ポジティブ・アクション研究会(第1回)議事要旨

  • 日時: 平成15年7月11日(金) 14:00~16:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室

(議事次第)

  1. 開会
  2. ポジティブ・アクション研究会の運営について
  3. 「女性のチャレンジ支援策について」報告について
  4. ポジティブ・アクション研究会の検討の進め方について
  5. 辻村委員報告
  6. 自由討議
  7. 閉会

(配布資料)

資料1
ポジティブ・アクション研究会開催要綱
資料2
ポジティブ・アクション研究会運営規則(案)
資料3
「女性のチャレンジ支援策について」(男女共同参画会議基本問題専門調査会)
(資料3-1 、3-2、3-3、3-4、3-5、3-6)
資料4
ポジティブ・アクション研究会の検討の進め方について(案)
資料5
辻村委員報告資料(ポジティブ・アクションをめぐる日本の課題と諸外国の取組)

(概要)

  1. 初会合に当たり、内閣府男女共同参画局長からあいさつが行われ、続いて座長に高橋委員が指名された。
     各委員から自己紹介が行われた。
  2. 座長より、検討会の運営規則に関して説明があり、原案のとおり決定された。
  3. 内閣府より、男女共同参画会議基本問題専門調査会「女性のチャレンジ支援策について」最終報告について説明が行われた。
  4. 内閣府より、ポジティブ・アクション研究会の検討の進め方について説明が行われた。
  5. 辻村委員より「ポジティブ・アクションをめぐる日本の課題と諸外国の取組」というテーマで、ポジティブ・アクションの観念と形態、クォータ制等の諸手段の合憲性、諸外国の取 組について説明が行われた。
    辻村委員
    報告では、ポジティブ・アクションの観念と態様について様々なものがあるが、日本ではその用法に統一性がなく問題が残っていること、さらに欧米では、逆差別が問 題となる厳格なポジティブ・アクションやクォータ制について、憲法違反の判決や反対論があることを検討した。これらは、当然、日本でポジティブ・アクションの具体的導入を検討 するときにも問題になるため、クォータ制の合憲性などについて理論的に明らかにしておく必要がある。
     さらに、実際には、女性比率など数の問題だけではないので、様々なレベルのポジティブ・アクションを各領域について平行して実施することで男女共同参画に対するコンセンサ スができていくと考えられる。ポジティブ・アクションは即効薬だが、社会全体のコンセンサスがないと副作用も強くなるので、漢方薬的な人権教育とか、男女共同参画研修とか、メ ンタープログラムとか、様々な取組を着実にやっていくことによって、即効薬の効果がうまく浸透するのではないかと考えている。
  6. 本日の説明等について自由討議が行われた。その概要は以下のとおり。
    伊藤委員
    実質的にはその間の境界というのは非常に微妙なものがあるが、言葉の使い方からすればヨーロッパ型のポジティブ・アクションというのはあくまでも結果の平等では なく機会の平等を保障するにとどまるというのが、前提のようだ。従って、あくまでプラスファクターとしてのみなされるのであって、最初にまず資格や能力については同じであること が前提であるので、既にポジティブ・ディスクリミネーションではないと考えられているように思う。だから、恐らく考え方としては基本的にはアメリカとヨーロッパ型のモデルは違うと 思われる。
    高橋委員
    機会の平等の実質化ということは、将来に向かって我々の望むよりよい社会をつくっていくためには、現在、機会が不平等になっているのではないか、それを実質化する という考え方。現在の問題点をどう改善するかというところから機会の実質化という発想。
    辻村委員
    ポジティブ・アクションの観念に、そもそも両立支援や研修のような緩やかなものが入っているのかどうか、という問題には、理論的にはこだわりたいと思う。要するに、 本研究会ではこれらは一応度外視しましょうということだが、理論的には、本当はそういうものも入っているけれども外すのか、それとも、もともと入っていないものとしてスタートする のかではちょっと違うと思う。
    安西委員
    アメリカでアファーマティブ・アクションという場合には当然逆差別というのを一応前提にして考えている。だから、一般的に仕事と子育ての両立支援策などは、ポジティ ブ・アクションとは考えていない。それまで入れてポジティブ・アクションと考えるとなるとかなり範囲が広くなる。
  7. 次回の研究会での検討項目について議論が行われ、次回は行政分野について検討することとされた。