健康・生活衛生局がん・疾病対策課相談支援専門官
経済産業省 相馬 知子 経済産業政策局経済社会政策室長

議事録

2025-1-31 第6次基本計画策定専門調査会(第2回)及び計画実行・監視専門調査会(第39回)

15時00分~18時13分

○山田会長 定刻となりましたので、ただいまより第2回「第6次基本計画策定専門調査会」及び第39回「計画実行・監視専門調査会」を開催いたします。
 なお、本日御欠席の委員は、桑原委員、白波瀬委員でございます。また、治部委員が16時頃から、山本委員が16時30分頃までの御出席とお聞きしております。
 本日は、前回に引き続き、「第5次男女共同参画基本計画のフォローアップ」を行っていきたいと思います。
 資料1「第5次基本計画のフォローアップにおけるヒアリング事項(予定)」のとおり、第5次基本計画の「基本的な視点及び取り組むべき事項」に基づき実施したいと考えております。
 本日は、このうち、
 ・企業等における女性登用の加速化
 ・所得向上・経済的自立に向けた取組
 ・教育・メディア等を通じた男女双方の意識改革
 ・科学技術分野における男女共同参画の推進
について取り上げます。関係府省の説明をひととおり聞いた後、質疑応答・意見交換の時間を設けたいと思います。
 まず、内閣府、金融庁、経済産業省より、「企業等における女性登用の加速化」に関し説明をお願いいたします。
 初めに、内閣府からお願いいたします。
○上田課長 内閣府男女共同参画局推進課長の上田でございます。
 資料2-1、企業における女性登用の加速化について、御説明させていただきます。
 1ページでございます。一番下にございますように、第5次男女共同参画基本計画におきまして、当時、「東証一部上場企業役員に占める女性の割合」という目標設定がされておりましたが、市場の再編が予定されておりましたので、それを踏まえて目標を再設定することになっておりました。
 そういった状況もございまして、2023年の女性版骨太の方針、一番上になりますけれども、こちらで、2030年までに女性役員の比率を30%以上とすることを目指す等の目標が掲げられまして、その後、有価証券上場規程の一部改正。
 また、一番下にございますとおり、第5次男女共同参画基本計画につきましても、2025年までに東証プライム市場上場企業役員に占める女性の割合について19%、同じく東証プライム市場上場企業のうち、女性の役員が登用されていない企業の割合をゼロ%にすることが2025年までの目標として設定されたところでございます。
 2ページ目でございます。内閣府におきまして、上場企業の役員に占める女性割合等に関する調査を実施しております。対象といたしましては、令和6年7月末時点の上場企業を対象にアンケート調査をさせていただいておりまして、中ほどの表にございますとおり、東証プライム市場上場企業役員に占める女性の割合は15.6%、女性の役員が登用されていない企業の割合は4.0%となってございます。
 その下にございます表ですが、女性の役員登用目標を設定している企業の割合につきましては、東証プライム市場上場企業におきまして20.0%、目標を設定し、その目標達成に向けた計画を策定しておられる企業の割合が10.9%という状況でございます。
 次の3ページ目、4ページ目が、これまでの推移も含めてお示ししているグラフとなっております。女性役員の割合につきまして、直近が15.6%、先ほどの数字と同じになっております。
 4ページ目につきまして、女性役員がいないプライム市場上場企業の割合につきましては、年々割合が下がってきておりまして、直近は4.0%となってございます。
 5ページ目は、社内役員、社外役員それぞれで見た場合の女性の役員の割合でございます。社外役員につきましては女性が30.1%であるのに対しまして、社内役員では4.5%ということで、社内での登用がまだ少ないところが課題としてあるところでございます。
 6ページ目でございます。こうした状況の中で、2024年版の女性版骨太の方針の中では、この中の1つ目のポツにございますとおり、女性登用の意義や必要性に関するセミナーの開催、また、3つ目のポツの中ほど以降になりますが、役員の登用目標を含めた行動計画を策定している企業の事例を参考とした行動計画策定ガイドという事例をまとめたもの、また、役員候補となる女性人材のパイプライン構築を目的といたしまして、ロールモデルとなる女性役員等の事例集の作成等を掲げておりまして、現在こういった取組を進めているところでございます。
 7ページ目に掲載してございますが、令和5年度にも女性登用の加速化に向けた調査研究、取組事例集をまとめてございます。
 実際には、お示ししているページ以降に、それぞれの各先進的な企業の事例を示しておりますが、共通して出てきた取組のポイントといたしまして、社内の意識醸成や育成の強化、両立の観点を踏まえたキャリア形成や雇用管理、個別支援などが先進的な企業の中で共通して取り組まれている観点となっております。
 8ページ目になりますが、ワーク・ライフ・バランスの推進という観点で、特に先進的な企業についても取組をまとめた事例集を昨年度作成しておりまして、こちらも内閣府のホームページで先ほどの事例集と併せまして周知をしているところでございます。
 9ページ目でございます。先ほど申し上げましたとおり、こちらは経団連さんと合同で開催しておりますダイバーシティ・マネジメントセミナーでございます。1月29日に開催をしておりまして、女性役員の登用に向けまして具体的な取組を進めていらっしゃる企業の方、また、例えば男女間の賃金差異の分析などを踏まえた取組を進めていらっしゃる企業の方々からお話をいただいたところでございます。大変多くの方に御参加をいただいたところでございます。
 最後、10ページ目となりますが、今後も女性登用加速化セミナーということで、こちらは内閣府の主催となりますが、実際に女性登用を進めていらっしゃる企業の方々にその取組、それに加えまして、機関投資家の視点から見て女性活躍情報の開示がどういった意義があるかというところも含めまして、その後、パネルディスカッションなども予定をしております。こちらのセミナーも開催していきたいと考えているところでございます。
 内閣府からは以上でございます。
○山田会長 ありがとうございます。
 続いて、経済産業省からお願いいたします。
○相馬室長 経済産業省経済社会政策室の相馬と申します。
 経済産業省で進めております女性の活躍に関する政策について御説明をさせていただきます。
 ページをめくっていただきまして、「女性役員登用の促進」、「女性起業家支援」、「健康経営の推進」という3点について御報告をいたします。
 3ページ目は目標です。
 4ページ目を見ていただきまして、経済産業省で女性の様々な施策を進めているのですけれども、多様性全般に対する取組というのをまず大きな傘として進めております。ダイバーシティ経営ということで進めておりまして、ダイバーシティ経営に取り組む企業を増やすべく、普及のためのリーフレットの作成とか、ダイバーシティ経営をどのように進めていったらいいのかといったツールなどを準備して普及を進めているところになります。
 令和6年度につきましては、次のページにもありますとおり、なぜダイバーシティが必要なのかといったことにつきまして有識者との鼎談とか、実際にどのようにダイバーシティ経営を進めていったらいいかといったことを記載したリーフレットなどを作成して、周知・啓発を図っているところでございます。
 その中で、女性に関してというところが次のページからの御説明になります。
 まず6ページをお願いいたします。こちらは、「なでしこ銘柄」になります。
 なでしこ銘柄は、平成24年度から経済産業省と東京証券取引所が共同で実施をしておりまして、女性活躍推進に優れた上場企業を投資家に魅力ある銘柄として御紹介していくといった事業になります。令和6年度で13回目となっておりますけれども、令和5年度から、これまでずっと続けておりました女性のキャリアといった面に加えまして、共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援というところも評価の対象に加えまして推進をしております。
 7ページ、8ページに、実際どのような企業が選定されたかというところを参考で載せています。
 9ページ目をお願いいたします。女性リーダーの育成ということで、企業の女性役員候補の方向けに、経営者に必要な高い視座とか人的なネットワークの構築を目的としまして、平成27年からWILという研修を実施しております。これまで265名の方が参加されまして、実際50名以上の方が執行役員以上に登用されて活躍をされているという状況になっておりまして、現在、アルムナイを設立されて、アルムナイの活動も始まっております。研修内容は、下にありますとおり、政府関係者とか企業経営者による勉強会と、半年間にわたるグループ別の政策研究という2本立てで行っているものになります。
 続きまして、次のページの「企業横断メンタリングプログラム」を御紹介いたします。こちらは令和4年度に実施した取組になりますが、女性の昇進意欲とかリーダーシップの向上を目指して、合計29社、メンター・メンティーを合わせて54名の方が参加したプログラムになります。ここでの実績を基にクロスカンパニーメンタリングに開発するマニュアルを公開して、各社で活用していただくことを想定しております。
 実際に、こちらのメンタリングに参加された企業が自主的にほかの会社を誘って合同でメンタリングを継続するという取組も出ておりまして、令和6年度の実践の事例としまして、右下にありますとおり、2つのグループでそれぞれの企業の方が自主的にこちらのメンタリングを継続していただいている状況になっております。
 続きまして、女性特有の健康課題と仕事の両立に向けたフェムテックの活用の推進について御紹介をいたします。
 フェムテックにつきましては、企業において女性が長く働き続ける、責任を持った仕事を続けていくというところで、健康の課題を解決するというのが非常に重要という認識の下、フェムテックなどを企業とか自治体に活用していただきたい、そんな思いの下で実証事業を行っております。令和3年度以降の4年間で70件を採択しております。こちらの実証を通して、様々な企業の方に実際にフェムテックの活用をしていただきまして、周知とか本格的な導入につながっている事例もございます。
 また、普及啓発の一環としまして、12ページにありますとおり、企業向けのセミナーなども行っておりまして、令和6年につきましては約100名の方が参加されて、女性の健康とかフェムテックについてお話を聞いていただいた上で、実際のフェムテック製品の体験やネットワーキングを実施したところであります。
 続きまして、「女性起業家支援」について御説明をさせていただきます。
 14ページが、女性起業家に関する目標数値になっております。
 15ページに行っていただきまして、経済産業省では令和5年5月に「女性起業家支援パッケージ」を公表しております。左にあるような女性起業家が抱える問題が様々ございますが、そちらを総合的に解決するということで、右側にあるような「ロールモデルの創出」とか「女性起業家支援ネットワーク構築」など、様々なテーマにおける支援パッケージを策定していろいろな取組を行っております。
 次のページからは、支援パッケージに記載がある事業のそれぞれの詳細とか実績などについて記載をしているところになります。まず、「ロールモデルの創出」ということで、J-Startupにおける女性起業家の増加というところですけれども、こちらについては女性の経営者を増やすべく、様々な活動を行っているところになります。
 少し飛ばしていただきまして、例えば、19ページにございますとおり、「女性起業家海外派遣プログラム」ということで、様々なプログラムがございますけれども、特に女性起業家に特化してこちらにあるようなことを行っているところであります。
 21ページに行っていただきまして、こちらは「令和6年度女性起業家支援ネットワーク構築事業」として行っているものになります。こちらは、全国を9地域に分けまして、各地域に根差して活動される女性起業家の方に対して一貫した支援を行っていくネットワークを構築するという事業を今年度行っているものになります。事業計画に対する助言、支援者のマッチングに向けたイベント、発表会などを行っているものになっております。
 今年度は、9地域のうち4地域でビジネスプランの発表会を1月に実施しておりまして、全国で210名の応募がございまして、4地域で計40名のファイナリストの方を選定しています。実際、ビジネスプランの発表会の場でファイナリストの方に対して、様々なサポーターとして登録いただいた企業がどういった支援ができるかといったところのマッチングなどを行ってまいりました。
 23ページに行きまして、「マッチングの場の提供」ということで、Japan Open Innovation Councilにおいて女性起業家ピッチも行っております。
 また、24ページにありますとおり、「日本政策金融公庫による融資」ということで、女性、若者、高齢者を対象にした支援も行っているところであります。
 26ページに行っていただきまして、最後に「健康経営」のところを御説明させていただきます。
 27ページです。経済産業省におきましては、これまで10年以上健康経営というものを推進してきております。健康経営とは、従業員の健康の保持とか推進の取組が将来的に収益性を高める投資であるという考え方の下、健康管理を経営的な観点から考えて戦略的に実施することとしておりまして、法人がどのように取り組んでいらっしゃるかというところを可視化して、ステークホルダーからの評価を得られるように、健康経営銘柄と健康経営優良法人認定制度の2つの顕彰制度を行っております。
 28ページに行きまして、女性特有の健康課題というのがいろいろ話題になっておりますが、経済産業省で試算したものがこちらになります。企業が女性特有の健康課題に取り組まなかった場合の社会全体の経済損失を試算したところ、年間で約3.4兆円と推計されています。
 健康課題の実践のためには、従業員一人一人の状況を丁寧に把握する必要があると思いますが、就業されている女性の健康課題が特に業務効率とか就労継続に大きな影響を与えているということで、非常に重要なテーマがあるということで、こちらの数字を試算して公表したところであります。引き続き、「健康」というテーマが重要ということで、進めてまいるテーマとなります。
 30ページに行っていただきまして、女性の健康課題に取り組む事業者を増やすためにどういったことをしているかということですが、令和5年の健康経営度調査ではこれまで2問、セミナーなどを通じた知識向上に関する取組と、行動変容を促すための女性の健康に関する取組を問う設問を用意して、どちらかに取り組んでいればこの項目を○としていたものにつきまして、両方に取り組んでいる場合だけを認めるような認定要件の厳格化を行っております。こういったことを通じて、企業が女性の健康について取り組むというところを推進する一助になるかと考えています。
 また、31ページにありますけれども、今年度の健康経営度調査におきましては、アンケートとしてプレコンセプションケアに関する問いを新設しております。
 32ページに行っていただきまして、来年度、「健康経営における女性の健康施策の効果検証プロジェクト」を実施する予定にしております。各企業において、いろいろな課題があるかと思うのですけれども、女性の健康課題に関する取組をそれぞれのステップに応じて進めていただけるように、各プロジェクトに参加いただける法人の方に、どういう時点にいるかというところを明確にした上で、効果指標とか実施内容を明示して、自社に合ったものを選んでいただくということで、同じ取組を実施するほかの参加法人の方も含めた現状把握などが可能になってくる、そんなプロジェクトになっております。
 33ページをお願いします。女性の健康施策ですけれども、研修や組織体制などの土台づくりと、費用補助やサービス提供補助などの個別の具体的な支援策など、様々な施策があると考えています。今御紹介したプロジェクトにつきましては、これらの様々な施策のうち、各企業の状況に応じて一歩ずつ取組を進めてもらえるような仕組みになっています。
 34ページです。こちらも現時点の予定で、繰り返しになりますけれども、企業のお悩み別に、何を始めていいか分からない企業、施策は実施しているけれども利用率が低い企業、利用率は高いが効果を分析できていない企業などに分けて効果を測定していただいて、同様の取組をしている企業と比較ができるようなフィードバックを行っていく予定にしております。
 最後、35ページになります。多くの企業が他社はどのような取組をしているのかについて知りたいとか悩まれているということを受けまして、今年度末までにより質の高い健康経営の実践に向けて、女性特有の健康課題に関する企業の取組事例集を公表する予定にしております。こちらは、健康経営優良法人認定事業事務局のポータルサイトで公開いたしますので、ぜひ多くの方にご覧いただければと考えています。
 来年度につきましても、御説明しました実証事業をはじめとして、引き続き女性の健康に重点的に取り組んでまいる予定としております。
 経済産業省からは以上です。
○山田会長 ありがとうございました。
 続いて、金融庁、よろしくお願いいたします。
○新発田審議官 金融庁の新発田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 金融庁の取組でございますけれども、まずおめくりいただきまして、各企業の取組が有価証券報告書で開示されていきます。我々としてはよりよい開示の事例を紹介することによってさらに先に進んでいただきたいといったところで今施策を進めているところでございます。
 このページは、有価証券報告書に何を書くのかということで、赤で囲っておりますけれども、女性活躍推進法で求められている女性管理職比率、男性育児休業取得率、男女賃金格差といったものの開示が求められているということでございます。
