(開催要領)
- 開催日時:平成16年7月28日(水)17:00~17:45
- 場所:総理大臣官邸4階大会議室
- 出席議員:
- 小泉 純一郎 内閣総理大臣
- 議長
- 細田 博之 内閣官房長官
- 議員
- 麻生 太郎 総務大臣(代理 山口 俊一 総務副大臣)
- 同
- 野沢 太三 法務大臣
- 同
- 川口 順子 外務大臣(代理 阿部 正俊 外務副大臣)
- 同
- 谷垣 禎一 財務大臣
- 同
- 河村 建夫 文部科学大臣(代理 小野 晋也 文部科学副大臣)
- 同
- 坂口 力 厚生労働大臣
- 同
- 亀井 善之 農林水産大臣(代理 金田 英行 農林水産副大臣)
- 同
- 中川 昭一 経済産業大臣(代理 泉 信也 経済産業副大臣)
- 同
- 石原 伸晃 国土交通大臣(代理 佐藤 泰三 国土交通副大臣)
- 同
- 石破 茂 防衛庁長官
- 同
- 小野 清子 国家公安委員会委員長
- 同
- 岩男 壽美子 武蔵工業大学教授、慶應義塾大学名誉教授
- 同
- 神田 道子 独立行政法人国立女性教育会館理事長
- 同
- 君和田 正夫 株式会社朝日新聞社代表取締専務編集担当
- 同
- 住田 裕子 弁護士、獨協大学特任教授
- 同
- 橘木 俊詔 京都大学教授
- 同
- 林 誠子 日本労働組合総連合会副事務局長
- 同
- 原 ひろ子 放送大学教授、お茶の水女子大学名誉教授
- 同
- 古橋 源六郎 財団法人日本交通安全教育普及協会会長
- 同
- 山口 みつ子 財団法人市川房枝記念会常務理事
- 同
- 古橋 源六郎 財団法人日本交通安全教育普及協会会長
- (説明者)
- 山口 みつ子 財団法人市川房枝記念会常務理事
(議事次第)
- 開会
- 議題
- (1)「ライフスタイルの選択と雇用・就業に関する制度・慣行」について
- (2)政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視について(国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透について)
- (3)男女共同参画基本計画に関する諮問について
- (4)男女共同参画会議の今後の審議方針について
- (5)その他
- 男女雇用機会均等政策研究会報告書について
- 全国知事会「男女共同参画研究会」の取組について
- 女性国家公務員の採用・登用の拡大等について
- 男女共同参画社会の将来像検討会報告書について
- 閉会
(配布資料)
- 資料1
- 「ライフスタイルの選択と雇用・就業に関する制度・慣行」についての報告
- 資料2-1
- 国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透について
- 資料2-2
- 政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視について(案)
- 資料3
-
諮問 [PDF形式:36KB]
- 資料4
-
今後の進め方について(専門調査会の設置について)[PDF形式:8KB]
(参考)「男女共同参画基本計画」について [PDF形式:10KB] - 資料5
-
女性に対する暴力に関する専門調査会について [PDF形式:8KB]
- 資料6
-
男女雇用機会均等政策研究会報告書の概要 [PDF形式:498KB]
- 資料7
-
全国知事会「男女共同参画研究会」の取組について [PDF形式:9KB]
- 資料8-1
-
女性国家公務員採用・登用の拡大等について(平成16年4月27日男女共同参画推進本部決定)[PDF形式:9KB]
- 資料8-2
-
女性国家公務員採用・登用の拡大等について(平成16年4月28日書く省庁人事担当課長会議申合せ)[PDF形式:8KB]
- 資料9
-
男女共同参画社会の将来像検討会報告書(概要)[PDF形式:11KB]
- 資料10
-
男女共同参画会議(第14回)議事録(案)[PDF形式:28KB]
議事内容
- 内閣官房長官
-
それでは、少し総理は遅れられるようでございますので始めたいと思います。
ただいまから、第15回男女共同参画会議を開催いたします。前回が4月23日でございましたが、その後、交替がございまして、私、官房長官を拝命したわけでございます。男女共同参画担当大臣として、誠心誠意取り組んでまいりますのでよろしくお願い申し上げます。
早速、議事に入らせていただきます。なお、本日は総理は後ほど御出席ということで、まず「ライフスタイルの選択と雇用・就業に関する制度・慣行について」であります。本件は前回、御報告いただきました論点整理について更に御検討いただき、取りまとめていただいたものであります。それでは、影響調査専門調査会の大澤会長から御報告をお願いします。 - 大澤会長
-
影響調査専門調査会会長の大澤でございます。「ライフスタイルの選択と雇用・就業に関する制度・慣行」について御報告申し上げます。
既に前回の会議で論点整理について説明いたしましたが、その後、国民からの意見募集などを踏まえて修正し、21日に報告として取りまとめました。本日は、論点整理からの主な変更点を簡単に説明いたします。
