男女共同参画会議(第13回)議事録

  1. 開催日時:平成16年1月28日(水)17:20~18:05
  2. 場所:総理大臣官邸4階大会議室
  3. 出席議員:
     
    小泉 純一郎 内閣総理大臣
    議長
    福田 康夫 内閣官房長官
    議員
    麻生 太郎 総務大臣
    野沢 太三 法務大臣
    川口 順子 外務大臣 (代理 阿部 正俊 外務副大臣)
    谷垣 禎一 財務大臣
    坂口 力 厚生労働大臣
    亀井 善之 農林水産大臣 (代理 金田 英行 農林水産副大臣)
    中川 昭一 経済産業大臣 (代理 泉 信也 経済産業副大臣)
    小池 百合子 環境大臣 (代理 加藤 修一 環境副大臣)
    石破 茂 防衛庁長官 (代理 浜田 靖一 防衛庁副長官)
    小野 清子 国家公安委員会委員長
    岩男 壽美子 武蔵工業大学教授、慶応義塾大学名誉教授
    神田 道子 東洋大学長
    住田 裕子 弁護士
    林 誠子 日本労働組合総連合会副事務局長
    原 ひろ子 放送大学教授、お茶の水女子大学名誉教授
    平山 征夫 新潟県知事
    福原 義春 株式会社資生堂名誉会長
    古橋 源六郎 財団法人ソルト・サイエンス研究財団理事長
    山口 みつ子 財団法人市川房枝記念会常務理事

(議事次第)

  1. 開会
  2. 議題
    • (1)平成16年度男女共同参画推進関係予算(政府案)について
    • (2)男女共同参画社会の正確な理解のために
    • (3)その他
      • ・全国知事会「男女共同参画研究会」について
      • ・国の審議会等における女性委員の参画状況について
      • ・個人住民税均等割の見直しについて(影響調査専門調査会報告)
  3. 閉会

(配布資料)

資料1-1
平成16年度 男女共同参画推進関係予算額(総括表) [PDF形式:12KB] 別ウインドウで開きます
資料1-2
平成16年度 男女共同参画推進関係予算額(分野別内訳表) [PDF形式:71.1KB] 別ウインドウで開きます
資料1-3
平成15年度税制改正に関連した「少子化対策の施策」の概要 [PDF形式:117KB] 別ウインドウで開きます
資料2-1
男女共同参画社会の正確な理解のために [PDF形式:80.6KB] 別ウインドウで開きます
資料2-2
次世代育成支援に関する厚生労働省の取組 [PDF形式:883KB] 別ウインドウで開きます
資料3
全国知事会「男女共同参画研究会」 [PDF形式:8.8KB] 別ウインドウで開きます
資料4
国の審議会等における女性委員の参画状況について(参考) [PDF形式:10.4KB] 別ウインドウで開きます
資料5
個人住民税均等割の見直しについて) [PDF形式:7.9KB] 別ウインドウで開きます
資料6
影響調査事例研究ワーキングチーム中間報告書
資料7
苦情処理ガイドブック
資料8
男女共同参画会議(第12回)議事録(案)

議事内容

内閣官房長官
それでは、ただいまから第13回男女共同参画会議を開催いたします。本日は、総理が後ほど参ります。
 それでは、早速議事に入らせていただきます。初めに、「平成16年度男女共同参画推進関係予算の政府案について」でございますが、本件は政府案として固まった男女共同参 画推進関係予算について御報告を申し上げるとともに、前回の会議での議論を踏まえ、この予算が男女共同参画基本計画のどの部分に該当するのか、御説明するものでござい ます。
 それでは、事務局から説明をいたします。
事務局
それでは、御説明いたします。
 本資料は、前回の参画会議の場で各府省が男女共同参画推進関係予算に計上している各事業が、男女共同参画基本計画のどの部分に該当するのか、わかりやすく整理する よう御指示をいただきましたことを踏まえ、事務局において作成したものでございます。資料は、資料1-1の総括表と、資料1-2の横長になっております分野別内訳表の2種類 がございます。このうち、資料1-2の分野別内訳表をご覧いただきますと、基本計画の11の重点目標中の施策の基本的方向の項目ごとに各府省が行っている施策、事業の名 称、15年度当初予算額及び16年度予算政府案における予算額及び対前年度比較増減額表等が御確認いただけます。今回は時間の関係もございますので、分野別内訳表は後 ほどお時間がありましたらご覧いただくこととさせていただきまして、総括表を元に平成16年度男女共同参画推進関係予算の政府案の全体像を御説明させていただきます。
