男女共同参画会議(第31回)議事録

【開催要領】

  1. 開催日時:平成21年3月26日(木)17:45~18:15
  2. 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
 
麻生 太郎 内閣総理大臣
議長
河村 建夫 内閣官房長官
議員
小渕 優子 内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画)
鳩山 邦夫 総務大臣(代理 倉田 雅年  総務副大臣)
森  英介 法務大臣(代理 佐藤 剛男  法務副大臣)
中曽根弘文 外務大臣(代理 伊藤 信太郎  外務副大臣)
中川 昭一 財務大臣(代理:竹下亘財務副大臣)
塩谷  立 文部科学大臣(代理 山内 俊夫  文部科学副大臣)
舛添 要一 厚生労働大臣(代理 渡辺 孝男  厚生労働副大臣)
石破  茂 農林水産大臣(代理 石田 祝稔  農林水産副大臣)
二階 俊博 経済産業大臣(代理 吉川 貴盛  経済産業副大臣)
金子 一義 国土交通大臣(代理 加納 時男  国土交通副大臣)
斉藤 鉄夫 環境大臣
佐藤  勉 国家公安委員会委員長
家本 賢太郎 株式会社クララオンライン代表取締役社長
岩田 喜美枝 株式会社資生堂代表取締役執行役員副社長
岡本 直美 日本労働組合総連合会副会長
帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
鹿嶋 敬 実践女子大学教授
勝間 和代 経済評論家・公認会計士
勝俣 恒久 東京電力株式会社取締役会長
加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
神津 カンナ 作家
佐藤 博樹 東京大学教授
山田 昌弘 中央大学教授
出席者
浜田 靖一 防衛大臣(代理:北村誠吾防衛副大臣)

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向について(諮問)
    • (2)「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」とりまとめに向けた論点整理について
    • (3)男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向について(意見交換)
  3. 閉会

    (配布資料)

    資料1
    男女共同参画会議議員名簿 [PDF形式:101KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-1
    男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向について(諮問) [PDF形式:31KB] 別ウインドウで開きます
    資料2-2
    男女共同参画基本計画の改定について [PDF形式:224KB] 別ウインドウで開きます
    資料3-1
    「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」とりまとめに向けた論点整理(概要) [PDF形式:360KB] 別ウインドウで開きます
    資料3-2
    「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」とりまとめに向けた論点整理 [PDF形式:1,660KB] 別ウインドウで開きます
    資料4-1
    平成21年度男女共同参画推進関係予算政府案のポイント [PDF形式:209KB] 別ウインドウで開きます
    資料4-2
    平成21年度男女共同参画推進関係予算政府案(総括表) [PDF形式:247KB] 別ウインドウで開きます
    資料4-3
    平成21年度男女共同参画推進関係予算政府案(分野別内訳表) [PDF形式:280KB] 別ウインドウで開きます
    資料4-4
    平成20年度第2次補正予算における男女共同参画推進関係事項のポイント [PDF形式:89KB] 別ウインドウで開きます
    資料5
    「男女間における暴力に関する調査」結果について [PDF形式:123KB] 別ウインドウで開きます
    資料6
    地方分権改革推進委員会第2次勧告に関する要望 [PDF形式:120KB] 別ウインドウで開きます
    資料7
    男女共同参画のシンボルマークの決定について [PDF形式:111KB] 別ウインドウで開きます
    資料8
    第30回男女共同参画会議議事録(案)