資料1となっておりますA3判の色付きの1枚紙をごらんください。まず一番上の黄色い楕円をごらんください。総論的な現状と課題で「子の養育等、家族の役割も重要」と加えております。なお、報告書本文では、小泉内閣で基本方針とされてきた税制や社会保障制度の個人単位化が、もとより家族の役割や専業主婦という選択を否定するものではないということに言及しております。
次に、2段目の四角の真ん中、「起業・自営業」に関する現状と課題として、女性起業家には財務、経理等の専門家を雇用するニーズがあることや、ワーカーズ・コレクティブ等の新しい就業形態について触れています。また、右端の「公務員」部分では事務補助的な非常勤職員が多いことを指摘しております。
続いて、3段目の台形をごらんください。総論的な政策の方向性の(1)で、男性も女性も育児、介護等の家族としての責任を分担し、仕事と生活のバランスある社会を目指すとし、両立支援、男性も含めた働き方の見直しに言及しております。
一番下の段の左側でございます。「雇用」における政策の方向性としては、パートタイムや有期雇用の労働者も希望の形態で就業が可能となることが重要であるとして、育児、介護等のために一旦就業を中断した女性を中心に再就業支援が必要であると追記しております。
右側の「公務員」では、国家公務員について正規職員としての短時間勤務の導入と、そのために定員管理方式を時間数管理に変更することを検討すべきと提案しております。
最後に報告書の最後の部分では、ライフスタイルの選択と税制、社会保障、雇用・就業についての調査がこの度、一巡したことを受けまして、税制や社会保障について残された課題をまとめております。これら残された課題を含め、政策全般について今後とも男女共同参画影響調査が進められるものと期待しております。以上でございます。 - 内閣官房長官
- 大澤会長、ありがとうございました。それでは、御意見等がございましたらどうぞ。
- 林議員
-
私は、今のところで特にパート等の労働についてお話申し上げたいと思います。結婚や出産を機に、大変多くの女性が退職をしております。厚生労働省のデータでも7割というデータもございます。その後の再就職は大変厳しいというのも事実です。パートや有期契約の雇用の方々も、やはり希望する形態で仕事に応じた処遇で就業が可能になるということが必要であると思っております。このことは年金等、社会保障制度とも密接不可分な問題として対応が求められていることを十分に認識していただければと思います。
また、公務員に関しましては、正規の職員として短時間勤務制度を導入するということが先ほどの大澤会長の提言にもございました。この点に是非とも特に注目していただきたいと思います。この実現のためには、定員管理の方法を要員数の管理から時間数管理にするなども含めまして十分に検討をしていただき、御配慮をお願いしたいと思います。公務員部門における短時間勤務制度を定着させるということを、全体として政府が率先垂範していただくことが大変重要なことになってくると思いますし、こういうことは諸外国で成功した例もあることですし、是非とも進めていただきたいと思います。以上です。 - 内閣官房長官
-
ありがとうございました。それでは、関係各府省におかれましては、本報告書につきましてただいまの報告及び発言も踏まえ、施策の推進に努めていただきたいと思います。
次に、苦情処理・監視専門調査会からの報告です。本専門調査会では「国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透について」、取りまとめていただいたところです。それでは、古橋会長から御報告願います。 - 古橋議員
-
苦情処理・監視専門調査会会長の古橋でございます。調査検討結果につきましては、お手元の資料の2-1参考という分厚いものがございますけれども、時間の都合上、お手元にございます資料2-1の3枚つづりに従って必要な項目を御説明いたしたいと存じます。
なお、男女共同参画の推進の観点から「国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透について」、総合的に調査、検討を行いましたのは今回が初めてでございます。
第1に、「国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透等の重要性」について申し上げます。歴史的経緯として、我が国の男女共同参画社会の形成に向けての取組は、国際的な動きに連動する形で行われてきており、更に情報化、グローバリゼーションの進展の中で、そのことが一層重要となってきていること及び国際規範・基準の取り入れ・浸透を図ることの重要性は、男女共同参画社会基本法及び男女共同参画基本計画においても規定されているとしております。
第2に「国際規範・基準の取り入れ・浸透に関する推進体制」につきましては、基本法、基本計画において積極的な対応が規定されているにもかかわらず、その方針が政府部内で必ずしも十分に徹底していないように思われます。そのため、内閣府男女共同参画局が総合調整機能を発揮し、基本計画の改定作業等において、より積極的な方針を明確にし、国際合意を踏まえた取組を進めていくことが必要であること等を指摘いたしております。また、婦人の地位委員会において、政府を代表して交渉、発言等を行う立場の者は、各府省間の総合調整を強力に行えるようにするために、政府代表等の発令を行うべきであることを指摘いたしております。