 それでは、お手数様ですが、資料1-1の総括表の3ページをお開きください。男女共同参画推進関係予算は、総額約9兆円と言われることがございます。今回、先ほどご覧いた だいた分野別内訳表を作成し、施策・事業ごとに丁寧に予算額を積み上げましたところ、一番下の総合計欄にございますよう、15年度予算額が、一般会計分で約2兆6,250億円、 特別会計分で6兆8,630億円、財政投融資分で約27億円の合計9兆4,910億円であったのに対しまして、16年度政府案では一般会計額が約1,230億円増額の約2兆7,480億円、 特別会計分が約3,120億円増額の約7兆1,750億円、財政投融資分が約25億円減額の約2億円で、合計で約4,320億円増額の9兆9,220億円となっております。
 次に、その内訳を御説明いたします。お手数様ですが、1枚戻っていただいて2ページをご覧ください。上から2つ目に重点目標6というものがございます。「6 高齢者等が安心し て暮らせる条件の整備」の平成16年度予算案の欄をごらんいただきますと、先ほどの9兆9千億円のうち8兆3千億円がここで占められているということがわかります。更にその 内訳を申し上げますと、[(1)高齢者が安心して暮らせる介護体制の構築」中の介護保険の国庫負担分が約1兆7,920億円、「(2)高齢期の所得保障」中の国民年金及び厚生年 金保険の国庫負担分が約5兆8,250億円で太宗を占めています。それぞれ約2千億円、対前年度で増額となっておりますが、いずれも高齢化の進展に伴う対象者数の増加による 自然増であると聞いております。
 続きまして、2番目に予算額の多い重点目標は、2ページ目の一番上の「5 男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援」です。16年度政府予算案では、一般会計と特別会 計を合わせて約1兆4千億円となっております。その内訳は、一般会計では「(1)多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実」中の保育所運営費の約2,670億円、母子 家庭等対策費の約3,100億円が太宗を占めており、対前年度比約1,100億円の減額の要因も、三位一体の改革における公立保育所運営費などの国庫補助金の一般財源化に伴 う保育所運営費の約1,560億円の減額と、母子家庭等対策費の約410億円の増額によるものがほとんどです。
 また、特別会計では「(1)多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実」中の出産育児一時金等の給付の約1,240億円、児童手当の給付の約4,070億円、「(2)仕事と 育児・介護の両立のための雇用環境の整備」中の育児休業給付の約1,040億円、介護休業給付の約210億円が太宗を占めております。対前年度約1,200億円の増額の要因も、 配偶者特別控除廃止に伴う家計の負担増に配慮した少子化対策の拡充のための児童手当の給付拡大による約1,000億円の増額、育児休業給付の約260億円の増額によるもの がほとんどで、昨年1年の本男女共同参画会議に影響調査専門調査会から報告がございました「ライフスタイルの選択と税制・社会保障制度、雇用システム」の趣旨に沿った予 算編成をしていただいたものと考えられます。
 先ほど御説明申し上げました、16年度男女共同参画推進関係予算の総合計額の増額約4,320億円は、以上の2つの重点目標の増減額によるものがほとんどでございます。こ のほかの重点目標等につきましては、時間の関係もございますので、後ほど分野別内訳表等で御確認いただければと存じますが、16年度予算額は概ね対前年度増額になってお り、男女共同参画の一層の推進に必要な予算額は適切に確保されていると考えられます。説明は以上です。
内閣官房長官
それでは、今の説明に関連して厚生労働大臣から何かございますか。
厚生労働大臣
ただいま御説明いただいたとおりでございますが、その中で少子化対策の施策、平成16年度予算案におきましては、国と地方を通じまして総額で2,500億円が計 上されておりまして、具体的には先ほどお話がございましたとおり、児童手当の支給対象年齢の引上げ、それから地域における子育て支援事業の充実、児童虐待防止対策の充 実、不妊治療の経済的支援、新たな小児慢性特定疾患対策の確立、こうしたことに使われております。
 更に、今年だけでございますけれども、250億円プラスになりますので、今年だけはその分は待機児童ゼロ作戦を一層推進するために使わせていただくということにして、その中 の一部の50億円を幼稚園における預かり保育事業の拡充に当てていきたい。こういうことに一応当てさせていただくということになっております。
内閣官房長官
ありがとうございました。男女共同参画推進関係予算の政府案は以上のとおりでございますけれども、内閣府におきましても男女共同参画基本計画の改定準備 経費やチャレンジ支援推進事業経費を計上しまして、男女共同参画社会の形成の促進のための施策を実施していくということにしております。各府省庁におかれましても、男女共 同参画社会の実現に向けて各施策の適切な実施に努めていただきたいと思っております。 それから、次の「男女共同参画社会の正確な理解のために」という議題でございます。 これにつきまして、事務局から説明を願います。
