第3章 重大問題領域

41.

女性の地位向上及び女性と男性の平等の達成は,人権の問題であり,社会正義のための条件であって,女性の問題として切り離して見るべきではない。それは,持続可能で公正な,開発された社会を築くための唯一の道である。女性のエンパワーメント及び女性と男性の間の平等は,すべての国民の政治的,社会的,経済的,文化的及び環境的な安全を達成するための前提条件である。

42.

「婦人の地位向上のためのナイロビ将来戦略」に挙げられた目標の大半は,未だ達成されていない。各国政府並びに非政府機関及びあらゆる地域の女性と男性の努力にもかかわらず,女性のエンパワーメントを阻む障害は依然として残存している。きわめて大きな政治的,経済的及び環境的危機が,世界の多くの地域に存続している。それらの中には,侵略戦争,武力紛争,植民地化もしくはその他の形の外国支配又は占領,内戦及びテロリズムがある。これらの状況は,組織的又は事実上の差別,すべての女性のあらゆる人権と基本的自由及び開発の権利を含む彼らの市民的,文化的,経済的,政治的及び社会的権利の侵害及びその保護への怠慢,並びに女性と少女に対する根深く有害な態度とともに,1985年に開催された,「『国連婦人の10年:平等,開発,平和』の見直しと評価に関する世界会議」以来,遭遇してきた障害のごく一部にすぎない。

43.

ナイロビ会議以降の進捗の見直しによって,特別な問題 ― 優先的に行動を起こすべき事項として際立つ,特別に緊急を要する領域 ― が明確になる。すべての行為者は,必然的に相互関連し相互依存している優先度の高い重大問題領域に係る戦略目標に,行動と資源を集中すべきである。これらの行為者にとって,すべての問題領域に対して責任を負う仕組みを開発し,実施することが必要である。

44.

この目的のために,各国政府,非政府機関及び民間部門を含む国際社会及び市民社会は,以下の重大問題領域において戦略的行動を取るよう要請される。

  • 女性への持続し増大する貧困の重荷
  • 教育及び訓練における不平等及び不十分並びにそれらへの不平等なアクセス
  • 保健及び関連サービスにおける不平等及び不十分並びにそれらへの不平等なアクセス
  • 女性に対する暴力
  • 武力又はその他の紛争が女性,特に外国の占領下に暮らす女性に及ぼす影響
  • 経済構造及び政策,あらゆる形態の生産活動及び資源へのアクセスにおける不平等
  • あらゆるレベルの権力と意思決定の分担における男女間の不平等
  • あらゆるレベルにおける女性の地位向上を促進するための不十分な仕組み
  • 女性の人権の尊重の欠如及びそれらの不十分な促進と保護
  • あらゆる通信システム,特にメディアにおける女性の固定観念化及び女性のアクセス及び参加の不平等
  • 天然資源の管理及び環境の保護における男女の不平等
  • 女児の権利に対する持続的な差別及び侵害。
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