(開催要領)
- 開催日時:2001年6月19日(火) 16:30~18:10
- 場所:官邸大客間
- 出席議員
- 小泉 純一郎 内閣総理大臣
- 議長
- 福田 康夫 内閣官房長官
- 議員
- 片山 虎之助 総務大臣(代理 小坂 憲次 総務副大臣)
- 同
- 森山 真弓 法務大臣
- 同
- 田中 眞紀子 外務大臣 (代理 杉浦 正健 外務副大臣)
- 同
- 塩川 正十郎 財務大臣 (代理 若林 正俊 財務副大臣)
- 同
- 遠山 敦子 文部科学大臣(代理 岡山 丘 文部科学副大臣)
- 同
- 坂口 力 厚生労働大臣
- 同
- 武部 勤 農林水産大臣
- 同
- 平沼 赳夫 経済産業大臣
- 同
- 川口 順子 環境大臣 (代理 風間 昶 環境副大臣)
- 同
- 村井 仁 国家公安委員会委員長
- 同
- 猪口 邦子 上智大学教授
- 同
- 岩男 壽美子 武蔵工業大学教授、慶応義塾大学名誉教授
- 同
- 神田 道子 東洋大学長
- 同
- 小島 明 日本経済新聞社常務取締役・論説主幹兼国際担当
- 同
- 住田 裕子 弁護士
- 同
- 橘木 俊詔 京都大学経済研究所教授
- 同
- 原 ひろ子 放送大学教授
- 同
- 古橋 源六郎 (財)ソルト・サイエンス研究財団理事長
- 同
- 師岡 愛美 日本労働組合総連合会副会長
- (説明者)
- 樋口 恵子 仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会長
- (説明者)
- 島野 穹子 女性に対する暴力に関する専門調査会長
(議事)
- 開会
- 議事
- (1)仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会の最終報告について
- (2)各専門調査会の今後の進め方について
- (3)その他
- 閉会
(配布資料)
- 資料1
- 仕事と子育ての両立支援策について(専門調査会最終報告)
- 資料2
- 仕事と子育ての両立支援策について(案)
- 資料3
-
各専門調査会委員名簿 [PDF形式:114KB]
- 資料4
-
各専門調査会の今後の進め方について [PDF形式:296KB]
- 資料5-1
- 女性国家公務員の採用・登用等の促進について
- 資料5-2
- 「女性に対する暴力をなくす運動」について
- 資料6
- 「男女共同参画に関する研究会」報告書(要約)
- 資料7
-
第2回男女共同参画会議議事録(案)[PDF形式:78.9KB]
議事内容
- 内閣官房長官
-
それでは、ただいまから第3回男女共同参画会議を開催させていただきます。
早速でございますが、議事に入らせていただきます。まず初めに、仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会につきまして最終報告をいただきます。当専門調査会は第1回男女共同参画会議におきまして総理の指示を受け、本会議に初めて設置されました専門調査会でありますが、今年2月以来7回にわたる活発な御議論を経て、このほどお手元にございます資料1「仕事と子育ての両立支援策について」を取りまとめていただきました。
それでは、樋口会長から御報告をお願いいたします。 - 樋口会長
-
仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会会長の樋口でございます。
それでは、最終的な御報告をさせていただきます。資料1「仕事と子育ての両立支援策について」を御覧ください。
まず、報告書の構成を御説明いたします。目次をごらんください。「I 呼びかけ」「II 仕事と子育ての両立支援策に関する提言」「III 専門調査会における議論」「IV 委員からのメッセージ」「V 参考資料」となっております。
それでは、中身の御説明をさせていただきます。まず、3ページの「呼びかけ」でございますが、ここでは仕事と子育ての両立は、働く親たちが人間として生きていく上で不可欠の条件であるとの基本的な認識の上で、両立できない現状を述べ、政府の施策が効果を上げるに至っていない理由として、施策や保育サービスと利用者ニーズの不適合や企業の意識、雇用システムの問題等を挙げております。これらの下に、私たちは緊急性、有効性、具体性かつ象徴性ある施策として提言をまとめました。この提言は、困難に直面している若い人々にとって、いわば両立支援の救急車でございまして、今すぐ実施する必要がございます。そのために、私たちは総理を始め政府が強力なリーダーシップを発揮して予算措置を講ずることを強く要望し、また男女共同参画会議での継続的なフォローアップを提案いたしております。その上で、中長期的展望に立った施策が展開されることを信じているとしております。
そこで、本報告の中心となります提言でございますが、9ページをお開きください。これはいわば表紙でございますけれども、この表紙には私ども専門調査会の思いとして次ページ以降に示す施策について、「基本的には平成13・14年度中に開始し、遅くとも平成16年度までに実施し」、更に「これらの事業については、特段の配慮をし必要な予算を確保し、緊急に実施する」とページ別立てで大きく書かせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
10ページからが、その具体的内容でございます。ちょっと見出しが変わったところもございますけれども、中間報告にございましたように5本の柱として、「1.両立ライフへ職場改革」「2.待機児童ゼロ作戦-最小のコストで最良・最大のサービスを-」「3.多様で良質な保育サービスを」「4.必要な地域すべてに放課後児童対策を」「5.地域こぞって子育てを」の5つを挙げており、それぞれについて提言と具体的目標・施策を示しております。
「1.両立ライフへ職場改革」は、両立ライフ実現に最も必要なことは職場改革との視点から、働き方及び企業の意識に着目したものでございます。
1つ目は、企業が多様な雇用形態や弾力的な労働時間制などに積極的に取り組み、政府はその支援を行うとしております。具体的には、フレックスタイムや短時間正社員制度の導入、取組に係る経費の福利厚生費としての損金算入、求人の年齢制限緩和などを示しております。
2つ目は、育児休業制度や出産休暇の十分な活用、取り分け男性の取得を目指すものであり、特に出産休暇については「父親の産休5日間」として全員取得を目指すものでございます。配偶者の出産時については、現行の法律制度におきましても休暇の取得が可能であり、これを広くPRするとしております。ブレアさんは、たしか14日間お取りになったようでございます。
3つ目は、企業の意識改善のため、企業の両立指標を開発・公表し、優良企業を内閣総理大臣表彰することや、経営者や幹部の研修の推進について述べております。
4つ目は、実質上期間の定めなく雇用されている期間雇用者について、育児休業の対象となることを明確化し、指針を策定としております。
「2.待機児童ゼロ作戦」は、最小のコストで最良・最大のサービスを提供することを念頭に置きつつ、保育の量的拡大を目指すものでございます。
1つ目は、潜在的な需要を含めた待機児童の解消を目指し、特に待機児童の多い地域を重点整備することとし、具体的には平成14年度中に5万人、更に平成16年度までに10万人、計15万人の受け入れ児童数の増大を図るとしております。ちなみに今、待機児童と言われております方は3万3,000人ということになっております。
2つ目は、保育の拡充は従来の公立及び社会福祉法人立を基盤としつつ、民間活力を導入し多様化を図り、基準を満たした施設の設置は迅速に行う。
3つ目は、学校の空き教室など、利用可能な公共施設を保育に活用し、駅などの拠点を活用するための支援や助成を行うとしており、具体策として新設保育所は既存施設を活用した民営を基本とし、その環境整備をすることや、市町村では公設民営保育所整備計画を策定することなどが示されております。
12ページになりますが、「3.多様で良質な保育サービスを」では、保育サービスの質の面に着目しています。
1つ目は、病院、診療所、保育所の病児・産後時保育を一層推進し、延長保育や入園時期の弾力化などについて柔軟な受け入れを実施するとし、具体策として関係者が協議する場の設置のほか、公営保育所の延長保育実施が現在17%でございますが、これを民営並みの62%にし、一時保育や休日保育等の実施の倍増以上を目指すなどとしております。
2つ目として、民営型保育所の参入や公立保育所終業後の補足サービスなど、民間の資源も活用し、選択の幅を広げることとしております。
3つ目として、各自治体の創意工夫を奨励し、各種モデル事業に対し財政的措置を講じることや、よい事例を広く紹介することとしております。
4つ目として、利用者が保育内容を十分に把握できるだけの情報開示の義務付けや、地域の育児情報を利用しやすい形で提供することとしております。
13ページでございます。「4.必要な地域すべてに放課後児童対策を」では、保育の議論に隠れて見過ごされがちな小学校就学後の対策について、更なる充実を目指したものでございます。
