G7英国・サミット(2021年6月 コーンウォール)

令和3(2021)年6月11日から13日にかけて、英国・コーンウォールにおいてG7サミットが開催され、首脳宣言がとりまとめられました。そのうち、ジェンダー関連部分の概要は、以下のとおりです。

首脳宣言や附属文書などの全文は、外務省ホームページよりご覧いただけます。

1.首脳宣言

首脳宣言では、ジェンダー平等について、独立した項目として4パラグラフ(パラ44-47)にわたって述べられ、より良い社会を作っていくための中核であること、3つの主要な優先事項(①女子教育、②女性のエンパワーメント、③女性と女児への暴力の根絶)からなることなどが明記されました。また、ジェンダーについて様々な分野で横断的に言及されました。

【導入部】

  • ジェンダー不平等を含む不平等への対応などにより、現在の課題に対応することを確認。民主主義社会としてジェンダー平等を進めることなどを支持。

【健康】

  • 医療・ケア分野における女性やマイノリティのエンパワーメントとリーダーシップを含む、公平性、包摂性、公正性を確保する。

【経済再生、雇用】

  • 性別などに関わらず誰も取り残さないように、教育やスキルアップの強化、労働市場への参画の促進などにより、経済を再生することを決意。
  • コロナによって多くの人が職を失い、女性を含め不利な立場にある人々は平等ではないことが明らかになった。また、ケア労働者の素晴らしい貢献と、ケア労働の多くは無給であり、女性に偏っていることが浮き彫りになった。最優先課題の一つとして、あらゆる人に働きがいのある人間らしい仕事と平等な機会を提供していかなければならない。

【自由で公正な貿易】

  • 女性の経済的エンパワーメントに資するよう貿易政策を検討するという貿易担当大臣のコミットメントを支持。男女別データ・分析の重要性を認識。

【将来的な先端領域】

  • 子供や脆弱なグループ、特に女性と女児を、オンラインとオフラインにおいて保護する。オンラインにおけるジェンダーに基づく暴力に関する情報や対応事例の共有に係るG7の合意に内務大臣が取り組むことを奨励。
  • STEM分野における女性と女児の参画の不均衡を是正する。

【気候、環境】

  • 気候・環境分野におけるジェンダー平等を含む平等の達成に向けて取り組む。エネルギー分野における男女共同参画のための「the Equal by 30 Campaign(30年までに平等を実現させる運動)」を推進
  • 将来のグリーンエコノミーに女性と女児が完全に参画できるよう、投資及び政策へのジェンダーに対応したアプローチを行う。

【ジェンダー平等】

  • ジェンダー平等は、開かれた包摂的で公正な社会の中心。根強いジェンダーギャップは、働きがいのある仕事、平等な賃金、社会的保護、教育、技術、その他多くの分野と同様に、基本的なサービスへのアクセスに影響。無償ケア労働の偏った負担や有償ケア労働の低賃金が女性のエンパワーメント、社会的・経済的参画やリーダーシップを制限。コロナが女性と女児に与えている不公平な影響が、特に、ジェンダーに基づく暴力、性と生殖の健康と権利(sexual and reproductive health and rights(SRHR))、教育、雇用へのリスクとなっていることを認識。
  • ジェンダー平等の推進は、より良い社会を作っていくための中核であり、3つの主要な優先事項(①女子教育、②女性のエンパワーメント、③女性と女児への暴力の根絶)からなる。ジェンダー平等を達成するためには、意思決定のあらゆる側面に女性が平等に参画することが必要。また、ジェンダー平等に一貫して焦点を当てるため、GEAC(※)をすべてのG7議長国の常設の組織として召集することを意図。強固なデータとそれを長期的に追跡する方法がなければ、ジェンダー平等に向けて真の進展はなし得ないことを承知。
     (※)GEAC(Gender Equality Advisory Council):ジェンダー平等アドバイザリー評議会。イギリス政府が任命した民間有識者グループ。
  • SRHRへの完全なコミットメントを再確認。SRHRがジェンダー平等や女性と女児のエンパワーメントにおいて本質的な役割をなすことを認識。コロナによるSRHRへのネガティブな影響に対処することにコミット。コロナ下で女性と女児に対する暴力が増加しており、ジェンダーに基づく暴力の予防・対応・根絶にコミット。
  • 女子教育に関して、次の2つの新たな目標にコミット:①2026年までに低所得・中 所得国において更に4,000万人以上の女子に教育を提供すること、②2026年までに低所得・低中所得国において更に2,000万人以上の女子に10歳までに又は小学校終了までに読解力を身に付けさこと。G7外務・開発大臣の「女子教育に関する宣言」を支持。G7としてGPE(教育のためのグローバル・パートナーシップ:Global Partnership for Education)に拠出することを表明。

【グローバルな責任と国際社会の行動】

  • 国連女性機関や世界銀行グループとともに途上国の女性と女児などへの支援を行うことを再確認。開発金融機関によるアフリカ各国の女性に対する支援にコミット。

2.附属文書

【カービスベイ保健宣言】

  • 世界経済の回復を支えるに当たり、パンデミックの重要な影響、とりわけ女性及び女児並びに脆弱かつ疎外された人々に対する壊滅的で不均衡な影響について認識。

【2030年自然協約】

  • 全ての人々にとってうまく機能する世界的システムの変化を促すため、共同のデザイン、意思決定及び履行に関して、女性・女児といった、脆弱で周縁化されたグループの利益を認識しつつ、パートナー・ステークホルダーと協働して取り組むことにコミット。

【研究協約】

  • あらゆるグループを包摂する、強固で多様で強靭な科学・研究コミュニティを発展させることにコミット。研究基盤の強さを強化し、参加を制限する社会面、法制面及び規制面の障壁を取り払い、性別による格差に対処することによるG7ジェンダー平等目標を補完する機運を高めることになる。

3.その他の文書

【開かれた社会声明】

  • 女子教育、ジェンダーに基づく暴力の撲滅のための対応・取組、女性・女児の権利の促進、性と生殖に関する健康と権利の擁護を通じたものを含む、ジェンダー平等と女性・女児の政治的、社会的、経済的エンパワーメントに関連する国際規則・規範を尊重し、他国に対して奨励することが喫緊であると確信。
  • ジェンダー平等、女性のエンパワーメント、世界的な回復における女性と女児の人権の十分な享受についてコミット。

【経済の強靭性に関するG7パネル】

  • 新型コロナウイルスからのより包摂的な回復を支援するため、女性向けの労働市場及び保健上の結果(例:労働力参加、雇用率、賃金、雇用の質)に特に重点を置き、より広範な経済指標及び経済的成功の測定を組み込むことにコミット。

【コーンウォール・コンセンサス】

  • 不平等に対処し、女性など伝統的に適切に代表されていなかった集団を支える国内政策に沿って、持続可能な開発目標への投資を加速し、デジタルへの包摂性を促進し、課税逃れを排し、開発途上国による世界市場への完全なアクセスを促す。
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