第三部 「北京行動綱領」の重大問題領域の実施

9 女性の人権

(1)法識字の強化

政府はNGO等を対象に毎回女子差別撤廃委員会の報告会を行っているほか、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(和文)のリーフレット、ポスターを作成し各都道府県、各種女性団体へ配布した。総理府男女共同参画室のホームページへも掲載し、本条約の周知徹底に努めている。

また、「男女共同参画白書」においては、「男女共同参画2000年プラン」で扱われている項目について、主に公の機関・団体による情報提供や相談が受けられる窓口を掲載している。

(2) 高齢者等が安心して暮らせる条件の整備

1)高齢者保健福祉施策の推進

高齢者においては、女性の占める割合が高く、高齢者が直面する問題は女性により大きな影響を与える。

21世紀初頭の本格的な高齢社会を目前に控え、経済社会の健全な発展を図りつつ、高齢者が健康で、経済的にも自立し、社会の一員として充実した暮らしができる環境の整備をすることが、我が国の最重要課題となっている。このため、1995年に施行された高齢社会対策基本法の規定に基づき、政府が推進すべき基本的かつ総合的な高齢社会対策の指針として、高齢社会対策大綱が定められ、就業・所得、健康・福祉、学習・社会参加、生活環境、調査研究等の推進の各分野にわたる高齢社会対策が策定され、現在それに基づき様々な施策が展開されている。

2)新たな介護システムの確立

a)介護保険制度の創設

今後、高齢化の進展に伴い介護を社会的に支える仕組みの創設が必要であることから、1997年12月、介護保険法が成立し、これに基づき準備期間を経て2000年4月から介護保険制度が導入される。この制度により、65歳以上の寝たきりや痴呆の高齢者、40~64歳の老化に伴う疾病で介護が必要な人等が、在宅・施設両面にわたる介護サービスが総合的に利用できるようになる。サービス利用については、保険給付の対象費用の1割を利用者が負担する。また、施設入所者については1割負担に加え、食費のうち平均的な家計において負担する額は利用者負担となる。

今後は、2000年度からの制度の実施に向け、引き続き、新・高齢者保健福祉推進十ヶ年戦略(新ゴールドプラン)に基づき、介護サービス基盤の整備を推進するとともに、保険者である市町村が円滑に介護保険制度を運営できるようにするための、要介護認定のための体制づくり、介護保険事業計画等の策定のための国の基本方針の検討、保険者としての事務処理体制の細部にわたり医療保険福祉審議会等の意見を聞きながら検討を行っていくこととしている。

(3) 障害のある者への配慮の重視

1)障害のある者への配慮

政府は、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の「アジア太平洋障害者の十年」に呼応して、1993年3月に「障害者対策に関する新長期計画」を策定し、さらに、1995年12月に同計画の具体化を図るための重点施策実施計画として「障害者プラン~ノーマライゼーション7か年戦略~」を策定した。「障害者プラン」は、1996年度から2002年度までの7か年計画で数値目標の設定等の施策の具体的目標を盛り込んでおり、同プランに沿って、障害を持つ女性に対しても男性に対してと同様に、全員参加の社会づくりを目指して総合的な施策を推進している。

具体的施策としては、住まいの確保(グループホーム・福祉ホーム)、働く場の確保(授産施設・福祉工場、障害者雇用支援センターの指定)、介護サービスの充実(ホームヘルパー・ショートステイ等の在宅サービス、身体障害者療護施設等の施設サービス)等多くの分野で具体的な数値目標を明示し、計画期間中の達成に向けて関係省庁で取り組んでいるところである。

また、バリアフリ-化を目指して、幅の広い歩道の整備や、駅等におけるエレベーター等の計画的な設置・整備についても、具体的な施策目標を明記し推進し、進捗状況については、定期的にフォローアップを行っていくこととしている。

なお、住民により身近な行政主体である都道府県や市町村にも障害者施策に関する基本計画を策定するよう、1995年5月に政府として指針を示し、地方公共団体においても障害者計画に基づき施策の積極的な推進が図られるよう努めている。

2)障害者週間

障害を持つ女性も男性も共に自らの自立と社会参加への意欲と国民の障害者問題に対する理解と認識を高めるための運動を展開する期間として、1995年度から毎年12月3日から9日までを「障害者週間」として設定した。

(4)「人権教育のための国連10年」に係る施策の推進

1995年12月15日、「人権教育のための国連10年」に係る施策について、関係行政機関相互の緊密な連携・協力を確保し、総合的かつ効果的な推進を図るため、閣議決定により、内閣に、本部長を内閣総理大臣とする人権教育のための国連10年推進本部が設置され,1997年7月「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画を取りまとめ公表した。

「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画の主な内容は、人権教育の趣旨、背景、我が国における人権教育の意義、同10年に対する基本的理念、目標、取組の留意点、学校・社会・企業等あらゆる場を通じた人権教育の推進、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、外国人などの重要課題への対応、国際協力、計画の推進体制などであり、特に女性については、「男女共同参画2000年プラン」を踏まえた取組の推進、政策・方針決定過程への女性の参画拡大、男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直しと意識の改革、女性の人権についての教育・研修・啓発活動の推進などについて記述している。

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