 次のページは、実際の開示のイメージを記載しています。こちらにあるようにそれぞれの項目について数字を開示することになっておりますが、かなりの企業が必要最小限しか開示をしていないという現状が、恐らく投資家の方からするともう少し情報が見たいという要望に繋がっているところではないかと考えてございます。
 そういったことから、次のページにありますように、我々は、「記述情報の開示の好事例集」という取組を進めております。これは、それぞれの企業が毎年有価証券報告書で開示しております記載内容について、より優れた、ぜひほかの企業に参考にしてほしいような事例を横展開できないかとの趣旨で集めて公表しているものです。これらの事例を作るにあたっては、勉強会で、企業の方、投資家、アナリスト及び有識者の方に、どう言う開示がよいのか、あるいはどういうところに苦労があったのかを議論しております。既に昨年末の12月27日に人的資本に関連する部分は公表してございますので、もし御関心がある方がいらっしゃいましたらご覧いただければと思います。この中で、幾つか今回のテーマに関連するものを3社ほど御紹介させていただきます。
 ページをおめくりいただきますと、まず、積水ハウスという会社が出ております。一番左の上には【従業員の状況】ということで、法律で求められている項目の開示がございますけれども、左の下に「好事例として着目したポイント」とありますが、ここにもございますように、なぜペイギャップがあるのかということについて、補足的に職群や等級ごとに賃金差異の状況を定量的に記載して、それぞれこれまでにどういう取組をしてきたのかということを丁寧に書いているところが特徴的であるということでございます。
 次のページをおめくりください。こちらのほうがより詳細に定性的な記述がございます。まさに差異がどこに起因しているのか、そういったものをどう解消していくのかということについて、今後の展望も含めて記載しているところが投資家の方たちからすると非常に参考になるといった御意見をいただいたところでございます。
 続きまして、1枚飛ばしていただいて住友理工さんのところです。こちらも左下にどこがよかったのかということですけれども、総合職に対するキャリア志向に関するアンケート調査などを踏まえてどういう取組をしているかというところについて端的に記載しています。それから、女性管理職比率にとどまらず、グループリーダー、現場監督者といった周辺も含めて、より全体のタレント・パイプラインが見えるようになっているところが評価を得ているところであります。
 また1枚おめくりいただきまして、この会社につきましては、育児休業のところも、平均取得率だけではなくて平均取得日数も書いているのが特徴的でございます。
 さらにおめくりいただきますと、三菱UFJフィナンシャルグループの有価証券報告書でございます。こちらも、賃金差異の分析にとどまらず、それをどうやって解消していくのかというところまで踏み込んだ開示がなされている点が評価の高かったところだ承知をしております。
 この3社が全てということではなくて、ほかにも皆さんいろいろやっていると思いますけれども、こういった事例を拾い上げていくことによって各企業の実際の取組につなげていきたいというところでございます。
 おめくりいただきまして、こういった取組も含めたコーポレートガバナンス改革全体を毎年アップデートしておりまして、まさにこういった取組が企業の価値向上につながっていくのだという中で様々な施策を講じておりますけれども、その一つとして、一つおめくりいただきまして、赤で囲っておりますが、サステナビリティのところです。
 一番上の項目は今ほど御紹介したところでございますけれども、一番下のところは女性役員比率ということで、こちらは東証の話でございますが、これを踏まえた取組をしていく必要があるということでございます。
 次のページが最後になりますが、このように既に目標が決まっているということで、これに沿ってそれぞれ企業が対応しているところですが、足許、投資家の御意見等々を聞いておりますと、確かに女性役員の数は増加傾向にあるということではございますけれども、社内からの昇格がまだ限られていて、タレント・パイプラインが構築できていない、その結果として社外人材への依存が強いという指摘がありますので、次の課題、あるいはさらに進めていくとすれば、内部でしっかりと女性の幹部候補を育成していくといった取組が必要ではないかと。そういった問題意識を持ちながら、それにかなうような実際の事例を拾って、好事例として共有していくということで実際の企業のアクションにつなげていきたい、このように考えてございます。
 金融庁としては以上でございます。ありがとうございました。
○山田会長 ありがとうございました。
 続きまして、厚生労働省より、「所得向上・経済的自立に向けた取組」に関して説明をお願いいたします。
○大隈審議官 厚生労働省雇用環境・均等局の大隈と申します。
 資料3を用意させていただいております。
 めくっていただきまして、ヒアリング事項として非正規雇用、仕事と育児・介護の両立、長時間労働、健康支援ということでございますので、順に御説明させていただきます。
 次のページです。まず、非正規雇用関係ですけれども、同一労働同一賃金ということで、働き方改革関連法の関係で法律の整備をいたしております。「不合理な待遇差の禁止」ということで、パート・有期法第8条、第9条を根拠に取組を進めております。これは、同一企業の中で正社員とパート・有期雇用労働者の間の基本給や賞与などのあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることを禁止ということで、裁判の際に判断基準となる均衡待遇と均等待遇を規定したものでございます。
 「均衡待遇」のところに書いてありますが、職務内容、あるいは職務内容と配置の変更範囲、その他の事情のうち、適切と認められる事情を考慮して不合理な待遇差を禁止するということで、これは均衡ということでバランスを取るということです。もう一つ、「均等待遇」というのがありますが、これは職務内容とかその変更範囲が同じであれば差別的取扱いを禁止するということでございます。
 こちらは、一番下に書いてありますけれども、令和2年4月から施行されておりまして、中小企業は翌年の令和3年4月1日、これに現在取り組んでいるところでございます。
 次のページでございますが、同一労働同一賃金を企業に遵守してもらうために、行政として徹底するということの取組の資料でございます。これにつきましては、一番上のところに書いてございますけれども、パート・有期法につきましては全国47か所に労働局雇用環境・均等部がございますので、こちらで企業に対して報告を求める報告徴収を通じて施行状況の確認を行って、法違反が認められた場合は助言・指導などを行っております。また、働き方改革支援センターにおいてで、企業のほうでもどのように対応していいか分からないというケースもございますので、コンサルティングも併せて行っております。
 それから、順次、この徹底の取組も強化しておりまして、令和4年12月から、オレンジで書いてあるところですが、労働基準監督署は労働局より数が多いというところですので、こちらのリソースも使って、労働基準監督署を通じて事実関係を確認して、指導の対象になる企業を選定するといった連携も行っております。
 次のページをご覧いただければと思いますが、企業における対応状況でございます。同一労働同一賃金などに取り組んでいる、または取り組んだ事業所の割合を調べたものですが、調査対象計で63%でございます。それ以外に、待遇の見直しは必要ないと判断したとか、異なる雇用形態が存在しない事業所まで含めると90%でございますが、まだ1割程度取り組んでいないという企業もございますし、特に規模の小さな企業ほどその割合が高いという状況でございますので、引き続き遵守の取組を徹底していきたいと考えております。
 次のページでございます。これは非正規雇用の方の正社員への転換、あるいは処遇改善のため、後押しするための助成金でございます。ここも様々なメニューがございます。例えば、2番の「事業の概要・スキーム」の一番上に「正社員化コース」というのがございます。こちらは、例えば有期雇用労働者を正社員化する企業につきまして、「支給額」のところにありますが、有期から正規にする場合は1人当たり80万円を支給するといった形で後押しをしております。
 また、真ん中辺りに「賃金規定等改定コース」とございますが、こちらは有期雇用労働者のままでありますが、賃金規定を変えて賃金を一定以上上げる場合に助成するという内容で、例えば5%以上引き上げた場合は1人当たり6.5万円といった助成の仕組みでございます。これについては、右の上のほうにありますが、令和5年度の実績として6万5000件余りの支給を行っております。
 次のページでございます。もう一つ、多様な正社員というものがございます。こちらは残業も転勤もあるようないわゆる正社員と比べて、例えば勤務地が限定された正社員、職務が限定された正社員、短時間正社員といったものでございますが、非正規雇用から一足飛びに残業や転勤があるいわゆる正社員には行けないケースについても、こういった形で正社員になるという道ができてくるという意味では、可能な限り促進、導入拡大を進めているというものでございます。
 多様な正社員制度の導入状況ですけれども、令和5年度で23.5%、何らかの多様な正社員制度を導入しているという事業所でございます。これは、事業所規模ごとの割合で言うと大企業ほど高く、小さい企業ほど少ないといった形でございます。各制度の導入状況についても、短時間正社員制度が一番多いですけれども、いずれも1割から2割の間ぐらいということでございます。
 導入支援策を一番下に書いてありますけれども、行政としてもセミナーとか先行企業の事例収集、あるいは動画での発信などを行っているところでございます。
 続きまして、2つ目の項目であります仕事と育児・介護の両立支援でございます。
 めくっていただきまして、これは第一子出産前後の妻の就業変化でございます。最新の状況で、約7割の女性が第一子出産後も就業継続しているということで、下に帯グラフで子供の出生年ごとの時系列がございますが、一番右、2015-19というのが最新の状況でございます。妊娠前から無職の方もいらっしゃいますので、そういう方を除いて、出産前有職の方の中で出産後継続就業される方という形で見たときに、69.5%、約7割です。
 時系列で見ますと、一番上の部分の紫の「妊娠前から無職」という方の比率は年々下がってきているということです。それから、そのすぐ下の「出産退職」というところもだんだん幅が狭まってきておりますので、全体としては出産後、継続就業するという比率は高まってきているということでございます。
 次のページは、育児休業の取得率と取得期間の状況でございます。育児休業取得率は、女性は8割台で推移しております。一方で、男性は女性に比べて低い水準でございますけれども、左下の青い折れ線グラフでございますが、令和5年は30.1%で、令和4年が17%でありましたので、この1年で大きく伸びている状況でございます。
 それから、育児休業の取得期間が右側の表でございます。女性は9割以上が6か月以上という赤で囲った部分でございますが、一方で男性は赤枠で囲った部分、2週間未満のところですが、約4割を占めております。令和3年度と5年度を比べると徐々に男性も取得期間は伸びておりますけれども、まだまだ女性と比べて短期間の取得が多いという状況でございます。
 続きまして、次のページでございます。こちらは、「くるみん」という仕事と家庭の両立に取り組む優良な企業を認定してマークをつけていただくような仕組みです。目標が左上に書いてありますけれども、これは第5次計画におきましても2025年までに4,300社という目標を掲げて取組を促進してまいりましたが、令和6年3月末で4,481社まで伸びてきておりまして、最初の目標は達成した状況にございますが、これにとどまらずにさらに多くの企業に認定を取得していただけるように取り組んでいきたいと考えております。
 次のページは介護のほうです。家族の介護・看護を理由とする離職者数等の推移で、いわゆる「介護離職」などと呼ばれておりますが、平成24年、平成29年、令和4年の調査で見まして、離職者は10万人前後で多少減ったり増えたりしておりますが、令和4年で言うと10.6万人でございます。
 一方で、家族の介護をしながら働いておられる方は一貫して増加しておりまして、令和4年調査では364.6万で、家族の介護をしながら就業されている方は増える中で離職者は横ばいぐらいですけれども、それでも離職される方がいるということなので、なるべくそういうことがない、就業を継続していただけるように取り組んでいきたいと考えております。
 次のページでございます。育児・介護と仕事の両立関係の法整備ということで、2回行っておりますけれども、最初のページは令和3年のものでございます。「改正の概要」のところでありますが、1つの課題として、男性の育児休業取得を促進していくということで、1番目はそのための法整備ですが、「産後パパ育休」という形で、子供の出生後8週間以内に4週間まで取得できる柔軟な育児休業で、通常取れる育児休業とさらに別に柔軟に取れるものを新たに設けたという改正でございます。
 2番の②のところですが、事業主から労働者に対して個別の制度周知と休業の取得意向の確認ということで、妊娠あるいは出産したという労働者に対しては、事業主から育児休業制度を使うかとか、その辺の意向も確認することを義務づけたということでございます。
 これがちょうど施行されたタイミングと先ほど男性の育児休業が増えて30%になったというところを考えると、これの効果も一部増加した要因になっているのではないかと考えております。
 3番に、育児休業を分割して取得できるようにすること、4番に、1,000人超規模の企業については育児休業の取得状況を公表することを義務づけるといった改正を行っておりまして、これは令和4年から5年にかけて施行したものでございます。
 次のページは、令和6年改正ということで昨年改正したものでございます。こちらは、「改正の概要」の1番目のところですが、お子様の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置を広げる。具体的には、子供が1歳ぐらいまでは育児休業を取られる方が多くて、1歳から3歳ぐらいは短時間勤務という形が割と希望としては多いのですが、3歳を過ぎて小学校就学前ぐらいだと、むしろフルタイムで残業なしとか、フルタイムでテレワークとか、フルタイムの中での柔軟な働き方を希望される方が多いということに対応して法改正をしたものでございます。これは、事業主に柔軟な働き方の選択肢を設けていただいて、その中から労働者が選べるようにという措置を義務づけたものでございます。
 それから、2番目ですけれども、①の育児休業の取得状況の公表義務の対象は、直前の法改正で1,000人超にしたところですが、この改正で300人超という形で対象を広げております。
 介護離職防止が3番目ですけれども、こちらも例えば①にあるように、家族の介護に直面した労働者について、両立支援制度について個別の周知とか意向確認を行うことを事業主に義務づけて、介護休業を取れることを知らないまま離職してしまうことがないようにという形での法改正をしております。
 あとの4ページは今の点を詳しく書いたものなので、説明は割愛させていただければと思います。「両立支援等助成金」というところまで飛んでいただければと思います。
 「両立支援等助成金」ということで、育児・介護関係も事業主にいろいろ義務づけしているのですけれども、それだけではなくて助成措置も併せて講じております。
 ここで2番の「事業の概要・スキーム」で、例えば、一番上に「出生時両立支援コース」がありまして、男性の育児休業取得は1人目のときに20万円、あるいは男性育休取得率が一定程度、例えば30%ポイント以上上昇した場合に助成金を出すという形でのインセンティブです。
 それから、3つ目のところですけれども、「育休中等業務代替支援コース」という形で、これは周囲の労働者に気兼ねをして育休がなかなか取りにくいといったケースに対応して、一部の企業の中では周囲の職員に手当を支給するといった取組も出ていますので、そういう場合にその企業に対して助成金を支給するといったメニューも設けてございます。
 次のページでございますが、これはまた別途の企業への支援策で、特に中小企業対象とするものでございます。真ん中の青いところの建物の絵が書いてある辺りですけれども、(1)の「事業主・労働者支援」、国から中小企業に矢印が出ておりますけれども、仕事と家庭の両立プランナーという労務管理の専門家が個別の企業に応じた様々なアドバイスをできる仕組みとか、その上に(3)とありますが、運用マニュアルとか解説動画とか、いろいろ使って分かりやすいように周知をしているところでございます。これによって、右側にありますが、育児中の労働者とか介護中の労働者が離職しないで済むようにという形でやっているものでございます。
 次のページは、男性の育児休業取得促進ということで、これは周知啓発事業ですけれども、積極的に育児をする男性を周知・広報・支援するということで、事業の概要のところにありますが、企業向けのシンポジウム、好事例の周知、セミナー、研修動画など、幅広く発信しているものでございます。
 次が長時間労働の是正の問題でございます。
 めくっていただきまして、年間総実労働時間の推移があります。左側ですが、年間の総実労働時間は減少傾向で推移していますが、これはパートタイム以外の一般の労働者の労働時間がほぼ横ばいの中で、パートタイム労働者の比率が高まっていることが要因と考えられます。
 右側は就業形態別で、一般労働者はおおむね年間2,000時間台で推移していたところですが、平成30年以降は2,000時間を下回っております。それから、パートタイム労働者は長期的に減少傾向で推移して、令和元年以降、1,000時間を下回っている状況でございます。