    議事内容

    河村内閣官房長官
    それでは、ただいまから第31回「男女共同参画会議」を開催いたします。皆様におかれましては、大変御多用のところを御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
     今年は、御案内のように、男女共同参画社会基本法の制定から10周年という記念すべき年でございます。それに加えて、女子差別撤廃条約の採択からちょうど30周年という年でもございます。そういう意味では、男女共同参画に係る節目の年であるということが言えると思います。更に、平成22年には男女共同参画基本計画の改定が控えております。男女共同参画行政は、まさに、経済社会全体の変化に見合った、新しい在り方を考えていくべき、重要な局面に差しかかっているといっても過言ではないと思います。
     こうした中で、この会議は、4名の有識者の方々を議員としてお迎えをして、新しい体制でスタートいたします。
     まず初めに、本年1月5日の任期満了に伴って新たに御就任をいただきました皆様を私の方から御紹介させていただきます。
     株式会社クララオンライン代表取締役社長の家本賢太郎議員でございます。
     日本労働組合総連合会副会長の岡本直美議員でございます。
     経済評論家兼公認会計士の勝間和代議員でございます。
     中央大学教授の山田昌弘議員でございます。
     それでは、議事に入らせていただきます。これからの議事進行は、小渕男女共同参画担当大臣にお願いいたします。
    小渕男女共同参画担当大臣
    御指示をいただきましたので、議事進行役を務めさせていただきます。
     まず「生活困難を抱える男女」について、鹿嶋議員から、御説明をお願いいたします。
    鹿嶋議員
    監視・影響調査専門調査会長の鹿嶋でございます。「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」のとりまとめに向けた論点整理と、特に現下の経済状況を踏まえて緊急に対応すべき事項について御提案申し上げます。
     まず、資料3-1をごらんください。今回の監視・影響調査は、家族の変化、雇用・就業をめぐる変化、グローバル化など、経済社会が大きく変化する中におきまして、ひとり親世帯、非正規雇用などの不安定雇用者、外国人、障害者等、生活に困難を抱える人々の状況が多様化、かつ深刻化しているのではないかという問題意識の下、あるいは危機意識の下に検討を行ってまいりました。
     1ページに図解しておりますが、本調査ではさまざまな分析の下に、女性の生活困難リスクの顕在化と、生活困難層の多様化・一般化と、そこに潜む男女共同参画をめぐる問題という2つの視点を明らかにしております。
     具体的な分析の内容については、2ページ目以降にデータを掲載しております。
     例えば、2ページをごらんください。2ページを見ますと、相対的貧困率、すなわち、年収が全人口の年収の中央値の半分にも満たない人口比率は、女性が男性に比べて相対的に高くなっており、また、その傾向は特に母子家庭で顕著でありまして、年収100万円未満の世帯が3割強を占めております。資料3-1には入っていませんけれども、母子世帯の相対的貧困率は約4割と高い水準になっています。
     これらの分析に基づいて、8ページにこうした問題にどう対応すべきかという、対応の基本的視点と検討すべき課題を挙げておりますので、ごらんください。
     この論点整理は、あくまで中間的なものですので、今後、監視・影響調査専門調査会で更に議論を深め、施策の具体的な方向も含めて最終的な報告をとりまとめ、改めて御報告したいと思いますが、特に昨今の急激な経済状況の変化を受け、今すぐ対応すべき事項について個人的な提案がございます。これにつきましては、別途メモを作成しましたので、ごらんください。
     まず、現下の経済危機を克服して活力ある社会を築くためには、1.に掲げましたとおり、女性の活躍の推進と仕事と生活の調和の実現が不可欠です。特に出産・育児による不利益取扱の禁止の徹底、更には待機児童の解消に向けた保育整備等が急がれます。都道府県労働局雇用均等室に寄せられる妊娠・出産等を理由とした解雇等の不利益取扱に関する相談は、ここ数年、増加の一途をたどっています。この問題を放置すれば、私は少子化の克服にもひずみが出ると思っております。
     また、生活困難層が増えて、その状況が悪化することは、次世代への連鎖という点でも大きな問題です。資料3-1の表紙を改めて見ていただきたいんですが、その真ん中のコアの部分に「生活困難の複合化・連鎖・固定化」と書いてあります。これが今回のキーワードの一つでございまして、生活困難の問題は複合化、すなわち、その状況や因果関係が複雑に絡み合っているのと同時に、やがて、それが子どもにも影を落とすなどの連鎖を起こし、そして、窮状を打破できないまま固定化していくおそれがあります。
     一例を挙げれば、DV被害者の女性は、暴力の身体的・精神的被害に加えて、加害者である夫からの追跡、裁判にかける金銭的負担やエネルギー、仕事の中断等で経済的困窮に陥り、ひいては育児困難状況を招きかねません。このような親から子へという生活困難の世代連鎖を防止するためには、今の私の私的メモに書きましたように、生活困難家庭への支援が不可欠であります。こうした家庭への支援を行う整理等も必要だと考えております。
     更に、女性のライフコースを通じ、さまざまな分野にわたる支援を総合的に行っていく体制の整備も求められます。
     私ども専門調査会におきましては、最終報告に向けて議論を進めてまいりますが、今、申し上げた点については、厳しい状況に置かれた生活困難を抱える方々への対策として、政府としても早急な対策を進めていただきたいと思っております。
     以上、御提案申し上げます。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。それでは、ただいまの御提案を踏まえ、意見交換を行いたいと思います。御発言がございましたら、挙手をお願いいたします。
     岩田議員、お願いいたします。
    岩田議員
    生活困難者の実態をジェンダーの視点で分析するというのは、本格的にはこれが初めてではないかと思いますが、大変、時宜を得ていると思います。
     私から見て、大事な点が2つございます。
     1つは、今の鹿嶋さんのレポートにもありましたけれども、深刻な生活困難を抱えている方は、その困難さの理由が複合的です。母子家庭の例ですと、非正規雇用でしか働けないという経済的な困難さや、子どもさんをひとりで育てなければいけないという困難さがあるというのは当然ですが、しばしば、ドメスティック・バイオレンスの被害者であったり、自身が病気や障害を持っておられたり、あるいは外国籍の女性であったりと生活困難者というのは、その困難さが複合的です。
     したがって、それへの対策というのか、支援対策も、一人ひとりの状況に応じて一人別の、言わばオーダーメードの支援パッケージが要ると思うんです。ですから、それは家族が支援するもの、地域社会が支援するもの、NPOが支援できるもの、自治体や国の・・・
    小渕男女共同参画担当大臣
    御発言の途中で大変申し訳ありませんが、総理が入室されますので、少し中断します。しばらくお待ちください。