1ページめくっていただきまして、第3に「個別の国際規範・基準の取り入れ・浸透」について御説明いたします。参考までにもう一枚めくっていただきますと、我が国の未締結条約のG8、EU加盟国、OECD加盟国及びASEAN諸国におきます締結状況というものが添付してございますが、少なくともそこにございますように丸印の多いものにつきましては早急な対応が必要と考えております。
元に戻りまして、「女子差別撤廃条約 について御説明申し上げます。昨年8月7日に女子差別撤廃委員会から最終コメントが公表されておりますけれども、本報告におきましては同コメントに対する取組について、今後1、2年後に本専門調査会により再び監視を行う必要があることを指摘いたしております。以下、最終コメントにおける主要な事項について御説明いたします。
最終コメントにおきましては、直接・間接差別を含む差別の定義を国内法に取り込むことが勧告されておりますけれども、本報告におきましては雇用の分野について厚生労働省が開催した研究会において、間接差別の概念の整理が行われましたことを踏まえ、雇用の分野について実効性のある対応を検討するとともに、他の分野についても内閣府等において、何が間接差別に当たるか検討する必要があるとしております。
また、最終コメントにおきましては、暴力の問題について人権の侵害として幅広く、かつ強力に取り組むことが要請されております。これに対して、本報告におきましては引き続き女性に対する暴力の実態を調査、検討すべきであること。強姦罪について、法定刑を少なくとも3年以上の懲役とするなど、引上げを検討すべきことを指摘いたしております。
さらに、最終コメントにおきましては人身取引に関する取組を強化することが勧告されております。これに対しまして、本報告におきましては、加害者の処罰強化について、法的措置も含めて検討する必要があること、未批准の人身取引議定書について早急に締結を図るべきこと等を指摘いたしております。
最終コメントにおきましては、権利を侵害された被害者から女子差別撤廃委員会へ通報を行う制度を定める女子差別撤廃条約選択議定書の批准の検討を継続することが推奨されております。これに対しまして、本報告におきましては少なくとも批准の可能性について早急に検討する必要があるとしております。
続きまして、「ILO条約」について御説明申し上げます。時間の関係上、未批准条約についてのみ御説明をいたします。第111号条約である雇用及び職業についての差別待遇に関する条約につきましては、ILO条約のうち基本的な条約であり差別全般を禁止する人権擁護のための法律の成立に努め、早期批准に向けての検討を図るべきとしておるところであります。また、第175号条約でありますパートタイム労働に関する条約につきましては、パートタイム労働者と比較可能なフルタイム労働者の均等な待遇の確保に向け、法的措置も含めて検討を行うべきであるとするとともに、これと関連して多様な理解がなされている同一価値労働同一賃金の意義・内容に関する合意の制定を図る必要があるとしております。最後に、第183号条約である母性保護に関する条約につきましては、産前産後休業の終了後の原職等への復帰の保障について、できる限り条約の内容を反映させるとともに、産前産後休業中における給付や、哺育休憩中における給与が条約の内容と異なっていることについても、幅広くかつ前向きに検討すべきであるとしております。
全体を通じまして感想を申し上げたいと思いますが、基本法が施行された現在、未批准条約の批准について、現行法令との整合性が図られないから批准が困難であるという姿勢ではなく、基本法の理念に立ち返り、批准を行うことが男女共同参画社会の形成の促進に寄与するものであるならば、現行法令を積極的に見直し、批准を行うという前向きな姿勢が必要であると考えます。
また、説明が国際規範・基準の現状や、国内への取り入れの現状について、関係府省による国民への説明が必ずしも十分とは言えず、わかりやすい幅広い層への説明について一層の努力が必要と考えております。
私からの説明は以上でございます。この調査結果を踏まえまして、関係施策の一層の推進をお願い申し上げます。以上であります。 - 内閣官房長官
- 古橋会長、ありがとうございました。ただいまの御報告に関連いたしまして、外務副大臣から何かありますか。
- 外務副大臣
-
今日は川口大臣が所用のため来られませんので、私、阿部副大臣でございますが、御報告させていただきます。簡単に申し上げます。
今、古橋議員から、国際規範・基準の取り入れということにつきまして御指摘がございましたけれども、苦情処理・監視専門調査会の皆様方の専門的な見地から御議論いただきましたことにつきまして感謝申し上げたいと思います。