 次のページは男女別の労働時間で、男女別に見ても男女とも減少傾向にありますが、令和5年で見ますと男性のほうが407時間多いということでございます。女性の労働時間の減少傾向は、パートタイム労働者比率の増加の影響が大きいと考えられます。
 また、右側ですけれども、月末1週間に60時間以上就業する雇用者の割合が、男性については減少傾向にありますが、依然高い水準で、7%台で推移しております。厚労省としては、労働基準監督署などによる監督指導の徹底のほか、働き方改革支援センターとか助成金などのソフト面での支援も併せて、長時間労働の是正に取り組んでいるところでございます。
 次のページは、実際の長時間労働削減のための取組です。1番目にありますとおり、監督指導を徹底するということで、赤字で書いていますけれども、令和5年度に2万6000社ほど監督指導をやって、44.5%に違法な時間外労働があって是正指導しています。3番目のところにありますとおり、行政としての監督指導とか捜査体制を強化するといった取組。それから、5番目のところで企業名公表制度ということで、特に違法な長時間労働とか過労死事案などについて公表あるいは全社的な指導を行うといったこともやっております。それから、7番目、電話相談窓口なども設置しております。8番目のところですが、取引の在り方とか業界慣行による部分もあるかと思いますので、中小企業庁とか公正取引委員会などと連携した取組も行っております。
 次のページは支援策ということで、1番目は監督署の中に対応チームをつくってやっていますということ。2番目のところは、民間団体に委託した「働き方改革推進支援センター」によるソフト面での支援。3番目も、助成金ということで、ソフト的な支援でございます。
 次のページは飛ばしていただいて、その次のページでございます。働き方改革推進支援センターです。民間団体に対して委託をして、中小企業などの求めに応じて訪問してコンサルティングをするとかセミナーをするという形で、長時間労働も含めて働き方改革を支援するという取組です。これは、5年度で言いますと、相談の件数は4万件、コンサルティングも3万7000件という実績が出ています。
 次のページは働き方改革の助成金ということで、「事業の目的」のところにございますけれども、労働時間を短縮するためには生産性を向上しなければならず、そのためには設備投資などの取組に費用もかかるといったケースもありますので、それに対応した取組に対して助成をする仕組みもございます。
 最後でございますけれども、生涯を通じた健康支援ということで、治療と仕事の両立です。
 次のページをおめくりいただければと思います。一番上のところに赤字で書いていますけれども、治療と仕事の両立支援を推進しております。全体的な取組としては、ガイドラインをつくって周知啓発するといったことがありますが、それ以外に、がん患者の治療と仕事の両立支援、働く女性の両立支援、不妊治療関係など、個別の取組も組み合わせてやっているところでございます。
 次のページでございますが、「治療と仕事の両立支援ガイドライン」を作っておりまして、真ん中の辺りに事業場における環境整備として、研修、相談窓口、休暇制度・勤務制度、これは例えば通院するときに必要な時間単位の休暇とか病気休暇とか時差出勤とか、そのようなことも含めた環境整備についてのこととか、両立支援の実施手順というのが下に書いてありますが、企業と労働者と主治医がプレーヤーとして出てきますけれども、その間の情報提供、主治医の意見書をやり取りしたりする、その辺りのやり方についてガイドラインとしてまとめております。
 次のページは、がん患者関係でございます。右下をご覧いただければと思いますけれども、がん診療連携拠点病院における支援ということで、拠点病院に就労の専門家、社会保険労務士などを配置して相談に対応するとか、これも同じく拠点病院に両立支援コーディネーターの研修を受講した相談支援員を配置して両立支援を行うといった取組を順次行っております。
 次のページは、事業者、労働者等がステージごとにそれぞれどういうことを取り組んでいくのかという資料でございますので、割愛させていただきます。
 次のページは、働く女性の健康支援事業で、これも女性の活躍促進のためには健康に働き続けることができるような支援が必要であるということで、それぞれ女性のライフステージごとの課題について理解を深めていただく必要があるということでございます。
 主な取組としては、右側に「働く女性の健康応援サイト等による周知啓発」と書いておりますが、次のページにイメージがございますのでご覧いただければと思います。このようなサイトを設けておりまして、これは事業主などに御活用いただける研修用の教材とか動画の配信、企業の具体的な取組の好事例を掲載するといった内容となっております。
 次のページが、不妊治療の関係でございます。「事業の目的」のところにありますとおり、不妊治療を受ける夫婦は4.4組に1組ということで増加傾向にありますけれども、仕事との両立ができずに離職される方もあるということで一つ重要な課題になっております。こちらも、研修会などで普及啓発も行っております。
 最後ですけれども、くるみん「プラス」です。くるみんは仕事と家庭の両立支援に取り組む企業に対する認定制度ですけれども、特に不妊治療と仕事との両立の取組を行っている企業に対するインセンティブという形で、例えばくるみん認定にくるみん「プラス」というマークを設けて、さらに促進を図っているという形でございます。
 内容が多岐にわたって大変駆け足で恐縮でしたけれども、御説明は以上でございます。
○山田会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの各府省の説明を踏まえて、御質問や第6次計画策定に向けた御意見があれば、Zoomの「挙手機能」を使っていただき「挙手」をお願いいたします。議論を深めるため、他の委員から出された御意見についてのお考えなども積極的にお述べいただければと思います。また、いただいた御質問については、各府省から最後にまとめて回答していただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず、小林委員、鈴木委員の順でお願いできますか。
○小林委員 小林です。ありがとうございます。
 各省庁のほうでいろいろ取り組んでいただいて、着実に歩を進めているという感想を持ちました。どちらかというと第6次に関係してくるところかなと思うのですが、前から業界団体について、政策形成過程にどう30%割合、女性の割合を増やしていくかという取組を、公益法人なんかもそうですし、例えば学会なんかもそうですし、その辺りをどういうふうに今後進めていかれるのかを教えていただければと思います。
 2つ目としては、プライム市場についてはこれまでもかなりの取組をしていらっしゃって、それについて東証の協力もあり、かなり進んできたなという感想を持つのですが、今後、スタンダードとかグロースの市場についてどういうふうにしていくのかというところをお考えがあれば教えていただきたいと思います。
 3つ目としては、今までの施策はこういういいことがあるよとか、こういうことをしてくださいということが多かったと思うのですが、例えば、議決権行使会社のISSとかグラスルイスなどは、女性割合が少ないところについては賛成票を投じないほうがいいですよという助言をしているわけですけれども、さっき厚労省のほうであったような、企業名の公表とか、こういうことをしないとデメリットがありますよということも何かできないのかなと思って、もしお考えがあれば教えていただきたいと思います。
 以上です。よろしくお願いします。
○山田会長 ありがとうございます。
 では、鈴木委員、納米委員の順番でお願いいたします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
 何点か意見と質問を申し上げます。
 1点目は、先ほど東証プライム市場全体で女性役員は15.6%という御説明でをしたが、時価総額が大きく流動性が非常に高いTOPIX500の構成銘柄ベースで見ますと、しかも、執行役員やそれに準ずる役職者を含めずに私どもで分析しますと、既に19%になっております。30%以上という会社も50数社あります。
 経産省が、なでしこ銘柄は売上高利益率や配当利回りが高いということをなでしこ銘柄レポートでお示しになっておりますけれども、その2つの指標に加えて、最近、東証の取組に関連してますます注目されているROEやPBRも、TOPIX500のベースで見て女性役員比率が高い企業ほど高いということを私どもで確認しております。つまり、着実に前進しているということだと思います。
 ただ、先ほどスタンダード市場をどうするのかというお話もございましたけれども、TOPIX500のベースで見ても、社内取締役に限ると女性はまだ4%にすぎず、この点は全体と変わりません。また、3社以上で取締役等をやっている割合は男性よりも女性で高く、女性の場合は少ない候補者で複数社を兼任しているという状況もうかがわれます。この辺りを改善していかなければなりませんので、パイプライン構築のためには、セミナーも重要だと思いますが、有価証券報告書ベースでも開示が始まった女性管理職比率や育休取得率、男女間賃金格差などのデータを含めて、データドリブンで施策を考えて、官民を挙げて取り組んでいく必要があります。
 それから、厚労省の資料で質問ですが、キャリアアップ助成金の実績が令和5年は6万5000件余りという御説明がありましたけれども、これは例えば令和4年と比べてどうなのか、令和6年以降についてはどういう見通しを持っているのか。つまり、正社員化支援コースや処遇改善支援コースのそれぞれについて、どういう政策目標を立てて、どういう達成度になっていて、効果をどう評価しているのか。これによって正社員化や処遇改善が、雇用の構造変化として実現していると評価できるのか、それとも変わっていないのか、その辺をどういうふうに考えてらっしゃるのかをもう少しお聞きしたいと思いました。
 それから、育休ですが、取得率を先ほど見ましたけれども、取得期間の男女差がかなり大きいという問題意識があるのであれば、取得期間で調整するなり加重するなりして、実態的、実質的な取得率はどうなのかということも公式に示していくことを検討してはどうか。あわせて、いわゆる「とるだけ育休」などの指摘もありますので、育休の実態についてももう少し把握して、対応すべき点があれば施策を打っていく必要があるのではないかと思います。
 最後に、介護離職者が思うように減らない要因の一つは、やはり介護サービスの供給不足があることは確かだと思います。しかし、だからといって、介護事業者や介護の担い手を増やせと主張しても、それはなかなか難しいと思いますので、この会議としても、介護事業者の生産性向上、具体的には事業者の大規模化や介護現場でのDXのさらなる活用ということと、介護と就業が両立できる職場の実現についてこれまで以上に言っていくべきではないかと思います。育児との両立については大分進められてきていますので、今後は介護が重要です。団塊世代がこれからどんどん要介護者になっていきますので、男女共同参画社会を実現する上で介護の問題を今回の計画ではよりクローズアップすべきではないかと思います。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 納米委員、石黒委員の順番でお願いいたします。
○納米委員 ありがとうございます。
 まず全般的なことですけれども、現在は分野ごとに省庁からヒアリングをして、それに対して質問、意見という形で議論が進んでいると思うのですけれども、推進体制の整備とか強化の部分は次回議論されるのでしょうかというのが質問です。
 また、次回も分野ごとに省庁ヒアリングは継続すると思っていいのでしょうか。例えば、防災とかメディア、国際協調、それから、5次計ですと第6分野だった生活上の困難に対する支援、多様性の尊重といったテーマはこれまでヒアリングされていないと思うのですね。これについてのヒアリングと議論が行われるのかということがまず全体についての質問です。
 2つ目は、厚生労働省にお伺いしたいことが幾つかあります。1つは、まず正規と非正規という言葉の定義ですけれども、これは有期と無期と同義だと理解してよろしいのでしょうか。非正規雇用労働者の正規転換ということが言われているということは、つまり、有期雇用労働者を無期雇用労働者に転換していくという意味だと理解しますが、それでいいのかということです。
 それから、待遇の点検と見直し、不合理な待遇差の是正ができるようになっているということですけれども、実際にそれはどれぐらい行われたのでしょうか。つまり、どれぐらい実効性が現在あるのかということを知りたいということです。
 それから、非正規から正規への転換に関して、事業者側のデータが示されているのですけれども、労働者側の認識、労働者側が現在これを合理的な待遇だと考えているのかどうかということについてデータがないものなのでしょうか。
 もう一つですが、多様な正社員、柔軟な働き方について、いろいろな施策が展開されているという御説明がありましたけれども、これが新たなマミートラックになるおそれはないのでしょうか。資料の中では、「子の年齢に応じてフルタイムで残業しない働き方やフルタイムで柔軟な働き方を希望する割合が高くなっていくこと(女性・正社員)などから」とあるのですけれども、これを希望ベースでやっていくと、結局、希望するのは女性が多いということで、そこのジェンダー格差が是正されていかないということが起こるのではないかと思うのですが、そこについてどういう取組を考えてらっしゃるのかということをお聞きできればと思います。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 石黒委員、井上委員の順番でお願いいたします。
○石黒委員 ありがとうございます。
 今回のカテゴライズで中に入っているのかどうか分からないのですけれども、いわゆる企業のところで、非正規から正規への転換とか、これは今回の議論に入っているという理解でいいのでしょうか。入っていないのですかね。入っているとすれば、今まさに国会でいろいろ論議されていますけれども、例の103万円の壁を178万円に上げるとか、その議論自体が私は非常に不毛だなと思っています。前もありましたけれども、今の既得権者に損をさせてしまうので転換が進まないというような発想だと、いつまでたっても変わらないと思うのですね。まさに、178万円に変えていくという議論は、あえてパートタイムを増やすような方向にもなりかねないので、とにかく壁は撤廃というふうにしないと議論は進まないと思うのですね。
 今回、行政の話をしていて、別に議員立法とか議員の方のなさることはどんなつながりがあるか分からないのですけれども、これは議員の方も含めて啓蒙をしていただかないと、これだけ労働力不足で、女性の側に立つということだけではなく、日本経済の発展のためにここはすぐに全廃してもらわないといけないと私は思っていますので、これが今回のカテゴリーに入るのであれば、ぜひそこのところを強調したいと思います。
 それに含めて、書き方の問題ですけれども、厚労省のほうだったか、男女賃金格差はパートタイムを含めていますということで、パートタイムを含めると正確な差異が出ない。パートタイムの100何万以下の方を含めてしまうと明らかに差ができてしまいますから、書き方を正規ということでの比較にしていただきたいなと思っています。
 あと、私はよく調べていないのですけれども、私は今回の世界経済フォーラムの日本代表になってダボスというか、アニュアルミーティングにも行ってきたのですけれども、非常にたくさんジェンダーギャップのところでのレポートが出ています。メディアのほうでもいろいろと発表していただいておりますので、それをぜひ参考にしていただきたいなと思っています。よろしくお願いします。
○山田会長 ありがとうございます。
 では、井上委員、山本委員の順番でお願いします。
○井上委員 ありがとうございます。井上です。
 3点意見を述べさせていただきます。
 まず1点目ですが、総論として発言をいたします。今回、3時間という議論の時間を取っていただいていることには感謝を申し上げます。その上で、先ほどの納米委員のご発言とも関連するのですが、資料1のヒアリング事項のペーパーについてワンペーパーにまとめられているのですけれども、このベースになる資料が前回参考資料4として、各省庁がそれぞれ検証した膨大なものが配付されています。それを検証するための議論をするには、今回のタイミングなのか、次回どういうスケジュールなのかがまだ出ていませんが、とても時間が短かすぎるのではないかと思っています。第6次計画を充実したものとするためには、5次計画に関してしっかりと検証することが大前提であると思っておりますので、議論は丁寧に進めていただきたいと思います。
 2点目は、経済産業省の説明に関してです。先日、女性の起業家団体が記者会見を開いています。愛人になれば投資すると言われたとか、女性起業家へのセクハラが深刻ということで、当事者団体が発足しています。起業家と投資家の間には力関係があって、セクハラ、性被害が発生しやすいということも述べられていますし、女性起業家の52%が性的ハラスメントを経験しているという調査も出ております。
 起業家と投資家は、雇用関係や事業の委託・受託という関係ではないため、既存のハラスメントに関する法律が適用対象外でありますが、経産省の女性起業家支援に関して、女性起業家のハラスメントの問題について把握をしているのかどうか、もし把握しているようであれば御説明いただければと思います。こういう実態がある中では、第6次計画においてもしっかり取り組むべきではないかと考えております。
