第三部 「北京行動綱領」の重大問題領域の実施

2 女性の教育と訓練

(1)男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実

1) 初等中等教育の充実

学校教育全体を通じて、人権の尊重、男女の平等、相互協力・理解についての指導の充実、教科書や教材における配慮、教員の養成・研修面での充実等を推進するよう、文部省から都道府県の教育委員会等に対して情報提供、指導、援助を行っている。

また、現行学習指導要領(1989年改訂)において、家庭科教育は、男女とも必修とされ、男女同一の教育課程となり、中学校については1993年度から、高等学校については1994年度から適用されているところであり、教育課程の改善方法や研究成果の発表などの様々な研修等を通じて、その趣旨の徹底を図っており、現在,中学校・高等学校のそれぞれにおいて円滑に実施されている。

2)高等教育機関における男女平等の推進

女性学に関する研究機関が大学等に設けられつつある。国立では、1996年5月に、お茶の水女子大学にジェンダー研究センターが設けられ、また公立では大阪府立女子大学に、私立では愛知淑徳大学に女性学・ジェンダー研究所が設置されるなど研究が徐々に広まりつつある。

また、女性学関連講座をもつ大学等は、1996年度には351校786科目等となっており、前回調査(1993年)より実施大学の割合で5.4%、科目数では274増加している。

3)社会教育の推進

1996年度より、青年男女を対象に、家庭、地域、職場における男女の共同参画について学習することを目的として、「青年男女の共同参画セミナー」を高等教育機関等に委嘱して実施しており、1997年度は16の事業が実施された。

4)女性の社会参加・生涯学習の促進

女性の社会参加促進のための学習・実践モデル事業の一つとして、NGOに委嘱して1997年度に女子差別撤廃条約をやさしく学べるパンフレットを作成した。

5)国立婦人教育会館

日本における唯一の国立の婦人教育施設である国立婦人教育会館では、1999年1月から、インターネットのホームページより文献情報データベース等が24時間アクセスできるよう、情報機能の充実を図っている。

また、1996年度から「女性学・ジェンダー研究フォーラム」を開催し、男女共同参画社会の形成に向け、全国各地の女性学・ジェンダー研究について研究・教育・実践活動を行っている団体・グループ・個人等に日頃の活動の成果の発表や交流、ネットワークづくりの場を提供している。さらに、調査研究事業として、社会教育における女性学教育に関する内容と方法に関する調査研究の成果をハンドブックとしてとりまとめているほか、開発と女性や家庭教育に関する専門的な調査研究にも取り組んでいる。

同館は、1997年11月には、開館20周年を迎え、これを記念し、ジェンダーの視点に立った生涯学習国際フォーラムの実施、「国立婦人教育会館研究紀要」の創刊などを行った。

6)進路・就職指導の充実

就職指導については、各大学において学生に対するキャリア・ガイダンスの開催等を推進するとともに、1995年度から、大学等の就職担当者及び企業の採用担当者の参加を得て情報交換・協議等を行う全国就職指導ガイダンスを実施している。また、就職関連情報を学生に迅速に提供するほか、大学への就職指導担当専門員の配置等を通じ、女子学生への就職指導の充実を図っているとともに、各経済団体等に対し、女子学生の均等な就職機会の確保等について協力要請を行っている。

更に女性が固定的な考え方にとらわれない進路決定を行うよう、労働省では、高等学校の女子生徒やその親、学校の進路指導担当者に対する意識啓発セミナーを1995年度より実施している。

7)教育改革プログラム

1998年4月、日本政府が掲げる6つの改革の一つである教育改革に具体的かつ積極的に取り組むため、 文部省において「教育改革プログラム」を改訂した。

この「教育改革プログラム」では、その一項目として、「男女平等の意識を高める教育の充実」を掲げており、男女共同参画社会の実現に向けて、男女の固定的な性別役割分担意識を是正し、人権意識に基づいた男女平等観の形成を促進するため、 教育関係者の研修の充実や教材の開発などを通じ、学校教育及び社会教育において、男女平等を推進する教育・学習の充実を図ることとしている。

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