1つ目は、放課後児童対策が必要なすべての地域で、学校や児童館等、学童の居場所を確保し、保育所と同じレベルでニーズに応じた対策を推進するとしております。具体的には大都市周辺部を中心に受け入れ体制を整備し、現在の約1万1,000か所から、平成16年度までに全国で1万5,000か所とすること、整備に当たっては、公的施設の活用と民営により、最小コストで最大のサービス実現を図るこことしております。
2つ目は、放課後児童対策の運営について、公的な責任の下に民間の活用を図るとともに、豊富な経験を持った地域の人材を活用することとしており、具体的には高齢者等の活用などを示しております。
14ページ、「5.地域こぞって子育てを」では孤立しがちな現在の子育てにおいて地域の援助を期待できるようにし、子育ては地域が支えるものとの考えを推進していくものでございます。
1つ目はファミリー・サポート・センターの整備や、ベビーシッターの紹介、保育ママの支援など、地域の実情に応じた家族支援サービスを充実させることとしております。
2つ目は、幼稚園における子育て支援の充実と、学生や生徒の子育て支援体験の機会づくりを示しており、具体的には希望のあるすべての幼稚園での預かり保育の実施などが示されております。
3つ目は、保育所等が組み込まれた職住接近のまちづくりの促進を示しております。
その他、「III 専門調査会における議論」では、今回の提言にはまとめ切れなかった内容や中長期的な視点も含めて、今まで専門調査会で議論されてきたことを項目別にまとめております。数時間にわたる長時間討論の結果などもございますので、今後男女共同参画会議で御議論を進めていただく御参考にもなるかと思っております。
「IV 委員からのメッセージ」は、各委員から最も強調したいことを寄せていただいたもので、各委員の両立支援に対する思いが込められております。
「V 参考資料」では、提言や議論を読む際に参考となる統計や施策、法令等を掲載しております。
以上で最終報告の内容に関する説明は終わりますが、ここで私たちがこの提言に込めた思いをもう一度強調させていただきたいと思います。報告書にもございますように、私たちは今回の提言は両立の困難に対する緊急避難のようなもので、今すぐ直ちに実行する必要があり、その確実な実行が「両立ライフ」、すなわち男女共同参画社会の実現の第一歩として必要不可欠であると確信いたしております。
総理は所信表明演説において、男女共同参画社会の実現へ向けて「待機児童ゼロ作戦」や「放課後児童の受け入れ体制の整備」を表明していただくなど、仕事と子育ての両立支援が新しい時代に対応した構造改革の一つであるとの御確認と、その推進の御意思をお持ちでいらっしゃいます。私どもは、このような総理を始めとする閣僚の皆様が、改革断行内閣の名にふさわしく強力なリーダーシップを発揮し、この緊急措置を政府の方針として確実に実施する御決意を明らかにしていただきたいと願っております。
また、今まで内容のよい提言は数多くされているのにもかかわらずなかなか実現に至らなかった、この提言がそのような扱いにならないよう、内閣官房長官を始め各省の大臣と有識者の皆様がお集まりのこの男女共同参画会議において、提言に盛り込まれた施策をしっかりとフォローアップし、その実施状況を監視していただきたいと思います。この2点につきまして是非とも実現いただきたく重ねてお願いすると同時に、間違いなく実現してくださいますものと確信いたしております。
仕事と子育ての両立が、いついかなる場合であっても重要なことは言うまでもございません。特にこれからは仕事をするということは今を確かなものとし、子どもを育てるということは未来を創造していることでございますし、総理の目指す新世紀維新に不可欠のものであります。また、男女共同参画会議に初めて設置された専門調査会にこのようなテーマを設定していただき、参画させていただきましたことを、時代に対する責任を痛感すると同時に、私どもは大いに光栄に思っております。仕事と子育てが両立できる男女共同参画社会の実現を願いまして御報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。 - 内閣官房長官
- どうもありがとうございました。ただいまの御報告につきまして御意見等がございますでしょうか。
- 師岡議員
-
働く女性たちは、子育て期の30代ぐらいまでに4割の方たちが辞めるという現状がございます。この提言が本当に実践されるということであれば、私はこれから女性の能力発揮や働き続けることができる、ひいては日本の経済に貢献できるということも含めて大変大きいのではないかということ思います。本当にこれをまとめてくださいました樋口会長を始め委員の皆様に感謝をしたいという気持ちでいっぱいでございます。
ただ、幾つか気になるところがございますので意見として申し上げたいと思います。「待機児童ゼロ作戦」のところに挙げられております内容ですけれども、(2)に「拡充は公立及び社会福祉法人を基盤としつつ、さらに、民間活力を導入」として、具体的目標・施策のところで「新設保育所については民営で行うことを基本とする」となっているわけでございます。ですが、保育所の事業運営というのは大変コストがかかるものですし、介護保険制度においても、既に民間の撤退ということもありましたので、果たして保育所の確保が可能になるのかということを懸念しております。
2点目は、保育所の事業者の新規参入がない場合、例えば東京辺りは既に認証保育所が設置されておりますけれども、無認可保育所の増になるのではないか、その時に、現行の保育水準、質が果たして保てるのかどうかということが2点目の懸念材料でございます。
3点目は、延長保育について公立では現行17%ぐらいしか実施できていないとなっておりました。私の記憶では一番新しいもので40%程度にはなっているのではないかと思いますが、公立保育所の延長保育は100%あってもいいのではないかと感じているところでございます。そして、これを実施するためには具体的な数値目標を示したらどうかとも考えております。以上3点だけ申し上げておきたいと思います。 - 原議員
-
今の師岡議員のコメントに続くことですけれども、駅前商店街等の保育サービスは非常に大事ではございますが、往々にして駅前の空気の汚染度というのは大きいので、いかに子どもたちに対してできるだけきれいな空気を確保するかを考えなければならないと思います。
それから、53ページの岩男委員のコメントの中に、「父親にも月1日の育児休暇を提案したが盛り込まれずに残念に思う」と書いてございますが、こういうことは男女共同参画社会の実現の促進の過程で、なるべくみんなが育児に参加する仕掛けを一歩ずつつくっていくことで解決したいと思います。ブレアさんみたいなこと、つまり、出産休暇を取ることなどをしたら落選しちゃうとおっしゃっている方もいましたが、そういうパパ議員こそが当選するような日本になっていくような発想の転換ができればいいなと思っております。どうもありがとうございました。 - 岩男議員
-
私は鹿児島県と熊本のタウンミーティングに参りましたので、そこで伺った御意見をお伝えしたいと思います。
やはり「待機児童ゼロ作戦」とか学童保育の話というのは非常にわかりやすいものですから皆さんすごい期待がありました。
ただ、3つぐらい大事な御指摘がありました。1つ目は男女共同参画の視点からこれをどんどん進めるのはいいんだけれども、やはり子どもの視点を失わないでほしいということ、これは大変大事な御指摘だと思いました。2つ目に、仕事と子育ての両立支援というのは結構だけれども、それ以前の問題として仕事がないんですという声ですね。これはやはりパイの分け方やいろいろな工夫でかなりカバーできる。男性ばかりが長時間働くのではなく、みんなで仕事を分けるというようなことでいろいろ工夫できると思いますけれども、これは非常に切実な御意見だったと思います。
それからもう一点は幼稚園は文科省、保育園は厚労省という長い長い歴史があるようですけれども、それは利用者から見ると全く意味を持たないんですね。ですから、これを何とかしてほしい。これは総理に是非何とかしてほしいという御意見がございましたのでお伝えをしたいと思います。
それから1点だけ、私もこの仕事と子育て両立支援に関する専門調査会の委員で、今日でこの仕事が一応終わるわけですが、ほかの専門調査会との連携というのがこの参画会議の中で非常に大事だと思うんですね。ですから、今度は特に苦情処理・監視の委員会にフォローアップをしていただくということが大事ではないかと思いますので、申し上げておきたいと思います。 - 住田議員
-
本当に今回の提言を一つずつ、また中身の御意見も見させていただきまして、私たちの言いたい思いを全部尽くしていただいたということで非常にありがたく思っております。特に1番目の両立ライフについては男性、女性も含めて働き過ぎで家庭、地域に目を向けられない現実があると思いますので、やはり日本全体の構造改革の中にこれも是非位置付けていただきたいなと思っております。
