生活困難を抱える男女に関する検討会(第1回)議事要旨 | 検討会 | 推進本部・会議等ホームページ

  • 日時: 平成20年9月9日(火) 16:00~18:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席者

    袖井座長
    阿部委員
    鹿嶋委員
    小杉委員
    桜井委員
    橘木委員
    湯澤委員

  2. 議題

    本検討会の目的と進め方について

  3. 議事要旨

    ■ 本検討会の目的と進め方について、事務局から資料に基づき説明。

    概要

    【説明を踏まえての意見交換】

    <調査の視点について>

    ○経済的困難は既存研究でわかっている部分が大きい。経済面以外の困難の把握は難しいが、新しい視点になる。例えば医療を受けられるかどうか。

    ○病気の際介護者がいない、週に一度も人と会話しないという孤立した人々がかなりいる。こうした人々の実態把握は難しいが、その視点は必要ではないか。

    ○経済困難においては債務の問題が非常に大きいので、そのような視点も必要ではないか。

    ○男性のフリーターの増加は問題視されるが、女性のフリーターは家事手伝いとされ、結婚すれば落ち着けるところがあるだろうと、あまり問題視されてこなかった面がある。

    ○男は働くべきもの、女は結婚すればよい、という考え方があることをどのように考えるか。

    ○無職女性が生活困難に陥れば性産業に関わる場合も多いと思われるが、その被害は把握されにくい。

    ○地域格差も非常に大きい。首都圏の中でも格差がある。出来れば視野に入れていきたい。

    ○生活保護だけではなく、医療保険や、雇用保険等、社会保障や最低賃金制度の現状についての視点が欲しい。所得の源泉を見れば、社会保障の機能具合を見ることができる。その地域の最低賃金と実際の所得を比較してもよい。

    ○男女共同参画の視点から、女性の経済的自立(エンパワーメント)を図るという視点が大切である。

    <貧困を生み出す要因について>

    ○一時的な貧困と長期的な貧困を分けて考える必要がある。親の収入格差等により学歴格差が生まれ、さらに就業機会の制限につながるなど、長期にある人、あるいは世代を通じても貧困が継続される長期的な貧困が問題である。

    ○高校中退者は10万人ほどで、男性が多い。しかし高校中退者でのフリーター率は女性の方が高い。高卒も女性はフリーター率が高い。高卒者の正社員の就職口が製造業に集中するため、女性は正社員では就職しにくい。

    ○数こそ少ないが中卒・高校中退層において貧困層が再生産されやすい問題をどのように捉えていくかは重要な問題。

    ○貧困を一時的・長期的に分けて分析を行うことは難しい。国内で使えるパネル調査等のデータはほとんどないが、検討の余地はある。

    ○定時制高校にインタビューを行ったときに、彼らに女性の適当なロール・モデルがなく、仕事で自立をしたり、社会に出て行くといった事をあらかじめ学ぶ機会がないと感じた。

    <困難層への支援施策について>

    ○学歴は獲得属性だが、大人になってからの獲得は難しく、低学歴層はその不利がずっとついてまわる。高等技術専門校で技能をつける等、20歳後半から学歴を取得する取組も行われているが、機能するには福祉の支えが必要。教育、労働、福祉の連携を、当事者の視点から組み立てていく必要がある。

    ○母子世帯への就労支援は非常に重要だが、ワーク・ライフ・バランスは母子には適用されないのか。また、施策に子どもへの視点も充分ではないと思う。

    ○福祉行政では、施策の対象後に分断して捉えられてしまう中で、内閣府だからこそライフコースを貫く視点から出せる提言があるのではないか。例えば、若年女性が妊娠・出産に伴い困難に陥っても、児童福祉や母子支援の対象とならない場合がある。他方、65歳以前で、困難に直面する中高年の単身女性への支援がないという問題もある。

    <調査分析の方法について>

    ○困難層を調べるためのマクロデータがあまりない。国民生活基礎調査等、色々大規模統計はあるが、こうした層に絞るとサンプルが少なくなるし、また表層的なデータしか取れない。

    ○ほとんどの国では公式に貧困ラインを設定しているが、日本に公的なものは存在しない。例えば所得が200万円以下の層を分析してみても、その層が貧困とは限らない。昔はマーケットバスケット方式等色々な方法で貧困ラインを取っていたが、今は実施していない。

    ○生活困難者は口が重く直接のヒアリングは大変。支援団体へのヒアリングは良い方法。支援団体に頼んで直接聴いてもらう方法もある。

    ○母子家庭のデータは、国勢調査と国民生活基礎調査では母子のみ家庭しか取れず、親と同居している母子家庭がデータで取れない。全国母子世帯等調査では、同居の母子家庭も取れる。

    ○特別集計を行う場合、働き方、家族形態を見るなら就業構造基本調査がよい。世帯収入なら、国民生活基礎調査がサンプル数も多く、詳細調査年は情報も多いのでよいのではないか。その他も、いくつか分析できればよいと考えられる調査がある。

    <その他論点>

    ○日本は先進国になり社会保障が非常に手厚くなり、家族に福祉を頼るのをやめた。今国民皆保険制度も困難を抱え、企業も頼りにならなくなった。しかし今から50年前のような家族機能に頼る社会に戻ることは難しい。

    ○フリーターの未既婚の定義は男女別に異なるが問題がないか。フリーターの定義についてこの検討会で検討してもいいのではないか。

    ○既婚女性は、フリーターの定義には入れないほうがいい。その問題を扱うなら、別の概念で検討すべき。