男女共同参画会議(第24回)議事要旨

(開催要領)

  1. 開催日時:平成18年10月31日(火)17:34~18:18
  2. 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
 
安倍 晋三 内閣総理大臣
議長
塩崎 恭久 内閣官房長官
議員
高市 早苗 少子化・男女共同参画担当大臣
菅  義偉 総務大臣
長勢 甚遠 法務大臣
尾身 幸次 財務大臣
伊吹 文明 文部科学大臣(代理:池坊保子文部科学副大臣)
柳澤 伯夫 厚生労働大臣
松岡 利勝 農林水産大臣(代理:国井正幸農林水産副大臣)
甘利  明 経済産業大臣(代理:渡辺道博経済産業副大臣)
冬柴 鐵三 国土交通大臣
若林 正俊 環境大臣(代理:土屋品子環境副大臣)
溝手 顕正 国家公安委員会委員長
内永 ゆか子 日本アイ・ビー・エム株式会社取締役専務執行役員
鹿島 敬 実践女子大学教授
片山 善博 鳥取県知事
住田 裕子 弁護士、獨協大学特任教授
袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
林  誠子 日本労働組合総連合会参与
原  ひろ子 城西国際大学大学院客員教授、お茶の水女子大学名誉教授
山口 みつ子 財団法人市川房枝記念会常務理事
出席者
久間 章生 防衛庁長官(代理:木村隆秀防衛庁副長官)
 
岩男 壽美子 少子化と男女共同参画に関する専門調査会会長代理

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)男女共同参画社会の形成に向けた取組等について
      • 平成19年度男女共同参画推進関係予算概算要求
      • 女性国家公務員の採用・登用の拡大状況等
      • 少子化と男女共同参画に関する社会環境の国内分析報告書
    • (2)政府が実施する男女共同参画社会の形成促進に関する施策の実施状況の監視について(都道府県・政令指定都市における審議会等の委員についての国の法令に基づく職務指定について)
    • (3)男女共同参画会議の進め方
  3. 閉会

    ○ 安倍内閣総理大臣より、誰に対しても開かれ、誰もがチャレンジできる男女共同参画社会の実現を目指し、女性の再チャレンジ支援策や、働き方の見直しを含めた仕事と家庭の両立支援策等を充実強化するなど、第2次男女共同参画基本計画を一層推進していく旨の挨拶があった。

    (1)男女共同参画の形成に向けた取組等について

    ○ 平成19年度男女共同参画推進関係予算概算要求について

    高市男女共同参画担当大臣より、資料1-1に基づき、平成19年度男女共同参画推進関係予算概算要求について報告があった。

    ○ 女性国家公務員の採用・登用の拡大状況等について

    菅総務大臣より、資料2に基づき、女性国家公務員の採用・登用の拡大状況等のフォローアップの実施結果について報告があった。続いて、塩崎内閣官房長官より、資料3に基づき、国家公務員Ⅰ種試験等による来年度の採用内定者に占める女性の比率について報告があった。

    ○ 少子化と男女共同参画に関する社会環境の国内分析報告書について

    少子化と男女共同参画に関する専門調査会の岩男会長代理より、資料4-1に基づき説明があった。

    (2)政府が実施する男女共同参画社会の形成促進に関する施策の実施状況の監視について(都道府県・政令指定都市における審議会等の委員についての国の法令に基づく職務指定について)

    監視・影響調査専門調査会会長の鹿嶋議員より、資料5-1、5-2に基づき、都道府県・政令指定都市における審議会等の委員についての国の法令に基づく職務指定に関する調査検討結果についての報告があった。これを受けて、片山議員より、法律で役職指定された審議会等への女性委員の参画については、地方自治体における創意工夫では限界があり、法律の規定を緩和する必要があるという旨の意見が述べられた。

    続いて、資料5-3のとおり、男女共同参画会議として、内閣総理大臣及び関係各大臣に対して、都道府県・政令指定都市における審議会等の委員についての国の法令に基づく職務指定についての意見を述べることを決定した。

    (3)男女共同参画会議の進め方

    高市男女共同参画担当大臣より、資料6に基づき、男女共同参画会議の進め方について説明があった。

    以下、今後の男女共同参画に関する取組に関して、意見交換が行われた。

    (住田議員)