あとは細かいことを申し上げますと先ほど師岡議員からもございましたけれども、待機児童ゼロ作戦は緊急の本当に必要な策だと思っております。そのためには、例えば公立・社会福祉法人立を基盤としつつ更に民活ということですけれども、今の認可基準というのはかなり高レベルなものでありますので、その基準に全部合わせようとしますと無理を生じるのではないかと思います。その辺りは柔軟な対応で、どんな保育者がやっていらっしゃるか、その人を見た上での認可をどんどんしていただければ非常にありがたいと思っています。実際、入れ物が立派でも保育者がひどければ子どもに対していかに劣悪な状況かというのも想像するに難くないところでございます。ですから、人を育成する面でも助成という意味で資金的な公的助成も是非お願いしたいと思います。これは年金だとか税制だとか、そういうものも含めての子育て両立支援策というのを是非大きな中で位置付けていただければ非常にありがたいと思います。今の子どもの世代に、以前はこんなことをする必要があったのかと言われるような形で変わることを心から期待しております。どうもありがとうございました。 - 古橋議員
-
岩男委員から苦情処理・監視専門調査会へのお話がございましたが、会長をやっておりますので一言だけお話ししたいと思います。
今回の御提言というのは、政府がやっております政策評価というものについてのこれからの一つのモデルとなる大変立派なものだと思っておりますし、敬意を表したいと思います。男女共同参画社会を形成するという一つの大きなポリシーの中で、総理が仕事と子育ての両立支援というプログラムを提示されました。それについていろいろな事務事業、プロジェクトというものがこの中にあったわけでありますけれども、そのプロジェクトの中で5つだけを選び出されて当面の緊急課題、女性が今、考えている一番大切なものを選び出された。こういう手法は非常に私は参考になるやり方だと思います。
それからもう一つは、この5つのプロジェクトについて13年度、14年度を初年度として16年度までに全部これをやりましょうというタイムテーブルをちゃんとつくられて期限を切られたということも、行政改革のときに今までやってまいりましたのと同じように非常に有効な方法であると考えております。したがいまして、私ども苦情処理・監視専門調査会といたしましてはこの提言部分をよく読みまして、その趣旨を踏まえまして、この5つのプロジェクトについて重点的に調査、監視をしていきたいということが1つであります。
それから、この調査を監視していきます場合にいろいろな視点があると思います。一つはこの提言は各省にわたる提言がいろいろ出ておりますので、各省間にわたってこの連携がとれているかどうかという問題。それからもう一つは、予算をただ付ければいいということではございませんで、既存の施設を利用するとか、地域によっては規制緩和によって対応できるものはあると思いますが、そういうものがうまく地域において適切に対処されているかどうか。あるいは、保育所における情報公開についてちゃんと行政府が指導しているかどうか。そういう点をめぐりまして、執行方法についても監視してまいりたいと思っております。以上です。 - 小島議員
-
前の会合でも言ったんですが、当面は雇用の過剰や雇用調整と言われていますが、中期長期に見たら本当に労働人口は減ってしまう。既に95年から労働人口は急激に減り始めたんてすね。高齢化社会の進行、ジェンダーフリー、エイジフリー、それから、年金も若い世代は割が合わないから入らないなどという反乱も起こっているわけです。それがどんどん効いてくるわけです。こういった社会の中でこの提言を国全体の戦略の中に大きく位置付けていただきたいという感じがします。
ですから、働く能力と意欲がある高齢者も女性もしかるべく働けて所得を得て税金も払ってもらうという社会の中で、これは大切だという位置付けをみんなで確認しないと、女性軍の諸要求みたいな感じになりますので、それであれば私は賛成できません。 - 内閣官房長官
- それでは、猪口議員どうぞ。
- 猪口議員
-
私は岩男議員と一緒にこの専門調査会に出させていただいていましたので、幾つか今、御議論がありましたことについて触れさせていただきます。
民営で可能かという師岡議員の御指摘については随分たくさん議論いたしました。それで、可能な部分については是非支援策も含めて実現していこうというような慎重な議論をしたので大丈夫かと思います。
それから延長保育についてですが、これはこの1年でどんどん進み始めていますし、引き続きかなり徹底して推進するという事務の方の理解もあるようですので、大丈夫と確信しております。
それから、原議員の駅前の保育所についても、サテライト式でちゃんとバスでお庭のあるようなところに連れて行ってというような丁寧な議論をしていまして、それは専門調査会における議論のところに入っておりますので、これも大丈夫かと思っております。
それから、岩男議員も御指摘されましたタウンミーティングでの子どもの視点ということは紛れもなく私たちの議論の中にしっかりと入っていたと思います。少なくとも私は子どもの視点から随分発言させていただきましたし、この専門調査会では各委員がそういう思いで自分の良心をかけて議論したようなところがありますので、そういうことがないがしろになったことはないとタウンミーティングの皆さんにも御理解いただけると思います。ですから、自信を持って総理が報告書を受け取っていただいてよかったと思います。
それから幼保一元化のことについて、今回幼稚園の預かり保育を抜本的に弾力化するということですので、事実上保育サービスの利用者にとっては両方の選択肢が開かれているという形になりまして、いい具合かと実は感じております。
そこでお願いは、ここの決意表明にありますとおり、やはり待機児童ゼロ作戦を含め非常にお金がかかることなので、特別のリーダーシップを持って予算を取っていただきたい。従来の中でやりくりするのではなく、特別な予算を付けていただかなければ入ってくる民営の方たちも採算が合わないということにもなるだろうし、それからこれはすべて民営でやるということではなく、公的な部分のノウハウと能力の今後の拡充ということも重要ですから予算が必要ということになりますのでお願いしたい。
最後に感想ですけれども、非常に政治の強いリーダーシップがあってこのようなことが可能になりましたことは本当にありがたくうれしく思います。それから、森山議員を始め女性の閣僚に心から感謝申し上げたいと思います。このようなテーマがこういう形で議論されるようになりましたことについては、政策・方針決定過程において今まで大きな道を開いてくださった森山議員のような方のお陰と思っております。今後も政治のリーダーシップが最も重要なところになりますので、官房長官を始め閣僚の皆様方、どうかよろしくお願い申し上げたいということでございます。 - 橘木議員
-
私はここに言っている主張は全く賛成でございまして何も反対意見はないんですが、2つだけ気になる点がございます。
第1点は古橋議員も言われたのですが、どこの省のどこの局が何をやるかということをもうちょっとはっきりした方が、責任感を持ってこれに当たれるのではないかと思います。お互いにどこの省、どこの局がやるのかわからないというようなところもあるかもしれませんので、これについては是非ともはっきりさせていただいた方が施行の能力も高まるのではないかと思います。
第2点は、一体これは地方自治体ないしは地方公共団体に期待されているのか、あるいは全部中央がやるのかの視点がちょっと欠けていますので、これはどちらがやるとはっきり責任の所在を明らかにした方がよいのではないかという気がいたしました。以上です。 - 神田議員
- 私は1つだけお話をさせていただきたいと思います。14ページにございます「地域こぞって子育てを」の冒頭にファミリー・サポート・センターというのが出てまいります。これは非常に私は重要だと思っているんです。子育ても、それから介護の問題も日々悩んだり、問題を抱えたときにどこに行ったらいいのかわからないんですけれども、これが地域にできますと、そこに行けば何か道が見つかるという点で、これは是非具体化していただきたい。もしかしたら、それが、総理がさっきおっしゃった暮らしの構造改革の具体的な取っ掛かりになるのではないかと思っています。これをどこで具体化するのかということを詰めていただきまして、更に地域の人たちとも協力し合いながら男女共同参画で計画を立てて実施していただきたいと考えております。
- 内閣官房長官
- ありがとうございました。それでは大体御意見を承りましたので、閣僚側からもどうぞ。
- 武部議員
-
お手元の資料1の79ページを御覧いただいてもわかりますように、農山漁村、農林水産業における仕事と子育ては女性にとって非常に労働過重な状況にあるわけです。妻が子育てを行うが67.3%、それから農業、漁業には農繁期というものがあるんですが、そんなときには土日も働かざるを得ないような特質が農村地域、農山漁村にはあるわけでありまして、保育が非常に大変なわけでございます。したがいまして、私どもとしては農協でありますとか関係団体の既存の施設や高齢者などの地域の人材を生かした地域に合った小規模な託児が行われるような柔軟な取組が必要であると考えております。農林水産省としても、託児機能を持つ加工施設等を整備するなど、子育てしやすい生活環境づくりや地域に合った子育て支援体制ということに努力しておりますが、是非関係省庁におきましても農林水産業や農山漁村の実態を踏まえた柔軟的な取組、また、休日保育や延長保育など、地域の実情に十分配慮をした努力をお願いしたい。ここに農山漁村のことがないので農林水産大臣としては少し寂しいとは思いますが、しかしすばらしいものだと思います。
