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コラム4
特定非営利活動法人Waffleによる女性IT人材育成の取組
我が国の情報サービス産業におけるITエンジニアの数をみると、男性約15万8千人に対して女性は約4万2千人となっており、女性が占める割合は全体の21.0%24と、著しい男女差がみられる。
令和3(2021)年の経済協力開発機構(OECD)調査によると、大学などの高等教育機関のいわゆるSTEM(科学・技術・工学・数学)分野の学生に占める女性の割合は、日本は「自然科学・数学・統計学」の分野で27%、「工学・製造・建築」で16%と、いずれも比較可能な36か国で最下位となっている25。
しかし、これは女子の能力や適性の問題とはいえない。OECD生徒の学習到達度調査(PISA)によれば、日本の女子の理数系の学力は世界トップクラスである26。それにもかかわらず、高校で理系を選ぶ女子は16%27、大学で理工農系に進む女子はわずか5%28にとどまっているのである。こうしたことから、進路選択の男女差は、学力の差ではなく、「理系は男子向き」というジェンダーステレオタイプや、保護者・教員など周囲からの無意識の働きかけ、ロールモデルとの出会いの少なさといった、社会的・環境的要因によってもたらされているところが大きいのではないかと指摘されてきた。
他方、経済産業省は、令和22(2040)年には人工知能(AI)・ロボット等の利活用に必要な人材が約340万人不足するとの推計を公表した29。また、理系の大学・大学院修了の人材も約120万人不足する見込みであり、理工系人材の確保は今後の成長に向けて死活的な課題となっている。
以上のような状況を踏まえ、大学進学の段階で既に男女比が偏っている現状を変えるべく、高校の文理選択という大きな分岐点よりも前、中高生の段階からITに触れる機会を提供し、進路に関わるエンパワーメントを行うため、令和元(2019)年に一般社団法人Waffleが設立され、令和4(2022)年からは特定非営利活動法人として活動を続けている。
Waffleにおいては、テクノロジー分野のジェンダーギャップを解消すべく、中高生から大学院生までの女性及びノンバイナリーをサポートし、IT技術者を目指す女性の母数を増やすため、以下のような活動を無料で実施してきた。
【中高生向け】
◆Waffle Camp(ワッフル・キャンプ)
ウェブサイト開発のスキルとプログラミング学習コミュニティを提供するプログラム。1日でウェブサイト作成について学び、キャリア講演会が聞ける。令和7(2025)年度においては、全国5地方公共団体で開催した。
◆Technovation Girls(テクノベーション・ガールズ)
米国のNPOと提携し国内でも普及に努めているグローバルなアプリ開発コンテスト。SDGsの課題をモバイルアプリで解決する国際的なアプリコンテストの日本国内プログラムである。
【大学生、大学院生向け】
◆Waffle College(ワッフル・カレッジ)
プログラム未経験者から参加でき、オンラインで全国どこからでも参加可能なプログラムとして、プログラミング研修及びキャリアサポートを提供してきた。令和7(2025)年度までは、オンラインと現地(各大学)の両方で開催され1日でITの仕事を疑似体験できる「キックオフ」、ソフトウェアエンジニアのキャリアを目指す学生向けの6か月の「テックキャリアコース」等を実施してきた。令和8(2026)年度からはテクノロジー業界の人々のメンタリングの下、AIを活用したプロダクト開発に取り組むプログラムへとリニューアルする予定である。
これらのほか、Waffleでは、女性のIT技術者の増加に向けた活動として、SNSでの情報発信や企業・地方公共団体・学校での講演会、IT企業のインターンシップ紹介なども展開している。
創設から令和7(2025)年度までの間、Waffle Campには延べ713名、Technovation Girlsには延べ全国47都道府県から1,702名、Waffle Collegeには延べ605名の受講者があった。令和6(2024)年度のWaffle Collegeのテックキャリアコース修了生(30名)は、IT職種、特にソフトウェアエンジニアリングの職種をメインとして、インターンシップ14件、内定7件を獲得している(令和7(2025)年1月時点)。Waffle Campを通じて、参加者のITやテクノロジー分野への進路や興味は向上し、参加前の43.1%から参加後は67.0%へと大幅に向上した(令和7(2025)年度)。
Waffleでは、今後とも、AI時代に必要とされるコンピテンシー、学習内容の定期的見直しに引き続き努めるとともに、更に高度な技術を学び続けられる環境整備及び教材開発をマルチステークホルダーで進めることとしている。
(Waffle Camp参加者による集合写真)
24 一般社団法人情報サービス産業協会「2024年版情報サービス産業基本統計調査」図表2-49
25 OECD “Education at a Glance 2021”
26 OECD “PISA 2022 Results”
27 国立教育政策研究所「中学校・高等学校における理系選択に関する研究最終報告書」(2013年3月)に基づき内閣府総 合科学技術・イノベーション会議教育・人材育成ワーキンググループ算出。
28 令和2年度 文部科学省「学校基本調査」に基づき内閣府総合科学技術・イノベーション会議教育・人材育成ワーキング グループ算出。
29 経済産業省「2040年の就業構造推計(改訂版)について」(令和8(2026)年3月5日第30回 産業構造審議会経済産 業政策新機軸部会 参考資料2)