事務局
それでは、資料2-1の「男女共同参画社会の正確な理解のために」について説明させていただきます。
 本件は、男女共同参画社会について一部に誤解、曲解等があることから、官房長官からの指示により「男女共同参画の正確な理解のために」として事務局において整理したもの です。資料は、「基本的考え方」と「関連指標」の2部構成になっております。
 まず理論編といたしまして、男女共同参画に関する基本的考え方について御説明申し上げます。
 初めに、男女共同参画社会基本法における男女共同参画社会の定義を念のために確認いたしますと、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆ る分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」とされてい ます。政府は、この定義に基づきまして男女共同参画社会の形成を進めております。ただいまの基本法の定義に照らしまして、男女共同参画社会に関しては以下のように考えら れるのではないかと思われます。
 まず「<1>男女の違い」についてですが、そもそも生物学的に男女に違いがあることは当然です。それを前提としつつ、一人ひとりの個性や能力は多様ですので、それを尊重して多 様な選択を認め合い、性別にかかわりなく個性や能力を十分に発揮できる社会を実現することを目指すものです。
 次に「<2>「男らしさ」「女らしさ」」についてですが、そもそも「男らしさ」「女らしさ」は社会や状況に応じて多様な意味を持つものであり、一概に定義できるものではございません。基 本法は、個人が何を「男らしさ」「女らしさ」と考えるかに関与するものではありません。また、伝統・文化などを一概に否定しようとするものでもありません。しかし、「男らしさ」「女ら しさ」を強調し過ぎることにより、「男は仕事」、「女は教育を受ける必要はない」といった性別固定的役割分担意識が醸成・強化され、その結果、実際に性別による差別的取扱いが 行われたり、男女を問わず本人が望んでいるにも関わらず、その個性や能力を発揮する機会が奪われる場合には、それは適当ではないので改めるべきと考えられます。したがっ て、男女共同参画は、一部にある、いわゆるジェンダーフリー、すなわち画一的に男女の違いをなくし、人間の中性化を目指すもの等の批判は当たりません。
 次に「<3>家族」についてです。男女共同参画社会は、家族を構成する各個人がお互いに尊重し合い、協力し合うことによって、形式的ではなく実質的に絆の強い家族をつくろうとす るものです。基本法第6条においても、そのことが明記されております。また、男女共同参画社会は、夫婦が対等なパートナーとしてお互いに尊重し合うことによってその絆を深め ることを支援する社会です。したがって、男女共同参画が実現すれば、不幸な結婚や安易な離婚は減少するものと思われます。安易な離婚を推奨するものでないことは当然で す。したがって、一部に言われているような男女共同参画は家族を崩壊させる、さらには離婚を推奨するものではありません。
 以上、御説明いたしました基本的考え方は、いずれも至極当然な内容であるにもかかわらず、一部に誤解、曲解等が見られるので、政府といたしましては様々な普及活動を一層 行っていく必要があります。今後、内閣府におきましては、基本法逐条解説、行政研修、広報の充実等により、男女共同参画社会に対する理解促進に向けた取組を総合的かつ積 極的に展開してまいります。
 続きまして、データ編といたしまして男女共同参画に関連する指標の整理、分析を行いました。
 男女共同参画を進めると少子化が一層進む等の懸念が示されることがありますが、主要国については、必ずしもそのようなことは言えないということがわかります。<1>の左の図 は、横軸のGEM、女性の社会進出度を測るジェンダーエンパワーメント指数と、縦軸の合計特殊出生率の相関分析を行ったものですが、今日、女性の社会進出度の高い国は同 時に出生率も高い傾向にあります。また、<1>の右の図は、女性の労働力率と合計特殊出生率の相関分析を行ったものですが、同様の傾向にあります。これらの要因としては、女性の社会進出を進めるためには女性の社会活動と家庭生活の両立支援策が不可欠である。女性の社会進出度や労働力率が高い国では既に両立支援策が進んでいること、ま た、女性の社会進出が進むほど女性の視点に立った意思決定が行われる可能性が高まることから、ますます両立がしやすくなるという相乗効果が期待できることなどが考えられ ます。
 なお、我が国の都道府県別の女性の労働力率、出生率の相関関係を分析しましても、主要国に関する<1>の右の図と同様、女性の労働力率の高い都道府県は、同時に出生率も 高い傾向を示しております。