もう一点、私見ですが、これは問題解決型の視点に立ったものであると思います。しかし、願望実現型の視点でどうするかということを考えたときに、私は年金は生涯年金という発想じゃなくて20年間ならば20年間、25年間ならば25年間の一定期間の年金にして、それを10年ぐらいを限度とした子育ての期間、留学するとか、そういうふうにその間、年金をいただきながら子育てに専念する。これは男もあっていいと思うんです。でも生涯仕事をしなくてはいけませんから同時にその間、新しい技術の習得でありますとか、語学の勉強をするとか、あるいは趣味を生かしてもいい。そういうような発想も取り入れる。もちろん社会全体がそういうことを認めなければならないと思います。何年間かは会社を離れても、企業を離れても、職場を離れてもまた復帰できる。その間は年金で手当てをする。そして子どもをしっかり育てる。お父さんと一緒に、家族一緒に時間を過ごすというようなことも考えてはいかがか。これは農林水産大臣としてではなくて、平素からそういうことを思っているものですから一言申し上げました。 - 坂口議員
-
樋口会長、立派な案をおまとめいただき、特に数値目標まできちんと入れていただきまして感謝申し上げます。
特に認可保育所の問題につきましては、いろいろと規制緩和もしているところでございますがまだ足りないところがございます。ここは規制緩和に尽きますので一生懸命やらせていただいて、そして無認可保育所のところも認可保育所になれるようにしていきたいと思っております。
それからファミリー・サポート・センターのお話をいただきました。これは実はもう既に一部で始まっているわけでございますが、更に充実をさせていただきたいと思っている次第でございます。 - 村井議員
- 先ほど小島議員からお話のございましたジェンダーフリーあるいはエイジフリーというような形で、本当は労働力を増やす方向にしないといけないということはそのとおりだと思います。私が申し上げたいのは、今の日本は不況の中にありながら結構外国人労働力に頼っている面があるという現実、そこはやはり女性の社会進出をもっと進めるという形で補っていくのが正論であろうということだけ付言させていただきます。
- 内閣官房長官
-
ありがとうございました。それでは、本報告書の取扱いについてお諮りをいたしたいと思います。ただいま各議員から大変すばらしい御意見を伺いましたけれども、これは今後の実行の段階で十分考慮させていただきたいと思っております。男女共同参画会議といたしましては、本報告を受けましてその提言部分を仕事と子育ての両立支援策の方針に関する意見として資料2のとおり、決定したいと思います。また、今後の取扱いとしては方針の達成状況等につきまして苦情処理・監視専門調査会においてフォローをしていくということにしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
- 内閣官房長官
-
ありがとうございます。それでは、この仕事と子育て両立支援策に関する専門調査会につきましては、この最終報告をもちましてその設置に関わる調査を終了したということといたします。したがいまして、この専門調査会を廃止することとしたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
- 内閣官房長官
-
それではそのようにしたいと思います。樋口会長を始め委員の皆様の今までの本当に御熱心な調査検討に、この会議の議長として心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。では、ここで総理にごあいさつをいただきたいと思います。
(報道陣入室)
- 内閣官房長官
-
それでは、仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会の報告書を樋口会長から総理にお渡しいただきたいと思います。
(樋口会長から小泉内閣総理大臣へ報告書の手交)
- 内閣官房長官
- それでは、ここで総理からごあいさつをお願いいたします。
- 小泉内閣総理大臣
-
熱心に御検討いただきまして提言をまとめていただきましてありがとうございます。この仕事と子育ての両立支援策について報告にありましたこと、思いをしっかりと受け止めて今後の政策実現に生かしていきたいと思います。
実は、連休に所信表明演説の準備をしているときに、これからは男女共同参画社会だ、話を聞かなければいかぬと、最初にレクチャーをお願いしたのが坂東男女共同参画局長です。要点は何か、最も大事なのは何かと聞いたら、待機児童ゼロ作戦と放課後児童の受け入れ整備体制、これが一番大事なんですとおっしゃった。そして今、具体的な数値、年次を決めてやると提言されている。構造改革は経済だけじゃなくてこれは暮らしの構造改革である。これをしっかりと受けとめ、実現のために政府が一体となって取り組んでいきたいと思います。
本日決定された仕事と子育ての両立支援策に関する方針について速やかに閣議決定を行います。今後、政府として方針に盛り込んだ施策を確実に推進し、仕事と子育てが両立できる男女共同参画社会を実現していきたいと考えておりますので、どうか今後とも皆さんの御協力、御支援を心からお願いを申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。(報道陣退室)
(小泉内閣総理大臣退室)
- 内閣官房長官
-
では、次に、各専門調査会の今後の進め方につきまして御報告をいただきます。4月3日に開催されました第2回男女共同参画会議におきまして、基本問題専門調査会を始め4つの専門調査会の設置が決定されました。その際、これらの専門調査会の委員の人選につきましては私に御一任いただいておりましたが、資料3のように委員を決定いたしましたので御報告いたします。各専門調査会では本日まで今後の進め方について御検討いただいておりますが、その検討結果をこれから御報告いただきます。
それではまず基本問題専門調査会につきまして岩男会長から御説明をお願いいたします。 - 岩男議員
-
それでは、基本問題専門調査会について簡単に御報告をさせていただきます。 ただいま官房長官からお話がございましたように、委員の構成は資料の3のとおりでございます。この専門調査会委員として7名、それに加えてこの議員の中から5名の方を御指名いただいております。
それから、資料4を御覧いただきたいと思いますけれども、4の設置目的にありますように本専門調査会では男女共同参画の基本的な考え方に関わるもの及び基本的な考え方に関わりが深く、国民の関心も高い個別の重要課題について調査検討をすることとし、第1回会合において調査会の今後の検討事項及び検討スケジュールについて討議をいたしました。
続いて専門調査会の検討方針について御説明をいたします。検討項目といたしましては、次の5つの項目を対象とすることではいかがかと考えております。まず男女共同参画と男女平等概念についてでございますけれども、既に男女共同参画社会基本法の制定過程などにおきまして私ども討議を重ねてきたところでございますが、男女平等の概念や積極的改善措置に対する考え方等について、日本国憲法における考え方などを踏まえて改めて整理をし、合わせて諸外国における男女平等概念について検討をしていきたいと考えております。
2番目は経済の構造改革と男女共同参画についてでございますけれども、経済成長の長期的な原則、それからグローバライゼーションの進展といった国内外における経済環境の変化や産業構造の変化により、これまでの高度経済成長期に対応したさまざまな制度や慣行というものの見直しの必要性が求められておりますけれども、男女共同参画という視点に立った場合にいかなる基本認識に沿って必要な施策を講じていくべきか、こういった点について検討したいと考えております。
3番目といたしましては男女共同参画のための指標についてでございますけれども、これは我が国における男女共同参画の進展の速度をより高めていくために、例えば国内の地域別にいろいろと速度、進展度を図り、比較できるような指標としてどのようなものが考えられるか。また、このほかに男女共同参画社会の形成の促進の観点から有効な指標としてはどのようなものがあるのか。こういったような問題点を中心に検討をしたいと考えております。
4番目が、男女共同参画と家族の在り方について、家族基盤やライフスタイルの多様化が進む中で男女共同参画の視点から個人の生き方の根幹に関わる家族の在り方や家族と個人の関係をどのように考えていくか、こういった提案を検討したいと考えております。ただいま申し上げました4つの項目が男女共同参画社会の形成促進に係る基本的な考え方に関するものでございます。
5番目として、国民の関心の高い個別問題であり、男女共同参画社会の形成を図っていく上での基本的な事項との関わりが深いものである選択的夫婦別氏制を取り上げるものでございます。この選択的夫婦別氏制につきましては、これまでも法務省を中心に相当の検討が行われ、平成8年に法制審議会の答申も出されているという経緯がございますので、法制的な観点からの議論は私たちのところではしないで、選択的夫婦別氏制が導入されていなかったことから生じている実生活上の不利益とか、あるいは不都合といった点について体系的に整理をしたいと考えております。
