- 日時: 平成21年2月23日(月) 13:00~15:30
- 場所: 金融庁13階共用会議室
- 出席者
○監視・影響調査専門調査会
鹿嶋委員
大沢委員
岡本委員
勝又委員
神田委員
黒﨑委員
潮谷委員
袖井委員
橘木委員
畠中委員
○生活困難を抱える男女に関する検討会
小杉委員
桜井委員
湯澤委員
※監視・影響調査専門調査会と合同開催 - 議題
- 1.生活困難を抱える男女に関するヒアリング結果の実施状況及びとりまとめ案について
- 2.新たな経済社会の潮流における生活困難を抱える男女について
- 3.とりまとめに向けた論点整理 骨子(案)について
- 4.地方分権改革推進委員会「第2次勧告」(平成20年12月8日)について
- 議事要旨
■ ヒアリングとりまとめ案及びとりまとめに向けた論点整理骨子(案)について事務局から説明。
【説明を踏まえての意見交換】
○生活困難が複合化して連鎖する問題をどう考えるかということが課題。こうした問題は第3次の基本計画策定の中でも取り上げていくべきである。ヒアリングの中で、メンタル面での課題が大きくなっていることがよくわかった。
○性の問題についても今後議論を深めていく必要があるのではないか。
○家族の多様化、企業社会の変化の大きな流れの中で従来の枠組みの下では保護されない人が増え、中でも女性に大きな影響が生じているという問題を指摘すべきではないか。
→ 福祉を家族に頼らず、地域・社会の福祉としていくことの重要性を指摘すべき。
→ かつて非正規雇用が主婦の家計補助としての働き方だったころには問題視されてこなかったその処遇等の問題が、結婚していない男女にまでその働き方が広がったことにより、大きな問題となっていることを指摘すべき。
→ 無業で経済的に自立できず家族に支えられている若者といった潜在的な困難層がいるという問題も指摘すべき。○自立を突き詰めることが「孤立」となってしまわないよう、「関係性」としての自立という概念を組み込むべき。
○ひとり親などは、周囲とつながりたくてもその時間がない、といった「時間の貧困」が「関係の貧困」を生むという、困難の連鎖がある。出産・育児等に伴って教育機会が狭まり、就業機会や能力機会が阻害されるという、連鎖の関係性を盛り込むべき。
○働ける能力はあるがその場がないという人へのセーフティネットが課題。
○離婚をきっかけに困窮に陥るという現象もあるが、経済的困難などの要因に影響されて離婚し、離婚により更なる困難を抱え再出発をしなければならない生活困難層についてどこかに書き込めないか。
○「男性特有の状況」として他に挙げるべきものはないか。
→ 男性ホームレスの問題を挙げるべき。背景にはアルコール依存、離婚の問題等が大きい。このうち特にアルコール依存については言及できないか。
→ 男性では特に非正規労働者が結婚しにくい傾向がある問題を指摘すべき。○学歴等の社会階層を把握する統計が必要。全国母子世帯等調査等の既存の調査において、学歴などの項目を一つでも追加できれば、分析が深まる。
→ 根拠に基づく政策立案(evidence based policy)という観点から、政策立案上必要という根拠がなければ理解されにくい。○今後は男性も介護を担うことが多くなり、男性の生活にもっと影響を及ぼしていくようになる。
○「10代の母」に関する記述が唐突感がある。10代女性に限らず、「女性自身の福祉」という観点を重視した捉え方にすべき。
○課題の並び順について、最初は雇用の問題ではなく、心のケアなどが最初に来るべきではないか。ヒアリングなどでも就労自立の前段階として心のケアの重要性が指摘されている。
○女性の若年期の自立支援については、早期介入の仕組みが必要である。小中学校の段階から、自分で暮らしを立てていく生き方について、ロールモデルなどを通じて学べる機会を持てることが重要である。
○教育が重要。教育には学校教育のみならず地域・社会での教育が含まれるが、その中で経済的自立について学ぶ機会を男女とも十分に持つべき。
○働きながら学ぶ高校生が多くなっているため、高校で労働法を学ぶことができる制度が必要ではないか。
○若年の母だけではなく、20代、30代のひとり親などの母親についても、安心して職業訓練を受けられる経済的余裕がない。「安心して訓練が受けられる」ということが必要である。
○現在相談機能が重要な機能になっていることを示し、多様な機関でバラバラに行われている現状に問題があることを示すべき。
○ひとり親を含め、親が子どもをケアする権利・時間を保障するという考え方が必要。
○複合的な問題を抱えた家族に対するワンストップの支援が必要。各省の政策に男女共同参画の視点を入れて、切れ目のない支援になるようにコーディネートしていくことが男女共同参画局の課題ではないか。
○男女別の視点は必要。派遣村でも、テント、講堂での雑魚寝の中で女性が支援に結び付かなかった状況があると聞いている。
■地方分権改革推進委員会「第2次勧告」(平成20年12月8日)における都道府県労働局雇用均等室の扱いについて、厚生労働省雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課安藤課長より説明。
- 同勧告で、都道府県労働局雇用均等室の廃止及びブロック機関への集約を言及されている。
- 雇用均等室は相談など第一線業務を行っており、廃止は利用者の利便の低下に繋がる。
【説明を踏まえての意見交換】
○雇用均等室の廃止は、労働者、事業主双方にとって身近な相談窓口や迅速な労使紛争解決の手段が失われることであり、労働者の権利の救済に大きな影響を及ぼし、男女共同参画の観点からみて問題と考える。
○現在の都道府県ごと設置の体制でも、離島等僻地に住んでいる人には不便であり、更に集約するというのは考えられない。
○利用者にとって不便ということであれば、はるかに数の多い労働基準監督署や公共職業安定所に雇用均等室の機能を持たせた方が適切ではないのか。
→ 公共職業安定所は機関の性質上難しい。労働基準監督署が雇用均等室の機能を担うことは将来的にはありうるが、男女共同参画の理念の全国的な浸透自体が道半ばである現在、全国において雇用均等室と同様の機能を労働基準監督署が果たすことは難しい。○本件は、地方分権の推進において重要であるはずの、事務権限についての議論が不十分であると感じられ、当専門調査会から意見提出は必要である。
○要望文を提出する際は、男女共同参画会議が地方分権に反対する趣旨ではないことが伝わるよう留意が必要。