 この点につきまして、乳幼児を持つ女性の1人当たり保育所定員数と乳幼児を持つ女性の有業率の関係を見ると、保育所定員数が多いほど女性の有業率が高いので、保育所 の充実は、少子化対策の視点からだけではなく、男女共同参画の視点からも重要であることが確認できます。
 このように、男女共同参画を進めると少子化が一層進む等の懸念は当たらず、むしろ、男女共同参画を進める取組と少子化対策とは軌を一にするもので、非常に深い関係があ ります。
 なお、少子化対策に関しましては、昨年9月1日に施行されました少子化社会対策基本法に基づき、少子化社会対策大綱検討会におきまして、本年5月の閣議決定に向け、大綱 案の検討が進められているところです。
 次に、各国の女性の年齢階級別の労働力率を見ますと、我が国は30歳から34歳を底とするM字カーブを描いているのに対しまして、他の国では逆U字カーブを描いています。こ れは、我が国では依然として子育て期に就業を中断する者が多いことを示しております。
 また、女性の年齢階級別雇用者率(役員を除く)とパート(・アルバイト)率を見ますと、M字カーブの右肩側、すなわち結婚、出産、育児期後ですが、パート等の比率は大幅に高 まっており、育児負担が軽くなった時点で再就職したとしてもそのほとんどが補助的パートタイム労働者としてしか労働市場に戻れず、意欲と能力を十分に発揮して活躍できる道が 得難いことが伺えます。
 赤い線は、女性の就業希望者を含めた年齢階級別の潜在的労働力率ですが、これを見ますと、女性の労働力率を示す青線のM字カーブは上方にシフトし、その形も逆U字カー ブに近付きます。つまり、女性の労働力率が低下する結婚、出産、育児期には、就業希望者と実際の就業者とのギャップが大きいことがわかります。この部分は、専業主婦で満足 している人は入っておらず、働く意欲はあるにもかかわらず、働くことができない人々で、本人も不本意ですが、社会全体の視点からも大きな損失であると言えます。
 この点に関連しまして、今から16年後の2020年ごろの労働力人口を推計してみますと、まず一番右のグラフですが、仮に女性の労働力率が現在のままだとすると1980年ごろと 同じ水準まで減少してしまいますが、仮に女性の労働力率が上昇すると右から2番目のグラフとなり、我が国の労働力人口は現在の水準を維持することができ、労働力不足が経 済成長の足を引っ張るという事態には至らないものと思われます。さらに、女性が働くことは年金等の社会保障制度を支える観点からも重要と言えます。
 また、新たなチャレンジとして女性の起業への関心が高まっております。まず、<7>左側の創業者・創業希望者の男女比率を見ますと、創業希望者に占める女性の割合は2割弱で あるのに対し、実際の創業者に占める女性の割合は半分近くとなっており、女性は決断し、創業する割合が高いということができます。また、<7>右側の男女別開業業種を見ると女性は小売、飲食、個人向けサービス業等、生活に密着した身近な業種の開業が多いということができます。今後、資金調達、取引先確保など、創業時の困難の効果的支援や家庭 との両立支援策の充実が進めば、更に女性の起業は増えるのではないかと思われます。
 御説明は以上です。
内閣官房長官
御苦労様でした。今の説明は民間議員の方々はよく御存じのことでございますので、それはこちら側のためという感じもいたしましたけれども、ただいまの説明に つきまして厚生労働大臣、何かございますか。
厚生労働大臣
説明していただいたとおりでございまして、私は余り付け加えることはないかもしれませんが、昨年次世代育成支援対策に関する当面の取り組み方針というもの を決めさせていただきまして、2、3その中で主なものを拾い上げますと、1点目は育児休業取得率の目標を定めたということでございます。男性10%、女性80%、男性の10%とい うのは低過ぎるじゃないかというお叱りを受けるわけでございますが、現実は0.4%とか、そういうところにあるものですから、当面10%ということにさせていただきました。そして、こ こをまず第1拠点としてクリアするようにしたいと思っております。
 それから、先ほどM字カーブのお話がございましたが、若い世代を中心に長時間労働を強いられることが多うございまして、これは男性も含めました働き方の見直しをどう進めて いくかということをやらなければいけないと思っております。
 地域における子育て支援、それから社会保障における次世代支援、あらゆる分野を総動員して、この働き方をどう変えていくかということをやらないといけないというのが2点目で ございます。
 3点目は、すべての地方自治体と労働者が300人を超えます企業に、次世代育成支援に関する行動計画をつくっていただき、17年度までに策定することを義務づけている点でご ざいます。