特に、私からはトラフィッキングに絞って発言をさせていただきたいと思います。私どもの出した政府報告書に基づきまして国際機関でいろいろな審査が行われたわけでございますが、私としては今回苦情処理・監視専門調査会が行ったような、女子差別撤廃委員会による勧告に対する我が国政府のフォローアップ状況の監視を継続して行っていただくということは、これからも極めて有効、有益であると考えております。今後とも内閣府の男女共同参画局が総合調整機能を発揮していただきまして、最終コメントに対する関係省庁の取組を是非、後押ししていただくよう期待するとともに、外務省としてもそれに対する協力をさせていただきたいと思っております。
なお、次回の政府報告書は4年ごとだそうでございますので、2006年を目途にしていることを申し上げたいと思います。
第2に人身取引そのものについてでございますが、我が国は人身取引は重大な人権侵害であるという認識に立ちまして、その撲滅に向けての対策が急務であるとの認識に基づき、国内の措置や国際協力を含めまして真剣に取り組んできていると考えております。
具体的には、本年4月に内閣官房を中心に人身取引対策に関する関係省庁連絡会議が立ち上がりまして、加害者の取締りや被害者保護など、国内対策の更なる強化が図られておりますし、7月6日には官房長官に御出席いただきました上で、各省庁による対策の強化策が協議されたところでございます。関係省庁の一つとして、私ども外務省といたしましても、対外的にはユニセフとの共催による国際シンポジウムの開催や、人間の安全保障基金を通じて東南アジア等での関連プロジェクトを支援するというようなこととか、あるいは国内的には国際組織犯罪防止条約の人身取引議定書の早期締結を目指しまして、関係省庁等、鋭意検討を行っているところでございます。引き続きこうした努力を続けていきたいと考えております。以上でございます。 - 内閣官房長官
-
ありがとうございました。トラフィッキングについては今、副大臣もおっしゃいましたが、内閣官房としてもこれは非常に諸外国からの指摘もございますし、国の恥とも言うべき実態がございますので、取締りその他、強化してまいりたいと思っております。その他、ただいま古橋会長から御提言になられました諸問題も、国会の方の問題もありますし、内閣の方の対応ぶりも必要なものが多いわけでございますので、今後とも積極的に対応してまいりたいと思います。
ほかに、よろしゅうございますか。 - 山口議員
-
女子差別撤廃条約の選択議定書のことに関して少し申し上げたいと思います。国連の第三委員会、社会、人権人道、文化を担当しておりますけれども、ちょうど昨年の10月2日に女子差別選択議定書の未締約国に対して、この議定書の批准などを検討するように、それを促進するようにという内容を含んだ女子差別撤廃条約に関する条約に対する決議がなされた。それには日本も共同提案国になっているのですね。やはり共同提案国の責任において、この女子差別撤廃条約選択議定書に関する検討というのは早期にしなければならないと考えております。
なお、先の通常国会では37万人以上の請願が衆参両院に出されましたので、そのことも銘記して、是非これは早期に着手したいというふうに提案申し上げたいと思います。 - 内閣官房長官
-
ありがとうございました。それでは、男女共同参画会議としては、本報告を踏まえ、資料2-2のとおり「国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透」に関して、平成14年度までの実施状況を監視し、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し、今後の取組に向けての意見を述べることとしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
ありがとうございました。関係各府省におかれましては、本意見に基づき施策の充実に努めていただきたいと思います。
続きまして、「男女共同参画基本計画に関する諮問について」であります。本日、小泉総理から本会議に対して諮問がございます。
ここで、報道関係者が入室いたしますのでしばらくお待ちください。(報道陣入室)
- 内閣官房長官
- それでは、総理にごあいさつ及び諮問をお願いいたします。
- 内閣総理大臣
-
現在の男女共同参画基本計画は、平成17年度までの具体的施策を定めております。これまでの取組を踏まえつつ、更なる施策の推進を図るために、新たな計画を策定する必要があります。このため、私から本会議に対しまして、新たな計画の基本的な方向について諮問をいたします。
その際、これまで提言してきました「仕事と子育ての両立支援策」、「女性のチャレンジ支援策」、また政府の施策の監視の実績を踏まえたものとしていただきたいと思います。同時に、少子化対策など関連する施策と両立を図り、世代や性別を超えて広く国民に理解を得られるものとなるようにお願い申し上げます。(報道陣退室)
- 内閣官房長官
-
総理の御期待に十分おこたえできるよう努力してまいりたいと思いますので、議員各位におかれましてもよろしく御協力をお願い申し上げます。
それでは、ただいま総理から諮問を受けたところでございますが、これについて具体的に検討する専門調査会の設置を含めた「男女共同参画会議の今後の審議方針について」、事務局より説明願います。 - 名取局長