    (報道関係者入室)

    小渕男女共同参画担当大臣
    議論の途中でありますけれども、ただいま総理がまいりましたので「男女共同参画施策の基本的な方向」につきまして、麻生総理から諮問がございます。
    麻生内閣総理大臣
    それでは、少し立て込みまして、遅れて参加をさせていただきまして大変恐縮ですけれども、お集まりをいただきまして、誠にありがとうございました。いつも率直な御意見をお聞かせいただき、感謝を申し上げているところです。
     現在の第2次男女共同参画基本計画というものは、平成22年度までの具体的な施策を定めたものでありますのは御存じのとおりです。したがって、この施策を更に進めていくためには、一層の施策の推進というものを図っていくために、現在の計画を改定する必要があると思っております。
     このため、私の方からこの会議に対しまして、基本計画の改定に向けた「男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な方向」について、改めて諮問をさせていただきたいと存じます。
     新たな計画につきましては、今、社会全体の大きな変化というものがあろうと存じます。こういったものを、いわゆる長期的なものをも踏まえた上で、世代、また、性別を超えて、広く国民に理解を得られるものにすることが必要なんだと思っております。
     是非、皆さん方にはいろいろな観点でこれまでも御議論をいただいてきておりますけれども、改めて積極的な御意見等を聞かせていただき、この企画なり施策を実行あらしめるためにお力添えをいただきますように、よろしくお願い申し上げます。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。総理の御期待に沿うように努めてまいりますので、議員各位におかれましても、どうぞ、御協力をよろしくお願いいたします。

    (報道関係者退室)