 これを3本柱にいたしまして、ひとつ取り組みたい。もう一段の取組をしたいということでスタートさせていただいているところでございます。以上です。
内閣官房長官
ありがとうございました。経済産業省からございますか。
経済産業副大臣
少子・高齢化、あるいはサービス経済化が進んで社会環境が変わる中で、より家庭や生活に近い分野で女性の方が多く起業しておられる。先ほどの御説明 のとおりでございます。このことに対しまして、経済産業省としては積極的な支援をしているということについて2点だけ御説明をさせていただきます。
 具体的には、創業に向けてアクションを起こそうとする女性の方々に事業計画をつくっていただく、あるいは創業に必要な実践的な能力を10日間、約30時間でございますが、修得 をしていただく創業塾というものを開催いたしておりまして、この中で女性向けのものも実施しているわけであります。昨年度は32か所で開催をいたしましたけれども、今年は全国60 か所で開催をすることにいたしております。
 また、起業に際しましては当然必要な資金が要るわけでありまして、女性起業家・高齢者起業家支援資金と銘打ちまして中小企業金融公庫、国民生活金融公庫において平成11 年度にこうした制度をつくっていただき、現在まで4年9か月の間に約1万2,000件、お金にいたしまして700億円を超える融資実績を上げております。来年度からは、更にこれに経 営責任者の個人保証を免除する特例を創設し、より一層の制度の充実を図るなど、女性起業の御活躍に積極的に取り組んでいく考えでございます。以上でございます。
内閣官房長官
ありがとうございました。ほかに御意見がございましたら御発言ください。
 では、古橋議員どうぞ。
古橋議員
男女共同参画社会の正確な理解のための基本的な考え方につきまして、若干意見を申し上げまして、政府が今後広報活動をする場合によろしく御配慮を願いたいと 思います。
 男女共同参画社会の正しい理解の不足に基づきます意見に対しては、適切に対応するということが必要でございますけれども、まず基本法前文にございます男女共同参画社会 の実現が21世紀の我が国社会を決定する最重要課題であると国会が全会一致をもって追加修正された経緯と、その理由というものを経済社会の実態に則してわかりやすく積極 的にPRしていくことが極めて重要であると思います。
 そのことは、男女共同参画社会の形成のために是非とも協力を求めなければならない、男性の理解を得るために極めて重要であり、資するものであると考えております。価値観 が大変多様化しておりますけれども、その中におきましても21世紀の我が国が目指すべき目標が、前回のこの会議で申し上げましたとおり、第1に活力あり、かつ気品ある福祉社 会の形成ということと、第2に国際社会への積極的な貢献にあるということは、多くの人が理解してくれるものと考えております。
 この2つの目標を達成するためには、男女共同参画社会の形成が必要であって、男女共同参画社会の形成のための努力をし続けた先には明るい未来があるということを、自信 を持ってPRをする必要があると思っております。
 例えば、活力ある福祉社会の形成のためには持続的な経済成長が必要でございます。経済成長のためには労働、すなわち就業者と資本の増加、第2に労働と資本のそれぞれ の生産性を高めるための技術開発が必要でございます。就業者の増加のためには、女性も高齢者も就業参加できるような環境整備にいたします男女共同参画社会の形成が必 要でございますし、技術開発のためには男女を問わず個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の形成が必要でございますし、また男女が共に働く多様性の中から開発 等を生み出す活力と新しい価値が生まれると考えております。
 品格ある社会の形成のためには、まず個人の尊厳の確立などの人権の尊重が必要でございますけれども、自己の人権の尊重を求める以上、他人の人権の尊重、社会における 秩序の維持の必要性及び自由には責任を伴うという認識を持ってもらう必要がございます。男女共同参画社会の形成は、このような品格ある社会というものの形成を目的としてい るものでございます。以上でございます。
内閣官房長官
ありがとうございました。
 それでは、神田議員どうぞ。
神田議員
男女共同参画というのは、男も女もそれぞれが持っている能力を十分に発揮して、それが個人にプラスであると同時に社会をつくっていく。だから、個人的な欲求と社 会をつくるのを結び付けるのが男女共同参画社会だというように思っています。戦後の日本を考えると自分中心的になっていて、社会をつくるということと自分が結び付かなかった と思います。それを結び付けるのがこれだと思うのです。
 そして、その場合に女性がやはり活躍しなければ活力ある社会にはならない。女性が活躍するためには、女の人が能力をつけなければならないと思います。その能力を付ける方 法として、やはり何と言っても重要なのは教育だと考えております。