最後に当面のスケジュールについて御説明をいたしますけれども、今後のスケジュールといたしましてはただいま御説明をいたしました5つの項目を来年の年末を目途に一通り検討し論点を整理する方向で、その間、来年の3月に中間的な整理をしてこの本会議に御報告をしたいと考えております。基本問題専門調査会からの御報告は以上でございます。 - 松下副大臣
- ありがとうございました。続きまして、女性に対する暴力に関する専門調査会につきまして島野会長から御説明をお願いいたします。
- 島野会長
-
それでは、女性に対する暴力に関する専門調査会の今後の進め方について御報告いたします。私は、この専門調査会の会長を務めておりますつくば国際大学の島野穹子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、資料4の3ページをごらんください。まず項目の1、本専門調査会の設置の目的についてでございます。ここでお示ししていますとおり、男女共同参画基本計画で対象としている夫・パートナーからの暴力、性犯罪、売買春、セクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為等の各分野を念頭に置きながら、今後の施策の在り方などについて調査検討を行うことを目的としております。既に第1回の会合を4月20日、第2回の会合を5月21日に開催しております。
本専門調査会は女性9名、男性6名の計15名の委員で構成されております。委員の名簿につきましては資料3の2ページにお付けしておりますが、女性に対する暴力に関する法律や制度についての知識を有している方、行政や裁判実務を経験された方、民間でこの問題に取り組んでこられた方など、この問題を議論するのにふさわしい方々が任命されております。
次に、今後の検討方針について申し上げます。もう一度、資料4の3ページをごらんください。項目の2にお示ししているとおり、本専門調査会は女性に対する暴力全般という大変幅広いテーマを検討の対象にしております。この4月に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が成立して、一部を除いて本年10月13日に施行されることになりましたので、当面はこの法律で取り上げられている夫・パートナーからの暴力に重点を置いて、法律の円滑な施行に向けた検討を行っていくこととしております。
また、時期を見て夫・パートナーからの暴力だけでなく、性犯罪、売買春、セクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為等、女性に対する暴力に関する種々の問題についても検討していく予定でございます。
続きまして、本年10月までの当面のスケジュールについて御報告いたします。既に開催いたしました2回の会合におきましては、関係府省庁の取組状況や被害者保護の実情についてヒアリングを実施しております。これらを踏まえて、先ほど申しましたように当面は現在の法律内容を前提に、法律の円滑な施行に向けた検討を行うことを各委員に御了承いただいております。検討に当たりましては、期間が限られていることもありましてこの中でテーマを絞ることとしております。
今後、引き続き現場で被害者の保護業務に携わっている方や関係省庁からのヒアリングを行いつつ、委員相互の議論も合わせて行ってまいります。そのために、第3回の会合からは会議時間を長くとって会議をしていきたいと考えております。
また、国民の幅広い意見を参考にするために、6月1日から30日までの1か月間、専門調査会として法律の円滑な施行についての意見募集を行っております。寄せられたさまざまな意見を踏まえ、実効的な成果が出せるよう努めてまいります。
当面の目標といたしましては、6月、7月と議論を深め、9月末にその成果を取りまとめ、御報告したいと考えております。
女性に対する暴力に関する専門調査会については以上でございます。 - 松下副大臣
- 島野会長、ありがとうございました。続きまして、苦情処理・監視専門調査会につきまして古橋会長から御説明をお願いいたします。
- 古橋議員
-
まず、資料4の5ページ目をお開きいただきたいと思います。まず項目の1で、専門調査会の設置目的でございますけれども、大きく分けて「監視」と「苦情処理」という2つの役割から成り立っております。
まず「監視」につきましては、昨年12月に閣議決定されました「男女共同参画基本計画」に盛り込まれた施策が今後どのように実施に移されていくのか、その実施状況というものを参画会議として監視をしていくものでございます。
次に「苦情処理」につきましては、男女共同参画社会の形成の促進に向けて、国民一人ひとりの方々の行政に対する苦情等に対するシステムづくりについて検討を行っていくというものでございます。これをより正確に申し上げれば、行政の施策についての苦情への対応ということと、人権侵害があった場合におきます被害者の救済のためのシステムという両面があるというふうに考えております。
なお、苦情処理の問題につきましては、男女共同参画社会基本法を検討しております際に国民から男女共同参画オンブズパーソンというものの制度をつくるべきだ、そして法律に書くべきであるという非常に強い意見があったのでございますけれども、それについては現在の行政相談員制度であるとか、あるいは人権擁護委員制度というものをまずとりあえず利用し、それでも不十分であったときには更に新たな制度を検討するというふうになっておりますので、そういう点を踏まえまして現状を検討の上、今後の在り方について検討を進めていくということにいたしたいと思っております。
なお、本専門調査会は資料3のとおり、専門委員が11名、それから本会議の議員が3名、計14名から構成されております。
それでは検討方針でありますけれども、まず「監視」につきましては、今後どのような考え方に基づいて、どのような段取りで具体的に監視を行っていくかという点につきまして、「今後の監視の実施方針」というべき案を専門調査会として取りまとめまして、それを参画会議の本会議に諮りまして決定をしていただき、その上で決定された方針にのっとって監視を行ってまいりたいと考えております。したがいまして、いろいろあります監視をすべき対象の中から当面必要であるかという対象の選別をするということ、そして選んだものについてどういう方法で監視をしていくか、そういうような問題についていろいろと検討をして監視の実施方針というものをつくっていきたいと思っております。
次に「苦情処理」につきましては、そのためのシステムを検討していく上で参考に資しますために、当面は国の関係機関や地方公共団体、更には有識者等から関連する制度等についてお話をお聞きし、その現状や今後に向けての課題等を把握していきたいと考えております。
3の「当面のスケジュール」でありますけれども、これまで既に3回の会合を開催しておりまして、監視については主要な府省から施策の体系や当面の重点施策などについてヒアリングを開始しております。また、苦情処理につきましては地方公共団体の先進事例などについてヒアリングを行ってきております。
なお、第1回会合におきまして専門調査会の調査・監視というものにつきまして各府省の協力をどうやって確保するかというような問題に議論が及びまして、松下副大臣から、各府省におきます男女共同参画の推進体制の整備が必要であるという御発言がございました。松下副大臣には第2回会合にも御出席いただきまして、副大臣会議において各府省の推進体制を御提案され、取組を要請されたということの御報告がございました。
6ページ目に移っていただきまして今後の予定でありますけれども、まず監視につきましては引き続き主要な府省から施策の概況につきましてヒアリングを行いまして、これらヒアリングの結果や議論の結果を踏まえまして、「今後の監視の実施方針」について検討を行ってまいりたいと考えております。そして、その実施方針につきましては、先ほども申し上げましたとおり、9月ごろ参画会議の本会議において決定をしていただき、その上で実施方針に基づき具体的な監視を行っていくということを予定いたしております。次に、苦情処理につきましては、これも引き続き関係する機関等からヒアリングを行ってまいりたいと考えております。また、その一環といたしまして住民、国民に身近な行政をつかさどる地方公共団体において関係者からヒアリングの場を設け、苦情処理や相談業務に携わる方々との意見交換を行いたいと考えております。今、秋田市と北九州市、金沢市と全国3か所を予定いたしております。
本専門調査会の審議の対象は、各府省の施策に幅広くまたがるものでございます。本専門調査会の役割及び今後の運営につきまして、議員各位の御理解、御協力のほどを深く心からお願い申し上げたいと思います。以上であります。 - 内閣官房長官
- ありがとうございました。それでは、最後に影響調査専門調査会につきまして橘木議員から説明をお願いいたします。
- 橘木議員
-
では、影響調査専門調査会の今後の進め方について御報告させていただきます。本専門調査会の大澤会長が所用のため出席できませんので、委員を努めております私、橘木の方から御報告したいと思います。