    小渕男女共同参画担当大臣
    ここで、総理は公務の御都合により退席されます。
    麻生内閣総理大臣
    ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
    小渕男女共同参画担当大臣
    それでは、続きに移らせていただきます。
     すみません、岩田議員お願いいたします。
    岩田議員
    先ほど、生活困難者の困難は複合的な原因があると申し上げました。ですから、支援体制も一人別の、オーダーメードの、必要なプログラムをコーディネートして提供しないといけない。ですから、行政から見ますと、非常に高度な対応が求められると思います。それを行政だけでやるというのはなかなか難しいと思いますので、NPOへの公的な支援を拡充することによって、NPOの力を借りるとか、あるいは地域に民生委員がおられますけれども、民生委員の役割、在り方を今風に見直しするとか、そういう民間の人のお力も借りながら、さまざまな主体が提供しているサービスをうまく一人別にコーディネートして提供するという支援体制が要るのではないかと思います。
     もう一つの点ですが、女性の生活困難者に共通して言えることは、子育てのために仕事を辞めざるを得ず、そして再就職するときには非正規雇用の場しかないという日本の社会的な構造の問題があると思います。ですから、女性の生活困難者対策の根本は、この構造を変えることがとても大事だと思うんです。そのためにも必要なのが待機児童ゼロ作戦で、先日の緊急会合でも申し上げたんですが、100万人程度の潜在的な待機児童がおりますので、例えばそれを優先的にやっていただくなど、子育てのために女性が仕事を辞めなくても済むことが、女性の生活困難者を生まないために大事な点ではないかと思います。
     以上です。ありがとうございます。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。ほかに御意見はありますでしょうか。
     岡本議員、お願いします。
    岡本議員
    何点か用意していたんですが、重複しておりますので、私は1点だけ、本当に緊急の課題だと思っておりますので発言させていただきます。
     今、産前・産後休暇を取得したり、または育児休職を取得したことによっての解雇が非常に大きく出ています。厚労省でもデータを把握していると思いますけれども、私たち連合でも労働相談がたくさん来ておりまして、正社員で働いていたのに、育休が終わった後にパートという身分で働いてほしいと言われたり、または復職を希望していながら退職を強要されているといった相談が、今、相次いで来ております。法律では、こうした産前・産後休暇や育児休職を取ることによって不利益な扱いをするということは禁止されているわけですが、むしろ育児・介護休業をしたということではなくて、企業の財政的な問題で解雇するというような形になっています。
     もともと、そうはいっても、整理解雇でも再就職の可能性が低い人は対象から外すことになっているわけですが、そういったことでも、まさに乳幼児を抱えている方たちが再就職をすることは、残念ながら、非常に難しいことは明白なわけです。こうした明らかな法違反に対して、厚労省に通達を出していただいているんですが、是非、都道府県労働局における指導・監督の強化、それから、非常に丁寧な対応、迅速な対応を改めてお願いしたいと思います。
     厳しい経済情勢の中で一番の被害をこうむるのが女性であり、非正規の方たちだと思います。3月23日に「雇用安定・創出の実現に向けた政労使合意」というものを行いましたが、これが実効あるものになることを期待したいと思います。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     続きまして、山田議員お願いいたします。
    山田議員
    中央大学の山田でございます。家族社会学を専門にしておりまして、その立場から発言させていただきます。
     私も現代社会の変化の中で、生活困難の実態が男女によって、その意味が、出方が違ってきている点が重要だと思っております。そのために、従来の施策では対応できない実態が出てきているんだと思います。
     従来は、男性はだれでも正社員になれる。女性は結婚したら男性に養われることが最低条件として可能であることを前提につくられていたのではないかと思っております。しかし、今は勿論、正社員として活躍できる若年女性が増える一方、若年男性の非正規雇用者も増えてきていますし、多くの若年女性も非正規雇用で低収入のまま、とどまっております。その結果、いろいろな問題が出てきていると思います。