 高等教育につきましては進学率が上がっておりますけれども、実はOECDの調査などを見ますと、全体の中で女性の占める比率は低いんです。これはちょっと私も意外でした。 まだまだやはり女性が進出する必要があります。
 このように男女共同参画社会をつくっていくという観点から、やはり日本の高等教育政策を是非進めていっていただきたい。政府の皆さんもその点に十分に御配慮いただいて、積 極的に取り組んでいただきたいと思っております。
内閣官房長官
ありがとうございました。それでは、山口議員どうぞ。
山口議員
小泉総理が就任されたころ、全国組織の女性団体が総理にお目にかかりまして、男女共同参画社会の形成は総理のおっしゃる社会構造改革ですねと私が申し上げ たら、そうだとおっしゃって、その後、着々と進んでおります。それは大変心強いことですが、今、各都道府県で基本法に照らして条例ができております。それで、都道府県では44制 定、区市町村は178制定されています。
 ところが、その議論の中で一番問題になるのは、どうしても男女共同参画というのがわからない。その根底になっているのが性別役割分担意識だと言うんです。これは伝統的に すり込まれているから一朝一夕にはいかないですけれども、男女共同参画社会の意味がわかってくれば次第にそのことも理解されると思います。
 だから、条例制定には女の人だけではなくて男性も一緒に議論することが理解に役立つのです。そういう意味で、「正しい理解のために」という手引きをつくられたことは大いに結 構なことなので、是非行政の人や地方議会の議員方に読んでいただきたいと思いました。
 予算のことですけれども、非常に財政が厳しいという中で、防衛庁が妊婦服をつくって前年よりも予算が増えた。警察庁は一体どうなったのかなと思いました。けれども、内閣府の 予算を見ますと広報啓発活動が1,200万円くらい減額になっています。こういう財政状態だったら仕方がないかなと思いますけれども、性別役割分担意識を改めるためには長い時 間がかかりますので、有効に限られた予算を使っていただいて、各省関係が連絡し合ってやっていただきたいと思います。
 私もNGOとして女性団体活動に加わっておりますが、企業だとか関係団体だとか、やはり連絡を緊密にして、政府だけが旗を振ってもだめなので、私もNGOのメンバーとして一 生懸命やりたいと思いますし、これからも緊密に活動させていただきたいと思いますので、皆様もどうぞよろしくお願いいたします。
内閣官房長官
どうもありがとうございました。では、岩男議員どうぞ。
岩男議員
先ほどの御説明で、少子化社会対策基本法に基づく大綱づくりが進められているということなんてすけれども、やはり私は男女共同参画が出生率回復の鍵だという ように考えますので、大綱も男女共同参画の視点を踏まえて御検討いただきたいと思いますし、また次回にでも検討の状況について御説明をいただければありがたいと思っており ます。
内閣官房長官
わかりました。そのようにさせていただきます。
 では、林議員どうぞ。
林議員
男女共同参画は明るい未来があるということを多くの人に知ってもらいたいという思いもございますが、特に年金制度改革というものについて私の方から強い要望をして おきたいと思います。
 年金制度改革につきましては、男女共同参画会議の影響調査専門調査会においてライフスタイルや就業に関する選択に関して、中立的な制度であるべきという視点で取り上げ まして、かなりの時間と労力、費用をかけて私も参加をさせていただき、提言を取りまとめたところでございます。これらを是非尊重していただきたいという思いがございます。短時間 労働者への厚生年金の適用拡大や第3号被保険者制度の見直し、あるいは夫婦の年金分割などについてでございます。
 これらが政府の今回の改正案に含まれまして、男女共同参画社会にふさわしい社会システムとなりますように、とりわけ小泉総理大臣の最大の御努力と御検討をお願いしたいと 思います。以上です。
内閣官房長官
ありがとうございました。ほかにはよろしゅうございますか。
 それでは、今回の説明は先ほど申しましたけれども、要するに誤解に基づく施策の推進がよく行われるような感じがいたしますので、間違った理解をしてもらわないように、政府 の基本的な考え方をよく理解してもらえるように、男女共同参画社会の理念の推進というものを図っていきたい。これは、私どもとしても力を尽くしていかなければいけない問題だと 思っております。いずれにしましても、御協力をこれからもよろしくお願いしたいと思います。ほかに何か御意見はございますか。
 では、国家公安委員長の方から弁明を許します。
国家公安委員会委員長