お手元の資料4の7ページを御覧いただきたいと存じます。項目の1、本専門調査会の設置目的について御説明したいと思います。本専門調査会の設置目的は、女性のライフスタイルの選択に大きな関わりを持つ諸制度・慣行など、男女共同参画社会の形成に影響を及ぼす政府の施策などについて調査検討を行うことであります。本専門調査会は資料3の4ページのとおり女性6名、男性6名の計12名の委員で構成されております。これは余談ですが、ほかの専門調査会は女性の方が多いのですが、なぜかこの専門調査会だけは6対6でイコールフッティングでございます。
第1回会合におきまして、会長代理として岡澤委員が大澤会長から指名されております。 次に、資料4の7ページに戻りまして項目の2、本専門調査会の検討方針について御説明いたしたいと思います。本専門調査会のテーマは、大きく分けて次の2つを考えております。
まず第1に、男女共同参画社会の形成に影響を及ぼす政府のすべての施策が本調査会の対象となり得るとの観点から、広く各施策の企画・実施・結果評価の各段階に男女共同参画の視点を取り入れていくための自己評価システムの構築を行うということであります。もう一つは、女性のライフスタイルの選択に影響が大きい税制、社会保障制度、雇用システムなどの制度などについて重点的に取り上げます。そして、モデルケースによる研究成果から、例えば出産、退職をするかしないか、その後再就職をするかしないかなどの区分によって、女性のライフコース別のモデルケースごとに税制、社会保障制度、雇用システムなどに係る影響、受払などを分析するものであります。今後、この2つのテーマにつきまして我々の調査会では検討を進めていくことにしたいと考えております。
スケジュールでございますが、項目の3を御覧いただきたいと思います。これまで第1回会合を5月18日に、第2回会合を6月8日に開催いたしました。第1回会合では、自己評価システムや女性のライフスタイルの選択に影響が大きい税制、社会保障制度、雇用システムなどの制度について、今後の検討の進め方などの議論をいたしました。第2回会合では、影響調査の概念及び社会制度・雇用システムと女性労働について、これらに詳しい委員の方々から御報告をいただきました。
7月16日開催予定の第3回の会合では第2回に引き続きまして、税制、社会保障制度に詳しい専門委員の方々から、これから男女共同参画や女性のライフスタイルについて専門的な意見をお聞きしたいと考えております。そのような報告を踏まえて、モデルケースの我々の研究方法、自己評価方法などについて議論したいというふうに考えております。
この議論を踏まえて、モデルケースによる研究については本専門調査会の下に設けるワーキング・チームをつくりまして、その下で順次分析結果を我々の専門調査会の検討の素材として提供していく予定でございます。本専門調査会は第4回会合以降、この検討素材に基づいて先ほどから申しておりますように税制、社会保障制度、雇用システムの在り方について検討するとともに自己評価方法についても考え、そして関係省庁からのヒアリング等を実施する予定でおります。
このようにして、本専門調査会の検討対象は幅広い施策にまたがるものでございます。本専門調査会の目的及び今後の進め方につきまして、議員各位の御理解、御協力をお願いしたいと思います。私からの説明は以上でございます。 - 内閣官房長官
- どうもありがとうございました。ただいまの報告につきまして御意見等がございましたらどうぞ。
- 森山議員
- 基本問題専門調査会の日程について御説明を伺いまして、選択的夫婦別氏制を研究していただくというので大変ありがたく思っております。それが6月29日に題材になるという日程で、最終的な論点の整理とか報告などは来年のお正月以降になるようですけれども、それぞれのテーマごとに何かまとまるものが逐次出てくるんでしょうか。それとも、最終的な報告まで待たなければならないんでしょうか。
- 岩男議員
- 第1回のときには実はいろいろな御意見が出たものですから、そこまで詰めてお話をしていないんです。ですから、確かに今おっしゃるとおりにまとまるごとに少し出していった方がいいんじゃないかと思います。でも、これは専門調査会にお諮りしなければならず、私がこの場で勝手なことを申し上げられないのですが。
- 森山議員
- このテーマについては急ぎたいと思っています。ですから、できればこのような材料を権威あるこの調査会から出していただけると非常にありがたいという気持ちで申し上げました。だから、来年の3月まで待たなければいけないのはちょっと困るという気持ちでございますので、よろしくお願いいたします。
- 内閣官房長官
- 世論調査のスケジュールはどうなんですか。
- 森山議員
- 世論調査は私が聞いているところでは8月ころにしていただくそうで、9月か遅くとも10月ころには結果が出てくると思います。それで、議員の間の議論も大分にぎやかになってきていますし、盛り上がっておりますので、とても来年の3月までは待てないので、よろしくお願いします。
- 岩男議員
- 急いでやりますので、こちらこそよろしくお願いいたします。
- 内閣官房長官
- ほかにいかがでございますか。
- 原議員
- 資料4の7ページから8ページの影響調査の項の自己評価システムの構築のところですけれども、これはだれが自分の自己評価をするんでしょうか。各施策担当者が自己評価をなさる際のシステムの構築ということでしょうか。
- 橘木議員
- 各省庁がいろいろな税制なり、社会保障政策なり持っているわけで、そういうような政策がどのような影響力があったかというようなことはやはり自己評価した方がいいと思いますので、そのように理解していただいて結構だと思います。
- 内閣官房長官
-
ほかにいかがでございますか。よろしゅうございますか。
それでは、各専門委員会の今後の進め方についてお諮りをいたしたいと思います。専門調査会の進め方につきましては、ただいま御報告がありましたとおり決定をいたしたいと思いますが、いかがでございますか。(「異議なし」と声あり)
- 内閣官房長官
-
ありがとうございます。それでは、各専門調査会の方々につきましては本日決定された進め方にのっとり、調査検討を進めていただきたいと思います。また、今後開催されます本会議においてその検討状況を適宜御報告いただきたいと考えておりますのでよろしくお願いをいたします。
次に、最近の男女共同参画社会の推進に関連する動きについて御説明を申し上げます。初めに、各府省における男女共同参画推進体制の整備推進につきまして松下内閣府副大臣から御説明を願います。 - 松下副大臣
-
それでは、各府省庁の推進体制の整備推進について御説明を申し上げます。
去る5月24日の副大臣会議におきまして、私から各府省庁において男女共同参画関連施策の一層の推進を図るため、各府省庁に副大臣等を本部長とする男女共同参画推進会議を設置することなどについて要請し、提案をいたしました。この内容につきましては、小泉内閣総理大臣及び福田内閣官房長官の御了承もいただいているところであります。既に、農林水産省、内閣府、文部科学省、厚生労働省、防衛庁、警察庁、総務省の7つの府省庁においてつくっていただいております。今後とも体制がしっかり整備されますように、よろしく御協力をお願い申し上げます。
また、各府省庁の推進会議の状況につきまして、今後も会議の場をお借りしまして御報告をさせていただければと思っております。よろしくお願いします。 - 内閣官房長官
- 続きまして、今月5日に開催されました男女共同参画推進本部の状況につきまして坂東局長から説明を願います。
- 坂東局長
-
去る6月5日の閣議後に開催されました男女共同参画推進本部会議におきまして2つの本部決定がございました。お手元の資料5-1を御覧ください。
まず、「女性国家公務員の採用・登用等の促進について」でございます。平成12年12月12日に閣議決定されました男女共同参画基本計画において、女性の政策決定過程への参画の促進の観点から人事院に対し、女性国家公務員の採用・登用等についての指針の早期策定を求めておりました。人事院が本年5月21日になりまして女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針を策定し、各府省へ通知されましたことから、これを踏まえましてそれぞれの各府省において総合的かつ計画的に取組を推進することとするため、この本部決定をいただいたものでございます。
次に資料5-2でございますが、「女性に対する暴力をなくする運動について」でございます。この運動につきましては、従来実施してまいりました社会の風紀、環境を浄化する運動を平成12年度に見直したものでございまして、運動の対象は夫・パートナーからの暴力、性犯罪、売買春、セクシュアル・ハラスメント等、女性に対する暴力全般です。これまでは女性に対する暴力に関係の深い省庁が主唱となり、実施機関も5月24日を中心とするおおむね2週間ということで、はっきりとそれぞれ統一的に定められておりませんでしたが、男女共同参画基本計画に国際的な動向も踏まえつつ、国民運動として一層推進すると盛り込んでおることもあり、本部決定をいただいて政府を挙げて取り組むということにし、また実施時期も国連が定めた11月25日の女性に対する暴力撤廃国際日を最終日とする1週間、すなわち11月12日から25日に統一したところでございます。以上でございます。 - 内閣官房長官
