第5分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶

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第3節 子供、若年層に対する性的な暴力の根絶に向けた対策の推進

1 「子供の性被害防止プラン(児童の性的搾取等に係る対策の基本計画)2022」(令和4年5月20日犯罪対策閣僚会議決定。以下「子供の性被害防止プラン2022」という。)、「性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針」等を着実に実行するとともに、関係省庁が連携して、取り組むべき総合的な対策として、「こども性暴力防止に向けた総合的な対策」(令和6年4月25日「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」・「こどもの性的搾取等に係る対策に関する関係府省連絡会議」合同会議)を取りまとめ、子供・若者の性犯罪・性暴力被害への対策の強化を図っている。【内閣府、警察庁、こども家庭庁、総務省、法務省、外務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、観光庁】

2 学校、児童福祉施設等の子供と直接接する業務を行う施設において、子供が相談しやすい環境を整備し、性的虐待の兆候を把握して児童相談所等と的確に連携するための研修・広報啓発を実施している。あわせて、二次被害の防止及び円滑な専門機関への相談のために、最初に性的虐待の被害を打ち明けられる可能性がある保護者、保育士、教師など子供に関わる大人に対して、初動対応に関する啓発を推進している。【こども家庭庁、法務省、文部科学省】

3 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者の児童相談所等への通告義務を周知徹底するとともに、児童相談所、警察等においては、性的虐待の認知・把握に努め、被害児童の保護、被害児童に配慮した聴取(代表者聴取)、加害者の検挙と適切な処罰等に向けた必要な施策を実施している。【警察庁、こども家庭庁、法務省、文部科学省】

4 若年女性を対象に、女性相談支援センター等の公的機関と民間支援団体とが密接に連携し、夜間の見回り・声かけ、インターネット上での相談などのアウトリーチ支援や居場所の確保、相談対応、自立支援等の支援を行っている。【厚生労働省】

5 児童相談所やワンストップ支援センター等において、性的な暴力被害を受けた子供に対する被害直後及びその後の継続的な専門的ケアや支援が実施されるよう取組を進めている。あわせて、専門的知識を備えた人材の育成を推進している。

内閣府では、性的な暴力被害を受けた子供に対する被害直後及びその後の継続的な専門的ケアや支援が実施されるよう、ワンストップ支援センターの相談員等を対象としたオンライン研修教材を提供するとともに、研修を実施している。【内閣府、警察庁、こども家庭庁、法務省、文部科学省】

6 被害児童の負担を軽減しつつ、適正な診断・治療等ができるよう、学術団体を含め、産婦人科医、小児科医等に対する研修を促進している。【内閣府、こども家庭庁】

7 被害児童の学習や通学など社会生活が妨げられないよう、学校で教職員が相談に乗ったり、関係機関と連携したりするなどの、適切な措置を講じている。【文部科学省】

8 通学路や公園等における防犯・安全対策を強化し、性犯罪の前兆となり得るつきまとい等の行為に対する捜査・警告を的確に実施している。【警察庁】

9 文部科学省では、令和4(2022)年4月1日から施行された教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律(令和3年法律第57号)及び同法に基づく基本的な指針を踏まえ、令和5(2023)年4月1日から稼動している特定免許状失効者等に関するデータベースの活用徹底、教育職員等に対する研修・啓発の充実などの予防的取組の推進、事案早期発見のための定期的な調査の実施や相談体制の整備、児童生徒性暴力等に及んだ教員について原則として懲戒免職とするなどの厳正な対処など、教育職員等による児童生徒性暴力等の根絶に向け、同法の適切かつ確実な運用を図っている。

こども家庭庁では、令和4(2022)年6月に成立した児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)及び児童福祉法(昭和22年法律第164号)に基づく基本的な指針を踏まえ、令和6(2024)年4月1日から稼動している児童生徒等へのわいせつ行為等を行ったことにより保育士登録を取り消された者の情報が記録されたデータベースの活用の徹底、保育士に対する研修・啓発用の動画の作成・普及などを通じた予防的取組の推進等、保育士による児童生徒性暴力等の根絶に向け、同法の適切かつ確実な運用を図っている。【こども家庭庁、文部科学省】

10 子供の性被害防止対策については、関係府省庁が連携して総合的な対策を推進している。【こども家庭庁、法務省、文部科学省、経済産業省、関係府省】

11 「子供の性被害防止プラン2022」に基づき、政府全体で児童買春・児童ポルノ等の対策を推進している。【内閣府、警察庁、こども家庭庁、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、観光庁】

12 アダルトビデオ出演被害を含め、若年層の性暴力被害に関し、実態把握や取締り等の強化、教育・啓発の強化、相談体制の充実、保護・自立支援の取組強化等の施策を総合的に推進している。【内閣府、関係省庁】

13 毎年4月の「若年層の性暴力被害予防月間」に、SNS等の若年層に届きやすい広報媒体を活用した効果的な啓発活動を展開している。【内閣府、関係省庁】

14 子供に対する性的な暴力根絶に向けて教育・学習、積極的な広報啓発を実施している。特に、コミュニティサイトやSNS等を通じた性犯罪・性暴力の当事者にならないための教育・学習、啓発活動、子供及びその保護者のメディア・リテラシーの向上等の充実を図っている。

青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成20年法律第79号)に基づき、令和6(2024)年9月9日、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第6次)」(以下「第6次青少年インターネット環境整備基本計画」という。)をこども政策推進会議において決定した。

こども家庭庁では、子供がインターネットを上手に、安全に使うスキルを習得するため、青少年の保護者向けのリーフレットを作成し、都道府県等の関係機関に配布するとともに、こども家庭庁ホームページに掲載するなど、子供及びその保護者のメディア・リテラシーの向上に努めている。

また、7月の「青少年の非行・被害防止全国強調月間」において、関係省庁、地方公共団体、関係団体等の協力を得て、青少年の非行・被害防止のための国民運動を展開した。

総務省は、関係省庁と連携の下、性や暴力に関するインターネット上の有害な情報から青少年を保護し、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするため、フィルタリングの普及促進やインターネットの適切な利用等に関する啓発活動等を行っている。具体的には、子供たちのインターネットの安全な利用に係る普及啓発を目的に、児童・生徒、保護者・教職員等に対する学校等の現場での啓発講座(e-ネットキャラバン)や保護者及び教職員向けの上位講座(e-ネットキャラバンPlus)を、情報通信分野等の企業・団体や文部科学省と協力して全国で開催した(令和6(2024)年度は全国2,167か所で開催)。

また、専門家からのヒアリングを通じて、インターネットに係る実際に起きた最新のトラブル事例を踏まえ、その予防法等をまとめた「インターネットトラブル事例集」を平成21(2009)年度から毎年作成・公表し、普及を図っている。

文部科学省では、ネットモラルキャラバン隊を全国3か所で開催し、保護者等を対象に情報モラルやネットとの関わり方、家庭でのルール作り等の啓発を行った。【内閣府、警察庁、こども家庭庁、総務省、文部科学省、経済産業省】

15 法務省の人権擁護機関では、子供・若者が利用しやすい媒体を活用した人権相談として、LINEからの人権相談(LINEじんけん相談)に加えて、GIGAスクール構想による一人一台端末等からも相談可能なウェブブラウザを介した人権相談(こどもの人権SOSチャット)の運用を開始した。【法務省】