妊婦服の方はちょっとわからないんですけれども、警察においても、私は男女共同参画型社会の推進という形においてどうなっているのか、10名くらい の年代の違う女性警察官の皆さんと座談会をいたしました。それで、やはりお子さんを生み育てにくいのではないかという先入観が私にもあったのですが、皆さん立派にお子さんを お育てになっていらっしゃるという現実にほっといたしました。
 女性警察官というのは駐車違反が主体というような今までの概念がありましたけれども、大変職域を今、広くしておりまして、様々な捜査に関わりを持つようになってまいりまして、 昨年平成15年4月1日には女性警察官が1万人を超えました。とはいえ、24万人いる中の1万人ですからまだまだ足らないということで、この辺はもう少しこれから力を入れていか なければと思っております。
 犯罪の被害者に対して、女性ならではの感覚の中でそれに対応していくというような意味におきまして、とても大事な分野でございますので、これからも厳正な取締りと犯罪防止 の強化という2つの面から、男女共同参画社会の実現に力を尽くしてまいりたいと考えております。今日は大変いい御示唆をありがとうございました。
小泉内閣総理大臣
私のSPにも女性は多いですよ。
国家公安委員会委員長
私は男性ばかりです。
内閣官房長官
それでは、ここで総理からごあいさつをいただきますが、これは最後ではありません。まだ引き続きございますから。

報道陣入室)

小泉内閣総理大臣
この会議が設置されてからもう3年が経過しましたが、男女共同参画社会の実現は小泉内閣の最重要課題の一つでありますので、これからも一生懸命 やっていきたいと思います。一定の成果を上げてこられたのも皆さんのお陰であります。まだ遅れている部分もたくさんあると思いますが、これからも少子化対策、高齢社会対策、 あるいは青少年育成対策、いろいろあると思いますが、国民の理解を得ながら、この問題の重要性を認識していただきながら一生懸命やりたいと思います。
 まず2020年までに女性が指導的地位の30%を占めるということを目標にしておりますので、引き続き女性のチャレンジする意欲を支援していかなければならないと思っていま す。先ほどの創業意欲が非常に女性の中でも多い、実際の仕事も多いということを聞くと心強く思いますけれども、これからも大いに頑張ってその意欲を支援していきたいと思いま すので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

(報道陣退室)

内閣官房長官
ありがとうございました。総理は時間の許す限りいらしてくださるそうでございます。
 次に、平山議員から全国知事会男女共同参画研究会について御紹介をいただきたいと思います。
平山議員
それでは、私の方から、お手元の資料3の「全国知事会「男女共同参画研究会」」についてお話ししたいと思います。
 全国知事会の会長に梶原岐阜県知事がなられて、知事会長直属の研究会が、今、10くらいできています。7月の新潟での全国知事会までに緊急的なテーマについてそれぞれ 研究するということになっておりますけれども、その一つとして男女共同参画をテーマとする研究会が発足いたしました。
 構成員はそこにありますとおり、8知事であります。全国知事の4人の女性知事のほかに、女性に理解があると思われる4人の男性の知事を座長の堂本千葉県知事から御指名 いただきまして、私もその一人で入ったわけであります。
 検討課題は3つであります。1つはDV対策であります。被害者の自立支援とDVセンターの充実、更に加害者の更生の取組を促進しよう、この辺についての検討をしていこうとい うことであります。法律の方が少し先行して見直しになっていますので、若干後になってしまっていますけれども、息の長い問題ですので、これを中心に。2番目に更に国の方の今 回の女性のチャレンジ支援策に合わせて、自治体自ら女性が能力を発揮しやすい、働きやすい職場づくりにしようということで、性別にかかわらず能力の発揮できる環境の整備、 ポジティブアクションについての場の拡大、更に仕事と家庭生活を両立できる環境整備ということが2番目のテーマです。
 そして、最近全国で少しずつ増えています、男女の性差に基づく健康課題、女性の生涯を通じての保健医療サービスが女性のためにもう少し充実すべきであろうということで、女性の専用外来というものが話題になっていますけれども、こうしたものについて研究及び体制の整備をしよう。それから、女性の健康支援に関する法の整備、組織体制の整備とい うことをテーマにしています。
 今、申し上げましたように7月の新潟での知事会までにまとめようということで、スケジュールはそうなっています。
内閣官房長官
ありがとうございました。それでは、事務局から国の審議会等における女性委員の参画状況調べについて報告をお願いします。
事務局
それでは、資料4の国の審議会等における女性委員の参画状況調べについて御説明させていただきます。