- 続きまして、経済産業省の男女共同参画に関する研究会報告書につきまして平沼議員から御説明をお願いいたします。
- 平沼議員
- 御報告をさせていただきます。経済産業政策を進めるに当たって男女共同参画を進めるということは非常に重要なことであるという認識の下に、今までも女性起業家に対する支援でございますとか、またITを使いました子育て支援等をやってまいりました。それで、昨年の10月に影響調査専門調査会の委員でもいらっしゃる日本女子大学の大沢真知子先生に座長になっていただきまして大変熱心に御討議をいただきまして、お手元に配布をさせていただきました報告書を取りまとめさせていただきました。したがいまして、是非議員の皆様方にこれから議論を進めるに当たって御参考にしていただければと、このように思っている次第であります。また必要があれば大沢座長にこの場で詳しく御報告をしていただくような機会も設けさせていただければと思っております。私の方からは以上でございます。
- 内閣官房長官
- ありがとうございました。それでは、議員の方々から何か御発言ございませんか。
- 古橋議員
-
女性国家公務員の採用・登用の拡大の問題でありますけれども、国家公務員法上、女性に対する差別というのは刑事罰の対象になるわけでありますけれども、しかし実質的なところで差別が行われていると思われます。例えば勤務評定の場合であるとか、昇格をするときのいろいろな配慮事項、そういうようなところで実質的に差別が行われているというわけでございまして、そういう実質的な差別というものをなくしていくことが必要であります。現時点において環境問題であるとか、いろいろ社会が複雑になっているとき、女性の知識を活用する必要があるというときに国家公務員に女性を入れるということは非常に大切なことでございます。今回のこの登用の拡大に関する指針というものの中で、私どもはかねてより過去における女性職員の採用状況等各省の実情に応じて女性の枠をある程度努力目標として置き、そしてそれを達成するタイムテーブルをつくってほしいということを言っておったのでありますけれども、今回も各省の抵抗で数量を定めた努力目標、ゴール・アンド・タイム・テーブル方式というものがなかなかとられていないというふうに私どもは認識しております。
したがいまして、閣僚の皆様方に是非お願いいたしますけれども、各省ごとのいろいろな実情があると思いますが、過去における実情とか、そういうものに応じて各省ごとの女性の登用のある程度の枠というような指針みたいなものをつくっていただいて、それに応じて年次別に登用していくというようなことを是非お願いをいたしたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。 - 住田議員
-
私は委員として松下副大臣の下の私的研究会である家族とライフスタイルに関する研究会というものに所属して活動しているところですので簡単に御紹介したいと存じます。
この研究会は最近の少子高齢化、低成長への移行など、家族を取り巻く状況が大きく変化しているにもかかわらず、家族を取り巻く制度はその変革の流れに沿ったものへの見直しが進んでいないというような問題意識の下、内閣府松下副大臣の研究会として、本年3月に発足したもので、座長は基本問題専門調査会の会長代理でいらっしゃいます日本経済研究センターの八代理事長でございます。
この研究会で結婚等の男女の関係に関わる問題、先ほどの夫婦別氏もございますし、子育ての問題、高齢者の問題、その3つの切り口につきまして、ライフスタイルの多様化が進む中での個人の選択肢の拡大、そして家族形態等への中立性の確保、更に家族機能の変容の中での家庭の安定性の確保の3つの視点から検討を行ってまいりまして、既に4回の検討を重ねておりまして、実は今週の金曜日、22日の第5回研究会終了後、対応の方向性等をまとめた報告書を取りまとめ公表する予定でございまして、この参画会議の議員の皆様におかれましても議論の参考にしていただければ幸いかと存じます。
ところで、平沼議員の方の男女共同参画研究会の報告書もざっと見せていただきまして、これは経済生活というか、経済活動の面からの切り口だったと思いますが、こちらは家族の切り口から副大臣も常に熱心に討議に御参加いただきまして、若い先生方も多かったものですからかなり斬新なものになっております。夫婦別氏制につきましても、私自身も法律制度をつくる際の法制審議会での今までの経験を基にしまして、さまざまな論点を全部含んだ上でのかなり斬新なものを出している自負がございますので、是非今後のたたき台、参考資料にお使いいただければと存じております。どうもありがとうございました。 - 内閣官房長官
- どうもありがとうございました。ほかにございますか。
- 橘木議員
-
古橋議員に関連しまして、この女性国家公務員のクォータ制というようなことは全然まだ念頭にないんでしょうか。何割を女性にするというようなことが検討項目に入っているのかどうか、ちょっとお聞きしたいというのが私の第1点の質問です。
第2点は、国家公務員だけではなくて地方公務員に関してはここでは全く関心外なんでしょうかということです。 - 坂東局長
-
お答えいたします。この度の本部決定におきましては、人事院のガイドラインは各省庁においてリーズナブルと考える目標を定めるということで、本部の方あるいは人事院の方でこれだけ登用しなさいという数値目標をアプリオリに提示しているわけではありません。各府省で御検討いただくということで、その府省においてもどういう目標を達成されるかについてはそれぞれの省庁にお任せをしているということです。
それから、地方公共団体あるいは関係団体、特殊法人あるいは司法部門、立法部門におきましても女性の登用に努力していただくように、男女共同参画推進本部長である総理の名前で協力依頼をお願いする予定です。 - 原議員
- 今の件に続くことでございますが、資料5-1の3ページ目の(1)のところに、各府省は計画の策定に当たり2005年度までの目標を設定すると書いてあるんですけれども、この2005年度までの目標をいつまでに設定されるのか、どういうお話し合いになっているのか伺いたいと思います。
- 坂東局長
- これも各府省の方でということになります。
- 原議員
- なるべく早く各府省でお決めいただきたくお願いしたいと存じます。
- 師岡議員
- 一言だけ、武部議員から先ほど子育て支援の件でお話がありました。地方に行けば行くほどジェンダー問題や男女共同参画社会づくりというのは3世代、4世代の中で大変難しい問題があると思っております。先ほど農林水産省の方としても努力する用意があるとお話を伺いましたけれども、田舎に行けば行くほど男女の役割分担というのは非常に根強いというのを私自身も実感しておりますので、是非御努力をいただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。
- 猪口委員
-
「待機児童ゼロ作戦」というのはかなりキャッチフレーズとしてもインパクトがあったと思うんですね。そこで、せっかくの機会なので申し上げますが、日本で男女共同参画の観点から見て非常に不思議な光景があるんです。それは、女子のみにいろいろな企業とか、あるいは銀行あるいは農業団体等もそうかもしれないんですが、制服が課されているというような場面なんです。女子はほとんど制服に近いけれども、でも一応自分の判断でグレーか紺が選べるぐらいのものがあればよろしいと思います。
そこで、「女子のみ制服ゼロ作戦」を打ち立てて、それぞれの大臣の先生方の所管されている起業・団体その他のところで、まだ同じ職場で女子のみに制服が課されている場合には、指導していただきたい。おまわりさんや医療関係者で男女ともにある場合はもちろんいいんです。でも、やはり形は人の心をつくりますので、同じ職場で女子のみに制服が課されているというようなビジュアルな区別は改善していただきたいと思います。個人的な意見なのですが申し上げさせていただきます。せっかくの機会ですのでお願いします。 - 原議員
-
また別件なのでございますが、両立支援の話でも武部議員から農林水産業のことが入っていないのが残念だとお話がありましたが、賛成です。農林水産業の問題というのは、その産業に従事する人口が減ってくるにつれて、見落とされていく傾向があるので、現行の専門調査会でどういうふうにそこを位置付けていけるかということがあると思うんです。
大平首相の家庭基盤に関する検討に際して、結局農林水産業に従事する方々の家庭基盤の問題というのは後回しになって、やっと300万円だけ調査の費用が付きました。そのとき岩男議員も一緒に調査をさせていただいたんですけれども、日本の社会全体の中で農林水産業が持っている機能の位置付け、これが多様なところですと環境問題に関しても議論は大いにされているわけなんだけれども、こういうときにどうしても農林水産業従事者の生活の側面が後回しというか、遅れたり見落とされるので、何とかこの会議においての位置付けを工夫していただきたい。
今すぐどうとは言えないんですけれども、この2、3か月の間に工夫していただいて、今後の在り方について検討し、私も検討に参画したいということでございます。よろしくお願いいたします。 - 神田議員