     1つは、やはり若年女性の貧困が潜在化していることが重要だと思っています。つまり、日本の独身者の大部分は親と同居しているということから、親が低収入の若年の女性等を、男性もそうなんですけれども、扶養している。そのために低収入の女性の行き場がなくなっている。つまり、結婚しようにも安定した収入の男性の数が限られていますので、収入が低い女性の行き場がなくなってきている可能性がまず1つあると思います。
     もう一つは、男性の収入が不安定化しているのに、男性は正社員であることを前提とした施策しかないということです。つまり、結婚して子どもを育てている非正規の男性へのサポートが、今、ほとんどないということです。例えば非正規社員の父親と専業主婦の母親の場合は、今、低収入であっても、ほとんどサポートはありません。更に最近は、収入が少ない父親の父子家庭というものも出てきております。更に今、実は未婚の父家庭というものもかなりの数で増えてきております。
     このような状況を放置すれば、子どもの育ちに影響を与えて、貧困が世代間で連鎖して、日本経済や社会に重大な悪影響を及ぼしかねないと思っております。それを阻止するためにも、とにかく行き場のない、親と同居している未婚の不安定就労の女性とか、特に父子家庭など、非正規で子どもを育てている男性、父親へのサポートシステムの構築を政策化していただくよう、よろしくお願いいたします。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。ほかにありますでしょうか。
    渡辺副大臣、お願いいたします。
    渡辺厚生労働副大臣
    厚生労働省の渡辺でございます。
     昨今、経済社会の情勢は厳しさを増しているところでありますけれども、女性の活躍の促進や、仕事と生活の調和の実現については、その取組を後退させることなく、より一層推進をしていかなければならない。そのように考えておるところでございます。
     このため、厚生労働省としましては、第1に男女雇用機会均等法や育児・介護休業法に基づく安心して出産・子育てしながら働き続けられる環境の整備、
     第2に、パートタイム労働法に基づく均衡待遇の確保や正社員転換の推進、
     第3に、希望するすべての人が安心して子どもを預けて働くことができるための新待機児童ゼロ作戦の推進などに引き続き取組むこととしております。
     また、本論点整理で提言されております、男女共同参画の観点から見た生活困難の防止や生活困難者の支援についても重要な課題であると認識をしております。
     対策としましては、1つは母子家庭の母の就業支援や養育費確保策の推進等の総合的な自立支援、2つ目には、婦人相談所等における配偶者からの暴力被害者への対策等の推進などに今後とも着実に取り組んでまいりたい。そのように思っております。
    小渕男女共同参画担当大臣
    それでは、続きまして文部科学副大臣、お願いいたします。
    渡辺厚生労働副大臣
    文部科学副大臣の山内でございます。文部科学省における今後の取組について、少し述べたいと思っております。
     社会が急速な変化を遂げる中、自立して、自らを律し、他と協調しながら、その生涯を切り開いていく力が一層求められております。子どもたちが望ましい職業観とか勤労観や職業に関する知識・技能を身につけて、学校から社会や職業に円滑に移行していくことが不可欠であるものと考えております。
     現在、中央教育審議会に対し「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」を諮問しているところであります。この審議も踏まえ、キャリア教育・職業教育の振興・充実に努めてまいりたい。このように考えております。
     また、女性が社会で活躍するに当たり、主体的な働き方を選択していくことができるよう、平成21年度から女性のライフプランニングに関する意識形成等を促す事業を、全国9地域でモデル的に実施する予定であります。
     更に、経済的な理由等から教育の機会が奪われることのないよう、教育の質の向上を図るとともに、家庭の経済状況にかかわらず就学機会が確保できるよう、奨学金事業や私立学校の授業料減免措置への補助の充実を含めて、家庭の教育費負担の軽減に努めているところであります。
     例えば、平成20年度の第2次補正予算に計上された「地域活性化・生活対策臨時交付金」について、各都道府県による私立高校の授業料の減免措置への補助の財源としてもできることとしております。
     外国人の子どもへの就学支援については、文部科学省では省内にプロジェクトチームを設置して、1月30日に年度内に行う緊急対応策「定住外国人子ども緊急支援プラン」を発表したところで、公立学校に転入する者が円滑に就学するための支援や、子どもたちが集う場所を設置し、日本語指導や学習支援を行う事業などについて、追加支援策を実施しております。さらなる支援については、近々発表する予定であります。