-
資料4をごらんくださいませ。御説明を申し上げます。
現在、男女共同参画会議の下には、基本問題専門調査会、女性に対する暴力に関する専門調査会、苦情処理・監視専門調査会及び影響調査専門調査会が設置されておりますが、今後、新たに2つの専門調査会を設置したいと存じます。
1つ目は、先ほど総理から本会議へ諮問がなされましたことを受けて設置いたします男女共同参画基本計画に関する専門調査会でございます。次のページをごらんいただきますと、平成12年に作成されました現行計画がございます。2の「構成」の2つ目の丸にございますとおり、具体的な施策は平成17年度末までに実施するものと定められております。このため、本専門調査会は今後、政府が男女共同参画基本計画を策定していく際の基本的な考え方について、平成17年度夏を目途に調査検討を行うものでございます。
2つ目は、元のペーパーに戻っていただいて「少子化と男女共同参画に関する専門調査会」でございます。本専門調査会は、統計データ等の分析を通じて、少子化と男女共同参画の関係について調査検討を行うものであります。
最後に、監視・影響調査専門調査会でございます。本専門調査会は、現行の苦情処理・監視専門調査会と影響調査専門調査会を廃止し、再編して新たに設置するものであり、監視・影響調査についてこの2つの調査会で行われた調査検討を合わせて行うものでございます。以上でございます。 - 内閣官房長官
-
それでは、ただいま説明がございました専門調査会の設置についてお諮りいたしま。資料4にあります新たな専門調査会と専門委員会を設置することといたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
- 内閣官房長官
-
それでは、それではそのようにいたしたいと思います。古橋会長、大澤会長を始め、苦情処理・監視及び影響調査専門調査会の委員の皆様のこれまでの御熱心な調査検討に対し、議長として感謝申し上げます。ありがとうございました。
では、次に新たに設置する専門調査会の委員についてお諮りいたします。男女共同参画会議令に基づき、総理による専門委員の任命を受けて、議長である私が専門委員及び議員のうちから各専門調査会の委員を指名することとなっております。具体的な人選につきましては、議長であります私に御一任いただき、総理とも相談の上、決定いたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。(「異議なし」と声あり)
- 内閣官房長官
- ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。 では、ただいま設置が決定されました専門調査会での検討に関して、御意見等がございましたらお願い申し上げます。
- 岩男議員
- ただいま諮問いただいた基本計画ですけれども、現在のものは男女共同参画会議が発足する以前に策定されたものでございまして、今回の改定が参画会議で議論する初めてのものになるということです。したがって、待機児童ゼロ作戦への提言とか、あるいは施策の監視の取組であるとか、これまでの成果を踏まえてしっかり議論していきたいと思っております。それに関しまして、策定に向けて各省庁からこれを是非盛り込みたいというような目玉となる事項を是非お示しいただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
- 橘木議員
-
4月の男女共同参画会議で、OECD諸国においては女性の労働力の高い国が合計特殊出生率の高い傾向にあることが紹介されました。我が国においても、仕事と家庭の両立のための環境を整えることによりまして女性の労働力を高め、かつ出生率の回復につながるということが期待できると思います。
そういう意味で、今度の新たな専門調査会では、これまでの議論を踏まえまして統計データ等の分析を通じて、少子化と男女共同参画との関係が明確に定義されることを期待しております。以上でございます。 - 内閣官房長官
-
ありがとうございました。ただいまいただきました御意見も踏まえまして、今後の専門調査会の検討を深めてまいりたいと思います。
続きまして、今後の「女性に対する暴力に関する専門調査会」の進め方につきまして、原ひろ子同専門調査会会長代理から御説明願います。 - 原議員
-
資料5をごらんください。女性に対する暴力に関する専門調査会の体制でございますが、今般、島野穹子会長が御退任になりまして、後任に岩井宜子会長が御就任されました。これを機に、新たな視点から調査、検討をしていくという観点からメンバーが大幅に変わったところでございます。
それで、当面の検討方針は、第1に「改正配偶者暴力防止法への対応」といたしまして、この法律に基づきます「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針」に関する検討がございます。第2に、「男女共同参画基本計画の改定への対応」といたしまして、女性に対する暴力に関する事項を検討することにしております。既に新しいメンバーによる会合が2回開かれておりまして、改正配偶者暴力防止法に基づく基本方針につきまして議論を行ったところでございます。