 3点目は、厚生労働省の資料に関してです。前回提出いたしました意見書においても指摘しておりますが、女性の賃金は男性の半分以下であるなど、特に非正規雇用に係る処遇改善は依然として不十分であると思っています。また、国の機関の特定事業主行動計画に基づく取組の実施状況によれば、非正規公務員の大半が女性であります。政府は同一労働同一賃金の遵守の徹底に取り組むとともに、正職員の転換は進めていますけれども、国や地方自治体など特定事業主の下で働く非正規公務員については、パートタイム・有期雇用労働法は適用されず、したがって、同一労働同一賃金による処遇対策から取り残されています。民間企業における処遇改善の取組はもちろんのこと、第6次計画では非正規公務員の処遇改善についても目標を掲げ、処遇改善に向けて一層取り組む必要があると考えております。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 山本委員、大崎委員の順番でお願いします。
○山本委員 ありがとうございます。慶應大学の山本です。
 まず、内閣府からの説明で、女性役員を増やすということでいろいろセミナーなどをされているというのはとてもいいことだと思うのですが、ゼロの企業が4%まだ残っていて、そこは個別のアプローチなどはされているのでしょうか。そんなに数はないとしたら、セミナーをやるよりもヒアリングをしたり、もうダイレクトにアプローチをしてもいいのかなと思いました。
 それから、厚労省さん、説明ありがとうございます。まず、これはお願いですけれども、労働時間の推移を示すときに、パートを含めるとすごく減少しているように見えてしまうので、御説明にもあったように、一般労働者、フルタイムだけを見るとあまり変わっていないことを強調するという意味でも、あえて一般労働者のものを中心に示したほうがいいと思います。
 それで、労働時間に関しては規模別の違いがすごく大事になると思います。中小企業の労働時間はまだまだ長いということがあって、それが女性活躍の障壁になっているとも言えるので、そこも強調してほしいなと。
 それから、大企業も含めて管理職層の労働時間が短くならないというのも大きな問題だと思っています。だからこそ、女性が管理職をそもそも希望しないという事態も起きてしまっていると思いますので、統計がないのは存じ上げていますけれども、管理職の労働時間がどうなっているのかということを示して、そこを改善していくという方向性になってもらえればと思います。
 それから、労働時間はまだまだ日本は長いので、だからこそ勤務間インターバルの制度を入れて、休息をきちんと取ることが健康を確保するという意味でも大事になると思います。働き方改革関連法で努力義務化されていますが、もう一段進めて義務化の動きを取っていただきたいなと思っていますが、それは要望としてお伝えしたいと思います。
 それから、様々な助成金制度があって、これはすばらしいと思うのですが、それぞれきちんと効果検証されているのかというのを質問として出させていただきます。
 印象としては、様々あっていいのですが、一件一件の金額が少ない。正規転換をして80万円を支給しても、賃金格差を考えると相当な人件費の高騰になるので、決して80万では後押しにならないような気もするのですね。それを考えると、もう少し集約して、効果が出そうなところに金額を上げて助成金制度を運用していったほうが効果があるのではないのかなと思いました。
 私からは以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 では、大崎委員、佐々木委員の順番でお願いいたします。
○大崎委員 御報告ありがとうございました。
 いろいろな取組が進んでいて、進捗状況がよく分かりました。ありがとうございます。
 私からは2点質問がございます。1点目は、経産省の女性起業家支援について、先ほど井上委員がおっしゃられたことと同様のことです。女性起業家に占める女性割合が目標値が30%のところ、既に32.3%で達成できているということで、これ自体はすばらしいと思うのですが、新規上場企業に占める女性社長の割合になると2%になるというのは大変大きなギャップだと思います。
 その要因の一つとして、先ほどの資料では、女性のベンチャーキャピタリストが少ないということを挙げておられましたけれども、ベンチャーキャピタル界隈でのジェンダーギャップの問題は非常に大きい。それの表れとして、先ほど井上委員が御指摘されたような、ベンチャーキャピタルから女性起業家に対するセクシャルハラスメントとか、ベンチャーキャピタル内での女性社員に対するセクシャルハラスメントが放置されている状況です。ですので、ベンチャーキャピタル側にはどのような働きかけをしているのか、もしくは検討しているのかということをお尋ねしたいです。もしかしたら、これは経産省と金融庁にまたがるテーマかもしれません。
 といいますのも、金融庁のほうで、スタートアップ界隈におけるジェンダーの多様性に関するアンケートという大変すばらしいアンケート調査結果を最近出されていて、この中に様々なジェンダーに、アンコンシャス・バイアスを含めて構造的な問題に関しても聴き取りや分析ができた非常にすばらしいレポートが出ておりますので、それをベースにした取組を検討されているのかということをぜひお伺いしたいです。
 2点目ですけれども、男女間賃金格差の情報開示の義務化というのは大変有効な施策だなと思っております。先ほど金融庁から有価証券報告書での開示事例についてお話がありました。投資家の視点で見たときの好事例というのを私も大変興味深く拝見いたしました。
 もう一つ、厚労省のホームページでも、男女間賃金格差の開示とデータ収集、それから分析をしたときの経験というものを語っていただく好事例集があって、それを読んだら非常に面白かったです。中小企業も含めていろいろな企業からデータを収集して分析してみたら、様々な構造的な要因が見えてきたと。例えば、労働時間における男女のギャップであるとか、職域分離、部門別で男性と女性の比率が全然違うという実態とか、あとは手当の額が男女で違うということとか、そういった実態がよく見えてきたということをお話しなさっています。
 それに対する取組ですけれども、先ほどの有報の開示事例でもそうだったのですが、女性を対象とした取組、女性の両立支援とか女性の育成というところはたくさんあるのだけれども、先ほど納米委員がおっしゃったとおり、それがあまりにも女性のための両立支援みたいなことばかりに特化していくと、結局、性別役割分業的なところの再強化になっていくわけなので、それだけではなくて、構造的な要因を是正するような取組の事例、例えば職域分離をどういうふうに撤廃していくのか、評価基準の明確化、登用要件の見直し、そういった構造的なところでの環境整備に乗り出している取組の事例、こういったものがどんどん挙がってきて、それがグッドプラクティスとして示されないと、また女性の両立支援、女性だけに特化した施策につながるのではないかと思いますので、そこがお伝えしたいところです。
 ありがとうございます。
○山田会長 ありがとうございます。
 佐々木委員、徳倉委員の順番でお願いいたします。
○佐々木委員 いろいろ御報告をありがとうございます。
 進んでいっているとは思うのですが、今からどうやって加速するかというところですが、先ほどの納米先生からもありましたけれども、勤務柔軟化で短時間労働をする、また育休の取りやすさとかを進めると、キャリアにどうしても響いてきてしまうと思うのですね。
 最近聞いた事例ですばらしいなと思ったのが、早期復帰に対する支援はかなり少ないのですが、その会社は早期復帰したら100万円を渡す、これで早く復帰するための環境を自分で整えてくださいということをしているらしいです。早期復帰するためにはお金もかかってきますので、そういうところの支援が新しく出てくるといいなと思いました。
 また、石黒委員もおっしゃった、扶養控除を撤廃したいという方向で動いていたのに扶養控除の金額が上がってしまうということになってしまっている。これはどうにか止めていただきたいと思います。学生のバイトの上限の話がすごく出てきて、大学の教員としては学生には勉強してもらいたいので、なぜ奨学金を充実させるという方向に行かずに、学生のためにみたいな感じで金額が上がっていったのかというところをすごく疑問に感じています。
 また、これも先ほどお話が出ましたけれども、金融庁の女性起業家のところです。多分これだと思うのですけれども、「スタートアップエコシステムのジェンダーダイバーシティ課題解決に向けた提案」というもので金融庁がしっかりとした報告を出してくれていて、この中では、資金調達、情報のジェンダーキャップ、ベンチャーキャピタルの女性の代表が少ないという問題もしっかり報告されています。
 この担当者の方にお話を聞きたくて問い合わせたら、どこか別の場所に行かれたということでした。このような活動は、こういうことを解決したいという人が一生懸命、若手の人がやっていたみたいですけれども、そういう方が異動されるとまた縮小してしまうのではないかなという不安があります。この取組が金融庁の中でどういうふうに進んでいるのかというのを教えていただければと思います。
 また、セクハラの問題です。女性起業家に対するセクハラが50何%というのは本当にあり得ない数字だと思いますので、これも早急に対応していただければと思います。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 では、徳倉委員、山口委員の順番でお願いします。
○徳倉委員 各省の皆さん、御説明をありがとうございました。
 私からは端的に2点お伝えしたいと思います。重なっているところは省かせていただきました。
 まず1点目が、これは意見といいますか、気になるということでお伝えしたいと思いますが、経産省が金融支援の中で日本政策金融公庫の融資というところで、女性・若年及び高齢者の視点を生かした事業に対して低利融資をするというところはやる事業としては基本的に大賛成で、女性起業家を増やしていくという点ではあるのですが、私は今年で46歳になって、いわゆる就職氷河期世代の男性というくくりで見ていくと、実は自分たちが様々な状況に置かれて、低賃金の中にいる中で創業したいという方が実際にいらっしゃって、窓口に相談をしたときにこの融資を窓口で紹介された。ちょっと若めに見えた方だと思うのですけれども、そうすると自分がこの要件に入らなかったということで非常に落胆をされるケースがあった。
 これはたまたま私が見たある一部の顕在化した事例かもしれないのですけれども、女性の起業化を推し進めていくところなのですが、結果としてほかの弱者が漏れていくような施策に映ってしまうと、変なところから横やりが入ってしまって、ここで言って誤解がないと思うのですけれども、変な逆差別だと言ってハレーションが起きてうまく政策が進んでいかない、本来目指していくべきところにたどり着かないケースが出てくると非常に残念だなと思っています。この点は、例えば女性と若者というところで切れればよかったのですが、55歳以上も入ってしまって、ちょうど氷河期世代の10歳のくくりの方々が抜け落ちてしまう。たまたまそういう政策になってしまったので、そういうハレーションが起きやすいなというところが政策的に脆弱に見えてしまったというところで一つ意見をさせていただきます。
 2点目が、厚生労働省の中で、今回改正される次世代育成支援対策推進法の中で、現行1,000人以上の企業が育休の公表義務化になって、ここで一気に男性の育休取得率は上がってまいりました。今度これが300人以上となるのですが、これはお伺いなのですけれども、私は地方におりますと300人以上を常時雇用する企業というのは限られてまいります。県庁所在地にある一定の大きな企業でないと300人を超えていかない。ただ、県庁所在地以外でも、基本的に昔からしっかり事業をやられているところの規模というと100名行くか行かないくらい、100名以上ぐらいになってくるのですけれども、今後政策として、公表義務化というのはそこまでコストがかかる問題でもなく、かつ、地方で就職しようとする若者がどこに就職しようかなという指標の中でも、後述しますけれども、イクメンプロジェクトで調べたデータでも非常に高いデータが出ています。ですので、政策的に公表義務は非常に有意だなと考えておるのですけれども、常時の雇用人数をどのぐらいまで公表義務化を御検討されているか、もし今の段階であれば教えていただきたいと思います。
 最後に1点ですけれども、最近いろいろなところで質問を受けるケースです。以前にもお話をしたのですが、例えば研修医や研究職でポスドクに行かれる方々、そういう年齢層でちょうど御結婚をされて、これからキャリアを積んでいきたいという方がどうしても育休が取れないという声を聞きます。これは、例えば、支援をされている方がいるとか、支援がある大学、支援がある病院だと、たまたまそういうところにタイミングよく妊娠・出産が重なり、育休が取れるというケースもたまにあるようですけれども、基本的にはなかなか難しい。そうすると、自分たちのキャリアと妊娠・出産が本当にタイミングよく取れなくて困っているという声を、私は妻がドクターということもあり、いろいろな大学や大学病院等で検証させていただくときに出てくる質問が、最近そういうものが非常に多くなってきました。
 この辺は佐々木先生や山口先生もよく御存じだと思いますけれども、この辺で政策に抜けとか漏れが起こっている現状をどうにか救っていくような仕組みをぜひ構築していただける場を設けていただきたいなと思います。
 以上になります。
○山田会長 ありがとうございます。
 山口委員、小西委員、そして、最後に私がお話ししたいと思います。
 山口委員、お願いいたします。
○山口委員 ありがとうございます。
 各府省の皆様、御説明をありがとうございました。
 女性役員について、特に内閣府から社内からの登用での役員が少ないという御指摘がありました。その課題について具体的にどういった取組が行われているのか、あるいは今後行うような見通しがあるのかについてお話しいただければと思います。
 また、内閣府、経産省ともに、女性役員を増やすためのセミナーとかネットワーキングなどの取組があるということを御紹介いただきました。こうした取組はよいなとは思うものの、これらの有効性を検証するようなやり方は行われているのでしょうか。KPIを設定するとか、何らかの事後の効果検証が行われているのか。もちろん厳密なものでなくてよいとは思うのですが、どれぐらい有効そうであるのかといった手応えなどを把握するような取組がなされているのかを知りたいと思いました。
 厚労省に2点質問がございます。1つ目は、男性育休の取得についての情報開示の義務づけです。現在、取得率のみが義務づけられているのですが、これは問題意識として男性の期間が短いということもあったのですが、この期間についても義務づけるようなことはできないのでしょうか。徳倉委員からも指摘があったように、情報開示は相対的には低コストで、一方で就職を目指している若い人たちにとっては重要な情報であると認識しています。
 2点目は、助成金が働き方改革両立支援などに行われているわけですが、山本委員からもあったように、これについての効果検証はどうなっているのかという点です。同時に、単に効果だけではなくて、利用率、件数、金額も示されているのですが、これは利用率として十分高い数字とみなしてよいのか、どういうふうに受け止めればいいのかということについて教えていただきたいと思います。
 仮にこういった取組が十分成果を上げていないとしたら、それはよい制度があるのにあまり知られていないからなのか、あるいは山本委員が御指摘なさったように、金額として弱いので、小規模ではなくて選択的に有効なプログラムに集中していくのがいいのかといった点について、手がかりに乏しいなと感じましたので、この点について御説明いただけますと幸いです。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 では、小西委員、お願いいたします。
○小西委員 ありがとうございます。
 私は女性に対する暴力の領域の委員としてここに出ておりますが、今のお話の中で言えば、非正規公務員や特に高齢のパートの女性のことについてお話ししたいと思います。恐らく内閣府と厚労省にかかわると思います。
 私どもがやっている、暴力被害を受けた女性や子どもの支援の領域は2000年ぐらいから大変広がってきまして、いろいろな制度ができて、まだ完全ではありませんけれども、当時に比べれば大変よくなってきたと思います。しかし、大きな問題は、賃金です。ここで支援のために働いている方のほとんどが女性です。しかも、かなり安い賃金の非正規公務員で、それだったらまだいいほうで、ほとんどボランティアベースで最低賃金ももらっていない待遇で支援をされている方もたくさんいます。非常に低賃金で担われていて、さらに、なかなか人が入れ替わらなくて、最近は高齢の方も増えてきております。雇用均等法が確立する以前に、女性に職業の選択肢が少なく、それでも支援をやりたくてやってきた方が中心になってこういう組織を立ち上げていて、そういう人たちのモチベーションに合わせて安上がりに支援組織ができてきたと考えています。
 ところが、そういう安上がりの組織になっているために、専門家と言っていいような人が5年任期に縛られて、様々な施設を転々として、安い賃金のままでやっているという現状があります。さらに、これがどういうことを起こすかというと、この方たちが辞められた後、低賃金のため若い有能な人が採れないので、組織が維持できないということが実際に起こっています。
 そういう意味では、介護の領域も似たようなところがあるのですが、働いている人が年代の交代ができるようにするためには、この領域全体がもっとちゃんとした賃金の保障や、あるいはボランティアベースでやるようなことをやめて、しっかりした組織になっていく必要があると思います。この辺をどういうふうに変えていかれるのか、どう考えておられるのかというのを質問したいと思います。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 最後に、山田から質問させていただきます。
 まず第1点は、主に厚労省の報告に対してです。納米委員もおっしゃっていましたけれども、多様な正社員というのが固定化してしまったらまずいのではないかという懸念でございます。昔も総合職、一般職ということがあって、一般職はほぼ全員女性でというようなトラックがあったわけで、重要なのは、トラックがあったとしてもトラックを固定化せず、自由にその間を行き来できる。私は15年ぐらい前にオランダに調査に行きましたけれども、ある時期は短時間を選び、ある時期は長時間を選ぶというように、トラックの間を行き来できることが重要ではないかというのが第1点です。