     文部科学省としては、今後とも、新たな経済社会の潮流に対応した教育・学習機会の充実や、生活困難を抱える人々に対する支援に努めてまいりたい。このように考えております。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
    それでは、勝間議員お願いいたします。
    勝間議員
    今回、初めて議員になりました勝間です。よろしくお願いします。
     1点、追加で申し上げたいのは、資料3-2の51ページ目の図表49を是非ごらんいただきたいんですが、こちらは先日、経済危機克服のための「有識者会合」の方でも麻生総理に申し上げた数字なんですが、子どものいる世帯の相対的貧困率の所得配分前と所得配分後の数字でございます。それで、OECDの主要諸国の中で、日本が唯一、配分前ではなく配分後の方が、子どもに対する相対的貧困が上がっている国になっております。
     結果としまして、ひとり親家庭であるとか、あるいは低所得者の子どもたちが、やる気も育てられない、高等教育も受けられないという、非常に貧困の連鎖を招いておりますので、現状のいろいろな子育て家庭に対する支援パッケージ、例えば児童手当金は今の所得に関係なく一定になってしまっているんですけれども、これをもっと低所得者に厚く渡すとか、あるいは低所得者に対して非常に重くなっている社会保障費についての低減を図るといったような、さまざまな経済的な支援を行うことで、このような貧困家庭の子どもをもっと救うことが、今、喫緊の、一番重要な課題であると私は感じておりますし、これは是非、皆様にお願いしたいと思っております。
     また、経済対策として考えた場合にも、こういう方たちは非常に消費性向が高い方たちですので、いろんなものが児童手当その他で出たときにも、そのまま、それが消費につながる可能性が非常に高いので、消費喚起としても有効だと考えておりますので、是非、少なくとも、この所得再配分後にパーセンテージが下がるような施策を喫緊にお願いしたいと思っております。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     それでは、ここで官房長官から一言お願いいたします。
    河村内閣官房長官
    ただいま貴重な御意見をたくさんいただきました。百年に一度と言われる、こういう厳しい経済情勢でありますだけに、生活困難を抱えておられる皆様はますます困窮されることと懸念されております。
     これまでもいろんな形で、女性が活躍されることに対する支援とか、仕事と生活の調和、いろんな取組をやってきておるとは思いますが、更に、先ほど来、お話がありましたように、ひとり親家庭といいますか、母子家庭だけでなく、父子家庭も含めた、こうした方々に対する支援、それから、生活困難と言われるような課題がございますから、そうしたものへの取組。これから政府的には予算が上がっていきます。これをどんどん執行してまいります。21年度予算もいよいよ明日成立の見込みでございますが、更に追加の対策も考えなければいけない状況でございます。
     先ほど、役所側としては厚労省や文科省からも説明がございましたが、政府全体として、すき間なく、きめ細かな対策をやっていかなければいかぬと思っております。特に格差社会、今、勝間さんからも御指摘があったような、こういう日本として憂うべき状況が起きている。これにきちっと対応できなければいかぬと思っておりますので、特に生活困難の皆様方、特に母親ひとり、父親ひとりのような家庭に重点的に光が当たるようにというようなことで、各役所、連携を持ってしっかりやっていただくように私からもお願いを申し上げておきます。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     次に、先ほど総理から諮問がありました「男女共同参画社会施策の基本的な方向」について、意見交換を行いたいと思います。初めに、事務局から、今後の進め方の案について説明いたします。
    板東男女共同参画局長
    資料2-2をごらんいただきたいと存じます。
    本日諮問のございました、基本計画の改定に向けた基本的な考え方の議論につきましては、基本問題専門調査会がございますけれども、その名称を「基本問題・計画専門調査会」と改めまして、この専門調査会において、遅くとも来年の秋までに議論を終えて、総理に答申できるように審議を進めていきたいと思っております。
     そして、その過程におきましては、国民各層からの幅広い御意見を聞くということに留意してまいりたいと思っております。
     以上でございます。
    小渕男女共同参画担当大臣
    基本計画の改定に向けては、ただいまの説明のような進め方で、よろしいでしょうか。