- 今、経済産業省の方から御報告がございましたこの報告書ですけれども、大変興味ある内容が含まれていると思っているんです。今日はこの会議で仕事と子育ての両立支援策について報告が出されましたが、この二つはいろいろ内容的に重なるところがございます。このような重なりは、報告を作る過程でどのように取り入れていったらいいのか。これから多分各省庁でこういうことが起こると思うので、効果的に合わせていかなければいけないと思うんですけれども、この過程というのはいかがだったのでしょうか。
- 平沼議員
- これは先ほど申し上げましたように、大沢座長を中心に10月から精力的にやっていただきました。そういう中で経済産業省の視点で取りまとめたわけでございまして、確かに御指摘の重なりの部分もあると思います。今日はこれを皆様方にお示ししましたが、今後の取りまとめの中で各省からもいろいろあると思いますので、その中でまとめて、しっかりしたものをつくっていけばいいのではないか。そういう面では私どもも全面的に協力をさせていただきたいと思いますし、先ほどちょっと触れましたけれども、もしそういう必要があればお取りまとめいただいた大沢座長にも機会がありましたらそういう形で参画をしていただいて、また皆様方とお話をしていただくということで、私どもは対処させていただければと思います。
- 神田議員
- 私はやはり縦割りでなく、ここは各府省で行っているものなど横のいろいろなものを集めていかなければならないと思いますので、そこのところを十分配慮して効果的にやっていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
- 武部議員
-
師岡議員や原議員から応援の弁をいただいて大変感激しております。農林水産省では省内に男女共同参画推進本部を多少に先駆けて設置しておりまして、また、一般からの提言募集とか農山漁村女性との現地懇談会の実施、農林水産関係の全国女性代表との意見交換会の実施等の計画も立てておりまして、そういった過程で経済産業省に負けないようなしっかりしたものを取りまとめたいと思っております。
それから今、原議員からは本当に貴重なお話をいただきました。森と海は命の故郷と我々は言っております。また、森と海は恋人という人もいらっしゃいます。そういう意味では私どもは都市も農山漁村も夫婦別氏の関係で、名前は都市と農山漁村と言っていますけれども夫婦だと、それを地でいっているわけでございます。これから人と自然との共生社会というものが我々の一つの大きな目標でしょう。農林水産省の宣伝をさせてもらいますと、現在、食料の安定供給と美しい国づくりに向けてという表題で今やっておりまして、それから、タウンミーティングでは女性のすばらしい発言が次々ありました。青森では新聞にも出ておりましたけれども、大間という青森市に出てくるのに3時間もかかるところのお嬢さんが、私は一流の田舎をつくりますということを言っておりました。それから、青森で農業をやっている奥さんが、所得が少なくなってきたので私たちはビジネスをやりたい、そこで、農家の主婦がビジネスをやるのに支援してもらいたいという非常に積極的な発言がありました。
岩手でも同様でありますが、ただ青森で男性の方が、男らしいとか女らしいとか、お父さんらしいとかお母さんらしいということを何か大きい声で言えなくなったんだけれども、そういうことは自分は大事だと思うとおっしゃいました。私はこのことは大事だと思うんです。余りにも今は不平等といいますか、機会が均等でないという意味では男女共同参画社会の実現に向けて積極的な努力をしていかなくてはいけないと思うんですけれども、もう一度ここの議論の中でそういった「らしさ」の視点、これは日本人らしさとか人間らしさもあると思いますが、こういうこともベースにした上で報告などに出なくてもいいのですが、やっていくということが大事なのではないか。
ちょっとよけいなことかもしれませんけれども、このことでどなたかコメントをしていただく方がいらっしゃいましたらお願いします。 - 岩男議員
-
男らしさ女らしさの問題は基本問題専門調査会の第1回でかなり議論をいたしまして、今後もいたしますので御期待をいただきたいと思います。
それからもう一点だけ、武部議員がおっしゃるかと思ったんですけれども、タウンミーティングは地方でございましたので、農林水産省の方で先ほどの仕事と子育ての両立支援は農業の女性の仕事と子育ての両立支援という形で新規事業をしておられますので、そのことを私はタウンミーティングで御紹介いたしました。 - 古橋議員
-
せっかく農林水産大臣がおられるので2点。農村におけるジェンダーの問題を考えるときに、1つは家族経営協定の推進だと思うんです。家族経営協定のメリットとして今の農業者年金基金以外の方策を是非考えていただきたい。
それから、農村における農業生産の場合における法人化というものについてもっと熱心にやってほしい。法人化によって勤務形態というものはもっと近代化されるし、それによっていろいろな余暇とかができます。農村社会における男女共同参画という点から言えば、私はこの2つだけを是非重点的にやっていただきたいし、そのための統計、どういうふうに現状はなっているかという分析と、それがなぜできないかという問題点をひとつ農林水産省に是非分析していただきたいと思います。 - 武部議員
- ありがとうございました。私は家族経営が一番負担になるのは女性だ、だから法人化をしましょうと言っております。それから、家族経営協定のことも今、師岡議員からもいただきましたけれども、積極的に努力してまいりたいと思います。
- 内閣官房長官
- ほかにどうですか。よろしゅうございますか。
- 住田議員
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またお時間をいただきましてすみません。特に今回、国家公務員の点と、それからもう一つの報告の点を2つ申し上げたいと思います。
女性国家公務員採用・登用の拡大については、基本計画の中で国家公務員でもこういう目標を設定して、それに対して具体的取組をするというようなことが私は一種のポジティブアクションとして非常に画期的でうれしく思っております。また採用時、その後の登用についても男女間で偏りがないように配慮するということを入れていただいたのは非常に意味が大きいと思います。どうしても女性は女性が今までいっていたポストしか付いていらっしゃらないことから、全体的な数字としてもそこでとどまってしまう。この辺りが非常に大事なことですので各大臣、副大臣におかれましてはそこら辺をよく御検討いただきまして、数字として目標設定もできるような形で今後変わることを私は強く希望しております。
それともう一つ、先ほど神田議員がおっしゃいました報告書ですけれども、私は各省庁でそれぞれの視点からこういうふうな議論をしていただくということは大きな意味があると思います。報告が出るのも一つの成果かとは思いますが、議論の過程を通じていろいろな問題意識を出していただく。先ほどの農村のベンチャー、経済産業省のローリスク・ローリターン型の資金の供給促進をするという形での自立型自己雇用など新しい働き方の拡大は、女性が一つのベンチャーをするときの支援策だと思います。これも経済産業省の視点で働くという視点からの男女共同参画はとても意味のあることだと思いますので、こういうものが各省庁で起こりましたものをこの会議に挙げていただいて、更に煮詰めていただくというのが私は広げる一番大きな基だと思います。今後のタウンミーティングをそういう意味では非常に期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。 - 内閣官房長官
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どうもありがとうございました。あとはよろしいですか。では、進めさせていただきます。ただいまの御意見はすべて記録して今後の参考にさせていただきます。
それでは、次に第2回会議の議事録についてお諮りをいたします。皆様方には御確認を既にいただいております。この議事録を本会議終了後、公開することといたしますが、よろしゅうございますか。(「異議なし」と声あり)
- 内閣官房長官
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御異議ないようですので、原案どおり本会議終了後、速やかに公開をいたします。
以上をもちまして本日の男女共同参画会議は終了いたしますが、本会議の資料につきましては公表することといたしますが、よろしゅうございますか。(「異議なし」と声あり)
- 内閣官房長官
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それでは、申し上げましたとおりの扱いとさせていただきます。
なお、後日あらかじめ発言者の確認を経た上で発言者名を明記した議事要旨を公表することとしておりますので、出席委員におかれましてはそれまでの間、自らの発言を除き、対外的な公表は慎重に取り扱われるようにお願いいたします。
次回の会議につきましては別途御連絡を申し上げます。本日も大変ありがとうございました。御苦労様でございました。
(以上)