 第2点は、男性育休の限界についてです。先日、私のゼミ生が卒論で男性育休を取った人のインタビュー調査をした中で、妻が正社員ではない男性が育休を取ったら、正社員ではない妻から、育休を取らずにもっと稼いできてほしいと言われたということがあります。つまり、女性は夫が大体正規雇用だと思うのですけれども、男性は配偶者が専業主婦やパート労働者の場合がまだまだ多いと思います。そういう人たちにも育休を広げていくという工夫というもの。つまり、ただ単に男性育休というのは単独の問題ではなくて、子育て期の共働き状況がどうなっているかに連動しているので、その点の調査等も必要かなと思いました。
 最後にコメントですけれども、日本的雇用慣行の問題点、メンバーシップ型とか言われますけれども、新卒一括採用、年功序列による昇進、役員の社内登用、正規・非正規の区別等、そういう根本的な日本的雇用の改革というものと女性活躍がなかなか進まないというのが連動していると思いますので、もしできましたらその点に関しても突っ込んだ議論を進めていけたらなと思っております。
 では、お待たせして申し訳ございません。これまでの御質問等について、各府省から御回答をお願いします。時間の都合上、ここまでとさせていただきますが、御発言しきれなかった内容があれば、後日、事務局にメールでお寄せいただければ幸いです。よろしくお願いします。
 では、各府省から御回答をお願いしたいのですが、いかがでございましょうか。
○上田課長 それでは、内閣府から御質問について回答させていただいてもよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
 まず、業界団体等における女性の参画についてももっと進めるべきではないかという御指摘をいただいております。これまで行ってきたことといたしましては、5次計画の中でまさに経済団体等も含めて女性の参画を進めるべきであるというこういうことをうたっております。あるいは、成果目標ではないのですが、参考指標の中で、そのときの状況はどうなっているのか、また毎年、各団体に御協力をいただきまして調査を男女局で行っておりまして、各団体における女性の登用の割合がどれぐらいなのかということを取りまとめて公表することをやってきております。御指摘の点については、6次計画をまさにこれから検討させていただく中でも大事な点かと思いますので、今後ぜひ引き続き検討させていただければと考えております。
 別の観点になりますが、プライム市場上場企業以外のスタンダード、グロースについてどうするのか、上場企業全体とかほかの企業についてどうするのかという御指摘については、これまでも専門調査会でも御指摘をいただいておりますし、それ以外の様々な場面でも同様の御指摘をいただいております。これも、様々な関係機関とか関係省庁ともそれについてどういうふうに前向きに取り組んでいくのか、検討が必要なこととは考えているのですけれども、まさに今回の検討の過程の中で御相談しながら考えていきたいと思っております。
 それに関連いたしまして、企業名の公表についても御指摘をいただいております。現在、内閣府男女共同参画局のホームページで、プライム市場上場企業の中で女性役員がいらっしゃらない企業名について公表させていただいているところでございます。進めていく中で、さらにどのようなことができるのかとか、あるいはこれに関連した御指摘といたしまして、女性役員がいらっしゃらない企業についてどのようなアプローチをするのかという御指摘もいただいておりますが、今年、先ほど御説明の中でも、各企業に御協力いただきまして、女性の登用状況、各企業における課題感、どのようなことを現在やってらっしゃるのかというような調査をさせていただいておりまして、その中で女性役員がまだいらっしゃらない企業にも御回答いただいておりますので、その調査結果の内容をよく分析しながら、今後どのようなことが追加でできるのかということを考えていきたいと思っております。
 また、複数の先生から御指摘をいただきましたが、社内役員の育成が進んでいないところが課題ではないかという御指摘もいただいております。こちらも、先ほど御説明の中でも、まさにその点は現状といたしまして社外役員の女性割合は伸びているものの、社内の役員がなかなか進んでいないというところは今後も引き続き大きな課題だと考えておりまして、各企業の中で最終的には女性役員の登用、その前提として男性・女性の区別なく、希望がある方、能力のある方が育成の流れの中に乗っていけるように各企業を支援していくことが非常に大事だと思っておりますので、関係省庁とも相談しながら、また、6次計画の中でもさらにどういうことができるのかというのはぜひ考えていきたいと考えております。
 あと、行っている施策の効果検証についても御指摘をいただいております。これは先生方も御案内かと思うのですが、それぞれの施策と目標との関係が、例えば1つの目標に対して複数の施策が関連しておりましたり、場合によっては施策以外の要因も絡んでいる部分があるのですが、先ほども御指摘いただきましたとおり、行っている事業の中で、例えば参加率とか参加者数、あるいは行ったものが昨年度と比べて伸びているのか、伸びていないのか、その結果、最終的に全体としてどういう結果になっているのかとか、まずは事業を実施している中でそれぞれの担当部署で把握できる数値をなるべく把握しまして、専門調査会でも御紹介できるものについては御紹介させていただきまして、なるべく効果について議論の材料になるものが提供できるようにしていきたいと考えております。
 最後に、この計画全体の検討の流れ、検討をどのようにやっていくのかということについても御指摘をいただいております。前回の専門調査会の際に、資料3という形で御説明をさせていただいていたのですけれども、計画の策定につきましては、この計画自体が施策も非常に多岐にわたっております。目標だけで見てもかなり数が多いところもございまして、まずは今の時点では専門調査会で大きな検討の方向性について先生方からぜひ御意見をいただきたいと思っております。
 その上で、詳細な検討については一旦ワーキングという形でワーキングの中で検討させていただきました上で、ワーキングのほうで検討した内容を再度専門調査会に御報告させていただきまして、その後、計画全体について改めて専門調査会のほうで御議論をいただきたいと考えております。そういった観点で、現段階では専門調査会のほうで特に代表的と思われるようなポイントになる視点について各省庁にヒアリングをお願いさせていただきましたり、それについてこういった形で先生方から御意見をいただいているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○山田会長 ありがとうございます。
 金融庁、経産省、厚労省の方、いかがでしょうか。
○新発田審議官 金融庁でございます。
 私どもにいただいた質問は、大きくベンチャーキャピタルの関係だったかと思っております。大崎先生と佐々木先生から、スタートアップエコシステムのジェンダーダイバーシティのレポートについて御紹介をいただきました。
 このレポートは2022年7月に公表しておりますので、既に3年近くたっております。佐々木先生からもお話がありましたけれども、もともとこの経緯が、仮に金融庁の所管でなくても取り組んでみたい課題なり問題意識を持っているものがあれば、自分の担当外のものであっても有志が集まってやってみようということで、オープンラボという企画をやっておりまして、その中で有志の人たちが取り組んだものでございます。中身自体は皆さんからも御評価をいただいておりますように、丁寧に対話をしたり、いろいろなイベントをやった中で課題を見つけるというものでございます。
 その上で、それが出てからもう一回、2023年12月だったかと思いますけれども、よりデータドリブンにやっていく必要があるということで、アンケート調査という形でさらに声を集めたというものがありまして、大変恐縮ですけれども、金融庁のホームページをご覧いただきますと、いずれも利用可能な状況になっているということでございます。
 残念ながら、人事異動があったりするものですから、そういった形で、今このプロジェクト自体がアクティブかというと、これは一旦終わっていますけれども、このプロジェクトの過程で金融庁の幹部にも共有されていますし、男女局とか経産省もそうだと思いますけれども、様々な形で共有されております。そういったものを、つかさつかさの施策の推進の中で活用していただけたらと思いますし、我々でできることがありましたら引き続きやっていきたいと考えてございます。
 金融庁からは以上でございます。
○山田会長 ありがとうございます。
 経産省の方、よろしいでしょうか。お願いいたします。
○相馬室長 経産省です。
 委員の先生方、御意見、御質問をありがとうございました。
 まず初めに、女性の役員登用の各施策をどのように評価しているのかという点についてです。先ほど申し上げましたが、それぞれの施策が直接的にどう影響したかというのを測るのはなかなか難しい面があるかもしれないのですが、行っている事業そのもの、例えばWILですと受講者の中から実際に役員に登用された人数とか、あとは毎回毎回のレクチャーとか、半年間の中でどのようにマインドが変わっていったかというところについてはいろいろアンケートなども行っておりまして、そういった変化で評価をしているところになります。
 メンタリングにつきましても、例えば、受講者が受講前後で昇進に向けた意欲が上がったとか、そういったところの数字もデータとしてありますので、そのような形で引き続き評価をしっかりして、効果をしっかり見た上で施策を考えていきたいと考えております。
 女性起業家のハラスメントの問題につきましては、先ほどお話が出たレポートとか報道なども通じて承知しております。こうした内容を踏まえて、例えば経済産業省で実施している女性起業家支援事業では、そちらの支援事業で構築しているネットワークに参加されている支援機関に対してコンプライアンスの面も含めた研修を支援プログラムの一環として行って、そのようなハラスメントが起きないようにしていくことも取り組んでおりまして、引き続きそのような観点で取り組んでまいりたいと考えております。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 では、厚生労働省のほうからお願いいたします。
○大隈審議官 厚生労働省でございます。
 御質問、御意見をありがとうございます。
 助成金の効果検証ですけれども、助成金も様々なものがございまして、目的も様々なのですが、これは年度ごとに目標を立てて、それが達成されたか、されなかったかというような形で毎年度効果の検証を行っておりまして、その評価が低かったものなどについては内容を改善するとか、そういうことが何年か続く場合には支援そのものを廃止するという形でPDCAサイクルを回しております。個々の助成金ごとになると資料が膨大ですので今御紹介できないのですけれども、そのような形でのサイクルを回しているということでございます。
 それから、正規雇用の定義ということでございましたけれども、労働力調査で勤め先での呼称によるということで、正規雇用は正規の職員、従業員と呼ばれている人になるのですが、裏返して言えば非正規雇用という方はパート、アルバイト、派遣労働者、契約社員、嘱託その他ということで、雇用契約が有期か無期か、短時間かフルタイムかといったところが大きな分かれ目になるかと思っています。
 また、同一労働同一賃金の取組が実際にどうなのかというところについて、まさにその点は今、労働政策研究・研修機構などで調査をしていただいて、これから議論に入るところでございます。
 先ほど御紹介したとおり、令和2年4月からスタートした制度で、ちょうど5年たつところでございまして、5年後の見直しを行うことにしておりますので、実施状況を見ながら評価も加えていくということはこれからということになるのですが、例えば、パートタイム労働者の賞与・一時金などを見ると、同一労働同一賃金の取組を始めた後にかなり引き上がっているということはございます。パートタイム労働者の時給も近年特に上がっているところではありますけれども、この点は全体的な賃上げの動きなどもありますので、どの施策の影響かが直ちに分かりにくいところもありますので、そのような点も含めて考えていくことになろうかと思います。
 それから、育児休業の取得率、取得期間の関係でございます。これについては、取得率は上がってきておりますが、まだ十分ではないところがありますし、取得期間は御指摘のとおり男性についてはかなり短いところに寄っております。これは一律に何か義務化できるということではないかと思います。それぞれの御希望によるところもあるのですけれども、育児休業という形で取っていただく以上はある程度の期間はあろうかと思います。
 周知啓発事業で、先ほどイクメンプロジェクトという話も出ておりましたけれども、企業版両親学級というセミナーとか動画で、実際、男性が育児休業を取ってこういう取組をしてこういう効果があったという事例をたくさん出していますので、そういうことも含めて当面取り組んでいるところですが、この点はまた今後検討ということになろうかと思います。
 あと、介護離職の関係で、介護サービスの提供との関係の御指摘もございまして、まさに介護離職の問題は職場での介護休業とか介護休暇の問題と介護サービスの提供の問題が両輪でございますので、この辺は同じ厚労省の中で、担当の老健局になりますが、そちらと連絡・連携を取りながら進めているところでございます。
 それから、マミートラックというか、多様な正社員の関係で、先ほど説明が漏れておりましたけれども、従来、多様な正社員制度という形で進めてきておりますが、まさに御指摘のような点がございまして、雇用管理区分が固定化してしまうというのが逆にマイナスの面もある。最近の企業の動向としては、別の雇用管理区分とかコースを設けずに、正社員のままで柔軟化する。勤務時間がそもそもフレックスタイム等、別の勤務形態に移らなくても柔軟に対応できるような企業とか、転勤についても正社員であっても同意がない限りしないとか、正社員のままでの柔軟化も出てきておりますので、そちらの取組も含めて進めていくという感じで、固定化するようなことがないようにということに十分配慮して取り組んでいきたいと思っております。
 あと、男女間賃金差異のデータは、今日はヒアリング事項ではなかったのでお出ししていないのですけれども、今は男性を100としたときに女性は75ぐらいということで、そちらは短時間労働者を除いた数字として出してございます。その辺の条件をそろえた上で比較して100と75という形でございます。
 それから、短時間労働にするとキャリアに響くといった御指摘もあり、まさに労働者のニーズを聞いてみると、例えば、育児休業を長く取るのではなくて、短時間勤務も長くやるのではなくて、なるべく早くフルタイムにした上で柔軟に働ける働き方がいいということがあり、まさに令和6年の育児・介護休業法の改正をしたということでありますので、労働者の御希望に応じてということですけれども、キャリアに響かないようにしたいという方にはそれに対応できるような取組を進めていきたいと思っております。
 それから、育児休業の取得状況の公表の企業規模1,000人のところを300人超にしたというところで、これはこれからまさに施行しようとしているところでございますので、まだその先という議論にはなっておりません。そこの辺りは、労働者とか使用者側の御意見も聞きながら先々のことは考えていくことになろうかと思います。
 なお、男女間賃金差異につきましては、女性活躍推進法に基づく情報公表の義務対象は、これまで301人以上の企業だけだったところですが、今通常国会に提出を目指している改正法案では101人以上に拡大するという内容を盛り込んでいます。
 最後、座長からいただきました日本的雇用慣行の話はまさにおっしゃるとおりで、政府としてジョブ型雇用なども一部進めておりますが、根本的に企業でずっと取り組まれてきた雇用慣行という面もあって一足飛びにはいかないかもしれません。
 また、同一労働同一賃金についても、まさにその部分が均衡待遇というところで、職務内容とか、変更範囲とか、その他の事情を考慮してという辺りに日本的雇用慣行が入り込んでいる面はあるのですけれども、日本的雇用慣行も徐々に変わっていくかもしれませんが、その辺を見ながら対応は考えていきたいと思っております。
 以上でございます。
○山田会長 ありがとうございます。
 加藤さん、手を挙げられていますか。
○加藤室長 厚労省労働基準局の加藤です。
 先ほどの助成金の効果検証の件で、特に山口委員、山本委員から、働き方改革推進支援助成金のお話がありましたのでご説明します。
 この助成金は、中小企業向けに生産性向上の設備投資費用の助成、労働時間削減についての助成というものですが、令和2年4月から、働き方改革で時間外労働の上限規制が中小企業に始まりましたけれども、その上限規制への対応で活用されてきております。
 直近の状況では、より時間外労働を減らすために効果のある設備投資などに活用され出しているということから、件数は減っているものの、1件当たりの単価は増えているという傾向が見られます。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 それでは、質疑応答はこれまでといたします。活発な御議論をありがとうございました。
 金融庁、経済産業省、厚生労働省におかれましては御退室いただいて結構です。どうもありがとうございました。
 時間は押しているのですが、ここで5分間の休憩を取りたいと思います。17時3分に再開したいと思います。長時間、お疲れさまです。再開後、よろしくお願いいたします。
 
(休  憩)
 
○山田会長 それでは、議事を再開いたします。
 引き続き、「第5次男女共同参画基本計画のフォローアップ」を行っていきたいと思います。