 国の審議会等における女性委員登用の促進につきましては、平成12年に男女共同参画推進本部において「国の審議会等における女性委員の登用の促進について」が決定さ れ、女性委員の割合については平成17年度末までのできるだけ早い時期に30%を達成することを目標としているところです。資料4にございますとおり、昨年9月30日現在の国の 審議会等における女性委員の割合は26.8%となっており、一昨年に比しまして1.8ポイントの増加となりました。個別の府省別に見ますと、既に文部科学省及び農林水産省は目標 の30%を達成いたしました。以上でございます。
内閣官房長官
ただいま報告がございましたけれども、国の審議会等における女性委員の登用につきましては、平成17年度末までのできるだけ早い時期に女性委員の割合を 30%にするというのが男女共同参画推進本部決定でございます。したがいまして、各閣僚におかれましては早期に30%目標を達成できるように指導力の発揮をお願いいたしたい と思います。
 続きまして、影響調査専門調査会からの報告でございます。個人住民税均等割の見直しに関しまして、大澤会長から御報告をお願いいたします。
大澤会長
影響調査専門調査会の会長を仰せつかっております大澤でございます。お手元の資料5をごらんください。
 この度、平成16年度税制改正案において、個人住民税均等割の見直しの案が出ておるところでございます。1は経緯でございますので省略いたしまして、下線が引いてある2の ところから説明申し上げます。
 今般の税制改正案で、個人住民税の均等割における規定に、従来存在していた男女差が撤廃される運びとなっていることは男女共同参画の理念と概ね合致すると考えます。し かしながら、見直し後の均等割制度については更に次の2点が確保されることが必要であると考えます。
 1つ目は、パートタイム労働者等の就業調整問題を悪化させることのないような制度運営とすることでございます。
 2つ目は、均等割と申しますのは、御承知のように地域社会の費用の一部を住民が等しく分担する個人単位の税でございますけれども、現行の均等割が非課税となるものの基 準において、個人でなく世帯の構成への配慮が大きく、控除対象配偶者等の数を含めているため、これらを有する者に比べてパートで働いている配偶者等、これらを有しないもの の課税最低限が大幅に低くなってございます。個人単位の税としての性格を強めようとする今回の改正の考え方に沿った基準とすることが望まれるわけでございます。
 また、次の4におきましては、一昨年の当調査会の報告で配偶者控除の廃止が必要との提言をしております。また、政府の税調におかれましてもそのような指摘が昨年6月の答 申に含まれているところでございます。今回、均等割を見直す中で、配偶者控除を現状のまま残すことは適当ではなく、廃止に向けた制度の見直しを国民への負担の影響を考慮し つつ行うべきと、再度述べさせていただいております。
 なお、当専門調査会では雇用、就業について検討を進めておりますが、均等割や配偶者控除などの税制の問題についても引き続き調査検討を行っていきたいと考えております。
 御報告は以上でございますけれども、来年度の税制運営及び再来年度以降の税制改正において考慮すべき課題として、この報告を踏まえた取り組みを関係省庁にはお願いい たしたいと存じます。以上でございます。
内閣官房長官
御苦労様でございます。本件につきまして、総務大臣から御発言がございます。
総務大臣
最初に、まず先ほど撤廃の話が出ておりましたけれども、非課税措置を廃止することにしております。また、均等割につきましては年額4,000円ということでもあります ので、年額十数万円の影響ということになると思いますが、社会保険料とか、夫婦の勤務先から採用されます扶養手当に比べますと就業調整に与える影響は極めて小さいと思い ますので、この就業調整につきましては4,000円ということでさせていただきたいと思っております。
 非課税限度額の見直しにつきましては、これも御指摘の一つだと思いますが、長い間のかなり大きな課題でありまして、これは政府税調等でいろいろしていかれるんだと思います ので、この段階でこれができますとか、これはいかがなものかと申し上げるほどの話ではなくて、これは政府税調全体でやっていただかないと、とても総務省でできる話ではないと 思っております。
内閣官房長官
どうもありがとうございました。本日の議題は以上でございます。何か特別にございますか。よろしゅうございますか。
小泉内閣総理大臣
どうもありがとうございます。
内閣官房長官
それでは、既に皆様に御確認をいただいておりますが、前回会議議事録と本日の会議資料は従前どおり公開でございます。本日の議事要旨も後日、公表しま す。 なお、議事要旨が公表されるまでの間は、自らの発言を除く対外的公表は慎重にお願いいたします。
 それでは、これをもちまして第13回男女共同参画会議を終了いたします。どうもありがとうございました。