各大臣におかれましては、この新しい改定配偶者暴力防止法の円滑な施行のために、これまで以上に指導力を発揮していただきますようにお願い申し上げます。 - 内閣官房長官
- ありがとうございました。ただいまの御報告に関連して、法務大臣から御発言願います。
- 法務大臣
-
配偶者からの暴力につきましては、従来から検察当局においてこれに係る刑事事件につき、警察等とも連携しながら所要の捜査を遂げた上、各事案の特性を勘案しつつ、その適正な処理に努めてまいりました。また、人権擁護機関においてもこれを重大な人権問題として取り上げまして、その防止のため、積極的に啓発活動を行ってきたところであります。
今回、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、いわゆるDV法の施行に伴いまして、従来からの取組に加え、DV法による法命令の申立書に添付する申立人の供述書についての公証人や法務局の法務事務官が行う宣誓認証の事務のほか、検察庁における同法の保護命令違反の刑事事件の処理についても適切な対処に努めてまいります。
また、昨年11月には出入国管理及び難民認定法第62条第2項に基づく通報義務の解釈に関する通知書を関係機関に周知し、DV被害者である不法滞在外国人の支援に係る相談及び一時保護等の際の指針とされるようお願いしております。
今後も、関係職員に対する研修についてさらなる充実を図り、人権擁護機関においても各種ネットワークや協議会等に参加して関係機関等との一層の連携を図るなど、本年12月に施行される改正DV法の趣旨を踏まえ、関係省庁と連携を図りながら円滑かつ効果的な運用に一層努めてまいりたいと考えております。以上です。 - 内閣官房長官
- 次に、厚生労働大臣お願いします。
- 厚生労働大臣
-
配偶者からの暴力につきましては、婦人相談所に寄せられます件数は年々増加してきているわけですが、恐らく現実はもっとたくさんあると思っております。この婦人相談所が一体どこにあるのか、そして、どのようなときに婦人相談所や民間シェルターに行けばいいか、一般の皆様方にどういうふうにそれを知らせていくかといったことは非常に大事だと思っております。
私の方の体制といたしましては、一時預かり等もしっかりできるようにしなければいけませんし、それから職員の研修と申しますか、そうした関係の皆様の研修もしっかりやっていかなければいけないと思っているところでございます。 - 内閣官房長官
- では、国家公安委員長どうぞ。
- 国家公安委員会委員長
-
配偶者からの暴力事案に関しましては、警察では従来から刑罰法令に抵触する事案については検挙その他の措置を講じているところでございます。また、刑罰法令に抵触しない事案についても、被害者に対し適切な自衛対応策を享受したり、相手方に警告するなどの措置を講じているところでございます。
今回の改正により、新たに設けられました警察本部長等による援助措置を始め、改正の趣旨を踏まえまして今度とも被害者の立場に立った対応に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
また、被害者の親族あるいは支援者等に対する加害者からの付きまとい等についても、ストーカー規制法の積極的な活用などによりまして保護対策を進めてまいりたいと思っております。以上でございます。 - 内閣官房長官
-
内閣府といたしましても、関係省庁一体となりまして配偶者暴力防止法の効果的な運用ができるよう、最善を尽くしてまいる所存でございます。
その他、御意見がございましたらどうぞ。 - 原議員
-
お三方の大臣から心強いお話をいただいてとても頼もしく思っております。今後ともよろしくお願いいたします。
この女性に対する暴力に関する専門調査会では、去る4月の報告の中で、女性に対する暴力という観点から人身取引についても提言しております。今般、各省庁において、人身取引の防止に関する法整備の検討などが積極的に始められていると伺っておりまして、心強く思っております。つきましては、このことに取り組まれる際に、各省庁において是非、御配慮いただきたいことを申し上げます。
既に今日の会議で何回か言われておりますが、第1に加害者の厳正な処罰、人身取引罪を創設することを含めて積極的な法整備を行っていただくとともに、その執行も厳格に行っていただきたいということでございます。
第2は、被害者の保護を積極的に行っていただきたい。特に公判で被害者に十分な証言の機会が与えられるように御配慮いただきたいということと、加害者の訴追に協力する被害者が加害者から報復されることがないように、証人保護のための制度を充実していただきたいということでございます。
第3が、被害者の保護に当たりましては公的機関と民間団体が協働して取り組むことが必要でございますので、民間団体への支援も非常に大事になってまいります。また、被害者には母語によるカウンセリングや医療サポートなども必要であるということも御配慮いただきたいということです。