 初めに、内閣府、文部科学省より、「教育・メディア等を通じた男女双方の意識改革」に関し説明をお願いいたします。
 初めに、内閣府からお願いいたします。
○岡田局長 内閣府でございます。
 資料4-1をご覧ください。
 このテーマに関しましては、第5次男女共同参画基本計画におきまして、第10分野に「教育・メディア等を通じた男女双方の意識改革、理解の促進」という項目が位置づけられております。3として、国民的な広がりを持って地域に浸透するような広報活動を展開すること、メディア分野などと連携していくということが記載されております。
 基本的な方向を踏まえた取組といたしまして、スライドの2でありますけれども、昨年の6月にまとめました「女性活躍・男女共同参画の重点方針2024」におきましても、「固定的な性別役割分担意識やアンコンシャス・バイアスの解消及びオールド・ボーイズ・ネットワークに着目した広報啓発」ということで、施策として盛り込ませていただいたところでございます。私どもとしては、ここの固定的な性別役割分担意識、性差に関する偏見、固定観念、無意識の思い込みを啓発対象として取組を進めております。
 この重点方針に記載いたしましたオールド・ボーイズ・ネットワークにつきましては、下に記載しておりますけれども、広報誌の『共同参画』において特集記事を連載したり、後ほど御説明いたしますけれども、ワークショップにおいて課題として取り扱わせていただいたりということを実績としてやらせていただいているところでございます。
 次のページをご覧いただきますと、令和3年度、令和4年度におきましては、意識調査として性別役割意識や、性別に基づく役割や思い込みを決めつけられた経験があるかどうかということを調べました。
 その結果を基に、次のスライドでありますけれども、気づいていただく機会を提供することを目的といたしまして、チェックシート・事例集を作ってございます。
 そのほか、次のスライドでありますけれども、性別による固定的な役割分担に捉われないようなフリーイラストを提供し、使っていただくということをやってございます。
 私どもが実施しました調査を使いながら、性別による無意識の思い込みの解消をしていただく参考にしていただくような動画なども作成して公開しております。
 最後のスライドでございますけれども、こちらも、気づいていただく機会を提供することを目的に、過去数年度にわたりましてワークショップを開催させていただいているところでございます。
 内閣府からは以上でございます。
○山田会長 ありがとうございます。
 続きまして、文部科学省からお願いいたします。
○江﨑審議官  文部科学省の総合教育政策局でございます。
 文科省におきましては、教育・メディア等を通じた男女双方の意識改革に関する取組につきましては、まず、教育・学習の充実としまして初等中等教育における学習指導要領の趣旨の周知、児童生徒向けの学習プログラムの開発、教員研修の充実、この3つ。それから、学校教育における政策・方針決定過程への女性の参画拡大というところについて取組をしております。
 2ページをお願いいたします。
 初等中等教育の学習指導要領の趣旨の周知についてであります。これは中学校の学習指導要領の技術・家庭科を例として出しておりますけれども、基本的には小学校、中学校、高等学校、それぞれ家庭科、道徳、あるいは社会科、高校では公民科というのもありますけれども、こういったところで男女共同参画について学習をすることが学習指導で書かれております。
 小学校から高校までとなると年齢差がありますから、それぞれの発達段階に応じてどういうふうに教えるかというのは少しずつ違います。例えば、中学校につきましては、家族や地域の人々と協力・協働して、よりよい家庭生活に向けて考え、工夫する活動を通して云々ということがあったり、家族の互いの立場や役割を分かり、協力することによって家族関係をよりよくできることについて理解する、こういったものが書かれております。
 あとは、小学校、高等学校の学習要領に関しては、後ろのほうに参考資料をつけておりますので、後でご覧になっていただきたいと思いますけれども、高等学校につきましては、例えば、男女共同参画の重要性とか、もう少し踏み込んだ形で学習するような形になっております。
 次のページをお願いします。
 児童生徒向けの教材を作っております。小中学生を対象に、男女の尊重とか固定的な性別役割分担意識解消の理解といったものについて教材を作っております。それから、指導の手引。保護者向けにつきましては、無意識の思い込み等についての啓発資料の周知を行っております。
 次のページをお願いいたします。
 これは、先ほど申し上げた中学生の向けの教材の例でございます。社会通念や慣習によりつくられた固定的な性別役割分担意識とか無意識の思い込みがあるのだということに気づいてもらって、性別にかかわらず生徒が自らの生き方を考え、主体的に進路を選択することの大切さを理解できるようにすることを狙いとするような教材でございます。
 次のページは、教員向けの研修についてでございます。文部科学省におきましては、独立行政法人教職員支援機構というのがありますけれども、校内研修で活用できる動画教材の提供や、国立女性教育会館にて作成した学校における男女共同参画の推進のための教員研修プログラムの周知を行っております。
 また、教員研修プログラムにおきましては、アンコンシャス・バイアスに関わる11の教育現場の身近な場面を示したケース動画を用意しておりまして、教員同士で意見交換をしていただいた中で気づきを促すものとなっております。
 次のページは、教員研修プログラムのケース動画の例でございます。先ほど11ありますと申し上げましたけれども、その例でございます。上のほうでは、大学の専攻分野の選択について、例えば理工系より人文科学系を勧めるようなことをしていないかとか、また、男子生徒には理系、女性には逆に人文とか、そういったことをやっていないか。
 下の絵につきましては、教員の中の校務分掌というのをやりますけれども、このような校務分掌を決める際にも、例えば男性はリーダーみたいな立場で、女性はそうではないとか、そういった性別による役割分担意識が働いていないかというようなことを気づいてもらうようなものでございます。
 7ページは、関連の来年度の予算事業になります。幾つかありますけれども、女性教育関係団体と大学・企業等が連携して、キャリアアップ・キャリアチェンジを希望する女性や、組織の指導的立場としてより高度な社会参画を目指す女性を支援するため、男女共同参画の意識醸成と女性ネットワークの構築を行いながら自身のビジネススキルを向上させる教育プログラムの開発というのが1つ目であります。
 2つ目につきましては、幼児期の教育現場等における固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込みの解消に資する方策についての調査研究。
 3つ目は、新規になりますけれども、教員養成課程における関連科目の現状についての調査研究を予定してございます。このようなこともやりながら、引き続き、文部科学省におきましてアンコンシャス・バイアス等に関しての取組をやりたいと考えております。
 以上でございます。
○山田会長 ありがとうございました。
 続きまして、内閣府、文部科学省より、「科学技術分野における男女共同参画の推進」に関して御説明をお願いいたします。
 初めに、内閣府からお願いいたします。
○岡田局長 資料5-1をご覧ください。
 科学技術分野における男女共同参画の推進について説明をさせていただきます。
 スライドの1枚目と2枚目では、科学技術分野の男女共同参画について、第5次男女共同参画基本計画ではどのような目標を立てているかということと、現状はどこまで来たかということをグラフでお示ししています。
 スライド1では、大学の理工系の教員に占める女性の割合であります。理学系が9.3%、工学系が6.7%であります。
 スライド2は、大学の研究者の採用に占める女性の割合で、それぞれこのような形になっております。以下、理工系についての取組を御説明するものですから、便宜的に②のグラフでは理学系、工学系の数字のところに黄色いマーカーをつけております。③は大学の理工系の学生に占める女性の割合ということで、グラフを描いております。
 このような背景を見まして、私どもとしては、女子生徒等の理工系の進路選択を促進するための取組といたしまして、「理工チャレンジ(リコチャレ!)」ということをやっているということをスライド3でお示ししております。
 以下、少し説明をさせていただきます。
 スライド4でありますけれども、まずウェブサイトで情報発信をしております。イベントに加えまして、今、ロールモデルということをよく言われますけれども、ここでも皆様方が一人一人に合ったロールモデルを見つけることができますように、先輩の理工系女性からのメッセージを掲載しております。
 中ほどでは、理工チャレンジの趣旨に賛同してくださっている大学、企業、学術団体等をリコチャレ応援団体としてネットワーク化しておりますけれども、それぞれの団体の取組などもホームページで紹介させていただいているところであります。
 イベントとしては、スライド5をご覧いただきたいと思いますけれども、こちらは経団連と文科省と共催で夏休み期間中にイベントを実施しております。理工系の女子応援イベントを「夏のリコチャレ」としてやっておりますけれども、職場見学、工場見学、シンポジウム、実験教室、先輩女性社員との交流などを行っております。
 左下を見ていただきますと、イベントを実施する側の団体の数、参加する方の人数、共に増えてきております。
 スライド6であります。先ほどネットワーク化していると申し上げましたけれども、ネットワークに参加していただいている団体間での連携強化、情報共有を目的といたしましてネットワーク会議というものをやっております。ここで、例えば夏のリコチャレで評判がよかった、共有をしたらどうかというようなイベントについて実施団体からの御報告もあり、また、次の年のそれぞれの団体でリコチャレの内容を考えていただく参考にもしていただくということで、取組の広がりも見られるところであります。
 スライド7であります。先ほどロールモデルをホームページで載せていると申し上げましたけれども、こちらは関係機関、ここに文科省、JST、経産省等でありますけれども、共催で動画としてロールモデルの経験談を掲載しております。こういったこともやらせていただいております。
 スライド8は、理工系女子応援大使ということで、メッセージを発信するとともに、地方公共団体や学校などで開催なさるセミナーとかシンポジウムに派遣をするというような取組をさせていただいておりまして、右下に派遣したイベント数とか参加者数、こういった方々へ直接理工系に進むことの意義や御自分の経験談を話していただく機会となっております。
 スライド9であります。調査研究といたしまして、令和2年度には教員など指導者の方々に向けた啓発資料を作成いたしまして、文科省と連携して普及を図っているところでございます。
 そのほか、スライド10におきましては、啓発動画を作りましてお使いいただけるようにしております。
 最近の取組でありますが、令和5年度から開催しているものでありますけれども、人口の少ない自治体を対象にいたしまして若手の方を派遣する出前授業をしております。生徒さんたちには理工系の体験機会をつくるということもございますけれども、その地域の若手もロールモデルの発掘という側面もありまして、今年度は5か所で実施をしてございます。
 最後のスライドを見ていただきますと、このイベントを通じて理工系の魅力を感じたと言われる生徒さん方の割合も86%となっておりまして、こういったことによって理工系に進みたいとお思いになる女子生徒さんの増加を進めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○山田会長 ありがとうございます。
 続きまして、文部科学省からお願いいたします。
○先﨑総括官 文部科学省科学技術・学術政策局でございます。
 女子中学生の理工系分野への進路選択の促進を中心に、高校・大学に関する関連施策の御紹介も併せてさせていただきたいと思います。
 まず、「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」でございます。女子中高生の理工系分野への関心・興味を高めて、さらに意欲・能力を伸長させる機会を提供することで、理工系分野へ進むことを後押しするものでございます。
 2ページをご覧ください。その実際でございます。理工系分野における多様な学びの機会の提供のため、出前授業、企業見学・フィールドワークといったこと、その下、理系女性のロールモデルの周知のため、科学技術分野で活躍する女性研究者、技術者、大学生などとの交流の機会を設けるといったことを行っております。
 あわせて、右側でございますけれども、保護者・教員へのアプローチというのも私どもは非常に重視をしております。お子様の年齢からいって、まだ教員の引率とか保護者の随伴が必要ということもございます。そういう機会を捉えて、理系の世界とか、進路選択、ともすると理系というのは男の職場だと捉えられがちな生徒さんの後押しを保護者・教員の方にも一緒になってやっていただくという取組にも力を入れているところでございます。
 3ページ目をご覧ください。その実績でございます。令和5年度の実績は、女子中高生は9,981名、保護者・教員は2、900名でございます。この前年度が7,000名強でございましたので、かなり参加者が増えてきているかなと思います。
 科学を学ぶことへの興味について、既に高校1年生の段階で男女差ができているということから、この事業をお取り組みいただくところには女子中学生を対象とした取組を必ず実施してくれるということが条件になっておりまして、その成果として、令和5年度の取組に参加した女子生徒の6割弱が中学生でございます。
 あわせて、プログラムの実施前後でアンケートを取っております。まず、文理選択を迷っている生徒の方々の意識変容を見ますと、このプログラムの参加後は興味・関心が高まった、学習意欲が高まった、前向きに理系を考えてみようと思った、職業に就きたいと思うようになったというふうに好転しております。
 さらに、保護者・教員も前後で意識調査をしておりますけれども、否定的、どちらかといえば否定的、どちらかといえば肯定的という方々も、このプログラム実施後は56%の方が肯定的な回答に変化をしているところでございます。
 4ページ、「次世代科学技術チャレンジプログラム(STELLA)」を御紹介したいと思います。今申し上げました女子中高生の理系進路選択支援プログラムが裾野を広げるプログラムであるとすれば、このSTELLAは頂点を高めていくというプログラムでございます。才能のある児童生徒が最先端の研究に早い段階からアクセスすることで、さらにその能力・意欲を伸ばしていこうというものでございます。
 実施規模は41機関でございますけれども、これはセレクションがございます。事前に作文等を書いていただいて、意欲・能力を見るという取組でございます。
 5ページをご覧いただきますと、その具体を載せております。東北大と東大の例を持ってきました。東北大のほうは、小中では被災地としての東北というものをベースに「科学の眼」を育て、さらにメンターの御支援などを受けながら、個人/グループの研究の実施、発表を行っていきます。高校生になりますと、それをさらに研ぎ澄ませていって、最終的には英語でポスターセッションまで行くというレベルまで持っていくというのが東北大の取組です。
 東京大学も、やり方は違いますけれども、小中学生と高校生というふうに分けて、アクティブラーニング型授業から入っていって、最終的にはかなり高度な内容をポスターセッションで発表できるところまで持っていくというようなかなり高度な取組を行っております。
 6ページは、「スーパーサイエンスハイスクール支援事業」です。これはお聞きになったことがあるかもしれませんが、我が国に高校は約5,000校ございますけれども、そのうちの約5%の250校を対象に行うことを目指しております。現在は令和7年度予算で229校の指定を予定しており、予算は国会審議中ですけれども、229校ということになっております。
 詳細は割愛しますけれども、7ページをご覧いただきたいと思います。SSHの審査の観点として、「⑤生物、医学系に限らない理工系領域を志す女子生徒を育成する効果的な取組が計画されているか」、こういうものがビルトインされていないと採択されませんよというものでございまして、これは令和5年度から導入をしております。
 これの進学実績でございますけれども、8ページでございます。右上ですけれども、全国女子の平均が6.87%であるのに対して、SSHの女子の生徒は13.19%ということで、倍近い進学実績を出しているということでございます。
 今度は、高等教育側の入試の多様性ということでございます。9ページをご覧ください。我が国の大学の選抜ルールを定めたものとして大学入学者選抜実施要項がございますけれども、(3)に、理工系の女子などを対象とする選抜の取組が進むように、例えば、理工系分野を含む女子等に対して多様性を確保する観点から対象を考えてくださいというような促しをさせていただいているところです。これも令和5年度から盛り込んでおります。
 実際にどういう入試が行われているかということで、10ページでございます。令和7年度の国公立入試が間もなく始まりますが、理工系の女子を対象とする選抜を実施する国公立は30大学37学部になっておりまして、令和7年度から新たに導入するところが青い部分でございます。令和5年度が5大学、令和6年が14大学、令和7年が30大学ということで、急速に拡大をしているということでございます。
 私立大学については情報が今ないのですけれども、私立においてもやはり女子に対する選抜が進んでいるなという印象がございます。