    小泉内閣において、女性のチャレンジ支援策を打ち出した際に、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%という数値目標を設定した。この30%は、国際的には1995年までの目標で、多くの国では既に達成されている。日本は、経済力などの基本的な力は常にベスト10前後にもかかわらず、女性の活躍では非常に遅れており、同目標の達成に向けて努力していく必要がある。基本問題専門調査会では、同目標について「指導的地位に占める者」の範囲の確定と指標の作成をすることとしている。

    (林議員)

    女性の雇用形態については、30代以降パートの割合が多く、パート女性の賃金は、男性一般労働者の半分以下となっているが、パート女性の仕事の価値は、低いとは言えない。共働きでも、ともにパートの場合は低収入であり、フルタイムの場合の3分の1の収入である。経済活性化・少子化対策の側面からもライフステージに応じた働き方を選択できるように、パートなど有期契約や非正規労働者の均等待遇確保の制度を早急に策定する必要がある。

    (鹿嶋議員)

    共働き世帯では、無報酬労働を加味すると、妻の方が労働時間が長い。仕事と家庭生活が両立できるような働き方が大切であり、ひいてはそれが少子化の克服につながる可能性がある。そこで8月1日に次世代のための民間運動である「ワーク・ライフ・バランス推進会議」を立ち上げた。ワーク・ライフ・バランスの推進に当たっては、女性の両立支援だけでなく、男性の家庭参画も重要であり、男女共同参画の理念を根底に据えた取組が必要である。

    (内永議員)

    21世紀職業財団の調査では、女性を活用している企業が、収益性や成長性が高いことが示されている。また、経済産業省の調査では、女性が活躍できる企業は、ワーク・ライフ・バランスや人材の活用が積極的に行われており、結果的に企業も活性化するということが報告されている。日本の企業に求められていることの一つが、ワークフォース・ダイバーシティ。イノベーションは、同じ考え方、同じ価値観の人だけでは生まれない。女性まで広げて優秀な人材を活用するということが必要である。

    (袖井議員)

    衰退した地域を活性化する上で、今後、女性のパワーが大いに期待されるコミニティービジネスや農村での民宿や農産物の販売など新しい分野での女性の活躍がみられる。農協、漁協、自治会といった伝統的な分野でも女性の能力を活用することが必要である。
    また、女性の再チャレンジについては、再就職を希望する女性の採用状況は厳しい状況にあり、関係各府省が連携をして取り組んでいただきたい。

    (原議員)

    改正配偶者暴力防止法(2004年施行)の再検討を行う時期であり、女性に対する暴力に関する専門調査会では、現状と課題の把握に努めている。地域によって多様な状況があり、被害者の保護、支援の取組についても差がある。また、対策の充実にむけての要望も寄せられている。

    (片山議員)

    DVの被害者支援の仕組みはあるが、被害者がアクセスできる情報や機会がない。被害者の生活格差、特に底辺が拡大しているという実態の認識が必要である。

    また、DV被害者や母子家庭の自立支援においては、住宅問題と就労が大きな問題。公営住宅については、長期間居住している人より自立支援の対象者を優先する自立支援型に見直すということも必要なのではないか。就労の問題では、きめ細かいマッチングや、求職中の人が保育所に子供を預けられるようにする必要がある。保育行政についても、真に福祉の対象者を優先すべきである。

    (山口議員)

    男女共同参画社会基本法、男女共同参画会議など、我が国の推進体制は、国際的にも高く評価されている。

    今年6月から7月にかけての東アジア男女共同参画大臣会合では、猪口前男女共同参画担当大臣が議長を務め、各国・国際機関の閣僚級が14名出席した。高市大臣は多くの重要事項を兼務しており、お忙しい中とは思うが、男女共同参画社会基本法のもとに十分に力を発揮していただき、男女共同参画の一層諸施策を進めていただきたい。

    (柳澤厚生労働大臣)

    パート労働者の均等処遇の問題については、法的な整備の実現に向けて検討中である。

    子育て中の女性の再就業の問題については、マザーズ・ハローワークにおける雇用の掘り起こしや保育サービス情報の提供の取組を、今後も拡大してまいりたい。

    ○ 最後に、議長の塩崎内閣官房長官より、ワーク・ライフ・バランスの推進や女性の再チャレンジの促進など、今後の重要な課題について、貴重な意見を聞くことができ、これを踏まえ、引き続き積極的な検討を行っていく旨の発言があった。

    (以上)