    (「はい」と声あり)

    小渕男女共同参画担当大臣
    それでは、そのように進めさせていただきたいと思います。
     残りの時間を使いまして、基本計画の改定に向けた論点について、自由に御議論いただきたいと思います。御発言がございましたら、挙手をお願いいたします。
     家本議員、お願いいたします。
    家本議員
    今回から議員にさせていただきました家本でございます。よろしくお願いいたします。若輩者でございますが、是非、若い世代の立場からの発言をさせていただきたいと思っております。
     時間のこともありますので、2つに絞ってお話しさせていただきたいと思います。
     まず、この男女共同参画に関する、少し広い意味で私から見た課題というところでいきますと、世代間のギャップについて申し上げたいと思っております。勿論、非常に先進的な、先端的なお考えをお持ちの方は全く除いて、やはり、ある一つの線の辺りで若い世代と先輩方の世代との中で、男女共同参画も含めた全般的な意識の差というものは、どうしても広いところで見ますと、あるのではないかと思っております。その意識の溝をどういうふうに埋めていくのかが、やはり、これからの一つの課題ではないかと思っております。
     私たちの会社は、平均年齢が30歳前後の非常に若いベンチャー企業なんですけれど、こういう世代ですと男女の格差・意識というところはないんですけれども、やはり、それが日本の企業の中にもまだまだ残っておりますので、その辺の前向きな議論が必要ではないかと考えております。
     もう一つ、私どもの会社は4割ぐらいの人間が外国籍の従業員という、ベンチャーの企業の中でも外国籍の従業員が多い組織でございます。そういう中で、先ほどの御議論の中でもありました、外国籍の人たちの中で起きているさまざまな問題というものをもう少し掘り返して見ていかなければならないところはたくさんあるだろうと思っております。
     特に実態的に、私は仮想移民と呼んでいますけれども、どんどん外国から優秀な人たちがたくさん来るという状況の中で、一方で奥さんもだんなさんも外国籍というケースの場合などには、例えば一般の日本人には届いているような情報がきちんと届いていないとか、さまざまな問題があると思っていまして、この辺も是非、次の計画の中で、どういうふうに取組んでいくかについては積極的な議論に加わらせていただきたいと思っております。
     ありがとうございます。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。
     続きまして、帯野議員お願いいたします。
    家本議員
    帯野でございます。大阪からまいりました。仕事の方は翻訳・通訳を中心に、小さな会社を経営しております。 先ほどから発言の中で繰り返されています、経済の激変に関してですが、勿論、これはアメリカの金融危機に端を発した世界的な問題ではあります。しかし、地方の、女性の視点から申し上げますと、決してそれだけではない。この四半世紀、余りにも内需が拡大されてこなかったことがあるのではないかと思います。その証拠にといいますか、消費はほとんどの分野で低迷しております。 ただ、その中でも伸びている分野があります。例えば携帯電話を含んだ通信料とか、旅行・観光を含んだ交通費とか。その他にも、大変小さな分野ですけれども、伸びている部分がございます。例えば美容師の数で、これが1980年から2000年の20年間に約1.7倍に増えております。この間の総人口の伸び率が約1.1倍であることと比べれば、この1.7倍という数字がいかに大きな数字かが分かると思います。そして、ここでは若い女性たちが活躍をしております。
     それから、もっと小さな産業ですが、トリマーという仕事を、大臣たちは御存じでしょうか、イヌの散髪屋さんです。大臣たちは散髪に行かれるときに幾らぐらい払われるのか分かりませんが、私が理容師協会に問い合わせますと、大体3,500円ぐらいで、ただ、経済が悪くなっているので、そのインターバルが、もともと月1回が1.5か月、2か月と延びているということでございました。 逆に、このトリマーの方の協会に問い合わせますと、イヌの散髪は5,000~6,000円で、これは、インターバルが延びていないということでした。ちなみに、お父さんは自転車に乗って散髪屋さん、理容室に行くんですけれども、イヌの方はお車でお迎えに来るそうです。これは何かといいますと、日本人は、もう物は買わなくなった。その代わりに、時間を買うことに消費をするようになった。また、その先に安らぎを買うことに消費をするようになったというふうに、消費動向が変わってきているということだと思います。その安らぎを与える産業、安らぎをつくる産業の担い手、主人公は女性たちです。それも普通の女性たちです。ですから、私は特に、地方の、普通の女性たちにスポットライトを当てる施策が必要なのではないかと考えます。そのためにやるべきことはたくさんあるのではないか。勿論、今まで優れた女性たちを紹介したり、表彰したり、そういう活動はしてまいりましたが、もっと具体的に、地域の普通の女性たちを経済活動に引っ張り出す。こういうことを、今後、新しい共同参画の一つの柱としてもよいのではないかと考えます。できましたら、ワーキンググループをつくって、参画会議の新しいベクトルというものを打ち出していただくようお願いいたします。
    小渕男女共同参画担当大臣
    ありがとうございました。貴重な御意見をいただきました。
     本日、皆様からいただいた御意見を踏まえ、基本計画の改定作業を進めていきたいと思いますので、お力添えをお願いいたします。
     以上で本日の議題は終了です。最後に事務局から事務連絡をさせていただきます。
    板東男女共同参画局長
    お手元の資料の中に、平成21年度の男女共同参画関係予算、それから、平成20年度第2次補正予算についてのとりまとめを、資料4-1から4-2を配付させていただいておりますので、ごらんいただければと思います。
     また、資料7に、新たに策定をいたしました男女共同参画のシンボルマークにつきまして配付させていただいておりますので、今後、広報やイベントなどにお使いいただければありがたいと思っております。
     最後でございますけれども、前回の議事録については既に御確認をいただいておりまして、それと本日の会議資料は、従前どおり公開とさせていただき、本日の議事要旨も後日公表させていただきます。
     以上でございます。
    小渕男女共同参画担当大臣
    官房長官、以上です。
    河村内閣官房長官
    皆様方には貴重な時間をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。
     それでは、以上で第31回目になります「男女共同参画会議」を終わりたいと思います。大変ありがとうございました。

    (以上)