 11ページ、「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」でございます。研究と出産・育児のライフイベントとの両立や女性研究者の研究力向上を通じたリーダーの育成でございます。ここで言うリーダーというのは、各大学における上位の職、つまり、理事、副学長、教授、准教授というような職員に女性の在職比率を伸ばしていこうというような取組を進める大学に対して支援という事業でございます。
 教授職は全国平均で5%ぐらいずつ増えているところですけれども、この事業に参画していただいている大学は13.1%、准教授においては全国平均が3.1%ですけれども、ダイバーシティは18.3%という伸びを見せております。
 これは当然横展開をするということで、全国的なシンポジウムを毎年開催して広げていくというような取組も併せてしております。
 最後でございます。12ページ、「日本学術振興会 特別研究員-RPD」というものでございます。優れた若手研究者が出産・育児による研究中断後に、円滑に研究現場に復帰できるように支援をするというものでございます。黄色いところがございますけれども、令和7年度採用分から申請資格を拡大しております。育児・出産などで中断する期間を3か月以上としておりましたけれども、これを6週間以上といたします。それから、未就学児の養育というのを条件にしていますが、小学生以下の養育というふうに緩和をする。さらに、申請年度4月2日以降申請期限までに出産した場合も申請可。つまり、御出産される前に書類を書いて申請できるというような緩和を進めるということでございます。
 いろいろ御紹介いたしましたけれども、科学技術・イノベーションの創出に当たっては研究や開発に多様な視点を取り入れていく必要がある。そのためには、次代を担う女性の科学技術人材の育成、女性研究者・技術者の能力が最大限発揮できるような環境の整備が重要になるわけでございまして、そういう取組を今後も進めてまいりたいと思います。
 以上でございます。
○山田会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいま各府省の説明を踏まえて御質問や、第6次計画策定に向けて御意見があれば、「挙手」をいただきたいと思います。議論を深めるため、他の委員から出された御意見についてのお考えなども積極的にお述べいただければと思います。いただいた御質問に関しては、各府省から最後にまとめて回答していただきますが、大変時間が押しておりますので、ぜひ手短にお願いいたします。
 まず、徳倉委員、北仲委員の順番でお願いいたします。
○徳倉委員 ありがとうございました。
 御説明ありがとうございました。時間もないので端的に御質問をさせていただきます。
 前半の文科省の江﨑さんに御説明いただいた点で、私は5次計から関わっておりますので、5次計を受けてこの点が大事だというところで、主な記載のところで2点あります。
 初等教育等において重要性についての指導が充実するようにということで、学習指導要領の趣旨を周知というところに、「男女共同参画センターとの連携」と書かれてございます。私自身は、今、地元の自治体の男女センターのセンター長をやるようになりまして、この種の連携がどういうふうにできているのかというのが若干不透明なところがありまして、これをしてからどのような連携があったのか、もし事例等があれば御共有いただきたいと思います。
 2点目が、教員向け、児童向けの様々な研修をつくっていただいております。NWECの飯島さんの動画等の教員向けの研修がありますが、ざっくりと、教員の管理職向けにやられているという場合に全体の学校の何%ぐらいフォローできているのか、もしくは、なかなか広がらなかった点、課題等がもしあれば御共有いただければ6次計に生かせるなと思いますので、共有いただければなと思います。よろしくお願いします。
○山田会長 ありがとうございます。
 北仲委員、納米委員の順番でお願いいたします。
○北仲委員 内在的な質問ではないので意見に近いかもしれませんけれども、今いろいろ説明されたものが大抵男女の職業の決めつけとか役割を変えるような取組だったと思うのですけれども、もう一つ大きな問題は、まず学校とか幼稚園に入って、君・さん付けとか、「男の子、女の子並んで」ということによって、子供たちはまず人間を男と女に分けるのだな、それが大事な分類なのだということを刷り込まれるのが大きな問題で、そのことは男女だけではなくてセクシャル・マイノリティーの子供たちにとっても重要なことだと思うのです。
 今回のいろいろな施策は、例えば男女を分けてしまうような学校や保育園の現場について、名簿の問題、制服の問題、卒業式を男の子と女の子に2つに分けて座らせて、その光景がショックだったというのが広島市の会議でも出てきたのですけれども、先ほど愛知県の自治体でも、保護者の席も男の子の卒業生と女の子の卒業生の保護者の席にしているという話も聞いたのですけれども、そういう役割分業を超えた、男女を分けることが当たり前なのだということに対して、教育の分野をいろいろ変える施策があったと思うのですけれども、それは今は割と後景に退いている。名簿の問題なんかは広島県内だとあまり進んでない、混合名簿ではない自治体もあるままなのかなということが疑問に思いました。
 性の多様性とかダイバーシティの問題がこの計画でどこにも述べられないというのは、さすがにおかしいのではないか。セクシャル・マイノリティーの子供たちとか、性を分け切ること自体への意識啓発も入ったほうがいいのではないかなと思いました。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 納米委員、鈴木委員の順番でお願いいたします。
○納米委員 ワンラウンド目の内閣府のお答えへの意見ですけれども、進め方について大きな検討の方向性は専門調査会で、細かくはワーキングでと、確かに1回目にそういう御説明を受けましたけれども、推進体制というのは大きな方向についてのお話ではないかと思うので、しっかり取り上げていただきたい。
 あと、防災も、メディアも、国際協調も、困難女性も、今ホットな話題ではないですか。これらの部分は確かに細かい。でも、細かな問題と言うには大きなホットな話題だと思うので、これらについても次回の専門調査会で取り上げていただきたいと思います。
 以上、意見です。
○山田会長 ありがとうございます。
 鈴木委員、小林委員の順番でお願いいたします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
 理工系学生の女性割合ですけれども、最終的に重要なことは思い込みなく進路選択できるようにすることでありますが、現状の目標の立て方が前年度以上ということにとどまっていて、読み方によってはポツ1でも増えさえすればよいというのは気になります。
 個々人の選択の結果について目標を設定する難しさはあるにしても、今日御説明いただいたようにかなりいろいろな取組をしていただいておりますので、その能力や適性がある女性がSTEM分野に進学することについて、例えば、諸外国の数値なども参考に定量的な目標を立てるべきことについて議論すべきだと思います。たしか5次計画の成果目標のうち、数字を示さずに増やすと書いてあるのはここだけだったように記憶しております。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 小林委員、佐々木委員の順番でお願いいたします。
○小林委員 ありがとうございます。
 端的に文科省にお聞きしたいのですが、理系の進路選択への支援について、各大学に対する支援は出てきたのですが、これらのプロジェクト等に参加した女子中高生に対する大学進学、能力のある子が進学を諦めないような何らかの奨学金、例えば渡し切りの奨学金の新たな制度を考えているとか、各大学に対してそのような奨学金を設けるようなことを働きかけていらっしゃるのか、また、そのようなことを考えていらっしゃるのか、その辺をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
○山田会長 ありがとうございます。
 佐々木委員、井上委員の順番でお願いいたします。
○佐々木委員 ありがとうございます。共有させていただきます。
 今回の目標値です。2025年までに准教授が27.5%(早期)で、さらに30%を目指す、教授は20%(早期)で、さらに23%ということだったのですが、これは今までの数値をプロットしたもので、そこから予想される数値を求めたものです。2023年において、教授での予測が19.5%で、実際は19.2%でした。2023年の准教授の予測は27.3%で、実際は、26.9%でほぼ変わらなくて、今までのスピードと同程度しか増えていません。実際に目標で定めていたのは2倍のスピード、傾きを2倍に変えなければいけないものだったのです。なので、しっかり2倍にするためにはどういうことをしなくてはいけないのかというのをもう一度改めて考えて実施するようにしなくてはいけないと思います。
 また、女性教員の採用比率は、もともと高いので、前回、目標にしたものがほとんど目標値になってなかったというか、達成する見込みのものが目標値でありましたので、ここの目標値も次回どうするのかというのもしっかり変えていってもらいたいと思います。
 また、理工系の学生に占める女性の割合も様々取組で増えていますが、最近、工学部はぐっと増え始めていると思いますけれども、それは女子枠を設けた学校が増えたことが大きなメッセージになって急激に増えていると思います。どうして大学は女子枠をたくさん始めたかというと、国が骨太の方針の中に学校推薦型選抜や総合型選抜に女子枠の設定という文言を入れてくれたのですね。大学は、これをやっていいのか、世間がどう思うのかというところで二の足を踏んでいたところが、この文言が入ったことでみんなやれるようになったのです。
 今お願いしたいのは、理系分野の女子の進学を進めるために、私は福井県出身ですけれども、福井県は教育委員会で女子生徒向けの理系進学の取組をふるさと納税を使って実施してくれているのですけれども、ほかの県ではなかなかやってくれないといろいろな人から聞きます。それは、教育委員会の中で女子生徒向けのことをやっていいのか、どうもそこの気持ちのハードルが高いらしいので、これも同じように教育委員会に対して女子向けの活動を促すメッセージを出していただければと思います。
 また、こちらは日本の状況ですけれども、女性研究者の割合がOECD最下位は変わっていません。30%になるのが2050年、今のアメリカやイギリスに追いつくまでに46年から59年もかかる見込みです。この女性研究者の低さの足を引っ張っているのは企業でして、企業が10.2%、大学が25.7%です。
 これはなぜかというと、企業の女性研究者はほぼ理系で、大学は文系の数値が交じってきているからです。大学の場合も、理系だけにすると15.9%。これが企業と大学の分野別のものですけれども、やはり工学系が非常に少ない。リコチャレで女子学生を増やそうとしているのですけれども、既に学部は16.1%、修士15.4%、博士課程は20%近くいるので、今の段階でもこの割合までには企業も大学も伸ばしてもらわなくてはいけないと思います。
 大学は文科省がいろいろ取組をしてくれているのですけれども、企業に対してはそういう取組が行われていないので、経産省でしっかり企業における女性研究者活躍の取組を開始していただければと思います。
 長くなりましたが、以上です。ありがとうございます。
○山田会長 ありがとうございます。
 井上委員、山口委員の順番でお願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。
 まず、内閣府にアンコンシャス・バイアスの調査について御説明いただきましたけれども、第10分野の「教育・メディア等を通じた男女双方の意識改革、理解の促進」ということでしたが、そもそも性別による偏りが非常に大きい、例えば第3号被保険者制度とか、あるいは女性は結婚したら氏を変えるべきだとか、そのような認識や制度を選択する根底にはアンコンシャス・バイアスがあると思っています。
 そういう意味では、次回に向けて、第9分野に「男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備」がありますので、そこでしっかりと議論ができるような準備をぜひお願いをしたいと思います。
 それから、後半戦の部分で、文部科学省、内閣府がそれぞれ理系に進む女子に向けてのいろいろな対策をされているということはよく分かりましたが、私も女子大で授業をしているときに、小学校のときに、女の子なのになんで算数が好きなのと言われたと答える学生が少なくないのですね。そこで、文科省も内閣府も小学校からというのも少し入っていますけれども、やはり中学に進学する前の段階のところで、理系に関する苦手意識を生まないような教育をする必要があるのではないかと思っています。
 それから、学校教育の中で、初等・中等教育のところでは女性の教員も多いし、教頭先生もいらっしゃるのですけれども、高校に行くとどうしても男性の教頭先生、校長先生が多い。そうすると、管理職、校長先生、教頭先生は男性なのだという意識が植えつけられています。そういう意味でも、調査においては初等中等教育機関の教頭以上に占める女性の割合は成果目標を達成しているということで、評価はさせていただきますけれども、高等教育の現場で女性の管理職を増やす取組をぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 山口委員、治部委員の順番でお願いいたします。
○山口委員 よろしくお願いします。
 後半に御説明いただいた内閣府の理工チャレンジ、文科省の理系進路選択支援プログラムについては、効果検証も含まれていて、非常によい取組ではないかと思いました。もちろん意識だけでなく、実際の行動、選択の部分が変わるというところまで見ていきたいとは思うものの、取組に対して参加者がどういうふうになったか、受けた人はどういった感想を持ったかというところをトラックできているのはよいと思います。過去の研究で、家庭科の男女共修が次世代のジェンダー平等意識につながったということも研究で分かっておりますので、教育の役割は非常に大きいと思います。期待しています。
 前半の内閣府からのアンコンシャス・バイアスに対する啓発事業も、内容はよいと思ったのですが、実際にどれぐらい動画を視聴されているのか、また、見た人が意見が変わる、あるいは反省するようなところがあったのかというところまで踏まえつつ、このプログラムの改善を続けていっていただきたいと思います。
 また、文科省さんが作られている教材、研修プログラムの中身もよさそうには感じたのですが、実際にこれはどれぐらい教育現場で使われているのかというところについては疑問を持ちましたので、よいものがあるのでしっかり展開されていくことを期待しております。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 治部委員、大崎委員の順番でお願いいたします。
○治部委員 ありがとうございました。
 私は、理工系の大学の文系教養部門で教えているのですけれども、ちょうど3年前の秋に入試改革を発表しました。今日御発表いただいたことは大学としては心強いことでした。
 と申しますのも、入試をいじるだけでは理系の女子は増えませんで、やはり初等教育からの親のジェンダーバイアスをなくしていかなければいけない。大学だけでできるところは少ないと思っていたところ、文科省で様々な事業があるというところがとてもよかったので、今日の資料は学内でも共有したいと思います。
 次の視点としまして6次計画の中に入れていただきたいと思いますのは、このように女子をすごく励ます、エンカレッジしていくことに対してかなりの反発、バックラッシュも起きております。政策とマーケティングの接点のリサーチを専門のようなことにしておりますので、今後この政策を進めていくに当たってどのようなコミュニケーションを取っていくのかということはとても心配です。
   1つ文科省関連ですと、私は学齢期の子供がいるのですけれども、教科書は随分よくなってきたなと思います。例えば、数学の教科書を見てみますと、男の子と女の子が交互に話すようなイラストになっていたり、また、先ほどある委員から性別を分けることの是非というお話もあったのですけれども、わざわざ性別を分けなくてもいいようなところはイラストを動物にするといった配慮もありますので、教科書はジェンダーの視点でよくなっているよということは私も市民向けの講演等々では話します。
 それから、私はある民間の放送局の番組審議会委員で、これは放送法で定められている委員ですけれども、そこの番組審議のときにも多くの委員がジェンダーの視点で話をするようになってきているので、内閣府がやっている施策そのものはかなり浸透してきているように思うのですけれども、6次計画でさらにそれを進めていくために何ができるのかという実質的なところを今後話していければいいかなと思います。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 続きまして、時間が限られているので、大崎委員までとさせていただきます。よろしくお願いします。
○大崎委員 短くお話しさせていただきます。アンコンシャス・バイアスについてです。
 第18回の専門調査会でも複数の委員から私も含めまして指摘したと思うのですけれども、アンコンシャス・バイアスというのは、脳のメカニズムで無意識にいろいろな意思決定にそれが働いてしまうということで、それが男女の文脈ですと雇用慣行、雇用の仕組み、人事制度のところにアンコンシャス・バイアスというものが作用してしまう。採用とか評価とか日々のフィードバックの与え方に作用する、これがアンコンシャス・バイアスなので、これをエリミネート、解消することはできないというのが国際的な共通のコンセプトです。ですので、アンコンシャス・バイアスの解消、英語に訳すとeliminate unconscious biasというのは変なのですね。