第4に、被害の実情について積極的に広報をしていただきまして、人身取引は決して許されない行為であるということが広く国民全体に訴えていけるような仕掛けもつくっていただきたいと思います。そういうことができれば、国際的な水準に我が国も達していくことができるのではないかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 - 内閣官房長官
-
ありがとうございました。それでは、女性に対する暴力に関する専門調査会においては、ただいま御説明のありましたとおり検討を進めていただきたいと思います。
次に、厚生労働大臣から「男女雇用機会均等政策研究会報告書について」御報告願います。 - 厚生労働大臣
-
厚生労働省におきまして、学識経験者からなります男女雇用機会均等政策研究会を平成14年11月に設置をいたしました。その中で議論をしていただきました主な点は4点でございます。
1つ目は、男女双方に対する差別の禁止。2つ目は、妊娠出産等を理由とする不利益の取扱い。3つ目は、間接差別の禁止。4つ目は、ポジティブ・アクションの効果的推進方策、この4つのことを中心にいたしまして議論をしていただき、本年の6月22日に報告書を取りまとめていただいたところでございます。これらの事項は雇用の分野におきます男女の機会均等の一層の推進のためにいずれも重要な課題でございますので、前進をさせる必要があると考えているところでございます。これらの報告を受けまして、男女雇用機会均等のさらなる推進のために努力をする決意でございます。 - 内閣官房長官
- 続きまして、平山議員から「全国知事会「男女共同参画研究会」の取組について」御報告いただきます。
- 平山議員
-
1月に、全国知事会の中に男女共同参画の研究会ができました。47都道府県の中で4名おられる女性知事さんに加えて、私を始めとするフェミニストの知事が4人入りまして8人のメンバーでスタートしたということを報告させていただくと同時に、テーマはDV対策の推進と、自治体における女性の登用、働きやすい職場環境づくり、そして更に女性の健康支援ということで取り上げてまいりました。
中間的に御報告申し上げたいと思いますが、各県にいろいろな調査をかけたのですが、その結果、DV対策につきましては1つの問題として、相談窓口等について1か所しかつくっていない県が結構多いということで、まだまだ足りないだろう。それから、多くの被害者の方が加害者から離れて他の土地で新たな生活再建を求めている。そうなりますと、その支援のためには法律的な連携が不可欠であるということも問題点として提示されまして、実態に即した制度の運用、取組の検討が必要だと認識している次第であります。
2番目の自治体における女性の登用等ですけれども、職員の総数に占める女性の割合は県レベルですと2割強22.1%なのですが、管理職の段階になりますと女性の割合は4.5%ということで、役職が上がるにつれてその割合が極めて少なくなっているという状態にございます。
その一方で、各県とも近年、女性職員の職域の拡大については何らからの努力をしているところが多いわけでありまして、予算の査定とか、用地の交渉とか、人事管理等々の分野にも女性が活躍し始めているという調査結果が出ています。
しかしながら、全体としてまだまだ不十分である。特に育児休業の取得状況を見ますと、女性の取得が9割を超えているのに対して、男性の取得はごくわずかにとどまっているという状況にございます。
それから、女性の健康支援につきましては、女性の健康支援に関する取組を行っている団体等が大分増えてきました。女性専用外来の開設も17団体になっておりますし、健康相談事業等についても33団体ということでかなり増えてはおりますけれども、平均寿命80歳に及ぶに至った現在において、QOLを高め、健康寿命を延伸する必要がありますので、性差を考慮した医療が重要であります。女性と男性では、この問題については単に性差を考慮した視点の医療は、女性のみならず男性にとっても必要であるというのが調査結果から出てきた問題として指摘されております。
なお、このほかに新しく少子化問題について取り上げるということで今、申し上げた3つのテーマに次世代育成支援対策のテーマを取り上げることにいたしました。この件についても現在、調査をしようということで、国の方でもかなり幅広いこの問題についての取組をしていただいておりますけれども、指摘として1つ出ていますのは、国全体としてマクロとして少子化問題が大きな社会的課題であると同時に、地方にとってはその地域の過疎高齢化という問題を生んでいまして、市町村団体の問題の把握についても努めようということで、市町村に対するアンケート調査を県レベルだけではなくてやろうということになっています。特に過疎、高齢化に悩んでいる地域ではこの問題が一層深刻でありますので、国におかれましてもその件も含めてお取り組みいただければと思いますが、なお、全国知事会の研究会におきましてもこの問題について積極的に取り組んでまいる所存でありますことを、中間報告として申し上げて報告に代えさせていただきます。 - 内閣官房長官
- ありがとうございました。次に、「女性国家公務員の採用・登用の拡大等について」、事務局から説明願います。