 他方、無意識の思い込みみたいなものをなくしていこうという取組はすごく重要なので、これはこれでちゃんとやるとしても、アンコンシャス・バイアスに関する取組というのはそれが作用しないような制度や仕組みの構築ということですので、そこはしっかりと分けて整理して考えていっていただきたいと思います。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 大変恐縮ですが、時間が押しておりますので、ここまでとさせていただきます。御発言しきれなかった内容がありましたら、後日、事務局にメールでお寄せいただければ幸いです。
 それでは、これまでの御質問について各府省から御回答をお願いいたします。
○大森課長 男女共同参画局でございます。
 まず1点目、北仲委員から、これは文科省さんからもあるかもしれませんけれども、マイノリティーを含めた学校ということでございます。これは教育という点もさることながら、第6分野、特に「女性であることで複合的に困難な状況に置かれている人々等への対応」というところで明確に、学校における性的指向・性自認に係る児童生徒への適切な対応を促すということが書かれているわけでございます。冊子では87ページになりますけれども、そちらのところでも扱われているということでございます。
 それから、井上委員と大崎委員から、アンコンシャス・バイアスに関する無意識の思い込みに関する御指摘をいただきました。もちろん、格差のようなものがある背景には、意識、制度が相まっていくものでございますので、こちらのほうは制度に関する議論の中でもそういったものがあることを前提に対応していかなければいけないということはおっしゃるとおりであります。
 あとは、大崎委員がおっしゃった無意識の解消と、「アンコンシャス・バイアス」という語をめぐる、これも事前に御説明する中で幾つかの先生からも御指摘をいただいたのですけれども、心理学上、学術上の用語で厳密に我々としての政策を展開しているわけではなく、我々としては性別による無意識の思い込み、固定的な性別役割分担というものをセットで解消の対象としているところでございます。
 ですので、我々としては、まず自分の行動に気づきがあるということを思いつくということ、それに基づきまして政策に生かしていくというところで、大崎委員が御指摘になった2つの点の配慮をしていきながら進めていきたいということを考えてございます。
 以上でございます。
○山田会長 ありがとうございます。
 では、文部科学省のほうからいかがでしょうか。お願いします。
○先﨑総括官 ありがとうございます。
 修学支援について御質問をいただきました。いろいろな取組が進んでおります。例えば、理工に加えて農です。理工農の女子学生の修学支援ということで、大分前から文科省、政府で旗振りをしておりまして、幾つかの大学は、民間企業の協賛金などを含めて、人的なネットワークを活用しつつ、資金を集めて修学支援制度みたいなことをやっているという取組がございます。
 公的な資金を活用してということになりますと、「大学・高専機能強化支援事業」という事業がございます。この中で、成長分野、つまり理工農系については基金を使って大学の構造を変えていきましょうという取組があるのですけれども、支援の実施にあたり女子学生の確保の取組も求めており、女性向けの修学支援やセミナーの実施などの例も出てきているところでございます。
 以上、御紹介でした。
○山田会長 ありがとうございます。
 江﨑様からはありますでしょうか。
○江﨑審議官 教員研修のためのプログラムとか、こういった教材についてどのくらい使われているかという質問がございました。今日お渡しした資料の5ページの上のほうの「アンコンシャス・バイアスに気づき、変革につなげるために」というほうは再生回数が4,660回という形になっています。下のほうの教員研修プログラムは、全11本の合計ですけれども、1万5000回ぐらいとなってございます。
 学校の数は小中高を合わせて3万校以上ありますので、そういうことからすると少ないかなという印象もあるかと思いますけれども、我々もこういった動画、教材をしっかり見ていただけるよう、各種の校長会、あるいはPTAの連合会の会議、都道府県や指定都市の教育委員会の関係の会議、こういったところで繰り返し見ていただくような周知は図っております。今後とも努力をしていきたいと思います。
 2つ目に、こういったことに関して男女共同参画センターとの連携について質問がございました。基本的に、こういったことが教育現場で実際にどうやって連携しているかということについて、具体的にいい例を承知しておりませんので、ここで申し上げることはなかなか難しいのですけれども、少なくとも私どもの事業をやる場合、あるいはこういった研修の教材を作る場合には男女共同参画センターの協力もいただいているところでございます。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 前後して申し訳ありません。上田様、よろしくお願いします。
○上田課長 内閣府男女共同参画局の上田でございます。
 前半のほうでも御指摘をいただきました進め方の話につきまして、前半で御説明を私のほうからした際に具体的なところが不足していました。失礼いたしました。防災、貧困の話につきましては、次回の専門調査会で取り扱うことを考えているところでございます。
 制度のところは、やはり制度という観点で見た場合にかなり多岐にわたるところがありまして、特定の省庁を呼んでやったりするというのが難しいところはあるかなと思っております。ただ、何かしらの形で、次回は、先ほど申し上げましたように、各省庁のヒアリングとともに、全体的な今後の検討の方向性についても先生方に御議論いただけないかなと思っておりまして、その全体の中で何かしらそういったことにも御意見をいただけるなり、どういった対応できるかというのをまずは一旦検討させていただければと考えております。
 あと、性の多様性についても御指摘をいただいております。これも、計画をつくるに当たってかなり基本となるといいますか、全体にかかってくる考え方に関連するかと思いますので、これについても1年間の検討の中でぜひ考えていきたいと思っております。
 理工系につきまして、前年度との比較だけでは検証として足りないのではないかという御指摘をいただいております。これにつきましては、毎年積み上げていって取れないのかとか、もう少し違う観点で取れないのかといったことをまずは検討してまいりたいと考えております。
 また、理工系分野への女性の参画の関係では、教育委員会との連携のお話についても御指摘をいただいております。これまでも専門調査会で御指摘をいただいておりまして、文科省さんのほうとも担当ベースで相談をさせていただいたり、御協力をいただいているところではあるのですけれども、6次計画の策定に当たっても、理工系分野で内閣府がやっていることと文科省がやっていることをきちんとうまく連携して、教育委員会のほうにも御協力いただきながら、何ができるかということをぜひ考えてまいりたいと思います。
 あと、女子をエンカレッジする取組をやる中で、それについての反発がある場面もあるという御指摘もいただいております。それも、やはり男女共同参画基本計画をつくる中で基盤となるいろいろな取組をするに当たって重要な観点と考えておりますので、計画の策定の中でどのように取り扱っていけるのか、計画の中にはどのようなことが書いていけるのか、どういうふうに対応していけるのかということについてまずは考えてまいりたいと思っております。
 私のほうからは以上でございます。
○山田会長 ありがとうございます。
 質疑応答はこれまでとします。活発な御議論をありがとうございました。
○大森課長 1点だけ補足します。
 動画の視聴数ですけれども、内閣府のほうの無意識の思い込みの動画の視聴数は約3万件というところが数字で出ております。
 以上でございます。
○山田会長 ありがとうございました。
 では、文部科学省におかれましては退室していただいて構いません。ありがとうございました。
 時間が押しているので申し訳ないのですが、続きまして、12月25日に女性に対する暴力に関する専門調査会が開催され、第5次基本計画の第5分野に関わる取組状況の報告及び議論が行われましたので、その結果について同専門調査会の小西会長から御報告をいただきます。よろしくお願いいたします。
○小西委員 よろしくお願いします。
 私からは、昨年の12月25日に開催しました女性に対する暴力に関する専門調査会における第5次男女共同参画基本計画の第5分野、「女性に対するあらゆる暴力の根絶」に関わる取組状況に関する議論について御報告いたします。
 まず、第5分野の全体に関わる評価としては、この4年間で様々な法律の制定・改正等により法制度の整備が進みましたので、この点は大きな進歩であったという御意見が多くございました。そして、新しい法律の実施状況については、今後調査等をしっかり行ってほしいという意見も複数ございました。一方、実際の支援については、地域格差や専門人材の不足等の課題がある点も指摘がございました。
 そのほか、男女共同参画が実現していないことを背景に暴力の問題が起きているということ等の認識の重要性、デジタル技術を活用する性暴力等の問題の検討、国際的なレベルの取組の必要性などについて御意見をいただきました。
 次に、DV被害者支援のほうですけれども、こちらでは、新たに施行された女性支援新法の効果を見ていく必要があること、支援現場である市町村レベルの窓口を置き去りにしないこと、加害者プログラムの内容充実や人材育成が必要であることなどの御意見がございました。
 また、令和6年改正民法に関し、精神的なDVの場合を含め、DVからの避難は単独での親権行使が可能な場合に当たること等のさらなる周知、それから、家庭裁判所の体制の拡充の必要性についても指摘がございました。
 性犯罪・性暴力対策については、令和5年の刑法改正等により飛躍的に取組が進んだという評価があり、さらに対策を進めるため、運用に関わる者に対する研修・教育や、運用状況の把握、性的被害の実態調査の在り方等の検討が必要であるとの御意見がございました。また、ワンストップ支援センターの役割が一層重要となる中で、支援の充実と相談支援員の処遇面等の保障の必要性の指摘もございました。
 子供・若者に対する性暴力の観点では、学校の教員等への研修、学校での性犯罪・性暴力防止に関する教育の学習指導要領への明確な位置づけ、身近なところで子供の意見聴取や証拠保全等の初動対応ができる体制などについて、その必要性の御指摘がございました。
 そのほか、暴力の問題はほかの男女共同参画施策と分けて考えられがちであるけれども、暴力の背景となる構造上の問題として、賃金格差やアンコンシャス・バイアスなどがあったり、DVや性暴力の問題と性と生殖に関する健康と権利については密接に関連があったり、それから、インターセクショナリティーの観点を持っての議論が必要であったりするため、分野間の関連性も踏まえての検討が必要であるとの御意見もございました。
 最後に、次期計画に向けては、インターネットの影響が増大していることを踏まえた分野を設けた上で、「デジタル性暴力」という名前でありましたけれども、デジタル性暴力への対応を盛り込んではどうかという御提案や、「女性に対する暴力」という分野名で政策を進めてきましたが、国連等の動きも踏まえて新たな枠組みを検討する余地があるのではないかという御示唆がございました。
 以上、女性に対する暴力に関する専門調査会における第5次基本計画の第5分野の取組状況に関わる議論について御報告をさせていただきました。お疲れのところ、どうもありがとうございます。
○山田会長 ありがとうございます。
 ただいまの御説明を踏まえて、御質問や6次計画策定に向けて御意見があれば、Zoomの「挙手機能」を使っていただき「挙手」をお願いいたします。小西会長の御説明の中で、「分野間の関連性も踏まえての検討が必要」というお話もありましたので、そうした観点も含めて御意見をいただければと思います。時間も限られていますので、短めにお願いいたします。
 治部委員、お願いいたします。
○治部委員 ありがとうございました。
 小西委員がおっしゃったとおり、DV、性暴力、Gender-Based Violenceに関する施策はほかの女性施策ときっちり連携して進めていくべきだと私も考えております。
 と申しますのも、こういう仕事をしていますので、ハラスメントに関する相談をよく受けます。ハラスメント相談は、通常、労働問題と位置づけられることが多いのですけれども、とてもハラスメントでは済まない、これは刑法犯に分類されるのではないかということもありますので、やはり緊密な連携が必要だということにとても賛成しました。
 特に、今非常に世間の注目も集めておりますテレビ業界における女性に対する性暴力・性被害の問題は、私も非常に注目をしております。特定の媒体が初動でどういう細かいことを間違えたかということに注目するというよりは、あの報道を契機に、様々な場所で、労働だと思われるような場所で性暴力が行われていたということに多くの人が気づき、声を上げ始めているという流れがとても大事だと思っております。
 ちょうど今週、私が委員を務めておりますテレビ局の番組審議会で、子供の家庭内の性虐待に関するドキュメンタリー番組が審議対象になっておりました。テーマが非常に深刻であるので深夜の放送であったのですけれども、この分野を長年取材していたディレクターの方が制作した質の高い番組でありました。こういった番組を、社長以下取締役は全員男性なのですけれども、そういう方たちも一緒に議論をするということは、言ってみればメディアの業界も変わりつつあるということでありましょうし、そういった中で政策が変わってきたことの意義という話も出てきましたので、この分野について、私はメディアとかその辺が専門なので、ぜひ一緒に連携しながら6次計画もつくっていけたらなと思いました。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 佐々木委員、手短にお願いいたします。
○佐々木委員 ありがとうございます。
 インターセクショナリティーという文言が出てきたので、私、昨年、障害者との掛け算というところのデータを調べようと思っても、なかなか統計データがなかったりするので、インターセクショナリティーをしっかり入れていただければと思います。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 時間がないのですが、私から一言、要望をお願いしたいのですけれども、職場のセクハラということに関してはいろいろな措置がなされていますけれども、例えば、地域社会、町内会、そういう中間団体におけるセクハラとか、先ほどの女性起業家に対するセクハラがあるという話もありますし、さらにはカスタマーハラスメントの中でもセクハラも伴ったカスタマーハラスメントもあると思いますので、ぜひ職場に限らないような広いところでのセクハラに関しても御議論いただければありがたいと思います。御要望ですので、お答えは結構です。ありがとうございます。
 では、議論はここまでとさせていただきます。御発言しきれなかった内容があれば、後日、事務局にメールでお寄せいただけます。
 これまでの御質問、御意見について、小西会長もしくは岡田局長から何かありますでしょうか。
 小西委員、お願いいたします。
○小西委員 岡田局長にもお話しいただきたいと思いますけれども、この専門部会の中でも、性犯罪の刑法改正は確かに大きな一歩であるのですが、やはり全体の社会の変化を象徴する一つの事象だと皆さんが位置づけているのだと、この議論を聞いて思いました。
 今、いろいろ委員の方から言われたことも、みんなようやく発言できるようになって浮かび上がってきたことですね。そういう意味では、広く議論していくという御意見には私も賛同いたします。
 以上です。
○山田会長 ありがとうございます。
 岡田局長、ありますでしょうか。
○岡田局長 小西先生のお話にあったとおりでありますけれども、小西先生のお話だけではなく、全体的に今日の先生方の御意見は個別の施策についての御意見ということに加えまして、6次計画を考えていく上での重要な論点を出していただいたのではないかと思います。5次計画を考えていただいていた頃とはまた時代も状況も変わってきておりますので、今までとは異なったアプローチも必要ではないかと考えております。
 今日いろいろ御指摘いただきましたことは、1つの分野だけではなくて、それが相互に連携しているということを第1部のヒアリングのときも第2部のヒアリングのときもお話しいただきました。それはどの分野でも同じかなと思っております。
 以上でございます。
 橋爪先生、まだいらっしゃれば何かコメントをいただければと思います。
○橋爪委員 時間も押していますので、本日のところは結構でございます。ありがとうございます。
○山田会長 気がつかなくて申し訳ございません。今後ともよろしくお願いいたします。
 では、時間を相当過ぎて申し訳ございません。小西会長におかれましても、女性に対する暴力に関する専門調査会における議論の取りまとめ、本当にありがとうございました。
 最後に、岡田局長から何かありますでしょうか。
○岡田局長 長時間、どうもありがとうございました。
 先ほど申し上げていなかった点として、今日は先生方からデータの取り方についても幾つか御指摘をいただいたかと思います。どのように取っていけば変化が分かりやすいかということについて、私どもも引き続き考えてまいりたいと思います。
 また、海外でいろいろなレポートも出ているというお話もいただきました。具体的にどのような議論があるかということにつきましても、引き続き情報収集をしてまいりたいと思いますので、先生方、いろいろ御指摘を賜ればと思います。
 今日もどうもありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願い申し上げます。
○山田会長 どうもありがとうございました。
 長時間にわたり会議に御参加いただき、ありがとうございました。時間が超過したことについて、司会の不手際をおわび申し上げます。
 では、本日の会議は以上となります。お疲れさまでした。今後ともよろしくお願いいたします。