- 名取局長
-
それでは、「女性国会公務員の採用・登用の拡大等について」の男女共同参画推進本部決定等に関しまして御説明させていただきます。
まず、資料8-1をごらんくださいませ。昨年、推進本部において社会のあらゆる分野において2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくても30%程度になるよう期待し、政府は民間に先行して積極的に女性の登用に取り組むと決定いたしました。これを受けまして、本年4月27日に開催いたしました推進本部において、女性国家公務員の採用・登用の一層の拡大を図るため、こちらの下から4行目の中ほどからでございますが、政府全体としての目標を設定し、目標達成に向けた具体的取組を定めるなどして、総合的かつ計画的な取組を推進する。また、必要な制度面及び運用面の整備・改善事項等を検討することを内容とする取組の方策を決定いたしました。
続きまして、資料の8-2をごらんくださいませ。この本部決定を受けて、各府省の人事担当において取り組むべき事項を申し合わせたものでございます。内容といたしましては下から3行目でございますが、女性の採用の拡大のための取組を進める際、平成22年ごろまでの政府全体の女性採用者割合の目標といたしまして、一種事務系については30%程度、その他については出来る限り割合を高めることを目標とすることとしております。
続きまして、2の「登用の拡大」、3の「勤務環境の整備等」、4の「実施状況のフォローアップなど」として、毎年年1回採用の拡大状況等のフォローアップを行うというものでございます。以上でございます。 - 内閣官房長官
- ただいまの説明に関連して、総務副大臣から何かございますか。
- 総務副大臣
- 今いろいろとお話がありましたけれども、女性国家公務員の採用、あるいは登用の拡大等につきましては、公務員の制度を所管いたしております総務省としても、積極的に取り組んでいきたいと鋭意努力をしておる最中でありますけれども、特に採用の拡大状況等で今もお話がありましたフォローアップにつきましては、是非とも人事院及び各府省の御協力を得てしっかり取り組んでまいりたいと考えておりますので、是非とも各府省の皆様方におかれましては御協力方をお願い申し上げたいと思っております。よろしくお願いいたします。
- 内閣官房長官
-
各大臣におかれましては、今回の男女共同参画推進本部決定等を踏まえ、女性国会公務員の採用・登用の拡大等について指導力を発揮していただき、積極的な対応をお願い申し上げます。
次に、「男女共同参画社会の将来像検討会報告書」について事務局から説明願います。 - 名取局長
-
資料9をごらんくださいませ。男女共同参画社会の将来像検討会は、内閣官房長官の私的懇談会として昨年7月から開催され、座長の本田和子お茶の水大学学長を始め、有識者による検討が進められましたが、先般「男女共同参画は日本社会の希望」と名づけた報告書が取りまとめられ、男女共同参画週間中の6月25日に官房長官に提出されました。
本報告書は、男女共同参画に関して、世代や性別を超え、広く国民の理解を得ること等を目的として、2020年ごろをおおよその目途に、将来の我が国が目指すべき姿として男女共同参画社会の具体像を描いたものです。
本報告書の構成は、まず我が国の経済と社会の現状を分析するとともに、男女共同参画社会の形成に当たってのさまざまな障壁を明らかにしております。その上で、各分野ごとに取り組むべき方向を提示し、取組を進めた場合に実現する将来像を提示しております。 主な分野における将来像につきましては、最後のページの「まとめ」の(1)以下でございます。政策・方針決定過程の場への女性の参画の促進の分野では、新しい視点が提起され、さまざまな人の立場を考慮した政策が可能となるとされております。また、(2)の働く場においては、男女ともに能力を発揮でき、経済の活性化に資するとされております。更に(3)でございます家庭の分野においては、男性の参画で子育て、教育力が回復するとともに、両立支援策の充実により、少子化の流れにも歯止めがかかるとされております。
本報告書といたしましては、まとめといたしましては、男女共同参画社会が順調に形成されれば、2020年ごろには希望の持てる社会が訪れており、そこでは性別等にかかわらず、充実した生活を送ることができるとともに、人々がともに生きる社会となっているだろうと結論づけられております。以上でございます。 - 内閣官房長官
-
男女共同参画社会の将来像につきましては、今後あらゆる機会をとらえてその内容の周知に努め、男女共同参画社会の形成を促進してまいりますので、各議員の皆様にも御協力をお願いいたします。
以上で本日の議題は終了でございますが、既に皆様に御確認いただいております前回の会議議事録と本日の会議資料は従前どおり公開とし、本日の議事要旨も後日公表いたします。
なお、議事要旨が公表されるまでの間は、自らの御発言を除き、対外的な公表は慎重にお願い申し上げます。
それでは、これをもちまして第15回男女共同参画会議を終了いたします。本日はありがとうございました。
(以上)